説明

塗料用樹脂組成物及びそれを用いた塗料組成物

【課題】 塗装作業性に優れ、耐酸性雨性、耐汚染性、耐水性、耐候性、耐擦り傷性に優れた塗膜を得ることができる塗料組成物を提供する。
【解決手段】 (A)一部エポキシ基がジメチロールアルカン酸のカルボキシル基と反応してジメチロールアルカン酸に由来する基が結合され、エポキシ基価が100〜250mgKOH/g、水酸基価が5〜150mgKOH/g、重量平均分子量が2,500〜15,000であるエポキシ基含有ラジカル重合性単量体に基づく共重合体、(B)酸価が100〜340mgKOH/g、水酸基価が100mgKOH/g以下、重量平均分子量が700〜10,000であるカルボキシル基含有樹脂、及び(C)水酸基と反応する架橋剤を必須成分とし、(A)のエポキシ基価/(B)の酸価含有比率は0.9〜1.1、(C)成分は全樹脂固形分中1〜15質量%である塗料用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な塗料用樹脂組成物及び塗料組成物に関する。さらに詳しく言えば、塗装作業性に優れ、耐酸性雨性、耐汚染性、耐水性、耐候性に優れた塗膜が得られ、中でも自動車塗装分野において、特に耐擦り傷性に優れた塗膜が得られる塗料用樹脂組成物及び塗料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家電製品や自動車外板などの上塗り塗料として好適な、耐酸性及び耐擦り傷性に優れる
塗膜を形成することができる塗料用組成物が求められている。
酸/エポキシ架橋を用いた技術としては、(A)カルボキシル基をもつ(メタ)アクリル酸誘導体単位を含有する酸価25〜125、水酸基価30〜150、数平均分子量500〜10,000及びガラス転移温度−20〜40℃のアクリル系共重合体と(B)エポキシ基をもつ不飽和単量体単位を含有するエポキシ当量230〜1500、水酸基価30〜150、数平均分子量500〜10,000及びガラス転移温度−20〜40℃のアクリル系共重合体と(C)アミノ樹脂とから成り、(A)成分のカルボキシル基/(B)成分のエポキシ基モル比が0.5〜2で、(C)成分の含有量が樹脂固形分量に対し5〜25重量%である塗料用樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この塗料用樹脂組成物には、十分な耐擦り傷性を示す量の柔軟成分を導入すると、塗膜の架橋密度が低下し耐候性、耐酸性が低下するという欠点がある。
【0003】
また、耐酸性、耐洗車擦り傷性及びチッピング性に優れた塗膜を形成する方法として、(A)ポリエポキシド、及び(B)ポリカルボン酸(a)1モルに、炭素数4〜7の環状エステル(b)1〜50モルを開環重合させて得られるカルボキシル基含有化合物、を必須成分として含有することを特徴とする加熱硬化性塗料組成物、並びに素材に着色ベースコート及びクリヤートップコートを順次形成させてなる上塗り塗膜形成方法において、該着色ベースコート及び/又はクリヤートップコートを形成する塗料が、上記の塗料組成物を樹脂成分とするものであることを特徴とする上塗り塗膜形成方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この塗料組成物には、十分な耐擦り傷性を示す量の環状エステルを付加すると、塗膜の架橋密度が低下し耐候性、耐酸性が低下するという欠点がある。
【0004】
また、耐擦り傷性、耐酸性及び耐溶剤性のすべての性質においてバランスのよい物性を有する塗膜を形成することができるクリヤー塗料組成物として、ハーフエステル酸基含有アクリル共重合体(1)、エポキシ基含有アクリル共重合体(2)、並びに、カルボキシル基含有ポリエステル重合体(3a)及びカルボキシル基含有アクリル重合体(3b)からなる群より選択される少なくとも1つのカルボキシル基含有重合体(3)からなるクリヤー塗料組成物であって、前記(1)〜(3)の重合体は、炭素数が4以上のエチレン結合で表されるソフトセグメント部を、前記(1)〜(3)の重合体固形分全量に対して5〜20質量%有しており、前記(1)〜(3)の重合体のうちの少なくとも2つの重合体が、前記一般式(A)で表されるソフトセグメント部を有することを特徴とするクリヤー塗料組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、このクリヤー塗料組成物には、十分な耐擦り傷性を示す量のソフトソグメント部を導入すると、塗膜の架橋密度が低下し耐候性、耐酸性が低下するという欠点がある。
【0005】
また、酸/エポキシ架橋反応を用い、かつ、ハイソリッドに有用な塗料用樹脂として、炭素原子数が6〜8の2,2−ジメチロールアルカン酸と、アルカン酸モノグリシジルエステルとをエステル付加反応させてなる酸価20mgKOH/g以下の水酸基含有樹脂が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この樹脂を用いた場合には、柔軟成分を持たないため耐擦り傷性を得ることが困難であるという欠点がある。
