説明

塵芥収集車

【課題】駆動装置の車両への取り付け作業を簡単に行うことができる塵芥収集車を提供する。
【解決手段】駆動装置58を構成するオイルタンク21、バッテリ46、パワーユニット49、充電器50、コネクタ52及び制御装置Cを、すべて共用の取付部材71に取り付けて一体化し、この取付部材71を車体フレーム1b上に取り付ける。取付部材71の主桁部72は、車体フレーム1bの縦フレーム部1b1上に、当該縦フレーム部1b1が延びる車両前後方向に沿った状態で固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを動力源とする駆動装置を駆動させることにより積込装置を動作させる塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塵芥収集車は、車体フレーム上に搭載された塵芥収容箱の後方に塵芥投入箱を備えており、この塵芥投入箱内には、当該塵芥投入箱内に投入された塵芥を塵芥収容箱に積み込むための積込装置が設けられている。この積込装置は、車両に搭載された駆動装置を駆動させることにより積み込み動作を行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
上記駆動装置は、動力源であるバッテリや、このバッテリから電力供給を受けて駆動する電動モータ及び油圧ポンプ等を備えており、エンジンを停止させた状態で積込装置を動作させることができるようになっている。このため、積み込み作業を低騒音で行うことができるとともに、排気ガス量を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−29602号公報(図7参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記塵芥収集車は、駆動装置を構成する部材(バッテリや電動モータ等)がそれぞれ個別に車体フレーム上に取り付けられているため、駆動装置の車両への取り付け作業が煩雑になるという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、駆動装置の車両への取り付け作業を簡単に行うことができる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明の塵芥収集車は、車両前後方向に延びる縦フレーム部と、車幅方向に延びる横フレーム部とを有する車体フレームと、前記車体フレームの上方に配置されている塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後方に配置され、後部に塵芥の投入口を有する塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行うとともに、当該塵芥収容箱内に積み込まれた塵芥を外部へ排出するための動作を行う積込装置と、動力源であるバッテリ、当該バッテリからの電力供給により前記積込装置の少なくとも一部を動作させるパワーユニット、及び当該パワーユニットの駆動を制御する制御部を有する駆動装置と、を備えた塵芥収集車であって、前記駆動装置を構成する少なくとも二つの構成部材が、共用の取付部材に取り付けられて一体化されており、前記取付部材は、前記車体フレームの縦フレーム部及び横フレーム部のうち一方のフレーム部上に、当該フレーム部が延びる方向に沿った状態で固定されている主桁部を有することを特徴としている。
【0006】
このような構成の塵芥収集車によれば、駆動装置を構成する少なくとも2つの構成部材を共有の取付部材に取り付けて一体化し、この取付部材を車体フレームに固定するようにしたので、上記構成部材を一体的にユニット化した状態で車両に取り付けることができる。したがって、駆動装置の少なくとも2つの構成部材を個別に車両に取り付ける必要がなく、駆動装置の車両への取り付け作業を簡単に行うことができる。
また、取付部材の主桁部は、車体フレームの縦フレーム部上又は横フレーム部上に、当該フレーム部が延びる方向に沿った状態で固定されているため、取付部材に取り付けた駆動装置の構成部材の荷重を、主桁部を介して剛性の高い車体フレームで受けることができる。したがって、取付部材の主桁部を強固に製造する必要がないため、取付部材の製造コストを低減することができる。
【0007】
また、前記主桁部は、Uボルトにより前記車体フレーム上に固定されていることが好ましい。この場合、汎用の締結部材であるUボルトを用いることにより、取付部材を車体フレームに取り付けることができるため、駆動装置の車両への取り付け作業をさらに簡単に行うことができる。
