説明

塩層を有する水溶性フィルムの物品、及びその製造方法

水溶性物品、例えばフィルムであって、少量の水との接触に対する抵抗力を創出するもの、及び該物品を製造する方法が開示される。該水溶性物品は、水溶性フィルム組成、例えばポリビニルアルコールから形成され、及び厚さ全体よりも少なくとも一表面により近くに分配された塩を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関係する出願の相互参照)
本出願は、2005年1月22日に出願された米国仮特許出願第60/646,432号及び60/646,454号のそれぞれの35U.S.C119(e)のもとの利益を主張する、米国特許出願第11/205,377号の一部係属出願であり、その開示は参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
(背景)
(分野)
本開示は、一般的には、塩層を有する水溶性フィルムの物品、及びその製造方法に関する。より詳細には、本開示はポリビニルアルコールを含む水溶性フィルム層に対して、カルボキシメチルセルロースを用いて結合した塩層を含む、水溶性フィルムの物品に関する。好ましい態様において、該物品は、少量の水と接触した後の所望のフィルムバリア特性及び取扱性、並びに主として大量の水との接触による水溶性を保持する。
【0003】
(関係する技術の簡単な説明)
水溶性フィルムは、包装材料のような用途に対して徐々に広く受け入れられるようになっている。包装材料は、例えば、フィルム、シート、ブロー成形した又は成形した中空体(換言すれば、小袋、ポーチ及びタブレット)、瓶、容器等を含む。多くの場合、水溶性フィルムは、ある種類のこれら物品、例えば小袋及びポーチの調製において使用した場合、少量の液体の水の混入又は高い湿度にさらされた場合、漏れる及び/又は固着するようになり、このことが、包装における使用及びそれらの中に含まれる組成物の保存に対して該フィルムを不適切とし得る。
水溶性のポーチに対する最も一般的な消費者の苦情は、図らずも水に対して曝露された場合、例えば、ぬれた手、高い湿度、貯蔵の間の流し若しくはパイプの漏れ等から、販売され及び購入後に貯蔵されている該ポーチの外側の包装に水が入る場合の、ポーチの望まざる溶解に関係する。このことは、水溶性ポーチを、使用する前に漏れを生じさせ及び/又は共に固着させる可能性がある。第二の最も頻繁に起こる苦情は、水溶性ポーチが使用時に完全に溶解しないことである。このように、少量の水に曝露された後の溶解及び/又は漏れに対して抵抗でき、及びさらに、次いで水性溶液、例えばすすぎ及び/又は洗浄水の中に沈められた場合、非常に迅速に溶解できる、水溶性フィルム及びポーチに対する要求が未だに存在する。
【0004】
ある塩をポリビニルアルコール(PVOH)溶液に対して添加した場合、その塩がPVOHを沈殿させることができることが、1960年代から知られている。これら塩は、水性PVOHの凝固に対して有用なものとして一般的に考えられてきた。水溶性フィルムにおける塩の使用の他の開示は、参照により本明細書に取り込まれる米国特許5,429,874(1995年7月4日)におけるものである。該’874特許は、腐食性の化学薬品の包装に適した水溶性フィルムに向けられており、該包装は水溶性のポリマー材料の外側層、及び該フィルムから製造された、包装の内容物と適合したポリマー材料の内部層を有する。任意で中間層を含ませて、テンシル強度、かさ、誤用に対する抵抗力、又は他のいくつかの他のフィルムの特性を与えることができる。水溶性フィラー、例えば塩を、フィルムの押し出しの前又はその間に、任意で1以上のポリマー材料に添加して、フィルムの加工性、又は水中におけるその溶解速度を向上させることができ、又は該フィルムに対して顔料を添加することができる。
処理されていないポーチ表面が水滴にさらされた場合、これらの処理されていないポーチの表面が、溶解し及び/又は漏れる傾向にあることが知られる。
【0005】
(要約)
本開示の一つの側面は、ポリビニルアルコールを含んだ水溶性ポリマーを含む第一の層、及び塩を含んだ第二の層を含んだ、水溶性フィルムを含んだ物品を提供し、該塩層はカルボキシメチルセルロースを含んだ結合剤を用いて、第一の層と結合する。
本開示の他の側面は、水溶性ポリマーを含む水溶性基体を準備する工程、塩及びカルボキシメチルセルロースを含んだ結合剤を含む水性溶液から、塩及び該結合剤を含む層を形成する工程、及び該基体及び塩を含む該層を、結合剤を用いて互いに結合する工程を含む、物品の製造方法を提供する。
さらなる側面及び利点は、以下の詳細な説明を図面と併せて精査することにより、当業者にとって明らかであろう。該物品及び方法は、種々の形態における態様が可能である一方で、本明細書の以下の記載は特定の態様を含むが、該開示は説明するためのものであり、及び該開示は、本明細書に述べられる特定の態様に本発明を制限することを意図しないと理解されるべきである。
【0006】
(詳細な説明)
処理されていないポーチ表面が水滴にさらされた場合、これら処理のされていないポーチ表面は溶解し及び/又は漏れる傾向にあることが知られている。しかしながら、Na2SO4溶液がPVOHポーチの外側表面に対して適用され、及び該ポーチの外側表面が少量の水にさらされた場合、該処理されたポーチは実質的に溶解せず及び/又は漏れないと言う驚くべき発見がされた。それどころか、該処理されたポーチが少量の水にさらされた場合、該ポーチが減少した漏れ及びポーチとポーチの固着に対する増加した抵抗力を示す。
水溶性(とりわけポリビニルアルコール)フィルムの外側表面に対して特定の塩を添加することにより、少量の水(例えば濡れた手、液滴)からの曝露に対する抵抗力が達成できる一方で、該製品が水性溶液(例えばウォーターバス)中に沈められた場合に、水溶性ポーチの溶解特性にほとんど影響を与えない。水溶性フィルムの最も外側の部分への塩の取り込みは、通常の粉末化、コーティング、キャスティング又はフィルムの製造において使用される他の方法を含む、種々の方法において達成できる。該塩の濃度を調整して、所望の溶解特性を達成し、及びポーチの審美性を最適化できる。本明細書で記載する水溶性フィルムは、いかなる袋状の製品、例えば以下を含むポーチの製造において使用することができる:洗濯洗剤組成物、自動食器洗い洗剤組成物、硬質表面洗浄剤、繊維増強剤及び/又は繊維柔軟剤、及び少量の水との接触が、早すぎるポーチの溶解、望まざるポーチの漏れ及び/又は望まれないポーチとポーチの固着を生じ得る新規の製品形態。
【0007】
本明細書において記載される、水溶性フィルム及び物品の制限されることのない態様が、多数存在する。態様の一つの種類は、該物品が水溶性フィルムであり、及びさらに好ましくは、少量の水との接触に対して抵抗力のある水溶性フィルムである。該水溶性フィルムは、好ましくは、水中に沈められた場合に、実質的に水溶性である。他の態様は、本明細書で記載する水溶性フィルムから製造された容器、例えばポーチ、小包及びバッグを含むが、これらに限定されない。フィルムに結合した塩を有する該水溶性フィルムの表面は、好ましくは、該物品の外側表面として配置される。一の制限されない態様において、該物品は組成物の投与単位を保持する容器である。該組成物は、洗濯、硬質表面の洗浄、手による食器洗浄、自動食器洗浄、繊維増強(例えば柔軟剤、漂白剤等)における用途、及び水溶性フィルムを用いた用途に対して適切ないかなる他の適用、とりわけ、使用する前に少量の水による接触の影響を受けやすい適用に対して、適切なものであることができる。
【0008】
本明細書で記載される、水溶性フィルム及び物品の製造方法の、制限されない態様が多数存在する。一の態様において、該方法は、水溶性フィルムを準備すること、及び該フィルムの少なくとも一つの表面に対して、カルボキシメチルセルロースを含む結合剤を用いて塩を結合する事を含む。該塩は、多くの異なる方法において結合できる。この態様の一つの変形において、該塩は、塩及び結合剤を含む水性溶液を、水溶性フィルムの基体に対して適用することにより結合される。この態様の他の変形において、該塩は結合剤を含む層の形態において提供され、及び水溶性ポリマーの水性溶液が、塩及び結合剤の層の上に適用されて、フィルムを形成する。該水溶性フィルム基体並びに塩及び結合剤を有する層を別々に形成して、次いで共に接触させ及び接触表面の一方又は両方をあらかじめ濡らすことにより、共に結合することができる。多くの他の代替手段は、当業者にとって明らかであろう。
【0009】
本明細書において使用するものとして、用語“水溶性”は、完全に水溶性であるフィルム構造を言うだけでなく、実質的に水溶性であるが、該水溶性フィルム構造中に水溶性ではない材料(群)を有するフィルム;比較的高い水温でのみ又は限定されたpH条件の下でのみ水溶性である材料を有するフィルム;並びに水不溶性材料のいくらかの部分、例えば水不溶性材料の比較的薄い層を含むフィルムも含む。
本明細書において使用するものとして、用語“接触に対して抵抗力のある”(又は“溶解性に対して抵抗力のある”)とは、少量の水により接触した場合、溶解が早すぎる領域が減少し又は排除された領域を有する水溶性フィルムを言う。例えば、溶解性に対して抵抗力のある水溶性フィルムから製造された包装、例えばポーチは、少量の水による接触の後に、漏れ又は固着の減少した傾向を有するであろう。
本明細書で使用するものとして、用語“少量の水”は、フィルム又は物品を完全に沈めるために充分な量よりも少ない水の量、例えば水滴及び比較的高い湿度を言う。
他に特に記載しない限り、本明細書において説明する全てのパーセンテージは、質量による。
【0010】
水溶性フィルム
図1は、水溶性フィルム10の制限されない一つの態様を示す。該水溶性フィルム10は、第一の表面12、第二の表面14、及び第一の表面12と第二の表面14の間の厚さ16を有する。この態様において、該水溶性フィルム10は、水溶性フィルムを形成する組成物及び塩20を含む。該塩20は、該水溶性フィルム10の厚さ16の全体よりも、該第一の表面及び第二の表面の少なくとも一つの近くに分配される。説明のため、該塩20が、該図においては、別個の粒子の形態において、又は粒子の層の形態において示される。しかしながら、いくつかの態様において(例えば、図2に示される態様では、以下に示すように、該塩はフィルム形成組成物中に取り込まれている)、該塩20が粒子の形態におけるものとして示されるが、該塩20は、代替的に均一なフィルム層又はフィルム層群の一部分であることができ、及び該塩は最早確認可能な粒子を含まなくても良い。
【0011】
