説明

塗料組成物及び塗膜形成方法

【課題】貯蔵安定性及び硬化性に優れる、カルボキシル基(酸無水基)/エポキシ基からなる架橋系の塗料組成物を提供すること。
【解決手段】(A)カルボキシル基及び/又は環状酸無水基含有化合物、(B)ポリエポキシド及び(C)(a)3級アミン及び(b)酸性リン酸エステルで構成される潜在性硬化触媒を必須成分として含有することを特徴とする塗料組成物。とくに、3級アミン(a)として、一般式(RN)(R、R及びRは炭化水素基であって、同一もしくは異なっていてもよく、また、R、R及びRのうちの少なくとも1つが炭素原子数8以上の炭化水素基であって、該炭化水素基の水素原子はハロゲン又は水酸基で置換されていてもよい)で表わされる化合物を含有する塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な耐酸性及び貯蔵安定性に優れる塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体等の被塗物に塗装される塗料には、仕上り外観及び耐酸性等の塗膜性能に優れることが要求されている。
【0003】
耐酸性に優れる塗料として、官能基がカルボキシル基/エポキシ基、又はカルボキシル基/エポキシ基/水酸基からなる架橋系の塗料(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)が開示されている。
【0004】
これらの塗料の硬化触媒としては、通常、3級アミン、4級アンモニウム塩などの塩基性化合物が使用されている。
【0005】
しかしながら、上記塩基性化合物はカルボキシル基とエポキシ基との反応促進効果が大きいため、塗料の貯蔵安定性が不十分となる問題点があった。
【0006】
上記貯蔵安定性の改良を図った塗料として、例えば、特許文献4には、オニウム塩及び酸性リン酸エステルで構成される潜在性硬化触媒を含有する、ポリエポキシドとカルボキシル基及び/又は環状酸無水基含有硬化剤とを樹脂成分とする硬化性樹脂組成物も開示されている。
【0007】
しかしながら、該潜在性硬化触媒を用いても、塗料の貯蔵安定性の改良効果は不十分であり、また、オニウム塩化合物が高極性であるため、塗料の体積固有抵抗値が低下することにより、静電塗装適性に不具合を生じる場合もあった。
【0008】
【特許文献1】特開昭62−87288号公報
【特許文献2】特開平2−45577号公報
【特許文献3】特開平3−287650号公報
【特許文献4】特開平7−133340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、貯蔵安定性及び硬化性並びに静電塗装適性に優れる、カルボキシル基(酸無水基)/エポキシ基からなる架橋系の塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行なった結果、カルボキシル基(酸無水基)/エポキシ基からなる架橋系の塗料組成物の硬化触媒として、3級アミン及び酸性リン酸エステルで構成される潜在性硬化触媒を使用することにより、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、(A)カルボキシル基及び/又は環状酸無水基含有化合物、(B)ポリエポキシド及び(C)(a)3級アミン及び(b)酸性リン酸エステルで構成される潜在性硬化触媒を必須成分として含有することを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として上記記載の塗料組成物を塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の塗料組成物において、カルボキシル基(酸無水基)とエポキシ基との反応の硬化触媒として用いられる、3級アミン及び酸性リン酸エステルで構成される触媒は、加熱によって新たに触媒の機能が発生するいわゆる熱潜在性硬化触媒として作用するものと考えられる。該硬化触媒を使用することにより、本発明の塗料組成物の貯蔵安定性及び硬化性が優れるといった効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の塗料組成物(以下、「本塗料」ということがある。)及び複層塗膜形成方法について詳細に説明する。
【0015】
本発明の塗料組成物は、(A)カルボキシル基及び/又は環状酸無水基含有化合物、(B)ポリエポキシド及び(C)(a)3級アミン及び(b)酸性リン酸エステルで構成される潜在性硬化触媒を必須成分として含有することを特徴とする塗料組成物である。
カルボキシル基及び/又は環状酸無水基含有化合物(A)
本発明で用いる化合物(A)は、カルボキシル基及び/又は環状酸無水基を含有する化合物である。該化合物は、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有するポリカルボン酸化合物、1分子中に環状酸無水基を1個以上含有する環状酸無水物化合物、1分子中にカルボキシル基及び環状酸無水基をそれぞれ1個以上含有するカルボキシル基含有環状酸無水物化合物などが包含される。
【0016】
ポリカルボン酸化合物としては、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸などの低分子量化合物、ビニル系、ポリエステル系などのポリカルボン酸樹脂などが包含される。
【0017】
上記のうち、ビニル系ポリカルボン酸樹脂としては、例えば、カルボキシル基含有ビニルモノマー((メタ)アクリル酸、水酸基含有ビニルモノマーと無水ハイミック酸との付加物)及び必要に応じてその他のビニルモノマーをラジカル重合させてなる(共)重合体;酸無水基含有ビニルモノマー及び必要に応じて前記その他のビニルモノマーをラジカル重合させてなる(共)重合体をアルコール(アセトール、アリルアルコール、プロパギルアルコール、メタノールなど)でハーフエステル化させたもの(ここで、ハーフエステル化とは、酸無水基にモノアルコールを付加し、開環させる反応のことである。ハーフエステル化により、カルボキシル基とカルボン酸エステル基とからなる基が生成する。以下、この基を単にハーフエステル基ということがある。);ハーフエステル基含有ビニルモノマー、及び必要に応じて前記その他のビニルモノマーをラジカル重合させてなる(共)重合体;水酸基含有ビニルモノマーを必須成分としかつ必要に応じて前記その他のビニルモノマーをラジカル(共)重合させてなる水酸基含有(共)重合体を酸無水物化合物(無水コハク酸など)でハーフエステル化させたものなどをあげることができる。
【0018】
ハーフエステル基含有ビニルモノマーとしては、酸無水基含有ビニルモノマーの酸無水基をハーフエステル化して得た化合物、水酸基含有ビニルモノマーに酸無水物をハーフエステル化により付加して得た化合物等があげられる。
【0019】
