塗工装置
【課題】ナノプリントを行うことができる塗工装置を提供する。
【解決手段】転写ロール14が、FRP製であり、転写ロール14を回転させるダイレクトドライブモータよりなる第1のモータ26と、転写ロール14の回転中に第1のモータ26のトルクの30〜70%のブレーキトルクを掛ける第1のブレーキ30と、転写ロール14を版体ロール12からバックアップロール16まで直線移動させるリニアモータ52と、リニアモータ52による直線移動力に対し30〜70%のブレーキ力を掛けるリニアブレーキ62とを有する。
【解決手段】転写ロール14が、FRP製であり、転写ロール14を回転させるダイレクトドライブモータよりなる第1のモータ26と、転写ロール14の回転中に第1のモータ26のトルクの30〜70%のブレーキトルクを掛ける第1のブレーキ30と、転写ロール14を版体ロール12からバックアップロール16まで直線移動させるリニアモータ52と、リニアモータ52による直線移動力に対し30〜70%のブレーキ力を掛けるリニアブレーキ62とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷法によりフォトリソグラフィ品質に近い高画像品質を得るための塗工装置が提案されている。
【0003】
例えば、オフセット印刷機においてブラケットを平板に貼り付け平板上に保持し、背後に加圧機を設け印刷版又は基板に基準端面から順次圧着し、順次剥離する塗工装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−132743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような塗工装置においては、数百μm〜数nm程度の塗工を行う所謂、ナノプリントを行うことができないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、ナノプリントを行うことができる塗工装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、版体から転写された転写部を基材に塗工する転写ロールを有する塗工装置において、前記転写ロールが、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂製であり、前記転写ロールを回転させるダイレクトドライブモータよりなる第1のモータと、前記転写ロールの回転中に、前記第1のモータのトルクの30〜70%のブレーキトルクをかける第1のブレーキと、前記転写ロールを前記転写体から前記基材まで直線移動させるリニアモータと、前記リニアモータによる直線移動力に対し30〜70%のブレーキ力をかけるリニアブレーキと、を有することを特徴とする塗工装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ナノプリントを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態の第1工程の塗工装置の側面図である。
【図2】塗工装置の電気的構成である。
【図3】転写ロール正面図である。
【図4】転写ロール側面図である。
【図5】第2工程の塗工装置の側面図である。
【図6】第3工程の塗工装置の側面図である。
【図7】第4工程の塗工装置の側面図である。
【図8】第5工程の塗工装置の側面図である。
【図9】第2の実施形態の塗工装置の側面図である。
【図10】第3の実施形態の塗工装置の側面図である。
【図11】第4の実施形態の塗工装置の側面図である。
【図12】第5の実施形態の塗工装置における転写ロールに塗工液を塗工する説明図である。
【図13】塗工液が塗工された転写ロール14に版体66によって転写部を形成する図である。
【図14】転写ロールによって転写部を基材にナノプリントする図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態の塗工装置10について、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の第1の実施形態の塗工装置10について、図1〜図8に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態の塗工装置10は、長尺状の基材1にナノプリントを行う装置である。なお、本明細書において「ナノプリント」とは、数百μm〜数nm程度の範囲の転写を行うプリントをいう。
【0013】
また、ナノプリントの対象となる長尺状の基材1としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニール、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ガラス強化ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶性ポリマー、フッ素樹脂、ポリアレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアミドビスマレイミド、ポリビスアミドトリアゾール等の熱硬化性樹脂、及びこれらを2種以上ブレンドした材料を用いたものである。
【0014】
また、本実施形態では、ナノプリントとして、グラビア印刷を例にして説明する。
【0015】
(1)塗工装置10の構造
塗工装置10の構造について図1〜図3に基づいて説明する。
【0016】
塗工装置10は、図1に示すように、版体ロール12、転写ロール14、バックアップロール16とを有する。
【0017】
版体ロール12、転写ロール14、及び、バックアップロール16は、回転自在に配され、版体ロール12とバックアップロール16との間の上方を転写ロール14が直線運動する。
【0018】