いくつかの態様において、該塩20は、水溶性フィルム10の少なくとも一つの表面上又はその近傍において比較的均一に分配できる。他の態様において、該塩20は、水溶性フィルム10の少なくとも一つの表面上又はその近傍で不規則に分配できる。いくつかの態様において、該フィルム10の該厚さ16は、実質的に塩20を含まないことができる。他の態様において、いくつかの塩20(塩の合計量の少数部分)は、水溶性フィルム10の厚さ16中に分配することもできる。該少数の塩は、該フィルムの厚さ16中に不規則に分配することもでき、又は規則的に分配することもできる。他の態様において、該塩20は、傾斜のある形態において分配でき、それにより塩20のより高い濃度が、水溶性フィルム10の厚さ16全体よりも、水溶性フィルム10の少なくとも一つの表面上で又はその近傍で見出される。
少量の水に対する偶然の曝露に対する抵抗力からの所望の保護を提供するため、該塩20は、該水に対してより曝露されそうである、水溶性フィルム10の表面(例えば、水溶性フィルム10から製造された製品の外側に置かれるであろう表面)により近接して分配することができる。該塩20は、水溶性フィルム10上の以下の場所の1以上のいずれにおいても配置できる;水溶性フィルム10の第一の表面12の上;水溶性フィルム10の第二の表面14の上;少なくとも一つの表面のより近くに、例えば第一の表面12及び/又は第二の表面14のより近くに分配される、第一の表面12及び第二の表面14の間の水溶性フィルム10の内部;又は多層水溶性フィルムの外側の層中に取り込まれる。
【0012】
該水溶性フィルム10は、多くの適切な水溶性材料を含むことができる。一の態様において、該水溶性フィルムは、少なくともいくつかのポリビニルアルコール(別名“PVA”及び“PVOH”)及び塩を含む、水溶性フィルム形成組成物を含む。いくつかの態様において、該水溶性フィルム10は、実質的に完全に、PVOH、1以上の塩、及び1以上の付加的な成分から構成できる。他の態様において、該水溶性フィルム10は、本質的に、PVOH、1以上の塩及び1以上の付加的な成分から成ることができる。しかしながら、他の態様において、該水溶性フィルム10は、PVOH及び他の適切な水溶性又は水分散性材料の混合物、1以上の塩、及び1以上の付加的な成分を含むことができる。適切な水溶性材料は、ポリマー、コポリマー及びこれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。
ポリビニルアルコール又はそのコポリマーが使用される場合、該PVOHは部分的又は完全に加水分解されていても良い。ポリビニルアルコール(PVOH)は、ポリビニルアセテートの、通常は加水分解又は鹸化と言われるアルコール分解により一般的に調製される合成樹脂である。
【0013】
事実上全てのアセテート基がアルコール基に転換された(例えば98%以上の程度の加水分解)、完全に加水分解されたPVOHは、強く水素結合され、熱水においてのみ溶解、例えば約60℃以上の温度で急速に溶解する高い結晶性のポリマーである。
充分な数のアセテート基が、ポリビニルアセテートの加水分解の後に保持されることを許容される場合、その結果該PVOHポリマーは部分的に加水分解されたものとして知られ、該PVOHはより弱い水素結合及びより少なく結晶性であり、及び冷水中で水溶性である−例えば約10℃以上の温度で急速に溶解する。
部分的に加水分解されたタイプは技術的にはビニルアルコール−ビニルアセテートコポリマーであるとしても、完全に加水分解された及び部分的に加水分解された両方のタイプのPVOHは、通常PVOHホモポリマーと言われる。
冷水/熱水溶解性の中間的な水溶性フィルムは、例えば、部分的に加水分解されたPVOH(例えば約94%から約98%の加水分解の程度を有する)のブレンドを含むことができ、及び温水中においてのみ迅速に溶解性であり、例えば約40℃以上の温度で急速に溶解性である。
【0014】
用語PVOHコポリマーは、ビニルエステル、典型的にはビニルアセテート、及び他のモノマーのコポリマーの加水分解により得られるポリマーを表現するものとして一般的に使用される。PVOHコポリマーは、共重合されるモノマーの種類及び量を変動することにより、所望のフィルム特性に合わせることができる。共重合の例は、ビニルアセテートとカルボン酸又はカルボン酸のエステルの共重合である。さらに、これらコポリマーにおけるアセテート基の加水分解が、部分的なもののみである場合、結果として、該得られるポリマーは、一般的にはコポリマーとして言及されるが、ビニルアセテート、ビニルアルコール及びカルボン酸基を有するPVOHターポリマーとして記載できる。
多くのPVOHコポリマーが、それらの構造により、部分的に加水分解されたタイプのPVOHホモポリマーよりも、冷水中においてより急速に溶解性であり得ることが、本技術において公知である。従って、該コポリマーは、農業用化学薬品、家庭及び工業用の洗浄化学薬品、洗濯用洗剤、水処理用化学薬品等であって、これらに限定されないものを含む種々の液体及び粉末にされた製品の投与単位の提示のための包装フィルムの製造において、重要な有用性が見出されている。
【0015】
PVOHに加えて使用できる、適切な水溶性フィルム材料は以下を含むが、これらに限定されない:ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含むポリ多糖類、天然ゴム、例えばキサンタム及びカラガム、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース)、デキストリン、エチルセルロース、エチルヒドロキシオキシエチルセルロース(EHEC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、マルトデキストリン、メチルセルロース(MC)、ポリメタクリレート、PVOHコポリマー、並びにこれらの混合物。
【0016】
ポリマーの混合物が、フィルムの用途及び要求される性能に依存して、該フィルムの機械的及び/又は溶解の特性を制御するために有益となり得る。適切な混合物は、例えば混合物を含み、ここで一のポリマーは、他のポリマーよりもより高い水溶性を有し、及び/又は一のポリマーは、他のポリマー及び/又は異なる質量平均分子量を有するポリマーの混合物よりもより高い機械強度を有する。同様に、本明細書において述べられる該フィルムにおける用途に対して適切であるのは、ポリマーブレンド組成物、例えば加水分解可能かつ水溶性のポリマーのブレンド組成物、例えばポリラクチド及びポリビニルアルコールのブレンドを含む組成物であり、該組成物は典型的には、約1−35質量%のポリラクチド及び約65から99質量%のポリビニルアルコールの範囲において、ポリラクチド及びポリビニルアルコールを混合することにより得られる。
【0017】
市場で入手できるフィルム材料を、本明細書で述べたように塩を該材料に添加することにより変性することもできる。本明細書で述べるような塩の添加によって変性することができる、市場で入手できる適切なフィルム材料は、MonoSol,LLC of Portage,Indiana,USAから入手可能なMONOSOL M8630及びM8630Kフィルムとして知られるPVOHフィルム、並びに対応する溶解性及び変性可能な特性のPVOHフィルムが含まれる。いくつかのMonoSol水溶性フィルムは、米国特許第3,374,195号(1968年3月19日)及び第3,413,229号(1968年11月26日)において記載されており、両明細書は参照により本明細書に取り込まれる。本明細書の用途のために変性するのが適切な他のフィルムは以下を含む:Aicello ChemicalCo.,Ltd.,Aichi,Japanから入手できるPTフィルム又はフィルムのK−シリーズ;Kuraray Co.,Ltd.,Tokyo,Japanから入手可能なVF−HPフィルム;及びNippon Synthetic Chemical Industry Co.,Ltd.,Osaka,Japanから入手可能なHI−SELONフィルムである。一つは特にNippon Synthetic Chemical Industry Co.の水溶性フィルムが、参照により本明細書に取り込まれる欧州特許出願公開EP1158016A2(2001年11月28日)に記載されている。
【0018】
該水溶性フィルム10は、PVOH及び水溶性又は水分散性の材料のいかなる適切なフィルム形成量を含むことができる。水溶性フィルム10又は水溶性フィルム形成組成物が、PVOH及び他の水溶性又は水分散性材料を含むものとして本明細書において記載された場合には、これは上記のポリマー、コポリマー、ターポリマー及び水溶性フィルム材料(本明細書においては、“一次フィルム材料”(又は材料群)として言われるであろう)を含む、水溶性又は水分散性ポリマー材料を言い、塩、可塑剤、水又は他の付加的な成分を含まない。いくつかの態様において、該水溶性フィルム10は、約50%から約95%の一次フィルム材料、例えばPVOH及び他の適切な水溶性又は水分散性材料を含む(最終的なフィルムにおける乾燥ベースにおいて)。
【0019】
該フィルム10は、いかなる適切な塩20を含む。適切な塩20は、有機又は無機の電解質を含むことができる。適切な塩20は、以下の群から選択されるカチオン又はカチオンの組み合わせを含むことができる:アルミニウム、アンモニウム、アンチモン、バリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、セシウム、銅、鉄、リチウム、マグネシウム、ニッケル、カリウム、ルビジウム、銀、ナトリウム、ストロンチウム、亜鉛及びジルコニウム;及び以下の群から選択されるアニオン及びアニオンの組み合わせを含むことができる:アセテート、アルミニウムサルフェート、アジド、ビカルボネート、ビサルファイト、ボロハイドライド、ボロオキサラート、ブロメート、ブロマイド、カーボネート、クロライド、クロライト、クロメート、シアネート、シアニド、ジクロメート、ジシリケート、ジチオネート、フェリシアニド、フェロシアネート、フェロシアニド、フルオライド、フルオロアンチモネート、フルオロボレート、フルオロホスフェート、フルオロスルホネート、フルオロシリケート、ハイドロゲンカーボネート、ハイドロゲンサルフェート、ハイドロゲンサルファイト、ハイドロゲンシアニド、ハイドロゲンホスフェート、ハイドロゲンサルフェート、ハイドロサルファイト、ヒドロキシド、ヒドロキソスタンネート(hydroxostannate)、ヒポクロライト、ヒポニトライト、ヒポホスファイト、ヨーデート、ヨーダイド、マンガネート、メタ−アルミネート、メタボレート、メタペリオデート、メタシリケート、混合したハロゲン化物、モリブデート、ニトレート、ニトライト、オルトホスフェート、オルトホスファイト、オルトシリケート、オキサラート、オキサラトフェレート、オキシド、ペルボレート、ペルクロレート、ペルマンガネート、ペルオキシド、ペルオキシジサルフェート、ホスフェート、ポリブロマイド、ポリクロライド、ポリフルオライド、ポリヨーダイド、ポリホスフェート、ポリスルフィド、ピロサルフェート、ピロサルファイト、セスキカーボネート、シリケート、スタンネート、サルファメート、サルフェート、スルフィド、サルファイト、チオシアネート又はチオサルフェート。
