説明

塗布容器

【課題】オーバーキャップが不用意に取り外されるのを防止することができる塗布容器を提供することを目的とする。
【解決手段】容器2と、容器口部2aに装着された塗布部材3と、塗布部材3を覆うオーバーキャップ4と、を備える塗布容器1であって、オーバーキャップ4には、口部2aに螺着された内キャップ10と、内キャップ10に被着された押し下げ可能な外キャップ20と、少なくとも外キャップ20が押し下げられた状態において外キャップ20を上方に付勢する付勢部材30と、が備えられ、塗布部材3の塗布面50に流通孔51が形成され、流通孔51の内側に塗布栓6が上方付勢状態で出没可能に挿通され、外キャップ20には、塗布栓6を押し下げる押下部25と、内キャップ10に設けられた第一係合部15の上方に配置されているとともに、外キャップ20が押し下げられた状態において第一係合部15に係合する第二係合部23と、が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤等の内容物を塗布するための塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の塗布容器として、従来、例えば特許文献1に示されているような、内容物が収容される容器と、容器の口部に装着されて容器内の内容物を流出させて塗布する塗布部材と、容器口部に螺着されて塗布部材を覆うオーバーキャップと、を備える構成が知られている。この塗布容器を使用する際には、まず、オーバーキャップを容器口部から取り外す。その後、塗布部材の塗布面を被塗布面に押し当てて、被塗布面に内容物を塗布する。
【特許文献1】実用新案登録第2553493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の塗布容器では、オーバーキャップと容器とをキャップ軸回りに相対回転させるだけでオーバーキャップが取り外されるので、例えば子供等でもオーバーキャップを簡単に取り外すことができる。このため、オーバーキャップが不用意に取り外される場合がある。
【0004】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、オーバーキャップが不用意に取り外されるのを防止することができる塗布容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る塗布容器は、内容物が収容される容器と、該容器の口部に装着されて前記容器内の内容物を流出させて塗布する塗布部材と、該塗布部材を覆うオーバーキャップと、を備える塗布容器であって、前記オーバーキャップには、前記口部に螺着された内キャップと、該内キャップに被着されているとともに該内キャップに対して相対的にキャップ軸方向に押し下げ可能な外キャップと、少なくとも前記外キャップが押し下げられた状態において当該外キャップを上方に付勢する付勢部材と、が備えられ、前記塗布部材の塗布面には、キャップ軸方向に延在するとともに前記容器の内部に連通された流通孔が形成され、該流通孔の内側には、上部が前記塗布面の上方に突出されているとともに前記流通孔を閉塞する塗布栓が、上方付勢状態で出没可能に挿通されており、前記外キャップには、当該外キャップが押し下げられることで前記塗布栓を押し下げて前記流通孔を開放させる押下部と、前記内キャップに設けられた第一係合部の上方に配置されているとともに、当該外キャップが押し下げられた状態において前記第一係合部に対してキャップ軸回り方向から係合する第二係合部と、が備えられていることを特徴としている。
【0006】
このような特徴により、使用前の状態においては、外キャップに設けられた第二係合部が内キャップに設けられた第一係合部の上方に配置されている。これにより、第一係合部と第二係合部とが互いに係合されないので、外キャップがキャップ軸回りに回転しても内キャップは回転せず、口部に螺着された内キャップが緩められない。つまり、外キャップを回転させるだけではオーバーキャップは外れない。
一方、使用時には、まず、外キャップをキャップ軸方向に押し下げる。これにより、外キャップに設けられた第二係合部が内キャップに設けられた第一係合部に対して係合可能となる。続いて、外キャップを押し下げたままキャップ軸回りに回転させる。このとき、外キャップの第二係合部が内キャップの第一係合部に係合されるので、外キャップと共に内キャップがキャップ軸回りに回転する。これにより、口部に螺着された内キャップが緩められ、オーバーキャップが口部から取り外される。
また、オーバーキャップが口部から取り外されると、付勢部材によって外キャップが上方に付勢され、外キャップは内キャップに対して相対的に押し上げられる。これにより、外キャップの第二係合部が内キャップの第一係合部の上方に配置され、第一係合部と第二係合部とが互いに係合されない状態に戻る。
さらに、オーバーキャップの取り外し後、塗布部材の塗布面を被塗布面に押し当てることにより、流通孔から突出した塗布栓が被塗布面によって容器内方側に押し込まれる。これにより、流通孔が開放され、容器内の内溶液が流通孔を通って吐出されて被塗布面に塗布される。このとき、例えば揮発性の高い内容物を容器に収容したり、容器が高温に晒されたりすることで容器の内圧が上昇すると、塗布時に必要以上に多い内容物が噴出するおそれがあるが、本発明に係る塗布容器では、容器の内圧が上昇した場合であっても、外キャップをキャップ軸方向に押し下げたとき、外キャップと共に押下部が下降し、この押下部が塗布栓を下方に押し下げることで流通孔が開放されるので、流通孔から容器内の圧力が抜けて容器の内圧が低下する。
【0007】
また、本発明に係る塗布容器は、前記内キャップに、キャップ径方向に弾性変形可能な連結部を介して第三係合部が設けられ、前記外キャップに、前記口部に対する前記内キャップの締込み方向の後方側から前記第三係合部に係合するとともに、前記連結部がキャップ径方向に弾性変形することで前記口部に対する前記内キャップの緩み方向の後方側から前記第三係合部を通過する第四係合部が設けられていることが好ましい。
【0008】
これにより、使用後に、オーバーキャップを口部に被せ、その後、口部に対する内キャップの締込み方向と同方向に外キャップをキャップ軸回りに回転させる。このとき、外キャップに設けられた第四係合部が、内キャップに設けられた第三係合部に対して、内キャップの締込み方向の後方側から係合されるので、外キャップと共に内キャップが締込み方向に回転する。これにより、内キャップが口部に締め込まれて螺着され、オーバーキャップが口部に装着される。つまり、外キャップを押し下げることなく、外キャップを回転させるだけで、オーバーキャップが口部に装着される。
