説明

塗装仕上げ方法

【課題】シーリング材等の可塑剤含有材料の表面塗装仕上げにおいて、塗膜の汚染及びひび割れを抑制する。
【解決手段】可塑剤含有材料の表面を上塗材によって被覆する塗装仕上げ方法において、該上塗材として、ガラス転移温度が−20〜40℃、pHが4.0以上10.0以下である合成樹脂エマルション(A)、及び粒子径が1〜200nm、pHが5.0以上8.5未満であり、疎水化処理が施された中性シリカゾル(B)を必須成分とし、前記合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し、前記中性シリカゾル(B)を固形分換算にて0.1〜20重量部含む上塗材を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング材等の可塑剤含有材料の表面の塗装仕上げ方法に関するものであり、主として建築分野に適用するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、シーリング材は雨仕舞の一貫で各種の基材・部材間の接合部や隙間に充填され、防水性・気密性の付与、さらに、例えばガラスと窓枠、窓枠とパネルといった異種の部材間の接着・固定という目的で使用されている。また、改修・改装工事においては、例えば経時で基材に発生したひび割れの補修用として、防水性・気密性を付与する目的で用いられている。
【0003】
しかし、これらのシーリング材は防水性や気密性には優れているものの、その表面が露出した部分においてはべとつき(タック)が残りやすいため、経時的に埃、塵などの汚染物質が付着して美観を損なう場合がある。さらにシーリング材自体の表面汚染以外に、シーリング材中に含有される可塑剤の滲み出しにより、目地部周辺の基材や部材が汚染されるという現象が見られることがある。また、これらの基材や部材に美装と保護の目的で、仕上材として各種の塗料を施工した際に、シーリング材に含まれる可塑剤が仕上材塗膜に移行して塗膜を可塑化し、塵埃等の付着による汚染を誘発する場合もある。
【0004】
このようなシーリング材の汚染現象に対して、各種の防止方法が開示されている。例えば、特開平7−82548号公報(特許文献1)には、シーリング材表面の汚れ防止方法として、シーリング材の表面に、オルガノアルコキシシランの加水分解縮合物やコロイド状シリカ等を含有する無機コーティング材を塗装する方法が開示されている
【0005】
【特許文献1】特開平7−82548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献に記載されたような無機コーティング材は、通常、非常に高硬度の塗膜を形成するため、基材や部材等のムーブメントに対応するシーリング材の動きに追従することが難しく、塗膜にひび割れが発生するなど、実用上改善すべき点を有している。
【0007】
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、シーリング材等の可塑剤含有材料の表面の塗装仕上げにおいて、塗膜の汚染及びひび割れを抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、シーリング材等の表面を、特定の合成樹脂エマルション及び中性シリカゾルを必須成分として含む上塗材によって被覆することに想到し、本発明を完成させるに到った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.可塑剤含有材料の表面を上塗材によって被覆する塗装仕上げ方法において、該上塗材として、
ガラス転移温度が−20〜40℃、pHが4.0以上10.0以下である合成樹脂エマルション(A)、及び粒子径が1〜200nm、pHが5.0以上8.5未満であり、疎水化処理が施された中性シリカゾル(B)を必須成分とし、前記合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し、前記中性シリカゾル(B)を固形分換算にて0.1〜20重量部含む上塗材を使用することを特徴とする塗装仕上げ方法。
2.前記可塑剤含有材料が建築用シーリング材である1.記載の塗装仕上げ方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シーリング材等の可塑剤含有材料の表面の塗装仕上げにおいて、被塗面に対する追従性を確保しつつ、塗膜表面への可塑剤移行に起因する塗膜汚染を抑制することができる。本発明は、シーリング材のほか、ビニル系建材、塩化ビニル被覆品、塩化ビニル成形品等の可塑材含有材料の表面仕上げに適用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0012】
[上塗材]
本発明において使用する上塗材は、ガラス転移温度−20〜40℃、pH4.0以上10.0以下の合成樹脂エマルション(A)(以下「(A)成分」という)、及び粒子径が1〜200nm、pHが5.0以上8.5未満であり、疎水化処理が施された中性シリカゾル(B)(以下「(B)成分」という)を必須成分とするものである。
本発明では、このような特定の上塗材を使用することにより、可塑剤含有材料の表面塗装仕上げにおける、塗膜の汚れ防止性及びひび割れ防止性を十分に高めることができる。
【0013】
このうち、上塗材における(A)成分は結合剤として作用するものである。
