説明

増幅装置

【課題】高周波電力増幅器の電源電圧を制御した場合の増幅装置全体の利得(増幅装置の利得)を一定にすることにより、高効率に動作させることができるとともに、高周波電力増幅器の非線形歪みを低減することができる増幅装置を得る。
【解決手段】入力された信号を増幅して出力する増幅装置であって、印加される電源電圧に基づいて入力信号を増幅する高周波電力増幅器と、入力信号の包絡線成分を検出する包絡線検出手段と、包絡線成分に応じた電源電圧を高周波電力増幅器に印加する電圧印加手段と、増幅装置の利得が一定となるように、高周波電力増幅器への入力を制御する制御手段とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力された信号を増幅して出力する増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、入力された信号を増幅して出力する増幅装置として、入力信号の包絡線成分にほぼ比例した電源電圧を高周波電力増幅器に印加する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、図面を参照しながら、特許文献1に示された従来の増幅装置について説明する。
図6は、従来の増幅装置を示すブロック構成図である。
図6において、この増幅装置は、入力端子51と、出力端子52と、検波回路53と、電圧制御手段54と、高周波電力増幅器55とを備えている。
【0004】
続いて、上記構成の増幅装置の動作について説明する。
入力端子51から入力された高周波の変調波入力信号Pinは、分岐して検波回路53および高周波電力増幅器55にそれぞれ入力される。検波回路53は、変調波入力信号Pinの包絡線成分を検出し、包絡線信号として電圧制御手段54に出力する。
【0005】
電圧制御手段54は、包絡線信号にほぼ比例した電源電圧を高周波電力増幅器55に印加する。高周波電力増幅器55は、電圧制御手段54から印加される電源電圧に基づいて、変調波入力信号Pinを増幅する。増幅された変調波入力信号Pinは、変調波出力信号Poutとして出力端子52から出力される。
【0006】
この増幅装置は、変調波入力信号Pinの包絡線成分に応じて、高周波電力増幅器55の電源電圧が変化されるので、特にバックオフの大きな領域において高効率動作が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62−274906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来の増幅装置では、高周波電力増幅器の電源電圧を制御した場合の増幅装置全体の利得(増幅装置の利得)が一定ではないので、非線形歪みによって出力信号が大きく歪み、隣接チャネル漏洩電力が劣化するという問題がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、増幅装置の利得を一定にすることにより、高効率に動作させることができるとともに、増幅装置の非線形歪みを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る増幅装置は、入力された信号を増幅して出力する増幅装置であって、印加される電源電圧に基づいて入力信号を増幅する高周波電力増幅器と、入力信号の包絡線成分を検出する包絡線検出手段と、包絡線成分に応じた電源電圧を高周波電力増幅器に印加する電圧印加手段と、高周波電力増幅器の利得が一定となるように、高周波電力増幅器への入力を制御する制御手段とを備えたものである。
【0011】
また、この発明に係る増幅装置は、入力された信号を増幅して出力する増幅装置であって、入力信号をデジタル・アナログ変換する第1デジタル・アナログ変換回路と、印加される電源電圧に基づいて、第1デジタル・アナログ変換回路からの出力を増幅する高周波電力増幅器と、入力信号に応じた制御電圧を生成する制御電圧生成手段と、制御電圧をデジタル・アナログ変換する第2デジタル・アナログ変換回路と、第2デジタル・アナログ変換回路からの出力を電源電圧として高周波電力増幅器に印加する電圧印加手段とを備え、制御電圧生成手段は、高周波電力増幅器の利得が一定となるように制御電圧を生成するものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る増幅装置によれば、電圧印加手段は、入力信号の包絡線成分に応じた電源電圧を高周波電力増幅器に印加し、制御手段は、増幅装置の利得が一定となるように、高周波電力増幅器への入力を制御する。
また、この発明に係る増幅装置によれば、入力信号に応じた制御電圧を生成する制御電圧生成手段は、増幅装置の利得が一定となるように制御電圧を生成し、電圧印加手段は、生成された制御電圧を電源電圧として高周波電力増幅器に印加する。
