塩基性塩化アルミニウム粉体、塩基性塩化アルミニウム粉体の製造方法、エアゾール製剤、およびエアゾール制汗剤
【課題】 高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液からであっても、45μm以下の球状体からなる塩基性塩化アルミニウム粉体を効率よく製造可能な方法、この方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体、エアゾール製剤、およびエアゾール制汗剤を提供すること。
【解決手段】 2つの気体路71A、72Aと2つの液体路81A、82Aとを備え、これらの流路から噴射された流体が一点に集まるエッジ5Aを備えた4流体ノズル1Aによって、塩基性塩化アルミニウムを主成分とする水溶液を噴霧乾燥し、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造する。このため、塩基性塩化アルミニウムの濃度が高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液からであっても、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造することができる。
【解決手段】 2つの気体路71A、72Aと2つの液体路81A、82Aとを備え、これらの流路から噴射された流体が一点に集まるエッジ5Aを備えた4流体ノズル1Aによって、塩基性塩化アルミニウムを主成分とする水溶液を噴霧乾燥し、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造する。このため、塩基性塩化アルミニウムの濃度が高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液からであっても、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、化粧品等の各種用途に使用可能な塩基性塩化アルミニウム粉体、その製造方法、エアゾール製剤、およびエアゾール制汗剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩基性塩化アルミニウムは有効な化粧品材料として知られており、特に制汗剤中の本質的な活性成分を構成している(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
塩基性アルミニウムは、液体のものと粉体のものとが製造されているが、粉体のものについては、近年、エアゾール製剤として多用されつつある。エアゾール製剤とは、粉体が封入された耐圧容器にキャピラリーチューブ、バルブ、ボタン等を取り付け、気化した液化ガス又は圧縮ガスの圧力によって、内容物である粉体を容器の外に自力で放出させる製品である。
【0004】
このようなエアゾール製剤に用いられる粉体は、キャピラリーチューブ及びバルブの目詰まりを防止するという観点から小さい方が好ましい。従って、従来は、塩基性塩化アルミニウム粉体をボールミル等で粉砕しているが、粉砕化した塩基性塩化アルミニウム粉体は、その走査型電子顕微鏡写真を図14に示すように、角を有する多面体形状になっている。このため、エアゾール制汗剤などとして肌に付着させた際、肌ざわりが悪い、ざらざらする、粉っぽい感じがするなどの問題点がある。
【0005】
一方、本出願人は、酸化アルミニウム濃度に換算して1%〜12%の塩基性塩化アルミニウム水溶液を噴霧乾燥して、粒径が37μm以下の球状粉体からなる塩基性塩化アルミニウム粉体を製造することを提案している(特許文献3)。
【0006】
このような方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、粉砕化したものと違って、球状であるため、肌に付着した際の感触がよい。
【特許文献1】特開昭61−127620号公報
【特許文献2】特開昭63−166716号公報
【特許文献3】特開平5−814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
塩基性塩化アルミニウム水溶液としては、例えば、酸化アルミニウム濃度に換算して約23%としたものが市販されているが、特許文献3に記載の技術では、酸化アルミニウム濃度に換算して1%〜12%まで希釈して噴霧しているため、乾燥時のエネルギー効率が低く、製造コストが嵩むという問題がある。このような問題点は、塩基性塩化アルミニウム水溶液の濃度を上げれば解消できるが、従来の製造方法のまま、塩基性塩化アルミニウム水溶液の濃度が酸化アルミニウム換算で12%を超えるものを用いると、粗大粒子が増え、また、粉体に破壊が発生して球状粉体を形成できなくなるという問題点がある。
【0008】
また、塩基性塩化アルミニウム粉体をエアゾール制汗剤として用いたときの制汗メカニズムは、その収斂作用によるものである。すなわち、汗に溶けた塩基性塩化アルミニウムがたんぱく質を凝結させて汗腺の孔を封鎖し、皮膚表面への汗の流れを妨げる栓塞を形成させる。このような制汗剤には、即効性と持続力が求められているが、従来は、即効性および持続力のいずれか一方を優先せざるを得ず、即効性と持続力の双方を備えたエアゾール制汗剤が実現できていないという問題点がある。
【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液からであっても、最大粒径が45μm以下の球状体からなる塩基性塩化アルミニウム粉体を効率よく製造可能な方法、この方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体、エアゾール製剤、およびエアゾール制汗剤を提供することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、即効性および持続力のいずれをも兼ね備えたエアゾール制汗剤を実現可能な塩基性塩化アルミニウム粉体、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願出願人は、まず、エアゾール製剤として使用可能な粉体の粒度を検討したところ、球状粉体であれば、粒径を45μm以下に制御すればキャピラリーチューブ及びバルブの目詰まりを防止できるという知見を得た。
【0012】
また、本願出願人は、加圧ノズル(一流体ノズル)型、回転円盤型、二流体ノズル型、および二組の二流体ノズルを組み合わせたツインノズル型の噴霧装置を用いて、酸化アルミニウム濃度に換算して23%の濃厚な塩基性塩化アルミニウム水溶液を種々、噴霧条件を変えて噴霧乾燥を行い、その粉体を評価したが、いずれの噴霧装置を用いた場合も、生成した塩基性塩化アルミニウム粉体には粒径が45μmを超えるような巨大な球状粒子が混在しているという知見を得た。また、塩基性塩化アルミニウム水溶液の濃度が高いと粘度が高いので、液滴がノズルに付着したまま乾燥してしまい、ノズルからの液滴の噴霧条件が変わることに起因して、また、ノズルが詰まることに起因して、45μmを超えるような球形以外の巨大粒子が混在してしまうという知見を得た。
【0013】
本発明に係る塩基性塩化アルミニウム粉体の製造方法は、かかる知見に基づいてなされたものであり、2つの気体路と2つの液体路とを備え、前記気体路および前記液体路から噴射された流体が一点に集まる衝突焦点を形成する4流体ノズルによって、下式
Al2(OH)a(Cl)b
但し、a+b=6
4.8≦a≦5.3
0.7≦b≦1.2
で示される塩基性塩化アルミニウムを主成分とする水溶液を噴霧乾燥し、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造することを特徴とする。
【0014】
本発明では、塩基性塩化アルミニウム水溶液を4流体ノズルによって噴霧乾燥するので、高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いた場合でも、液滴がノズルに付着したまま乾燥してしまうことがなく、またノズルが詰まることがない。このため、低濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液だけでなく、かなり高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いた場合でも、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を安定して製造することができ、かかる球状の塩基性塩化アルミニウム粉体であれば、エアゾール製剤として用いた場合でも、キャピラリーチューブ及びバルブの目詰まりが発生しない。また、高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いれば、水分の少ない液滴が噴霧されるので、乾燥時のエネルギー効率が高い。従って、乾燥エリアの小型化など、製造装置の小型化を図ることができるとともに、消費電力の低減を図ることができる。さらに、4流体ノズルは、気液比により液滴径を任意にコントロールでき、かつ、1つのノズルで大量に長時間、噴霧できるので、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を短時間に大量に製造できる。それ故、本発明によれば、塩基性塩化アルミニウム粉体の製造コストを大幅に低減することができる。さらにまた、4流体ノズルは、塩基性塩化アルミニウム水溶液をその濃度にかかわらず噴霧乾燥を好適に行うことができるので、塩基性塩化アルミニウム水溶液のように濃度によって分子量などが変化するような溶液を噴霧乾燥する場合でも、得ようとする塩基性塩化アルミニウム粉体の性状に応じた濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いることができるという、塩基性塩化アルミニウム水溶液から塩基性塩化アルミニウム粉体を製造する場合特有の効果がある。
【0015】
