塗布装置
【課題】塗布液を異なる種類に交換する液換え作業が容易となる塗布装置を提供する。
【解決手段】塗布液を吐出する口金3と、異なる二種類の塗布液それぞれを口金3側に送るために当該塗布液の種類毎に設けられた二つのポンプ21,22と、複数のポンプ21,22と口金3との間に設けられた切り換えバルブ7とを備えている。切り換えバルブ7は、ポンプ21,22それぞれと流路を介して繋がっている二つの入口ポート31,32を有し、これら入口ポート31,32を択一的に出口ポート33と繋がった状態に切り換える。この出口ポート33から口金3へと配管6を通じて塗布液が流れる。そして、ポンプ21,22と出口ポート33との間に設けられた流入口23から洗浄流体が供給され、当該洗浄流体によって、配管6及び口金3が洗浄される。
【解決手段】塗布液を吐出する口金3と、異なる二種類の塗布液それぞれを口金3側に送るために当該塗布液の種類毎に設けられた二つのポンプ21,22と、複数のポンプ21,22と口金3との間に設けられた切り換えバルブ7とを備えている。切り換えバルブ7は、ポンプ21,22それぞれと流路を介して繋がっている二つの入口ポート31,32を有し、これら入口ポート31,32を択一的に出口ポート33と繋がった状態に切り換える。この出口ポート33から口金3へと配管6を通じて塗布液が流れる。そして、ポンプ21,22と出口ポート33との間に設けられた流入口23から洗浄流体が供給され、当該洗浄流体によって、配管6及び口金3が洗浄される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に塗布液を塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、ガラス基板上にレジスト液(塗布液)が塗布された塗布基板が使用されている。この塗布基板を製造する装置として、例えば特許文献1に記載の塗布装置が使用されている。
この塗布装置は、ステージ上の基板に対して塗布液を吐出する口金を有する塗布ユニットと、塗布液を溜めているタンクを有する液ユニットと、タンクの塗布液を口金に送るポンプとを備えている。
【0003】
このような塗布装置において、一つの塗布ユニットで、塗布液の種類を変更して塗布作業を行うためには、図15に示している構成が考えられる。すなわち、第一の塗布液91Aを溜めているタンク91と、第二の塗布液92Aを溜めているタンク92と、これらタンク91,92から延びる配管93,94と、これら配管93,94のいずれか一方を選択してポンプ97側の配管98に繋ぎ換えることができる繋ぎ換え部95と、この繋ぎ換え部95と口金96との間に設けられた一つのポンプ97とを備えている。図15は、第一の塗布液91Aを口金96から吐出している塗布作業状態を示しているが、この第一の塗布液91Aに換えて第二の塗布液92Aを前記口金96から吐出させるためには、繋ぎ換え部95の配管を繋ぎ換える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−238144号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばPCモニタ用やTVモニタ用の塗布基板に使用される塗布液はそれぞれ異なっており、これらを一つの塗布装置で生産するためには、異なる種類の塗布液に交換する必要がある。図15の従来の構成の場合、塗布液の種類を変更するために、繋ぎ換え部95にある配管を繋ぎ換える必要があるが、この作業は作業者が工具を用いることにより行われる。すなわち、第一の塗布液91Aによる塗布作業を一旦停止した後、作業者が工具を用いて、配管93に繋がっていた配管95aの継手(フランジ)を一旦外し、他方の配管94へ繋ぎ換える。このように作業者が工具を用いて継手を繋ぎ換える必要があるため、塗布液の種類を変更する作業に手間を要する。
【0006】
また、繋ぎ換え部95の配管95aやポンプ97内には第一の塗布液91Aが流れていたことから、第二の塗布液92Aによる塗布作業を開始する前に、繋ぎ換え部95の上流側99から洗浄液を供給し、配管95a、ポンプ97及び口金96を洗浄する必要がある。これは、第二の塗布液92Aに第一の塗布液91Aが混ざるのを防止するためである。
さらに、第二の塗布液92Aに第一の塗布液91Aが混ざるのを防止するためには、繋ぎ換え部95、ポンプ97及び口金96内に溜まっている第一の塗布液91Aを排出する必要があるが、特にポンプ97内には第一の塗布液91Aが多く残留しているため、この第一の塗布液91Aを排出するために多くの時間を要し、作業時間がさらに多くかかる他、塗布液の変更毎に多くの塗布液を無駄にしてしまう。
近年では、多品種少量の塗布基板を生産する必要があるため、塗布液の種類の交換機会が多く発生することとなり、この結果、塗布液の種類を交換する作業に時間がかかると、生産性が低下してしまう。
【0007】
そこで本発明は、塗布液を異なる種類に交換する液換え作業が容易となる塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明の塗布装置は、塗布液を吐出する口金と、異なる種類の前記塗布液それぞれを前記口金側に送るために当該塗布液の種類毎に設けられた複数のポンプと、前記複数のポンプと前記口金との間に設けられ、当該ポンプそれぞれと流路を介して繋がっている入口ポートを複数有し、当該複数の入口ポートが択一的に出口ポートと繋がった状態に切り換え可能な切り換えバルブと、前記出口ポートから前記口金へと前記塗布液を流す口金用流路と、前記ポンプと前記出口ポートとの間に設けられた流入口から洗浄流体を供給する洗浄ユニットとを備え、前記流入口から供給された前記洗浄流体を、前記口金用流路を経て前記口金から排出させることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、異なる種類の塗布液それぞれを口金側に送る複数のポンプを有し、これらポンプと口金部との間に切り換えバルブが設けられ、この切り換えバルブは、ポンプそれぞれと流路を介して繋がっている入口ポートを複数有していることから、これら入口ポートそれぞれには、異なる種類の塗布液が供給されることとなる。そして、この切り換えバルブは、複数の入口ポートを択一的に出口ポートと繋がった状態に切り換え可能であるため、塗布液の種類の変更を行うためには、この切り換えバルブで切り換えを行えばよく、従来のような作業者による継手の繋ぎ換え作業が不要となり、塗布液の種類の変更が簡単となる。
さらに、これらポンプと切り換えバルブの出口ポートとの間に設けられた流入口から洗浄ユニットにより洗浄流体が供給され、当該洗浄流体を口金用流路を経て口金から排出させる。したがって、塗布液の変更のために、ポンプ内の塗布液を排出する必要がなく、また、ポンプ内を洗浄する必要がない。このため、塗布液を無駄にする量は従来よりも減り、また、洗浄のための領域が狭くて済み、液換えのために必要となる洗浄時間の短縮が可能となる。
すなわち、前記流入口は、ポンプと出口ポートとの間に設けられていることから、流入口よりも下流側、すなわち、出口ポートを含む口金までを洗浄液で洗浄することができる。これにより、複数種類の塗布液を切り換えた場合、入口ポートから出口ポートに異なる塗布液が供給されるが、この供給された塗布液と、先の塗布液とが混合するのを防止することができる。さらに人手による切り換えバルブを洗浄する手間も省くことができる。
【0010】
また、前記塗布装置において、前記切り換えバルブと、前記洗浄流体の前記流入口との間に、前記塗布液を廃液として排出するための流出口が設けられているのが好ましい。
この場合、一つのポンプが駆動して例えば第一の塗布液が切り換えバルブを通じて流れ、当該塗布液を口金から吐出させている際に、他のポンプが駆動して第二の塗布液を、前記流出口から排出することができる。このため、第一の塗布液を塗布している作業中に、第二の塗布液の流れを発生させ、当該第二の塗布液の状態・特性を維持することができる。なお、例えば塗布液がポンプ内で溜まった状態が長時間継続すると、塗布液が僅かに固まったりする等、その状態・特性が変わってしまうおそれがあるが、本発明によれば、これを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塗布装置によれば、塗布液の種類の変更を行うためには、切り換えバルブで切り換えを行えばよく、従来のような作業者による継手の繋ぎ換え作業が不要となる。また、洗浄液を流入口から供給し出力ポートから口金までを洗浄することができるため、ポンプ内を洗浄する必要がなく、塗布液の変更が簡単となる。この結果、塗布液を異なる種類に変更する液換えの作業時間を短縮することが可能となり、変更した塗布液による塗布作業を迅速に開始することができ、塗布作業の効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】塗布装置の概略構成を示している説明図である。
【図2】塗布装置が備えている各部の配管系統を説明している配管図である。
【図3】液換えの方法(方法1)を説明する配管図である。
【図4】液換えの方法(方法1)を説明する配管図である。
【図5】液換えの方法(方法1)を説明する配管図である。
【図6】液換えの方法(方法2)を説明する配管図である。
【図7】液換えの方法(方法2)を説明する配管図である。
【図8】液換えの方法(方法2)を説明する配管図である。
【図9】切り換えバルブを一部断面で示した正面図である。
【図10】切り換えバルブの断面図である。
【図11】共通流路及びその周囲を示す説明図であり、上から見た断面図である。
【図12】共通流路及びその周囲を示す説明図であり、側面から見た断面図である。
【図13】廃液バルブを正面から見た断面図である。
【図14】図13の矢印Bの方向から見た断面図である。
【図15】従来の塗布装置の概略構成を示している説明図である。
【図16】従来の廃液バルブを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔塗布装置の構成〕
図1は本発明の塗布装置の概略構成を示している説明図である。この塗布装置は、塗布液が塗布される基板Wを載せるステージ18及びこの基板Wに対して塗布液を吐出する口金3を有している塗布ユニット1を備えた装置本体と、塗布液を溜めるタンク11,12を有し前記装置本体とは別に設置された液ユニット2とを備えている。基板Wはガラス基板であり、塗布液はフォトレジスト液等である。液ユニット2と塗布ユニット1とは、配管4,5を介して接続されている。また、塗布装置は、後に説明するが、塗布液を異なる種類に交換する液換え作業の際に、配管等の各部を洗浄流体によって洗浄するための洗浄ユニット10を備えている。
【0014】
図1において、本実施形態の液ユニット2は、第一塗布液11Aが溜められた第一タンク11と、第二塗布液12Aが溜められた第二タンク12とを有していて、塗布液の種類は、二種類用意されている。また、塗布ユニット1は、口金3の他に、塗布液の種類と同数(すなわち二つ)のポンプ21,22、及び、一つの切り換えバルブ7を有している。ポンプ21,22は液ユニット2よりも口金3側に設けられていて、切り換えバルブ7は、これらポンプ21,22と口金3との間に設けられている。本実施形態のポンプ21,22は、送り出す塗布液に圧力の脈動を生じさせにくいシリンジポンプから成る。
【0015】
この塗布装置の配管の構成を説明する。切り換えバルブ7は、二つの入口ポート31,32及び一つの出口ポート33を有する三方向弁であり、出口ポート33と口金3とは単一の口金用流路(配管)6を介して繋がっている。第一の入口ポート31は配管(流路)8を介して第一ポンプ21と繋がっていて、第二の入口ポート32は配管(流路)9を介して第二ポンプ22と繋がっている。
【0016】
第一ポンプ21を駆動させることで、第一タンク11内の第一塗布液11Aは配管4を流れて当該第一ポンプ21に到達し、さらに、この第一塗布液11Aは配管8を通じて切り換えバルブ7の第一の入口ポート31へと流れる。また、第二ポンプ22を駆動させることで、第二タンク12内の第二塗布液12Aは配管5を流れて当該第二ポンプ22に到達し、さらに、この第二塗布液12Aは配管9を通じて切り換えバルブ7の第二の入口ポート32へと流れる。すなわち、異なる二種類の塗布液11A,12Aそれぞれを口金3側にある切り換えバルブ7へ送るために、第一ポンプ21及び第二ポンプ22は、当該塗布液11A,12Aの種類毎に専用のポンプとして設けられている。
【0017】
切り換えバルブ7の構成は後にも説明するが、二つの入口ポート31,32が択一的に出口ポート33と繋がった状態となるように切り換え可能である。このため、切り換えバルブ7内において、第一塗布液11Aを第一の入口ポート31から出口ポート33へ流している時は、第二塗布液12Aは切り換えバルブ7内を通過することができない状態となり、これと反対に、第二塗布液12Aを第二の入口ポート32から出口ポート33へ流している時は、第一塗布液11Aは切り換えバルブ7内を通過することができない状態となる。
【0018】
また、ポンプ21,22それぞれと、切り換えバルブ7との間には、流入口23,24が設けられていて、洗浄ユニット10によって、この流入口23,24それぞれから洗浄流体が切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3へと供給され、当該口金3から吐出される。洗浄ユニット10は、洗浄液又はエアを洗浄流体として切り換えバルブ7側へ供給するための供給装置(例えばポンプ10a)を有している。
【0019】
図2は、塗布装置が備えている各部の配管系統を説明している配管図である。塗布装置は、前記切り換えバルブ7の他に、洗浄バルブ13,14、廃液バルブ15,16、及び、複数の開閉バルブ17A,17Bを更に備えている。これらバルブの開閉動作制御が行われることにより、第一塗布液11Aを口金3から吐出して塗布する作業、又は、第二塗布液12Aを口金3から吐出して塗布する作業が選択して行われ、さらに、洗浄ユニット10が機能して流路の洗浄を行う作業が、前記塗布作業と別の時間帯に行われる。なお、これらバルブは、塗布装置が備えている制御装置80(図1参照)から出力される制御信号や、この制御信号によって動作する駆動源81の働きによって、開閉動作が切り替わる。また、洗浄ユニット10のポンプ10a及び塗布液用のポンプ21,22の運転開始や停止の動作制御は、前記制御装置80による制御信号に基づいて行われる。
【0020】
前記洗浄バルブ13,14の概略について説明する。洗浄バルブ13は、第一ポンプ21と切り換えバルブ7との間の流路に取り付けられており、二つの入口ポート131,132と、一つの出口ポート133とを有している。そして、この洗浄バルブ13は、二つの入口ポート131,132が択一的に出口ポート133と繋がった状態となるように切り換え可能となるものであり、その機能としては、三方向弁である前記切り換えバルブ7と同じである。
本発明では、洗浄ユニット10によって洗浄流体が供給される前記流入口23を、第一ポンプ21から切り換えバルブ7の出口ポート33までの間の第一塗布液11Aが流れる流路の途中に設ければよいが、本実施形態では、前記洗浄バルブ13が有する一方の入口ポート131を洗浄流体の流入口23としている。また、他方の入口ポート132は第一塗布液11Aの流入口である。