酸無水基含有ビニルモノマーの酸無水基をハーフエステル化して得た化合物としては、具体的には、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水基を有するビニルモノマーと、アルコール(アセトール、アリルアルコール、プロパギルアルコール、メタノールなど)とのエステル化物等をあげることができる。
【0020】
水酸基含有ビニルモノマーに酸無水物をハーフエステル化により付加して得た化合物としては、具体的には、例えば、下記で例示する水酸基含有ビニルモノマーに、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物をハーフエステル化により付加して得た化合物等をあげることができる。
【0021】
ハーフエステル化は、上記の通り、共重合反応の前後のいずれにおいても行うことができる。ハーフエステル化に使用されるモノアルコールとしては、低分子量のモノアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。ハーフエステル化の反応は、通常の方法に従い、室温から80℃程度の温度で、必要ならば3級アミンを触媒として用いて行なうことができる。
【0022】
ビニル系ポリカルボン酸樹脂において用いられるビニルモノマーとしては、カルボキシル基含有ビニルモノマー、酸無水基含有ビニルモノマー及び必要に応じて用いられるその他のビニルモノマーをあげることができる。
カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸等をあげることができる。
【0023】
酸無水基含有ビニルモノマーとしては、無水イタコン酸、無水マレイン酸などをあげることができる。
【0024】
その他のビニルモノマーとしては、例えば、水酸基含有ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルエーテル及びアリルエーテル;オレフィン系化合物及びジエン化合物;炭化水素環含有ビニルモノマー;含窒素ビニルモノマー等を挙げることができる。
【0025】
水酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸とのモノエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和モノマーとのモノエーテル;無水マレイン酸や無水イタコン酸のような酸無水基含有不飽和化合物と、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類とのジエステル化物;ヒドロキシエチルビニルエーテルのようなヒドロキシアルキルビニルエーテル類;アリルアルコール等;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;α,β−不飽和カルボン酸と、カージュラE10(シェル石油化学(株)製、商品名)やα−オレフィンエポキシドのようなモノエポキシ化合物との付加物;グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸、脂肪酸類のような一塩基酸との付加物;上記水酸基含有モノマーとラクトン類(例えばε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン)との付加物等を挙げることができる。
【0026】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。また、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。
【0027】
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル;フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニルプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
ビニルエーテル及びアリルエーテルとしては、例えば、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル等の鎖状アルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類;フェニルビニルエーテル、トリビニルエーテル等のアリルビニルエーテル類、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル等のアラルキルビニルエーテル類;アリルグリシジルエーテル、アリルエチルエーテル等のアリルエーテル類等が挙げられる。
【0029】
オレフィン系化合物及びジエン化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0030】
炭化水素環含有ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
【0031】
含窒素ビニルモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド類;2−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジン等の芳香族含窒素モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性ニトリル;アリルアミン等が挙げられる。
【0032】
上記ビニルモノマーの共重合は、一般的なビニルモノマーの重合法を問題なく用いることができるが、汎用性やコスト等を考慮して、有機溶剤中における溶液型ラジカル重合法が最も適している。即ち、キシレン、トルエン等の芳香族溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系溶剤;n−ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等の溶剤中でアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の重合開始剤の存在下、60〜150℃程度の範囲内で共重合反応を行なうことによって、容易に目的の重合体を得ることができる。
【0033】
ビニル系ポリカルボン酸樹脂において、ハーフエステル基含有ビニルモノマー又は酸無水基含有ビニルモノマーを使用する場合、
ハーフエステル基含有ビニルモノマー又は酸無水基含有ビニルモノマー、及びその他のビニルモノマーの共重合量は、通常、全モノマー中、次のような割合とするのが適当である。即ち、ハーフエステル基含有ビニルモノマー又は酸無水基含有ビニルモノマーは、硬化性と貯蔵安定性の観点から、5〜40質量%程度、特に10〜30質量%であるのが好ましい。また、その他のビニルモノマーは、60〜95質量%程度、特に70〜90質量%であるのが好ましい。尚、酸無水基含有ビニルモノマーを使用した場合は、共重合反応後に、ハーフエステル化反応を行なうことは、前記の通りである。