本発明では、塩基性塩化アルミニウム水溶液として、塩基性塩化アルミニウムの濃度が酸化アルミニウム濃度に換算して20%〜24%の水溶液を用いることが好ましい。乾燥時のエネルギー効率を高めるという観点からすれば、高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いて水分の少ない液滴を噴霧することが好ましいが、塩基性塩化アルミニウム水溶液の濃度を高めると、液状を呈しなくなってしまう。従って、塩基性塩化アルミニウム水溶液が液状を呈する限界に近い20%〜24%という濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いれば、最高のエネルギー効率を得ることができる。また、20%〜24%という濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液であれば、最も高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液として市販もされているので、かかる塩基性塩化アルミニウム水溶液を濃度調整しなくてもそのまま用いることができる。さらに、塩基性塩化アルミニウム水溶液の濃度が高いほど、粒径が大になる傾向にあるが、20%〜24%という高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液であっても、4流体ノズルであれば、エアゾール製剤として使用可能な45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造できる。
【0016】
本発明においては、後述するように、2μm以下の粒径範囲内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超えた粒径範囲内に先端が位置する第2のピークとが出現する粒度分布を有する塩基性塩化アルミニウム粉体を形成することが好ましい。
【0017】
本発明に係る塩基性塩化アルミニウム粉体は、制汗剤用、虫除け剤用などの各種エアゾール製剤として用いることができる。ここで、虫除け剤用のエアゾール製剤として用いる場合には、塩基性塩化アルミニウム粉体にディート(DEET/N、N−diethyl−m−tolumide)などの忌避剤が添加されていることが望ましい。
【0018】
本発明に係る塩基性塩化アルミニウム粉体は、特にエアゾール制汗剤として用いるのに適している。塩基性塩化アルミニウムは、制汗効果が高く、ほとんどの制汗剤に使用されている。中でもエアゾール制汗剤は、その洗練された使い勝手の良さから、現在、制汗剤の主流となっている。この塩基性塩化アルミニウムの制汗メカニズムは、その収斂作用によるものであり、汗に溶けた塩基性塩化アルミニウムは、たんぱく質を凝結させ汗腺の孔を封鎖し、皮膚表面への汗の流れを妨げる栓塞を形成させる。近年では、他人と接する機会の増大、都市部での混雑する公共機関の利用により汗や臭いに対するケア意識が高まり、エアゾール製剤形態の制汗剤には即効性と持続力が求められている。
【0019】
エアゾール制汗剤の即効性を高めるには、配合する塩基性塩化アルミニウム粉体を溶けやすくするために粒径を小さくする必要がある。また、エアゾール制汗剤の持続力を高めるには、配合する塩基性塩化アルミニウム粉体が長時間継続して溶けるように、粒径をある程度大きくする必要がある。従って、エアゾール制汗剤において即効性と持続力の両立を図るには、小さな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体と、比較的大きな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体を配合するのが良い。
【0020】
ここで、粘度の高い液をスプレードライヤーで噴霧乾燥した場合には複数のピークを有する粒度分布をもつ粉体が得られるが、得られた粉体は粗く、粒径を全て45μm以下にすることが困難である。また、特開平5−814号公報記載の方法を用いた場合、粒径を全て45μm以下にすることは可能であるが、得られた粉体の粒度分布には、複数のピークが出現せず、単一ピークである。
【0021】
しかるに本発明では、4流体ノズルを用いて塩基性塩化アルミニウム粉体を製造するので、粒径は全て45μm以下であり、小さな粒度と比較的大きな粒度とにそれぞれピークを有する粒度分布をもつ。例えば、本発明に係る塩基性塩化アルミニウム粉体は、粒度分布グラフを描いたとき、2μm以下の粒径範囲内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超えた粒径範囲内に先端が位置する第2のピークとが出現する粒度分布を有する。それ故、本発明によれば、小さな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が即効性を発揮し、比較的大きな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が持続性を発揮するので、即効性と持続力とを両立させたエアゾール制汗剤を実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、塩基性塩化アルミニウムの濃度が酸化アルミニウム濃度に換算して20%〜24%の塩基性塩化アルミニウム水溶液であっても、4流体ノズルによって噴霧乾燥するので、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を安定して製造することができる。従って、一般に流通している濃厚な塩基性塩化アルミニウム水溶液を、希釈せずにそのまま直接、噴霧乾燥することができるので、乾燥時のエネルギー効率が高い。また、4流体ノズルであれば、1つのノズルで大量に長時間、噴霧できるので、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を短時間に大量に製造できる。それ故、本発明によれば、塩基性塩化アルミニウム粉体の製造コストを大幅に低減することができる。さらに、4流体ノズルは、塩基性塩化アルミニウム水溶液をその濃度にかかわらず噴霧乾燥を好適に行うことができるので、塩基性塩化アルミニウム水溶液のように濃度によって分子量などが変化するような溶液を噴霧乾燥する場合、得ようとする塩基性塩化アルミニウム粉体の性状に応じた濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いることができるという、塩基性塩化アルミニウム水溶液から塩基性塩化アルミニウム粉体を製造する場合特有の効果がある。
【0023】
また、本発明では、4流体ノズルを用いて塩基性塩化アルミニウム粉体を製造するので、得られた塩基性塩化アルミニウム粉体は、粒径が全て45μm以下であり、例えば、2μm以下の領域内に位置する第1のピークと、2μmを超え45μm以下の領域内に位置する第2のピークとを備えた粒度分布を有する。従って、本発明に係る塩基性塩化アルミニウム粉体をエアゾール製剤として用いれば、小さな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が即効性を発揮し、比較的大きな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が持続性を発揮するので、即効性と持続力とを両立させたエアゾール制汗剤を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明を適用した塩基性塩化アルミニウム粉体、およびその製造方法の一例を説明する。
【0025】
(塩基性塩化アルミニウム水溶液)
本形態における塩基性塩化アルミニウム水溶液としては、一般に市場に流通しているもの、例えば、大明化学工業株式会社製、商品名アルファイン83を用いることができ、その塩基性塩化アルミニウムは、酸化アルミニウム濃度に換算して23±1%である。この水溶液の主成分である塩基性塩化アルミニウムは、下記の化学式、
Al2(OH)a(Cl)b
但し、a+b=6
4.8≦a≦5.3
0.7≦b≦1.2
で表される。ここで、化粧品用途に好適な高塩基性塩化アルミニウム粉体は、式中のbが0.7〜1.2であり、「化粧品原料基準」の中では「クロルヒドロキシアルミニウム」として厚生省より告示されている。bが1.2を超えるとその固体は吸湿が激しくなり固体状態を保つことが困難となる。
【0026】
(塩基性塩化アルミニウム粉体の製造方法)
本形態では、上記の高塩基性塩化アルミニウムを主成分とする水溶液をノズルにより微細な液滴状態で乾燥槽内に噴霧することによって、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造する。乾燥槽内は、例えば、熱風入口温度が130℃であり、熱風出口温度が60℃である。
【0027】
ここで、塩基性塩化アルミニウム水溶液は、濃度が高くなるのに伴って粘度が高い。それにもかかわらず、本形態では、一般に流通している高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液(酸化アルミニウム換算濃度は約23%)を希釈して使用する場合の他、高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液(酸化アルミニウム換算濃度は約23%)を希釈せずにそのまま使用する。このため、本形態では、液滴がノズルに付着し、それが乾燥することに起因する噴霧条件の変動を防ぐために、ノズルとして、以下に述べる4流体ノズルを用いる。
【0028】
(4流体ノズルの構成)
図1(a)、(b)は、本発明を適用した4流体ノズルの一例を示す一部断面である。
【0029】
本形態では、乾燥槽内に塩基性塩化アルミニウム水溶液を噴霧するノズルとして4流体ノズルを用いる。4流体ノズルについては、すでに、特許第2797080号公報、工業調査会発行の「化学装置」2000年6月号、第60〜65頁、および工業調査会発行の「化学装置」2002年6月号、第85〜90頁に開示、紹介されており、本形態でも、かかる周知のものを使用できる。従って、4流体ノズルの詳細な説明は省略するが、以下に説明するように、2つの気体路と2つの液体路とを備え、気体路および液体路から噴射された流体が一点に集まって衝突焦点を形成するようになっている。
【0030】
例えば、図1(a)に示す4流体ノズル1Aは、サークルエッジ型のものであり、円柱状本体2から外周側に、当該中心軸線の方向での切断面が略三角形のフランジ状のノズル部分3Aが膨出している。ノズル部分3Aの先端では、尖鋭な円環状のエッジ5A(衝突焦点)を境界として、その両側に平滑な傾斜面61A、62Aが形成されている。これら傾斜面61A、62Aにおける裾部分には、エッジ5Aに向かって気体路71A、72Aが各々、開口しており、これら気体路71A、72Aには、不図示の圧縮空気供給源から圧縮空気が供給される。また、傾斜面61A、62Aにおけるエッジ5Aと空気吹出口71A、72Aとの間の途中位置には、液体路81A、82Aが各々、開口しており、これら液体路81A、82Aには、不図示の水溶液供給源から塩基性塩化アルミニウム水溶液が供給される。
