説明

塩基配列解析法

【課題】ある特定の塩基配列を有する核酸断片の有無や存在量、例えばポリAの長さやマイクロサテライトといった繰り返し配列のリピート数の違い、一塩基置換(single nucleotide polymorphisms)、塩基配列挿入や欠失の検査方法、及びこれを利用した遺伝子診断方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、核酸断片に少なくとも2つのプローブをハイブリダイズさせ、前記少なくとも2つのプローブをリガーゼを用いて結合し、前記結合反応によって生じるピロリン酸をATPに変換し、前記ATPに依存する化学発光反応を検出する核酸分析方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲノム解析において有用な試料核酸の塩基配列解析方法に関し、核酸の結合反応に応じて生成するピロリン酸を定性及び定量的に検出することにより核酸配列を解析する方法に関するものである。より詳しくは、ある特定の塩基配列を有する核酸断片の有無や存在量、例えばポリAの長さやマイクロサテライトといった繰り返し配列のリピート数の違い、一塩基置換、塩基配列挿入や欠失の検査方法、及びこれを利用した遺伝子診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトゲノムシークエンスの完了に伴い、疾患や薬剤応答性、罹患性等のマーカーとなる特徴的な塩基配列が多数報告されるようになった。その主なものとしてポリAの長さや繰り返し配列(マイクロサテライトなど)のリピート数の違い、一塩基置換(single base substitution、以下SNP)や塩基配列の挿入・欠失などがあり、既にいくつかの特徴的な塩基配列に関してはFDA(Food and Drug Administration)により診断に用いる遺伝子マーカーとして認可されている。このような塩基配列の検出法には主に、DNAポリメラーゼによる伸長反応により、目的の配列を伸長して塩基配列を解析するジデオキシ法(サンガー法)(非特許文献1)や、DNAチップを用いてターゲット配列のハイブリダイゼーションにより変異を検出するDNAマイクロアレイ法(非特許文献2)、1塩基の違いを認識する酵素を用いて塩基置換を検出するインベーダー法(非特許文献3)が用いられている。
【0003】
これらの解析法は、いずれも簡便でありアプローチとしては有望であることが証明されているが、ジデオキシ法はポリA以外の特徴的な塩基配列を解析することが可能だが、一度に解析できる塩基長に限りがあること、マイクロアレイ法やインベーダー法はゲノムサイズの解析が可能だが、SNP以外の特徴的な塩基配列を解析することができないことなど、いずれの方法も解析塩基長に制限なく、ポリAの長さや繰り返し配列のリピート数の違い、塩基配列の挿入・欠失を解析することができないことが問題となっている。その他の解析法としては、一般的な核酸増幅法であるPCR (Polymerase chain reaction) 法 (非特許文献4)や、それを応用したPCR-SSCP (single-strand conformation polymorphism) 法 (非特許文献5)、STR-PCR法 (非特許文献6)、ライゲーション反応を伴うpoly(A)test法 (非特許文献7)などが用いられている。これらの方法はいずれも反応後にサンプルを電気泳動により分離して検出する操作を必要とするため、検出操作の煩雑さが問題となっている。
【0004】
【非特許文献1】F. Sanger et al., Journal of Molecular Biology, 94, 411-446 (1974)
【非特許文献2】J.G. Hecia et al., Nat Genet, 22, 164-167 (1999)
【非特許文献3】M. Arruda et al., Expert Review of Molecular Diagnostics, 2, 487-496 (2002)
【非特許文献4】R. K. Saiki, et al., Science, 239, 487-491 (1988)
【非特許文献5】K. Hayashi et al., PCR Methods Appl, 1, 34-38 (1991)
【非特許文献6】C.P. Kimpton et al., PCR Methods Appl, 3, 13-22 (1993)
【非特許文献7】F.J. Salles et al., Genome Res, 4, 317-321 (1995)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来の塩基配列解析法の問題点を解決するために、試料核酸中の目的配列の有無の判定及び定量検出、より詳しくは、ポリAの長さやマイクロサテライトなどの繰り返し配列のリピート数、SNP、塩基配列の挿入・欠失の検出を、解析塩基長に制限されることなく簡便に実施するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、核酸断片に少なくとも2つのプローブをハイブリダイズさせ、これをリガーゼで結合し、結合反応によって生じるピロリン酸をATPに変換してATPに依存する化学発光反応を検出することにより、解析塩基長に制限されることなく、ポリAの長さや繰り返し配列のリピート数の違い、塩基配列の挿入・欠失を簡便に検出できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は以下を包含する。
(1)核酸断片に少なくとも2つのプローブをハイブリダイズさせ、前記少なくとも2つのプローブをリガーゼを用いて結合し、前記結合反応によって生じるピロリン酸をATPに変換し、前記ATPに依存する化学発光反応を検出する、核酸分析方法。
(2)前記2つのプローブが、前記核酸断片の隣接した領域にそれぞれハイブリダイズすることを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(3)前記少なくとも2つのプローブのうちの少なくとも1つのプローブの5'末端がリン酸基修飾されていることを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(4)前記リガーゼが基質を用いて結合反応を触媒するものであり、前記化学発光反応がルシフェラーゼに触媒されるものであり、前記基質が前記ルシフェラーゼと実質的に反応性がないものであることを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(5)前記リガーゼが、前記ルシフェラーゼと実質的に反応性がない前記基質を用いて結合反応を行うことが可能であることを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(6)前記化学発光反応を検出することにより、前記核酸断片における目的配列の有無及び/又は存在量を検出することを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(7)前記少なくとも2つのプローブがハイブリダイズする核酸断片の領域が、RNA又はDNA配列であることを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(8)前記少なくとも2つのプローブがハイブリダイズする核酸断片が、増幅核酸断片であることを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(9)前記少なくとも2つのプローブが、それぞれオリゴdTヌクレオチドからなることを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(10)前記化学発光反応を検出することにより、前記核酸断片の長さを測定することを特徴とする(9)に記載の核酸分析方法。
