説明

塵芥収集装置およびこれを備えた塵芥収集車

【課題】プラットフォームなどの高い位置からでも容易に塵芥積込装置を緊急停止させることが可能な塵芥収集装置およびこれを備えた塵芥収集車の提供。
【解決手段】塵芥が収容され、後方開口部4を有する塵芥収容箱3と、この塵芥収容箱3の後方開口部4に連設され、塵芥を投入するための塵芥投入口6を有する塵芥投入箱5と、この塵芥投入箱5に装備される塵芥積込装置と、塵芥投入口6の後方に敷設されるマットスイッチ9と、マットスイッチ9がオンのときのみ塵芥積込装置を動作させるコントローラとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥が収容される塵芥収容箱と、この塵芥収容箱の後方開口部に連設され、内部に塵芥積込装置を装備した塵芥投入箱とを備えた塵芥収集装置およびこれを備えた塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、車体上に搭載された塵芥収容箱と、この塵芥収容箱の後方開口部に連設され、内部に塵芥積込装置を装備した塵芥投入箱とを備えた塵芥収集車が知られている。塵芥積込装置は、塵芥投入箱内において摺動シリンダの伸縮動作により上下方向に摺動可能な摺動板と、摺動板の下端部に揺動シリンダの伸縮動作により前後方向に揺動自在な圧縮板とを備えている。塵芥積込装置は、摺動シリンダおよび揺動シリンダの伸縮動作により摺動板と圧縮板とを反転、下降、圧縮、上昇を1サイクルとする積込動作を繰り返し行う。
【0003】
この塵芥収集車では、投入口を通じて塵芥投入箱に投入された塵芥は、この塵芥積込装置の積込動作により塵芥収容箱内へ積み込まれる。また、この塵芥収集車には、塵芥投入箱の投入口の下方に備えられた緊急停止レバーの操作により塵芥積込装置の作動を停止させる緊急停止装置が設けられている。作業者は、塵芥の塵芥投入箱への投入作業時に、投入口の左右両側方の緊急停止ボタンを操作するか、この塵芥投入箱の投入口下方の緊急停止レバーを操作することで、緊急停止装置を作動させ、塵芥積込装置の作動を停止させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−184305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の塵芥収集車の塵芥投入箱の投入口の下縁は地上から約800mm程度の高さにある。スーパーマーケット等にはトラックからの荷受や配送の関係で約1m程の高さを有するプラットフォームがあり、このプラットフォームからスーパーマーケット等で発生した塵芥を回収することがある。また、このプラットフォームは滑りやすくなっているため、塵芥投入作業をする際に作業者が滑って投入口に入りやすく、この際、投入口左右両側の緊急停止ボタンを操作することは困難である。また、緊急停止レバーは投入口の下方にあるので、プラットフォーム上にいる作業車からは操作することがさらに難しく、緊急停止させることができない。
【0006】
そこで、本発明においては、プラットフォームなどの高い位置からでも容易に塵芥積込装置を緊急停止させることが可能な塵芥収集装置およびこれを備えた塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の塵芥収集装置は、塵芥が収容され、後方開口部を有する塵芥収容箱と、この塵芥収容箱の後方開口部に連設され、塵芥を投入するための塵芥投入口を有する塵芥投入箱と、この塵芥投入箱に装備される塵芥積込装置と、塵芥投入口の後方に敷設される足踏み式のスイッチと、足踏み式のスイッチがオンあるいはオフのときのみ塵芥積込装置を動作させるコントローラとを備えたものである。
【0008】
本発明によれば、作業者が塵芥投入口の後方に敷設される足踏み式のスイッチを踏んでオンあるいはオフにした状態のときのみ塵芥積込装置が動作するので、緊急時には足踏み式のスイッチから足を離すだけで塵芥積込装置を停止させることができる。
【0009】
ここで、プラットフォームなどの高い位置から塵芥投入口へ塵芥を直接投入する場合には、足踏み式のスイッチはプラットフォーム上、すなわち地上よりも高い位置に敷設されるものであることが望ましい。これにより、作業者がプラットフォーム上で足を滑らせるなどして足踏み式のスイッチから足が離れた場合には、塵芥積込装置が停止する。