【0006】
また、耐水性、耐溶剤性、付着性等に優れた保護被膜を形成することが可能なエポキシ変性ポリウレタン樹脂を含む塗料用樹脂組成物として、イソシアネート化合物(a)、ポリオール(b)及びヒドロキシカルボン酸(c)を反応させることにより得られるカルボキシル基含有ポリウレタンポリオール樹脂を、エポキシ化合物(d)とカルボキシル基1当量に対してエポキシ基が0.1〜1当量の範囲内となるような割合で反応させることにより得られるエポキシ変性ポリウレタン樹脂(A)及び硬化剤(B)を含んでなる塗料用樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、この樹脂を用いた場合には、十分な耐擦り傷性を示す量の柔軟成分を導入すると、塗膜の架橋密度が低下するため、耐候性、耐酸性が低下するという欠点がある。
【0007】
また、耐酸性雨に対する耐性に優れ、かつ汚染防止の持続性が良好な塗膜を提供し得る熱硬化性クリヤー塗料組成物として、ビヒクルとして(A)カルボキシル基含有ポリマーと(B)エポキシ基含有ポリマーとを含有する熱硬化性クリヤー塗料に、1次粒子径が10〜50nmであるシリカ微粒子を含有する熱硬化性クリヤー塗料組成物が知られている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、このクリヤー塗料組成物には、十分な耐擦り傷性を示す量の柔軟成分を導入すると、塗膜の架橋密度が低下するため、耐候性、耐酸性が低下するという欠点がある。
【0008】
【特許文献1】特開平5−171103号公報
【特許文献2】特開平11−199826号公報
【特許文献3】特開2003−253191号公報
【特許文献4】特開2003−055313号公報
【特許文献5】特開2002−161234号公報
【特許文献6】特開2002−285073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、塗装作業性に優れ、耐酸性雨性、耐汚染性、耐水性、耐候性に優れた塗膜が得られ、中でも自動車塗装分野において、特に耐擦り傷性に優れた塗膜を得ることができる柔軟性と架橋密度のバランスに優れた酸/エポキシ架橋と、水酸基による架橋とを組合せた塗料用樹脂組成物、並びに塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決するべき鋭意研究を重ねた結果、エポキシ基を有するラジカル重合性単量体に基づく単位を含有する共重合体の一部のエポキシ基をジメチロールアルカン酸のカルボキシル基と反応させることによって、共重合体に末端が2つに分岐した水酸基を導入することができ、この残ったエポキシ基とカルボキシル基との架橋と、上記の分岐した水酸基を用いた架橋との異なる架橋構造を用いることによって、その目的を達成し得ることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、(A)エポキシ基を有するラジカル重合性単量体に基づく単位を含有する共重合体であって、その一部分のエポキシ基がジメチロールアルカン酸のカルボキシル基と反応してジメチロールアルカン酸に由来する基が結合されており、エポキシ基価が100〜250mgKOH/gであり、水酸基価が5〜150mgKOH/gであり、重量平均分子量が2,500〜15,000である共重合体、
(B)酸価が100〜340mgKOH/gであり、水酸基価が100mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が700〜10,000であるカルボキシル基を有する樹脂、及び
(C)水酸基と反応する架橋剤
を必須成分とし、(A)成分と(B)成分との含有比率が、(B)成分の酸価に対する(A)成分のエポキシ基価の比率で0.9〜1.1であり、(C)成分の含有割合が全樹脂固形分中1〜15質量%であることを特徴とする塗料用樹脂組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、上記塗料用樹脂組成物において、(A)成分の共重合体中に反応して結合されているジメチロールアルカン酸に由来する基の水酸基にラクトン化合物が付加している塗料用樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記塗料用樹脂組成物において、(A)成分のラクトン化合物付加量が、(A)成分の固形分に対して35質量%以下である塗料用樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、上記塗料用樹脂組成物において、(A)成分のジメチロールアルカン酸が、2,2−ジメチロールブタン酸または2,2−ジメチロールプロピオン酸である塗料用樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