そのため、増幅装置の利得を一定にすることにより、高効率に動作させることができるとともに、増幅装置の非線形歪みを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る増幅装置を示すブロック構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る電圧制御回路を詳細に示す回路図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る電圧制御回路における入力信号と出力信号との関係を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る増幅装置における変調波出力信号と、増幅装置の利得との関係を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る増幅装置を示すブロック構成図である。
【図6】従来の増幅装置を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の増幅装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る増幅装置を示すブロック構成図である。
図1において、この増幅装置は、入力された信号を増幅して出力する装置であって、入力端子1、出力端子2、電圧制御回路3(包絡線検出手段、制御手段)、パルス幅変調器4、スイッチング増幅器5、低域通過フィルタ6(以下、「LPF6(Low Pass Filter)」と称する)および高周波電力増幅器7を備えている。
【0016】
電圧制御回路3は、入力端子1から入力された変調波入力信号Pinの包絡線成分を検出するとともに、増幅装置の利得Gが一定となるように、高周波電力増幅器7に印加される電源電圧を制御して、出力電圧信号Voutを出力する。
すなわち、この実施の形態1の特徴は、増幅装置のAM−AM(振幅対振幅)特性を線形化するように電圧制御回路3を構成することにある。これにより、増幅装置の振幅歪みを低減することができる。
【0017】
パルス幅変調器4、スイッチング増幅器5およびLPF6は、電圧制御回路3からの出力電圧信号Voutに応じた電源電圧を高周波電力増幅器7に印加する電圧印加手段を構成している。高周波電力増幅器7は、例えばエミッタ接地またはソース接地された半導体増幅器であり、電圧印加手段から印加される電源電圧に基づいて、変調波入力信号Pinを増幅し、変調波出力信号Poutとして出力端子2から出力する。
【0018】
以下、図2を参照しながら、電圧制御回路3の構成について詳細に説明する。
図2は、この発明の実施の形態1に係る電圧制御回路3を詳細に示す回路図である。
図2において、電圧制御回路3は、包絡線検出部31(包絡線検出手段)と、折れ線生成部32(電源電圧制御手段)とを有している。ここで、包絡線検出部31と折れ線生成部32とを一体的に構成することにより、回路の小型化を実現することができる。
【0019】
包絡線検出部31は、入力に対して直列に接続されたダイオードDdetと、ダイオードDdetと並列に接続されたリアクタンスLdet、抵抗RdetおよびキャパシタンスCdetとから構成されている。包絡線検出部31は、変調波入力信号Pinの包絡線成分を検出し、包絡線信号として折れ線生成部32に出力する。具体的には、包絡線検出部31は、変調波入力信号Pinから高周波成分を除去するとともに、直流電圧のみを検出している。
【0020】
折れ線生成部32は、入力に対して直列に接続された抵抗R、オペアンプと、抵抗RA2、直流電圧V以上で導通するダイオードD、抵抗RB0および定電圧源Vccからなる直列回路と、抵抗RA1および直流電圧V以上で導通するダイオードDからなる直列回路とが互いに並列に接続された回路、抵抗Rと並列に接続された抵抗RA0、並びにダイオードDと抵抗RB0との接点から並列に接続された抵抗RB2と抵抗RB1との直列回路から構成されている。
【0021】
折れ線生成部32は、包絡線信号の直流電圧の大きさに応じて導通するダイオードを切り替えることにより、折れ線特性を有する出力電圧信号Voutを出力する。ここで、出力電圧信号Voutは、任意に設定される。
例えば、図2に示した折れ線生成部32において、包絡線信号の直流電圧がV以下の場合、ダイオードD、Dは非導通なので、出力電圧信号Voutは、この直流電圧が抵抗Rと抵抗RA0とにより分圧された値となる。
【0022】
また、包絡線信号の直流電圧がV以上V以下の場合、ダイオードDのみが導通するので、出力電圧信号Voutは、この直流電圧が抵抗Rと、抵抗RA0と抵抗RA1との並列合成抵抗(RA0//RA1)とにより分圧された値となる。
また、包絡線信号の直流電圧がV以上V以下の場合、ダイオードD、Dがともに導通するので、出力電圧信号Voutは、この直流電圧が抵抗Rと、抵抗RA0と抵抗RA1と抵抗RA2との並列合成抵抗(RA0//RA1//RA2)とにより分圧された値となる。
【0023】
ここで、この発明の実施の形態1に係る電圧制御回路3における入力信号と出力信号との関係(入出力特性)を図3に示す。
図3において、横軸は変調波入力信号Pinを示し、縦軸は出力電圧信号Voutを示している。また、破線は、例えば従来技術のように、包絡線検出部31のみで電圧制御回路3を構成した場合の入出力特性を示し、実線は、包絡線検出部31および折れ線生成部32で電圧制御回路3を構成した場合の入出力特性を示している。
