説明

塗料組成物

【課題】光沢及び研磨性に優れた塗膜を形成するのに適する塗料組成物を提供する。
【解決手段】水酸基含有共重合体(A)、水酸基含有共重合体(B)、セルロース誘導体(C)、及びポリイソシアネート(D)を含有する塗料組成物であって、水酸基含有共重合体(A)を構成するモノマー成分合計量に基くスチレン(a)及び有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)の合計量が30質量%以上であって、水酸基含有共重合体(B)を構成するモノマー成分合計量に基くスチレン(a)及び有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)の合計量が30質量%未満であることを特徴とする塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光沢及び研磨性を有する塗膜を形成するのに適する塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の外板や部品等の塗装、補修や、産業機械、建造物、構築物、家具(鋼製も含む)等の塗装、補修に際し、アクリルラッカー、アクリルウレタン塗料及びアミノアクリル樹脂塗料などが用いられており、特に自動車補修用塗料の分野では、常温乾燥性、耐久性の点から、水酸基含有アクリル樹脂とポリイソシアネート化合物を含むアクリルウレタン塗料が主に用いられている。
【0003】
当該分野において使用される水酸基含有アクリル樹脂には、最終的に得られる塗膜の光沢の点からスチレンを、研磨性の点から、イソボルニル(メタ)アクリレート又はトリシクロデカニル(メタ)アクリレートを特定量共重合することがある。
【0004】
例えば、特許文献1には、スチレン、イソボルニル(メタ)アクリレート、水酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーからなるモノマー成分を構成成分とする重量平均分子量が2000以上で且つ20000未満の共重合体と、スチレン、イソボルニル(メタ)アクリレート、水酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーからなるモノマー成分を構成成分とする重量平均分子量が20000〜100000の範囲内にある共重合体及び硬化剤を含有する塗料組成物が記載されている。
【0005】
また、特許文献2にはスチレン、イソボルニル(メタ)アクリレート及びトリシクロデカニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のモノマー、メタクリル酸の炭素原子数8〜20アルキルエステル及びアクリル酸の炭素原子数4〜20のアルキルエステルから選ばれる少なくとも1種のモノマー、カルボキシル基を有さないその他の重合性不飽和モノマーからなるモノマー成分を構成成分とし、特定範囲内の重量平均分子量、水酸基価の共重合体及びポリイソシアネートを含有する塗料組成物が記載されている。
【0006】
これら塗料組成物によれば、高光沢で研磨性に優れた塗膜を形成でき、耐モドリムラ性に優れるので、中でも補修用クリヤー塗料として好適に使用できるものである。
【0007】
ところでこの分野における上塗り塗料を用いた塗装仕様としては、例えばベースコート塗料を塗装するだけの1コート塗装仕上げや、ベースコート塗料を塗装した後クリヤー塗料を塗装する2コート塗装仕上げなどが知られている。
【0008】
1コート塗装仕上げ用のベースコート塗料は、塗膜に光沢を付与する目的から、通常スチレンを多く共重合した樹脂が用いられており、2コート塗装仕上げ用のベースコート塗料には、乾燥性やモドリムラ対策のためにセルロースアセテートブチレート等のセルロース成分が配合されることが多いことが知られている。
【0009】
一般にこのスチレン共重合樹脂とセルロースアセテートブチレートは相溶性が非常に悪く、これら成分を共に含有する塗料は、顔料分散性や貯蔵安定性(顔料が凝集しやすい)が低下するという問題があり、1コート塗装仕上げ用ベースコート塗料と2コート塗装仕上げ用のベースコート塗料に応じて夫々に専用の調色用原色塗料を用意する必要があった。
【0010】
近年、自補修分野においては2コート塗装仕上げが主流になりつつあるものの、ホワイト系塗色については1コート塗装仕上げの需要が多く、1コート仕上げ用ホワイトベースコート塗料としての品揃えが必要である。しかしながらホワイト系塗色の調色においては通常若干の黄味や青味を調整するものであり、2コート仕上げ塗装用のベースコート塗料による原色塗料を1コート仕上げ用ホワイトベース塗料の調色用の色種として使用できることが望まれていた。
【0011】
上記した問題点に関し、本出願人は、特許文献3においてスチレン、水酸基含有重合性不飽和モノマー、及びその他の重合性不飽和モノマーからなるモノマー成分を構成成分とする特定の重量平均分子量のビニル系樹脂と特定のセルロースアセテートブチレート変性ビニル系樹脂及びポリイソシアネート化合物を含有する1コート仕上げ用着色塗料組成物を提案した。この組成物によれば、セルロースアセテートブチレートが配合された2コート仕上げ用のベースコート塗料による原色塗料を色種として用いても調色時に不具合が生じることなく、高艶感を有する塗膜を形成することができるものであるが、原色塗料の種類によっては形成塗膜に異物が付着した際の研磨性が悪い場合があった。
【0012】
ところで、近年揮発性有機化合物の環境に与える影響が問題となっており、従来塗料分野において通常に配合されてきたトルエン、キシレン等の有機溶剤は環境汚染物質として規制対象物質(例えば、環境汚染物質排出移動登録(POLLUTANT RELEASE AND TRANSFER REGISTERなど)とされ、これら有機溶剤を削減或いは実質的に含まないことが求められている。
【0013】
ここで従来の塗料組成物において、トルエン、キシレン等の規制対象有機溶剤を、塗料中に含まれる樹脂を溶解可能な酢酸ブチル等の他の有機溶剤に単純に置き換えただけでは、形成塗膜の仕上がり性等に満足いくものではないという問題点を有しており、上記した研磨性の改良と共に環境に配慮した製品の開発が求められている。
【0014】
【特許文献1】特開2000−273393号公報
【特許文献2】特開2001−2979号公報
【特許文献3】特開2003−13000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、光沢及び研磨性に優れた塗膜を形成するのに適し、好ましくは規制されている有機溶剤を実質的に含まない塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討した結果、スチレン及び有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーの共重合割合が特定量以上である水酸基含有共重合体と、炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを共重合成分として含有し、スチレン及び有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーの共重合割合が特定量未満である水酸基含有共重合体、セルロース誘導体及びポリイソシアネートを含有する塗料組成物が、光沢及び研磨性に優れる塗膜を形成することを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、
