説明

増粘カチオン性ポリマーを含有する酸化組成物を塗布する工程を含むケラチン繊維のパーマネント再成形方法

【解決手段】ケラチンのジスルフィド結合を還元するために、ケラチン繊維に還元組成物を塗布し、ここでケラチン繊維は該塗布の前、塗布中又は後に、所望の形態にセットされる工程、ついで、a)少なくとも一のアミン基で置換された少なくとも一のビニルモノマー、b)少なくとも一の非イオン性疎水性ビニルモノマー、c)少なくとも一の会合性ビニルモノマー、及びd)少なくとも一の半疎水性のビニル界面活性モノマー、を含むモノマー混合物の重合生成物である、少なくとも一の増粘カチオン性ポリマーと、少なくとも一の酸化剤を含有する酸化組成物をケラチン繊維に塗布することによる、該結合を再形成させるための酸化固定工程。
【効果】ケラチン繊維、特に毛髪のケラチン繊維のパーマネント再成形方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、還元工程と酸化工程を含む、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維のパーマネント再成形方法で、該酸化工程が、特定のカチオン性ポリマーを含有するゲル状の酸化組成物を使用して実施される方法に関する。
【0002】
毛髪をパーマネントに変形するための最も一般的な技術は、第1工程において、適切な還元剤を含有する組成物によりケラチンのS-Sジスルフィド結合(シスチン)を開裂させ(還元工程)、続いて、このように処理された毛髪をすすぎ、第2工程において、予め張力(カーラー又は等価物)下に配されるか、所定の形状にセットされるか又はストレートされた毛髪に、最終的に毛髪に所望の形状が付与されるように酸化組成物を塗布して、前記ジスルフィド結合を再形成させる(固定工程とも称される酸化工程)ことからなる。よってこの方法により、毛髪のウエーブ化(パーマ法)、又は毛髪からカールをとる又は毛髪のストレート化(平滑化法)が、差別されることなく可能となる。上述した化学処理を介して毛髪に付与される新規の形状は、経時的に長時間にわたって保持され、セットを使用する等、一時的な成形のための通常の簡便な方法に対し、水又はシャンプーを用いた洗浄操作に対して特に耐性がある。
【0003】
パーマ施術の第1工程の実施に使用される還元組成物は、典型的に還元剤として、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、アルキル-ホスフィン類、好ましくはチオール類を含有する。後者において、伝統的に使用されているものは、システイン及びその種々の誘導体、システアミン及びその誘導体、チオ乳酸又はチオグリコール酸、並びにそれらの塩及びそれらのエステル、特にチオグリコール酸グリセロールである。
【0004】
固定工程の実施に有用な酸化組成物は、最も多くの場合、過酸化水素又はアルカリ金属の臭素酸塩ベースの組成物である。
【0005】
毛髪のパーマネント再成形方法、特にパーマ法において、最も多くの場合、酸化組成物は液状の形態をしている。欠点として、このような組成物は、毛髪への塗布時に、額、襟首、顔に流れ落ちるか、又は目に入ってしまい、使用者に苦痛を与えるおそれのあるものであった。
よって長年、ゲルとなる増粘した化粧品用調製物に関心が集中している。このタイプの調製物は、使用が非常に容易で快適感があることが明らかであるために、使用者にはかなり高く評価されている。
最も多くの場合、ゲルの形態は、調製者が対処しなければならない実務的懸案、すなわち、何ら有意な損失なく、如何に容易に包装から製品を取り出すか、また予期する美容効果を得るのに十分な量で使用可能であると共に、頭皮の局所的な処理領域に如何にして製品分配を制限するか、を満たすものである。毛髪をパーマネント再成形させるために使用される酸化調製物にとっては、このようなことを目的にすることが重要である。これらの調製物は、ケラチン繊維に沿って、正確かつ均一に分布するように展伸されなければならず、また額、襟首、顔に流れ落ちず、目にも入らないものであるべきである。
【0006】
毛髪のパーマネント再成形方法、特にストレート化する方法において、増粘した酸化組成物を使用することは公知である。しかしながら、このような増粘した支持体により、活性成分、特に酸化剤の浸透速度が低下し、よって、パーマネント再成形効率が制限されていた。
【0007】
さらに、伝統的な水溶性増粘剤及び/又はゲル化剤、例えばグッドリッチ社からカルボポールの商品名で市販されているもの等、架橋したアクリルポリマー型のものを使用することにより保存時に安定している、過酸化水素等の過酸化物をベースにした増粘組成物を得ることは、一般的に困難である。過酸化物は、保存時の安定性の理由から、酸性水溶液の形態で化粧品に使用されている。伝統的なゲル化剤の存在下、最も多くの場合、それらは、保存中のゲル粘度を実質的に変動させる。
