説明

塵芥収集車の管理システム

【課題】塵芥収集車の管理システムにおいて、作業出発前に規制情報を登録する手間を削減して準備時間の短縮を行うと共に、状況に応じた柔軟な規制を行う。
【解決手段】塵芥収集車側のGPS22(車両位置検出手段)で位置を検出して車両位置データを取得し、コントロールユニット31(積込排出制御装置)で塵芥積込排出装置21の操作が行われたときに操作の状況を示す操作状況データを取得し、これらのデータを車両側送受信装置32で通信ネットワーク50に対して無線送信する。端末機40によって、これらのデータを受信し、塵芥収集車関連情報を取得する。塵芥積込排出装置21の操作を規制する規制情報を登録し、データ取得部42により取得された塵芥収集車関連情報と規制情報とを照らし合わせて塵芥積込排出装置21の操作を規制する規制信号を作成し、規制信号を通信ネットワーク50に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車の管理システムに関し、特に塵芥収集車の操作規制をするものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、塵芥の積込、排出、ダンプ操作など種々の操作が可能な塵芥収集車が知られている。これらの操作は、塵芥収集車に搭載された制御装置に固定プログラムとして固定された機能の範囲内で行われる。
【0003】
そして、例えば、特許文献1のような車両運行管理システムでは、塵芥収集車1に具備されたGPSユニット及び制御装置により、塵芥収集車の動作情報及び現在位置情報をそれぞれ検出又は算出し、これら各情報は、GPSユニットを具備する車載通信装置を介してメインコンピュータに送信され、メインコンピュータは、送信された動作情報及び現在位置情報に基づいて、所定の場所以外での排出動作を禁止するように制御装置を制御している。
【特許文献1】特開2006−137543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の塵芥収集車の管理システムでは、塵芥収集車が収集業者等の事務所から出発する前に制御装置にその日の作業内容や規制内容をインプットする必要があるので、準備に時間がかかり、また、出発後にインプットの漏れや計画変更があっても遠隔地の事務所から規制内容等を変更することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業出発前に規制情報を登録する手間を削減して準備時間の短縮を行うことができると共に、状況に応じた柔軟な規制が行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、遠隔地にある端末機から塵芥収集車の塵芥積込排出装置の規制を可能にした。
【0007】
具体的には、第1の発明では、塵芥積込排出装置を備えた塵芥収集車を通信ネットワークを用いて管理する塵芥収集車の管理システムを対象とする。
【0008】
そして、上記塵芥収集車の管理システムは、
上記塵芥収集車に設けられ、該塵芥収集車の位置を検出して車両位置データを取得する車両位置検出手段と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記塵芥積込排出装置を制御すると共に、該塵芥積込排出装置の操作が行われたときに、該操作の状況を示す操作状況データを取得する積込排出制御装置と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記操作状況データと上記車両位置データとを上記通信ネットワークに対して無線送信すると共に、該通信ネットワークからの信号を受信する車両側送受信装置と、
上記通信ネットワークを介して上記車両側送受信装置から無線送信されたデータを受信する端末側受信部、
上記操作状況データと上記車両位置データとから塵芥収集車関連情報を取得するデータ取得部、
上記塵芥積込排出装置の操作を規制する規制情報を登録する規制情報登録手段と、
上記データ取得部により取得された塵芥収集車関連情報と上記規制情報とを照らし合わせて上記塵芥積込排出装置の操作を規制する規制信号を作成する規制信号作成手段、及び
該規制信号作成手段で得られた規制信号を上記ネットワークに対して送信する端末側送信部を有する端末機と、