水平方向に配された版体ロール12は、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂などよりなるロールの表面にクロムメッキを施し、その表面にグラビアロール版38が刻設されているものであって、その直径は100〜500mmである。グラビアロール12の一方の回転軸には、ダイレクトドライブモータ(以下、単に「DDモータ」という)よりなる第2のモータ18が取り付けられ、この第2のモータ18により版体ロール12が回転する。第2のモータ18には、第2のエンコーダ20が取り付けられている。また、グラビアロール12の他方の回転軸には、第2のブレーキ22が取り付けられている。この第2のブレーキ22は、例えば、パウダーブレーキ、電磁ブレーキ、マグネットブレーキ、又は、ディスクブレーキであって、回転中の版体ロール12に対し一定のブレーキトルクを掛ける。
【0019】
水平方向に配された転写ロール14は、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂よりなるロールの表面にゴム24を巻き付けたものであって、その直径は版体ロール12と同じ寸法である。転写ロール14の一方の軸には、DDモータよりなる第1のモータ26が取り付けられ、この第1のモータ26にも第1のエンコーダ28が取り付けられている。また、転写ロール14の他方の軸には第1のブレーキ30が取り付けられている。この第1のブレーキ30は、第2のブレーキ22と同じ構成である。また、この転写ロール14は、版体ロール12からバックアップロール16まで直線移動する構造を有するが、それについては後から詳しく説明する。
【0020】
水平方向に配されたバックアップロール16は、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂よりなるロールの表面にクロムメッキが施され、その直径は版体ロール12と同じ寸法である。バックアップロールは、長尺状の基材を搬送するものである。バックアップロール16の一方の軸には、DDモータよりなる第3のモータ32が取り付けられ、この第3のモータ32にも第3のエンコーダ34が取り付けられている。また、バックアップロール16の他方の軸には第3のブレーキ36が取り付けられている。この第3のブレーキ36は、第2のブレーキ22と同じ構成である。
【0021】
版体ロール12の下方には、版体ロール12に塗工液を塗工するためのダイよりなる塗工部64が設けられている。
【0022】
(2)転写ロール14の直線移動の構造
次に、転写ロール14を直線移動させる構造について図3及び図4に基づいて説明する。
【0023】
転写ロール14は、図3に示すように、左右一対の支持腕44,44に回動自在に架設され、一方の支持腕44に第1のモータ26と第1のエンコーダ28が取り付けられ、他方の支持腕44に第1のブレーキ30が取り付けられている。この左右一対の支持腕44は、左右一対の台車46から立設されたものであり、これら台車46,46は、支持台48の上に設けられたリニアレール50を介して図4に示すように、前後方向に移動自在となっている。また、これら支持台48の下部には、リニアモータ52がそれぞれ設けられ、左右一対のリニアモータ52によって左右一対の台車46がリニアレール50に沿って前後方向に直線移動する。
【0024】
左右一対の台車46,46の間には、連結部54が架設され、この連結部54には、図4に示すように、無端状のタイミングベルト56が設けられている。この無端状のタイミングベルト56は、支持台48の前端部と後端部にそれぞれ設けられたスプロケット58,60に掛け渡されている。スプロケット58には、このスプロケット58の回転に対してブレーキトルクを掛けるリニアブレーキ62が設けられている。このリニアブレーキ62は、第2のブレーキ22と同じ構成である。
【0025】
リニアモータ52,52が作動すると、左右一対の支持台48がリニアレール50に沿って直線移動する。このときに、タイミングベルト56も連結部54が移動することにより移動するが、スプロケット58にリニアブレーキ62が設けられているため、リニアモータ52に対する直線移動力に対し、リニアブレーキ62が30〜70%のブレーキ力を掛ける。
【0026】
(3)塗工装置10の電気的構成
次に、塗工装置10の電気的構成について図2に基づいて説明する。
【0027】
第1のモータ26、第1のエンコーダ28、第2のモータ18、第2のエンコーダ20、第3のモータ32、第3のエンコーダ34及びリニアモータ52は、コンピュータよりなる制御部42に接続されている。
【0028】
制御部42は、第2のモータ18、第1のモータ26及び第3のモータ32を同じ回転速度Wで回転させている。この回転速度Wは、例えば、基材1の走行速度Vが6m/分である場合には、毎分5〜6回転である。そして、制御部42は、第1のモータ26、第2のモータ18及び第3のモータ32がDDモータであるため、これらのモータ18,26,32が同じ回転速度Wで、かつ、一定の回転速度Wになるように位置制御を行い、正確に位置制御を行われているか否かを第1のエンコーダ28、第2のエンコーダ20、及び第3のエンコーダ34からのパルス信号によって監視している。
【0029】
また、制御部42は、リニアモータ52を作動させ、転写ロール14を直線移動させる。
【0030】
(4)塗工装置10の動作状態
塗工装置10の動作状態について図面に基づいて説明する。
【0031】
第1の工程(初期工程)において、図1に示すように、制御部42は、版体ロール12、転写ロール14、バックアップロール16の回転を停止させ、版体ロール12の上方に転写ロール14が位置するように、リニアモータ52によって版体ロール12を移動させる。そして、制御部42は、版体ロール12と転写ロール14の位置決めを行う。このときに、塗工部64から塗工を開始される位置に、版体ロール12のグラビア版38の最初の位置を合わる。
【0032】