(A)成分のガラス転移温度(以下「Tg」という)は−20〜40℃であり、好ましくは−10〜30℃である。(A)成分のTgがこのような範囲内であれば、被塗面の変位に対する追従性が付与され、形成塗膜におけるひび割れ発生を抑制することができる。(A)成分のTgが−20℃より低い場合は、汚れ防止性が不十分となりやすい。また、塗膜に膨れが発生しやすくなる。Tgが40℃より高い場合は、被塗面の変位に追従できず、塗膜に割れが発生するおそれがある。なお、本発明におけるTgは、合成樹脂エマルションを構成するモノマーの種類とその構成比率から、Foxの計算式によって求められる値である。
【0014】
(A)成分のpHは通常4.0以上10.0以下、好ましくは5.0以上9.5以下、より好ましくは6.0以上9.0以下、さらに好ましくは7.0以上8.5以下である。このようなpHの(A)成分を使用することにより、後述の(B)成分との混合安定性が確保され、本発明の効果を十分に発揮することが可能となる。pHが上記範囲外である場合は、(A)成分と(B)成分とを混合した際に、凝集物が発生したり、短時間で塗料粘度が上昇したりするため実用的でない。
【0015】
(A)成分としては、Tg及びpHが上記範囲内であれば、各種合成樹脂エマルションを使用することができる。具体的には、例えば、アクリル樹脂系エマルション、アクリルシリコン樹脂系エマルション、フッ素樹脂系エマルション、ウレタン樹脂系エマルション等が挙げられる。
【0016】
〔アクリル樹脂系エマルション〕
アクリル樹脂系エマルションとしては、アクリル系単量体、およびアクリル系単量体と共重合可能な他の単量体とをラジカル共重合により得られるものが使用できる。
【0017】
アクリル系単量体は、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート(メチルアクリレートまたはメチルメタアクリレートのいずれかであることを示す。以下において同じ。)、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド含有(メタ)アクリル系単量体;アクリロニトリルなどのニトリル基含有(メタ)アクリル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル系単量体等を例示できる。
【0018】
アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量体;マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレンなどの塩素含有単量体;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテルなどの水酸基含有アルキルビニルエーテル;エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテルジエチレングリコールモノアリルエーテルなどのアルキレングリコールモノアリルエーテル;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテルなどのアリルエーテル等を例示できる。
【0019】
合成樹脂エマルションとして、アクリル樹脂系エマルションを用いた場合は、耐久性、コスト面、樹脂設計の自由度の高さなどが優れている点で有利である。
【0020】
〔アクリルシリコン樹脂系エマルション〕
アクリルシリコン樹脂系エマルションとしては、珪素含有アクリル系単量体、および珪素含有アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体とをラジカル共重合により得られるものが使用できる。
【0021】
珪素含有アクリル系単量体としては、特に限定されないが、たとえば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの加水分解性シリル基含有ビニル系単量体等を例示できる。
【0022】
珪素含有アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、たとえば、前述のアクリル樹脂系エマルションで使用される単量体等を、特に限定されず使用できる。
【0023】
合成樹脂エマルションとして、アクリルシリコン樹脂系エマルションを用いた場合は、耐候性、耐黄変性、耐久性、耐薬品性、耐汚染性などが優れている点で有利である。
【0024】
〔フッ素樹脂系エマルション〕
フッ素樹脂系エマルションとしては、フッ素含有単量体、およびフッ素含有単量体と共重合可能な他の単量体とをラジカル共重合により得られるものが使用できる。
【0025】
フッ素含有単量体としては、たとえば、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどのフルオロオレフィン;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリレート等が例示される。
【0026】
フッ素含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、たとえば、前述のアクリル樹脂系エマルションで使用される単量体等を、特に限定されず使用できる。
【0027】
合成樹脂エマルションとして、フッ素樹脂系エマルションを用いた場合は、耐候性、耐黄変性、耐久性、耐薬品性、耐汚染性などが優れている点で有利である。
【0028】
〔ウレタン樹脂系エマルション〕
