説明

塵芥収集車及びその制御方法

【課題】塵芥収集車において、簡単な方法で、各動作への移り変わり時の騒音を低減させる。
【解決手段】摺動シリンダ及び揺動シリンダの伸縮動作により摺動板と圧縮板とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動し、投入口を通じて塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱に積込む際に、反転、下降、圧縮及び上昇の各動作終了の手前でリミットスイッチを検知することにより、各動作終了の手前で油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させると共に、次の動作の開始直後も油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させ、その後、通常の吐出量とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ポンプによる動力を利用して駆動される塵芥積込装置を備えた塵芥収集車及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、騒音や排気ガスの発生を防ぐために、蓄電池から供給される電力で塵芥積込装置を駆動する電動塵芥収集車は知られている(例えば、特許文献1参照)。この電動塵芥収集車では、収容箱に収納した蓄電池からの電力で塵芥積込装置を駆動し、作業中はエンジンを停止することで、騒音や排気ガスの発生を阻止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−170580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電動塵芥収集車では、作業中にエンジンを停止することで、排気ガスの発生を阻止することができるものの、主として塵芥積込装置を駆動する各油圧シリンダが、その最大伸長位置又は最小縮小位置において停止して次の動作に移るときの大きな衝撃音が依然として発生することが問題となる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な方法で、各動作への移り変わり時の騒音を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、油圧ポンプの吐出量を各動作の切換時の前後で強制的に通常よりも減少させるようにした。
【0007】
具体的には、第1の発明では、
運転台の後方の塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方の塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に配置された塵芥積込装置と、該塵芥積込装置を駆動する動力を供給する油圧ポンプとを備え、
上記塵芥積込装置は、摺動シリンダの伸縮動作により上下方向に摺動自在な摺動板及び該摺動板の下端部に揺動シリンダの伸縮動作により車体前後方向に揺動自在な圧縮板を備え、上記摺動シリンダ及び揺動シリンダの伸縮動作により摺動板と圧縮板とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動することで、投入口を通じて上記塵芥投入箱に投入された塵芥を上記塵芥収容箱に積込むように構成された塵芥収集車を前提とする。
【0008】
そして、上記電気塵芥収集車では、
上記摺動シリンダ及び揺動シリンダの最大伸長位置及び最小縮小位置の手前には、それぞれリミットスイッチが配置され、
上記反転、下降、圧縮及び上昇の各動作終了の手前で上記リミットスイッチを検知することにより、該各動作終了の手前で上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させると共に、次の動作の開始直後も上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させ、その後、通常の吐出量とする制御手段を備えている。
【0009】
上記の構成によると、いわゆる圧縮式の塵芥収集車において、リミットスイッチが、各シリンダが最大伸長位置又は最小縮小位置の手前位置にあるのを検出したときに、制御手段が油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させてシリンダの伸縮速度を通常よりも遅くするので、動作切換前後での衝撃音が大幅に緩和される。
【0010】
第2の発明では、運転台の後方の塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方の塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に配置された塵芥積込装置と、該塵芥積込装置を駆動する動力を供給する油圧ポンプとを備え、
上記塵芥積込装置は、中間部が上記塵芥投入箱の側壁面に枢支されて一端側を前後方向に揺動させる押込板と、該押込板の他端にロッド先端が回転自在に支持されて押込板を作動させる押込シリンダと、基端を支点に回転可能な回転板と、該回転板の基端に減速機を介して連結され、回転板を回転作動させる油圧モータとを備え、
上記押込板と回転板との協働によって、投入口を通じて上記塵芥投入箱に投入された塵芥を圧縮して上記後方開口部から塵芥収容箱に積込むように構成された塵芥収集車を対象とする。
【0011】
そして、上記塵芥収集車は、
上記押込シリンダの最大伸長位置及び最小縮小位置の手前並びに上記回転板の先端が上記後方開口部に臨む位置の手前には、それぞれリミットスイッチが配置され、
上記押込板による前方揺動及び後方揺動並びに上記回転板の回転の各動作終了の手前で上記リミットスイッチを検知することにより、該各動作終了の手前で上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させると共に、次の動作の開始直後も上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させ、その後、通常の吐出量とする制御手段を備えている。
【0012】
上記の構成によると、いわゆる回転式の塵芥収集車において、リミットスイッチが、押込シリンダが最大伸長位置又は最小縮小位置の手前位置にあるとき、又は回転板の先端が後方開口部に臨む位置の手前に来たのを検出したときに、制御手段が油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させてシリンダの伸縮速度又は油圧モータの回転速度を通常よりも遅くするので、動作切換前後での衝撃音が大幅に緩和される。
【0013】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記油圧ポンプを駆動する動力を供給する電動機と、
上記電動機に電力を供給する蓄電装置とを備えている。
【0014】
上記の構成によると、電動機は、インバータ制御等により正確な制御が可能であるので、その電動機を正確に制御することで、油圧ポンプの吐出量の制御が容易となる。
【0015】
第4の発明では、第3の発明において、
上記運転台と上記塵芥収容箱との間には、上記蓄電装置と上記電動機とを収容する電装品収容箱が設けられ、
上記電動機及び蓄電装置は、上記電装品収容箱内に収容され、
上記油圧ポンプは、上記電動機の真下に配置されている。
【0016】