【0008】
仏国特許第2818543号においては、ケラチン物質を処理、特に、毛髪をパーマネント再成形させるために使用することを意図しており、少なくとも一のエチレン性不飽和、遊離の形態、又は部分的もしくは全体的に中和されたスルホン基含有モノマー、並びに少なくとも一の疎水性部分を有する両親媒性ポリマーを含有するゲル状酸化化粧品用組成物が公知である。
このような組成物は、十分に満足のいくものではない。
【0009】
本出願人は驚くべきことに、少なくとも一のアミン基で置換された少なくとも一のビニルモノマー、少なくとも一の非イオン性疎水性ビニルモノマー、少なくとも一の会合性ビニルモノマー、及び少なくとも一の半疎水性のビニル界面活性モノマーを含むモノマー混合物の重合生成物である増粘カチオン性ポリマーを組成物に使用することにより、流れ落ちず、むしろ塗布領域に良好に局在して、その箇所に保持されており、容易に展伸し、ケラチン繊維に沿って均一に分配され、特にストレート化する方法において、活性成分の浸透速度が低下しない組成物を得ることができることを見出した。
【0010】
また本出願人は、酸化剤として、過酸化水素を放出し得る酸化化合物、又は好ましくは過酸化水素を含有する酸化組成物に、このような増粘カチオン性ポリマーを使用することにより、保存安定性のある組成物を得ることができることを見出した。
【0011】
よって本発明の目的は、
− ケラチンのジスルフィド結合を還元するために、ケラチン繊維に還元組成物を塗布し、ここでケラチン繊維は該塗布の前、塗布中又は後に、所望の形態にセットされる工程、ついで、
− a)少なくとも一のアミン基で置換された少なくとも一のビニルモノマー、
b)少なくとも一の非イオン性疎水性ビニルモノマー、
c)少なくとも一の会合性ビニルモノマー、
d)少なくとも一の半疎水性のビニル界面活性モノマー、
を含むモノマー混合物の重合生成物である、少なくとも一の増粘カチオン性ポリマーと、少なくとも一の酸化剤を含有する酸化組成物をケラチン繊維に塗布することによる、該結合を再形成させるための酸化固定工程;
を含む、ケラチン繊維、特に毛髪のケラチン繊維のパーマネント再成形方法を提供することにある。
【0012】
本発明の方法に使用される還元組成物は、典型的には、次の式:
H(X')(R')
[上式中、X'はP、S又はSOを表し、qは0又は1であり、rは1又は2であり、R'は、ヒドロキシ部分、ハロゲン部分、アミン又はカルボキシ部分、((C-C30)アルコキシ)カルボニル部分、アミド部分、((C-C30)アルキル)アミノカルボニル部分、((C-C30)アシル)アミノ部分、モノ-又はジアルキルアミノ部分、モノ-又はジヒドロキシルアミノ部分から選択される置換基を有していてもよく、ヘテロ原子が挿入されていてもよい、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和の(C-C20)炭化水素基を表す]
の還元剤、又は塩基と組合せられたそれらの塩から選択される少なくとも一の還元剤を、化粧品的に許容可能な媒体に含有せしめてなる。
【0013】
好ましくは、還元剤(類)は、チオグリコール酸、チオ乳酸、モノチオグリコール酸グリセロール、システアミン、N-アセチル-システアミン、N-プロピオニル-システアミン、システイン、N-アセチル-システイン、チオリンゴ酸、パンテテイン、2,3-ジメルカプトコハク酸、N-(メルカプトアルキル)-ω-ヒドロキシアルキルアミド類、N-モノ-又はN,N-ジアルキルメルカプト-4-ブチラミド類、アミノメルカプト-アルキルアミド類、N-(メルカプトアルキル)スクシンアミド酸及びN-(メルカプトアルキル)スクシンイミドの誘導体、アルキルアミノメルカプトアルキルアミド類、(2-ヒドロキシ-1-メチル)エチルチオグリコラートと2-ヒドロキシプロピルチオグリコナートの共沸混合物、メルカプトアルキルアミノアミド類、N-メルカプト-アルキルアルカンジアミド類、及びホルムアミジンスルフィン酸の誘導体、及びそれらの塩から選択される。
【0014】
還元剤(類)は、還元組成物の全重量に関し、典型的には0.05〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。
【0015】
毛髪の美容特性を改善する、又は毛髪のダメージを低減又は防止するために、本発明の方法に使用される還元組成物は、一又は複数の化粧品用活性剤をさらに含有してよい。