第2の工程において、図5に示すように、制御部42は、版体ロール12のみを回転速度Wで回転させつつ、グラビア版38に塗工部64から塗工液を塗工する。そして、制御部42は、グラビア版38の最初の位置が転写ロール14の位置にくると、転写ロール14に転写が開始される。
【0033】
第3工程において、図6に示すように、制御部42は、版体ロール12のグラビア版38に塗工された塗工液を全て転写ロール14に転写して転写部40を形成するまで、版体ロール12と転写ロール14とをそれぞれ回転速度Wで回転させる。そして、制御部42は、この転写が終了すると、版体ロール12と転写ロール14の回転を停止させる。
【0034】
第4工程において、図7に示すように、制御部42は、リニアモータ52によって、転写部40が形成された転写ロール14をバックアップロール16の上方まで直線移動させると共に、バックアップロール16と位置合わせを行う。
【0035】
第5工程において、図8に示すように、バックアップロール16を回転させて長尺状の基材1を速度Vで移動させる。また、第1のモータ26によって転写ロール14を回転させ、その表面にある転写部40を移動する基材1の表面に転写する。
【0036】
第6工程において、制御部42は、転写ロール14の転写部40の転写が全て終わると転写ロール14とバックアップロール16の回転を停止させ、転写ロール14を第1の工程に示した初期位置にリニアモータ52によって復帰させる。また、基材1の搬送は、次の転写が開始されるまで、バックアップロール16を停止させることにより、その移動を停止させる。
【0037】
上記のような第1工程から第6工程を繰り返すことにより、長尺状の基材1に対し転写部40を転写できる。
【0038】
(5)ナノプリントを行うための対策
塗工装置10が、数百μm〜数nm程度(例えば、±0.5μm以下)程度で転写を行うための対策について説明する。
【0039】
まず、第1の対策としては、上記したように第1のモータ26、第2のモータ18及び第3のモータ32がDDモータであるため、位置制御を行うと正確に同じ回転速度で回転する。しかし、版体ロール12、転写ロール14及びバックアップロール16の慣性力によって回転が揺れて回転精度が落ちてくる可能性がある。特に、ナノプリントにおいては、位置制御で0.3μm以下の値に制御しない限り、ナノプリントに必要な±0.5μmの繰り返し精度が出ない。そのため、以下の対策も講じている。
【0040】
第2の対策としては、版体ロール12、転写ロール14及びバックアップロール16の慣性力を小さくするため、各ロールの材質を金属ではなく、軽量の材質であるFRP、カーボンファイバー、又は、樹脂によって形成している。これによって、各ロールの慣性力が小さくなり、回転精度を上げることができる。
【0041】
第3の対策としては、版体ロール12に第2のブレーキ22、転写ロール14に第1のブレーキ30、バックアップロール16に第3のブレーキ36を取り付けている点である。そして、版体ロール12が第2のモータ18によって回転中においては、第2のブレーキ22によって第2のモータ18の回転トルクの30〜70%のブレーキトルクが掛けているので回転の揺れをより少なくできる。転写ロール14、バックアップロール16も同様に第1のブレーキ30と第3のブレーキ36によって、第1のモータ26と第3のモータ32の回転トルクの30〜70%のブレーキトルクを掛けているので回転の揺れをより少なくできる。このように、各ロール12,14,16の回転中に一定のブレーキ力が加わり、ゲイン値を大きくすることができ、またコギング等の発生を防止ができる。そのため、回転精度を上げることができる。
【0042】
第4の対策としては、転写ロール14を移動させる場合にリニアモータ52を用いているが、このリニアモータ52の直線移動力に対しリニアブレーキ62によって30%〜70%のブレーキ力を掛けている。これによって、移動中に一定のブレーキ力が加わり、ゲイン値を大きくすることができ、またコギング等の発生を防止することができる。そのため、直線移動の精度を上げることができる。
【0043】
以上の第1〜第4の対策により、本実施形態の塗工装置10は、長尺状の基材1に±0.5μm以下の精度のナノプリントを行うことができる。
【0044】
(6)効果
以上により本実施形態によれば、塗工装置10によって基材1の表面に数百μm〜数nmの精度でナノプリントを行うことができるため、バイオチップ状の流路や、配線基板上の配線、また、液晶基板上の画素形成に対しナノプリントをすることができる。特に、±0.5μm以下の塗工を行うことができるため、同じ場所に複数回繰り返して塗工を行う場合でも、その塗工液がずれたりすることが無く、正確に塗工を行うことができる。
【実施例2】
【0045】
次に、第2の実施形態の塗工装置10について、図9に基づいて説明する。
【0046】
第1の実施形態では、転写ロール14に転写部40を形成する版体が版体ロール12であったが、本実施形態では版体ロール12に代えて、板状の版体66を用いることに特徴がある。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0047】
本実施形態の塗工装置10においても、第1の実施形態と同様の対策を取ることにより、長尺状の基材1に対しナノプリントを行うことができる。
【実施例3】
【0048】
次に、第3の実施形態の塗工装置10について、図10に基づいて説明する。
【0049】
本実施形態の塗工装置10と第1の実施形態の異なる点は、長尺状の基材1ではなく、板状の基材68にナノプリントを行う点にある。そのため、バックアップロール16を有しておらず転写ロール16から直接に板状の基材68に転写する。これ以外の構成については第1の実施形態と同様である。
【0050】
本実施形態の塗工装置10であっても、第1の実施形態と同様の対策を取ることにより、板状の基材68にナノプリントを行うことができる。
【実施例4】
【0051】