上記の構成によると、電装品収容箱に蓄電装置と電動機とを収容することで、電動機と蓄電装置との間の電線は、電装品収容箱内で接続され、省スペース化及びメンテナンス性の向上が図られる。しかも、電動機の下方に油圧ポンプが配置されているので、油圧ポンプと作動油タンク及び塵芥積込装置の駆動部との間の配管は、油圧ポンプから後方に延ばせばよいので、配管が容易でメンテナンス性がさらに向上する。さらに、油圧ポンプが電装品収容箱の下方にあるので、電装品収容箱内に蓄電装置を増やすためのスペースが増える。しかも、電動機が電装質収容箱内に収められているので、電動機が発生する音も低減される。
【0017】
第5の発明では、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記油圧ポンプは、斜板式容量可変型ピストンポンプであり、上記制御手段より斜板を傾動させて吐出量を変動させるように構成されている。
【0018】
上記の構成によると、油圧ポンプが、斜板式の容量可変型ピストンポンプで構成されているので、斜板の角度を変更することで容易且つ確実に動作切換前後での吐出量が通常よりも減少される。
【0019】
第6の発明では、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、
上記制御手段は、上記油圧ポンプの吐出量を半減させるように構成されている。
【0020】
上記の構成によると、各動作の手前で油圧ポンプの吐出量を一気に通常の半分まで減少させることにより、動作切換前後での衝撃音が大幅に緩和される。
【0021】
第7の発明では、塵芥収集車の制御方法を前提とし、
上記塵芥収集車の制御方法は、
運転台の後方の塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方の塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に配置された塵芥積込装置と、該塵芥積込装置を駆動する動力を供給する油圧ポンプとを備え、
上記塵芥積込装置は、摺動シリンダの伸縮動作により上下方向に摺動自在な摺動板及び該摺動板の下端部に揺動シリンダの伸縮動作により車体前後方向に揺動自在な圧縮板を備え、
上記摺動シリンダ及び揺動シリンダの最大伸長位置及び最小縮小位置の手前にそれぞれリミットスイッチが配置された塵芥収集車を用意し、
上記摺動シリンダ及び揺動シリンダの伸縮動作により摺動板と圧縮板とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動し、投入口を通じて上記塵芥投入箱に投入された塵芥を上記塵芥収容箱に積込む際に、上記反転、下降、圧縮及び上昇の各動作終了の手前で上記リミットスイッチを検知することにより、該各動作終了の手前で上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させると共に、次の動作の開始直後も上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させ、その後、通常の吐出量とする構成とする。
【0022】
上記の構成によると、いわゆる圧縮式の塵芥収集車において、リミットスイッチが、各シリンダが最大伸長位置又は最小縮小位置の手前位置にあるのを検出したときに、油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させてシリンダの伸縮速度を通常よりも遅くするので、動作切換前後での衝撃音が大幅に緩和される。
【0023】
第8の発明では、塵芥収集車の制御方法を前提とし、
上記塵芥収集車の制御方法は、
運転台の後方の塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方の塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に配置された塵芥積込装置と、該塵芥積込装置を駆動する動力を供給する油圧ポンプとを備え、
上記塵芥積込装置は、中間部が上記塵芥投入箱の側壁面に枢支されて一端側を前後方向に揺動させる押込板と、該押込板の他端にロッド先端が回転自在に支持されて押込板を作動させる押込シリンダと、基端を支点に回転可能な回転板と、該回転板の基端に減速機を介して連結され、回転板を回転作動させる油圧モータとを備え、
上記押込シリンダの最大伸長位置及び最小縮小位置の手前並びに上記回転板の先端が上記後方開口部に臨む位置の手前には、それぞれリミットスイッチが配置された塵芥収集車を用意し、
上記押込シリンダの伸縮動作により押込板を前方揺動及び後方揺動させると共に、上記油圧モータの回転により上記回転板を回転させ、投入口を通じて上記塵芥投入箱に投入された塵芥を上記後方開口部を通して上記塵芥収容箱に積込む際に、上記前方揺動及び後方揺動並びに回転の各動作終了の手前で上記リミットスイッチを検知することにより、該各動作終了の手前で上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させると共に、次の動作の開始直後も上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させ、その後、通常の吐出量とする構成とする。
【0024】
上記の構成によると、いわゆる回転式の塵芥収集車において、リミットスイッチが、押込シリンダが最大伸長位置又は最小縮小位置の手前位置にあるとき、又は回転板の先端が後方開口部に臨む位置の手前に来たのを検出したときに、制御手段が油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させてシリンダの伸縮速度又は油圧モータの回転速度を通常よりも遅くするので、動作切換前後での衝撃音が大幅に緩和される。
【0025】
第9の発明では、第7又は第8の発明において、
上記塵芥収集車は、上記油圧ポンプを駆動する動力を供給する電動機と、該電動機に電力を供給する蓄電装置とを備え、
上記電動機をインバータ制御することにより、吐出量を調整する。
【0026】
上記の構成によると、電動機をインバータ制御することにより、ポンプの吐出量が正確且つ迅速に調整可能となる。
【0027】
第10の発明では、第7乃至第9のいずれか1つの発明において、
上記油圧ポンプの吐出量を通常の半分の量まで減少させる構成とする。
【0028】
上記の構成によると、各動作の手前で油圧ポンプの吐出量を一気に通常の半分まで減少させることにより、動作切換前後での衝撃音が大幅に緩和される。
【0029】
第11の発明では、第7乃至第10のいずれか1つの発明において、
上記油圧ポンプは、斜板式容量可変型ピストンポンプよりなり、該油圧ポンプの斜板を傾動させて吐出量を変動させる構成とする。
【0030】
上記の構成によると、油圧ポンプが、斜板式の容量可変型ピストンポンプで構成されているので、斜板の角度を変更することで容易且つ確実に動作切換前後での吐出量が半減される。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、圧縮式又は回転式塵芥収集車において、各動作の切換前後で油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させたことにより、簡単な方法で、各動作への移り変わり時の騒音を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態1にかかる電動塵芥収集車の制御方法における一工程を示すフローチャート図である。