ウレタン樹脂系エマルションとは、塗膜形成後の塗膜中にウレタン結合を持つようになるエマルションを総称する。即ち、塗膜形成前からウレタン結合を有するものでもよいし、塗膜形成後の反応によりウレタン架橋を形成するものでもよい。エマルションの形態としては、1液型でもよいし、2液型であってもよい。
1液型としては、ウレタン結合を有する重合性単量体を他の共重合可能な単量体と共重合する方法、ウレタン結合を有する水性樹脂の存在下に重合性不飽和単量体を重合する方法、反応基を有する水性ウレタン樹脂と、該反応基と反応することのできる基を含むエマルションとを混合する方法等が挙げられる。
2液型としては、水分散性イソシアネートと水酸基含有エマルションとの組み合わせ等が挙げられる。
【0029】
合成樹脂エマルションとして、ウレタン樹脂系エマルションを用いた場合は、耐久性、耐溶剤性、耐薬品性、耐汚染性などが優れている点で有利である。
【0030】
〔その他の架橋反応型エマルション〕
合成樹脂エマルションの中で、前記の水酸基とイソシアネート化合物による架橋反応以外に、カルボニル基とヒドラジド基、カルボン酸と金属イオン、エポキシ基とアミン、エポキシ基とカルボキシル基、カルボン酸とアジリジン、カルボン酸とカルボジイミド、カルボン酸とオキサゾリン、アセトアセテートとケチミンなどを利用した架橋反応を形成するエマルションを使用することも可能である。架橋反応型エマルションは、1液タイプであっても、2成分以上の多成分タイプであってもよい。
【0031】
合成樹脂エマルションとして、架橋反応型エマルションを用いた場合は、耐久性、耐溶剤性、耐薬品性、耐汚染性などが優れており、有利である。
【0032】
(A)成分は、上述の条件を満たす限り、公知の方法で製造することができる。例えば、水性媒体中での乳化重合、懸濁重合、分散重合、溶液重合、酸化還元重合等で製造することができ、必要に応じ、多段階重合で製造することもできる。この際に、必要に応じ、乳化剤、開始剤、分散剤、連鎖移動剤、緩衝剤等またはその他の添加剤等を適宜使用することができる。
【0033】
上塗材における(B)成分は、粒子径が1〜200nm、pHが5.0以上8.5未満であり、疎水化処理が施された中性シリカゾルである。
【0034】
(B)成分を構成する粒子は、シリケートの加水分解縮合によって形成されるものであり、シリカを主成分とするため硬度が高く、かつその粒子表面にシラノール基(Si−OH)を有する化合物である。さらに、(B)成分には疎水化処理が施されているため、塗膜表面への配向性において優れた性能を有している。
本発明では、このような(B)成分の硬度、表面官能基の親水性、及び表面官能基どうしの相互作用等によって、可塑剤移行防止効果が得られる。しかも、(B)成分は塗膜表面への配向性に優れるため、比較的少ない配合量で可塑剤移行防止効果を発揮することができる。本発明では、このような(B)成分の特性によって、被塗面の変位に対する追従性を確保しつつ、十分な可塑剤移行防止性を得ることができる。また、(B)成分は上塗材の貯蔵安定性を阻害しないため、本発明では上塗材を1液形とすることができ、塗装作業の効率化を図ることもできる。
【0035】
(B)成分の粒子径は、1次粒子径として通常1〜200nm、好ましくは5〜100nm、より好ましくは10〜50nm、さらに好ましくは20〜40nmである。粒子径が大きすぎる場合は、塗膜の鮮映性が損われる等、形成塗膜の外観に悪影響を及ぼすおそれがある。粒子径が小さすぎる場合は、可塑剤移行防止性等において十分な効果が得られないおそれがある。(B)成分の平均1次粒子径は、5〜100nm、より好ましくは10〜50nm、さらに好ましくは20〜40nmである。本発明では、平均1次粒子径が異なる2種以上の中性シリカゾル(B)を使用することもできる。なお、(B)成分の粒子径は、光散乱法によって測定される値である。
【0036】
(B)成分のpHは5.0以上8.5未満であることが必要であり、6.0以上8.5未満であることが好ましく、6.5以上8.0以下であることがより好ましく、7.0以上8.0以下であることがさらに好ましい。(B)成分がこのようなpHに調製されたものであれば、その粒子表面のシラノール基の作用により、可塑剤移行防止性等において優れた効果が発揮される。pHが上記範囲外である場合は、可塑剤移行防止性が不十分となり、また耐水性、耐候性等の点においても不利となる。
【0037】
本発明における(B)成分と類似するものとしてコロイダルシリカが挙げられる。通常のコロイダルシリカは、pHが2〜4の酸性タイプ、pHが9〜11のアルカリ性タイプに大別される。これらコロイダルシリカの粒子表面では、いずれもSi−OHが解離した状態となっている。具体的に、酸性タイプのコロイダルシリカの粒子表面はSi−O−・H+となっている。アルカリ性タイプのコロイダルシリカは、粒子表面がSi−O−・Na+であるNa型と、Si−O−・NH4+であるNH4型に分類される。
これに対し、本発明における(B)成分は、粒子表面においてSi−OHの大半が解離せずに残存した状態となっているものであり、上記コロイダルシリカとは別異の化合物である。
【0038】
(B)成分としては、電気伝導度が3mS/cm以下(好ましくは2mS/cm以下、さらに好ましくは1mS/cm以下)のものが好適である。なお、ここに言う電気伝導度は、「Model SC82パーソナルSCメータ SC8221−J」(横河電機社製)を用いて測定される値である(測定温度25℃)。