次に、第4の実施形態の塗工装置10について、図11に基づいて説明する。
【0052】
本実施形態と第2の実施形態の塗工装置10の異なる点は、第2の実施形態では長尺状の基材1にナノプリントを行っていたが、本実施形態では板状の基材68にナノプリントを行う点である。すなわち、版体66と基材68が共に板状である点である。
【0053】
本実施形態の塗工装置10であっても、第1の実施形態と同様の対策を取ることにより、板状の基材68にナノプリントを行うことができる。
【実施例5】
【0054】
次に、第5の実施形態の塗工装置10について、図12〜図14に基づいて説明する。
【0055】
本実施形態と第4の実施形態の塗工装置10との異なる点は、次の点である。
【0056】
第4の実施形態の塗工装置10では、板状の版体66に塗工液を塗工した後、転写ロール14を接触させて転写部40を形成していたが、本実施形態の塗工は次のように行う。
【0057】
まず、図12に示すように、転写ロール14の表面に塗工液を塗工する。転写ロール14に塗工液70を塗工する場合には、転写ロール14の表面にドクターエッジ72を近接させ、ドクターエッジ72と転写ロール14との間に塗工液70の液溜め部を作る。そして、転写ロール14を回転させることにより、転写ロール14の表面に均一な厚さで塗工液24を塗工する。
【0058】
次に、図13に示すように、板状の版体66に接触させて、転写部40を形成する。
【0059】
次に、図14に示すように、転写ロール14の正面にある転写部40を板状の基材68に転写してナノプリントを行う。
【0060】
本実施形態の塗工装置10においても、第1の実施形態と同様の対策を取ることにより、ナノプリントを行うことができる。
【0061】
なお、本実施形態では、板状の版体66と板状の基材68を用いて説明したが、これに限らず第1〜第3の実施形態の塗工装置10のように、長尺状の基材1にナノプリントしたり、版体ロール12を用いて転写部40を形成してもよい。これら何れの場合においても、本実施形態では転写ロール14に塗工液を塗工する点が第1〜第4の実施形態の塗工装置10と異なる点である。
【変更例】
【0062】
上記実施形態では、ナノプリントの例としてグラビア印刷で説明したが、他の印刷方法でも本発明を適用できる。例えば、オフセット印刷法にも適用できる。
【0063】
また、本実施形態は、次のような塗工方法にも適用できる。第1の実施形態の塗工装置10に適用した場合について説明する。
【0064】
まず、版ロール12の表面に部分的にシリコン層を形成し、撥樹脂機能を有する画線部と親樹脂機能を有する非画線部を形成する。
【0065】
次に、版ロール12の全面に樹脂(塗工液)を塗工する。
【0066】
次に、撥樹脂機能を有する転写ロール14を版ロール12に接触させ、画線部上樹脂のみを転写ロール12上に転写する。
【0067】
次に、転写ロール14をバックアップロール16上に直線移動させる。
【0068】
次に、転写ロール14上の画線部上樹脂を長尺状の基材1に転写する。
【0069】
この塗工方法は、第2〜第4の実施形態の塗工装置10にも適用できる。
【0070】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
10・・・塗工装置、14・・・転写ロール、26・・・第1のモータ、28・・・第1のエンコーダ、30・・・第1のブレーキ、52・・・リニアモータ、62・・・リニアブレーキ
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷法によりフォトリソグラフィ品質に近い高画像品質を得るための塗工装置が提案されている。
【0003】
例えば、オフセット印刷機においてブラケットを平板に貼り付け平板上に保持し、背後に加圧機を設け印刷版又は基板に基準端面から順次圧着し、順次剥離する塗工装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−132743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような塗工装置においては、数百μm〜数nm程度の塗工を行う所謂、ナノプリントを行うことができないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、ナノプリントを行うことができる塗工装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、版体から転写された転写部を基材に塗工する転写ロールを有する塗工装置において、前記転写ロールが、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂製であり、前記転写ロールを回転させるダイレクトドライブモータよりなる第1のモータと、前記転写ロールの回転中に、前記第1のモータのトルクの30〜70%のブレーキトルクをかける第1のブレーキと、前記転写ロールを前記転写体から前記基材まで直線移動させるリニアモータと、前記リニアモータによる直線移動力に対し30〜70%のブレーキ力をかけるリニアブレーキと、を有することを特徴とする塗工装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ナノプリントを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態の第1工程の塗工装置の側面図である。
【図2】塗工装置の電気的構成である。
【図3】転写ロール正面図である。
【図4】転写ロール側面図である。
【図5】第2工程の塗工装置の側面図である。
【図6】第3工程の塗工装置の側面図である。
【図7】第4工程の塗工装置の側面図である。
【図8】第5工程の塗工装置の側面図である。
【図9】第2の実施形態の塗工装置の側面図である。
【図10】第3の実施形態の塗工装置の側面図である。
