説明

塩素化炭化水素の原位置環境修復に用いられる新規な多機能材料

【解決手段】トリクロロエチレン(TCE)等の高密度非水相液(DNAPL)を修復するために汚染除去剤を現場注入する技術において、汚染除去剤を、土壌媒体の中を効率的に移動させて、溶解TCE及びバルクTCEの両方と効率的に反応させることが有効である。新規な汚染除去系は、好ましくは土壌の通過に最適なサイズ範囲にある非常に均一なカーボン微小球を含んでいる。微小球は、高分子電解質(カルボキシメチルセルロース(CMC)等)に内包されることが好ましく、該高分子電解質にはゼロ価鉄及びPdの2種金属ナノ粒子系が好適に付着されている。カーボンはTCEに対する強力な吸着剤として機能し、2種金属ナノ粒子系は反応性をもたらす。高分子電解質は、水溶液中でカーボン微小球を安定させる作用がある。系全体では、親水性シェル(高分子電解質コーティング)と疎水性硬質コア(カーボン)を有するコロイド状ミセルに類似する。バルクTCEと接触すると、コアの疎水性により、系には、界面のTCE側に鮮明な仕切りが存在する。これら多機能系は、修復に要求される基準を満たしており、比較的安価に、しかも環境的に有害でない材料で製造されることができる。カーボンに支持されたゼロ価鉄粒子を生成するのにエアロゾル法を用いることが好ましい。潤滑方法では、単糖類又は多糖類から、直径50nm乃至6ミクロンのカーボン微小球を生成し、微小球の表面にコーティングを形成し、カーボン微小球を潤滑剤として使用する工程を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の記載>
本願は、2009年10月14日出願の米国特許仮出願第61/251,632号の優先権を主張し、該出願は、引用を以って本明細書の中に組み込まれる。
【0002】
<連邦政府の資金提供による研究開発の記載>
本発明は、環境保護庁(Environmental Protection Agency)からの助成金(EPA−GR832374)によって、及び国立科学財団(National Science Foundation)からの助成金(助成金番号0933734)によって、一部支援された。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
<マイクロフィッシュアペンディックスの引用>
なし
【0004】
本発明は、環境修復技術に主に使用され、商業的に適用される。塩素化炭化水素を処理する新たな環境修復方法に対する市場は巨大である。
【0005】
従来の技術では、ゼロ価鉄ナノ粒子を使用するか、又はこれらの粒子をポリマーでコートすることが行なわれている。コーティング法は費用が非常に高く、ポリマーは環境的に良いとは言えない。コーティングとして生分解性のポリマー及びタンパク質を用いることが提案されているが、これらのコーティングがコーティングとして存在し、土壌の中を移動できるかどうかは不明である。
【0006】
トリクロロエチレン(TCE)等の高密度非水相液(DNAPL)の修復(remediation)に有効な原位置(in-situ)注入技術は、土壌媒体(soil media)を効率良く通って移動して、溶解TCE及びバルクTCEの双方と効率的に反応する汚染除去剤を使用する必要がある。
【0007】
本発明は、土壌の通過に最適なサイズ範囲のカーボン微小球(microspheres)が極めて均一に含まれる新規な汚染除去系(decontamination system)の使用を含んでいる。微小球は、ゼロ価鉄及びパラジウム(Pd)の2種金属ナノ粒子系が好適に付着された高分子電解質(カルボキシメチルセルロース、CMC)に内包されることが好ましい。また、Pdに代えて、文献に記載されている白金(Pt)、金(Au)、及びニッケル(Ni)を使用することもできる。Niが最も安価である。Pdを使用するのが最も好ましく、NiはPdに近い。また、遷移金属を使用することもでき、Niはその内の1つである。先行技術の中に、Niを使用できることを記載したものがある。カーボンはTCEに対する強力な吸着剤として機能し、2種金属ナノ粒子系は反応性をもたらす。高分子電解質は、水溶液中でカーボン微小球を安定させる作用がある。系全体では、親水性シェル(高分子電解質コーティング)と疎水性硬質コア(カーボン)を有するコロイド状ミセルに類似する。バルクTCEと接触すると、コアの疎水性により、系には、界面のTCE側に鮮明な仕切り(sharp partitioning)が存在する。これらの多機能系は、修復に要求される基準を満たしており、比較的安価に、しかも環境的に有害でない材料で製造されることができる。
【0008】
本明細書における実験データは、粒子がTCEを分解するのに有効であることを示している。また、本明細書におけるデータは、これら材料がモデル堆積物を効果的に通って移動することを示している。
【背景技術】
【0009】
ナノスケールのゼロ価鉄(ZVI)粒子は、トリクロロエチレン(TCE)の還元的脱ハロゲン化に対して好適に用いられる。しかしながら、ZVI粒子は、凝集するため、汚染源まで運ぶことは困難である。本発明は、汚染サイトへ効率的且つ効果的に運ばれるZVIナノ粒子を調製する新規な方法を含んでいる。開発した技術は、アルキル基で容易に官能化された多孔質のサブミクロンシリカ球の中にZVIナノ粒子をカプセル化することを含んでいる。これらの複合粒子は、以下の特性を有することが好ましい:(1)堆積物を通って移動するのに最適なサイズ範囲にあること;(2)溶解TCEが有機基に吸着し、これによってZVI部位の近傍で汚染物濃度を著しく上昇させられること;(3)ZVI粒子に接近すると、反応性であること;(4)バルクTCEサイトに到達すると、アルキル基が作用して、TCEバルク相の粒子、又は水−TCE界面の粒子を安定化させる;(5)材料が環境的に有害でないこと。発明者らは、これらの概念を、反応性の研究、カラム移動を用いた移動の研究、キャピラリー移動及びマイクロキャピラリー移動の研究を通じて明らかにした。制御された表面特性を有するこれらの鉄/シリカのエアロゾル粒子は、原位置修復(in situ remediation)及び浸透性の反応性バリアの構築に効果的に利用されることができる。
【0010】
研究の過程において、これらの粒子は、TCEの反応性吸着剤として効果的に機能することがわかった。本発明は、そのようなナノスケールの複合材料を、エアロゾル法及び溶液法によって合成することを含み、材料の合成、スケールアップ及び適用の汎用性及び容易性を明らかにするものである。本発明はまた、最適な移動特性及び反応特性を有するゼロ価鉄の支持体として機能するサブミクロンカーボン粒子の開発を含んでいる。
【0011】
トリクロロエチレン(TCE)等の塩素化炭化水素は、地下水及び土壌の中に、非常に高密度の非水相液(DNAPL)汚染物を生成し、これは、修復するのが困難である。これらは、密度が水よりも大きく、堆積物の中に深く沈着し、徐々に帯水層の中に浸出し、長期的な環境汚染を引き起こす。これら汚染物の修復は、汚染サイトの清浄化にとって最も重要である[1-3]。近年、ゼロ価鉄(ZVI)を用いたそのような化合物の還元的脱ハロゲン化は、修復に有望な方法となっている。TCEを用いた全酸化還元反応の一例は以下の式で表わされる:
【0012】
【化1】

【0013】
ここで、エタン等の気体生成物は、完全還元によって生じる。ZVIの環境的に有害でない性質とその低コスト性は、修復技術の開発にとって魅力的である。従来の多くの処理プロセスに比べて、反応性ゼロ価鉄を、汚染された地下現場の中に直接注入することは、汚染物に対してより直接的に接近し、汚染物を標的することができるので、好ましい方法と言える[4、5]。ナノスケールのゼロ価鉄粒子(NZVI)は、表面積が大きいから、修復速度もより速くなることがある[6-14]。更に重要なことは、ナノ鉄(nanoiron)のコロイド性質により、これらの粒子が、汚染サイトの中に直接注入されて汚染源を消滅させるか、又は、透過性の反応性バリアを構築できるように構成され、効率的なTCE修復を行なえるようにすることである[15-21]。
【0014】
純粋相(pure phase)TCEの現場汚染源をうまく消滅させるには、注入されたナノスケールZVIが飽和ゾーンを通って移動して汚染物に到達することが最も良いと考えられる。標的である薬物の送達と環境的に等価となることが戦略の成功と考えることができる。ナノ鉄等のコロイド粒子が多孔質の媒体を通って移動することは、拡散移動の競合メカニズム、土壌や堆積物粒による遮断(interception)、及び今では古典的なコロイド移動理論によって示される堆積効果(sedimentation effect)によって決定される[18、22-25]。Tufenkji-Elimelchモデル[26]は、流体力と、コロイド粒子及び土壌/堆積物粒間のファンデルワールス相互作用との影響を考慮するもので、堆積物を通るコロイド粒子の移動をモデル化する点において有意義な進歩であり、典型的な地下水流れ条件でのゼロ価鉄粒子について200nm−1000nmの最適な粒子サイズを予測する[27、28]。しかしながら、粒子サイズが15nmを超えると、ZVIは強磁性を示し、粒子の凝集、及び可動性(mobility)の低下を招く[29]。従って、粒子は単独では、現場汚染源の消滅に対して本質的に効果がない。ナノ鉄の可動性を向上させる一般的な方法の1つは、粒子表面上で有機分子を吸着させることにより粒子を安定化させることである[30-34]。吸着された分子は、粒子間の立体的又は静電的反発(repulsions)を向上させて、粒子の凝集を防ぐ。より安定した分散を生成する技術として、ポリマー、界面活性剤、澱粉、変性セルロース、及び植物油を安定化層として使用するものがある[27、32-41]。これらの方法は、粒子の立体的又は静電的反発を高めることで、粒子の凝集を防止するもので、粒子が堆積物を通って移動する間、物理的に吸着された安定剤が保持されていれば、効果的であろう。有機配位子によりZVIナノ粒子を官能基化(functionalization)することも可能であるが、そのような官能基化は容易ではなく、ZVIの反応性が保持されるかは不明である。
【0015】
図1は、吸着、反応、移動及び仕切りを目的とした多機能ナノスケール材料の開発に関する発明者らの最近の研究目的をまとめたものである。左側に示しているのが、官能化されたシリカの多孔質サブミクロン粒子の中にNZVIを封じ込めるという概念である。官能基は、一般に疎水性のアルキル基であり、水溶液中では、シリカに閉じ込められている。シリカ粒子は、堆積物を通って移動するのに最適なサイズ範囲を有するように設計される。粒子は、地下水の流れラインの後、水飽和堆積物を通って移動するので、溶解TCEはアルキル基に相当量が吸着されることができ、汚染物質はNZVIに極く接近する(中央)。複合粒子がバルクTCEのサイトに到達すると、アルキル基が作用して、粒子の流体力学半径を大きくするので、その有効密度(effective density)は小さくなる(右)。これらの粒子をTCEバルク又は水−TCEバルク界面で安定させることが目的である。
【0016】
次に、これら概念の具現化について説明する。NZVI粒子を分離するために、NZVI粒子は、典型的にはサブミクロンサイズのシリカ粒子の多孔質シリカマトリックスの中に封じ込めることが好ましい。カプセル化のプロセスは、エアロゾルベースのエアロゾル法によって行なうことが好ましい[42-44]。想定される利点は、以下の通りである:[a]ZVIが多孔質シリカの中に封じ込められると、ZVIは凝集し難くなるが、反応性は維持されること;[b]シリカは環境的に有害でなく、また、ZVIは、多孔質シリカの中に封じ込められているので、空気に曝されても、ナノ鉄の発火及び爆発の危険性に対する懸念は低減されること[45];[c]エアロゾルベースのエアロゾル法は、多孔質コロイドシリカを運ぶのに最適なサイズ範囲内に合成する手段であり、これは、噴霧乾燥プロセスの単なる変形に過ぎないので、大量の材料を製造するためのスケールアップが可能であること;[d]シリカの官能基化は非常に簡単であり、幾つかのシリカ官能基化法により、ZVIを汚染物(TCE)と最大接触させることが可能であること;[e]アルキル基は微生物分解性であること。項目[d]は2つの観点から特に重要である。第1は、ZVIの送達の標的についての重要な利点であって、粒子は飽和ゾーンを効果的に通って移動し、バルクTCEの領域に達すると、水−TCE界面に有効な仕切りが形成されることである。第2は、シリカが適切に官能基化されることにより、難溶性の純粋相TCEが、シリカに対する仕切りとなり、ZVIナノ粒子に対する局所的濃縮(local concentration)及び接近可能性(accessibility)が高められることである。
【0017】
図2は、エアロゾル法のプロセスにより、NZVIを多孔質シリカの中にカプセル化する概念を示す。このプロセスでは、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及びエチルトリエトキシシラン(ETES)等のシリカ前駆体が、鉄前駆体と共に、高温ゾーンを通過するエアロゾル液滴によりエアロゾル化される。このプロセス中、ケイ酸塩は加水分解し、鉄種を封じ込める液滴の中で凝縮する。「液滴中の化学(chemistry in a droplet)」プロセスにより、鉄ナノ粒子が含まれる、サブミクロンサイズのシリカ粒子を得ることができ、このシリカ粒子は、その後、フィルタ上に収集される。粒子は本質的にシリカと鉄で作られるので、環境に有害でない。特に重要なのは、ETES等のアルキルシラン前駆体を使用してシリカに付着されたアルキル基を使用することである。これらアルキル基は、シリカの中に気孔を生成する。更に、これら有機基が重要な役割を果たすのは、TCEの吸着剤として機能して、有機汚染物を鉄種の近傍に移動させて、反応を促進することにある。エチルトリエトキシシラン(ETES)とオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を混合すると、粒子のアルキル官能基化の程度を調整できることは注目すべきである。
【0018】
図3は、Fe/エチル−シリカの複合粒子のサイズ分布を示しており、エアロゾル法に固有の多分散性を示している。挿入写真は、シリカマトリックス上のゼロ価鉄ナノ粒子を示すTEMである。図4は、溶解TCEと接触した複合粒子の反応特性を示す。溶液TCE濃度は著しい低下の後、徐々に低下している。初期濃度の低下は、反応によるものではなく吸着によるものである。これは、気体生成物(エタン及びエチレン)の濃度低下がはるかに穏やかであることからも、明らかである。また、複合粒子を、アルキル官能基無しで、TEOSだけをシリカ前駆体として用いて調製すると、TCE溶液濃度の急激な低下は観察されない[46]。
【0019】
吸着性と反応性の概念は、多機能性粒子の設計において極めて重要である。吸着は、反応性ゼロ価鉄の近傍の濃度を局部的に高めるので、反応が促進される。また、少量のPdが堆積すると、Pd(OAc)2が前駆体溶液の中に組み込まれるので、反応速度が著しく上昇することは注目すべきである[47]。Pdの触媒効果により反応速度が著しく上昇することは、文献の中で詳細に論じられている[7、48、49]。Pdの役割は、Fe0の酸化還元反応によって生成された水素を解離し、化学吸着することである。尚、Pdに代えて、文献に記載されている白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)を使用することもできる。Niが最も安価である。
【0020】
粒径の範囲は、移動の観点からも重要である。コロイド粒子が土壌等の多孔質媒体を通って移動するのに、典型的には、ブラウン拡散、遮断及び重力沈降(gravitational sedimentation)による影響を受けることは、ろ過理論により予測される[50]。次の式で示されるTufenkji-Elimelech(TE)モデルは、粒子間相互作用の存在下におけるこれらの効果を説明するのに、おそらく、最も包括的なモデルである[26]:
【0021】
【化2】

【0022】
ここで、η0はコレクタ効率であり、移動する粒子と堆積物粒との衝突確率として簡単に定義される。右式の第1項は、コレクタ効率に及ぼす粒子拡散の効果を規定し、第2項及び第3項は、遮断効果と堆積効果を表わす。しかしながら、Tufenkji-Elimelech式は、粒子移動を完全に表わしておらず、粒子と土壌粒の表面との橋架け及び付着等の概念をも含むもので、「粘着係数(sticking coefficient)」によって特徴付けられる[39]。簡潔にするために、T−E式の検討は、コレクタ効率が図5に示す粒径に依存することを示すものに制限する。図に見られるように、コレクタ効率は、粒径範囲が0.1乃至1μmのときに最小である。これは、この粒径範囲のときに、コロイド粒子が土壌を通って移動するのに最適なサイズ範囲であること、そしてエアロゾル法で得られたサイズ範囲内であること(図3)を意味している。図5はまた、戸田工業株式会社が販売するZVIナノ粒子として、反応性ナノ鉄粒子(RNIP−10DS。これは、コートされていない、即ちむき出し(bare)のRNIPである)の光学顕微鏡写真を示している。これら粒子の固有の粒径は、30−70nmのオーダであるが、有効サイズが10μmを超えると、凝集して、土壌の通過効果がなくなってしまう[29]。
【0023】
発明者らは、移動特性を調べるために、Fe/エチル−シリカ粒子についてカラム移動及びキャピラリー移動実験(図6)を行なった[51]。TE式によって予測されるように、Fe/エチル−シリカ粒子は、堆積充填されたモデルカラムを通って効率よく溶出するが、対照であるむき出しのRNIPは、カラムの上部で凝集したままである。
【0024】
キャピラリー実験はこれらの知見を確認するものである[51]。図7はこれらの実験を説明するもので、1.5mmの水平キャピラリーに堆積物が充填されており、粒子の移動が光学顕微鏡によって視覚化されている。この図から明らかなように、むき出しのRNIP(中央の図のパネル(i)と下の図のパネル(i))は、キャピラリーの入口に保持されているが、Fe/エチル−シリカ粒子は、移動中(中央及び下の図のパネル(ii))は、キャピラリー全体に亘り、溶出完了後はキャピラリーの端部(中央の図のパネル(iii))にて視覚化が明瞭に観察される。実験の開始時は、全ての系(system)が中央の図のパネル(i)と同じであり、キャピラリーの入口で粒子が懸濁している。図8は、マイクロキャピラリー視覚化実験を説明するもので、水中にFe/エチル−シリカ粒子が分散した200μmキャピラリーの中に、マイクロピペッターを用いてTCE液滴が注入される。TCE液滴界面に粒子の安定な凝集が観察される。
【0025】
これら過去の結果に対し、発明者らの実験では、NZVIが、エアロゾル法で調製された新規なFe/エチル−シリカ粒子に支持されている。実際の環境修復においてこれら材料を製造すると、おそらくコストの面で不利であり、シリカ前駆体(エチルトリエトキシシラン及びオルトケイ酸テトラエチル)のコストは、環境修復への適用を発展させる際に最大の要因となるであろう。本発明では、ZVIナノ粒子を支持するのに、カーボンベースの材料を用いる。
【0026】
2001年、WangらがCarbonに発表した非常に興味深い報告があり[77]、球状で細孔性(spherical microporous)のカーボンを合成する新規で簡易な方法が記載されている。この著者らは、蔗糖溶液を用意し、190°Cで水熱処理(hydrothermal treatment)を施した。この条件(12バールの蒸気圧)では、蔗糖は脱水作用を受け、得られた物質は極めて単分散形態のカーボン球である。これらの物質を熱分解すると、用いた糖濃度に応じて、サイズが50nm乃至6μm(好ましくは200nm乃至6μm;より好ましくは200nm乃至1.5μm;更に好ましくは300乃至700nm;最も好ましくは400乃至600nm;例えば500nm)のグラファイトカーボン球が得られる。この著者らは、Liイオン電池に使用される有望なアノード材料を研究している[52]。発明者らは、図9のSEMにおいて示されるように、これら材料の形態を再現することができた。左側の粒子は0.15M濃度の前駆体蔗糖溶液を用いて調製し、右側の粒子は1.5M濃度を用いて調製した。
【0027】
これらの結果は、TCE修復の環境問題に容易に結び付けられる。カーボンは、環境的に無害である。水熱と熱分解のプロセスは単純であり、溶液プロセスとして容易にスケールアップできる。カーボン前駆体もまた安価である。最も重要なことは、粒子サイズは、前駆体濃度を変更することにより、最適な移動特性に合わせて非常に容易に調整できることである。
【0028】