これ又はこれらの活性剤(類)は、一般的に直鎖状又は環状のシリコーン類、カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性のポリマー、ペプチド類及びそれらの誘導体、タンパク質加水分解物、ロウ、膨張剤及び浸透剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン性の界面活性剤、抜毛防止剤、抗フケ剤、天然又は合成の増粘剤、懸濁剤、金属イオン封鎖剤、不透明化剤、サンスクリーン剤、ビタミン類又はプロビタミン類、鉱物性、植物性又は合成油、並びに香料、防腐剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0016】
先に説明したように、本発明の方法に使用される酸化組成物は、特定のモノマー混合物を重合することにより得られる、少なくとも一の増粘カチオン性ポリマーを含有する。
本発明の方法の酸化組成物に使用される増粘カチオン性ポリマー(類)、及びそれらを製造するための方法は、国際公開第2004/024779号に記載されている。
【0017】
好ましい実施態様において、モノマー混合物は、モノマー混合物の全重量に対して、
a)10〜70重量%の、少なくとも一のアミン基で置換されたビニルモノマー(類)、
b)20〜80重量%の、非イオン性疎水性ビニルモノマー(類)、
c)0.001〜25重量%の、会合性ビニルモノマー(類)、
d)0〜25重量%の、半疎水性のビニル界面活性モノマー(類)、
e)0〜10重量%の、少なくとも一の非イオン性ヒドロキシル化ビニルモノマー、
f)0〜5重量%の、少なくとも架橋モノマー、
g)0〜10重量%の、少なくとも一の連鎖移動剤、及び
h)0〜2重量%の、少なくとも一のポリマー安定剤、
を含有する。
【0018】
ここで使用される場合、ビニルモノマーは、少なくとも一のRCH=C(R)-基を有するモノマーを意味することを意図しており、ここでRは独立して、H、C-C30アルキル、-C(O)OH又はC(O)OR'を表し、R'はC-C30アルキルである。
よって、例えば本発明において、(メタ)アクリラート類及び(メタ)アクリルアミド類は、ビニルモノマーである。
【0019】
より好ましくは、モノマー混合物は、モノマー混合物の全重量に対して、
a)20〜60重量%の、少なくとも一のアミン基で置換されたビニルモノマー(類)、
b)20〜70重量%の、非イオン性疎水性ビニルモノマー(類)、
c)0.01〜15重量%の、会合性ビニルモノマー(類)、
d)0.1〜10重量%の、半疎水性のビニル界面活性モノマー(類)、
e)0.01〜10重量%の、非イオン性ヒドロキシル化ビニルモノマー(類)、
f)0.001〜5重量%の、架橋モノマー(類)、及び
g)0.001〜10重量%の、連鎖移動剤(類)、
h)0〜2重量%の、ポリマー安定剤(類)、
を含有する。
【0020】
非イオン性ヒドロキシル化ビニルモノマー(類)がモノマー混合物に存在する場合、それらはモノマー混合物の全重量に対して1〜5重量%であることが好ましい。
架橋モノマー(類)がモノマー混合物に存在する場合、それらはモノマー混合物の全重量に対して0.001〜5重量%であることが好ましい。
連鎖移動剤(類)がモノマー混合物に存在する場合、それらはモノマー混合物の全重量に対して、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.1重量%〜5重量%である。
【0021】
先に説明したように、本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマーを調製するためのモノマー混合物は、少なくとも一のアミン基で置換された少なくとも一のビニルモノマーを含有する。
本発明の方法に使用されるカチオン性ポリマーを調製するために適切に使用される、少なくとも一のアミン基で置換されたビニルモノマーは、塩基性、重合性のエチレン性不飽和モノマーである。アミン基は、モノ-、ジ-又はポリアミンアルキル基、又は窒素原子を有する複素環式芳香族基から誘導されてよい。アミン基は、第1級、第2級又は第3級アミンであってよい。これらのモノマーはアミンの形態又は塩の形態で使用されてよい。
【0022】
好ましくは、少なくとも一のアミン基で置換されたビニルモノマー(類)は、
− モノ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリラート類、