このように、第一ポンプ21と切り換えバルブ7との間に、洗浄流体の流入口23(入口ポート131)が設けられ、洗浄バルブ13においてこの流入口23から出口ポート133へと洗浄流体が流れる状態とし、かつ、切り換えバルブ7において第一の入口ポート31から出口ポート33へと洗浄流体が流れる状態とすることで、洗浄ユニット10によって前記流入口23に供給された洗浄流体は、当該流入口23から廃液バルブ15、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に供給され、当該口金3から排出されるようになる。
これにより、洗浄バルブ13から下流側、すなわち、流入口23から廃液バルブ15、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に至る流路が洗浄される。
【0021】
また、第二塗布液12A側もこれと同様に、洗浄バルブ14は、第二ポンプ22と切り換えバルブ7との間の流路に取り付けられており、二つの入口ポート231,232と、一つの出口ポート233とを有している。そして、この洗浄バルブ14は、前記切り換えバルブ7及び洗浄バルブ13と同様に、二つの入口ポート231,232が択一的に出口ポート233と繋がった状態となるように切り換え可能となるものである。そこで、本実施形態では、切り換えバルブ7、洗浄バルブ13,14は同じ構造のバルブが採用されている。
そして、本発明では、洗浄ユニット10によって洗浄流体が供給される前記流入口24を、第二ポンプ22から切り換えバルブ7の出口ポート33までの間の第二塗布液12Aが流れる流路の途中に設ければよいが、本実施形態では、前記洗浄バルブ14が有する一方の入口ポート231を洗浄流体の流入口24としている。また、他方の入口ポート232は第二塗布液12Aの流入口である。
このように、第二ポンプ22と切り換えバルブ7との間に、洗浄流体の流入口24(入口ポート231)が設けられ、洗浄バルブ14においてこの流入口24から出口ポート233へと洗浄流体が流れる状態とし、かつ、切り換えバルブ7において第二の入口ポート32と出口ポート33へと洗浄流体が流れる状態とすることで、洗浄ユニット10によって前記流入口24に供給された洗浄流体は、当該流入口24から廃液バルブ16、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に供給され、当該口金3から排出されるようになる。これにより、洗浄バルブ14から下流側、すなわち、流入口24から廃液バルブ16、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に至る流路が洗浄される。
このように、流入口23,24を、バルブの無い単純な分岐流路のうちの一つの流路で構成するのではなく、三方向弁からなる洗浄バルブ13,14の入口ポート131,231とすることにより、洗浄流体がポンプ側へと流れることを当該洗浄バルブ13,14において防ぐことができ、また、洗浄バルブ13,14の流入口23,24よりも下流側の流路を洗浄できることにより、人手による洗浄作業を省くことができる。
【0022】
前記廃液バルブ15,16の概略について説明する。廃液バルブ15は、洗浄バルブ13と切り換えバルブ7との間の流路の途中に取り付けられている。この廃液バルブ15は、後にその構成を説明するが、流入ポート41及び第一流出ポート42を端部に有する主流路と、この主流路の途中から分岐して第二流出ポート43へと繋がる副流路とを有し、第二流出ポート43が閉じた状態となって主流路の流体が副流路へ流れない第一状態と、第二流出ポート43が開いた状態となって主流路の流体が副流路へ流れることができる第二状態とのいずれか一方の状態に切り換えることができる。
そして、本発明では、洗浄流体の前記流入口23と、切り換えバルブ7の出口ポート33との間に、第一塗布液11Aを廃液として排出するための流出口25を設ければよいが、本実施形態では、前記廃液バルブ15の副流路側にある第二流出ポート43を、前記流出口25としている。このため、前記流出口25が前記流入口23の下流側に設けられるので、当該流入口23から供給された洗浄流体を流すだけで、洗浄することができる。
【0023】
この廃液バルブ15では、第一塗布液11Aを口金3から吐出するためには、第二流出ポート43(流出口25)が閉じた状態となって当該第一塗布液11Aを流入ポート41から流出ポート42へと流すが、第二塗布液12Aを口金3から吐出する作業中では、第二流出ポート43(流出口25)が開いた状態となって、第一ポンプ21により定期的に圧送された第一塗布液11Aを、流入ポート41から第二流出ポート43(流出口25)へ流す(ブリード動作する)ことができる。第二流出ポート43(流出口25)を流れ出た第一塗布液11Aは、廃液として排出される。なお、このブリード動作の際、切り換えバルブ7の第一の入口ポート31側は閉状態にあるので、第一塗布液11Aは、切り換えバルブ7側である流出ポート142へと流れない。
【0024】
また、第二塗布液12A側もこれと同様に、廃液バルブ16は、洗浄バルブ14と切り換えバルブ7との間の流路の途中に取り付けられている。廃液バルブ15,16は同じ構成を有している。
そして、本発明では、洗浄流体の別の前記流入口24と、切り換えバルブ7の出口ポート33との間に、第二塗布液12Aを廃液として排出するための流出口26を設ければよいが、本実施形態では、廃液バルブ16の副流路側にある第二流出ポート143を、前記流出口26としている。このため、前記流出口26が前記流入口24の下流側に設けられるので、当該流入口24から供給された洗浄流体を流すだけで、洗浄することができる。
この廃液バルブ16では、第二塗布液12Aを口金3から吐出するためには、第二流出ポート143(流出口26)が閉じた状態となって当該第二塗布液12Aを流入ポート141から流出ポート142へと流すが、第一塗布液11Aを口金3から吐出する作業中では、第二流出ポート143(流出口26)が開いた状態となって、第二ポンプ22により定期的に圧送された第二塗布液12Aを、流入ポート141から第二流出ポート143(流出口26)へ流す(ブリード動作する)ことができる。第二流出ポート143(流出口26)を流れ出た第二塗布液12Aは、廃液として排出される。なお、このブリード動作の際、切り換えバルブ7の第二の入口ポート32側は閉状態にあるので、第二塗布液12Aは、切り換えバルブ7側である流出ポート142へと流れない。
【0025】
〔塗布液を異なる種類に交換する液換え作業(方法1)〕
以上のように構成された塗布装置において、第一塗布液11Aを口金3から吐出して基板W(図1参照)に塗布していた状態から、第二塗布液12Aに交換する作業を説明する。図2は、第一塗布液11Aを塗布し、かつ、第二塗布液12Aについては前記ブリード動作を行うことができる状態を示している。各開閉バルブに関して、黒塗りで示しているものは閉状態にあり、白色で示しているものは開状態にある。切り換えバルブ7、洗浄バルブ13,14、及び、廃液バルブ15,16に関しては、閉状態にあるポート側を黒塗りで示し、開状態にあるポート側を白塗りで示している。また、塗布液や洗浄流体が流れている配管を太線で示している。
図2の第一塗布液11Aを塗布している状態では、洗浄バルブ13において、入口ポート131を閉じて入口ポート132と出口ポート133とが繋がった状態にあり、廃液バルブ15では、第二流出ポート43を閉じて流入ポート41と流出ポート42とが繋がった状態にあり、切り換えバルブ7では、入口ポート32を閉じて入口ポート31と出口ポート33とが繋がった状態にある。
第二塗布液12A側に関して、洗浄バルブ14では、入口ポート231を閉じて入口ポート232と出口ポート233とが繋がった状態にあり、廃液バルブ16では、第二流出ポート143が開いており、流入ポート141から第二流出ポート143へと流体が流れることができる状態にある。
【0026】
この図2の状態から、塗布する塗布液を第二塗布液12Aへと交換する作業は、以下の順序で行われる。まず、第一塗布液11Aの洗浄工程が行われる。図3に示しているように、ポンプ21,22を停止させた状態とし、洗浄バルブ13において、開いていた入口ポート132を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート131を開いた状態へと切り換え、入口ポート131と出口ポート133とが繋がった状態とする。開閉バルブ17Aを開き、洗浄ユニット10によってエアを洗浄バルブ13の入口ポート131へ供給する。このエアによって、第一塗布液11Aが流れていた各配管、廃液バルブ15内の主流路、切り換えバルブ7内の流路、配管6、及び、口金3内の当該第一塗布液11Aを、口金3から廃液溜め部82に排出する。
【0027】
その後、図4に示しているように、開閉バルブ17Aを閉じ、代わって、開閉バルブ17Bを開き、洗浄ユニット10によって洗浄液を洗浄バルブ13の入口ポート131へ供給する。この洗浄液によって、第一塗布液11Aが流れていた、各配管、廃液バルブ15内の主流路、切り換えバルブ7内の流路、配管6、及び、口金3内を洗浄し、洗浄液を口金3から廃液溜め部82に排出する。
再び、図3に示しているように、開閉バルブ17Aを開き、開閉バルブ17Bを閉じ、洗浄ユニット10によってエアを洗浄バルブ13の入口ポート131へ供給する。このエアによって、洗浄した流路に残っている可能性のある洗浄液を口金3から抜き出す。そして、図5に示しているように、開閉バルブ17A,17Bを閉じる。
これにより、流入口23から廃液バルブ15、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に至る流路が洗浄され、切り換えバルブ7から口金3までの流路に第一塗布液11Aが残留するのを抑えることができる。
【0028】
次に、図5に示しているように、切り換えバルブ7において、開いていた入口ポート31を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート32を開いた状態へと切り換え、入口ポート32と出口ポート33とが繋がった状態とし、さらに、廃液バルブ16の第二流出ポート143を閉じた状態に切り換え、流入ポート141から第二流出ポート143へと流体が流れることができない状態とする。これにより、第二ポンプ22が、第二タンク12内にある第二塗布液12Aを、切り換えバルブ7の入口ポート32へと圧送することができ、第二塗布液12Aは、配管6を通じて口金3に送られ、口金3から吐出される。これにより、第二塗布液12Aによる塗布作業が開始され、第一塗布液11Aから第二塗布液12Aへの液換えが完了する。
【0029】
なお、第二塗布液12Aによる塗布作業が行われると、洗浄バルブ13において、開いていた入口ポート131を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート132を開いた状態へと切り換え、入口ポート132と出口ポート133とが繋がった状態とし、さらに、廃液バルブ15の第二流出ポート43を開き、流入ポート41から第二流出ポート43へと第一塗布液11Aが流れることができる状態とする。これにより、第一ポンプ21により定期的に圧送された第一塗布液11Aを、流入ポート41から第二流出ポート43へ流す(ブリード動作する)ことができる。なお、このブリード動作の際、切り換えバルブ7の入口ポート31側は閉状態にあるので、第一塗布液11Aは、切り換えバルブ7側である流出ポート42へと流れない。
このブリード動作は、前記制御装置80(図1参照)の制御によって実行されるが、このようなブリード動作を行うのは、第一塗布液11Aが長時間にわたって流れていない状態が継続すると、その配管内において、第一塗布液11Aの一部が僅かに固まったりする等、その状態・特性が変わってしまうおそれがあるが、このブリード動作により、これを防止することが可能となるためである。
【0030】
〔塗布液を異なる種類に交換する液換え作業(方法2)〕
液換え作業の他の実施形態を説明する。前記液換え作業(方法1)は、塗布作業を行うために塗布液が流れていた流路等の洗浄を終えてから、次に塗布作業を行う塗布液に液換えする方法であるが、液換え作業(方法2)は、塗布作業を行うために塗布液が流れていた流路等ではなく、次に塗布作業を行う塗布液を流そうとする流路等の洗浄を終えてから、当該次に塗布作業を行う塗布液に液換えする方法である。
【0031】
図2は、前記のとおり、第一塗布液11Aを塗布し、かつ、第二塗布液12Aについては前記ブリード動作を行うことができる状態を示しているが、この状態から、塗布する塗布液を第二塗布液12Aへと交換する作業(方法2)は、以下の順序で行われる。図6に示しているように、ポンプ21,22を停止させた状態とし、洗浄バルブ14において、開いていた入口ポート232を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート231を開いた状態へと切り換え、入口ポート231と出口ポート233とが繋がった状態とする。また、切り換えバルブ7において、開いていた入口ポート31を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート32を開いた状態へと切り換え、入口ポート32と出口ポート33とが繋がった状態とする。また、廃液バルブ16の第二流出ポート143は閉じた状態となる。
そして、開閉バルブ17Aを開き、洗浄ユニット10によってエアを洗浄バルブ14の入口ポート231へ供給する。このエアによって、これから第二塗布液12Aを流そうとする各配管、切り換えバルブ7内の流路、配管6、及び、口金3を洗浄する。この際、切り換えバルブ7の出口ポート33側、配管6、及び、口金3内に残った第一塗布液11Aが、当該口金3から廃液溜め部82に排出される。
【0032】
その後、図7に示しているように、開閉バルブ17Aを閉じ、代わりに、開閉バルブ17Bを開き、洗浄ユニット10によって洗浄液を洗浄バルブ14の入口ポート231へ供給する。この洗浄液によって、これから第二塗布液12Aを流そうとする各配管、切り換えバルブ7内の流路、配管6、及び、口金3内を洗浄し、洗浄液を口金3から廃液溜め部82に排出する。
再び、図6に示しているように、開閉バルブ17Aを開き、代わりに、開閉バルブ17Bを閉じ、洗浄ユニット10によってエアを洗浄バルブ14の入口ポート231へ供給する。このエアによって、洗浄した流路に残っている洗浄液を口金3から抜き出す。
これにより、流入口24から廃液バルブ16、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に至る流路が洗浄され、切り換えバルブ7から口金3までの流路に第二塗布液12Aが残留するのを抑えることができる。
【0033】
