説明

塵芥収集車

【課題】 組み付けの手間が不要で、耐久性にも優れた低騒音化構成を備えた塵芥収集車を提供する。
【解決手段】 リミットスイッチや近接スイッチ等の位置検出スイッチを原則的に省略し、電動モータの回転数の積算値すなわち油圧ポンプの吐出量の積算値に基づいて、制御装置により、電動モータの回転数(吐出量に相当。)を制御する。そして、積込装置の各行程の終了直前に回転数を低減することにより、行程動作をスローストップ(減速停止)させ、停止時の衝撃音を緩和する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみや粗大ごみ等の塵芥を効率よく積み込む機能を備えた塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集車は、車両後部の塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱に積み込むための積込装置を備えている。この積込装置には、塵芥の押込部材をシリンダで動作させる構造が一般的に用いられている。このシリンダに作動油を供給する油圧ポンプは、エンジンで駆動してもよいが、駆動源の静音化のためにバッテリで駆動することもできる(例えば特許文献1参照。)。しかしながら、駆動源を静音化しても、シリンダが行程終端で停止するときには大きな衝撃音が発生し、この衝撃音の方がむしろエンジン音以上に「騒音」である。
一方、積込動作に使用されるシリンダの行程終端直前をリミットスイッチで検出してストローク動作を減速し、シリンダ停止時の衝撃音を緩和する塵芥収集車も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】実開昭55−164203号公報(第2図)
【特許文献2】特開平8−268504号公報(第4〜9頁、図1〜図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の塵芥収集車(特許文献2)では、多数のリミットスイッチを取り付けて配線し、かつ、正確に位置調整をしなければならないので、組み付け作業に時間がかかる。また、一定の動作回数を超えればリミットスイッチの取替も必要であり、面倒である。
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、組み付けの手間が不要で、耐久性にも優れた低騒音化構成を備えた塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の塵芥収集車は、塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱に連接して設けられた塵芥投入箱と、電動モータと、前記電動モータにより駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプの油圧に基づいて、前記塵芥投入箱に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行う積込装置と、前記油圧ポンプの油圧に基づいて、前記塵芥収容箱に収容された塵芥を排出するための動作を行う排出装置と、前記油圧ポンプの吐出量の積算値を検出する流量検出装置と、前記流量検出装置の検出する積算値に基づいて所定の回転数で前記電動モータを回転させ、前記積算値が、前記積込装置及び排出装置の動作を構成する少なくとも一行程の終了直前に相当する値に達したとき、前記回転数を低減する制御装置とを備えたものである。
上記のように構成された塵芥収集車においては、積算値が一行程の終了直前に相当する値に達したとき電動モータの回転数を低下させることにより、当該行程動作をスローストップ(減速停止)させ、停止時の衝撃音を緩和することができる。また、このような構成によれば、回転数を低下させる時期の検出にリミットスイッチや近接スイッチ等の位置検出スイッチを使用しなくてもよい。
【0006】
また、上記塵芥収集車において、制御装置は、積算値が、積込装置の積込動作を構成する各行程の終了直前に相当する値に達したとき、電動モータの回転数を低減することが好ましい。
この場合、積算値が積込装置の各行程の終了直前に相当する値に達したとき電動モータの回転数を低下させることにより、各行程動作をスローストップさせ、停止時の衝撃音を全行程で緩和することができる。
【0007】
また、上記塵芥収集車において、排出装置は、油圧ポンプの油圧に基づいて、塵芥投入箱を塵芥収容箱に対して上下回動させる投入箱駆動装置を含み、制御装置は、積算値が、投入箱駆動装置の上昇動作終了直前に相当する値に達したとき、電動モータの回転数を低減するものであってもよい。
この場合、積算値が投入箱駆動装置の上昇動作終了直前に相当する値に達したとき電動モータの回転数を低下させることにより、上昇動作をスローストップさせ、停止時の衝撃音を緩和することができる。
【0008】
また、上記塵芥収集車において、排出装置は、油圧ポンプの油圧に基づいて、塵芥収容箱に収容された塵芥を排出板の移動により押し出す排出板駆動装置を含み、制御装置は、積算値が、排出板駆動装置の動作終了直前に相当する値に達したとき、電動モータの回転数を低減するものであってもよい。
この場合、積算値が排出板駆動装置の動作終了直前に相当する値に達したとき電動モータの回転数を低下させることにより、当該動作をスローストップさせ、停止時の衝撃音を緩和することができる。
【0009】
また、上記塵芥収集車において、排出装置は、油圧ポンプの油圧に基づいて、塵芥収容箱をダンプ動作させる収容箱駆動装置を含み、制御装置は、積算値が、収容箱駆動装置のダンプ動作終了直前に相当する値に達したとき、電動モータの回転数を低減するものであってもよい。
この場合、積算値が収容箱駆動装置のダンプ動作終了直前に相当する値に達したとき電動モータの回転数を低下させることにより、ダンプ動作をスローストップさせ、停止時の衝撃音を緩和することができる。
【0010】