を備えた構成とする。
【0009】
上記の構成によると、車両位置検出手段により、塵芥収集車の位置が随時検出されて車両位置データが取得される。塵芥積込排出装置の操作が行われたときには、積込排出制御装置によって、操作の状況を示す操作状況データが収集される。車両位置検出手段により取得された車両位置データと積込排出制御装置で取得された操作状況データとは、車両側送受信装置によって通信ネットワークに対して無線送信される。この無線送信されたデータを端末側受信部で受信し、データ取得部で塵芥収集車関連情報として取得する。規制情報登録手段には、塵芥積込排出装置の操作を規制する規制情報を予め登録することもできるし、随時登録することもできる。規制信号作成手段が、この規制情報と、操作状況データ及び車両位置データからなる塵芥収集車関連情報とを照らし合わせて塵芥積込排出装置の操作を規制する必要があるかを判断し、規制する必要がある場合には、規制信号を作成する。この規制信号が端末側送信部から随時通信ネットワークに対して送信される。車両側送受信装置が通信ネットワークから規制信号を受信し、この規制信号に従って積込排出制御装置が塵芥積込排出装置を制御する。このため、遠隔地にある端末機から塵芥収集車の位置に合わせて随時塵芥積込排出装置の規制が可能となる。例えば、塵芥収集車の走行中などの収集現場に届く前に規制の設定が行える。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
上記規制情報は、指定エリア以外での上記塵芥積込排出装置の排出操作を規制する情報であり、該指定エリアは、上記端末機によって随時入力可能である。
【0011】
上記の構成によると、塵芥収集車と離れた位置にある端末機から塵芥積込排出装置の排出操作を規制する規制情報を入力できるので、入力後には、指定されたエリア以外で排出ができなくなる。このため、随時遠隔地の端末機から不法投棄や誤った廃棄場所での排出を防止する指示を出すことができる。
【0012】
第3の発明では、第1の発明において、
上記規制情報は、指定エリア以外での上記塵芥積込排出装置の積込操作を規制する情報であり、該指定エリアは、上記端末機によって随時入力可能である。
【0013】
上記の構成によると、塵芥収集車と離れた位置にある端末機から塵芥積込排出装置の積込操作を規制する規制情報を入力できるので、入力後には、指定されたエリア以外で積込ができなくなる。このため、随時遠隔地の端末機から誤った収集場所での積込を防止する指示を出すことができる。
【0014】
第4の発明では、第1の発明において、
上記規制情報は、指定エリアでの上記塵芥積込排出装置の連続した積込操作を規制する情報であり、該指定エリアは、上記端末機によって随時入力可能な繁華街や混雑場所である。
【0015】
上記の構成によると、塵芥収集車と離れた位置にある端末機から繁華街や混雑場所での塵芥積込排出装置の連続した積込操作を規制する規制情報を入力できるので、入力後には、繁華街や混雑場所で連続した積込ができなくなる。このため、端末機から、人混みが発生していて人がのぞき込んで危険な場所に想定される地域では、連続積込操作をできないようにして事故を防ぐようにする指示を随時出すことができる。
【0016】
第5の発明では、第1の発明において、
上記規制情報は、指定エリアでの上記塵芥収集車のアイドルアップを規制する情報であり、該指定エリアは、上記端末機によって随時入力可能である。
【0017】
上記の構成によると、塵芥収集車と離れた位置にある端末機から塵芥収集車のアイドルアップを規制する規制情報を入力できるので、入力後には、指定されたエリアでは、エンジンの騒音が抑えられる。このため、随時遠隔地の端末機から、作業時の騒音が問題となる夜間早朝の市街地などの収集場所での騒音を低減する指示を出すことができる。
【0018】
第6の発明では、第1の発明において、
上記塵芥積込排出装置は、ダンプ操作可能に構成され、
上記規制情報は、指定エリアでの上記ダンプ操作を規制する情報であり、該指定エリアは、上記端末機によって随時入力可能な全高規制のある領域である。
【0019】