【0008】
また、前記取付部材は、前記構成部材のうち少なくとも一の構成部材が、前記主桁部の上方に隙間を介して配置された状態で固定されている固定部を有し、前記主桁部よりも上方に突出している前記Uボルトの突出部が、前記隙間に配置されていることが好ましい。
この場合、主桁部と駆動装置の構成部材との間に形成された隙間にUボルトの突出部を配置するようにしたので、上記構成部材の下方に当該構成部材と干渉することなくUボルトを配置することができる。したがって、駆動装置の構成部材の配置スペースと、Uボルトの配置スペースとを主桁部が延びる方向に並列に配置する必要がないため、駆動装置を主桁部が延びる方向にコンパクトに取り付けることができる。
【0009】
また、前記隙間は、その上方に配置された前記構成部材の前端部から後端部に至る範囲に形成されていることが好ましい。この場合、Uボルトの突出部を上記隙間の長手方向における任意の位置に配置することができるため、取付部材を車体フレームに固定する際にUボルトの配置自由度を高めることができる。
【0010】
また、前記取付部材は、前記主桁部に固定されているとともに当該主桁部が延びる方向に対して水平方向に略直交する方向に延びる補助桁部を有し、前記固定部は、前記補助桁部に固定されていることが好ましい。
この場合、主桁部に固定部を固定するためのスペースを確保する必要がないため、主桁部の上方に上記隙間を形成する上での自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塵芥収集車によれば、駆動装置を構成する少なくとも2つの構成部材を一体的にユニット化した状態で車両に取り付けることができるので、上記構成部材を個別に車両に取り付ける必要がなく、駆動装置の車両への取り付け作業を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る塵芥収集車の側断面図である。
【図2】塵芥収集車の平面図である。
【図3】塵芥収集車の背面図である。
【図4】塵芥収集車の制御ブロック図である。
【図5】駆動装置を取付部材にユニット化した状態を示す斜視図である。
【図6】駆動装置を分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【図7】図5の右側面図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係る塵芥収集車の側断面図であり、図2は塵芥収集車1の平面図である。図1において、この塵芥収集車1は、運転室(キャブ)1aと、運転室1aの後方に配置された車体フレーム1bと、車体フレーム1bの上方に配置された塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方に配置された塵芥投入箱3とを備えている。
【0014】
車体フレーム1bは、図2に示すように、車両前後方向に延びる左右一対の縦フレーム部1b1と、車幅方向に延びる複数の横フレーム部1b2とを有している。
縦フレーム部1b1は、車幅方向の内側に開口するチャンネル材により形成されている(図8参照)。横フレーム部1b2は、左右の縦フレーム部1b1を補強するものであり、前方側に開口するチャンネル材(図示省略)により形成されている。横フレーム部1b2の両端部は、左右の縦フレーム部1b1間に配置された状態で、例えばリベット(図示省略)により各縦フレーム部1b1に固定されている。
【0015】
図1において、塵芥収容箱2の後面には開口部2aが形成されている。塵芥投入箱3の後部には塵芥が投入される投入口3aが形成されており、この投入口3aを上下にスライドして開閉する蓋3bが設けられている。塵芥投入箱3の前方下部には、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容するための開口3dが設けられている。
塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点Pを中心に回動可能であり、これによって塵芥収容箱2に対しての開閉動作が可能である。塵芥投入箱3は、図の実線で示す位置では塵芥収容箱2を閉鎖し、図の二点鎖線で示すように上方へ回動したときは塵芥収容箱2を開放して塵芥を排出することができる状態とする。
【0016】