一方、オーバーキャップ4を取り外す際、口部に対する内キャップの緩み方向と同方向に外キャップを回転させると、外キャップの第四係合部が内キャップの第三係合部に当接するが、連結部がキャップ径方向に弾性変形し、第四係合部は緩み方向の後方側から第三係合部を通過してキャップ軸回りに移動する。したがって、外キャップを緩み方向に回転させても内キャップは回転せず、口部に螺着された内キャップが緩められない。つまり、外キャップを回転させるだけではオーバーキャップは外れない。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る塗布容器によれば、オーバーキャップを取り外すには外キャップを押し下げながら回転させる必要があり、外キャップを回転させただけではオーバーキャップが外れないため、オーバーキャップが不用意に取り外されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る塗布容器の第1、第2の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0011】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について図1から図4に基いて説明する。
図1は本実施の形態における塗布容器1の縦断面図であり、図2は図1に示すA−A間の横断面図であり、図3は後述する第一係合部15、連結部16及び第三係合部17を表す部分斜視図であり、図4は後述する外キャップ20を押し下げた状態を表す塗布容器1の縦断面図である。
なお、図1に示す一点鎖線Oは、後述するオーバーキャップ4の中心軸線を表しており、以下、単に「軸線O」と記す。また、この軸線Oに沿った方向(キャップ軸方向)を「軸方向」とし、軸線Oに直交する方向(キャップ径方向)を「径方向」とし、軸線O回りの方向(キャップ軸回り方向)を「周方向」とする。また、図1に示すオーバーキャップ4側(図1における上側)を「上」とし、その反対側(図1における下側)を「下」とする。
【0012】
図1、図2に示すように、塗布容器1は、液剤等の内容物を被塗布面に塗布するための容器であり、その概略構成としては、内容物が収容される容器2と、容器2の口部2aに装着されて容器2内の内容物を流出させて塗布する塗布部材3と、塗布部材3を覆う着脱可能なオーバーキャップ4と、を備えている。
容器2は、軸方向に延在する有底筒状のボトル容器であり、その上端部分に略円筒形状の口部2aが設けられている。この口部2aは、軸線Oを中心軸線にして軸方向に延設されており、口部2aの外周面には雄ネジ2bが形成されている。
【0013】
塗布部材3は、口部2aに装着され、先端(上端)の塗布面50に流通孔51が形成された流通筒5と、流通孔51に上方付勢状態で出没可能に挿通された塗布栓6と、流通筒5に連結された導入筒7と、塗布栓6を上方(容器2の外側)に向けて付勢する第一付勢部材8と、を備えている。
【0014】
流通筒5は、軸線Oを共通軸にして口部2aと同軸上に配設された筒部であり、その内部が導入筒7を介して容器2内に連通されている。流通筒5の下部は、口部2aの内側に密嵌されており、流通筒5の上部は、口部2aの上側開口部から上方に向けて突出されている。流通筒5の上部は、上方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー形状を成しており、その先端面(塗布面50)には、軸方向に延在する流通孔51が形成されている。この流通孔51は、軸線O上に配設された貫通孔であり、流通筒5内及び導入筒7内を介して容器2の内部に連通される。また、流通孔51の下端部には、後述する塗布栓6の弁部60が着座された弁座面53が形成されている。この弁座面53は、下方に向かうに従い漸次拡径されたテーパー面であり、その下端は流通筒5の内周面に連なって形成されている。また、流通筒5の軸方向中間部には、径方向外側に向けて突出したフランジ部52が全周に亘って設けられており、この環状のフランジ部52は口部2aの上端面に載置されている。また、フランジ部52の下面には、環状の凸部52aが全周に亘って形成されており、この凸部52aによってフランジ部52の下面と口部2aの上端面との間がシールされている。
【0015】
塗布栓6は、流通孔51を閉塞する栓体であり、その概略構成としては、有頂筒状の弁部60と、弁部60の上面に立設された挿通部61と、を備えている。弁部60は、外径が流通孔51の内径よりも大きく流通筒5の内径よりも小さい略円筒形状の筒部であり、流通筒5の内側に配置されている。この弁部60の上端の外縁部には、上方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー状の当接面62が形成されている。この当接面62は、上記した弁座面53に対して下方から当接されており、これにより、当接面62と弁座面53との間がシールされて流通孔51が閉塞されている。挿通部61は、軸線O上に延設された柱状部であり、その外周面には、軸方向に延設された凹溝63が全長に亘って形成されている。この凹溝63は、内容物が流通可能な溝部であり、挿通部61の周方向に間隔をあけて複数形成されている。また、塗布栓6(挿通部61)の上部は、流通孔51の上側開口部から塗布面50の上方に向かって突出されている。
【0016】
導入筒7は、軸線Oを共通軸にして流通筒5と同軸上に配設された有頂筒状の筒部であり、その内部が流通筒5内及び容器2内にそれぞれ連通されている。導入筒7の上部は、上方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー形状を成しており、流通筒5内に挿入されている。この導入筒7の上部の周壁部には、内容物が流通可能な連通口70が形成されている。導入筒7の下部は、流通筒5の下側開口部から下方(容器2の内側)に向かって突出されており、導入筒7の下端は、容器2の内部に向けて開放されている。また、導入筒7の下端部には、導入筒7の下端から上方に延びた側面開口部73が形成されている。導入筒7の軸方向中間部には、径方向外側に向けて突出したフランジ部71が設けられており、このフランジ部71は流通筒5の下端面に当接されている。また、導入筒7の軸方向中間部には、第一付勢部材8の下端を支持する筒状の受部72が外装されている。この受部72は、導入筒7の軸方向中間部に圧入嵌合され、フランジ部71の上方に配設されており、受部72の下端面はフランジ部71の上面に当接されている。また、受部72は、流通筒5の下端部の内側にアンダーカット嵌合されている。
