説明

塑性変形可能なキャリアを備える電極アレイを作製する方法

塑性変形可能な材料から形成された切片(108)から移植可能な電極アレイを作製する方法である。1つ又は複数の電極アレイの電極(48)及び電極(62)を形成するために、材料層が切片上に配置される。電極及び導体が形成されている切片の領域が、電極及び導体と共に取り外され、電極アレイを形成する。従って、切片のこの取り外された領域は、アレイ(40)用の塑性可能なキャリア(74)として機能することになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に塑性変形可能なキャリアを備える電極アレイを作製する方法に関する。さらに具体的には、本出願は、複数の電極アレイをバッチ式に同時に作製することを容易にする方法に向けられている。
【0002】
多くの医療処置において、所望の治療効果を達成するために、電極アレイが患者内に移植されている。一般的に、電極アレイは非導電性キャリアを備えており、典型的には、このキャリアの上に2つ以上の電極が配置されている。いったん電極アレイが移植されると、電流が、電極の少なくとも1つから隣接する組織を通って他の電極の少なくとも1つに、流される。組織を通って流れる電流は、該組織を刺激し、所望の治療効果が得られることになる。例えば、心臓に隣接して配置された電極アレイが、電流を流し、心筋の適切な伸縮を刺激することができる。また、神経組織に隣接して電極アレイを移植し、得られる電流の流れによって所望の神経学的効果を促進することに関心が高まっている。具体的には、このようなアレイの電極間に流れる電流を用いて、脳が感じる慢性的な痛みの感覚を低減させることができる。代替的に、電流の流れは食欲抑制/体重管理治療の一部として満腹感を促進することもある。他の用途として、失禁の制御を補助するために、膀胱又は肛門括約筋に関連する筋肉に電流が流されることもある。
【0003】
上記の治療を行う場合、暗黙のうちに、電流は組織の極めて小さな領域を通って流され、これらの小さな領域を介して、このような電流の流れが所望の結果をもたらすようになっていなければならない。同じように、電流は、もしこのような電流の流れが望ましくない副作用をもたらすのであれば、隣接組織を通って流されるべきではない。仮に一部の組織を通って流れる電流が望ましくない副作用をもたらさない場合であっても、このような電流の流れは無駄な電力シンクになる。従って、移植された電極アレイが最大の利得を得るようにするために、電極は電流を流すべき組織に可能な限り近接して配置される必要がある。
【0004】
目標に向かって正確に電流の流れをもたらす目的を達成する1つの手段は、互いに離間した電極のマトリックス、すなわち、行列を有する電極アレイを設けることである。このアレイは、電流の流れが所望の治療効果をもたらすことになる組織を含む比較的大きな組織の領域に渡って移植されるようになっている。いったんアレイが移植されると、電流が電極の種々の組合せ間に流される。種々の電極間に電流が流れる結果として、この電流は、電極の下に位置する組織の種々の領域内に流れることになる。組織の種々の領域を通って流れる電流に対する患者の応答が監視され、これによって、組織のどの領域を通して電流が流されると最も有益な効果及び/又は最も許容される副作用がもたらされるかを決定することとなる。従って、この種の電極アセンブリは、電流を比較的正確に組織内に向けることができるので、このような電流は、良好な効果及び最小の副作用を最大限にもたらすことができる。
【0005】
上記の電極アレイアセンブリを有益なものとするために、アセンブリは、比較的大きな表面積を占めているべきである。上記の種類のアセンブリは、例えば、0.25cm以上の幅及び0.5cm以上の長さを有していることが知られている。この種の電極アレイアセンブリを目標組織に対して位置決めするために、アセンブリが位置決めされることになる組織の表面にアクセスするための切開部を患者にもたらす外科処置が必要であることが示唆されている。次いで、アセンブリは組織を覆って装着され、その上に位置している組織の切開部が閉合されることとなる。
【0006】
患者に上記の手術による外傷を与えねばならないことをなくすように設計された電極アレイアセンブリが、2008年3月6日に「折り畳むことができる移植可能な電極アレイアセンブリ及び該アセンブリを移植するためのツール」の表題で出願された本出願人による米国特許出願第61/034,367号(特許文献1)に開示されている。この内容は、国際特許出願第PCT/US2009/033769号(特許文献2)(国際特許出願公開第**********号)及び米国特許第**********号において公開されている。なお、これらの特許は、参照することによって、ここに明示的に含まれるものとする。この発明の電極アレイアセンブリは、超弾性材料から形成されたキャリアを備えている。超弾性材料は、剛体であるが、比較的大きな曲げ又は折畳みを受けた後、その元の形状に実質的に戻る材料である。開示されている電極アセンブリのキャリアを形成する超弾性材料は、ニッケルチタン合金である。ニッケルチタン合金をキャリアとして用いる他の特徴は、この材料が塑性変形可能であり、キャリアが破断することなく特定の形状に賦形されることができることにある。電極アレイアセンブリの他の構成部品、すなわち、電極及び電極から延びる導体がキャリア上に配置されている。
【0007】
キャリアが形状記憶材料から形成されているので、電極アレイアセンブリは、アセンブリ自体の幅よりもかなり小さな幅を有する送達カニューレ内に折り畳まれるか又は巻き込まれることが可能である。具体的には、12mmの幅を有する電極アセンブリが、6mm以下の外径を有する送達カニューレ内に嵌合するように巻き込まれるか又は折り畳まれることが可能である。これは、アセンブリが移植されることになる部位に向けられた比較的小さな門脈を体に形成することによって、本発明の電極アセンブリを移植することができることを意味している。電極アセンブリを含んでいる送達カニューレは、門脈内に挿入されて目標部位に導かれることになる。次いで、電極アセンブリが、カニューレから放出されて展開される。展開時に、超弾性キャリアの存在によって、組織の上に配置された電極アセンブリは、折畳み又は巻込みがほどかれ、その最初の形状に戻る。次いで、どの電流の流れが最も有益な効果をもたらし、及び/又は副作用をもたらさないかを決定するために、電流が異なる組の電極間に流されることになる。
【0008】
上記の電極アレイアセンブリの利点は、このアセンブリが適切に位置決めされた比較的小さな開口を患者に形成することしか必要としないことである。大きな開口を形成する外科手術に関連する外傷及び副作用が排除されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第61/034,367号明細書
【特許文献2】国際特許出願第PCT/US2009/033769号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の電極アレイアセンブリが大きな治療上の実用性を有するようにするには、アセンブリを効率的に作製することができる手段を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一般的に、超弾性材料から形成されたキャリアを備える電極アレイアセンブリを作製する方法に関する。本発明の方法によれば、複数の電極アレイアセンブリのバッチ式同時作製が容易になる。
【0012】
本発明の方法の一態様では、電極アレイアセンブリを形成する導電性構成部品が、最終的には超弾性キャリアとして機能することになる材料の層の上に作製されるか又は別の方法によって接合されるようになっている。
【0013】
本発明の方法の他の態様では、作製プロセス中、裏当てが超弾性キャリアの下方に配置されるようになっている。この裏当ては、キャリアに剛体をもたらし、これによって、キャリアは、導電性構成部品がキャリア上に作製されるか又はそれ以外の方法の方法によって該キャリアに接合されるプロセスにおける力に耐えることができる。
【0014】
本発明の方法の他の態様では、一連の作製用サブステップにおいて、複数の電極アレイアセンブリを同時に作製することができる。
【0015】
本発明の方法のさらに他の態様では、基準面の内外にわたる三次元的な特徴、すなわち、長さ、幅、及び高さをすでに有しているキャリア上に、二次元的な作製技術によって電極アレイアセンブリを形成することができる。
【0016】