【0024】
なお、図3は、下限電圧Vminおよび上限電圧Vmaxが設定された場合を示しており、図中Pin1、Pin2およびPin3は、それぞれ上述したV、VおよびVと対応している。下限電圧Vminおよび上限電圧Vmaxを設定することにより、所望の利得を得るとともに、所望の効率で高周波電力増幅器7を動作させることができる。
【0025】
また、この発明の実施の形態1に係る増幅装置における変調波出力信号Poutと、増幅装置の利得Gとの関係(利得特性)を図4に示す。
図4において、横軸は変調波出力信号Poutを示し、縦軸は利得Gを示している。また、破線および実線は、図3の場合と同様である。なお、図中Pout1、Pout2およびPout3は、それぞれ上述したPin1、Pin2およびPin3と対応している。
【0026】
図3より、従来技術の入出力特性(破線)は、変調波入力信号Pinの大きさが0<Pin<Pin3の範囲において、ほぼ直線で表されている。しかしながら、このような単調な入出力特性の場合、高周波電力増幅器7の特性によっては、図4の破線に示されるように、Pout1において電源電圧が過剰に供給されて利得偏差が大きくなり、その結果、振幅歪みが発生するという問題がある。
【0027】
これに対して、この発明の実施の形態1に係る電圧制御回路3の入出力特性は、図3の実線に示されるように、変調波入力信号Pinの大きさが0<Pin<Pin3の範囲において、A1、A2、A3と折れ線特性を有することが分かる。
これにより、従来発生していた利得偏差(図4の破線参照)を抑制することができる(図4の実線参照)。
【0028】
続いて、上記構成の増幅装置の動作について説明する。
入力端子1から入力された変調波入力信号Pinは、分岐して電圧制御回路3および高周波電力増幅器7にそれぞれ入力される。電圧制御回路3は、上述した包絡線検出部31および折れ線生成部32により、変調波入力信号Pinに応じた出力電圧信号Voutをパルス幅変調器4に出力する。
【0029】
出力電圧信号Voutは、パルス幅変調器4でパルス幅変調され、スイッチング増幅器5に出力される。パルス幅変調された出力電圧信号Voutは、スイッチング増幅器5で増幅されてLPF6に出力される。増幅およびパルス幅変調された出力電圧信号Voutは、LPF6で高周波成分が除去され、電源電圧として高周波電力増幅器7に印加される。高周波電力増幅器7は、LPF6から印加される電源電圧に基づいて、変調波入力信号Pinを増幅する。増幅された変調波入力信号Pinは、変調波出力信号Poutとして出力端子2から出力される。
【0030】
以上のように、実施の形態1によれば、電圧印加手段は、入力信号の包絡線成分に応じた電源電圧を高周波電力増幅器に印加し、制御手段は、増幅装置の利得を一定とすべく、入出力特性が折れ線特性を有するように出力電圧信号を出力して高周波電力増幅器の電源電圧を制御する。
そのため、増幅装置の利得を一定にすることにより、増幅装置のAM−AM特性を線形化して、高効率に動作させることができるとともに、増幅装置の非線形歪みを低減することができる。
【0031】
なお、上記実施の形態1では、折れ線生成部32が2個のダイオードで構成された場合を例に挙げて説明しているが、これに限定されず、折れ線生成部は、任意の数のダイオードを用いて構成されてもよい。折れ線生成部を構成するダイオードの数が多くなるほど、折れ線を細かく設定することができる。
【0032】
また、上記実施の形態1では、電圧制御回路3が、増幅装置の利得を一定にするように電源電圧を制御しているが、これに限定されず、増幅装置の位相を一定にするように電源電圧を制御してもよい。
この場合には、増幅装置のAM−PM特性を線形化することにより、高効率に動作させることができるとともに、増幅装置の非線形歪みを低減することができるという効果を得ることができる。
【0033】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2に係る増幅装置を示すブロック構成図である。
図5において、この増幅装置は、入力された信号を増幅して出力する装置であって、入力端子11、出力端子12、第1デジタル・アナログ変換回路13、制御電圧生成部14(制御電圧生成手段)、第2デジタル・アナログ変換回路15、電圧印加部16(電圧印加手段)、高周波電力増幅器17、減衰器18、アナログ・デジタル変換回路19、信号比較部20および制御電圧更新部21を備えている。
【0034】
第1デジタル・アナログ変換回路13は、入力端子11から入力された変調波入力信号Pinをデジタル・アナログ変換して高周波電力増幅器17に出力する。制御電圧生成部14は、デジタル回路で構成され、変調波入力信号Pinの包絡線成分に応じて、高周波電力増幅器17の利得Gが一定となるように、出力電圧信号(制御電圧)Vout_dを出力する。
【0035】