【0020】
他の適切な塩は、カチオン、例えば置換したアンモニウムイオンR4N(R=水素又は置換された若しくは置換されていないC1-6アルキル)を含む。アニオンの他の適切な種類は、カルボキシレート、ホルメート、シトレート、マレエート、タルトレート等を含む。適切な塩は、C1-9アルキルカルボン酸;ポリマーのカルボキシレート(ポリアクリレート、ポリマレエート);短鎖(C1-9)アルキルホスフェート、アルキルホスホネート;及び短鎖(C1-9)アルキルサルフェート及びアルキルスルホネートを含むことができる。
図1は、塩20がフィルム10の少なくとも一つの表面、例えば表面12上に配置できることを示す。図1は、塩20がフィルム10中に取り込まれることができることも示す。該塩20は、いかなる適切な厚さにおいて、又はフィルム10中、又はこれらの両方において分配できる。該塩20の厚さ(又はより詳細には、“塩の分配”の厚さ)は、合計フィルム厚さ16に対して表現されても良い。該合計フィルム厚さ16は、例えば12.7μmから127μm(0.5から5ミル)で変動し得る(又は約12又は13μmから約125μm)。しかしながら、他の態様において、合計フィルム厚さは、12.7μm(0.5ミル)より薄く、又は127μm(5ミル)より厚くても良い。いくつかの態様において、塩の分配の厚さは、合計フィルム厚さの約1%から約80%で変動し得る。該塩20がフィルム10中に分配される場合、該塩20は該フィルム中のいかなる適切な場所においても配置できる。例えば、該塩20は、水溶性フィルム10の少なくとも一つの表面の、約1%から約50%、約1%から約40%、約1%から約30%、約1%から約20%、約1%から約15%中で配置できる。本明細書で提供される該パーセンテージは、該塩20が主に分配されたところを言うこと、及び少量の塩がフィルム10中の他のところへ分配できる事が可能であることを言うことが、理解されなければならない。
【0021】
図1において示すように、塩20の分配を伴うフィルム10を製造するために、該塩20は、多くの異なる方法において、フィルムに対して適用し、又は該フィルム10中に取り込ませることができる。フィルムの製造方法は、以下の項において詳細に説明される。しかしながら、フィルムに対して適用できる又はフィルム10中に取り込むことができる塩20の量に関するものとして、いくつかのこれら方法がここで言及される。該塩20が、粉末形態において該フィルム10の表面に対して適用される場合、過剰の粉末(換言すれば、フィルム上で維持されないであろう量)が、フィルム10の表面において形成されるまで、該粉末を適用することができる。他の態様において、該塩20は、フィルム表面に対して適用される溶液中に取り込むことができる。水溶性フィルム形成組成物用の適切な塩溶液は、いかなる適切なモル濃度の塩を含むことができる。溶液中の塩の適切なモル濃度は、水性溶液中に約0.01Mから約10M、約0.1Mから約5M、及び代替的には約0.5Mから約4Mの塩を含むことができるが、これらに限定されない。溶液中の塩の適切なモル濃度は、異なる塩に対して別に調整できる。例えば、約0.25Mほど低いモル濃度は、ナトリウムサルフェートについて使用でき、及び約0.03ほど低いモル濃度は、いくつかのAl塩について使用できる。他の態様において、該塩20は、以下の項において記載するようないかなる適切な方法において、適切な塩をフィルム形成組成物(例えば、水性組成物であることができるPVOH組成物)中に混合することにより、いかなる適切な水溶性フィルム形成組成物中に直接的に取り込むことができる。ある制限されない態様において、塩の有効な量は、以下の量において定義されても良い:フィルムの質量により約0.1%から約50%;約0.5%又は約1%から約15、20、又は25%;及び代替的には約0.5%から約15%(フィルムを形成した後の乾燥ベースにおいて)。
【0022】
好ましい態様において、カルボキシメチルセルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)が、他の水溶性組成物の層、例えばPVOH含有フィルムと塩(例えば、ナトリウムサルフェート)を結合するために使用される。カルボキシメチルセルロースの使用は、それ自身が高い塩濃度の下で塩析するPVOH又は他の水溶性ポリマーと比較して、溶液におけるより多い塩の負荷を可能とする。カルボキシメチルセルロースの使用は、塩の基体ポリマー層に対する付着性を良好とし、及び基体層の表面における均一な分配も可能とする。従って、より効率的かつ有効な塩含有相を提供できる。それほどではないにせよ、HPMC、HEMC、HPC、EHEC、MC及びHECも好ましい。それほどではないにせよ、天然ゴム、例えばアラビアゴムも好ましい。
該塩溶液に対するカルボキシメチルセルロースの使用が、塩の結晶成長及びサイズを阻害することが観察され、これはいくつかの態様における物品の外観及び消費者の受容にとって有利となり得る。例えば、ある態様において、該塩の結晶は、好ましくは裸眼に対して可視ではない。約10μmより小さい、好ましくは約1μmより小さい平均の塩の結晶サイズが意図される。
【0023】
特に、高い置換度(カルボキシメチル化するために反応したセルロースの無水グルコース単位における3つのヒドロキシル基の平均数)、例えば少なくとも0.4、例えば0.7、0.9、1.2又は1.5の置換度を有するカルボキシメチルセルロースポリマーが、該ポリマーの塩析を伴うことなく、より多い塩の負荷を許容でき、従ってこれが好ましい。
同様に、より低い分子量を有するカルボキシメチルセルロースポリマーは、高い塩の負荷に対してより耐性でもあり、従ってこれが好ましい。溶液の粘度を用いて、分子量の近似値を求めることができる。従って、23℃で30Pa・s(30,000cps)より低い2wt%溶液粘度を有するカルボキシメチルセルロースが好ましく、より好ましくは以下の値又はそれより小さい値である:20Pa・s(20,000cps)、15Pa・s(15,000cps)、10Pa・s(10,000cps)、5Pa・s(5,000cps)及び2Pa・s(2,000cps)。典型的な値は、0.3Pa・s(300cps)、0.35Pa・s(350cps)、0.6Pa・s(600cps)、及び2Pa・s(2,000cps)を含む(全ての値は23℃で2wt%溶液粘度)。適切なカルボキシメチルセルロースポリマーは、例えば、BLANOSEの商品名の下、Hercules,Inc.,of Wilmington,Delawareから入手可能である。他のカルボキシメチルセルロースポリマーが、STAFLOの商品名の下Akzo Nobel of Arnhem,The Netherlandsから及びCELLOGENの商品名の下Dai−Ichi Kogyo Seiyaku Co.,LTD. of Japanに対する配給業者としてのMontello,Inc.,of Tulsa,Oklahomaから入手可能である。
【0024】
該塩が、基体水溶性層に対して塩を結合するためのカルボキシメチルセルロースを含む、水溶性、フィルム形成組成物を含んだ溶液中に、直接的に取り込まれる場合、溶液中における該塩の濃度は、より濃く、例えば溶液の質量により少なくとも5%、10%、20%、30%又は40%であることができる。過剰に高い塩レベルは、実際的なプロセスの困難、例えば装置における固形物の塩の蓄積に導き、過剰に少ない塩の濃度は、結果物であるフィルムの形成のために、より多くの水の蒸発を要求する。該塩濃度は、好ましくは40wt%以下である。該塩濃度は、好ましくは少なくとも5%である。
基体をコーティングするための水性溶液において使用される結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース結合剤のレベルは、相対的に低く、例えば結合剤、例えばカルボキシメチルセルロースに関して25wt%以下、好ましくは10wt%以下、例えば約0.5wt%から約5wt%であることができる。従って、例えば約5−20%の塩が、約1%から2%のカルボキシメチルセルロースと共に使用でき、両方とも該溶液の質量に基づく。例えば、カルボキシメチルセルロースと塩の比率は、1:1.5、1:2.5、1:5、1:10及び1:20を含む。
【0025】
従って、該態様における塩の乾燥ベースのレベルは、コーティング溶液の乾燥質量に基づいて、50質量%より多く、及び少なくとも70質量%又は80質量%又は90質量%であり、及び約95質量%と同程度であることができる。塩及びカルボキシメチルセルロースの前述の量は、ナトリウムサルフェート塩及びさらにはPVOHを含み又は実質的にこれからなる基体フィルムを用いた用途に対して特に意図される。同じ濃度で、PVOHフィルムにおける湿度抵抗力を提供する他の塩は、例えばアンモニウムサルフェート、亜鉛サルフェート及び三塩基酸ナトリウムホスフェートを含む。
該塩が、基体水溶性層に対して塩を結合するためのカルボキシメチルセルロースを含んだ、水溶性、フィルム形成組成物を含む溶液中に直接的に取り込まれる場合、該溶液は、界面活性剤、例えば以下に述べるような非イオン系界面活性剤を好ましく含む。該溶液は、水より低い揮発性の液体を含んで、種々の適用方法について乾燥速度を最適化することができる。該乾燥の遅い液体は、例えば、グリコール、グリコールエーテル、ポリオール、ポリオールエーテル及びこれらの組み合わせを含む。特定の例は、グリセリン及びプロピレングリコールを含む。乾燥の遅い液体の使用は、フィルムの均一性の向上を助けることができるが、さらに結果得られたフィルム及び/又はフィルム層の可塑化、及び該塩層の潜在的な固着に導く;従って、乾燥の遅い液体が使用される場合は、低いレベル(例えば、コーティングの質量に基づいて5wt%から25wt%)が好ましい。
【0026】
塩及び結合剤を含む該水性溶液は、本質的に塩、結合剤、水並びに任意で界面活性剤及び乾燥の遅い液体の一方又は両方から好ましくは成る。
フィルム形成組成物が、本発明に従った水溶性フィルムを形成するために変性される場合、該塩は、該組成物においてPVOH(又は他の一次フィルム材料)の質量による等量と置き換えることができる。