− ジ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリラート類、好ましくはジ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリラート類、
− モノ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリルアミド類、
− ジ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリルアミド類、
− 窒素原子を有する複素環(メタ)アクリルアミド類、
− 窒素原子を有する複素環(メタ)アクリラート類、
及びそれらの組合せ、
から選択される。
【0023】
少なくとも一のアミン基で置換された好ましいビニルモノマーの適切な例には、モノ-又はジ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリラート類、例えば2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリラート、4-(N,N-ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリラート、(N,N-ジメチルアミノ)-t-ブチル(メタ)アクリラート、2-(N,N-ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリラート、4-(N,N-ジエチルアミノ)ブチル(メタ)アクリラート、2-(N,N-ジプロピルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、3-(N,N-ジプロピルアミノ)プロピル(メタ)アクリラート、4-(N,N-ジプロピルアミノ)ブチル(メタ)アクリラート;モノ-又はジ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリルアミド類、例えばN'-(2-N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N'-(3-N,N-ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド;及び窒素原子を有する複素環(メタ)アクリルアミド類又は(メタ)アクリラート類、例えばN-(2-ピリジル)アクリルアミド、N-(2-イミダゾリル)メタクリルアミド、2-(4-モルホリニル)エチルメタクリラート、2-(4-モルホリニル)エチルアクリラート、N-(4-モルホリニル)メタクリルアミド、N-(4-モルホリニル)アクリルアミド、2-ビニルピリジン、及び4-ビニルピリジンが含まれる。
【0024】
前記モノマーが塩の形態で存在している場合、それらは無機塩、例えば塩酸塩、硫酸塩及びリン酸塩;又は有機塩、例えば酢酸塩、マレイン酸塩及びフマル酸塩であってよい。
【0025】
特に好ましい、少なくとも一のアミン基で置換されたビニルモノマーには、
− 3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリラート、
− N'-(3-N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、
− 2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、
− 2-(N,N-ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、
− 2-(tert-ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、
− 2-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、及び
− 2-(N,N-ジメチルアミノ)ネオペンチルアクリラート、
が含まれる。
【0026】
少なくとも一のアミン基で置換されたビニルモノマー(類)は、モノマー混合物の全重量に対して、典型的には10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%、より好ましくは30〜40重量%で存在している。
【0027】
先に説明したように、本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマーを適切に調製するためのモノマー混合物は、少なくとも一の非イオン性疎水性ビニルモノマーを含む。
本発明の方法に使用されるカチオン性ポリマーを調製するために適切に使用される非イオン性疎水性ビニルモノマー(類)は、一般的に次の式(I)又は(II):
(I) CH=C(X)Z、
