説明

塗布具

【課題】異なる種類の液体同士を均一に混合して患部に供給することができるとともに、これらの液体を患部に供給するときの気体の使用量を抑制することができる塗布具を提供すること。
【解決手段】塗布具1は、液組成が異なる第1の液体L1および第2の液体L2がそれぞれ充填された第1のシリンジ2および第2のシリンジ3と、無菌ガスGを供給する気体供給手段に接続され、該気体供給手段から供給された無菌ガスとともに、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3からそれぞれ供給される第1の液体L1および第2の液体L2を混合しつつ患部に供給するノズル4とを備えるものである。このノズル4は、第1の液体L1および第2の液体L2の一方と、気体供給手段から供給される無菌ガスとを混合した後、該混合された当該液体と気体と、第1の液体L1および第2の液体L2の他方とを混合しつつ噴出するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具、特に2種類の液体を混合しつつ患部に供給する塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2種以上の液体を混合して患部等に噴射し、癒着防止材や生体組織接着材などを形成する方法が知られており、そのための塗布具が開発されている。
【0003】
このような塗布具は、混合すると凝固する成分同士、例えばトロンビンを含有する溶液とフィブリノーゲンを含有する溶液を互いに分別した状態で、患部付近まで送り、患部で混合しながら塗布するという構成によるものである。
【0004】
従来の塗布具としては、異なる種類の液体をそれぞれ含有する2つのシリンジからそれぞれ流路が並んだ状態で設置され、両流路の先端から各液体が噴出し、混合される構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この従来技術では、それぞれの液体が噴出する液体噴出口同士が所定距離離間して配置されているため、2種類の液体が均一に混合せず、混合効率が悪いという欠点があった。2種類の液体を混合してゲル化させるものの場合、混合が均一でないと、凝固してゲル化した部分と、凝固が生じていないかまたは不十分な部分とが存在し、癒着防止材や生体組織接着材として十分に機能しないおそれがある。
【0006】
また、上記従来技術では、無菌ガス(気体)を供給するガス供給手段が塗布具に接続されており、2つの液体噴出口の外周部には、それぞれ、ガス供給手段から供給される無菌ガスが噴出する気体噴出口が設けられている。各気体噴出口から無菌ガスが噴出されることにより、各液体噴出口からは、液体が霧状に噴出される。
【0007】
しかしながら、この従来技術では、各液体噴出口に対応して気体噴出口が設けられているため、塗布具の使用時における無菌ガスの使用量が多くなるという欠点があった。例えば、2種類の液体を、それぞれ、できるだけ無菌ガスにさらしたくない場合には、従来技術は、不向きである。
【0008】
【特許文献1】特開2003−126268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、異なる種類の液体同士を均一に混合して患部に供給することができるとともに、これらの液体を患部に供給するときの気体の使用量を抑制することができる塗布具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的は、下記(1)〜(13)の本発明により達成される。
(1) 液組成が異なる第1の液体および第2の液体をそれぞれが混合しないように貯留する第1の液体貯留部および第2の液体貯留部と、気体を供給する気体供給手段に接続され、該気体供給手段から供給された気体とともに、前記第1の液体貯留部および前記第2の液体貯留部からそれぞれ供給される前記第1の液体および前記第2の液体を混合しつつ患部に供給するノズルとを備える塗布具であって、
前記ノズルは、前記第1の液体および前記第2の液体の一方と、前記気体供給手段から供給される気体とを混合した後、該混合された当該液体と気体と、前記第1の液体および前記第2の液体の他方とを混合しつつ噴出するよう構成されていることを特徴とする塗布具。
【0011】
(2) 液組成が異なる第1の液体および第2の液体をそれぞれが混合しないように貯留する第1の液体貯留部および第2の液体貯留部と、気体を供給する気体供給手段に接続され、該気体供給手段から供給された気体とともに、前記第1の液体貯留部および前記第2の液体貯留部からそれぞれ供給される前記第1の液体および前記第2の液体を混合しつつ患部に供給するノズルとを備える塗布具であって、
前記ノズルは、
前記第1の液体貯留部に接続され、該第1の液体貯留部から供給された前記第1の液体が通過する第1の流路と、前記第2の液体貯留部に接続され、該第2の液体貯留部から供給された前記第2の液体が通過する第2の流路と、前記気体供給手段に接続され、該気体供給手段から供給された気体が通過するガス流路とを有するノズル本体と、
前記ノズル本体の先端部に突出形成され、前記第1の流路を通過した前記第1の液体が噴出する第1の噴出口と、
前記ノズル本体に設けられ、前記第2の流路から送り込まれた前記第2の液体と、前記ガス流路から送り込まれた気体とが混合する混合室と、
前記第1の噴出口の外周部に該第1の噴出口とほぼ同心的に形成され、前記混合室で混合された第2の液体と気体とが噴出する第2の噴出口とを有することを特徴とする塗布具。
【0012】
(3) 前記第1の噴出口の先端面と、前記第2の噴出口の先端面とは、ほぼ同一面上に位置している上記(2)に記載の塗布具。
【0013】