上記の構成によると、塵芥収集車と離れた位置にある端末機から塵芥積込排出装置のダンプ操作を規制する規制情報を入力できるので、入力後には、指定されたエリアでは、ダンプ操作ができなくなる。このため、随時遠隔地の端末機から、ダンプ操作を行うと危険な全高規制のあるビルの地下などでの誤ったダンプ操作を防止する指示を出すことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、塵芥収集車と離れたところにある端末機から随時規制情報を登録可能としたことにより、作業出発前に規制情報を登録する手間を削減して準備時間の短縮を行うことができると共に、状況に応じた柔軟な規制を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
−塵芥収集車の概略構造−
図1及び図2は本発明の実施形態1にかかる塵芥収集車1を示し、この塵芥収集車1の車体2上に塵芥収容箱3が搭載されている。この塵芥収容箱3の後方開口部4には、その上方で投入箱支持ピン5により軸支された塵芥投入箱6が設けられている。この塵芥投入箱6は、塵芥収容箱3と塵芥投入箱6との間に設けられた図1に示す回動シリンダ9により、投入箱支持ピン5を中心に回動自在に構成されている。
【0022】
塵芥収集車1は、車体2のエンジン(図示せず)に駆動される動力取出装置(PTO)52(図8に示す)を備えている。この動力取出装置52の動力により、油圧機器30が駆動されるようになっている。
【0023】
塵芥投入箱6の後部には投入口7が開口され、その内部には塵芥積込装置20が装備されている。塵芥積込装置20は、塵芥投入箱6内に投入口7を通じて投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3内に積込むためのものである。
【0024】
図3にも示すように、塵芥投入箱6の両側壁には案内溝部材8が補強枠を兼ねて前方上部より後方下部に向かって敷設されている。塵芥投入箱6内にはその横幅一杯に広がる摺動板10が収容されている。この摺動板10の両側縁の上下には、案内ローラ11が回転可能に設けられている。これらの案内ローラ11は、上記案内溝部材8の内壁に沿って摺動自在に嵌入されている。
【0025】
上記摺動板10の背面上部の左右端部に設けたボス部19には、摺動板支持軸12が挿通されている。この摺動板支持軸12が摺動板10の摺動距離に合致して塵芥投入箱6の側壁に形成された摺動用開口6aを越えて塵芥投入箱6の内側より外側に突出するように配置されている。
【0026】
塵芥投入箱6の側壁から外側に突出した摺動板支持軸12と塵芥投入箱6の下部間には、塵芥投入箱6の外側で案内溝部材8の傾斜方向に沿って設けられた摺動シリンダ13が連結されている。摺動シリンダ13は、棒状のシリンダロッド13aと、塵芥投入箱6の側壁に取り付けられた円筒状のシリンダチューブ13bとを備えている。この摺動シリンダ13の伸縮作動によって摺動板10を案内溝部材8に沿って上下に往復移動させるようにしている。
【0027】
図2に示すように、上記摺動板10の下端には、塵芥投入箱6の横幅一杯に広がる圧縮板15が前後に揺動自在に支持されている。この圧縮板15の先端は前方に向かって若干屈折形成されている。上記圧縮板15の背面に突設した接続部15aと上記摺動板10の背面上部に設けられた摺動板支持軸12との間には、揺動シリンダ14が連結され、この揺動シリンダ14の伸縮作動によって上記圧縮板15を前後に揺動させるようにしている。
【0028】
このように構成することで、図4〜図7に示すように、塵芥積込装置20は、摺動シリンダ13及び揺動シリンダ14の伸縮動作により摺動板10と圧縮板15とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動することで、投入口7を通じて塵芥投入箱6に投入された塵芥55を塵芥収容箱3に積込むように構成されている。
【0029】
図1に示すように、塵芥収容箱3には、上記油圧機器30に駆動され、塵芥収容箱3内の塵芥を排出する排出装置18を備えている。具体的には、塵芥収容箱3内には排出板17が前後方向に摺動自在に配設されている。排出板17は、塵芥収容箱3の横幅及び上下高さと略同じ大きさに形成された板状体であり、排出シリンダ16の伸縮動作により塵芥収容箱3内を前後に摺動するようになされている。これら塵芥積込装置20及び排出装置18が塵芥積込排出装置21を構成している。