【0031】
このように構成された4流体ノズル1Aにおいて、気体路71A、72Aから吹き出された圧縮空気は、傾斜面61A、62Aに沿って高速流動し、それらがエッジ5Aで互いに衝突することにより、そこに空気振動が発生する。一方、液体路81A、82Aから出射された塩基性塩化アルミニウム水溶液は、傾斜面61A、62Aに沿って高速流動する圧縮空気によって薄く引き延ばされ、薄膜流としてエッジ5Aに向けて移送される。薄膜流となった塩基性塩化アルミニウム水溶液がエッジ5Aに至ると、この水溶液は、エッジ5Aにおいて発生する空気振動によって微細化された液滴10Aとなり、乾燥槽内に噴霧される。従って、微細化された液滴10Aは、乾燥槽内において乾燥熱風に効率良く接触するので、瞬時に乾燥されて塩基性塩化アルミニウム粉体となる。この粉体は、サイクロン・バグフィルタ等で回収される。
【0032】
また、図1(b)に示す4流体ノズル1Bは、ストレートエッジ型のものであり、先鋭なエッジ5B(衝突焦点)の両側に2つの気体路71B、72Bと2つの液体路81B、82Bとが対称に形成され、これらの気体路および液体路から噴出した流体がエッジ5Bで一点に集まるようになっている。このため、エッジ5Bの両側に設けられた傾斜面51B、52Bに沿って空気を高速流動させてエッジ5Bにおいて互いに衝突させることにより空気振動を発生させるとともに、傾斜面51B、52Bの途中位置に液体路81B、82Bから塩基性塩化アルミニウム水溶液を供給すれば、この水溶液も、高速流動する空気によって傾斜面51B、52Bに沿った薄膜流としてエッジ5Bまで移送される。その結果、塩基性塩化アルミニウム水溶液は、エッジ5Bで発生する空気振動によって、微細化した液滴10Bとして噴霧される。
【0033】
(本形態の主な効果)
このような4流体ノズル1A、1Bを用いて塩基性塩化アルミニウム粉体を製造した場合には、詳しくはその実施例を従来例と比較して後述するが、塩基性塩化アルミニウム水溶液として、濃度が酸化アルミニウム濃度に換算して約23%と高濃度で、粘度が高いものを用いた場合でも、付着物により当該ノズル1A、1Bが閉塞してしまうおそれがない。従って、一般に流通している濃厚な塩基性塩化アルミニウム水溶液を、希釈せずにそのまま直接、乾燥槽内に噴霧することができるので、乾燥時のエネルギー効率が高い。
【0034】
また、4流体ノズル1A、1Bは、気液比により液滴径を任意にコントロールでき、かつ、一つのノズルで大量に長時間、噴霧できるので、最大粒径が45μm以下の球状の粉体を短時間に大量に生成できる。従って、篩分けや粉砕を行わなくても、最大粒径が45μm以下の球状の粉体を短時間に大量に生成できるので、生産コストを大幅に低減することができる。
【0035】
また、生成された塩基性塩化アルミニウム粉体は、最大粒径が45μm以下の球状体であることから、エアゾール製剤として使用した場合、キャピラリーチューブ及びバルブの目詰まりが発生せず、かつ、肌に付着した場合に、非常に滑らかでざらつきがなく、さらっとしており、肌触りがきわめてよい。それ故、制汗剤、虫除け剤等に好適に用いることができる。
【0036】
さらに、4流体ノズル1A、1Bを用いた場合、最大粒径が45μm以下の球状の粉体であって、かつ、小さな粒度と比較的大きな粒度とにそれぞれピークを有する粒度分布をもつ塩基性塩化アルミニウム粉体を製造できる。例えば、粒度分布グラフを描いたとき、2μm以下の粒径範囲内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超えた粒径範囲内に先端が位置する第2のピークとが出現する粒度分布を有する塩基性塩化アルミニウム粉体を製造できる。従って、このような塩基性塩化アルミニウム粉体をエアゾール制汗剤として用いた場合、小さな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が即効性を発揮し、比較的大きな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が持続性を発揮するので、即効性と持続力とを両立させたエアゾール制汗剤を実現することができる。
【0037】
なお、上記の形態では、塩基性塩化アルミニウムの濃度が酸化アルミニウム濃度に換算して22%〜24%の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いた例を中心に説明したが、濃度が20%〜22%の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いた場合も、乾燥時のエネルギー効率を向上することができる。また、濃度が20%未満の塩基性塩化アルミニウム水溶液を4流体ノズルによって噴霧乾燥して塩基性塩化アルミニウム粉体を製造してもよい。
【0038】
[実施例]
以下に本発明の実施例を説明する。なお、以下に示す粒度分布は、日機装株式会社製の商品名「マイクロトラック粒子径分布測定装置(9320HRA(X−100))」を用いて測定した結果である。なお、図3、図5および図7において、右下の白線の長さ寸法は50μmに相当し、図9、図11および図13において、右下の白線の長さ寸法は200μmに相当する。
【0039】
(実施例1)
製造条件
噴霧乾燥方法 4流体ノズル(藤崎電機株式会社製・商品名MDL−050−B)
風量 1m3/min
乾燥条件
入口温度130℃
出口温度67℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 23.4%
噴霧量 1.2リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 1.231μm
50%径 7.399μm
90%径 17.01 μm
粒度45μm未満 100%
【0040】
図2に、実施例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図3に、実施例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を示す。図1などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、全て粒径が45μm以下の球状粉体であり、エアゾール製剤として用いる場合でも、篩分けや粉砕の必要がない。また、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、2μm以下の領域内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超え45μm以下の領域内に先端が位置する第2のピークとを備えた粒度分布を有している。具体的には、先端が約1.2μmに位置する第1のピークと、先端が約13μmに位置する第2のピークを備えた粒度分布を有している。それ故、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、即効性と持続力の双方を両立させたエアゾール制汗剤として用いるのに適している。
【0041】
(実施例2)
製造条件
噴霧乾燥方法 4流体ノズル(藤崎電機株式会社製・商品名MDL−050−B)
風量 1m3/min
乾燥条件
入口温度130℃
出口温度61℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 12.1%
噴霧量 1.2リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 1.139μm
50%径 3.990μm
90%径 8.513μm
粒度45μm未満 100%
【0042】
図4に、実施例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図5に、実施例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を示す。図4などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、全て粒径が45μm以下の球状粉体であり、エアゾール製剤として用いる場合でも、篩分けや粉砕の必要がない。また、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、2μm以下の領域内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超え45μm以下の領域内に先端が位置する第2のピークとを備えた粒度分布を有している。具体的には、先端が約1.2μmに位置する第1のピークと、先端が約5.5μmに位置する第2のピークを備えた粒度分布を有している。それ故、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、即効性と持続力の双方を両立させたエアゾール制汗剤として用いるのに適している。
【0043】
(実施例3)
製造条件
噴霧乾燥方法 4流体ノズル(藤崎電機株式会社製商品名MDP−050)
風量 8m3/min
乾燥条件
入口温度250℃
出口温度83℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 23.3%
噴霧量 37.2リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 1.341μm
50%径 7.413μm
90%径 19.86 μm
粒度45μm未満 100%
【0044】
図6に、実施例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図7に、実施例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を示す。図6などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、全て粒径が45μm以下の球状粉体であり、エアゾール製剤として用いる場合でも、篩分けや粉砕の必要がない。また、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、2μm以下の領域内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超え45μm以下の領域内に先端が位置する第2のピークとを備えた粒度分布を有している。具体的には、先端が約1.2μmに位置する第1のピークと、先端が約9.3μmに位置する第2のピークを備えた粒度分布を有している。それ故、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、即効性と持続力の双方を両立させたエアゾール制汗剤として用いるのに適している。