このような(B)成分を使用することによって、形成塗膜の耐水性、汚れ防止性等をより高めることができる。
【0039】
(B)成分は、シリケート化合物を原料として中性シリカゾルを製造し、次いでその中性シリカゾルに疎水化処理を施すことによって製造することができる。
【0040】
このうち、シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等、あるいはこれらの縮合物等が挙げられる。この他、ジメトキシジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物を併せて使用することもできる。中性シリカゾルの製造時には触媒等を使用することもできる。また、製造過程あるいは製造後に、触媒等に含まれる金属をイオン交換処理等によって除去することもできる。
【0041】
中性シリカゾルの固形分は、通常5〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%である。媒体としては、水及び/または水溶性溶剤が使用できる。また、中性シリカゾルの粒子径は、1次粒子径として通常1〜200nm、好ましくは5〜100nm、より好ましくは10〜50nm、さらに好ましくは20〜40nmである。中性シリカゾルのpHは、通常5.0以上8.5未満、好ましくは6.0以上8.5未満、より好ましくは6.5以上8.0以下、さらに好ましくは7.0以上8.0以下である。
【0042】
中性シリカゾルに対する疎水化処理は、アルコキシル基、水酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物(以下「(p)成分」という)と中性シリカゾルとの複合化によって行うことが望ましい。(p)成分としては、中性シリカゾルの疎水化効果を有する化合物であれば限定なく使用可能であるが、例えば下記の化合物が例示される。
【0043】
1)アルコキシシラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等。
【0044】
2)アルコール類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、n−ヘプタノール、イソヘプチルアルコール、n−オクタノール、2−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコール、1−3ブタンジオール、1−5ペンタンジオール、ジアセトンアルコール等。
【0045】
3)グリコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等。
【0046】
4)グルコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等。
【0047】
5)フッ素アルコール類;トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール 、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、ノナフルオロ−t−ブチルアルコール、1,1,3,3−テトラフルオロイソプロパノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)エタノール、1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−2−ブタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)プロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)−1−トリルエタノール等。
【0048】
上記に例示された化合物の中でも、(p)成分としては、特にフッ素アルコールが好適である。
【0049】
(p)成分は、中性シリカゾルの固形分100重量部に対し、0.01〜50重量部(好ましくは0.02〜30重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部)の比率で混合することが望ましい。このような比率であれば、塗膜表面への配向性において優れた性能を得ることができる。
【0050】
(p)成分を中性シリカゾルに混合する際には、必要に応じ(p)成分を水や水溶性溶剤等で希釈しておいてもよい。(p)成分と中性シリカゾル(B)とを混合して疎水化処理する際には、必要に応じて触媒を使用することもできる。
【0051】
(p)成分によって中性シリカゾルを疎水化処理する場合、(p)成分にシランカップリング剤を混合して得られたものと、中性シリカゾルとの複合化によって疎水化処理を行うこともできる。また、中性シリカゾルをシランカップリング剤で処理した後に(p)成分を混合することによって疎水化処理することもできる。このような場合、シランカップリング剤としては、(p)成分と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤が使用できる。例えば(p)成分がフッ素アルコールである場合には、アミノ基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤等が使用できる。
【0052】
