説明

報知音発音装置

【課題】 周囲の音環境に拘わらず、報知対象者に対して、状態変化をより確実に報知できる。
【解決手段】 本発明は、報知音の発音出力指令に応じて、報知音を発音出力する報知音発音装置に関する。そして、報知音の発音出力空間における背景雑音のスペクトラムを得る背景雑音スペクトラム分析手段と、背景雑音においてレベルが低いスペクトルを主たる周波数成分とする報知音を発音出力させる報知音出力制御手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は報知音発音装置に関し、例えば、装置やシステムにおける状態変化を可聴音で報知する装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
今日では、可聴音によって、利用者や周囲に居る者に対して、なんらかの状態変化を報知(通知を含む概念とする)する機能を有する装置が多数存在する。例えば、タイマによる計時時間が所定時間に達したことを音響や合成音声によって報知する機能を有する装置や、装置における異常状態の発生を警告音によって報知する機能を有する装置などが多く存在する。
【0003】
このような可聴音によって報知する機能を有する装置が設置されている環境として、背景雑音が大きい環境も存在する。例えば、工場には多くの工作機械などが設置されており、多数の工作機械の動作音が重畳して背景雑音を構成している。また例えば、病院においても、医療機器や介護機器や厨房機器などの多くの機器が存在しており、多くの機器の発音音響が重畳して背景雑音を構成している。
【0004】
このような背景雑音のレベル(パワー)が大きいと、報知音が背景雑音に埋もれてしまい、目立たなくなる。そのため、特許文献1や特許文献2などには、背景雑音のレベルに応じて、報知音のレベルを制御する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2000−56016号公報
【特許文献2】特開平10−75496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、背景雑音のレベルに応じて報知音のレベルを制御したとしても、背景雑音のレベルが非常に大きい場合には、報知音のレベルを大きなレベルに制御しても報知音が背景雑音に埋もれた状態になり、報知音のレベル制御が有効に機能しないことも多い。
【0006】
また、複数種類の装置や機器で報知音の音響が同じような場合もあり得る。このような状態で複数の報知音が、同時期に鳴動した場合、いずれかの報知音のレベルを、背景雑音のレベルに応じて制御したとしても、他の報知音の存在に利用者が気付くことが遅れることもあり得る。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、周囲の音環境に拘わらず、報知対象者に対して、状態変化をより確実に報知することができる報知音発音装置を提供しようとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明は、報知音の発音出力指令に応じて、報知音を発音出力する報知音発音装置において、報知音の発音出力空間における背景雑音のスペクトラムを得る背景雑音スペクトラム分析手段と、背景雑音においてレベルが低いスペクトルを主たる周波数成分とする報知音を発音出力させる報知音出力制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の報知音発音装置によれば、背景雑音においてレベルが低いスペクトルを主たる周波数成分とする報知音を発音出力させるようにしたので、周囲の音環境に拘わらず、報知対象者に対して、状態変化をより確実に報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による報知音発音装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係る報知音発音装置の全体構成を示すブロック図である。
【0012】
図1において、第1の実施形態の報知音発音装置100は、報知音の発音機能を有する工作機械や医療機器などの上位装置10に搭載されているものであり、上位装置10における報知指示部11によって報知音の発音や発音停止が指示されるものである。
【0013】