【図11】第4の実施形態の塗工装置の側面図である。
【図12】第5の実施形態の塗工装置における転写ロールに塗工液を塗工する説明図である。
【図13】塗工液が塗工された転写ロール14に版体66によって転写部を形成する図である。
【図14】転写ロールによって転写部を基材にナノプリントする図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態の塗工装置10について、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の第1の実施形態の塗工装置10について、図1〜図8に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態の塗工装置10は、長尺状の基材1にナノプリントを行う装置である。なお、本明細書において「ナノプリント」とは、数百μm〜数nm程度の範囲の転写を行うプリントをいう。
【0013】
また、ナノプリントの対象となる長尺状の基材1としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニール、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ガラス強化ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶性ポリマー、フッ素樹脂、ポリアレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアミドビスマレイミド、ポリビスアミドトリアゾール等の熱硬化性樹脂、及びこれらを2種以上ブレンドした材料を用いたものである。
【0014】
また、本実施形態では、ナノプリントとして、グラビア印刷を例にして説明する。
【0015】
(1)塗工装置10の構造
塗工装置10の構造について図1〜図3に基づいて説明する。
【0016】
塗工装置10は、図1に示すように、版体ロール12、転写ロール14、バックアップロール16とを有する。
【0017】
版体ロール12、転写ロール14、及び、バックアップロール16は、回転自在に配され、版体ロール12とバックアップロール16との間の上方を転写ロール14が直線運動する。
【0018】
水平方向に配された版体ロール12は、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂などよりなるロールの表面にクロムメッキを施し、その表面にグラビアロール版38が刻設されているものであって、その直径は100〜500mmである。グラビアロール12の一方の回転軸には、ダイレクトドライブモータ(以下、単に「DDモータ」という)よりなる第2のモータ18が取り付けられ、この第2のモータ18により版体ロール12が回転する。第2のモータ18には、第2のエンコーダ20が取り付けられている。また、グラビアロール12の他方の回転軸には、第2のブレーキ22が取り付けられている。この第2のブレーキ22は、例えば、パウダーブレーキ、電磁ブレーキ、マグネットブレーキ、又は、ディスクブレーキであって、回転中の版体ロール12に対し一定のブレーキトルクを掛ける。
【0019】
水平方向に配された転写ロール14は、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂よりなるロールの表面にゴム24を巻き付けたものであって、その直径は版体ロール12と同じ寸法である。転写ロール14の一方の軸には、DDモータよりなる第1のモータ26が取り付けられ、この第1のモータ26にも第1のエンコーダ28が取り付けられている。また、転写ロール14の他方の軸には第1のブレーキ30が取り付けられている。この第1のブレーキ30は、第2のブレーキ22と同じ構成である。また、この転写ロール14は、版体ロール12からバックアップロール16まで直線移動する構造を有するが、それについては後から詳しく説明する。
【0020】
水平方向に配されたバックアップロール16は、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂よりなるロールの表面にクロムメッキが施され、その直径は版体ロール12と同じ寸法である。バックアップロールは、長尺状の基材を搬送するものである。バックアップロール16の一方の軸には、DDモータよりなる第3のモータ32が取り付けられ、この第3のモータ32にも第3のエンコーダ34が取り付けられている。また、バックアップロール16の他方の軸には第3のブレーキ36が取り付けられている。この第3のブレーキ36は、第2のブレーキ22と同じ構成である。
【0021】
版体ロール12の下方には、版体ロール12に塗工液を塗工するためのダイよりなる塗工部64が設けられている。
【0022】
(2)転写ロール14の直線移動の構造
次に、転写ロール14を直線移動させる構造について図3及び図4に基づいて説明する。
【0023】
転写ロール14は、図3に示すように、左右一対の支持腕44,44に回動自在に架設され、一方の支持腕44に第1のモータ26と第1のエンコーダ28が取り付けられ、他方の支持腕44に第1のブレーキ30が取り付けられている。この左右一対の支持腕44は、左右一対の台車46から立設されたものであり、これら台車46,46は、支持台48の上に設けられたリニアレール50を介して図4に示すように、前後方向に移動自在となっている。また、これら支持台48の下部には、リニアモータ52がそれぞれ設けられ、左右一対のリニアモータ52によって左右一対の台車46がリニアレール50に沿って前後方向に直線移動する。
【0024】
左右一対の台車46,46の間には、連結部54が架設され、この連結部54には、図4に示すように、無端状のタイミングベルト56が設けられている。この無端状のタイミングベルト56は、支持台48の前端部と後端部にそれぞれ設けられたスプロケット58,60に掛け渡されている。スプロケット58には、このスプロケット58の回転に対してブレーキトルクを掛けるリニアブレーキ62が設けられている。このリニアブレーキ62は、第2のブレーキ22と同じ構成である。