また、上記塵芥収集車において、制御装置は、積算値に基づいて積込装置に、積込動作を構成する各行程の動作を行わせてもよい。
この場合、積込装置の各行程の開始・終了を吐出量の積算値に基づいて順次実行することができるので、各行程終端の位置検出スイッチが不要になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塵芥収集車によれば、積算値が一行程の終了直前に相当する値に達したとき電動モータの回転数を低下させることにより、当該行程動作をスローストップ(減速停止)させ、停止時の衝撃音を緩和することができる。また、このような構成によれば、回転数を低下させる時期の検出にリミットスイッチや近接スイッチ等の位置検出スイッチを使用しないので、これらの組み付けの手間が不要で、耐久性にも優れた低騒音な構成を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態による塵芥収集車を示す側断面図である。この塵芥収集車は、積込動作に圧縮行程を有するプレス式で、排出が押し出し式の構成である。
図において、この塵芥収集車1は、塵芥収容箱2と、その後部に連接する塵芥投入箱(テールゲートともいう。)3とを備えている。塵芥投入箱3の後方には、塵芥が投入される投入口3aが形成されており、また、この投入口3aを、上下にスライドして開閉する蓋3bが設けられている。塵芥投入箱3の前方下部には、塵芥を塵芥収容箱2に積み込むための開口部3dが形成されている。塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点Pを中心に回動可能であり、これによって塵芥収容箱2に対しての開閉動作が可能である。塵芥投入箱3は、図の実線で示す位置では塵芥収容箱2を閉鎖し、図の二点鎖線で示すように上方へ回動したときは塵芥収容箱2を開放して塵芥を排出することができる状態とする。
【0013】
次に、塵芥投入箱3内に設けられている積込装置70について説明する。まず、塵芥投入箱3の左右の側壁3cには斜め上下に延びるガイドレール4が設けられており、スライダ5に取り付けられた左右一対二組のローラ6は、このガイドレール4内を斜め上下に移動することができる。スライダ5は、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず。)により接続して一体化したものである。また、スライダ5の下端部には、ピン7を介して押込板8が回動自在に取り付けられている。押込板8もまた、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず。)により接続して一体化したものである。
【0014】
一方、プッシュシリンダ9のシリンダ側端部はピン10により側壁3cに取り付けられており、ピストン側端部はピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。他方、プレスシリンダ12のシリンダ側端部はピン13により押込板8に接続されており、ピストン側端部は上記ピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。スライダ5は押込板8と共に、プッシュシリンダ9の伸長動作により斜めに上昇し、収縮動作により斜めに下降する。これによりスライダ5は、後述する一次圧縮及び押込に対応した往復動が可能である。また、押込板8は、プレスシリンダ12の伸長動作によりピン7を中心として時計回り方向に回動し、収縮動作により反時計回り方向に回動する。これにより押込板8は、後述する反転及び二次圧縮に対応した往復回動が可能である。
【0015】
図2の(a)は、図1から押込板8、プッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12のみを抜き出した動作説明図である(但し、図面を見易くするためプッシュシリンダ9の位置を少しずらしている。)。押込板8は、(a)に示す位置を原位置として、プレスシリンダ12が収縮動作することにより「反転」の行程を行い、(b)に示す状態となる。次に押込板8は、プッシュシリンダ9が収縮動作することにより「一次圧縮」の行程を行い、(d)に示す状態となる。続いて押込板8は、プレスシリンダ12が伸長動作することにより「二次圧縮」の行程を行い、(c)に示す状態となる。最後に押込板8は、プッシュシリンダ9が伸長動作することにより「押込」の行程を行い、(a)に示す状態に戻る。このようにしてプッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12が交互に動作することにより、押込板8は、1サイクルの行程動作(反転、一次圧縮、二次圧縮、押込)を行う。押込板8の先端部8aは、図示のように、動作軌跡が4点を結ぶ閉じた形状を描く。
【0016】
図1に戻り、塵芥収容箱2の内部には、車体の前後方向に移動可能に排出板18が設けられている。テレスコ式のディスチャージシリンダ19の一端部19aは排出板18に接続され、他端部19bは塵芥収容箱2に接続されている。排出板18は、ディスチャージシリンダ19の伸縮により、図の実線で示す位置から二点鎖線で示す位置までの範囲で移動可能である。塵芥が空のとき排出板18は実線で示す位置にあり、その後方に塵芥を積み込む空間Sが確保されている。
上記ディスチャージシリンダ19は、これに接続された後述の油圧機器と共に、塵芥収容箱2に収容された塵芥を、排出板18の後方への移動により押し出す「排出板駆動装置」を構成している。
【0017】
図3は、塵芥収集車1の背面図である。塵芥投入箱3の左右両端に配置された一対のスイングシリンダ20は、上端が塵芥収容箱2(図1)側に取り付けられ、下端が塵芥投入箱3に取り付けられている。このスイングシリンダ20を伸長動作させると塵芥投入箱3が上方へ回動して塵芥収容箱2を開き、収縮動作するとこれを閉じる。