本発明は、特許請求の範囲で詳細に指摘されている。本発明の上記の特徴及びさらに他の特徴ならびに利点は、添付の図面と関連して以下の詳細な説明を参照することによって、理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】通常は覆われているいくつかの構成部品を説明の目的で露出させて示している、本発明によって構成された電極アセンブリの平面図である。
【図1A】アセンブリがいかに弓状輪郭を有することができるかを示す、本発明の電極アセンブリの正面図である。
【図2】図1の電極アセンブリの単一電極の断面図である。
【図3】複数のキャリアが上に形成されている超弾性材料のシート又は切片の平面図である。
【図4A】キャリアの近位端(前端)がいかにシートに保持されているかを示す、超弾性材料の切片の拡大部分の平面図である。
【図4B】キャリアの遠位端(後端)がいかに切片に保持されているかを示す、超弾性材料のシートの拡大部分の平面図である。
【図4C】最終的にはキャリアから分離されることになる廃棄スラグを画成しているスリットを示す、単一キャリアの平面図である。
【図5】個々のキャリアが、超弾性材料のシートに保持されながら、いかに湾曲されているかを示す、斜視図である。
【図5A】図5の単一キャリアの斜視図である。
【図6】超弾性材料のシート上の被膜及びシート上のキャリアの1つを示す、超弾性材料のシートの一部の断面図である。
【図7】支持ウエハに接合された超弾性材料のシートの領域の断面図である。
【図8】パリレンの層によって本来的な露出面が覆われている超弾性材料のシートの領域の断面図である。
【図9】シートのキャリアの1つの上に電極アレイアセンブリを形成するための構成部品の作製を示す、超弾性材料のシートの領域の断面図である。
【図10】シートのキャリアの1つの上に電極アレイアセンブリを形成するための構成部品の作製を示す、超弾性材料のシートの領域の断面図である。
【図11】シートのキャリアの1つの上に電極アレイアセンブリを形成するための構成部品の作製を示す、超弾性材料のシートの領域の断面図である。
【図12】シートのキャリアの1つの上に電極アレイアセンブリを形成するための構成部品の作製を示す、超弾性材料のシートの領域の断面図である。
【図13】除去直前の状態にあるシート−キャリア保持タブの1つを示す、実質的に作製されている電極アレイアセンブリの断面図である。
【図14】タブ及びその下に位置するパリレン−C層が除去された後の電極アレイアセンブリとシートとの間に隔離を示す、図13の超弾性材料のシートの領域の断面図である。
【図15】犠牲層が除去された後のアセンブリのリフトオフを示す、図14の電極アレイアセンブリの領域及び周囲シートの断面図である。
【図16】図16A及び図16Bは、それぞれ、切片上に切片−キャリアタブ及びキャリア−スラグタブを形成する最初のステップを示す、切片の一部の平面図及び断面図である。
【図17】図17A及び図17Bは、それぞれ、切片の領域からキャリアを形成した後の切片−キャリアタブの1つを示す、切片の一部の平面図及び断面図である。
【図18】絶縁材料の層及びタブが周囲の切片から隔離された後の本発明の電極アレイアセンブリの周縁を示す、断面図である。
【図19】図19A及び図19Bは、電極中間層及び導体中間層をいかに互いに異なる厚みを有するように作製することができるかを示す、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[I.電極アレイアセンブリ]
図1は、本発明の方法によって作製された電極アレイアセンブリ40の平面図である。アセンブリ40はヘッド42を備えている。ヘッド42から離間して、足部46が配置されている。多数の互いに平行に離間した脚部44a−44eが、ヘッド42の遠位端から後方に延在して、足部46をヘッドに接続している。互いに離間した電極48からなる多数の電極列が、アセンブリヘッド42上に配置されている。各電極列は、長手方向において互いに離間した多数の電極48を備えている。説明を容易にするために、図1では、電極48の第1の列及び第5の列のみが示されており、各列において、2つの電極のみに部番が付されている。図面を左側から右側に見て、始端から4つの電極列における各電極48は、ヘッド42に形成されたタブ50上に配置されている。各タブ50は、ヘッド42を貫通している三面型スロット孔52によって画成されている。本発明の例示されている態様では、補助タブ54が、第1の電極列、第2の電極列、及び第4の電極列における最近位電極48の前方において、ヘッドに形成されている。各補助タブ54は、アセンブリヘッド42を貫通しているスロット孔56によって画成されている。補充スロット孔58が、第1の列の補助タブ54及び第4のタブ列の最前方タブ52から延在している。
【0019】
導体62が各電極48まで延びている(説明を容易にするために、2つの導体62のみが示されている)。各導体62は、アセンブリヘッドから、脚部44a,44b,44c,44d,44eの1つを超えて、アセンブリ足部46まで延在している。
【0020】
足部46は、中心開口64を画成するように形成されている。中心開口46は、ケーブルアセンブリを受け入れるように寸法決めされている。なお、ケーブルアセンブリは、図示されておらず、かつ本発明の一部をなすものではない。個々のアセンブリ導体62は、ケーブル内部の導体に接続されている。ケーブル導体が電流を供給し、この電流が、導体62を通って、電極48に印加され、電極間に電流の流れをもたらすことになる。2006年12月22日に出願された米国特許出願第60/871,675号(この特許は、国際出願第PCT/US2007/088580号及び米国特許出願第********号として再出願され、それぞれ、国際出願公開第2008/080073A2号及び米国特許第*********号として公開されている)は、電極48に電流を供給する代替的な手段を記載している。なお、これらの特許の内容のいずれもが、参照することによって、ここに明示的に含まれるものとする。この文献のアセンブリは、電極アレイアセンブリ40の外部の構成部品が、電極40内に電流を供給するための電力及びどの電極間に電流を流すべきかを支持する命令の両方を、いかにもたらすかを開示している。電力及び命令の両方を含む信号は、アセンブリの足部46に取り付けられた構成部品に供給されるようになっている(構成部品は、図示されていず、また本発明の一部をなすものではない)。電極アレイアセンブリ40のこれらの構造では、導体62がこれらの構成部品に延在している。ここでも、電流を電極に供給する方法及びこのような電流の供給を容易にするアセンブリ40上の構造的な特徴部は、本発明に関連するものではないことを理解されたい。
【0021】
図2で最もよく分かるように、アセンブリ40は、塑性変形可能な材料、本発明の多くの態様では、超弾性材料から形成されるキャリア74を備えている。このアセンブリの場合、もしキャリアの形状が、応力付加、熱処理、又は化学的変化若しくは冶金的変化によって、破断を生じることなく、賦形された形状に変化可能であるならば、このキャリアは、「可塑性(plastically deformable)」であるとみなされる。もし賦形された後、屈曲、折畳み、又はそれ以外の撓みを受け、この撓みを与えている力が外されたとき、その賦形された形状に戻るならば、このキャリアは、「超塑性(superplastic)」であるとみなされる。キャリア74は、アセンブリ40を形成する全ての構成部品と同じように、生体適合性を有する材料、すなわち、典型的には、生体組織内に移植されたときに感染源にならない材料から形成されている。本発明のいくつかの態様では、キャリア74は、ニチロール、すなわち、ニッケルチタン合金の層である。キャリア74は、50μmの厚みを有している。キャリア74の下方側及び両側には、電気的絶縁材料から形成された下側絶縁層72が配置されている。本発明の一態様では、絶縁層72は、パリレン−Cのようなポリキシレンポリマーフィルムである。下側絶縁層72は、少なくとも1μmの厚みを有している。上側絶縁層76がキャリア74の上に配置されている。上側絶縁層76は、下側絶縁層72を形成する材料と同じ材料から形成することができる。上側絶縁層76は、少なくとも1μmの厚みを有している。
【0022】
電極48及び導体62が、上側絶縁層76の上に形成されている。各電極48は、50μm2ほどの小さな表面積、本発明のいくつかの態様では、10μm2ほどの小さな表面積を有することができる。キャリア上の電極間の最小間隔は、15μmほどの小さな距離、本発明のいくつかの態様では、5μmほどの小さな距離とすることができる。
【0023】