【0010】
また、本発明の塵芥収集装置は、塵芥投入口の側方に塵芥積込装置の動作を指示するためのスイッチ群と、スイッチ群の上方にコントローラに接続されるプラグ接続口とを有し、足踏み式のスイッチは、プラグ接続口に着脱可能に接続されるプラグを有するものであることが望ましい。これにより、プラットフォームなどの高い位置に敷設された足踏み式のスイッチのプラグを、このプラットフォーム上からスイッチボックの上方の高い位置に設けられたプラグ接続口へ容易に接続することができる。
【発明の効果】
【0011】
(1)塵芥が収容され、後方開口部を有する塵芥収容箱と、この塵芥収容箱の後方開口部に連設され、塵芥を投入するための塵芥投入口を有する塵芥投入箱と、この塵芥投入箱に装備される塵芥積込装置と、塵芥投入口の後方に敷設される足踏み式のスイッチと、足踏み式のスイッチがオンあるいはオフのときのみ塵芥積込装置を動作させるコントローラとを備えたことにより、緊急時には足踏み式のスイッチから足を離すだけで塵芥積込装置を停止させることができ、プラットフォームなどの高い位置からでも容易に塵芥積込装置を緊急停止させることが可能となる。
【0012】
(2)足踏み式のスイッチが地上よりも高い位置に敷設されるものであることにより、作業者がプラットフォーム上で足を滑らせるなどして足踏み式のスイッチから足が離れた場合には、塵芥積込装置が停止するので、安全性が向上する。
【0013】
(3)塵芥投入口の側方に塵芥積込装置の動作を指示するためのスイッチ群と、スイッチ群の上方にコントローラに接続されるプラグ接続口とを有し、足踏み式のスイッチは、プラグ接続口に着脱可能に接続されるプラグを有するものであることにより、プラットフォームなどの高い位置に敷設された足踏み式のスイッチのプラグを、このプラットフォーム上からスイッチボックスの上方の高い位置に設けられたプラグ接続口へ容易に接続することができ、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態における塵芥収集車の側面図である。
【図2】図1の塵芥収集車の後部を断面にて示す側面図である。
【図3】図1の塵芥収集車の背面図である。
【図4】図1の塵芥収集車の油圧回路構成を示す回路図である。
【図5】図1の塵芥収集車の電気回路の一部を示す回路図である。
【図6】回転式の塵芥積込装置を示す塵芥投入箱の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の実施の形態における塵芥収集車の側面図、図2は図1の塵芥収集車の後部を断面にて示す側面図、図3は図1の塵芥収集車の背面図である。なお、以下の説明において、前後方向は車体の進行方向と同じ方向を指すものとし、左右方向は車体の前方に向かって左右方向を指すものとする。
【0016】
図1において、本発明の実施の形態における塵芥収集車1は、車体2上に塵芥収集装置2aが搭載されたものである。塵芥収集装置2aは、車体2上に搭載された塵芥収容箱3と、この塵芥収容箱3の後端の後方開口部4に連設された塵芥投入箱5とから構成される。塵芥投入箱5は、後方開口部4の上方で投入箱支持ピン5a(図2参照。)により軸支されており、この投入箱支持ピン5aを中心に傾動自在となっている。
【0017】
図2および図3に示すように、塵芥投入箱5の後部には、塵芥を投入するための略矩形状の塵芥投入口6が開口されている。また、塵芥投入箱5には、この塵芥投入口6を開閉する開閉扉としてのテールゲート7が設けられている。テールゲート7は上下にスライド可能となっており、塵芥投入口6の上方へ移動することにより、塵芥投入口6を開放することが可能である。
【0018】
また、図2に示すように、塵芥投入箱5の内部には、圧縮式の塵芥積込装置20が装備されている。塵芥積込装置20は、塵芥投入箱5内に塵芥投入口6を通じて投入された塵芥Dを圧縮して、塵芥収容箱3に積み込むためのものである。
【0019】
塵芥投入箱5の左右両側壁には、溝形鋼で形成された案内溝部材21が補強枠を兼ねて全方上部より後方下部に向かって敷設されている。塵芥投入箱5内には、その横幅いっぱいに広がる摺動板22が収容されている。この摺動板22の左右両側縁の上下には、案内ローラ23が回転可能に設けられている。これらの案内ローラ23は、案内溝部材21の内壁に沿って転動自在に嵌入されている。