【0045】
(比較例1)
製造条件
噴霧乾燥方法 2流体ノズル
乾燥条件
入口温度180℃
出口温度67℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 23.0%
噴霧量 21.8リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 2.939μm
50%径 11.48 μm
90%径 31.21 μm
粒度45μm未満 97.78%
【0046】
図8に、比較例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図9に、比較例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率200倍)を示す。図8などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、小さな粒度範囲に1つのピークを備え、それより大きな粒度範囲に2つのピークを有する粒度分布をもっているが、粒径が45μmを超えるものが混在しており、エアゾール製剤として用いる場合には篩分けが必要であるなどの点で本発明の実施例と相違している。
【0047】
(比較例2)
製造条件
噴霧乾燥方法 回転円盤
乾燥条件
入口温度180℃
出口温度71℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 23.0%
噴霧量 23リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 22.35 μm
50%径 38.31 μm
90%径 54.26 μm
粒度45μm未満 67.38%
【0048】
図10に、比較例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図11に、比較例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率200倍)を示す。図10などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、単一ピークの粒度分布をもっている点で本発明の実施例と相違している。また、粒径が45μmを超えるものが多数混在しているので、エアゾール製剤として用いる場合には篩分けが必要であるなどの点で本発明の実施例と相違している。
【0049】
(比較例3)
製造条件
噴霧乾燥方法 回転円盤
乾燥条件
入口温度180℃
出口温度67℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 12.4%
噴霧量 15リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 17.07 μm
50%径 34.17 μm
90%径 49.48 μm
粒度45μm未満 79.76%
【0050】
図12に、比較例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図13に、比較例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率200倍)を示す。図12などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、単一ピークの粒度分布をもっている点で本発明の実施例と相違している。また、粒径が45μmを超えるものが多数混在しているので、エアゾール製剤として用いる場合には篩分けが必要であるなどの点で本発明の実施例と相違している。
【0051】
(塩基性塩化アルミニウム粉体の用途)
本形態の塩基性塩化アルミニウム粉体は、最大粒径が45μm以下の球状粉体から構成されている。従って、エアゾール製剤として使用した場合でも、キャピラリーチューブ及びバルブに目詰まりが発生しない。また、本形態品は球状体であるので、その光沢は高白色で一様である。これに対して、従来の塩基性塩化アルミニウム粉体は、その光沢が灰白色で不均一である。これは、粉砕により形状が角を有する多面体となっているので、その乱反射が原因と推定される。さらにまた、本形態品を手の甲に少量とり、反対の手の指で円を描くようにしてこすりつけるようにして触感を確かめたところ、本形態品は最大粒径が45μm以下の球状体であることから、非常になめらかであり、ざらつきもなく、非常にさらっとしており、肌触りが極めてよい。また、粉体でありながら流動性がよく、液体様の挙動を示す。
【0052】
このため、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、以下に述べる用途に好適である。
【0053】
(1)エアゾール、ロールオン、ローションクリーム、ゲル、パフ、ベビーパウダー、スティック等の各種形状の制汗剤や虫除け剤。制汗剤としては、その他に、無水ケイ酸、香料、噴射剤とを配合したエアゾール組成物や、これらに金属石ケン等を添加した組成物が知られているが、これら組成物に本形態の塩基性塩化アルミニウム粉体を混合することで無水ケイ酸や、金属石ケン等の制汗作用を直接有しない物質の使用量を減らすことが可能となる。また、本形態の塩基性塩化アルミニウム粉体に、ディート(DEET/N、N−diethyl−m−tolumide)などの忌避剤を添加することで、制汗作用を有する虫除け剤としても利用できる。
(2)本形態品は水溶解性であり、親水性であるので、この粉体に種々の物質によりコーティングすることにより、表面の性質を変えることができる。例えば表面に金属石ケンや親油性の界面活性剤を吸着させて親油性粉体にすることができる。
(3)医薬として、多汗症に対する外用剤、制酸剤(胃腸薬)等に用いることができる。
(4)化粧品として制汗剤の他に、シェービングローション(収れん作用、止血作用)等に用いることができる。
(5)アルミナセラミック等のセラミックのバインダーとして用いることができる。
(6)単独または他の材料を混合して焼成することによりアルミナを主成分とするセラミックができるが、このものは種々の化学反応の触媒として使用可能である。
(7)アルミナ繊維の原材料として用いることができる。
(8)浄水剤として用いることができる。すなわち、水に溶解すると加水分解を受けて水酸化アルミニウムになり、この水酸化アルミニウムの凝集作用により浄水剤として使用できる。
(9)そのまま皮なめし剤として用いることができる。
(10)硫酸アルミニウムに代えてそのまま製紙用のサイズ剤として用いることができる。
(11)木材などに含浸させて難燃剤として使用することができる、など種々の用途がある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ、本発明を適用した4流体ノズルを示す一部断面である。
【図2】本発明の実施例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の実施例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】本発明の比較例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図9】本発明の比較例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】本発明の比較例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図11】本発明の比較例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図12】本発明の比較例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図13】本発明の比較例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図14】従来の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0055】
1A、1B 4流体ノズル
5A、5B、 エッジ(衝突焦点)
71A、72A、71B、72B 気体路
81A、82A、81B、82B 液体路
10A、10B 塩基性塩化アルミニウム水溶液の液滴
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、化粧品等の各種用途に使用可能な塩基性塩化アルミニウム粉体、その製造方法、エアゾール製剤、およびエアゾール制汗剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩基性塩化アルミニウムは有効な化粧品材料として知られており、特に制汗剤中の本質的な活性成分を構成している(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
塩基性アルミニウムは、液体のものと粉体のものとが製造されているが、粉体のものについては、近年、エアゾール製剤として多用されつつある。エアゾール製剤とは、粉体が封入された耐圧容器にキャピラリーチューブ、バルブ、ボタン等を取り付け、気化した液化ガス又は圧縮ガスの圧力によって、内容物である粉体を容器の外に自力で放出させる製品である。
【0004】
このようなエアゾール製剤に用いられる粉体は、キャピラリーチューブ及びバルブの目詰まりを防止するという観点から小さい方が好ましい。従って、従来は、塩基性塩化アルミニウム粉体をボールミル等で粉砕しているが、粉砕化した塩基性塩化アルミニウム粉体は、その走査型電子顕微鏡写真を図14に示すように、角を有する多面体形状になっている。このため、エアゾール制汗剤などとして肌に付着させた際、肌ざわりが悪い、ざらざらする、粉っぽい感じがするなどの問題点がある。
【0005】