【0017】
第一付勢部材8は、軸線O回りに螺旋状に延びる樹脂バネからなり、塗布栓6の弁部60の下端面と導入筒7の受部72の上端面との間に介装されている。第一付勢部材8の上端部は、弁部60の下端部と一体に形成されており、第一付勢部材8の下端部は、受部72の上端部と一体に形成されている。つまり、塗布栓6、受部72及び第一付勢部材8は、一体に形成されている。
【0018】
オーバーキャップ4は、口部2aに螺着された内キャップ10と、内キャップ10に被着されているとともに内キャップ10に対して相対的に軸方向に押し下げ可能な外キャップ20と、少なくとも外キャップ20が押し下げられた状態において当該外キャップ20を上方に付勢する第二付勢部材30(本発明の付勢部材に相当する。)と、を備えている。
【0019】
内キャップ10は、塗布部材3を覆うキャップ体であり、外キャップ20の内側に収容されている。この内キャップ10には、軸線Oに対して垂直に配設された円環状の天壁部11と、天壁部11の外縁から垂下された円筒形状の周壁部12と、天壁部11の内縁から立設された立上り筒部13と、立上り筒部13の先端(上端)に設けられた先端壁部14と、立上り筒部13の外周面に設けられた第一係合部15と、第一係合部15及び連結部16を介して立上り筒部13に設けられた第三係合部17と、が備えられている。
【0020】
天壁部11は、軸線O回りに円環状に延在する板部であり、流通筒5のフランジ部52の上面に載置されている。周壁部12は、口部2aの径方向外側に周設された壁部であり、この周壁部12の内周面には、口部2aの雄ネジ2bに螺合される雌ネジ12aが形成されている。また、周壁部12の外周面の下部には、径方向外側に突出した凸状の第五係合部18が全周に亘って形成されている。立上り筒部13は、上方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー状の筒部であり、この立上り筒部13の内側には、上記した流通筒5の上部が収容されている。先端壁部14は、立上り筒部13の上端を閉塞する壁部であり、外径が上方に向かうに従い漸次縮径された円錐台形状を成している。この先端壁部14の下面の中央部分には、軸線O上に延設された有頂孔状の凹部14aが形成されている。この凹部14aの内側には、塗布面50の上方に突出した塗布栓6(挿通部61)の上部が挿入されている。また、先端壁部14には、軸線O上に延設された貫通孔14bが形成されている。この貫通孔14bは、先端壁部14の上面から凹部14aの上面(天井面)まで延びており、この貫通孔14bの内側には、後述する押下部25が挿通されている。また、貫通孔14bの内周面には、環状の凸部14cが全周に亘って形成されており、この凸部14cによって貫通孔14bの内周面と押下部25の外周面との間がシールされている。また、先端壁部14の下面(内キャップ10の内方側の面)の外周部分には、環状の凸部14dが全周に亘って形成されており、この凸部14dによって先端壁部14の下面と流通筒5の上端面(塗布面50)とがシールされている。
【0021】
第一係合部15は、図1〜図3に示すように、立上り筒部13の外周面に突設された軸方向に延在する略角柱形状の壁部である。この第一係合部15は、周方向に間隔をあけて複数(図2では4つ)配設されている。また、第一係合部15の周方向一方側(図2に示す矢印Bの方向)の側面は、外キャップ20の押し下げ時に後述する第二係合部23に係合する係合面15aとなっている。この係合面15aは、軸方向に延設された平面部であり、径方向に沿って形成されている。また、第一係合部15の上端部の周方向他方側(図2に示す矢印Cの方向)の側面には、周方向他方側に向かって下向きに傾斜した傾斜面15bが形成されている。なお、第一係合部15の上端部は、連結部16の上端面よりも上方に突出されている。
【0022】
なお、上記した「周方向一方側」(図2に示す矢印Bの方向)が、口部2aに対する内キャップ10の締込み方向、つまり、内キャップ10を口部2aに螺合させる際の内キャップ10の回転方向であり、上記した「周方向他方側」(図2に示す矢印Cの方向)が、口部2aに対する内キャップ10の緩み方向、つまり、口部2aに螺着された内キャップ10を取り外す際の内キャップ10の回転方向である。
【0023】
連結部16は、径方向に弾性変形可能な壁部であり、周方向に延在する湾曲形状の弾性部材(弾性腕)である。この連結部16は、第一係合部15の外面(径方向外側の側面)から周方向他方側に向けて延設されている。つまり、連結部16の一端部(周方向一方側の端部)は第一係合部15の外面に連結されている。
【0024】
第三係合部17は、軸方向に延設された平面視略扇形状の柱状部であり、連結部16の他端部(周方向他方側の端部)に設けられている。この第三係合部17は、連結部16の外面(径方向外側の側面)よりも径方向外側に突出されており、先端側(周方向他方側)に向かうに従い漸次拡幅されている。この第三係合部17の先端面(周方向他方側の側面)は、オーバーキャップ4の締込み時に後述する第四係合部24に係合する係合面17aとなっている。この係合面17aは、軸方向に延設された平面部であり、径方向に沿って形成されている。一方、第三係合部17の基端面(周方向一方側の側面)は、内キャップ10を緩める方向に外キャップ20を回転させた場合において、当該第三係合部17が後述する第四係合部24を乗り越える際に第四係合部24に摺接する摺接面17bとなっている。この摺接面17bは、軸方向に延設された湾曲面部であり、平面視円弧形状に形成されている。
なお、上記した複数の第一係合部15、連結部16及び第三係合部17は、軸線Oに対して回転対称に配設されている。
【0025】
図1、図2に示すように、外キャップ20には、軸線Oに対して垂直に配設された天壁部21と、天壁部21の外縁から垂下された円筒形状の周壁部22と、天壁部21の下面外周部から垂下された第二係合部23と、周壁部22の内周面に突設された第四係合部24と、天壁部21の下面中央部から垂下された押下部25と、が備えられている。