【0034】
上記ビニル系ポリカルボン酸樹脂は、数平均分子量1000〜10000の範囲内であるのが好ましい。数平均分子量が1000より小さいと硬化塗膜の耐酸性が低下する場合があり、10000を越えるとポリエポキシド(B)との相溶性が低下することにより、塗膜の仕上り外観が低下する場合がある。
【0035】
なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行った。
【0036】
ビニル系ポリカルボン酸樹脂は、酸価が50〜500mgKOH/g、特に80〜300mgKOH/gの化合物であるのが好ましい。
【0037】
ビニル系ポリカルボン酸樹脂の酸価が50mgKOH/gよりも小さくなると、得られる塗料組成物の硬化性が低下して塗膜の耐酸性等が低下する場合があり、また、酸価が500mgKOH/gよりも大きくなるとポリエポキシド(B)との相溶性が低下して塗膜の仕上り外観が低下する場合がある。
【0038】
また、上記ポリエステル系ポリカルボン酸樹脂は、主に多塩基酸と多価アルコールとのエステル化物であって、多塩基酸としては(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、(無水)コハク酸、アジピン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、(無水)トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、(無水)ピロメリット酸等の2価以上の多塩基酸等が挙げられ、多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート、(水添)ビスフェノール、ポリイソシアネートポリオール、トリエタノールアミン等が挙げることができる。
【0039】
具体的には、例えば、上記において、多塩基酸のカルボキシル基過剰の配合条件下で1段階の反応により、ポリエステル系ポリカルボン酸樹脂を得ることができる。又、逆に多価アルコールの水酸基過剰の配合条件下で、まず水酸基末端のポリエステル系重合体を合成した後、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸等の酸無水基含有化合物を後付加させることによってもポリエステル系ポリカルボン酸樹脂を得ることができる。
【0040】
ポリエステル系ポリカルボン酸樹脂の数平均分子量は、500〜10000、特に800〜5000の範囲内であるのが塗膜の仕上り外観の観点から好ましい。
【0041】
ポリエステル系ポリカルボン酸樹脂の酸価が50mgKOH/gよりも小さくなると、得られる塗料組成物の硬化性が低下して塗膜の耐酸性等が低下する場合があり、また、酸価が500mgKOH/gよりも大きくなるとポリエポキシド(B)との相溶性が低下して塗膜の仕上り外観が低下する場合がある。
【0042】
また、ポリエステル系ポリカルボン酸樹脂は、ポリエポキシド(B)との相溶性の向上及び付着性向上のために、(水酸基価100mgKOH/g以下となる範囲内で)水酸基を導入することもできる。水酸基の導入は、例えば、カルボキシル基過剰の配合条件においては縮合反応を途中で停止することによって行なうことができるし、また、逆に水酸基過剰の配合条件においては、縮合反応を途中で停止することにより、又は、水酸基末端のポリエステル重合体を合成した後、後付加する酸無水基含有化合物を酸基が水酸基より少なくなるよう配合することにより容易に行なうことができる。
【0043】
ポリエステル系ポリカルボン酸樹脂として特に好ましいものとして、下記のカルボキシル基含有高酸価ポリエステル樹脂をあげることができる。
【0044】
カルボキシル基含有高酸価ポリエステル樹脂は、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸等の多価カルボン酸又はこれらの多価カルボン酸の低級アルキル化物とを、水酸基量がカルボキシル基量(酸無水基1モルはカルボキシル基2モルと計算)より過剰となる配合条件下でエステル化反応(縮合反応、エステル交換反応のいずれでもよい)して得られるポリエステルポリオールを、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸等の酸無水物化合物とハーフエステル化反応させることによって容易に得ることができる。
【0045】
上記ポリエステルポリオールは、通常のエステル化反応条件によって得ることができ、このポリエステルポリオールは、数平均分子量が350〜4,700、好ましくは400〜3,000の範囲内にあり、水酸基価が70〜400mgKOH/g、好ましくは150〜350mgKOH/gの範囲内にあることが好適である。
【0046】
カルボキシル基含有高酸価ポリエステル樹脂を得るための、上記ポリエステルポリオールのハーフエステル化反応は、通常の方法に従い、通常、室温から80℃程度の温度で行なうことができる。このカルボキシル基含有高酸価ポリエステル樹脂は、数平均分子量が800〜5,000、特に900〜3,000の範囲内にあり、酸価が50〜500mgKOH/g、特に100〜400mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。
【0047】
環状酸無水物化合物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、ドデシル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、無水ヘット酸、無水フタル酸などの1,2−カルボン酸無水物及び前記酸無水基含有ビニルモノマー及び必要に応じて前記その他のビニルモノマーをラジカル重合させてなる(共)重合体などをあげることができる。
【0048】
カルボキシル基含有環状酸無水物化合物としては、例えば無水トリメリット酸などの化合物及び前記カルボキシル基含有ビニルモノマー、酸無水基含有ビニルモノマー及び必要に応じてその他のビニルモノマーをラジカル重合させてなる共重合体などをあげることができる。
【0049】
ポリエポキシド(B)
本発明で用いられる(B)ポリエポキシドは1分子中に平均約2個以上のエポキシ基を有する樹脂である。該ポリエポキシドとしては従来から公知のものが使用できるが、塗膜の仕上り外観、耐候性、耐酸性などの諸性能の良好な硬化塗膜が得られることから、1分子中に平均約2〜50個のエポキシ基を有するアクリル系樹脂を好適に使用することができる。
【0050】
該アクリル系樹脂は、エポキシ基含有ビニルモノマー及びその他のビニルモノマーを、前記化合物(A)で示した方法と同様の方法で共重合することによって合成することができる。