(11)前記少なくとも2つのプローブがハイブリダイズする前記核酸断片の領域が繰り返し配列であることを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(12)前記核酸断片の繰り返し配列が、特定の塩基配列が繰り返し出現している配列であることを特徴とする(11)に記載の核酸分析方法。
(13)前記少なくとも2つのプローブが、前記繰り返し配列の相補配列を含むことを特徴とする(11)に記載の核酸分析方法。
(14)前記化学発光反応を検出することにより、前記繰り返し配列のリピート数を測定することを特徴とする(11)に記載の核酸分析方法。
(15)前記少なくとも2つのプローブのうちの少なくとも1つのプローブの端部が、前記核酸断片におけるSNP部位に対応することを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(16)前記化学発光反応を検出することにより、前記結合反応の有無を判断し、前記結合反応の有無により前記SNP部位の変異の有無を判断することを特徴とする(15)に記載の核酸分析方法。
(17)前記少なくとも2つのプローブがハイブリダイズする前記核酸断片の領域が、それぞれ塩基配列挿入部位の前後であることを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(18)前記化学発光反応を検出することにより、前記結合反応の有無を判断し、前記結合反応の有無により前記塩基配列挿入部位の変異の有無を判断することを特徴とする(17)に記載の核酸分析方法。
(19)前記少なくとも2つのプローブのうちの少なくとも1つのプローブの端部が、前記核酸断片における塩基配列欠失部位に対応することを特徴とする(1)に記載の核酸分析方法。
(20)前記化学発光反応を検出することにより、前記結合反応の有無を判断し、前記結合反応の有無により前記塩基配列欠失部位の変異の有無を判断することを特徴とする(19)に記載の核酸分析方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、解析塩基長に制限されることなく、試料核酸中における目的配列の有無や存在量の簡便な検出が可能となり、またポリAの長さや繰り返し配列のリピート数、SNPや塩基配列の挿入・欠失などの変異も簡便に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明者らは、試料核酸に含まれる目的配列の有無及び存在量を簡便に検出できる解析法を開発した。本発明では、目的の核酸配列に相補的な配列を持つ少なくとも2つのプローブを試料核酸(核酸断片)にハイブリダイズさせてリガーゼにより結合し、結合の結果生じるピロリン酸をATPに変換してルシフェラーゼによる化学発光量を検出することによって、試料核酸中の核酸配列の有無及び存在量を解析することが可能となる。また、ポリAの長さや繰り返し配列のリピート数、SNP、塩基配列挿入・欠失の検出には、ポリdTオリゴヌクレオチドや、繰り返し配列若しくは変異部位及び周辺領域を含む配列に相補的なプローブを用いて同様に検出することによって、配列の長さやリピート数、変異の有無を解析することが可能となる。
【0010】
本発明では、プローブとして少なくとも2つ、即ち、複数のプローブを用いる。少なくとも2つのプローブの配列は、通常、核酸断片の隣接した領域にそれぞれハイブリダイズするように設計される。核酸断片の隣接した領域にそれぞれハイブリダイズする2つのプローブの少なくとも一方の5'末端は、通常、リン酸基修飾されており、このリン酸基修飾された5'末端と他方のプローブの3'末端がリガーゼにより結合される。
【0011】
リガーゼ、好ましくはDNAリガーゼは、基質を用いて結合反応を触媒する。即ち、リガーゼは基質(リガーゼ基質)を取り込んだ状態で結合反応を触媒することができる。リガーゼとしては、好ましくはATP依存性DNAリガーゼ、例えば、古細菌由来のDNAリガーゼ(PfuDNAリガーゼ、KOD DNAリガーゼなど)が挙げられる。
【0012】
リガーゼ基質は、ルシフェラーゼと実質的に反応性がないものであることが好ましい。即ち、リガーゼ基質としては、ルシフェラーゼと実質的に反応性がないが、リガーゼによる結合反応の基質となりうるものが好ましい。リガーゼ基質としては、ATP擬似物質、例えばdATPや、ATPのα位のリン酸が修飾されているATPαSやdATPαSなどが好ましい。ここでいう実質的とは、ATPを用いた際のルシフェラーゼ発光量と1とした場合0.25以下、より好ましくは1.0×10-4以下の反応性(dATPαSを用いた場合に相当する)にとどまることを言う。従って、リガーゼとしては、化学発光反応に用いるルシフェラーゼと実質的に反応性がない基質、例えばATP擬似物質(例えば、dATPαS)を基質として用いることができるリガーゼ、例えばPfuDNAリガーゼなどが好ましい。
【0013】
化学発光反応は、通常、ルシフェラーゼに触媒される。このルシフェラーゼに触媒される化学発光反応は、ATPを迅速、高感度に測定する方法として知られており、ルシフェリン・ルシフェラーゼ反応とも称され、ATPに依存する反応である。ルシフェリンとATPが反応し、アデニル酸ルシフェリンとなり、このアデニル酸ルシフェリンと酸素がルシフェラーゼの存在下で酸化的脱炭酸反応により分解され、この反応の過程において得られるエネルギーの一部が発光という反応として現れる。この発光を定量することでATPを定量することができる。
【0014】
リガーゼによるプローブの結合の結果生じるピロリン酸(PPi)は、ATP生成酵素によってATPに変換される。ATPを基質として化学発光反応を触媒するルシフェラーゼを共存させることで、生成したATPに依存した化学発光が検出される。
【0015】
ピロリン酸からATPを生成するATP生成酵素にはATPスルフリラーゼ、ピルビン酸オルトホスフェートジキナーゼ(以下PPDK)又はフェニルアラニンラセマーゼを用いることができる。また、核酸断片(即ち、試料核酸)の核酸配列はDNA、RNA配列いずれであってもよい。DNAは一本鎖、二本鎖の両方を解析することができ、二本鎖DNAが鋳型となる場合は一本鎖に変性する前処理工程の後に本発明の方法を行えばよい。またRNAは、逆転写反応の後に得られた産物を本発明の方法で解析することもできる。微量のDNAを用いる場合はPCR反応で増幅した伸長産物(増幅核酸断片)を用いることができ、微量のmRNAを用いる場合は、PCR-based oligo(G)-tailing法(Y.Y. Kusov et al., Nucleic Acids Res, 29, e57 (2001))により反応した産物を用いることができる。
【0016】
本発明の第1の実施形態を図1に示す。本実施形態は、一本鎖試料核酸1中に存在する核酸配列2に対して相補的な配列を有し、かつ5'末端がリン酸基修飾されているプローブ4と、一本鎖試料核酸1中に存在する核酸配列3に対して相補的な配列を有するプローブ5とが一本鎖試料核酸1にハイブリダイズする第1の工程と、第1の工程でハイブリダイズしたプローブをリガーゼ基質を取り込んだリガーゼによって結合し、結合産物6を得る第2の工程と、第2の工程の結果生じるピロリン酸をATP生成酵素によりATPへ変換する第3の工程と、得られたATPに依存する化学発光(好ましくは、ルシフェラーゼがATPを基質として触媒する化学発光反応で発生する発光)を検出する工程とを含む核酸分析方法、より具体的には、試料核酸における目的配列の有無を検出するための方法に関する。
【0017】