水溶性フィルム形成組成物及びそれらから形成された水溶性フィルム10は、1以上の添加剤又は補助的な成分を含むこともできる。例えば、該水溶性フィルム形成組成物及び水溶性フィルム10は、以下を含むことができる:水、可塑剤、滑剤、剥離剤、フィラー、体質顔料、ブロッキング防止剤、タック防止剤(de−tackifying agent)、消泡剤又は他の機能的な成分。後者は、洗浄のための組成物を含む物品の場合において、洗浄水に対して供給される機能的な洗剤添加剤、例えば有機ポリマー分散剤又は他の洗剤添加剤を含むが、これらに限定されない。
【0027】
従って、該水溶性フィルム10は、水又は他の揮発性成分を含むことができる。水又は他の揮発性成分は、いかなる適切な量においてフィルム中に存在できる。適切な量は、フィルムが形成され、及び21℃の50%の相対湿度で24時間あらかじめ調整した後に、該水溶性フィルムの質量により、約1−20%からの範囲において含むが、これに限定されない。
該水溶性フィルム10は、上記のように、可塑剤を含むことができる。適切な可塑剤は以下を含むが、これに限定されない:グリセリン(グリセロール、1,2,3−プロパントリオール)、ジグリセリン、ヒドロキシプロピルグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、エタノールアミン及びこれらの混合物。
【0028】
一の制限されない態様において、該可塑剤は、ヒドロキシプロピルグリセリン及び低分子量のポリエチレングリコールと、熱水(約49℃(140°F))及び冷水(約24℃(75°F))に水溶性のフィルム形成ポリビニルアルコールの組み合わせ、例えば参照により本明細書に取り込まれる、米国特許3,374,195号(1968年3月19日)において記載されたものを含むことができる。該態様のある変形において、使用されるポリビニルアルコールは、ポリビニルアセテートのアセテート基の約80%−95%、又は85%−90%をヒドロキシル基により置き換えることにより調製される。これらの態様において、該水性フィルム形成組成物は、いかなる適切な量のポリビニルアルコールを含むことができる(例えば約20−40%)。該ポリビニルアルコールは、20℃の4%水性溶液中で、少なくとも約0.02Pa・s(20センチポイズ)、又は約0.02−0.045Pa・s(20−45Cps)の粘度を有することができる。該ヒドロキシプロピルグリセリンは、グリセリンのヒドロキシル基の平均で少なくとも約2.5個、代替的に3個が、エーテル化され又はヒドロキシルプロピル(1−メチル−2−ヒドロキシエチル)基により置換された、1−メチル−2−ヒドロキシエチルグリセリルエーテルであることができる。該ポリエチレングリコールは、約200−600の間、又は代替的には約200−300の間の質量平均分子量を有することができる。一の制限されない態様において、該組成物は、ポリビニルアルコール、及びポリビニルアルコールの含量の質量によるパーセンテージにおいて、約7−17%のヒドロキシプロピルグリセリン、及び約10−20%のポリエチレングリコールを含む。ヒドロキシプロピルグリセリン及びポリエチレングリコールの可塑剤の組み合わせの合計割合は、約22−32%の間であることができる。例えば、約12%のヒドロキシプロピルグリセリン及び約15%のポリエチレングリコールを使用できる。
【0029】
他の態様において、可塑剤は、以下の1以上を含むことができる:グリセリン、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びトリメチロールプロパン。該可塑剤は、約5質量%から約30質量%の範囲における、又は約12質量%から約20質量%の範囲における量を含む、いかなる適切な量において、水溶性フィルム10において取り込まれることができるが、これらに限定されない。
適切な界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性及び両イオン性の種類を含み得る。適切な界面活性剤は、ポリオキシエチレン化されたポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ターシャリーアセチレングリコール及びアルカノールアミド(非イオン性)、ポリオキシエチレン化されたアミン、4級アンモニウム塩及び4級化されたポリオキシエチレン化されたアミン(カチオン性)、及びアミンオキシド、N−アルキルベタイン及びスルホベタイン(両イオン性)であるが、これらに限定されない。
【0030】
非イオン性界面活性剤が好ましい。例えば、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)ブロック及び1級のヒドロキシル基における末端を含んだ、非イオン性の二官能性ブロックコポリマーが、Florham Park,NJのBASF社によりPLURONIC L−10と命名されたものが販売されている。該界面活性剤は、約0.01質量%から約5質量%、又は約1質量%から約3質量%の範囲における、又は約0.1質量%から約0.6質量%の範囲における量を含む、いかなる適切な量において、水溶性フィルム10又はその層において取り込まれることができるが、この量に限定されない。基体フィルムに対する結合のためのカルボキシメチルセルロース及び塩含有溶液を適用するために使用する場合、該非イオン性界面活性剤、例えば上記ブロックコポリマーは、該溶液の質量に基づいて、約0.01から約0.5質量%、又は約0.05質量%から約0.3質量%、例えば約0.2質量%の量において使用できる。
適切な滑剤/剥離剤は、脂肪酸及びこれらの塩、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、脂肪族アミン、脂肪族アミンアセテート及び脂肪族アミドを含むが、これらに限定されない。該滑剤/剥離剤は、約0.02質量%から約1.5質量%の範囲内、又は約0.04質量%から約0.15質量%の範囲における量を含む、いかなる適切な量において、水溶性フィルム10に取り込まれることができるが、この量に限定されない。
【0031】
適切なフィラー、体質顔料、ブロッキング防止剤、タック防止剤は、以下を含むがこれに限定されない:デンプン、修飾されたデンプン、架橋したポリビニルピロリドン、架橋したセルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、カルシウムカーボネート、タルク及びマイカ。各フィラー、体質顔料、ブロッキング防止剤及びタック防止剤は、約0.1質量%から約25質量%、又は約1質量%から約15質量%の範囲における量を含んだ、いかなる適切な量において水溶性フィルム10において存在できるが、これらに限定されない。デンプンを除き、各フィラー、体質顔料、ブロッキング防止剤、タック防止剤は、約1質量%から約5質量%の範囲において存在し得る。
適切な消泡剤は、ポリジメチルシロキサン及び炭化水素ブレンドに基づいた消泡剤を含むが、これらに限定されない。該消泡剤は、約0.001質量%から約0.5質量%の範囲における、又は約0.01質量%から約0.1質量%の範囲における量を含む、いかなる適切な量において水溶性フィルム10において存在し得るが、これらに限定されない。
【0032】
該組成物は、材料を混合し、及び該混合物を、完全に溶液になるまで、約21℃(70°F)から約90℃(195°F)に温度を上昇させている間かき混ぜることにより調製される。該フィルム形成組成物は、いかなる適切な形態(例えばフィルム又はシート)に製造され、及び次いでいかなる適切な製品(例えば、単一の及び多区画のポーチ、小袋、バッグ等)に形成することができる。
【0033】
(水溶性フィルムの製造方法)
本明細書において、水溶性フィルム10の製造方法の、制限されない多数の態様が存在する。
一の態様において、該方法は、あらかじめ形成された水溶性フィルムの準備、及び該あらかじめ形成された水溶性フィルムの少なくとも一つの表面に対する塩の適用を含む。該あらかじめ形成された水溶性フィルムは、該フィルムを形成するために使用された組成物に対する塩の添加による変性がされていない、水溶解性フィルムであって良い。該方法が使用され、図1において示される該フィルム10の外側表面において、塩20を提供する。
【0034】
該塩20は、多くの異なる方法において、該あらかじめ形成された水溶性フィルムに対して適用できる。一の制限されない態様において、該塩は、粉末の形態(粒子又は顆粒の形態)において、あらかじめ形成された水溶性フィルムの少なくとも一つの表面に対して適用される。該塩の粒子は、いかなる適切なサイズであることができる。例えば、ナトリウムサルフェート粉末は、約1ミクロンから約500ミクロンの平均粒径;約1ミクロンから約300ミクロン、又は代替的には約150ミクロン以下の平均粒径を有し得る。適切な粒子径の塩の粒子のいくつかの制限されない例は、ナンバー120及び270サイズのふるいを通過する塩である。あらかじめ形成された水溶性フィルムに対して添加される塩の量は、最初のフィルムの質量(塩を添加する前)のパーセンテージとして、フィルム上に添加された塩の量によって表現される。該態様においてフィルムに対して添加できる塩の量は、約0.01質量%及び約50質量%の間、又はさらには、約2.5質量%及び約20質量%の間、又は約2.5質量%及び約7質量%の間を含む、いかなる適切な範囲におけるものであることができるが、これらに限定されない。該態様において、より多い量の塩がフィルムに対して適用でき、それは、フィルム表面に対する塩の適用は、塩がフィルム形成組成物中に取り込まれるにつれて、該フィルムのある特性、とりわけ該フィルムの機械的特性の望ましくない変更をしそうにないからである。
【0035】
該方法の他の制限されない態様において、該塩は溶液の形態において提供され、水溶性フィルムの少なくとも一つの表面上に適用される。該溶液は、水溶性フィルムの少なくとも一つの表面上にスプレー及び/又は印刷することによる方法を含んだ、いかなる適切な方法において、該水溶性フィルムの少なくとも一つの表面上に適用できるが、これらに限定されない。該溶液は、いかなる適切な量の塩及び水の混合物を含むことができる。例えば、該溶液は、約0.01Mから約1.25M又はそれより多い、塩及び水の溶液を含むことができる。一の制限されない態様において、該溶液は、少なくとも0.5MのNa2SO4溶液を含む。該溶液は、水中に少なくとも6.6%のNa2SO4を混合することにより形成できる。その上に塩溶液を有するフィルムは、次いで乾燥され、又は乾燥工程を行う。該溶液における塩の濃度を、フィルム上に塩溶液を有するフィルムが乾燥され又は乾燥工程を行った後、残存する水における塩のレベルが上記範囲中、例えばフィルムの表面における乾燥したコーティング中の該塩が、少なくとも約0.5Mから約1.25M、又はこれより多い濃度になり得るように確立することができる。