一方、本出願人は、酸化アルミニウム濃度に換算して1%〜12%の塩基性塩化アルミニウム水溶液を噴霧乾燥して、粒径が37μm以下の球状粉体からなる塩基性塩化アルミニウム粉体を製造することを提案している(特許文献3)。
【0006】
このような方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、粉砕化したものと違って、球状であるため、肌に付着した際の感触がよい。
【特許文献1】特開昭61−127620号公報
【特許文献2】特開昭63−166716号公報
【特許文献3】特開平5−814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
塩基性塩化アルミニウム水溶液としては、例えば、酸化アルミニウム濃度に換算して約23%としたものが市販されているが、特許文献3に記載の技術では、酸化アルミニウム濃度に換算して1%〜12%まで希釈して噴霧しているため、乾燥時のエネルギー効率が低く、製造コストが嵩むという問題がある。このような問題点は、塩基性塩化アルミニウム水溶液の濃度を上げれば解消できるが、従来の製造方法のまま、塩基性塩化アルミニウム水溶液の濃度が酸化アルミニウム換算で12%を超えるものを用いると、粗大粒子が増え、また、粉体に破壊が発生して球状粉体を形成できなくなるという問題点がある。
【0008】
また、塩基性塩化アルミニウム粉体をエアゾール制汗剤として用いたときの制汗メカニズムは、その収斂作用によるものである。すなわち、汗に溶けた塩基性塩化アルミニウムがたんぱく質を凝結させて汗腺の孔を封鎖し、皮膚表面への汗の流れを妨げる栓塞を形成させる。このような制汗剤には、即効性と持続力が求められているが、従来は、即効性および持続力のいずれか一方を優先せざるを得ず、即効性と持続力の双方を備えたエアゾール制汗剤が実現できていないという問題点がある。
【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液からであっても、最大粒径が45μm以下の球状体からなる塩基性塩化アルミニウム粉体を効率よく製造可能な方法、この方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体、エアゾール製剤、およびエアゾール制汗剤を提供することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、即効性および持続力のいずれをも兼ね備えたエアゾール制汗剤を実現可能な塩基性塩化アルミニウム粉体、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願出願人は、まず、エアゾール製剤として使用可能な粉体の粒度を検討したところ、球状粉体であれば、粒径を45μm以下に制御すればキャピラリーチューブ及びバルブの目詰まりを防止できるという知見を得た。
【0012】
また、本願出願人は、加圧ノズル(一流体ノズル)型、回転円盤型、二流体ノズル型、および二組の二流体ノズルを組み合わせたツインノズル型の噴霧装置を用いて、酸化アルミニウム濃度に換算して23%の濃厚な塩基性塩化アルミニウム水溶液を種々、噴霧条件を変えて噴霧乾燥を行い、その粉体を評価したが、いずれの噴霧装置を用いた場合も、生成した塩基性塩化アルミニウム粉体には粒径が45μmを超えるような巨大な球状粒子が混在しているという知見を得た。また、塩基性塩化アルミニウム水溶液の濃度が高いと粘度が高いので、液滴がノズルに付着したまま乾燥してしまい、ノズルからの液滴の噴霧条件が変わることに起因して、また、ノズルが詰まることに起因して、45μmを超えるような球形以外の巨大粒子が混在してしまうという知見を得た。
【0013】
本発明に係る塩基性塩化アルミニウム粉体の製造方法は、かかる知見に基づいてなされたものであり、2つの気体路と2つの液体路とを備え、前記気体路および前記液体路から噴射された流体が一点に集まる衝突焦点を形成する4流体ノズルによって、下式
Al2(OH)a(Cl)b
但し、a+b=6
4.8≦a≦5.3
0.7≦b≦1.2
で示される塩基性塩化アルミニウムを主成分とする水溶液を噴霧乾燥し、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造することを特徴とする。
【0014】
本発明では、塩基性塩化アルミニウム水溶液を4流体ノズルによって噴霧乾燥するので、高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いた場合でも、液滴がノズルに付着したまま乾燥してしまうことがなく、またノズルが詰まることがない。このため、低濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液だけでなく、かなり高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いた場合でも、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を安定して製造することができ、かかる球状の塩基性塩化アルミニウム粉体であれば、エアゾール製剤として用いた場合でも、キャピラリーチューブ及びバルブの目詰まりが発生しない。また、高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いれば、水分の少ない液滴が噴霧されるので、乾燥時のエネルギー効率が高い。従って、乾燥エリアの小型化など、製造装置の小型化を図ることができるとともに、消費電力の低減を図ることができる。さらに、4流体ノズルは、気液比により液滴径を任意にコントロールでき、かつ、1つのノズルで大量に長時間、噴霧できるので、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を短時間に大量に製造できる。それ故、本発明によれば、塩基性塩化アルミニウム粉体の製造コストを大幅に低減することができる。さらにまた、4流体ノズルは、塩基性塩化アルミニウム水溶液をその濃度にかかわらず噴霧乾燥を好適に行うことができるので、塩基性塩化アルミニウム水溶液のように濃度によって分子量などが変化するような溶液を噴霧乾燥する場合でも、得ようとする塩基性塩化アルミニウム粉体の性状に応じた濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いることができるという、塩基性塩化アルミニウム水溶液から塩基性塩化アルミニウム粉体を製造する場合特有の効果がある。
【0015】
本発明では、塩基性塩化アルミニウム水溶液として、塩基性塩化アルミニウムの濃度が酸化アルミニウム濃度に換算して20%〜24%の水溶液を用いることが好ましい。乾燥時のエネルギー効率を高めるという観点からすれば、高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いて水分の少ない液滴を噴霧することが好ましいが、塩基性塩化アルミニウム水溶液の濃度を高めると、液状を呈しなくなってしまう。従って、塩基性塩化アルミニウム水溶液が液状を呈する限界に近い20%〜24%という濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いれば、最高のエネルギー効率を得ることができる。また、20%〜24%という濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液であれば、最も高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液として市販もされているので、かかる塩基性塩化アルミニウム水溶液を濃度調整しなくてもそのまま用いることができる。さらに、塩基性塩化アルミニウム水溶液の濃度が高いほど、粒径が大になる傾向にあるが、20%〜24%という高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液であっても、4流体ノズルであれば、エアゾール製剤として使用可能な45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造できる。
【0016】
本発明においては、後述するように、2μm以下の粒径範囲内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超えた粒径範囲内に先端が位置する第2のピークとが出現する粒度分布を有する塩基性塩化アルミニウム粉体を形成することが好ましい。
【0017】
本発明に係る塩基性塩化アルミニウム粉体は、制汗剤用、虫除け剤用などの各種エアゾール製剤として用いることができる。ここで、虫除け剤用のエアゾール製剤として用いる場合には、塩基性塩化アルミニウム粉体にディート(DEET/N、N−diethyl−m−tolumide)などの忌避剤が添加されていることが望ましい。
【0018】
本発明に係る塩基性塩化アルミニウム粉体は、特にエアゾール制汗剤として用いるのに適している。塩基性塩化アルミニウムは、制汗効果が高く、ほとんどの制汗剤に使用されている。中でもエアゾール制汗剤は、その洗練された使い勝手の良さから、現在、制汗剤の主流となっている。この塩基性塩化アルミニウムの制汗メカニズムは、その収斂作用によるものであり、汗に溶けた塩基性塩化アルミニウムは、たんぱく質を凝結させ汗腺の孔を封鎖し、皮膚表面への汗の流れを妨げる栓塞を形成させる。近年では、他人と接する機会の増大、都市部での混雑する公共機関の利用により汗や臭いに対するケア意識が高まり、エアゾール製剤形態の制汗剤には即効性と持続力が求められている。
【0019】
エアゾール制汗剤の即効性を高めるには、配合する塩基性塩化アルミニウム粉体を溶けやすくするために粒径を小さくする必要がある。また、エアゾール制汗剤の持続力を高めるには、配合する塩基性塩化アルミニウム粉体が長時間継続して溶けるように、粒径をある程度大きくする必要がある。従って、エアゾール制汗剤において即効性と持続力の両立を図るには、小さな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体と、比較的大きな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体を配合するのが良い。
【0020】