【0030】
図8は、本実施形態にかかる塵芥収集車の油圧機器30の油圧回路61を示す。塵芥収集車1は、積込排出制御装置としてのコントロールユニット31を備え、このコントロールユニット31は、塵芥積込排出装置21を制御するように構成されている。詳しくは説明しないが、図9にも示すように、コントロールユニット31は、CPU31a、データを一時的に又は継続的に保存する記憶部31b、塵芥積込排出装置21等を制御する制御部31c、塵芥積込排出装置21等を操作する操作端末31dなどを備えている。なお、コントロールユニット31の操作端末31dには、GPS22や、車両側送受信装置32が不調の場合、後述する操作規制を解除できるスイッチ(図示せず)が設けられ、規制を解除可能となっている。
【0031】
油圧機器30は、上記動力取出装置52に駆動される油圧ポンプ51を備えている。油圧機器30は、作動油を貯留する油圧タンク62を備え、油圧タンク62内の作動油を油圧ポンプ51で吸い上げて供給側の油圧配管61aに流通させてコントロールバルブ63に供給するように構成されている。各シリンダ9,13,14,16は、油圧配管61cを介してコントロールバルブ63に接続されている。コントロールバルブ63は、図示しない複数の電磁弁を備え、電磁弁の開閉ポートを切り替えることにより、油圧ポンプ51から吐出された作動油を所望のシリンダ9,13,14,16に対して供給するように構成されている。このことで、コントロールユニット31から送られてきた信号により、コントロールバルブ63を介して4種類のシリンダ9,13,14,16の伸縮動作の切換が制御され、又は運転が停止される。
【0032】
そして、コントロールバルブ63を通過した戻り側の作動油は、回収側の油圧配管61bを流通し、リターンフィルタ64で濾過された後、再び油圧タンク62に回収されるようになっている。コントロールバルブ63は、コントロールユニット31によって制御され、メイン回路である油圧回路61内の油圧(例えば、油圧配管61aの圧力)を計測する圧力センサ65を備えている。また、コントロールバルブ63は、特定の部位(例えば、揺動シリンダ14)が所定の油圧を越えると反応するプレッシャスイッチ66を備えている。
【0033】
そして、コントロールユニット31は、圧力センサ65やプレッシャスイッチ66を介して又はコントロールバルブ63から直接、塵芥積込排出装置21の操作の状況を示す操作状況データを取得するように構成されている。
【0034】
塵芥収集車1のキャブ24には、車載機23が搭載されている。図9に示すように、この車載機23は、塵芥収集車1の位置を検出して車両位置データを取得する車両位置検出手段としてのGPS22を備えている。GPS22は、GPSアンテナ22aを介して図示しない人工衛星からの信号を受信し、塵芥収集車1の位置を知ることができるシステムとなっている。
【0035】
また、車載機23には、コントロールユニット31で得られた操作状況データと、GPS22で得られた車両位置データとを後述する通信ネットワーク50に対して無線送信すると共に、通信ネットワーク50からの信号を受信する車両側送受信装置32が設けられている。
【0036】
さらに、車載機23は、液晶ディスプレイなどよりなる表示パネル25を備え、この表示パネル25は、GPS22の地図データ、車両位置データ、操作状況データ、塵芥積込排出装置21の操作を規制する規制情報等を表示し、作業者に知らせる役割を果たしている。表示パネル25は例えば、運転席に搭載されたGPS画面やバックモニターが兼用されている。
【0037】
−塵芥収集車管理システム−
次いで、上記塵芥収集車1を通信ネットワーク50を用いて管理する塵芥収集車管理システム100について説明する。
【0038】
図9に示すように、通信ネットワーク50は、例えば、無線通信網50aとインターネット50bよりなる。無線通信網50aは、例えば、PHS、携帯電話の通信網とする。上記車両側送受信装置32は、無線通信網50aと通信可能に構成されている。
【0039】