中性シリカゾルと(p)成分との混合・処理時の温度は、下限が10℃以上であり、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上に設定することが望ましく、上限は200℃以下程度、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下に設定することが望ましい。このような温度設定によって、(p)成分と中性シリカゾルとの反応性が高まり、耐汚染効果発現の点においても好ましいものとなる。加温時間は特に限定されないが、通常1〜24時間程度である。
【0053】
本発明では、ポリオキシアルキレン基含有化合物を複合化した中性シリカゾルを使用することによって、耐汚染性を高めることもできる。ポリオキシアルキレン基含有化合物(以下「(q)成分」という)としては、アルコキシル基、水酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基と、ポリオキシアルキレン基とを有する化合物が好適である。
【0054】
このような(q)成分としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシエチレン−テトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンジグリコール酸、ポリオキシエチレングリコールビニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールアリルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。(q)成分の平均分子量は、通常150〜2000程度であればよい。
【0055】
中性シリカゾルに(q)成分を複合化するには、中性シリカゾルと(q)成分を混合し、必要に応じ加温すればよい。(q)成分の混合比率は、中性シリカゾルの固形分100重量部に対し、0.01〜50重量部(好ましくは0.02〜30重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部)の比率とすることが望ましい。加温時の温度は、下限を10℃以上(好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上)、上限を200℃以下(好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下)に設定すればよい。加温時間は特に限定されないが、通常1〜24時間程度である。
【0056】
上塗材における(B)成分としては、疎水化処理を施すとともに上記ポリオキシアルキレン基含有化合物(q)を複合化した中性シリカゾルが特に好適である。このような中性シリカゾルを使用すれば、形成塗膜の耐汚染性をいっそう高めることができる。
【0057】
(B)成分として、平均1次粒子径が異なる2種以上の中性シリカゾルを使用する場合は、少なくとも1種が疎水化処理を施したものであることが望ましい。さらには、少なくとも1種が、疎水化処理を施すとともに上記(q)成分を複合化したものであることがより望ましい。
【0058】
(B)成分の媒体としては、水及び/または水溶性溶剤が使用できる。水溶性溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類等が挙げられる。本発明では、特に媒体が水のみからなることが望ましい。このような(B)成分を使用することにより、塗料の低揮発性有機溶剤(低VOC)化を図ることができる。また、(A)成分と混合した際の凝集物発生を抑制することもできる。
【0059】
(B)成分の固形分は、通常5〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%である。(B)成分の固形分がこのような範囲内であれば、(B)成分自体の安定性、さらには(A)成分と(B)成分を混合したときの安定性を確保することができる。固形分が大きすぎる場合は、(B)成分自体が不安定化したり、(A)成分との混合時に上塗材が不安定化したりするおそれがある。固形分が小さすぎる場合は、可塑剤移行防止性等において十分な効果を得るために、多量の(B)成分を混合しなければならず、塗料設計上、実用的ではない。
【0060】
本発明の上塗材における(B)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、固形分換算で通常0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部である。このような混合比率であれば、本発明の効果を十分に発揮することができる。(B)成分が少なすぎる場合は、十分な可塑剤移行防止性を得ることができない。(B)成分が多すぎる場合は、塗膜にひび割れが生じやすくなる。
【0061】
本発明の上塗材では、上述の成分に加え、顔料を含むこともできる。顔料としては、一般的に塗料に配合可能な着色顔料、体質顔料等が使用できる。このような顔料の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、通常5〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部、より好ましくは10〜100重量部である。顔料の混合比率が高すぎる場合は、塗膜にひび割れが生じるおそれがあるため注意を要する。
【0062】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。また、アルミニウム顔料、パール顔料等を使用することもできる。