上記スイングシリンダ20は、これに接続された後述の油圧機器と共に、塵芥投入箱3を塵芥収容箱2に対して開閉動作させる「投入箱駆動装置」を構成している。
【0018】
図4は、上記プッシュシリンダ9、プレスシリンダ12、ディスチャージシリンダ19及びスイングシリンダ20に関する油圧回路図である。当該油圧回路は、タンク21、油圧ポンプ22、圧力制御弁23,28,29,30,33、プッシュシリンダ用電磁弁24、プレスシリンダ用電磁弁25、ディスチャージシリンダ用電磁弁26、スイングシリンダ用電磁弁(テールゲートロック用電磁弁を兼用。)27、切換弁31,32、逆止弁34〜39,43、フィルタ40,41、及び、テールゲートロック(シリンダ)42を図示のように接続して構成されている。
【0019】
押込板8が原位置(図2の(a))に停止しているとき、プッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12は共に伸長状態にあり、対応する各電磁弁24,25は中立位置にある。プレスシリンダ用電磁弁25のソレノイド25sが励磁されると「反転」、ソレノイド25eが励磁されると「二次圧縮」、プッシュシリンダ用電磁弁24のソレノイド24sが励磁されると「一次圧縮」、ソレノイド24eが励磁されると「押込」、の各動作が行われる。
【0020】
また、排出板18が最も前進して停止しているとき(図1の実線)、ディスチャージシリンダ19は最も伸長した状態にあり、ディスチャージシリンダ用電磁弁26は中立位置にある。ディスチャージシリンダ用電磁弁26のソレノイド26eが励磁されると、ディスチャージシリンダ19は伸長動作する。また、ソレノイド26sが励磁されると、ディスチャージシリンダ19は収縮動作する。励磁オフでディスチャージシリンダ用電磁弁26が中立位置にあるときは、ディスチャージシリンダ19の両ポート19e,19sは封止された状態となる。但し、圧力制御弁29や切換弁31が開位置に動作すれば、ディスチャージシリンダ用電磁弁26が中立位置であってもディスチャージシリンダ19が収縮可能となり、排出板18は後退可能となる。
【0021】
また、塵芥投入箱3が閉鎖されているとき(図1の実線)、スイングシリンダ20は最も収縮した状態にあり、スイングシリンダ用電磁弁27は中立位置にあり、切換弁32は図示の位置にある。スイングシリンダ用電磁弁27のソレノイド27eが励磁されるとテールゲートロック42がロック解除方向に動作し、スイングシリンダ20が伸長動作して塵芥投入箱3が上方回動する。ソレノイド27eが消磁され、かつ、切換弁32が励磁されると、塵芥投入箱3の自重によりスイングシリンダ20内の作動油が切換弁32及びスイングシリンダ用電磁弁27を介してタンク21に戻され、これにより、スイングシリンダ20が収縮動作して塵芥投入箱3が下方回動する。また、塵芥投入箱3が下方回動端に達した後、スイングシリンダ用電磁弁27のソレノイド27sが励磁されると、テールゲートロック42がロック動作し、塵芥投入箱3がロックされる。その後、ソレノイド27sは消磁されるが、逆止弁43によりテールゲートロック42のロック状態は維持される。
【0022】
次に、上記油圧ポンプ22並びに、積込装置、投入箱駆動装置及び排出板駆動装置を制御する塵芥収集車のシステム構成について、図5のブロック図を参照して説明する。ここまで説明した構造を、油圧ポンプ22とその負荷として簡略化してみると、負荷とは、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込む動作を行う積込装置70と、塵芥投入箱3を塵芥収容箱2に対して開閉動作(上下回動)させる投入箱駆動装置71と、収容した塵芥を排出板18の移動により押し出す排出板駆動装置72とである。なお、投入箱駆動装置71及び排出板駆動装置72は、塵芥収容箱2に収容された塵芥を排出するための動作を行う点では共通しており、両者で排出装置73を構成しているともいえる。積込装置70、投入箱駆動装置71及び排出板駆動装置72は、コントローラ50によって制御される。
【0023】
一方、塵芥収集車のエンジン63には、発電機64が接続されている。発電機64の出力電圧は、整流器65を介してインバータ66(ゲート制御回路も含む。)に供給される。インバータ66には、油圧ポンプ22を駆動するための交流モータ(誘導電動機)67が接続されている。交流モータ67は回転数センサ68を備えており、その出力は前述のコントローラ50に入力される。この回転数センサ68はコントローラ50と共に「流量検出装置」を構成している。また、コントローラ50には、積込装置70、投入箱駆動装置71及び排出板駆動装置72の動作に関する複数の操作スイッチ51から信号が入力される。コントローラ50及びインバータ66は、これらの信号に基づいて、回転数センサ68の出力をフィードバック信号として用いながら、交流モータ67の回転数制御を行う制御装置69を構成している。
【0024】
また、コントローラ50は、回転数センサ68からの信号(パルス)をカウントして、単位時間あたりの回転数を計測する。油圧ポンプ22は例えば、交流モータ67の1回転あたり、30ミリリットルの油を吐出する。従って、回転数をN[rpm]とすると、1分あたりの吐出量Q[リットル/分]は、
Q=30×10−3×N ...(1)
として演算できる。コントローラ50は、各装置(70,71,72)の動作開始からの吐出量Qの積算値を演算し、かつ、記憶する。
【0025】
塵芥の積込、塵芥投入箱3の駆動、排出板18の駆動は、エンジン63を例えばアイドリング状態として、そのときの発電機64の出力電圧を整流した直流電圧を、インバータ66により、コントローラ50から指示された周波数の交流電圧に変換して交流モータ67に供給し、これにより油圧ポンプ22を運転して圧油を供給することにより行われる。
【0026】
次に、積込装置70動作時の吐出量制御(回転数制御)について説明する。