【0036】
これらの態様は、塩をあらかじめ形成された水溶性フィルムに適用する前に、該水溶性フィルムの少なくとも一つの表面の少なくとも一部を濡らす工程を含むこともできる。水溶性フィルムの表面を濡らすことは、該フィルムの表面の外側部(すなわち、該フィルムの厚さへの一部)を、少なくとも部分的に溶解し又は可溶化するために使用できる。該水溶性フィルムは、いかなる所望の深さに対して、少なくとも部分的に可溶化される。適切な深さは以下を含むが、これに限定されない:全体のフィルムの厚さの、約1%から約40%又は約45%、約1%から約30%、約1%から約20%、約1%から約15%、及び代替的に約1%から約10%。次いで、塩はフィルムの表面の部分的に溶解した部分に対して適用される。これは、該塩をフィルムの表面の外側部分中に埋込み、及び該フィルムのより恒久的な部分とする事を許容する。該フィルム中に埋め込まれた該塩を有するフィルムの濡れた表面は、次いで乾燥することを許容される。該方法の該態様は、乾燥した後に、該水溶性フィルムの表面上に残存したいかなる遊離した又は過剰の塩の少なくともいくらかを除去する工程、例えば該フィルムの表面の拭き取り又はダスティングを含むこともできる。
【0037】
他の態様において、水溶性フィルム10の製造方法は、以下の工程を含む:(a)水溶性フィルム形成組成物を準備する工程;(b)水溶性フィルム形成組成物に対して塩を添加する工程;及び(c)その中に塩を有する水溶性フィルム形成組成物を含む混合物からフィルムを形成する工程。以下に説明する多層の態様を含んだ該態様において、該塩20は、いかなる適切な質量パーセンテージにおいて添加できる。適切なパーセンテージは以下を含むが、これらに限定されない:該フィルム10の特性に悪影響を与えることなく、最大で約20%;約20%以下、及び約1%から約15%。該塩20は、水溶性フィルムの形成処理の前又はその間に、該フィルム形成組成物に対して添加できる。該態様において、水溶性フィルムの形成処理の間(例えば部分的に形成されたフィルム、例えばキャストされたが乾燥していないフィルムに対して該塩を添加することにより)に該塩を添加することが望ましく、これにより該塩は、フィルムが形成された後の前記水溶性フィルムの厚さの全体よりも、前記第一及び第二の表面の少なくとも一つのより近くに分配される。該フィルムを製造するために、上記成分は、本明細書において記載した方法において組み合わされ、及び該水溶性フィルム10は、フィルム製造のために利用可能ないかなる処理を用いて形成される。適切なフィルムは、例えば、以下のフィルム形成方法の1以上により調製できる:コーティング、ラミネート、キャスティング、ブロー成形、及び/又はフィルム形成材料の押し出し又はブロー押し出し(blow extrusion)。
【0038】
他の態様において、該塩は、フィルムが物品に形成された後に、水溶性フィルム10に対して添加することができる。例えば、水溶性フィルム10を使用して機能性組成物を含む水溶性ポーチを形成した場合、該塩を、水溶性ポーチの少なくとも一部の表面におけるフィルムに対して添加できる。これは、いくつかの異なる方法において行える。該方法の制限されないいくつかの例は、以下に説明される。該方法に対する他の代替方法は、該物品(例えばポーチ)を、濃縮した塩溶液中に少なくとも部分的に沈め又は完全に沈めることである。
他の態様において、水溶性フィルム10の製造方法は、多層水溶性フィルムの形成を含む。該多層水溶性フィルムは、2又はそれ以上の層(例えば3、4、5層等)を含むことができる。本明細書において使用するものとして、用語“層”は、あらかじめ形成した層を含むだけでなく、コーティングも含む。従って、コーティングは、他に特に示されない限り、層であると考えることができる。開示された方法を含む本明細書における全体の開示にそって、該用語“層”は、その間の境界が明瞭な界面を有する別個の層を含み、さらにその間の拡散界面を有する層も含む。該用語“層”は、該フィルム又は物品組成物の他の側面を考慮して、意図された目的に対する充分な連続性を含むように定義される(例えば、閉じ込め用ポーチとして役立つ事を意図された水溶性フィルム層が、完全に連続して漏れを防ぐのに対して、塩含有層の必要は、所望の目的、例えば濡れた取扱特性に役立つために充分に連続であればよい)。層は、単一の工程において適用することができ、又は複数のアプリケーション工程を使用して適切な層を作り上げることができる。
【0039】
該多層水溶性フィルムは、塩が中に取り込まれ又は上に分配された少なくとも一つの層、好ましくは外側の層を有する。他の態様において、中に塩が取り込まれ又は上に塩が分配された層が、多層フィルムの内部層を含む、多層フィルムを作ることも可能である。該多層フィルムは、多くの異なる方法において製造できる。
上記のように、特に好ましい態様は、カルボキシメチルセルロースを用いて基体層に対して結合した塩層を有する、PVOHを含む該基体層を含む。該態様に対して好ましい方法は以下の工程を含む:ポリビニルアルコールを含んだ水溶性ポリマーを含む水溶性フィルム基体を準備する工程;塩及びカルボキシメチルセルロースを含む結合剤を含む層を、該塩及び該結合剤を含む水性溶液から形成する工程;及び該基体及び塩を含む該層を、結合剤を用いて互いに結合する工程。該水性溶液は、方法、例えば上記のようなロールコーティング及びスプレーを含む、所望の塩層を形成するためのいかなる適切な方法において適用できるが、これらに限定されない。一の方法の態様において、コーティング工程において適用される水の量が、基体フィルムにおいて存在する水の量と同位である方法において、塩及び結合剤を含んだ水性溶液を基体に対して適用することが望ましいと言うことが見出された。例えば、約98g/m2の重さがあり、かつ約6wt%の水(従って約5.9%の水)を有する、厚さにおいて約76ミクロン(3ミル)のフィルムに対して、約78wt%の水のコーティング溶液が、コーティングプロセス工程において、約6g/m2の割合で適用して、約4.7g/m2の水を得ることができる。
【0040】
図2は、フィルムの表面を形成する1以上の層であって、その中に取り込まれた塩を有する層を有するフィルム10の製造方法の断面図の制限されない一態様を示す。図2において示す態様において、該フィルム10は2つの層を含む。これらは、第一の層22及び第二の層24として言及される。図2において示されるように、該多層水溶性フィルム10は、表面、例えばキャスティング表面40の上で下向きに面した該第一の層22を用いて形成される。
該第一の層22は、第一の表面26、第二の表面28を含み、及び該第一及び第二の表面の間に厚さ30を有する。該第二の層24は、第一の表面32、第二の表面34を含み、及び該第一及び第二の表面の間に厚さ36を有する。該第一及び第二の層22及び24は共に合わせられ、該第二の層24の第一の表面32が、該第一の層22の該第二の表面28に隣接され、及び結合される。該第一の層22の第一の表面26は、多層フィルム10の第一の表面12を形成し、及び該第二の層24の第二の表面34は、多層フィルム10の第二の表面14を形成する。該塩20は、第一の層22の厚さ30の中に分配される。
【0041】
図2において示される多層フィルム10は、いかなる適切な方法において形成できる。一態様において、該多層フィルム10は、第一の層22を形成するために使用される、第一の水溶性フィルム形成組成物を調製することにより形成される。該第一の水溶性フィルム形成組成物は、1以上の塩20の第一の濃度を含む。その中に塩20を有する第一の水溶性フィルム形成組成物は、第一のフィルム層22に形成される。塩20を有する第一の水溶性フィルム形成組成物は、いかなる適切な方法において、該第一のフィルム層22に形成できる。該第一のフィルム層22は、例えば、以下のフィルム形成方法の1以上により形成できる:キャスティング、ブロー成形、及び/又はフィルム形成材料の押し出し又はブロー押し出し、又はこれらの組み合わせ。
【0042】
図2において示された態様において、該第一の層22は、適切なキャスティング表面40上で、第一の水溶性フィルム形成組成物をキャスティングすることにより形成される。上昇した温度で又は加熱された場合、該フィルム形成組成物をキャストすることができる。該フィルム形成組成物は、キャストする場合に、いかなる適切な温度であることができる。制限されない一態様において、キャストされる場合、該フィルム形成組成物は、約74℃(約165°F)の温度である。フルスケールの連続したフィルム製造工程において、フィルム形成組成物をより高い温度でキャストすることが望ましい。キャスティング表面40は、該フィルムをキャスティングするために適切であるいかなる表面も含むことができ、及びこの目的に対する工業において典型的に使用されるベルト又はドラムを含むことができる。実験室において該フィルムを製造する場合、ガラス片が、キャスティング表面40として使用できる。該第一の水溶性フィルム形成組成物は、いかなる適切な方法において、キャスティング表面40に対して適用して、該第一のフィルム層22を形成することができる。該第一のフィルム層22は、キャスティング表面40の上に単一のコーティング若しくは層を形成することにより、又は該第一の水溶性フィルム形成組成物を連続してコーティング若しくは層にして、所望の厚さ30のフィルム22を形成することにより、キャスティング表面40の上で形成することができる。
【0043】
該第二のフィルム層24は、第二の水溶性フィルム形成組成物から形成される。該第二の水溶性フィルム形成組成物は、第一の水溶性フィルム形成組成物よりも少ない塩を含むか、又は実質的に若しくは完全に塩を含まない。該第二のフィルム層24は、該第二の水溶性フィルム形成組成物から第二のフィルムを形成することにより形成され、及び該第二のフィルム層24を、第一のフィルム層22と結合させる。該第二の水溶性フィルム形成組成物は、いかなる適切な方法において、第二のフィルム層24に形成できる。該第二のフィルム層24は、例えば、以下のフィルム形成方法の1以上により形成できる:キャスティング、ブロー成形、及び/又はフィルム形成材料の押し出し又はブロー押し出し、又はこれらの組み合わせ。図2において示す態様において、該第二のフィルム層24は、該第一のフィルム層22の上で、該第二の水溶性フィルム形成組成物をコーティングし又はキャスティングすることにより形成される。
【0044】