次に、塵芥投入箱3内に設けられている積込装置Tについて説明する。まず、塵芥投入箱3の左右の側壁3cには斜め上下に延びるガイドレール4が設けられており、スライダ5に取り付けられた左右一対二組のローラ6は、このガイドレール4内を斜め上下に移動することができる。スライダ5は、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示省略)により接続して一体化したものである。また、スライダ5の下端部には、ピン7を介して押込板8が回動自在に取り付けられている。押込板8もまた、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示省略)により接続して一体化したものである。
【0017】
一方、プッシュシリンダ(圧縮駆動手段)9のシリンダ側端部はピン10により左右両側壁3cに取り付けられており、ピストン側端部はピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。他方、プレスシリンダ(押込駆動手段)12のシリンダ側端部はピン13により押込板8に接続されており、ピストン側端部は上記ピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。スライダ5は押込板8と共に、プッシュシリンダ9の伸長動作により斜めに上昇し、収縮動作により斜めに下降する。また、押込板8は、プレスシリンダ12の伸長作動によりピン7を中心として時計回り方向に回動し、収縮作動により反時計回り方向に回動する。
【0018】
これにより、押込板8は、図の実線で示す原位置から、プレスシリンダ12の収縮作動によりピン7を中心として反時計回り方向に回動する「反転」の行程を行う。また、押込板8は、反転工程後に、プッシュシリンダ9の収縮作動により「一次圧縮」の行程を行い、続いてプレスシリンダ12の伸長作動により時計回り方向に回動する「二次圧縮」の行程を行う。さらに、押込板8は、プッシュシリンダ9の伸長作動により「押込」の行程を行い、原位置に戻る。
【0019】
塵芥収容箱2の内部には、車両の前後方向に移動可能に排出板18が設けられ、この排出板18の後方(排出板18と開口部2aとの間)に、塵芥を収容する収容スペースSaが形成されている。テレスコ式のディスチャージシリンダ (排出板駆動手段)19のシリンダ側端部19aは排出板18下部の車幅方向略中間部に接続され、ピストン側端部19bは塵芥収容箱2の前壁2dの車幅方向略中間部に接続されている。
【0020】
排出板18は、ディスチャージシリンダ19の伸縮により、図1の実線で示す最後方位置と二点鎖線で示す最前方位置との間で移動可能である。上記収容スペースSaが空のとき、排出板18は最後方位置より少し前方に位置する初期位置にあり、押込板8により塵芥収容箱2内に積み込まれた塵芥を、押込板8と排出板18との間で圧縮するようになっている。そして、上記塵芥の積み込み量が増加すると、ディスチャージシリンダ19を徐々に収縮させて排出板18を前方へ移動させ、収容スペースSaを広げるようになっている。また、ディスチャージシリンダ19を伸長させて排出板18を後方へ移動させることにより、塵芥収容箱2に収容された塵芥を、開口部2aから外部へ排出できるようになっている。
【0021】
図3は、塵芥収集車1の背面図である。塵芥投入箱3の左右両端に配置された一対のスイングシリンダ(投入箱駆動手段)20は、上端が塵芥収容箱2側に取り付けられ(図1参照)、下端が塵芥投入箱3に取り付けられている。このスイングシリンダ20を伸長動作させると塵芥投入箱3が上方へ回動して塵芥収容箱2を開き、収縮動作するとこれを閉じる。
なお、本実施形態では、上記押込板8と、プッシュシリンダ9と、プレスシリンダ12と、排出版18と、ディスチャージシリンダ19と、スイングシリンダ20とによって、積込装置Tが構成されている。
【0022】
図3において、塵芥投入箱3の左右両側壁3cの後部には、それぞれスイッチボックスSB2,SB3が設けられている。スイッチボックスSB2の側面には、押込板8の動作として「連続サイクル」又は「1サイクル」のどちらかの動作モードに選択するための動作選択スイッチ42が、正面には、各動作モードで積込動作を開始させるための積込スイッチ43、連続サイクル動作を停止させるための停止スイッチ44がそれぞれ設けられている。その他のスイッチについては、緊急時にのみ用いるスイッチ等であり、詳細な説明は省略する。なお、停止スイッチ44は右側のスイッチボックスSB3にも設けられている。
【0023】