(II) CH=CH-OC(O)R;
[式(I)及び(II)の双方において;
Xは、H又はメチル基を表し;
Zは、-C(O)OR、-C(O)NH、-C(O)NHR、-C(O)N(R)、-C、-COR、-CCl、-CN、-NHC(O)CH、-NHC(O)H、N-(2-ピロリドニル)、N-カプロラクタミル、-C(O)NHC(CH)、-C(O)NHCHCH-N-エチレン尿素、-SiR、-C(O)O(CH)SiR、-C(O)NH(CH)SiR、又は-(CH)SiR基を表し;
xは1〜6の範囲の整数であり;
各Rは独立して、C-C30アルキルを表し;
各Rは独立して、C-C30アルキル、ヒドロキシル化C-C30アルキル、又はハロゲン化C-C30アルキルを表す]
の化合物から選択される。
【0028】
特に挙げられるのは、C-C30(メタ)アクリル酸アルキル;C-C30アルキル(メタ)アクリルアミド;スチレン、置換されたスチレン、例えばビニルトルエン(2-メチルスチレン)、ブチルスチレン、イソプロピルスチレン、パラ-クロロスチレン;ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、酪酸ビニル、ビニルカプロラート、ピバル酸ビニル、及びネオドデカン酸ビニル、不飽和のニトリル類、例えば(メタ)アクリロニトリル及びアクリロニトリル;及び不飽和のシラン類、例えばトリメチルビニルシラン、ジメチルエチルビニルシラン、アルキルジメチルフェニルシラン、アリルトリメチルシラン、3-アクリルアミドプロピルトリメチルシラン、3-トリメチルシリルプロピルメタクリラートである。
好ましくは、非イオン性疎水性ビニルモノマー(類)は、アクリル酸C-C30アルキルエステル、メタクリル酸C-C30アルキルエステル、及びそれらの混合物、例えばアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、及びそれらの混合物から選択される。
【0029】
非イオン性疎水性ビニルモノマー(類)は、モノマー混合物の全重量に対して、典型的には20〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは50〜65重量%である。
【0030】
先に説明したように、本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマーを適切に調製するためのモノマー混合物は、少なくとも一の会合性ビニルモノマーを含有する。
本発明で使用されるカチオン性ポリマーを調製するために適切に使用される会合性ビニルモノマー(類)は、他のスチレンモノマーと付加重合するためのエチレン性不飽和末端(i);ポリマー選択性親水性を付与するためのポリオキシアルキレン中心部分(ii)、及びポリマー選択性疎水性を付与するための疎水性末端(iii)を有する化合物から一般的に選択される。
【0031】
会合性ビニルモノマー(類)のエチレン性不飽和末端は、好ましくはα,β-エチレン性不飽和モノ-又はジ-カルボン酸又は無水物、好ましくはC又はCモノ-又はジ-カルボン酸又は無水物から誘導される。また、会合性モノマー末端(i)は、アリルエーテル又はビニルエーテル;ビニル基で置換されたウレタン型の非イオン性モノマー、例えば再発行された米国特許第33156号又は米国特許第5294692号に開示されているもの;又はビニル基で置換された尿素反応生成物、例えば米国特許第5011978号に開示されているものから誘導されてよい。
【0032】
会合性ビニルモノマー(類)の中心部分(ii)は、好ましくは5〜250、より好ましくは10〜120、さらに好ましくは15〜60のC-Cアルキレンオキシド単位を有する、ポリオキシアルキレンセグメントである。好ましい中心部分(ii)は、5〜150、好ましくは10〜100、さらに好ましくは15〜60のエチレン、プロピレン又はブチレンオキシド単位、及びエチレン、プロピレン又はブチレンオキシド単位のランダム配列又は非ランダム配列を有する、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、及びポリオキシブチレンセグメントである。
【0033】
会合性モノマー(類)の疎水性末端(iii)は、好ましくは次の範疇の一つ、直鎖状のC-C40アルキル、アリール基で置換されたC-C40アルキル、C-C40アルキル基で置換されたフェニル、分枝状のC-C40アルキル、C-C40アルキルカルボキシル基、及び複合C-C80エステルに属する炭化水素フラグメントである。
【0034】