次に、以下の特性を有するゼロ価鉄ベースの多機能粒子の開発に関する発明者らの研究について記載する:(a)塩素化炭化水素の還元に対して反応性であること;(b)堆積物を通過して、TCE汚染サイトに移動できること;(c)TCEを吸着して、バルク溶解TCE濃度を低下させ、TCEをゼロ価の還元サイトにさせること;(d)バルクTCEの界面に仕切りを設けること、である。エアロゾル法で調製されたFe/シリカ複合粒子は、これら特性を有すると考えられる。エアロゾル法は、従来の噴霧乾燥プロセスの単なる変形であるから、スケールアップすることは困難でない。しかしながら、前駆体にコストがかかるため、これらの材料を実際に適用するにはあまり魅力のないものとなっている。本発明は、上記特性を有するカーボンベースの材料の開発に関する。カーボンベースの方法は新規であり、均一な大きさの粒子を簡単に製造することができる。
【0029】
トリクロロエチレン(TCE)等の高密度非水相液(DNAPL)は、水よりも大きい比重を有し、地下の奥深くに移動し、徐々に帯水層内に溶解し、長期的な環境汚染の問題を引き起こす。DNAPLで汚染された地下水の清浄化は、地下の不均質性及び複雑な構造という自然の特性のために、困難な作業である[1A、2A]。DNAPLの修復方法を開発するのに大規模な努力がなされ、空気散布/土壌蒸気抽出、揚水処理(pump-and-treat)、透過性の反応性バリアの設置、及びバイオレメディエーション等の様々な方策が研究されてきた[3A-8A]。これらの方法と比べて、DNAPLを減らすためにナノスケールのゼロ価鉄(NZVI)を現場注入することは、簡易で、費用効率が高く、環境的に有害でない技術であり、これらの化合物の修復において好ましい方法となっている[9A、10A]。
【0030】
この方法では、次の酸化還元反応(TCEの場合について示す)により、汚染物はエタン等の無害な気体相種へ変換される。
【0031】
【化3】

【0032】
NZVIを用いてTCEを効果的に原位置修復する場合、修復剤/粒子が土壌を効果的に通って移動することが重要である[11A、12A]。むき出しのNZVI粒子は、表面エネルギーが高く、固有の磁気相互作用を有するため、凝集する傾向が強く、凝集体を形成し、これが多孔質媒体を通る流れを塞ぎ、阻害する。これまでの研究において、NZVI粒子の可動性は、親水性若しくは両親媒性の有機種(界面活性剤、植物油、澱粉等)、又は高分子電解質(カルボキシメチルセルロース(CMC)及びポリ(アクリル酸)(PAA)等)、又はトリブロックコポリマーが、NZVI粒子表面へ吸着することによって、飛躍的に向上することが示されている[13A-19A]。これら吸着された有機物は、NZVIの凝集を抑制し、立体的障害及び/又は静電的反発力によって溶液安定性を向上させる。或いはまた、NZVIが1−3mmの活性カーボン顆粒上に固定化されて、凝集を抑制する[20A、21A]。カーボンとの複合体は、カーボンによる塩素化合物の吸着作用により、修復技術において強力な吸着剤として用いられており、これら材料は、吸着性−反応性バリアの開発に使用されてきた[22A]。発明者らの研究室では、これまでの研究を、エアロゾル法で調製されたNZVIナノ粒子を有するシリカ粒子の開発に力を注いできた[12A、23A]。これらの複合粒子のサイズは、100nm−1μmの範囲にあり、堆積物の中を効果的に移動するのに最適なサイズ範囲であると考えられている。これら粒子をアルキル部分で官能基化すると、強力な吸着能力がもたらされ、粒子は、反応特性が結合された吸着剤として機能する。しかしながら、このプロセスでの不利益は、エアロゾルベースのエアロゾル法で使用されるシリカ前駆体(エチルトリエトキシシラン及びオルトケイ酸テトラエチル)のコストが高いことである。
【0033】
多機能コロイド粒子系を現場でTCE分解を行なえるように効果的に設計するには、いくつかの基準が必要である。このような粒子系は、最適な移動能力を有し、地下中を移動して、TCE汚染物サイトに到達し、TCE相との仕切りとなり、汚染物を分解できるものでなければならない。これらの粒子が、地下水の流れに従って地下を通り、吸着による封鎖(sequestration)の後の反応によって溶解TCEの濃度を下げることができるのであれば、有利であろう。更なる要因として、以下のことが挙げられる:(1)H2を触媒表面に解離吸着することにより反応性を飛躍的に高めることができる少量の触媒(典型的にはPd)を使用すること[11A、24A-26A];(2)地下中でのコロイドの可動性が、ブラウン運動、土壌及び堆積物粒による遮断、並びに堆積効果の競合メカニズムによって決定されること、である。Tufenkji-Elimelchモデルは、流体力と、コロイド粒子及び堆積粒間のファンデルワールス相互作用との影響を考慮するものであり、サイズ範囲が0.1乃至1.0ミクロンの粒子が、典型的な地下水の流れ条件にて最も移動し易いと予測する[17A、23A、27A]。
【0034】
本発明は、原位置修復を設計するための新規な方法であって、2つの注目すべき概念を組み合わせることを含んでいる。第1の概念は、Zhao及び共同研究者により開発されたものであって[15A、18A、28A]、カルボキシメチルセルロース(CMC−図22a)等の安価で環境的に有害でないポリマーを使用するもので、これは、ZVIナノ粒子の核形成及びその凝集を防止するのに有効であることが見出されている[48A]。これらポリマーで安定化されたNZVI系は、TCE脱塩素化において有効であるが、ポリマーの水溶解性により、TCEバルク相への仕切り形成が阻害され、ポリマーのTCE吸着能力は極く僅かになる。それにもかかわらず、これら安価な系がNZVIの凝集を防止し、水に懸濁した状態を維持する能力は、地下水修復における大きな潜在的適用可能性を示す。
【0035】
本明細書中で適用される第2の概念は、非常に均一な単分散カーボン微小球の開発の背景にある新規な技術であって、単糖類を水熱脱水した後に炭化を行なうものである。この技術は、Wang及び共同研究者により開発され、カーボン電極の開発及び電気化学的用途において発展している[29A-31A]。発明者らは、これらのカーボン微小球が、活性化カーボンのように吸着剤として開発できることを見出した。また、微小球の移動は、T−Eモデルによって予測される最適なサイズ範囲内にあり、高い単分散性を有し、安価な前駆体で製造することができるので、TCEの原位置修復において使用することを調べることにした。図11a及び図11bは、発明者らの研究室で蔗糖から製造したこのようなカーボンの走査電子顕微鏡写真及び透過電子顕微鏡写真であり、粒子の単分散性が明瞭に示されている。前駆体濃度を変えるだけで単分散粒子のサイズは変化し、前駆体濃度が、およそ0.15Mから1.5Mの10倍に上昇するにつれ、サイズ範囲は500nm未満乃至5μm(約50nm乃至6μm;好ましくは200nm乃至6μm;より好ましくは200nm乃至1.5μm;更に好ましくは300乃至700nm;最も好ましくは400乃至600nm;例えば500nm)である。
【0036】
以下の文献は、引用を以って本明細書の中に組み込まれる:
【0037】
Zhao, Dongye; He, Feng. Preparation and applications of stabilized metal nanoparticles for dechlorination of chlorinated hydrocarbons in soils, sediments and groundwater. PCT Int. Appl. (2007), 49pp. CODEN: PIXXD2 WO 2007001309 A2 20070104 CAN 146:127840 AN 2007:14614 CAPLUS
Zhao, Dongye; Xu, Yinhui. In situ remediation of inorganic contaminants using stabilized zero-valent iron nanoparticles. PCT Int. Appl. (2007), 104 pp. CODEN: PIXXD2 WO 2007115189 A2 20071011 CAN 147:454365 AN 2007:1150422 CAPLUS
Wang, Qing; Li, Hong; Huang, Xuejie; Chen, Liquan. Pyrolysis-generated hard carbon material, and preparation and applications of same. PCT Int. Appl. (2001), 21 pp. CODEN: PIXXD2 WO 2001098209 Al 20011227 CAN 136:56439 AN 2001:935522 CAPLUS
US Patent No. 4,252,658, issued February 24, 1981; corresponding to US Patent Application No. 05/509,950, filed September 27, 1974, Solid lubricant.
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【0038】
以下の文献は、引用を以って本明細書の中に組み込まれ、2009年10月14日出願の発明者らの米国特許仮出願第61/251,632号に添付されている:
Jingjing Zhan, Tonghua Zheng, Bhanukiran Sunkara, Gerhard, Piringer, Gary McPherson, Yunfeng Lu, Vijay T. John, Multifunctional Colloidal and Nanoscale Materials for Targeted Remediation of Chlorinated Hydrocarbons, ACS/IACIS Symposium, Columbia University, June 19, 2009.
Jingjing Zhan, Tonghua Zheng, Bhanu Sunkara,Gerhard Piringer, Gary McPherson, Yunfeng Lu, Vijay John, Reactive Composites for Targeted Remediation ofTCE, Department of Chemical & Biomolecular Engineering, Tulane University. New Orleans, LA.
Jingjing Zhan, Tonghua Zheng, Bhanukiran Sunkara, Gerhard Piringer, Gary McPherson, Yunfeng Lu, Vijay T. John, Multifunctional Hybrid Colloidal and Nanoscale Materials for Targeted Remediation of Chlorinated Hydrocarbons, ACS Meeting, Washington DC (Technology I and II).
【0039】
以下の文献も、引用を以って本明細書の中に組み込まれる:
Bhanukiran Sunkara, Jingjing Zhan, Jibao He, Gary L. McPherson, Gerhard Piringer, and Vijay T. John, Nanoscale Zerovalent Iron Supported on Uniform Carbon Microspheres for the In situ Remediation of Chlorinated Hydrocarbons, ACS Applied Material & Interfaces, available at http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/aml005282.
【発明の概要】
【0040】
<発明の要旨>
最初の結果は、これらカーボン粒子が細孔性(microporous)であり、表面積が400m2/gのオーダであることを示している。これらカーボン粒子がTCEを吸着する程度は、図10に示すように、活性化カーボンと同程度である。図10は、0.2gの粒子を含有する20ppmのTCE溶液20mlを使用して行なった予備吸着実験を示している。本発明は、これらカーボン微小球をZVI粒子で含浸させることを含み、これら複合体を、ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)を用いて溶液中で安定化させる。
【0041】
ゼロ価鉄ナノ粒子は、環境修復において重要な用途がある。ゼロ価鉄ナノ粒子は、トリクロロエチレン等の典型的な塩素化炭化水素である高密度非水相液を分解することができる。これら化合物は、地下水面下に浸透し、帯水層に広がるため、汚染物質の中で最も扱いにくく、汚染物質まで到達するのが困難である。ゼロ価鉄の使用が困難であるのは、これら粒子が磁性を帯びており、互いにくっつくことである。これら粒子を、堆積物の中を浸透させることは非常に困難である。
【0042】
発明者らは、カーボンのナノキャリアを用いた新技術を開発した。カーボンは環境的に有害でなく、更に塩素化炭化水素を吸着できるという非常に興味深い性質を有する。発明者らは、水熱合成技術を使用して、サイズが50nm乃至6μm(好ましくは200nm乃至6μm;より好ましくは200nm乃至1.5μm;更に好ましくは300乃至700nm;最も好ましくは400乃至600nm;例えば500nm)のカーボン球を合成することができた。前駆体は、糖又は複合炭水化物である。これは、それ自体新しいものではない。蔗糖等の糖は、カーボン球を製造するのに使用されてきた。しかしながら、発明者らの研究において新規な点は、これら球体の上にゼロ価鉄ナノ粒子を導入し、これら球体を塩素化炭化水素の環境修復に使用できるようにしたことである。カーボン球は、堆積物中を移動するのに最適なサイズである。このことは、発明者らの知る限り、特許文献又は雑誌文献に開示されていない用途である。
【0043】
この方法はまた、ヒ素の修復にも使用できる。塩素化炭化水素は、ヒ素とは異なる。ヒ素を修復する場合、ゼロ価鉄粒子の代わりに酸化鉄を使用する。同じカーボン球を用いることが好ましい。ヒ素は、土壌中に自然に存在し、土壌の中には他の土壌よりも高い濃度で存在するものもある。これは、ヒ素が井戸水に進入する場所で特に見られることであり、水はろ過を必要とする。本発明の粒子はまた、塩素化炭化水素及びヒ素等の複数の汚染物質(カーボン粒子上でゼロ価鉄粒子と酸化鉄が混合することもあり得る)が存在する状況で使用されることができる。ゼロ価鉄粒子が一緒に入ってくるのはカーボン微小球だけであるが、その理由は、塩素化炭化水素は土壌及び大地中に深く入り込み、湖等に徐々に進入するからである。ヒ素を修復するのは飲用のためである。それゆえ、代わりに酸化鉄を使用するのは、ヒ素を制御し固定するためであって、ヒ素を分解するためではない。
【0044】
本明細書中で使用される単分散(monodisperse)という用語は、全ての粒子が同じサイズ±10%を有することを意味する。土壌条件に応じて粒子のサイズを調整又は調節することは有用であろう。また、最適なサイズが実験を通して見い出されるであろう。時には、全ての粒子がほぼ同じサイズ、又は同じサイズの10%以内、又は同じサイズの50%以内であることが有用であろう。時には、双分散性(bidispersity)又は多分散性(polydispersity)の粒子が所望されることもある(例えば、土壌が均質でない又は粒子が安価でない場合は、多分散性粒子が所望される)。
【0045】
従って、本技術は、これらのカーボン微小球上に鉄ナノ粒子を取り込み、カーボン微小球を用いて鉄を汚染サイトに移動させることを含んでいる。カーボン微小球はまた、反応性バリア技術において利用することもできる。
【0046】
本発明はまた、塩素化炭化水素の環境修復に効果的であり、カーボンに支持された(carbon supported)ゼロ価鉄粒子を調製するエアロゾル法(aerosol-based method)を含んでいる。球状の鉄−カーボンナノ複合体は、簡易なエアロゾルプロセスにより蔗糖及び塩化鉄を出発物質として作製した。これらの複合体は、TCE等の塩素化炭化水素の原位置修復に関連がある複数の多機能性を示す。鉄ナノ粒子がカーボン球の表面上に分布及び固定化することで、反応性が維持された状態で、ゼロ価ナノ鉄の凝集が防止される。エアロゾル法で調製されたカーボン球は、TCEの吸着が可能なので、鉄ナノ粒子の近傍においてTCEの濃度を局所的に高めることにより、溶解TCEを急速に除去し、反応を促進する。複合体の強い吸着特性はまた、あらゆる有毒な塩素化中間生成物の解放を防止する。ナノスケールの複合体は、地下水飽和堆積物を通って移動するのに最適な範囲にある。更にまた、これら鉄−カーボン複合体は、低コストで製造することができ、材料は環境的に有害でない。
【0047】
発明者らはまた、異なるサイズ(即ち、長さスケールがナノメートルからマイクロメートルの範囲)、組成、及び表面コーティング(例えば、界面活性剤、ポリマー、タンパク質)の球状粒子についても、油及び水をベースとする効果的な潤滑剤となり、比較的高い負荷でも、せん断表面間の摩擦力が低下することを明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明の本質、目的及び利点を更に理解するために、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照されるべきである。図面において、同じ要素には同じ参照符号が付されている。
【図1】図1は、移動、反応及び仕切りを効果的に行なうための機能性複合粒子の設計を示す。
【図2】図2は、多孔質シリカ中へのNZVIのカプセル化を示す。上に示すのがシリカ前駆体、中央に示すのがエアロゾライザ、下に示すのが「液滴中の化学」の概念である。
【図3】図3は、Fe/エチル−シリカ粒子のサイズ分布を示す。挿入写真は粒子のTEMを示す。
【図4】図4は、複合Fe/エチルシリカ粒子の反応特性を示す。溶液TCE濃度の初期の低下は、吸着によるものであり、これらは吸着反応性粒子である事実を示している。
【0049】
【図5】図5は、Fe基の系に適用されるTE式を示す。挿入写真(a)は、市販のむき出しのRNIPの系で凝集しており、挿入写真(b)は、Fe/エチル−シリカ系である。
【図6】図6は、むき出しのRNIPとの比較のために、Fe/エチル−シリカ粒子のカラム溶出プロフィールを示している。
【図7】図7は、キャピラリー移動の研究を示す。上の図は設計の概略図であり、中央の図のパネルは、異なる溶出ステージでの充填キャピラリーを示し、下の図のパネルは、キャピラリーの顕微鏡写真を示す。
【図8】図8は、マイクロキャピラリー視覚化実験を示しており、水中にFe/エチル−シリカ粒子が分散した200μmキャピラリーの中に、マイクロピペッターを用いてTCE液滴が注入されている。TCE液滴界面に粒子の安定な凝集が観察される。
【0050】
【図9】図9は、単分散カーボン粒子の合成を示す。
【図10】図10は、多孔質カーボン微小球の吸着能力を示す。Yは、吸着されたTCEのパーセンテージである。
【図11】図11(a)は、蔗糖の水熱脱水及び炭化により得た500nmのカーボン粒子のSEM写真を示し、図11(b)は、蔗糖の水熱脱水及び炭化により得た500nmのカーボン粒子のTEM写真を示し、図11(c)は、多機能粒子系の概略図であり、CMCが物理吸着され、NZVIを含むカーボン粒子を示している。ドットは、溶液中のTCE、及びカーボンに吸着されたTCEを表わす。
【図12】図12は、溶液からのTCE除去率と、気体生成物の発生率を示しており、(a)は、CMC+Fe+カーボン(系I)、(b)は、CMC安定化Feナノコロイド(系II)、(c)は、未吸着Fe及び過剰CMCがない(CMC+Fe)/カーボン(系III)に関するものである。M/M0は、元のTCEの残存率であり、P/Pfは、100分後の気体生成物ピークに対する気体生成物ピークの比率である。全ての場合において、NZVIの量は、20mlの20ppmTCE溶液中0.02gで一定である。
【0051】
【図13】図13は、CMC、CMC+カーボン微小球、純粋(pristine)カーボン微小球、及び市販の活性化カーボンの吸着能力の比較を示す。全ての実験において、20mLの20ppmTCE溶液を使用した。他の成分レベルは、CMCが0.16g、カーボン微小球が0.1g、又は活性化カーボンが0.1gであった。
【図14】図14(a)は、水中でのCMC+NZVI及びCMC+NZVI+カーボン系の安定性を示し、図14(b)は、水−TCEの二相系と接触した場合のCMC+NZVI及びCMC+NZVI+カーボンの仕切特性を示す。
【図15】図15は、充填キャピラリーを通る移動特性を示し、流速:0.1mL/分、砂の長さ:3cm、注入された懸濁液の体積:0.03mL、である。図15(a)は、実験設計図である。図15(b)−(c)はキャピラリーの写真であり、(b)は水フラッシング前、(c)は水フラッシング中、(d)は水フラッシング後である。図のパネルi-iiiは、水フラッシング後の様々な位置での堆積物及び粒子の光学顕微鏡写真を示す(全てのスケールバーは50μmである)。図のパネルiiiは、キャピラリー端部のガラスウール上における蓄積を示す。