図6の実線部分は、積込装置70の1サイクルにおける吐出量の変化を示すグラフであり、横軸は吐出量の積算値ΣQ[リットル]、縦軸は吐出量Q[リットル/分]を示している。点線部分は、参考のために従来の吐出量を表しており、これは全行程中一定値(39.5[リットル/分])である。
操作スイッチ51から積込装置70の動作開始指令が与えられると、コントローラ50は、積込装置70に、前述の反転、一次圧縮、二次圧縮、押込、の各行程を、積算値ΣQに基づいて以下の要領で行わせる。なお、各数値は一例であり、積込装置70の設計仕様によって異なってくる。
【0027】
(1)ΣQ=0〜0.04リットル(反転開始直後)
反転を開始し、回転数を0から徐々に増加させる。具体的には、積算値が0.04リットルで1600[rpm]に達するように増加させる。
(2)ΣQ=0.04〜0.96リットル(反転途中)
この範囲では、回転数を1600[rpm]に保持する。吐出量に換算すると、Q1=48.0[リットル/分]である。
(3)ΣQ=0.96〜0.99リットル(反転終了直前〜反転終了時)
この範囲では、回転数を徐々に減少させ、積算値が0.96から0.99リットルに達するまでに、1600[rpm]を0に落とす。
【0028】
(4)ΣQ=0.99〜1.04リットル(一次圧縮開始直後)
一次圧縮を開始し、回転数を徐々に増加させる。具体的には、積算値が0.99から1.04リットルに達するまでに、回転数を0から1450[rpm]に増加させる。
(5)ΣQ=1.04〜2.61リットル(一次圧縮途中)
この範囲では、回転数を1450[rpm]に保持する。吐出量に換算すると、Q2=43.5[リットル/分]である。
(6)ΣQ=2.61〜2.64リットル(一次圧縮終了直前〜一次圧縮終了)
この範囲では、回転数を徐々に減少させる。具体的には、積算値が2.61から2.64リットルに達するまでに、1450[rpm]を0に落とす。
【0029】
(7)ΣQ=2.64〜2.68リットル(二次圧縮開始直後)
二次圧縮を開始し、回転数を徐々に増加させる。具体的には、積算値が2.64から2.68リットルに達するまでに、回転数を0から1450[rpm]に増加させる。
(8)ΣQ=2.68〜4.26リットル(二次圧縮途中)
この範囲では、回転数を1450[rpm]に保持する。吐出量に換算すると、Q3=43.5[リットル/分]である。
(9)ΣQ=4.26〜4.29リットル(二次圧縮終了直前〜二次圧縮終了)
この範囲では、回転数を徐々に減少させ、積算値が4.26から4.29リットルに達するまでに、1450[rpm]を0に落とす。
【0030】
(10)ΣQ=4.29〜4.33リットル(押込開始直後)
押込を開始し、回転数を徐々に増加させる。具体的には、積算値が4.29から4.33リットルに達するまでに、回転数を0から1383[rpm]に増加させる。
(11)ΣQ=4.33〜7.22リットル(押込途中)
この範囲では、回転数を1383[rpm]に保持する。吐出量に換算すると、Q4=41.5[リットル/分]である。
(12)ΣQ=7.22〜7.25リットル(押込終了直前〜押込終了)
この範囲では、回転数を徐々に減少させ、積算値が7.22から7.25リットルに達するまでに、1383[rpm]を0に落とす。
以上の(1)〜(12)の処理により、積込動作の1サイクルが完了する。積算値はここでリセットされ、次のサイクルでは再び0から積算される。
【0031】
以上のようにして、各行程の終了直前に回転数を低下させることで、各シリンダ(プッシュシリンダ9、プレスシリンダ12)をスローストップ(減速停止)させ、停止時の衝撃音を緩和することができる。同様に、各行程の開始直後、スロースタートすなわち徐々に回転数を増加させることで、各シリンダの起動時の衝撃音も緩和することができる。また、回転数を低下させる時期の検出にリミットスイッチや近接スイッチ等の位置検出スイッチを使用しないので、組み付けの手間が不要で、耐久性にも優れた低騒音な構成を実現することができる。さらにまた、反転(最初の開始を除く。)から一次圧縮、二次圧縮、押込の各工程の開始・終了(連続サイクルの場合はさらに次サイクルの各行程の開始・終了)を、吐出量の積算値に基づいて順次実行することができるので、各行程終端の位置検出スイッチも不要になる。但し、積込動作における各シリンダの原点位置(例えば図2の(a)の位置)を検出する位置検出スイッチを設けた場合には、吐出量の積算値を物理的原点に合わせてリセットすることができる。
【0032】
なお、上記の場合、一行程終了時の吐出量(回転数)を瞬間的に0としているが、これは必ずしも0でなくてもよい。例えば、0以外で、Q1〜Q4より十分に小さい所定の吐出量を0に代わる極小値として設定してもよい。
また、上記の場合、スロースタート及びスローストップを共に採用したが、一般に停止時の騒音の方が大きいので、スローストップのみでも十分な騒音防止効果が得られる。また、全行程に対してではなく、少なくとも一行程で採用することによっても一定の低騒音化の作用効果は得られる。
【0033】
次に、投入箱駆動装置71動作時の吐出量制御(回転数制御)について説明する。
図7は、投入箱駆動装置71による塵芥投入箱3の上方回動時における吐出量の変化を示すグラフであり、横軸は吐出量の積算値ΣQ[リットル]、縦軸は吐出量Q[リットル/分]を示している。点線部分は、参考のために従来の吐出量を表しており、これは全行程中一定値(39.5[リットル/分])である。
操作スイッチ51から投入箱駆動装置71の動作開始指令が与えられると、コントローラ50は、投入箱駆動装置71を構成するスイングシリンダ20に、以下の要領で、伸長動作を実行させる。なお、各数値は一例であり、投入箱駆動装置71の設計仕様によって異なってくる。
【0034】
(1)ΣQ=0〜0.04リットル(上方回動開始直後)
上方回動を開始し、回転数を徐々に増加させる。具体的には、積算値が0.04リットルで1400[rpm]に達するように増加させる。
(2)ΣQ=0.04〜3.90リットル(上方回動途中)
