説明

塩基性条件下で沈殿させたエマルショングラフトポリマーを有し、酸性含リン化合物を含有する耐衝撃性改良ポリカーボネート組成物

本発明は、以下の成分A)〜成分C)を含有する耐衝撃性改良ポリカーボネート組成物および成形組成物に関する:A)芳香族ポリカーボネート若しくは芳香族ポリエステルカーボネートまたはこれらの混合物、B)以下の成分Ba)およびBb)を含有する混合物:Ba)乳化重合で調製される少なくとも1種のグラフトポリマーおよび、Bb)少なくとも1種のカルボン酸塩、ただし、蒸留水中に10wt%濃度の懸濁液となるように懸濁させた該混合物は、7より高いpHを示し、C)少なくとも1つのP-OH官能基を有する少なくとも1種の酸性含リン化合物。本発明に係る組成物は、先行技術と比較して、加水分解安定性と熱安定性を改良して併せ持つことを特徴とし、過酷な加工条件(高い加工温度)であっても、低温で良好な強靱性を有し、化学薬品の影響下における応力亀裂に対して良好な耐性を有する射出成形品の製造に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩基性条件下で沈殿させたエマルショングラフトポリマーと酸性含リン化合物を含有する耐衝撃性改良ポリカーボネート組成物および成形組成物に関する。該組成物および成形組成物は、先行技術と比較して、改良された加水分解安定性と熱安定性を併せ持つことを特徴とし、過酷な加工条件(高い加工温度)であっても、低温での良好な強靱性を有し、化学薬品の影響下における応力亀裂に対しても良好な耐性を有する射出成形部品の製造に適している。
【背景技術】
【0002】
先行技術のポリカーボネート組成物において耐衝撃性改良剤として使用されるエマルショングラフトポリマーは、一般的に酸性条件下で処理される。すなわち、酸性pH値を有する蒸留水中でこのようなグラフトポリマーの分散が行われる。塩基性成分は、加工条件下においてポリカーボネートを熱的に分解させる傾向があるものとして知られているので、ポリカーボネート組成物の十分な熱安定性を保証するためには、酸性条件下での処理が必要である。酸性条件下で沈殿させたエマルショングラフトポリマーを含有するこのようなポリカーボネート組成物は、多くの場合、配合の間に酸性の熱安定剤を添加することにより、更なる安定化に付される。原則として、このような組成物は、確かに良好な熱安定性をもたらす役割を果たすが、一般的にそれらは、湿潤熱エージングの影響下で、ポリカーボネートの加水分解安定性を低下させる。
【0003】
欧州特許出願公開第900827号A明細書は、ポリカーボネートを分解する塩基成分を実質的に含有しないエマルションポリマーを含有し、改良した熱的安定性を備える耐衝撃性改良ポリカーボネート組成物を開示する。この出願によると、調製に起因する塩基性不純物を含有するエマルションポリマーで耐衝撃性が改良されたこのようなポリカーボネート組成物は、熱的安定性の欠如を示す。
【0004】
欧州特許出願公開第576950号A明細書および国際特許出願公開第2007/065579号明細書は、塩基性不純物とポリカーボネートおよびアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)ポリマーを含有する組成物を開示し、該組成物は、多官能有機カルボン酸で安定化される。このような組成物は、高い加工温度に際に、ポリカーボネート成分の分子量の程度の割には良好な熱的安定性を有するが、射出成形を行う場合、これらから製造される成形品に表面欠陥(縞)を生じさせる傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第900827号A明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第576950号A明細書
【特許文献3】国際特許出願公開第2007/065579号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、エマルショングラフトポリマーによって耐衝撃性が改良され、改良された加水分解安定性と熱的安定性を併せ持つことにより特徴づけられ、過酷な加工条件(高い加工温度)であっても、低温での良好な強靱性を有し、化学薬品の影響下における応力亀裂に対しても良好な耐性を有する射出成形部品の製造に適するポリカーボネート組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、以下の成分A)〜E)を含有する組成物および成形組成物により上記目的を達成できることが見出された:
A)芳香族ポリカーボネート若しくは芳香族ポリエステルカーボネートまたはこれらの混合物、
B)以下のBa)およびBb)を含有する混合物:
Ba)乳化重合で調製される少なくとも1種のグラフトポリマー、および
Bb)少なくとも1種のカルボン酸塩(即ち、カルボン酸の塩)、好ましくは10〜30個の炭素原子を有するカルボン酸の塩、樹脂酸の塩または樹脂酸誘導体の塩、特に好ましくは樹脂酸の塩または樹脂酸誘導体の塩、
ただし、蒸留水中に10wt%濃度の懸濁液として懸濁させたこの混合物は、7より大きい、好ましくは7.5〜10、特に7.5〜9のpH値を有する
C)少なくとも1つのP-OH官能基を有する少なくとも1種の酸性含リン化合物、
D)塊状重合、溶液重合または懸濁重合で調製されたゴム変性ビニル(コ)ポリマー、ポリエステルまたはゴム不含ビニル(コ)ポリマーからなる群から選択される所望のポリマー、および
E)所望のポリマー添加剤。
【0008】
好ましい実施態様において、本発明に係る組成物または成形組成物は、以下の成分A)〜E)を含有する:
A)芳香族ポリカーボネート若しくは芳香族ポリエステルカーボネートまたはこれらの混合物を、成分A+B+Dの合計量に基づき、10〜99.5重量部、特に好ましくは30〜80重量部、特に40〜75重量部、
B)以下のBa)およびBb)を含有する混合物を、成分A+B+Dの合計量に基づき、0.5〜60重量部、特に好ましくは1〜50重量部、特に3〜30重量部:
Ba)乳化重合で調製される少なくとも1種のグラフトポリマーおよび、
Bb)少なくとも1種のカルボン酸塩、好ましくは10〜30個の炭素原子を有するカルボン酸の塩、樹脂酸の塩または樹脂酸誘導体の塩、特に好ましくは樹脂酸の塩または樹脂酸誘導体の塩、
ただし、蒸留水中に10wt%濃度の懸濁液として懸濁させたこの混合物は、7より大きい、好ましくは7.5〜10、特に7.5〜9のpH値を有する
C)少なくとも1つのP-OH官能基を有する少なくとも1種の酸性含リン化合物を、成分A+B+Dの合計量に基づき、0.001〜1重量部、特に好ましくは0.002〜0.5重量部、特に0.005〜0.3重量部、
D)好ましくは塊状重合、溶液重合または懸濁重合で調製され、成分Bとは異なる、ゴム変性ビニル(コ)ポリマー、ポリエステルおよびビニル(コ)ポリマーから成る群から選択されるポリマーを、成分A+B+Dの合計量に基づき0〜60重量部、特に好ましくは0.5〜40重量部、特に5〜40重量部、および
E)ポリマー添加剤を、成分A+B+Dの合計量に基づき0〜40重量部、特に好ましくは0.1〜30重量部、特に0.5〜20重量部、
ただし、本明細書において記載される全重量部は、組成物中の成分A+B+Dの重量部合計が100となるように標準化され、および
成分Bと成分Cは、30:1〜2000:1の範囲、好ましくは50:1〜1500:1の範囲、特に好ましくは70:1〜1000:1の範囲、特に80:1〜800:1の範囲で使用される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
成分A
本発明において適する成分Aに係る芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートは、関連文献に記載されており、または関連文献において記載されている方法により調製してもよい。芳香族ポリカーボネートの調製に関しては、例えば、シュネル著「ポリカーボネートの化学と物理」、インターサイエンスパブリッシャーズ、1964年、ならびに独国特許(DE−AS)第1495626号明細書、独国特許出願公開第2232877号A明細書、および同第2703376号A明細書、同第2714544号A明細書、同第3000610号A明細書および同第3832396号A明細書を参照されたい。また、芳香族ポリエステルカーボネートの調製に関しては、例えば同第3077934号A明細書を参照されたい。
【0010】
芳香族ポリカーボネートは、例えば、ジフェノールと、炭酸ハロゲン化物(好ましくはホスゲン)および/または芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物(好ましくはベンゼンジカルボン酸二ハロゲン化物)を、界面重合法によって、所望により連鎖停止剤(例えばモノフェノール)を使用し、および所望により三官能性以上の分岐剤(例えばトリフェノールまたはテトラフェノール)を用いて反応させることにより調製される。ジフェノールと、例えばジフェニルカーボネートを反応させる溶融重合法により調製することも同様に可能である。
【0011】
好ましくは、芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートを調製するためのジフェノールは、以下の化学式(I)で表されるジフェノールである:
【0012】
【化1】