【0026】
天壁部21は、円盤状の板部であり、内キャップ10の先端壁部14の上方に配設されている。周壁部22は、内径が内キャップ10の周壁部12の外径よりも大きい筒部であり、内キャップ10の周壁部12の下端部分まで延在されている。また、周壁部22の下端部の内周面には、内キャップ10の第五係合部18に対して下方から係合する凸状の第六係合部26が全周に亘って形成されている。また、この周壁部22の下端と容器2の肩部2cの上面との間には、少なくとも外キャップ20の押し下げストロークよりも大きい隙間があけられている。
【0027】
第二係合部23は、軸方向に延在する平板状の板部である。この第二係合部23は、周壁部22の内周面から径方向内側に向かって垂直に形成されており、第二係合部23は径方向に沿って配置されている。また、第二係合部23の上端は前記天壁部21に連設されている。この第二係合部23は、周方向に間隔をあけて複数(図2では4つ)配設されており、これらの第二係合部23は、平面視において、上記した第一係合部15の周方向一方側にそれぞれ配置されている。この第二係合部23は、外キャップ20が押し下げられていない状態において、上記した第一係合部15の上方に配置されている。つまり、第二係合部23の下端は第一係合部15の上端よりも上方に配置されている。一方、図4に示すように、外キャップ20が押し下げられた状態においては、第二係合部23の下端部は、第一係合部15の上端部に対して周方向から係合される。なお、第二係合部23は、外キャップ20が押し下げられた状態であっても、上記した連結部16や第三係合部17の上方に配置されており、連結部16や第三係合部17に対して係合されない。
【0028】
第四係合部24は、締込み方向(矢印B方向)の後方側から上記した第三係合部17に係合するとともに、連結部16が径方向に弾性変形することで緩み方向(矢印C方向)の後方側から第三係合部17を通過する係合部である。具体的に説明すると、第四係合部24は、軸方向に延在する平面視略三角形状の凸リブ部であり、周壁部22の内周面の上端(天壁部21の下面)から少なくとも上記した第三係合部17の位置まで延設されている。本実施の形態における第四係合部24は、第三係合部17の下端面の下側まで延設されている。この第四係合部24は、周方向に間隔をあけて複数(図2では4つ)配設されており、第四係合部24の上部は、上記した第二係合部23に連結されている。第四係合部24の周方向一方側の側面は、オーバーキャップ4の締込み時に上記した第三係合部17の係合面17aに係合される係合面24aとなっている。この係合面24aは、周壁部22の内周面から径方向内側に向かって垂直に突出された平面部であり、径方向に沿って形成されている。また、係合面24aの上部は、第二係合部23の周方向一方側の表面と面一に形成されている。一方、第四係合部24の他方側の側面は、内キャップ10を緩める方向に外キャップ20を回転させた場合において、当該第四係合部24が第三係合部17を通過する際に第三係合部17の湾曲面状の摺接面17bに摺接する摺接面24bとなっている。この摺接面24bは、上記した係合面24aに対して略垂直に形成された平面部であり、外キャップ20(周壁部22)の内周面に対して傾斜されている。すなわち、摺接面24bは、周方向一方側に向かうに従い漸次径方向内側に傾いた傾斜面となっている。
【0029】
押下部25は、軸線O上に延設されたピン状の部材であり、外キャップ20が押し下げられることで上記した塗布栓6を押し下げて流通孔51を開放させる部材である。この押下部25は、上記した内キャップ10の先端壁部14の貫通孔14bの内側に挿通されており、その先端部が下方に向かうに従い漸次縮径されている。この押下部25は、外キャップ20が押し下げられていない状態においては、その先端(下端)と塗布栓6の上端面との間に隙間をあけて配置されている。
【0030】
第二付勢部材30は、外キャップ20の天壁部21から軸方向に沿って垂下された複数の壁部31からなり、これら複数の壁部31は、外キャップ11と一体に形成されている。壁部31は、周方向に沿って湾曲された平面視円弧状の板部であり、径方向外側に向けて弾性的に撓み変形可能である。複数の壁部31は、周方向に間隔をあけて配設されており、押下部25の周りに周設されている。また、複数の壁部31(第二付勢部材30)の下端は、内キャップ10の先端壁部14のテーパー状の外周面に当接されている。つまり、第二付勢部材30は、内キャップ10の先端壁部14と外キャップ20の天壁部21との間に介在されている。そして、この第二付勢部材30を介して外キャップ20が内キャップ10に支持されており、これにより、内キャップ10と外キャップ20との相対的な軸方向位置関係が保持されている。
【0031】
次に、上記した構成からなる塗布容器1の作用について説明する。
【0032】
まず、使用前の塗布容器1は、図1に示すように、外キャップ20が第二付勢部材30を介して内キャップ10に支持されており、外キャップ20は押し上げられた状態で保持されている。このとき、外キャップ20の第二係合部23が内キャップ10の第一係合部15の上方に配置される。したがって、外キャップ20を周方向他方側(緩み方向/図2に示すC方向)に回転させても、第一係合部15と第二係合部23とが互いに係合されない。また、外キャップ20を周方向他方側に回転させると、外キャップ20の第四係合部24が内キャップ10の第三係合部17に当接するが、このとき、連結部16が径方向内側に弾性変形するとともに、第四係合部24の摺接面24bが第三係合部17の摺接面17b上を摺動し、第四係合部24は周方向一方側(緩み方向の後方側)から第三係合部17を通過して周方向他方側へ移動する。したがって、外キャップ20が軸線O回りに回転しても内キャップ10は回転せず、口部2aに螺着された内キャップ10が緩められることはない。つまり、外キャップ20を回転させるだけでは外キャップ20が空回りするため、オーバーキャップ4は外れない。
また、外キャップ20の第六係合部26が内キャップ10の第五係合部18に係止されており、これにより、内キャップ10に対して外キャップ20が抜け止めされ、内キャップ10から外キャップ20が外れることが防止されている。
【0033】