(4) 前記第1の噴出口は、その少なくとも一部が前記混合室内に位置している上記(2)または(3)に記載の塗布具。
【0014】
(5) 前記第2の噴出口は、前記混合室から先端方向に向かって突出形成されている上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の塗布具。
【0015】
(6) 前記第2の噴出口は、その外径が前記ノズル本体の外径より小さい上記(5)に記載の塗布具。
【0016】
(7) 前記ガス流路の先端部は、前記第2の流路の先端部の外周部に形成されている上記(2)ないし(6)のいずれかに記載の塗布具。
【0017】
(8) 前記第1の液体は、前記第2の液体より粘度が大きい上記(2)ないし(7)のいずれかに記載の塗布具。
【0018】
(9) 前記第1の液体は、前記第2の液体より粘度が小さい上記(2)ないし(7)のいずれかに記載の塗布具。
【0019】
(10) 前記第1の液体貯留部および前記第2の液体貯留部は、それぞれ、シリンジ外筒と、前記シリンジ外筒内に挿入されたガスケットと、前記ガスケットを前記シリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とを有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の塗布具。
【0020】
(11) 前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記シリンジ外筒を並列に固定する固定部と、前記塗布具を使用するときに把持されるグリップ部とを有する塗布具本体と、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記押し子の後端部同士を連結する連結部材とをさらに備えている上記(10)に記載の塗布具。
【0021】
(12) 前記第1の液体と前記第2の液体は、それらを混合することによりゲル化するものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の塗布具。
【0022】
(13) 前記第1の液体と前記第2の液体は、それらを混合することにより生体組織の癒着防止材となるものである上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の塗布具。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の塗布具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の塗布具の第1実施形態を示す側面図、図2は、図1に示す塗布具の分解斜視図、図3は、図1に示す塗布具おける塗布具本体および連結部材を正面側から見た斜視図、図4は、図3中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大図、図5は、図1に示す塗布具における連結部材付近の側面図、図6は、図1に示す塗布具の背面図、図7は、図1に示す塗布具におけるノズル付近の縦断面図、図8は、図1に示す塗布具の使用状態の一例を示す図、図11は、図1に示す塗布具に装填される第1のシリンジ(第2のシリンジも同様)の部分縦断面図である。
【0024】
なお、説明の都合上、図1、図2、図5および図7中の左側を「先端」、右側を「後端(基端)」といい、図8および図11中の下側を「先端」、上側を「後端」という。また、図1〜図6中、上側を「上」といい、下側を「下」という。また、図2では、ノズルを省略して描いており、図5および図6では、第1のシリンジおよび第2のシリンジを省略して描いている。
【0025】
図1および図2に示すように、塗布具1は、塗布具本体7と、塗布具本体7に並列に装填される第1のシリンジ(第1の貯留部)2および第2のシリンジ(第2の貯留部)3と、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3にそれぞれ充填された第1の液体L1および第2の液体L2を噴出するノズル4と、連結部材8とを有している。
【0026】
まず、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の構成について説明する。第1のシリンジ2と第2のシリンジ3とは、ほぼ同様の構成であるため、代表的に第1のシリンジ2について説明する。
【0027】
図11に示すように、第1のシリンジ2は、外筒(シリンジ外筒)21と、外筒21内で摺動し得るガスケット24と、ガスケット24を外筒21の長手方向(軸方向)に沿って移動操作する押し子(プランジャロッド)26とを備えている。ガスケット24は、押し子26の先端に連結されている。
【0028】
外筒21は、有底筒状の部材で構成され、先端側底部の中央部には、外筒21の胴部に対し縮径した縮径部(口部)22が一体的に突出形成されている。
外筒21の後端外周には、フランジ23が一体的に形成されている。
また、外筒21の外周面には、液量を示す目盛りが付されている。
【0029】
外筒21の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であり、かつ水蒸気透過性が低い点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステルのような樹脂が好ましい。なお、外筒21の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。
【0030】