例えば、報知指示部11は、図示しないタイマ(ハードウェアによるタイマだけでなくソフトウェアによるタイマを含む)による所定時間の計時を監視する部分が該当し、所定時間の計時が終了したときに、報知音発音装置100に対し、報知音の発音出力を指示し、図示しない発音停止ボタンの操作に応じて、報知音発音装置100に対し、発音停止を指示する。また例えば、報知指示部11は、上位装置10における異常発生の検出構成が該当し、異常発生を検出したときに、報知音発音装置100に対し、報知音の発音出力を指示し、図示しない発音停止ボタンの操作に応じて、報知音発音装置100に対し、発音停止を指示する。
【0014】
第1の実施形態の報知音発音装置100は、マイクロフォン101、アナログ/デジタル変換部(A/D変換部)102、背景雑音スペクトラム分析部103、報知音出力制御部104、第1〜第Nの報知音成分出力部105−1〜105−N、報知音成分重畳部106、音量調整部107、デジタル/アナログ変換部(D/A変換部)108、及び、スピーカ109を有する。
【0015】
マイクロフォン101は、例えば、無指向性のものであって、当該報知音発音装置100の周囲の背景雑音を捕捉し、音響信号(アナログ信号)に変換するものである。
【0016】
アナログ/デジタル変換部102は、マイクロフォン101から出力された音響信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換して背景雑音スペクトラム分析部103に与えるものである。
【0017】
背景雑音スペクトラム分析部103は、アナログ/デジタル変換部102から与えられた背景雑音に係る音響信号(デジタル信号)を、複数の周波数成分に分割し、各周波数成分毎のパワーを得るものである。例えば、可聴音帯域をN個の周波数成分に分割する。そして、各周波数成分について、その周波数成分での平均パワーを算出する。N個の周波数成分への分割は、各周波数成分の幅が均等(例えば、1kHz幅ずつ)であっても良く、低音側に比べて高音側の幅を狭く分割したものであっても良い。背景雑音スペクトラム分析部103として、例えば、FFT(高速フーリエ変換)分析部を利用できる。
【0018】
報知音出力制御部104は、上位装置10における報知指示部11からの報知音の発音指示や、発音停止指示を取り込んで、報知音の発音出力又は発音停止を制御するものである。報知音出力制御部104は、例えば、CPUや、CPUが実行するプログラムが該当する。
【0019】
報知音出力制御部104は、報知音を発音出力させる際には、背景雑音スペクトラム分析部103の分析結果に応じて(言い換えると、背景雑音のスペクトラムに応じて)、報知音にどの周波数成分を含めるかを決定するものである。ここで、報知音出力制御部104は、報知音の発音指示が与えられてから背景雑音スペクトラム分析部103の分析結果を取り込むものであっても良く、予め、所定周期(例えば1秒)で背景雑音スペクトラム分析部103から分析結果を取り込んでおき、報知音の発音指示が与えられたときに直ちにその分析結果を利用するものであっても良い。
【0020】
報知音出力制御部104は、背景雑音においてレベルが小さいスペクトル(周波数成分)を、報知音に含めることに決定するものであり、その決定方法は任意である。以下、決定方法の数例(3例)を、図2を参照しながら説明する。なお、図2は、背景雑音スペクトラム分析部103の分析結果を示しており、横軸は周波数、縦軸は各周波数成分のレベル(パワー)である。また、図2は、説明の簡略化のために、可聴音帯域を15の周波数成分f1〜f15に分割した場合を示している。
【0021】
第1の決定方法は、閾値レベルTHより小さいレベルのスペクトル(周波数成分)を報知音に全て含めることに決定する方法である。図2に示すように、閾値レベルTHを選定した場合、報知音には周波数成分f5、f8〜f10、f14が含まれることになる。なお、利用者が閾値レベルを可変し得るものであっても良い。
【0022】
第2の決定方法は、背景雑音においてレベルが小さい方の所定数の周波数成分を、報知音に含める成分に決定する方法である。例えば、所定数を6に選定した場合、報知音には周波数成分f5、f8〜f10、f14、f15が含まれることになる。なお、利用者が所定数を可変設定し得るものであっても良い。
【0023】
第3の決定方法は、可聴音帯域を複数の帯域に分割し、各分割帯域毎に、背景雑音においてレベルが小さい方の所定数ずつの周波数成分を、報知音に含める成分に決定する方法である。例えば、可聴音帯域を低音(f1〜f5)、中音(f6〜f10)、高音(f11〜f15)の3帯域に分割し、各帯域について2つずつの成分を選択する場合であれば、報知音には、低音について周波数成分f3、f5、中音について周波数成分f9、f10、高温について周波数成分f14、f15が含まれることになる。なお、帯域の分割数や帯域毎の成分数を、利用者が可変設定し得るものであっても良い。また、分割帯域によって、選択する成分数が異なっていても良い。