【0020】
また、摺動板22の背面上部の左右端部にはボス部24が設けられている。このボス部24には、摺動板支持軸25が挿通されている。この摺動板支持軸25は、塵芥投入箱5の左右両側壁に形成された摺動用開口5bを越えて塵芥投入箱5の内側より外側に突出するように配置されている。
【0021】
また、塵芥投入箱5の左右両側壁からそれぞれ外側に突出した摺動板支持軸25と塵芥投入箱5の下部間には、左右それぞれ塵芥投入箱5の外側に案内溝部材21の傾斜方向に沿って配置された摺動シリンダ26がそれぞれ連結されている。この摺動シリンダ26の伸縮動作によって、摺動板22は案内溝部材21に沿って上下に往復移動する。
【0022】
摺動板22の下端には、塵芥投入箱5の横幅いっぱいに広がる圧縮板27が前後方向に揺動可能に支持されている。この圧縮板27の先端は前方に向かって若干屈曲形成されている。また、圧縮板27の左右両背面には接続部27aが突設されている。この左右それぞれの接続部27aと、摺動板22の背面上部に設けられた摺動板支持軸25の左右両端部との間には、それぞれ揺動シリンダ28が連結されている。この揺動シリンダ28の伸縮動作によって、圧縮板27は前後に揺動する。
【0023】
一方、塵芥収容箱3内には、排出板30が車体2の前後方向に摺動可能に配設されている。排出板30は、塵芥収容箱3内で車体2の前後方向に摺動する支持フレーム31に支持されている。支持フレーム31の左右両側縁には、排出板30の車体2の前後方向への移動をガイドするガイド部を構成する溝形鋼で構成された案内溝部材32が設けられている。塵芥収容箱3の左右下両側面には、この案内溝部材32とともにガイド部を構成する案内凸部材33が車体2の前後方向に延設されている。
【0024】
また、塵芥収容箱3内には、伸縮動作により排出板30を車体2の前後方向に移動させる排出シリンダ34が備えられている。排出シリンダ34は、多段伸縮式のシリンダである。排出シリンダ34の後端は、排出板30の下方に設けられた支持部材35に、軸部材36により回動自在に軸支されている。一方、図示しないが、排出シリンダ34の前端は塵芥収容箱3内の前方に回動自在に軸支されている。
【0025】
また、図3に示すように、塵芥投入箱5の塵芥投入口6の左右側方には、塵芥積込装置20の動作を指示するためのスイッチ群40,41がそれぞれ設けられている。スイッチ群40は、摺動板と圧縮板とを順次反転、下降、圧縮および上昇させて積込動作させる積込ボタン40aと、摺動板を下降させる下降ボタン40bと、摺動板を上昇させる上昇ボタン40cと、圧縮板を反転動作させる反転ボタン40dと、積込動作を緊急停止させる緊急停止ボタン40eとを含む複数のプッシュ式のスイッチがスイッチボックス40fに設けられたものである。また、スイッチ群41は、L型に折り曲げられてなるスイッチブラケット41aに積込動作を緊急停止させる緊急停止ボタン41bが取り付けられて構成されている。また、塵芥投入箱5の塵芥投入口6の下方には、車幅方向に延びる棒状の緊急停止レバー42が支持部材42aを介して揺動自在に取り付けられており、緊急停止レバー42を前方に押すことにより、近接センサ43a(図4参照。)で検出するようになっている。
【0026】
また、スイッチ群40,41の各ボタン40a〜40e,41bは、運転席内に設けられたコントローラ55(図4参照。)に接続されている。積込ボタン40aが押し込まれた際には、コントローラ55に対して、摺動板22と圧縮板27とを順次反転、下降、圧縮および上昇させて積込動作させる積込信号が出力される。同様に、下降ボタン40bまたは上昇ボタン40cが押し込まれた際には、コントローラ55に対して、各ボタン40b,40cが押し込まれている間、それぞれ摺動板22を下降または上昇させる下降信号または上昇信号が出力される。また、反転ボタン40dが押し込まれた際には、コントローラ55に対して、圧縮板27を反転動作させる反転信号が出力される。また、緊急停止ボタン40e,41bが押し込まれた際には、コントローラ55に対して積込動作を緊急停止させる停止信号が出力される。また、緊急停止レバー42を車体前方に揺動させると、コントローラ55に対して積込動作を緊急停止させる停止信号が出力される。
【0027】