そして、図8に示しているように、廃液バルブ15の閉じていた第二流出ポート43を開き、流入ポート41から第二流出ポート43へと流体が流れることができる状態とする。これにより、第一塗布液11Aに関して前記ブリード動作を行うことができる状態となる。そして、開閉バルブ17Aを閉じる。また、廃液バルブ16では、第二流出ポート143が閉じた状態にあり、流入ポート141から第二流出ポート143へと流体が流れることができない状態にある。
洗浄バルブ14において、開いていた入口ポート231を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート232を開いた状態へと切り換え、入口ポート232と出口ポート233とが繋がった状態とする。
そこで、第二ポンプ22を作動させ、第二タンク12内の第二塗布液12Aを、口金3へと圧送し、第二塗布液12Aによる塗布作業が開始される。以上より、第一塗布液11Aから第二塗布液12Aへの液換えが完了する。
【0034】
ここで、液換え作業前である図2の状態では、ブリード動作によって第二塗布液12Aが、廃液バルブ16と切り換えバルブ7との間の流路60に浸入し、滞留していることがあるが、この方法2による液換え作業によれば、図7に示しているように、廃液バルブ16と切り換えバルブ7との間の流路60についても、洗浄を行うことができ、第二塗布液12Aの残留をより効果的に防止することができる。
【0035】
以上の構成を備えた塗布装置によれば、二種類の塗布液11A,12Aそれぞれを一つの切り換えバルブ7に送る二つの専用のポンプ21,22を有し、また、切り換えバルブ7は、第一ポンプ21と配管8を介して繋がっている入口ポート31及び第二ポンプ22と配管9を介して繋がっている入口ポート32を有していることから、一方の入口ポート31には第一塗布液11Aが供給され、他方の入口ポート32には種類が異なる第二塗布液12Aが供給されることとなる。
そして、この切り換えバルブ7は、二つの入口ポート31,32を択一的に出口ポート33と繋がった状態となるように切り換え可能であるため、口金3から吐出させる塗布液の種類を、例えば、第一塗布液11Aから第二塗布液12Aへと変更するには、この切り換えバルブ7が有する弁体(後に説明する)の位置の切り換えを行えばよく、図15に示した従来のような作業者による継手(フランジ)の繋ぎ換え作業が不要となり、塗布液の変更が簡単となる。
【0036】
さらに、第二塗布液12Aへと変更を行うために、洗浄ユニット10により、第一塗布液11Aが流れていた流路に、洗浄流体としてエア及び洗浄液が送り込まれるが、この洗浄流体の流入口23は、第一ポンプ21よりも上流側ではなく、第一ポンプ21の下流側(口金3側)に設けられている。このため、第二塗布液12Aへと変更する際、第一ポンプ21内を洗浄する必要がなく、また、第一ポンプ21内の塗布液11Aを排出する必要がない。このため、塗布液の変更のための液置き換え量、すなわち、第一塗布液11Aを無駄にする量を、図15に示した従来例よりも減らすことができる。また、洗浄バルブ13が切り換えバルブ7の出口ポート33よりも上流側に設けられているため、人手による洗浄作業を行うことなく出口ポート33を含む下流側を洗浄することができる。したがって、種類の異なる塗布液を切り換えた場合であっても、種類の異なる塗布液が流路内で混合することを抑えることができる。また、洗浄のための領域が狭くて済むので、液換えのために必要となる洗浄時間の短縮が可能となる。この結果、変更した第二塗布液12Aによる塗布作業を迅速に開始することができ、塗布作業の効率化が図れる。
なお、第一ポンプ21により前記ブリード動作が実行されるため、当該第一ポンプ21内及び第一塗布液11Aのための前記切り換えバルブ7までの流路において、当該第一塗布液11Aが定期的に流れることから、その性質を維持することが可能となり、次に、第二塗布液12Aから第一塗布液11Aへと再度液換えを行っても、直ぐに第一塗布液11Aによる塗布作業を開始することができる。
【0037】
〔切り換えバルブ7、洗浄バルブ13,14の具体的な構成〕
図2に示している切り換えバルブ7、洗浄バルブ13,14は同じ構成であるため、代表して切り換えバルブ7について説明する。図9は、切り換えバルブ7を一部断面で示した正面図であり、図10は、図9の切り換えバルブ7の一点鎖線で切断した部分を、矢印Aで示しているように下から見た断面図である。
この切り換えバルブ7は、図9に示している姿勢が、塗布装置への取り付け姿勢であり、第一入口ポート31及び第二入口ポート32は水平方向の直線上に配置され、出口ポート33は上下方向の直線上に配置され下向きに開口するように、バルブ7は取り付けられる。
【0038】
バルブ7が有するハウジング34内には流路が形成されていて、図10に示しているように、その流路の途中に二つの弁室51,52が設けられ、第一弁室51に第一弁体53の先部53bが収納され、第二弁室52に第二弁体54の先部54bが収納されている。
すなわち、ハウジング34内には、第一入口ポート31を有する第一流路35と、第二入口ポート32を有する第二流路36と、出口ポート33を有している第三流路37と(図9参照)、共通流路38とが形成されている。そして、第一流路35の下流側に第一弁室51が設けられ、第二流路36の下流側に第二弁室52が設けられている。第一弁室51の側面にある封止面51aには、共通流路38の一方に繋がる第一開口51bが形成されていて、第二弁室52の側面にある封止面52aには、前記共通流路38の他方に繋がる第二開口52bが形成されている。共通流路38は直線状の短い流路であり、第一流路35と第二流路36とを合流させ、この共通流路38の中央は開口して第三流路37(図9参照)へと繋がっている。
【0039】
第一弁体53の先部にある閉塞面53aが、第一弁室51の前記封止面51aに接触することで前記第一開口51bを閉じ、第一流路35は第一弁体53によって閉塞される。第二弁体54の先部にある閉塞面54aが、第二弁室52前記封止面52aに接触することで前記第二開口52bを閉じ、第二流路36は第二弁体54によって閉塞される。このように、閉塞面53a,54aが、直線状の共通流路38の両端に位置する開口51b,52bを閉塞する構成であり、また、これら閉塞面53a,54aが対向するように第一弁体53及び第二弁体54はハウジング34内に配置されている。
【0040】
第一弁体53と第二弁体54とは同じ構成であり、第一弁室51と第二弁室52とは同じ構成であるので、代表して第一弁体53側について説明する。弁体53はほぼ円柱形状であり、少なくとも先部53bが樹脂製である。なお、ハウジング34は樹脂製又は金属製である。先部53bと弁室51の周面との間には封止用のダイアフラム53dが設けられていて、このダイアフラム53dによってハウジング34内の第一の空間34aが区画され、一方側に第一弁室(ダイアフラム室)51を構成し、外部に対して塗布液を封止している。
また、ハウジング34内には第二の空間34bが形成され、第一弁体53の基部53cとこの空間34bの周面との間に駆動用ダイアフラム53eが設けられている。
【0041】
第一弁体53の基部53cの端面とハウジング34の端面との間には、バネ39が介在していて、このバネ39は第一弁体53の閉塞面53aを開口51bに押し付けている。すなわち、この状態で第一弁体53が閉じた状態となる。そして、前記第二の空間34bには、図外のエア配管を介してエアポンプ(図1の駆動源81)が繋がっていて、この空間34bにエアが供給されると、駆動用ダイアフラム53eを変形させ、前記バネ39のバネ力に抗して弁体53の閉塞面53aを開口51bから離すことができる。すなわち、この状態で第一弁体53が開いた状態となる。このように、バルブ7は、弁体53,54が共通流路38の中心線方向に沿って直線的に往復移動することで、開閉動作するものであり、エアにより開閉動作が切り換わる構成である。
【0042】
第一流路35では、第一入口ポート31から流入した第一塗布液11Aは第一弁室51に入り、第二流路36では、第二入口ポート32から流入した第二塗布液12Aは第二弁室52に入る。このバルブ7は、第一弁体53と第二弁体54とのいずれか一方が開いた状態となると他方を閉じた状態とするものであり、第一弁体53が開いた状態にあれば第二弁体54は閉じた状態にあり、この場合、当該第二弁体54は第二流路36を第二弁室52で閉塞することにより、第一流路35と第三流路37とが繋がったバルブ内流路を構成し、入口ポート31に供給された第一塗布液11Aが出口ポート33から流れ出ることができる。反対に、第二弁体54が開いた状態にあれば第一弁体53は閉じた状態にあり、この場合、当該第一弁体53は第一流路35を第一弁室51で閉塞することにより、第二流路36と第三流路37とが繋がったバルブ内流路を構成し、入口ポート32に供給された第二塗布液12Aが出口ポート33から流れ出ることができる。すなわち、出口ポート33は、第一入口ポート31と第二入口ポート32とのいずれか一方と繋がった状態となる。
【0043】
弁体53,54の配置についてさらに説明する。図11及び図12は共通流路38及びその周囲を示す説明図であり、図11は上から見た断面図であり、図12は側面から見た断面図である。図12において、断面円形である共通流路38の内壁に、断面円形である第三流路37へと繋がる開口38aが形成されていて、共通流路38の中心線C1と、開口38aの中心線C2とは直交している。なお、第三流路37の中心線は開口38aの中心線C2と共通であり、また、弁体53,54及び弁室51,52の中心線は共通流路38の中心線C1の延長線上にある。
【0044】
第一弁体53の閉塞面53aが、第一流路35を第一弁室51の第一開口51bにおいて閉塞した状態で、当該閉塞面53aは、第二流路36から共通流路38を経て第三流路37へと前記第二塗布液12Aが流れるバルブ内流路の内壁の一部を兼ねている。すなわち、第二流路36から共通流路38を経て第三流路37へと第二塗布液12Aが流れる前記バルブ内流路の内の共通流路38には、第一流路35へ繋がるための前記第一開口51bが形成されているが、第一弁体53は(閉塞面53aは)、共通流路38の中心線C1方向一方側の端部の内壁(壁面)となって第一開口51bを塞ぐことで、第一流路35を閉塞している。
【0045】
さらに、図11と図12とに示しているように、共通流路38の中心線C1方向の長さL1は、第三流路37(開口38a)の直径D1とほぼ同一である。このため、第一弁体53の閉塞面53aが閉じる開口51bと、第二弁体54の閉塞面54aが閉じる開口52bとが、接近した構成である。すなわち、図12に示しているように、第一弁体53の閉塞面53aが、第一流路35を第一弁室51の開口51bにおいて閉塞した状態にあると、当該閉塞面53aは、第三流路37の内周面の一部(図12では内周面の左側)のほぼ延長上に位置する構成となり、当該閉塞面53aは、共通流路38の中心線C1方向一方側(図12では左側)の端部の壁面を構成している。
【0046】
このように、第一弁体53が閉じ、第二弁体54が開いた状態では、共通流路38を介して第二流路36と第三流路37とが繋がった状態となるので、切り換えバルブ7内には、前記第二塗布液12Aが流れることができる。そして、前記のとおり、第一弁体53の閉塞面53aは、バブル7内において、第二塗布液12Aが流れるバルブ内流路の内壁の一部を兼ねていることから、このバルブ内流路を流れる第二塗布液12Aが、共通流路38を外れて、第一流路35側へ流れ込まない。このため、第一流路35側で第二塗布液12Aが残留するのを防ぐことができる。
【0047】
これと同様に、第二弁体54の閉塞面54aが、第二流路36を第二弁室52の第二開口52bにおいて閉塞した状態で、当該閉塞面54aは、第一流路35から共通流路38を経て第三流路37へと前記第一塗布液11Aが流れるバルブ内流路の内壁の一部を兼ねる。すなわち、第一流路35から共通流路38を経て第三流路37へと第一塗布液11Aが流れる前記バルブ内流路の内の共通流路38には、第二流路36へ繋がるための前記第二開口52bが形成されているが、第二弁体54は(閉塞面54aは)、前記共通流路38の中心線C1方向他方側の端部の内壁(壁面)となって第二開口52bを塞ぐことで、第二流路36を閉塞している。
【0048】
さらに、第二弁体54の閉塞面54aが、第二流路36を第二弁室52の開口52bにおいて閉塞した状態にあると、当該閉塞面54aは、第三流路37の内周面の一部(図12では内周面の右側)のほぼ延長上に位置する構成となり、当該閉塞面54aは、第一流路35と第三流路37とを繋げている共通流路38の中心線C1方向他方側(図12では右側)の端部の壁面を構成している。
【0049】
このように、第二弁体54が閉じた状態では、共通流路38を介して第一流路35と第三流路37とが繋がった状態となるので、切り換えバルブ7内には、前記第一塗布液11Aが流れることができる。そして、前記のとおり、第二弁体54の閉塞面54aは、バブル7内において、第一塗布液11Aが流れるバルブ内流路の内壁の一部を兼ねていることから、このバルブ内流路を流れる第一塗布液11Aが、共通流路38を外れて、第二流路36側へ流れ込まない。このため、第二流路36側で第一塗布液11Aが残留するのを防ぐことができる。
【0050】
以上より、バルブ7内を第一塗布液11Aが流れている場合、当該第一塗布液11Aの一部が第二流路36側で残留することがなく、同様に、バルブ7内を第二塗布液12Aが流れている場合、当該第二塗布液12Aの一部が第一流路35側で残留することがない。したがって、このバルブ7を用いて行う前記液換え作業の際に、塗布液11A(12A)がバルブ7内で残留せず、塗布液を迅速に置き換えることができる。
【0051】
なお、図12において、共通流路38の中心線C1方向の長さL1は、第三流路37(開口38a)の直径D1とほぼ同一である、と説明したが、完全に同一とすると、第三流路37と、弁室51(52)との間の壁55の厚さが理論上ゼロとなってしまう部分が生じる。しかし、実際には、この壁55は、バルブとして機能する上で、及び、塗布液は圧力を有していることから厚さが必要であり、加工可能な観点及び耐圧を考慮した設計上の観点から、数ミリ未満の厚さが必要である。なお、実施例としては、壁55は最薄部で0.5ミリとすることが可能である。したがって、長さL1と直径D1とがほぼ同一であるとは、その差が、4ミリ以下であると言える。このように、本発明では、塗布液が残留する部分をなくす観点から、共通流路38の中心線C1方向長さL1と、第三流路37(開口38a)の直径D1とを完全に同一とすべきものであるが、実際、完全に同一とするのは構成上不可能であり、ほぼ同一としている。
【0052】
また、このバルブ7において、第一流路35の上流側に第一入口ポート31が設けられ、下流側に第一弁室51が設けられ、また、第二流路36の上流側に第二入口ポート32が設けられ、下流側に第二弁室52が設けられている。第一流路35側と第二流路側36とは同様の構成であるが、第二流路側36側を代表して説明すると、図9と図12とで示しているように、第二入口ポート32から第二弁室52へと繋がる第二流路36の直線状である流路本体部36aは、第二弁室52の頂上52c側に偏った位置で開口36bしている。すなわち、第二流路36の流路本体部36aの中心線を延長した直線上には、第二弁室52の中心が存在していない。特に、図9に示しているように、横断面円形である第二弁室52の内周面の頂上52cにおける接線上に、流路本体部36aの内周面の頂上を結んで得られる仮想直線L2が存在する構成である。