図1では核酸配列2及び3が試料核酸中に存在する場合を示した。この場合、第1の工程でプローブ4、5とも試料核酸に隣接してハイブリダイズするため、第2の工程でリガーゼによって結合され結合産物6が得られる。そのためピロリン酸が生成され化学発光が検出される。しかし、核酸配列2若しくは3が試料核酸中に存在しない場合は、第1の工程でプローブ4若しくは5がハイブリダイズしないため、リガーゼによって結合されない。そのためピロリン酸は生成されず化学発光は検出されない。この化学発光の検出の有無により試料核酸中の核酸配列の有無を検出することが可能となる。プローブ4と5は、核酸配列2及び3が試料核酸中に存在した場合、それぞれハイブリダイズした状態でリガーゼによって結合可能なように設計される。即ち、核酸配列2及び3は隣接配列であり、プローブ4と5はハイブリダイズした状態で隣接配列となる。
【0018】
本発明の第2の実施形態を図2に示す。本実施形態は、一本鎖試料核酸10中に存在する核酸配列11と同じ配列を有するプライマー15と、核酸配列14に対して相補的な配列を有するプライマー16とを用いてポリメラーゼによりPCR反応を行う第1の工程と、第1の工程で得られるプライマー15由来の伸長産物17と、プライマー16由来の伸長産物18を変性により一本鎖にする第2の工程と、試料核酸10と伸長産物17中に存在する核酸配列12に相補的な配列を有し、かつ5'末端がリン酸基修飾されているプローブ19と、核酸配列13に相補的な配列を有するプローブ20が伸長産物17にハイブリダイズする第3の工程と、ハイブリダイズしたプローブをリガーゼ基質を取り込んだリガーゼによって結合し、結合産物21を得る第4の工程と、第4の工程の結果生じるピロリン酸をATP生成酵素によりATPへ変換する第5の工程と、得られたATPに依存する化学発光を定性若しくは定量検出する工程とを含む核酸分析方法、より具体的には、試料核酸中の目的配列を検出しその存在量を定量するための方法に関する。本発明の第2の実施形態では、増幅反応によって得られた伸長産物(増幅核酸断片)にプローブがハイブリダイズして結合反応が起こる。
【0019】
図3には1コピーの一本鎖試料核酸10を解析する場合をA、2コピーの一本鎖試料核酸10を解析する場合をBに示した。同じ反応条件を用いた場合、第1の工程で得られる伸長産物(増幅核酸断片)のコピー数は増幅前の試料核酸コピー数に依存する。図3Aで得られる伸長産物17を3コピーとした場合、図3Bで得られる伸長産物17は6コピーとなる。本発明の第2の実施形態では、検出される発光強度はプローブの結合箇所の数、つまり第4の工程で得られる結合産物21の数に比例し、結合産物21の数と伸長産物17のコピー数は比例関係にある。説明を容易にするために1結合反応に得られる発光強度を1hvと設定する。図3Aでは伸長産物17は3コピーであるため結合産物21は3つ得られ、3hv検出される。一方、図3Bでは伸長産物17は6コピーであるため結合産物21は6つ得られ、6hv検出される。このように、伸長産物量に応じて得られる結合産物由来の化学発光量を検出することで、試料核酸を簡便に定量することが可能となる。
【0020】
本発明の第3の実施形態を図4に示す。本実施形態は、プローブがハイブリダイズする核酸断片の領域が繰り返し配列(特定の塩基配列が繰り返し出現している配列)である場合を示す。この場合、プローブは、通常、繰り返し配列の相補配列を含む。本実施形態は、一本鎖試料核酸30及び一本鎖試料核酸31中に存在する繰り返し配列32に対して相補的な配列を有し、かつ5'末端がリン酸基修飾されているプローブ33が一本鎖試料核酸(30又は31)にハイブリダイズする第1の工程と、第1の工程でハイブリダイズしたプローブ33をリガーゼ基質を取り込んだリガーゼによって結合する第2の工程と、第2の工程の結果生じるピロリン酸をATP生成酵素によりATPへ変換する第3の工程と、得られたATPに依存する化学発光を定量検出する工程とを含む核酸分析方法、より具体的には、試料核酸中の繰り返し配列のリピート数を測定するための方法に関する。このとき解析に用いる一本鎖試料核酸30、31はモル濃度を揃えることが必須である。リピート数を測定することにより試料核酸の長さを測定することもできる。
【0021】
図4では繰り返し配列32が2回存在する一本鎖試料核酸30を解析する場合をA、繰り返し配列32が4回存在する一本鎖試料核酸31を解析する場合をBに示した。検出される発光強度はプローブの結合箇所の数、つまり結合により得られるピロリン酸の数に比例する。図4Aでは第2の工程で得られる結合産物34の結合箇所は1箇所なので、得られるピロリン酸は1となり1hv検出される。一方、図4Bでは第2の工程で得られる結合産物35の結合箇所は3箇所なので、得られるピロリン酸は結合箇所が1箇所の場合と比べて3倍となり3hv検出される。このように、プローブを結合した結果生じるピロリン酸量に応じて得られる化学発光量を検出することで、試料核酸中の繰り返し配列のリピート数を簡便に検出することが可能となる。本実施形態で用いるプローブ33は、繰り返し配列を複数含むものであってもよい。また、ポリdTオリゴヌクレオチド配列をプローブ33として用いることにより、ポリAの長さを解析することができる。
【0022】
本発明の第4の実施形態を図5に示す。本実施形態は、少なくとも2つのプローブのうちの少なくとも1つのプローブの端部(5'末端又は3'末端)が、核酸断片(試料核酸)におけるSNP部位に対応する(相補的である)場合を示す。本実施形態は、核酸配列42と核酸配列43の間にSNPとなる1塩基Nを含む一本鎖試料核酸40と、SNPとなる1塩基Uを含む一本鎖試料核酸41において、5'末端にSNPとなる1塩基Nの相補塩基nを含み、かつ核酸配列42に対して相補的な配列を有し、5'末端がリン酸基修飾されているプローブ44と、核酸配列43に対して相補的な配列を有するプローブ45とが一本鎖試料核酸(40又は41)にハイブリダイズする第1の工程と、第1の工程でハイブリダイズしたプローブをリガーゼ基質を取り込んだリガーゼによって結合反応を行う第2の工程と、結合反応が行われた場合生じるピロリン酸をATP生成酵素によりATPへ変換する第3の工程と、得られたATPに依存する化学発光を検出する工程を含む核酸分析方法、より具体的には、試料核酸中のSNP(SNP部位の変異の有無)を検出する方法に関する。
【0023】
図5ではSNP箇所に変異のないNを含む一本鎖試料核酸40を解析する場合をA、SNPに変異のあるUを含む一本鎖試料核酸41を解析する場合をBに示した。SNPに変異がない図5Aの場合、第2の工程で結合産物46を得ることによりピロリン酸が生成されて化学発光が検出される。一方SNPに変異がある図5Bの場合、第1の工程でハイブリダイズしたプローブの5'末端nはミスマッチとなり一本鎖状態になっているため、第2の工程でリガーゼによって結合できない。そのためピロリン酸は生成されず化学発光が検出されない。この化学発光の検出の有無により試料核酸中のSNPの変異の有無を検出することが可能となる。また、本実施形態において、SNPの相補塩基を含むプローブは、プローブ45でもよく、その場合はSNPとなる1塩基の相補配列を3'末端に含むように設計する。
【0024】
本発明の第5の実施形態を図6に示す。本実施形態は、少なくとも2つのプローブがハイブリダイズする核酸断片の領域が、それぞれ塩基配列挿入部位の前後である場合を示す。本実施形態は、核酸配列53と核酸配列54の間に核酸配列55が挿入されている一本鎖試料核酸50と、核酸配列55が挿入されていない一本鎖試料核酸51において、核酸配列53に対して相補的な配列を有し、かつ5'末端がリン酸基修飾されているプローブ56と、核酸配列54に対して相補的な配列を有するプローブ57とが一本鎖試料核酸(50又は51)にハイブリダイズする第1の工程と、第1の工程でハイブリダイズしたプローブをリガーゼ基質を取り込んだリガーゼによって結合反応を行う第2の工程と、結合反応が行われた場合生じるピロリン酸をATP生成酵素によりATPへ変換する第3の工程と、得られたATPに依存する化学発光を検出することを特徴とする核酸分析方法、より具体的には、試料核酸中の塩基配列の挿入(塩基配列挿入部位の変異の有無)を検出する方法に関する。