また、塵芥投入口6の左側方のスイッチ群40の上方には、コントローラ55に接続されるプラグ接続口8が設けられている。このプラグ接続口8には、足踏み式のスイッチとしてのマットスイッチ9(図1参照。)のリード線9aに接続されたプラグ9bが着脱可能に接続される。マットスイッチ9は矩形平板状のスイッチであり、作業者がどの位置を踏んでもオンとなるスイッチである。マットスイッチ9は塵芥投入口6の後方のプラットフォーム10上に敷設される。マットスイッチ9がオンのときには、コントローラ55に対して、塵芥積込装置20の動作を許可する信号が出力される。一方、マットスイッチ9がオフのときには、コントローラ55に対して、塵芥積込装置20の動作を不許可とする信号が出力される。なお、マットスイッチ9のプラグ9bをプラグ接続口8より外すと、塵芥積込装置20のスイッチ群40,41は、マットスイッチ9の操作に関係なく、操作することができるようになっている。ところで、本実施形態では、マットスイッチ9を踏むとオンになるようにしているが、マットスイッチ9を踏むとオンからオフに切り換わる逆のスイッチであっても良い。
【0028】
次に、本実施形態における塵芥収集車1の油圧回路構成について説明する。図4は図1の塵芥収集車1の油圧回路構成を示す回路図である。
【0029】
図4に示すように、この油圧回路50では、揺動シリンダ28、排出シリンダ34、摺動シリンダ26、ロックシリンダ37および回動シリンダ38の5種類のシリンダをそれぞれ油圧制御している。揺動シリンダ28は、圧縮板27を車体前後方向に揺動させるためのものである。摺動シリンダ26は、摺動板22を上下方向に摺動させるためのものである。
【0030】
排出シリンダ34は、塵芥収容箱3内に配設された排出板30を車体前後方向に摺動させるためのものである。排出板30は、塵芥収容箱3に塵芥Dを積込む際には、塵芥収容箱3内の最後方位置に配置しておく。そして、塵芥積込装置20により積込まれる塵芥Dが排出板30を押圧する力が所定以上に達した際に、排出シリンダ34を縮退させることで、排出板30が徐々に前方に移動するようにしている。このような排出板30の移動動作によって、塵芥Dを圧縮しながら塵芥収容箱3内へ積み込むことができるようになっている。
【0031】
また、塵芥収容箱3が塵芥で満杯状態になったときには、排出シリンダ34を伸長させることで、塵芥収容箱3の前部に位置する排出板30を後方に移動させ、塵芥収容箱3内に収容された塵芥Dを排出することができるようになっている。なお、排出シリンダ34は、塵芥収容箱3内の限られた収容スペースにおいてできるだけ長い伸縮量を確保するために、多段伸縮式のシリンダで構成されている。
【0032】
ロックシリンダ37は、塵芥投入箱5を閉じた位置でロックするためのものである。このロックシリンダ37は、塵芥処理場において塵芥収容箱3内の塵芥を廃棄する際に伸長させて、塵芥投入箱5のロックを解除し、塵芥投入箱5を開いて後方開口部4を開放することができるようになっている。回動シリンダ38は、塵芥投入箱5を、投入箱支持ピン5aを中心にして上方に回動させて、塵芥収容箱3の後部を開放状態にするためのものである。
【0033】
各シリンダ34,28,26,37,38は、油圧配管50aを介して油圧切替部51に接続されている。この油圧切替部51は、図示しない複数の電磁弁を備えており、これらの電磁弁の開閉ポートを切り替えることにより、油圧ポンプ52から吐出された作動油が所望のシリンダに対して供給される。これにより、各シリンダ34,28,26,37,38の伸縮動作の切り替えが制御され、または動作が停止される。
【0034】
油圧回路50は、作動油を貯留する油圧タンク53を備える。油圧回路50は、油圧タンク53内の作動油を油圧ポンプ52で吸い上げて供給側の油圧配管50bに流通させ、油圧切替部51に供給されるように構成されている。そして、油圧切替部51を通過した作動油は、回収側の油圧配管50cに流通させ、リターンフィルタ54で濾過された後、油圧配管50c’を流通させて、再び油圧タンク53に回収されるようになっている。
【0035】
コントローラ55は、前述の各ボタン40a〜40e,41bから出力された各種信号を受信すると、油圧切替部51に対し、各種信号に応じて電磁弁の開閉ポートを切り替えて、摺動シリンダ26および揺動シリンダ28を伸縮動作、または停止させるように制御する制御信号を出力する。但し、コントローラ55は、摺動シリンダ26および揺動シリンダ28の伸縮動作については、マットスイッチ9がオンのときのみ動作するように制御信号を出力する。