各電極48は、導電性ベースパッド80を備えており、このベースパッドから、多数の導電性ボタン90が突出している。各ベースパッド80は、底層82、中間層84、及び上層86を備えている。ベースパッドの底層82及び上層86は、それぞれ、クロムから形成されている。本発明のいくつかの態様では、電極ベースパッドの底層82及び上層86は、各々、少なくとも500Åの厚みを有している。底層82及び上層86は、クロムをパリレンポリマー及び金の両方に接合させるために、設けられている。金がベースパッドの中間層84を形成している材料となっている。多くの場合、中間層84は5μm以下の厚みを有している。中間層84は、以下に述べるように、導体62とも一体化している。中間層84の種々の領域が、電極48及び導体62の低抵抗部品として機能している。
【0024】
各導電性ボタン90は、典型的には、横方向平面において円形の断面輪郭を有している。ボタンの直径は、典型的には、少なくとも10μmとなっている。本発明のいくつかの態様では、ボタン90の断面直径は20μmから30μmの間となっている。互いに隣接するボタン90間の最小間隔は0.5μmとなっている。本発明のいくつかの態様では、この間隔は1.0μm以上となっている。本発明のいくつかの態様では、各ボタン90は、イリジウムから形成されており、少なくとも1000Åの厚みを有している。
【0025】
図示されていないが、各導体62は、クロム底層、金中間層、及びクロム上層から形成されていることを理解されたい。導体62は、電極ベースパッド80と同時に形成されている。従って、導体のベース層は、電極ベースパッドのベース層82と連続しており、同じ厚みを有している。導体の中間層は、電極ベースパッドの中間層84と連続しており、同じ厚みを有している。導体の上層は、電極ベースパッドの上層86と連続しており、同じ厚みを有している。
【0026】
電気的に非導電性のシェル98が、導体62及び電極ベースパッド80のボタンのない表面を覆って配置されている。また、シェル98の一部は、ボタン90の外周の周りにも延在している。シェルの開口102が、ボタン90の(その外周から内方に位置する)面を露出させている。シェル98は、絶縁層72,76と同じように、ポリキシレンポリマー(パリレン−C)フィルムから形成されている。
【0027】
図2は、電極48の1つの長軸と少なくとも平行の線に沿った断面図である。従って、図2には、電極48が着座されているタブ50(図1)を画成しているスロット孔52の互いに平行をなす側方スロット孔領域も示されている。
【0028】
図1Aに示されているように、本発明のいくつかの態様では、電極アレイアセンブリ40の少なくともヘッド42は、弓状の横断面を有している。電極48は、キャリア74の内方に湾曲した表面上に配置されている。図1Aでは、説明のために、電極48がシェル98の隣接領域の外方に延在している大きさが誇張されている。本発明のこの実施形態は、アセンブリ40が湾曲した組織の領域の表面の上に配置される用途に提供されるものである。この場合、アセンブリ40の湾曲は、電極48とその下の組織との間の間隙を最小限に抑えることになる。この間隙を最小限に抑えることによって、電極と組織との間の電流の流れの損失を低減させることができる。例えば、脊椎硬膜の上に配置されることが意図されている電極アレイアセンブリは、上述した輪郭を備えているとよい。
【0029】
[II.作製方法]
本発明の方法を用いて電極アレイアセンブリ40を製造するプロセスは、キャリアの形成から開始することができる。図3を参照すれば分かるように、切片(coupon)108と呼ばれる超弾性材料のシートが、複数と言わないまでも少なくとも1つのキャリア74を画成するように、形作られている。
【0030】
本発明によれば、フォトエッチング法又は他の方法を用いて、切片108に、個々のキャリアの周縁及び各キャリアの特徴部の周縁を画成する多数の貫通開口が形成される。個々のキャリア74の周縁、すなわち、外形は、図4A,図4Bに示されているように、切片108のスロット孔120によって画成されている。このステップでは、スロット孔120は、キャリア74を切片108の周囲領域から完全に切り離すように形成されないようになっている。それに代わって、スロット孔120は、キャリアと切片の周囲領域との間に延在している多数の保持タブ122によって、多数の領域に分けられている(個々のスロット孔領域には部番が付されていない)。図4Aに示されているように、第1の保持タブ122は、キャリアヘッド112の最近位端と切片108の残りとの間に延在している。図4Bから、互いに離間した第2及び第3の保持タブ122が、足部116の遠位部から切片108の隣接領域に延在していることが分かるであろう。
【0031】
キャリア74の周縁を形成するプロセスにおいて、さらに、キャリア74はヘッド112、脚部114、及び足部116を画成するように形成されている。キャリアヘッド112、脚部114、及び足部116は、それぞれ、アセンブリヘッド42、脚部44、及び足部46の一部となるものである。
【0032】
スロット孔120と同時に、スロット孔124,126,128が形成されるようになっている。スロット孔124,126,128の各々は、その全体が切片の(キャリア74をなす)部分内に形成されている。各スロット孔124は、キャリア74上にタブ130又は132の1つを画成するものである。以下の説明から明らかなように、各キャリアタブ130は、電極アセンブリのタブ50の1つになるものである。各キャリアタブ132は、電極アセンブリの補助タブ54の1つになるものである。また、スロット孔124は、アセンブリの補助スロット孔58のキャリア部分を画成するものである。
【0033】
各スロット孔126は、キャリアの互いに隣接する脚部114間の空間になる箇所を画成するものである。後で識別するために、スロット孔126の1つによって画成された超弾性材料の各領域は、スラグ(一時的な空間の詰め物)134と見なすことにする。スロット孔128は、キャリアの足部116の矩形開口になる箇所を画成している。後で識別するために、スロット孔128によって画成された超弾性材料の矩形領域は、スラグ135と見なすことにする。スロット孔126,128は、スロット孔120と同じように、閉ループのスロット孔となっていない。それに代わって、保持タブ127が、各スロット孔126,128を多くとは言わないまでも少なくとも2つのサブスロット孔に分けている(個々のサブスロット孔には部番が付されていない)。
【0034】
スロット孔120,124,126,128のいずれもが、典型的には、4μm以下の幅を有している。いくつかの好ましい製造方法では、スロット孔120,124,126,128は、2μm以下の幅を有している。スロット孔120,124,126,128の幅を小さくすることによって、後続の作製プロセス中にフォトレジスト及び他の被膜がキャリア表面のスロット孔周縁のすぐ背後に比較的厚いビードを生じさせることを実質的になくすことができる。このようなビードは、スロット孔が比較的広い幅を有している場合、表面張力の結果として生じる可能性がある。
【0035】
個々のキャリア74及びそれらの特徴を画成するスロット孔の形成と同時に、位置合わせ特徴部も切片108に形成されている。図3では、切片のキャリアのない領域における開口129が、位置合わせ特徴部として機能している。切片108へのこの位置合わせ特徴部の形成は、スロット孔120,124,126、128を形成するプロセスと同時に行われるとよい。本発明の多くの作製方法では、位置合わせ特徴部は、キャリアとして機能しない切片の領域に形成されたスロット孔となっている。この位置合わせ特徴部によって、切片108へのマスクの正確な重ねが容易になり、これによって、後続の材料層が正確に積層されることになる。
【0036】
いったんスロット孔120,124,126,128及び位置合わせ特徴部が切片108に形成されると、キャリアは、少なくともヘッド112が図5に示されているような所望の凹凸輪郭を有するように賦形される。このステップは、個々のキャリアを適切な形状を有する互いに向き合った金型間で加圧することによって行われるとよい。いったんキャリアがこのように加圧されると、キャリアを硬化させるために、熱が加えられる。熱は、個々の金型内のヒータ又は外部ヒータから供給されてもよいし、又は金型を包囲する液体から熱伝達されてもよい。キャリアの曲げ加工と加熱を同時に行った結果として、キャリアは、所望の塑性変形を受けて、所望の湾曲形状を生じることになる。図5Aの詳細図から分かるように、このプロセスの結果として、各キャリア74のヘッド112は、本質的に一対の互いに向き合った翼部133を有することになる。各翼部133は、ヘッド112の片側に沿って延在し、切片108の平面から離れる方に湾曲している。