図4は、塵芥収集車1の制御ブロック図である。油圧ポンプ22は、オイルタンク21から吐出した作動油を、プッシュシリンダ9、プレスシリンダ12、ディスチャージシリンダ19、及びスイングシリンダ20に供給するものである。この油圧ポンプ22を駆動する電動モータ45は、専用のバッテリ46を動力源として制御部47により駆動制御される。上記油圧ポンプ22と電動モータ45とによりパワーユニット49が構成されている。なお、パワーユニット49は、電動ポンプ等の電動アクチュエータのみで構成することも可能である。また、パワーユニット49は、積込装置Tを構成するすべてのシリンダ9,12,19,20を動作させているが、少なくとも一つのシリンダを動作させていればよい。
【0024】
バッテリ46は、充電器50を介して外部の商用電源から供給される電力で充電されるようになっている。なお、1回の充電により、6回の収集作業(1回の収集作業は、積込装置Tの1サイクル動作を100回及び排出板18の排出動作を1回行う作業)を行うことができる程度の電力を蓄電することができる。充電器50は、バッテリ46の充電を制御する充電制御部50aと、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流部50bとを備えており、商用電源からの電源ケーブル51をコネクタ52に接続することにより、電力が供給されるようになっている。
【0025】
コネクタ52は、制御ボックス56(後述)に収納されたAC/DCコンバータ53にも接続されている。このAC/DCコンバータ53は、商用電源からコネクタ52を介して供給された交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を制御部47に供給するようになっている。これにより、制御部47は、電動モータ45を商用電源からの電力供給によりバッテリ46を介さずに直接駆動させることもできる。なお、AC/DCコンバータ53は、制御部47に内蔵されていてもよい。
【0026】
制御部47は、制御ボックス56内に収納されており、運転室1a内に設けられたエンジン始動用のキースイッチ55及びメインスイッチ34を介して通電される。なお、運転室1a内には、上記メインスイッチ34、塵芥投入箱3を開閉操作するテールゲートスイッチ35、排出板18を前後移動操作するための排出板スイッチ36等を有するスイッチボックスSB1が設けられている。
【0027】
また、制御ボックス56内には、制御部47への電力供給を断接するためのコントロールスイッチ57が設けられている。コントロールスイッチ57は、通常時はオン状態に保持されており、制御部47が故障をした場合などの非常時に、キースイッチ55をオフ操作することにより、コントロールスイッチ57をオフ状態に切り換え、バッテリ46及びAC/DCコンバータ53(商用電源)から制御部47への電力供給を遮断できるようになっている。なお、コントロールスイッチ57は、キースイッチ55以外に、別途専用の操作スイッチにより切り換えるようにしてもよい。
【0028】
制御部47には、図示の各機能スイッチ(SWと表記。以下同様。)34〜36,42〜44から入力信号が与えられる。プッシュシリンダ9、プレスシリンダ12、ディスチャージシリンダ19、及びスイングシリンダ20は、制御部47によって各シリンダ9,12,19,20の伸縮動作を切り換える電磁弁(図示省略)を切り換えることにより、それぞれ個別に伸縮動作される。
なお、上記制御部47、AC/DCコンバータ53、制御ボックス56及びコントロールスイッチ57とにより制御装置Cが構成されている。また、上記オイルタンク21、バッテリ46、パワーユニット49、充電器50、コネクタ52及び制御装置Cとにより駆動装置58が構成されている。
【0029】
図1において、車体フレーム1b上には、塵芥収容箱2の底部を車体フレーム1bに対して所定の高さ位置で支持するための支持部材61が設けられている。支持部材61は、塵芥収容箱2の底部に沿って配置された支持本体部62と、支持本体部62の前端部、中央部及び後端部のそれぞれ下方に配置された前支持部63、中間支持部64及び後支持部65とを備えている。
【0030】
支持本体部62は、前後方向に延びて形成された左右一対のチャンネル材からなり、各支持本体部62の上面は、塵芥収容箱2の底板2bに溶接により固定されている。各支持本体部62の前後方向の長さは、塵芥収容箱2の底板2bの前後方向の長さと略同一に形成されている。また、各支持本体部62の車幅方向の配置間隔は、車体フレーム1bにおける左右の縦フレーム部1b1の車幅方向の配置間隔と略同一に形成されている。また、支持本体部62の下面前部には、下方に開口する凹部62aが形成されている。
【0031】