[式中、Aは単結合、C−C−アルキレン、C−Cアルキリデン、C−C−シクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO−、C−C12−アリーレン、(該アリーレンには、必要に応じてヘテロ原子を含有する更なる芳香族環を結合させてもよい)、あるいは、以下の式(II)若しくは(III)で表される基を示す;
【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

式中、
Bは、いずれの場合もC-C12-アルキル(好ましくはメチル)、またはハロゲン(好ましくは塩素および/または臭素)を示し、
xは、いずれの場合も相互に独立して0、1または2を示し、
pは、1または0を示し、および
およびRは、各Xに対して独立して選択され、相互に独立してハロゲンまたはC−C-アルキル、好ましくはハロゲン、メチル若しくはエチルから選択され、
は炭素を示し、
mは、4〜7の整数、好ましくは4または5を示す(但し、少なくとも1つのX原子上において、RおよびRは同時にアルキルを示す)。
【0015】
好ましいジフェノールとしては、以下のものが含まれる:ヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシジフェノール、ビス-(ヒドロキシフェニル)−C1−C−アルカン、ビス-(ヒドロキシフェニル)−C−C−シクロアルカン、ビス-(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス-(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス-(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス-(ヒドロキシフェニル)-スルホンおよびα,α−ビス-(ヒドロキシフェニル)-ジイソプロピルベンゼン、並びに環が臭素化および/または塩素化したこれらの誘導体。
【0016】
特に好ましいジフェノールとしては、以下のものが含まれる:4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス-(4−ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、1,1−ビス-(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、およびこれらのジ−およびテトラ臭素化または塩素化誘導体、例えば2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)-プロパン、2,2−ビス-(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)-プロパンまたは2,2−ビス-(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンなど。2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)-プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。ジフェノールを単独で使用してもよく、任意の混合物として使用してもよい。ジフェノールは文献において既知であり、または文献において既知の方法に従い得ることができる。
【0017】
熱可塑性の芳香族ポリカーボネート調製するために適当な連鎖停止剤は、例えば、フェノール、p−クロロフェノール、p−tert−ブチルフェノールまたは2,4,6−トリブロモフェノール、並びに長鎖アルキルフェノール、例えば4-[2-(2,4,4-トリメチルペンチル)]-フェノール、4−(1,3−テトラメチルブチル)-フェノール(独国特許出願公開第2842005号A明細書参照)など、またはアルキル置換基中に合計で8個〜20個の炭素原子を有するモノアルキルフェノール若しくはジアルキルフェノール、例えば、3,5−ジ−tert−ブチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)-フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)-フェノールである。使用される連鎖停止剤の量は、具体的に使用するジフェノールの合計モル数に基づいて、一般に0.5モル%〜10モル%である。
【0018】
熱可塑性の芳香族ポリカーボネートは、10000〜200000g/モル、好ましくは15000〜80000g/モル、特に好ましくは24000〜32000g/モルの重量平均分子量(Mw、例えば、GPC法、超遠心分離法または散乱光測定により計測した)を平均して有する。
【0019】
熱可塑性の芳香族ポリカーボネートは、既知の方法で岐分化でき、特に好ましくは、三官能性以上の化合物、例えば3個以上のフェノール性基有する化合物を、使用するジフェノールの合計量に基づき、0.05〜2.0モル%の量で組み込むことができる。
【0020】
ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートが共に適当である。使用するジフェノールの総量に基づき、1〜25wt%、好ましくは2.5〜25wt%の量で、ヒドロキシアリールオキシ末端基を有するポリジオルガノシロキサンを、本発明に係る成分Aに係るコポリカーボネートを調製するために使用できる、これらは、米国特許第3419634号明細書において既知であり、該文献から既知の方法により調製できる。ポリジオルガノシロキサンを含有するコポリカーボネートの調製は、独国特許公開第3334782号明細書に記載されている。
【0021】
ビスフェノールAのホモポリカーボネートに加えて、好ましいポリカーボネートは、ジフェノールの総モル数に基づき15モル%以下の、上記の好ましい他のジフェノール若しくは特に好ましい他のジフェノール、特に、2,2−ビス-(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンと、ビスフェノールAとのコポリカーボネートである。
【0022】
芳香族ポリエステルカーボネートの調製に使用する芳香族ジカルボン酸ジハライドは、好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル4,4'-ジカルボン酸およびナフタレン-2,6-ジカルボン酸の二酸ジクロリドである。イソフタル酸の二酸ジクロリドとテレフタル酸の二酸ジクロリドを1:20〜20:1の割合で混合させた混合物が特に好ましい。
【0023】
炭酸ハロゲン化物、好ましくはホスゲンが、ポリエステルカーボネートの調製における二官能性酸誘導体として更に使用される。
【0024】
上述のモノフェノールに加えて、芳香族ポリエステルカーボネートの調製に使用できる連鎖停止剤は、上述したモノフェノールのクロロ炭酸エステル、所望によりC〜C22-アルキル基またはハロゲン原子により置換できる、芳香族モノカルボン酸の酸塩化物、ならびに脂肪族C〜C22-モノカルボン酸塩化物である。
【0025】
連鎖停止剤の量は、フェノール系連鎖停止剤の場合ジフェノールのモル数に基づき、モノカルボン酸塩化物の連鎖停止剤の場合ジカルボン酸ジクロリドのモル数に基づき、何れの場合も0.1〜10モル%である。
【0026】
芳香族ポリエステルカーボネートは、導入した芳香族ヒドロキシカルボン酸を含有してもよい。
【0027】
芳香族ポリエステルカーボネートは直鎖状であってもよく、既知の方法で分岐化させてもよい(独国特許出願公開第2940024号明細書および同第3007934号A明細書の関連部分参照)。
【0028】
分岐剤としては、以下のものが使用できる:例えば、三官能性以上のカルボン酸塩化物、例えばトリメシン酸トリクロリド、シアヌル酸トリクロリド、3,3',4,4'−ベンゾフェノン−テトラカルボン酸テトラクロリド、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸テトラクロリド若しくはピロメリット酸テトラクロリドなど、使用したジカルボン酸ジクロリドに基づき0.01〜1.0mol%の量;または三官能性以上のフェノール、例えばフロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−へプト−2−エン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス[4,4−ビス-(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン、2,4−ビス-(4−ヒドロキシフェニル-イソプロピル)-フェノール、テトラ-(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,6−ビス-(2−ヒドロキシ−5'−メチル−ベンジル)−4−メチル−フェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、テトラ−(4−[4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル]−フェノキシ)−メタン若しくは1,4−ビス-[4',4''−(ジヒドロキシトリフェニル)−メチル]−ベンゼンなど、使用するジフェノールに基づき0.01〜1.0mol%の量。フェノール系分岐剤はジフェノールと共に初めに導入でき、酸塩化物系分岐剤は酸ジクロリドと共に導入できる。
