説明

塗る温泉およびその製造法

【課題】塗ってシャワーを浴びるだけで温泉気分が味わえる塗る温泉およびその製造法を提供する。
【解決手段】温泉水を加熱または冷却して適温にし、適温にされた温泉水に流動性低下剤を所定量添加した後、温泉水を攪拌して前記流動性低下剤を均一に分散させて温泉水を適温に加熱して流動性低下剤を温泉水に溶解させ、ついで温泉水を冷却して流動性を低下させて塗る温泉とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗る温泉およびその製造法に関する。さらに詳しくは、塗ってシャワーを浴びるだけで温泉に入ったような気分になれる塗る温泉およびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時の温泉ブームにより各地で温泉が掘られ、温泉愛好家の利用に供されている。
【0003】
しかしながら、温泉を楽しむためには、当然のことながら温泉に出かける必要がある。そのため、温泉は気軽に楽しめるものではない。とりわけ、仕事に忙しい人々にとっては温泉に出かける時間を取るのが困難で、事実上、温泉を楽しむことは不可能に近い。
【0004】
かかる状況を反映して「箱根路」、「草津温泉」などの有名な温泉地の名称を付した温泉入浴剤と称するものが販売されている。
【0005】
しかしながら、かかる入浴剤は、温泉を想起させるような名称が付されてはいるものの、実際は、温泉とは無縁のものがほとんどである。
【0006】
そのため、温泉愛好家から家庭などで手軽に温泉気分を味わえるものの出現が熱望されている。
【0007】
なお、温泉水等をスプレー装置に充填したものについては、特許文献1に提案がなされている。
【特許文献1】特開平9−175996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、塗ってシャワーを浴びるだけで温泉気分が味わえる塗る温泉およびその製造法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、かかる課題に付き鋭意研究した結果、温泉水に飲用ゼラチンパウダーを添加して温泉水の流動性を低下させて肌に塗り、その後シャワーを浴びると、温泉に入ったときのような「ほかほか感」が得られたり、「肩の凝り」が取れたり、「顔のくすみが取れて肌が白くなる」などの効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の塗る温泉は、温泉水に所定量の流動性低下剤を添加してなることを特徴とする。
【0011】
本発明の塗る温泉においては、流動性低下剤の添加量が、温泉水100ミリリットル当たり0.5グラムから20グラムの範囲とされてなるのが好ましく、 流動性低下剤の添加量が、温泉水100ミリリットル当たり2.0グラムから15グラムの範囲とされてなるのがさらに好ましい。
【0012】
また、本発明の塗る温泉においては、流動性低下剤が、飲用ゼラチンパウダーまたは化粧品用ゼラチンパウダーから選択されてなるのが好ましい。その場合、ゼラチンが、哺乳動物由来のコラーゲンから抽出されてなるのがさらに好ましい。
【0013】
さらに、本発明の塗る温泉においては、香料が添加されてなるのが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の塗る温泉においては、備長炭の粉末などの機能付与剤が添加されてなるのが好ましい。
【0015】
さらに、本発明の塗る温泉においては、温泉水が、酸性泉、中性泉またはアルカリ泉とされてもよいが、温泉水が酸性泉または中性泉とされた場合、塗る温泉の固さがアルカリ泉の塗る温泉より固くされてなるのが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の塗る温泉においては、真空パック処理がされてなるのが好ましい。
【0017】
さらに、本発明の塗る温泉においては、塗る温泉が冷凍されてもよい。
【0018】