このような外筒21内には、弾性材料で構成されたガスケット24が収納されて(挿入されて)いる。ガスケット24の外周部には、複数(2つ)のリング状の突部が全周にわたって形成されており、これらの突部が外筒21の内周面に密着しつつ摺動することで、液密性をより確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。
【0031】
また、ガスケット24には、その後端面に開放する中空部25が形成されている。この中空部25は、後述する押し子26のヘッド部28が螺入(嵌入)される。中空部25の内面には、雌ネジが形成されている。
【0032】
ガスケット24の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
【0033】
押し子26は、横断面が十文字状をなす棒状の本体部27を有している。
本体部27の先端側には、ガスケット24の中空部25内に挿入され、ガスケット24と連結されるヘッド部(連結部)28が形成されている。ヘッド部28の外周には、中空部25の内面の雌ネジと螺合し得る雄ネジが形成されている。この雄ネジを雌ネジと螺合することにより、ガスケット24と押し子26とが連結される。なお、ガスケット24と押し子26は、螺合による連結に限らず、例えば凹凸嵌合等により連結された構成、接着、融着等により固着された構成、一体成形された構成であってもよい。
【0034】
また、本体部27の後端側には、円盤状のフランジ29が形成されている。
また、押し子26の構成材料としては、前述した外筒21の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0035】
第1のシリンジ2は、塗布具1に装填される以前に、外筒21とガスケット24とで囲まれた空間(貯液空間)20に、後述する第1の液体L1が充填される。
【0036】
第2のシリンジ3も、第1のシリンジ2と同様に、外筒21と、外筒21内で摺動し得るガスケット24と、ガスケット24を移動操作する押し子26とで構成され、空間20に第2の液体L2が充填される。各部の構成は同様であるため、その説明は省略する。
【0037】
このように第1の液体L1を第1のシリンジ2に充填し(貯留し)、第2の液体L2を第2のシリンジ3に充填することにより、第1の液体L1および第2の液体L2を患部に供給する以前に、第1の液体L1と第2の液体L2とが混合するのを確実に防止することができる。
【0038】
第1のシリンジ2に充填される第1の液体L1と、第2のシリンジ3に充填される第2の液体L2とは、それらの組成(成分)が異なるものである。
【0039】
本発明においては、第1の液体L1と第2の液体L2とは、塗布具1の用途、使用目的、症例等に応じて適宜選定される。例えば、生体組織接着材の投与に使用する場合、第1の液体L1および第2の液体L2のうちの一方は、トロンビンを含有する液体(溶液等)、他方はフィブリノーゲンを含有する液体(溶液等)とすることができる。
【0040】
また、癒着防止材の投与に使用する場合、第1の液体L1および第2の液体L2のうちの一方は、スクシンイミジル基で修飾したカルボキシメチルデキストリンを含有する液体(溶液等)、他方は、リン酸水素二ナトリウムを含有する液体(溶液等)とすることができる。
【0041】
このような組み合わせの第1の液体L1および第2の液体L2は、それらを混合すると、ゲル化(固化)する。ゲル化することにより、例えば、第1の液体L1と第2の液体L2とが混合したもの(以下、「混合物」という)が、塗布された生体組織(目的部位)に確実に留まることができる。また、混合物が目的部位に確実に留まるため、当該目的部位において、生体組織接着材や癒着防止材としての機能を確実に発揮することができる。
【0042】
なお、第1の液体L1および第2の液体L2の種類および組み合わせは、上述したものに限定されないことは、言うまでもない。
【0043】
第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の両外筒21を固定した状態で、両押し子26を先端方向(図1中の矢印で示す方向)に押圧すると、両外筒21内に貯留されている第1の液体L1および第2の液体L2が、それぞれの縮径部22からノズル4に吐出(流出)する。
【0044】
第1のシリンジ2の外筒21の内径と第2のシリンジ3の外筒21の内径は、同一でも異なっていてもよい。前者の場合、両押し子26の先端方向への移動に対し、第1の液体L1と第2の液体L2をほぼ同量づつ供給する(押し出す)ことができ、ノズル4から噴出される際の第1の液体L1と第2の液体L2の混合比は、ほぼ1:1となる。後者の場合、両押し子26の先端方向への移動に対し、第1の液体L1と第2の液体L2の単位時間当たりの供給量(流量)は異なるため、ノズル4から噴出される際の第1の液体L1と第2の液体L2の混合比は、1:1以外とすることができる。この混合比は、両外筒21の内径の比に対応するため、当該内径の比を適宜設定することにより、第1の液体L1と第2の液体L2の混合比を設定することができる。例えば、第1の液体L1をトロンビンを含有する液体、第2の液体L2をフィブリノーゲンを含有する液体とした場合、混合比=第1の液体L1の噴出量:第2の液体L2の噴出量=第1のシリンジ2の外筒21の内径:第2のシリンジ3の外筒21の内径を好ましくは1:0.1〜1:10程度とすることにより、効率良く(迅速に)ゲル化させることができる。
【0045】
次に、塗布具本体7について説明する。
図1および図2に示すように、塗布具本体7は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の外筒21を並列に固定する固定部70と、固定部70(基部71)の下部に設けられたグリップ部75とを有している。
【0046】