会合性モノマー(類)の疎水性末端(iii)の適切な例には、8〜40の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基、例えばカプリル(C)、イソオクチル(C分枝状)、デシル(C10)、ラウリル(C12)、ミリスチル(C14)、セチル(C16)、セテアリール(C16-C18)、ステアリル(C18)、イソステアリル(C18分枝状)、アラキジル(C20)、ベヘニル(C22)、リグノセリル(C24)、セロチル(cerotyl)(C26)、モンタニル(C28)、メリシル(C30)、及びラセリル(lacceryl)(C32)基が含まれる。
8〜40の炭素原子を有し、天然源から得られる直鎖状又は分枝状のアルキル基の適切な例には、特に水素化ピーナッツ油、大豆油及び菜種油(ほとんどC18)、水素化C16-C18獣脂油;及び水素化C10-C30テルペノール類(terpenols)、例えば水素化ゲラニオール(C10分枝状)、水素化ファルネソール(C15分枝状)、水素化フィトール(C20分枝状)から誘導されるアルキル基が含まれる。
【0035】
-C40アルキルで置換されたフェニル基の適切な例には、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、ヘキサデシルフェニル、オクタデシルフェニル、イソオクチルフェニル、及びsec-ブチルフェニル基が含まれる。
【0036】
-C40アルキルカルボキシル基は、例えば動物ベースのステロール類、例えばコレステロール、ラノステロール、7-デヒドロコレステロール;又は植物ベースの誘導体、例えばフィトステロール、スチグマステロール、カンプエストロール;又は微生物ベースの誘導体、例えばエルゴステロール及びミクロステロールから誘導される基であってよい。本発明で適切に使用される他のアルキルカルボキシル疎水性基には、例えばシクロオクチル、シクロドデシル、アダマンチル、デカヒドロナフチル基、天然のカルボキシル物質、例えばピネン、水素化レチノール、ショウノウ、及びイソボルニルアルコールから誘導される基が含まれる。
【0037】
アリール基で置換されたC-C40アルキル基は、例えばスチリル(例えば2-フェニルエチル)、ジスチリル(例えば2,4-ジフェニルブチル)、トリスチリル(例えば2,4,6-トリフェニルヘキシル)、4-フェニルブチル、2-メチル-2-フェニルエチル、トリスチリルフェノリル基であってよい。
【0038】
末端(iii)としてここで適切に使用されるC-C40複合エステルとしては、硬化ヒマシ油(主として、12-ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド;1,2-ジアリルグリセロール、例えば1,2-ジステアリルグリセロール、1,2-ジパルミチルグリセロール、1,2-ジミリスチルグリセロール;糖類のジ-、トリ-又はポリエステル、例えば3,4,6-トリステアリルグルコース、2,3-ジラウリルフルクトース;及びソルビタンエステル、例えば米国特許第4600761号に開示されているものを挙げることができる。
【0039】
本発明で適切に使用される会合性モノマーは、従来技術で公知の任意の方法により調製され得る。例えば、米国特許第4421902号、米国特許第4384096号、米国特許第4514552号、米国特許第4600761号、米国特許第4616074号、米国特許第5294692号、米国特許第5292843号;米国特許第5770760号及び米国特許第5412142号を参照することができる。
【0040】
好ましくは、本発明で適切に使用される会合性ビニルモノマー(類)は、次の式(III):
【化1】

[上式中、
各Rは独立して、H、メチル基、-C(O)OH基、又は-C(O)OR基を表し;
は、C-C30アルキル基を表し;
Aは、 -CHC(O)O-、-C(O)O-、-O-、CHO、-NHC(O)NH-、-C(O)NH-、-Ar(CE)-NHC(O)O-、-Ar-(CE)-NHC(O)NH-、又は-CHCH-NHC(O)-基を表し;
Arは、2価のアリール基を表し;
Eは、H又はメチル基を表し;
zは、0又は1であり;
kは、0〜30の範囲の整数であり;
mは0又は1であり、但し、k=0の場合はm=0であり、kが1〜30の範囲である場合はmは1であり;
(R-O)は、C-Cオキシアルキレン単位を有するブロックコポリマー、ランダムコポリマー、ホモポリマーである、ポリオキシアルキレン基を表し;
は、C、C、C、又はそれらの混合物を表し;
nは5〜250の範囲の整数であり;
Yは、-RO-、RNH-、-C(O)-、-C(O)NH-、RNHC(O)NH-、又は-C(O)NHC(O)-を表し;