【0029】
熱可塑性の芳香族ポリエステルカーボネートにおけるカーボネート構造単位の含有量は、所望により変化できる。カーボネート基含有量は、エステル基とカーボネート基の合計量に基づき、好ましくは100モル%以下、特に80モル%以下、特に好ましくは50モル%以下である。芳香族ポリエステルカーボネートに含有されるエステルおよびカーボネートは、ブロック状またはランダムに分布した状態で重縮合生成物中に存在できる。
【0030】
芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートの相対溶液粘度(ηrel)は、1.18〜1.4、好ましくは1.20〜1.32の範囲である(塩化メチレン溶液100ml中にポリカーボネートまたはポリエステルカーボネートを0.5g溶解させ、25℃で測定した)。
【0031】
熱可塑性の芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは、単独で使用してもよく、所望により混合して使用してもよい。
【0032】
成分B
成分Bは、以下の成分Ba)およびBb)を含有する:
Ba)乳化重合で調製される少なくとも1種のグラフトポリマーおよび
Bb)少なくとも1種のカルボン酸塩、好ましくは10〜30個の炭素原子を有するカルボン酸の塩、樹脂酸の塩または樹脂酸誘導体の塩、特に好ましくは樹脂酸の塩または樹脂酸誘導体の塩、
なお、蒸留水中に10wt%濃度の懸濁液として懸濁させた成分Bは、7より大きい、好ましくは7.5〜10、特に7.5〜9のpH値を有する。
【0033】
好ましくは、成分Bは以下の成分Ba)およびBb)を含有する:
Ba) 以下のBa.1およびBa.2から成る1種または複数種のグラフトポリマー;成分Ba)および成分Bb)の合計量に基づき、99.95〜95重量部、好ましくは99.7〜96重量部、特に好ましくは99.5〜97重量部、
Ba.1 Ba.2上の少なくとも1種のビニルモノマー;成分Ba.1および成分Ba.2の合計量に基づき、10〜90wt%、好ましくは20〜70wt%、特に25〜50wt%、
Ba.2 10℃未満、好ましくは0℃未満、特に好ましくは−20℃未満のガラス転移温度を有する1種または複数種のグラフト基剤;成分Ba.1および成分Ba.2の合計量に基づき、10〜90wt%、好ましくは30〜80wt%、特に50〜75wt%、ならびに
Bb)カルボン酸塩、好ましくは10〜30個の炭素原子を有するカルボン酸の塩、樹脂酸の塩または樹脂酸誘導体の塩、特に好ましくは樹脂酸の塩または樹脂酸誘導体の塩;、成分Ba)および成分Bb)の合計量に基づき、0.05〜5重量部、好ましくは0.3〜4重量部、特に好ましくは0.5〜3重量部。
【0034】
一般に、グラフト基剤Ba.2は、0.05〜2μm、好ましくは0.1〜1μm、特に好ましくは0.2〜0.5μmの平均粒径(d50値)を有する。
【0035】
モノマーB.1は、好ましくは以下のBa.1.1およびBa.1.2の混合物である:
Ba.1.1 ビニル芳香族および/または環置換ビニル芳香族(例えばスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレンなど)および/または、メタクリル酸(C-C)-アルキルエステル(例えばメチルメタクリレートおよびエチルメタクリレートなど);50〜99重量部、および
Ba.1.2 シアン化ビニル(不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルなど)および/または(メタ)アクリル酸(C-C)-アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、n-ブチルアクリレートおよびt-ブチルアクリレートなど)および/または不飽和カルボン酸の誘導体(例えば無水物およびイミドなど)(例えば無水マレイン酸およびN-マレイミドなど);1〜50重量部。
【0036】
好ましいモノマーBa.1.1は、スチレンモノマー、α-メチルスチレンモノマーおよびメチルメタクリレートモノマーのうちの少なくとも1つから選択され、好ましいモノマーBa.1.2は、アクリロニトリルモノマー、無水マレイン酸モノマー、メチルメタクリレートモノマーのうちの少なくとも1つから選択される。Ba.1.1に関する特に好ましいモノマーは、スチレンであり、Ba.1.2に関する特に好ましいモノマーはアクリロニトリルである。
【0037】
グラフトポリマーBa)に適するグラフト基剤Ba.2は、例えばジエンゴム、EP(D)Mゴム、すなわち、エチレン/プロピレンおよび所望によりジエンに基づくゴム、およびアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレンおよびエチレン/酢酸ビニルゴム、並びにシリコーン/アクリレート複合ゴムである。
【0038】
Ba.2に関する好ましいグラフト基剤は、ジエンゴムであり、例えば、ブタジエンおよびイソプレンに基づくゴム、またはジエンゴムの混合物、またはジエンゴムのコポリマー、あるいは、別の共重合性モノマー(例えば、Ba.1.1およびBa.1.2に係るモノマー)とそれらの混合物である。ただし、成分Ba.2のガラス転移温度は10℃未満、好ましくは0℃未満、特に好ましくは-20℃未満である。純粋なポリブタジエンゴムが特に好ましい。
【0039】
Ba)に関する特に好ましいポリマーは、例えばABSポリマーおよびMBSポリマーである。
【0040】
好ましくは、Ba.2に係る適当なアクリレートゴムは、他の重合性のエチレン性不飽和モノマーをBa.2に基づき40wt%以下の量で所望により有する、アクリル酸アルキルエステルのポリマーである。好ましい重合性アクリル酸エステルには、C−C−アルキルエステル、例えばメチル、エチル、ブチル、n−オクチルおよび2−エチルヘキシルエステル、ハロアルキルエステル、好ましくはハロ−C−C−アルキルエステル、例えばクロロエチルアクリレート、並びにこれらモノマーの混合物が含まれる。
【0041】
架橋のために、2以上の重合性二重結合を有するモノマーを共重合することができる。架橋モノマーの好ましい例は、3〜8個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸と、3〜12個の炭素原子を有する不飽和1価アルコールのエステル、または2〜4個のOH基と2〜20個の炭素原子を有する飽和ポリオールとのエステル、例えばエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレートなど;ポリ不飽和複素環化合物、例えば、トリビニルおよびトリアリルシアヌレートなど;多官能性ビニル化合物、例えば、ジ−およびトリ−ビニルベンゼン;並びにトリアリルホスフェートおよびジアリルフタレートである。好ましい架橋モノマーは、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレートおよび少なくとも3個のエチレン性不飽和基を有する複素環化合物である。特に好ましい架橋モノマーは、環状モノマーであるトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジンおよびトリアリルベンゼンである。架橋モノマーの量は、グラフト基剤Ba.2に基づき、好ましくは0.02〜5wt%、特に0.05〜2wt%である。少なくとも3個のエチレン性不飽和基を有する環状架橋モノマーの場合、グラフト基剤Ba.2の1wt%未満の量に制限することが有利である。
【0042】
アクリル酸エステルに加えて、グラフト基剤Ba.2を調製するために所望により添加することができる、好ましい「他の」他の重合性のエチレン性不飽和モノマーは、例えば、アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリルアミド、ビニルC-C-アルキルエーテル、メチルメタクリレートおよびブタジエンである。
【0043】
グラフト基剤Ba.2として好ましいアクリレートゴムは、少なくとも60wt%のゲル含有量を有するエマルションポリマーである。
【0044】
Ba.2に係る更に適当なグラフト基剤は、グラフト活性部位を有するシリコーンゴムであり、例えば独国特許公開(DE-OS)第3704657号明細書、同第3704655号明細書、同第3631540号明細書および同第3631539号明細書に記載されている。
【0045】
微粒子のグラフト基剤は、部分的または完全に架橋している。架橋グラフト基剤の含有量は、適当な溶媒中のゲル含有量により特徴づけられる。
【0046】
グラフト基剤Ba.2のゲル含有量は、適当な溶媒中の不溶性物質として該溶媒を用いて25℃で測定される(M.ホフマン、H.クルーマー、R.カーン著、ポリマー分析(Polymeranalytik)IおよびII、ゲオルグ・シーメ-バーグ、シュトゥットガルト、1977年)
【0047】
グラフト基剤Ba.2のゲル含有量は、少なくとも30wt%、好ましくは少なくとも40wt%、特に好ましくは少なくとも70wt%である(トルエン中で測定)。
【0048】
グラフト基剤微粒子の粒径は、直接的な成長によって、または、より小さな平均粒径を有するゴムラテックスの凝集により調整できる。
【0049】
平均粒径d50は、その直径より大きいか、または小さい粒子がそれぞれ50wt%存在する直径である。該平均粒径は、超遠心機測定によって測定することができる(W.スコルタン, H.ランゲ, コロイド,Z.およびZ. ポリマー 250 (1972), 第782頁-第1796頁)。