本発明の製造法の第1形態は、塗る温泉の製造法であって、温泉水を加熱または冷却して適温にする調温手順と、適温にされた温泉水に流動性低下剤を所定量添加する添加手順と、流動性低下剤が添加された温泉水を攪拌して前記流動性低下剤を均一に分散させる分散手順と、流動性低下剤が均一に分散させられた温泉水を適温に加熱して前記流動性低下剤を温泉水に溶解させる溶解手順と、溶解手順後に温泉水を冷却する冷却手順とを含んでいることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の製造法の第2形態は、塗る温泉の製造法であって、温泉水を加熱または冷却して適温にする調温手順と、適温にされた温泉水に流動性低下剤を所定量添加する添加手順と、流動性低下剤が添加された温泉水を攪拌して前記流動性低下剤を均一に分散させる分散手順と、流動性低下剤が均一に分散させられた温泉水を適温に加熱して前記流動性低下剤を温泉水に溶解させる溶解手順と、溶解手順後に温泉水を真空パックに入れ真空処理をする真空処理手順と、真空処理手順後に真空パックされた温泉水を冷蔵して固形化する固形化手順とを含んでいることを特徴とする。
【0020】
本発明の製造法においては、調温手順前に温泉水を沸騰させて煮沸消毒する消毒手順が付加されているのが好ましい。
【0021】
また、本発明の製造法においては、消毒手順前に温泉水をろ過するろ過手順が付加されているのが好ましい。
【0022】
さらに、本発明の製造法の第1形態においては、得られた塗る温泉を所定時間冷蔵保存して調質する調質手順が付加されているのが好ましい。
【0023】
さらに、本発明の製造法においては、塗る温泉を冷凍する冷凍手順が付加されているのが好ましい。
【0024】
さらに、本発明の製造法においては、添加手順の際に香料の添加もなしてもよい。
【0025】
さらに、本発明の製造法においては、添加手順の際に備長炭の粉末などの機能付与剤の添加もなしてもよい。
【0026】
さらに、本発明の製造法においては、流動性低下剤の添加量を、温泉水100ミリリットル当たり0.5グラムから20グラムの範囲とするのが好ましく、 流動性低下剤の添加量を、温泉水100ミリリットル当たり2.0グラムから15グラムの範囲とするのがさらに好ましい。
【0027】
さらに、本発明の製造法においては、流動性低下剤を、飲用ゼラチンパウダーまたは化粧品用ゼラチンパウダーから選択するのが好ましく、ゼラチンが、哺乳動物由来のコラーゲンから抽出されてなるのがさらに好ましい。
【0028】
さらに、本発明の製造法においては、温泉水を酸性泉、中性泉またはアルカリ泉とされてもよく、温泉水を酸性泉または中性泉とした場合、塗る温泉の固さがアルカリ泉の塗る温泉より固くなるよう流動性低下剤の添加量を調節するのがさらに好ましい。
【0029】
さらに、本発明の製造法においては、調温手順における温度を65℃以下とするのが好ましい。
【0030】
さらに、本発明の製造法においては、溶解手順における温度を65℃以下とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、塗ってシャワーを浴びるだけで温泉気分が味わえるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0033】
実施形態1
本発明の実施形態1は、温泉水に飲用ゼラチンパウダーを所定量添加して流動性を低下させ、肌に塗れるようにしたものとされる。つまり、温泉水を肌に塗れるようにその特性を改変してなるものとされる。本明細書では、このように流動性が低下させられて肌に塗れるようにされた温泉水を、「塗る温泉」と定義することにする。
【0034】
温泉水は、酸性泉、中性泉、アルカリ泉などの各種とすることができ、その泉種に特に限定はない。ただし、温泉水は入浴に使用される前のものとされる。なお、殺菌を目的として塩素などが加えられる場合は、その前のものとされる。
【0035】
また、温泉水は、必要に応じてフィルタによりろ過されてもよい。例えば、温泉水供給経路に開放部がある場合には、ごみなどが混入するおそれがあるので、フィルタによりろ過するのが好ましい。
【0036】
温泉水の源泉の温度は、100℃未満とされるのがよいが、50℃以下とされるのが望ましい。というのは、源泉の温度が100℃を超える場合は、後述する煮沸処理によっても死滅しないバクテリアなどの微生物が温泉水中に生息し、そのバクテリアなどの微生物が温泉水に添加されたゼラチンを食料として繁殖して温泉水が腐敗するおそれがあるからである。
【0037】
温泉水には前述したように各種バクテリアなどの微生物が生息しているおそれがあるので、それらの微生物を死滅させるため、塗る温泉の製造開始前に沸騰させる。つまり、温泉水を煮沸処理する。沸騰させる時間は2分間程度とする。
【0038】
飲用ゼラチンパウダー、つまり温泉水の流動性を低下させる添加剤は、牛や豚などの哺乳類のコラーゲンから抽出したものとするのが好ましいが、鮭などの魚類のコラーゲンから抽出したものとすることもできる。本明細書では、温泉水の流動性を低下させる添加剤を、「流動性低下剤」と定義することにする。