【0024】
報知音出力制御部104は、報知音に含める周波数成分を決定すると、第1〜第Nの報知音成分出力部105−1〜105−Nのうちの該当するものに出力を指示する。
【0025】
なお、報知音出力制御部104は、報知音の発音停止の指示時には、出力させていた報知音成分出力部(105−1〜105−N)に出力終了を指示する。
【0026】
第1〜第Nの報知音成分出力部105−1〜105−Nはそれぞれ、報知音出力制御部104の制御下で、自己に割り当てられた周波数を有する報知音成分の信号(例えば正弦波信号(デジタル信号))を出力するものである。第1〜第Nの報知音成分出力部105−1〜105−Nは、例えば、正弦波信号の波形データ(例えば1周期分)を記憶しているメモリと、アドレスを巡回的に変化させながらそのメモリから波形データを読み出す読み出し回路などが該当する。なお、波形データのデジタル表記方法は任意であるが、後述する重畳処理を考慮すると、正負をとる表記が好ましい。
【0027】
報知音成分重畳部106は、報知音出力制御部104から指示されて出力動作を行っている複数の報知音成分出力部(105−1〜105−N)からの出力信号(報知音成分)を重畳(合成)して報知音信号を形成するものである。報知音成分重畳部106は、例えば、複数の入力データの値の総和器が該当する。
【0028】
音量調整部107は、音量調整つまみを有し、利用者によって設定されたつまみ位置に応じ、報知音成分重畳部106からの報知音信号のダイナミックレンジを変化させるものである。音量調整部107は、例えば、つまみ位置に応じて係数値を出力するレジスタや、係数値と、報知音信号の値とを乗算する乗算器とが該当する。
【0029】
デジタル/アナログ変換部107は、音量調整部107から出力された報知音信号(デジタル信号)をアナログ信号に変換するものである。
【0030】
スピーカ108は、デジタル/アナログ変換部107から出力されたアナログ信号でなる報知音信号を発音出力するものである。
【0031】
以上のような各部101〜109からなる報知音発音装置100においては、マイクロフォン101が背景雑音を捕捉し、そのアナログ信号でなる背景雑音信号をアナログ/デジタル変換部102がデジタル信号に変換して背景雑音スペクトラム分析部103に与え、背景雑音スペクトラム分析部103は、背景雑音信号を分析し、各周波数成分毎のレベル(パワー)の情報(分析結果)に変換する。
【0032】
タイマの計時の終了や異常事態の発生などにより、報知指示部11が、報知音発音装置100に報知音の発音出力を指示すると、報知音発音装置100の報知音出力制御部104は、背景雑音スペクトラム分析部103の分析結果(背景雑音のスペクトル)に応じて、報知音にどの周波数成分を含めるかを決定し、第1〜第Nの報知音成分出力部105−1〜105−Nのうち、決定された周波数成分に係るものに出力を指示し、これにより、出力が指示された全ての(1個であっても良い)の報知音成分出力部から、該当する周波数を有する報知音成分の信号(デジタル信号)が出力され、これら信号が報知音成分重畳部106によって合成された後、音量調整部107によって、ダイナミックレンジが調整され、デジタル・アナログ変換部108によってアナログ信号に変換された後、スピーカ109から発音出力される。
【0033】
これにより、報知音発音装置100から発音出力された報知音は、背景雑音が備えない(レベルが小さい)周波数成分が中心の音となり、背景雑音の存在に拘わらず、利用者や周囲の者などの報知対象者がその報知音を認識する。
【0034】
以上のように、第1の実施形態の報知音発音装置によれば、報知音のスペクトラムを背景雑音に応じて選定するようにしたので、周囲の音環境に拘わらず、報知対象者に対して、状態変化などを報知音によってより確実に報知することができる。
【0035】
すなわち、背景雑音のレベルが大きくても、背景雑音に含まれていない周波数成分で報知音を構成しているので、報知対象者が報知音を聴取することができる。また、他の機器の報知音が鳴動している状態で、報知音を発音しなければならない状況でも、既に鳴動している報知音とは異なるスペクトラムの報知音を発音するので、報知対象者が報知音を聴取することができる。
【0036】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による報知音発音装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0037】