【0050】
コア-シェル構造を有するグラフトポリマーBa)が好ましい。
【0051】
成分Bは、以下の工程a)または工程b)により調製される:
a)乳化重合で調製されるグラフトポリマーBa)とカルボン酸塩Bb)を物理的に混合させることにより調製する工程、または、
b)乳化重合によりグラフトポリマーBa)を調製する際に、カルボン酸塩Bb)を、グラフトポリマーを調製する少なくとも1つの工程における乳化剤として使用し、該カルボン酸塩Bb)を、該調製により生成したグラフトポリマー中に残存させるか、あるいは該グラフトポリマーからその一部を除去する工程。
【0052】
好ましい実施態様において、成分Bは、その調製工程において、カルボン酸塩を乳化剤として使用する乳化重合により調製されたグラフトポリマーである。この実施態様によると、成分Bは、以下の工程(i)〜(v)により得ることができる:
(i)第1工程において、グラフト基剤Ba.2を乳化重合により調製し、
(ii)第2工程において、7より大きいpH、好ましくは8より大きいpH、特に8〜13のpH条件下にて、所望により添加剤、例えば安定剤および酸化防止剤などを添加する(好ましくは水性エマルションまたは分散液として添加する)グラフト反応により、該グラフト基剤Ba.2と、少なくとも1種のビニルモノマーBa.1を反応させ、
(iii)工程(i)から工程(ii)のうちの少なくとも1つの工程において、乳化剤としてカルボン酸塩Bb)を使用するか、または、所望により、カルボン酸塩Bb)およびこれとは異なる界面活性剤との混合物を使用し、
(iv)グラフトポリマーラテックスの沈殿を、塩基性媒体中、すなわち7より大きいpH値で行うか、あるいは、所望により、既存の塩基性成分を完全に中和させない弱酸性条件下で行い、次いで、
(v)乳化剤としてのカルボン酸塩を、グラフトポリマーラッテクスのその後の後処理中において、グラフトポリマー中に残存させるか、あるいは、その一部を該グラフトポリマーから除去する。
【0053】
工程(iv)に係るカルボン酸塩Bb)は、この好ましい実施態様における成分Bの調製において、グラフト基剤Ba.2の調製工程(すなわち工程(i))、グラフト反応工程(すなわち、工程(ii))、水性エマルションまたは分散液の状態で任意の添加物を添加する工程(すなわち、工程(iii))、あるいは、グラフト基剤の調製工程、グラフト反応工程または、水性エマルション若しくは分散液の状態で添加剤を添加工程における各工程において部分的に使用できる。これに関連して、好ましくは、カルボン酸塩(Bb)は、いずれの場合も、調製される成分Bの重量に基づき、0.1〜5重量部、特に好ましくは0.3〜4重量部、特に0.5〜3重量部の総濃度で、反応工程(i)〜(iii)において使用できる。
【0054】
周知のように、グラフト反応の間においてグラフトモノマーを、グラフト基剤に完全にグラフトさせる必要はない。従って、成分Baに係るグラフトポリマーは、上述の工程に従って生成した生成物を意味するものと理解されると共に、グラフト基剤の存在下において、グラフトモノマーの(共)重合により製造された遊離(すなわち、ゴムへ化学的に結合していない)(コ)ポリマーを含有してもよい。
【0055】
単独でまたは相互に組合せて使用されるカルボン酸塩Bb)は、乳化剤として好ましく使用され、好ましくは、例えば、10〜30個の炭素原子を有するカルボン酸(例えば10〜30個の炭素原子を有する脂肪酸)の金属塩、または樹脂酸、あるいは樹脂酸誘導体である。金属塩は、好ましくはアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩であり、特に、ナトリウム塩およびカリウム塩である(Na塩およびK塩)。樹脂酸または樹脂酸誘導体のアルカリ金属塩、特にNa塩およびK塩は、乳化剤として特に好ましく使用される。このような樹脂石けんの例には、以下のものが含まれる(ただし、完全に網羅していない):例えば、とりわけ、アビエタGmbH社(ゲルシュトホーフェン)製のResin(登録商標)731D、Resin(登録商標)835Aおよび、グラネルS.A社(フランス)製のGresinox(登録商標)578Mとして市販されている、不均化デヒドロアビエチン酸のナトリウム塩またはカリウム塩。
【0056】
カルボン酸塩Bb)は、別の界面活性物質と組合せて使用することができ、例えば、有機スルフェート、スルフォネートまたはホスフェートと組合せ、ならびに任意の添加剤の添加および/またはグラフト反応および/またはグラフト基剤Ba.2の合成における中性の乳化剤と組合せて使用することができる。
【0057】
カルボキシレートを含有する乳化剤(カルボン酸塩Bb)を用いる成分Bの調製における反応方法は、pH値が7より高い塩基性媒体を必要とする。好ましくは、該反応は、8〜13の範囲内のpH値で行われる。一般に、塩基濃度の維持は、アルカリ、例えば、NaOH、KOH、アミンまたは緩衝系、例えばNH/NHCl若しくはNaHCO/NaCOなどを使用することにより保証される。
【0058】
グラフトポリマーBa)は、フリーラジカル重合により調製される。
【0059】
フリーラジカルを形成し、選択した反応温度である30〜95℃、好ましくは60〜85℃で解離する全ての化学物質、すなわち、もっぱら熱的に分解する化学物質と、酸化還元系の存在下で分解する化学物質が、重合反応を開始させるのに適当である。好ましくは、可能な重合開始剤は、フリーラジカルを形成する化学物質、例えば、過酸化物、例えば、好ましくは、ペルオキソ硫酸塩(例えば過硫酸ナトリウムまたは過硫酸カリウム)など、およびアゾ化合物、例えばアゾジイソブチロニトリルである。しかしながら、酸化還元系、特にヒドロペルオキシド、例えばtert-ブチルヒドロペルオキシドおよびクメンヒドロペルオキシドなどに基づく酸化還元系も使用できる。
【0060】
特に適当なグラフトゴムは、米国特許第4937285号明細書に記載のアスコルビン酸と有機ヒドロペルオキシド系開始剤とを用いるレッドクス開始によって調製されたポリマーである。
【0061】
重合が終了した際に、グラフトポリマー分散液を後処理(working up)することは、成分Bの調製において必要な役割を果たし、このことは、塩基性媒体中で行われるか、少なくとも、塩基性成分の中和が不十分である成分Bのラテックスにおいて行われる。
【0062】
適当な後処理工程の例は、例えば、水性電解質溶液、例えば塩(例えば、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムおよび塩化ナトリウム)の溶液、酸溶液(例えば硫酸、塩酸、リン酸および酢酸)またはそれらの混合物の作用による、グラフトポリマー分散液の沈殿、低温作用による沈殿(凍結凝析)、または噴霧乾燥により、分散液(ラテックス)から沈殿生成物を直接得ることである。好ましい実施態様において、グラフトポリマー分散液の沈殿は、中性塩(例えば、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムおよび塩化ナトリウム)を添加することにより行われる。
【0063】
本発明に係る組成物の成分Bの後処理に関連して、乾燥させた成分Bを、(10wt%濃度の懸濁液として)蒸留水に懸濁させた際に、得られた乾燥成分Bが7より高い、好ましくは7.5〜10、特に7.5〜9のpH値を有するように、塩基性成分を完全に中和させないことが重要である。
【0064】
沈殿後の別の後処理工程おいて、混練反応装置(kneading reactor)中で、湿潤グラフトポリマー(成分B)を、熱可塑性樹脂融成物(成分D)と混合させる。この後処理工程は、欧州特許出願公開第867463号明細書において開示されている。この後処置工程により得られる、グラフトポリマーと成分Dに係る熱可塑性樹脂の組成物は、本発明に係る成形組成物の調製に使用できる。
【0065】
成分C
少なくとも1種のブレンステッド酸リン化合物、すなわち少なくとも1つのP-OH官能基を有する化合物が、成分Cとして使用される。
【0066】
好ましい実施態様において、該化合物は、リンが+3または+5の酸化レベルを有するブレンステッド酸リン化合物である。
【0067】
適当なブレンステッド酸リン化合物は、無機化合物(例えば、好ましくはオルトリン酸、メタ-リン酸、オリゴリン酸および亜リン酸など)、および少なくとも1つのP-OH基を有する有機リン系化合物である。有機リン化合物は、任意の種類のアルコールを有する亜リン酸、オリゴリン酸、メタ-リン酸またはオルトリン酸の半エステル若しくは部分エステルであり、該半エステル若しくは該部分エステルは少なくとも1つのP-OH基を有する。例えば、成分Cは、以下のものから成る群のうちの少なくとも1つから選択される化合物である:P(O)(OH)3、P(O)(OH)(OR7)(OR8)、P(O)(OH)R7(OR8)、P(O)(OH)R7R8、P(O)(OH)2(OR7)、P(O)(OH)2R7、P(OH)3、P(OH)(OR7)(OR8)、P(OH)(OR7)R8、P(OH)R7R8、P(OH)2(OR7)、P(OH) 2R7、および上述のこれらの化合物の同種または異種の縮合生成物、(式中、RおよびRは、任意所望の同一の有機基または異なる有機基、例えば、所望の置換アルキル基、アリール基またはアルキルアリール基を表す。)。これに関連して、R基およびR基を結合させることにより環状基を形成させてもよい。
【0068】
本発明による特に好ましい実施態様において、式(IV)で表される化合物が成分Cとして使用される。
【0069】
【化4】