【0052】
【図16】図16(a)は、(CMC+NZVI)/カーボン粒子のTEM写真、図16(b)は、NZVIの分布を示す単一粒子の高解像度TEM写真、図16(c)は、(CMC+NZVI)/カーボン粒子のSEM写真を示す。
【図17】図17は、CMC+NZVI+カーボンの形態を示しており、(a)はキャピラリー通過前、図17(b)はキャピラリー通過後である。
【図18】図18は、エアロゾルリアクタを示す。
【図19】図19は、一旦粒子を収集してから、水溶液中に分散させ、そこへ水素化ホウ素ナトリウムを加えて、酸化鉄及び水酸化鉄をゼロ価鉄に還元したものを示す。得られた粒子を示す。
【0053】
【図20】図20(a)は、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウムの構造を、図20(b)は、蔗糖の水熱脱水及び炭化により得た500nmのカーボン粒子のSEM写真を示す。図20(c)は、多機能粒子系の概略図であり、CMCが物理吸着され、NZVIを含むカーボン粒子を示している。赤色のドットは、溶液中でカーボンに吸着されたTCEを表わす。
【図21】図21は、潤滑特性を特徴付ける実験データを示しており、負荷に対する摩擦係数のプロットを含んでいる。2009年10月12日付Physlinkのウェブサイト:http://www.physlink.com/reference/FrictionCoefficients.cfmから引用した。
【図22】図22は、潤滑特性を特徴付ける実験データを示しており、負荷に対する摩擦係数のプロットを含んでいる。潤滑剤として硬質カーボン球(HCS)を使用することの有効性のデータを示す。
【図23】図23は、エアロゾルプロセスがどのように行なわれるかを示す。
【0054】
【図24】図24は、鉄で覆われたカーボン粒子の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図25】図25(a)−(e)は、Fe0−C粒子の透過電子顕微鏡写真TEMであり、図25(f)は、Fe0−C粒子の断面TEMである。NZVIがカーボン表面上に支持されていることを示している。
【図26】図26は、TCEの破壊速度が非常に速いことを示す。
【図27】図27は、速い反応をガスクロマトグラフィーによりトレースしたものである。
【0055】
【図28】図28は、カーボン(+鉄)粒子が、CMCの付加により安定化していることを示す。
【図29】図29は、エアロゾルプロセスにより様々な温度で製造された粒子のSEMを示す。
【図30】図30は、エアロゾルプロセスにより様々な温度で製造された粒子のTEMを示す。
【図31】図31は、エアロゾルプロセスにより様々な温度で製造された粒子の断面TEMを示す。
【図32】図32は、カーボン熱還元装置の概略を示す。
【0056】
【図33】図33(a)は、複合体合成に用いられるエアロゾルリアクタの概略図、図33(b)は、エアロゾル液滴中における反応の概略図を示す。
【図34】図34(a)は、エアロゾル法により調製したカーボンのTEM、図34(b)は、Fe/CのTEM、図34(c)は、Fe/Cの断面TEM、図34(d)は、Fe/CのSEMを示す。挿入写真はFe/Cの低倍率TEMである。
【図35】図35は、Fe/C複合体について、溶液からのTCE除去及び気体生成物の発生率を示す。M/M0は、元のTCEの残存率であり、P/Pfは、8時間後の気体生成物ピークに対する気体生成物ピークの比率である。
【0057】
【図36】図36は、ヘッドスペース分析の代表的なGCトレースであって、様々な反応時間におけるTCE分解と反応生成物の発生を示している。
【図37】図37は、フミン酸、エアロゾル法のプロセス(1000°C)由来のFe/C、及び市販の活性化カーボンの吸着能力の比較を示す。全ての実験において、20mlの20ppmTCE溶液、0.2gの粒子を使用した。
【図38】図38は、Fe/C複合体の沈降曲線であって、黒丸は、4%(w/w)CMC溶液中、白丸は水中におけるものである。挿入画像は夫々、24時間後のCMC溶液中、及び水中のFe/C複合体である。
【0058】
【図39】水平キャピラリー中での移動を研究するための実験設計図であって、写真は、充填キャピラリーを通る移動特性を示しており、上が水フラッシング前、下が水フラッシング後のものである。図のパネルは、水フラッシング後の様々な位置での粒子の光学顕微鏡写真を示しており、(i)はキャピラリーの中央、(ii)はキャピラリーの端部のガラスウール上である(全てのスケールバーは100μmである)。流速:0.1mL/分、砂の長さ:3cm、注入された懸濁液の体積:30μL、である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
<発明の詳細な説明>
本発明の実施形態の基礎となる幾つかの概念は、図11cに示されている。図11cは、NZVIが埋め込まれたCMCで装飾されたカーボン微小球の概略図を示している。発明者らの目的は、CMCの使用とカーボン微小球の使用とを組み合わせることであり、ポリマーを用いてNZVIの凝集を防止し、カーボンコロイドの溶液安定性を維持することである。アニオン性の高分子電解質としてCMCを用いることでコロイドの安定性を高めることが確立されており、疎水性表面上に吸着するCMCの能力は、十分に特徴付けされている[32A-34A]。同様に、CMCは、最近の研究において、石炭−水スラリーの分散剤として使用されている[35A]。このことは、CMCが、カーボン微小球を分散させる用途への適用可能性を示している。現在の用途において、以下の特性が利用できると考えられている:(1)CMCに支持されたNZVIは、TCE脱塩素化に対する活性を維持することができること;(2)活性化カーボンの吸着特性と同様、カーボン微小球はTCEを強力に吸着することによって、溶液TCE含有量を減少させることができること;(3)カーボン微小球のサイズ及び単分散性が、地下水中におけるこれら粒子の最適な移動を促進する可能性があること、である。更に、これらカーボン粒子はTCEバルク相への仕切りを容易に形成し、ポリマー、更にはNZVIについてもコロナをTCEバルク相の中に引き入れることができるものと発明者らは仮定している。また、これら材料は全て、容易に入手することができ、安価で、環境的に無害であり、カーボン微小球の溶液合成法は大量生産への拡張可能性がある。尚、六価クロムの修復の際の移動を向上させるためにCMCによりZVI−カーボンを安定化させるという概念、及び吸着剤としてのカーボンの使用可能性については、Mallouk及び共同研究者による文献[17A、37A]に記載されている。発明者らの方法が新規な点は、移動及びコロイド安定性を制御するために、高単分散性カーボンを使用すること、及びポリマーに付着したZVI粒子を使用し、反応と吸着とを対にして利用することである。
【0060】
ポリマーを官能化することは、通常は、ポリマーを粒子に化学的に付着させることを意味する。粒子は、ポリマーのコーティングを有するので、安定性について改質された特性を有する。ポリマーは、例えば、高分子電解質である。例えば、アニオン性の高分子電解質は、負に帯電され、同じポリマーにより官能化された他の粒子を反発する。従って、粒子が十分小さいと、2つの粒子が凝集体を形成することはなく、溶液中に懸濁状態で存在する。
【0061】
ポリマーを粒子に化学的に付着させる代わりに、ポリマーを粒子に単に物理的に吸着させるだけでもよい。結合は強くないが、ポリマーが粒子を包み込み、緩いコーティングを形成することができる。これは、高分子電解質で安定化させる簡単な方法であり、好適に用いることができる。
【0062】
[実験]
<化学物質>
蔗糖(ACS試薬)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC又はCMC、平均MW=90000、低粘度)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4、99%)、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム(K2PdCl6、99%)、及びトリクロロエチレン(TCE、99%)を含む化学物質を、Sigma-Aldrich社から購入した。硫酸第一鉄七水和物(FeSO4・7H2O、承認されたACS試薬)をFisher Scientific社から購入した。全ての化学物質は、更なる処理は一切せずに購入した状態で使用した。バーンステッド イーピュア清浄器(Barnstead E-pure purifier)(IA)で生成した脱イオン(DI)水(抵抗約18ΜΩ)を、全ての実験で使用した。
【0063】
<CMC安定化NZVI+カーボンコロイド粒子の調製>
カーボン支持体(carbon support)の調製は、2つのステップを有する:(a)水熱脱水ステップと、(b)熱分解(炭化)処理ステップである。プロセスは、文献[29A、30A]で報告されているものと同様であるが、少し変更を加えているので、簡単に記載する。0.15M蔗糖水溶液45mLを、50mLのステンレス鋼製オートクレーブ容器に入れ、次に、ステンレス鋼製キャップで閉じた。容器を190°Cで5時間加熱し、蔗糖を水熱処理した。得られた固体懸濁液を遠心分離し、エタノールで3回洗浄した。集めた粒子をフードの中に入れ、一晩空気乾燥させた。次の熱分解ステップにおいて、乾燥粒子をチューブ型炉の中に入れ、1000°Cにて5時間保存し、その間、アルゴンを流し続けた。得られたカーボン粒子を気密バイアルの中に保存した。カーボン微小球のBET表面積の測定結果は、320m2/gであった。
【0064】
CMC安定化NZVI+カーボンコロイド粒子の調製は、He及び共同研究者によって記載されたCMC安定化ナノスケールゼロ価鉄粒子の調製方法[18A、36A]に基づいて行なった。尚、カーボン成分を追加する変更を加えた。100mLの0.96%(w/w)CMC水溶液に、新しく調製した0.21M FeSO4・7H2O溶液10mLを混合し、N2雰囲気下で15分間攪拌し、Fe2+−CMC複合体を生成した。不活性状態を維持しながら、試料を三角フラスコに移し、0.42M水素化ホウ素ナトリウム溶液10mLを滴下し、次に、調製された一定分量のカーボン粒子0.6gを加えた。水素の発生が停止すると、密封されたフラスコを、ロータリーシェーカ上に60rpmで2時間載置し、CMC及びNZVIのカーボン表面上への吸着を促進させた。次に、懸濁液に触媒Pdとして、100μlの0.0057M K2PdCl6を加えた。その結果、本研究で用いたCMC安定化NZVI+カーボンコロイド粒子の最終組成は、CMCが0.8%(w/w)、NZVIが1g/L、Pd(NZVIのw/w)が0.05%、カーボンが5g/Lである。
【0065】
カーボンに支持されたNZVI粒子を、吸着されていないCMC+NZVIから分離するために、Eppendorf Centrifuge 5800を用いて懸濁液を4000rpmで10分間遠心力を作用させ、カーボンと、付着したCMC+NZVIを沈殿させた。上澄みの鉄成分を、1,10−フェナントロリンと錯体を形成した後、[Fe(phen)3]2+の吸光度測定により、508nmで分析した[37A、38A]。明細書中で報告する実験では、40%のNZVIがカーボンと共に沈殿し、残りのNZVIは、吸着していないCMCに付着していた。カーボンに付着したNZVI+CMCの割合は、カーボンを加えることによって容易に増大させることができる。例えば、カーボン量を10g/Lに倍増すると、70%を超えるNZVI+CMCがカーボンに付着する。カーボンを増量することにより、70パーセントより多いロットを得ることができる。CMCのカーボンへの吸着を高めるのに、他の方法もある。例えば、CMCをカーボン粒子に加え、材料を遠心分離して、カーボンと、付着したCMC+NZVIを沈殿させる。残りの上澄みを蒸発させて、溶液中のCMCをカーボンに強制的に吸着させるのである。このような方法を用いる場合、カーボンに吸着したCMC+NZVIの割合は、単一体(unity)に近くなる。
【0066】
発明者らはまた、He及び共同研究者の方法[18A、28A、36A]を用いて、参照試料として、カーボンを加えずにCMC安定化ゼロ価鉄を調製した。
【0067】
<特性評価>
透過電子顕微鏡(TEM、JEOL 2010、120kVの電圧で使用)と電界放射型走査電子顕微鏡(SEM、日立S-4800、20kVで使用)を用いて、粒子の形態を特性評価した。光学顕微鏡(オリンパスIX71、日本)を用いて、多孔質媒体中の粒子の最終状態を分析した。マルバーンナノサイザー(マサチューセッツ州、サウスボロ)を用いて、ξ−ポテンシャルにより表面電荷密度を測定した。
【0068】
<分析>
TCE脱塩素の有効性を、一連の反復バッチ実験において試験した。全ての試験において、NZVI及びTCEの濃度を、1g/L及び20ppmに維持した。詳細に説明すると、新しく調製したCMC+NZVI/カーボン又はCMC+NZVIコロイド粒子20mLを40mLバイアルに加え、Mininertバルブで蓋をした。TCE保存溶液(メタノール中20g/L TCE)20μLを、ナノ粒子含有溶液中に投入することによって、TCEの分解を開始させた。TCEの初期濃度は20ppmであった。J&W Scientificキャピラリーカラム(30m×0.32mm)及びフレームイオン化検出器(FID)を搭載したHP 6890ガスクロマトグラフィー(GC)を使用して、ヘッドスペース分析により反応を監視した。試料を220°Cでスプリットレス注入した。75°Cのオーブン温度で2分間保持したところ、25°C/分の速度で150°Cまで上昇させ、最終的に150°Cで10分間保持し、TCE、塩素化反応生成物、及び非塩素化反応生成物の間で適切なピーク分離が得られた。
【0069】
[結果及び考察]
<吸着及び反応性の研究>
図12は、溶解TCEと接触した際の、鉄含有コロイド系の反応特性を示す。発明者らは、これら系の反応性を理解するために、3つの事例を検討した。第1の事例(図12a)では、カーボンに付着したCMC+NZVIと、カーボンフリーのCMC+NZVIの両方を含む系全体の反応性を測定した。これをCMC+NZVI+カーボン(系I)と称する。検討した第2の事例(図12b)は、カーボンフリーの系、CMC+NZVI(システムII)の反応性を測定する対照である。第3の事例(図12c)の試料は、カーボンに付着したCMC+NZVIだけを検討した状況を表す。この試料は、事例I中の試料を遠心分離することによって得られたもので、カーボンに強く吸着したCMC+NZVIが沈殿し、カーボンフリーのCMC+NZVIは上澄み中に残っている。発明者らは、カーボンフリーのCMC+NZVIが無いこの系を(CMC+NZVI)/カーボン(系III)と称し、カーボン支持の特徴を明らかにする。3つ全ての事例において、NZVI(及びPd)含有量は一定に維持し、20mLの溶液中、20mgである。NZVI(及びPd)含有量を一定に保つために、系IIIでは、(CMC+NZVI)/カーボンのレベルは比例的に増加させている。即ち、系I中のCMC+NZVIは40%がカーボン上に吸着されるので、カーボンは2.5倍増加している。
【0070】
図12を参照すると、観察結果が直ちに明らかである。カーボンを有する試料は、溶液中のTCE濃度の初期減少が非常に鋭いことを示している。これは、反応によるもので無いことは明らかであり、TCEのカーボン微小球上への急速な吸着によるものである。カーボンの付加と初期溶液TCE濃度がこれらレベルでは、実験誤差範囲内で、ほぼ全ての溶液相TCEがカーボン上に吸着されている。気相生成物の発生は、TCE溶液濃度の低下よりも大幅に遅く、吸着+反応シーケンスにおいて、反応は、遅いステップであることを更に示している。従って、反応が律速的であると仮定すると、擬一次速度定数を計算することは可能であり、反応A→Bにおける気相生成物(B)を1つにまとめて、これをTCE(反応物A)の損失に関連付けることにより行なうことができる。生成物発生データに有意な相違はないから、一次速度定数は、3つ全ての事例において約2.1h-1である。このことは、TCEがカーボンフリー溶液内にあろうと、カーボン上に吸着されようと、ZVIは、TCEに等しく接近可能であることを示している。反応速度は、H2の解離性化学吸着に関与するPdの触媒的な役割に大きく依存している。Lien及びZhangの研究[39A]について、発明者らもまた、Pdの不在下で、TCEの分解速度が2桁以上低下することを観察した。図12の結果から明らかなように、TCE吸着時に反応速度の抑制は示されていないので、TCEの吸着/脱着ステップを、NZVI及びPd複合体上でのTCE脱塩素と関連付けられた表面反応によって制御される全体速度と平衡にあるものとして考えることができる[39A]。本発明者らは、ここで提案する吸着性−反応性系が、反応による汚染除去に加えて強力な封鎖機構(sequestration mechanism)をもたらすので、TCE修復によく適していると考える。
【0071】
カーボン微小球に関わる吸着特性の更なる特性評価を図13に示す。全ての実験において、20ppm TCE溶液20mLを使用した。この溶液に加えたCMCは0.16gであり、微小球、又は顆粒状活性化カーボンとしてのカーボンレベルは0.1gであった。概して、CMCとカーボンの重量比は1:1乃至100:1である。つまり、カーボン質量が50mg/Lである場合、1:1の比ではCMCは50mg/L、100:1の比ではCMCは5000mg/Lである。CMCが増えるにつれ、溶液安定性が増す。TCEのCMCへの吸着は、カーボン微小球への吸着と比較すると、無視できる程度であり、CMCの存在は、カーボン微小球への接近又は吸着を阻害しないことは明らかである。CMC+カーボン微小球の吸着は、CMCの追加により、純粋カーボン微小球の吸着よりも少し多い。最後に、カーボン微小球への吸着レベルは、市販の顆粒状で不規則形状の活性化カーボンへの吸着レベルと同等である。
【0072】
発明者らはまた、Phenrat及び共同研究者[40A]の包括的な定義式を用いて、カーボン微小球へのTCE吸着に対する仕切係数を計算した:
【0073】
【化4】

【0074】
ここで、CadsTCEは、吸着剤上でのTCE濃度(mol/L)であり、CwaterTCEは、水相中でのTCE濃度(mol/L)であり、CAirTCEは、ヘッドスペース中でのTCE濃度(mol/L)であり、Vhsはヘッドスペースの容積(L)、Vwaterは水の容積(L)であり、Madsは、吸着剤の質量(g)であり、ρadsは、吸着剤の濃度(g/L)である。下付き文字ref及びadsは、吸着剤が無い系と吸着剤が有る系を表す。ΚTCE'Hは、水中でのTCEの仕切りに関するヘンリー定数であり、25°Cで0.343の値である[8A]。CMC上へのTCE吸着に関する測定仕切係数は14.5であり、Phenrat及び共同研究者[40A]が測定した値とほぼ一致する。一方、カーボン上へのTCEの吸着に関するΚpは3913であり、吸着能力が約300倍増大している。
【0075】
<安定性及び仕切特性>
NZVIをベースにした系のコロイド安定性は、地下水中の移動可能性(transportability)を評価する上で重要な要因である[41A]。図14は、カーボンをベースにした系の懸濁液及び仕切特性の簡単な視覚研究結果を示す。試料をプローブ超音波処理し、混合を促進して、平衡化させた。図14(a)は、水中における試料の懸濁液安定性を示しており、CMCがカーボン粒子を安定化させることは明らかである。全ての懸濁液は、水中では安定しており(>3日間)、有効なコロイド分散剤としてのCMCの安定化効果[18A、28、42A]を実証するものである。図14(b)は、カーボンを導入した系(図12の系I)の例であって、バルクTCE相がバルク水相と接触したときの顕著な効果を示す。左側は、CMC+NZVIの系であり、水相中で懸濁液安定性を維持している。しかしながら、右側では、系が、TCE相と水−TCEの界面に完全に仕切りを設けていることがわかる(詳しく調べると、密度のより高い層が界面に見られる)。この結果は、バルクTCEに仕切りを形成する系の能力を示しており、疎水性カーボンが有機相との仕切りとなる性質によるものである。従って、カーボンの追加は、水を通って移動するときに溶解TCEを封じ込めて(sequester)、バルクTCEに達するとTCE相に仕切りを設ける作用があり、これよって、バルクTCE相中で安定化する。発明者らはまた、親水性のCMCが、TCE相中に運ばれて水和することにより、水はNZVI+Pd複合体に容易に利用できるようになり、水素生成を促進すると仮定する。CMC+カーボンを組み合わせた系は、界面活性剤ミセルと同様な機能を有し、カーボンは固体の疎水性コアとして、CMCは親水性シェルとしての役割を果たす。
【0076】