【0051】
エポキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0052】
その他のビニルモノマーとしては、前記化合物(A)で例示したものと同様のものを使用することができる。
【0053】
ポリエポキシド(B)は、前記化合物(A)との相溶性の向上及び塗膜としたときの付着性向上等のために水酸基価100mgKOH/g以下の範囲内で水酸基を導入することもできる。水酸基の導入は、水酸基含有ビニルモノマーを構成成分として共重合することにより行うことができる。
【0054】
水酸基含有ビニルモノマーとしては、前記化合物(A)で例示したものと同様のものを使用することができる。
【0055】
エポキシ基含有ビニルモノマーの共重合量は、通常、全モノマー中、塗料組成物の硬化性及び貯蔵安定性の観点から、5〜60質量%程度、特に、10〜45質量%程度であるのが好ましい。
その他のビニルモノマーは、40〜95質量%程度、特に55〜90質量%程度であるのが好ましい。
【0056】
ポリエポキシド(B)は、通常、エポキシ基含有量が0.5〜5.0ミリモル/g、特に0.8〜3.5ミリモル/gの範囲内であるのが好ましい。
【0057】
ポリエポキシド(B)のエポキシ基含有量が0.5ミリモル/gよりも小さくなると、得られる塗料組成物の硬化性が低下して塗膜の耐酸性等の塗膜性能が低下する場合があり、又、エポキシ基含有量が5.0ミリモル/gよりも大きくなると化合物(A)との相溶性が低下する場合がある。
【0058】
また、ポリエポキシド(B)の数平均分子量は、1000〜20000、特に1200〜10000の範囲内であるのが好ましい。数平均分子量が1000より小さいと硬化塗膜の耐酸性が低下する場合があり、20000を越えると得られる塗膜の塗面平滑性が低下する場合がある。
潜在性硬化触媒(C)
本発明で用いられる(C)潜在性硬化触媒は、(a)3級アミン及び(b)酸性リン酸エステルから構成されものであり、両者は混合物又は反応物のいずれであってもよい。
【0059】
(a)3級アミン化合物は、一般式(RN)(R、R及びRは炭化水素基であって、同一もしくは異なっていてもよい。該炭化水素基の水素原子はハロゲン又は水酸基で置換されていてもよい。また、炭化水素基は直鎖もしくは分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基(フェニル、トリル基など)、アラルキル基(ベンジル基など)などが包含される。)で表わされる化合物である。
【0060】
具体的には、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルミリスチルアミン、N,N−ジメチルパルミチルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルベヘニルアミン、N,N−ジメチルココアルキルアミン、N,N−ジメチルオレイルアミン、N−メチルジヘキシルアミン、N−メチルジオクチルアミン、N−メチルジデシルアミン、N−メチルジココアルキルアミン、N−メチルジオレイルアミンなどのトリアルキルアミン;トリメタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミンなどのトリアルカノールアミン;N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、N,N−ジエチルエタノ−ルアミンなどのN,N−ジアルキルアルカノールアミン;N−メチルジエタノ−ルアミン、N−エチルジエタノ−ルアミンなどのN−アルキルジアルカノールアミン;N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのN−アルキルモルホリン;などがあげられ、これらは単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。
【0061】
これらのうち、塗料組成物の電気抵抗値の低下による静電塗装適性の低下を防ぐ観点から、一般式(RN)において、R、R及びRのうちの少なくとも1つが炭素原子数8以上、好ましくは12以上、より好ましくは16以上の炭化水素基である3級アミン化合物を好適に使用することができる。
【0062】
上記のうち、特に、アルキル基の炭素原子数が8以上である、メチルジアルキル3級アミン、ジメチルアルキル3級アミンを好適に使用することができる。これらのうち、メチルジアルキル3級アミンをより好適に使用することができる。
【0063】
メチルジアルキル3級アミンとしては、N−メチルジオクチルアミン、N−メチルジデシルアミン、N−メチルジラウリルアミン、N−メチルジミリスチルアミン、N−メチルジパルミチルアミン、N−メチルジステアリルアミン、N−メチルジオレイルアミン、N−メチルジベヘニルアミン、N−メチルジココアルキルアミン、N−メチル硬化牛脂アルキルアミン等をあげることができる。
【0064】
これらメチルジアルキル3級アミンのうち、N−メチルジココアルキルアミン、N−メチル硬化牛脂アルキルアミンを好適に使用することができる。
【0065】
ジメチルアルキル3級アミンとしては、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルミリスチルアミン、N,N−ジメチルパルミチルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルオレイルアミン、N,N−ジメチルベヘニルアミン、N,N−ジメチルココアルキルアミン、N,N−ジメチル硬化牛脂アルキルアミン等をあげることができる。
【0066】
これらジメチルアルキル3級アミンのうち、N,N−ジメチルココアルキルアミン、N,N−ジメチル硬化牛脂アルキルアミンを好適に使用することができる。
【0067】
(b)酸性リン酸エステルはリン酸、亜リン酸又はこれらの縮合物の無機リン化合物の一部の水素をアルキル基又はアリール基などで置換した有機酸性(亜)リン酸エステルである。該アルキル基としては直鎖状又は分枝状のいずれのタイプであってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−デシルなどの基が挙げられる。
【0068】
具体的には、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジプロピルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノ−2−エチルヘキシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、ビス(エチルヘキシル)ホスフェート、モノフェニルホスフェート、ジフェニルホスフェート、モノ−2−エチルヘキシルホスファイトなどが挙げられる。