式中、R基およびR10基は、相互に独立して、C〜C-アルキル、所望により置換されていてもよいC〜C-シクロアルキル、C〜C10-アリール、またはC〜C12-アラルキルを表し、
Yは、SまたはCZを表し、式中ZおよびZは、相互に独立してH、C〜C-アルキル、シクロヘキセニルまたはシクロヘキシルを表す。
【0070】
式(IV)で表される化合物は既知であり、例えば、欧州特許出願公開第0023291号A明細書に記載されている。
【0071】
成分Cとして最も好ましい化合物には、以下の化合物が含まれる:
ビス-(2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシル-5-メチル-フェニル)スルフィドの亜リン酸エステル(式IVa)
【0072】
【化5】

【0073】
ビス-(2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシル-5-メチル-フェニル)-メタンの亜リン酸エステル(式IVb)
【0074】
【化6】

【0075】
ビス-(2-ヒドロキシ-3-ベンジル-5-メチル-フェニル)スルフィドの亜リン酸エステル(式IVc)、および
【0076】
【化7】

【0077】
ビス-(2-ヒドロキシ-3-ベンジル-5-メチル-フェニル)-メタンの亜リン酸エステル(式IVd)。
【0078】
【化8】

【0079】
本発明における更に好ましい実施態様において、成分Cは、構造式(V)または(VI)で表される化合物である。
【0080】
【化9】

【0081】
【化10】

式中、
11、R12およびR13は、相互に独立して、いずれの場合も所望によりハロゲン化されていてもよいC〜C-アルキル、またはいずれの場合も所望によりアルキル、好ましくはC〜C-アルキルおよび/またはハロゲン、好ましくは塩素若しくは臭素によって置換されていてもよいC〜C-シクロアルキル、C〜C20-アリール若しくはC〜C12-アラルキルを表し、
nは、相互に独立して0または1を表し、
qは、0〜30を表し、
Xは、6〜30個の炭素原子を有する多核芳香族基若しくは単核芳香族基、またはOHにより置換でき、8以下のエーテル結合を含有していてもよい、2〜30個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族基を表す。
【0082】
好ましくは、R11、R12およびR13は、相互に独立して、C〜C-アルキル、フェニル、ナフチルまたはフェニル-C-C-アルキルを表す。芳香族基R11、R12およびR13は、ハロゲン基および/またはアルキル基、好ましくは塩素、臭素および/またはC〜C-アルキルによって予め置換されていてもよい。特に好ましいアリール基は、クレシル、フェニル、キシレニル、プロピルフェニルまたはブチルフェニル、並びにそれらの対応する臭素化および塩素化誘導体。
X: 式(V)または(VI)において、好ましくは、Xは6〜30個の炭素原子を有する単核若しくは多核芳香族基を表す。好ましくは、これは式(I)で表されるジフェノールから誘導される。
n: 式(V)または(VI)において、nは相互に独立して0または1であり、好ましくは、nは1である。
q: qは、0〜30、好ましくは0.3〜20、特に好ましくは0.5〜10、特に0.5〜6、就中特に好ましくは1.1〜1.6の値を示す。
【0083】
X: 式(V)または(VI)において、Xは以下の式で表されるもの、またはそれらの塩素化若しくは臭素化誘導体、および特にXは、レソルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA若しくはジフェニルフェノールから誘導される。最も好ましくは、XはビスフェノールAから誘導される。
【0084】
【化11】

【0085】
成分Cとして最も好ましい化合物は、式(Va)で表される化合物である:
【0086】
【化12】

式(Va)におけるqは、0〜30、好ましくは0.3〜20、特に好ましくは0.5〜10、特に0.5〜6、就中特に好ましくは1.1〜1.6の値を示す。
【0087】
種々のリン酸化合物の混合物も、本発明に係る成分Cとして使用できる。
【0088】
成分D
ポリマーは、塊状重合、溶液重合若しくは懸濁重合で調製されたグラフトポリマーD.1、ゴム不含(コ)ポリマーD.2およびポリエステルD.3の群を代表するうちの少なくとも1種のポリマーから選択される。
【0089】
成分D.1は、以下のD.1.1およびD.1.2から成る、塊状重合、溶液重合若しくは懸濁重合で調製されたグラフトポリマーを含む:
D.1.1 D.1.2上の少なくとも1種のビニルモノマー:成分D.1に基づき50〜95wt%、好ましくは70〜92wt%、特に75〜90wt%、
D.1.2 10℃未満、好ましくは0℃未満、特に好ましくは−20℃未満のガラス転移温度を有する1種または複数種のグラフト基剤;成分D.1に基づき5〜50、好ましくは8〜30、特に10〜25wt%。
【0090】
一般に、グラフト基剤D.1.2は、0.1〜10μm、好ましくは0.3〜5μm、特に好ましくは0.5〜2.0μmの平均粒径(d50値)を有する。
【0091】
モノマーD.1.1は、好ましくは以下のD.1.1.1およびD.1.1.2の混合物である:
D.1.1.1 ビニル芳香族および/または環置換ビニル芳香族(例えばスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレンおよびp-クロロスチレンなど)および/または、メタクリル酸(C-C)-アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレートなど);50〜99重量部、および
D.1.1.2 シアン化ビニル(不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルなど)および/または(メタ)アクリル酸(C-C)-アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、n-ブチルアクリレートおよびt-ブチルアクリレートなど)および/または不飽和カルボン酸の誘導体(例えば無水物およびイミドなど)、例えば無水マレイン酸およびN-マレイミドなど;1〜50重量部。
【0092】
好ましいモノマーD.1.1.1は、スチレンモノマー、α-メチルスチレンモノマーおよびメチルメタクリレートモノマーのうちの少なくとも1つから選択され、D.1.1.2の好ましいモノマーは、アクリロニトリルモノマー、無水マレイン酸モノマー、メチルメタクリレートモノマーのうちの少なくとも1つから選択される。D.1.1.1に関する特に好ましいモノマーは、スチレンであり、D.1.1.2に関する特に好ましいモノマーはアクリロニトリルである。
【0093】
グラフトポリマーD.1に適するグラフト基剤D.1.2は、例えばジエンゴム、EP(D)Mゴム、すなわち、エチレン/プロピレンおよび所望によりジエンに基づくゴム、およびアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレンおよびエチレン/酢酸ビニルゴム、並びにシリコーン/アクリレート複合ゴムである。
【0094】
好ましいグラフト基剤D.1.2は、ジエンゴムであり、例えば、ブタジエンおよびイソプレンに基づくゴム、またはジエンゴムの混合物、またはジエンゴムのコポリマー、あるいは、別の共重合性モノマー(例えば、D.1.1.1およびD.1.1.2に係るモノマー)とそれらの混合物である。ただし、成分D.1.2のガラス転移温度は10℃未満、好ましくは0℃未満、特に好ましくは-20℃未満である。純粋なポリブタジエンゴムが特に好ましい。
【0095】
特に好ましいポリマーD.1は、例えばABSポリマーである。
【0096】
グラフトコポリマーD.1は、フリーラジカル重合によって調製される。
【0097】
グラフトポリマーD.1のゲル含有量は、好ましくは10〜50wt%、特に15〜40wt%である(アセトンで測定した)。
【0098】
周知のように、グラフトモノマーは、グラフト反応の間においてグラフト基剤に完全にグラフトさせる必要はなく、本発明に係るグラフトポリマーD.1は、グラフト基剤の存在下において、グラフトモノマーの(共)重合により製造されたそれらの生成物を意味すると共に、後処理の間に得られるそれらの生成物も含む。従って、これらの生成物は、グラフトモノマーの遊離(コ)ポリマー(すなわち、ゴムに化学的に結合していない(コ)ポリマー)も含む。
【0099】
グラフトポリマーD.1中の遊離(コ)ポリマー、すなわちゴムに化学的に結合していない(コ)ポリマーの重量平均分子量Mwは、好ましくは50000〜250000g/モル、特に60000〜200000g/モル、特に好ましくは70000〜130000g/モルである。
【0100】
ゴムを含まないビニル(コ)ポリマーD.2は、ビニル芳香族、ビニルシアニド(不飽和ニトリル)、(メタ)アクリル酸(C-C)-アルキルエステル、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体(例えば無水物およびイミドなど)から成る群から選択される少なくとも1種のモノマーの、ゴム不含ホモポリマーおよび/またはコポリマーである。
【0101】
特に適当な(コ)ポリマーD.2は、以下のD.2.1およびD.2.2から成る(コ)ポリマーである:
D.2.1 ビニル芳香族(例えば、スチレンおよびα-メチルスチレンなど)、環置換ビニル芳香族(例えばp-メチルスチレンおよびp-クロロスチレンなど)および(メタ)アクリル酸(C-C)-アルキルエステル(例えば、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレートおよびtert-ブチルアクリレートなど):D.2(コ)ポリマーに基づき50〜99wt%、および
D2.2 シアン化ビニル(例えば、不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルなど)、(メタ)アクリル酸(C-C)-アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、n-ブチルアクリレートおよびtert-ブチルアクリレートなど)、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体(例えば無水マレイン酸およびN-フェニル-マレイミドなど)から成る群から選択される少なくとも1種のモノマー;D.2(コ)ポリマーに基づき1〜50wt%。
【0102】
これらの(コ)ポリマーD.2は、熱可塑性でゴムを含まない樹脂である。スチレンおよびアクリロニトリルのコポリマーが特に好ましい。
【0103】
このような(コ)ポリマーD.2は既知であり、フリーラジカル重合、特に乳化重合、懸濁重合、溶液重合、溶液重合または塊状重合によって調製できる。好ましくは、(コ)ポリマーは、50000〜250000g/モル、特に60000〜180000g/モル、特に好ましくは70000〜150000g/モルの間に平均分子量Mw(重量平均分子量、GPC法、光散乱法または沈降法により測定した)を有する。
【0104】
成分D.3のポリアルキレンテレフタレートは、芳香族ジカルボン酸またはそれらの反応性誘導体、例えば、ジメチルエステルまたは無水物と、脂肪族、脂環式または芳香脂肪族(araliphatic)ジオールの反応生成物、並びにこれらの反応生成物の混合物である。
【0105】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、ジカルボン酸成分に基づき少なくとも80wt%、好ましくは少なくとも90wt%のテレフタル酸基と、ジオール成分に基づき少なくとも80wt%、好ましくは少なくとも90モル%のエチレングリコール基および/またはブタン-1,4-ジオール基を含有する。
【0106】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸基に加えて、8〜14個の炭素原子を有する他の芳香族若しくは脂環式ジカルボン酸基、または4〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸基、例えば、フタル酸基、イソフタル酸基、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸基、4,4'-ジフェニルジカルボン酸基、コハク酸基、アジピン酸基、セバシン酸基、アゼライン酸基およびシクロヘキサンジ酢酸基などを、20モル%以下、好ましくは10モル%以下含有してもよい。
【0107】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、エチレングリコール基またはブタン-1,4-ジオール基に加えて、3〜12個の炭素原子を有する他の脂肪族ジオール、または6〜21個の炭素原子を有する脂環式ジオール、例えば、プロパン-1,3-ジオール、2-エチルプロパン-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン1,6-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、3-エチルペンタン-2,4-ジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、1,4−ジ−(β−ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン、2,2−ビス−(4−β−ヒドロキシエトキシ−フェニル)−プロパンおよび2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパン(独国特許出願公開ダイ2407647号A明細書、同第2407776号明細書、および同第2715932号明細書参照)の基を、20モル%以下、好ましくは10モル%以下含むことができる。
【0108】
例えば独国公開特許第1900270号A明細書および米国特許3692744号明細書に規定される、3価−若しくは4価アルコールまたは3塩基−若しくは4塩基カルボン酸を比較的少量取り込ませることにより、ポリアルキレンテレフタレートを分岐させることができる。好ましい分岐剤の例は、トリメシン酸、トリメリット酸、トリメチロールエタンおよび-プロパンならびにペンタエリトリトールである。
【0109】
テレフタル酸およびそれらの反応性誘導体(例えばそれらのジアルキルエステル)と、エチレングリコールおよび/またはブタン-1,4-ジオールから単に調製されたポリアルキレンテレフタレート、およびこれらのポリアルキレンテレフタレートの混合物が特に好ましい。
【0110】
ポリアルキレンテレフタレートの混合物は、1〜50wt%、好ましくは1〜30wt%のポリエチレンテレフタレートと、50〜99wt%、好ましくは70〜99wt%のポリブチレンテレフタレートを含有する。
【0111】
一般的に好ましく使用されるポリアルキレンテレフタレートは、ウベローデ粘度計を用い、25℃にてフェノール/o-ジクロロベンゼン(1:1重量部)で測定した場合、0.4〜1.5dl/g、好ましくは0.5〜1.2dl/gの極限粘度を有する。
【0112】
ポリアルキレンテレフタレートは、既知の方法によって調製できる(例えば、プラスチックハンドブック(Kunststoff-Handbuch)第VIII巻、第695頁以降、カール・ハンサー、バーグ社、ミュンヘン、1973年)。
【0113】
成分E
本発明に係る組成物は、成分Eとして更なる添加物を含有できる。
【0114】
成分Eに係る利用可能な更なる添加剤は、以下のものを含む群から選択される商業的に入手可能な高分子添加物である:防炎剤(例えばリン化合物またはハロゲン化合物)、防炎協力剤(例えばナノスケールの金属酸化物)、低発煙剤(例えばホウ酸またはホウ酸亜鉛)、滴下防止剤、(例えば、フッ素化ポリオレフィン類からなる化合物、シリコーン類からなる化合物またはアラミド繊維)、内部および外部潤滑剤ならびに離型剤(例えば、ペンタエリトリトールテトラステアレート、モンタンワックスまたはポリエチレンワックス)、流動助剤(例えば低分子量ビニル(コ)ポリマー)、帯電防止剤(例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー、他のポリエーテルまたはポリヒドロキシエーテル、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミドまたはスルホン酸塩)、導電剤(例えば、導電性カーボンブラックまたはカーボンナノチューブ)、安定剤(例えば紫外線/光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、エステル交換防止剤および加水分解防止剤)、抗菌作用を有する添加剤(例えば、銀または銀イオン)、引掻き抵抗性を改良する添加剤(例えば、シリコーン油またはセラミック(中空)ビーズ)、IR吸収剤、光学的光沢剤、蛍光添加剤、成分Bとは異なる耐衝撃性改良剤、充填剤、および小板、フレークまたは繊維状の補強物質(例えば、珪灰石、ガラス繊維又は炭素繊維、マイカ、モンモリロナイト、層粘土鉱物、フィロシリケート、カオリン、タルクおよびガラスフレーク)、並びに染料および顔料。
【0115】
好ましくは、リンを含む化合物は、成分Eに係る防炎剤として使用される。好ましくは、これらは、モノ-およびオリゴマーのリン酸エステルおよびホスホン酸エステル、ホスホネートアミンおよびホスファゼンの群から選択され、また、防炎剤として、1種または複数種のこれらの群から選択される幾つかの成分の混合物を使用しても良い。本明細書において特別に記載していないハロゲンを含まないリン化合物も、単独でまたは他のハロゲンを含有しないリン化合物と任意所望に組み合わせて使用できる。
【0116】
好ましいモノ-およびオリゴマーのリン酸エステルおよびホスホン酸エステルは、以下の一般式(VII)で表されるリン化合物である:
【0117】
【化13】