【0053】
また、第一弁室51側においてもこれと同様であり、第一入口ポート31から第一弁室51へと繋がる第一流路35の直線上である流路本体部35aは、第一弁室51の頂上51c側に偏った位置で開口35bしている。
このように構成することで、バルブ7内に気泡70が残留することを防ぐことができる。すなわち、例えば、図9に示しているように、仮に第二弁室52の第二塗布液12A内に気泡70が存在していると、この気泡70はその頂上52c側に集まる。そこで、第二入口ポート32から第二弁室52へと繋がる流路本体部36aが、この第二弁室52の頂上52c側に偏った位置で開口36bしているので、当該流路本体部36aを流れてきた第二塗布液12Aによって、この気泡70を巻き込んで下流側である第三流路37へと流すことが可能となる。そして、これは第一弁室51においても同様であり、バルブ7内に気泡70が残留することを防ぐことができる。
なお、口金3(図2参照)までの間の塗布液に気泡70が多く存在していると、この塗布液をポンプで送り出している際に、当該気泡70が弾性体として作用し塗布液の圧力が変動し、口金3からの塗布液の吐出量が一定とならず、基板Wに塗布した塗布液にむら(膜厚むら)ができてしまうおそれがある。
さらに、前記のとおり、流路本体部35a,36aは、弁室51,52の頂上側に偏った位置で開口していることから、当該弁室51,52に塗布液が流入すると、当該弁室51,52において渦流が発生し、塗布液の置き換え性能を高めることができる。さらに、この渦流によって、前記気泡70の排出性能を高めることができる。
【0054】
以上のように、前記実施形態の塗布装置(図2参照)において、このバルブ7が採用されていることで、当該バルブ7の開閉状態の切り換えにより、二種類の塗布液11A,12Aを変更することができる。そして、このバルブ7は、前記のとおり塗布液が多く残留するのを防ぐことができる構成を備えているため、前記液換え作業として、例えば第一塗布液11Aから第二塗布液12Aへと変更する際、先にバルブ7を通過していた第一塗布液11Aが残留せず、変更後の第二塗布液12Aと混ざってしまうのを防ぐことができ、塗布液の置き換え性能を高めることが可能となる。
また、前記実施形態の姿勢としたバルブ7では、例えば、第二入口ポート32から第二弁室52へと繋がる流路本体部36aが、この第二弁室52の頂上52c側に偏った位置で開口36bしているので、当該流路本体部36aを流れてきた第二塗布液12Aによって、気泡70を巻き込んで下流側である第三流路37へと流すことが可能となり、バルブ7内に気泡70が残留することを防ぐことができる。このように、気泡排出性能の高いバルブ7となることで、塗布液に気泡70が混入することを嫌う塗布装置において好都合である。
【0055】
〔廃液バルブ15,16の具体的な構成〕
図2に示している二つの廃液バルブ15,16は同じ構成であるため、代表して一方側の廃液バルブ15について説明する。図13は、廃液バルブ15を正面から見た場合の断面図であり、図14は、図13の矢印Bの方向から見た断面図である。
この廃液バルブ15は、図13に示している姿勢が、塗布装置への取り付け姿勢であり、流入ポート41及び流出ポート42を端部に有する直線状の主流路44が、水平方向に延びる状態となって、バルブ15は取り付けられる。
【0056】
バルブ15が有しているハウジング46内には、前記主流路44と、この主流路44の途中(中央)から分岐して第二流出ポート43(図14参照)へと繋がる副流路45とが形成されている。
主流路44と副流路45との間に一つの弁室61が形成されていて、この弁室61に弁体62の先部62bが収納された状態にある。弁室61の上面にある封止面61aには、主流路44に繋がる開口61bが形成されている。そして、副流路45は、前記封止面61aで開口している(図14参照)。なお、図示しないが、副流路45は弁室61の側周面で開口する構成であってもよい。
【0057】
弁体62の先部62bにある閉塞面62aが、弁室61の封止面61aに接触することで開口61bを閉じ、この弁体62によって主流路44の塗布液は副流路45に流れることができない状態となる。これに対して、閉塞面62aが開口61bから離れることで、主流路44の塗布液は副流路45に流れることができる状態となる。
【0058】
弁体62はほぼ円柱形状であり、少なくとも先部62bが樹脂製である。なお、ハウジング46は樹脂製又は金属製である。先部62bと弁室61の側周面との間には封止用のダイアフラム62dが設けられていて、このダイアフラム62dによってハウジング46内の第一の空間46aが区画され、一方側に弁室(ダイアフラム室)61を構成し、外部に対して塗布液を封止している。
ハウジング46内には第二の空間46bが形成され、弁体62の基部62cとこの空間46bの周面との間に駆動用ダイアフラム62eが設けられている。
【0059】
弁体62の基部62cの端面とハウジング46の端面との間には、バネ49が介在していて、このバネ49は弁体62の閉塞面62aを開口61bに押し付けている。すなわち、この状態で弁体62が閉じた状態となる。そして、前記第二の空間46bには、図外のエア配管を介してエアポンプ(図1の駆動源81)が繋がっていて、この空間46bにエアが供給されると、前記バネ49のバネ力に抗して弁体62の閉塞面62aを開口61bから離すことができる。すなわち、この状態で弁体62が開いた状態となる。このように、このバルブ15は、弁体62が上下方向に直線的に往復移動することで、開閉動作するものであり、エアにより開閉動作が切り換わる構成である。
【0060】
弁体62が弁室61を閉じた状態では、流入ポート41に流れてきた塗布液は、主流路44のみを通過し、流出ポート42から流れ出る。この場合、塗布液は副流路45を流れることはない。これに対して、弁体62が弁室61を開けた状態では、流入ポート41に流れてきた塗布液は、主流路44の上流側を通過した後、弁室61内に流れ込むことができ、弁室61に流れた塗布液は、副流路45を通過し、第二流出ポート43から流れ出ることとなる。このように、このバルブ15では、主流路44の塗布液が副流路45へ流れない第一状態と、主流路44の塗布液が副流路45へ流れることができる第二状態とに切り換えることができる。
【0061】
弁体62及びその周囲の構成についてさらに説明する。断面円形である直線状の主流路44を構成している周壁の一部に、開口穴44aが形成されていて、この開口穴44aは弁室61へと繋がる。つまり、開口穴44aの弁室61側の端部が前記開口61bとなる。主流路44の中心線C3と開口穴44aの中心線C4とは直交している。なお、弁室61の中心線は開口穴44aの中心線C4と共通である。
そして、図13と図14とに示しているように、弁体62の閉塞面62aは、主流路44に接近して設けられていて、主流路44の中心線C3から、閉状態にある弁体62の閉塞面62aまでの距離L3(図14参照)は、主流路44の半径R1とほぼ同一である。
【0062】
すなわち、弁体62は、主流路44を構成している周壁の一部に形成された前記開口穴44aを開閉切り換える構成であるが、主流路44の塗布液を副流路45へ流さない状態では、弁体62の閉塞面62aは、主流路44を構成している周壁の一部分となって、開口穴44aを塞いでいる。すなわち、閉状態にある弁体62の閉塞面62aは、主流路44の壁面において欠損している前記開口穴44aを補うようにして塞いでいる。
【0063】
さらに説明すると、主流路44と、弁体62を収納している弁室61とが、開口穴44aによって繋がっているが、この開口穴44aの主流路44側の縁部の下端(図14の拡大図の矢印Jの部分)と、当該開口穴44aの弁室61側の縁部(つまり、弁室61の開口61b)の一部とが、共通している。
この形状によれば、主流路44と弁室61との間の壁65(図13の拡大図参照)において、その厚さが極めて薄い部分が存在していることになる。なお、この厚さが極めて薄い部分は、図14の拡大図によれば矢印Jの部分である。壁65の厚さが極めて薄いとは、実際は主流路44を流れる流体に圧力が作用しているため、耐圧を考慮した設計上の観点から、壁65の厚さを完全にゼロとするわけにはいかず、その圧力に耐えられる設計上必要な壁の厚さ(数ミリ未満の厚さ)を有している程度であることを意味している。なお、実施例としては、壁65は最薄部(図14の拡大図の矢印Jの部分)で0.5ミリとすることが可能である。したがって、極めて薄いとは0ミリより大きく2ミリ以下であると言える。
【0064】
このように、主流路44の塗布液を副流路45に流さない状態では、弁体62の閉塞面62aが、主流路44を構成している周壁の一部となって当該周壁に形成された開口穴44aを塞いでいるので、この状態では、主流路44と弁体62の閉塞面62aとの間に、塗布液が多く滞留する領域が形成されず、塗布液の滞留を防ぐことができる。
このように、廃液バルブ15では、塗布液の滞留を防ぐことができるので、前記液換え作業の際に、廃液バルブ15の第二流出ポート43(図3と図4参照)を閉じた状態として、主流路44に洗浄流体を流すだけで済む。すなわち、このような廃液バルブを設けるために(流出口25を設けるために)、例えば、図16の従来例に示しているように、主流路100の途中に分岐部101を形成し、枝流路102に廃液バルブ103を接続した構成とした場合、主流路100に塗布液を流して口金3により塗布作業を行っていると、枝流路102と廃液バルブ103に当該塗布液が流れ込み、滞留してしまう。この滞留物がやがて口金3へと流れ塗布膜に混入すると、塗布ムラの原因となる。このため、図16の従来の構成の場合では、液換え作業の際、主流路100を洗浄している途中で、バルブ103を閉状態から開状態に切り換えて、枝流路102と廃液バルブ103に滞留していた塗布液を洗浄する必要がある。
しかし、前記実施形態の廃液バルブ15によれば、図13に示しているように、主流路44と弁体62の閉塞面62aとの間に塗布液が滞留するのを抑えることができるので、前記液換え作業の際に、第二流出ポート43(図3と図4参照)を閉じた状態として、主流路44に洗浄流体を流すだけで済み、前記塗布ムラの発生を防止することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態では、既に説明したように、図13及び図14に示している姿勢が、塗布装置への取り付け姿勢であるため、前記開口穴44aは、主流路44の周壁の内の底部に形成され、その中心線C4が下方に向いて形成されている構成となる。
このように構成することで、バルブ15内に気泡が残留することを防ぐことができる。すなわち、例えば、主流路44を通過する塗布液内に気泡が存在していると、その気泡は主流路44の頂上側を流れる。仮に、開口穴44aが主流路44の頂上側に形成されていると、気泡が開口穴44aに残留してしまうおそれがある。しかし、本実施形態によれば、開口穴44aは、頂上側に形成されていないので、このような気泡の残留を防止することが可能となる。なお、口金3(図2参照)までの間の塗布液に気泡が多く存在していると、この塗布液をポンプで送り出している際に、当該気泡は弾性体として作用し塗布液の圧力が変動し、口金3からの塗布液の吐出量が一定とならず、基板Wに塗布した塗布液にむら(膜厚むら)ができてしまうおそれがある。
【0066】
また、バルブ15の配置(取り付け姿勢)は、これ以外であってもよく、図13を上方から見た断面図とするようにバルブ15を配置してもよい。この場合、開口穴44aは、主流路44の周壁の内の側部に形成され、その中心線C4が水平方向に向いて形成された構成となる。この場合であっても、開口穴44aは、頂上側に形成されていないので、気泡の残留を防止することが可能となる。
【0067】
以上のように、前記実施形態の塗布装置(図2参照)において、このバルブ15が採用されていることで、前記のとおり、バルブ15内において塗布液が多く滞留するのを防ぐことができる。なお、塗布液が継続して滞留すると、やがてその塗布液が僅かに固まったりする等、塗布液の状態や特性が変わってしまう場合があり、このような塗布液が、やがて口金から吐出されてしまうと、例えば、固まった塗布液が口金で詰まるおそれがあり、また、このような塗布液が塗布された基板は、品質が低く不良品となるおそれがある。しかし、前記バルブ15によれば、当該バルブ15内において、塗布液が多く滞留するのを防ぐことができるので、前記のような問題点の発生を防止することが可能となる。
また、前記実施形態の姿勢としたバルブ15では、前記開口穴44aは、主流路44の周壁の内の底部に形成され、その中心線C4が下方に向いて形成された構成であるため、
このバルブ15内に気泡が浸入しても、塗布液や洗浄流体と共に容易に流し出すことができ、バルブ15内に残留することを防ぐことができる。このように、気泡排出性能の高いバルブ15となることで、塗布液に気泡が混入することを嫌う塗布装置において好都合である。
【0068】
以上のような実施形態により塗布装置を説明したが、本発明の塗布装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。例えば、塗布液を異なる種類に交換する液換え作業に関して、説明した以外の方法であってもよい。
また、前記実施形態では、二種類の塗布液から一つが選ばれて塗布される場合の構成を説明したが、図1において、切り換えバルブ7から上流側の構成を複数組設け、これら複数組から一組を、更に設けた切り換えバルブ7によって選択する構成としてもよい。例えば、図1に示した切り換えバルブ7から上流側の構成を二組設け、この二組それぞれが有している切り換えバルブ7の出口ポート33を、別に設けた切り換えバルブ7の入口ポート31,32にそれぞれ接続すれば、四種類の塗布液から一つが選ばれて塗布される塗布装置が得られる。
また、前記実施形態では、カラーフィルタの製造に用いられる塗布装置について説明したが、有機ELを含むフラットパネルディスプレイや太陽電池等の製造に用いられる塗布装置であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
3:口金、 6:配管(口金用流路)、 7:切り換えバルブ、 8,9:配管(流路)、 10:洗浄ユニット、 11A:第一塗布液、 12A:第二塗布液、 21:第一ポンプ、 22:第二ポンプ、 23:流入口、 24:流入口、 25:流出口、 26:流出口、 31:入口ポート、 32:入口ポート、 33:出口ポート
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に塗布液を塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、ガラス基板上にレジスト液(塗布液)が塗布された塗布基板が使用されている。この塗布基板を製造する装置として、例えば特許文献1に記載の塗布装置が使用されている。