1. 水酸基含有共重合体(A)、水酸基含有共重合体(B)、セルロース誘導体(C)並びにポリイソシアネート(D)を含有する塗料組成物であって、水酸基含有共重合体(A)を構成するモノマー成分が、スチレン(a)、有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)及びその他の重合性不飽和モノマー(d)を含み、該モノマー成分合計量に基くスチレン(a)及び有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)の合計量が30質量%以上であって、水酸基含有共重合体(B)を構成するモノマー成分が、スチレン(a)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)、炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(e)及びその他の重合性不飽和モノマー(f)を含み、且つその他の重合性不飽和モノマー(f)は、有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)を含んでも含まなくてもよいものであって、該モノマー成分合計量に基くスチレン(a)及び有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)の合計量が30質量%未満であることを特徴とする塗料組成物、
2. 水酸基含有共重合体(A)、水酸基含有共重合体(B)及びセルロース誘導体(C)の配合割合が、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に基いて、水酸基含有共重合体(A)が5〜49質量%、水酸基含有共重合体(B)が50〜94質量%、セルロース誘導体(C)が1〜45質量%である1項に記載の塗料組成物、
3. エステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤及びエーテル系有機溶剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤(E)をさらに含有する1項または2項に記載の塗料組成物、
4. 脂肪族炭化水素系有機溶剤(F)をさらに含有する1項ないし3項のいずれか1項に記載の塗料組成物、
5. 被塗面に、1項ないし4項のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装することを特徴とする塗装方法、
に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の塗料組成物によれば、乾燥性に優れ、高光沢を有する塗膜を形成することができ、該塗膜に異物が付着した際の研磨性にも優れるものである。また、本発明の塗料組成物は各種希釈シンナーとの相溶性に優れるので、規制されている有機溶剤を使用しなくても塗装作業性が良好であり、仕上がり性に優れた塗膜を形成することができる。本発明の塗料組成物が着色塗料組成物である場合には、該塗料が各種調色用原色塗料との相溶性にも優れることから、調色時に不具合が生じることなく、仕上がり性に優れた塗膜を形成することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
水酸基含有共重合体(A)
本発明における水酸基含有共重合体(A)において、該共重合体(A)を構成するモノマー成分は、スチレン(a)、有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)及びその他の重合性不飽和モノマー(d)を含むものである。
【0019】
上記水酸基含有共重合体(A)において、スチレン(a)の使用量としては、水酸基含有共重合体(A)を構成するモノマー成分に基いて5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲内であることが、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の光沢の点から望ましい。
【0020】
上記有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)としては、炭素数が10〜20の有橋脂環式炭化水素基と重合性不飽和基を有する化合物を挙げることができ、炭素数が10〜20の有橋脂環式炭化水素基の代表例として、イソボルニル基、トリシクロデカニル基及びアダマンチル基などを挙げることができる。該モノマーの具体例としては、例えばイソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、3−テトラシクロドデシル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0021】
該有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)の使用量としては、水酸基含有共重合体(A)を構成するモノマー成分に基いて5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲内であることが、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の光沢及び研磨性の点から好適である。
【0022】
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物;上記多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物、例えば、「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」、「プラクセルFM−5」(以上、いずれもダイセル化学(株)製、商品名)等の商品名で表されるもの等を挙げることができ、単独で、又は2種以上を組合わせて使用することができる。
【0023】
該水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)の使用量としては、水酸基含有共重合体(A)を構成するモノマー成分に基いて5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲内であることが本発明の塗料組成物から形成される塗膜の硬度、仕上がり性の点から望ましい。
【0024】
上記水酸基含有共重合体(A)において、該水酸基含有共重合体(A)を構成するモノマー成分としては、その成分の一部としてその他の重合性不飽和モノマー(d)を含むことができる。かかるその他の重合性不飽和モノマー(d)としては、上記モノマー(a)、(b)及び(c)と共重合可能であって、該モノマー(a)、(b)及び(c)以外の重合性不飽和モノマーを挙げることができ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートなどの炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−ヘプチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、n−ヘキサデシルメタクリレート、n−オクタデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等の炭素数が4〜20のアルキル基を有するメタクリレート;n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、n−ヘキサデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学社製)などの炭素数が4〜20のアルキル基を有するアクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテルなどの(メタ)アクリルアミド又はその誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学社製)、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。これらの化合物は、1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0025】