【図2】電動塵芥収集車の正面図である。
【図3】塵芥収集車の後部を破断して示す拡大正面図である。
【図4】塵芥投入箱における摺動シリンダ及びその周辺を拡大して示す正面図である。
【図5】塵芥積込装置の上昇終了位置を説明する概略図である。
【図6】塵芥積込装置の反転終了位置を説明する概略図である。
【図7】塵芥積込装置の下降終了位置を説明する概略図である。
【図8】塵芥積込装置の最前方位置の状態を説明する概略図である。
【図9】電装品収容箱及びその周辺を示す側面図である。
【図10】塵芥収集車の駆動系統を示すブロック図である。
【図11】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図12】各スイッチ及び各電磁ソレノイドの関係を示すブロック図である。
【図13】電動塵芥収集車の制御方法における他の工程を示すフローチャート図である。
【図14】電動塵芥収集車の制御方法における他の工程を示すフローチャート図である。
【図15】電動塵芥収集車の制御方法における他の工程を示すフローチャート図である。
【図16】実施形態2にかかる塵芥収集車の後部を破断して示す拡大正面図である。
【図17】各スイッチ及び各電磁ソレノイドの関係を示すブロック図である。
【図18】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図19】電動塵芥収集車の制御方法における一工程を示すフローチャート図である。
【図20】電動塵芥収集車の制御方法における他の工程を示すフローチャート図である。
【図21】電動塵芥収集車の制御方法における他の工程を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
(実施形態1)
−圧縮式の電動塵芥収集車の構造−
図2及び図3は本発明の実施形態1にかかる圧縮式の塵芥収集車としての電動塵芥収集車1を示し、この電動塵芥収集車1の車体2上に塵芥収容箱3が搭載されている。車体2の前方には、運転台2aが設けられている。塵芥収容箱3の後方開口部4には、その上方で投入箱支持ピン5により軸支された塵芥投入箱6が設けられている。この塵芥投入箱6は、塵芥収容箱3と塵芥投入箱6との間に設けられた回動シリンダ9により、投入箱支持ピン5を中心に回動自在に構成されている。
【0035】
塵芥投入箱6の後部には投入口7が開口され、その内部には塵芥積込装置20が装備されている。塵芥積込装置20は、塵芥投入箱6内に投入口7を通じて投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3内に積込むためのものである。
【0036】
図4にも示すように、塵芥投入箱6の両側壁には案内溝部材8が補強枠を兼ねて前方上部より後方下部に向かって敷設されている。塵芥投入箱6内にはその横幅一杯に広がる摺動板10が収容されている。この摺動板10の両側縁の上下には、案内ローラ11が回転可能に設けられている。これらの案内ローラ11は、上記案内溝部材8の内壁に沿って摺動自在に嵌入されている。
【0037】
上記摺動板10の背面上部の左右端部に設けたボス部19には、摺動板支持軸12が挿通されている。この摺動板支持軸12が摺動板10の摺動距離に合致して塵芥投入箱6の側壁に形成された摺動用開口6aを越えて塵芥投入箱6の内側より外側に突出するように配置されている。
【0038】
塵芥投入箱6の側壁から外側に突出した摺動板支持軸12と塵芥投入箱6の下部間には、塵芥投入箱6の外側で案内溝部材8の傾斜方向に沿って設けられた摺動シリンダ13が連結されている。摺動シリンダ13は、棒状のシリンダロッド13aと、塵芥投入箱6の側壁に取り付けられた円筒状のシリンダチューブ13bとを備えている。この摺動シリンダ13の伸縮作動によって摺動板10を案内溝部材8に沿って上下に往復移動させるようにしている。
【0039】
図3に示すように、上記摺動板10の下端には、塵芥投入箱6の横幅一杯に広がる圧縮板15が前後に揺動自在に支持されている。この圧縮板15の先端は前方に向かって若干屈折形成されている。上記圧縮板15の背面に突設した接続部15aと上記摺動板10の背面上部に設けられた摺動板支持軸12との間には、揺動シリンダ14が連結され、この揺動シリンダ14の伸縮作動によって上記圧縮板15を前後に揺動させるようにしている。
【0040】
このように構成することで、図5〜図8に示すように、塵芥積込装置20は、摺動シリンダ13及び揺動シリンダ14の伸縮動作により摺動板10と圧縮板15とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動することで、投入口7を通じて塵芥投入箱6に投入された塵芥55を塵芥収容箱3に積込むように構成されている。
【0041】
図3に示すように、塵芥収容箱3には、塵芥収容箱3内の塵芥を排出する排出装置18を備えていてもよい。具体的には、塵芥収容箱3内には排出板17が前後方向に摺動自在に配設されている。排出板17は、塵芥収容箱3の横幅及び上下高さと略同じ大きさに形成された板状体であり、排出シリンダ16の伸縮動作により塵芥収容箱3内を前後に摺動するようになされている。
【0042】
そして、図4に示すように、塵芥収集車1は、例えば、車幅方向左側の摺動シリンダ13の伸張を最大伸長位置の手前で検知する上昇リミットスイッチ31を備えている。また、上昇リミットスイッチ31の下方には、摺動シリンダ13の縮小を最小縮小位置の手前で検知する下降リミットスイッチ32が設けられている。各リミットスイッチ31,32は、摺動用開口6aの周縁に取り付けられている。これら上昇リミットスイッチ31及び下降リミットスイッチ32は、例えば近接スイッチで構成されている。
【0043】
一方、シリンダロッド13aには、取付ブラケット13cが後方へ突出して形成され、この取付ブラケット13cには、第1金属板33がボルト締めされている。この第1金属板33は、上昇及び下降リミットスイッチ31,32から所定の距離を空けて取り付けられ、上昇及び下降リミットスイッチ31,32が、近付いてきた第1金属板33を検知し、その検知信号を制御手段としての制御装置48に送るように構成されている。
【0044】
同様に、塵芥収集車1は、図3に示すように、揺動シリンダ14の伸張を最小縮小位置の手前で検知する反転リミットスイッチ35を備えている。また、反転リミットスイッチ35の下方には、揺動シリンダ14の伸長を最大伸長位置の手前で検知する圧縮リミットスイッチ36が設けられている。各リミットスイッチ35,36は、摺動板10に連結した取付ブラケット37に取り付けられ、摺動板10と共に昇降するようになっている。これら反転及び圧縮リミットスイッチ35,36も例えば近接スイッチで構成されている。
【0045】
一方、揺動シリンダ14のシリンダチューブ14aにも第2金属板38がボルト締めされている。この第2金属板38は、リミットスイッチ35,36から所定の距離を空けて取り付けられ、リミットスイッチ35,36が、近付いてきた第2金属板38を検知し、その検知信号を制御装置48に送るように構成されている。さらに塵芥投入箱6の後端には、操作スイッチ39(図2及び図12に示す)が設けられ、この操作スイッチ39からの信号も制御装置48に送られるようになっている。
【0046】