この塗布装置は、ステージ上の基板に対して塗布液を吐出する口金を有する塗布ユニットと、塗布液を溜めているタンクを有する液ユニットと、タンクの塗布液を口金に送るポンプとを備えている。
【0003】
このような塗布装置において、一つの塗布ユニットで、塗布液の種類を変更して塗布作業を行うためには、図15に示している構成が考えられる。すなわち、第一の塗布液91Aを溜めているタンク91と、第二の塗布液92Aを溜めているタンク92と、これらタンク91,92から延びる配管93,94と、これら配管93,94のいずれか一方を選択してポンプ97側の配管98に繋ぎ換えることができる繋ぎ換え部95と、この繋ぎ換え部95と口金96との間に設けられた一つのポンプ97とを備えている。図15は、第一の塗布液91Aを口金96から吐出している塗布作業状態を示しているが、この第一の塗布液91Aに換えて第二の塗布液92Aを前記口金96から吐出させるためには、繋ぎ換え部95の配管を繋ぎ換える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−238144号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばPCモニタ用やTVモニタ用の塗布基板に使用される塗布液はそれぞれ異なっており、これらを一つの塗布装置で生産するためには、異なる種類の塗布液に交換する必要がある。図15の従来の構成の場合、塗布液の種類を変更するために、繋ぎ換え部95にある配管を繋ぎ換える必要があるが、この作業は作業者が工具を用いることにより行われる。すなわち、第一の塗布液91Aによる塗布作業を一旦停止した後、作業者が工具を用いて、配管93に繋がっていた配管95aの継手(フランジ)を一旦外し、他方の配管94へ繋ぎ換える。このように作業者が工具を用いて継手を繋ぎ換える必要があるため、塗布液の種類を変更する作業に手間を要する。
【0006】
また、繋ぎ換え部95の配管95aやポンプ97内には第一の塗布液91Aが流れていたことから、第二の塗布液92Aによる塗布作業を開始する前に、繋ぎ換え部95の上流側99から洗浄液を供給し、配管95a、ポンプ97及び口金96を洗浄する必要がある。これは、第二の塗布液92Aに第一の塗布液91Aが混ざるのを防止するためである。
さらに、第二の塗布液92Aに第一の塗布液91Aが混ざるのを防止するためには、繋ぎ換え部95、ポンプ97及び口金96内に溜まっている第一の塗布液91Aを排出する必要があるが、特にポンプ97内には第一の塗布液91Aが多く残留しているため、この第一の塗布液91Aを排出するために多くの時間を要し、作業時間がさらに多くかかる他、塗布液の変更毎に多くの塗布液を無駄にしてしまう。
近年では、多品種少量の塗布基板を生産する必要があるため、塗布液の種類の交換機会が多く発生することとなり、この結果、塗布液の種類を交換する作業に時間がかかると、生産性が低下してしまう。
【0007】
そこで本発明は、塗布液を異なる種類に交換する液換え作業が容易となる塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明の塗布装置は、塗布液を吐出する口金と、異なる種類の前記塗布液それぞれを前記口金側に送るために当該塗布液の種類毎に設けられた複数のポンプと、前記複数のポンプと前記口金との間に設けられ、当該ポンプそれぞれと流路を介して繋がっている入口ポートを複数有し、当該複数の入口ポートが択一的に出口ポートと繋がった状態に切り換え可能な切り換えバルブと、前記出口ポートから前記口金へと前記塗布液を流す口金用流路と、前記ポンプと前記出口ポートとの間に設けられた流入口から洗浄流体を供給する洗浄ユニットとを備え、前記流入口から供給された前記洗浄流体を、前記口金用流路を経て前記口金から排出させることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、異なる種類の塗布液それぞれを口金側に送る複数のポンプを有し、これらポンプと口金部との間に切り換えバルブが設けられ、この切り換えバルブは、ポンプそれぞれと流路を介して繋がっている入口ポートを複数有していることから、これら入口ポートそれぞれには、異なる種類の塗布液が供給されることとなる。そして、この切り換えバルブは、複数の入口ポートを択一的に出口ポートと繋がった状態に切り換え可能であるため、塗布液の種類の変更を行うためには、この切り換えバルブで切り換えを行えばよく、従来のような作業者による継手の繋ぎ換え作業が不要となり、塗布液の種類の変更が簡単となる。
さらに、これらポンプと切り換えバルブの出口ポートとの間に設けられた流入口から洗浄ユニットにより洗浄流体が供給され、当該洗浄流体を口金用流路を経て口金から排出させる。したがって、塗布液の変更のために、ポンプ内の塗布液を排出する必要がなく、また、ポンプ内を洗浄する必要がない。このため、塗布液を無駄にする量は従来よりも減り、また、洗浄のための領域が狭くて済み、液換えのために必要となる洗浄時間の短縮が可能となる。
すなわち、前記流入口は、ポンプと出口ポートとの間に設けられていることから、流入口よりも下流側、すなわち、出口ポートを含む口金までを洗浄液で洗浄することができる。これにより、複数種類の塗布液を切り換えた場合、入口ポートから出口ポートに異なる塗布液が供給されるが、この供給された塗布液と、先の塗布液とが混合するのを防止することができる。さらに人手による切り換えバルブを洗浄する手間も省くことができる。
【0010】
また、前記塗布装置において、前記切り換えバルブと、前記洗浄流体の前記流入口との間に、前記塗布液を廃液として排出するための流出口が設けられているのが好ましい。
この場合、一つのポンプが駆動して例えば第一の塗布液が切り換えバルブを通じて流れ、当該塗布液を口金から吐出させている際に、他のポンプが駆動して第二の塗布液を、前記流出口から排出することができる。このため、第一の塗布液を塗布している作業中に、第二の塗布液の流れを発生させ、当該第二の塗布液の状態・特性を維持することができる。なお、例えば塗布液がポンプ内で溜まった状態が長時間継続すると、塗布液が僅かに固まったりする等、その状態・特性が変わってしまうおそれがあるが、本発明によれば、これを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塗布装置によれば、塗布液の種類の変更を行うためには、切り換えバルブで切り換えを行えばよく、従来のような作業者による継手の繋ぎ換え作業が不要となる。また、洗浄液を流入口から供給し出力ポートから口金までを洗浄することができるため、ポンプ内を洗浄する必要がなく、塗布液の変更が簡単となる。この結果、塗布液を異なる種類に変更する液換えの作業時間を短縮することが可能となり、変更した塗布液による塗布作業を迅速に開始することができ、塗布作業の効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】塗布装置の概略構成を示している説明図である。
【図2】塗布装置が備えている各部の配管系統を説明している配管図である。
【図3】液換えの方法(方法1)を説明する配管図である。
【図4】液換えの方法(方法1)を説明する配管図である。
【図5】液換えの方法(方法1)を説明する配管図である。
【図6】液換えの方法(方法2)を説明する配管図である。
【図7】液換えの方法(方法2)を説明する配管図である。
【図8】液換えの方法(方法2)を説明する配管図である。
【図9】切り換えバルブを一部断面で示した正面図である。
【図10】切り換えバルブの断面図である。
【図11】共通流路及びその周囲を示す説明図であり、上から見た断面図である。
【図12】共通流路及びその周囲を示す説明図であり、側面から見た断面図である。
【図13】廃液バルブを正面から見た断面図である。
【図14】図13の矢印Bの方向から見た断面図である。
【図15】従来の塗布装置の概略構成を示している説明図である。
【図16】従来の廃液バルブを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔塗布装置の構成〕
図1は本発明の塗布装置の概略構成を示している説明図である。この塗布装置は、塗布液が塗布される基板Wを載せるステージ18及びこの基板Wに対して塗布液を吐出する口金3を有している塗布ユニット1を備えた装置本体と、塗布液を溜めるタンク11,12を有し前記装置本体とは別に設置された液ユニット2とを備えている。基板Wはガラス基板であり、塗布液はフォトレジスト液等である。液ユニット2と塗布ユニット1とは、配管4,5を介して接続されている。また、塗布装置は、後に説明するが、塗布液を異なる種類に交換する液換え作業の際に、配管等の各部を洗浄流体によって洗浄するための洗浄ユニット10を備えている。
【0014】
図1において、本実施形態の液ユニット2は、第一塗布液11Aが溜められた第一タンク11と、第二塗布液12Aが溜められた第二タンク12とを有していて、塗布液の種類は、二種類用意されている。また、塗布ユニット1は、口金3の他に、塗布液の種類と同数(すなわち二つ)のポンプ21,22、及び、一つの切り換えバルブ7を有している。ポンプ21,22は液ユニット2よりも口金3側に設けられていて、切り換えバルブ7は、これらポンプ21,22と口金3との間に設けられている。本実施形態のポンプ21,22は、送り出す塗布液に圧力の脈動を生じさせにくいシリンジポンプから成る。
【0015】
この塗布装置の配管の構成を説明する。切り換えバルブ7は、二つの入口ポート31,32及び一つの出口ポート33を有する三方向弁であり、出口ポート33と口金3とは単一の口金用流路(配管)6を介して繋がっている。第一の入口ポート31は配管(流路)8を介して第一ポンプ21と繋がっていて、第二の入口ポート32は配管(流路)9を介して第二ポンプ22と繋がっている。
【0016】
第一ポンプ21を駆動させることで、第一タンク11内の第一塗布液11Aは配管4を流れて当該第一ポンプ21に到達し、さらに、この第一塗布液11Aは配管8を通じて切り換えバルブ7の第一の入口ポート31へと流れる。また、第二ポンプ22を駆動させることで、第二タンク12内の第二塗布液12Aは配管5を流れて当該第二ポンプ22に到達し、さらに、この第二塗布液12Aは配管9を通じて切り換えバルブ7の第二の入口ポート32へと流れる。すなわち、異なる二種類の塗布液11A,12Aそれぞれを口金3側にある切り換えバルブ7へ送るために、第一ポンプ21及び第二ポンプ22は、当該塗布液11A,12Aの種類毎に専用のポンプとして設けられている。
【0017】
切り換えバルブ7の構成は後にも説明するが、二つの入口ポート31,32が択一的に出口ポート33と繋がった状態となるように切り換え可能である。このため、切り換えバルブ7内において、第一塗布液11Aを第一の入口ポート31から出口ポート33へ流している時は、第二塗布液12Aは切り換えバルブ7内を通過することができない状態となり、これと反対に、第二塗布液12Aを第二の入口ポート32から出口ポート33へ流している時は、第一塗布液11Aは切り換えバルブ7内を通過することができない状態となる。
【0018】
また、ポンプ21,22それぞれと、切り換えバルブ7との間には、流入口23,24が設けられていて、洗浄ユニット10によって、この流入口23,24それぞれから洗浄流体が切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3へと供給され、当該口金3から吐出される。洗浄ユニット10は、洗浄液又はエアを洗浄流体として切り換えバルブ7側へ供給するための供給装置(例えばポンプ10a)を有している。
【0019】
図2は、塗布装置が備えている各部の配管系統を説明している配管図である。塗布装置は、前記切り換えバルブ7の他に、洗浄バルブ13,14、廃液バルブ15,16、及び、複数の開閉バルブ17A,17Bを更に備えている。これらバルブの開閉動作制御が行われることにより、第一塗布液11Aを口金3から吐出して塗布する作業、又は、第二塗布液12Aを口金3から吐出して塗布する作業が選択して行われ、さらに、洗浄ユニット10が機能して流路の洗浄を行う作業が、前記塗布作業と別の時間帯に行われる。なお、これらバルブは、塗布装置が備えている制御装置80(図1参照)から出力される制御信号や、この制御信号によって動作する駆動源81の働きによって、開閉動作が切り替わる。また、洗浄ユニット10のポンプ10a及び塗布液用のポンプ21,22の運転開始や停止の動作制御は、前記制御装置80による制御信号に基づいて行われる。
【0020】
前記洗浄バルブ13,14の概略について説明する。洗浄バルブ13は、第一ポンプ21と切り換えバルブ7との間の流路に取り付けられており、二つの入口ポート131,132と、一つの出口ポート133とを有している。そして、この洗浄バルブ13は、二つの入口ポート131,132が択一的に出口ポート133と繋がった状態となるように切り換え可能となるものであり、その機能としては、三方向弁である前記切り換えバルブ7と同じである。
本発明では、洗浄ユニット10によって洗浄流体が供給される前記流入口23を、第一ポンプ21から切り換えバルブ7の出口ポート33までの間の第一塗布液11Aが流れる流路の途中に設ければよいが、本実施形態では、前記洗浄バルブ13が有する一方の入口ポート131を洗浄流体の流入口23としている。また、他方の入口ポート132は第一塗布液11Aの流入口である。
このように、第一ポンプ21と切り換えバルブ7との間に、洗浄流体の流入口23(入口ポート131)が設けられ、洗浄バルブ13においてこの流入口23から出口ポート133へと洗浄流体が流れる状態とし、かつ、切り換えバルブ7において第一の入口ポート31から出口ポート33へと洗浄流体が流れる状態とすることで、洗浄ユニット10によって前記流入口23に供給された洗浄流体は、当該流入口23から廃液バルブ15、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に供給され、当該口金3から排出されるようになる。
これにより、洗浄バルブ13から下流側、すなわち、流入口23から廃液バルブ15、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に至る流路が洗浄される。
【0021】
また、第二塗布液12A側もこれと同様に、洗浄バルブ14は、第二ポンプ22と切り換えバルブ7との間の流路に取り付けられており、二つの入口ポート231,232と、一つの出口ポート233とを有している。そして、この洗浄バルブ14は、前記切り換えバルブ7及び洗浄バルブ13と同様に、二つの入口ポート231,232が択一的に出口ポート233と繋がった状態となるように切り換え可能となるものである。そこで、本実施形態では、切り換えバルブ7、洗浄バルブ13,14は同じ構造のバルブが採用されている。
そして、本発明では、洗浄ユニット10によって洗浄流体が供給される前記流入口24を、第二ポンプ22から切り換えバルブ7の出口ポート33までの間の第二塗布液12Aが流れる流路の途中に設ければよいが、本実施形態では、前記洗浄バルブ14が有する一方の入口ポート231を洗浄流体の流入口24としている。また、他方の入口ポート232は第二塗布液12Aの流入口である。