【0039】
添加する飲用ゼラチンパウダー、つまり流動性低下剤の量は、温泉水の泉質、塗る際の浴室内温度などに応じて適宜調整されるが、温泉水100ccに対し、0.5g−20gが一応の目安とされるが、2.0g−15gの範囲とされるのが好ましい。
【0040】
ただし、一般的な傾向として、酸性泉の添加量の下限値はアルカリ泉に比して高くされ、また上限値はアルカリ泉に比して低くされている。これは、一般的な傾向としてアルカリ泉の方がヌルヌルして滑りがよいことによる。また、酸性泉や中性泉を原料とした塗る温泉は、後述するようにアルカリ泉を原料としてものに比して液化しやすい傾向にあるので、アルカリ泉を原料としたものより固めとするのがよい。
【0041】
また、飲用ゼラチンパウダー(流動性低下剤)を添加して溶解する際の温泉水の温度は、60℃前後とされる。ついで、飲用ゼラチンが添加された温泉水を加熱し、添加したゼラチンを完全に溶解させる。ただし、この場合、温泉水の温度が65℃を超えると変質が生ずるので、温泉水の温度が65℃を超えないよう加熱を調節する。例えば、58−62℃として加熱を行う。
【0042】
添加した飲用ゼラチンパウダー(流動性低下剤)が温泉水に溶解した後、容器を例えば氷水につけて冷却して流動性低下を促進させる。なお、冬季などのように室温が低い場合には、単に水につけて冷却するようにして流動性を低下させるようにしてもよい。
【0043】
流動性低下が開始したら攪拌して流動性の低下を促進させる。
【0044】
このようにして得られた塗る温泉を、複数の試験者に塗った後にシャワーしてもらいその効果を確認した。
【0045】
その効果は、以下のとおりであった。
【0046】
肌の潤い感が数日間持続した。
【0047】
体のほかほか感が長時間持続した。特に、女性の試験者の場合、女性特有の足の指先の冷えが解消した。なお、このほかほか感は、通常の温泉入浴により得られるほかほか感より強烈であった。
【0048】
発汗作用が認められた。なお、この発汗作用は、通常の温泉入浴により得られる発汗作用より大きかった。
【0049】
パック作用が認められた。つまり、肌の角質が除去された。
【0050】
美白効果が認められた。
【0051】
使用する温泉水によっては、試験者にあったきり傷が治癒した。
【0052】
以上のことから、塗る温泉による効果は、単に温泉に入浴した場合に得られる効果より顕著であると言い得る。その理由はさだかではないが、添加したゼラチンが何らかの影響を与えているものと推察される。
【0053】
なお、得られた塗る温泉は液化しやすい傾向にあるので、すぐに利用しない場合には、冷暗所、例えば冷蔵庫に保管しておくのが好ましい。
【0054】
また、長期間保存する場合には、冷凍しておく。この冷凍保存して解凍した場合には、冷凍保存前のものよりに粘りがでて塗りやすくなる傾向にある。
【0055】
実施形態2
本発明の実施形態2は、実施形態1を改変してなるものであって、温泉水に流動性低下剤を添加して溶解させた後、真空パックに入れて真空処理をし、ついでその真空パックを冷蔵処理して温泉水の流動性を喪失させ塗る温泉とするものである。
【0056】
この実施形態2の塗る温泉の使用は、真空パックを適当に手もみして塗る温泉を適当な大きさに砕き、ついで真空パックから取り出して肌に塗ることによりなされる。
【0057】
このように、実施形態2では、塗る温泉が真空パックに入れられているので、その取り扱いが容易となる。
【0058】
また、真空パックの大きさを適宜調節することにより、顔用のもの、つまり洗顔パックとすることもでき、あるいは全身用のものとすることもできる。
【実施例】
【0059】
次に、より具体的な実施例により本発明をより具体的に説明する。
【0060】
まず、飲用ゼラチンの選定について説明する。
【0061】
飲用ゼラチンパウダーの候補として、野洲化学工業(株)製 ゼリエース ゼラチンパウダー・緑(商品名)、マルハ(株)製 ゼライス・ゼラチンパウダー(商品名)、森永製菓(株)製 クックゼラチン(商品名)、野洲化学工業(株)製 料理用ゼラチンを選び、塗る温泉を製造して匂いを観察した。なお、いずれも豚由来のコラーゲンから得られたものである。
【0062】
その結果、野洲化学工業(株)製 ゼリエース ゼラチンパウダー・緑が不快な匂いを生じさせなかったので、塗る温泉に最適と判断し、野洲化学工業(株)製 ゼリエース ゼラチンパウダー・緑を選択した。つまり流動性低下剤として選択した。
【0063】
実施例1