記塗料用樹脂組成物において、(B)成分の樹脂が、カルボキシル基を有するアクリル樹脂であり、その含有量が全樹脂固形分に対して20質量%以上である塗料用樹脂組成物を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、上記塗料用樹脂組成物において、(C)成分が、メラミン樹脂、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン及びブロック化イソシアネート化合物の中から選ばれる架橋剤である塗料用樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記塗料用樹脂組成物に、さらに、(D)成分として、シリカを(A)成分、(B)成分、(C)成分の全樹脂固形分に対して5質量%以下含有することを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の塗料用樹脂組成物、並びに塗料組成物を用いることにより、塗装作業性に優れ、耐酸性雨性、耐汚染性、耐水性、耐候性に優れた塗膜が得られ、中でも自動車塗装分野において、特に耐擦り傷性に優れた塗膜を得ることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の(A)成分を製造するために用いられるエポキシ基を有するラジカル重合性単量体は、ラジカル重合性炭素−炭素二重結合を1個以上を有し、かつエポキシ基を有するラジカル重合性単量体であり、炭素−炭素二重結合の数は、2個以下が好ましく、1個が特に好ましい。エポキシ基を有するラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなどが挙げられ、1種又は2種以上の混合物として用いられる。
【0017】
このエポキシ基を有するラジカル重合性単量体と共重合する共重合可能なラジカル重合性単量体は、エポキシ基と反応するカルボキシル基、アミド基などの官能基を有しないことが望ましい。具体的な共重合可能なラジカル重合性単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、1種単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
【0018】
上記エポキシ基を有するラジカル重合性単量体と共重合可能なラジカル重合性単量体を共重合させて得られる共重合体(以下、エポキシ基含有共重合体ともいう。)の製造方法については特に制限はなく、従来の塗料用アクリル樹脂系共重合体の製造において慣用されている方法、例えば溶液重合法などが挙げられる。
次に、エポキシ基含有共重合体の一部分のエポキシ基が、反応しているジメチロールアルカン酸の具体例としては、2,2−ジメチロールブタン酸または2,2−ジメチロールプロピオン酸が好ましく、2,2−ジメチロールブタン酸が、より低温での溶解性が高く、エポキシ基との反応を行いやすいため、特に好ましい。
【0019】
エポキシ基の一部分が、ジメチロールアルカン酸のカルボキシル基と反応することによって、共重合体の側鎖に、3つの分岐した水酸基を導入することができ、架橋密度の調整をすることが可能になる。
(A)成分のエポキシ基を有するラジカル重合性単量体に基づく単位を含有する共重合体であって、その一部分のエポキシ基がジメチロールアルカン酸と反応している共重合体の製造方法は、エポキシ基含有共重合体とジメチロールアルカン酸を反応させる方法であってもよいし、又は、予めエポキシ基を有するラジカル重合性単量体の一部とジメチロールアルカン酸を反応させたものの存在下に、エポキシ基を有するラジカル重合性単量体と共重合可能なラジカル重合性単量体を共重合させる方法であってもよい。
【0020】
エポキシ基とジメチロールアルカン酸のカルボキシル基との反応は、エポキシ基含有共重合体を合成する反応容器中にて行うことが好ましいが、共重合反応前に行ってもよいし、又は、共重合反応後に行ってもよい。反応には、特に触媒を用いることは必要なく、反応温度は、130〜150℃で行うことが好ましい。
エポキシ基を有するラジカル重合性単量体又はエポキシ基を有するラジカル重合性単量体に基づく単位と反応させる、ジメチロールアルカン酸の使用量は、(A)成分の共重合体中のエポキシ基価が100〜250mgKOH/g、水酸基価が5〜150mgKOH/gになるように選定することが好ましい。
【0021】
(A)成分のエポキシ基価のより好ましい範囲は、130〜230mgKOH/gであり、特に好ましい範囲は、150〜220mgKOH/gである。エポキシ基価が100mgKOH/g未満では、(B)成分のカルボキシル基との反応が不十分となるため硬化性が劣り、250mgKOH/gを超えた場合には、塗膜の硬化歪みが大きくなり、塗膜外観が低下する。
【0022】