【0025】
リニアモータ52,52が作動すると、左右一対の支持台48がリニアレール50に沿って直線移動する。このときに、タイミングベルト56も連結部54が移動することにより移動するが、スプロケット58にリニアブレーキ62が設けられているため、リニアモータ52に対する直線移動力に対し、リニアブレーキ62が30〜70%のブレーキ力を掛ける。
【0026】
(3)塗工装置10の電気的構成
次に、塗工装置10の電気的構成について図2に基づいて説明する。
【0027】
第1のモータ26、第1のエンコーダ28、第2のモータ18、第2のエンコーダ20、第3のモータ32、第3のエンコーダ34及びリニアモータ52は、コンピュータよりなる制御部42に接続されている。
【0028】
制御部42は、第2のモータ18、第1のモータ26及び第3のモータ32を同じ回転速度Wで回転させている。この回転速度Wは、例えば、基材1の走行速度Vが6m/分である場合には、毎分5〜6回転である。そして、制御部42は、第1のモータ26、第2のモータ18及び第3のモータ32がDDモータであるため、これらのモータ18,26,32が同じ回転速度Wで、かつ、一定の回転速度Wになるように位置制御を行い、正確に位置制御を行われているか否かを第1のエンコーダ28、第2のエンコーダ20、及び第3のエンコーダ34からのパルス信号によって監視している。
【0029】
また、制御部42は、リニアモータ52を作動させ、転写ロール14を直線移動させる。
【0030】
(4)塗工装置10の動作状態
塗工装置10の動作状態について図面に基づいて説明する。
【0031】
第1の工程(初期工程)において、図1に示すように、制御部42は、版体ロール12、転写ロール14、バックアップロール16の回転を停止させ、版体ロール12の上方に転写ロール14が位置するように、リニアモータ52によって版体ロール12を移動させる。そして、制御部42は、版体ロール12と転写ロール14の位置決めを行う。このときに、塗工部64から塗工を開始される位置に、版体ロール12のグラビア版38の最初の位置を合わる。
【0032】
第2の工程において、図5に示すように、制御部42は、版体ロール12のみを回転速度Wで回転させつつ、グラビア版38に塗工部64から塗工液を塗工する。そして、制御部42は、グラビア版38の最初の位置が転写ロール14の位置にくると、転写ロール14に転写が開始される。
【0033】
第3工程において、図6に示すように、制御部42は、版体ロール12のグラビア版38に塗工された塗工液を全て転写ロール14に転写して転写部40を形成するまで、版体ロール12と転写ロール14とをそれぞれ回転速度Wで回転させる。そして、制御部42は、この転写が終了すると、版体ロール12と転写ロール14の回転を停止させる。
【0034】
第4工程において、図7に示すように、制御部42は、リニアモータ52によって、転写部40が形成された転写ロール14をバックアップロール16の上方まで直線移動させると共に、バックアップロール16と位置合わせを行う。
【0035】
第5工程において、図8に示すように、バックアップロール16を回転させて長尺状の基材1を速度Vで移動させる。また、第1のモータ26によって転写ロール14を回転させ、その表面にある転写部40を移動する基材1の表面に転写する。
【0036】
第6工程において、制御部42は、転写ロール14の転写部40の転写が全て終わると転写ロール14とバックアップロール16の回転を停止させ、転写ロール14を第1の工程に示した初期位置にリニアモータ52によって復帰させる。また、基材1の搬送は、次の転写が開始されるまで、バックアップロール16を停止させることにより、その移動を停止させる。
【0037】
上記のような第1工程から第6工程を繰り返すことにより、長尺状の基材1に対し転写部40を転写できる。
【0038】
(5)ナノプリントを行うための対策
塗工装置10が、数百μm〜数nm程度(例えば、±0.5μm以下)程度で転写を行うための対策について説明する。
【0039】
まず、第1の対策としては、上記したように第1のモータ26、第2のモータ18及び第3のモータ32がDDモータであるため、位置制御を行うと正確に同じ回転速度で回転する。しかし、版体ロール12、転写ロール14及びバックアップロール16の慣性力によって回転が揺れて回転精度が落ちてくる可能性がある。特に、ナノプリントにおいては、位置制御で0.3μm以下の値に制御しない限り、ナノプリントに必要な±0.5μmの繰り返し精度が出ない。そのため、以下の対策も講じている。
【0040】
第2の対策としては、版体ロール12、転写ロール14及びバックアップロール16の慣性力を小さくするため、各ロールの材質を金属ではなく、軽量の材質であるFRP、カーボンファイバー、又は、樹脂によって形成している。これによって、各ロールの慣性力が小さくなり、回転精度を上げることができる。
【0041】
第3の対策としては、版体ロール12に第2のブレーキ22、転写ロール14に第1のブレーキ30、バックアップロール16に第3のブレーキ36を取り付けている点である。そして、版体ロール12が第2のモータ18によって回転中においては、第2のブレーキ22によって第2のモータ18の回転トルクの30〜70%のブレーキトルクが掛けているので回転の揺れをより少なくできる。転写ロール14、バックアップロール16も同様に第1のブレーキ30と第3のブレーキ36によって、第1のモータ26と第3のモータ32の回転トルクの30〜70%のブレーキトルクを掛けているので回転の揺れをより少なくできる。このように、各ロール12,14,16の回転中に一定のブレーキ力が加わり、ゲイン値を大きくすることができ、またコギング等の発生を防止ができる。そのため、回転精度を上げることができる。