前支持部63及び中間支持部64は、後述する取付部材71の上面に溶接により固定され、一体的にユニット化されている。前支持部63及び中間支持部64の上面には、支持本体部62下面の前端部及び中央部がそれぞれ載置された状態で、図示しないボルトにより固定されている。
【0032】
後支持部65は、縦フレーム部1b1の上面の後端部に溶接により固定されている。後支持部65の上面には、支持本体部62下面の後端部が載置された状態で、図示しないボルトにより固定されている。なお、後支持部65は、取付部材71を後方に延長し、この取付部材71の上面に固定することも可能である。また、支持部材61は支持本体部62と各支持部63〜65とが全て一体形成されたものであってもよい。さらに、支持部材61を嵩高に形成した支持本体部62のみにより構成することも可能である。
【0033】
支持部材61には、支持本体部62の下面に形成された上記凹部62aと、前支持部63の後面と、中間支持部64の前面とによって、下方に開口する窪み部66が形成されている。この窪み部66と車体フレーム1bの上面との間には箱下空間Sdが形成されている。なお、箱下空間Sdは、塵芥収容箱2の底板2bと上方に開口させた窪み部とにより形成することも可能である。また、支持部材61に貫通孔を形成することにより箱下空間Sdを形成してもよい。さらに、箱下空間Sdは、中間支持部63と後支持部65との間に形成することも可能である。
前支持部63の前面及び塵芥収容箱2の前壁2dと運転室1aの後壁との間には、箱前空間Sf(キャブバックスペース)が形成されている。
【0034】
図1及び図2において、駆動装置58の全構成部材は、箱下空間Sd及び箱前空間Sfにそれぞれ配置されている。具体的には、箱下空間Sdにはバッテリ46及び充電器50が配置され、箱前空間Sfにはパワーユニット49、制御装置C及びオイルタンク21が配置されている。バッテリ46は、図2の平面視において長方形状に形成されており、その長手方向が車幅方向に延びた状態で配置されている。
【0035】
駆動装置58の全構成部材は、一体的にユニット化した状態で車体フレーム1bに搭載されるように共用の取付部材71に取り付けられている。図5は駆動装置58がユニット化された状態を示す斜視図であり、図6は駆動装置58を分解した状態を模式的に示す斜視図である。図6において、取付部材71は、前後方向(車両前後方向)に延びる左右一対の主桁部72と、左右方向(車幅方向)に延びる前後一対の補助桁部73と、主桁部72の前部左舷側にパワーユニット49及び制御装置Cを取り付けるための固定部である第1の固定部74と、補助桁部73にバッテリ46を固定するための固定部である第2の固定部75と、を有している。
【0036】
主桁部72は、角パイプにより形成されており、図1に示すように、車体フレーム1b上に取り付けた状態で、縦フレーム部1b1が延びる方向(車両前後方向)に沿った状態て配置される。補助桁部73は、主桁部72に対して左右方向(水平方向)に直交する方向に延び、左右の主桁部72の各内側面に両端が固定されたチャンネル材からなる。
【0037】
図5及び図6において、主桁部72の前部右舷側には、オイルタンク21を取り付けるための前取付部72aが固定されている。各主桁部72の後部間には、充電器50を取り付けるための後取付部72bが固定されている。図5において、オイルタンク21の外側には、塵芥収容箱2等をメンテナンス作業する際に作業者が昇降するためのステップ91が配置されている。ステップ91の上下両端部は前取付部72aに固定されている。
【0038】
図7は図5の右側面図である。充電器50に接続されるコネクタ52は、左舷側の中間支持部64後方の主桁部72上に、その接続口52aを外側方に向けて取り付けられている。したがって、外部電源からの電源ケーブル51を車両の左舷側から容易にコネクタ52に接続することができる。なお、コネクタ52は、中間支持部64の後面に取り付けてもよい。
【0039】
図6及び図7において、第1の固定部74は、左右方向に延びる前後一対の支持フレーム74aと、各支持フレーム74aの上方に配置された防振材74bと、防振材74bの上方にて左右方向に延びる前後一対の固定フレーム74cとを有している。一対の支持フレーム74aは、アングル材により形成されており、主桁部72の上面に固定されている。防振材74bは、パワーユニット49が振動するのを抑制するためのゴム製の部材であり、支持フレーム74a上において左右方向に所定間隔を空けて一対配置されている。
【0040】