また、(A)成分の水酸基価のより好ましい範囲は、10〜100mgKOH/gであり、特に好ましい範囲は、20〜70mgKOH/gである。水酸基価が5mgKOH/g未満では、架橋密度が低下するため耐擦り傷性が不十分となり、150mgKOH/gを超えた場合には、共重合体の極性が高くなり、(B)成分や(C)成分との相溶性が低下するため、塗膜外観が低下する。
(A)成分の共重合体の重量平均分子量は2,500〜15,000が好ましく、より好ましくは、3,000〜10,000であり、さらに好ましくは、3,500〜8,000である。重量平均分子量が、2,500未満では硬化性に劣り、15,000を超えた場合には、塗膜形成時の粘度が高くなるため、塗膜外観が低下する。
【0023】
(A)成分において、共重合体中の一部分のエポキシ基とジメチロールアルカン酸とを反応させた後、共重合体の側鎖(末端)の水酸基(メチロール由来)及び反応によって得られた2級の水酸基に、柔軟性を付与する目的で、ラクトン化合物を付与することが、特に、好ましい。
該ラクトン化合物としては、例えば、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ノナノイックラクトン、δ−ドデカノラクトンなどが挙げられ、カプロラクトンがより好ましく、ε−カプロラクトンが特に好ましい。これらのラクトン化合物は1種用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0024】
ラクトン化合物の付加反応は、エポキシ基含有共重合体を合成し、ジメチロールアルカン酸と反応させた反応容器中にて行うことが好ましい。反応には、特に触媒を用いることは必要なく、反応温度は、130〜140℃で行うことが好ましい。
水酸基に付加するラクトン化合物の付加量は、ラクトン化合物の付加後の(A)成分の固形分に対して、35質量%以下であることが好ましく、5〜35質量%であることがさらに好ましく、特に好ましくは、8〜20質量%である。
ラクトン化合物の付加量が、ラクトン化合物の付加後の(A)成分の固形分に対して35質量%を超えた場合には、塗膜の柔軟成分が多くなりすぎるため、塗膜硬度が低下する。
【0025】
本発明の(B)成分として用いられるカルボキシル基を有する樹脂としては、酸価が100〜340mgKOH/g、重量平均分子量が700〜10,000であれば、特に制限ないが、耐水性に優れていることから、カルボキシル基を有するアクリル樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂が好ましく、カルボキシル基を有するアクリル樹脂がより好ましい。
(B)成分の樹脂の酸価の特に好ましい範囲は、140〜250mgKOH/gであり、酸価が100mgKOH/g未満では、(A)成分のエポキシ基との反応が不十分となり、硬化性が劣り、340mgKOH/gを超えた場合には、塗膜の硬化歪みが大きくなり、塗膜外観が低下する。
【0026】
(B)成分の樹脂の水酸基価は、100mgKOH/g以下であり、より好ましい範囲は、80mgKOH/g以下であり、さらに好ましい範囲は、50mgKOH/g以下である。
水酸基価が100mgKOH/gを超えた場合には、樹脂の極性が高くなり、(A)成分や(C)成分との相溶性が低下するため、塗膜外観が低下する。
(B)成分の樹脂の重量平均分子量は、700〜10,000が好ましく、より好ましくは、1,000〜8,000であり、さらに好ましくは、1,300〜6,000である。重量平均分子量が、700未満では、硬化性に劣り、10,000を超えた場合には、塗膜形成時の粘度が高くなるため、塗膜外観が低下する。
(B)成分の樹脂は、カルボキシル基と反応するエポキシ基などの官能基を有しないことが望ましい。
【0027】
カルボキシル基を有するアクリル樹脂は、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体、アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて他の共重合可能なラジカル重合性単量体をラジカル共重合することにより製造される。カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、コハク酸などが用いられる。また、アクリル酸エステル系単量体、及び他の共重合可能なラジカル重合性単量体としては、上記(A)成分における共重合可能なラジカル重合性単量体で述べたものが用いられる。
【0028】
(B)成分がカルボキシル基を有するアクリル樹脂の場合、カルボキシル基以外の官能基として水酸基を導入することができる。カルボキシル基を有するアクリル樹脂に水酸基を導入する方法としては、カルボキシル基を有するアクリル樹脂を製造するための共重合時に、水酸基を有するラジカル重合性単量体を共重合させる方法が挙げられる。水酸基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、アリルアルコール、アクリル酸とバーサチック酸グリシジルエステルの付加物、メタクリル酸とバーサチック酸グリシジルエステルの付加物;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル又はメタクリル酸4−ヒドロキシブチルのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0029】
カルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、酸化合物と多価アルコールを反応させることにより製造することができる。酸化合物としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などの脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物が用いられる。これらの酸化合物と反応する多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールAなどの2価のアルコールやグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの3価のアルコール、ペンタエリスリトールなどの4価のアルコールなど一般的なポリオールなどが挙げられる。
【0030】
本発明において、(A)成分と(B)成分との含有比率は、(B)成分の酸価に対する(A)成分のエポキシ基価の比率で0.9〜1.1が好ましく、より好ましくは、0.95〜1.05である。
エポキシ基の割合が、酸価に対して0.9未満では硬化性に劣り、1.1を超えた場合も硬化性に劣る。
【0031】
本発明の(C)成分の架橋剤は、水酸基と反応する官能基を1分子中に少なくとも1個以上有すればよく、例えば、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基などの官能基を有する架橋用樹脂、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン、メラミン樹脂などが挙げられ、1種単独で用いても良く、2種類以上を組合せて用いても良い。
架橋剤における水酸基と反応する官能基の数は、1分子中に2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。水酸基と反応する官能基の数の上限は、特に制限ないが、30個以下が好ましい。
【0032】
また、耐候性、耐酸性の観点から、メラミン樹脂よりは、ブロックイソシアネート化合物、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンが好ましい。
(C)成分の架橋剤は、全樹脂固形分に対して、1〜15質量%が好ましく、より好ましくは、3〜10質量%である。架橋剤の割合が、全樹脂固形分に対して1質量%未満では、塗膜の架橋密度が低下し、耐擦り傷性が劣り、15質量%を超えた場合には、塗膜の硬化歪みが大きくなり、塗膜外観が低下する。
【0033】
また、本発明において、(D)成分として、シリカを配合することができる。シリカについては、特に制限がなく、塗料用として一般的に用いられるものが使用できるが、平均一次粒子径5〜20nmのものが、耐擦り傷性を付与することができることから好ましい。
用いるシリカの割合は、(A)成分、(B)成分、(C)成分の全樹脂固形分に対して、5質量%以下が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、さらに好ましくは、0.3〜2質量%である。シリカの割合が、全樹脂固形分に対して5質量%を超えた場合には、塗膜が白濁し、外観が低下する。
【0034】
本発明の塗料組成物は、そのままで、あるいは必要に応じて、有機溶剤、各種添加剤、例えば、界面活性剤、表面調整剤、硬化反応触媒、帯電防止剤、香料、脱水剤、さらにはポリエチレンワックス、ポリアマイドワックス、内部架橋型樹脂微粒子等のレオロジー調整剤などを1種又は2種以上添加して使用することができる。
本発明の塗料組成物は、1液型塗料として好適に使用でき、貯蔵安定性に優れている。
本発明の塗料組成物は、クリヤー塗料として用いてもよいし、染料、顔料などの着色剤を配合して着色塗料として用いてもよいが、上塗り塗料組成物として使用することが好ましい。
【0035】
本発明の上塗り塗料の塗装仕上げ方法は、例えば、基材上に着色ベースコートを塗装し、未架橋のまま上塗り塗料として本発明の塗料組成物を塗装する2コート1ベーク塗装仕上げ方法、基材上に着色ベースコートを塗装し、未架橋のまま中塗り塗料を塗装し、同時に焼き付けた後に、オーバーコート塗料として本発明の塗料組成物を塗装し焼き付けるオーバーコート塗装仕上げ方法、及び上記オーバーコート塗装仕上げ方法において、下地コートとの密着性確保のために、プライマー塗料を塗装し、未架橋のまま本発明の塗料組成物をオーバーコート塗料として塗装する塗装仕上げ方法等が挙げられる。