温泉水として京都府宮津市日置付近湧出の含鉄・ナトリウム・カルシウム・塩化物強塩泉(酸性泉)を用い、流動性低下剤として選択された野洲化学工業(株)製 ゼリエース ゼラチンパウダー・緑を用いて塗る温泉を、以下の要領で製造した。
【0064】
手順1:煮沸所処理をした調理用ボールに200ccの温泉水を入れて2分間沸騰させる。
【0065】
手順2:温泉水を60℃にまで自然放冷させる。
【0066】
手順3:流動性低下剤10gを温泉水に振り掛けて攪拌機により攪拌する。なお、攪拌機も予め煮沸消毒しておく。
【0067】
手順4:温泉水が入ったボールを火にかけて加熱して流動性低下剤を完全に溶解させる。この場合、温泉水の温度が65℃を超えないよう火加減を調節する。なお、火加減を調節する温度計も予め煮沸消毒しておく。
【0068】
手順5:温泉水が入ったボールを氷水を入れたボールに漬けて冷却する。なお、冷却に使用するボールも予め煮沸消毒しておく。
【0069】
手順6:固形化つまり流動性低下が開始した後、攪拌機で適宜攪拌する。
【0070】
このようにして得られた塗る温泉を女性の試験者に塗ってその効果を確認した。この場合、塗られた塗る温泉は、すぐに肌に滲み込み、いわゆるヌルヌル感は生じなかった。
【0071】
図1は、その効果の差を示すために、塗る温泉を塗った左手と、塗る温泉を塗っていない右手とを対比した写真である。図1より明らかなように、塗る温泉を塗った左手は、角質がとれ美白化しているのがわかる。
【0072】
また、発汗作用、長時間持続するほかほか感、きり傷の治癒力も認められた。
【0073】
実施例2
添加する流動性低下剤の量を15gに増量した他は、実施例1と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉はやや硬かったが、肌に塗ることはでき、また同様の効果も認められた。
【0074】
実施例3
添加する流動性低下剤の量を20gに増量した他は、実施例1と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉は硬かったが、肌に塗ることはでき、また同様の効果も認められた。
【0075】
実施例4
添加する流動性低下剤の量を30gに増量した他は、実施例1と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉はかなり硬かったが、肌において体温で溶かすことにより塗ることはでき、実施例1と同様の効果も認められた。
【0076】
実施例5
添加する流動性低下剤の量を35gに増量した他は、実施例1と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉は相当硬かったが、肌において体温で溶かすことにより塗ることはでき、実施例1と同様の効果も認められた。
【0077】
実施例6
添加する流動性低下剤の量を7gに減量した他は、実施例1と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉は液状ではあったが、肌に塗ることはでき、実施例1と同様の効果も認められた。
【0078】
実施例7
添加する流動性低下剤の量を5gに減量した他は、実施例1と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉は液状ではあったが、肌に塗ることはでき、実施例1と同様の効果も認められた。
【0079】
実施例8
添加する流動性低下剤の量を2gに減量した他は、実施例1と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉は液状ではあったが、肌に塗ることはでき、実施例1とほぼ同様の効果も認められた。
【0080】
実施例9
温泉水として京都府宮津市日置付近湧出のナトリウム−塩化物泉(アルカリ泉)を用いた他は、実施例1と同様にして塗る温泉を製造し、女性の試験者に塗ってその効果を確認した。この場合、塗られた塗る温泉は、すぐには肌に滲み込まず、いわゆるヌルヌル感が生じた。
【0081】
なお、このことから、アルカリ泉を原料とした場合には、酸性泉を原料とし場合に比して液化速度が遅いことがわかる。
【0082】
数日間持続する肌のすべすべ感、発汗作用、長時間持続するほかほか感が認められた。なお、ほかほか感の持続時間は、実施例1より長かった。
【0083】
実施例10
添加する流動性低下剤の量を14gに増量した他は実施例9と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉は実施例9と同様に塗ることはでき、また同様の効果も認められた。