図2及び図9に示すように、運転台2aと塵芥収容箱3との間の車体フレーム2b上には、直方体状の電装品収容箱30が設けられている。この電装品収容箱30には、蓄電装置としての電気二重層キャパシタ44、インバータ45、電動機としての電動モータ46等が収容されている。具体的には、直方体状の電装品収容箱30の下段左右一方側に電動モータ46が配置されている。その側方に例えば4つの電気二重層キャパシタ44が並んで配置されている。電動モータ46の左右反対側にインバータ45が配置され、これら電動モータ46及びインバータ45が互いに電気的に接続されている。電動モータ46の上方且つ左右中央側には、後述する発電機42の電圧を調整する自動電圧調整器43と、インバータ45の電源入/切用のコンタクタボックス49とが設けられている。電動モータ46の真上には、各種操作のためのタッチパネル50が設けられている。なお、各電気機器間を接続する電線は、簡易化のために省略している。
【0047】
図10に示すように、電動塵芥収集車1は、車両エンジン40に駆動されるトランスミッション41を備えている。さらに電動塵芥収集車1は、車両エンジン40に駆動される発電機42を備えている。この発電機42で得られた電力は、上記電装品収容箱30に収容した自動電圧調整器43を経て電気二重層キャパシタ44又はインバータ45に電力を供給可能に構成されている。詳しくは説明しないが、この電動塵芥収集車1は、制動時等の動力で発電機42を駆動して電気二重層キャパシタ44に蓄電する、いわゆる制動回生を行えるようになっている。そして、発電機42又は電気二重層キャパシタ44からの電力がインバータ45で調整され、電動モータ46に供給されるように構成されている。また、電動モータ46、インバータ45、自動電圧調整器43との電気配線が電装品収容箱30に収容されているので、見映えがよく、メンテナンス性も優れている。さらに、電動モータ46が電装品収容箱30内に収容されているので、電動モータ46の音が漏れにくくなっている。
【0048】
図11に実施形態1にかかる塵芥収集車の油圧機器60の油圧回路61を示す。油圧機器60は、電動モータ46に駆動される油圧ポンプ47を備えている。油圧ポンプ47は、例えば、可変容量型ピストンポンプよりなり、図9に示すように、電動モータ46の真下に延びる出力軸46aに直結されている。このように配置することで、油圧ポンプ47を電装品収容箱30の下部に収容する必要はなくなり、電装品収容箱30の下部のスペースが広く空き、多数の電気二重層キャパシタ44を配置可能となっている。また、電装品収容箱30の下方且つ後方には、油圧ポンプ47に流通する作動油が貯留される作動油タンク62が設けられている。作動油タンク62と油圧ポンプ47とは、油圧配管64で接続されている。この油圧配管64は、電装品収容箱30の下方から突出する油圧ポンプ47の下部から下方且つ後方の作動油タンク62へ配管しやすくなっている。
【0049】
そして、作動油タンク62内の作動油は、油圧配管64を通して油圧ポンプ47で吸い上げられて供給側の油圧配管61aに流通されてコントロールバルブ63に供給されるように構成されている。各シリンダ9,13,14,16は、油圧配管61cを介してコントロールバルブ63に接続されている。図12に簡易的に示すように、コントロールバルブ63は、摺動シリンダ13の縮小及び伸長を制御する摺動ソレノイド63aと、揺動シリンダ14の縮小及び伸長を制御する揺動ソレノイド63bと、回動シリンダ9の縮小及び伸長を制御する回動ソレノイド63cと、排出シリンダ16の縮小及び伸長を制御する排出ソレノイド63dとを備えている。これら4つのソレノイド63a〜63dは、例えば、3位置切換電磁弁よりなる。さらに、コントロールバルブ63は、油圧ポンプ47の斜板の傾きを伸縮により調整するポンプシリンダ21を制御し、その吐出量を調整するシリンダ(図示せず)を制御するポンプソレノイド63eを備えている。ポンプソレノイド63eは、例えば、2位置切換電磁弁よりなる。これらのソレノイド63a〜63eの開閉ポートを切り替えることにより、電動モータ46を駆動して回転させた油圧ポンプ47の吐出量を調整しながら、吐出された作動油を所望のシリンダ9,13,14,16,21に対して供給するように構成されている。このことで、制御装置48から送られてきた信号により、コントロールバルブ63を介して5種類のシリンダ9,13,14,16,21の伸縮動作の切換が制御され、又は運転が停止されるようになっている。なお、図10に仮想線で示すように、塵芥収容箱3は、水平に排出可能な排出装置18に換えて車体2に設けた傾動装置としての傾動シリンダ22を伸縮させることにより、車体2後方の傾動軸を中心に傾動可能(ダンプ可能)に構成してもよい。
【0050】
−塵芥収集車の制御方法−
このように構成された塵芥積込装置20は、通常、図5に示すように、摺動シリンダ13が縮小し、揺動シリンダ14が伸長して摺動板10が上昇終了位置にある状態が待機状態となっている。
【0051】
この待機状態で、投入口7を通して塵芥55を塵芥投入箱6内に投入する。
【0052】
次いで、図1に示すように、ステップS01において、操作スイッチ39の始動スイッチをON操作することで、積込動作を開始する。なお、図5乃至図8において、簡略化のために摺動シリンダ13は、省略している。
【0053】
ステップS02において、制御装置48から信号が送られ、電動モータ46が回転して油圧ポンプ47が駆動される。このときの吐出量は、通常となっている。同時に揺動ソレノイド63bが縮小側となって、油圧ポンプ47から送られてきた作動油により、図5に示す最大伸長位置から揺動シリンダ14が縮小作動して圧縮板15が反転作動する(反転通常作動)。
【0054】
次いで、ステップS03において、反転リミットスイッチ35が検出されたかが判定される。反転リミットスイッチ35が検出されるまで、ポンプ吐出量が通常のまま、揺動シリンダ14が縮小作動し続ける。
【0055】
反転リミットスイッチ35が検出されると、ステップS04に進んで、反転減速作動が開始される。すなわち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が伸長して油圧ポンプ47の斜板が起こされ、吐出量が半減する。このことで、ゆっくりと揺動シリンダ14が縮小作動する。
【0056】
次いで、ステップS05において、例えば、油圧ポンプ47が3回転したかどうかが検出される。3回転経過すると、ステップS06に進んで、反転停止作動が行われる。すなわち、揺動ソレノイド63bが中立となって、揺動シリンダ14の縮小作動が停止して最小縮小位置となり、圧縮板15が反転終了位置(図6参照)に達する。ここで、電動モータ46と油圧モータ47とが直結されているので、電動モータ46の回転数を検知すればよい。電動モータ46の回転数は、インバータ45により簡単に検知することができる。なお、これ以降のポンプ回転数による制御は、タイマで制御したり、別に設けたリミットスイッチを検出することで制御したりしてもよい。
【0057】
次いで、ステップS07において、タイマが0.1秒経過したか判定される。0.1秒経過したときには、ステップS08に進んで、下降減速作動が行われる。すなわち、制御装置48から摺動ソレノイド63aに信号が送られて伸長側となる。これにより、油圧ポンプ47の吐出量が半減したままの状態で、摺動シリンダ13が最小縮小位置から伸長作動して摺動板10がゆっくりと下降し、これに伴って圧縮板15も下降工程に移行する。
【0058】