一方、塗布容器1を使用する際には、まず、図4に示すように、外キャップ20を軸方向に沿って押し下げる。これにより、外キャップ20の第二係合部23の下端部が内キャップ10の第一係合部15の上端部に対して周方向から係合可能となる。
また、外キャップ20が押し下げられると、外キャップ20と共に押下部25が下降するため、押下部25の先端によって塗布栓6の上端面が押圧され、第一付勢部材8が弾性的に圧縮されるとともに塗布栓6が下方に押し下げられる。これにより、流通孔51の弁座面53から塗布栓6の弁部60の当接面62が離間し、流通孔51が開放される。
また、外キャップ20が押し下げられると、外キャップ20と共に第二付勢部材30が下降するため、第二付勢部材30が下降するとともに第二付勢部材30の壁部31が先端壁部14のテーパー状の外周面に押圧されて径方向外側に弾性的に撓み変形する。
【0034】
次に、外キャップ20を押し下げた状態のまま、外キャップ20を周方向他方側(緩み方向)に回転させる。このとき、外キャップ20の第二係合部23の下端部が内キャップ10の第一係合部15の係合面15aの上端部に当接し、第二係合部23が第一係合部15に対して緩み方向の後方側から係合されるので、外キャップ20が周方向他方側に回転するとともに内キャップ10が周方向他方側に回転する。これにより、口部2aに螺着された内キャップ10が緩められ、オーバーキャップ4が口部2aから取り外される。
【0035】
また、口部2aに螺着された内キャップ10が緩められると、口部2aに対して内キャップ10が相対的に上昇するため、内キャップ10の先端壁部14の下面(凸部14d)が流通筒5の塗布面50から離間し、先端壁部14の下面と流通筒5の塗布面50とのシールが解除される。一方、上述したように外キャップ20が押し下げられることにより流通孔51が開放されている。したがって、仮に容器2の内圧が上昇した場合であっても、容器2内の圧力が、流通孔51から、先端壁部14の凹部14a内、先端壁部14の下面と流通筒5の塗布面50との隙間、流通筒5の外周面と立上り筒部13の内周面との隙間、流通筒5のフランジ部52上面と内キャップ10の天壁部11の下面との隙間、及び、口部2aの雄ネジ2bと内キャップ10の周壁部12の雌ネジ12aとの隙間をそれぞれ通って容器2の外部に抜ける。これにより、容器2の内圧が低下し、容器2の内圧が外気圧と略同等となる。
【0036】
また、口部2aに螺着された内キャップ10が緩められるに従い、外キャップ20が口部2aに対して相対的に上方に移動して押下部25が上昇するため、押下部25による塗布栓6の押し下げが解除されるとともに、第一付勢部材8の弾性力(復元力)によって塗布栓6が上方に付勢されて押し上げられる。これにより、オーバーキャップ4が口部2aから取り外された時、塗布栓6(挿通部61)の上部が流通孔51の上側開口部から塗布面50の上方に突出された状態となる。
【0037】
また、オーバーキャップ4が口部2aから取り外されると、第二付勢部材30によって外キャップ20が上方に付勢され、外キャップ20が内キャップ10に対して相対的に押し上げられる。すなわち、弾性変形した壁部31の弾性力(復元力)によって外キャップ20が内キャップ10に対して相対的に軸方向上側に移動し、押し下げ前の元の位置に戻る。これにより、外キャップ20の第二係合部23が内キャップ10の第一係合部15の上方に配置され、第一係合部15と第二係合部23とが互いに係合されない状態となる。
【0038】
次に、塗布部材3によって容器2内の内容物を被塗布面に塗布する。詳しく説明すると、オーバーキャップ4を口部2aから取り外した後、容器2を傾けるとともに塗布部材3の塗布面50を被塗布面に押し当てる。これにより、塗布栓6(挿通部61)の先端面が被塗布面に押圧され、第一付勢部材8が弾性的に圧縮されるとともに塗布栓6が容器2の内方側に押し込められる。これにより、流通孔51の弁座面53から塗布栓6の弁部60の当接面62が離間し、流通孔51が開放される。そして、容器2内の内溶液が、導入筒7の側面開口部73などから導入筒7内に流入した後、導入筒7の連通口70から流通筒5内に流入し、その後、弁座面53と当接面62との隙間から流通孔51内に流入し、塗布栓6の挿通部61に形成された凹溝63の内側を通って流通孔51の先端開口部から吐出されて被塗布面に塗布される。このとき、容器2の胴部をスクイズ変形させることで容器2内の内容物を強制的に吐出させてもよい。
また、塗布部材3の塗布面50を被塗布面から離すと、被塗布面による塗布栓6の押し込みが解除されるとともに、第一付勢部材8の弾性力(復元力)によって塗布栓6が容器2の外方側に付勢されて押し出される。これにより、塗布栓6(挿通部61)の先端部が流通孔51の先端側開口部から突出された状態となる。
【0039】
また、内容物の塗布が終わった後、オーバーキャップ4を口部2aに装着させる。詳しく説明すると、まず、オーバーキャップ4を口部2aに被せ、その後、外キャップ20を周方向一方側(締込み方向)に軸線O回りに回転させる。このとき、外キャップ20の第四係合部24の係合面24aが内キャップ10の第三係合部17の係合面17aに当接し、第四係合部24が第三係合部17に対して締込み方向の後方側から係合されるので、外キャップ20が周方向一方側に回転すると共に内キャップ10が周方向一方側に回転する。これにより、内キャップ10が口部2aに締め込まれて螺着され、オーバーキャップ4が口部2aに装着される。
【0040】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図5から図8に基いて説明する。
図5は本実施の形態における塗布容器1の縦断面図であり、図6は図5に示すD−D間の横断面図であり、図7は内キャップ110を表す斜視図であり、図8は外キャップ120を押し下げた状態を表す塗布容器1の縦断面図である。
なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
図5〜図7に示すように、内キャップ110は、円環状の天壁部11と、内周面に雌ネジ12aが形成された周壁部12と、天壁部11の内縁から立設された複数(図6では4つ)の立上り壁部113と、複数の立上り壁部113の先端(上端)に設けられた先端壁部14と、天壁部11の上面に設けられた第一係合部115と、連結部116を介して天壁部11に設けられた第三係合部117と、が備えられている。
【0042】