【0036】
次に、上記構成の塵芥積込装置20の運転動作について説明する。まず、図2に示すように、摺動シリンダ26および揺動シリンダ28がいずれも伸長して摺動板22が上昇終了位置(最上位置)にある状態で、塵芥投入口6を通して塵芥Dを塵芥投入箱5内に投入し、積込ボタン40aを押し込み操作する。積込ボタン40aによる積込指示がなされると、コントローラ55に対して前述の積込信号を出力する。そして、コントローラ55は、この積込信号を受けて、以下の積込動作を行うように油圧切替部51の動作を制御する。
【0037】
まず、図2に示す状態から、揺動シリンダ28が縮退作動して圧縮板27が反転作動し、反転終了位置に達する(反転工程)。この後、摺動シリンダ26が縮退作動して摺動板22が下降し、これに伴って圧縮板27が下降する(下降工程)。そして、圧縮板27が下降終了位置に達すると、揺動シリンダ28を伸長させて圧縮板27を前方に揺動させ、圧縮工程に移行する。そして、圧縮板27が圧縮終了位置まで揺動する(圧縮行程)と、摺動シリンダ26を伸長させて圧縮板27を上昇させる(上昇工程)。この圧縮板27が上昇終了位置に達すると、一連の積込動作を終了する。これにより反転、下降、圧縮、上昇の各工程を1サイクルとして塵芥積込動作を繰り返して行う。
【0038】
次に、本実施形態における塵芥収集車1の電気回路構成について説明する。図5は図1の塵芥収集車1の電気回路の一部を示す回路図である。なお、図5において、60は電源ライン、61はアースラインである。
【0039】
図5に示すように、コントローラ55には、前述の積込ボタン40aに対応するa接点のスイッチSW−3と、前述の反転ボタン40dに対応するa接点のスイッチSW−6と、前述の上昇ボタン40cに対応するa接点のスイッチSW−7と、前述の下降ボタン40bに対応するa接点のスイッチSW−13とが並列に設けられている。また、前述の緊急停止ボタン40eに対応するb接点のスイッチSW−15と、前述の緊急停止ボタン41bに対応するb接点のスイッチSW−4と、前述の緊急停止レバー42の車体前方への揺動を検出する近接センサ43aに対応するスイッチSW−5とがコントローラ55に対して直列に設けられている。また、前述のマットスイッチ9もコントローラ55に接続されている。
【0040】
また、コントローラ55には、前述の油圧切替部51に備えられた電磁弁の開閉ポートを切り替える作動回路部62が接続されている。作動回路部62には、摺動シリンダ26を伸長させように電磁弁の開閉ポートを切り替える上昇ソレノイド62a、摺動シリンダ26を縮退させるように電磁弁の開閉ポートを切り替える下降ソレノイド62b、揺動シリンダ28を伸長させるように電磁弁の開閉ポートを切り替える圧縮ソレノイド62cおよび揺動シリンダ28を縮退させるように電磁弁の開閉ポートを切り替える反転ソレノイド62dが備えられている。
【0041】
また、コントローラ55には、連動側接点と単動側接点とを有する双投スイッチである切換スイッチSW−16が接続されている。単動作動とは、前述のように塵芥積込装置20を1サイクル分だけ作動させた後に、この塵芥積込装置20を停止させるものであり、連動作動とは、塵芥積込装置20を連続して作動させるものである。
【0042】
切換スイッチSW−16が連動側接点に投入されているときには、一度スイッチSW−3が押されると、前述のように塵芥積込装置20が連続作動するようにコントローラ55によって作動回路部62の各ソレノイド62a〜62dへ制御信号が出力され、油圧切替部51の電磁弁が作動して、摺動シリンダ26および揺動シリンダ28がそれぞれ作動し、塵芥積込装置20による塵芥の連続積み込み動作が行われる(連動作動)。一方、切換スイッチSW−16が単動側接点に投入されているときには、塵芥積込装置20が1サイクル分作動した時点で停止するようにコントローラ55によって作動回路部62の各ソレノイド62a〜62dへ制御信号が出力される(単動作動)。
【0043】