カーボンを安定化させるCMCの役割は、ξ-電位測定によっても示される。ξ電位の測定に際しては、地下水の電解質の濃度範囲に関する情報を得るために、0.8wt%のCMC(8g/L)と25mg/Lのカーボンを含有する溶液を、様々なNaCl濃度で調製した。以下の表1は、これら系のξ電位を示す。ξ電位の広範な区分[43A]に基づくと、むき出しのカーボンは値は約−6.3mVで、系がコロイド的に安定していないことを示し、CMC安定カーボンの値は、系が、研究した電解質濃度に亘って安定していることを示している。目視観察すると、むき出しのカーボン粒子は、2−3時間で沈殿するが、CMC安定化粒子は、溶液中で安定したままであり、3日を超えると極く遅い速度で堆積が観察された。
【0077】
表1:様々な電解質濃度におけるCMC+カーボン系のξ-電位の比較。
【0078】
【表1】

【0079】
<移動特性>
ろ過理論により、土壌等の多孔質媒体を通るコロイド粒子の移動は、典型的には、ブラウン拡散、遮断及び重力沈降によって決定されると予測される[44A]。Tufenkji-Elimelech (T-E)モデルは、これらの影響を、粒子間相互作用の存在下で定量的に説明するおそらく最も包括的なモデルであり[45A]、コレクタ効率η0は、移動する粒子を収集し、地下を通る移動を制限する堆積物粒の能力として簡単に定義される。堆積物を通る可動性は、コレクタ効率が最小値であるときに最適であり、この最適な効率が得られるのは、粒子の物理的特性及び地下水の流れ特性に依存するが、典型的には、粒径が約0.1μmから1μmの広い範囲で得られる[17A、23A、45]。非常に小さな粒子は、流れラインに簡単に従わず、ブラウン運動により堆積物の粒と頻繁に衝突するので、土壌を通って簡単に移動しないし、大きな粒子は堆積して、フィルタで除去される。カーボン粒子のサイズ範囲が500nm乃至5μm(約50nm乃至6μm;好ましくは200nm乃至6μm;より好ましくは200nm乃至1.5μm、更に好ましくは300乃至700nm;最も好ましくは400乃至600nm;例えば、500nm)の範囲のとき、T−E式を通じて最適な可動性を示す。吸着ポリマーのコロナについては、有効サイズは幾分大きいが、それでもコレクタ効率値の十分最適範囲内である。
【0080】
CMC+NZVI+カーボン系のキャピラリー移動実験を行なって、この系の移動特性を調べた。これは、多孔質媒体を通る粒子移動を研究するのに簡単でわかりやすい方法であり、発明者らのこれまでの研究[23A]に記載されている。簡単に言うと、両端が開口したガラス融点管(内径1.5−1.8mm、長さ100mm、NY、コーニング)をキャピラリーとして用いた。キャピラリー管を3cmの長さに亘って湿ったオタワ砂で充填し、水平に載置して地下水の流れをシミュレートした。流速0.1mL/分(ダルシー速度:5cm/分)の連続的な水の流れを、シリンジポンプによって供給した。キャピラリーの出口位置を、小さなガラスウール栓で蓋をした。30μLのCMC+NZVI+カーボン懸濁液をキャピラリーの入口に注入した後、水フラッシングを開始し、倒立光学顕微鏡を用いて粒子の細孔スケールの移動を観察した。図15は、CMC+NZVI+カーボンコロイドを含むキャピラリーの写真を示しており、水フラッシング前、水フラッシング中、及び水フラッシング後の写真である。画像を見ると、カーボンに支持されたNZVI粒子は充填キャピラリーを通って容易に移動し、ガラスウール中に捕獲されることを示している。これに対し、発明者らの先の研究では、むき出しのNZVI粒子は凝集し、キャピラリーを通って移動しなかった[23A]。
【0081】
T−Eモデルで表わされるコレクタ効率の概念に加えて、粒子と土壌粒の表面とのブリッジ形成及び付着は移動に影響を及ぼす。このような現象は、典型的には、粘着係数(α)によって表わされ、これは主に、キャリア粒子と堆積物間の静電相互作用によって影響される[17A、46A、47A]。空塔速度(superficial velocity)が8.3×10-4m/sのキャピラリー系における発明者らの溶出試験では、ほぼ全ての粒子がキャピラリーを通って溶出することを示している。粘着係数の計算(裏付ける情報)では、値が0.03−0.08の範囲では97−99%が溶出することを示している。Phenrat及び共同研究者は、高分子電解質で改質されたNZVI粒子が充填カラムを通って溶出する包括的な研究を行なっており、粘着係数を10-2乃至10-3の範囲と仮定している[47A]。この結果によれば、高分子電解質で改質されたNZVIの移動は、T−Eによってモデル化されたろ過理論によって制御されることを示唆している。カーボン粒子はCMCで覆われているので、発明者らは、同じ結論が、可動性を支配するT−E方程式にも当てはまることを提案する。キャピラリーを通る効率的な移動は、砂粒への付着を無視できる程度であることを示唆している。
【0082】
<粒子特性>
これら多機能性粒子系の形態及び微細構造を、透過電子顕微鏡及び走査電子顕微鏡によって分析した。図11(a)及び図11(b)に示すように、水熱及び熱分解プロセスを介して調製したカーボン粒子は、単分散性で、一様であり、球状で粒径は約500nm乃至5μm(約50nm乃至6μm;好ましくは200nm乃至6μm;より好ましくは200nm乃至1.5μm、更に好ましくは300乃至700nm;最も好ましくは400乃至600nm;例えば、500nm)であり、文献[29A]と一致している。図16(a)及び図16(b)は、NZVI含有CMCで包まれたカーボン粒子である(CMC+NZVI)/カーボン系のTEMを示す。鉄の電子密度が大きいためにNZVI粒子は明瞭に視覚化されている。図16(c)は、複合粒子のSEMでむき出しのカーボンとは形態が明らかに異なることを示している。しかしながら、ポリマー+NZVI層の画像化及び金コーティングの前にこの系を乾燥させることで幾分人工的な画像が作成されるので、発明者らは、SEMが系を正確に表しているとは考えていない。それでもやはり、純粋カーボン微小球とは明らかに異なる粒子斑点表面の証拠がある。
【0083】
図17は、キャピラリーの中を移動する前と後のCMC+NZVI+カーボン系のTEM画像である。2つの図が類似していることは、カーボン微小球が、NZVIが入れられたCMCを、堆積物の中を通って移動することができるという仮説に対する裏付けとなる。発明者らが評価する代替技術は、カーボン微小球上へNZVIを実際に固定化し、その後CMCにより系を安定化させることである。発明者らはまた、カーボン微小球の系を、NZVIが付着した他の高分子電解質に、又は市販の材料(例えば戸田工業株式会社製の改質反応性ナノスケール鉄粒子(M−RNIP))に、容易に外装可能(extrapolate)であることに注目する。発明者らが所有する市販のナノスケール鉄粒子は、時間の経過によりその活性を喪失した(鉄は時間が経つと酸化されるので、当然である)。しかしながら、発明者らは、CMCを使用することにより、鉄粒子をカーボン粒子と共に安定化させることができる。更なる実験の後、発明者らは、水素化ホウ素ナトリウムを用いて、市販のナノスケール鉄粒子を再び活性化させることができた。鉄をゼロ価状態に維持しておくと、修復プロセスが促進される。
【0084】
要約すると、本発明は、TCE等のDNAPLを修復するための、多機能CMCで安定化されたNZVI+カーボン微小球をベースにしたコロイド系を含んでいる。系は、TCEの封鎖と分解を同時に行ない、地下を通る移動性及びTCE相への仕切り形成が容易である。調製プロセスが簡単で、安価な前駆体で作製されることができ、溶液プロセスとして容易にスケールアップできることを考慮すると、系は、実地で試験できる見込みがある。このような研究は、系全体の適用可能性を評価するために行なう必要がある。カーボンベースの系は、反応性バリアの用途にも適用可能である。
【0085】
水熱脱水を使用した第1の技術は、均一なサイズの粒子(単分散粒子)を生成する。単分散粒子は、潤滑用途に極めて有用である。しかしながら、大量の材料が必要とされるTCE脱塩素化用途にとって、この技術は効率的ではないと考えられる。エアロゾル法を使用する第2の技術は、ゼロ価鉄をカーボン粒子の上/中に有するカーボン粒子を調製するのにはるかに効率的である。しかしながら、粒子は単分散性ではなく、通常、サイズ分布は100nmから2000nmである。粒径は、地下水飽和堆積物を粒子が移動するのに最適な範囲内である。従って、エアロゾル法は、TCEの脱塩素化用途に非常に有用である。
【0086】
技術II:
[実験方法]
<材料>
蔗糖(ACS試薬)、塩化第二鉄六水和物(FeCl3・6H2O)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4、99%)、及びトリクロロエチレン(TCE、99%)を含む化学物質を、Sigma-Aldrich社から購入した。硫酸(H2SO4、認証ACSプラス)を、Fisher Scientific社から購入した。全ての化学物質は、更なる処理は一切せずに購入した状態で使用した。バーンステッド イーピュア清浄器(IA)で約18ΜΩの抵抗となるように生成した脱イオン(DI)水を、全ての実験で使用した。
【0087】
<試料の調製>
典型的な合成例として、7.0gの蔗糖及び3.0gのFeCl3・6H2Oを35mLの水に溶解した。この溶液に、0.7gの濃H2SO4を加えた。図18に示す装置においてエアロゾル法を行なった。初めに、前駆体を霧化してエアロゾル液滴を形成し、次にこれを乾燥ゾーンで予備的な溶媒蒸発を行ない、加熱ゾーンで糖炭化を行なった。加熱ゾーンの温度は300°Cに保持した。得られた粒子を100°Cに保持されたフィルタで収集した。図18は、溶媒蒸発及び糖炭化によって封じ込められた鉄種を含有するエアロゾル液滴の固化反応を表わす。
【0088】
合成されたままの粒子中の塩化第二鉄を液相NaBH4還元によりZVIに還元した。具体的には、粒子0.5gを15mLの遠心分離バイアルの中に入れた後、NaBH4水溶液(30g/L)を10mL滴下した。水素の発生が停止すると、粒子を遠心分離し、使用前に水で数回洗浄した。
【0089】
<特性評価>
透過電子顕微鏡(TEM、JEOL 2010、120kVの電圧で使用)及び電界放射型走査電子顕微鏡(SEM、日立S-4800、20kVで使用)を用いて、粒子の形態を特性評価した。Siemens D 500回折計を使用し、1.54ÅのCuKαを放射してX線粉末回折(X
RD)を行なった。粒子の多孔性を、77Kの窒素吸着法により測定した(Micromeritics、ASAP 2010)。試料は、測定前に200°Cで脱気した。ブルナウアー−エメット−テラー(BET)式を用いて比表面積を決定した。
【0090】
<分析>
TCE脱塩素の有効性を、バッチ実験において試験した。具体的には、還元後の粒子0.5gを、20mLの水に分散させ、40mL反応バイアルに入れ、Mininertバルブで蓋をした。このバイアルにて、20μLのTCE保存溶液(メタノール中20g/L TCE)をナノ粒子含有溶液の中に加えて、TCEの初期濃度を20ppmとした。J&W Scientificキャピラリーカラム(30m×0.32mm)及びフレームイオン化検出器(FID)を装備したHP 6890ガスクロマトグラフィー(GC)を使用し、ヘッドスペース分析により反応を監視した。試料を220°Cでスプリットレス注入した。オーブン温度を75°Cで2分間保持し、25°C/分の速度で150°Cまで上昇させ、最終的に150°Cで10分間保持し、TCE、塩素化反応生成物、及び非塩素化反応生成物の間で適当なピーク分離を獲得した。
【0091】
図23は、技術IIについてエアロゾルプロセスがどのように行なわれるかを示す。図24は、鉄で覆われたカーボン粒子の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。鉄が針の形態であることに留意すべきである。図25は、解像度(倍率)を「e」まで増加させたときの粒子の透過電子顕微鏡写真(TEM)である。尚、ここでも針の形態であり、倍率を上げて針に焦点を当てている。針状の形態はかなり独特のものである。「f」は、発明者らが断面TEMを行なったもので、鉄はカーボン粒子の外側に存在しているだけのように見える。尚、カーボン粒子は単分散性でないことにも留意すべきである。
【0092】
図26は、TCEの破壊が極めて急速であること(8時間で行なわれた)を示しており、この技術独特の特徴である。TCEの突然で鋭い減少は、カーボンへの強い吸着のためである。図26は、Fe−C粒子について、溶液からのTCE除去、及び気体生成物の発生率を示す。M/M0は、元のTCEの残存率であり、P/Pfは、8時間後の気体生成物ピークに対する気体生成物ピークの比率である。正規化された速度定数は、ゼロ価鉄の質量(0.079g。これは、Fe−C粒子全体に対して、15.8wt%である)に基づいている。
【0093】
図27は、速い反応をガスクロマトグラフィーによりトレースしたものである。粒子と接触する前の時間0のとき、大きなTCEピークが見られる。TCEが粒子と接触すると直ちに、TCEピークが低下し(吸着に起因する)、生成物が増加し始める。終了時(8時)には、生成物と極く僅かなTCEが見られるだけである。図28において、カーボン(+鉄)粒子は、CMCを加えることで安定化することが示されている。この図に示されるバイアルは、(a)時間=0、及び(b)時間=24時間のときのもので、水中及びCMC溶液中にエアロゾルFe−C複合体が入っている。粒子濃度は0.25g/Lであり、CMC濃度は40g/L、4%wtである。
【0094】
パラジウム又は他の触媒は必要でないが、それは、鉄粒子の形態が、円形状ではなく針形状であって、より高い反応性をもたらすためと思われる。しかしながら、プロセスをスピードアップするために、Pd又は他の触媒を加えることもできる。
【0095】
技術IIは、以下の理由により非常に有望であると思われる:(a)エアロゾル法により高処理量が得られること;(b)反応性が相対的に大きいこと;(c)Pd又は他の触媒(高反応性による)を回避できること、である。
【0096】
発明者らは、比較的高い反応性、形態学的観察、及びスケールアップの問題の理由を理解するために研究を続けている。発明者らが選択した系は、環境への影響に研究の主たる焦点を当てている(上流−製造の問題、下流−環境の最終状態及び移動)。
【0097】
[塩素化炭化水素の環境修復のために有効な、カーボンに支持されたゼロ価鉄粒子を調製するエアロゾル法]
本発明はまた、塩素化炭化水素の環境修復に有効な、カーボンに支持されたゼロ価鉄粒子を調製するエアロゾル法を含んでいる。
【0098】
提案する製造ステップは以下の通りである。
【0099】
1.エアロゾルリアクタ又は従来型の噴霧乾燥機の技術の使用。エアロゾルリアクタは、液体をチャンバ内に吸い込み、そこで液滴にするものである。噴霧乾燥機は、空気を用いて、物質をノズルを通じてチャンバ内に押し込み、窒素又はArで乾燥させるものである。フィードストリーム(feed stream)は、一般的な糖(蔗糖)や種々のあらゆる単糖類又は多糖類(ブドウ糖、セルロース、デキストリン)と希硫酸であり、脱水を可能とする。また、鉄前駆体(例えばFeCl3)をフィードに加えることが好ましい。フィードストリームは、ノズルを通じてエアロゾル化され、次に、100乃至400°Cの温度に維持した炉内の加熱ゾーンを通過する。加熱ゾーンを通過する間に、液滴が蒸発し、糖が脱水される。
【0100】
図18は、エアロゾルリアクタを示す。
【0101】
加熱ゾーンの出口にて、粒子はフィルタ上に集められる。排気が通気孔から行なわれる。プロセスは半連続的であり、スケールアップして大量の粒子を生成することができる。
【0102】
2.集められた粒子は、水溶液中に分散させ、そこへ水素化ホウ素ナトリウムを加えて、酸化鉄及び水酸化鉄をゼロ価鉄に還元する。得られた粒子を図19に示す。水素化ホウ素ナトリウム溶液の代わりに、ヒドラジン(但し、毒性がある)を使用することができるし、種々のポリフェノールを使用することもできる。ポリフェノールを使用することは既に知られている。但し、発明者らはまだポリフェノールを試していない。
【0103】
これらの粒子はTCEに対して反応性が高く、TCEを極めて容易に分解する。粒子は、塩素化炭化水素の強力な吸着剤でもある。
【0104】
3.これらの粒子を安定化させるために、発明者らはカルボキシメチルセルロース(CMC)等の高分子電解質を加えた。高分子電解質は、粒子を地中に注入する直前に、鉄及びカーボンに加える。高分子電解質は、最初に鉄と混合し、その後でカーボンに加えることもできる。CMCの代わりに使用できる生分解性高分子電解質として、例えば、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、及び修飾キトサンがある。ゼラチン及びキサンタンガムを使用することもできる。合成ポリマーとして、ポリ(アクリル酸)及びポリ(スチレンスルホネート)が挙げられるが、これらは生分解性でない。粒子はその後、水中で極めて安定し、地下水と共に汚染サイトへ移動する。次に、粒子は、バルクTCE相との仕切りとなる。
【0105】
エアロゾル法の前駆体糖として次のものを挙げることができる:
1.蔗糖、ブドウ糖、果糖、シクロデキストリン等の単糖類;
2.セルロース、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、澱粉等の多糖類。
【0106】
<先に開示した実施形態との相違>
1.本実施形態は、鉄とカーボンを1ステップで一緒に調製する手順である。これに対し、先に記載した実施形態は、最初にカーボンを別途調製してから、カーボンをCMC+鉄に加えるものである。
【0107】
2.この実施形態は、半連続的な系(エアロゾルリアクタ又は噴霧乾燥機)において行なわれるので、先の実施形態よりもスケール調整が簡単である。先の実施形態は、溶液化学を含むバッチプロセスである。しかしながら、先のプロセスは、溶液ベースであるため、希硫酸を使用していないので、少し安全である。しかしながら、エアロゾル法の場合、実地利用に必要な大量製造のためにスケールアップすることが非常に容易である。
【0108】
3.TCE破壊の反応速度に関して、新しい手順(即ち、エアロゾルの手順)は、先に記載した手順(即ち、水熱プロセス)と比較して、極めて速い。2つの手順の反応速度は、パラジウムがない場合には、実質的に異なる。2つの手順の反応速度は、パラジウムを加えると同一性が高くなる。
【0109】
4.エアロゾルプロセスは、鉄をカーボンによりしっかりと封じ込める。エアロゾル法以外では、鉄はカーボンから容易に分散する。
【0110】
エアロゾルプロセスが鉄粒子とカーボンとの間に強い接着接触をもたらすのは、液滴が蒸発するときに鉄ナノ粒子をカーボンに本質的に付着させるためであるという仮説がある。また、他の技術として、ナノ粒子をカーボン上に置くのは効果的ではないとする文献がある[例えば、Schrick, B.; Hydutsky, B. W.; Blough, J. L.; Mallouk, T. E., Delivery Vehicles for Zerovalent Metal Nanoparticles in Soil and Groundwater. Chem. Mater. 2004, 16, (11), 2187-2193]。
【0111】
<塩素化炭化水素の原位置修復のためのエアロゾル法ベースのプロセスによる多機能性鉄−カーボンナノ複合体>
近年、環境利用にとって独特の反応性及び多機能性のナノ材料を開発し、合成するための鋭意努力が行なわれてきた[1C-9C]。例えば、ナノスケールゼロ価鉄(NZVI)粒子を用いることは、トリクロロエチレン(TCE)等の塩素化有機汚染地下水の修復に有望な方法である[10C-12C]。従来のミクロスケールの顆粒状の鉄粉と比較して、NZVI粒子を使用することの利点として、表面積が大きいために高い反応性が得られること、及びコロイド安定性を有し、スラリーとして懸濁し、地中に注入されることができることが挙げられる[13C-16C]。しかしながら、NZVI粒子は特有の強磁性を有するため、凝集を起こすので、効率的な現場技術を開発することは、依然として困難である[17C-19C]。
【0112】