【0025】
図6では塩基配列の挿入を含む一本鎖試料核酸50を解析する場合をA、塩基配列の挿入がない一本鎖試料核酸51を解析する場合をBに示した。塩基配列の挿入がある図6Aの場合、第1の工程でハイブリダイズしたプローブ間にGAPが生じるため、第2の工程で結合産物が得られない。そのためピロリン酸が生成されず化学発光は検出されない。一方塩基配列の挿入がない図6Bの場合、第1の工程でハイブリダイズしたプローブ間にGAPは生じないため、第2の工程でリガーゼによって結合され結合産物58が得られる。そのためピロリン酸は生成され化学発光が検出される。この化学発光の検出の有無により試料核酸中の塩基配列挿入の有無を検出することが可能となる。
【0026】
本発明の第6の実施形態を図7に示す。本実施形態は、少なくとも2つのプローブのうちの少なくとも1つのプローブの端部(5'末端配列又は3'末端配列)が、核酸断片(試料核酸)の塩基配列欠失部位に対応する(相補的である)場合を示す。本実施形態は、核酸配列62と核酸配列63の間に核酸配列64が欠失している一本鎖試料核酸60と、核酸配列64が欠失していない一本鎖試料核酸61において、核酸配列62と核酸配列64に対して相補的な核酸配列65、66を有し、かつ5'末端がリン酸基修飾されているプローブ67と、核酸配列63に対して相補的な配列を持つプローブ68とが一本鎖試料核酸(60又は61)にハイブリダイズする第1の工程と、第1の工程でハイブリダイズしたプローブを、リガーゼ基質を取り込んだリガーゼによって結合反応を行う第2の工程と、結合反応が行われた場合生じるピロリン酸をATP生成酵素によりATPへ変換する第3の工程と、得られたATPに依存する化学発光を検出する工程とを含む核酸分析方法、より具体的には、塩基配列の欠失(塩基配列欠失部位の変異の有無)を検出する方法に関する。
【0027】
図7では塩基配列の欠失を含む一本鎖試料核酸60を解析する場合をA、塩基配列の欠失がない一本鎖試料核酸61を解析する場合をBに示した。塩基配列の欠失がある図7Aの場合、第1の工程でハイブリダイズしたプローブ67の5'末端に含まれる核酸配列66が一本鎖の状態となっているため、第2の工程で結合産物が得られない。そのためピロリン酸が生成されず化学発光は検出されない。一方塩基配列の欠失がない図7Bの場合、第1の工程でハイブリダイズしたプローブ67の5'末端に含まれる核酸配列66は核酸配列64とハイブリダイズしているため、第2の工程でリガーゼによって結合され結合産物69が得られる。そのためピロリン酸は生成され化学発光が検出される。この化学発光の検出の有無により試料核酸中の塩基配列欠失の有無を検出することが可能となる。また、本実施形態において、欠失配列の相補配列を含むプローブは、プローブ68でもよく、その場合は欠失配列の相補配列を3'末側に含むように設計する。
【実施例】
【0028】
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
【0029】
〔実施例1〕
実施例1で使用した合成オリゴDNAは以下のとおりである。
試料核酸1:
5'- CTCTCTCATCAGCGAACCACAACTCAAGACCTCGTTAAGGGAGCGGAGCGGTAATGCTAGTTA
TTGTCCA ‐3' (配列番号1)
試料核酸2:
5'- CTCTCTCATCAGCGAACCACAACTCAAGACCTCGTTAAGGGAGCGGAGCG ‐3' (配列番号2)
プローブ1:
5'P- CGCTCCGCTCCCTTAACGAG -3' (配列番号3)
プローブ2:
5'TET- TGGACAATAACTAGCATTAC -3' (配列番号4)
【0030】
本発明の第1の実施形態において、試料核酸中の核酸配列の有無が、本方法による結合産物の有無と一致するかを確認するため、反応産物を電気泳動により確認した。
【0031】
試料核酸及びプローブとして、上記合成オリゴDNAを使用した。試料核酸1は70塩基からなる配列であり、試料核酸2は試料核酸1の5'末端より51塩基から70塩基目が欠失した50塩基からなる配列であり、プローブ1は試料核酸1、2の5'末端より31塩基から50塩基に相補的な配列を有し5'末端にリン酸基が付加されている塩基長20塩基からなるプローブであり、プローブ2は試料核酸1の51塩基から70塩基に相補的な配列を有し5'末端がTET修飾されている塩基長20塩基からなるプローブである。
【0032】
リガーゼとしてPfuDNAリガーゼ、リガーゼ基質としてdATPαSを用いた。反応試薬及び発光試薬の組成を表1及び2に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
発光試薬には、ATP生成反応に使用するPPDK、発光反応に使用するルシフェラーゼ、ルシフェリンが含まれている。
【0036】
図8に反応フローを示す。試料核酸(終濃度0.25uM)、PfuDNAリガーゼ(終濃度0.05U/μL)、dATPαS(終濃度0.65mM)、発光試薬、反応試薬を含んでいる反応液80に、100μMプローブ1、2を混合したプローブ混合液81を2μL添加して反応装置82で40℃にて1時間反応させた。反応産物を8M Urea+15%アクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行った後、アクリルアミドゲルから検出装置83を用いてTET色素を検出した。反応装置82にはGeneAmp PCR System 9700 (Applied Biosystems)を、検出装置83にはFluorImager595(GE Healthcare)を用いた。実施例1により得られる電気泳動結果を図9の電気泳動イメージ90に示す。レーン1は試料核酸1を添加した反応産物、レーン2は試料核酸2を添加した反応産物を示す。その結果、レーン1では結合産物の塩基長である40塩基の位置にバンド91が確認できたが、レーン2では同じ位置にバンドは確認できなかった。また、レーン1、2いずれにも見られる20塩基長のバンド92と93は、未結合のTET標識されたプローブ2由来のものである。この結果は、2つの核酸配列が存在する試料核酸1を用いた場合は結合産物が得られるが、一方の核酸配列が欠失した試料核酸2を用いた場合は結合産物が得られないことが確認でき、本発明の第1の実施形態において試料核酸中の核酸配列の有無が、結合産物の有無と一致することが確認できた。
【0037】
〔実施例2〕
実施例2で使用した合成オリゴDNAは以下のとおりである。
試料核酸1:
5'- CTCTCTCATCAGCGAACCACAACTCAAGACCTCGTTAAGGGAGCGGAGCGGTAATGCTAGTTA
TTGTCCA ‐3' (配列番号1)
試料核酸2:
5'- CTCTCTCATCAGCGAACCACAACTCAAGACCTCGTTAAGGGAGCGGAGCG ‐3' (配列番号2)
プローブ1:
5'P- CGCTCCGCTCCCTTAACGAG -3' (配列番号3)
プローブ2:
5'TET- TGGACAATAACTAGCATTAC -3' (配列番号4)
【0038】
本発明の第1の実施形態において、試料核酸中の核酸配列の有無を化学発光により検出できるかを確認するため、反応産物による化学発光を検出した。
【0039】