この範囲では、回転数を1400[rpm]に保持する。吐出量に換算すると、Q5=42.0[リットル/分]である。
(3)ΣQ=3.90〜3.95リットル(上方回動終了直前〜上方回動終了)
この範囲では、回転数を徐々に減少させ、積算値が3.90から3.95リットルに達するまでに、1400[rpm]を0に落とす。
以上の(1)〜(3)の処理により、上方回動動作が完了する。積算値はここでリセットされる。
【0035】
以上のようにして、上方回動の終了直前に回転数を低下させることで、スイングシリンダ20をスローストップさせ、停止時の衝撃音を緩和することができる。同様に、上方回動の開始直後、徐々に回転数を増加させることで、起動時の衝撃音も緩和することができる。また、回転数を低下させる時期の検出にリミットスイッチや近接スイッチ等の位置検出スイッチを使用しないので、組み付けの手間が不要で、耐久性にも優れた低騒音な構成を実現することができる。
なお、上方回動した状態からの下方回動は、スイングシリンダ20内の作動油をタンク21に戻すことにより行われる。従って、下方回動は回転数制御の対象とならない。
【0036】
次に、排出板駆動装置72動作時の吐出量制御(回転数制御)について説明する。
図8の(a)は、排出板駆動装置72による排出板18の後方移動時における吐出量の変化を示すグラフであり、横軸は吐出量の積算値ΣQ[リットル]、縦軸は吐出量Q[リットル/分]を示している。また、(b)は、排出板18の前方移動時における吐出量の変化を示すグラフである。(a)、(b)共に、点線部分は、参考のために従来の吐出量を表しており、これは全行程中一定値(39.5[リットル/分])である。
塵芥投入箱3が上方回動して図1の二点鎖線で示す位置にあり、かつ、排出板18が図1の二点鎖線で示す前方位置にあるとして、操作スイッチ51から排出(排出板後方移動)の動作開始指令が与えられると、コントローラ50は、排出板駆動装置72を構成するディスチャージシリンダ19に、以下の要領で、収縮動作を実行させる。なお、各数値は一例であり、排出板駆動装置72の設計仕様によって異なってくる。
【0037】
(1)ΣQ=0〜0.06リットル(後方移動開始直後)
後方移動を開始し、回転数を徐々に増加させる。具体的には、積算値が0.06で1380[rpm]に達するように増加させる。
(2)ΣQ=0.06〜5.87リットル(後方移動途中)
この範囲では、回転数を1380[rpm]に保持する。吐出量に換算すると、Q6=41.5[リットル/分]である。
(3)ΣQ=5.87〜5.93リットル(後方移動終了直前〜後方移動終了)
この範囲では、回転数を徐々に減少させ、積算値が5.87から5.93リットルに達するまでに、1380[rpm]を0に落とす。
以上の(1)〜(3)の処理により、後方移動動作が完了する。積算値はここでリセットされる。
【0038】
排出板18の後方移動終了によって塵芥は塵芥収容箱2から排出される。次に、操作スイッチ51から戻し(排出板前方移動)の動作開始指令が与えられると、コントローラ50は、ディスチャージシリンダ19に、以下の要領で、伸長動作を実行させる。
【0039】
(1)ΣQ=0〜0.06リットル(前方移動開始直後)
前方移動を開始し、回転数を徐々に増加させる。具体的には、積算値が0.06で1400[rpm]に達するように増加させる。
(2)ΣQ=0.06〜4.69リットル(前方移動途中)
この範囲では、回転数を1400[rpm]に保持する。吐出量に換算すると、Q7=42.0[リットル/分]である。
(3)ΣQ=4.69〜4.75リットル(前方移動終了直前〜前方移動終了)
この範囲では、回転数を徐々に減少させ、積算値が4.69から4.75リットルに達するまでに、1400[rpm]を0に落とす。
以上の(1)〜(3)の処理により、前方移動動作が完了する。積算値はここでリセットされる。
【0040】
以上のようにして、後方及び前方のいずれにおいても、排出板移動の終了直前に回転数を低下させることで、ディスチャージシリンダ19をスローストップさせ、停止時の衝撃音を緩和することができる。同様に、移動の開始直後、徐々に回転数を増加させることで、起動時の衝撃音も緩和することができる。また、回転数を低下させる時期の検出にリミットスイッチや近接スイッチ等の位置検出スイッチを使用しないので、組み付けの手間が不要で、耐久性にも優れた低騒音な構成を実現することができる。
【0041】
次に、第2の実施形態による塵芥収集車について説明する。
図9は、第2の実施形態による塵芥収集車の側断面図である。この塵芥収集車は、積込が回転板式で、排出がダンプ式の構成であり、従って、積込装置としての構成及び、排出装置としての構成の一部は第1の実施形態と異なるが、投入箱駆動装置としてのスイングシリンダ20等は、第1の実施形態と同様である。
図において、この塵芥収集車1は、第1の実施形態と同様に、塵芥収容箱2と、塵芥投入箱3とを備え、塵芥投入箱3の後方には、塵芥が投入される投入口3aが形成されており、また、この投入口3aを、上下にスライドして開閉する蓋3bが設けられている。塵芥投入箱3の前方下部には、塵芥を塵芥収容箱2に積み込むための開口部3dが形成されている。塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点(図示せず。)を中心に回動可能であり、これによって塵芥収容箱2に対して開閉動作が可能である。
【0042】
図9において、塵芥投入箱3の左右の側壁3cには押込シリンダ81のシリンダ側基端部81aが軸着されており、これにより押込シリンダ81は回動可能である。また、押込板82は、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず。)により接続して一体化したものであり、側壁3cに取り付けられた支軸83を中心として回動可能である。押込板82の上端部と押込シリンダ81のピストンロッド先端部とは、ピン84により互いに接続されており、これにより、押込シリンダ81が伸長動作すると、当該押込シリンダ81自身が反時計回り方向に回動しながら押込板82を時計回り方向に回動させ、図の実線で示す状態となる。また、その状態から押込シリンダ81が収縮動作すると、当該押込シリンダ81自身が時計回り方向に回動しながら押込板82を反時計回り方向に回動させ、図の二点鎖線で示す状態となる。