体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、含水微粉珪酸、タルク、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。上塗材における体質顔料の粒子径は、通常50μm以下、好ましくは0.5μm以上30μm以下である。
【0063】
本発明の上塗材には、本発明の効果を著しく損なわない範囲内であれば、通常塗料に使用可能な各種成分を混合することができる。このような成分としては、例えば、造膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、レベリング剤、湿潤剤、pH調整剤、吸着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。
【0064】
[塗装方法]
本発明は、主に建築物の内外装において適用することができる。
本発明において、上記上塗材を用いてシーリング材上に塗装を行う際には以下のように実施することができる。
【0065】
塗装の対象となる被塗面は、各種基材によって形成された面であって、その目地部や補修部等にシーリング材が充填された面である。基材としては、例えばコンクリート、サイディングボード、軽量気泡コンクリート(ALC)板、押出成形板、磁器タイル、金属、ガラス、プラスチック等が挙げられる。これら被塗面は、何らかの表面処理(シーラー、サーフェーサー、フィラー、パテ等)が施されたものであってもよく、既存塗膜等を有するものであってもよい。
【0066】
シーリング材としては、可塑剤を含有するものが対象となるが、具体的には、シリコーン系シーリング材、変性シリコーン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材、変性ポリサルファイド系シーリング材、アクリルウレタン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、SBR系シーリング材、ブチルゴム系シーリング材等が挙げられる。これらは一成分形、二成分形のいずれであってもよい。シーリング材における可塑剤含有量は、通常0.1〜50重量%程度である。
【0067】
このような被塗面に上記上塗材を塗付する際、通常は基材表面及びシーリング材表面を含む被塗面全面に塗装を行えばよい。シーリング材の表面処理のみを目的とする場合は、シーリング材表面及びその周辺を、シーリング材が打設された幅より3〜10mm程度広く塗付すればよい。上塗材の塗付量は通常、固形分換算で30〜300g/m2程度である。塗装方法としては、ハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等の方法を採用することができる。
【0068】
本発明は、上記のシーリング材の他に、ビニル系建材、塩化ビニル被覆品、塩化ビニル成形品等の可塑剤を含有する各種材料に適用することもできる。このうち、ビニル系建材としては、塩化ビニル系樹脂を主成分とし、さらに可塑剤を含有する壁材、天井材、床材等が対象となる。このような材料を対象とする場合も、ハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等の方法により、固形分換算の塗付量が30〜300g/m2程度となるように塗装を行えばよい。
【実施例】
【0069】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0070】
表1に示す配合に従い、常法により下記の各原料を均一に混合して上塗材A〜Gを製造した。
【0071】
・樹脂:アクリル樹脂エマルション(メチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)−メタクリル酸共重合体、pH7.3、固形分50重量%、ガラス転移温度20℃)
・着色顔料:酸化チタン(平均粒子径0.3μm)
・分散剤A:スチレン−マレイン酸共重合物
・分散剤B:ポリオキシアルキレン系化合物
・造膜助剤:プロピレングリコールモノブチルエーテル
・増粘剤:ポリウレタン系増粘剤
・消泡剤:シリコーン系消泡剤
・変性シリカゾルA:合成例1参照
・変性シリカゾルB:合成例2参照
・変性シリカゾルC:合成例3参照
・変性シリカゾルD:合成例4参照
・変性シリカゾルE:合成例5参照
・コロイダルシリカ:塩基性コロイダルシリカ(pH9.5、固形分20重量%、平均1次粒子径20nm、電気伝導度1.7mS/cm)
【0072】
(合成例1)
還流冷却器と攪拌羽根を備えた反応容器に、中性シリカゾルA(pH7.6、固形分20重量%、平均1次粒子径27nm、電気伝導度0.6mS/cm)を500重量部仕込み、攪拌しながらトリフルオロエタノール0.3重量部を徐々に滴下した。次いで、80℃まで昇温して24時間攪拌を継続した後、室温まで放冷し、変性シリカゾルAを得た。この変性シリカゾルAのpHは7.6、固形分は20重量%、平均1次粒子径は27nm、電気伝導度は0.62mS/cmであった。
【0073】
(合成例2)
還流冷却器と攪拌羽根を備えた反応容器に、中性シリカゾルAを500重量部仕込み、攪拌しながらテトラメトキシシラン1.0重量部を徐々に滴下した。次いで、80℃まで昇温して24時間攪拌を継続した後、室温まで放冷し、変性シリカゾルBを得た。この変性シリカゾルBのpHは7.7、固形分は20重量%、平均1次粒子径は28nm、電気伝導度は0.66mS/cmであった。