試料核酸、プローブ、及び反応組成は実施例1と同様のものを使用した。発光検出のバックグラウンドを下げるために、反応液を40℃で1時間ほどインキュベートして、Apyraseにより反応液中に存在する結合反応に由来しないATPを除去した後に解析を行った。
【0040】
図10に反応フローを示す。試料核酸(終濃度0.25uM)、PfuDNAリガーゼ(終濃度0.05U/μL)、dATPαS(終濃度0.65mM)、発光試薬、反応試薬を含んでいる反応液95を、反応/検出装置96により40℃で1時間反応させた後、10分間発光強度を検出した。その後100μMプローブ1、2を混合したプローブ混合液97を2μL添加し、20分間発光強度を検出した。反応/検出装置96には自動化学発光計測装置を用いた。図11中グラフ100に実施例2により観測される発光強度(信号強度)を示す。発光強度経時曲線(以下発光スペクトル)101は試料核酸1を添加した反応液から得られた結果を示す。発光スペクトル検出開始から10分後のプローブ添加時に発光スペクトル101でピークが検出されたが、試料核酸2を加えた反応液からは同時間に発光スペクトルのピークは検出されなかった。実施例1の結果も踏まえて、この結果は本発明の第1の実施形態において結合反応を化学発光により検出できることを示し、本発明を用いて核酸配列の有無を化学発光により検出することが可能であることが確認できた。
【0041】
〔実施例3〕
実施例3で使用した合成オリゴDNAは以下のとおりである。
プライマー1:
5'- ATCCGGATATAGTTCCTCCTTTCAG ‐3' (配列番号5)
プライマー2:
5'- CCATCGCCGCTTCCACTTTTT ‐3' (配列番号6)
プローブ3:
5'P- CCAGTAGTAGGTTGAGGCCGTT -3' (配列番号7)
プローブ4:
5'- GACTCCTGCATTAGGAAGCAGC -3' (配列番号8)
【0042】
本発明の第2の実施形態において、試料核酸を増幅して解析を行った場合、化学発光により定量検出できるかを確認するため、反応産物による化学発光を検出した。
【0043】
試料核酸はpET21aベクターDNA(TAKARA)を103コピー及び106コピーに調製したものを用い、上記プライマーを増幅時のオリゴヌクレオチドプライマーとして使用した。図12に伸長産物の塩基配列105(配列番号9)を示す。図12に記載の塩基配列105において5'末端を1塩基目とした場合、プライマー1は1〜25塩基と同じ配列をもつフォワードプライマーであり、プライマー2は820〜840塩基と相補的な配列をもつリバースプライマーである。ポリメラーゼとしてPfuDNAポリメラーゼ(STRATAGENE)、PCR反応試薬として、ポリメラーゼに添付のバッファーを用いた。酵素の使用量やdNTP、プライマー量は酵素のマニュアルに従った。伸長産物となるPCR産物は、プライマーやdNTPsを除去するためにセファデックスG100を用いてゲル濾過精製したものを用いた。
【0044】
次に、上記のプローブ3、4を伸長産物にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブとして使用した。図12に記載の塩基配列105において5'末端を1塩基目とした場合、プローブ3は566〜587塩基と相補的な配列を有し5'末端にリン酸基が付加されているプローブであり、プローブ4は588〜609塩基と相補的な配列を持つプローブである。リガーゼとしてPfuDNAリガーゼ、リガーゼ基質としてdATPαSを、発光試薬及び反応試薬の組成は表1及び2と同様である。発光試薬には、ATP生成反応に使用するPPDK、発光反応に使用するルシフェラーゼ、ルシフェリンが含まれている。また、実施例2と同様に、反応液中に存在する結合反応に由来しないATPをあらかじめ分解する必要があるため、反応液を40℃で1時間ほどインキュベートしてApyraseにより反応液中のATPを除去した後に解析を行った。
【0045】
図13に反応フローを示す。試料核酸、PfuDNAポリメラーゼ(終濃度0.05U/μL)、PCR反応試薬を含んでいる反応液110を増幅反応装置111に投入することよりPCR反応を行った。PCR反応により得られた伸長産物112(増幅核酸断片)を、PfuDNAリガーゼ(終濃度0.05U/μL)、dATPαS(終濃度0.65mM)、発光試薬、反応試薬を含んでいる反応液113に添加し、反応/検出装置114により40℃で1時間反応した後、10分間発光強度を検出した。その後100μMのプローブ3と4を混合したプローブ混合液115を2μL添加し、20分間発光強度を検出した。増幅反応装置111にはGeneAmp PCR System 9700 (Applied Biosystems)を、反応/検出装置114には自動化学発光計測装置を用いた。図14中グラフ120に実施例3により観測される発光強度(信号強度)を示す。発光スペクトル121は試料核酸を103コピー添加した結果を示し、発光スペクトル122は試料核酸を106コピー添加した結果を示す。その結果、発光スペクトル検出開始から10分後のプローブ添加時に発光スペクトル121、122両方でピークが検出された。発光スペクトル121と発光スペクトル122のピークの発光強度量比はおおよそ1:2となっており、この値は試料核酸のコピー数の比とほぼ一致する。以上の結果は、本発明の第2の実施形態において試料核酸として伸長産物を用いて検出を行った場合、試料核酸のコピー数に応じて発光検出量が増大することを示し、本発明を用いて試料核酸の定量検出が可能であることを示している。
【0046】
〔実施例4〕
実施例4で使用した合成オリゴDNAは以下のとおりである。
試料核酸3:
5'- AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA ‐3' (配列番号10)
プローブ5:
5'P- TTTTTTTTTTTTTTTTTTTT -3' (配列番号11)
【0047】
本発明の第3の実施形態において、試料核酸にmRNAを用いた場合、ポリAの長さを化学発光により検出できるかを確認するため、反応産物による化学発光量を検出した。
【0048】
試料核酸は、C型肝炎ウィルス(Hepatitis C Virus, HCV)1a型のコア領域を持つコンストラクトよりT7RNAポリメラーゼ(Invitrogen)を用いて転写したRNAを、Poly(A) Polymerase(TAKARA)により30分若しくは70分反応させてポリAを付加し、ポリAの長さが40塩基及び80塩基になっていることを電気泳動で確認した反応産物を精製して用いた。RNAの転写及びポリA付加の反応組成は酵素のプロトコルに従った。
【0049】
ポリAの長さのコントロールとしては上記の60塩基からなるポリA配列を有する試料核酸3を使用した。また、試料核酸にハイブリダイズするプローブは、上記の20塩基からなるdT配列を有し、5'末端にリン酸基が付加されたプローブ5を使用した。
【0050】
リガーゼとしてPfuDNAリガーゼ、リガーゼ基質としてdATPαSを用いた。発光試薬及び反応試薬の組成を表3及び4に示す。
【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
発光試薬には、ATP生成反応に使用するATPスルフリラーゼ、発光反応に使用するルシフェラーゼ、ルシフェリンが含まれている。実施例2、3と同様に、あらかじめ40℃で1時間ほどインキュベートして反応液中のATPを除去した後に解析を行った。
【0054】