【0043】
一方、図示の側面形状で車幅方向に延びる回転板85は、側壁3cに対して軸周りに回転自在に取り付けられた支軸86を中心に、回転自在である(時計回り方向が通常回転方向である。)。回転板85は図示の位置(ほぼ9時の位置)が原点位置であり、通常、ここで停止している。塵芥投入箱3の内部底面3eは、回転板85の先端の回動軌跡に沿って円弧状に形成されている。
【0044】
上記のように構成された積込装置170においては、塵芥投入箱3内に塵芥が投入されると、回転板85は塵芥をかき込みながら図示の位置(ほぼ9時の位置)まで上昇する。そして、回転板85が図示の位置に来たとき、押込板82が二点鎖線の位置から実線の位置まで時計回り方向に回動して、回転板85の上に載っている塵芥を塵芥収容箱2に押し込む。その後、押込板82は、回転板85が12時の位置を超える頃から反時計回り方向に回動し始め、次の押込動作開始までには元の位置に戻っている。このような周期的動作が、1サイクル又は連続サイクルで行われる。
【0045】
一方、塵芥収容箱2の床下にはダンプシリンダ87が設けられており、そのシリンダ側基端部87aは車体フレームFに軸着されている。また、ピストンロッド側先端部87bは塵芥収容箱2の下面に軸着されている。塵芥収容箱2は、支軸88を中心としてダンプ動作(上方へ回動)が可能な構造となっている。第1の実施形態と同様に塵芥投入箱3を上方回動させて塵芥収容箱2を開いた後、収縮動作状態のダンプシリンダ87を伸長動作させると、塵芥収容箱2が支軸88を中心として時計回り方向に回動し、収容した塵芥をダンプ排出することができる。
【0046】
図10は、上記押込シリンダ81、ダンプシリンダ87、スイングシリンダ20及び、回転板85を回転させる油圧モータ89に関する油圧回路図である。当該油圧回路は、タンク21、油圧ポンプ22、押込シリンダ用電磁弁93、油圧モータ用電磁弁94、ダンプシリンダ用電磁弁95、スイングシリンダ用電磁弁(テールゲートロック用電磁弁を兼用。)27、切換弁32、テールゲートロック(シリンダ)42、その他圧力制御弁96〜99、逆止弁43,100〜105、フィルタ40等を図示のように接続して構成されている。
【0047】
上記押込板82は、押込シリンダ用電磁弁93のソレノイド93sが励磁されると図9の二点鎖線の位置に達し、ソレノイド93eが励磁されると実線の押込位置に達する。油圧モータ89は、油圧モータ用電磁弁94のソレノイド94nが励磁されると正転し、回転板85を図9の時計回り方向に回転させる。ソレノイド94rが励磁されると逆転する。また、ダンプシリンダ87は、ダンプシリンダ用電磁弁95のソレノイド95eが励磁されると伸長動作し、ソレノイド95sが励磁されると収縮動作する。スイングシリンダ20及びテールゲートロック42に関する動作は第1の実施形態と同様である。
【0048】
上記のように構成された第2の実施形態の塵芥収集車1は、第1の実施形態と同様に、各ソレノイド27e,27s,93e,93s,94n,94r,95e,95s及び切換弁32が、コントローラ50によって励磁・消磁されることにより、積込(回転+押込)、投入箱駆動(回動)、収容箱駆動(ダンプ)の各動作が行われる。
【0049】
次に、上記油圧ポンプ22並びに、積込装置、投入箱駆動装置及び収容箱駆動装置を制御する第2の実施形態による塵芥収集車のシステム構成について、図11のブロック図を参照して説明する。図5との違いは、油圧ポンプ22の負荷が、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込む動作を行う回転板式の積込装置170と、塵芥投入箱3を塵芥収容箱2に対して開閉動作(上下回動)させる投入箱駆動装置171(これは第1の実施形態の投入箱駆動装置71と実質的に同じ。)と、収容した塵芥をダンプ動作により排出する収容箱駆動装置172とである点である。なお、投入箱駆動装置171及び収容箱駆動装置172は、塵芥収容箱2に収容された塵芥を排出するための動作を行う点では共通しており、両者で排出装置173を構成しているともいえる。積込装置170、投入箱駆動装置171及び収容箱駆動装置172は、コントローラ50によって制御される。
【0050】
次に、積込装置170動作時の吐出量制御(回転数制御)について説明する。図12の実線部分は、積込装置170の1サイクルにおける吐出量の変化を示すグラフであり、横軸は吐出量の積算値ΣQ[リットル]、縦軸は吐出量Q[リットル/分]を示している。点線部分は、参考のために従来の吐出量を表しており、これは全行程中一定値(30.0[リットル/分])である。
操作スイッチ51から積込装置170の動作開始指令が与えられると、コントローラ50は、積込装置170に、前述の回転板85の正転、押込板82の押込の各行程を、積算値ΣQに基づいて以下の要領で行わせる。なお、各数値は一例であり、積込装置170の設計仕様によって異なってくる。
【0051】
(1)ΣQ=0〜0.04リットル(回転板の正転開始直後)
回転板85の正転を開始し、回転数を0から徐々に増加させる。具体的には、積算値が0.04リットルで1033[rpm]に達するように増加させる。
(2)ΣQ=0.04〜3.48リットル(正転途中)
この範囲では、回転数を1033[rpm]に保持する。吐出量に換算すると、Q1=31.0[リットル/分]である。また、例えば回転板85の位置が12時に相当するΣQ=0.88リットルから押込シリンダ81を収縮動作させ、図9の実線の位置にある押込板82を二点鎖線の位置まで戻す。この戻り動作は、回転板85が3時の位置に達する頃に終了する。