本発明において、上記その他の重合性不飽和モノマー(d)は、その成分の一部として炭素数が4〜20、特に4〜8のアルキル基を有するメタクリレートを含むことが本発明の塗料組成物から形成される塗膜の研磨性の点から望ましい。
【0026】
上記炭素数が4〜20のアルキル基を有するメタクリレートの使用量としては、水酸基含有共重合体(A)を構成するモノマー成分に基いて1〜20、好ましくは3〜15質量%の範囲内であることが本発明の塗料組成物から形成される塗膜の研磨性の点から好ましい。
【0027】
また、上記その他の重合性不飽和モノマー(d)は、炭素数が4〜20、特に6〜18のアルキル基を有するアクリレートを含有することが本発明の塗料組成物から形成される塗膜の仕上がり性の点から望ましい。
【0028】
上記炭素数が4〜20のアルキル基を有するアクリレートの使用量としては、水酸基含有共重合体(A)を構成するモノマー成分に基いて1〜15質量%、好ましくは1〜10質量%の範囲内であることが、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の仕上がり性の点から好ましい。
【0029】
本発明において、上記水酸基含有共重合体(A)は、該共重合体(A)を構成するモノマー成分合計量に基づくスチレン(a)及び有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)の合計量が30質量%以上であることを特徴とし、特に45質量%以上であることが好適である。モノマー(a)及びモノマー(b)の合計量が30質量%未満では、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の光沢、研磨性が不十分となり、好ましくない。
【0030】
本発明において上記水酸基含有共重合体(A)は、重量平均分子量が2,000〜40,000、好ましくは6,000〜15,000の範囲内にあることが、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の仕上がり性の観点から好適であり、ガラス転移温度が30〜90℃、好ましくは50〜80℃の範囲内にあることが本発明の塗料組成物から塗膜される塗膜の研磨性の点から好適である。
【0031】
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
【0032】
本明細書において、ガラス転移温度(絶対温度)は、下記式により算出される値である。
1/Tg=W/T+W/T+・・・W/T
式中、W、W・・・Wは各モノマーの質量%〔=(各モノマーの配合量/モノマー全質量)×100〕であり、T、T・・・Tは各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)である。なお、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、Polymer Hand Book (4th Edition)による値であり、該文献に記載されていないモノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、該モノマーのホモポリマーを重量平均分子量が5万程度になるようにして合成したものを試料とし、そのガラス転移温度を示差走査型熱分析「DSC−50Q型」(商品名、島津製作所社製)を用いて、試料を測定カップにとり、真空吸引して溶剤を除去した後、3℃/分の昇温速度で−100℃〜+100℃の範囲で熱量変化を測定し、低温側の最初のベースラインの変化点を使用する。
【0033】
水酸基含有共重合体(B)
本発明における水酸基含有共重合体(B)において、該水酸基含有共重合体(B)を構成するモノマー成分は、スチレン(a)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)、炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(e)及びその他の重合性不飽和モノマー(f)を含むものである。
【0034】
上記水酸基含有共重合体(B)におけるスチレン(a)の使用量としては、水酸基含有共重合体(B)を構成するモノマー成分に基いて、5以上で且つ30質量%未満、好ましくは5〜28質量%の範囲内であることが、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の光沢及びセルロース誘導体(C)との相溶性の点から好適である。
【0035】
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)としては、上記水酸基含有共重合体(A)の説明でモノマー(c)として列記したモノマーの中から、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0036】
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)の使用量としては、水酸基含有共重合体(B)を構成するモノマー成分に基いて、5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲内であることが、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の硬化性、塗膜硬度、仕上がり性の点から好適である。
【0037】
上記炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(e)としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも形成塗膜の研磨性、セルロース誘導体(C)との相溶性の点からメチルメタクリレートを使用することが好適である。
【0038】
上記炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(e)の使用量としては、該水酸基含有共重合体(B)を構成するモノマー成分に基いて5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲内であることが、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の光沢及び水酸基含有共重合体(B)とセルロース誘導体(C)との相溶性の点から、好適である。
【0039】
上記水酸基含有共重合体(B)において、該水酸基含有共重合体(B)を構成するモノマー成分としては、その成分の一部としてその他の重合性不飽和モノマー(f)を含むことができる。
【0040】
かかるその他の重合性不飽和モノマー(f)としては、上記モノマー(a)、(c)及び(e)と共重合可能であって、該モノマー(a)、(c)及び(e)以外の重合性不飽和モノマーを挙げることができ、上記有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)を含んでいてもいなくてもよい。
【0041】