そして、塵芥収集車管理システム100は、塵芥収集車1を管理する塵芥収集業者等の事務所などに設置された端末機40を備えている。端末機40は、例えば、パーソナルコンピュータよりなるが、管理サーバでもよく、管理サーバの場合には、この管理サーバを介して複数のパーソナルコンピュータに接続すればよい。この端末機40は端末側受信部41及び端末側送信部45を備えている。この端末側受信部41によってインターネット50bを介して車両側送受信装置32から無線送信されたデータを受信可能に構成されている。また、端末側送信部45により、各種信号を通信ネットワーク50bに対して送信可能に構成されている。これら端末側受信部41及び端末側送信部45は、インターネット50bの接続方法に対応するルータなどのゲートウェイよりなる。このインターネット50bとの接続方法は、光ファイバー、ADSL、ダイヤルアップ等特に限定されない。車両側送受信装置32と端末側受信部41及び端末側送信部45との間の通信は、例えば、1秒から10分程度の所定間隔で行われると共に、塵芥積込排出装置21の操作が行われたときにも行われるようになっている。
【0040】
また、端末機40は、データ取得部42を備え、端末側受信部41が受信した操作状況データと車両位置データとから塵芥収集車関連情報を取得するように構成されている。さらに、端末機40は、規制情報登録手段43を備え、塵芥積込排出装置21の操作を規制する規制情報を登録可能に構成されている。
【0041】
上記データ取得部42により取得された塵芥収集車関連情報と規制情報とは、規制信号作成手段44で照らし合わされ、塵芥積込排出装置21の操作を規制する規制信号が作成されるようになっている。例えば、CPU49が、これらデータ取得部42、規制情報登録手段43及び規制信号作成手段44の役割を果たしている。塵芥収集車関連情報や規制情報は、記憶部46に一時的に又は長期にわたって保存されると共に、端末機40が備える表示部47に表示可能に構成されている。塵芥収集車関連情報や規制情報は、さらにキーボードやマウスからなる入力部48からも規制情報登録手段43に適宜追加して入力可能となっている。
【0042】
そして、上記規制信号作成手段44で得られた規制信号は、上記端末側送信部45によって通信ネットワーク50bに対して送信される。
【0043】
−運転動作−
次に、本実施形態にかかる塵芥収集車の管理システムの作動について説明する。
【0044】
(エリア及びルート指定の登録方法)
端末機40のユーザは、端末機40の入力部48を操作することによって、表示部47に表示された地図上において、作業エリアを指定可能となっている。指定された作業エリアは、端末機40の端末側送信部45から通信ネットワーク50を介して車両側送受信装置32に対して送信される。その後、指定された作業エリアは、記憶部46に記憶される。例えば、作業エリアが記憶部46にすでに記憶されている場合は、すでに記憶されている作業エリアに、指定された作業エリアが上書きされる。
【0045】
エリア指定されるのは、例えば、排出場所としての焼却処分場、中継基地、最終埋立処分場、廃棄物処理場、自社サイクルセンタ等であり、また、指定場所としてのユーザ登録住所、現場、混雑場所、繁華街、GPS捕捉不可場所、早朝収集場所、夜間収集場所、車両保管場所、無線通信圏外場所等である。エリア指定された場所は、表示パネル25や表示部47の地図上に表示される。エリアには、名称が入力でき、例えば、設定したエリアは、地図の尺度が大きい場合には、アイコン化して表示される。表示パネル25や表示部47上の指定されたエリア又はアイコンをクリックすると規制内容が別に表示されるようにすればよい。指定したエリアについて規制があれば、入力部48によって規制内容をセレクト式で入力する。規制する項目がなければ入力しない。
【0046】
図10に示すように、ルート指定をするときには、入力部48で複数のポイントP1,P2…を指定してポイント間を直線で結び、一定幅wのラインLをエリアとして連結していく。また、予め複数パターンを登録しておく。
【0047】
(条件設定)
1つめの条件として、時刻が指定される。時刻設定は、例えば、稼働規制時間(夏、冬)、低騒音規制時間、受付時間等よりなり、予め登録される時刻は、入力部48から入力され、リアルタイムな時刻は、例えば車載機23より入力される。
【0048】
2つめの条件として、車両条件が設定される。車両条件は、現在位置、油温上昇時、エラー発生時、GPS捕捉不能状態、積載軽量値、操作状況信号等よりなる。これらの信号は、車両側送受信装置32から端末機40へ随時送信される。