この固定部70は、基部71と、基部71の先端に設けられた前板72と、基部71の後端に設けられた後板73と、後板73から後端方向に延在するレール部74とで構成されている。
【0047】
図2〜図4に示すように、基部71は、その上部に、横断面がほぼ半円弧状をなす凹部711および712が並列に設けられている。
【0048】
基部71の先端には、前板72が設けられている。この前板72には、凹部711および712のぞれぞれに対応する位置に、U字状をなす溝721および722が形成されている。溝721および722の幅は、それぞれ、縮径部22の外径とほぼ同等またはそれより若干大きく設定されている。
【0049】
図2に示すように、溝721および722には、それぞれ、第2のシリンジ3の縮径部22および第1のシリンジ2の縮径部22が挿入され、当該各縮径部22が前板72の先端面723から突出可能となっている。
【0050】
基部71の後端には、中空の後板73が設けられている。図2(図3も同様)に示すように、この後板73には、凹部711および712のぞれぞれに対応する位置に、U字状をなす凹部731および732が形成されている。凹部731および732の幅は、それぞれ、外筒21の外径とほぼ同等またはそれより若干大きく設定されている。
【0051】
第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を装填するとき、各フランジ23が後板73の中空部に挿入されるとともに、各外筒21が凹部731および732にそれぞれ、挿入される。これにより、各フランジ23が後板73に係合することとなる。したがって、後板73は、各フランジ23が係合する係合部として機能している。
【0052】
固定部70(塗布具本体7)では、溝721および722に各縮径部22が挿入されるとともに、後板73に各フランジ23が係合することにより、第1のシリンジ2と第2のシリンジ3とを確実に並列に固定することができる。
【0053】
また、後板73には、当該後板73からレール部74が後端方向に延設されている。図6に示すように、レール部74は、その横断面がほぼT字状をなすものである。
【0054】
基部71の下部には、グリップ部75が下方に向って突出形成されている。図1に示すように、このグリップ部75は、長尺状をなしており、片方の手(図中では、右手)の親指を除く4本の(複数の)指、すなわち、人差し指、中指、薬指および小指で握られる部位である。
【0055】
また、図1および図2に示すように、グリップ部75には、基部71との境界部(接合部)付近に、リング状の挿入部751が設けられている。この挿入部751は、人差し指が挿入される部位である(図1参照)。
【0056】
このような挿入部751が設けられていることにより、当該挿入部751に人差し指を引っ掛ける(係合させる)ことができ、よって、グリップ部75を4本の指で確実に握ることができる。また、誤って(不本意に)手がグリップ部75(塗布具1)から滑ったとしても、挿入部751が人差し指に挿通されているため(図1参照)、塗布具1が手から離脱するのを確実に防止することができる。
【0057】
なお、塗布具本体7の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。
【0058】
次に、連結部材8の構成について説明する。
図1および図2に示すように、連結部材8は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の押し子26のフランジ29(後端部)同士を連結、固定するものである。これにより、第1のシリンジ2の押し子26と第2のシリンジ3の押し子26とは、外筒21の長手方向に対し、一体となって移動することができる。
【0059】
図5(図1、図2および図6も同様)に示すように、連結部材8は、基部81と、基部81の下部に突出形成された突出部(指掛け部)82とを有している。
【0060】
図4(図2も同様)に示すように、基部81(連結部材8)には、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3のそれぞれの押し子26のフランジ29が係合する(挟持される)係合部811および812と、レール部74が挿入される開口部813とが設けられている。これらの係合部811および812は、それぞれ、互いに対向する一対の凸部814で構成されており、各凸部814によって、各フランジ29がその径方向に挟持される。これにより、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の押し子26同士を確実に連結することができる。
【0061】
図6に示すように、開口部813は、その形状がほぼ三角形状をなしている。この開口部813の角部(縁部)815、816および817は、それぞれ、横断面がT字状をなすレール部74の端部741、742および743に線接触している。
【0062】
このようにレール部74と連結部材8の基部81(開口部813)とが3箇所(複数の箇所)で線接触していることにより、レール部74と連結部材8の基部81との摺動抵抗を低減することができる。
【0063】
また、レール部74が連結部材8の移動を案内するガイド部として機能するため、連結部材8が安定して移動することができる。
【0064】
連結部材8の基部81の下部には、ブロック状(長尺状)の突出部82が設けられている。この突出部82は、各外筒21の長手方向、すなわち、連結部材8の移動方向に対しほぼ直角方向に突出したものである。
【0065】
図1に示すように、突出部82には、親指の指先のみを掛けることができる。
また、図5(図1および図2も同様)に示すように、突出部82の後端面821は、円弧状に湾曲している。これにより、親指の指先を安定して掛けることができる。