【0036】
前記着色ベースコート塗料、中塗り塗料、上塗り塗料、オーバーコート塗料、及びプライマー塗料は、必要に応じて加温したり、有機溶剤又は反応性希釈剤を添加することにより所望の粘度に調整した後、エアースプレー、静電エアースプレー、ロールコーター、フローコーター、ディッピング形式による塗装機等の通常使用される塗装機、又は刷毛、バーコーター、アプリケーターなどを用いて塗装が行われる。これらのうちスプレー塗装が好ましい。
本発明の塗料組成物の塗布量は、乾燥膜厚が通常10〜100μmとなるようにすることが好ましい。本発明の塗料組成物を塗装して得られる塗膜は、通常焼付けることが好ましい。
【0037】
また、焼付け温度は、通常120〜180℃の範囲で適宜選定すればよい。さらに、焼付け時間は、通常10〜60分の範囲で適宜選定すればよい。
また、本発明の塗料組成物を塗装する基材としては、木、ガラス、金属、布、プラスチック、発泡体、弾性体、紙、セラミック、コンクリート、石膏ボード等の有機素材及び無機素材などが挙げられる。これらの基材は、予め表面処理されたものでもよいし、予め表面に塗膜が形成されたものでもよい。
これまで具体例を示したが、本発明の塗料組成物の塗装仕上げ方法は、これらにより何ら制限されるものではない。
【0038】
本発明の塗料組成物により得られる塗装物品としては、例えば、構造物、木製品、金属製品、プラスチック製品、ゴム製品、加工紙、セラミック製品、ガラス製品などが挙げられる。より具体的には、自動車、自動車用部品(例えば、ボディー、バンパー、スポイラー、ミラー、ホイール、内装材等の部品であって、各種材質のもの)、鋼板等の金属板、二輪車、二輪車用部品、道路用資材(例えば、ガードレール、交通標識、防音壁等)、トンネル用資材(例えば、側壁板等)、船舶、鉄道車両、航空機、家具、楽器、家電製品、建築材料、容器、事務用品、スポーツ用品、玩具などが挙げられる。
【実施例】
【0039】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。なお、特に明記しない限り「部」及び「%」は、それぞ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0040】
((A)成分の共重合体の製造)
<製造例1:A−1製造>
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に記載した数量のソルベッソ100(商品名、芳香族ナフサ系溶剤;エクソン化学(株)製)、2,2−ジメチロールブタン酸を仕込み、窒素気流下攪拌しながら加熱し140℃を保った。次に、140℃の温度で滴下成分として記載した単量体及び重合開始剤の混合物を2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、140℃の温度を1時間保った後、追加触媒を滴下し、さらに140℃の温度を2時間保ったところで反応を終了し、樹脂A−1を得た。
【0041】
<製造例2:A−2の製造>
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に記載した数量のソルベッソ100(商品名、芳香族ナフサ系溶剤;エクソン化学(株)製)、2,2−ジメチロールブタン酸を仕込み、窒素気流下攪拌しながら加熱し140℃を保った。次に、140℃の温度で滴下成分として記載した単量体及び重合開始剤の混合物を2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、140℃の温度を1時間保った後、追加触媒を滴下し、さらに140℃の温度を2時間保った後、ε-カプロラクトンを仕込み、150℃に温度を上げて、3時間保ったところで反応を終了し、樹脂A−2を得た。
【0042】
<A−3〜A−21の製造>
製造例1または製造例2の製造方法と同じようにして、表1及び表2に記載した配合にて樹脂A−3〜A−21を得た。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
((B)成分の樹脂の製造)
<B−1〜9の製造>
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、表3に記載した数量のソルベッソ100を反応溶剤として仕込み140℃に昇温した。続いて、滴下成分として記載した単量体及び重合開始剤の混合物を滴下ロートより2時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間温度を保ち、追加触媒を滴下した。その後140℃の温度を2時間保ったところで重合反応を終了し、樹脂B−1〜9の溶液を得た。
【0046】
【表3】

【0047】
<B−10の製造>