【0084】
実施例11
添加する流動性低下剤の量を20gに増量した他は実施例9と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉は実施例9と同様に塗ることはでき、また同様の効果も認められた。
【0085】
実施例12
添加する流動性低下剤の量を30gに増量した他は実施例9と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉はやや硬かったが、肌において体温で溶かすことにより塗ることはでき、実施例9と同様の効果が認められた。
【0086】
実施例13
添加する流動性低下剤の量を40gに増量した他は実施例9と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉はかなり硬かったが、肌において体温で溶かすことにより塗ることはでき、実施例9と同様の効果が認められた。
【0087】
実施例14
添加する流動性低下剤の量を7gに減量した他は実施例9と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉の流動性は高いものの実施例9とほぼ同様に塗ることはでき、また同様の効果も認められた。
【0088】
実施例15
添加する流動性低下剤の量を5gに減量した他は実施例9と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉の流動性は高いものの塗ることはでき、実施例9とほぼ同様の効果も認められた。
【0089】
実施例16
添加する流動性低下剤の量を1gに減量した他は実施例9と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉の流動性は相当高いものの塗ることはでき、実施例9とほぼ同様の効果も認められた。
【0090】
実施例17
アロマオイル(フレグランスオイル・モスク)を数滴添加した他は、実施例1と同様にして塗る温泉を製造した。得られた塗る温泉を女性の試験者に塗ったところ、アロマの匂いが数時間持続した。
【0091】
このことから、利用者の好みの匂い成分を添加することにより、当該利用者の気分向上に資することができるものと考えられる。
【0092】
以上、本発明を実施形態および実施例に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態および実施例のみに限定されるものではなく、種々改変が可能である。例えば、実施形態および実施例では、流動性低下剤は飲用ゼラチンパウダーとされているが、これに限定されるものではなく化粧品用ゼラチンパウダーを流動性低下剤とすることもできる。
【0093】
また、原料とする温泉水が高温泉、例えば100℃程度で、水質検査においてバクテリアなどの微生物が検出されなければ、温泉水の煮沸処理は省略されてもよい。
【0094】
さらに、備長炭やトルマリンなどの機能付与剤を添加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、入浴や洗顔に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】実施例1の試験者の両手を比較して示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温泉水に所定量の流動性低下剤を添加してなることを特徴とする塗る温泉。
【請求項2】
流動性低下剤の添加量が、温泉水100ミリリットル当たり0.5グラムから20グラムの範囲とされてなることを特徴とする請求項1記載の塗る温泉。
【請求項3】
流動性低下剤の添加量が、温泉水100ミリリットル当たり2.0グラムから15グラムの範囲とされてなることを特徴とする請求項2記載の塗る温泉。
【請求項4】
流動性低下剤が、飲用ゼラチンパウダーまたは化粧品用ゼラチンパウダーから選択されてなることを特徴する請求項1記載の塗る温泉。
【請求項5】
ゼラチンが、哺乳動物由来のコラーゲンから抽出されてなることを特徴とする請求項4記載の塗る温泉。
【請求項6】
香料が添加されてなることを特徴とする請求項1記載の塗る温泉。
【請求項7】
機能付与剤が添加されてなることを特徴とする請求項1記載の塗る温泉。
【請求項8】
機能付与剤が備長炭の粉末とされてなることを特徴とする請求項7記載の塗る温泉。
【請求項9】
温泉水が、酸性泉、中性泉またはアルカリ泉とされてなることを特徴とする請求項1記載の塗る温泉。