該結合された層は、水溶性フィルム10の一表面12のより近くに分配された塩を有する、多層フィルム10を形成するであろう。図2において示される態様において、より少ない塩を含むか又は実質的に塩を含まないフィルム層24が形成される前に、塩20を含むフィルム層22が形成される。加えて、塩20を含む該第一のフィルム層22は、より少ない塩を含み又は実質的に塩を含まない第二のフィルム層24よりもより薄い。
図2において示される方法の多くの代替的な態様が存在する。これらは以下を含むが、これらに制限されない。該方法の工程は、多くの異なる順序において行うことができる。例えば、異なるフィルム形成組成物が、いかなる順序においても形成できる。該第一のフィルム形成組成物が、該第二のフィルム形成組成物が調製される前に調製されることは必須ではない。他の態様において、塩20を含むフィルム層は、より少ない塩を含み又は実質的に塩を含まないフィルム層の後及び/又はその上で形成できる。他の態様において、塩20を含むフィルム層は、より少ない塩を含み又は実質的に塩を含まないフィルム層よりも、より厚くても良い。
【0045】
他の態様において、多層フィルムは、2より多い層を用いて調製できる。該場合において、該方法は、1以上の付加的な水溶性フィルム形成組成物を提供することを、さらに含むことができる。該1以上の付加的なフィルム形成組成物は、該第一の水溶性フィルム形成組成物よりも少ない塩を含むことができ、又は実質的に塩を含まないことができる。該方法は、さらに、1以上の付加的な水溶性フィルム形成組成物から、1以上の付加的なフィルム層を形成することをさらに含むことができ、ここで該1以上の付加的なフィルムは、第二のフィルムと結合され、3以上の層の多層フィルムを形成する。該態様の代替的な変形において、該1以上の付加的なフィルム形成組成物は、第一の水溶性フィルム形成組成物と同じパーセンテージの塩、又は第一の水溶性フィルム形成組成物よりも多い塩を含むことができる。該代替的な態様において、最も高い濃度の塩を有する層が、多層水溶性フィルムの厚さ全体よりも、該多層フィルムの前記第一及び第二の表面の少なくとも一つに対して、より近くであるように各層は結合されなければならない。
【0046】
本明細書で記載する多層フィルムの層は、いかなる適切な厚さを有することができ、及び全体のフィルム厚さのいかなる適切な割合又はパーセンテージを含むことができる。塩を含む層は、厚さにおいて、合計フィルム厚さ16の約1%から約80%において変動できる。例えば、該第一のフィルム層は、全体のフィルムの厚さの、約1%から約50%、約1%から約40%、約1%から約30%、約1%から約20%、約1%から約15%、約1%から約10%、及び代替的には約1%から約5%含むことができる。従って、ある態様において、第二の層24と第一の層22の厚さの比率が、2:1よりも大きくても良い。例えば、制限されない態様において、該多層フィルムの全体の厚さが、約75ミクロンであることができ、及び第一の層22が約10ミクロンの厚さを有することができ、及び該第二の層24が、約65ミクロンの厚さを有することができる。
【0047】
(水溶性ポーチの製造方法)
本明細書で記載する水溶性フィルム10は、水溶性フィルムが包装材料として使用される物品を含んだ、物品に形成することができるが、これらに限定されない。該物品は、水溶性ポーチ、小袋、及び他の容器を含むが、これらに限定されない。
水溶性ポーチ及び本明細書で記載する水溶性フィルム10を取り込んだ他の該容器は、本技術において公知のいかなる適切な方法において製造できる。該水溶性フィルム10が、最終製品に形成される前か又は形成された後の溶解性に対する向上した抵抗力と共に提供できる。いずれの場合においても、ある態様において、該物品を製造する場合に、塩が分配された該フィルム10の表面12(又は、フィルムの厚さの中に含まれる塩に対してより近くに配置された表面)が、該製品の外側表面を形成することが望ましい。
【0048】
水溶性ポーチを製造する多くの方法が存在する。これらは以下のような本技術において公知の方法を含むが、これらに限定されない:縦型製袋充填包装法(vertical form−fill−sealing process)、水平型製袋充填包装法(hozontal form−fill−sealing process)及び円形ドラムの表面上の型におけるポーチの形成。縦型製袋充填包装法において、縦型チューブはフィルムを折りたたむことにより形成される。該チューブの底の末端が密封され、開口したポーチを形成する。このポーチは、ヘッドスペースを許容して部分的に充填される。次いで該開口したポーチの上部が密封されて閉じたポーチを形成し、及び次の開口したポーチを形成する。該第一のポーチは、続いて切断され、及び該方法が繰り返される。該方法において形成されたポーチは、通常枕形状を有する。水平型製袋充填法は、その中に連続した型を有する金型を使用する。水平型製袋充填包装法において、フィルムは金型の中に配置され、開口したポーチがこれら型の中で形成され、次いでこれらは充填でき、他のフィルムの層を用いて覆われ、密封される。第三の方法(円形ドラムの表面上の型におけるポーチの形成)において、フィルムはドラム上で循環され、及びポケットが形成され、充填機を通過して開口したポケットが充填される。該充填及び密封は、ドラムにより、記載された円の最も高い点(頂点)で行い、例えば典型的には、充填は、回転ドラムが下向きの回転運動を開始するちょうど前に行われ、及び密封は、該ドラムがその下向きの運動を開始したちょうど後に行われる。
【0049】
開口したポーチの形成の工程を含むいかなる方法において、該フィルムは最初に、熱成形、真空成形又はその両方を用いて、開口したポーチの形状に成形又は形成できる。熱成形は、いかなる公知の方法例えば発熱体と型の接触において熱を適用することにより、又は型及び/又はフィルムを加熱するために熱風の吹きつけ又は熱ランプの使用により、型及び/又はフィルムを加熱することを含む。真空成形の場合において、真空の支援が、型へのフィルムの動きを助けるために使用される。他の態様において、該二つの技術が合わせられ、ポーチを形成し、例えば、該フィルムは真空成形によって開口したポーチを成形し、及び熱を供給して該方法を促進できる。次いで、該開口したポーチは、ポーチに含まれるべき組成物で充填される。
次いで、該充填された開口したポーチは閉じられ、これはいかなる方法によって行うことができる。いくつかの場合、例えば水平型製袋充填包装法において、該閉じは開口したポーチのウェブを覆って及びその上に第二の材料又はフィルム、例えば水溶性フィルムを連続的に供給し、次いで該第一のフィルム及び第二のフィルムを共に密封する事により行われる。該第二の材料又はフィルムは、本明細書で記載した水溶性フィルム10を含むことができる。塩の分配された(又は該フィルムの厚さ中に含まれる該塩に対してよりもより近くに位置づけられる)該第二のフィルムの表面に関して、正しい位置に置いて該フィルムが該ポーチの外側表面を形成することが望ましい。
【0050】
該方法において、該第一及び第二のフィルムは、型の間、及び従って近くの型において形成されるポーチの間の領域において典型的に密封される。該密封はいかなる方法によっても行うことができる。密封の方法は、ヒートシーリング、溶剤溶着、及び溶剤又は湿式密封である。該ポーチの密封されたウェブは、次いで、切断装置により切断でき、該装置はウェブにおいて互いからポーチを切断して、個別のポーチにする。水溶性ポーチの形成方法は、Catlin等の名義の下で公開された、米国特許出願第09/994,533、公開第US2002/0169092A1においてさらに記載されており、これらは参照により本明細書に取り込まれる。
【0051】
(製造品)
本発明は、機能性組成物及び水溶性フィルムを含んだ製造品(又は“物品”)も含むことができ、該フィルムは容器、例えばポーチ、小袋、カプセル、バッグ等に形成して、該機能性組成物を保持することができる。水溶性フィルムの表面のより近くに分配された塩を有する該表面は、該容器の外側表面として配置され、又はこれを形成するために使用される。該水溶性フィルムは、機能性組成物の投与単位を提供する容器の少なくとも一部を形成することができる。
簡単にするために、本明細書における記載が他の種類の容器に対しても適用される事が理解されなければならないが、本明細書における関心の物品は、水溶性ポーチに関して記載されるであろう。
前記の方法で形成されたポーチは、水溶性ポーチから機能性組成物が、例えば水中に該水溶性ポーチが沈められることにより放出されることが望まれるまで、該ポーチに含まれる機能的組成物を保持するために適しているいかなる形状及び形態である事ができる。該ポーチは、1の区画、又は2以上の区画を含むことができる(すなわち、該ポーチは多区画のポーチであってもよい)。一の態様において、該水溶性ポーチは、一般的に重ね合わせられた関係にある2以上の区画を有することができ、及び該ポーチは、一般的に外側の壁とは反対の上面及び下面、ポーチの側面を形成するスカートのような側壁、及び異なる区画を互いから分離する1以上の内部の隔壁を含む。ポーチ中に含まれる機能性組成物が異なる形状又は成分を含む場合、該機能性組成物の異なる成分は、水溶性ポーチの異なる区画において含むことができ、及び水溶性材料の境界により互いから分けることができる。
【0052】
該ポーチ又は他の容器は、洗濯洗剤組成物、自動食器洗い洗剤組成物、硬質表面洗浄剤、染み抜き剤、繊維増強剤及び/又は繊維柔軟剤、並びに少量の水との接触が早すぎるポーチの溶解、望まざるポーチの漏れ及び/又は望まれないポーチとポーチの固着を生じ得る新規の製品形態のような用途に対する、1以上の組成物の投与単位を含むことができる。該ポーチにおける組成物は、以下を含むいかなる適切な形態におけるものであることができるが、これに限定されない:液体、リキジェル(liquigel)、ゲル、ペースト、クリーム、固形物、粒及び粉末。多区画のポーチの異なる区画を使用して、適合しない成分を分離することができる。例えば、漂白剤及び酵素を分離した区画中に分けることが望ましい。多区画の態様の他の形状は、液体含有区画との組み合わせにおける、粉末含有区画を含むことができる。水溶性ポーチの多区画の付加的な例は、参照により本明細書に取り込まれる米国特許第6,670,314B2(2003年12月30日)において記載される。
【0053】
該水溶性ポーチは、すぐに水溶性ポーチを形成する水溶性フィルム材料が溶解して、該ポーチの含有物を放出する、いかなる所望の水性液体(例えば温水又は冷水)に添加することができる。本明細書で記載するフィルム及びポーチは、水中に溶解し又は分散することができ、及び少なくとも約50質量%、代替的には少なくとも約75質量%、さらには少なくとも約95質量%の水溶解性を有する。該フィルム及びポーチの溶解性は、以下の方法により測定することができる:フィルムの一片か又はポーチ(ポーチを作るフィルムを含む)の一つを蒸留水に添加し、フィルムかポーチを含んだ蒸留水をマグネチックスターラーを用いて勢いよく攪拌し、及びフィルム又はポーチを含んだ水を、20ミクロンの最大細孔径を有するガラスフィルターを用いて濾過する。次いで、フィルター上に集められた物質の乾燥質量を、試料の最初の質量と比較して、及びパーセンテージとして表示する。