式中、
、R、R、およびRは相互に独立して、いずれの場合においても所望によりハロゲン化されたC〜C-アルキル、いずれの場合においても所望によりアルキル、好ましくはC〜C-アルキルおよび/またはハロゲン、好ましくは、塩素または臭素で置換されたC〜C-シクロアルキル、C〜C20-アリールまたはC〜C12-アラルキルを表し、
n:nは、相互に独立して0または1を表し、
q:qは0〜30を表し、
X:Xは、6〜30個の炭素原子を有する単核若しくは多核芳香族基、あるいはOHにより置換されてもよく、8個以下のエーテル結合を含有できる、2〜30個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族基を表す。
【0118】
好ましくは、R、R、R、およびRは相互に独立して、C〜C-アルキル、フェニル、ナフチル、またはフェニル-C-C-アルキルを表す。芳香族基R、R、R、およびRは、順に、ハロゲン基および/またはアルキル基、好ましくは塩素、臭素および/またはC〜C-アルキルで置換しても良い。特に好ましいアリール基は、クレシル、フェニル、キシレニル、プロピルフェニルまたはブチルフェニル、および対応するそれらの臭素化誘導体および塩素化誘導体である。
X:好ましくは式(VII)におけるXは、6〜30個の炭素原子を有する単核若しくは多核芳香族基を表す。好ましくは、これは式(I)で表されるジフェノールから誘導される。
n:式(VII)におけるnは、相互に独立して0または1を表し、好ましくは、nは1である。
q:qは、0〜30、好ましくは0.3〜20、特に好ましくは0.5〜10、特に0.5〜6、就中特に好ましくは1.1〜1.6の値である。
【0119】
特に好ましくは、Xは以下の化合物、またはそれらの塩素化若しくは臭素化誘導体、および特にXは、レソルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA若しくはジフェニルフェノールから誘導される。特に好ましくは、Xはビスフェノールから誘導される
【0120】
【化14】

【0121】
種々のリン酸エステルの混合物も本発明に係る成分Eとして使用できる。
【0122】
式(VII)で表されるリン化合物は、特に、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、ジフェニルクレシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、ジフェニル2-エチルクレシルホスフェート、tri-(イソプロピルフェニル)ホスフェート、レソルシノール架橋オリゴホスフェート、およびビスフェノールA架橋オリゴホスフェートである。
ビスフェノールAから誘導された式(IV)で表されるオリゴマー性リン酸エステルを使用することが特に好ましい。
【0123】
式(VIIa)で表されるビスフェノールAを基剤とするオリゴリン酸が、成分Eとして最も好ましい。
【0124】
【化15】