次いで、ステップS09において、ポンプ3回転分経過したかが判定される。3回分経過すると、図13のステップS12に進んで下降通常作動が行われる。すなわち、摺動ソレノイド63aが伸長の状態を保ち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が縮小して斜板が寝かされて吐出量が通常に戻る。このことで、通常のスピードで摺動シリンダ13が伸長作動する。
【0059】
次いで、ステップS13において、下降リミットスイッチ32が検出されたかが判定される。下降リミットスイッチ32が検出されるまで、ポンプ吐出量が通常のまま、摺動シリンダ13が伸長作動し続ける。
【0060】
下降リミットスイッチ32が検出されると、ステップS14に進んで、下降減速作動が開始される。すなわち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が伸長して油圧ポンプ47の斜板が起こされ、吐出量が半減する。このことで、ゆっくりと摺動シリンダ13が伸長作動する。
【0061】
次いで、ステップS15において、油圧ポンプ47が3回転したかどうかが検出される。3回転経過すると、ステップS16に進んで、下降停止作動が行われる。すなわち、摺動ソレノイド63aが中立となって、摺動シリンダ13の伸長作動が停止して最大伸長位置となって、圧縮板15が、下降終了位置(図7参照)に達する。
【0062】
次いで、ステップS17において、タイマが0.1秒経過したか判定される。0.1秒経過したときには、ステップS18に進んで、圧縮減速作動が行われる。すなわち、制御装置48から揺動ソレノイド63bに信号が送られて伸長側となる。これにより、油圧ポンプ47の吐出量が半減したままの状態で、揺動シリンダ14が最小縮小位置からゆっくりと伸長作動して圧縮板15が前方に揺動して圧縮工程に移行する。
【0063】
次いで、ステップS19において、ポンプ3回転分経過したかが判定される。3回分経過すると、図14に進んで圧縮通常作動が行われる。
【0064】
すなわち、ステップS22において、揺動ソレノイド63bが伸長側の状態を保ち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が縮小して斜板が寝かされて吐出量が通常に戻る。このことで、通常のスピードで揺動シリンダ14が伸長作動する。
【0065】
次いで、ステップS23において、圧縮リミットスイッチ36が検出されたかが判定される。圧縮リミットスイッチ36が検出されるまで、ポンプ吐出量が通常のまま、揺動シリンダ14が伸長作動し続ける。
【0066】
圧縮リミットスイッチ36が検出されると、ステップS24に進んで、圧縮減速作動が開始される。すなわち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が伸長して油圧ポンプ47の斜板が起こされ、吐出量が半減する。このことで、ゆっくりと揺動シリンダ14が伸長作動する。
【0067】
次いで、ステップS25において、例えば、油圧ポンプ47が3回転したかどうかが検出される。3回転経過すると、ステップS26に進んで、圧縮停止作動が行われる。すなわち、揺動ソレノイド63bが中立となって、揺動シリンダ14の伸長作動が停止して最大伸長位置となって、圧縮板15が、圧縮終了位置に達する。
【0068】
次いで、ステップS27において、タイマが0.1秒経過したか判定される。0.1秒経過したときには、ステップS28に進んで、上昇減速作動が行われる。すなわち、制御装置48から摺動ソレノイド63aに信号が送られて縮小側となる。これにより、油圧ポンプ47の吐出量が半減したままの状態で、摺動シリンダ13が最大伸長位置から縮小作動して摺動板10がゆっくりと上昇し、これに伴って圧縮板15も上昇工程に移行する。
【0069】
次いで、ステップS29において、ポンプ3回転分経過したかが判定される。3回分経過すると、図15のステップS32に進んで上昇通常作動が行われる。すなわち、摺動ソレノイド63aは縮小側の状態を保ち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が縮小して斜板が寝かされて吐出量が通常に戻る。このことで、通常のスピードで摺動シリンダ13が縮小作動する。
【0070】
次いで、ステップS33において、上昇リミットスイッチ31が検出されたかが判定される。上昇リミットスイッチ31が検出されるまで、ポンプ吐出量が通常のまま、摺動シリンダ13が縮小作動し続ける。
【0071】
上昇リミットスイッチ31が検出されると、ステップS34に進んで、上昇減速作動が開始される。すなわち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が伸長して油圧ポンプ47の斜板が起こされ、吐出量が半減する。このことで、ゆっくりと摺動シリンダ13が縮小作動する。
【0072】
次いで、ステップS35において、油圧ポンプ47が3回転したかどうかが検出される。3回転経過すると、ステップS36に進んで、上昇停止作動が行われる。すなわち、摺動ソレノイド63aが中立となって、摺動シリンダ13の縮小作動が停止して最小縮小位置となり、圧縮板15が上昇終了位置(図5参照)に戻って一連の積込動作を終了する。
【0073】
これにより反転、下降、圧縮、上昇の各工程を1サイクルとした塵芥積込動作を繰り返して行うことができる。
【0074】
また、塵芥収容箱3に塵芥55を積込む際において、塵芥収容箱3内の排出板17は、最後方位置に配置されており、上記塵芥積込装置20により積込まれる塵芥55が排出板17を押圧する力が所定以上に達した際に、制御装置48から排出ソレノイド63dに信号が送られ、排出シリンダ16が縮小することで徐々に前方に移動する。このような排出板17の移動動作によって塵芥55を圧縮しながら積込むことができる。
【0075】
そして、このように塵芥55を積込んで塵芥収容箱3が満杯状態になると、塵芥55の排出作業に移る。すなわち、塵芥収集車1を塵芥処理場等へ移動させた後、制御装置48から回動ソレノイド63cに信号を送って回動シリンダ9を伸長させ、塵芥投入箱6を投入箱支持ピン5を中心にして上方に回動させて塵芥収容箱3の後部を開放状態にした後、排出シリンダ16を伸長させ、塵芥収容箱3の前部に位置する排出板17を後方に移動させることで、この塵芥収容箱3内に収容された塵芥55を排出する。
【0076】
したがって、実施形態1にかかる電動塵芥収集車1によると、各動作の切換前後で油圧ポンプ47の吐出量を半減させたことにより、簡単な方法で動作切換前後での衝撃音が大幅に緩和され、各動作への移り変わり時の騒音を効果的に低減させることができ、電気式塵芥収集車1の騒音低減効果をさらに増大させることができる。
【0077】
(実施形態2)
図16〜図21は本発明の実施形態2を示し、主として塵芥積込装置120が回転式である点で上記実施形態1と異なる。なお、図1〜図15と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0078】
−回転式の電動塵芥収集車の概略構造−