塩素化合物の現場分解に効果的な系の設計において、いくつかの基準が満たされる必要がある。このような系は、大きな可動性をもって地中を移動し、疎水性TCEに対する親和性を示し、汚染物質を効率的に分解することができなければならない。地中でのコロイド可動性は、ブラウン運動、土壌及び堆積物粒による遮断、並びに堆積効果の競合メカニズムによって決定される[20C]。Tufenkji-Elimelchモデルは、流体力と、コロイド粒子及び堆積物粒間のファンデルワールス相互作用との影響を考慮するもので、典型的な地下水流れ条件では、粒子のサイズ範囲が0.1乃至1.0ミクロンのときに可動性が最も大きいことを予測する[21C-23C]。また、疎水性有機汚染物質が毛細管力及び吸着により土壌粒に保持されることを考慮すると[22C]、これら粒子は、吸着による封鎖と、その後のTCEの分解との組合せによって、溶解TCEの濃度が低下すれば、有利であろう。一般に、NZVI粒子の可動性の向上は、親水性若しくは両親媒性の有機種(界面活性剤、植物油、澱粉等)、又は高分子電解質(カルボキシメチルセルロース(CMC)及びポリ(アクリル酸)(PAA)等)、又はトリブロックコポリマーが、NZVI粒子表面へ吸着することによって、行なわれる[18C、22C、24C-28C]。これら吸着された有機物は、NZVIの凝集を抑制し、立体的障害及び/又は静電的反発力によって溶液安定性を向上させる[29C、30C]。或いはまた、活性カーボン顆粒(1−3mm)等の支持材料上にNZVIを固定化することは、ナノスケールゼロ価鉄粒子の凝集を抑制する効果的な方法である[31C]。カーボンとの複合体は、カーボンが塩素化合物を吸着するので、修復技術において強力な吸着剤として用いられており、これらの材料は、吸着性−反応性バリアの開発に使用されてきた[32C、33C]。カーボンの使用について、Shrick及び共同研究者による先駆的な論文の中に、凝集を防止し、反応及び移動を促進するのに、カーボンブラックがゼロ価鉄の添加剤として有用であることが記載されている[22C]。
【0113】
発明者らの研究室の最近の研究において、糖の水熱脱水及び熱分解から得た単分散カーボン粒子をゼロ価鉄の支持体として調製した[34C]。プロセスは実現可能であり、有効な系に到るが、Fe−カーボン複合体の調製のプロセスは、複数のステップである。これは、塩素化合物の分解に必要な反応、吸着及び移動特性を得るためのゼロ価鉄含有多機能粒子系を容易に調製することができる。また、粒子系は、安価な前駆体から半連続的な方法により得られ、この方法では、最終的に現場利用に必要な大規模合成が可能である。粒子は、カーボン微小球に支持されたNZVIを有し、前駆体として安価な糖を用いたエアロゾル法により合成される。これまでの研究により、エアロゾルをベースにした技術は、サイズ範囲がサブミクロン(通常、100−800nm)のシリカ粒子を調製するための簡単な方法であることが実証されている[23C、35C-37C]。本発明において、発明者らは、ゼロ価鉄がカーボン球上に支持されたカーボンベースの機能性ナノ複合体を生成するエアロゾルベースの技術を発展させた。研究の前提条件は、次の通りである:(i)NZVIをカーボン球上に固定化しても、ZVIを凝集し難くすると共に反応性を維持できること;(ii)エアロゾルベースのプロセスによって生成したカーボンが、TCEのな強力な吸着剤として作用し、ZVI反応サイトでのTCE濃度を局所的に高めることで、反応の駆動力(driving force)を向上させることができること;(iii)エアロゾルベースのプロセスが、このような多機能性の吸着性−反応性材料を、堆積物中を移動するのに最適なサイズ範囲内に合成する効率的な方法であること、である。また、エアロゾルプロセスは半連続的な性質を有するため、スケールアップの実現可能性がある。高密度非水相塩素化合物の還元的脱塩素化において使用するための多機能材料を1ステップで調製する方法は、発明者らの知る限りにおいて初めてである。
【0114】
[実験の部]
<材料>
蔗糖(ACS試薬)、塩化第二鉄六水和物(FeCl3・6H2O)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4、99%)、及びトリクロロエチレン(TCE、99%)を含む化学物質を、Sigma-Aldrich社から購入した。硫酸(H2SO4、承認されたACSプラス)を、Fisher Scientific社から購入した。全ての化学物質は、更に処理することなく、購入状態のままで使用した。実験では、バーンステッド イーピュア清浄器(IA)により約18ΜΩの抵抗に生成した脱イオン(DI)水を使用した。
【0115】
<試料の調製>
エアロゾル法の技術を用いて、鉄−カーボン複合体を調製した。典型的な合成において、7.0gの蔗糖及び3.0gのFeCl3・6H2Oを35mLの水に溶解した。この溶液に、0.7gの濃H2SO4(2%w/v)を加えた。糖の脱水用の触媒としてH2SO4を用いることは、低温で炭化させる場合にのみ必要となる。得られた溶液を撹拌下で30分間時効し、溶液を完全に混合した。エアロゾル法において、初めに、前駆体を霧化してエアロゾル液滴を形成し、次に、不活性ガス(N2)をキャリアガスとして加熱ゾーンの中を通過させ、加熱ゾーン中で、溶媒蒸発及び炭化を行なう。キャリアガスの流量は2.5L/分であり、加熱は、炉長さが38cmの100cm管の中で行なった。空塔速度は2.7cm/Sである。加熱ゾーンの温度は350°Cに保持した。得られたFe塩/カーボン粒子を100°Cに保持されたフィルタ上に収集した。
【0116】
以前に報告されているように[1OC、37C]、合成状態のFe塩/カーボン粒子中の第二鉄塩を、液相NaBH4による還元によりZVIに還元した。具体的には、ろ紙から収集した0.5gの粒子をバイアルに入れた後、0.8M NaBH4水溶液10mLを滴下した。水素発生の停止を目視で確認した後、粒子を遠心分離し、使用前に水で十分洗浄した。対照試料は、エアロゾルベースの方法で調製したむき出しのカーボン粒子の試料で、鉄前駆体を使用していない。
【0117】
<特性評価と分析>
透過電子顕微鏡(TEM、JEOL 2010、200kVの電圧で使用)と電界放射型走査電子顕微鏡(SEM、日立S-4800、20kVで使用)を用いて、粒子の形態を特性評価した。Siemens D 500回折計を用い、1.54ÅのCuKα放射線によりX線粉末回折(XR
D)を行なった。Scienta ESCA-300高解像X線光電子スペクトロメータ(HR−XPS)
を用いて、X線光電子分光(XPS)を行なった。3.8kWでKα X線ビームをAl
回転アノードから発した。光学顕微鏡(オリンパスIX71、日本)を用いて、充填キャピラリーを通る複合体の移動特性の特徴付けを行なった。分析のために、TCE脱塩素の有効性を、バッチ実験において試験した。具体的には、エアロゾル法のFe/C複合体0.5gを、水20mLの中に分散させ、40mL反応バイアルの中に入れ、Mininertバルブで蓋をした。このバイアルに対し、TCE保存溶液(メタノール中20g/L TCE)20μLを投入し、TCEの初期濃度を20ppmとした。発明者らのこれまでの研究[38C、39C]に記載した手順を用いて、ヘッドスペース分析により反応を監視した。
【0118】
[結果及び考察]
<合成及び特性評価>
この明細書では、Fe/Cの用語を、エアロゾルベースのプロセスによって調製したカーボン材料上に支持されているNZVI粒子と称する。図33(a)は、エアロゾルリアクタの模式図であり、アトマイザ、加熱ゾーン及びフィルタから構成される。蔗糖、塩化鉄、及び硫酸を含む均一な水溶液で開始し、市販のアトマイザ(モデル3076、TSI社、ミネソタ州、セントポール)により溶液を液滴に霧化し、液滴を加熱及び乾燥してサブミクロン粒子を生成し、これらをフィルタ上に収集する。図33(b)は、Fe/C複合体の生成経路を表している。エアロゾル液滴が加熱ゾーンを通過すると、溶媒蒸発と蔗糖の脱水/炭化が起こる。(使用時の)硫酸の役割は、特に低温の炉内で炭化プロセスをスピードアップさせることである。また、固化した鉄塩の沈殿は、蔗糖の脱水と同時に起こり、Fe塩/C複合体の黒色粉末を生じさせる。Fe/C複合体を得るために、収集した粉末を、過剰の水素化ホウ素ナトリウム溶液で処理して、鉄イオンをゼロ価鉄に還元する。Fe/C複合体中のゼロ価鉄の最終の重量パーセンテージは、約15%であった。この含有量は、500°Cの空気中で4時間焼成してカーボンを燃焼した後、既知質量のFe/C複合体中の残留固体(Fe23)の重量を測定することによって決定した。
【0119】
エアロゾルベース法によりFe/C複合体を合成するための操作条件は、調整可能であることに意義がある。例えば、Fe/C複合体は、炭化の触媒として前駆体溶液に希硫酸を加えたときは350°Cもの低温で得られることができるし、硫酸を用いない場合は、350°Cよりも高温で得られることができる。どの場合についても、発明者らは、Fe/C複合体が必要な特性を有することを確認したが、簡潔にするために、希硫酸を加えて350°Cで合成した粒子の特性について説明する。
【0120】
多機能ナノ構造粒子の微細構造及び形態を、透過電子顕微鏡及び走査電子顕微鏡により分析した。図34(a)は、エアロゾルベース法で調製したむき出しのカーボン粒子対照のTEM画像を示す。粒子は、明確な輪郭を有する微小球である。図34(b)に示すFe/C複合体の場合、カーボン支持体の上に電子コントラスト(electron contrast)が大きいNZVIが存在しており、これは、カーボンの表面全体にナノ鉄が分布していることを示しており、平均サイズは約15nmである。脱塩素化のためにNZVIを合成する他の方法[40C]とは異なり、大きなクラスターに凝集していないことは、注目すべきである。NZVI粒子がカーボンの表面に付着している事実は、図34(c)に示す断面TEM画像により更に確認された。断面TEMを準備するために、試料をエポキシ樹脂に埋め込み、一晩乾燥させ、ダイヤモンドナイフを用いて薄いスライス(約70nm)にミクロトームした。薄くスライスしたミクロトーム試料を銅グリッドに移し、以降の手順は通常のTEMプロセスに基づいて行なった。断面TEM画像は、暗い縁部と淡い中心部との間で強いコントラストを明確に示しており、これは、ゼロ価鉄ナノ粒子が内部にあるのではなく、表面に付着していることを示唆するものである。SEM画像(図34(d))についても同様に、全てのナノ構造Fe/C粒子は球状であり、離散的に存在するゼロ価鉄ナノ粒子は、カーボン球体の表面上に装飾されていることが観察される。XRD及びXPSデータ(裏付ける情報において示す)は、更に、ゼロ価鉄の存在を示している。
【0121】
<吸着及び反応性の研究>
溶液からのTCE除去及び気体生成物の発生率を図35に示す。図35は、溶解TCEと接触したFe/Cとむき出しカーボンの特性を比較している。溶解TCE濃度は、元の値の18%までは迅速且つ急激に減少し、その後ははるかにゆっくりと減少している。この初期の急激な減少は、TCEが強く吸着されて溶液がカーボンに仕切られたことによる。この現象は、反応性NZVIサイトの近傍で反応物の濃度が高くなるから、これら材料の設計に重要な要素である。気体生成物の発生率は、TCEの観察反応速度を示すものである。カーボンはTCEの強力な吸着剤であるという概念を立証するために、むき出しのエアロゾルカーボン粒子をTCE含有溶液に曝したところ、予想通り、溶液濃度の迅速且つ鋭い低下が見られ、本研究で用いたTCE濃度では、TCEの平均吸着量は、TCE0.66mg/(エアロゾルカーボンのg)(又は総TCEの82.5%)であったが、反応による濃度の更なる減少は見られなかった。
【0122】
吸着は迅速であるので、反応は律速的ステップであり、気相生成物の発生を1つにまとめて追跡することで、擬一次速度定数を計算することが可能である[38C、39C]。Fe/C複合体の場合、見掛けの反応速度定数kobsは約0.47h-1であり、質量正規化反応定数kmは、ゼロ価鉄の質量に基づいて、0.12L hr-1-1である。これに対し、TCEの修復用NZVIについて一般的に報告されている反応速度定数及び質量正規化反応定数は、夫々0.013h-1及び0.0026L hr-1-1である[41C]。これは、kmが約45倍異なると、Fe/Cの適用により、強力な封鎖機構がもたらされるだけでなく、反応性が大きく向上することを示唆している。反応性の向上は例えば、(a)凝集されていないNZVIの表面積が大きいこと、(b)TCEの局所濃度が吸着により高められること、による。図36は、気相生成物の時間発展を示す。クロマトグラムは、反応性粒子が加えられると直ちに溶液TCEレベルが鋭く減少していることを示しているが、これはTCE吸着の結果に基づく。尚、ジクロロエタン(C22Cl2)及び塩化ビニル(C23Cl)等の毒性中間体は観察されず、生成物全体の組成範囲は、軽気体(light gas)に基づいている。これもまた、中間体を封じ込めるカーボンの強い吸着特性によるものであり、ZVIをカーボン粒子上に一体化することは大きな意義を有する。塩素化中間体は全て、カーボン上に吸着されたままであり、反応によって軽気体(主にエタン及びエチレンであるが、少量のブタン及びブテンを含む)になって消失する。
【0123】
図37は、吸着能力について、エアロゾル法によるFe/C複合体と、フミン酸(土壌の主要な天然有機物)及び市販の活性カーボンとの比較を示している。全ての実験において、20ppmのTCE溶液20mLと粒子0.2gを使用した。TCEのFe/Cへの吸着(約85%)は、フミン酸への吸着(約30%)よりも多く、市販の顆粒状で不規則形状の活性カーボンへの吸着(約95%)に匹敵する。エアロゾル法によるカーボンへの強い吸着は、塩素化合物に対する駆動力となり、天然有機物からの脱着と、NZVI含有カーボンの仕切り形成により、TCEの破壊に導く能力を有することを意味する。これは、汚染された堆積物の修復を非常に効率的なものにする。発明者らは、Phenrat及び共同研究者の定義式[42C]を用いて、エアロゾルベースのFe/C粒子へのTCE吸着に対する仕切係数を計算し、裏付ける情報の中で十分に検討した。要約すると、フミン酸へのTCE吸着は、測定された仕切係数は85であり、エアロゾルベースのFe/C複合体へのTCE吸着の仕切係数Κpは1560であり、吸着能力は18.3倍増大している。天然有機物質に吸着されたTCEを含む系についても、TCEをFe/C複合体に移動させて、そこでの反応により消失させる駆動力があることが認められる。
【0124】
<安定性及び移動特性>
図38を参照すると、Fe/C粒子のコロイド安定性は、立体効果及び静電反発効果の両効果を通じてコロイド安定化用として広く研究された添加剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)等[43C]を加えることにより、有意に向上し得ることを示している。実験では、Fe/C粒子の初期濃度を250mg/L(40mLの溶液中0.01g)に維持し、CMCの含有量は4重量%であった。懸濁液の濁度を濁度計(DRT100B、HF Scientific社、フロリダ州、フォートマイヤーズ)で監視することで、懸濁液の沈降曲線を得た。コロイド安定性を維持するCMCの作用がはっきりと観察され、90%以上の粒子が24時間後も懸濁したままである。CMCの量が増えるにつれ、安定性は更に向上する(データはここに示さず)。一方、文献[17C、44C、45C]では、むき出しのNZVI粒子は急速に凝集し、1時間足らずで溶液から沈殿したことと対比すると、NZVIを官能化させるか、コロイド安定剤を加える必要性のあることがわかる。この明細書に記載した技術では、NZVIの凝集は、カーボンへの固定化によって回避され、コロイド安定性は、安価な高分子電解質の添加によってもたらされる。
【0125】
これら多機能性材料の移動特性を、キャピラリー移動実験により調べた。キャピラリー実験は、多孔質媒体を通過する粒子を効果的且つ直感的に研究する方法であり、発明者らの先の研究において報告されている[23C]。図39(a)に示すように、両端が開口したガラス融点管(内径1.5−1.8mm、長さ100mm、NY、コーニング)をキャピラリーとして用いた。キャピラリー管を3cmの長さに亘って湿ったオタワ砂で充填し、水平に載置して地下水の流れをシミュレートした。流速0.1mL/分(ダルシー速度:5cm/分)の連続的な水の流れを、シリンジポンプによって供給した。キャピラリーの出口位置を、小さなガラスウール栓で蓋をした。CMCで安定化したFe/Cの懸濁液30μLをキャピラリーの入口に注入した後、水フラッシングを開始し、倒立光学顕微鏡を用いて粒子の細孔スケール(pore-scale)の移動を観察した。図39(b)は、Fe/Cコロイドを含むキャピラリーの水フラッシング前及び水フラッシング後の写真を示している。画像を見ると、カーボンに支持されたNZVI粒子は充填キャピラリーを通って容易に移動し、ガラスウール中に捕獲されることを示している。これに対し、むき出しのNZVI粒子は凝集し、キャピラリーを通って移動しない[23C]。97%を上回る粒子がキャピラリーを通って溶出しており、堆積物への粒子の付着確率を示す粘着係数は0.09と計算される。粘着係数の計算の詳細は、裏付ける情報に含まれている。
【0126】
結論として、ナノスケールゼロ価鉄粒子は、エアロゾル法によるプロセス及びその後の還元により、カーボン粒子上に支持された。これらの複合体は、トリクロロエチレン(TCE)等の塩素化炭化水素の現場分解に使用するために特に設計される。これら系の有益な特性は以下の通りである:(1)複合体中のナノスケールゼロ価鉄の存在が、効率的なTCE修復が確実に行なわれること;(2)エアロゾル法によるカーボンが、TCEを強く吸着して、溶解TCEを急速に除去し、TCE濃度を鉄の近傍で高めることにより反応を促進すること;(3)カーボンの強い吸着性により、あらゆる毒性塩素化中間体の解放を防止すること;(4)粒径分布が、土壌の中を移動するのに最適であること;(5)複合体粒子が、環境的に有害でないこと、である。最後に、エアロゾルプロセスは、実質的には連続的プロセスであって、バッチ処理が必要になるのは粒子をフィルタに集めるときだけであるので、スケールアップが可能となる。
【0127】
Fe/C複合体をエアロゾル法で調製することは、発明者らが開発した最も効率的な技術である。カーボン微小球の生成プロセスにおいて行なうことができる変形例を以下に説明する。
【0128】
<硫酸の役割>
硫酸は、カーボン微小球を形成する糖の炭化を助ける。300°Cよりも低い温度では、カーボン微小球を得るのに硫酸は必須である。500°Cよりも高温では、硫酸を使用する必要は無い。環境や製造の観点から、硫酸の使用を避けることがより望ましい。
【0129】
<温度の役割>
エアロゾル化が高温で行なわれると、多孔質カーボンが生成される。更に、鉄が表面上ではなく粒子内に存在する。言い換えれば、温度を利用して、鉄を、粒子の表面上又は内部に配置するように制御することが可能である。図29乃至図31は、温度の上昇が粒子の形態にどのように影響するかを示している。走査電子顕微鏡写真(SEM)(図29)は、粒子の表面形態を示し、透過電子顕微鏡写真(TEM)(図30)は、合成温度が高いときに多孔性が進展する粒子と、該粒子内での鉄の位置を示している。断面TEM(図31)は、鉄ナノ粒子(暗いドット)が、表面上ではなく切断部の内部に存在していることを最もよく示している。
【0130】
<水素化ホウ素ナトリウムの役割>
水素化ホウ素ナトリウムは還元剤である。水素化ホウ素ナトリウムは鉄塩を取り込み、ゼロ価鉄に還元する。別の還元方法もある(以下に説明する)。問題は、水素化ホウ素ナトリウムの添加によってコストが増大し過ぎて大規模での使用が困難にならないようにすることである。しかしながら、実地テストでは、水素化ホウ素ナトリウム還元によって得たゼロ価鉄製剤で成し遂げることができた。水素化ホウ素ナトリウムの使用について記載したいくつかの論文があり、これは広く知られている還元技術である。
【0131】
<パラジウムの役割>
パラジウムは、全ての場合において反応速度を向上させる。ゼロ価鉄含有製剤には非反応性及び低反応性の製剤があるが、どのゼロ価鉄含有製剤も、パラジウムを使用することにより、反応速度が向上する。概して、0.05−0.1重量%のPdが加えられる。ニッケルは、同じ機能を有するが、それほど効果的ではない。Niの場合、0.1重量%のPdと同じ速度向上効果を得るには、典型的には、最大5重量%添加する必要がある。尚、これは、発明者らの研究室で開発された考えではなく、文献で広く発表されている。
【0132】
別の還元方法は、次のものが挙げられる:エアロゾル法によるカーボン上のFeCl3;エアロゾル法によるカーボン上のFeSO4;直接還元された市販のナノFe23;CMC上のFeCl3;直接還元されたFeCl3;親水性カーボン上のFeSO4;FeOOH又はFe23;活性カーボン上のFe(NO3)3;カーボンブラック上のFe(NO3)3;活性カーボン上のFe(NO3)3、である。
1.様々な前駆体鉄塩(塩化第二鉄(FeCl3)、硫酸第一鉄(FeSO4)、硝酸第二鉄(Fe(NO3)3)、クエン酸第二鉄等)を使用することができる。
2.様々なカーボン源(蔗糖、ブドウ糖、果糖、シクロデキストリン等の単糖類、セルロース、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、澱粉等の多糖類等)を使用することができる。
3.Pdを加えると、より高い活性を常にもたらす。
4.様々な還元方法(次に説明する)を使用することができる。
【0133】
<還元方法>
1.標準的な還元方法は、水素化ホウ素ナトリウムを使用するものである。
2.別の還元方法は、カーボン熱的方法(carbothermal method)である。
【0134】
<塩素化炭化水素の原位置修復のためのカーボン熱(carbothermal)>