【0049】
3つめの条件として、塵芥収集車1の仕様が設定される。上述した塵芥収集車1のみではなく、排出装置18を有さず、ダンプして排出するダンプ式のもの等、特に車両仕様は限定されない。起動タイマ時間、一時停止有無、ダンプ一次規制、車高(積込可能高さ)、積載質量(トン数)、計量器の有無等が設定される。塵芥収集車1ごとに表示部47で保有機能を見ながら設定する。機能は一覧で表示され、それぞれの項目を入力部48で選択する。通常、前もって登録されるが、随時入力可能としてもよい。
【0050】
(規制内容)
規制情報は、予め又は随時排出場所として指定された指定エリア以外での塵芥積込排出装置21の排出操作を規制する情報とすることができる。
【0051】
また、規制情報は、予め又は随時指定場所として登録されたユーザ登録住所や現場等の指定エリア以外での塵芥積込排出装置21の積込操作を規制する情報とすることができる。
【0052】
また、規制情報は、指定エリアでの塵芥積込排出装置21の連続した積込操作を規制する情報とすることができる。この場合の指定エリアは、端末機40によって予め又は随時入力可能な繁華街や混雑場所とする。
【0053】
さらに、規制情報は、低騒音規制時間における早朝収集場所や夜間収集場所などの騒音の低減が要求される予め又は随時指定される指定エリア及び指定時刻でのエンジンのアイドルアップを規制する情報とすることができる。
【0054】
(規制情報の入力方法)
入力方法1では、規制情報登録手段43を介して塵芥収集車1の車載機23や端末機40の記憶部46に予め登録情報を記憶させておく。例えば、上記エリア及びルート指定の情報を緯度経度(何度以上、何度以下という四角形)で記憶させる。
【0055】
入力方法2では、車両側送受信装置32にリアルタイムに規制信号を送信する。具体的には、車両側送受信装置32から送られてくる車両位置データ及び操作状況データをデータ取得部42で取得し、規制信号作成手段44で、規制情報登録手段43によって記憶部46に記憶されたエリア及びルート指定の情報と比較し、塵芥収集車1が、規制が必要なエリアに入ったときに規制情報を作成して端末側送信部45から送信する。無線通信圏外場所では、その近くに入る前に必要なデータを送信する。無線通信圏外場所において、車載機23のみで規制の判断が可能であれば、コントロールユニット31のみによって規制の判断を行ってもよい。
【0056】
入力方法3では、運行を始めた後に、入力部48から規制情報登録手段43に入力され、規制情報が追加された場合には、記憶部46に記憶すると共に、すぐに端末側送信部45から登録しておくべき規制情報を送信し、車載機23側に記憶させる。
【0057】
(動作フロー)
塵芥収集車1の走行中や停車中には、GPS22により、随時(リアルタイムに)塵芥収集車1の位置が検出され、その車両位置データが取得される。また、作業員によって塵芥積込排出装置21の操作が行われたときには、コントロールユニット31によって、操作の状況を示す操作状況データが収集される。場合によっては、回収した塵芥の計量情報が取得される。
【0058】
車両側送受信装置32と端末側受信部41及び端末側送信部45との間でやりとりされるデータ内容は、双方向のもので、端末側送信部45から通信ネットワーク50を介して車両側送受信装置32には各種の情報が送られる。車両側送受信装置32から端末側受信部41には、通信ネットワーク50を介して車両位置データ、操作状況データ、計量情報など塵芥収集車1のリアルタイムな情報が送信され、記憶部46に記憶される。
【0059】
端末側受信部41で受信したデータは、データ取得部42で塵芥収集車関連情報として取得される。
【0060】
規制信号作成手段44が、記憶部46に記憶された規制情報と、操作状況データ及び車両位置データからなる塵芥収集車関連情報とを照らし合わせて塵芥積込排出装置21の操作を規制する必要があるかを判断する。規制する必要がある場合には、規制信号を作成する。規制する必要がないときには、規制信号を作成しない。
【0061】
この規制信号が随時端末機側送信部45からインターネット50bに対して送信される。車両側送受信装置32は、無線通信網50aから規制信号を受信する。
【0062】