立上り壁部113は、平面視円弧状に湾曲されていると共に軸線O方向に沿って延在する壁部である。複数の立上り壁部113は、天壁部11の内縁全周に亘って、周方向に間隔をあけて均等に配設されている。複数の立上り壁部113の上端部の内側には、先端壁部14の下端部が連結されており、先端壁部14は、複数の立上り壁部113の上端から上方に向けて突出されている。
【0043】
第一係合部115は、天壁部11の上面に突設された突出部であり、各立上り壁部113の径方向外側にそれぞれ配設され、周方向に間隔をあけて複数(図6では4つ)配設されている。第一係合部115の周方向一方側(図6に示す矢印Eの方向)の側面は、外キャップ120の押し下げ時に後述する第二係合部123に係合する係合面115aとなっている。この係合面115aは、軸方向に延設された平面部であり、径方向に沿って形成されている。また、第一係合部115の周方向他方側(図6に示す矢印Fの方向)の側面には、周方向他方側に向かって下向きに傾斜した傾斜面115bが形成されている。
【0044】
なお、上記した「周方向一方側」(図6に示す矢印Eの方向)が、口部2aに対する内キャップ110の締込み方向、つまり、内キャップ110を口部2aに螺合させる際の内キャップ110の回転方向であり、上記した「周方向他方側」(図6に示す矢印Fの方向)が、口部2aに対する内キャップ110の緩み方向、つまり、口部2aに螺着された内キャップ110を取り外す際の内キャップ110の回転方向である。
【0045】
連結部116は、天壁部11の内縁から立設されていると共に軸方向に沿って延在する壁部であり、平面視円弧形状に湾曲された壁部である。この連結部116は、径方向に向けて弾性的に撓み変形する弾性部材である。この連結部116は、周方向に隣り合う立上り壁部113の間にそれぞれ配設されている。
【0046】
第三係合部117は、軸方向に延設された平面視略直角台形状の柱状部であり、連結部116の上端部の外面に設けられている。この第三係合部117は、連結部116の外面(径方向外側の側面)よりも径方向外側に突出されており、周方向他方側に向かうに従い漸次拡幅されている。この第三係合部117の周方向他方側の側面は、オーバーキャップ4の締込み時に後述する第四係合部124に係合する係合面117aとなっている。この係合面117aは、軸方向に延設された平面部であり、径方向に沿って形成されている。一方、第三係合部117の周方向一方側の側面は、内キャップ110を緩める方向に外キャップ120を回転させた場合において、当該第三係合部117が後述する第四係合部124を乗り越える際に第四係合部124に摺接する摺接面117bとなっている。この摺接面117bは、軸方向に延設された平面部であり、周方向一方側に向かうに従い漸次径方向内側に傾いた傾斜面となっている。
なお、上記した複数の第一係合部115、連結部116及び第三係合部117は、軸線Oに対して回転対称に配設されている。
【0047】
図5、図6に示すように、外キャップ120には、軸線Oに対して垂直に配設された天壁部21と、天壁部21の外縁から垂下された筒状の周壁部122と、周壁部122の内周面に突設された第二係合部123と、周壁部122の内周面に突設された第四係合部124と、天壁部21の下面中央部から垂下された押下部25と、が備えられている。
【0048】
周壁部122は、上部が縮径された2段の筒部であり、天壁部21の外縁から垂下された上側筒部122aと、上側筒部122aよりも大径であると共に上側筒部122aの下方に配設された下側筒部122bと、上側筒部122aの下端と下側筒部122bの上端との間に介在された縦断面視略円弧状の段差部122cと、を備えている。上側筒部122aの内側には、押下部25や第二付勢部材30が配設されていると共に、内キャップ110の先端壁部14や第三係合部117が収容されている。一方、下側筒部122bの内側には、内キャップ110の天壁部11や周壁部12、第一係合部115が収容されている。なお、下側筒部122bの下端と容器2の肩部2cの上面との間には、少なくとも外キャップ120の押し下げストロークよりも大きい隙間があけられている。
【0049】
第二係合部123は、軸方向に延在する平板状の板部である。この第二係合部123は、段差部122cの下面から垂下されており、第二係合部123は径方向に沿って配置されている。この第二係合部123は、周方向に間隔をあけて複数(図6では4つ)配設されており、これらの第二係合部123は、平面視において、上記した第一係合部115の周方向一方側にそれぞれ配置されている。この第二係合部123は、外キャップ120が押し下げられていない状態において、上記した第一係合部115の上方に配置されている。つまり、第二係合部123の下端は第一係合部115の上端よりも上方に配置されている。一方、図8に示すように、外キャップ120が押し下げられた状態においては、第二係合部123は、第一係合部115に対して周方向から係合される。
【0050】
第四係合部124は、外キャップ120を締込み方向に回転させた際に、上記した第三係合部117に係合するとともに、連結部116が径方向に弾性変形することで緩み方向に回転させた際に、第三係合部117を通過する係合部である。具体的に説明すると、第四係合部124は、軸方向に延在する平面視略三角形状の凸リブ部であり、上側筒部122aの内周面の上端(天壁部21の下面)から下端まで延設されている。この第四係合部124は、周方向に間隔をあけて複数(図6では4つ)配設されており、第四係合部124は、周方向に間隔をあけて配設された第二係合部123の間に配設されている。第四係合部124の周方向一方側の側面は、オーバーキャップ4の締込み時に上記した第三係合部117の係合面117aに係合される係合面124aとなっている。この係合面124aは、上側筒部122aの内周面から径方向内側に向かって垂直に突出された平面部であり、径方向に沿って形成されている。一方、第四係合部124の他方側の側面は、内キャップ110を緩める方向に外キャップ120を回転させた場合において、当該第四係合部124が第三係合部117を通過する際に第三係合部117の摺接面117bに摺接する摺接面124bとなっている。この摺接面124bは、上記した係合面124aに対して略垂直に形成された平面部であり、外キャップ120(上側筒部122a)の内周面に対して傾斜されている。すなわち、摺接面124bは、周方向一方側に向かうに従い漸次径方向内側に傾いた傾斜面となっている。