は、直鎖状のC-C40アルキル基、分枝状のC-C40アルキル基、炭素環式のC-C40アルキル基から選択される、置換された又は未置換のアルキル基、C-C40アルキル基で置換されたフェニル基、アリール基で置換されたC-C40アルキル基及びC-C80複合エステルであり;
アルキル基Rは、ヒドロキシル、アルコキシル及びハロゲン基から選択される一又は複数の置換基(類)を有していてもよい]
の化合物から選択される。
【0041】
好ましくは、会合性ビニルモノマー(類)は、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸セチル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸セテアリール、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ステアリル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸アラキジル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ベヘニル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ラウリル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸セロチル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸モンタニル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸メリシル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ラセリル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸トリスチリルフェノール、硬化ヒマシ油のポリエトキシル化(メタ)アクリラート類、カノーラのポリエトキシル化(メタ)アクリラート類、コレステロールのポリエトキシル化(メタ)アクリラート類、及びそれらの混合物から選択され、ここで、モノマーのポリエトキシル化部分は、5〜100、好ましくは10〜80、さらに好ましくは15〜60のエチレンオキシド単位を有する。
【0042】
会合性ビニルモノマー(類)は、モノマー混合物の重量に対して、好ましくは0.001〜25重量%、より好ましくは0.01〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。
【0043】
先に説明したように、本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマーを適切に調製するためのモノマー混合物は、少なくとも一の半疎水性のビニル界面活性モノマーを含有する。
ポリオキシアルキレン鎖を有する半疎水性のビニル界面活性モノマー(類)は、そこに含まれるカチオン性会合性ポリマーの会合性を加減し、よって非常に満足のいくテクスチャー及び非常に良好なレオロジー性を有する水性ゲルが作製される。
【0044】
半疎水性のビニル界面活性モノマー(類)は、一般的に次の2つの部分、
(i)反応混合物の他のモノマーと付加重合可能な不飽和末端基、及び
(ii)ポリマーの疎水性基、又はポリマー含有組成物に存在していてもよい他の物質の疎水性基の間の会合性を最小にするためのポリオキシアルキレン基;
を有する化合物である。
【0045】
半疎水性のビニル界面活性モノマーは、会合性モノマーに類似した構造を有しているが、実質的には疎水性末端を有しておらず、よって何らの会合性もポリマーに付与しない。
付加重合のためのビニル又はエチレン性不飽和を提供する末端は、好ましくは、α,β-エチレン性不飽和モノ-又はジ-カルボン酸又は無水物、好ましくはC-Cモノ-又はジ-カルボン酸又は無水物から誘導される。また、末端(i)は、アリルエーテル、ビニルエーテル又は非イオン性不飽和ウレタンから誘導されてよい。
【0046】
重合性の不飽和末端(i)は、少なくとも一の遊離のカルボキシ官能基を有する不飽和のC-C30脂肪酸から誘導されてよい。このようなC-C30基は、不飽和末端(i)の一部を形成するもので、親水性スペーサー基により、会合性モノマーの不飽和末端から離間している、会合性モノマーのペンダント疎水性基とは異なる。
【0047】