塵芥収集車1が各作業エリアに入った場合に規制情報があれば、予め記憶した情報又はリアルタイムに受信した信号によりコントロールユニット31が塵芥積込排出装置21を規制するように制御する。同時に表示パネル25に規制内容を表示したり、図示しないランプを点灯させて作業者に注意を促す。なお、GPS22や、車両側送受信装置32が不調の場合、操作端末31dの規制解除スイッチを操作して規制を解除する。
【0063】
具体的には、端末機40から塵芥積込排出装置21の積込操作を規制する規制情報が入力されたときには、入力後には、指定されたエリアでのみ塵芥積込装置20による積込操作が可能となり、誤った収集場所での積込が防止される。
【0064】
また、端末機40から塵芥積込排出装置21の排出操作を規制する規制情報が入力されたときには、入力後には、指定されたエリアでのみ排出装置18による排出操作が可能となり、不法投棄や誤った廃棄場所での排出が防止される。
【0065】
また、端末機40からエンジンのアイドルアップを規制する規制情報が入力されたときには、入力後には、指定されたエリアでは、塵芥積込排出装置21の出力が抑えられる。エンジンの回転数を検知し、規制を行う。規制により、エンジンの回転数が抑えられ、また、塵芥積込排出装置21等から発生する騒音が抑えられるので、作業時の騒音が問題となる夜間早朝の市街地の収集場所での騒音が低減される。
【0066】
さらに、端末機40から繁華街や混雑場所での塵芥積込排出装置21の連続した積込操作を規制する規制情報が入力されたときには、入力後には、繁華街や混雑場所で連続した積込ができなくなる。このため、人混みの発生を随時確認できる遠隔地の端末機40から、人混みが発生していて人がのぞき込んで危険な場所では、連続積込操作をできないようにして事故を防ぐようにする指示を臨機応変に出すことができる。
【0067】
従って、本実施形態にかかる塵芥収集車の管理システムによると、塵芥収集車1と離れたところにある端末機40から随時規制情報を登録可能としたことにより、作業出発前に規制情報を登録する手間を削減して準備時間の短縮を行うことができると共に、状況に応じた柔軟な規制を行うことができる。
【0068】
−実施形態の変形例1−
図示しないが、塵芥収容箱3は、車体2に設けた傾動装置としての傾動シリンダを伸縮させることにより、車体2後方の傾動軸を中心に傾動可能(ダンプ可能)に構成してもよい。この場合、規制情報は、指定エリアでのダンプ操作を規制する情報とすることができる。この指定エリアも、端末機40によって随時入力することもできる。
【0069】
このことで、塵芥収集車1と離れた位置にある端末機40から塵芥積込排出装置21のダンプ操作を規制する規制情報を入力できるので、入力後には、指定されたエリアでは、ダンプ操作ができなくなる。このため、随時遠隔地の端末機40から、ダンプ操作を行うと危険な全高規制のあるビルの地下などでの誤ったダンプ操作を防止する指示を出すことができる。
【0070】
−実施形態の変形例2−
上記実施形態では、塵芥積込装置20は、摺動板10及び圧縮板15を備えた圧縮式のものとしたが、図11に示すように、塵芥積込装置120を、塵芥投入箱6の底部に基端を中心として回転自在に設けられた回転板115と、回転板115の上部に前後に、揺動シリンダ113によって揺動自在に設けられた押込板110とを備え、回転板115の回転動作と押込板110の揺動動作との協動によって上記塵芥投入箱6に投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3に積込むように構成してもよい。この構成に合わせて操作状況データを取得し、規制信号を作成するようにすればよい。
【0071】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態にかかる塵芥収集車の側面図である。
【図2】塵芥収集車の後部を拡大して側方から見た側断面図である。
【図3】塵芥投入箱における摺動シリンダ及びその周辺を拡大して示す側面図である。
【図4】塵芥積込装置の上昇終了位置を説明する概略図である。
【図5】塵芥積込装置の反転終了位置を説明する概略図である。
【図6】塵芥積込装置の下降終了位置を説明する概略図である。
【図7】塵芥積込装置の最前方位置の状態を説明する概略図である。