【0054】
(例)
以下の例は説明のために提供され、本発明の範囲を制限することを意図しない。他に特に記載がない限り、割合は質量による。
例1−溶解性に対する向上した抵抗力を有する水溶性フィルムから製造されたポーチの提供
この例において、水溶性フィルムから製造されたあらかじめ製造された水溶性ポーチに、水中に沈められる前の溶解性に対する向上した抵抗力が与えられる。これは、塩を用いて、該ポーチフィルムの外側表面をダスティングすることにより遂行される。
ARIEL LIQUITABS洗剤ポーチとして知られる、液体洗濯洗剤の投与単位を含む市場で入手可能な水溶性ポーチは、ヨーロッパのProcter&Gamble Companyから得られる。ARIEL LIQUITABS洗剤ポーチの含有物は、少なくともいくつかのPVOHを含む水溶性フィルム中に含まれる。
ARIEL LIQUITABS洗剤ポーチの外側表面は、ナンバー120か又はナンバー270サイズのふるいを通過したナトリウムサルフェート粉末でダスティングされる。水溶性フィルムに対して添加された塩の量は、最初の(塩を添加する前の)フィルム質量のパーセンテージとして、フィルム上に添加された塩の量に関して表現することができる。フィルムに対して添加された塩の量は、最初のフィルムの質量の約2.5%及び約7%の間である。本方法において製造された試料の3つのセットの、少量の水と接触した場合の溶解性に対する向上した抵抗力が、表2において示される。該試料が変形したものとして記載される場合、これらは変形するが漏れはしない。
【0055】
例2−溶解性に対する向上した抵抗力を有する水溶性フィルムから製造されたポーチの提供
この例において、水溶性フィルムから製造された水溶性ポーチに、水中に沈められる前の溶解性に対する向上した抵抗力が与えられる。これは、水溶性フィルムの外側表面を少なくとも部分的に溶解し、次いで塩を用いて同表面をダスティングすることにより遂行される。
液体洗濯洗剤の投与単位を含む、他のARIEL LIQUITABS洗剤ポーチが得られる。該ARIEL LIQUITABS洗剤ポーチの外側表面が、濡らす手段を用いて(例えば濡らしたスポンジ、水の霧;水スプレー等を用いて)、該フィルム表面の該表面に対して水を適用することにより、濡らされ及び該フィルムの深さ方向の一部が溶解される。次いで、該ポーチの濡らされた外側表面は、約150ミクロン以下の平均粒径を有する、ナトリウムサルフェート粉末を用いてダスティングされる。次いで、該ポーチは、該表面が触れることができるように乾燥されるまで乾燥できる。過剰なナトリウムサルフェートは、タオルを用いた接触により、該水溶性ポーチの表面をバフ仕上げすることにより除去され、及び外側表面中に埋め込まれた塩を有するポーチの形成が完成する。
【0056】
上記例1及び2において記載した同じ工程を使用して、溶解性に対する向上した抵抗力を有する水溶性フィルムから製造された、多区画の水溶性ポーチを提供する事ができる。これは、多区画の水溶性ポーチ、例えば米国におけるThe Procter&Gamble Companyから得られる、自動食器洗い洗剤の投与単位を含んだCASCADE ACTIONPAC多区画の水溶性ポーチにおいて、例1及び2で記載したような同じ方法で行うことができる。
【0057】
例3−多層水溶性フィルムの形成
この例において、2つの相を有する多層水溶性フィルムが形成される。2つの溶液が、MonoSol’sM8630フィルムを用いて製造される。該MonoSol M8630フィルムは、75−80℃で脱イオン水中に溶解して、溶液を形成する。該2つの溶液は以下を含む:塩を全く含まない溶液(溶液1)、及びナトリウムサルフェートを含む溶液(溶液2)。これら溶液の組成が、表1において列挙される。
【0058】
表1:溶液の組成
【表1】

#26のキャスティングバー及び6.0のキャスティング速度設定を有する、PaulN.Gardner Company,Inc.,Pompano Beach,FL,U.S.A から入手可能なGARDCO Automatic Drawdown機器を使用して、溶液2をガラス板又はスライドガラスにおいてフィルムにキャストした。キャスティングの後、該スライドを74℃(165°F)のオーブン中に20分間置く。74℃(165°F)で20分後、該スライドガラスをオーブンから取り出し、GARDCO Automatic Drawdown機器上に戻した。この第一のキャスティングの厚さは、約20ミクロンである。
【0059】
#42/76キャスティングバー及び12.4のキャスティング速度設定を用いて、溶液1を、溶液2を用いて製造したスライドガラス上の該フィルムの上にキャストしてフィルムにする。次いで、該スライドガラスを、74℃(165°F)のオーブン中で1時間置く。1時間後、その上に水溶性キャスト材料の層を有するスライドガラスをオーブンから取り出し、40%RHを有する21℃の室内で24時間おいて、多層フィルムを形成する。該結果得られる最終的な多層フィルムの厚さは、約72ミクロンである。
ここで形成された水溶性フィルムは、ポーチ材料として使用して、いかなる適切な機能性組成物を保持するいかなる適切な容器(例えば水溶性ポーチ)を形成することができる。
【0060】
水滴抵抗力の試験方法−−漏れ試験
該水滴抵抗力の試験は、以下により行う:
a)水溶性ポーチを準備し;
b)水溶性ポーチの一の外側表面の中心に対して、0.001から0.01mlの室温の水滴を適用し;
c)10分待ち;及び
d)水溶性ポーチが漏れるか否かを決定する。
【0061】
ポーチとポーチの固着試験
該ポーチとポーチの固着試験は以下により行う:
a)試験水溶性ポーチを準備し;
b)該試験水溶性ポーチの外側フィルム表面の中心に対して、0.03mlの室温の水滴を適用し;
c)本明細書において記載する水溶性フィルムを含まない水溶性ポーチ(“塩を有さない”ポーチ)を準備し;
d)該試験水溶性ポーチ表面の濡れた領域の上に、該塩を有さない水溶性ポーチを置き;
e)10秒待ち;及び
f)塩を有さない水溶性ポーチを15cm(6インチ)持ち上げ;及び
g)塩を有さない水溶性ポーチに対して、試験水溶性ポーチが固着するか否かを決定する。
全ての試験は、他に特に記載がない限り、標準的な実験室条件下において行われる。
【0062】
表2は、市場で入手可能な液体洗濯ポーチ(例えば、ヨーロッパにおいてThe Procter&Gamble Companyから得られる、ARIEL LIQUITABS洗剤ポーチ)に対する、水滴抵抗力試験からの結果を示す。塩を加えた質量が、フィルム質量のパーセンテージとして与えられる。該結果は、該水溶性ポーチが、早すぎるポーチの溶解、望まざるポーチの漏れ及び/又は望まれないポーチとポーチの固着に対して抵抗力がある事を示し、それは該塩を有する水溶性ポーチが、塩を有しない水溶性ポーチに対して、即座の漏れにおける75%の削減を示したためである。
【0063】
表2:水滴抵抗力試験
【表2】

【0064】
Na2SO4粉を付けることが、ポーチとポーチの固着を減少することも観察される。0.03mlの水滴が、第一の塩を有しない水溶性ポーチ(例えば、米国においてThe Procter&Gamble Companyから得られるCASCADE ACTIONPAC洗剤ポーチ)の表面に対して適用され、次いで第二の塩を有しない水溶性ポーチが該第一の塩を有しない水溶性ポーチの上に10秒置かれた場合、該二つの塩を有しない水溶性ポーチは、互いに強固に結合するようになり、これらは水溶性ポーチ材料又は水溶性フィルムを引き裂くこと無しに、バラバラにはがすことができない。この同じ方法が、塩を有する水溶性ポーチ上で行われた場合、該塩を有する水溶性ポーチは固着しないか又は容易に振りはがされる。
【0065】
例4−塩/結合剤溶液を用いたPVOHフィルムのコーティング
表3において示される種々のコーティング溶液が、水溶性PVOHフィルムをコーティングするために調製された。全ての溶液は、0.2質量%のPLURONIC L10非イオン性界面活性剤、及び種々の量のナトリウムサルフェート無水物を含んだ。該試験溶液は、種々の量のカルボキシメチルセルロースも含んだ。
該基体フィルムは、カルボキシレート基を有する中間分子量の完全に加水分解されたポリビニルアルコールに基づいた、可塑化された冷水で溶解性のフィルム(MONOSOL M8630Kフィルム)であった。該フィルムは、約75ミクロン(約3ミル)の厚さであり、約98g/m2で秤量され、及び約6wt%の水を有する。





【0066】
表3:CMC結合剤を有する塩コーティング
【表3】

【0067】
該コーティング溶液は、約6g/m2で適用され、結果として約1から1.5g/m2乾燥コーティング質量に帰着した。
いくつかの溶液(2、3、4及び8)は、特定のグレード(置換度及び分子量)に対する比較的多量の塩、及び使用されたカルボキシメチルセルロースの濃度を有し、及び該ポリマーは室温で沈殿した。これらのコーティング溶液は使用されない。
結果得られるコントロールのフィルムは、良く付着しない(指によるラビングにより試験)粒状の塩を提供し、及び該フィルムの上に粒状でもやのかかった外観を提供した。該粒径は、少なくとも10ミクロンと推定された。
溶液6及び10のコーティングから結果得られるフィルムは、PVOHフィルムの表面に対する良好な塩の付着性を有する良好な結果を提供し、該塩の粒径は可視サイズより小さく、及びより良好な湿度に対する抵抗力を有する。目立つ量の塩は、取扱によりフィルムからこすり落とされない。塩の粒径は、約1ミクロンと推定された。
【0068】
本発明は、種々の態様において、少量の水と接触した場合の溶解性に対する抵抗力を有したフィルムを提供する事に加え、又はこれに変わる多くの利点を提供できる。フィルムに対して塩を添加することは、構築されるべきより薄いフィルム及び/又は水中に沈められた場合により高い溶解性を有するフィルムを可能とすることができ、それは少量の水と接触した場合に溶解性に対する抵抗力を提供する目的のために、付加的な厚さを有するフィルムの設計をする必要がないためである。本明細書において記載した方法において、少量の水と接触した場合に溶解性に対する抵抗力を有したフィルムの提供は、設計者に対して、物理的特性(例えば溶解性、柔軟性、伸展性等)及び美的特性(例えば、透明で又は光を通す場合には、透明性又は透光性)を保持すること、加えてフィルムの劣化において実質的に維持されるべきこれら特性を維持することを許容する。