【0066】
また、突出部82の後端面821には、ドーム状(半球状)の多数の凸部822が形成されている。これにより、親指の指先で突出部82を押圧するとき、当該親指の指先が突出部82(後端面821)から滑るのを防止することができる。
【0067】
このような突出部82が設けられていることにより、塗布具1を使用するとき、人差し指、中指、薬指および小指でグリップ部75を支えつつ(把持しつつ)、親指で当該突出部82をグリップ部75に向けて容易に押圧することができる。
【0068】
なお、連結部材8の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、塗布具本体7についての説明で挙げたような材料を用いることができる。
【0069】
次に、ノズル4の構成について説明する。
図1(図2および図8も同様)に示すように、ノズル4は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3のそれぞれの縮径部22から流出した(供給される)第1の液体L1および第2の液体L2を混合しつつ、患部に供給するものである。また、このノズル4は、無菌ガス(気体)Gを供給する気体供給手段としてのコンプレッサ10に接続されている。
【0070】
ノズル4は、ブロック状をなすノズル本体41と、ノズル本体41の先端面411(先端部に)突出形成された第1の噴出口52と、ノズル本体41の先端部に設けられた混合室42と、混合室42の先端部に設けられた第2の噴出口62とを有している。
【0071】
ノズル本体41は、図7中の上側から順に、第1の流路50と、第2の流路60と、ガス流路90とが形成されている。
【0072】
第1の流路50は、その後端部51が、第1のシリンジ2の外筒21の縮径部22に液密に嵌合して接続されている(図7参照)。この第1の流路50は、第1のシリンジ2から供給された第1の液体L1が通過する。
【0073】
第2の流路60は、その後端部61が、第2のシリンジ3の外筒21の縮径部22に液密に嵌合して接続されている。この第2の流路60は、第2のシリンジ3から供給された第2の液体L2が通過する。
【0074】
ガス流路90は、その後端部91が、チューブ11を介してコンプレッサ10に気密に嵌合して接続されている。このガス流路90は、コンプレッサ10から供給された無菌ガスGが通過する。
【0075】
ノズル本体41の第1の流路50には、当該第1の流路50と連通する第1の噴出口52が接合されている。この第1の噴出口52は、管状体で構成されている。また、第1の噴出口52の内径は、第1の流路50の内径とほぼ同等となっている。
【0076】
図7に示すように、第1の噴出口52の先端開口521からは、第1の流路50を通過した第1の液体L1が先端方向に向かって噴出する。
【0077】
ノズル本体41の先端部には、箱状をなす混合室42が接合されている。この混合室42は、その内側(内腔部421)に、第2の流路60の先端開口601と、ガス流路90の先端開口901とを覆うように形成されている。また、混合室42の内腔部421には、第2の流路60およびガス流路90が連通している。
【0078】
このような構成の混合室42では、内腔部421に、ガス流路90の先端開口901からの無菌ガスGが高速に吐出する。これにより、混合室42内が減圧されて、当該高速に吐出した無菌ガスGに、第2の流路60の先端開口601から吐出した第2の液体L2が巻き込まれる(混合する)。このとき、第2の液体L2は、混合室42内で霧状となり、その状態で、第2の噴出口62から無菌ガスGとともに噴出する。
【0079】
また、混合室42の内腔部421には、第1の噴出口52のほぼ全体が位置している。
これにより、例えば、第1の噴出口52がノズル4の外方に突出した状態となるが防止され、ノズル4の小型化に寄与する。
【0080】
混合室42の先端壁部422には、当該先端壁部422を貫通するように形成された第2の噴出口62が設けられている。また、第2の噴出口62は、第1の噴出口52の先端部522の外周部に、第1の噴出口52とほぼ同心的に形成されている。これにより、第2の噴出口62は、リング状をなす。
【0081】
このように形成された第2の噴出口62からは、前述したように混合室42で混合された第2の液体L2と無菌ガスGと(以下、この混合したものを「混合流体F2」という)が、リング状に高速に噴出する。これにより、混合流体F2の内側が減圧されて、当該高速に吐出した混合流体F2に、第1の噴出口52の先端開口521から吐出した第1の液体L1が均一かつ確実に巻き込まれる(混合する)。このとき、第1の液体L1は、混合流体F2の内側で霧状となり、その状態で、霧状の混合流体F2とともに噴出する(図7中のクロスハッチングされた部分参照)。以下、第1の液体L1と混合流体F2と混合したものを「混合流体F1」という。
【0082】
また、ノズル4では、第1の噴出口52の先端開口521(先端面)と、第2の噴出口62の先端開口621(先端面)とが、ほぼ同一面上に位置している。
【0083】
これにより、第2の噴出口62から噴出した混合流体F2の減圧された内側に、第1の噴出口52から噴出した第1の液体L1が確実に巻き込まれ、よって、第1の液体L1と第2の液体L2とが均一に混合した状態となる。その結果、第1の液体L1と第2の液体L2とが均一に混合した状態の混合流体F1を患部に供給することができる。
【0084】
また、ノズル4を構成する各部位の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、塗布具本体7についての説明で挙げたような材料を用いることができる。
【0085】