図3は、第2の実施形態に係る報知音発音装置の全体構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0038】
図3において、第2の実施形態に係る報知音発音装置100Aは、第1の実施形態と同様な構成要素に加えて、背景雑音レベル検出部110、基本報知音出力部111及び報知音選択スイッチ112を有する。
【0039】
背景雑音レベル検出部110は、アナログ/デジタル変換部102からの背景雑音信号のレベル(パワー)を検出して報知音出力制御部104に与えるものである。背景雑音レベル検出部110は、例えば、背景雑音信号における所定期間(例えば1ms)のサンプル値の2乗和としてレベルを算出する。
【0040】
基本報知音出力部111は、報知音出力制御部104の制御下で、基本報知音信号を出力するものである。ここで、基本報知音信号は複数の周波数成分を含むものであっても良い。また、基本報知音信号は、例えば、自然界に存在する音響を録音したものであっても良く、楽音であっても良い。基本報知音出力部111は、例えば、基本報知音信号の波形データを記憶しているメモリと、アドレスを巡回的に変化させながらそのメモリから波形データを読み出す読み出し回路などが該当する。
【0041】
この第2の実施形態の場合、後述するように、背景雑音レベルが小さい状態では、基本報知音を発音出力させるものである。
【0042】
報知音選択スイッチ112は、報知音出力制御部104の制御下で、報知音成分重畳部106から出力された重畳報知音信号、又は、基本報知音出力部111から出力された基本報知音信号の一方を選択して音量調整部107に与えるものである。
【0043】
図4は、報知音の発音出力が指示された際における、第2の実施形態の報知音出力制御部104における報知音決定処理を示すフローチャートである。
【0044】
第2の実施形態の報知音出力制御部104は、報知指示部11(図1参照)から、報知音の発音出力が指示されると、図4に示す処理を開始する。
【0045】
そしてまず、報知音出力制御部104は、背景雑音レベル検出部110から背景雑音レベルBNを取り込み(S1)、その背景雑音レベルBNが第1の閾値レベルTH1以下であるか否かを判別する(S2)。
【0046】
背景雑音レベルBNが第1の閾値レベルTH1以下であると、報知音出力制御部104は、基本報知音をシステム調整することなく発音出力させるように各部を制御して、発音出力を開始させる(S3)。報知音出力制御部104は、基本報知音出力部111から波形データを出力させると共に、報知音選択スイッチ112に、基本報知音出力部111から出力された基本報知音信号を選択させる。このとき、報知音選択スイッチ112を介した基本報知音に対しては、音量調整部107によって、音量調整つまみの位置に応じた音量調整が施される。
【0047】
一方、背景雑音レベルBNが第1の閾値レベルTH1より大きい場合には、報知音出力制御部104は、背景雑音レベルBNが、第1の閾値レベルTH1より大きい第2の閾値レベルTH2以下であるか否かを判別する(S4)。
【0048】
背景雑音レベルBNが第2の閾値レベルTH2以下であると(この場合は、TH1<BN≦TH2)、報知音出力制御部104は、基本報知音をシステム調整して発音出力させるように各部を制御して、発音出力を開始させる(S5)。報知音出力制御部104は、基本報知音出力部111から波形データを出力させると共に、報知音選択スイッチ112に、基本報知音出力部111から出力された基本報知音信号を選択させ、さらに、音量調整部107に対して音量調整つまみの位置に応じた利得より大きな利得(所定のdB増)で音量調整させることを指示する。なお、ここでの大きな利得は、背景雑音レベルとの相対比率として定めるようにしても良い。
【0049】
背景雑音レベルBNが第2の閾値レベルTH2より大きい場合には、報知音出力制御部104は、第1の実施形態で説明した方法により、報知音を形成出力させるように各部を制御する(S6)。この第2の実施形態の場合、報知音出力制御部104は、報知音選択スイッチ112に対して、報知音成分重畳部106の出力信号(重畳報知音信号)を選択させるような制御も行う。
【0050】
以上のように、第2の実施形態においては、背景雑音レベルを3区分し、背景雑音レベルが小レベルの区分に属する場合には、基本報知音を発音出力させ、背景雑音レベルが中レベルの区分に属する場合には、基本報知音をシステム側で定めている利得分だけ増大させて発音出力させ、背景雑音レベルが大レベルの区分に属する場合には、背景雑音のスペクトラムに応じて形成した報知音を発音出力させる。