【0037】
図6に示されているように、垂下されたキャリア74を備えている切片108の底面にパリレン−C被膜136が設けられている。本明細書では、シートの「底面」は、キャリアにおけるヘッド112が凸輪郭を有しているシート面であると理解されたい。パリレン−Cは、蒸着法を用いて切片108及びキャリア上に堆積されるようになっている。パリレン−Cポリマーが、コンフォーマル(conformal)被膜となっている。従って、キャリアヘッド112が湾曲した翼部133を有していても、パリレン−Cは、キャリア74aのこれらの部分を覆うことになる。パリレン−C被膜136は、少なくとも1μmの厚みを有している。
【0038】
上記のプロセスステップ中、スラグ134,135は、個々のキャリア74に取り付けられた状態で維持されていることを理解されたい。従って、パリレンのような材料がキャリア74の全体にわたって被覆されるときには、必ず、この材料がスラグ134,135の上にも被覆されることになる。
【0039】
次いで、キャリア74が依然として取り付けられている切片108は、シリコンウエハ140に接合される。このステップの前に、シリコンウエハ140には、この接合プロセスに対する前処理が施されることを理解されたい。この前処理として、まず、酸化シリコンの層142がシリコンウエハ140の上に形成される。酸化シリコン層142は、少なくとも1μmの厚みを有している。以下に明らかになるように、酸化シリコン層142は、作製プロセスおいて犠牲層として機能するものである。
【0040】
次いで、1μmの厚みを有するパリレン−Cの層144が、酸化シリコン層142の上に形成される。パリレン−C層144は、蒸着法によって酸化シリコン層142の上に形成されるようになっている。
【0041】
いったんパリレン−C層144が層142の上に形成されると、切片108は、ウエハ140への接合の準備が整えられたことになる。キャリア74及び関連するスラグ134,135を備えている切片108は、切片108のパリレン−C被膜136がウエハ140のパリレン−C被膜144に接合されるように、ウエハ140に接合される。この接合プロセスは、ウエハレベルのパリレン−パリレン接合又はマイクロ波接合によって行われるようになっている。この接合プロセスの結果として、個々のキャリア74の翼部133が平坦化され、図7に示されているように、切片108の平面に戻ることになる。図7及び後続の図8−図12は、単一キャリア及び該キャリアに隣接する切片の周囲領域の横断面図である。2つの最外スロット孔は、作製中の電極アレイアセンブリと切片108の隣接領域との間の間隙を示している。最外スロット孔間の4つのスロット孔は、最終的にタブ画成スロット孔52の一部になる空間である。
【0042】
図7において、点線143は、キャリア74のパリレン−C被膜136とシリコンウエハ108のパリレン−C被膜144との間の隔離を示している。パリレン−Cのこれらの2つの層136,144は、最終的には、電極アレイアセンブリ40の下側絶縁層72になる。従って、後続の図8−図15では、共通材料であるパリレン−Cからなるこれらの層は、単一層として示されており、絶縁層72と呼ぶことにする。
【0043】
切片108及びそこに形成されたキャリア74をシリコンウエハ140に接合させた結果として、このウエハは基板として機能することになる。この基板は、電極アレイアセンブリ作製プロセスの後続のステップ中、キャリア74及び該キャリアに接合される後続の材料の両方を支持することになる。
【0044】
電極アレイアセンブリ40の作製が継続され、図8に示されているように、パリレン−C層146が、切片108及びキャリア74のそれぞれの露出した上面に堆積されることになる。パリレン−C層146は、少なくとも1μmの厚みを有しており、蒸着法を用いて、キャリア74を含む切片108の上に堆積されるようになっている。図示されていないが、パリレン−C形成層146は、スロット孔120,124,126,128の周囲のキャリア74の側面も覆うことを理解されたい。
【0045】
いったん層146がキャリア74の上に形成されると、半導体及びマイクロ素子製造法を用いて、電極50、導体62、及びシェルが、キャリア74aの上に作製されることになる。プロセスの各ステップは、切片108と一体の各キャリア74上に同時に行われるようになっている。簡単に言えば、クロム及び金のそれぞれの層が、キャリアの上に施され、次いで、選択的に除去され、これによって、図9から分かるように、導体62及び電極ベースパッド80が形成されることになる。米国仮特許出願第61/034,367号及び国際特許出願第PCT/US2009/033769号は、電極アレイアセンブリ40のこれらの構成要素を形成するプロセスステップのさらに詳細な説明を提示している。これらの特許の内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。従って、底層82のクロムが施された後、図19A,図19Bでのみ分かるように、金の小さな種層である層83が、中間層84をめっきするステップの前に施されることを理解されたい。
【0046】
1つ又は複数の電極アレイアセンブリ40の作製が継続され、イリジウムボタン90が、電極ベースパッド80の上に作製されることになる。このプロセスは、部分的に作製された各アセンブリの上にマスク150を形成することから開始される(図10)。マスク150は、導電性ボタン90の厚みよりも大きな厚みを有している。マスク150は、各アセンブリのほとんどを覆っているが、開口152が、電極ベースパッドのクロム上層86の(ボタンが形成されている)表面に形成されることになる。
【0047】
いったんマスク150が形成されると、イリジウムが、1つ又は複数の部分的に作製されたアセンブリ40の上に蒸着される。このイリジウムの一部は、マスク開口152内に進入し、導電性ボタン90を画成することになる。マスクの上に堆積したイリジウムは、図示されていない。いったんイリジウムが堆積されると、マスク150が除去される。マスク150が除去されると、ボタン90のみが電極ベースパッド90のクロム上層90の上方に延在することになる(図11)。図10−図12では、説明を容易にするために、各電極につき、3つのボタン90のみが示されている。実際には、各ボタン列は、通常、かなり多くのボタン90を含んでいる。
【0048】
本発明の上記の作製ステップ中、イリジウムは、導体62の上層の上には堆積されないようになっている。
【0049】
いったん電極ボタン90が形成されると、シェル98になるパリレン−Cの層158が、部分的に作製されたアセンブリの全体にわたって堆積される(図12)。さらに具体的には、パリレン−C層158は、パリレン−C層146及び導体68の露出面の全体にわたって堆積される。パリレン−C層158は、導電性ボタン90の厚みよりもいくらか大きな厚みを有している。従って、図示されていないが、パリレン−C層158は、当初は、導電性ボタン90を完全に覆うように施されていることを理解されたい。いったん層158が施されると、導電性ボタン90の外面を露出させるために、開口102が層に形成される。さらに具体的には、パリレン−C層158は、除去された後、図2に示されているように、パリレン−Cの少なくとも一部が導電性ボタン90の面の外縁の周りに延在するように、除去されるようになっている。このようにして、層158が外側シェル98になる。従って、図13−図15では、パリレンのこの層はシェル98として新しく部番が付されている。
【0050】
従って、シェル98は、単に電極アセンブリ40の非導電性外側シェルとして機能するにとどまらないものである。シェルを形成するためにパリレン−C層158を除去するプロセスにおいて、開口102は、下に位置するボタンの面を全体的に露出しないように形成されている。すなわち、開口102は、導電性ボタンの直径よりも小さな直径を有している。その結果、上述したように、シェル98は、ボタン90の外周にわたって突出することになる。従って、シェル98は、導電性ボタン90をこれらのボタンが関連付けられている電極ベースパッド80に保持することにもなる。
【0051】
シェル98の形成によって、電極アレイアセンブリ40の作製における構成部品付加プロセスが完了することになる。次いで、アセンブリ40、さらに具体的には、アセンブリキャリア74が、切片108及びその下のシリコンウエハから取り外されることになる。
【0052】