図7において、固定フレーム74cは、アングル材により形成されており、防振材74bを介して支持フレーム74aの上方に配置されている。この固定フレーム74cは、防振材74b及び支持フレーム74aとともに、ボルト(図示省略)により主桁部72の上面に固定されている。また、固定フレーム74cの上面にはパワーユニット49の電動モータ45がボルト(図示省略)により固定されている。
【0041】
電動モータ45の後方(図7の右側)には、油圧ポンプ22がボルト(図示省略)により固定されている。電動モータ45の上方には、制御装置Cの制御ボックス56がボルト(図示省略)により固定されている。以上の構成により、電動モータ45の下面は、主桁部72の上方に隙間S1を介して配置される。この隙間S1の上下方向の隙間寸法は、後述するUボルト81aの突出部81a1が電動モータ45の下面と干渉しない程度の寸法に設定されている。また、一対の上記支持フレーム74aは互いに前後方向に所定の間隔を空けて配置されており、上記隙間S1は電動モータ45の前端部から後端部に至る範囲に形成されている。
【0042】
図6において、第2の固定部75は、箱下空間Sdに配置されており、上下方向に延びる前後一対の支持フレーム75aと、各支持フレーム75aの上端部から左右方向に延びる前後一対の固定フレーム75bと、一対の固定フレーム75bを連結する連結フレーム75cとを有している。各固定フレーム75bの複数箇所(本実施形態では三箇所)に形成された水平方向に延びる下端部75b1には、バッテリ46の前面及び後面に突出形成された複数の突出部46aがボルト(図示省略)により固定されている。
【0043】
各支持フレーム75aはL字型に形成されており、その水平方向に延びる下端部75a1は、それぞれ各補助桁部73の上面にボルト(図示省略)により固定されている。その際、バッテリ46の下面は、図7及び図8に示すように、主桁部72の上方に隙間S2を介して配置されるようになっている。すなわち、各支持フレーム75aの鉛直方向に延びる鉛直部75a2は、バッテリ46が固定フレーム75bに固定された状態で、下端部75a1がバッテリ46の下面よりも下方に突出する程度の長さに形成されている。
【0044】
上記隙間S2の上下方向の隙間寸法は、後述するUボルト82aの突出部82a1がバッテリ46の下面と干渉しない程度の寸法に設定されている。また、隙間S2はバッテリ46の前端部から後端部に至る範囲に形成されている。
なお、図6において、支持フレーム75aを補助桁部73に固定する際のボルトの挿通位置、及び突出部46aを固定フレーム75bに固定する際のボルトの挿通位置は、バッテリ46の前側及び後側のいずれも同様であるため、後面側のみ二点鎖線の矢印で示している。
【0045】
図7及び図8において、取付部材71は、固縛手段80により車体フレーム1b上に固定されている。この固縛手段80は、取付部材71の前端部を各縦フレーム部1b1の上面に固定する一対の前固縛部81と、取付部材71の略中央部を各縦フレーム部1b1の上面に固定する一対の中間固縛部82と、取付部材71の後端部を各縦フレーム部1b1の上面に固定する一対の後固縛部83とから構成されている。
【0046】
前固縛部81及び中間固縛部82は、縦フレーム部1b1上に主桁部72を配置した状態で主桁部72の上方から嵌め込まれたUボルト81a,82aと、縦フレーム部1b1の下面に配置され上記Uボルト81a,82aの両端部が挿通された締結プレート81b,82bと、Uボルト81a,82aの両端部に螺合された左右一対のナット81c,82cとによって構成されている。Uボルト81a,82aの湾曲部であって主桁部72の上面よりも上方に突出している突出部81a1,82a1は、上記隙間S1,S2にそれぞれ配置されている。
【0047】
後固縛部83は、中間支持部64の外側面及び縦フレーム部1b1の外側面にそれぞれ固定されたコ字形の締結ブラケット83c、83d同士を、ボルト83a及びナット83bで締結することにより、中間支持部64を主桁部72の後部とともに縦フレーム部1b1上に固定している。
【0048】
次に、塵芥収集車1を製造する際に、支持部材61、駆動装置58及び塵芥収容箱2を、車体フレーム1b上に搭載する作業について説明する。
まず、図6に示すように、取付部材71上に、駆動装置58、支持部材61の前支持部63及び中間支持部64を予め取り付けて一体的にユニット化する(図5参照)。また、支持部材61の支持本体部62は、塵芥収容箱2の底板2bに溶接により固定する(図1参照)。
【0049】