ここで、粘度の高い液をスプレードライヤーで噴霧乾燥した場合には複数のピークを有する粒度分布をもつ粉体が得られるが、得られた粉体は粗く、粒径を全て45μm以下にすることが困難である。また、特開平5−814号公報記載の方法を用いた場合、粒径を全て45μm以下にすることは可能であるが、得られた粉体の粒度分布には、複数のピークが出現せず、単一ピークである。
【0021】
しかるに本発明では、4流体ノズルを用いて塩基性塩化アルミニウム粉体を製造するので、粒径は全て45μm以下であり、小さな粒度と比較的大きな粒度とにそれぞれピークを有する粒度分布をもつ。例えば、本発明に係る塩基性塩化アルミニウム粉体は、粒度分布グラフを描いたとき、2μm以下の粒径範囲内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超えた粒径範囲内に先端が位置する第2のピークとが出現する粒度分布を有する。それ故、本発明によれば、小さな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が即効性を発揮し、比較的大きな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が持続性を発揮するので、即効性と持続力とを両立させたエアゾール制汗剤を実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、塩基性塩化アルミニウムの濃度が酸化アルミニウム濃度に換算して20%〜24%の塩基性塩化アルミニウム水溶液であっても、4流体ノズルによって噴霧乾燥するので、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を安定して製造することができる。従って、一般に流通している濃厚な塩基性塩化アルミニウム水溶液を、希釈せずにそのまま直接、噴霧乾燥することができるので、乾燥時のエネルギー効率が高い。また、4流体ノズルであれば、1つのノズルで大量に長時間、噴霧できるので、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を短時間に大量に製造できる。それ故、本発明によれば、塩基性塩化アルミニウム粉体の製造コストを大幅に低減することができる。さらに、4流体ノズルは、塩基性塩化アルミニウム水溶液をその濃度にかかわらず噴霧乾燥を好適に行うことができるので、塩基性塩化アルミニウム水溶液のように濃度によって分子量などが変化するような溶液を噴霧乾燥する場合、得ようとする塩基性塩化アルミニウム粉体の性状に応じた濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いることができるという、塩基性塩化アルミニウム水溶液から塩基性塩化アルミニウム粉体を製造する場合特有の効果がある。
【0023】
また、本発明では、4流体ノズルを用いて塩基性塩化アルミニウム粉体を製造するので、得られた塩基性塩化アルミニウム粉体は、粒径が全て45μm以下であり、例えば、2μm以下の領域内に位置する第1のピークと、2μmを超え45μm以下の領域内に位置する第2のピークとを備えた粒度分布を有する。従って、本発明に係る塩基性塩化アルミニウム粉体をエアゾール製剤として用いれば、小さな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が即効性を発揮し、比較的大きな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が持続性を発揮するので、即効性と持続力とを両立させたエアゾール制汗剤を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明を適用した塩基性塩化アルミニウム粉体、およびその製造方法の一例を説明する。
【0025】
(塩基性塩化アルミニウム水溶液)
本形態における塩基性塩化アルミニウム水溶液としては、一般に市場に流通しているもの、例えば、大明化学工業株式会社製、商品名アルファイン83を用いることができ、その塩基性塩化アルミニウムは、酸化アルミニウム濃度に換算して23±1%である。この水溶液の主成分である塩基性塩化アルミニウムは、下記の化学式、
Al2(OH)a(Cl)b
但し、a+b=6
4.8≦a≦5.3
0.7≦b≦1.2
で表される。ここで、化粧品用途に好適な高塩基性塩化アルミニウム粉体は、式中のbが0.7〜1.2であり、「化粧品原料基準」の中では「クロルヒドロキシアルミニウム」として厚生省より告示されている。bが1.2を超えるとその固体は吸湿が激しくなり固体状態を保つことが困難となる。
【0026】
(塩基性塩化アルミニウム粉体の製造方法)
本形態では、上記の高塩基性塩化アルミニウムを主成分とする水溶液をノズルにより微細な液滴状態で乾燥槽内に噴霧することによって、最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造する。乾燥槽内は、例えば、熱風入口温度が130℃であり、熱風出口温度が60℃である。
【0027】
ここで、塩基性塩化アルミニウム水溶液は、濃度が高くなるのに伴って粘度が高い。それにもかかわらず、本形態では、一般に流通している高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液(酸化アルミニウム換算濃度は約23%)を希釈して使用する場合の他、高濃度の塩基性塩化アルミニウム水溶液(酸化アルミニウム換算濃度は約23%)を希釈せずにそのまま使用する。このため、本形態では、液滴がノズルに付着し、それが乾燥することに起因する噴霧条件の変動を防ぐために、ノズルとして、以下に述べる4流体ノズルを用いる。
【0028】
(4流体ノズルの構成)
図1(a)、(b)は、本発明を適用した4流体ノズルの一例を示す一部断面である。
【0029】
本形態では、乾燥槽内に塩基性塩化アルミニウム水溶液を噴霧するノズルとして4流体ノズルを用いる。4流体ノズルについては、すでに、特許第2797080号公報、工業調査会発行の「化学装置」2000年6月号、第60〜65頁、および工業調査会発行の「化学装置」2002年6月号、第85〜90頁に開示、紹介されており、本形態でも、かかる周知のものを使用できる。従って、4流体ノズルの詳細な説明は省略するが、以下に説明するように、2つの気体路と2つの液体路とを備え、気体路および液体路から噴射された流体が一点に集まって衝突焦点を形成するようになっている。
【0030】
例えば、図1(a)に示す4流体ノズル1Aは、サークルエッジ型のものであり、円柱状本体2から外周側に、当該中心軸線の方向での切断面が略三角形のフランジ状のノズル部分3Aが膨出している。ノズル部分3Aの先端では、尖鋭な円環状のエッジ5A(衝突焦点)を境界として、その両側に平滑な傾斜面61A、62Aが形成されている。これら傾斜面61A、62Aにおける裾部分には、エッジ5Aに向かって気体路71A、72Aが各々、開口しており、これら気体路71A、72Aには、不図示の圧縮空気供給源から圧縮空気が供給される。また、傾斜面61A、62Aにおけるエッジ5Aと空気吹出口71A、72Aとの間の途中位置には、液体路81A、82Aが各々、開口しており、これら液体路81A、82Aには、不図示の水溶液供給源から塩基性塩化アルミニウム水溶液が供給される。
【0031】
このように構成された4流体ノズル1Aにおいて、気体路71A、72Aから吹き出された圧縮空気は、傾斜面61A、62Aに沿って高速流動し、それらがエッジ5Aで互いに衝突することにより、そこに空気振動が発生する。一方、液体路81A、82Aから出射された塩基性塩化アルミニウム水溶液は、傾斜面61A、62Aに沿って高速流動する圧縮空気によって薄く引き延ばされ、薄膜流としてエッジ5Aに向けて移送される。薄膜流となった塩基性塩化アルミニウム水溶液がエッジ5Aに至ると、この水溶液は、エッジ5Aにおいて発生する空気振動によって微細化された液滴10Aとなり、乾燥槽内に噴霧される。従って、微細化された液滴10Aは、乾燥槽内において乾燥熱風に効率良く接触するので、瞬時に乾燥されて塩基性塩化アルミニウム粉体となる。この粉体は、サイクロン・バグフィルタ等で回収される。
【0032】
また、図1(b)に示す4流体ノズル1Bは、ストレートエッジ型のものであり、先鋭なエッジ5B(衝突焦点)の両側に2つの気体路71B、72Bと2つの液体路81B、82Bとが対称に形成され、これらの気体路および液体路から噴出した流体がエッジ5Bで一点に集まるようになっている。このため、エッジ5Bの両側に設けられた傾斜面51B、52Bに沿って空気を高速流動させてエッジ5Bにおいて互いに衝突させることにより空気振動を発生させるとともに、傾斜面51B、52Bの途中位置に液体路81B、82Bから塩基性塩化アルミニウム水溶液を供給すれば、この水溶液も、高速流動する空気によって傾斜面51B、52Bに沿った薄膜流としてエッジ5Bまで移送される。その結果、塩基性塩化アルミニウム水溶液は、エッジ5Bで発生する空気振動によって、微細化した液滴10Bとして噴霧される。
【0033】
(本形態の主な効果)
このような4流体ノズル1A、1Bを用いて塩基性塩化アルミニウム粉体を製造した場合には、詳しくはその実施例を従来例と比較して後述するが、塩基性塩化アルミニウム水溶液として、濃度が酸化アルミニウム濃度に換算して約23%と高濃度で、粘度が高いものを用いた場合でも、付着物により当該ノズル1A、1Bが閉塞してしまうおそれがない。従って、一般に流通している濃厚な塩基性塩化アルミニウム水溶液を、希釈せずにそのまま直接、乾燥槽内に噴霧することができるので、乾燥時のエネルギー効率が高い。
【0034】
また、4流体ノズル1A、1Bは、気液比により液滴径を任意にコントロールでき、かつ、一つのノズルで大量に長時間、噴霧できるので、最大粒径が45μm以下の球状の粉体を短時間に大量に生成できる。従って、篩分けや粉砕を行わなくても、最大粒径が45μm以下の球状の粉体を短時間に大量に生成できるので、生産コストを大幅に低減することができる。
【0035】
また、生成された塩基性塩化アルミニウム粉体は、最大粒径が45μm以下の球状体であることから、エアゾール製剤として使用した場合、キャピラリーチューブ及びバルブの目詰まりが発生せず、かつ、肌に付着した場合に、非常に滑らかでざらつきがなく、さらっとしており、肌触りがきわめてよい。それ故、制汗剤、虫除け剤等に好適に用いることができる。
【0036】