このように、第二ポンプ22と切り換えバルブ7との間に、洗浄流体の流入口24(入口ポート231)が設けられ、洗浄バルブ14においてこの流入口24から出口ポート233へと洗浄流体が流れる状態とし、かつ、切り換えバルブ7において第二の入口ポート32と出口ポート33へと洗浄流体が流れる状態とすることで、洗浄ユニット10によって前記流入口24に供給された洗浄流体は、当該流入口24から廃液バルブ16、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に供給され、当該口金3から排出されるようになる。これにより、洗浄バルブ14から下流側、すなわち、流入口24から廃液バルブ16、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に至る流路が洗浄される。
このように、流入口23,24を、バルブの無い単純な分岐流路のうちの一つの流路で構成するのではなく、三方向弁からなる洗浄バルブ13,14の入口ポート131,231とすることにより、洗浄流体がポンプ側へと流れることを当該洗浄バルブ13,14において防ぐことができ、また、洗浄バルブ13,14の流入口23,24よりも下流側の流路を洗浄できることにより、人手による洗浄作業を省くことができる。
【0022】
前記廃液バルブ15,16の概略について説明する。廃液バルブ15は、洗浄バルブ13と切り換えバルブ7との間の流路の途中に取り付けられている。この廃液バルブ15は、後にその構成を説明するが、流入ポート41及び第一流出ポート42を端部に有する主流路と、この主流路の途中から分岐して第二流出ポート43へと繋がる副流路とを有し、第二流出ポート43が閉じた状態となって主流路の流体が副流路へ流れない第一状態と、第二流出ポート43が開いた状態となって主流路の流体が副流路へ流れることができる第二状態とのいずれか一方の状態に切り換えることができる。
そして、本発明では、洗浄流体の前記流入口23と、切り換えバルブ7の出口ポート33との間に、第一塗布液11Aを廃液として排出するための流出口25を設ければよいが、本実施形態では、前記廃液バルブ15の副流路側にある第二流出ポート43を、前記流出口25としている。このため、前記流出口25が前記流入口23の下流側に設けられるので、当該流入口23から供給された洗浄流体を流すだけで、洗浄することができる。
【0023】
この廃液バルブ15では、第一塗布液11Aを口金3から吐出するためには、第二流出ポート43(流出口25)が閉じた状態となって当該第一塗布液11Aを流入ポート41から流出ポート42へと流すが、第二塗布液12Aを口金3から吐出する作業中では、第二流出ポート43(流出口25)が開いた状態となって、第一ポンプ21により定期的に圧送された第一塗布液11Aを、流入ポート41から第二流出ポート43(流出口25)へ流す(ブリード動作する)ことができる。第二流出ポート43(流出口25)を流れ出た第一塗布液11Aは、廃液として排出される。なお、このブリード動作の際、切り換えバルブ7の第一の入口ポート31側は閉状態にあるので、第一塗布液11Aは、切り換えバルブ7側である流出ポート142へと流れない。
【0024】
また、第二塗布液12A側もこれと同様に、廃液バルブ16は、洗浄バルブ14と切り換えバルブ7との間の流路の途中に取り付けられている。廃液バルブ15,16は同じ構成を有している。
そして、本発明では、洗浄流体の別の前記流入口24と、切り換えバルブ7の出口ポート33との間に、第二塗布液12Aを廃液として排出するための流出口26を設ければよいが、本実施形態では、廃液バルブ16の副流路側にある第二流出ポート143を、前記流出口26としている。このため、前記流出口26が前記流入口24の下流側に設けられるので、当該流入口24から供給された洗浄流体を流すだけで、洗浄することができる。
この廃液バルブ16では、第二塗布液12Aを口金3から吐出するためには、第二流出ポート143(流出口26)が閉じた状態となって当該第二塗布液12Aを流入ポート141から流出ポート142へと流すが、第一塗布液11Aを口金3から吐出する作業中では、第二流出ポート143(流出口26)が開いた状態となって、第二ポンプ22により定期的に圧送された第二塗布液12Aを、流入ポート141から第二流出ポート143(流出口26)へ流す(ブリード動作する)ことができる。第二流出ポート143(流出口26)を流れ出た第二塗布液12Aは、廃液として排出される。なお、このブリード動作の際、切り換えバルブ7の第二の入口ポート32側は閉状態にあるので、第二塗布液12Aは、切り換えバルブ7側である流出ポート142へと流れない。
【0025】
〔塗布液を異なる種類に交換する液換え作業(方法1)〕
以上のように構成された塗布装置において、第一塗布液11Aを口金3から吐出して基板W(図1参照)に塗布していた状態から、第二塗布液12Aに交換する作業を説明する。図2は、第一塗布液11Aを塗布し、かつ、第二塗布液12Aについては前記ブリード動作を行うことができる状態を示している。各開閉バルブに関して、黒塗りで示しているものは閉状態にあり、白色で示しているものは開状態にある。切り換えバルブ7、洗浄バルブ13,14、及び、廃液バルブ15,16に関しては、閉状態にあるポート側を黒塗りで示し、開状態にあるポート側を白塗りで示している。また、塗布液や洗浄流体が流れている配管を太線で示している。
図2の第一塗布液11Aを塗布している状態では、洗浄バルブ13において、入口ポート131を閉じて入口ポート132と出口ポート133とが繋がった状態にあり、廃液バルブ15では、第二流出ポート43を閉じて流入ポート41と流出ポート42とが繋がった状態にあり、切り換えバルブ7では、入口ポート32を閉じて入口ポート31と出口ポート33とが繋がった状態にある。
第二塗布液12A側に関して、洗浄バルブ14では、入口ポート231を閉じて入口ポート232と出口ポート233とが繋がった状態にあり、廃液バルブ16では、第二流出ポート143が開いており、流入ポート141から第二流出ポート143へと流体が流れることができる状態にある。
【0026】
この図2の状態から、塗布する塗布液を第二塗布液12Aへと交換する作業は、以下の順序で行われる。まず、第一塗布液11Aの洗浄工程が行われる。図3に示しているように、ポンプ21,22を停止させた状態とし、洗浄バルブ13において、開いていた入口ポート132を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート131を開いた状態へと切り換え、入口ポート131と出口ポート133とが繋がった状態とする。開閉バルブ17Aを開き、洗浄ユニット10によってエアを洗浄バルブ13の入口ポート131へ供給する。このエアによって、第一塗布液11Aが流れていた各配管、廃液バルブ15内の主流路、切り換えバルブ7内の流路、配管6、及び、口金3内の当該第一塗布液11Aを、口金3から廃液溜め部82に排出する。
【0027】
その後、図4に示しているように、開閉バルブ17Aを閉じ、代わって、開閉バルブ17Bを開き、洗浄ユニット10によって洗浄液を洗浄バルブ13の入口ポート131へ供給する。この洗浄液によって、第一塗布液11Aが流れていた、各配管、廃液バルブ15内の主流路、切り換えバルブ7内の流路、配管6、及び、口金3内を洗浄し、洗浄液を口金3から廃液溜め部82に排出する。
再び、図3に示しているように、開閉バルブ17Aを開き、開閉バルブ17Bを閉じ、洗浄ユニット10によってエアを洗浄バルブ13の入口ポート131へ供給する。このエアによって、洗浄した流路に残っている可能性のある洗浄液を口金3から抜き出す。そして、図5に示しているように、開閉バルブ17A,17Bを閉じる。
これにより、流入口23から廃液バルブ15、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に至る流路が洗浄され、切り換えバルブ7から口金3までの流路に第一塗布液11Aが残留するのを抑えることができる。
【0028】
次に、図5に示しているように、切り換えバルブ7において、開いていた入口ポート31を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート32を開いた状態へと切り換え、入口ポート32と出口ポート33とが繋がった状態とし、さらに、廃液バルブ16の第二流出ポート143を閉じた状態に切り換え、流入ポート141から第二流出ポート143へと流体が流れることができない状態とする。これにより、第二ポンプ22が、第二タンク12内にある第二塗布液12Aを、切り換えバルブ7の入口ポート32へと圧送することができ、第二塗布液12Aは、配管6を通じて口金3に送られ、口金3から吐出される。これにより、第二塗布液12Aによる塗布作業が開始され、第一塗布液11Aから第二塗布液12Aへの液換えが完了する。
【0029】
なお、第二塗布液12Aによる塗布作業が行われると、洗浄バルブ13において、開いていた入口ポート131を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート132を開いた状態へと切り換え、入口ポート132と出口ポート133とが繋がった状態とし、さらに、廃液バルブ15の第二流出ポート43を開き、流入ポート41から第二流出ポート43へと第一塗布液11Aが流れることができる状態とする。これにより、第一ポンプ21により定期的に圧送された第一塗布液11Aを、流入ポート41から第二流出ポート43へ流す(ブリード動作する)ことができる。なお、このブリード動作の際、切り換えバルブ7の入口ポート31側は閉状態にあるので、第一塗布液11Aは、切り換えバルブ7側である流出ポート42へと流れない。
このブリード動作は、前記制御装置80(図1参照)の制御によって実行されるが、このようなブリード動作を行うのは、第一塗布液11Aが長時間にわたって流れていない状態が継続すると、その配管内において、第一塗布液11Aの一部が僅かに固まったりする等、その状態・特性が変わってしまうおそれがあるが、このブリード動作により、これを防止することが可能となるためである。
【0030】
〔塗布液を異なる種類に交換する液換え作業(方法2)〕
液換え作業の他の実施形態を説明する。前記液換え作業(方法1)は、塗布作業を行うために塗布液が流れていた流路等の洗浄を終えてから、次に塗布作業を行う塗布液に液換えする方法であるが、液換え作業(方法2)は、塗布作業を行うために塗布液が流れていた流路等ではなく、次に塗布作業を行う塗布液を流そうとする流路等の洗浄を終えてから、当該次に塗布作業を行う塗布液に液換えする方法である。
【0031】
図2は、前記のとおり、第一塗布液11Aを塗布し、かつ、第二塗布液12Aについては前記ブリード動作を行うことができる状態を示しているが、この状態から、塗布する塗布液を第二塗布液12Aへと交換する作業(方法2)は、以下の順序で行われる。図6に示しているように、ポンプ21,22を停止させた状態とし、洗浄バルブ14において、開いていた入口ポート232を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート231を開いた状態へと切り換え、入口ポート231と出口ポート233とが繋がった状態とする。また、切り換えバルブ7において、開いていた入口ポート31を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート32を開いた状態へと切り換え、入口ポート32と出口ポート33とが繋がった状態とする。また、廃液バルブ16の第二流出ポート143は閉じた状態となる。
そして、開閉バルブ17Aを開き、洗浄ユニット10によってエアを洗浄バルブ14の入口ポート231へ供給する。このエアによって、これから第二塗布液12Aを流そうとする各配管、切り換えバルブ7内の流路、配管6、及び、口金3を洗浄する。この際、切り換えバルブ7の出口ポート33側、配管6、及び、口金3内に残った第一塗布液11Aが、当該口金3から廃液溜め部82に排出される。
【0032】
その後、図7に示しているように、開閉バルブ17Aを閉じ、代わりに、開閉バルブ17Bを開き、洗浄ユニット10によって洗浄液を洗浄バルブ14の入口ポート231へ供給する。この洗浄液によって、これから第二塗布液12Aを流そうとする各配管、切り換えバルブ7内の流路、配管6、及び、口金3内を洗浄し、洗浄液を口金3から廃液溜め部82に排出する。
再び、図6に示しているように、開閉バルブ17Aを開き、代わりに、開閉バルブ17Bを閉じ、洗浄ユニット10によってエアを洗浄バルブ14の入口ポート231へ供給する。このエアによって、洗浄した流路に残っている洗浄液を口金3から抜き出す。
これにより、流入口24から廃液バルブ16、切り換えバルブ7及び配管6を通じて口金3に至る流路が洗浄され、切り換えバルブ7から口金3までの流路に第二塗布液12Aが残留するのを抑えることができる。
【0033】
そして、図8に示しているように、廃液バルブ15の閉じていた第二流出ポート43を開き、流入ポート41から第二流出ポート43へと流体が流れることができる状態とする。これにより、第一塗布液11Aに関して前記ブリード動作を行うことができる状態となる。そして、開閉バルブ17Aを閉じる。また、廃液バルブ16では、第二流出ポート143が閉じた状態にあり、流入ポート141から第二流出ポート143へと流体が流れることができない状態にある。
洗浄バルブ14において、開いていた入口ポート231を閉じた状態とする代わりに、閉じていた入口ポート232を開いた状態へと切り換え、入口ポート232と出口ポート233とが繋がった状態とする。
そこで、第二ポンプ22を作動させ、第二タンク12内の第二塗布液12Aを、口金3へと圧送し、第二塗布液12Aによる塗布作業が開始される。以上より、第一塗布液11Aから第二塗布液12Aへの液換えが完了する。
【0034】
ここで、液換え作業前である図2の状態では、ブリード動作によって第二塗布液12Aが、廃液バルブ16と切り換えバルブ7との間の流路60に浸入し、滞留していることがあるが、この方法2による液換え作業によれば、図7に示しているように、廃液バルブ16と切り換えバルブ7との間の流路60についても、洗浄を行うことができ、第二塗布液12Aの残留をより効果的に防止することができる。
【0035】
以上の構成を備えた塗布装置によれば、二種類の塗布液11A,12Aそれぞれを一つの切り換えバルブ7に送る二つの専用のポンプ21,22を有し、また、切り換えバルブ7は、第一ポンプ21と配管8を介して繋がっている入口ポート31及び第二ポンプ22と配管9を介して繋がっている入口ポート32を有していることから、一方の入口ポート31には第一塗布液11Aが供給され、他方の入口ポート32には種類が異なる第二塗布液12Aが供給されることとなる。
そして、この切り換えバルブ7は、二つの入口ポート31,32を択一的に出口ポート33と繋がった状態となるように切り換え可能であるため、口金3から吐出させる塗布液の種類を、例えば、第一塗布液11Aから第二塗布液12Aへと変更するには、この切り換えバルブ7が有する弁体(後に説明する)の位置の切り換えを行えばよく、図15に示した従来のような作業者による継手(フランジ)の繋ぎ換え作業が不要となり、塗布液の変更が簡単となる。