【0074】
(合成例3)
還流冷却器と攪拌羽根を備えた反応容器に、中性シリカゾルAを500重量部仕込み、攪拌しながらメチルトリメトキシシラン1.0重量部を徐々に滴下した。次いで、80℃まで昇温して24時間攪拌を継続した後、室温まで放冷し、変性シリカゾルCを得た。この変性シリカゾルCのpHは7.7、固形分は20重量%、平均1次粒子径は28nm、電気伝導度は0.67mS/cmであった。
【0075】
(合成例4)
還流冷却器と攪拌羽根を備えた反応容器に、中性シリカゾルAを500重量部仕込み、攪拌しながらトリフルオロエタノール0.3重量部を徐々に滴下した後、メトキシポリエチレングリコール0.15重量部を徐々に滴下した。次いで、80℃まで昇温して24時間攪拌を継続した後、室温まで放冷し、変性シリカゾルDを得た。この変性シリカゾルDのpHは7.7、固形分は20重量%、平均1次粒子径は29nm、電気伝導度は0.67mS/cmであった。
【0076】
(合成例5)
還流冷却器と攪拌羽根を備えた反応容器に、中性シリカゾルAを500重量部仕込み、攪拌しながら、トリフルオロエタノール0.3重量部とγ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3重量部との混合溶液を徐々に滴下した。次いで、80℃まで昇温して24時間攪拌を継続した後、室温まで放冷し、変性シリカゾルEを得た。この変性シリカゾルEのpHは7.8、固形分は20重量%、平均1次粒子径は29nm、電気伝導度は0.68mS/cmであった。
【0077】
【表1】

【0078】
(実施例1)
縦300mm×横300mm×厚さ3mmのスレート板上に、縦300mm×横140mm×厚さ12mmの窯業系サイディングボード2枚を、20mmの間隔を設けて取り付けた。このボード間の目地部に対し、ポリウレタン系シーリング材(ジオクチルフタレート10重量%含有)をへらで充填し、7日間養生した。次に、上塗材Aを塗付量0.3kg/m2でスプレー塗装し14日間養生した。なお、塗装、養生等はすべて標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で行った。
【0079】
以上の方法で得た試験板を、80℃環境下にて7日間放置後取り出し、標準状態で放冷した。次いで、試験体を水平に置いて8号黒色珪砂を散布した後、試験板を垂直に立てて珪砂を自然落下させた。このとき、付着した8号黒色珪砂の程度(ふりかけた面積に対する付着面積の割合)を目視にて確認することで可塑剤移行防止性を評価した。評価基準は、◎:付着面積が20%以下、○:付着面積が20〜50%、△:付着面積が50〜80%、×:付着面積が80%以上とした。
また、上記方法で得られた試験板について、水浸漬(23℃)18時間→−20℃3時間→50℃3時間を1サイクルとする温冷繰返し試験を合計10サイクル行った後、塗膜外観を確認した。評価基準は、塗膜に割れが生じていないものを○、割れが生じているものを×とした。
試験結果を表2に示す。
【0080】
(実施例2)
上塗材Aに代えて上塗材Bを使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0081】
(実施例3)
上塗材Aに代えて上塗材Cを使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0082】
(実施例4)
上塗材Aに代えて上塗材Dを使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0083】
(実施例5)
上塗材Aに代えて上塗材Eを使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0084】
(比較例1)
上塗材Aに代えて上塗材Fを使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0085】
(比較例2)
上塗材Aに代えて上塗材Gを使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0086】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑剤含有材料の表面を上塗材によって被覆する塗装仕上げ方法において、該上塗材として、
ガラス転移温度が−20〜40℃、pHが4.0以上10.0以下である合成樹脂エマルション(A)、及び粒子径が1〜200nm、pHが5.0以上8.5未満であり、疎水化処理が施された中性シリカゾル(B)を必須成分とし、前記合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し、前記中性シリカゾル(B)を固形分換算にて0.1〜20重量部含む上塗材を使用することを特徴とする塗装仕上げ方法。
【請求項2】
前記可塑剤含有材料が建築用シーリング材である請求項1記載の塗装仕上げ方法。

【公開番号】特開2006−122820(P2006−122820A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314693(P2004−314693)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000180287)エスケー化研株式会社 (227)
【Fターム(参考)】