さらに、4流体ノズル1A、1Bを用いた場合、最大粒径が45μm以下の球状の粉体であって、かつ、小さな粒度と比較的大きな粒度とにそれぞれピークを有する粒度分布をもつ塩基性塩化アルミニウム粉体を製造できる。例えば、粒度分布グラフを描いたとき、2μm以下の粒径範囲内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超えた粒径範囲内に先端が位置する第2のピークとが出現する粒度分布を有する塩基性塩化アルミニウム粉体を製造できる。従って、このような塩基性塩化アルミニウム粉体をエアゾール制汗剤として用いた場合、小さな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が即効性を発揮し、比較的大きな粒径の塩基性塩化アルミニウム粉体が持続性を発揮するので、即効性と持続力とを両立させたエアゾール制汗剤を実現することができる。
【0037】
なお、上記の形態では、塩基性塩化アルミニウムの濃度が酸化アルミニウム濃度に換算して22%〜24%の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いた例を中心に説明したが、濃度が20%〜22%の塩基性塩化アルミニウム水溶液を用いた場合も、乾燥時のエネルギー効率を向上することができる。また、濃度が20%未満の塩基性塩化アルミニウム水溶液を4流体ノズルによって噴霧乾燥して塩基性塩化アルミニウム粉体を製造してもよい。
【0038】
[実施例]
以下に本発明の実施例を説明する。なお、以下に示す粒度分布は、日機装株式会社製の商品名「マイクロトラック粒子径分布測定装置(9320HRA(X−100))」を用いて測定した結果である。なお、図3、図5および図7において、右下の白線の長さ寸法は50μmに相当し、図9、図11および図13において、右下の白線の長さ寸法は200μmに相当する。
【0039】
(実施例1)
製造条件
噴霧乾燥方法 4流体ノズル(藤崎電機株式会社製・商品名MDL−050−B)
風量 1m3/min
乾燥条件
入口温度130℃
出口温度67℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 23.4%
噴霧量 1.2リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 1.231μm
50%径 7.399μm
90%径 17.01 μm
粒度45μm未満 100%
【0040】
図2に、実施例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図3に、実施例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を示す。図1などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、全て粒径が45μm以下の球状粉体であり、エアゾール製剤として用いる場合でも、篩分けや粉砕の必要がない。また、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、2μm以下の領域内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超え45μm以下の領域内に先端が位置する第2のピークとを備えた粒度分布を有している。具体的には、先端が約1.2μmに位置する第1のピークと、先端が約13μmに位置する第2のピークを備えた粒度分布を有している。それ故、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、即効性と持続力の双方を両立させたエアゾール制汗剤として用いるのに適している。
【0041】
(実施例2)
製造条件
噴霧乾燥方法 4流体ノズル(藤崎電機株式会社製・商品名MDL−050−B)
風量 1m3/min
乾燥条件
入口温度130℃
出口温度61℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 12.1%
噴霧量 1.2リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 1.139μm
50%径 3.990μm
90%径 8.513μm
粒度45μm未満 100%
【0042】
図4に、実施例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図5に、実施例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を示す。図4などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、全て粒径が45μm以下の球状粉体であり、エアゾール製剤として用いる場合でも、篩分けや粉砕の必要がない。また、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、2μm以下の領域内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超え45μm以下の領域内に先端が位置する第2のピークとを備えた粒度分布を有している。具体的には、先端が約1.2μmに位置する第1のピークと、先端が約5.5μmに位置する第2のピークを備えた粒度分布を有している。それ故、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、即効性と持続力の双方を両立させたエアゾール制汗剤として用いるのに適している。
【0043】
(実施例3)
製造条件
噴霧乾燥方法 4流体ノズル(藤崎電機株式会社製商品名MDP−050)
風量 8m3/min
乾燥条件
入口温度250℃
出口温度83℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 23.3%
噴霧量 37.2リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 1.341μm
50%径 7.413μm
90%径 19.86 μm
粒度45μm未満 100%
【0044】
図6に、実施例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図7に、実施例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を示す。図6などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、全て粒径が45μm以下の球状粉体であり、エアゾール製剤として用いる場合でも、篩分けや粉砕の必要がない。また、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、2μm以下の領域内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超え45μm以下の領域内に先端が位置する第2のピークとを備えた粒度分布を有している。具体的には、先端が約1.2μmに位置する第1のピークと、先端が約9.3μmに位置する第2のピークを備えた粒度分布を有している。それ故、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、即効性と持続力の双方を両立させたエアゾール制汗剤として用いるのに適している。
【0045】
(比較例1)
製造条件
噴霧乾燥方法 2流体ノズル
乾燥条件
入口温度180℃
出口温度67℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 23.0%
噴霧量 21.8リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 2.939μm
50%径 11.48 μm
90%径 31.21 μm
粒度45μm未満 97.78%
【0046】
図8に、比較例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図9に、比較例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率200倍)を示す。図8などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、小さな粒度範囲に1つのピークを備え、それより大きな粒度範囲に2つのピークを有する粒度分布をもっているが、粒径が45μmを超えるものが混在しており、エアゾール製剤として用いる場合には篩分けが必要であるなどの点で本発明の実施例と相違している。
【0047】
(比較例2)
製造条件
噴霧乾燥方法 回転円盤
乾燥条件
入口温度180℃
出口温度71℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 23.0%
噴霧量 23リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 22.35 μm
50%径 38.31 μm
90%径 54.26 μm
粒度45μm未満 67.38%
【0048】
図10に、比較例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図11に、比較例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率200倍)を示す。図10などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、単一ピークの粒度分布をもっている点で本発明の実施例と相違している。また、粒径が45μmを超えるものが多数混在しているので、エアゾール製剤として用いる場合には篩分けが必要であるなどの点で本発明の実施例と相違している。
【0049】
(比較例3)
製造条件
噴霧乾燥方法 回転円盤
乾燥条件
入口温度180℃
出口温度67℃
噴霧液濃度(酸化アルミニウム濃度として) 12.4%
噴霧量 15リットル/h
製造結果
粉体の粒度分布
10%径 17.07 μm
50%径 34.17 μm
90%径 49.48 μm
粒度45μm未満 79.76%
【0050】