かかるその他の重合性不飽和モノマー(f)の具体例としては、例えば、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−ヘプチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、n−ヘキサデシルメタクリレート、n−オクタデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等の炭素数が4〜20のアルキル基を有するメタクリレート;n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、n−ヘキサデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学社製)などの炭素数が4〜20のアルキル基を有するアクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、3−テトラシクロドデシル(メタ)アクリレート等の有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテルなどの(メタ)アクリルアミド又はその誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学社製)、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。これらの化合物は、1種で、又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0042】
上記水酸基含有共重合体(B)において、その他の重合性不飽和モノマー(f)は、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを含有することが本発明の塗料組成物から形成される塗膜の仕上がり性及び付着性の点から望ましい。
【0043】
該カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等を挙げることができ、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0044】
該カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーの使用量としては、水酸基含有共重合体(B)を構成するモノマー成分に基いて0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%の範囲内であることが、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の仕上がり性、付着性の点から好適である。
【0045】
また、上記水酸基含有共重合体(B)において、その他の重合性不飽和モノマー(f)は、炭素数が4〜20、特に4〜8のアルキル基を有するメタクリレートを含有することが本発明の塗料組成物から形成される塗膜の研磨性の点から望ましい。
【0046】
上記炭素数が4〜20のアルキル基を有するメタクリレートは、水酸基含有共重合体(B)を構成するモノマー成分に基いて5〜60質量%、好ましくは20〜50質量%の範囲内であることが本発明の塗料組成物から形成される塗膜の研磨性の点から好ましい。
【0047】
また、上記水酸基含有共重合体(B)において、その他の重合性不飽和モノマー(f)は、炭素数が4〜20、特に6〜18のアルキル基を有するアクリレートを含有することが本発明の塗料組成物から形成される塗膜の仕上がり性の点から望ましい。
【0048】
上記炭素数が4〜20のアルキル基を有するアクリレートは、水酸基含有共重合体(B)を構成するモノマー成分に基いて1〜20質量%、好ましくは3〜15質量%含有することが、形成塗膜の仕上がり性の点から好ましい。
【0049】
本発明において、上記水酸基含有共重合体(B)は、該共重合体(B)を構成するモノマー成分合計量に基づくスチレン(a)及び有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)の合計量が30質量%未満であることを特徴とし、特に28質量%以下であることが好適である。モノマー(a)及びモノマー(b)の合計量が30質量%以上では、本発明の塗料組成物に含まれる各樹脂同士の相溶性、特に水酸基含有共重合体(B)とセルロース誘導体(C)との相溶性が不十分となり、貯蔵安定性、調色作業性、形成塗膜の仕上がり性が不十分となり、好ましくない。
【0050】
本発明において上記水酸基含有共重合体(B)は、重量平均分子量が3000〜50000、好ましくは10000〜30000の範囲内にあることが、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の仕上がり性、乾燥性等の観点から好適である。
【0051】
また、上記水酸基含有共重合体(B)のガラス転移温度は、20〜80℃、好ましくは30〜70℃の範囲内であることが本発明の塗料組成物から形成される塗膜の研磨性の点から好適である。
【0052】
本発明において、水酸基含有共重合体(A)及び水酸基含有共重合体(B)を製造するための重合方法としては、特に限定されるものではなく、それ自体既知の重合方法、例えばラジカル重合開始剤の存在下において、塊状重合法、溶液重合法、塊状重合後に懸濁重合を行う塊状−懸濁二段重合法等、なかでも溶液重合法を好適に使用することができる。
【0053】
上記溶液重合法による重合方法としては、例えば、上記モノマー混合物を有機溶剤に溶解もしくは分散せしめ、重合開始剤の存在下で、通常、80℃〜200℃程度の温度で撹拌しながら加熱する方法を挙げることができる。反応時間は通常1〜24時間程度が適当である。
【0054】
本発明において上記水酸基含有共重合体(A)及び水酸基含有共重合体(B)の製造に使用される重合開始剤としては、溶液重合法で使用される従来公知のものが制限なく使用でき、例えばベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0055】
上記重合開始剤の使用量としては、水酸基含有共重合体(A)の場合は、水酸基含有共重合体(A)の製造に使用される全モノマーの合計質量を基準にして、0.2〜12質量%、好ましくは0.3〜10質量%の範囲内であり、水酸基含有共重合体(B)の場合は、水酸基含有共重合体(B)の製造に使用される全モノマーの合計質量を基準にして0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜8質量%の範囲内であることができる。
【0056】
セルロース誘導体(C)
本発明において、セルロース誘導体(C)は、通常、セルロースの水酸基が脂肪酸や硝酸等の酸によりエステル化されたものを挙げることができ、例えば、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらのうちセルロースアセテートブチレートが好適に使用できる。
【0057】
セルロースアセテートブチレートは、セルロースの部分アセチル化物をさらにブチルエステル化して得られるものであり、好ましくはアセチル基含有量が一般に1〜30質量%で、ブチル基含有量が一般に16〜60質量%である。具体的には、例えば「CAB−381−0.5」、「CAB−381−0.1」、「CAB−381−2.0」、「CAB−551−0.2」、「CAB−551−0.01」(以上、米国イーストマン ケミカル社製)などが例示できる。
【0058】
上記セルロースアセテートブチレートの数平均分子量としては15,000〜100,000、特に15,000〜62,000の範囲であることが本発明の塗料組成物から形成される塗膜の乾燥性の点から好ましい。
【0059】
本明細書において数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した数平均分子量をポリスチレンの数平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