本明細書において、塩素化合物の環境中の分解を効果的に行なうのに必要な反応、吸着及び移動特性を有するゼロ価鉄含有多機能粒子系の簡易的な調製について記載する。重要なことは、粒子の合成は、前駆体として糖を使用したエアロゾル法によって行ない、次いでNaBH4を使用することなく簡単且つ安価なカーボン熱還元プロセスを行なうことである。このプロセスはMalloukによって最初に報告されているが、TCE分解効率については記載されていない[Hoch, L. B.; Mack, E. J.; Hydutsky, B. W.; Hershman, J. M.; Skluzacek, J. M.; Mallouk, T. E., Environ. Sci. Technol. 2008, 42 (7), 2600-2605]。
【0135】
発明者らによるカーボン熱還元方法は次の通りである。ここでは、収集したFe34/C粉末をチューブ型炉内の石英管中のるつぼ容器に入れ、アルゴン流れの下で700°Cにて10時間維持した。管は、加熱前にArで1時間パージし、試料は、チューブ型炉から取り出す前にAr雰囲気中で室温まで冷却する。更に、試料をチューブ型炉から取り出す前に、脱酸素水又はエタノール(95%)を使用して、緩やかな不動態化ステップを行なうべきである。そうしなければ、ゼロ価鉄ナノ粒子が空気中の酸素と接触してすぐに、自然発火する。図32は、還元装置の概要を示す。Arの代わりに窒素を使用することができる。
【0136】
技術の変形例として、Arの代わりに、純水素又は水素/窒素混合物のいずれかを通過させることができる。水素を使用するとき、温度は500°C以下で行なわれ、還元は5時間行なわれる。
【0137】
尚、カーボン熱的方法は常に活性材料を生成するとは限らないのである。発明者らは、何故そうなるのか、どのような条件下であればうまくいくのかについては、十分な情報を有していないが、Pdで処理した材料は全てうまくいくことは事実である。
【0138】
<1.エアロゾル法による多機能性鉄−カーボンナノ複合体のカーボン熱合成>
最も反応性の高いナノスケールゼロ価鉄粒子は、水素化ホウ素ナトリウムにより鉄塩を水性還元することによって製造される。しかしながら、このプロセスは水素化ホウ素ナトリウムを使用するため、材料費が増大する[Hoch, L. B.; Mack, E. J.; Hydutsky, B. W.; Hershman, J. M.; Skluzacek, J. M.; Mallouk, T. E., Environ. Sci. Technol. 2008, 42 (7), 2600-2605参照]。
【0139】
本明細書において、塩素化合物の環境中の分解を効果的に行なうのに必要な反応、吸着及び移動特性を有するゼロ価鉄含有多機能粒子系の簡易的な調製について記載する。重要なことは、粒子の合成は、前駆体として糖を使用したエアロゾル法によって行ない、次いでNaBH4を使用することなく簡単且つ安価なカーボン熱還元プロセスを行なうことである。典型的な合成において、まず最初に蔗糖6gとFeSO4・7H2O 5gを水50mLに溶解した。エアロゾル法の技術において、得られた前駆体溶液を噴霧化し、エアロゾル液滴を生成した。エアロゾル液滴が加熱ゾーンを通過すると、予備的な溶媒蒸発、蔗糖の脱水/炭化、及び酸化鉄の形成が起こり、Fe34/C複合体の黒い粉末が生成する。加熱ゾーンの温度は1000°Cに保持した。得られた粒子を100°Cに保持されたろ紙によって収集した。Fe/C複合体を得るために、カーボン熱還元プロセスを用いた。ここで、収集したFe34/C粉末をチューブ型炉内部の石英管中のるつぼ容器に入れ、アルゴン流れ又は窒素流れの下で700°Cにて10時間維持した。管は、加熱開始前にAr又は窒素で1時間パージし、試料は、チューブ型炉から取り出す前にAr又は窒素の保護下で室温まで冷却した。これら材料は、脱塩素状態で(in dechlorination)活性がある。
【0140】
<2.材料内への活性カーボン及び/又はカーボンブラックの組込み>
活性カーボン又はカーボンブラックで希釈した本発明の材料は、低コストで得ることができるため、コストを大幅に下げることができる。ゼロ価鉄が導入されるこれら周知形態のカーボンは、単独でFe/C複合体に添加することができる。これらを活性カーボン又はカーボンブラックのみで簡単に希釈する場合、反応性は低くなるが、材料は塩素化炭化水素で汚染された現場の修復には依然として有効である。
【0141】
本発明のFe/C材料は、活性カーボン又はカーボンブラックで希釈することができる。他のカーボンの役割は、吸着作用を高めて溶液からのTCEの除去を迅速に行なえるようにすることである。材料を希釈すると、反応効率はグラム単位で比例して低下する。例えば、本発明のFe/C材料のみを使用してTCEの除去に3時間かかる場合、これを9倍に希釈すると(Fe10重量%、カーボンブラック90重量%)、TCEの除去に30時間要すると考えられる(使用料は原材料の1/10だからである)。
【0142】
Malloukらが使用したカーボン粒子(カーボンブラック又は活性カーボン)は、微小球ではない[Schrick, B.; Hydutsky, B. W.; Blough, J. L.; Mallouk, T. E., Delivery Vehicles for Zerovalent Metal Nanoparticles in Soil and Groundwater. Chem. Mater. 2004, 16, (11), 2187-2193]。それら粒子は、形状の輪郭が不明確である。本発明は、微小球を製造する唯一の技術である(水熱脱水及びエアロゾル法のプロセスは両方とも微小球を生成する)。微小球は流れラインにより効果的に従うことができるので、発明者らは、より有用であると考える。また、鉄の付着は、エアロゾル法にはより効果的であると考える。尚、水熱脱水法は、どの文献にも記載されているように2ステップの方法であるから、水熱脱水法には効果的でない。本発明は、微小球だけを好適に生成することができる点において、Mallouk等の先行技術から区別され、また、鉄のカーボンへの結合についてもより優れていると考える。
【0143】
<多孔性>
多孔性は、表面積によって測定する。エアロゾル化が低温で行なわれるとき、BET(ブルナウアー−エメット−テラー)表面積が小さく(即ち10m2/g)、比較的非多孔性の微小球が得られる。粒子が多孔質になる温度が高いと、表面積の範囲は200−400m2/gとなる。しかしながら、発明者らは、表面積が更に大きく、即ち最大1000m2/gまで可能であると考える。
【0144】
本出願において、微小球は多孔質であるため、微小球の球形度(sphericity)は、全ての孔を充満した状態(但し、孔を超えて広がらない)でコーティングされているものとして規定される。球形度は、電子顕微鏡と画像化により測定した。本発明では、エアロゾル法のプロセス及び水熱脱水で生成したことにより、球形度は100%が可能である。しかしながら、球形度がたとえ95%、90%、85%、又は80%もの低さであっても、粒子の移動は良好であり、発明者らが認識している先行技術よりも向上している。本発明の微小球は、サブミクロンサイズ及び/又はミクロンサイズの粒子である。
【0145】
「単分散(monodisperse)」とは、試料中のほぼ全ての粒子が、他の全ての粒子の50%以内の直径、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内、更に好ましくは5%以内、最も好ましくは1%以内の直径を有することを意味する。「ほぼ全て」とは、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上を意味する。潤滑すると、好ましくはほぼ全ての粒子が、所望の球形度及び単分散性の範囲にある。
【0146】
TCEの脱塩素化に適用する場合、コーティング(即ち、高分子電解質)は、孔を越えて広がり、粒子表面上に層を形成するが、コーティングは孔に充満しない。TCE用途では、孔は、開いたままであるので、TCEは全ての孔に拡散し、吸着することができる。細孔を有することで表面積は大きくなり、より多くの吸着が可能である。従って、孔を開放状態にしておくことは有益である。
【0147】
<潤滑剤としての球状カーボン粒子>
サイズ(ナノメートルからマイクロメートルの長さスケール範囲)、組成及び表面コーティング(例えば、界面活性剤、ポリマー、タンパク質)が異なる球状粒子を用いると、油及び水ベースの潤滑剤として有効であり、比較的高い負荷に対しても、剪断面間の摩擦力を低下させることができた。具体的には、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)界面活性剤の層でコートされ、水中に分散された硬質カーボン球(HCS)1が、水ベースの潤滑剤として有効であることを示す。潤滑剤として作用するHCS−SDS複合体で光学研磨された2つのシリカ表面間の摩擦係数は、0.006もの低い値である(そして更に低くなり得る)。比較のために示すと、2つのガラス表面間の摩擦係数は0.42であり、2つのテフロン(登録商標)表面間では0.042であり、滑膜関節間では0.012である。
【0148】
粒子は、マイクロ電気機械系(MEMS)及びマイクロ流体系で使用されている。潤滑剤は、有機媒体、水性媒体、及びイオン液体中で使用されることができる。潤滑剤は、宇宙関連用の乾燥潤滑剤(dry lubricant)として使用されることもできる。
【0149】
これらの材料は、「マイクロボールベアリング」としての莫大な用途がある。これらは、マイクロ電気機械装置(MEMS)、マイクロ流体、宇宙用途等で使用されることができる。
【0150】
材料は、様々な糖及び多糖から極めて簡単に製造される。それらは容易にコートされることができる。それらは、乾燥した環境中、有機液体中、水中、及びイオン液体中で、潤滑剤として機能することができる。
【0151】
本発明は、これらの材料の使用に関する。材料は、以下のプロセスによって製造される:
1.糖を水中で溶解し、オートクレーブ(密閉容器)中で150−250°Cの温度で5時間加熱する。糖は一部が脱水し、大部分がカーボンである球を形成する。
2.これらの粒子を1000°Cの不活性雰囲気(アルゴン又は窒素)の炉中で熱分解する。粒子はカーボン球に完全に変換される。
【0152】
本発明は、これら材料の潤滑特性を特徴付けた。発明者らは、これら材料の試料を有している。実験データは、図21及び図22に示されており、付加に対する摩擦係数のプロットを含んでいる[2B、3B]。図22は、潤滑剤として硬質カーボン球(HCS)を使用することの有効性のデータを示す。線形近似の傾きが摩擦係数に対応する。
【0153】
この実施例ではSDSを使用したが、他に化学式CH3(CH2)n(HG)で表される幾つかの界面活性剤を使用することもできる。尚、前記式中、3<n<21であり(即ち、界面活性剤の炭化水素部分、即ちテイル基(tail group)の長さは変化する)、HGは界面活性剤の極性ヘッド基(polar headgroup)であり、例えば、アミン、カルボン酸、ホスホン酸、アルコール、チオール基、又は対イオン(ナトリウム、カリウム、塩素、臭素等)を有するそれらの塩である。
【0154】
本発明の方法の新規な点は、出発材料(蔗糖、澱粉、シクロデキストリン、セルロース等)が極めて安価であることと、粒子の均一性及び単分散性である。それ故、使用時に最も安価な出発材料を選ぶことができる。発明者らの知る限りにおいて、これら前駆体又は粒子の均一性は先行特許に記載されていない。
【0155】
これら材料の他の適用例として、メタンの貯蔵用、また、ガス水和物の核形成用が考えられる。
【0156】
特定の方法において潤滑用に使用される粒子のほぼ全部が単分散性で、良好な球形度を有することが好ましい。「単分散性」とは、試料中のほぼ全ての粒子が、他の全ての粒子の50%以内の直径、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内、更に好ましくは5%以内、最も好ましくは1%以内の直径を有することを意味する。「ほぼ全て」とは、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上を意味する。潤滑すると、好ましくはほぼ全ての粒子が、所望の球形度及び単分散性の範囲にある。
【0157】
潤滑粒子の球形度は、電子顕微鏡と画像化により測定した。本発明では、水熱脱水で生成したことにより、球形度は100%が可能である。しかしながら、球形度がたとえ95%、90%、85%、又は80%もの低さであっても、潤滑は良好であり、発明者らが認識している先行技術よりも向上している。本発明の潤滑微小球は、サブミクロンサイズ及び/又はミクロンサイズの粒子である。
【0158】
水熱脱水及び熱分解プロセスによって製造されたカーボン粒子は、通常、表面が滑らかであり、容易に回転することができる。単分散性との共用により、カーボン粒子は良好な潤滑剤となる。孔は、あったとしても非常に小さく、マイクロ孔及びナノ孔である。コーティング(即ち、界面活性剤等)は、孔を越えて広がらず、外部表面を実質的にコートする。コーティングは、回転に「クッション」効果を与えるので、潤滑を良好にするのに重要である。
【0159】
<頭字語>
バーンステッド イーピュア清浄器(Barnstead E-pure purifier) IA
ブルナウアー−エメット−テラー(Brunauer-Emmett-Teller) BET
カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose) CMC
脱イオン(Deionized) DI
高密度非水相液(Dense nonaqueous phase liquid) DNAPL
エチルトリエトキシシラン(Ethyl triethoxysilane) ETES
フレームイオン化検出器(Flame ionization detector) FID
ガスクロマトグラフィー(Gas chromatography) GC
硬質カーボン球(Hard carbon spheres) HCS
マイクロ電気機械系(Microelectromechanical systems) MEMS
ナノスケールゼロ価鉄(Nanoscale zero-valent iron) NZVI
ポリ(アクリル酸)(Poly (acrylic acid)) PAA
反応性ナノ鉄粒子(Reactive nanoiron particles) RNIP
走査電子顕微鏡写真(Scanning electron microscopy) SEM
ドデシル硫酸ナトリウム(Sodium dodecyl sulfate) SDS
オルトケイ酸テトラエチル(Tetraethyl orthosilicate) TEOS
透過電子顕微鏡写真(Transmission electron microscopy) TEM
トリクロロエチレン(Trichloroethylene) TCE
Tufenkji-Elimelech T-E
ゼロ価鉄(Zerovalent iron) ZVI
【0160】
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【0172】
本明細書の中に記載した全ての測定値は、特に指定のない限り、地球上の海水位における標準温度及び標準圧力で得られたものである。人に使用され、又は使用されることを意図した全ての材料は、特に指定のない限り、生体適合性である。
【0173】
上記実施形態は、例示として示されるものであって、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単分散カーボン微小球を使用して、高密度非水相液である塩素化炭化水素を修復する方法であって、
a)単分散カーボン微小球を準備するステップと、
b)該微小球を、塩素化炭化水素を含む物質に接触させるステップと、を含み、
c)微小球は、直径が50nm乃至6ミクロンである、方法。
【請求項2】
単分散微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の50パーセント以内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
単分散微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の10パーセント以内である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
微小球に付着したゼロ価鉄ナノ粒子を更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
カーボンが内包された高分子電解質を更に含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
触媒を更に含んでいる、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
触媒は遷移金属である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
塩素化炭化水素は、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、1,1-ジクロロエテン、シス-1,2-ジクロロエテン、トランス-1,2-ジクロロエテン、及び塩化ビニルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至6ミクロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至1.5ミクロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
カーボン微小球は直径が約300nm乃至700nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
カーボン微小球は直径が約400nm乃至600nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
カーボン微小球は直径が約500nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
微小球は、塩素化炭化水素を吸着する、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
微小球は、塩素化炭化水素を分解する、請求項4に記載の方法。
【請求項18】
微小球は、塩素化炭化水素を吸着し、分解する、請求項4に記載の方法。
【請求項19】
単分散カーボン微小球は、
i)水熱脱水及び熱分解処理によってカーボン粒子を調製するステップと、
ii)高分子電解質で安定化されたナノスケールのゼロ価鉄粒子を調製するステップと、
iii)有効量の還元剤を、高分子電解質安定化ナノスケールゼロ価鉄粒子に加えて溶液を生成するステップと、
iv)支持用カーボン粒子を、ステップ“c”の溶液に加えるステップと、
v)ステップ“d”の溶液をロータリーシェーカに投入するステップと、
vi)触媒を、ステップ“e”後の溶液に加えるステップと、
vii)前記溶液を遠心分離するステップと、
を含むステップによって製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、及びポリフェノールからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
触媒は遷移金属である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
塩素化炭化水素は、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、1,1-ジクロロエテン、シス-1,2-ジクロロエテン、トランス-1,2-ジクロロエテン、及び塩化ビニルからなる群から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項25】
高密度非水相液である塩素化炭化水素を修復する方法であって、
a)ゼロ価鉄ナノ粒子をカーボン微小球に付着させるステップと、
b)カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子を、塩素化炭化水素を含む物質に接触させるステップと、
を含んでいる方法。
【請求項26】
カーボン微小球は単分散性である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
カーボン微小球は多分散性である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
カーボン微小球は双分散性である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