【0125】
成分Eに係るリン化合物Eは既知であり(例えば欧州特許出願公開第0363608号明細書、および同第0640655号明細書参照)、あるいは既知の方法に類似した方法によって調製できる(例えば、ウルマンズ工業化学事典、第18巻、第301頁以下参照、1979年;ホウベン・ヴェイル、有機化学研究法、第12巻第1号、第43頁;バイルシュタイン、第6巻、第177頁参照)。
【0126】
種々のリン化合物の混合物を使用する場合、およびオリゴマー性リン化合物を使用する場合、示されるq値は、q値の平均値である。q値の平均値は、適当な方法(ガスクロマトグラフィー(GC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC))を用いて含リン化合物の組成(分子量分布)を測定し、得られた結果からqの平均値を算出することにより決定される。
【0127】
例えば、国際特許出願公開第00/00541号明細書および同第01/18105明細書に記載されるようなホスファゼンおよびホスホネートアミンが、防炎剤として更に使用できる。
【0128】
防炎剤は単独で使用しても良く、任意所望に相互に混合させてもよく、あるいは他の防炎剤と混合して使用してもよい。
【0129】
好ましい実施態様において、防炎剤は滴下防止剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と組合せて使用される。
【0130】
成形組成物の調製
本発明に係る成形組成物は、例えば、既知の方法で特定の成分を混合し、該混合物を溶融配合に付し、常套の装置、例えば内部ニーダー、押出機および2軸押出機などを用いて、200℃〜360℃、好ましくは240℃〜340℃、特に好ましくは240℃〜320℃、特に好ましくは240℃〜320℃の温度で溶融押出することによって調製できる。個々の成分の混合は、連続的または同時に既知の方法で行うことができ、特に20℃(室温)またはより高い温度で行うことができる。
【0131】
本発明は、同様に、成形組成物の調製方法と、それらの造形品および成形品を製造するための該成形組成物の使用を提供する。
【0132】
本発明に係る成形組成物は、あらゆる種類の造形品の製造に使用できる。これらは、射出成形法、押出し成形法、ブロー成形法によって行うことができる。成形の別の形態は、予め製造したシートまたはフィルムを熱成形することによって造形品を製造する方法である。このような造形品の例としては以下のものが含まれる:フィルム、異形材、任意の種類の外被部品、例えば家庭用電気器具(例えば、テレビ、果汁搾り機、コーヒーメーカーおよびミキサーなど)、事務機器(例えば、モニター、フラットスクリーン、ノートパソコン、プリンターおよびコピー機など)、シート、チューブ、電気設備用の導管、窓、ドアおよびその他の建築領域の異形材(屋内備品および屋外用品)、並びに電気部品および電子部品(例えば、スイッチ、プラグおよびソケット)、並びに市販の車両(特に自動車)のボディー部品および内装品。
【0133】
また、本発明による成形組成物は、例えば、以下の成形体または造形品または成形品の製造においても使用できる:鉄道車両、船舶、航空機、バスおよびその他の動力車用の内部設備品、小型変圧器を具備する電気装置の外装、情報の処理および伝達用装置の外装、医療機器、マッサージ機器およびこれらの外装用の外装および被覆品、子供用乗物玩具、組立壁板、安全装置およびテレビ用の外装、断熱性輸送コンテナ、衛生器具用の成形品および浴室用装備品、換気口用の被覆格子および園芸設備用の外装。
【0134】
以下の説明は、本発明を更に説明する。
【実施例】
【0135】
成分A1
28000g/モルの重量平均分子量Mw(GPCにより測定した)を有する、ビスフェノールAに基づく直鎖状ポリカーボネート。
【0136】
成分B-1
成分B.1を以下の工程(i)〜(v)によって調製した:
(i)0.3μmの平均粒径d50を備えるポリブタジエンゴムから成る微粒子のグラフト基剤を、乳化重合によって、ブタジエンからグラフト基剤Ba-1.2として調製した(使用したブタジエンに基づき、80%が変換された)。
(ii)次いで、グラフト反応により、60重量部のこのグラフト基剤と、スチレンモノマーおよびアクリロニトリルモノマーの混合物(アクリロニトリルに対するスチレンの重量比=72:28)40重量部を、乳化重合における第2工程において反応させる、ただし、該グラフト反応は8〜13のpH領域で行われ、
(iii)工程(i)において、欧州特許出願公開第394779号A明細書の実施例1に記載された(本明細書における簡略化した式(VIII)を参照)、乳化酸(emulsifier acid)のジナトリウム塩を、使用したブタジエンに基づき0.8重量部の量で乳化剤として添加し、また、工程(ii)において、アビエタGmbH社(Gershofen)製のResin(登録商標)731D(不均化デヒドロアビエチン酸のナトリウム塩)を、使用したアクリロニトリル、スチレンおよびポリブタジエンゴムの合計量に基づき、2.2重量部の量で乳化剤として添加し、
【0137】
【化16】

(iv)次いで、グラフトポリマーラテックスの沈殿を、塩基性媒体(すなわちpH値>7の媒体)中に、硫酸マグネシウムを添加することによって行い、凝固物を濾過し、乾燥させた、
(v)グラフトポリマーラテックスのその後の後処理工程中において、グラフトポリマーから乳化剤の一部を除去した。
【0138】
得られた成分B-1は、以下のB-1a)およびB-1b)を含有する:
B-1a)以下のB-1a.1およびB-1a.2から成り、乳化重合によって調製された、グラフトポリマー;成分B1−a)および成分B1-b)の総重量に基づき約97.2〜99.4重量部、
B-1a.1 B1a.2上のシェルとして、アクリロニトリルに対するスチレンの比が72:28wt%である、スチレン/アクリロニトリルコポリマー;B-1a.1とB-1a.2の総量に基づき40重量部、
B1a.2 コアとして、0.3μmの平均粒径d50を備えるポリブタジエンゴムから成る微粒子のグラフト基剤;B-1a.1とB-1a.2の総量に基づき60重量部、および、
B-1b)カルボン酸塩(工程(i)および工程(ii)で使用した乳化酸のNa塩若しくはMg塩);成分B1−a)および成分B1-b)の総重量に基づき約0.6〜2.8重量部。
【0139】
蒸留水中での、この得られた成分B−1の分散系(蒸留水中に成分B-1を10wt%懸濁させた懸濁液)のpHは、pH=8〜9(即ち、塩基性)であった。
【0140】
成分B-2(比較例)
成分B-1と比較され得るグラフトポリマーB-2は、硫酸マグネシウム/酢酸混合物を使用して酸性媒体中で沈殿させた。蒸留水中での、このグラフトポリマーの分散系(蒸留水中に成分B-2を10wt%懸濁させた懸濁液)のpHは、pH=6〜7であり、弱酸性であった。
【0141】
成分C
ビス-(2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシル-5-メチル-フェニル)-メタンの亜リン酸エステル(式(IVb))
【0142】
【化17】

【0143】
成分D
スチレン/アクリロニトリル重量比が76:24wt%であり、平均分子量Mwが100000g/モルである(20℃にて、ジメチルホルムアミド中でGPCによって測定した)、スチレン/アクリロニトリルコポリマー。
【0144】
成分E
E-1:熱安定剤、Irganox(登録商標)1076、チバスペシャリティケミカルズ社
E-2:熱安定剤、Irganox(登録商標)B900、チバスペシャリティケミカルズ社
E-3:滑剤/離型剤としてのペンタエリトリトールテトラステアレート
E-4:カーボンブラックパール800、キャボット社
【0145】
成形組成物の調製および試験
表1〜3において記載した組成物を、220〜270℃の温度にて1.3lの内部ニーダーまたは2軸押出機(ZSK-25)(Werner and Pfleiderer社製)を用いて混合させ、続いて粒状化した。得られた粒状物は、260℃または300℃の融点および80℃の成形温度にて、射出成型機(Arburg社製)で加工され、80mm×10mm×4mmの寸法の試験片を製造した。
【0146】
以下の方法は、試験片の特性評価を行うために使用する。
【0147】
低温靱性は、260℃の溶融温度にて射出成形で製造された試験片について、−20℃の条件下、ISO180-1Aに従い測定した、IZODノッチ付衝撃強さを用いて評価した。
【0148】
室温での、菜種油中における応力亀裂耐性(ESC)は、臨界的な加工条件下において射出成形された成分の耐薬品性を測定する役割を果たす。取付け型板を用いて2.4%の端部繊維伸び(edge fibre elongation)状態にし、媒体中に完全に浸漬させた、300℃の溶融温度で射出成形した80mm×10mm×4mm寸法の試験片に関して、応力亀裂によって誘発された破壊破損が生じるまでの時間を測定した。この測定は、ISO4599に従って行った。
【0149】
95℃および100%の相対大気湿度に7日間かけて粒状体を貯蔵する間における、5kgのプランジャー荷重および260℃の条件下でISO1133に従って測定したMVRの変化は、調製した組成物の耐加水分解性を測定する役割を果たす。これに関連して、対応する貯蔵前のMVR値と比較したMVR値の増加率はΔMVR(加水分解)として算出され、該増加率は以下の式によって計算される:
【0150】
【数1】