図16は本発明の実施形態2にかかる回転式の塵芥収集車としての電動塵芥収集車101の塵芥積込装置120を示し、この回転式の塵芥積込装置120は、塵芥投入箱6内に投入口7を通じて投入された塵芥55を圧縮して後方開口部4を通して塵芥収容箱3内に積込むためのものである。塵芥積込装置120は、中間部が塵芥投入箱6の側壁面に枢支されて一端側を前後方向に揺動させる押込板110と、この押込板110の他端にロッド113aの先端が回転自在に支持されて押込板110を作動させる押込シリンダ113と、基端115aを支点に回転可能な回転板115と、この回転板115の基端115aに減速機114aを介して連結され、回転板115を回転作動させる油圧モータ114とを備えている。このように構成した回転板115の回転動作と押込板110の揺動動作との協動によって塵芥投入箱6に投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3に積込むようになっている。
【0079】
そして、図16及び図17に示すように、電動塵芥収集車101は、例えば、車幅方向右側の押込シリンダ113の縮小を最小縮小位置の手前で検知する戻りリミットスイッチ131を備えている。また、戻りリミットスイッチ131の車両後方且つ下方には、押込シリンダ113の伸張を最大伸長位置の手前で検知する押込リミットスイッチ132が設けられている。例えば、各リミットスイッチ131,132は、塵芥投入箱6の内側側壁にそれぞれ取り付けられており、例えば近接スイッチで構成されている。
【0080】
一方、シリンダロッド113aには、第1金属板133がボルト締めされている。この第1金属板133は、戻りリミットスイッチ131及び押込リミットスイッチ132から所定の距離を空けて取り付けられ、戻りリミットスイッチ131及び押込リミットスイッチ132が、近付いてきた第1金属板133を検知し、その検知信号を制御手段としての制御装置48に送るように構成されている。
【0081】
同様に、塵芥収集車1は、回転板115の回転を回転板115の先端が後方開口部4に臨む位置、すなわち、回転板115の表面と塵芥収容箱3の底面とが略水平となる位置の手前で検知する回転リミットスイッチ135と、押込板110との接触を回避するための回避リミットスイッチ136とを備えている。例えば、回転リミットスイッチ135は、減速機114aがない塵芥投入箱6の外側側壁に取り付けられ、近接スイッチで構成されている。
【0082】
一方、回転板115の基端115aに第2金属板138がボルト締めされている。この第2金属板138は、回転リミットスイッチ135から所定の距離を空けて取り付けられ、回転リミットスイッチ135が、近付いてきた第2金属板138を検知し、その検知信号を制御装置48に送るように構成されている。
【0083】
図17に簡易的に示すように、コントロールバルブ163は、押込シリンダ113の縮小及び伸長を制御する押込ソレノイド163aと、油圧モータ114の正転及び逆転を制御する回転ソレノイド163bと、回動シリンダ9の縮小及び伸長を制御する回動ソレノイド63cと、排出シリンダ16の縮小及び伸長を制御する排出ソレノイド63dとを備えている。これら4つのソレノイド163a,163b,63c,63dは、例えば、3位置切換電磁弁よりなる。また、コントロールバルブ163は、上記実施形態と同様のポンプソレノイド63eを備えている。
【0084】
図18に実施形態2にかかる塵芥収集車の油圧機器160の油圧回路161を示す。各シリンダ9,113,16及び油圧モータ114は、油圧配管61cを介してコントロールバルブ163に接続されている。コントロールバルブ163に設けた各電磁弁163a,163b,63c,63d,63eの開閉ポートを切り替えることにより、電動モータ46を駆動して回転させた油圧ポンプ47から吐出された作動油を所望のシリンダ9,113,16又は油圧モータ114に対して供給するように構成されている。このことで、制御装置48から送られてきた信号により、コントロールバルブ163を介してシリンダ9,113,16の伸縮動作の切換及び油圧モータ114の正転及び逆転が制御され、又は運転が停止されるようになっている。
【0085】
−塵芥収集車の制御方法−
このように構成された塵芥積込装置120は、通常、図16に仮想線で示すように、押込シリンダ113が伸長し、回転板115の先端が後方開口部4に臨む状態が待機状態となっている。
【0086】
この待機状態で、投入口7を通して塵芥55を塵芥投入箱6内に投入する。
【0087】
次いで、図19に示すように、ステップS101において、操作スイッチ39の始動スイッチをON操作することで、積込動作を開始する。
【0088】
ステップS102において、制御装置48から信号が送られ、電動モータ46が回転して油圧ポンプ47が駆動される。このときの吐出量は、通常となっている。同時に回転ソレノイド163bが正転側となって、油圧ポンプ47から送られてきた作動油により、図16に仮想線で示す待機状態から時計回りに正転する(回転通常作動)。
【0089】
次いで、ステップS103において、回避リミットスイッチ136が検出されたか、すなわち、回転板115と押込板110とが接触しない位置まで回転板115が回転したかが検出される。回避リミットスイッチ136が検出されると、ステップS104に進んで戻り減速作動が開始される。
【0090】
すなわち、ステップS104において、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が伸長して油圧ポンプ47の斜板が起こされ、吐出量が半減する。このことで、ゆっくりと押込シリンダ113が縮小作動する。
【0091】
次いで、ステップS105において、例えば、油圧ポンプ47が3回転したかどうかが検出される。3回転経過すると、ステップS106に進んで、戻り通常作動が行われる。すなわち、押込ソレノイド163aが縮小の状態を保ち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が縮小して斜板が寝かされて吐出量が通常に戻る。このことで、通常のスピードで押込シリンダ113が縮小作動する。
【0092】
次いで、ステップS107で、戻りリミットスイッチ131が検出されたかが判定される。戻りリミットスイッチ131が検出されるまで、ポンプ吐出量が通常のまま、押込シリンダ113が縮小作動し続ける。
【0093】
戻りリミットスイッチ131が検出されると、ステップS108に進んで、戻り減速作動が開始される。すなわち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が伸長して油圧ポンプ47の斜板が起こされ、吐出量が半減する。このことで、ゆっくりと押込シリンダ113が縮小作動する。
【0094】
次いで、ステップS109において、油圧ポンプ47が3回転したかどうかが検出される。3回転経過すると、ステップS110に進んで、戻り停止作動が行われる。すなわち、押込ソレノイド163aが中立となって、押込シリンダ113の縮小作動が停止して最小縮小位置となり、押込板110が戻り終了位置(図16に実線で示す)に達する。
【0095】
次いで、図20のステップS111において、回転リミットスイッチ135が検出されたかが判定される。回転リミットスイッチ135が検出されるまで、ポンプ吐出量が通常のまま、油圧モータ114が正転作動し続けている。このとき、回転板115が塵芥55を上方から押さえ付け、後方に送り込み、さらに持ち上げる。
【0096】
回転リミットスイッチ135が検出されると、ステップS112に進んで、回転減速作動が開始される。すなわち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が伸長して油圧ポンプ47の斜板が起こされ、吐出量が半減する。このことで、ゆっくりと回転板115が正転作動する。
【0097】