また、第2の流路60の先端開口601と、ガス流路90の先端開口901とは、図8の構成では互いに離間した位置に形成されているが、互いに接近した位置に形成されている、すなわち、第2の流路60の先端開口601の近傍にガス流路90の先端開口901が形成されているのが好ましい。第2の流路60の先端開口601の近傍にガス流路90の先端開口901が形成されている場合、第2の流路60の先端開口601から吐出した第2の液体L2が混合室42の内腔部421でより確実に霧状となる。
【0086】
次に、第1の液体が充填された第1のシリンジ2と、第2の液体が充填された第2のシリンジ3とを装填した状態(図1(a)に示す状態、以下、この状態を「装填状態」という)の塗布具1の作動(作用)について説明する。
【0087】
まず、第1の液体L1が充填された第1のシリンジ2と、第2の液体L2が充填された第2のシリンジ3とを用意する。これら第1のシリンジ2および第2のシリンジ3には、それぞれ、患部に塗布するのに必要な(十分な)程度の液量の第1の液体L1および第2の液体L2が充填されている。
【0088】
塗布具1において、塗布具本体7の後板73(凹部731および732)と連結部材8の基部81(係合部811および812)との間隔が、各外筒21のフランジ23と各押し子26のフランジ29との間隔とほぼ等しくなるように、塗布具本体7に対して連結部材8を調整する(移動する)。
【0089】
この調整した状態の塗布具1に、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3をそれぞれ、装填する。換言すれば、前記調整した状態の塗布具1の塗布具本体7の溝721、凹部731および連結部材8の係合部811に、ぞれぞれ、第1のシリンジ2の縮径部22、フランジ23およびフランジ29を係合(挿入)するとともに、塗布具本体7の溝722、凹部732および連結部材8の係合部812に、ぞれぞれ、第2のシリンジ3の縮径部22、フランジ23およびフランジ29を係合(挿入)する。
【0090】
このように第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を装填することにより、塗布具1が装填状態となる。
【0091】
次に、装填状態の塗布具1の塗布具本体7(グリップ部75)の挿入部751に人差し指を挿入するとともに、挿入部751より下方のグリップ部75の部分(部位)に中指、薬指および小指を掛ける(添える)。また、連結部材8の突出部82に親指の指先を掛ける。
【0092】
これにより、装填状態の塗布具1が把持される。
把持された塗布具1によって第1の液体L1および第2の液体L2が押し出されるとき、前述したように第1の液体L1と第2の液体L2とが均一に混合し、この状態の混合流体F1が患部に塗布される。
【0093】
また、前述したように、塗布具1では、ガス流路90から噴出される無菌ガスGにより第2の液体L2を霧状にして、当該霧状の第2の液体L2と無菌ガスGとが混合した混合流体F2が第2の噴出口62から噴出する。第2の噴出口62から噴出される無菌ガスGは、さらに、第1の噴出口52から噴出する第1の液体L1を霧状にするのに寄与する。
【0094】
このようにガス流路90から噴出される無菌ガスGは、第1の液体L1および第2の液体L2の噴出に用いられる。これにより、第1の液体L1および第2の液体L2を患部に供給するときの無菌ガスGの使用量を確実に抑制することができる。
【0095】
ここで仮に、第1の流路50および第2の流路60のそれぞれに対応した、無菌ガスGを噴出する2つの流路が形成されていると、第1の液体L1および第2の液体L2のそれぞれの噴出するときに、前記各流路から無菌ガスGが噴出される。この場合、無菌ガスGの使用量が、本実施形態における無菌ガスGの使用量より多くなる。
【0096】
また、第1の液体L1が第2の液体L2より粘度が小さい場合、粘度が大なる第2の液体L2が、粘度が小なる第1の液体L1よりも先に無菌ガスGと混合することとなる。この場合、ノズル4から吐出される混合流体F1およびF2が確実に霧状となるという利点がある。
【0097】
また、塗布具1は、一回の握りで、すなわち、突出部82を押しきると第1のシリンジ2および第2のシリンジ3内の第1の液体L1および第2の液体L2がそれぞれほぼ全て噴出する、すなわち、第1の液体L1および第2の液体L2の残量をほぼ零と設定することができるよう構成されている。換言すれば、塗布具1は、押し子26同士の移動量(ストローク)をほぼ同等として、この状態の第1のシリンジ2および第2のシリンジ3をそれぞれ、装填することができるよう構成されている。
【0098】
このような構成により、一回の握りで、第1の液体L1および第2の液体L2を目的とする部位(例えば、患部)に広範囲に、かつ、効率よく塗布することができる。
【0099】
次に、塗布具1の使用方法の一例について、図8を参照しつつ説明する。
まず、開腹した状態において、腹壁201を上方へ持ち上げる。これにより、腹壁201と臓器202との間に、空間(腹腔200)が形成される。
【0100】
次に、腹壁201を持ち上げた状態を維持する。この状態で、塗布具1を図8中の矢印方向に移動させつつ、塗布具1から臓器202に向けて、混合流体F1を噴霧し、塗布する。
【0101】
このとき、前述したように混合流体F1では、第1の液体L1と第2の液体L2とが均一に混合されているため、その状態の第1の液体L1および第2の液体L2が、例えば癒着防止材となる。これにより、臓器202の表面に確実に癒着防止材層100が形成され、よって、たとえ腹壁201と臓器202とが接近したとしても、それらの癒着を防止することができる。
その後、切開部203を完全に縫合して閉じる。
【0102】
<第2実施形態>