取り外しプロセスは、保持タブ122,127の上からパリレン−Cを除去することから開始される。このステップは図示されていない。その結果、各開口120の上方に、パリレン−Cの存在しない空間が存在することになる。この空間は、図13において、部番162によって表されている。図示されているように、空間162は、各開口を跨いで延在している保持タブ122の1つの上方に位置している。図13において、保持タブ122は、2つの点線間の超弾性材料の領域である。タブ122の左側の作製部は、実質的に作製された電極アレイアセンブリ40である。タブの右側の作製部は、切片108及びリフトオフプロセスの後に取り残される周囲パリレン−Cを含んでいる。図13−図15は、足部45の端に隣接するアセンブリの領域のみを示し、電極又は導体を形成している材料の層は、これらの図には示されていない。保持タブ127及び関連するスラグ134,135の断面図は、図13のタブ122の図と本質的に同じである。従って、除去プロセスが同じなので、タブ127の除去については、説明しないことにする。各保持タブ122、127の下方には、パリレン−C層136,144が接合されて下側絶縁層72を形成している結果として、パリレン−Cの一領域が存在している。
【0053】
タブ122,127を形成している(切片及びキャリアを形成している)超弾性材料は、化学エッチング法又は機械的な方法によって、除去される。いったんタブ122,127が除去されると、タブが存在していた箇所の下方のパリレンが除去される。これらのプロセスの結果として、アセンブリは、図14に示されているような状態になる。ここでは、図4A,図4Bのスロット孔120の一部である開口162は、電極アレイアセンブリとパリレンに被覆された切片108の周囲領域との間を連続的に隔離している。図示されていないが、これらの材料除去プロセスの結果として、スロット孔126,128の各々も閉ループスロット孔になっていることを理解されたい。スロット孔126,128の各々が閉ループになった結果として、スラグ134,135は、これらのスラグを包囲している作製された電極アレイ40のアセンブリから隔離されることになる。これらのプロセスにおいて超弾性材料のスラグ134,135が関連する電極アレイアセンブリから隔離されるのに加えて、各スラグの上に堆積されていた材料もアセンブリ40から隔離されることになる。プロセスのこの段階では、電極アレイアセンブリ40及びアセンブリ内の材料が詰まっているスラグは、シリコンウエハ140にまだ接合されている。
【0054】
犠牲層142を除去することによって、アセンブリ40は、最終的に加工品から分離されることになる。この除去プロセスは、アセンブリ40のみの選択的な除去ではなく、層142の除去によって、図15から分かるように、切片108もウエハ142から分離されることになる。犠牲層142を除去する結果として、電極アレイアセンブリ40は、その全体が切片108及びウエハ140から分離されることになる。次いで、アセンブリ40は、ウエハ140からリフトオフされ、シートから切り離される。材料によって被覆されたスラグ134,135は、アセンブリ40からすでに隔離されているので、これらのスラグは、ウエハ上に取り残され、これによって、アセンブリ脚部44間の空間及びアセンブリ足部46の中心開口64が画成されることになる。
【0055】
電極アレイアセンブリ40がウエハ140からリフトオフされた結果として、アセンブリヘッド42は、図1Aに示されているように、キャリアヘッド112の湾曲した輪郭を呈することになる。この湾曲は、図15に示されていない。何故なら、この図面の断面図は、長手方向に切断した図であり、湾曲は、アセンブリ40の横軸に沿っているからである。電極48及び導体60は、アセンブリ40の内方に湾曲した面上に配置されている。
【0056】
いったん電極アレイアセンブリ40がウエハからリフトオフされると、アセンブリは、本発明に関連していない特徴部をさらに処理する準備が整えられたことになる。このさらなる処理として、電極アレイアセンブリをアセンブリの長軸と平行な折線に沿って折り畳むことが含まれている。次いで、折り畳まれたアセンブリは、送達カニューレ内に配置される。アセンブリは、キャリア74が超弾性材料から形成されていることによって、送達カニューレから組織の一部に対して展開されると、湾曲した形状に拡がることになる。これによって、電極48の導電性ボタン90とその下に位置する組織との間の表面接触が容易になる。
【0057】
本発明の方法によって電極アレイアセンブリ40を作製する利点は、アセンブリの導電性構成要素が超弾性キャリア74上に直接形成されることである。これによって、電極及び導体を備える第1のサブアセンブリを、超弾性キャリアを備える第2のサブアセンブリに接合させることに関連するプロセスステップをなくすことができる。
【0058】
本発明の他の特徴は、アセンブリが作製されている間、シリコンウエハ140がアセンブリ40に対して構造的な裏当て、すなわち、基板として機能することである。シリコンウエハ140は、その機械的な強度によって、キャリア74上のアセンブリの種々の構成要素の作製に関連するプロセスステップの圧力に耐えるものである。ウエハ140が屈曲又は破断することなく、これらの応力を吸収するので、これらの応力に耐えるのに十分な強度を有するキャリアを設ける必要がないことになる。また、これらの応力に耐えるキャリアを設けなくてもよいことによって、キャリアをこれらの力に耐えるように設計しなければならないことに起因して、キャリアの厚みを大きくしてキャリアの弾性が低下することが回避されることになる。
【0059】
本発明の方法の他の利得は、複数のキャリア74が超弾性材料からなる単一切片108上に形成可能になっていることである。複数のキャリア74が切片に取り付けられている状態で、各電極アレイアセンブリ40を形成する残りの構成部品を個々のキャリア上に作製することが可能である。従って、本発明の方法は、単一の電極アレイアセンブリ40の作製に関連するプロセスステップを簡素化するのに加えて、複数のアセンブリ40をバッチ式に作製することが可能である。
【0060】
[III.代替的態様]
前記の説明は、本発明の1つの特定の作製方法に向けられていることを理解されたい。本発明の代替的な態様が可能である。
【0061】
本発明の他の方法は、開示されてきたプロセスステップよりも少ないか又は多いプロセスステップ、又は異なるプロセスステップを有していてもよい。例えば、本発明のいくつかの態様では、キャリア74の形成は、キャリアを切片に保持するタブ及びスラグ134,135をキャリアに保持するタブの形成から開始されるようになっている。これは、図16A,図16Bに示されている。これらの図に示されているように、切片108の一部が、ノッチ172(1つのみが図示されている)を画成するように、部分的にエッチングされている(すなわち、貫通するように完全にはエッチングされていない)。各ノッチ172は、切片108の全厚の25%から75%の間の深さを有している。多くの場合、ノッチ172は、切片108の全厚の40%から60%の間の深さを有している。ノッチ172は、切片の(タブになる)領域の上に位置するように、切片に形成されている。
【0062】
いったんノッチ172が形成されると、切片108は、各キャリア74の内周及び外周を画成するスロット孔120,124,126,128を形成するように、形作られることになる。このエッチングは、切片108の厚みの全体にわたって材料を除去するようになっている。さらに詳細には、このエッチングステップは、ノッチ172の基部を画成している切片108の領域に対して、行われないようになっている。その結果、切片108は、図17A,図17Bに示されているような形状を呈することになる。図17Aには、キャリアヘッドを画成しているスロット孔120の領域が示されている。説明を容易にするために、ヘッドのこの部分におけるわずかな数のスロット孔124しか示されていない。図17Bに示されているように、これらの2回のキャリア材料除去エッチングがなされた結果として、切片−キャリアタブ及びキャリア−スラグタブが画成されることになる。図には、単一の切片−キャリアタブ122Aが図示されている。ノッチ172がそれぞれすでに形成されているので、これらのタブは、切片108の厚みの25%から75%の厚みを有している。これらのタブの各々は、切片108の面の1つと同一平面にある面を有している。もしキャリアが塑性変形、すなわち、湾曲したならば、これらのタブは、切片108と同一平面にあるタブ面が、切片から離れる方に湾曲しているキャリアに対して凹面となる切片の面と同一平面をなすように配置されている。図5Aに関して、これは、これらのタブがこの図にみられる面と反対側のキャリア74及び切片108の面と同一平面にある面を有していることを意味している。