【0151】
測定温度で15分間保持した後、5kgのプランジャー荷重および300℃の条件下でISO1133に従い測定したiMVRは、調製した組成物の熱安定性測定として機能する。
【0152】
【表1】

【0153】
【表2】

【0154】
【表3】

【0155】
表1〜3における実施例によると、先行技術の教示(例えば、欧州特許第900827号B1明細書)に反して、エマルショングラフトポリマーを、酸性媒体でなく塩基性媒体で沈殿させ、その後、後処理に付し、その結果得られるグラフトポリマーが塩基性成分を含有する場合においても、該組成物が酸性のリン化合物で安定化される限り(実施例2、3、5、9および10)、驚くべきことに、該乳化工程によって調製したグラフトポリマーを有する耐衝撃性改良ポリカーボネート組成物は、良好な低温靱性および耐薬品性を備えると共に、改良された加水分解安定性と熱安定性を併せ持つことが判る。
【0156】
衝撃強度を改良するために使用される、酸性媒体中で沈殿させたエマルショングラフトポリマーを有し、中性の亜リン酸エステル安定剤で安定化させた組成物は、本発明に係る比較可能な組成物と比べて、乏しい加水分解安定性、熱安定性、耐薬品性および低温靱性を示す(C4、C6およびC11)。酸性媒体中で沈殿させたエマルショングラフトポリマーを有する組成物を、酸性のリン化合物でさらに安定化させた場合、耐加水分解性において、更に大きな劣化が観察された(C7)。
【0157】
酸性媒体中で沈殿させたエマルショングラフトポリマーを含み、中性の亜リン酸エステル安定剤で安定化させた組成物は、予想通り、本発明に係る比較可能な組成物と比べて熱安定性の欠如を示した(C1およびC8)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分A)〜成分C)を含有する組成物:
A)芳香族ポリカーボネート若しくは芳香族ポリエステルカーボネートまたはこれらの混合物、
B)以下の成分Ba)およびBb)を含有する混合物(ただし、蒸留水中に10wt%濃度の懸濁液となるように懸濁させた該混合物は、7より高いpHを示す。):
Ba)乳化重合で調製される少なくとも1種のグラフトポリマーおよび、
Bb)少なくとも1種のカルボン酸塩、
C)少なくとも1つのP-OH官能基を有する少なくとも1種の酸性含リン化合物。
【請求項2】
以下の成分A)〜成分E)を含有する請求項1に記載の組成物であって、該成分B)および該成分C)を30:1〜2000:1の割合で含有する該組成物;
A)芳香族ポリカーボネート若しくは芳香族ポリエステルカーボネートまたはこれらの混合物:成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき10〜99.5重量部、
B)以下の成分Ba)およびBb)を含有する混合物(ただし、蒸留水中に10wt%濃度の懸濁液となるように懸濁させた該混合物は、7より高いpHを示す。):成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき0.5〜60重量部、
Ba)乳化重合で調製される少なくとも1種のグラフトポリマーおよび、
Bb)少なくとも1種のカルボン酸塩、
C)少なくとも1つのP-OH官能基を有する少なくとも1種の酸性含リン化合物;成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき0.001〜1重量部、
D)成分B)とは異なるゴム変性ビニル(コ)ポリマー、ポリエステルおよびビニル(コ)ポリマーから成る群から選択されるポリマー:成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき0〜60重量部、
E)ポリマー添加剤:成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき0〜40重量部。
【請求項3】
以下の成分D)および成分E)を含有する請求項2に記載の組成物:
D)成分B)とは異なるゴム変性ビニル(コ)ポリマー、ポリエステルおよびビニル(コ)ポリマーから成る群から選択されるポリマー:成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき0.5〜40重量部、
E)ポリマー添加剤:成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき0.1〜30重量部。
【請求項4】
カルボン酸塩Bb)が、10〜30個の炭素原子を有するカルボン酸のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
カルボン酸塩Bb)が、樹脂酸若しくは樹脂酸誘導体のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩である請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
蒸留水中に10wt%濃度の懸濁液となるように懸濁させた成分Bが、7.5〜9のpHを示す請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
塊状重合、溶液重合または懸濁重合で調製されるビニル(コ)ポリマーおよびゴム変性ビニル(コ)ポリマーから成る群から選択されるポリマーを成分Dとして含有する請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
請求項2に記載の組成物であって、
成分Aを、成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき40〜75重量部、
成分Bを、成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき3〜30重量部、
成分Cを、成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき0.005〜0.3重量部、
成分Dを、成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき5〜40重量部、および
成分Eを、成分A+成分B+成分Dの合計量に基づき0.5〜20重量部
含有する該組成物。
【請求項9】
成分Bおよび成分Cを80:1〜800:1の割合で含有する請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1または2に記載の組成物であって、成分B)が以下の工程(i)〜工程(v)によって得ることができる該組成物:
(i)第1工程において、グラフト基剤Ba.2を乳化重合で調製し、
(ii)乳化重合における第2工程において、前記グラフト基剤Ba.2と少なくとも1種のビニルモノマーBa.1とのグラフト反応を、pHを7より大きくすると共に、所望により添加剤、例えば安定剤および酸化防止剤などを、好ましくは水性エマルションまたは分散液として添加する条件下で行い、
(iii)工程(i)および工程(ii)のうちの少なくとも1つの工程において、乳化剤として、カルボン酸塩Bb)を使用するか、または、所望により、カルボン酸塩Bb)およびこれとは異なる界面活性剤との混合物を使用し、
(iv)グラフトポリマーラテックスの沈殿を、pHが7より大きい塩基性媒体中で行うか、あるいは、所望により、既存の塩基性成分を完全に中和させない弱酸性条件下で行い、次いで、
(v)乳化剤としてのカルボン酸塩を、グラフトポリマーラッテクスのその後の後処理中において、グラフトポリマー中に残存させるか、あるいは、その一部を該グラフトポリマーから除去する。
【請求項11】
成分C)が以下の化合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1または2に記載の組成物:
オルト-リン酸、
メタ-リン酸、
オリゴリン酸、
亜リン酸、
P(O)(OH)(OR7)(OR8)、
P(O)(OH)R7(OR8)、
P(O)(OH)R7R8
P(O)(OH)2(OR7)、
P(O)(OH)2R7
P(OH)(OR7)(OR8)、
P(OH)(OR7)R8
P(OH)R7R8
P(OH)2(OR7)、および
P(OH) 2R7
ならびに、これらの化合物の同種または異種の縮合生成物、
(式中、RおよびRは、同一または異なる所望の有機基を示すが、両者が結合して
環状基を形成してもよい。)。
【請求項12】
成分C)が下記の式(IV)で表される化合物である請求項1または2に記載の組成物:
【化1】

式中、
基およびR10基は、相互に独立して、C〜C-アルキル、所望により置換されていてもよいC〜C-シクロアルキル、C〜C10-アリール、またはC〜C12-アラルキルを表し、および
Yは、SまたはCZ(式中、ZおよびZは、相互に独立してH、C〜C-アルキル、シクロヘキセニルまたはシクロヘキシルを示す。)を表す。
【請求項13】
請求項1または2に記載の組成物であって、成分C)が、以下の構造式(V)で表される化合物および以下の構造式(VI)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である該組成物:
【化2】

【化3】

式中、
11、R12およびR13は、相互に独立して、いずれの場合も所望によりハロゲン化されていてもよいC〜C-アルキル、またはいずれの場合も所望によりアルキルおよび/またはハロゲンによって置換されていてもよいC〜C-シクロアルキル、C〜C20-アリール若しくはC〜C12-アラルキルを表し、
nは、相互に独立して0または1を表し、
qは、0〜30を表し、
Xは、6〜30個の炭素原子を有する多核芳香族基若しくは単核芳香族基、またはOHにより置換されていてもよく、また、8個までのエーテル結合を含有していてもよい、2〜30個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族基を表す。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の組成物を含有する造形品
【請求項15】
造形品が、自動車、鉄道車両、航空機若しくは船舶の部品、またはフィルム、異形材または外被部品であることを特徴とする請求項14に記載の造形品。

【公表番号】特表2012−511060(P2012−511060A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538865(P2011−538865)
【出願日】平成21年11月21日(2009.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008299
【国際公開番号】WO2010/063381
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】