次いで、ステップS113において、油圧ポンプ47が3回転したかどうかが検出される。3回転経過すると、ステップS114に進んで、回転停止作動が行われる。すなわち、回転ソレノイド163bが中立となって、油圧モータ114の正転作動が停止し、回転板115の先端が後方開口部4に臨む位置となって、塵芥55が塵芥収容箱3の底面の高さに持ち上げられる。
【0098】
次いで、ステップS115において、タイマが0.1秒経過したか判定される。0.1秒経過したときには、ステップS116に進んで、押込減速作動が行われる。すなわち、制御装置48から押込ソレノイド163aに信号が送られて伸長側となる。これにより、油圧ポンプ47の吐出量が半減したままの状態で、押込シリンダ113が最小縮小位置からゆっくりと伸長作動して押込板110が前方に揺動して押込工程に移行する。
【0099】
次いで、ステップS117おいて、ポンプ3回転分経過したかが判定される。3回分経過すると、図21に進んで押込通常作動が行われる。
【0100】
すなわち、ステップS118において、押込ソレノイド163aが伸長側の状態を保ち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が縮小して斜板が寝かされて吐出量が通常に戻る。このことで、通常のスピードで押込シリンダ113が伸長作動しながら、回転板115上の塵芥55を後方へ押し込む。
【0101】
次いで、ステップS119において、押込リミットスイッチ132が検出されたかが判定される。押込リミットスイッチ132が検出されるまで、ポンプ吐出量が通常のまま、押込シリンダ14が伸長作動し続ける。これにより、回転板115上の塵芥55が押込板110によって後方開口部4から塵芥収容箱3へ押し込まれる。
【0102】
押込リミットスイッチ132が検出されると、ステップS120に進んで、押込減速作動が開始される。すなわち、制御装置48からポンプソレノイド63eに信号が送られ、ポンプシリンダ21が伸長して油圧ポンプ47の斜板が起こされ、吐出量が半減する。このことで、ゆっくりと押込シリンダ113が伸長作動する。
【0103】
次いで、ステップS121において、油圧ポンプ47が3回転したかどうかが検出される。3回転経過すると、ステップS122に進んで、押込停止作動が行われる。すなわち、押込ソレノイド163aが中立となって、押込シリンダ113の伸長作動が停止して最大伸長位置となって、押込板110が、押込終了位置(図16に仮想線で示す)に達し、一連の積込動作を終了する。そして、これらの工程を1サイクルとした塵芥積込動作を繰り返して行うことができる。
【0104】
したがって、実施形態2にかかる電動塵芥収集車101においても、各動作の切換前後で油圧ポンプ47の吐出量を半減させたことにより、簡単な方法で動作切換前後での衝撃音が大幅に緩和され、各動作への移り変わり時の騒音を効果的に低減させることができ、電気式塵芥収集車1の騒音低減効果をさらに増大させることができる。
【0105】
(その他の実施形態)
本発明は、上記各実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0106】
すなわち、上記各実施形態では、各動作の前後において、油圧ポンプ47の吐出量を半減させているが、正確に通常の吐出量の半分とする必要はなく、半分程度であればよい。また、各動作の騒音の程度に合わせ、各動作ごとに吐出量を半分よりも少なくしたり、多くしたりしてもよい。
【0107】
上記各実施形態では、油圧ポンプ47を縦置きにすることで空いた電装品収容箱30の下段に電気二重層キャパシタ44を並べたが、他の電気機器等を配置してもよい。さらに、電気二重層キャパシタ44は、電装品収容箱30内の下段以外に設けたり、作動油タンク62の近くに並べたりしてもよい。
【0108】
上記各実施形態では、蓄電装置を電気二重層キャパシタとしたが、これに限定されず、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル・水素蓄電池等でもよい。
【0109】
上記各実施形態では、電力を供給する手段を発電機42としたが、外部電力51などの電源としてもよい。また、上記各実施形態では、電動塵芥収集車1,101は、回生制動可能としているが、必ずしも回生制動は必要ではなく、その場合には、電気二重層キャパシタ44は、発電機42又は外部電力51により充電すればよい。
【0110】
上記各実施形態では、塵芥収集車1を電動塵芥収集車としているが、これに限定されず、油圧ポンプが、車両エンジン40に駆動される動力伝達装置(PTO)によって駆動される塵芥収集車においても、本発明が適用可能であり、各動作の終了前後での騒音が同様に低減される。
【0111】
上記各実施形態では、油圧ポンプ47はピストンポンプとしているが、これに限定されず、縦置き可能で可変容量型の油圧ポンプであればよい。
【0112】
なお、以上の各実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0113】
1 電動塵芥収集車(塵芥収集車)
2a 運転台
6 塵芥投入箱
7 投入口
10 摺動板
13 摺動シリンダ
14 揺動シリンダ
15 圧縮板
20 塵芥積込装置
30 電装品収容箱
31 上昇リミットスイッチ
32 下降リミットスイッチ
35 反転リミットスイッチ
36 圧縮リミットスイッチ
44 電気二重層キャパシタ(蓄電装置)
46 電動モータ(電動機)
47 油圧ポンプ
48 制御装置(制御手段)
55 塵芥
101 電動塵芥収集車(塵芥収集車)
110 押込板
113 押込シリンダ
114 油圧モータ
114a 回転軸(軸)
115 回転板
120 塵芥積込装置
131 戻りリミットスイッチ
132 押込リミットスイッチ
135 回転リミットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転台の後方の塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方の塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に配置された塵芥積込装置と、該塵芥積込装置を駆動する動力を供給する油圧ポンプとを備え、
上記塵芥積込装置は、摺動シリンダの伸縮動作により上下方向に摺動自在な摺動板及び該摺動板の下端部に揺動シリンダの伸縮動作により車体前後方向に揺動自在な圧縮板を備え、上記摺動シリンダ及び揺動シリンダの伸縮動作により摺動板と圧縮板とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動することで、投入口を通じて上記塵芥投入箱に投入された塵芥を上記塵芥収容箱に積込むように構成された塵芥収集車であって、
上記摺動シリンダ及び揺動シリンダの最大伸長位置及び最小縮小位置の手前には、それぞれリミットスイッチが配置され、
上記反転、下降、圧縮及び上昇の各動作終了の手前で上記リミットスイッチを検知することにより、該各動作終了の手前で上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させると共に、次の動作の開始直後も上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させ、その後、通常の吐出量とする制御手段を備えている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