図15に反応フローを示す。試料核酸(終濃度0.5uM)、PfuDNAリガーゼ(終濃度0.1U/μL)、dATPαS(終濃度1.0mM)、発光試薬、反応試薬を含んでいる反応液125を、反応/検出装置126により40℃で1時間反応させた後、10分間発光強度を検出した。その後100μMのプローブ127を1μL添加し、20分間発光強度を検出した。反応/検出装置126には自動化学発光計測装置を用いた。図16中グラフ130に本実施例で観測された発光強度(信号強度)を示す。発光スペクトル131はポリAが40塩基付加された試料核酸を用いて解析した結果を示し、発光スペクトル132は60塩基からなるポリA配列を有する試料核酸3を解析した結果を示し、発光スペクトル133はポリAが80塩基付加された試料核酸を解析した結果を示す。それぞれのスペクトルにおいて、発光検出開始から10分後のプローブ添加時にピークが検出された。発光スペクトル131、132、133のピークの発光強度量比はおおよそ1:2:3となっており、この値は解析したポリAの長さと一致する。以上の結果は、本発明の第3の実施形態においてポリAの長さの検出を行った場合、結合箇所に比例して発光検出量が増大することを示し、本発明を用いてポリAの長さの検出が可能であることを示している。
【0055】
〔実施例5〕
実施例5で使用した合成オリゴDNAは以下のとおりである。
プライマー3
5'- GACCAGTAAGTTCAGAGATGCAGA -3' (配列番号12)
プライマー4
5'- CAACCAGACCAGGTAGACAGAG - 3' (配列番号13)
プローブ6
5'P- TGTTCTCACCGATACACTTC -3' (配列番号14)
プローブ7
5'- AAAGACCTCCCAGCGGCCAA -3' (配列番号15)
【0056】
本発明の第4の実施形態において、試料核酸にSNPが含まれている場合、変異の有無を本発明方法により検出できるかを確認するため、反応産物による化学発光を検出した。
【0057】
試料核酸として、ボランティアより提供された血液から精製したゲノムからPCRによって増幅したCYP1A1遺伝子領域(Accession No. X02612)を用いた。ゲノム精製手法は、特に記載しない限りCold Spring Harbor Laboratory PressのMolecular Cloning (Second edition) 1989出版に従った。試料核酸となる増幅産物は、プライマーやdNTPsを除去するためにセファデックスG100を用いてゲル濾過精製した。図17にPCRにより増幅した領域の塩基配列135(配列番号16)を示す。試料核酸となる増幅産物の塩基配列の5'末側から328番目の塩基RはSNPを持ち、A若しくはGに変換されている。解析に用いる試料核酸はあらかじめシークエンス解析によりSNPの同定を行い、上記2種類の塩基置換が確認できているものを使用した。PCR用プライマー及びプローブとして、上記の合成オリゴDNAを使用した。プライマー3は図17の塩基配列135の5'側より1〜24塩基と同じ配列をもつフォワードプライマーであり、プライマー4は509〜530塩基と相補的な配列を持つリバースプライマーであり、プローブ6は309〜328塩基と相補的な配列を持ち5'末端にリン酸基が付加されSNP配列Aを認識するプローブであり、プローブ7は329〜348塩基と相補的な配列をもつプローブである。
【0058】
リガーゼとしてPfuDNAリガーゼ、リガーゼ基質としてdATPαSを用いた。発光試薬及び反応試薬の組成は表3及び4と同様である。発光試薬には、ATP生成反応に使用するATPスルフリラーゼ、発光反応に使用するルシフェラーゼ、ルシフェリンが含まれている。また、実施例2、3、4と同様にあらかじめ40℃で1時間ほどインキュベートして反応液中のATPを除去した後に解析を行った。
【0059】
図10に反応フローを示す。試料核酸(終濃度0.5uM)、PfuDNAリガーゼ(終濃度0.1U/μL)、dATPαS(終濃度1.0 mM)、発光試薬、反応試薬を含んでいる反応液95を、反応/検出装置96により40℃で1時間反応させた後、10分間発光強度を検出した。その後100μMプローブ6、7を混合したプローブ混合液97を2μL添加し、20分間発光強度を検出した。反応/検出装置96には自動化学発光計測装置を用いた。図18中グラフ140に本実施例で観測される発光強度(信号強度)を示す。SNP部位がAからなる試料核酸を用いた結果得られた発光スペクトル141では、発光検出開始から10分後のプローブ添加時にピークが検出された。SNP部位がGからなる試料核酸を用いた結果得られた発光スペクトル142ではピークは検出されなかった。以上の結果より、本発明を用いて試料核酸中のSNPの変異の有無を発光検出することが可能であることが示された。
【0060】
〔実施例6〕
実施例6で使用した合成オリゴDNAは以下のとおりである。
プライマー5
5'- TGTGTGACCTAACTGTGTAA -3' (配列番号17)
プライマー6
5'- ACCTTCCCACTAGAGCTTGG - 3' (配列番号18)
プローブ8
5'P- TAATCTATTACACTTTATATTACCCATTAT -3' (配列番号19)
プローブ9
5'- GGTTTCTTTTCTCTCTCCCACCCACAACTA -3' (配列番号20)
【0061】
本発明の第5の実施形態において、試料核酸に塩基配列挿入がある場合、変異の有無を本発明方法により検出できるかを確認するため、反応産物による化学発光を検出した。
【0062】
試料核酸として、ボランティアより提供された血液から精製をしたゲノムからPCRによって増幅したレプチン受容体遺伝子の3'非翻訳領域(Accession No. U59263)を用いた。ゲノム精製手法は、特に記載しない限りCold Spring Harbor Laboratory PressのMolecular Cloning (Second edition) 1989出版に従った。試料核酸となる増幅産物は、プライマーやdNTPsを除去するためにセファデックスG100を用いてゲル濾過精製した。図19にPCRにより増幅した領域の塩基配列145(配列番号21)を示す。塩基配列145の5'末側から80番目のアデニンと81番目のチミンの間にCTTTAからなる塩基配列挿入が低HDL−コレステロール濃度に関連する疾患へのかかりやすさに応じて起こることが知られている。解析に用いる試料核酸はあらかじめシークエンス解析を行い、塩基配列挿入の有無が確認できているものを使用した。PCR用プライマー及びプローブとして上記の合成オリゴDNAを使用した。プライマー5は図19の塩基配列145の5'末端から1〜20塩基と同じ配列を含むフォワードプライマーであり、プライマー6は240〜259塩基と相補的な配列を持つリバースプライマーであり、プローブ8は51〜80塩基と相補的な配列を持ち5'末端にリン酸基が付加されたプローブであり、プローブ9は81〜110塩基と相補的な配列をもつプローブである。
【0063】
リガーゼとしてPfuDNAリガーゼ、リガーゼ基質としてdATPαSを用いた。発光試薬及び反応試薬の組成は表1及び2と同様である。発光試薬には、ATP生成反応に使用するPPDK、発光反応に使用するルシフェラーゼ、ルシフェリンが含まれている。また、実施例2、3、4、5と同様にあらかじめ40℃で1時間ほどインキュベートして反応液中のATPを除去した後に解析を行った。
【0064】
図10に反応フローを示す。試料核酸(終濃度0.3uM)、PfuDNAリガーゼ(終濃度0.05U/μL)、dATPαS(終濃度0.7mM)、発光試薬、反応試薬を含んでいる反応液95を、反応/検出装置96により40℃で1時間反応させた後、10分間発光強度を検出した。その後100μMのプローブ8と9を混合したプローブ混合液97を2μLずつ添加し、20分間発光強度を検出した。反応/検出装置96には自動化学発光計測装置を用いた。図20中グラフ150に本実施例で観測される発光強度(信号強度)を示す。塩基配列挿入がない試料核酸を用いた結果得られた発光スペクトル151では、発光検出開始から10分後のプローブ添加時にピークが検出された。塩基配列挿入がある試料核酸を用いた結果得られた発光スペクトル152ではピークは検出されなかった。