【0069】
前記説明は、理解を明確にするためだけに提供され、及び不必要な制限がこれらから理解されるべきではなく、よって本発明の範囲における変形が、当業者にとって明らかであろう。
本明細書全体を通して与えられる全ての最大の数の制限は、より低い数の制限が、本明細書において全て個々に明確に記載されているように、該全てのより低い数の制限を含む。本明細書全体を通して与えられる全ての最小の数の制限は、より高い数の制限が、本明細書において全て個々に明確に記載されているように、該全てのより高い数の制限を含む。本明細書全体を通して与えられる数の範囲は、より狭い数の範囲が全て個々に明確に記載されているように、該より広い範囲中に含まれる全てのより狭い数の範囲を含む。
明細書全体を通して、組成物は成分又は材料を含むように記載され、該組成物は他に特に記載のない限り、示された成分又は材料のいかなる組み合わせから成り、又は実質的にこれらから成る事が意図される。
本明細書で開示される方法の実施、及びそれらの個々の工程は、手動で及び/又は電子装置の助けを用いて行うことができる。手順が特定の態様に関して記載されているとしても、該方法に関連する働きを行う他の方法を使用しても良い事が、当業者によって直ちに理解されるであろう。例えば、該工程の種々の手順が、該方法の範囲又は精神を逸脱することなく変更しても良い。加えて、該個々の工程は、合わせ、省き又はさらに付加的な工程に分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、フィルムの一つの外側表面上に配置した塩を有するフィルムの一部分の側面の断面図である。
【図2】図2は、フィルムの外側表面上の層であって、その中に取り込まれた塩を有する層を有する水溶性フィルムの製造方法の側面の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PVOH及びPVOHコポリマーの一方又は両方を含む水溶性ポリマーを含む第一の層、及び塩を含む第二の層を含み、該塩層がカルボキシメチルセルロースを含む結合剤を用いて該第一の層に結合する水溶性フィルムを含んだ物品。
【請求項2】
該水溶性ポリマーが、本質的にPVOH及びPVOHコポリマーの一方又は両方から成る、請求項1に記載する物品。
【請求項3】
該結合剤が、本質的にカルボキシメチルセルロースから成る、請求項1又は2のいずれか1項に記載する物品。
【請求項4】
該結合剤が、該第二の層の40wt%以下を構成する、請求項1から3のいずれか1項に記載する物品。
【請求項5】
カルボキシメチルセルロースが、0.4より多い置換度を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載する物品。
【請求項6】
カルボキシメチルセルロースが、約1.2の置換度を有する、請求項5に記載する物品。
【請求項7】
カルボキシメチルセルロースの粘度が、25℃における2wt%溶液で、15,000以下であることにより特徴付けられる、請求項1から6のいずれか1項に記載する物品。
【請求項8】
カルボキシメチルセルロースの粘度が、25℃における2wt%溶液で、2,000以下であることにより特徴付けられる、請求項7に記載する物品。
【請求項9】
前記塩が、アルミニウム、アンモニウム、アンチモン、バリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、セシウム、銅、鉄、リチウム、マグネシウム、ニッケル、カリウム、ルビジウム、銀、ナトリウム、ストロンチウム、亜鉛、ジルコニウム、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるカチオンと、アセテート、アルミニウムサルフェート、アジド、ビカルボネート、ビサルファイト、ボロハイドライド、ボロオキサラート、ブロメート、ブロミド、カルボネート、クロライド、クロライト、クロメート、シアネート、シアニド、ジクロメート、ジシリケート、ジチオネート、フェリシアニド、フェロシアネート、フェロシアニド、フルオライド、フルオロアンチモネート、フルオロボレート、フルオロホスフェート、フルオロスルホネート、フルオロシリケート、ハイドロゲンカーボネート、ハイドロゲンサルフェート、ハイドロゲンサルファイト、ハイドロゲンシアニド、ハイドロゲンホスフェート、ハイドロゲンサルフェート、ハイドロサルファイト、ヒドロキシド、ヒドロオキソスタンネート、ヒポクロライト、ヒポニトライト、ヒポホスファイト、ヨーデート、ヨーダイド、マンガネート、メタ−アルミネート、メタボレート、メタペリオデート、メタシリケート、混合したハロゲン化物、モリブデート、ニトレート、ニトライト、オルトホスフェート、オルトホスファイト、オルトシリケート、オキサラート、オキサラトフェレート、オキシド、ペルボレート、ペルクロレート、ペルマンガネート、ペルオキシド、ペルオキシジサルフェート、ホスフェート、ポリブロミド、ポリクロライド、ポリフルオライド、ポリヨーダイド、ポリホスフェート、ポリスルフィド、ピロサルフェート、ピロサルファイト、セスキ−カーボネート、シリケート、スタンネート、サルファメート、サルフェート、スルフィド、サルファイト、チオシアネート、チオサルフェート及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるアニオンとを含み;並びに前記のいかなる組み合わせを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載する物品。
【請求項10】
該塩が、アンモニウムサルフェート、カリウムシトレート、ナトリウムサルフェート、ナトリウムシトレート、ナトリウムトリポリホスフェート、亜鉛サルフェート及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項9に記載する物品。
【請求項11】
該塩が、ナトリウムサルフェートを含む、請求項10に記載する物品。
【請求項12】
該第二の層が、約1μmの最大径を有する塩の結晶を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載する物品。
【請求項13】
第一及び第二の層の一方又は両方において、界面活性剤をさらに含む、請求項1から12のいずれか1項に記載する物品。
【請求項14】
該界面活性剤が、非イオン性界面活性剤を含む、請求項13に記載する物品。
【請求項15】
該界面活性剤が、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)ブロック及び1級のヒドロキシル基における末端を含む二官能性のブロックコポリマーを含む、請求項14に記載する物品。
【請求項16】
第一の層において、可塑剤をさらに含む、請求項1から15のいずれか1項に記載する物品。
【請求項17】
該可塑剤が、以下から成る群より選択される、請求項16に記載する物品:グリセリン、ジグリセリン、ヒドロキシプロピルグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、エタノールアミン及びこれらの組み合わせ。
【請求項18】
該第二の層が、密封された小包の外側表面として配置される、該小包の形態にある、請求項1から17のいずれか1項に記載する物品。
【請求項19】
以下の工程を含む、フィルムの製造方法:
PVOH及びPVOHのコポリマーの一方又は両方を含む水溶性ポリマーを含む水溶性フィルム基体を準備する工程;
塩及びカルボキシメチルセルロースを含む結合剤を含む水性溶液から、該塩及び該結合剤を含む層を形成する工程;及び
結合剤を用いて、該基体及び該塩を含む層を互いに結合する工程。
【請求項20】
該結合工程が、該基体に対して水性溶液を適用することを含む、請求項19に記載する方法。
【請求項21】
該塩及び結合剤を含む水性溶液が、40wt%以下の塩を含む、請求項19に記載する方法。
【請求項22】
該塩及び結合剤を含む水性溶液が、少なくとも5wt%の塩を含む、請求項21に記載する方法。
【請求項23】
該塩及び結合剤を含む水性溶液が、約0.1wt%から約5wt%の結合剤を含む、請求項19から22のいずれか1項に記載する方法。
【請求項24】
該塩及び結合剤を含む水性溶液が、約0.1wt%から約5wt%のカルボキシメチルセルロースを含む、請求項23に記載する方法。
【請求項25】
該水性溶液がさらに界面活性剤を含む、請求項20に記載する方法。
【請求項26】
該界面活性剤が、非イオン性界面活性剤を含む、請求項25に記載する方法。
【請求項27】
該界面活性剤が、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)ブロック及び1級のヒドロキシル基における末端を含んだ二官能性のブロックコポリマーを含む、請求項26に記載する方法。
【請求項28】
該界面活性剤が、0.05wt%から0.3wt%の範囲における量において存在する、請求項25から27のいずれか1項に記載する方法。
【請求項29】
該水性溶液がさらに乾燥の遅い液体を含む、請求項19から28のいずれか1項に記載する方法。
【請求項30】
該乾燥の遅い液体が、グリコール、ポリオール、グリコールエーテル、ポリオールエーテル及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項29に記載する方法。
【請求項31】
該基体が、さらに可塑剤を含む、請求項19から27のいずれか1項に記載する方法。
【請求項32】
塩を含む層が密封した小包の外側表面として配置された、結合した基体及び塩を含む層を含んだ該小包の形成の工程をさらに含む、請求項19から31のいずれか1項に記載する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−528320(P2008−528320A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552271(P2007−552271)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/001943
【国際公開番号】WO2006/078844
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(507245630)モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】