温度計、ディーンスターク、還流冷却器、窒素導入管、撹拌機を備えた4つ口フラスコに、ヘキサヒドロ無水フタル酸53.2質量部、ペンタエリスリトール11.8質量部を仕込み、160℃から200℃に加熱・昇温しながら撹拌し、酸価が300以下となるように縮合重合反応を行った。次に、150℃にまで冷却してから、ソルベッソ100を35質量部加えて、不揮発分65%、樹脂酸価299、数平均分子量760のポリエステル樹脂の溶液B−10を得た。
【0048】
(実施例1〜26)
(クリヤー塗料の製造)
<CC−1〜CC−26製造>
表4〜表6に記載した原料を順次混合して均一になるように撹拌し、クリヤー塗料CC−1〜CC−26を得た。
【0049】
【表4】

【0050】
【表5】

【0051】
【表6】

【0052】
<表4〜表6の略号の説明>
1)Larotact LR9018:BASF アクチェンゲゼルシャフト社製、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンの50質量%溶液
2)Desmodur VPLS−2253:住化バイエルウレタン社製、ブロック化ポリイソシアネートの75質量%溶液
3)デュラネート K6000:旭化成ケミカルズ社製、ブロック化ポリイソシアネートの60質量%溶液
4)マイコート508:日本サイテックインダストリーズ社製ブチル化メラミン樹脂の80質量%溶液
【0053】
5)サイメル327:日本サイテックインダストリーズ社製メチル化メラミン樹脂の90質量%溶液
6)アエロジルR972:日本アエロジル社製疎水性シリカ、平均一次粒子径16nm
7)紫外線吸収剤:チバ・スペシャリティケミカルズ社製「チヌビン 400」の85質量%溶液
8)光安定剤:クラリアント社製「サンドバー 3058」の10質量%溶液
9)表面調整剤:ソルーシア社製「アジトールXL 480」の10質量%溶液
【0054】
(試験片の作成及び塗膜性能の評価)
リン酸亜鉛処理軟鋼板にカチオン電着塗料アクアNo.4200(商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製)を乾燥膜厚20μmとなるよう電着塗装して175℃で25分間焼き付け、さらに中塗り塗料ハイエピコNo.560(商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製)を乾燥膜厚30μmとなるようエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた。次に、溶剤系ベースコート塗料であるベルコートNo.6000黒(商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製、塗色:黒)を乾燥膜厚15μmとなるようエアスプレー塗装し20℃で3分間セット後、上記のクリヤー塗料をソルベッソ100(商品名、芳香族ナフサ系溶剤;エクソン化学(株)製)で塗装粘度(フォードカップNo.4、20℃で25秒)に希釈したものをウェット・オン・ウェット方式でそれぞれ乾燥膜厚40μmとなるようエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けて試験片を作成した。
なお、実施例のいずれの場合も耐汚染性の試験板のみは、ベースコート塗料をベルコートNo.6000白(商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製、塗色:白)に替えて用いた。
評価結果を表7〜9に示した。
【0055】
【表7】

【0056】
【表8】

【0057】
【表9】

【0058】
(比較例1〜19)
(クリヤー塗料の製造)
<CC−27〜CC−45製造>
表10〜表11に記載した原料を順次混合して均一になるように撹拌し、クリヤー塗料CC−27〜CC−45を得た。
【0059】
【表10】

【0060】
【表11】

【0061】
(試験片の作成及び塗膜性能の評価)
実施例1と同様にして、試験片を作成し、塗膜性能を評価した。
評価結果を表12〜13に示した。
【0062】
【表12】

【0063】
【表13】

【0064】
以下に、実施例及び比較例で評価した塗膜性能の試験方法を示す。
(1)耐擦り傷性
耐洗車傷性ともいい、試験板上に泥水(JIS Z−8901−84 8種ダスト/水/中性洗剤=10/99/1質量比で混合したもの)をハケで塗布後、自動車用洗車機にて洗車ブラシを150rpmで10秒間回転させ、試験板を流水にて洗浄する。以上の操作を2回繰り返した後、試験板表面の擦り傷の程度を色彩色差計(CR−331 ミノルタカメラ(株)製)によりL*値を測定した。次式によりΔL*値を算出し、その値から耐擦り傷性を評価した。
ΔL*値=試験後のL*値−試験前のL*
◎;ΔL*値が10未満
○;ΔL*値が10以上20未満
△;ΔL*値が20以上30未満
×;ΔL*値が30以上
【0065】
(2)塗膜硬度
JIS K5600−5−4(1999)の引っかき硬度(鉛筆法)試験方法に準拠して、塗膜硬度を測定した。
良好な塗膜硬度は、HB以上である。