【0065】
以上の結果より、本発明を用いて試料核酸中の塩基配列挿入の有無を発光検出で解析することが可能であることが示された。
【0066】
〔実施例7〕
実施例7で使用した合成オリゴDNAは以下のとおりである。
プライマー7
5'- AAGCGCACGCTGCGGAGGCTGCTG -3' (配列番号22)
プライマー8
5'- GGCTGCCAGGTCGCGGTGCA - 3' (配列番号23)
プローブ10
5'P- GCTTCTCTTAATTCCTTGATAGCGACGGGA -3' (配列番号24)
プローブ11
5'- GAGGATTTCCTTGTTGGCTTTCGGAGATGTT -3' (配列番号25)
【0067】
本発明の第6の実施形態において、試料核酸に塩基配列欠失がある場合、変異の有無を本発明方法により検出できるかを確認するため、反応産物による化学発光を検出した。
【0068】
試料核酸として、ボランティアより提供された血液から精製したゲノムからPCRによって増幅した上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor; EGFR)をコードする遺伝子領域(Accession No. NM_005228.3)を用いた。ゲノム精製手法は、特に記載しない限りCold Spring Harbor Laboratory PressのMolecular Cloning (Second edition) 1989出版に従った。試料核酸となる増幅産物は、プライマーやdNTPsを除去するためにセファデックスG100を用いてゲル濾過精製した。図21にPCRにより増幅した領域の塩基配列155(配列番号26)を示す。塩基配列155の5'末端より210〜224番目に示す15塩基の欠失の有無は、抗がん剤であるゲフィチニブの薬効の判定に有効であることが知られている。解析に用いる試料核酸はあらかじめシークエンス解析を行って塩基配列欠失の有無が確認できているものを使用した。PCR用プライマー及びプローブとして上記の合成オリゴDNAを使用した。プライマー7は塩基配列155の5'末端より1〜24塩基の配列を持つフォワードプライマーであり、プライマー8は476〜495塩基と相補的な配列を持つリバースプライマーであり、プローブ10は195〜224塩基と相補的な配列を持ち5'末端にリン酸基が付加されたプローブであり、プローブ11は225〜254塩基と相補的な配列をもつプローブである。
【0069】
リガーゼとしてPfuDNAリガーゼ、リガーゼ基質としてdATPαSを用いた。発光試薬及び反応試薬の組成は表3及び4と同様である。発光試薬には、ATP生成反応に使用するATPスルフリラーゼ、発光反応に使用するルシフェラーゼ、ルシフェリンが含まれている。また、実施例2、3、4、5、6と同様にあらかじめ40℃で1時間ほどインキュベートして反応液中のATPを除去した後に解析を行った。
【0070】
図10に反応フローを示す。試料核酸(終濃度0.5uM)、PfuDNAリガーゼ(終濃度0.1U/μL)、dATPαS(終濃度1.0mM)、発光試薬、反応試薬を含んでいる反応液95を、反応/検出装置96により40℃で1時間反応させた後、10分間発光強度を検出した。その後100μMのプローブ10と11を混合した混合液97を2μL添加し、20分間発光強度を検出した。反応/検出装置96には自動化学発光計測装置を用いた。図22中グラフ160に本実施例で観測される発光強度(信号強度)を示す。塩基配列欠失がない増幅産物を試料核酸として用いた結果得られた発光スペクトル161では、発光検出開始から10分後のプローブ添加時にピークが検出された。塩基配列欠失がない増幅産物を試料核酸として用いた結果得られた発光スペクトル162ではピークは検出されなかった。以上の結果より、本発明を用いて塩基配列欠失の有無を発光検出により解析可能であることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態を示した図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態を示した図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施形態の詳細を示した図である。
【図4】図4は、本発明の第3の実施形態を示した図である。
【図5】図5は、本発明の第4の実施形態を示した図である。
【図6】図6は、本発明の第5の実施形態を示した図である。
【図7】図7は、本発明の第6の実施形態を示した図である。
【図8】図8は、本発明による反応フローの一実施形態を示した図である。
【図9】図9は、本発明の第1の実施形態による反応産物の電気泳動解析結果を示した図である。
【図10】図10は、本発明による反応フローの一実施形態を示した図である。
【図11】図11は、本発明の第1の実施形態による反応産物の化学発光検出結果を示した図である。
【図12】図12は、実施例3で用いた試料核酸の塩基配列を示す。
【図13】図13は、本発明による反応フローの一実施形態を示した図である。
【図14】図14は、本発明の第2の実施形態による反応産物の化学発光検出結果を示した図である。
【図15】図15は、本発明による反応フローの一実施形態を示した図である。
【図16】図16は、本発明の第3の実施形態による反応産物の化学発光検出結果を示した図である。
【図17】図17は、実施例5で用いた試料核酸の塩基配列を示す。
【図18】図18は、本発明の第4の実施形態による反応産物の化学発光検出結果を示した図である。
【図19】図19は、実施例6で用いた試料核酸の塩基配列を示す。
【図20】図20は、本発明の第5の実施形態による反応産物の化学発光検出結果を示した図である。
【図21】図21は、実施例7で用いた試料核酸の塩基配列を示す。
【図22】図22は、本発明の第6の実施形態による反応産物の化学発光検出結果を示した図である。
【符号の説明】
【0072】
1、10、30、31、40、41、50、51、60、61…試料核酸
2、3、11、12、13、14、32、42、43、53、54、55、62、63、64…試料核酸中の塩基配列
4、5、19、20、33、44、45、56、57、67、68、127…プローブ
6、21、34、35、46、58、69…結合産物
15、16…プライマー
17、18…伸長産物
65、66…プローブの塩基配列
80、95、125…試料核酸、リガーゼ、発光試薬、リガーゼ基質、反応試薬を含む反応液
81、97、115…プローブ混合液
82…反応装置
83…検出装置
90…電気泳動イメージ
91、92、93…バンド
96、114、126…反応/検出反応装置
100、120、130、140、150、160…発光スペクトログラム
101、121、122、131、132、133、141、142、151、152、161、162…発光スペクトル
105、135、145、155…試料核酸の塩基配列
110…試料核酸、ポリメラーゼ、PCR反応試薬を含む反応液
111…増幅反応装置
112…伸長産物
113…リガーゼ、発光試薬、リガーゼ基質、反応試薬を含む反応液
【配列表フリーテキスト】
【0073】
配列番号1 ‐人工配列の説明:本発明の実施例1で使用する試料核酸
配列番号2 ‐人工配列の説明:本発明の実施例1で使用する試料核酸
配列番号3 ‐人工配列の説明:本発明の実施例1で使用する、試料核酸にハイブリダイズするプローブ
配列番号4 ‐人工配列の説明:本発明の実施例1で使用する、試料核酸にハイブリダイズするプローブ