【0051】
次に、上記した構成からなる塗布容器1の作用について説明する。
【0052】
まず、使用前の塗布容器1は、図5に示すように、外キャップ120の第二係合部123が内キャップ110の第一係合部115の上方に配置されており、外キャップ120を周方向他方側(緩み方向/図6に示すF方向)に回転させても、第一係合部115と第二係合部123とが互いに係合されない。また、外キャップ120を周方向他方側に回転させると、外キャップ120の第四係合部124が内キャップ110の第三係合部117に当接するが、このとき、連結部116が径方向内側に弾性変形するとともに、第四係合部124の摺接面124bが第三係合部117の摺接面117b上を摺動し、第四係合部124は周方向一方側から第三係合部117を通過して周方向他方側へ移動する。したがって、外キャップ120が軸線O回りに回転しても内キャップ110は回転せず、口部2aに螺着された内キャップ10が緩められることはない。
【0053】
一方、塗布容器1を使用する際には、まず、図8に示すように、外キャップ120を軸方向に沿って押し下げる。これにより、外キャップ120の第二係合部123が内キャップ110の第一係合部115に対して周方向から係合可能となる。
【0054】
次に、外キャップ120を押し下げた状態のまま、外キャップ120を周方向他方側(緩み方向)に回転させる。このとき、外キャップ120の第二係合部123が内キャップ110の第一係合部115の係合面115aに当接し、第二係合部123が第一係合部115に対して係合されるので、外キャップ120が周方向他方側に回転するとともに内キャップ110が周方向他方側に回転する。これにより、口部2aに螺着された内キャップ110が緩められ、オーバーキャップ4が口部2aから取り外される。
【0055】
また、オーバーキャップ4が口部2aから取り外されると、第二付勢部材30によって外キャップ120が上方に付勢され、外キャップ120が内キャップ110に対して相対的に押し上げられて押し下げ前の元の位置に戻る。これにより、外キャップ120の第二係合部123が内キャップ110の第一係合部115の上方に配置され、第一係合部115と第二係合部123とが互いに係合されない状態となる。
この状態で、塗布部材3によって容器2内の内容物を被塗布面に塗布する。
【0056】
また、内容物の塗布が終わった後、オーバーキャップ4を口部2aに装着させる。詳しく説明すると、まず、オーバーキャップ4を口部2aに被せ、その後、外キャップ120を周方向一方側(締込み方向)に軸線O回りに回転させる。このとき、外キャップ120の第四係合部124の係合面124aが内キャップ110の第三係合部117の係合面117aに当接し、第四係合部124が第三係合部117に対して係合されるので、外キャップ120が周方向一方側に回転すると共に内キャップ110が周方向一方側に回転する。これにより、内キャップ110が口部2aに締め込まれて螺着され、オーバーキャップ4が口部2aに装着される。
【0057】
次に、上記した第1、第2の実施の形態における塗布容器1の効果について説明する。
【0058】
上記した塗布容器1によれば、オーバーキャップ4を取り外すには外キャップ20,120を押し下げながら回転させる必要があり、外キャップ20,120を回転させただけではオーバーキャップ4が外れないため、オーバーキャップ4が不用意に取り外されるのを防止することができる。
【0059】
また、上記した塗布容器1では、オーバーキャップ4が口部2aから取り外されると、第二付勢部材30によって外キャップ20,120が上方に付勢され、第一係合部15,115と第二係合部23,123とが互いに係合されない状態に戻るので、一旦取り外されたオーバーキャップ4を口部2aに再び装着させた場合であっても、当該オーバーキャップ4は外キャップ20,120を回転させただけでは外れない。つまり、オーバーキャップ4が繰返し着脱された場合でもオーバーキャップ4の不用意な取り外しを防止することができる。
また、上記した塗布容器1では、第二付勢部材30が外キャップ20,120と一体に形成されているので、部品数を低減させることができる。
【0060】
また、上記した塗布容器1では、外キャップ20,120に、締込み方向の後方側から内キャップ10,110の第三係合部17,117に係合するとともに、緩み方向の後方側から第三係合部17,117を通過する第四係合部24,124が設けられており、外キャップ20,120を押し下げることなく、外キャップ20,120を回転させるだけで内キャップ10,110が口部2aに螺着されるので、オーバーキャップ4を口部2aに簡単に装着させることができる。
【0061】
また、上記した塗布容器1では、上述した外キャップ20,120の押し下げ時に押下部25によって塗布栓6が押し下げられて流通孔51が一旦開放されるので、仮に何らかの理由により容器2の内圧が上昇していた場合であっても、内容物の塗布時には容器2の内圧が低下しているので、必要以上に多い内容物が噴出することを防止することができる。
【0062】
以上、本発明に係る塗布容器の第1、第2の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0063】
例えば、上記した第1、第2の実施の形態では、内キャップ10,110に連結部16,116を介して第三係合部17,117が設けられ、外キャップ20,120に第四係合部24,124が設けられているが、例えば、第一係合部115の傾斜面115bを軸方向に延設された平面部とすることにより、これら第三係合部17,117及び第四係合部24,124を省略することも可能である。この場合、オーバーキャップ4を口部2aに装着させるときには、オーバーキャップ4を口部2aに被せた後、外キャップ20,120を押し下げながら回転させることで、内キャップ10,110の第一係合部15,115と外キャップ20,120の第二係合部23,123とが係合され、外キャップ20,120と共に内キャップ10,110を回転させることができる。
【0064】
また、上記した第1、第2の実施の形態では、外キャップ20,120が押し下げられた状態において外キャップ20,120を上方に付勢する第二付勢部材30が備えられ、この第二付勢部材30は、外キャップ20,120が押し下げられていない状態においては外キャップ20,120を付勢しない構成となっているが、本発明は、外キャップ20,120が押し下げられていない状態においても外キャップ20,120を上方に付勢する付勢部材を用いることも可能である。例えば、外キャップ20,120が押し下げられていない状態において、第二付勢部材30(壁部31)が弾性変形されていてもよい。