運転台の後方の塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方の塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に配置された塵芥積込装置と、該塵芥積込装置を駆動する動力を供給する油圧ポンプとを備え、
上記塵芥積込装置は、中間部が上記塵芥投入箱の側壁面に枢支されて一端側を前後方向に揺動させる押込板と、該押込板の他端にロッド先端が回転自在に支持されて押込板を作動させる押込シリンダと、基端を支点に回転可能な回転板と、該回転板の基端に減速機を介して連結され、回転板を回転作動させる油圧モータとを備え、
上記押込板と回転板との協働によって、投入口を通じて上記塵芥投入箱に投入された塵芥を圧縮して後方開口部から塵芥収容箱に積込むように構成された塵芥収集車であって、
上記押込シリンダの最大伸長位置及び最小縮小位置の手前並びに上記回転板の先端が上記後方開口部に臨む位置の手前には、それぞれリミットスイッチが配置され、
上記押込板による前方揺動及び後方揺動並びに上記回転板の回転の各動作終了の手前で上記リミットスイッチを検知することにより、該各動作終了の手前で上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させると共に、次の動作の開始直後も上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させ、その後、通常の吐出量とする制御手段を備えている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塵芥収集車において、
上記油圧ポンプを駆動する動力を供給する電動機と、
上記電動機に電力を供給する蓄電装置とを備えている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項4】
請求項3に記載の塵芥収集車において、
上記運転台と上記塵芥収容箱との間には、上記蓄電装置と上記電動機とを収容する電装品収容箱が設けられ、
上記電動機及び蓄電装置は、上記電装品収容箱内に収容され、
上記油圧ポンプは、上記電動機の真下に配置されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の塵芥収集車において、
上記油圧ポンプは、斜板式容量可変型ピストンポンプであり、上記制御手段より斜板を傾動させて吐出量を変動させるように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の塵芥収集車において、
上記制御手段は、上記油圧ポンプの吐出量を半減させるように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項7】
塵芥収集車の制御方法において、
運転台の後方の塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方の塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に配置された塵芥積込装置と、該塵芥積込装置を駆動する動力を供給する油圧ポンプとを備え、
上記塵芥積込装置は、摺動シリンダの伸縮動作により上下方向に摺動自在な摺動板及び該摺動板の下端部に揺動シリンダの伸縮動作により車体前後方向に揺動自在な圧縮板を備え、
上記摺動シリンダ及び揺動シリンダの最大伸長位置及び最小縮小位置の手前にそれぞれリミットスイッチが配置された塵芥収集車を用意し、
上記摺動シリンダ及び揺動シリンダの伸縮動作により摺動板と圧縮板とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動し、投入口を通じて上記塵芥投入箱に投入された塵芥を上記塵芥収容箱に積込む際に、上記反転、下降、圧縮及び上昇の各動作終了の手前で上記リミットスイッチを検知することにより、該各動作終了の手前で上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させると共に、次の動作の開始直後も上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させ、その後、通常の吐出量とする
ことを特徴とする塵芥収集車の制御方法。
【請求項8】
塵芥収集車の制御方法において、
運転台の後方の塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方の塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に配置された塵芥積込装置と、該塵芥積込装置を駆動する動力を供給する油圧ポンプとを備え、
上記塵芥積込装置は、中間部が上記塵芥投入箱の側壁面に枢支されて一端側を前後方向に揺動させる押込板と、該押込板の他端にロッド先端が回転自在に支持されて押込板を作動させる押込シリンダと、基端を支点に回転可能な回転板と、該回転板の基端に減速機を介して連結され、回転板を回転作動させる油圧モータとを備え、
上記押込シリンダの最大伸長位置及び最小縮小位置の手前並びに上記回転板の先端が上記後方開口部に臨む位置の手前には、それぞれリミットスイッチが配置された塵芥収集車を用意し、
上記押込シリンダの伸縮動作により押込板を前方揺動及び後方揺動させると共に、上記油圧モータの回転により上記回転板を回転させ、投入口を通じて上記塵芥投入箱に投入された塵芥を上記後方開口部を通して上記塵芥収容箱に積込む際に、上記前方揺動及び後方揺動並びに回転の各動作終了の手前で上記リミットスイッチを検知することにより、該各動作終了の手前で上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させると共に、次の動作の開始直後も上記油圧ポンプの吐出量を通常よりも減少させ、その後、通常の吐出量とする
ことを特徴とする塵芥収集車の制御方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の塵芥収集車の制御方法において、
上記塵芥収集車は、上記油圧ポンプを駆動する動力を供給する電動機と、該電動機に電力を供給する蓄電装置とを備え、
上記電動機をインバータ制御することにより、吐出量を調整する
ことを特徴とする塵芥収集車の制御方法。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1つに記載の塵芥収集車の制御方法において、
上記油圧ポンプの吐出量を通常の半分の量まで減少させる
ことを特徴とする塵芥収集車の制御方法。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれか1つに記載の塵芥収集車の制御方法において、
上記油圧ポンプは、斜板式容量可変型ピストンポンプよりなり、該油圧ポンプの斜板を傾動させて吐出量を変動させる
ことを特徴とする塵芥収集車の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−207608(P2011−207608A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78767(P2010−78767)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】