カーボン微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の50パーセント以内である、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
カーボン微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の10パーセント以内である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、塩素化炭化水素を吸着する、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、塩素化炭化水素を分解する、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、塩素化炭化水素を吸着し、分解する、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
塩素化炭化水素は、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、1,1-ジクロロエテン、シス-1,2-ジクロロエテン、トランス-1,2-ジクロロエテン、及び塩化ビニルからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項35】
カーボン微小球は、水熱合成によって生成される、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
カーボン微小球は直径が約50nm乃至6ミクロンである、請求項25に記載の方法。
【請求項37】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至6ミクロンである、請求項25に記載の方法。
【請求項38】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至1.5ミクロンである、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
カーボン微小球は直径が約300nm乃至700nmである、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
カーボン微小球は直径が約400nm乃至600nmである、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
カーボン微小球は直径が約500nmである、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
ゼロ価鉄ナノ粒子が上に支持されている高分子電解質を更に含んでいる、請求項25に記載の方法。
【請求項43】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、エアロゾル法によって調製される、請求項25に記載の方法。
【請求項45】
エアロゾル法は、
i)単糖類又は多糖類、及び希酸のフィードストリームを調製するステップと、
ii)鉄前駆体を前記フィードストリームに加えるステップと、
iii)フィードストリームをノズルの中を通してエアロゾル化するステップと、
iv)フィードストリームを加熱ゾーンの中を通して脱水させて粒子を生成するステップと、
v)粒子をフィルタ上に集めるステップと、
vi)粒子を水溶液中に分散させるステップと、
vii)鉄前駆体をゼロ価鉄に還元するステップと、
viii)高分子電解質を前記水溶液に加えるステップと、
を含んでいる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
鉄前駆体のゼロ価鉄への還元は、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、及びポリフェノールからなる群から選択される還元剤によって行なわれる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
単糖類又は多糖類は、蔗糖、ブドウ糖、セルロース、及びシクロデキストリンからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
希酸は、硫酸又は硝酸である、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
微小球に付着した触媒を更に含んでいる、請求項25又は請求項45に記載の方法。
【請求項51】
触媒は遷移金属である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
高密度非水相液である塩素化炭化水素を修復する物質であって、
a)単分散カーボン微小球を含む汚染除去剤を含んでおり、
b)前記汚染除去剤は、土壌媒体の中を効率的に移動することができる直径を有し、溶解塩素化炭化水素及びバルク塩素化炭化水素の両方と効率的に反応することができ、
c)微小球は、直径が50nm乃至6ミクロンである、物質。
【請求項54】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至6ミクロンである、請求項53に記載の物質。
【請求項55】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至1.5ミクロンである、請求項53に記載の物質。
【請求項56】
カーボン微小球は直径が約300nm乃至700nmである、請求項53に記載の物質。
【請求項57】
カーボン微小球は直径が約400nm乃至600nmである、請求項53に記載の物質。
【請求項58】
カーボン微小球は直径が約500nmである、請求項53に記載の物質。
【請求項59】
単分散微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の50パーセント以内である、請求項53に記載の物質。
【請求項60】
単分散微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の10パーセント以内である、請求項53に記載の物質。
【請求項61】
微小球に付着したゼロ価鉄ナノ粒子を更に含んでいる、請求項53に記載の物質。
【請求項62】
カーボンが内包された高分子電解質を更に含んでいる、請求項61に記載の物質。
【請求項63】
触媒を更に含んでいる、請求項61に記載の物質。
【請求項64】
触媒は遷移金属である、請求項63に記載の物質。
【請求項65】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項63に記載の物質。
【請求項66】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項62に記載の物質。
【請求項67】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、塩素化炭化水素を吸着する、請求項61に記載の物質。
【請求項68】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、塩素化炭化水素を分解する、請求項61に記載の物質。
【請求項69】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、塩素化炭化水素を吸着し、分解する、請求項61に記載の物質。
【請求項70】
塩素化炭化水素は、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、1,1-ジクロロエテン、シス-1,2-ジクロロエテン、トランス-1,2-ジクロロエテン、及び塩化ビニルからなる群から選択される、請求項53に記載の物質。
【請求項71】
単分散カーボン微小球は、
i)水熱脱水及び熱分解処理によってカーボン粒子を調製するステップと、
ii)高分子電解質で安定化されたナノスケールのゼロ価鉄粒子を調製するステップと、
iii)有効量の還元剤を、高分子電解質安定化ナノスケールゼロ価鉄粒子に加えて溶液を生成するステップと、
iv)支持用カーボン粒子を、ステップ“c”の溶液に加えるステップと、
v)ステップ“d”の溶液をロータリーシェーカに投入するステップと、
vi)触媒を、ステップ“e”後の溶液に加えるステップと、
vii)前記溶液を遠心分離するステップと、
を含むステップによって製造される、請求項53に記載の方法。
【請求項72】
還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、及びポリフェノールからなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
触媒は遷移金属である、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
塩素化炭化水素は、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、1,1-ジクロロエテン、シス-1,2-ジクロロエテン、トランス-1,2-ジクロロエテン、及び塩化ビニルからなる群から選択される、請求項71に記載の組成物。
【請求項77】
高密度非水相液である塩素化炭化水素を修復する汚染除去組成物であって、
a)カーボン微小球と、
b)該カーボン微小球に付着したゼロ価鉄ナノ粒子と、
を含んでいる組成物。
【請求項78】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至6ミクロンである、請求項77に記載の組成物。
【請求項79】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至1.5ミクロンである、請求項77に記載の組成物。
【請求項80】
カーボン微小球は直径が約300nm乃至700nmである、請求項77に記載の組成物。
【請求項81】
カーボン微小球は直径が約400nm乃至600nmである、請求項77に記載の組成物。
【請求項82】
カーボン微小球は直径が約500nmである、請求項77に記載の組成物。
【請求項83】
カーボン微小球は単分散性である、請求項77に記載の組成物。
【請求項84】
カーボン微小球は多分散性である、請求項77に記載の組成物。
【請求項85】
カーボン微小球は双分散性である、請求項77に記載の組成物。
【請求項86】
カーボンが内包された高分子電解質を更に含んでいる、請求項77に記載の組成物。
【請求項87】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項86に記載の組成物。
【請求項88】
微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の50パーセント以内である、請求項77に記載の組成物。
【請求項89】
微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の10パーセント以内である、請求項77に記載の組成物。
【請求項90】
塩素化炭化水素は、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、1,1-ジクロロエテン、シス-1,2-ジクロロエテン、トランス-1,2-ジクロロエテン、及び塩化ビニルからなる群から選択される、請求項77に記載の組成物。
【請求項91】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、塩素化炭化水素を吸着する、請求項77に記載の組成物。
【請求項92】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、塩素化炭化水素を分解する、請求項77に記載の組成物。
【請求項93】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、塩素化炭化水素を吸着し、分解する、請求項77に記載の組成物。
【請求項94】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、エアロゾル法によって調製される、請求項77に記載の組成物。
【請求項95】
エアロゾル法は、
i)単糖類又は多糖類、及び希酸のフィードストリームを調製するステップと、
ii)鉄前駆体を前記フィードストリームに加えるステップと、
iii)フィードストリームをノズルの中を通してエアロゾル化するステップと、
iv)フィードストリームを加熱ゾーンの中を通して脱水させて粒子を生成するステップと、
v)粒子をフィルタ上に集めるステップと、
vi)粒子を水溶液中に分散させるステップと、
vii)還元剤を前記水溶液に加えるステップと、
viii)高分子電解質を前記水溶液に加えるステップと、
を含んでいる、請求項94に記載の組成物。
【請求項96】
還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、及びポリフェノールからなる群から選択される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
単糖類又は多糖類は、蔗糖、ブドウ糖、セルロース、及びシクロデキストリンからなる群から選択される、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
希酸は、硫酸又は硝酸である、請求項95に記載の方法。
【請求項100】
微小球に付着した触媒を更に含んでいる、請求項77又は請求項95に記載の組成物。
【請求項101】
触媒は遷移金属である、請求項100に記載の組成物。
【請求項102】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項100に記載の組成物。
【請求項103】
高密度非水相液である塩素化炭化水素を修復する汚染除去組成物であって、
a)カーボン微小球と、
b)カーボンが内包された高分子電解質と、
c)高分子電解質に付着したゼロ価鉄のナノ粒子系と、
を含んでいる組成物。
【請求項104】
ナノ粒子系が2種の金属からなる、請求項103に記載の組成物。
【請求項105】
塩素化炭化水素は、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、1,1-ジクロロエテン、シス-1,2-ジクロロエテン、トランス-1,2-ジクロロエテン、及び塩化ビニルからなる群から選択される、請求項103に記載の組成物。
【請求項106】
塩素化炭化水素が吸着される、請求項103に記載の組成物。
【請求項107】
塩素化炭化水素が分解される、請求項103に記載の組成物。
【請求項108】
塩素化炭化水素が吸着され、分解される、請求項103に記載の組成物。
【請求項109】
カーボン微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の50パーセント以内である、請求項103に記載の組成物。
【請求項110】
カーボン微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の10パーセント以内である、請求項103に記載の組成物。
【請求項111】
高分子電解質はカーボンを安定化させる、請求項103に記載の組成物。
【請求項112】
カーボンは直径が約200nm乃至6ミクロンである、請求項103に記載の組成物。
【請求項113】
カーボンは直径が約200nm乃至1.5ミクロンである、請求項103に記載の組成物。
【請求項114】
カーボンは直径が約300nm乃至700nmである、請求項103に記載の組成物。
【請求項115】
カーボンは直径が約400nm乃至600nmである、請求項103に記載の組成物。
【請求項116】
カーボンは直径が約500nmである、請求項103に記載の組成物。
【請求項117】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項103に記載の組成物。
【請求項118】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、エアロゾル法によって調製される、請求項103に記載の方法。
【請求項119】
エアロゾル法は、
i)単糖類又は多糖類、及び希酸のフィードストリームを調製するステップと、
ii)鉄前駆体を前記フィードストリームに加えるステップと、
iii)フィードストリームをノズルの中を通してエアロゾル化するステップと、
iv)フィードストリームを加熱ゾーンの中を通して脱水させて粒子を生成するステップと、
v)粒子をフィルタ上に集めるステップと、
vi)粒子を水溶液中に分散させるステップと、
vii)還元剤を前記水溶液に加えるステップと、
viii)高分子電解質を前記水溶液に加えるステップと、
を含んでいる、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、及びポリフェノールからなる群から選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
単糖類又は多糖類は、蔗糖、ブドウ糖、セルロース、及びシクロデキストリンからなる群から選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項122】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項123】
希酸は、硫酸又は硝酸である、請求項119に記載の方法。
【請求項124】
微小球に付着した触媒を更に含んでいる、請求項103又は請求項119に記載の組成物。
【請求項125】
触媒は遷移金属である、請求項124に記載の組成物。
【請求項126】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項124に記載の組成物。
【請求項127】
高密度非水相液である塩素化炭化水素を修復する方法であって、
a)親水性又は両親媒性の有機種で安定化されたナノスケールゼロ価鉄/カーボン粒子を準備するステップと、
b)安定化されたナノスケールゼロ価鉄/カーボン粒子を塩素化炭化水素と複合化するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項128】
カーボン微小球は単分散性である、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
カーボン微小球は多分散性である、請求項127に記載の方法。
【請求項130】
カーボン微小球は双分散性である、請求項127に記載の方法。
【請求項131】
カーボン微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の50パーセント以内である、請求項127に記載の方法。
【請求項132】
カーボン微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の10パーセント以内である、請求項127に記載の方法。
【請求項133】
ナノスケールゼロ価鉄/カーボン粒子は、塩素化炭化水素を吸着する、請求項127に記載の方法。
【請求項134】
ナノスケールゼロ価鉄/カーボン粒子は、塩素化炭化水素を分解する、請求項127に記載の方法。
【請求項135】
ナノスケールゼロ価鉄/カーボン粒子は、塩素化炭化水素を吸着し、分解する、請求項127に記載の方法。
【請求項136】
塩素化炭化水素は、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、1,1-ジクロロエテン、シス-1,2-ジクロロエテン、トランス-1,2-ジクロロエテン、及び塩化ビニルからなる群から選択される、請求項127に記載の方法。
【請求項137】
カーボン微小球は、水熱合成によって生成される、請求項127に記載の方法。
【請求項138】
カーボン微小球は直径が約50nm乃至6ミクロンである、請求項127に記載の方法。
【請求項139】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至6ミクロンである、請求項127に記載の方法。
【請求項140】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至1.5ミクロンである、請求項127に記載の方法。
【請求項141】
カーボン微小球は直径が約300nm乃至700nmである、請求項127に記載の方法。
【請求項142】
カーボン微小球は直径が約400nm乃至600nmである、請求項127に記載の方法。
【請求項143】
カーボン微小球は直径が約500nmである、請求項127に記載の方法。
【請求項144】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項127に記載の方法。
【請求項145】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、エアロゾル法によって調製される、請求項127に記載の方法。