【0036】
さらに、第二塗布液12Aへと変更を行うために、洗浄ユニット10により、第一塗布液11Aが流れていた流路に、洗浄流体としてエア及び洗浄液が送り込まれるが、この洗浄流体の流入口23は、第一ポンプ21よりも上流側ではなく、第一ポンプ21の下流側(口金3側)に設けられている。このため、第二塗布液12Aへと変更する際、第一ポンプ21内を洗浄する必要がなく、また、第一ポンプ21内の塗布液11Aを排出する必要がない。このため、塗布液の変更のための液置き換え量、すなわち、第一塗布液11Aを無駄にする量を、図15に示した従来例よりも減らすことができる。また、洗浄バルブ13が切り換えバルブ7の出口ポート33よりも上流側に設けられているため、人手による洗浄作業を行うことなく出口ポート33を含む下流側を洗浄することができる。したがって、種類の異なる塗布液を切り換えた場合であっても、種類の異なる塗布液が流路内で混合することを抑えることができる。また、洗浄のための領域が狭くて済むので、液換えのために必要となる洗浄時間の短縮が可能となる。この結果、変更した第二塗布液12Aによる塗布作業を迅速に開始することができ、塗布作業の効率化が図れる。
なお、第一ポンプ21により前記ブリード動作が実行されるため、当該第一ポンプ21内及び第一塗布液11Aのための前記切り換えバルブ7までの流路において、当該第一塗布液11Aが定期的に流れることから、その性質を維持することが可能となり、次に、第二塗布液12Aから第一塗布液11Aへと再度液換えを行っても、直ぐに第一塗布液11Aによる塗布作業を開始することができる。
【0037】
〔切り換えバルブ7、洗浄バルブ13,14の具体的な構成〕
図2に示している切り換えバルブ7、洗浄バルブ13,14は同じ構成であるため、代表して切り換えバルブ7について説明する。図9は、切り換えバルブ7を一部断面で示した正面図であり、図10は、図9の切り換えバルブ7の一点鎖線で切断した部分を、矢印Aで示しているように下から見た断面図である。
この切り換えバルブ7は、図9に示している姿勢が、塗布装置への取り付け姿勢であり、第一入口ポート31及び第二入口ポート32は水平方向の直線上に配置され、出口ポート33は上下方向の直線上に配置され下向きに開口するように、バルブ7は取り付けられる。
【0038】
バルブ7が有するハウジング34内には流路が形成されていて、図10に示しているように、その流路の途中に二つの弁室51,52が設けられ、第一弁室51に第一弁体53の先部53bが収納され、第二弁室52に第二弁体54の先部54bが収納されている。
すなわち、ハウジング34内には、第一入口ポート31を有する第一流路35と、第二入口ポート32を有する第二流路36と、出口ポート33を有している第三流路37と(図9参照)、共通流路38とが形成されている。そして、第一流路35の下流側に第一弁室51が設けられ、第二流路36の下流側に第二弁室52が設けられている。第一弁室51の側面にある封止面51aには、共通流路38の一方に繋がる第一開口51bが形成されていて、第二弁室52の側面にある封止面52aには、前記共通流路38の他方に繋がる第二開口52bが形成されている。共通流路38は直線状の短い流路であり、第一流路35と第二流路36とを合流させ、この共通流路38の中央は開口して第三流路37(図9参照)へと繋がっている。
【0039】
第一弁体53の先部にある閉塞面53aが、第一弁室51の前記封止面51aに接触することで前記第一開口51bを閉じ、第一流路35は第一弁体53によって閉塞される。第二弁体54の先部にある閉塞面54aが、第二弁室52前記封止面52aに接触することで前記第二開口52bを閉じ、第二流路36は第二弁体54によって閉塞される。このように、閉塞面53a,54aが、直線状の共通流路38の両端に位置する開口51b,52bを閉塞する構成であり、また、これら閉塞面53a,54aが対向するように第一弁体53及び第二弁体54はハウジング34内に配置されている。
【0040】
第一弁体53と第二弁体54とは同じ構成であり、第一弁室51と第二弁室52とは同じ構成であるので、代表して第一弁体53側について説明する。弁体53はほぼ円柱形状であり、少なくとも先部53bが樹脂製である。なお、ハウジング34は樹脂製又は金属製である。先部53bと弁室51の周面との間には封止用のダイアフラム53dが設けられていて、このダイアフラム53dによってハウジング34内の第一の空間34aが区画され、一方側に第一弁室(ダイアフラム室)51を構成し、外部に対して塗布液を封止している。
また、ハウジング34内には第二の空間34bが形成され、第一弁体53の基部53cとこの空間34bの周面との間に駆動用ダイアフラム53eが設けられている。
【0041】
第一弁体53の基部53cの端面とハウジング34の端面との間には、バネ39が介在していて、このバネ39は第一弁体53の閉塞面53aを開口51bに押し付けている。すなわち、この状態で第一弁体53が閉じた状態となる。そして、前記第二の空間34bには、図外のエア配管を介してエアポンプ(図1の駆動源81)が繋がっていて、この空間34bにエアが供給されると、駆動用ダイアフラム53eを変形させ、前記バネ39のバネ力に抗して弁体53の閉塞面53aを開口51bから離すことができる。すなわち、この状態で第一弁体53が開いた状態となる。このように、バルブ7は、弁体53,54が共通流路38の中心線方向に沿って直線的に往復移動することで、開閉動作するものであり、エアにより開閉動作が切り換わる構成である。
【0042】
第一流路35では、第一入口ポート31から流入した第一塗布液11Aは第一弁室51に入り、第二流路36では、第二入口ポート32から流入した第二塗布液12Aは第二弁室52に入る。このバルブ7は、第一弁体53と第二弁体54とのいずれか一方が開いた状態となると他方を閉じた状態とするものであり、第一弁体53が開いた状態にあれば第二弁体54は閉じた状態にあり、この場合、当該第二弁体54は第二流路36を第二弁室52で閉塞することにより、第一流路35と第三流路37とが繋がったバルブ内流路を構成し、入口ポート31に供給された第一塗布液11Aが出口ポート33から流れ出ることができる。反対に、第二弁体54が開いた状態にあれば第一弁体53は閉じた状態にあり、この場合、当該第一弁体53は第一流路35を第一弁室51で閉塞することにより、第二流路36と第三流路37とが繋がったバルブ内流路を構成し、入口ポート32に供給された第二塗布液12Aが出口ポート33から流れ出ることができる。すなわち、出口ポート33は、第一入口ポート31と第二入口ポート32とのいずれか一方と繋がった状態となる。
【0043】
弁体53,54の配置についてさらに説明する。図11及び図12は共通流路38及びその周囲を示す説明図であり、図11は上から見た断面図であり、図12は側面から見た断面図である。図12において、断面円形である共通流路38の内壁に、断面円形である第三流路37へと繋がる開口38aが形成されていて、共通流路38の中心線C1と、開口38aの中心線C2とは直交している。なお、第三流路37の中心線は開口38aの中心線C2と共通であり、また、弁体53,54及び弁室51,52の中心線は共通流路38の中心線C1の延長線上にある。
【0044】
第一弁体53の閉塞面53aが、第一流路35を第一弁室51の第一開口51bにおいて閉塞した状態で、当該閉塞面53aは、第二流路36から共通流路38を経て第三流路37へと前記第二塗布液12Aが流れるバルブ内流路の内壁の一部を兼ねている。すなわち、第二流路36から共通流路38を経て第三流路37へと第二塗布液12Aが流れる前記バルブ内流路の内の共通流路38には、第一流路35へ繋がるための前記第一開口51bが形成されているが、第一弁体53は(閉塞面53aは)、共通流路38の中心線C1方向一方側の端部の内壁(壁面)となって第一開口51bを塞ぐことで、第一流路35を閉塞している。
【0045】
さらに、図11と図12とに示しているように、共通流路38の中心線C1方向の長さL1は、第三流路37(開口38a)の直径D1とほぼ同一である。このため、第一弁体53の閉塞面53aが閉じる開口51bと、第二弁体54の閉塞面54aが閉じる開口52bとが、接近した構成である。すなわち、図12に示しているように、第一弁体53の閉塞面53aが、第一流路35を第一弁室51の開口51bにおいて閉塞した状態にあると、当該閉塞面53aは、第三流路37の内周面の一部(図12では内周面の左側)のほぼ延長上に位置する構成となり、当該閉塞面53aは、共通流路38の中心線C1方向一方側(図12では左側)の端部の壁面を構成している。
【0046】
このように、第一弁体53が閉じ、第二弁体54が開いた状態では、共通流路38を介して第二流路36と第三流路37とが繋がった状態となるので、切り換えバルブ7内には、前記第二塗布液12Aが流れることができる。そして、前記のとおり、第一弁体53の閉塞面53aは、バブル7内において、第二塗布液12Aが流れるバルブ内流路の内壁の一部を兼ねていることから、このバルブ内流路を流れる第二塗布液12Aが、共通流路38を外れて、第一流路35側へ流れ込まない。このため、第一流路35側で第二塗布液12Aが残留するのを防ぐことができる。
【0047】
これと同様に、第二弁体54の閉塞面54aが、第二流路36を第二弁室52の第二開口52bにおいて閉塞した状態で、当該閉塞面54aは、第一流路35から共通流路38を経て第三流路37へと前記第一塗布液11Aが流れるバルブ内流路の内壁の一部を兼ねる。すなわち、第一流路35から共通流路38を経て第三流路37へと第一塗布液11Aが流れる前記バルブ内流路の内の共通流路38には、第二流路36へ繋がるための前記第二開口52bが形成されているが、第二弁体54は(閉塞面54aは)、前記共通流路38の中心線C1方向他方側の端部の内壁(壁面)となって第二開口52bを塞ぐことで、第二流路36を閉塞している。
【0048】
さらに、第二弁体54の閉塞面54aが、第二流路36を第二弁室52の開口52bにおいて閉塞した状態にあると、当該閉塞面54aは、第三流路37の内周面の一部(図12では内周面の右側)のほぼ延長上に位置する構成となり、当該閉塞面54aは、第一流路35と第三流路37とを繋げている共通流路38の中心線C1方向他方側(図12では右側)の端部の壁面を構成している。
【0049】
このように、第二弁体54が閉じた状態では、共通流路38を介して第一流路35と第三流路37とが繋がった状態となるので、切り換えバルブ7内には、前記第一塗布液11Aが流れることができる。そして、前記のとおり、第二弁体54の閉塞面54aは、バブル7内において、第一塗布液11Aが流れるバルブ内流路の内壁の一部を兼ねていることから、このバルブ内流路を流れる第一塗布液11Aが、共通流路38を外れて、第二流路36側へ流れ込まない。このため、第二流路36側で第一塗布液11Aが残留するのを防ぐことができる。
【0050】
以上より、バルブ7内を第一塗布液11Aが流れている場合、当該第一塗布液11Aの一部が第二流路36側で残留することがなく、同様に、バルブ7内を第二塗布液12Aが流れている場合、当該第二塗布液12Aの一部が第一流路35側で残留することがない。したがって、このバルブ7を用いて行う前記液換え作業の際に、塗布液11A(12A)がバルブ7内で残留せず、塗布液を迅速に置き換えることができる。
【0051】
なお、図12において、共通流路38の中心線C1方向の長さL1は、第三流路37(開口38a)の直径D1とほぼ同一である、と説明したが、完全に同一とすると、第三流路37と、弁室51(52)との間の壁55の厚さが理論上ゼロとなってしまう部分が生じる。しかし、実際には、この壁55は、バルブとして機能する上で、及び、塗布液は圧力を有していることから厚さが必要であり、加工可能な観点及び耐圧を考慮した設計上の観点から、数ミリ未満の厚さが必要である。なお、実施例としては、壁55は最薄部で0.5ミリとすることが可能である。したがって、長さL1と直径D1とがほぼ同一であるとは、その差が、4ミリ以下であると言える。このように、本発明では、塗布液が残留する部分をなくす観点から、共通流路38の中心線C1方向長さL1と、第三流路37(開口38a)の直径D1とを完全に同一とすべきものであるが、実際、完全に同一とするのは構成上不可能であり、ほぼ同一としている。
【0052】
また、このバルブ7において、第一流路35の上流側に第一入口ポート31が設けられ、下流側に第一弁室51が設けられ、また、第二流路36の上流側に第二入口ポート32が設けられ、下流側に第二弁室52が設けられている。第一流路35側と第二流路側36とは同様の構成であるが、第二流路側36側を代表して説明すると、図9と図12とで示しているように、第二入口ポート32から第二弁室52へと繋がる第二流路36の直線状である流路本体部36aは、第二弁室52の頂上52c側に偏った位置で開口36bしている。すなわち、第二流路36の流路本体部36aの中心線を延長した直線上には、第二弁室52の中心が存在していない。特に、図9に示しているように、横断面円形である第二弁室52の内周面の頂上52cにおける接線上に、流路本体部36aの内周面の頂上を結んで得られる仮想直線L2が存在する構成である。
【0053】
また、第一弁室51側においてもこれと同様であり、第一入口ポート31から第一弁室51へと繋がる第一流路35の直線上である流路本体部35aは、第一弁室51の頂上51c側に偏った位置で開口35bしている。
このように構成することで、バルブ7内に気泡70が残留することを防ぐことができる。すなわち、例えば、図9に示しているように、仮に第二弁室52の第二塗布液12A内に気泡70が存在していると、この気泡70はその頂上52c側に集まる。そこで、第二入口ポート32から第二弁室52へと繋がる流路本体部36aが、この第二弁室52の頂上52c側に偏った位置で開口36bしているので、当該流路本体部36aを流れてきた第二塗布液12Aによって、この気泡70を巻き込んで下流側である第三流路37へと流すことが可能となる。そして、これは第一弁室51においても同様であり、バルブ7内に気泡70が残留することを防ぐことができる。
なお、口金3(図2参照)までの間の塗布液に気泡70が多く存在していると、この塗布液をポンプで送り出している際に、当該気泡70が弾性体として作用し塗布液の圧力が変動し、口金3からの塗布液の吐出量が一定とならず、基板Wに塗布した塗布液にむら(膜厚むら)ができてしまうおそれがある。
さらに、前記のとおり、流路本体部35a,36aは、弁室51,52の頂上側に偏った位置で開口していることから、当該弁室51,52に塗布液が流入すると、当該弁室51,52において渦流が発生し、塗布液の置き換え性能を高めることができる。さらに、この渦流によって、前記気泡70の排出性能を高めることができる。
【0054】