【0042】
第4の対策としては、転写ロール14を移動させる場合にリニアモータ52を用いているが、このリニアモータ52の直線移動力に対しリニアブレーキ62によって30%〜70%のブレーキ力を掛けている。これによって、移動中に一定のブレーキ力が加わり、ゲイン値を大きくすることができ、またコギング等の発生を防止することができる。そのため、直線移動の精度を上げることができる。
【0043】
以上の第1〜第4の対策により、本実施形態の塗工装置10は、長尺状の基材1に±0.5μm以下の精度のナノプリントを行うことができる。
【0044】
(6)効果
以上により本実施形態によれば、塗工装置10によって基材1の表面に数百μm〜数nmの精度でナノプリントを行うことができるため、バイオチップ状の流路や、配線基板上の配線、また、液晶基板上の画素形成に対しナノプリントをすることができる。特に、±0.5μm以下の塗工を行うことができるため、同じ場所に複数回繰り返して塗工を行う場合でも、その塗工液がずれたりすることが無く、正確に塗工を行うことができる。
【実施例2】
【0045】
次に、第2の実施形態の塗工装置10について、図9に基づいて説明する。
【0046】
第1の実施形態では、転写ロール14に転写部40を形成する版体が版体ロール12であったが、本実施形態では版体ロール12に代えて、板状の版体66を用いることに特徴がある。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0047】
本実施形態の塗工装置10においても、第1の実施形態と同様の対策を取ることにより、長尺状の基材1に対しナノプリントを行うことができる。
【実施例3】
【0048】
次に、第3の実施形態の塗工装置10について、図10に基づいて説明する。
【0049】
本実施形態の塗工装置10と第1の実施形態の異なる点は、長尺状の基材1ではなく、板状の基材68にナノプリントを行う点にある。そのため、バックアップロール16を有しておらず転写ロール16から直接に板状の基材68に転写する。これ以外の構成については第1の実施形態と同様である。
【0050】
本実施形態の塗工装置10であっても、第1の実施形態と同様の対策を取ることにより、板状の基材68にナノプリントを行うことができる。
【実施例4】
【0051】
次に、第4の実施形態の塗工装置10について、図11に基づいて説明する。
【0052】
本実施形態と第2の実施形態の塗工装置10の異なる点は、第2の実施形態では長尺状の基材1にナノプリントを行っていたが、本実施形態では板状の基材68にナノプリントを行う点である。すなわち、版体66と基材68が共に板状である点である。
【0053】
本実施形態の塗工装置10であっても、第1の実施形態と同様の対策を取ることにより、板状の基材68にナノプリントを行うことができる。
【実施例5】
【0054】
次に、第5の実施形態の塗工装置10について、図12〜図14に基づいて説明する。
【0055】
本実施形態と第4の実施形態の塗工装置10との異なる点は、次の点である。
【0056】
第4の実施形態の塗工装置10では、板状の版体66に塗工液を塗工した後、転写ロール14を接触させて転写部40を形成していたが、本実施形態の塗工は次のように行う。
【0057】
まず、図12に示すように、転写ロール14の表面に塗工液を塗工する。転写ロール14に塗工液70を塗工する場合には、転写ロール14の表面にドクターエッジ72を近接させ、ドクターエッジ72と転写ロール14との間に塗工液70の液溜め部を作る。そして、転写ロール14を回転させることにより、転写ロール14の表面に均一な厚さで塗工液24を塗工する。
【0058】
次に、図13に示すように、板状の版体66に接触させて、転写部40を形成する。
【0059】
次に、図14に示すように、転写ロール14の正面にある転写部40を板状の基材68に転写してナノプリントを行う。
【0060】
本実施形態の塗工装置10においても、第1の実施形態と同様の対策を取ることにより、ナノプリントを行うことができる。
【0061】
なお、本実施形態では、板状の版体66と板状の基材68を用いて説明したが、これに限らず第1〜第3の実施形態の塗工装置10のように、長尺状の基材1にナノプリントしたり、版体ロール12を用いて転写部40を形成してもよい。これら何れの場合においても、本実施形態では転写ロール14に塗工液を塗工する点が第1〜第4の実施形態の塗工装置10と異なる点である。
【変更例】
【0062】
上記実施形態では、ナノプリントの例としてグラビア印刷で説明したが、他の印刷方法でも本発明を適用できる。例えば、オフセット印刷法にも適用できる。
【0063】
また、本実施形態は、次のような塗工方法にも適用できる。第1の実施形態の塗工装置10に適用した場合について説明する。
【0064】
まず、版ロール12の表面に部分的にシリコン層を形成し、撥樹脂機能を有する画線部と親樹脂機能を有する非画線部を形成する。
【0065】
次に、版ロール12の全面に樹脂(塗工液)を塗工する。
【0066】
次に、撥樹脂機能を有する転写ロール14を版ロール12に接触させ、画線部上樹脂のみを転写ロール12上に転写する。
【0067】
次に、転写ロール14をバックアップロール16上に直線移動させる。
【0068】
次に、転写ロール14上の画線部上樹脂を長尺状の基材1に転写する。
【0069】
この塗工方法は、第2〜第4の実施形態の塗工装置10にも適用できる。
【0070】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
10・・・塗工装置、14・・・転写ロール、26・・・第1のモータ、28・・・第1のエンコーダ、30・・・第1のブレーキ、52・・・リニアモータ、62・・・リニアブレーキ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