【0069】
これらのうち、塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、好ましいものとしてジフェニルホスフェートをあげることができる。
【0070】
上記(a)3級アミン及び(b)酸性リン酸エステルの配合割合は両成分の合計量を基準にして、(a)3級アミンが約2〜90質量%、好ましくは約25〜75質量%及び(b)酸性リン酸エステルが約10〜98質量%、好ましくは約25〜75質量%の範囲である。(a)3級アミンの配合割合が約2質量%を下回り、かつ、(b)酸性リン酸エステルが約98質量%を上回ると塗料組成物の低温硬化性が低下する場合があり、一方(a)3級アミンの配合量が約90質量%を上回り、かつ、(b)酸性リン酸エステルが約10質量%を下回ると塗料組成物の貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0071】
潜在性硬化触媒(C)において、(a)成分と(b)成分の好ましい組合せとして、ア
ルキル基の炭素原子数が8〜24である、メチルジアルキル3級アミン又はジメチルアルキル3級アミンと、ジフェニルホスフェートの組合せをあげることができる。
【0072】
本発明の塗料組成物の潜在性硬化触媒は、4級アンモニウム塩等のオニウム塩及びリン酸エステル化合物の組合せからなるものに比べ、塗料の硬化性を損なうことなく、塗料の貯蔵安定性を向上させ、かつ、塗料の体積固有抵抗値の低下による静電塗装適性の低下を防ぐことができる点において優れている。
【0073】
本発明の塗料組成物の化合物(A)及びポリエポキシド(B)の配合割合は、前者のカルボキシル基と後者のエポキシ基との当量比で1:0.5〜0.5:1となる割合であるのが好ましい。
【0074】
潜在性硬化触媒(C)の配合割合は化合物(A)とポリエポキシド(B)との合計量100質量部に対して0.1〜10.0質量部となる割合であるのが好ましい。潜在性硬化触媒(C)の配合割合が、化合物(A)とポリエポキシド(B)との合計量100質量部に対して、0.1質量部未満であると、配合量が少ないために十分な塗膜の硬化性が得られない場合がある。また、10.0質量部を超えると、低温硬化性の向上効果が低下したり、貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0075】
また、本発明の塗料組成物には、必要に応じて、塗料中や空気中に存在する水分による塗料の劣化を抑制するために、オルト酢酸トリメチル等のいわゆる脱水剤の使用も可能である。
【0076】
本発明の塗料組成物には、必要に応じて、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、防錆顔料等の公知一般の顔料を配合できる。
【0077】
顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの着色顔料;タルク、クレー、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイトなどの体質顔料;アルミニウム粉末、雲母粉末、酸化チタンで被覆した雲母粉末などの光輝性顔料などをあげることができる。
【0078】
本発明の塗料組成物には、更に必要に応じて、前記(A)成分及び(B)成分以外のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等の各種樹脂を添加することも可能である。また、例えばメラミン樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物等の架橋剤を少量併用することも可能である。更にまた、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、表面調整剤、消泡剤等の一般的な塗料用添加剤を配合することも可能である。
【0079】
紫外線吸収剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等の紫外線吸収剤をあげることができる。
【0080】
紫外線吸収剤の塗料組成物中の含有量としては、通常、樹脂固形分総合計量100質量部に対して0〜10質量部、特に0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の範囲内であるのが耐侯性、耐黄変性の面から好ましい。
【0081】
光安定剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤をあげることができる。
【0082】
光安定剤の塗料組成物中の含有量としては、通常、樹脂固形分総合計量100質量部に対して0〜10質量部、特に0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の範囲内であるのが耐侯性、耐黄変性の面から好ましい。
【0083】
本発明の塗料組成物の形態は特に制限されるものではないが、通常、有機溶剤型の塗料組成物として使用される。有機溶剤としては、各種の塗料用有機溶剤、例えば、芳香族又は脂肪族炭化水素系溶剤;アルコール系溶剤;エステル系溶剤;ケトン系溶剤;エーテル系溶剤等が使用できる。使用する有機溶剤は、配合する重合体の調製時に用いたものをそのまま用いても良いし、更に適宜加えても良い。該組成物の固形分濃度は、通常、30〜70質量%程度、好ましくは40〜60質量%程度とすることができる。
【0084】
塗料組成物の塗装方法
本塗料を適用する被塗物としては、特に限定されるものではないが、例えば、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック素材等が好ましい。また、これらにより形成される自動車、二輪車、コンテナ等の各種車両の車体等であってもよい。
【0085】
また、該被塗物は、金属基材や上記車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
【0086】
更に、被塗物としては、上記車体、金属基材等に、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。
【0087】
また、被塗物はさらに、中塗塗面上に、着色塗料等を塗装することにより塗膜が形成されてなるものであってもよい。該着色塗料等を塗装してなる塗膜は、硬化塗膜又は未硬化塗膜のいずれであってもよいが、加熱硬化工程削減の観点から、未硬化塗膜に対して本塗料を塗装し、本塗料により形成される塗膜の加熱硬化と併せて着色塗料を塗装してなる塗膜を一緒に加熱硬化させるのが好ましい。
【0088】
着色塗料としては、具体的には、ソリッドカラー塗料、メタリック塗料および光干渉塗料をあげることができ、特に、樹脂成分、顔料及び必要に応じて添加される、揮発成分である有機溶剤又は水を主成分とする液状の熱硬化性塗料が適している。