そして、上記塵芥積込装置20の作動中、作業者の足がマットスイッチ9から離れるなどしてマットスイッチ9がオフとなった場合には、コントローラ55は作動回路部62の各ソレノイド62a〜62dへ油圧切替部51の動作を停止するように制御信号を出力し、塵芥積込装置20が停止するようになっている。また、上記塵芥積込装置20の積込動作はマットスイッチ9がオンのときのみ開始され、マットスイッチ9がオフのときには開始されないように、コントローラ55は作動回路部62の各ソレノイド62a〜62dへ制御信号を出力するようになっている。
【0044】
また、上記塵芥積込装置20の作動中、作業者が緊急停止ボタン40e,41bを操作するか、緊急停止レバー42を車体前方に押すと、スイッチSW−15、SW−4またはスイッチSW−5が作動し、コントローラ55は作動回路部62の各ソレノイド62a〜62dへ油圧切替部51の動作を停止するように制御信号を出力し、塵芥積込装置20が停止する。
【0045】
以上のように、本実施形態における塵芥収集車1では、作業者が塵芥投入口6の後方に敷設されるマットスイッチ9を踏んでオンにした状態のときのみ塵芥積込装置20が動作するので、緊急時にはマットスイッチ9から足を離すだけで塵芥積込装置20を停止させることができる。なお、マットスイッチ9に代えて、その他の足踏み式のスイッチをプラグ接続口8に接続し、同様の信号を出力させる構成とすることも可能である。
【0046】
このように本実施形態における塵芥収集車1では、緊急時にはマットスイッチ9から足を離すだけで塵芥積込装置20を停止させることができるので、プラットフォーム10(図1参照。)などの高い位置から塵芥投入口6へ塵芥を直接投入する場合には、マットスイッチ9をプラットフォーム10上に敷設することで、このプラットフォーム10などの高い位置からでもマットスイッチ9から足を離すことで、容易に塵芥積込装置20を緊急停止させることが可能である。また、作業者がプラットフォーム10上で足を滑らせるなどしてマットスイッチ9から足が離れた場合には、塵芥積込装置20が停止するので、安全性が確保されている。
【0047】
また、本実施形態における塵芥収集車1では、塵芥投入口6の側方のスイッチ群40の上方にコントローラ55に接続されるプラグ接続口8を有しているため、プラットフォーム10などの高い位置に予め敷設されたマットスイッチ9のプラグを、このプラットフォーム10上からプラグ接続口8へ容易に接続することができ、作業性が良い。
【0048】
なお、本実施形態においては、圧縮式の塵芥積込装置を備えた塵芥収集車について説明したが、回転式の塵芥積込装置を備えた塵芥収集車にも適用可能である。図6は回転式の塵芥積込装置を示す塵芥投入箱の概略縦断面図である。なお、図6において前述の実施形態と共通部分については同一符号を付し、相違部分には別の符号を付している。
【0049】
図6に示すように、回転式の塵芥積込装置70は、車体2の前後方向に揺動する押込板71と、この押込板71の下端付近に回転中心を有して正逆転する回転板72とを備えている。押込板71は、塵芥投入箱5の幅方向全体に亘って延設され、かつ後方開口部4に対向するように配設されている。この押込板71の上部は、塵芥投入箱5の左右両側壁の中央付近に、中心軸71aよりも上方に延びる延設部71bが設けられている。
【0050】
延設部71bの先端には、左右一対の押込シリンダ73の先端が連設されている。押込シリンダ73は、その基端が投入箱支持ピン5aに回動自在に支持されている。この押込シリンダ73の伸縮動作により、押込板71が中心軸71a周りに車体2の前後方向に揺動するようになっている。
【0051】
一方、回転板72は、押込板71の下側に設けられている。回転板72は、押込板71の下端付近に回転中心としての回転軸72aを有し、塵芥投入箱5の断面略半円弧状に形成された底壁74に沿って回転軸72a周りに回転するように構成されている。また、回転軸72aの一方は、正逆回転可能なモータ(図示せず。)に減速機構を介して駆動連結されており、このモータにより回転力がトルクアップされた状態で、モータと同期して正逆回転するように構成されている。
【0052】
このような構成の回転式の塵芥積込装置70においては、塵芥投入口6を通して塵芥投入箱5内に投入された塵芥Dは、回転板72が正回転(図6において右回り)することにより掻き集められ、この間、押込板71は回転板72に干渉しないように後方位置に移動し、回転板72の先端が後方開口部4の下縁の対応位置まで持ち上げられる。そして、押込板71が後方位置から前方位置へ揺動することにより、回転板72上の塵芥が後方開口部4を経て塵芥収容箱3内へ押し込まれる。