【0063】
キャリア74を切片108に保持するタブ及びスラグ134,135をキャリア74に保持するタブのそれぞれの厚みを薄くすることによる利点は、図18を参照すれば、明らかである。この図では、タブ122Aを切片108から除去するために用いられたエッチングプロセスの結果が示されている。ほとんどのエッチングプロセスでは、タブを形成している材料の除去、すなわち、エッチングは、単純にエッチング液が流れるマスク開口と直交する線に沿って進行するものではない。それに代わって、エッチングは、マスク開口の外周から内方に張り出すこの材料の境界面を形成することになる。この非直線経路に沿って境界が形成される結果として、残っている材料は、外方に突出する頂部176を形成することになる。本発明の方法では、除去される必要があるタブの厚みが切片108よりも薄くなっている。その結果、頂部176が外方に延びる大きさ(距離)及び頂部の角度の鋭利さの両方が、切片108と等しい厚みを有するタブをエッチングした結果として形成される頂部と比較して、減少することになる。頂部176がアセンブリ40の残りを超えて延びる大きさ及びこの頂部の角度の鋭利さの両方が最小限に抑えられていることによって、アセンブリが移植されたとき、頂部が何かの事情によって隣接する組織を損なう可能性が低減されることになる。
【0064】
同様に、本発明のいくつかの態様では、各アレイ40の電極及び導体を形成するために用いられる絶縁材料及び導電性材料の2つ以上の層が、当初、切片108上ではなく、サブアセンブリとして形成されてもよい。いったんサブアセンブリが形成されると、このサブアセンブリが、切片108に接合されることになる。
【0065】
本発明の全ての態様において、必ずしも記載されているステップの全てが実行される必要がなく、又は必ずしもこれらのプロセスステップが記載されている順序に従って実行される必要がない。例えば、本発明のいくつかの方法では、1つ又は複数のキャリアを切片上に形成する前に、アレイ電極及び導体を形成する材料が、切片の(後で1つ又は複数のキャリア74になる)多数の領域に接合されるようになっている。いったんこれらの材料が切片に接合されると、これらの材料が施されている切片の領域が分断され、次いで、切片の残りから取り外される。切片108のこれらの取り外された領域の各々が、電極アレイ40の1つのキャリア74になる。代替的に、アレイ電極48、導体62、及び絶縁層を形成する材料層のいくつが、最初に切片108の1つ又は複数の領域に配置された後、切片が、1つ又は複数のキャリア74を形成するように形作られてもよい。これらのプロセスステップが完了した後、個々の電極アレイ40を形成するプロセスを完了するために、付加的な材料がキャリア74上に配置されることになる。
【0066】
また、電極アレイ40を形成する材料によっては、作製中にアセンブリを保持している加工品からアセンブリを取り外す最終ステップは、アセンブリを塑性変形可能な材料からなるシートに保持している保持タブの除去であってもよい。
【0067】
代替的に、塑性変形可能な材料の特性によっては、いったん電極アセンブリが作製されたならば、塑性変形可能な材料の周囲領域の全体が支持基板から取り外されるようになっていてもよい。このステップが行われたらすぐに、犠牲層が除去されることになる。本発明のこの態様の利点は、電極アレイアセンブリを支持基板から取り外すのに必要な高精度のリフトオフプロセスの程度を低減させることにある。
【0068】
同じように、本発明の全ての態様において、必ずしもキャリア74は、湾曲されている必要がなく、又は必ずしもキャリアは、塑性変形可能な材料から形成されている必要がない。本発明の代替的な適用例では、高度の柔軟性及び耐引裂き性を有するキャリア、例えば、ポリアミドフィルム上に電極アレイアセンブリを作製することが望ましい場合がある。これは、アセンブリが、比較的凹凸のある表面パターン又は不規則な表面パターンを有する組織の上に配置される場合である。本発明の方法を用いることによって、キャリアの上に導電性の構成要素を形成する前に、該キャリアを支持ウエハ又は他の剛体基板に接合させることが可能である。いったんアセンブリが作製されたならば、このアセンブリは、支持ウエハから取り外されることになる。本発明のこの方法のこれらの態様では、基板に取り付けられた唯一の部品は、どのような周囲の切片も伴っていない柔軟キャリアである。
【0069】
同じように、各電極アレイアセンブリ40の構成部品を作製する基材として、記載されている材料以外の材料が用いられてもよい。具体的には、キャリア74は、ニッケルチタン合金以外の超弾性材料から形成されていてもよい。ここでも、本発明のいくつかの態様では、この材料は、柔軟性又は塑性変形性を有していれば、超弾性を有していない材料であってもよい。本発明のいくつかの態様では、キャリアを形成する材料は、非導電性であってもよい。このような材料がキャリアとして用いられる場合、キャリアと導電性部品との間に非導電性材料の層を設ける必要がない。従って、本発明の他の態様では、電極アレイアセンブリを作製するのに、本発明の例示的な態様に関して述べたものよりも少ない材料層が必要とされることがあってもよいし、又は多い材料層が必要とされることがあってもよい。金層の周りの接着層として、クロム以外の材料が用いられてもよい。例えば、本発明のいくつかの態様では、接着層は、チタンから形成されていてもよい。
【0070】
同じように、キャリア74上に絶縁材料層及び導電性材料層を形成する材料を施すのに用いられる実際のプロセスステップは、材料の特性によって変更されてもよい。本発明のいくつかの態様では、キャリアへの絶縁材料の付着性を確実にし、及び/又は改良するために、キャリアの表面を前処理することが望ましい。例えば、この構造へのパリレンの付着性を確実にするために、ニチノールキャリア/切片の表面に酸化物層を堆積することが望ましい。
【0071】
本発明のいくつかの態様では、各電極の導電性ボタンは、第1の材料から形成された台座及びボタンの露出面をなす第2の材料から形成されたヘッドを備えていてもよい。具体的には、本発明のいくつかの態様では、台座は、チタンから形成されている。ヘッドは、イリジウムから形成されているとよい。代替的に、本発明のいくつかの態様では、個々の導体ボタンを有する代わりに、各電極は、材料シートを有していてもよく、このシート面の露出面が、電流が隣接組織に流れるか又は隣接組織から流れる界面表面として機能するようになっていてもよい。このシートは、例えば、イリジウム、酸化イリジウム、プラチナ、又は酸化プラチナの層とすることができる。本発明のこの態様のいくつかの実施形態では、このシートの個々の領域を露出させる開口が、シートに形成されるようになっている。代替的に、本発明のこの態様のいくつかの実施形態では、この材料の全体の実質的に30%以上又は50%以上が連続面として露出され、電極の露出面を形成するようになっている。ここでも、電極の導電性ベースと電極の露出ヘッドを形成する材料との間に中間層を有することが妥当である。
【0072】
本発明のいくつかの態様では、導電性ボタンは、これらのプロセスの組合せによって形成されている。具体的には、1つ、2つ、又はさらに多くの材料層から形成された導電性ポストが、電極のベースパッド上に形成されている。これらのポストは、円形の断面積を有していてもよいし、又は多角形の断面形状を有していてもよい。絶縁材料が、これらのポストの上に堆積されている。これらのポストの露出面の一部が露出され、電極の導電面を形成している。これらの露出面、すなわち、導電面の各々の面積は、典型的には、該面が一体化されているポストの断面積よりも小さくなっている。
【0073】
同じように、本発明が必ずしも上述の形状を有する電極アレイアセンブリに向けられていないことを理解されたい。例えば、必ずしも、電極が形成されている領域から互いに離間した脚部が延在するように、アセンブリ及びその下に位置するキャリア74を形成する必要がない。同様に、必ずしも、個々の電極に接続された通電導体を備えるケーブルを受け入れる開口をアセンブリ又はキャリアに設ける必要がない。同じように、本発明の全ての態様において、必ずしも電極がキャリアの周囲領域から分離したタブ上に形成されている必要がない。
【0074】
同様に、本発明の全ての態様において、必ずしもシリコンウエハが支持基板としての機能を果たす必要がない。本発明のいくつかの態様では、剛体ポリマー又は他のプラスチックがこの機能を果たしていてもよい。本発明のこの態様及び他の態様では、接着剤を用いて、絶縁層を支持基板に離脱可能に接合してもよい。次いで、いったん(1つ又は複数の)電極アレイアセンブリが作製されたならば、(1つ又は複数の)アセンブリを支持基板から取り外すために、接着剤による接合が化学的に又は機械的に破断されることになる。