【請求項10】
温泉水が酸性泉または中性泉とされた場合、塗る温泉の固さがアルカリ泉の塗る温泉より固くされてなることを特徴とする請求項9記載の塗る温泉。
【請求項11】
真空パック処理がされてなることを特徴する請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の塗る温泉。
【請求項12】
冷凍されてなることを特徴する請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の塗る温泉。
【請求項13】
塗る温泉の製造法であって、
温泉水を加熱または冷却して適温にする調温手順と、
適温にされた温泉水に流動性低下剤を所定量添加する添加手順と、
流動性低下剤が添加された温泉水を攪拌して前記流動性低下剤を均一に分散させる分散手順と、
流動性低下剤が均一に分散させられた温泉水を適温に加熱して前記流動性低下剤を温泉水に溶解させる溶解手順と、
溶解手順後に温泉水を冷却する冷却手順
とを含んでいることを特徴とする塗る温泉の製造法。
【請求項14】
塗る温泉の製造法であって、
温泉水を加熱または冷却して適温にする調温手順と、
適温にされた温泉水に流動性低下剤を所定量添加する添加手順と、
流動性低下剤が添加された温泉水を攪拌して前記流動性低下剤を均一に分散させる分散手順と、
流動性低下剤が均一に分散させられた温泉水を適温に加熱して前記流動性低下剤を温泉水に溶解させる溶解手順と、
溶解手順後に温泉水を真空パックに入れ真空処理をする真空処理手順と、
真空処理手順後に真空パックされた温泉水を冷蔵して固形化する固形化手順
とを含んでいることを特徴とする塗る温泉の製造法。
【請求項15】
調温手順前に温泉水を沸騰させて煮沸消毒する消毒手順が付加されていることを特徴とする請求項13または14記載の塗る温泉の製造法。
【請求項16】
消毒手順前に温泉水をろ過するろ過手順が付加されていることを特徴とする請求項15記載の塗る温泉の製造法。
【請求項17】
得られた塗る温泉を所定時間冷蔵保存して調質する調質手順が付加されていることを特徴とする請求項13記載の塗る温泉の製造法。
【請求項18】
塗る温泉を冷凍する冷凍手順が付加されていることを特徴とする請求項13または14記載の塗る温泉の製造法。
【請求項19】
添加手順の際に香料の添加もなすことを特徴とする請求項13または14記載の塗る温泉の製造法。
【請求項20】
添加手順の際に機能付与剤の添加もなすことを特徴とする請求項13または14記載の塗る温泉の製造法。
【請求項21】
機能付与剤が備長炭の粉末とされてなることを特徴とする請求項20記載の塗る温泉の製造法。
【請求項22】
流動性低下剤の添加量を、温泉水100ミリリットル当たり0.5グラムから20グラムの範囲とすることを特徴とする請求項13または14記載の塗る温泉の製造法。
【請求項23】
流動性低下剤の添加量を、温泉水100ミリリットル当たり2.0グラムから15グラムの範囲とすることを特徴とする請求項22記載の塗る温泉の製造法。
【請求項24】
流動性低下剤を、飲用ゼラチンパウダーまたは化粧品用ゼラチンパウダーから選択することを特徴する請求項13または14記載の塗る温泉の製造法。
【請求項25】
ゼラチンが、哺乳動物由来のコラーゲンから抽出されてなることを特徴とする請求項24記載の塗る温泉の製造法。
【請求項26】
温泉水を酸性泉、中性泉またはアルカリ泉とすることを特徴とする請求項13または14記載の塗る温泉の製造法。
【請求項27】
温泉水を酸性泉または中性泉とした場合、塗る温泉の固さがアルカリ泉の塗る温泉より固くなるよう流動性低下剤の添加量を調節することを特徴とする請求項26記載の塗る温泉の製造法。
【請求項28】
調温手順における温度を65℃以下とすることを特徴とする請求項13または14記載の塗る温泉の製造法。
【請求項29】
溶解手順における温度を65℃以下とすることを特徴とする請求項13または14記載の塗る温泉の製造法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−18995(P2009−18995A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180955(P2007−180955)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(507197270)株式会社にしがき (2)
【出願人】(507199126)
【出願人】(507223063)
【Fターム(参考)】