【0060】
ポリイソシアネート(D)
本発明においてポリイソシアネート(D)は、硬化剤成分として使用されるものであり、上記水酸基含有共重合体(A)及び水酸基含有共重合体(B)中の水酸基と反応して硬化塗膜を形成できるものである。該ポリイソシアネート化合物(B)としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)−ジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類;リジントリイソシアネ−トなどの3価以上のポリイソシアネートなどの如き有機ポリイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各有機ジイソシアネート同志の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビウレット型付加物などが挙げられる。これらのうち、なかでもヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートが好適である。これらは、1種で又は2種以上混合して使用することができる。
【0061】
上記ポリイソシアネート化合物(D)の使用量は、この中に含まれるイソシアネート基(NCO)が、上記水酸基含有共重合体(A)及び水酸基含有共重合体(B)中の水酸基(OH)に対して、NCO/OHの当量比で、通常、0.2〜2.0、好ましくは0.5〜1.5となる範囲内となるように選択されることが適当である。
【0062】
塗料組成物
本発明の塗料組成物は、上記水酸基含有共重合体(A)、水酸基含有共重合体(B)、セルロース誘導体(C)及びポリイソシアネート化合物(D)を含んでなり、上記水酸基含有共重合体(A)、水酸基含有共重合体(B)及びセルロース誘導体(C)の配合割合としては、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に基いて
水酸基含有共重合体(A)が5〜49質量%、好ましくは10〜39質量%
水酸基含有共重合体(B)が50〜94質量%、好ましくは60〜89質量%
セルロース誘導体(C)が1〜45質量%、好ましくは1〜30質量%の範囲内であることが望ましい。
【0063】
水酸基含有共重合体(A)の量は、5〜49質量%の範囲内にあることが、塗膜の仕上がり性、光沢向上などの観点から好適である。水酸基含有共重合体(B)の量は、50〜94質量%の範囲内にあることが、2コート仕上げ用のベースコート塗料等の他の原色塗料との混色安定性、塗膜の乾燥性の観点から好適である。セルロース誘導体(C)の量は、1〜45質量%の範囲内にあることが、乾燥性、塗膜の研磨性等の作業性などの観点から好適である。
【0064】
本発明において上記塗料組成物に含まれる有機溶剤としては、特に制限されるものではなく、形成塗膜の乾燥性や塗装環境に悪影響を及ぼさないものであることが望ましい。また、本発明の塗料組成物中の樹脂を溶解且つ相溶させることが可能な有機溶剤を使用することが望ましく、具体的にはエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤及びエーテル系有機溶剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤(E)であることが望ましい。
【0065】
該有機溶剤(E)としては分子量が58〜220、特に72〜200の範囲内であることが望ましく、エステル系有機溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシルなどが挙げられ、ケトン系有機溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられ、エーテル系有機溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、エステル系有機溶剤を使用することが、塗料組成物の貯蔵安定性の点から好適である。
【0066】
上記有機溶剤(E)は、例えば塗料組成物中に含まれる水酸基含有共重合体(A)又は共重合体(B)の製造における反応溶媒又は希釈溶媒として、或いは後述の希釈シンナー中に配合することができる。
【0067】
本発明の塗料組成物は、さらにウレタン硬化触媒として、必要に応じて有機金属化合物を含有することができる。該有機金属化合物としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫脂肪酸塩、2−エチルヘキサン酸鉛、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、脂肪酸亜鉛類、ナフテン酸コバルト、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸銅、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネートなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。これらには、さらに必要に応じて第三級アミン、りん酸化合物など公知のウレタン硬化触媒を併用することもできる。その使用量は、通常、塗料中の樹脂固形分100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部の範囲内が適当である。
【0068】
本発明の塗料組成物は、クリヤー塗料組成物でも着色塗料組成物であってもよい。
【0069】
本発明の塗料組成物が着色塗料組成物である場合には、着色顔料、光輝性顔料、体質顔料などの顔料類を含有することができる。
【0070】
着色顔料としては、酸化チタン等の白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラックなどの黒色顔料;黄色酸化鉄、チタンイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料;パーマネントオレンジ等の橙色顔料;赤色酸化鉄、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドン系赤顔料、ジケトピロロピロール、ウォッチングレッド、パーマネントレッド等の赤色顔料;コバルト紫、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料;コバルトブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルーなどの青色顔料;フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などが挙げられる。
【0071】
光輝性顔料としては、アルミニウム粉、ブロンズ粉、銅粉、錫粉、鉛粉、亜鉛末、リン化鉄、パール状金属コーティング雲母粉、マイカ状酸化鉄などが挙げられる。
【0072】
体質顔料としては、タルク、マイカ、硫酸バリウム、カオリン、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、石英、ガラスなどが挙げられる。
【0073】
上記顔料類の配合量としては、適宜調整可能であり、一般に、塗料組成物に含まれる樹脂固形分100質量部に対して1〜250質量部、好ましくは3〜200質量部の範囲内であることが顔料分散性、塗料の着色力等の観点から望ましい。
【0074】
本発明の塗料組成物は、形成塗膜の仕上がり性の点から脂肪族炭化水素系有機溶剤(F)を含有することができる。
【0075】