【0075】
また、特許請求の範囲に具体的に記載されていない限り、種々の構成部品及び種々の材料層のそれぞれの寸法は、単なる例示のためであり、制限するものではないことを理解されたい。従って、本発明のいくつかの態様では、電極の接合パッドの金中間層84は、10μm以上の厚み、本発明のいくつかの態様では、20μm以上の厚みを有していてもよい。比較的に厚い中間層を有する電極を設けることが望ましい理由は、アセンブリ40の放射性不透過性を高めるためである。
【0076】
本発明のこれらの態様及び他の態様では、導体62の金中間層の厚みは、電極48の厚みよりも薄くなっている。これらの特性を有する電極アレイを作製するための1つの方法について、初出の図19Aを参照して説明する。この図は、第1のめっきプロセスにおいて、互いに離間した金層84a(1つが示されている)が(賦形されている)アセンブリに施されていることを示している。図19Aには、底層(接着層)82の上に堆積された薄い金種層83の上に堆積された層84aが示されている。このステップでは、層84aは、電極48の外周を画成している箇所を超えて延在しないように、種層83上に施されている。それに代わって、層84aは、種層83の隣接部分の外縁から内方に約25μm内側に外面を有するように、施されている。このめっきステップでは、層84aは、電極48用の中間層の所望の厚みと導体62の中間層の厚みとの間の差と等しい厚みを有するように、施されている。
【0077】
図19Bに示されている第2のめっきステップでは、金が種層83の上に施され、導体62の中間層84bを形成している。このめっきステップでは、層84bを形成する金は、電極中間層84aの外面をさらに覆うように施されている(単一層84bが図示されている)。多くの場合、層84bを形成する金は、約2μmの厚みを有するように形成されている。電極のすでに形成されている金層84a上に第2の金層84bが堆積されることによって、これらの2つの金層は、事実上溶着されている。また、層84a,84bの組合せからなるこの中間層を形成する金は、導体62の金、すなわち、層84bに溶着されていると考えられる。このプロセスでは、金の層84bは、(種層の外縁と金属84aの隣接面との間の)種層83の露出面を覆うように施されている。
【0078】
上記のプロセスステップが完了したとき、金の積層84a,84bは、電極48の厚い中間導体層と見なすことができる。金層84bは、導体62の薄い中間導体層である。
【0079】
同じように、単一の電極列のみを備える電極アレイアセンブリが本発明によって作製されるようになっていてもよいことを理解されたい。この種のアセンブリは、神経カフを有していてもよい。従って、神経の周囲に装着するために、このアセンブリは、0.25mmほどの小さな幅を有しているとよいことを理解されたい。また、本発明は、単一の相補的導体62を有する単一の電極48を有する移植可能な電極アレイアセンブリを形成するのに用いられてもよい。
【0080】
代替的に、本発明のアセンブリは、アセンブリの長軸と平行の軸を中心として湾曲されるように形成されているが、それに代わって、横軸と平行の軸を中心として湾曲されるように形成されていてもよい。さらに、本発明のいくつかの態様では、湾曲の軸は、アセンブリの長軸及び横軸の両方から角度的にずれていてもよい。同じように、本発明のいくつかの態様では、電極アレイアセンブリの用途によって、キャリアは、種々の湾曲を有する複数の領域を有するように形成されていてもよい。
【0081】
従って、添付の特許請求の範囲の目的は、本発明の真の精神及び範囲内にある全てのこのような変更及び修正を包含することにある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植可能な電極アレイ(40)を作製する方法であって、
導電性材料(82,84,86)によって少なくとも1つの電極(48)及び少なくとも1つの導体(62)をキャリア(74)上に形成するように、絶縁材料(76,98)及び前記導電性材料(82,84,86)を前記キャリア(74)に接合するステップであって、前記少なくとも1つの電極及び前記少なくとも1つの導体を形成するように行われる前記絶縁材料及び前記導電性材料の前記接合が、塑性変形可能な材料から形成された切片(108)の少なくとも1つの領域上で施され、前記少なくとも1つの電極及び前記少なくとも導体を形成した前記切片の領域が前記切片の全体よりも小さくなっている、ステップと、
前記少なくとも1つの電極(48)及び前記少なくとも1つの導体(42)を上に形成した前記切片の少なくとも1つの領域を、前記切片から取り外し、これによって、前記切片の少なくとも1つの取り外された領域が、前記移植可能な電極アレイの前記キャリア(74)として機能することとなる、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記絶縁材料(76,98)及び前記導電性材料(82,84,86)を前記切片(108)の少なくとも1つの領域に接合する前記ステップの前に、前記切片の少なくとも1つの領域が、前記キャリアを少なくとも部分的に画成するように形作られ、該形作られた後に、前記切片に取り付いた状態で保持される、請求項1に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項3】
前記切片を形作る前記ステップにて、前記少なくとも1つのキャリアを画成するために、スロット孔(120)が前記切片に形成され、前記少なくとも1つのキャリアを前記切片(108)に接続するように、少なくとも1つのタブ(122,122A)が前記スロット孔を横断して形成されており、
前記切片の少なくとも1つの領域を取り外す前記ステップの一部として、前記キャリア(74)を前記切片(108)に接続している前記タブを、除去することを含む請求項2に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項4】
前記キャリア(74)を前記切片(108)に形成する前記ステップ中に、複数のキャリアが前記切片の複数の領域から形成され、
前記切片への前記絶縁材料(76,98)及び前記導電性材料(82,84,86)の接合中に、形成する前記絶縁材料及び前記導電性材料が、少なくとも1つの電極及び少なくとも1つの導体を各キャリア上に形成するように、前記切片に形成された前記複数のキャリアに接合され、
前記少なくとも1つの電極(48)及び前記少なくとも1つの導体(62)が前記キャリアの各々の上に形成された後、前記複数のキャリアが前記切片から取り外され、各キャリア、電極及び導体のアセンブリが、個別の移植可能な電極アレイ(40)として構成される、請求項2又は3に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのキャリア(74)を前記切片(108)の領域から形成する前記ステップが行われた後に、前記少なくとも1つのキャリアを備える前記切片が、基板(140)に取り付けられ、
前記絶縁材料(76,98)及び前記導電性材料を前記少なくとも1つのキャリアに接合する前記ステップ中に、前記絶縁材料及び前記導電性材料が、前記基板に取り付いた前記キャリアの表面に対して反対側の前記キャリアの表面に接合される、請求項2〜4のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項6】
前記切片(108)が平面内に設けられ、
前記少なくとも1つのキャリアを形成する前記ステップの一部として、前記キャリア(74)の前記少なくとも1つの領域(133)が、前記切片の前記平面の外にて延びるように賦形され、
前記切片(108)及び前記少なくとも1つのキャリアを前記基板(140)に取り付ける前記ステップの結果として、前記少なくとも1つのキャリアが、撓んで前記切片(108)の平面に戻ることとなる、請求項5に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項7】
前記切片(108)への前記絶縁材料(76,98)及び前記導電性材料(82,84,)の前記接合中に、形成する前記絶縁材料及び前記導電性材料が、少なくとも1つの電極(48)及び前記少なくとも1つの導体(62)を各領域に設けるように、前記切片の複数の領域に接合され、