また、本発明は、外キャップ20,120の押し下げ前に、押下部25によって塗布栓6が押し下げられていてもよい。例えば、先端壁部14に凹部14aが形成されてなく、先端壁部14の貫通孔14bが先端壁部14の上面から下面まで延在されており、押下部25が前記貫通孔14bの下側開口部の下方まで延びた構成であってもよい。この場合、先端壁部14の下面の凸部14dと貫通孔14bの内周面の凸部14cとによって液漏れが防止される。
また、上記した実施の形態では、容器2の内圧を逃がす通路が、内キャップ10,110と流通筒5との隙間、及び口部2aと内キャップ10,110との隙間によって形成されているが、本発明は、貫通孔14b、及び内キャップ10,110と外キャップ20,120との隙間によって、容器2の内圧を逃がす通路を形成してもよい。この場合、例えば押下部25の外周面に軸方向に延びる凹部(凹溝)を形成し、外キャップ20,120を押し下げた際に、当該凹部を介して凸部14cの内外を連通する構成を採用することができる。
【0065】
また、上記した第1、第2の実施の形態では、第二付勢部材30が外キャップ20,120と一体に形成された複数の壁部31から構成されているが、本発明の付勢部材(第二付勢部材)として他の付勢部材を用いることも可能であり、例えばコイルスプリングを用いることができる。また、本発明の付勢部材は、外キャップと一体に形成されていなくてもよく、内キャップと一体に形成されていてもよく、或いは、内キャップや外キャップと別体に形成されていてもよい。
【0066】
また、上記した第1、第2の実施の形態では、塗布部材3に、流通筒5と塗布栓6と導入筒7と第一付勢部材8とが備えられ、流通筒5の先端に塗布面50が形成され、この塗布面50に流通孔51が形成されているが、本発明は、例えば、容器口部2に、上方側に膨出された半球状の蓋体が装着され、この蓋体の外面が塗布面となり、この蓋体に流通孔が形成され、この流通孔に塗布栓6が挿通された塗布容器であってもよい。また、本発明のオーバーキャップは、例えば、容器口部に装着された中栓にスポンジが設けられ、容器内の内容物をスポンジに浸透させるとともにこのスポンジを被塗布面に押し当てることで内容物を塗布する塗布部材に採用することもできる。
【0067】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための塗布容器の縦断面図である。
【図2】図1に示すA−A間の横断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を説明するための第一係合部、連結部及び第三係合部を表す部分斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を説明するための外キャップを押し下げた状態を表す塗布容器の縦断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を説明するための塗布容器の縦断面図である。
【図6】図1に示すD−D間の横断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を説明するための内キャップの斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を説明するための外キャップを押し下げた状態を表す塗布容器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 塗布容器
2 容器
2a 口部
3 塗布部材
4 オーバーキャップ
6 塗布栓
10,110 内キャップ
15,115 第一係合部
16,116 連結部
17,117 第三係合部
20,120 外キャップ
23,123 第二係合部
24,124 第四係合部
30 第二付勢部材(付勢部材)
50 塗布面
51 流通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器と、該容器の口部に装着されて前記容器内の内容物を流出させて塗布する塗布部材と、該塗布部材を覆うオーバーキャップと、を備える塗布容器であって、
前記オーバーキャップには、前記口部に螺着された内キャップと、該内キャップに被着されているとともに該内キャップに対して相対的にキャップ軸方向に押し下げ可能な外キャップと、少なくとも前記外キャップが押し下げられた状態において当該外キャップを上方に付勢する付勢部材と、が備えられ、
前記塗布部材の塗布面には、キャップ軸方向に延在するとともに前記容器の内部に連通された流通孔が形成され、
該流通孔の内側には、上部が前記塗布面の上方に突出されているとともに前記流通孔を閉塞する塗布栓が、上方付勢状態で出没可能に挿通されており、
前記外キャップには、
当該外キャップが押し下げられることで前記塗布栓を押し下げて前記流通孔を開放させる押下部と、
前記内キャップに設けられた第一係合部の上方に配置されているとともに、当該外キャップが押し下げられた状態において前記第一係合部に対してキャップ軸回り方向から係合する第二係合部と、
が備えられていることを特徴とする塗布容器。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布容器において、
前記内キャップには、キャップ径方向に弾性変形可能な連結部を介して第三係合部が設けられ、
前記外キャップには、前記口部に対する前記内キャップの締込み方向の後方側から前記第三係合部に係合するとともに、前記連結部がキャップ径方向に弾性変形することで前記口部に対する前記内キャップの緩み方向の後方側から前記第三係合部を通過する第四係合部が設けられていることを特徴とする塗布容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−76840(P2010−76840A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278323(P2008−278323)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】