(3)ΣQ=3.48〜3.51リットル(正転終了直前〜終了時)
この範囲では、回転数を徐々に減少させ、積算値が3.48から3.51リットルに達するまでに、1033[rpm]を0に落とす。
【0052】
(4)ΣQ=3.51〜3.55リットル(押込板の押込開始直後)
押込板82による押込を開始し、回転数を徐々に増加させる。具体的には、積算値が3.51から3.55リットルに達するまでに、回転数を0から1083[rpm]に増加させる。
(5)ΣQ=3.55〜5.48リットル(押込途中)
この範囲では、回転数を1083[rpm]に保持する。吐出量に換算すると、Q2=32.5[リットル/分]である。
(6)ΣQ=5.48〜5.51リットル(押込終了直前〜終了)
この範囲では、回転数を徐々に減少させる。具体的には、積算値が5.48から5.51リットルに達するまでに、1083[rpm]を0に落とす。
以上の(1)〜(6)の処理により、積込動作の1サイクルが完了する。積算値はここでリセットされ、次のサイクルでは再び0から積算される。
【0053】
以上のようにして、回転板85の正転終了及び押込板82による押込の終了直前に、回転数を低下させることで、押込シリンダ81及び油圧モータ89をスローストップ(減速停止)させ、停止時の衝撃音を緩和することができる。同様に、正転及び押込の開始直後、スロースタートすなわち徐々に回転数を増加させることで、押込シリンダ81や油圧モータの起動時の衝撃音も緩和することができる。また、回転数を低下させる時期の検出にリミットスイッチや近接スイッチ等の位置検出スイッチを使用しないので、組み付けの手間が不要で、耐久性にも優れた低騒音な構成を実現することができる。さらに、正転開始から押込完了までの動作を吐出量の積算値に基づいて順次実行することができるので、原則的には回転板85の原点や押込板82の行程終端の位置検出スイッチも不要になる。但し、回転板85が原点位置(図示のほぼ9時の位置)にあることを検出する位置検出スイッチを設けた場合には、吐出量の積算値を物理的原点に合わせてリセットすることができる。
【0054】
なお、上記の場合、押込板82の戻し動作にはスロースタート・スローストップを採用していない。これは、以下の理由による。すなわち、当該戻し動作は前述のように、回転板85の正転と同時進行しており、その場合、図10において油圧モータ用電磁弁94が正転位置にあり、このとき、油圧ポンプ22から吐出された油は、油圧モータ89を一旦通過してから押込シリンダ81に送り込まれる。言い換えれば、このときの押込シリンダ81は、油圧モータ89と直列に接続された関係にある。従って、この状態において戻し動作にスロースタート・スローストップを採用すべく回転数を制御すると、正転中の回転板85を、途中で停止させることになり、これは好ましくないからである。
【0055】
また、上記第2の実施形態においては、正転終了時の吐出量(回転数)を瞬間的に0としているが、これは必ずしも0でなくてもよい。例えば、0以外で、Q1,Q2より十分に小さい所定の吐出量を0に代わる極小値として設定してもよい。
また、上記第2の実施形態では、スロースタート及びスローストップを共に採用したが、一般に停止時の騒音の方が大きいので、スローストップのみでも十分な騒音防止効果が得られる。また、回転板85の正転にのみ、または、押込板82の押込にのみ採用することによっても一定の低騒音化の作用効果は得られる。
【0056】
一方、投入箱駆動装置171動作時の吐出量制御(回転数制御)については、第1の実施形態と同様(図7)であるので説明を省略する。
【0057】
次に、収容箱駆動装置172動作時の吐出量制御(回転数制御)について説明する。
図13は、収容箱駆動装置172によるダンプ動作時における吐出量の変化を示すグラフであり、横軸は吐出量の積算値ΣQ[リットル]、縦軸は吐出量Q[リットル/分]を示している。点線部分は、参考のために従来の吐出量を表しており、これは全行程中一定値(30.0[リットル/分])である。
塵芥投入箱3が上方回動して塵芥収容箱2が開き、操作スイッチ51からダンプ動作開始指令が与えられると、コントローラ50は、収容箱駆動装置172を構成するダンプシリンダ87に、以下の要領で、伸長動作を実行させる。なお、各数値は一例であり、収容箱駆動装置172の設計仕様によって異なってくる。
【0058】
(1)ΣQ=0〜0.09リットル(ダンプ動作開始直後)
ダンプ動作を開始し、回転数を徐々に増加させる。具体的には、積算値が0.09で1133[rpm]に達するように増加させる。
(2)ΣQ=0.09〜3.91リットル(ダンプ動作途中)
この範囲では、回転数を1133[rpm]に保持する。吐出量に換算すると、Q3=34.0[リットル/分]である。
(3)ΣQ=3.91〜4.00リットル(ダンプ動作終了直前〜ダンプ動作終了)
この範囲では、回転数を徐々に減少させ、積算値が3.91から4.00リットルに達するまでに、1133[rpm]を0に落とす。
以上の(1)〜(3)の処理により、ダンプ動作が完了する。積算値はここでリセットされる。
【0059】
以上のダンプ動作によって塵芥は塵芥収容箱2から排出される。
なお、ダンプ動作した状態からの下げ動作は、油圧ポンプ22停止で、ダンプシリンダ87内の作動油をタンク21に戻すことにより行われる。従って、下げ動作は回転数制御の対象とならない。
【0060】
以上のようにして、ダンプ動作の終了直前に回転数を低下させることで、ダンプシリンダ87をスローストップさせ、停止時の衝撃音を緩和することができる。同様に、ダンプ動作の開始直後、スロースタートで徐々に回転数を増加させることにより、起動時の衝撃音も緩和することができる。また、回転数を低下させる時期の検出にリミットスイッチや近接スイッチ等の位置検出スイッチを使用しないので、組み付けの手間が不要で、耐久性にも優れた低騒音な構成を実現することができる。
【0061】