【請求項146】
エアロゾル法は、
i)単糖類又は多糖類、及び希酸のフィードストリームを調製するステップと、
ii)鉄前駆体を前記フィードストリームに加えるステップと、
iii)フィードストリームをノズルの中を通してエアロゾル化するステップと、
iv)フィードストリームを加熱ゾーンの中を通して脱水させて粒子を生成するステップと、
v)粒子をフィルタ上に集めるステップと、
vi)粒子を水溶液中に分散させるステップと、
vii)還元剤を前記水溶液に加えるステップと、
viii)高分子電解質を前記水溶液に加えるステップと、
を含んでいる、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、及びポリフェノールからなる群から選択される、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
単糖類又は多糖類は、蔗糖、ブドウ糖、セルロース、及びシクロデキストリンからなる群から選択される、請求項146に記載の方法。
【請求項149】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項146に記載の方法。
【請求項150】
希酸は、硫酸又は硝酸である、請求項146に記載の方法。
【請求項151】
粒子に付着した触媒を更に含んでいる、請求項127又は請求項146に記載の方法。
【請求項152】
触媒は遷移金属である、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項151に記載の方法。
【請求項154】
高密度非水相液である塩素化炭化水素を、ナノスケールゼロ価鉄/カーボンが安定化された粒子で修復する方法であって、
a)親水性又は両親媒性の有機種で安定化されたナノスケールゼロ価鉄/カーボン粒子を準備するステップと、
b)前記粒子を地下水の中に注入して、粒子を、地下水流によって土壌及び多孔質媒体中を通過させ、塩素化炭化水素の汚染サイトに到達させることにより、該汚染サイトで塩素化炭化水素相に仕切りを設け、塩素化炭化水素を封じ込めて分解するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項155】
カーボン微小球は単分散性である、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
カーボン微小球は多分散性である、請求項154に記載の方法。
【請求項157】
カーボン微小球は双分散性である、請求項154に記載の方法。
【請求項158】
カーボン微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の50パーセント以内である、請求項154に記載の方法。
【請求項159】
カーボン微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の10パーセント以内である、請求項154に記載の方法。
【請求項160】
ナノスケールゼロ価鉄/カーボン粒子は、塩素化炭化水素を吸着する、請求項154に記載の方法。
【請求項161】
ナノスケールゼロ価鉄/カーボン粒子は、塩素化炭化水素を分解する、請求項154に記載の方法。
【請求項162】
ナノスケールゼロ価鉄/カーボン粒子は、塩素化炭化水素を吸着し、分解する、請求項154に記載の方法。
【請求項163】
塩素化炭化水素は、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、1,1-ジクロロエテン、シス-1,2-ジクロロエテン、トランス-1,2-ジクロロエテン、及び塩化ビニルからなる群から選択される、請求項154に記載の方法。
【請求項164】
カーボン微小球は、水熱合成によって生成される、請求項154に記載の方法。
【請求項165】
カーボン微小球は直径が約50nm乃至6ミクロンである、請求項154に記載の方法。
【請求項166】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至6ミクロンである、請求項154に記載の方法。
【請求項167】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至1.5ミクロンである、請求項154に記載の方法。
【請求項168】
カーボン微小球は直径が約300nm乃至700nmである、請求項154に記載の方法。
【請求項169】
カーボン微小球は直径が約400nm乃至600nmである、請求項154に記載の方法。
【請求項170】
カーボン微小球は直径が約500nmである、請求項154に記載の方法。
【請求項171】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項154に記載の方法。
【請求項172】
カーボンに支持されたゼロ価鉄ナノ粒子は、エアロゾル法によって調製される、請求項154に記載の方法。
【請求項173】
エアロゾル法は、
i)単糖類又は多糖類、及び希酸のフィードストリームを調製するステップと、
ii)鉄前駆体を前記フィードストリームに加えるステップと、
iii)フィードストリームをノズルの中を通してエアロゾル化するステップと、
iv)フィードストリームを加熱ゾーンの中を通して脱水させて粒子を生成するステップと、
v)粒子をフィルタ上に集めるステップと、
vi)粒子を水溶液中に分散させるステップと、
vii)還元剤を前記水溶液に加えるステップと、
viii)高分子電解質を前記水溶液に加えるステップと、
を含んでいる、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、及びポリフェノールからなる群から選択される、請求項173に記載の方法。
【請求項175】
単糖類又は多糖類は、蔗糖、ブドウ糖、セルロース、及びシクロデキストリンからなる群から選択される、請求項173に記載の方法。
【請求項176】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項173に記載の方法。
【請求項177】
希酸は、硫酸又は硝酸である、請求項173に記載の方法。
【請求項178】
粒子に付着した触媒を更に含んでいる、請求項154又は請求項173に記載の方法。
【請求項179】
触媒は遷移金属である、請求項178に記載の方法。
【請求項180】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項178に記載の方法。
【請求項181】
高密度非水相液である塩素化炭化水素を原位置修復するために、カーボンに支持されたゼロ価鉄粒子を製造する方法であって、
a)水熱脱水及び熱分解処理によってカーボン支持体粒子を調製するステップと、
b)高分子電解質で安定化されたナノスケールのゼロ価鉄粒子を調製するステップと、
c)有効量の還元剤を、高分子電解質安定化ナノスケールゼロ価鉄粒子に加えて溶液を生成するステップと、
d)カーボン支持体粒子を、ステップ“c”の溶液に加えるステップと、
e)ステップ“d”の溶液をロータリーシェーカに投入するステップと、
f)触媒を、ステップ“e”後の溶液に加えるステップと、
g)前記溶液を遠心分離するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項182】
還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、及びポリフェノールからなる群から選択される、請求項181に記載の方法。
【請求項183】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項181に記載の方法。
【請求項184】
触媒は遷移金属である、請求項181に記載の方法。
【請求項185】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項181に記載の方法。
【請求項186】
塩素化炭化水素は、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、1,1-ジクロロエテン、シス-1,2-ジクロロエテン、トランス-1,2-ジクロロエテン、及び塩化ビニルからなる群から選択される、請求項181に記載の組成物。
【請求項187】
高密度非水相液である塩素化炭化水素を環境修復するために、カーボンに支持されたゼロ価鉄粒子を、エアロゾルリアクタ又は噴霧乾燥器を用いて調製する方法であって、
a)カーボン源を含むフィードストリームを準備するステップと、
b)鉄前駆体を前記フィードストリームに加えるステップと、
c)フィードストリームをノズルの中を通してエアロゾル化又はスプレーするステップと、
を含んでいる方法。
【請求項188】
d)フィードストリームを加熱ゾーンの中を通して脱水させて粒子を生成するステップと、
e)粒子をフィルタ上に集めるステップと、
f)粒子を水溶液中に分散させるステップと、
g)還元剤を前記水溶液に加えるステップと、
h)高分子電解質を前記水溶液に加えるステップと、
を更に含み、
フィードストリームは、単糖類又は多糖類、及び希酸を含む、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、及びポリフェノールからなる群から選択される、請求項188に記載の方法。
【請求項190】
単糖類又は多糖類は、蔗糖、ブドウ糖、セルロース、及びシクロデキストリンからなる群から選択される、請求項188に記載の方法。
【請求項191】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項188に記載の方法。
【請求項192】
希酸は、硫酸又は硝酸である、請求項188に記載の方法。
【請求項193】
塩素化炭化水素は、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、1,1-ジクロロエテン、シス-1,2-ジクロロエテン、トランス-1,2-ジクロロエテン、及び塩化ビニルからなる群から選択される、請求項187に記載の方法。
【請求項194】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至6ミクロンである、請求項187に記載の方法。
【請求項195】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至1.5ミクロンである、請求項187に記載の方法。
【請求項196】
カーボン微小球は直径が約300nm乃至700nmである、請求項187に記載の方法。
【請求項197】
カーボン微小球は直径が約400nm乃至600nmである、請求項187に記載の方法。
【請求項198】
カーボン微小球は直径が約500nmである、請求項187に記載の方法。
【請求項199】
請求項187乃至請求項201の何れかに記載の方法によって生成される、カーボンに支持されたゼロ価鉄粒子。
【請求項200】
潤滑する方法であって、
a)単糖類又は多糖類から、直径が50nm乃至6ミクロンの単分散カーボン微小球を生成するステップと、
b)微小球を表面コーティングでコートするステップと、
c)カーボン微小球を潤滑剤として使用するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項201】
単糖類又は多糖類は、蔗糖、澱粉、シクロデキストリン、セルロース、ブドウ糖、及び果糖からなる群から選択される、請求項200に記載の方法。
【請求項202】
表面コーティングは、界面活性剤、ポリマー、及びタンパク質からなる群から選択される、請求項200に記載の方法。
【請求項203】
界面活性剤は、化学式CH3(CH2)n(HG)で表され、3<n<21であり、HGは界面活性剤の極性ヘッド基である、請求項202に記載の方法。
【請求項204】
界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、アミン、カルボン酸、ホスホン酸、アルコール、チオール基、並びにナトリウム、カリウム、塩素、及び臭素等の対イオンを有するそれらの塩からなる群から選択される、請求項200に記載の方法。
【請求項205】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至6μmである、請求項200に記載の方法。
【請求項206】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至1.5μmである、請求項200に記載の方法。
【請求項207】
カーボン微小球は直径が約300nm乃至700nmである、請求項200に記載の方法。
【請求項208】
カーボン微小球は直径が約400nm乃至600nmである、請求項200に記載の方法。
【請求項209】
カーボン微小球は直径が約500nmである、請求項200に記載の方法。
【請求項210】
潤滑剤は、油及び水をベースとする潤滑剤である、請求項200に記載の方法。
【請求項211】
潤滑剤は、せん断表面間の摩擦力を低下させる、請求項200に記載の方法。
【請求項212】
カーボン微小球は硬質カーボン微小球である、請求項200に記載の方法。
【請求項213】
表面コーティングは、ドデシル硫酸ナトリウム、アミン、カルボン酸、ホスホン酸、アルコール、チオール基、並びにナトリウム、カリウム、塩素、及び臭素等の対イオンを有するそれらの塩からなる群から選択される、請求項212に記載の方法。
【請求項214】
微小球はマイクロ電気機械系において使用される、請求項200に記載の方法。
【請求項215】
微小球はマイクロ流体系において使用される、請求項200に記載の方法。
【請求項216】
潤滑剤は、乾燥した環境中、有機液体中、水中、又はイオン液体中で使用される、請求項200に記載の方法。
【請求項217】
潤滑剤は、マイクロボールベアリングとして使用される、請求項200に記載の方法。
【請求項218】
潤滑剤は、宇宙関連用の乾燥潤滑剤として使用される、請求項200に記載の方法。
【請求項219】
潤滑剤は、メタンの貯蔵用、又はガス水和物の核形成用に使用される、請求項200に記載の方法。
【請求項220】
単分散カーボン微小球を使用して、ヒ素を修復する方法であって、
a)単分散カーボン微小球を準備するステップと、
b)前記微小球を、ヒ素を含む物質に接触させるステップと、を含んでおり、
c)微小球は、直径が50nm乃至6ミクロンである、方法。
【請求項221】
単分散微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の50パーセント以内である、請求項220に記載の方法。
【請求項222】
単分散微小球は、全部が同じ直径を有するか又は同じ直径の10パーセント以内である、請求項220に記載の方法。
【請求項223】
微小球に付着した酸化鉄を更に含んでいる、請求項220に記載の方法。
【請求項224】
カーボンが内包された高分子電解質を更に含んでいる、請求項223に記載の方法。
【請求項225】
触媒を更に含んでいる、請求項223又は請求項224に記載の方法。
【請求項226】
触媒は遷移金属である、請求項225に記載の方法。
【請求項227】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項225に記載の方法。
【請求項228】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至6μmである、請求項220に記載の方法。
【請求項229】
カーボン微小球は直径が約200nm乃至1.5μmである、請求項220に記載の方法。
【請求項230】
カーボン微小球は直径が約300nm乃至700nmである、請求項220に記載の方法。
【請求項231】
カーボン微小球は直径が約400nm乃至600nmである、請求項220に記載の方法。
【請求項232】
カーボン微小球は直径が約500nmである、請求項220に記載の方法。
【請求項233】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項224に記載の方法。
【請求項234】
微小球に付着したゼロ価鉄ナノ粒子を更に含んでいる、請求項223に記載の方法。
【請求項235】
塩素化炭化水素及びヒ素は一緒に修復される、請求項234に記載の方法。
【請求項236】
触媒を更に含んでいる、請求項188に記載の方法。
【請求項237】
触媒は遷移金属である、請求項236に記載の方法。
【請求項238】
触媒は、パラジウム、白金、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項236に記載の方法。
【請求項239】
親水性又は両親媒性の有機種は、界面活性剤、植物油、澱粉、及び高分子電解質からなる群から選択される、請求項127に記載の方法。
【請求項240】
親水性又は両親媒性の有機種は、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びポリ(アクリル酸)(PAA)からなる群から選択される高分子電解質、又はトリブロックコポリマーである、請求項127に記載の方法。
【請求項241】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項239に記載の方法。
【請求項242】
親水性又は両親媒性の有機種は、界面活性剤、植物油、澱粉、及び高分子電解質からなる群から選択される、請求項154に記載の方法。
【請求項243】
親水性又は両親媒性の有機種は、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びポリ(アクリル酸)(PAA)からなる群から選択される高分子電解質、並びにトリブロックコポリマーである、請求項154に記載の方法。
【請求項244】
高分子電解質は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、デキストラン、ポリラクテート、ポリアスコルベート、修飾キトサン、ゼラチン、キサンタンガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項242に記載の方法。
【請求項245】
エアロゾルリアクタが使用される、請求項187に記載の方法。
【請求項246】
噴霧乾燥器が使用される、請求項187に記載の方法。
【請求項247】
本明細書に実質的に示され及び/又は記載されている、発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図11(c)】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【図17a】
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【図17b】
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【図18】
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【図19】
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【図20(a)】
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【図20(b)】
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【図20(c)】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34a】
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【図34b】
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【図34c】
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【図34d】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公表番号】特表2013−508130(P2013−508130A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534365(P2012−534365)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/052713
【国際公開番号】WO2011/047181
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(510319971)
【氏名又は名称原語表記】THE ADMINISTRATORS OF THE TULANE EDUCATIONAL FUND
【Fターム(参考)】