【0053】
このような動作を繰り返すことにより、塵芥Dを塵芥収容箱3内へ満杯まで積み込むことができるようになっている。塵芥収容箱3内へ収容された塵芥Dは、塵芥収容箱3をダンプさせて排出することができるようになっている。
【0054】
このような回転式の塵芥積込装置70においても、前述と同様のマットスイッチ9を設けることで、作業者が塵芥投入口6の後方に敷設されるマットスイッチ9を踏んでオンにした状態のときのみ塵芥積込装置70が動作するようになり、緊急時にはマットスイッチ9から足を離すだけで塵芥積込装置70を停止させることが可能となる。
【0055】
なお、塵芥収集装置2aは脱着車両に搭載可能であり、塵芥収集装置2aをイベント会場等に搬送して積み卸し、イベント会場等に設置して塵芥を回収することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、塵芥収容箱の内部空間に塵芥を積み込んで収集するための塵芥収集車として有用である。特に、本発明は、プラットフォームなどの高い位置からでも容易に操作して塵芥積込装置を安全に緊急停止させることができるため、プラットフォームなどから直接塵芥投入口へ塵芥を投入することのできる塵芥収集車として好適である。
【符号の説明】
【0057】
D 塵芥
1 塵芥収集車
2 車体
2a 塵芥収集装置
3 塵芥収容箱
4 後方開口部
5 塵芥投入箱
5a 投入箱支持ピン
5b 摺動用開口
6 塵芥投入口
7 テールゲート
8 プラグ接続口
9 マットスイッチ
9a リード線
9b プラグ
10 プラットフォーム
20 塵芥積込装置
21 案内溝部材
22 摺動板
23 案内ローラ
24 ボス部
25 摺動板支持軸
26 摺動シリンダ
27 圧縮板
27a 接続部
28 揺動シリンダ
30 排出板
31 支持フレーム
32 案内溝部材
33 案内凸部材
34 排出シリンダ
35 支持部材
36 軸部材
37 ロックシリンダ
38 回動シリンダ
40,41 スイッチ群
40a 積込ボタン
40b 下降ボタン
40c 上昇ボタン
40d 反転ボタン
40e 緊急停止ボタン
40f スイッチボックス
41a スイッチブラケット
41b 緊急停止ボタン
50 油圧回路
50a,50b,50c,50c’ 油圧配管
51 油圧切替部
52 油圧ポンプ
53 油圧タンク
54 リターンフィルタ
55 コントローラ
70 塵芥積込装置
71 押込板
72 回転板
73 押込シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥が収容され、後方開口部を有する塵芥収容箱と、
この塵芥収容箱の後方開口部に連設され、塵芥を投入するための塵芥投入口を有する塵芥投入箱と、
この塵芥投入箱に装備される塵芥積込装置と、
前記塵芥投入口の後方に敷設される足踏み式のスイッチと、
前記足踏み式のスイッチがオンあるいはオフのときのみ前記塵芥積込装置を動作させるコントローラと
を備えた塵芥収集装置。
【請求項2】
前記足踏み式のスイッチは、地上よりも高い位置に敷設されるものである請求項1記載の塵芥収集装置。
【請求項3】
前記塵芥投入口の側方に前記塵芥積込装置の動作を指示するためのスイッチ群と、
前記スイッチ群の上方に前記コントローラに接続されるプラグ接続口とを有し、
前記足踏み式のスイッチは、前記プラグ接続口に着脱可能に接続されるプラグを有するものである請求項1または2に記載の塵芥収集装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の塵芥収集装置が車体上に搭載された塵芥収集車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−32207(P2013−32207A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169376(P2011−169376)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】