前記少なくとも1つの電極及び前記少なくとも1つの導体が前記切片における領域の各々の上に形成された後に、各領域が前記切片の残りから取り外され、これによって、各取り外された領域が個別の前記キャリアになり、各キャリア、電極及び導体のアセンブリが、個別の前記電極アレイとして構成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項8】
前記キャリアが超弾性材料により形成された切片(108)から形作られる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項9】
前記切片(108)の前記少なくとも1つの領域に前記絶縁材料(76,98)及び前記導電性材料を接合中に、少なくとも2つの異なる材料層が、前記少なくとも1つのキャリアの上に順次接合される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項10】
前記切片(108)が基板(140)に取り付けられ、
前記切片の少なくとも1つの領域への前記絶縁材料(76,98)及び前記導電性材料(82,84,86)の前記接合中に、前記絶縁材料及び前記導電性材料が、前記基板に取り付けられた前記キャリアの表面に対して反対側の前記キャリアの表面に接合される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項11】
絶縁材料及び/又は導電性材料の少なくとも2つの層が、サブアセンブリを形成するために、前記切片(108)に接合する前に、一緒に接合され、
絶縁材料及び/又は導電性材料の前記層のサブアセンブリが、前記切片(108)の少なくとも1つの領域に接合される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項12】
前記切片(108)の少なくとも1つの領域への前記絶縁材料(76,98)及び前記導電性材料(82,84,86)の前記接合が、複数の電極(48)を形成するように行われる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのキャリアが前記少なくともキャリアの互いに隣接する部分から部分的に分離された少なくとも1つのタブ(50)を有するように、前記少なくとも1つのキャリア(74)を形成するステップをさらに含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項14】
前記絶縁材料(76,98)及び前記導電性材料(82,84,86)を前記切片(108)の少なくとも1つの領域に接合する前記ステップにて、前記少なくとも1つのキャリア(74)における前記少なくとも1つのタブ(50)として構成される前記切片の部分の上に電極(48)を形成するように、前記材料の層が前記切片に接合される、請求項13に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項15】
前記絶縁材料(76,98)及び前記導電性材料(82,84,86)を前記切片(108)に接合する前記ステップ中に、前記少なくとも1つの電極(48)及び前記少なくとも1つの導体(62)を備えるアセンブリを形成するように、前記絶縁材料及び前記導電性材料が、前記切片の複数の領域の全体に渡って接合され、
各領域がキャリア(74)として構成されように、電極及び導体のアセンブリを上に形成した前記切片の複数の領域は、前記切片から取り外され、
前記キャリアが、分離している個々の移植可能な前記電極アレイ(40)のキャリアとなっている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項16】
前記絶縁材料及び前記導電性材料を前記切片(108)の少なくとも1つの領域に接合する前記ステップにて、複数の前記絶縁材料(76,98)の層が、前記切片に接合される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項17】
前記絶縁材料及び前記導電性材料の層を接合する前記ステップにて、前記導電性材料(82,84,86)の複数の層が、前記切片(108)に接合される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項18】
移植可能な電極アレイ(40)を作製する方法において、
導電性材料(82,84,86)が少なくとも1つの電極(48)及び少なくとも1つの導体(62)を柔軟材料(74)から形成されたキャリア上に形成するように、絶縁材料(76,98)及び前記導電性材料(82,84,86)を前記キャリアに接合するステップと、
前記キャリアを剛体基板(140)に接合するステップと、
前記キャリアを前記剛体基板に接合している間に、前記少なくとも1つの電極及び前記少なくとも1つの導体を形成するように、少なくとも1つの絶縁材料の層及び少なくとも1つの導電性材料の層を前記キャリアの露出面にもたらすステップと、
前記柔軟キャリア、前記少なくとも1つの電極、及び前記少なくとも1つの導体を備える前記電極アレイを前記剛体基板から分離するステップと
を含む方法。
【請求項19】
前記剛体基板に接合された前記キャリアが塑性変形可能な材料から構成されている、請求項18に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項20】
前記剛体基板に接合された前記キャリアがポリアミドフィルムとなっている、請求項18に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項21】
前記キャリアは、前記キャリアよりも大きな寸法を有する切片(108)の一部であり、
前記キャリアを前記剛体基板に接合する前記ステップにて、前記切片が前記基板に接合され、
前記少なくとも1つの絶縁材料の層及び前記少なくとも1つの導電性材料の層を前記キャリアにもたらす前記ステップにて、前記絶縁材料及び前記導電性材料が前記切片の領域にもたらされ、
前記電極アレイを前記剛体基板から分離する前記ステップにて、前記少なくとも1つの電極及び前記少なくとも1つの導体を上に形成した前記切片の領域が、前記電極アレイの前記キャリアとして構成される前記切片の隣接した領域から分離される、請求項18〜21のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項22】
前記剛体基板への前記切片の接合の前に、前記切片が前記キャリアを画成するように、少なくとも部分的に形作られる、請求項21に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項23】
前記切片を形作る前記ステップにて、スロット孔(120)が、前記少なくとも1つのキャリアを画成するように前記切片に形成されており、少なくとも1つのタブ(122,122A)が、少なくとも1つのキャリアを前記切片(108)に接続するように前記スロット孔を横断して形成されており、
前記電極アレイを前記剛体基板から分離する前記ステップの一部として、前記キャリア(74)を前記切片(108)に接続している前記タブが取り外される、請求項22に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの絶縁材料の層及び前記少なくとも1つの導電性材料の層を前記切片にもたらす前記ステップにて、前記少なくとも1つの電極及び前記少なくとも1つの導体を備えるアセンブリを前記切片における複数の領域の全体に渡って形成するように、前記材料の層が前記切片にもたらされ、
前記電極アレイを前記剛体基板から分離する前記ステップにて、前記少なくとも1つの電極及び前記少なくとも1つの導体を上に形成した前記切片の複数の領域は、各々、前記切片から分離され、該分離によって、複数の電極アレイが前記切片から分離されることとなる、請求項21〜23のいずれか一項に記載の移植可能な電極アレイを作製する方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【公表番号】特表2011−521729(P2011−521729A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511841(P2011−511841)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/045602
【国際公開番号】WO2009/155084
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(506410062)ストライカー・コーポレイション (36)
【Fターム(参考)】