かかる脂肪族炭化水素系有機溶剤(F)としては、高引火点、高沸点であることが望ましく、例えば炭素数が5〜12、特に6〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルカン、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0076】
本発明においては、塗料中に含まれる樹脂に対する溶解性や塗膜の仕上がり性等の観点から、該脂肪族炭化水素系有機溶剤(F)として環状アルカンが好適であり、特にシクロヘキサン、アルキルシクロヘキサンが好適である。
【0077】
かかるアルキルシクロヘキサンとしては、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、1−メチル,2−エチルシクロヘキサン、1−メチル,3−エチルシクロヘキサン、1−メチル,4−エチルシクロヘキサン、1,2,3−トリメチルシクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン及び1,3,5−トリメチルシクロヘキサン等を挙げることができ、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0078】
上記脂肪族炭化水素系有機溶剤(F)の配合量としては、適宜調整でき、塗料組成物中に含まれる樹脂固形分に対して脂肪族炭化水素系有機溶剤(F)が10〜450質量%、好ましくは20〜380質量%の範囲内となるように配合されることが望ましい。
【0079】
本発明の塗料組成物は塗装段階において塗装作業性を向上させ、形成塗膜の仕上がり性を向上させるために、希釈シンナーにて粘度調整を行うことができる。
【0080】
本発明においては、上記脂肪族炭化水素系有機溶剤(F)は希釈シンナー中に含まれることが、塗料中の樹脂に対する溶解性や塗膜の仕上がり性の点などから望ましい。
【0081】
該脂肪族炭化水素系有機溶剤(F)の希釈シンナー中における配合量としては、例えば、5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%の範囲内が、希釈シンナーの混色安定性及び形成塗膜の仕上がり性の点などから好適である。
【0082】
本発明の塗料組成物においては、トルエン、キシレン等の規制されている有機溶剤を使用しなくても、乾燥性、仕上がり性に優れた塗膜を形成することができるが、必要に応じてこれら有機溶剤を使用してもよい。
【0083】
本発明の塗料組成物には、さらに必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、表面調整剤、流動性調整剤、顔料分散剤、非水分散樹脂、添加樹脂等の塗料用添加剤を適宜配合することができる。
【0084】
上記の通り得られる本発明の塗料組成物は、上記水酸基含有共重合体(A)、水酸基含有共重合体(B)及びセルロース誘導体(C)を含む成分をベース塗料とし、ポリイソシアネート(D)を含む成分を硬化剤とする2液型塗料として供され、使用直前に混合され、必要に応じて希釈シンナーにより粘度調整され塗装に供されることが望ましい。
【0085】
本発明の塗装方法は、被塗面に、上記塗料組成物を塗装することを特徴とする塗装方法である。
【0086】
被塗面としては、従来公知の基材面や該基材に設けられた塗膜面を例示することができ、該基材としては、特に制限されるものではないが、例えば、鉄、アルミニウム等の金属;プラスチック等の有機基材;コンクリート、木材等の無機質基材等が挙げられ、また該基材に設けられる塗膜としては特に制限はないが、例えば自動車車体などに設けられている着色ベース塗料によるベース塗膜及びトップクリヤー塗膜から形成されてなる複層塗膜を挙げることができ、該ベース塗膜の下層にプライマー塗膜、電着塗膜、中塗り塗膜等の塗膜が適宜設けられたものであってもよい。
【0087】
被塗面の具体例としては、乗用車、トラック、バス、オートバイ、電車等の車両;航空機;建造物;家電製品などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0088】
本発明の塗料組成物を塗装する塗装手段としては、スプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装等特に制限はなく、乾燥方法としては、加熱乾燥、強制乾燥、常温乾燥のいずれであってもよい。本明細書では40℃未満の乾燥条件を常温乾燥とし、40℃以上で且つ80℃未満の乾燥条件を強制乾燥とし、80℃以上の乾燥条件を加熱乾燥とする。
【0089】
また、本発明の塗装方法においては、上記本発明の塗料組成物を塗装するだけで、光沢、研磨性、仕上がり性等に優れた塗膜を形成することができるが、必要に応じて該塗料組成物による形成塗膜上に従来公知のクリヤー塗料を塗装することも可能である。
【実施例】
【0090】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ここで「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
共重合体溶液の製造
製造例1
反応器に温度計、サーモスタット、攪拌機、還流冷却器、滴下用ポンプを備え付け、それに酢酸ブチル55部を仕込み、攪拌しながら125℃まで昇温し、下記モノマー混合物と重合開始剤からなる混合物を3時間かけて一定速度で滴下した。
スチレン 40部
イソボルニルアクリレート 25部
イソブチルメタクリレート 2部
2−エチルヘキシルアクリレート 5部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 28部
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 5.8部
滴下終了後、同温度で30分間熟成し、次いで追加触媒t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5部と酢酸ブチル3部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し滴下が終了した後、さらに同温度で1時間熟成し共重合体溶液(A1)を得た。得られた共重合体溶液(A1)は不揮発分60%であり、該共重合体の重量平均分子量は12000、ガラス転移温度は73℃であった。
【0091】
製造例2
上記製造例1において、滴下物を下記組成とする以外は上記製造例1と同様にして、共重合体溶液(A2)を得た。得られた共重合体溶液(A2)は不揮発分60%であり、重量平均分子量は9000、ガラス転移温度は68℃であった。
スチレン 20部
イソボルニルアクリレート 35部
イソブチルメタクリレート 11部
2−エチルヘキシルアクリレート 6部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 28部
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 6.3部
製造例3
上記製造例1において、滴下物を下記組成とする以外は上記製造例1と同様にして、共重合体溶液(A3)を得た。得られた共重合体溶液(A3)は不揮発分60%であり、該共重合体の重量平均分子量は10000、ガラス転移温度は75℃であった。
スチレン 30部
イソボルニルアクリレート 30部
イソブチルメタクリレート 10部
2−エチルヘキシルアクリレート 2部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 28部
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 6.1部。