(3)耐候性
サンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験機(JIS K−5400(1990)9.8.1)を用いて表面に塗膜を形成した試験板を3000時間曝露後、塗膜の状態を目視判定した。
◎:塗膜にほとんど変化が見られない
○:塗膜に少し水シミ跡が見られる
△:塗膜に水シミ跡が見られる
×:塗膜に著しい水シミ跡が見られる
【0066】
(4)耐酸性
40%硫酸水溶液0.2mlを表面に塗膜を形成した試験板にスポット状に乗せた後60℃で15分間加熱し、その後水洗いしてシミ跡の発生度合いを目視観察した。
◎:(塗膜にほとんど変化が見られない)
○:塗膜に少し水シミ跡が見られる。
△:塗膜に水シミ跡が見られる。
×:塗膜に著しい水シミ跡が見られる。
【0067】
(5)耐水性
JIS K−5400(1990)9.9耐候性試験方法に準じて屋外にて表面に塗膜を形成した試験板を3ヶ月曝露後、塗膜の未洗浄面の色をJIS K−5400(1990)7.4.2塗膜の色−計測法に準じて測定し、試験片を40℃の温水に240時間浸漬した後のL値から試験前のL値を引くことにより△L値を算出し、下記の基準で塗膜の白化を判定した。
◎:0.5未満
○:0.5以上1.0未満
△:1.0以上2.0未満
×:2.0以上
【0068】
(6)外観性
塗膜の目視観察により、次の基準に従い評価した。
○:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯が鮮明に映る。
△:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯の周囲(輪郭)がややぼやける。
×:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯の周囲(輪郭)が著しくぼやける。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の塗料用樹脂組成物及び塗料組成物は、種々の塗装分野において利用でき、中でも自動車塗装分野において特に有効に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ基を有するラジカル重合性単量体に基づく単位を含有する共重合体であって、その一部分のエポキシ基がジメチロールアルカン酸のカルボキシル基と反応してジメチロールアルカン酸に由来する基が結合されており、エポキシ基価が100〜250mgKOH/gであり、水酸基価が5〜150mgKOH/gであり、重量平均分子量が2,500〜15,000である共重合体、
(B)酸価が100〜340mgKOH/gであり、水酸基価が100mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が700〜10,000であるカルボキシル基を有する樹脂、及び
(C)水酸基と反応する架橋剤
を必須成分とし、(A)成分と(B)成分との含有比率が、(B)成分の酸価に対する(A)成分のエポキシ基価の比率で0.9〜1.1であり、(C)成分の含有割合が全樹脂固形分中1〜15質量%であることを特徴とする塗料用樹脂組成物。
【請求項2】
(A)成分の共重合体中に反応して結合されているジメチロールアルカン酸に由来する基の水酸基にラクトン化合物が付加している請求項1記載の塗料用樹脂組成物。
【請求項3】
(A)成分のラクトン化合物付加量が、(A)成分の固形分に対して35質量%以下である請求項2記載の塗料用樹脂組成物。
【請求項4】
(A)成分のジメチロールアルカン酸が、2,2−ジメチロールブタン酸または2,2−ジメチロールプロピオン酸である請求項1記載の塗料用樹脂組成物。
【請求項5】
(B)成分の樹脂が、カルボキシル基を有するアクリル樹脂であり、その含有量が全樹脂固形分に対して20質量%以上である請求項1記載の塗料用樹脂組成物。
【請求項6】
(C)成分が、メラミン樹脂、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン及びブロック化イソシアネート化合物の中から選ばれる架橋剤である請求項1記載の塗料用樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の塗料用樹脂組成物に、さらに、(D)成分として、シリカを(A)成分、(B)成分、(C)成分の全樹脂固形分に対して5質量%以下含有することを特徴とする塗料組成物。

【公開番号】特開2008−50472(P2008−50472A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228460(P2006−228460)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(599076424)BASFコーティングスジャパン株式会社 (59)
【Fターム(参考)】