次に、車体フレーム1b前部の上面に、上記ユニット化された取付部材71を載置し、図7に示すように、固縛手段80の前固縛部81、中間固縛部82及び後固縛部83により、取付部材71の前端部、中央部及び後端部をそれぞれ車体フレーム1b上に固定する。その際、前固縛部81及び中間固縛部82のUボルト81a,82aは、それぞれ隙間S1,S2の長手方向(車両前後方向)の範囲内において任意の位置に配置することができる。
また、車体フレーム1b後部の上面には、支持部材61の後支持部65を溶接により固定する(図1参照)。
【0050】
続いて、塵芥収容箱2を車体フレーム1bの上方に搭載する。具体的には、図1に示すように、塵芥収容箱2の底部に固定された支持本体部62を、車体フレーム1b側の前支持部63、中間支持部64及び後支持部65の各上面に載置する。この状態で図示しないボルトにより支持本体部62を各支持部63〜65に締結する。これにより、上記搭載作業が完了する。
【0051】
以上のように構成された本実施形態の塵芥収集車1によれば、駆動装置58を構成するオイルタンク21、バッテリ46、パワーユニット49、充電器50、コネクタ52および制御装置Cを、すべて共用の取付部材71に取り付けて一体化し、この取付部材71を車体フレーム1bに取り付けるようにしたので、駆動装置58の全構成部材を一体的にユニット化した状態で車両に取り付けることができる。したがって、上記各構成部材を個別に車両に取り付ける必要がなく、駆動装置58の車両への取り付け作業を簡単に行うことができる。また、取付部材61を車両に取り付ける前に、駆動装置58の各構成部材間の電気配線や油圧配管の配設作業を行うことができるので、これらの配設作業も簡単に行う行うことができる。
【0052】
さらに、取付部材71の主桁部72は、車体フレーム1bの縦フレーム部1b1上に、当該縦フレーム部1b1が延びる車両前後方向に沿った状態で固定されているため、取付部材71に取り付けた駆動装置58の荷重を、主桁部72を介して剛性の高い車体フレーム1bで受けることができる。したがって、取付部材71の主桁部72を強固に製造する必要がないため、取付部材71の製造コストを低減することができる。
【0053】
また、汎用の締結部材であるUボルト81a,82aを用いることにより、主桁部72の前部及び中央部を車体フレーム1b上に固定することができるため、駆動装置58の車両への取り付け作業をさらに簡単に行うことができる。
【0054】
また、主桁部72と駆動装置58の各構成部材(電動モータ45及びバッテリ46)との間に形成された隙間S1,S2にUボルト81a,82aの突出部81a1,82a1を配置するようにしたので、上記構成部材の下方に当該構成部材と干渉することなくUボルト81a,82aを配置することができる。したがって、駆動装置58の構成部材の配置スペースと、Uボルト81a,82aの配置スペースとを車両前後方向に並列に配置する必要がないため、駆動装置58を車両前後方向にコンパクトに取り付けることができる。
【0055】
また、上記隙間S1,S2が、上記各構成部材の前端部から後端部に至る範囲に形成されているため、Uボルト81a,82aの突出部81a1,82a1を上記隙間S1,S2の長手方向における任意の位置に配置することができる。したがって、取付部材71を車体フレーム1bに固定する際に、Uボルト81a,82aの配置自由度を高めることができる。特に、Uボルト81a,82aが、車体フレーム1bの内側に搭載されている搭載機器と干渉する場合に、この搭載機器と干渉しない位置にUボルト81a,82aを位置変更することができる点で有効である。
【0056】
また、主桁部72が延びる車両前後方向に対して直交する車幅方向に延びる補助桁部73に第2の固定部75を固定するようにしたので、主桁部72に第2の固定部75を固定するためのスペースを確保する必要がない。したがって、主桁部72の上方に上記隙間S2を形成する上での自由度を高めることができる。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、駆動装置58の全構成部材を共用の取付部材71に取り付けているが、少なくとも2つの構成部材を取り付けていればよい。
また、取付部材71は、箱下空間Sdと箱前空間Sfとに跨って配置されているが、その配置位置は、箱下空間Sdのみ又は箱前空間Sfのみであってもよい。
【0058】
さらに、取付部材71の主桁部72は、車体フレーム1bの縦フレーム部1b1上に車両前後方向に延びた状態で配置されているが、車体フレーム1bの横フレーム部1b2上に車幅方向に延びた状態で配置されていてもよい。この場合、主桁部72とその上方に配置される駆動装置58の構成部材との間に形成される隙間は、車幅方向に延びていることが好ましい。
【0059】