以上のように、前記実施形態の塗布装置(図2参照)において、このバルブ7が採用されていることで、当該バルブ7の開閉状態の切り換えにより、二種類の塗布液11A,12Aを変更することができる。そして、このバルブ7は、前記のとおり塗布液が多く残留するのを防ぐことができる構成を備えているため、前記液換え作業として、例えば第一塗布液11Aから第二塗布液12Aへと変更する際、先にバルブ7を通過していた第一塗布液11Aが残留せず、変更後の第二塗布液12Aと混ざってしまうのを防ぐことができ、塗布液の置き換え性能を高めることが可能となる。
また、前記実施形態の姿勢としたバルブ7では、例えば、第二入口ポート32から第二弁室52へと繋がる流路本体部36aが、この第二弁室52の頂上52c側に偏った位置で開口36bしているので、当該流路本体部36aを流れてきた第二塗布液12Aによって、気泡70を巻き込んで下流側である第三流路37へと流すことが可能となり、バルブ7内に気泡70が残留することを防ぐことができる。このように、気泡排出性能の高いバルブ7となることで、塗布液に気泡70が混入することを嫌う塗布装置において好都合である。
【0055】
〔廃液バルブ15,16の具体的な構成〕
図2に示している二つの廃液バルブ15,16は同じ構成であるため、代表して一方側の廃液バルブ15について説明する。図13は、廃液バルブ15を正面から見た場合の断面図であり、図14は、図13の矢印Bの方向から見た断面図である。
この廃液バルブ15は、図13に示している姿勢が、塗布装置への取り付け姿勢であり、流入ポート41及び流出ポート42を端部に有する直線状の主流路44が、水平方向に延びる状態となって、バルブ15は取り付けられる。
【0056】
バルブ15が有しているハウジング46内には、前記主流路44と、この主流路44の途中(中央)から分岐して第二流出ポート43(図14参照)へと繋がる副流路45とが形成されている。
主流路44と副流路45との間に一つの弁室61が形成されていて、この弁室61に弁体62の先部62bが収納された状態にある。弁室61の上面にある封止面61aには、主流路44に繋がる開口61bが形成されている。そして、副流路45は、前記封止面61aで開口している(図14参照)。なお、図示しないが、副流路45は弁室61の側周面で開口する構成であってもよい。
【0057】
弁体62の先部62bにある閉塞面62aが、弁室61の封止面61aに接触することで開口61bを閉じ、この弁体62によって主流路44の塗布液は副流路45に流れることができない状態となる。これに対して、閉塞面62aが開口61bから離れることで、主流路44の塗布液は副流路45に流れることができる状態となる。
【0058】
弁体62はほぼ円柱形状であり、少なくとも先部62bが樹脂製である。なお、ハウジング46は樹脂製又は金属製である。先部62bと弁室61の側周面との間には封止用のダイアフラム62dが設けられていて、このダイアフラム62dによってハウジング46内の第一の空間46aが区画され、一方側に弁室(ダイアフラム室)61を構成し、外部に対して塗布液を封止している。
ハウジング46内には第二の空間46bが形成され、弁体62の基部62cとこの空間46bの周面との間に駆動用ダイアフラム62eが設けられている。
【0059】
弁体62の基部62cの端面とハウジング46の端面との間には、バネ49が介在していて、このバネ49は弁体62の閉塞面62aを開口61bに押し付けている。すなわち、この状態で弁体62が閉じた状態となる。そして、前記第二の空間46bには、図外のエア配管を介してエアポンプ(図1の駆動源81)が繋がっていて、この空間46bにエアが供給されると、前記バネ49のバネ力に抗して弁体62の閉塞面62aを開口61bから離すことができる。すなわち、この状態で弁体62が開いた状態となる。このように、このバルブ15は、弁体62が上下方向に直線的に往復移動することで、開閉動作するものであり、エアにより開閉動作が切り換わる構成である。
【0060】
弁体62が弁室61を閉じた状態では、流入ポート41に流れてきた塗布液は、主流路44のみを通過し、流出ポート42から流れ出る。この場合、塗布液は副流路45を流れることはない。これに対して、弁体62が弁室61を開けた状態では、流入ポート41に流れてきた塗布液は、主流路44の上流側を通過した後、弁室61内に流れ込むことができ、弁室61に流れた塗布液は、副流路45を通過し、第二流出ポート43から流れ出ることとなる。このように、このバルブ15では、主流路44の塗布液が副流路45へ流れない第一状態と、主流路44の塗布液が副流路45へ流れることができる第二状態とに切り換えることができる。
【0061】
弁体62及びその周囲の構成についてさらに説明する。断面円形である直線状の主流路44を構成している周壁の一部に、開口穴44aが形成されていて、この開口穴44aは弁室61へと繋がる。つまり、開口穴44aの弁室61側の端部が前記開口61bとなる。主流路44の中心線C3と開口穴44aの中心線C4とは直交している。なお、弁室61の中心線は開口穴44aの中心線C4と共通である。
そして、図13と図14とに示しているように、弁体62の閉塞面62aは、主流路44に接近して設けられていて、主流路44の中心線C3から、閉状態にある弁体62の閉塞面62aまでの距離L3(図14参照)は、主流路44の半径R1とほぼ同一である。
【0062】
すなわち、弁体62は、主流路44を構成している周壁の一部に形成された前記開口穴44aを開閉切り換える構成であるが、主流路44の塗布液を副流路45へ流さない状態では、弁体62の閉塞面62aは、主流路44を構成している周壁の一部分となって、開口穴44aを塞いでいる。すなわち、閉状態にある弁体62の閉塞面62aは、主流路44の壁面において欠損している前記開口穴44aを補うようにして塞いでいる。
【0063】
さらに説明すると、主流路44と、弁体62を収納している弁室61とが、開口穴44aによって繋がっているが、この開口穴44aの主流路44側の縁部の下端(図14の拡大図の矢印Jの部分)と、当該開口穴44aの弁室61側の縁部(つまり、弁室61の開口61b)の一部とが、共通している。
この形状によれば、主流路44と弁室61との間の壁65(図13の拡大図参照)において、その厚さが極めて薄い部分が存在していることになる。なお、この厚さが極めて薄い部分は、図14の拡大図によれば矢印Jの部分である。壁65の厚さが極めて薄いとは、実際は主流路44を流れる流体に圧力が作用しているため、耐圧を考慮した設計上の観点から、壁65の厚さを完全にゼロとするわけにはいかず、その圧力に耐えられる設計上必要な壁の厚さ(数ミリ未満の厚さ)を有している程度であることを意味している。なお、実施例としては、壁65は最薄部(図14の拡大図の矢印Jの部分)で0.5ミリとすることが可能である。したがって、極めて薄いとは0ミリより大きく2ミリ以下であると言える。
【0064】
このように、主流路44の塗布液を副流路45に流さない状態では、弁体62の閉塞面62aが、主流路44を構成している周壁の一部となって当該周壁に形成された開口穴44aを塞いでいるので、この状態では、主流路44と弁体62の閉塞面62aとの間に、塗布液が多く滞留する領域が形成されず、塗布液の滞留を防ぐことができる。
このように、廃液バルブ15では、塗布液の滞留を防ぐことができるので、前記液換え作業の際に、廃液バルブ15の第二流出ポート43(図3と図4参照)を閉じた状態として、主流路44に洗浄流体を流すだけで済む。すなわち、このような廃液バルブを設けるために(流出口25を設けるために)、例えば、図16の従来例に示しているように、主流路100の途中に分岐部101を形成し、枝流路102に廃液バルブ103を接続した構成とした場合、主流路100に塗布液を流して口金3により塗布作業を行っていると、枝流路102と廃液バルブ103に当該塗布液が流れ込み、滞留してしまう。この滞留物がやがて口金3へと流れ塗布膜に混入すると、塗布ムラの原因となる。このため、図16の従来の構成の場合では、液換え作業の際、主流路100を洗浄している途中で、バルブ103を閉状態から開状態に切り換えて、枝流路102と廃液バルブ103に滞留していた塗布液を洗浄する必要がある。
しかし、前記実施形態の廃液バルブ15によれば、図13に示しているように、主流路44と弁体62の閉塞面62aとの間に塗布液が滞留するのを抑えることができるので、前記液換え作業の際に、第二流出ポート43(図3と図4参照)を閉じた状態として、主流路44に洗浄流体を流すだけで済み、前記塗布ムラの発生を防止することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態では、既に説明したように、図13及び図14に示している姿勢が、塗布装置への取り付け姿勢であるため、前記開口穴44aは、主流路44の周壁の内の底部に形成され、その中心線C4が下方に向いて形成されている構成となる。
このように構成することで、バルブ15内に気泡が残留することを防ぐことができる。すなわち、例えば、主流路44を通過する塗布液内に気泡が存在していると、その気泡は主流路44の頂上側を流れる。仮に、開口穴44aが主流路44の頂上側に形成されていると、気泡が開口穴44aに残留してしまうおそれがある。しかし、本実施形態によれば、開口穴44aは、頂上側に形成されていないので、このような気泡の残留を防止することが可能となる。なお、口金3(図2参照)までの間の塗布液に気泡が多く存在していると、この塗布液をポンプで送り出している際に、当該気泡は弾性体として作用し塗布液の圧力が変動し、口金3からの塗布液の吐出量が一定とならず、基板Wに塗布した塗布液にむら(膜厚むら)ができてしまうおそれがある。
【0066】
また、バルブ15の配置(取り付け姿勢)は、これ以外であってもよく、図13を上方から見た断面図とするようにバルブ15を配置してもよい。この場合、開口穴44aは、主流路44の周壁の内の側部に形成され、その中心線C4が水平方向に向いて形成された構成となる。この場合であっても、開口穴44aは、頂上側に形成されていないので、気泡の残留を防止することが可能となる。
【0067】
以上のように、前記実施形態の塗布装置(図2参照)において、このバルブ15が採用されていることで、前記のとおり、バルブ15内において塗布液が多く滞留するのを防ぐことができる。なお、塗布液が継続して滞留すると、やがてその塗布液が僅かに固まったりする等、塗布液の状態や特性が変わってしまう場合があり、このような塗布液が、やがて口金から吐出されてしまうと、例えば、固まった塗布液が口金で詰まるおそれがあり、また、このような塗布液が塗布された基板は、品質が低く不良品となるおそれがある。しかし、前記バルブ15によれば、当該バルブ15内において、塗布液が多く滞留するのを防ぐことができるので、前記のような問題点の発生を防止することが可能となる。
また、前記実施形態の姿勢としたバルブ15では、前記開口穴44aは、主流路44の周壁の内の底部に形成され、その中心線C4が下方に向いて形成された構成であるため、
このバルブ15内に気泡が浸入しても、塗布液や洗浄流体と共に容易に流し出すことができ、バルブ15内に残留することを防ぐことができる。このように、気泡排出性能の高いバルブ15となることで、塗布液に気泡が混入することを嫌う塗布装置において好都合である。
【0068】
以上のような実施形態により塗布装置を説明したが、本発明の塗布装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。例えば、塗布液を異なる種類に交換する液換え作業に関して、説明した以外の方法であってもよい。
また、前記実施形態では、二種類の塗布液から一つが選ばれて塗布される場合の構成を説明したが、図1において、切り換えバルブ7から上流側の構成を複数組設け、これら複数組から一組を、更に設けた切り換えバルブ7によって選択する構成としてもよい。例えば、図1に示した切り換えバルブ7から上流側の構成を二組設け、この二組それぞれが有している切り換えバルブ7の出口ポート33を、別に設けた切り換えバルブ7の入口ポート31,32にそれぞれ接続すれば、四種類の塗布液から一つが選ばれて塗布される塗布装置が得られる。
また、前記実施形態では、カラーフィルタの製造に用いられる塗布装置について説明したが、有機ELを含むフラットパネルディスプレイや太陽電池等の製造に用いられる塗布装置であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
3:口金、 6:配管(口金用流路)、 7:切り換えバルブ、 8,9:配管(流路)、 10:洗浄ユニット、 11A:第一塗布液、 12A:第二塗布液、 21:第一ポンプ、 22:第二ポンプ、 23:流入口、 24:流入口、 25:流出口、 26:流出口、 31:入口ポート、 32:入口ポート、 33:出口ポート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を吐出する口金と、
異なる種類の前記塗布液それぞれを前記口金側に送るために当該塗布液の種類毎に設けられた複数のポンプと、
前記複数のポンプと前記口金との間に設けられ、当該ポンプそれぞれと流路を介して繋がっている入口ポートを複数有し、当該複数の入口ポートが択一的に出口ポートと繋がった状態に切り換え可能な切り換えバルブと、
前記出口ポートから前記口金へと前記塗布液を流す口金用流路と、
前記ポンプと前記出口ポートとの間に設けられた流入口から洗浄流体を供給する洗浄ユニットと、を備え、
前記流入口から供給された前記洗浄流体を、前記口金用流路を経て前記口金から排出させることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記切り換えバルブと、前記洗浄流体の前記流入口との間に、前記塗布液を廃液として排出するための流出口が設けられている請求項1に記載の塗布装置。
【請求項1】
塗布液を吐出する口金と、
異なる種類の前記塗布液それぞれを前記口金側に送るために当該塗布液の種類毎に設けられた複数のポンプと、
前記複数のポンプと前記口金との間に設けられ、当該ポンプそれぞれと流路を介して繋がっている入口ポートを複数有し、当該複数の入口ポートが択一的に出口ポートと繋がった状態に切り換え可能な切り換えバルブと、
前記出口ポートから前記口金へと前記塗布液を流す口金用流路と、
前記ポンプと前記出口ポートとの間に設けられた流入口から洗浄流体を供給する洗浄ユニットと、を備え、
前記流入口から供給された前記洗浄流体を、前記口金用流路を経て前記口金から排出させることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記切り換えバルブと、前記洗浄流体の前記流入口との間に、前記塗布液を廃液として排出するための流出口が設けられている請求項1に記載の塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−92836(P2011−92836A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247957(P2009−247957)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】
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