【0089】
該樹脂成分としては、具体的には、架橋性官能基(例えば、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アルコキシシラン基など)を有するアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などから選ばれる少なくとも1種の基体樹脂と、これらを架橋硬化させるための架橋剤、例えば、アルキルエーテル化したメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボキシル基含有化合物などの塗料用途に公知の架橋剤から選ばれた少なくとも1種とからなるものをあげることができる。上記基体樹脂及び架橋剤の合計質量を基準として、基体樹脂は50〜90質量%、架橋剤は50〜10質量%の比率であることが好ましい。
【0090】
顔料には着色顔料、メタリック顔料および光干渉顔料が包含され、着色顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルーなどの無機顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの有機顔料をあげることができる。メタリック顔料としては、代表的なものとして、鱗片状のアルミニウム等をあげることができ、又、特殊な金属蒸着フィルムフレークやガラスフレーク等も含まれる。光干渉顔料としては、雲母、金属酸化物で表面被覆した雲母、雲母状酸化鉄、ホログラム顔料などをあげることができる。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
【0091】
また、着色塗料として、本発明の塗料組成物を使用することもできる。
【0092】
着色塗料の塗装は、例えば、自動車外板のような金属製及び/又はプラスチツク製の被塗物に直接、又はカチオン電着塗料などの下塗塗料及び場合によりさらに中塗塗料を塗装し、硬化させた塗膜に対して、該着色塗料を20℃において、フォードカップ粘度計No.4を用いて15〜60秒に調整し、エアレススプレー、エアスプレー、回転霧化塗装などの塗装法により行なうことができる。塗装の際、必要に応じて静電印加を行なってもよい。
【0093】
着色塗料の塗装膜厚は、硬化塗膜として5〜50μm、好ましくは10〜30μmの範囲内とすることができる。
【0094】
また、被塗物は通常のクリヤ塗膜が塗装された硬化又は未硬化の塗膜が形成されてなるものであってもよい。
【0095】
塗膜の硬化は、樹脂成分により異なるが、通常、80〜180℃、好ましくは100〜160℃の温度で、10〜40分間程度加熱することにより行なうことができる。
【0096】
上記加熱硬化の前に、又は、未硬化塗膜に対して本方法を適用する前に、必要に応じて揮発成分の揮散を促進するために、例えば、50〜80℃程度の温度で3〜10分間程度のプレヒートを行なうこともできる。
【0097】
本塗料の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などの塗装方法で塗膜を形成することができる。これらの塗装方法は、必要に応じて、静電印加してもよい。このうちエアスプレー塗装が特に好ましい。本塗料の塗布量は、通常、硬化膜厚として、10〜50μm程度となる量とするのが好ましい。
【0098】
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装する場合には、本塗料の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップ#No.4粘度計において、20℃で15〜60秒程度の粘度範囲となるように、有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
【0099】
被塗物に本塗料を塗装してなるウエット塗膜の硬化は、加熱することにより行われ、加熱は公知の加熱手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を適用できる。加熱温度は、100〜180℃、好ましくは120〜160℃の範囲内にあることが適している。加熱時間は、特に制限されるものではないが5〜60分間の範囲内であるのが好適である。
【0100】
本塗料は、特に1液型で低温硬化性に優れ、かつ仕上り外観及び耐酸性に優れた塗膜が形成できることから、上塗りトップクリヤコート塗料として好適に用いることができる。本塗料は、自動車用上塗り塗料として特に好適に用いることができる。該自動車上塗り塗料としては、例えばソリッドカラー及び2コート1ベーク、2コート2ベーク、3コート1ベーク、3コート2ベークなどのメタリックカラー用クリヤーとして好適に使用することができる。
複層塗膜形成方法
上塗りトップクリヤコート塗料として、本塗料が塗装される複層塗膜形成方法として、
被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として本発明の塗料組成物を塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法をあげることができる。
【0101】
具体的には、例えば、電着塗装及び/又は中塗り塗装が施された被塗物上に、溶剤型又は水性のベースコート塗料を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、必要に応じてベースコート塗料中の溶媒の揮散を促進させるために例えば、40〜90℃で3〜30分間程度のプレヒートを行なった後、その未硬化のベースコート塗膜上にクリヤコート塗料として本塗料の塗装を行った後、ベースコートとクリヤコートを一緒に硬化させる2コート1ベーク方式の複層塗膜形成方法をあげることができる。
【0102】
また、3コート2ベーク方式又は3コート1ベーク方式の上塗り塗装におけるトップクリヤコート塗料としても好適に使用することができる。
【0103】
上記で用いられるベースコート塗料としては、従来から公知の通常の熱硬化型ベースコート塗料を使用することができ、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂にアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物等の硬化剤を基体樹脂が含有する反応性官能基と適宜組合せてなる塗料を使用することができる。
【0104】
また、ベースコート塗料としては、環境問題、省資源等の観点から、有機溶剤の使用量の少ないハイソリッド型塗料、水性塗料又は粉体塗料が好ましい。
【0105】
複層塗膜形成方法において、クリヤコートを2層以上塗装する場合、本塗料以外に、1層目のクリヤコート塗料として、従来から公知の熱硬化型クリヤコート塗料を使用することができる。