図9は、本発明の塗布具(第2実施形態)におけるノズル付近の縦断面図である。なお、説明の都合上、図9中の左側を「先端」、右側を「後端(基端)」という。
【0103】
以下、この図を参照して本発明の塗布具の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0104】
本実施形態は、第2の噴出口の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0105】
図9に示すノズル4Aでは、管状をなす第2の噴出口62Aが設けられており、混合室42の先端壁部422から先端方向に向かって突出形成されている。また、第2の噴出口62Aには、第1の噴出口52が挿通している。
【0106】
また、第2の噴出口62は、その横断面(外径)がノズル本体41の横断面(外径)より小さく設定されている。
【0107】
このような第2の噴出口62Aが形成されていることにより、ノズル4Aの先端部の外径を、前記第1実施形態のノズル4の先端部の外径より小さく設定することができる。これにより、例えば本実施形態の塗布具1が開腹手術に用いられる場合、腹壁201の切開部203が小さいとき、当該切開部203にノズル4Aの先端部(第2の噴出口62)を容易に挿入することができる。
【0108】
<第3実施形態>
図10は、本発明の塗布具(第3実施形態)におけるノズル付近の縦断面図である。なお、説明の都合上、図10中の左側を「先端」、右側を「後端(基端)」という。
【0109】
以下、この図を参照して本発明の塗布具の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0110】
本実施形態は、ガス流路の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図10に示すノズル4Bでは、ガス流路90Aの先端部92は、第2の流路60の先端部602の外周部に形成されている。また、ガス流路90の先端部92は、第2の流路60と同心的に形成されている。
【0111】
このように形成されたガス流路90Aにより、当該ガス流路90Aから噴出した無菌ガスGに、第2の流路60の先端開口601から吐出した第2の液体L2がより確実に巻き込まれる(混合する)。このとき、第2の液体L2は、混合室42内で確実に霧状となり、その状態で、第2の噴出口62から無菌ガスGとともに噴出する。
【0112】
以上、本発明の塗布具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、塗布具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0113】
また、本発明の塗布具は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0114】
例えば、第3実施形態の第2の噴出口が、第2実施形態の第2の噴出口ように先端方向に突出していてもよい。
【0115】
また、第1の流路と第2の流路とは、互いに平行であるが、これに限定されず、例えば、第2の流路の先端開口が第1の流路側に向いていてもよい。第2の流路の先端開口が第1の流路側に向いている場合、当該第2の流路の先端開口から噴出する第2の液体は、第1の流路側に噴出することとなる。
【0116】
また、塗布具本体は、2本のシリンジが装填されるよう構成されているが、3本以上のシリンジが装填されるよう構成されていてもよい。
【0117】
また、3本以上のシリンジが装填されるよう構成されている場合、各シリンジに充填される液体の液組成が異なっており、3種類以上の液体を同時に噴出(噴霧)し、混合し得るように構成されたものでもよい。
【0118】
また、グリップ部は、人差し指、中指、薬指および小指で握られるよう構成されているのに限定されず、例えば、人差し指および中指で握られるよう構成されていてもよい。
【0119】
また、グリップ部の挿入部は、人差し指に対応する位置にのみ設けられているのに限定されず、例えば、中指、薬指および小指のそれぞれに位置にも設けられていてもよい。
【0120】
また、本発明の塗布具は、開腹手術に用いられているが、これに限定されず、例えば、内視鏡下で用いてもよいし、腹腔鏡下で用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の塗布具の第1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す塗布具の分解斜視図である。
【図3】図1に示す塗布具おける塗布具本体および連結部材を正面側から見た斜視図である。
【図4】図3中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大図である。
【図5】図1に示す塗布具における連結部材付近の側面図である。
【図6】図1に示す塗布具の背面図である。
【図7】図1に示す塗布具におけるノズル付近の縦断面図である。
【図8】図1に示す塗布具の使用状態の一例を示す図である。
【図9】本発明の塗布具(第2実施形態)におけるノズル付近の縦断面図ある。
【図10】本発明の塗布具(第3実施形態)におけるノズル付近の縦断面図である。
【図11】図1に示す塗布具に装填される第1のシリンジ(第2のシリンジも同様)の部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0122】
1 塗布具
2 第1のシリンジ(第1の貯留部)
20 空間
21 外筒(シリンジ外筒)
22 縮径部(口部)
23 フランジ
24 ガスケット
25 中空部
26 押し子(プランジャロッド)
27 本体部
28 ヘッド部(連結部)
29 フランジ