また、主桁部72は、縦フレーム部1b1上に直接固定されているが、板部材を介して間接的に固定されていてもよい。
また、第1の固定部74は、主桁部72に固定されているが、補助桁部73に固定されていてもよい。また、第2の固定部75は、補助桁部73に固定されているが、主桁部72に固定されていてもよい。但し、主桁部72の上方に隙間S2を形成する上での自由度を高めることができるという観点では、補助桁部73に固定されていることが好ましい。
【0060】
また、前固縛部81及び中間固縛部82のUボルト81a,82aを、主桁部72の上方から嵌め込んでいるが、主桁部72の下方から嵌め込むことも可能である。この場合、Uボルト81a,82aの両端部が、主桁部72よりも上方に突出する突出部81a1,82a1となる。
【0061】
また、積込装置Tは、押込板8のみで塵芥を積み込むプレス式であるが、押込板と回転板との協働により塵芥を積み込む回転板式であってもよい。この場合、押込板と、回転板と、これらを動作させるシリンダ及び/又はモータとが、積込装置Tの一部を構成する。
【0062】
また、積込装置Tは、排出板18により塵芥収容箱2内に積み込まれた塵芥を外部へ排出するようになっているが、塵芥収容箱2をダンプさせることにより上記塵芥を外部へ排出してもよい。この場合、塵芥収容箱2をダンプさせるためのシリンダが、積込装置Tの一部を構成する。
【符号の説明】
【0063】
1 塵芥収集車
1b 車体フレーム
1b1 縦フレーム部
1b2 横フレーム部
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
3a 投入口
46 バッテリ
47 制御部
49 パワーユニット
58 駆動装置
71 取付部材
72 主桁部
73 補助桁部
74 第1の固定部(固定部)
75 第2の固定部(固定部)
81a Uボルト
82a Uボルト
81a1 突出部
82a1 突出部
S1 隙間
S2 隙間
T 積込装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延びる縦フレーム部と、車幅方向に延びる横フレーム部とを有する車体フレームと、
前記車体フレームの上方に配置されている塵芥収容箱と、
前記塵芥収容箱の後方に配置され、後部に塵芥の投入口を有する塵芥投入箱と、
前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行うとともに、当該塵芥収容箱内に積み込まれた塵芥を外部へ排出するための動作を行う積込装置と、
動力源であるバッテリ、当該バッテリからの電力供給により前記積込装置の少なくとも一部を動作させるパワーユニット、及び当該パワーユニットの駆動を制御する制御部を有する駆動装置と、を備えた塵芥収集車であって、
前記駆動装置を構成する少なくとも二つの構成部材が、共用の取付部材に取り付けられて一体化されており、
前記取付部材は、前記車体フレームの縦フレーム部及び横フレーム部のうち一方のフレーム部上に、当該フレーム部が延びる方向に沿った状態で固定されている主桁部を有することを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記主桁部が、Uボルトにより前記車体フレーム上に固定されている請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記取付部材は、前記構成部材のうち少なくとも一の構成部材が、前記主桁部の上方に隙間を介して配置された状態で固定されている固定部を有し、
前記主桁部よりも上方に突出している前記Uボルトの突出部が、前記隙間に配置されている請求項2に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
前記隙間が、その上方に配置された前記構成部材の前端部から後端部に至る範囲に形成されている請求項3に記載の塵芥収集車。
【請求項5】
前記取付部材が、前記主桁部に固定されているとともに当該主桁部が延びる方向に対して水平方向に略直交する方向に延びる補助桁部を有し、
前記固定部が、前記補助桁部に固定されている請求項3又は4に記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−190015(P2011−190015A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56072(P2010−56072)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】