【実施例】
【0106】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものとし、また、塗膜の膜厚はいずれも硬化塗膜に基づくものである。
カルボキシル基含有化合物(A)の製造例
製造例1
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶剤;コスモ石油(株)製、商品名)680部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記モノマー、溶剤及び重合開始剤からなる組成のモノマー混合物を均等に4時間かけて滴下した。尚、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートは重合開始剤である。
【0107】
スチレン 500部
シクロヘキシルメタクリレート 500部
イソブチルメタクリレート 500部
無水マレイン酸 500部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1000部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 100部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及び「スワゾール1000」80部との混合物を1時間かけて滴下した。その後、60℃に冷却し、メタノール490部とトリエチルアミン4部を加え、4時間加熱還流下、ハーフエステル化反応を行なった。その後、余分なメタノール326部を減圧下で除去し、カルボキシル基含有化合物(a−1)の溶液を得た。
【0108】
得られた重合体溶液の固形分は55質量%、数平均分子量は約3500であった。また、この重合体の半酸価は130mgKOH/gであった。
【0109】
製造例2
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶剤;コスモ石油(株)製、商品名)650部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記モノマー、溶剤及び重合開始剤からなる組成のモノマー混合物を均等に4時間かけて滴下した。
【0110】
メチルメタクリレート 40部
n−ブチルメタクリレート 1000部
n−ブチルアクリレート 600部
スチレン 60部
アクリル酸 300部
プロピオン酸2−エトキシエチル 900部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート100部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及び「スワゾール1000」80部との混合物を1時間かけて滴下した。その後、更に30分間熟成させることにより、カルボキシル基含有化合物(a−2)の溶液を得た。
【0111】
得られた重合体溶液の固形分は55質量%、数平均分子量は約3400であった。また、この重合体の酸価は117mgKOH/gであった。
【0112】
製造例3
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオール566部、トリメチロールプロパン437部、アジピン酸467部、ヘキサヒドロ無水フタル酸308部を仕込み、窒素雰囲気下で180℃に昇温し、その後、3時間かけて230℃まで昇温し、230℃で1時間反応させた後、キシレンを加えて還流下で反応させた。樹脂酸価が3mgKOH/g以下となったことを確認後、100℃に冷却してヘキサヒドロ無水フタル酸1294部を加え、再び140℃に昇温して2時間反応させて、冷却後、キシレンで希釈して、カルボキシル基含有化合物(a−3)の溶液を得た。
【0113】
得られた重合体溶液の固形分は65質量%、数平均分子量は1,040であった。また、この重合体の酸価は160mgKOH/gであった。
ポリエポキシド(B)の製造例
製造例4
撹拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を装備した四つ口フラスコに、キシレン410部及びn−ブタノール77部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記モノマーと重合開始剤からなる組成のモノマー混合物を均等に4時間かけて滴下した。尚、アゾビスイソブチロニトリルは重合開始剤である。
【0114】
グリシジルメタクリレート 432部(30%)
n−ブチルアクリレート 720部(50%)
スチレン 288部(20%)
アゾビスイソブチロニトリル 72部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成しさせたあと、更にキシレン90部、n−ブタノール40部及びアゾビスイソブチロニトリル14.4部の混合物を2時間かけて滴下して、その後2時間熟成して、ポリエポキシド(b−1)の溶液を得た。
【0115】
得られた重合体溶液の固形分は70質量%、数平均分子量は2000であった。また、この重合体のエポキシ基含有量は2.12ミリモル/gであった。
【0116】
塗料組成物の製造
塗料組成物の製造
実施例1〜8及び比較例1〜8
上記製造例1〜4で得られた重合体及び後記表1に記載の原材料を用いて、後記表1に示す配合にて回転翼式攪拌機を用いて攪拌して混合し、塗料化を行い各塗料組成物No.1〜16を得た。なお、表1に示す塗料組成物の配合は各成分の固形分質量比である。
【0117】
後記表1における(*1)〜(*11)は、それぞれ下記の意味を有する。
(*1)アーミンM2HT:LION AKZO社製、N−メチル硬化牛脂アルキルアミン(3級アミン、主成分;アルキル基炭素原子数が18の成分(64%)、12の成分(30%))。
(*2)アーミンDMCD:LION AKZO社製、N,N−ジメチルココアルキルアミン(3級アミン、アルキル基炭素原子数が12の成分(61%)、14の成分(31%)、16の成分(8%))。
(*3)アーミンM2C:LION AKZO社製、N−メチルジココアルキルアミン(3級アミン、主成分;アルキル基炭素原子数が12の成分(60%)、14の成分(22%)、16の成分(8%)、10の成分(7%))。
(*4)アーミン2C:LION AKZO社製、ジココアルキルアミン(2級アミン、主成分;アルキル基炭素原子数が12の成分(60%)、14の成分(22%)、16の成分(8%)、10の成分(7%))。
(*5)アーミンCD:LION AKZO社製、ココアルキルアミン(1級アミン、主成分;アルキル基炭素原子数が12の成分(60%)、14の成分(22%)、16の成分(8%)、10の成分(7%))。
(*6)TBAB:LION AKZO社製、テトラブチルアンモニウムブロマイド。