3 第2のシリンジ(第2の貯留部)
4、4A、4B ノズル
41 ノズル本体
411 先端面
42 混合室
421 内腔部
422 先端壁部
50 第1の流路
51 後端部
52 第1の噴出口
521 先端開口
522 先端部
60 第2の流路
601 先端開口
602 先端部
61 後端部
62、62A 第2の噴出口
621 先端開口
7 塗布具本体
70 固定部
71 基部
711、712 凹部
72 前板
721、722 溝
723 先端面
73 後板
731、732 凹部
74 レール部
741、742、743 端部
75 グリップ部
751 挿入部
8 連結部材
81 基部
811、812 係合部
813 開口部
814 凸部
815、816、817 角部
82 突出部(指掛け部)
821 後端面
822 凸部
90、90A ガス流路
901 先端開口
91 後端部
92 先端部
10 コンプレッサ
11 チューブ
100 癒着防止材層
200 腹腔
201 腹壁
202 臓器
203 切開部
F1、F2 混合流体
L1 第1の液体
L2 第2の液体
G 無菌ガス(気体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液組成が異なる第1の液体および第2の液体をそれぞれが混合しないように貯留する第1の液体貯留部および第2の液体貯留部と、気体を供給する気体供給手段に接続され、該気体供給手段から供給された気体とともに、前記第1の液体貯留部および前記第2の液体貯留部からそれぞれ供給される前記第1の液体および前記第2の液体を混合しつつ患部に供給するノズルとを備える塗布具であって、
前記ノズルは、前記第1の液体および前記第2の液体の一方と、前記気体供給手段から供給される気体とを混合した後、該混合された当該液体と気体と、前記第1の液体および前記第2の液体の他方とを混合しつつ噴出するよう構成されていることを特徴とする塗布具。
【請求項2】
液組成が異なる第1の液体および第2の液体をそれぞれが混合しないように貯留する第1の液体貯留部および第2の液体貯留部と、気体を供給する気体供給手段に接続され、該気体供給手段から供給された気体とともに、前記第1の液体貯留部および前記第2の液体貯留部からそれぞれ供給される前記第1の液体および前記第2の液体を混合しつつ患部に供給するノズルとを備える塗布具であって、
前記ノズルは、
前記第1の液体貯留部に接続され、該第1の液体貯留部から供給された前記第1の液体が通過する第1の流路と、前記第2の液体貯留部に接続され、該第2の液体貯留部から供給された前記第2の液体が通過する第2の流路と、前記気体供給手段に接続され、該気体供給手段から供給された気体が通過するガス流路とを有するノズル本体と、
前記ノズル本体の先端部に突出形成され、前記第1の流路を通過した前記第1の液体が噴出する第1の噴出口と、
前記ノズル本体に設けられ、前記第2の流路から送り込まれた前記第2の液体と、前記ガス流路から送り込まれた気体とが混合する混合室と、
前記第1の噴出口の外周部に該第1の噴出口とほぼ同心的に形成され、前記混合室で混合された第2の液体と気体とが噴出する第2の噴出口とを有することを特徴とする塗布具。
【請求項3】
前記第1の噴出口の先端面と、前記第2の噴出口の先端面とは、ほぼ同一面上に位置している請求項2に記載の塗布具。
【請求項4】
前記第1の噴出口は、その少なくとも一部が前記混合室内に位置している請求項2または3に記載の塗布具。
【請求項5】
前記第2の噴出口は、前記混合室から先端方向に向かって突出形成されている請求項2ないし4のいずれかに記載の塗布具。
【請求項6】
前記第2の噴出口は、その外径が前記ノズル本体の外径より小さい請求項5に記載の塗布具。
【請求項7】
前記ガス流路の先端部は、前記第2の流路の先端部の外周部に形成されている請求項2ないし6のいずれかに記載の塗布具。
【請求項8】
前記第1の液体は、前記第2の液体より粘度が大きい請求項2ないし7のいずれかに記載の塗布具。
【請求項9】
前記第1の液体は、前記第2の液体より粘度が小さい請求項2ないし7のいずれかに記載の塗布具。
【請求項10】
前記第1の液体貯留部および前記第2の液体貯留部は、それぞれ、シリンジ外筒と、前記シリンジ外筒内に挿入されたガスケットと、前記ガスケットを前記シリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とを有する請求項1ないし9のいずれかに記載の塗布具。
【請求項11】
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記シリンジ外筒を並列に固定する固定部と、前記塗布具を使用するときに把持されるグリップ部とを有する塗布具本体と、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記押し子の後端部同士を連結する連結部材とをさらに備えている請求項10に記載の塗布具。
【請求項12】
前記第1の液体と前記第2の液体は、それらを混合することによりゲル化するものである請求項1ないし11のいずれかに記載の塗布具。
【請求項13】
前記第1の液体と前記第2の液体は、それらを混合することにより生体組織の癒着防止材となるものである請求項1ないし12のいずれかに記載の塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−159858(P2007−159858A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360867(P2005−360867)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】