【0092】
製造例4
反応器に温度計、サーモスタット、攪拌機、還流冷却器、滴下用ポンプを備え付け、それに酢酸ブチル50部を仕込み、攪拌しながら114℃まで昇温し、下記モノマー混合物と重合開始剤からなる混合物を3時間かけて一定速度で滴下した。
スチレン 15部
メチルメタクリレート 15部
イソブチルメタクリレート 39部
2−エチルヘキシルアクリレート 10部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 20部
メタクリル酸 1部
アゾビスイソブチロニトリル 2.0部
滴下終了後、同温度で30分間熟成し、次いで追加触媒(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)0.5部と酢酸ブチル7部の混合溶液を1時間かけて滴下し滴下が終了した後、さらに同温度で1時間熟成し共重合体溶液(B1)を得た。得られた共重合体溶液(B1)は不揮発分52%であり、該共重合体の重量平均分子量は、15000、ガラス転移温度は52℃であった。
製造例5
上記製造例4において、滴下物を下記組成とする以外は上記製造例4と同様にして、共重合体溶液(B2)を得た。得られた共重合体溶液(B2)は不揮発分52%であり、該共重合体の重量平均分子量は20000、ガラス転移温度は62℃であった。
スチレン 10部
メチルメタクリレート 25部
イソブチルメタクリレート 39部
2−エチルヘキシルアクリレート 5部
ヒドロキシエチルメタクリレート 20部
メタクリル酸 1部
アゾビスイソブチロニトリル 2.3部
製造例6
上記製造例4において、滴下物を下記組成とする以外は上記製造例4と同様にして、共重合体溶液(B3)を得た。得られた共重合体溶液(B3)は不揮発分52%であり、該共重合体の重量平均分子量は25000、ガラス転移温度は42℃であった。
スチレン 25部
メチルメタクリレート 12部
イソブチルメタクリレート 24部
2−エチルヘキシルアクリレート 18部
ヒドロキシエチルメタクリレート 20部
メタクリル酸 1部
アゾビスイソブチロニトリル 1.7部。
【0093】
製造例7
撹拌装置、温度計、還流冷却器、サーモスタット及び滴下用ポンプを備えた反応容器に、キシレン60部を仕込み、撹拌しながら125℃まで昇温し、下記単量体と重合開始剤との混合物を滴下用ポンプを利用して3時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、同温度で2時間熟成し反応を終了した。得られた共重合体溶液(C1)は、不揮発分60%の均一な透明溶液であった。また該共重合体の重量平均分子量は約9,000、ガラス転移温度は44℃であった。
スチレン 40部
イソボルニルアクリレート 20部
2−エチルヘキシルアクリレート 13.25部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 19部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 7.5部
アクリル酸 0.25部
t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート 6.5部
製造例8
撹拌装置、温度計、還流冷却器、サーモスタット及び滴下用ポンプを備えた反応容器に、キシレン80部を仕込み、撹拌しながら115℃まで昇温し、下記単量体と重合開始剤との混合物を滴下用ポンプを利用して3時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、同温度で2時間熟成し反応を終了した。得られた共重合体溶液(C2)は、不揮発分55%であり、共重合体の重量平均分子量は約30000、ガラス転移温度は45℃であった。
スチレン 40部
イソボルニルアクリレート 20部
n−ブチルアクリレート 20.75部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 19部
アクリル酸 0.25部
t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート 1.7部
製造例9
撹拌装置、温度計、還流冷却器、サーモスタット及び滴下用ポンプを備えた反応容器に、キシレン60部を仕込み、撹拌しながら125℃まで昇温し、下記単量体と重合開始剤との混合物を滴下用ポンプを利用して3時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、同温度で2時間熟成し反応を終了した。得られた共重合体溶液(C3)は、不揮発分60%であり、また共重合体の重量平均分子量は約9,000、ガラス転移温度は43℃であった。
スチレン 40部
イソボルニルアクリレート 20部
2−エチルヘキシルアクリレート 13.5部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 19部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 7.5部
t−ブチルパーオキシヘキサノエート 6.5部。
【0094】
製造例10
撹拌装置、温度計、還流冷却器、サーモスタット及び滴下用ポンプを備えた反応容器に、キシレン60部を仕込み、撹拌しながら115℃まで昇温し、下記単量体と重合開始剤との混合物を滴下用ポンプを利用して3時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、同温度で2時間熟成し反応を終了した。得られた共重合体溶液(C4)は、不揮発分55%であり、共重合体の重量平均分子量は約26000、ガラス転移温度は44℃であった。
スチレン 40部
イソボルニルアクリレート 20部
n−ブチルアクリレート 21部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 19部
t−ブチルパーオキシヘキサノエート 1.7部
製造例11
反応器に温度計、サーモスタット、撹拌機、環流冷却器、滴下用ポンプを備え付け、それにキシレン60部を仕込み、撹拌しながら125℃まで昇温し、下記モノマー及び重合開始剤からなる滴下モノマー混合物を4時間かけて一定速度で滴下した。そして滴下終了後、同温度で1時間熟成し、次いで追加触媒(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)0.5部と酢酸ブチル10部との混合溶液を1時間かけて滴下し、滴下が終了した後、さらに同温度で約2時間熟成し、不揮発分が60%の共重合体溶液(C5)を得た。該共重合体の重量平均分子量は9000であり、ガラス転移温度は55℃であった。
スチレン 30部
イソボルニルアクリレート 20部
2−エチルヘキシルアクリレート 10部
n−ブチルアクリレート 8.4部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 28部
無水コハク酸 0.7部
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 6部。
【0095】
セルロースアセテートブチレート変性共重合体溶液の製造
製造例12
反応器に温度計、サーモスタット、撹拌機、環流冷却器、滴下用ポンプを備え付け、それに下記の成分を仕込んだ。
酢酸ブチル 50部
「CAB−551−0.01」(イーストマンコダック社製、商品名)50部
上記混合物を窒素ガス雰囲気下で加熱し、約1時間かけて100℃まで加熱した。100℃となり、セルロースアセテートブチレートが完全に溶解したことを確認した後、下記のモノマー混合物と重合開始剤の混合液を100℃に保持したセルロースアセテートブチレート溶液中に3時間にわたって滴下した。