【0051】
第2の実施形態によれば、背景雑音のレベルとスペクトラムの双方を考慮して、発音出力する報知音を選択、又は、形成するようにしているので、第1の実施形態以上に、周囲の音環境に拘わらず、報知対象者が報知音を確実に聴取することができる。
【0052】
(C)他の実施形態
上記各実施形態においては、背景雑音のスペクトラムの分析に供する可聴音の帯域が固定のものを示したが、可聴音の帯域を可変設定できるようにしても良い。例えば、可聴音帯域として、図2におけるf1〜f15を設定できるだけでなく、f2〜f16やf3〜f17を設定できるようにしても良く、可聴音帯域の設定を報知対象者の年齢や性別を入力させることで自動設定するようにしても良い(例えば、年齢や性別を可聴音帯域に変換する変換テーブルを利用する)。
【0053】
また、上記各実施形態においては、報知指示部が報知音発音装置の近傍に設けられているものを示したが、報知指示部が報知音発音装置から遠隔の場所に設けられていても良い。また、報知音発音装置が、複数の報知指示部に共通なものであっても良い。例えば、報知音発音装置が建物の集中管理センタ室に設けられ、報知指示部が各室に設けられていても良い。
【0054】
さらに、上記各実施形態においては、背景雑音のスペクトラムを考慮した報知音を、複数の報知音成分を重畳させることで形成するものを示したが、予め複数種類の報知音(例えば自然界に存在する音響であっても良い)を用意しておき、背景雑音のスペクトラムに応じて、複数種類から選択するようにしても良い。この場合において、用意しておく複数種類の報知音は、中心となる周波数成分の組み合わせが異なるものである。
【0055】
さらにまた、上記各実施形態では、報知対象者が人間である場合を示したが、他の動物などであっても良く、その対象動物の可聴音帯域を考慮して、背景雑音のスペクトラムの分析や、報知音の形成、選択を実行するようにすれば良い。
【0056】
第1の実施形態においては、背景雑音レベルに関係なく、背景雑音のスペクトラムに応じた報知音を発音出力するものを示し、第2の実施形態においては、背景雑音レベルが大きいときに、背景雑音のスペクトラムに応じた報知音を発音出力するものを示したが、第1の実施形態による方法と第2の実施形態による方法とを報知対象者が選択できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1の実施形態に係る報知音発音装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の報知音発音装置において報知音に含有させる周波数成分を決定する方法を説明するために背景雑音の分析結果を示す図面である。
【図3】第2の実施形態に係る報知音発音装置の全体構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態の報知音出力制御部における報知音決定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
100、100A…報知音発音装置、101…マイクロフォン、102…アナログ/デジタル変換部(A/D変換部)、103…背景雑音スペクトラム分析部、104…報知音出力制御部、105−1〜105−N…報知音成分出力部、106…報知音成分重畳部、107…音量調整部、108…デジタル/アナログ変換部(D/A変換部)、109…スピーカ、110…背景雑音レベル検出部、111…基本報知音出力部、112…報知音選択スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
報知音の発音出力指令に応じて、報知音を発音出力する報知音発音装置において、
報知音の発音出力空間における背景雑音のスペクトラムを得る背景雑音スペクトラム分析手段と、
背景雑音においてレベルが低いスペクトルを主たる周波数成分とする報知音を発音出力させる報知音出力制御手段と
を有することを特徴とする報知音発音装置。
【請求項2】
背景雑音の可聴音帯域におけるレベルを検出する背景雑音レベル検出手段をさらに備え、上記報知音出力制御手段は、背景雑音の可聴音帯域におけるレベルが所定閾値より大きいときに、背景雑音においてレベルが低いスペクトルを主たる周波数成分とする報知音を発音出力させることを特徴とする請求項1に記載の報知音発音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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