第2デジタル・アナログ変換回路15は、制御電圧生成部14からの出力電圧信号Vout_dをデジタル・アナログ変換し、出力電圧信号Vout_aとして電圧印加部16に出力する。電圧印加部16は、第2デジタル・アナログ変換回路15からの出力電圧信号Vout_aに応じた電源電圧を高周波電力増幅器17に印加する。高周波電力増幅器17は、例えばエミッタ接地またはソース接地された半導体増幅器であり、電圧印加部16から印加される電源電圧に基づいて、第1デジタル・アナログ変換回路13からの変調波入力信号Pinを増幅し、変調波出力信号Poutとして出力端子12から出力する。
【0036】
減衰器18は、変調波出力信号Poutの一部を所定の電力レベルに減衰させてアナログ・デジタル変換回路19に出力する。アナログ・デジタル変換回路19は、減衰器18で減衰された変調波出力信号Poutをアナログ・デジタル変換し、負帰還信号PFBとして信号比較部20に出力する。信号比較部20は、変調波出力信号Pinと負帰還信号PFBとを比較し、比較結果を制御電圧更新部21に出力する。制御電圧更新部21は、信号比較部20からの比較結果が最小となるように、制御電圧生成部14の出力電圧信号(制御電圧)Vout_dを更新する。
【0037】
すなわち、この実施の形態2の特徴は、増幅装置のAM−AM(振幅対振幅)特性を線形化するように、デジタル回路の制御電圧生成部14で出力電圧信号(制御電圧)Vout_dを生成し、さらに、高周波電力増幅器17からの変調波出力信号Poutを変調波入力信号Pinに負帰還させることにより、出力電圧信号Vout_dが常に最適化されることにある。これにより、増幅装置に経年劣化が生じた場合や温度変化が生じた場合でも、常に振幅歪みを低減することができる。
【0038】
続いて、上記構成の増幅装置の動作について説明する。
入力端子11から入力された変調波入力信号Pinは、分岐して第1デジタル・アナログ変換回路13、制御電圧生成部14および信号比較部20にそれぞれ入力される。第1デジタル・アナログ変換回路13に入力された変調波入力信号Pinは、デジタル・アナログ変換されて高周波電力増幅器17に入力される。
【0039】
制御電圧生成部14は、変調波入力信号Pinの包絡線成分に応じて、増幅装置の利得Gが一定となるように、出力電圧信号Vout_dを生成し、第2デジタル・アナログ変換回路15に出力する。第2デジタル・アナログ変換回路15に入力された出力電圧信号Vout_dは、デジタル・アナログ変換され、出力電圧信号Vout_aとして電圧印加部16に入力される。
【0040】
電圧印加部16に入力された出力電圧信号Vout_aは、電源電圧として高周波電力増幅器17に印加される。高周波電力増幅器17は、電圧印加部16から印加される電源電圧に基づいて、第1デジタル・アナログ変換回路13からの変調波入力信号Pinを増幅する。増幅された変調波入力信号Pinは、変調波出力信号Poutとして出力端子12から出力される。
【0041】
変調波出力信号Poutの一部は、減衰器18に入力されて所定の電力レベルに減衰され、アナログ・デジタル変換回路19に入力される。アナログ・デジタル変換回路19に入力された変調波出力信号Poutは、アナログ・デジタル変換され、負帰還信号PFBとして信号比較部20に入力される。信号比較部20に入力された変調波入力信号Pinは、負帰還信号PFBと比較され、比較結果が制御電圧更新部21に入力される。
【0042】
制御電圧更新部21は、信号比較部20からの比較結果が最小となるように、制御電圧生成部14の出力電圧信号Vout_dを更新する。制御電圧生成部14は、更新された出力電圧信号Vout_dを第2デジタル・アナログ変換回路15に出力する。
以降、上述した動作を繰り返す。
【0043】
以上のように、実施の形態2によれば、制御電圧生成手段は、増幅装置の利得が一定となるような制御電圧をデジタル回路で生成する。また、高周波電力増幅器からの出力信号を入力信号に負帰還させることにより、出力信号が常に最適化される。
そのため、増幅装置に経年劣化が生じた場合や温度変化が生じた場合でも、利得を一定にすることにより、増幅装置のAM−AM特性を線形化して、高効率に動作させることができるとともに、増幅装置の非線形歪みを低減することができる。
【0044】
なお、上記実施の形態2では、制御電圧生成部14が、増幅装置の利得を一定にするように制御電圧を制御しているが、これに限定されず、増幅装置の位相を一定にするように制御電圧を制御してもよい。
この場合には、増幅装置のAM−PM特性を線形化することにより、高効率に動作させることができるとともに、増幅装置の非線形歪みを低減することができるという効果を得ることができる。
【0045】
また、上記実施の形態1、2において、高周波電力増幅器7、17は、例えばA級増幅器、AB級増幅器、B級増幅器またはドハティ増幅器で構成される。
また、上記実施の形態1において、パルス幅変調器4は、例えばデジタルシグマ変調器またはデルタ変調器で構成される。
また、上記実施の形態1において、スイッチング増幅器5は、例えばD級増幅器で構成される。
【符号の説明】
【0046】