スチレン 10部
イソボルニルメタクリレート 15部
メチルメタクリレート 2.5部
t−ブチルメタクリレート 2部
i−ブチルメタクリレ 10.5部
ヒドロキシエチルメタクリレート 5部
ヒドロキシブチルアクリレート 5部
酢酸ブチル 50部
ベンゾイルパーオキサイド 2部
滴下終了30分後、アゾビスイソブチルニトリルを0.5部加え、さらに窒素雰囲気下で2時間熟成し反応を終了した。得られたセルロースアセテートブチレート変性共重合体溶液(C6)は、不揮発分50%の均一な透明溶液であった。
【0096】
顔料分散ペーストの製造
製造例13〜18
表1に示す共重合体溶液を表1に示す配合量で配合し、さらに「TIPAQUE CR95」(商品名、石原産業社製、酸化チタン顔料)、「BYK161」(商品名、BYK−chemie社製、顔料分散剤)、「フローノンED−1000」(商品名、共栄社製、顔料沈降防止剤)、酢酸ブチルを表1に示す配合で加え、ディスパーで約20分攪拌した後、サンドミルで分散し、各顔料分散ペーストを得た。
【0097】
【表1】

【0098】
1コート仕上げ用ホワイト塗料の作成
実施例1〜20及び比較例1〜5
下記表2に示す配合で各成分を混合して各主剤を作成し、これに調色用原色塗料(注5)、硬化剤(注6)を表2にしたがって配合し、調色済みホワイト塗料を夫々作成した。該ホワイト塗料の貯蔵安定性の評価を下記方法、基準にて行った。
【0099】
また、各ホワイト塗料を希釈シンナーI(注7)又はII(注8)を表2に記載の配合量で希釈して粘度調整し、新車用ホワイト塗料を塗装した工程板上に20℃にて乾燥膜厚60μmとなるようにスプレー塗装を行い、各試験塗板を得た。これらについて仕上がり性、乾燥性、研磨性の評価を下記方法、基準にて行った。評価結果を表2にあわせて示す。
【0100】
評価基準
(*1)貯蔵安定性:各主剤を1/4L丸缶に封入し、40℃、4週間の条件で貯蔵し、状態を観察した。(○:良好、△:若干顔料沈降あり、×:顔料沈降が著しい)
(*2)仕上がり性:塗膜の光沢を目視判定した。(○:光沢があり良好、△:光沢にやや劣る、×:光沢が非常に低い)
(*3)乾燥性:温度20℃、湿度75%の恒温恒湿室中で、塗装膜厚100μmとなるようにドクターブレードにてガラス板に塗装し、指で触って塗料が指に付かなくなるまでの指触乾燥時間を測った(○:乾燥時間10分未満、△:10以上且つ15分未満、×:15分以上)
(*4)研磨性:試験塗板を60℃で30分乾燥させた後、2時間後の試験板の皮膜表面を、細目ポリッシングコンパウンドをタオルバフにつけ、30秒間ポリッシングを行った後、塗膜表面の傷、仕上がり光沢を目視評価した。(○:傷がほとんどなく、光沢も良い、△:傷が若干認められる、×:傷が多く見られ、光沢低下
【0101】
【表2】

【0102】
【表3】

【0103】
(注1)25%CAB551−0.2溶液:「CAB551−0.2」(イーストマン ケミカル社製、セルロースアセテートブチレート、ブチル基含有量55%、数平均分子量60000)の25%酢酸ブチル溶液
(注2)25%CAB551−0.01溶液:「CAB551−0.01」(イーストマン ケミカル社製、セルロースアセテートブチレート、ブチル基含有量55%、数平均分子量16000)の25%酢酸ブチル溶液
(注3)25%CAB381−0.1溶液:「CAB381−0.1」(イーストマン ケミカル社製、セルロースアセテートブチレート、ブチル基含有量38%、数平均分子量20000)の25%酢酸ブチル溶液
(注4)「STANN BL」:三共有機合成社製、ジブチル錫ジラウレート
(注5)「レタンPGハイブリッドエコ−No.361」:関西ペイント社製、2コート仕上げ用ベースコート塗料、黄色原色、セルロースアセテートブチレート配合、トルエン及びキシレンの配合量1%未満
(注6)「デュラネートTPA100」:旭化成社製、不揮発分100%、NCO含有量23.1%のヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型
(注7)希釈シンナーI:酢酸ブチル/メチルエチルケトン/メチルシクロヘキサン/ジメチルシクロヘキサン(質量比)=50/10/20/20の混合溶剤
(注8)希釈シンナーII:キシレン/酢酸ブチル/シェルゾールA(シェル化学社製、芳香族系石油溶剤)(質量比)=60/20/20の混合溶剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基含有共重合体(A)、水酸基含有共重合体(B)、セルロース誘導体(C)並びにポリイソシアネート(D)を含有する塗料組成物であって、水酸基含有共重合体(A)を構成するモノマー成分が、スチレン(a)、有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)及びその他の重合性不飽和モノマー(d)を含み、該モノマー成分合計量に基くスチレン(a)及び有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)の合計量が30質量%以上であって、水酸基含有共重合体(B)を構成するモノマー成分が、スチレン(a)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)、炭素数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(e)及びその他の重合性不飽和モノマー(f)を含み、且つその他の重合性不飽和モノマー(f)は、有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)を含んでも含まなくてもよいものであって、該モノマー成分合計量に基くスチレン(a)及び有橋脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(b)の合計量が30質量%未満であることを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】
水酸基含有共重合体(A)、水酸基含有共重合体(B)及びセルロース誘導体(C)の配合割合が、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に基いて、水酸基含有共重合体(A)が5〜49質量%、水酸基含有共重合体(B)が50〜94質量%、セルロース誘導体(C)が1〜45質量%である請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
エステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤及びエーテル系有機溶剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤(E)をさらに含有する請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
脂肪族炭化水素系有機溶剤(F)をさらに含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項5】
被塗面に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装することを特徴とする塗装方法。

【公開番号】特開2006−348116(P2006−348116A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173971(P2005−173971)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】