配列番号5 ‐人工配列の説明:本発明の実施例3で使用する、試料核酸を増幅するフォワードプライマー
配列番号6 ‐人工配列の説明:本発明の実施例3で使用する、試料核酸を増幅するリバースプライマー
配列番号7 ‐人工配列の説明:本発明の実施例3で使用する、試料核酸にハイブリダイズするプローブ
配列番号8 ‐人工配列の説明:本発明の実施例3で使用する、試料核酸にハイブリダイズするプローブ
配列番号9 ‐人工配列の説明:本発明の実施例3で使用する、試料核酸配列
配列番号10‐人工配列の説明:本発明の実施例4で使用する、ポリA配列を有する試料核酸
配列番号11 ‐人工配列の説明:本発明の実施例4で使用する、ポリA配列にハイブリダイズするプローブ
配列番号12 ‐人工配列の説明:本発明の実施例5で使用する、CYP1A1遺伝子領域を増幅するフォワードプライマー
配列番号13 ‐人工配列の説明:本発明の実施例5で使用する、CYP1A1遺伝子領域を増幅するリバースプライマー
配列番号14 ‐人工配列の説明:本発明の実施例5で使用する、CYP1A1遺伝子領域中にハイブリダイズするプローブ
配列番号15 ‐人工配列の説明:本発明の実施例5で使用する、CYP1A1遺伝子領域中にハイブリダイズするプローブ
配列番号16 ‐人工配列の説明:本発明の実施例5で使用する、CYP1A1遺伝子配列
配列番号17 ‐人工配列の説明:本発明の実施例6で使用する、レプチン受容体遺伝子領域を増幅するフォワードプライマー
配列番号18 ‐人工配列の説明:本発明の実施例6で使用する、レプチン受容体遺伝子領域を増幅するリバースプライマー
配列番号19 ‐人工配列の説明:本発明の実施例6で使用する、レプチン受容体遺伝子領域中にハイブリダイズするプローブ
配列番号20 ‐人工配列の説明:本発明の実施例6で使用する、レプチン受容体遺伝子領域中にハイブリダイズするプローブ
配列番号21 ‐人工配列の説明:本発明の実施例6で使用する、レプチン受容体遺伝子配列
配列番号22 ‐人工配列の説明:本発明の実施例7で使用する、EGFR遺伝子領域を増幅するフォワードプライマー
配列番号23 ‐人工配列の説明:本発明の実施例7で使用する、EGFR遺伝子領域を増幅するリバースプライマー
配列番号24 ‐人工配列の説明:本発明の実施例7で使用する、EGFR遺伝子領域中にハイブリダイズするプローブ
配列番号25 ‐人工配列の説明:本発明の実施例7で使用する、EGFR遺伝子領域中にハイブリダイズするプローブ
配列番号26 ‐人工配列の説明:本発明の実施例7で使用する、EGFR遺伝子配列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸断片に少なくとも2つのプローブをハイブリダイズさせ、前記少なくとも2つのプローブをリガーゼを用いて結合し、前記結合反応によって生じるピロリン酸をATPに変換し、前記ATPに依存する化学発光反応を検出する、核酸分析方法。
【請求項2】
前記2つのプローブが、前記核酸断片の隣接した領域にそれぞれハイブリダイズすることを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つのプローブのうちの少なくとも1つのプローブの5'末端がリン酸基修飾されていることを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項4】
前記リガーゼが基質を用いて結合反応を触媒するものであり、前記化学発光反応がルシフェラーゼに触媒されるものであり、前記基質が前記ルシフェラーゼと実質的に反応性がないものであることを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項5】
前記リガーゼが、前記ルシフェラーゼと実質的に反応性がない前記基質を用いて結合反応を行うことが可能であることを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項6】
前記化学発光反応を検出することにより、前記核酸断片における目的配列の有無及び/又は存在量を検出することを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つのプローブがハイブリダイズする核酸断片の領域が、RNA又はDNA配列であることを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つのプローブがハイブリダイズする核酸断片が、増幅核酸断片であることを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つのプローブが、それぞれオリゴdTヌクレオチドからなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項10】
前記化学発光反応を検出することにより、前記核酸断片の長さを測定することを特徴とする請求項9に記載の核酸分析方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つのプローブがハイブリダイズする前記核酸断片の領域が繰り返し配列であることを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項12】
前記核酸断片の繰り返し配列が、特定の塩基配列が繰り返し出現している配列であることを特徴とする請求項11に記載の核酸分析方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つのプローブが、前記繰り返し配列の相補配列を含むことを特徴とする請求項11に記載の核酸分析方法。
【請求項14】
前記化学発光反応を検出することにより、前記繰り返し配列のリピート数を測定することを特徴とする請求項11に記載の核酸分析方法。
【請求項15】
前記少なくとも2つのプローブのうちの少なくとも1つのプローブの端部が、前記核酸断片におけるSNP部位に対応することを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項16】
前記化学発光反応を検出することにより、前記結合反応の有無を判断し、前記結合反応の有無により前記SNP部位の変異の有無を判断することを特徴とする請求項15に記載の核酸分析方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つのプローブがハイブリダイズする前記核酸断片の領域が、それぞれ塩基配列挿入部位の前後であることを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項18】
前記化学発光反応を検出することにより、前記結合反応の有無を判断し、前記結合反応の有無により前記塩基配列挿入部位の変異の有無を判断することを特徴とする請求項17に記載の核酸分析方法。
【請求項19】
前記少なくとも2つのプローブのうちの少なくとも1つのプローブの端部が、前記核酸断片における塩基配列欠失部位に対応することを特徴とする請求項1に記載の核酸分析方法。
【請求項20】
前記化学発光反応を検出することにより、前記結合反応の有無を判断し、前記結合反応の有無により前記塩基配列欠失部位の変異の有無を判断することを特徴とする請求項19に記載の核酸分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−29146(P2010−29146A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196782(P2008−196782)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】