【図8】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図9】塵芥収集車管理システムの概略構成図である。
【図10】ルート指定の方法を示す説明図である。
【図11】実施形態の変形例2にかかる回転式塵芥積込装置を備えた塵芥収集車の後部を拡大して側方から見た側断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 塵芥収集車
21 塵芥積込排出装置
22 GPS(車両位置検出手段)
31 コントロールユニット(積込排出制御装置)
32 車両側送受信装置
40 端末機
41 端末側受信部
42 データ取得部
43 規制情報登録手段
44 規制信号作成手段
45 端末側送信部
50 通信ネットワーク
100 塵芥収集車管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥積込排出装置を備えた塵芥収集車を通信ネットワークを用いて管理する塵芥収集車の管理システムであって、
上記塵芥収集車に設けられ、該塵芥収集車の位置を検出して車両位置データを取得する車両位置検出手段と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記塵芥積込排出装置を制御すると共に、該塵芥積込排出装置の操作が行われたときに、該操作の状況を示す操作状況データを取得する積込排出制御装置と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記操作状況データと上記車両位置データとを上記通信ネットワークに対して無線送信すると共に、該通信ネットワークからの信号を受信する車両側送受信装置と、
上記通信ネットワークを介して上記車両側送受信装置から無線送信されたデータを受信する端末側受信部、
上記操作状況データと上記車両位置データとから塵芥収集車関連情報を取得するデータ取得部、
上記塵芥積込排出装置の操作を規制する規制情報を登録する規制情報登録手段と、
上記データ取得部により取得された塵芥収集車関連情報と上記規制情報とを照らし合わせて上記塵芥積込排出装置の操作を規制する規制信号を作成する規制信号作成手段、及び
該規制信号作成手段で得られた規制信号を上記ネットワークに対して送信する端末側送信部を有する端末機と、
を備えたことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記規制情報は、指定エリア以外での上記塵芥積込排出装置の排出操作を規制する情報であり、該指定エリアは、上記端末機によって随時入力可能である
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記規制情報は、指定エリア以外での上記塵芥積込排出装置の積込操作を規制する情報であり、該指定エリアは、上記端末機によって随時入力可能である
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記規制情報は、指定エリアでの上記塵芥積込排出装置の連続した積込操作を規制する情報であり、該指定エリアは、上記端末機によって随時入力可能な繁華街や混雑場所である
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記規制情報は、指定エリアでの上記塵芥収集車のアイドルアップを規制する情報であり、該指定エリアは、上記端末機によって随時入力可能である
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記塵芥積込排出装置は、ダンプ操作可能に構成され、
上記規制情報は、指定エリアでの上記ダンプ操作を規制する情報であり、該指定エリアは、上記端末機によって随時入力可能な全高規制のある領域である
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−58915(P2010−58915A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227047(P2008−227047)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】