1 入力端子、2 出力端子、3 電圧制御回路(包絡線検出手段、制御手段)、4 パルス幅変調器(電圧印加手段)、5 スイッチング増幅器(電圧印加手段)、6 LPF(電圧印加手段)、7 高周波電力増幅器、11 入力端子、12 出力端子、13 第1デジタル・アナログ変換回路、14 制御電圧生成部(制御電圧生成手段)、15 第2デジタル・アナログ変換回路、16 電圧印加部(電圧印加手段)、17 高周波電力増幅器、18 減衰器、19 アナログ・デジタル変換回路、20 信号比較部、21 制御電圧更新部、31 包絡線検出部(包絡線検出手段)、32 折れ線生成部(電源電圧制御手段)、51 入力端子、52 出力端子、53 検波回路、54 電圧制御手段、55 高周波電力増幅器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された信号を増幅して出力する増幅装置であって、
印加される電源電圧に基づいて前記入力信号を増幅する高周波電力増幅器と、
前記入力信号の包絡線成分を検出する包絡線検出手段と、
前記包絡線成分に応じた電源電圧を前記高周波電力増幅器に印加する電圧印加手段と、
前記増幅装置の利得が一定となるように、前記高周波電力増幅器への入力を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする増幅装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記電源電圧を制御する電源電圧制御手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の増幅装置。
【請求項3】
前記電源電圧制御手段は、入出力特性が折れ線特性を有するように出力電圧信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の増幅装置。
【請求項4】
前記電源電圧制御手段は、導通電圧が互いに異なる複数のダイオードおよび複数の抵抗から構成されることを特徴とする請求項3に記載の増幅装置。
【請求項5】
前記電源電圧制御手段は、前記電源電圧に対して所定の下限電圧を設定することを特徴とする請求項2から請求項4までの何れか1項に記載の増幅装置。
【請求項6】
前記電源電圧制御手段は、前記電源電圧に対して所定の上限電圧を設定することを特徴とする請求項2から請求項5までの何れか1項に記載の増幅装置。
【請求項7】
前記電源電圧制御手段は、前記包絡線検出手段と一体的に構成されることを特徴とする請求項2から請求項6までの何れか1項に記載の増幅装置。
【請求項8】
前記電圧印加手段は、
前記包絡線検出手段からの出力をパルス幅変調するパルス幅変調器と、
前記パルス幅変調器からの出力を増幅するスイッチング増幅器と、
前記スイッチング増幅器からの出力を帯域制限する低域通過フィルタと、
を有することを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の増幅装置。
【請求項9】
前記パルス幅変調器は、デジタルシグマ変調器またはデルタ変調器で構成されることを特徴とする請求項8に記載の増幅装置。
【請求項10】
前記スイッチング増幅器は、D級増幅器で構成されることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の増幅装置。
【請求項11】
入力された信号を増幅して出力する増幅装置であって、
前記入力信号をデジタル・アナログ変換する第1デジタル・アナログ変換回路と、
印加される電源電圧に基づいて、前記第1デジタル・アナログ変換回路からの出力を増幅する高周波電力増幅器と、
前記入力信号に応じた制御電圧を生成する制御電圧生成手段と、
前記制御電圧をデジタル・アナログ変換する第2デジタル・アナログ変換回路と、
前記第2デジタル・アナログ変換回路からの出力を電源電圧として前記高周波電力増幅器に印加する電圧印加手段と、を備え、
前記制御電圧生成手段は、前記増幅装置の利得が一定となるように、前記制御電圧を生成する
ことを特徴とする増幅装置。
【請求項12】
前記制御電圧は、前記高周波電力増幅器の入出力信号に基づいて更新されることを特徴とする請求項11に記載の増幅装置。
【請求項13】
前記高周波電力増幅器は、A級増幅器、AB級増幅器、B級増幅器またはドハティ増幅器で構成されることを特徴とする請求項1から請求項12までの何れか1項に記載の増幅装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記増幅装置の位相が一定となるように、前記電源電圧を制御することを特徴とする請求項1から請求項13までの何れか1項に記載の増幅装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−172060(P2011−172060A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34661(P2010−34661)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】