版体から転写された転写部を基材に塗工する転写ロールを有する塗工装置において、
前記転写ロールが、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂製であり、
前記転写ロールを回転させるダイレクトドライブモータよりなる第1のモータと、
前記転写ロールの回転中に、前記第1のモータのトルクの30〜70%のブレーキトルクをかける第1のブレーキと、
前記転写ロールを前記転写体から前記基材まで直線移動させるリニアモータと、
前記リニアモータによる直線移動力に対し30〜70%のブレーキ力をかけるリニアブレーキと、
を有することを特徴とする塗工装置。
【請求項2】
前記版体が版体ロールであり、
前記版体ロールが、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂製であり、
前記版体ロールを回転させるダイレクトドライブモータよりなる第2のモータと、
前記版体ロールの回転中に、前記第2のモータのトルクの30〜70%のブレーキトルクをかける第2のブレーキと、
有することを特徴とする請求項1に記載の塗工装置。
【請求項3】
前記基材が長尺状であって、前記基材がバックアップロールによって搬送され、
前記バックアップロールが、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂製であり、
前記バックアップロールを回転させるダイレクトドライブモータよりなる第3のモータと、
前記バックアップロールの回転中に、前記第3のモータのトルクの30〜70%のブレーキトルクをかける第3のブレーキと、
有することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗工装置。
【請求項4】
前記版体が、板状である、
ことを特徴とする1又は3に記載の塗工装置。
【請求項5】
前記基材が、板状である、
ことを特徴とする2又は4に記載の塗工装置。
【請求項6】
前記第1のブレーキ、前記第2のブレーキ、又は、前記第3のブレーキが、パウダーブレーキ、電磁ブレーキ、マグネットブレーキ、又は、ディスクブレーキである、
ことを特徴とする1乃至5のいずれか一項に記載の塗工装置。
【請求項7】
前記版体に塗工液を塗工する塗工部をさらに有する、
ことを特徴とする1乃至6のいずれか一項に記載の塗工装置。
【請求項8】
前記転写ロールに塗工液を塗工する塗工部をさらに有する、
ことを特徴とする1乃至6のいずれか一項に記載の塗工装置。
【請求項1】
版体から転写された転写部を基材に塗工する転写ロールを有する塗工装置において、
前記転写ロールが、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂製であり、
前記転写ロールを回転させるダイレクトドライブモータよりなる第1のモータと、
前記転写ロールの回転中に、前記第1のモータのトルクの30〜70%のブレーキトルクをかける第1のブレーキと、
前記転写ロールを前記転写体から前記基材まで直線移動させるリニアモータと、
前記リニアモータによる直線移動力に対し30〜70%のブレーキ力をかけるリニアブレーキと、
を有することを特徴とする塗工装置。
【請求項2】
前記版体が版体ロールであり、
前記版体ロールが、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂製であり、
前記版体ロールを回転させるダイレクトドライブモータよりなる第2のモータと、
前記版体ロールの回転中に、前記第2のモータのトルクの30〜70%のブレーキトルクをかける第2のブレーキと、
有することを特徴とする請求項1に記載の塗工装置。
【請求項3】
前記基材が長尺状であって、前記基材がバックアップロールによって搬送され、
前記バックアップロールが、FRP、カーボンファイバー、又は、樹脂製であり、
前記バックアップロールを回転させるダイレクトドライブモータよりなる第3のモータと、
前記バックアップロールの回転中に、前記第3のモータのトルクの30〜70%のブレーキトルクをかける第3のブレーキと、
有することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗工装置。
【請求項4】
前記版体が、板状である、
ことを特徴とする1又は3に記載の塗工装置。
【請求項5】
前記基材が、板状である、
ことを特徴とする2又は4に記載の塗工装置。
【請求項6】
前記第1のブレーキ、前記第2のブレーキ、又は、前記第3のブレーキが、パウダーブレーキ、電磁ブレーキ、マグネットブレーキ、又は、ディスクブレーキである、
ことを特徴とする1乃至5のいずれか一項に記載の塗工装置。
【請求項7】
前記版体に塗工液を塗工する塗工部をさらに有する、
ことを特徴とする1乃至6のいずれか一項に記載の塗工装置。
【請求項8】
前記転写ロールに塗工液を塗工する塗工部をさらに有する、
ことを特徴とする1乃至6のいずれか一項に記載の塗工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−192371(P2012−192371A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59540(P2011−59540)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(390002015)ヒラノ技研工業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(390002015)ヒラノ技研工業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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