図12に、比較例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示す。また、図13に、比較例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の電子顕微鏡写真(倍率200倍)を示す。図12などから明らかなように、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、単一ピークの粒度分布をもっている点で本発明の実施例と相違している。また、粒径が45μmを超えるものが多数混在しているので、エアゾール製剤として用いる場合には篩分けが必要であるなどの点で本発明の実施例と相違している。
【0051】
(塩基性塩化アルミニウム粉体の用途)
本形態の塩基性塩化アルミニウム粉体は、最大粒径が45μm以下の球状粉体から構成されている。従って、エアゾール製剤として使用した場合でも、キャピラリーチューブ及びバルブに目詰まりが発生しない。また、本形態品は球状体であるので、その光沢は高白色で一様である。これに対して、従来の塩基性塩化アルミニウム粉体は、その光沢が灰白色で不均一である。これは、粉砕により形状が角を有する多面体となっているので、その乱反射が原因と推定される。さらにまた、本形態品を手の甲に少量とり、反対の手の指で円を描くようにしてこすりつけるようにして触感を確かめたところ、本形態品は最大粒径が45μm以下の球状体であることから、非常になめらかであり、ざらつきもなく、非常にさらっとしており、肌触りが極めてよい。また、粉体でありながら流動性がよく、液体様の挙動を示す。
【0052】
このため、本形態の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体は、以下に述べる用途に好適である。
【0053】
(1)エアゾール、ロールオン、ローションクリーム、ゲル、パフ、ベビーパウダー、スティック等の各種形状の制汗剤や虫除け剤。制汗剤としては、その他に、無水ケイ酸、香料、噴射剤とを配合したエアゾール組成物や、これらに金属石ケン等を添加した組成物が知られているが、これら組成物に本形態の塩基性塩化アルミニウム粉体を混合することで無水ケイ酸や、金属石ケン等の制汗作用を直接有しない物質の使用量を減らすことが可能となる。また、本形態の塩基性塩化アルミニウム粉体に、ディート(DEET/N、N−diethyl−m−tolumide)などの忌避剤を添加することで、制汗作用を有する虫除け剤としても利用できる。
(2)本形態品は水溶解性であり、親水性であるので、この粉体に種々の物質によりコーティングすることにより、表面の性質を変えることができる。例えば表面に金属石ケンや親油性の界面活性剤を吸着させて親油性粉体にすることができる。
(3)医薬として、多汗症に対する外用剤、制酸剤(胃腸薬)等に用いることができる。
(4)化粧品として制汗剤の他に、シェービングローション(収れん作用、止血作用)等に用いることができる。
(5)アルミナセラミック等のセラミックのバインダーとして用いることができる。
(6)単独または他の材料を混合して焼成することによりアルミナを主成分とするセラミックができるが、このものは種々の化学反応の触媒として使用可能である。
(7)アルミナ繊維の原材料として用いることができる。
(8)浄水剤として用いることができる。すなわち、水に溶解すると加水分解を受けて水酸化アルミニウムになり、この水酸化アルミニウムの凝集作用により浄水剤として使用できる。
(9)そのまま皮なめし剤として用いることができる。
(10)硫酸アルミニウムに代えてそのまま製紙用のサイズ剤として用いることができる。
(11)木材などに含浸させて難燃剤として使用することができる、など種々の用途がある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ、本発明を適用した4流体ノズルを示す一部断面である。
【図2】本発明の実施例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の実施例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】本発明の比較例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図9】本発明の比較例1に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】本発明の比較例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図11】本発明の比較例2に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図12】本発明の比較例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の粒度分布測定結果を示すグラフである。
【図13】本発明の比較例3に係る方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図14】従来の方法で製造した塩基性塩化アルミニウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0055】
1A、1B 4流体ノズル
5A、5B、 エッジ(衝突焦点)
71A、72A、71B、72B 気体路
81A、82A、81B、82B 液体路
10A、10B 塩基性塩化アルミニウム水溶液の液滴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大粒径が45μm以下の球状であって、
粒度分布グラフを描いたとき、2μm以下の粒径範囲内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超えた粒径範囲内に先端が位置する第2のピークとが出現する粒度分布を有することを特徴とする塩基性塩化アルミニウム粉体。
【請求項2】
2つの気体路と2つの液体路とを備え、前記気体路および前記液体路から噴射された流体が一点に集まる衝突焦点を形成する4流体ノズルによって、下式
Al2(OH)a(Cl)b
但し、a+b=6
4.8≦a≦5.3
0.7≦b≦1.2
で示される塩基性塩化アルミニウムを主成分とする水溶液を噴霧乾燥し、
最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造することを特徴とする塩基性塩化アルミニウム粉体の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、前記水溶液は、塩基性塩化アルミニウムの濃度が酸化アルミニウム濃度に換算して20%〜24%であることを特徴とする塩基性塩化アルミニウム粉体の製造方法。
【請求項4】
請求項2または3において、粒度分布グラフを描いたとき、2μm以下の粒径範囲内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超えた粒径範囲内に先端が位置する第2のピークとが出現する粒度分布を有する塩基性塩化アルミニウム粉体を形成することを特徴とする塩基性塩化アルミニウム粉体の製造方法。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに規定する方法で製造したことを特徴とする塩基性塩化アルミニウム粉体。
【請求項6】
請求項1または5に規定する塩基性塩化アルミニウム粉体を用いたことを特徴とするエアゾール製剤。
【請求項7】
請求項1または5に規定する塩基性塩化アルミニウム粉体を用いたことを特徴とするエアゾール制汗剤。
【請求項1】
最大粒径が45μm以下の球状であって、
粒度分布グラフを描いたとき、2μm以下の粒径範囲内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超えた粒径範囲内に先端が位置する第2のピークとが出現する粒度分布を有することを特徴とする塩基性塩化アルミニウム粉体。
【請求項2】
2つの気体路と2つの液体路とを備え、前記気体路および前記液体路から噴射された流体が一点に集まる衝突焦点を形成する4流体ノズルによって、下式
Al2(OH)a(Cl)b
但し、a+b=6
4.8≦a≦5.3
0.7≦b≦1.2
で示される塩基性塩化アルミニウムを主成分とする水溶液を噴霧乾燥し、
最大粒径が45μm以下の球状の塩基性塩化アルミニウム粉体を製造することを特徴とする塩基性塩化アルミニウム粉体の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、前記水溶液は、塩基性塩化アルミニウムの濃度が酸化アルミニウム濃度に換算して20%〜24%であることを特徴とする塩基性塩化アルミニウム粉体の製造方法。
【請求項4】
請求項2または3において、粒度分布グラフを描いたとき、2μm以下の粒径範囲内に先端が位置する第1のピークと、2μmを超えた粒径範囲内に先端が位置する第2のピークとが出現する粒度分布を有する塩基性塩化アルミニウム粉体を形成することを特徴とする塩基性塩化アルミニウム粉体の製造方法。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに規定する方法で製造したことを特徴とする塩基性塩化アルミニウム粉体。
【請求項6】
請求項1または5に規定する塩基性塩化アルミニウム粉体を用いたことを特徴とするエアゾール製剤。
【請求項7】
請求項1または5に規定する塩基性塩化アルミニウム粉体を用いたことを特徴とするエアゾール制汗剤。
【図1】
【図2】
【図4】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図14】
【図2】
【図4】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−1763(P2006−1763A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178005(P2004−178005)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(391062595)大明化学工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(391062595)大明化学工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
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