なお、上記各実施形態では交流モータ67を用いたが、交流モータに限らず電動モータであれば使用可能であり、例えばブラシレス直流モータを用いて、コントローラ50に駆動されるインバータ66によって電圧・電流を変化させることにより、モータの回転数制御を行うことも可能である。
【0062】
なお、上記各実施形態において吐出量は交流モータの回転数に相当する量として扱い、回転数センサ68により吐出量相当の回転数を検出しているが、回転数センサに代えて油圧ポンプ22の吐出量を直接検出する流量センサを設け、コントローラ50と共に流量検出装置を構成させてもよい。
また、上記各実施形態ではエンジンを駆動して発電機から電源供給しているが、エンジンを止めてバッテリ(図示せず。)から制御装置69に電源供給することも可能である。
【0063】
なお、上記第1の実施形態では排出板移動による排出、第2の実施形態ではダンプ動作による排出としたが、互いに逆の排出方式を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態による塵芥収集車を示す側断面図である。
【図2】図1から押込板、プッシュシリンダ及びプレスシリンダのみを抜き出した動作説明図である。
【図3】上記第1の実施形態による塵芥収集車の背面図である。
【図4】上記第1の実施形態による塵芥収集車の油圧回路図である。
【図5】上記第1の実施形態による塵芥収集車における制御ブロック図である。
【図6】上記第1の実施形態による塵芥収集車の積込装置に対する吐出量の積算値に対する吐出量の変化を示すグラフである。
【図7】上記第1の実施形態による塵芥収集車の投入箱駆動装置に対する吐出量の積算値に対する吐出量の変化を示すグラフである。
【図8】上記第1の実施形態による塵芥収集車の排出板駆動装置に対する吐出量の積算値に対する吐出量の変化を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施形態による塵芥収集車を示す側断面図である。
【図10】上記第2の実施形態による塵芥収集車の油圧回路図である。
【図11】上記第2の実施形態による塵芥収集車のシステム構成を示すブロック図である。
【図12】上記第2の実施形態による塵芥収集車の積込装置に対する吐出量の積算値に対する吐出量の変化を示すグラフである。
【図13】上記第2の実施形態による塵芥収集車の収容箱駆動装置に対する吐出量の積算値に対する吐出量の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0065】
1 塵芥収集車
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
22 油圧ポンプ
50 コントローラ
67 交流モータ(電動モータ)
68 回転数センサ(流量検出装置の一部)
69 制御装置
70 積込装置
71 投入箱駆動装置
72 排出板駆動装置
170 積込装置
171 投入箱駆動装置
172 収容箱駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥収容箱と、
前記塵芥収容箱に連接して設けられた塵芥投入箱と、
電動モータと、
前記電動モータにより駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプの油圧に基づいて、前記塵芥投入箱に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行う積込装置と、
前記油圧ポンプの油圧に基づいて、前記塵芥収容箱に収容された塵芥を排出するための動作を行う排出装置と、
前記油圧ポンプの吐出量の積算値を検出する流量検出装置と、
前記流量検出装置の検出する積算値に基づいて所定の回転数で前記電動モータを回転させ、前記積算値が、前記積込装置及び排出装置の動作を構成する少なくとも一行程の終了直前に相当する値に達したとき、前記回転数を低減する制御装置と
を備えたことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記制御装置は、前記積算値が、前記積込装置の積込動作を構成する各行程の終了直前に相当する値に達したとき、前記電動モータの回転数を低減する請求項1記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記排出装置は、前記油圧ポンプの油圧に基づいて、前記塵芥投入箱を前記塵芥収容箱に対して上下回動させる投入箱駆動装置を含み、
前記制御装置は、前記積算値が、前記投入箱駆動装置の上昇動作終了直前に相当する値に達したとき、前記電動モータの回転数を低減する請求項1記載の塵芥収集車。
【請求項4】
前記排出装置は、前記油圧ポンプの油圧に基づいて、前記塵芥収容箱に収容された塵芥を排出板の移動により押し出す排出板駆動装置を含み、
前記制御装置は、前記積算値が、前記排出板駆動装置の動作終了直前に相当する値に達したとき、前記電動モータの回転数を低減する請求項1記載の塵芥収集車。
【請求項5】
前記排出装置は、前記油圧ポンプの油圧に基づいて、前記塵芥収容箱をダンプ動作させる収容箱駆動装置を含み、
前記制御装置は、前記積算値が、前記収容箱駆動装置のダンプ動作終了直前に相当する値に達したとき、前記電動モータの回転数を低減する請求項1記載の塵芥収集車。
【請求項6】
前記制御装置は、前記積算値に基づいて前記積込装置に、積込動作を構成する各行程の動作を行わせる請求項1〜5のいずれか1つに記載の塵芥収集車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−16196(P2006−16196A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198322(P2004−198322)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】