(*7)リン酸A:ビス(エチルヘキシル)ホスフェート。
(*8)リン酸B:ジフェニルホスフェート。
(*9)リン酸C:ジブチルホスフェート。
(*10)DDBSA:ドデシルベンゼンスルホン酸。
(*11)BYK−300:商品名、ビックケミー社製、表面調整剤。
【0118】
上記実施例1〜8及び比較例1〜8で得られた各塗料組成物No.1〜16は、スワゾール1000(コスモ石油社製、商品名、炭化水素系溶剤)を添加してフォードカップ#No.4を用いて粘度調整を行なった。
【0119】
得られた各塗料組成物につき、以下の試験を行なった。
【0120】
貯蔵安定性:塗料組成物をフォードカップNo.4で35秒(20℃)の粘度になるように希釈し、60℃で、16時間密閉状態で貯蔵した後の粘度を再度、フォードカップNo.4(20℃)で測定した。
【0121】
電気抵抗値:塗料組成物をフォードカップNo.4で25秒(20℃)の粘度になるように希釈したものを試料とし、ランズバーグテスターを用いて、試料の体積固有抵抗値を測定した。
【0122】
キシレン溶出率(%):塗料組成物をフォードカップNo.4で25秒(20℃)の粘度になるように希釈し、ブリキ板に膜厚40μmとなるように塗装し、140℃で30分間加熱硬化させてから塗膜を剥離して試料とした。
【0123】
予め重量を測定した試料塗膜約0.2gを30℃でキシレン中に3時間浸漬し、キシレン中から取り出し、110℃で1時間乾燥した後の重量を測定した。キシレン溶出率(%)を下記式(1)により測定した。
【0124】
A:初期塗膜重量
B:キシレン中に1時間浸漬した後、110℃で1時間乾燥後の塗膜重量)
キシレン溶出率(%)=〔(A−B)/A〕×100 (1)
さらに、各塗料組成物No.1〜16につき、試験板を作製して以下の試験を行なった。試験板は以下の様にして作製した。
試験板の作製1
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料(エレクロンGT−10、商品名、関西ペイント社製)を膜厚が20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上にポリエステル樹脂・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料(アミラックTP−65−2、商品名、関西ペイント社製)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。該塗膜上に水性メタリックベースコート(WBC713T#202、商品名、関西ペイント社製、アクリル・メラミン樹脂系自動車用水性ベースコート塗料、黒塗色)を膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で10分間プレヒートを行なった後、未硬化の該塗膜上にフォードカップNo.4で25秒(20℃)の粘度になるように希釈した各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置してから、140℃で30分間加熱してこの両塗膜を一緒に硬化させることにより試験板を得た。得られた各試験板につき下記方法により塗面平滑性の評価を行なった。
【0125】
塗面平滑性:塗膜面の平滑性を「Wave Scan」(商品名、BYK Gardner社製)を用いて測定した。Wave ScanによりLong Wave値(LW)及びShort Wave値(SW)が測定される。
【0126】
Long Wave値は、600〜1000μm以上の波長の表面粗度の振幅の指標であり、塗膜面のユズ肌等の大きな振幅を評価することができる。Short Wave値は、100〜600μmの波長の表面粗度の振幅の指標であり、塗膜面の微少肌である小さな振幅を評価することができる。
【0127】
各Wave Scan値は、測定値が小さいほど塗膜面の平滑性が高いことを示す。一般に、Wave Scan値が15未満であれば、塗面平滑性が良好とされる。
【0128】
さらに、下記要領で試験板を作製し、耐黄変性の評価を行なった。
試験板の作製2
中塗塗膜の形成までは、上記試験板の作製1と同様に行なった。該中塗塗膜上に自動車用上塗白塗料(Neo6000、商品名、関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系塗料)を膜厚40μmとなるようにエアスプレー塗装し、室温で7分間放置してから、140℃で20分間加熱し硬化させて上塗塗膜を形成させた。これを基準板とした。
【0129】
該基準板上に各塗料組成物を膜厚40μmとなるようにエアスプレー塗装し、室温で7分間放置してから、140℃で20分間加熱し硬化させてクリヤ塗膜を形成させることにより各試験板を得た。
【0130】
各試験板の基準板に対するCIE等色関数に基づくΔb値を測定することにより、耐黄変性を評価した。Δb値が小さいほど耐黄変性が良好であることを表わす。Δb値の測定はカラーガイド45/0(商品名、BYKガードナー社製)を用いて行った。
【0131】
上記試験結果を各塗料組成物No.1〜16の組成と併せて、表1に示す。
【0132】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボキシル基及び/又は環状酸無水基含有化合物、(B)ポリエポキシド及び(C)(a)3級アミン及び(b)酸性リン酸エステルで構成される潜在性硬化触媒を必須成分として含有することを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】
3級アミン(a)として、一般式(RN)(R、R及びRは炭化水素基であって、同一もしくは異なっていてもよく、また、R、R及びRのうちの少なくとも1つが炭素原子数8以上の炭化水素基であって、該炭化水素基の水素原子はハロゲン又は水酸基で置換されていてもよい)で表わされる化合物を含有する請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
3級アミン(a)として、アルキル基の炭素原子数が8以上である、メチルジアルキル3級アミン又はジメチルアルキル3級アミンから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として請求項1〜3のいずれかに記載の塗料組成物を塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法。

【公開番号】特開2008−208228(P2008−208228A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46772(P2007−46772)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】