ポリオキシアルキレン部分(ii)は、会合性モノマーの親水性部分と実質的に類似した、長鎖-ポリオキシアルキレンセグメントを有する。好ましいポリオキシアルキレン部分(ii)には、5〜250、好ましくは10〜100のオキシアルキレン単位を含む、C-Cポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、及びポリオキシブチレン単位が含まれる。半疎水性のビニル界面活性モノマーが一を超えるオキシアルキレン単位型を含む場合、これらの単位は、ランダム配列、非ランダム又はブロック配列に配列されてよい。
【0048】
好ましくは、半疎水性のビニル界面活性モノマー(類)は、次の式(IV)又は(V):
【化2】

[それぞれの式(IV)又は(V)において、
各Rは独立して、H、C-C30アルキル基、-C(O)OH、又はC(O)ORを表し;
は、C-C30アルキル基を表し;
Aは、-CHC(O)O-、-C(O)O-、-O-、-CHO、-NHC(O)NH-、-C(O)NH-、-Ar-(CE)-NHC(O)O-、-Ar-(CE)-NHC(O)NH-、又は-CHCH-NHC(O)-基を表し;
Arは、2価のアリール基を表し;
Eは、H又はメチル基であり;
zは、0又は1であり;
pは、0〜30の範囲の整数であり;
rは0又は1であり、但し、pが0の場合はrは0であり、pが1〜30で変化する場合はrは1であり;
(R-O)は、C-Cオキシアルキレン単位を有するブロックコポリマー、ランダムコポリマー、ホモポリマーである、ポリオキシアルキレン基を表し;ここでRは、C、C、C、又はそれらの混合物を表し;vは5〜250の範囲の整数であり;
は、H又はC-Cアルキル基であり;
Dは、不飽和のC-C30アルキル基、又はカルボキシ基で置換された不飽和のC-C30アルキル基を表す]
の化合物から選択される。
【0049】
最も好ましくは、モノマー混合物は、次の式:
CH=CH-O(CH)O(CO)(CO)H、又は
CH=CHCHO(CO)(CO)
[上式中、
aは2、3又は4であり;
bは1〜10の範囲の整数であり;
cは5〜50の範囲の整数であり;
dは1〜10の範囲の整数であり;及び
eは5〜50の範囲の整数である]
の一つを有する半疎水性のビニル界面活性モノマーを含有する。
【0050】
好ましくは、半疎水性のビニル界面活性モノマーには、例えばクラリアント社から参照名エマルソゲン(EMULSOGEN)(登録商標)R109、R208、R307、RAL109、RAL208及びRAL307で市販されている重合性乳化剤;BIMAX社から販売されているBX-AA-E5P5;及びユニケマ社から販売されているマックスエマル(MAXEMUL)(登録商標)5010及び5011が含まれる。特に好ましいモノマーは、エマルソゲン(登録商標)R208、R307及びRAL307である。
【0051】
製造者によれば;
エマルソゲン(登録商標)R109は、次の実験式:
CH=CH-O(CH)O(CO)(CO)10
のランダムエトキシル化/プロポキシル化ビニルエーテル1,4-ブタンジオールであり;
エマルソゲン(登録商標)R208は、次の実験式:
CH=CH-O(CH)O(CO)(CO)20
のランダムエトキシル化/プロポキシル化ビニルエーテル1,4-ブタンジオールであり;
エマルソゲン(登録商標)R307は、次の実験式:
CH=CH-O(CH)O(CO)(CO)30
のランダムエトキシル化/プロポキシル化ビニルエーテル1,4-ブタンジオールであり;
エマルソゲン(登録商標)RAL109は、次の実験式:
CH=CHCH-O(CO)(CO)10
のランダムエトキシル化/プロポキシル化アリルエーテルであり;
エマルソゲン(登録商標)RAL208は、次の実験式:
CH=CHCH-O(CO)(CO)20
のランダムエトキシル化/プロポキシル化アリルエーテルであり;
エマルソゲン(登録商標)RAL307は、次の実験式:
CH=CHCH-O(CO)(CO)30
のランダムエトキシル化/プロポキシル化アリルエーテルであり;
マックスエマル(登録商標)5010は、24のエチレンオキシド単位でエトキシル化された疎水性のカルボキシル化C12-C15アルセニル(alcenyl)であり;
マックスエマル(登録商標)5011は、34のエチレンオキシド単位でエトキシル化された疎水性のカルボキシル化C12-C15アルセニルであり;
BX-AA-E5P5は、次の実験式:
CH=CHCH-O(CO)(CO)
のランダムエトキシル化/プロポキシル化アリルエーテルである。
【0052】
本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマーを調製するために使用される半疎水性のビニル界面活性モノマー(類)の量は、広範囲の限度内で変化し、とりわけ、ポリマーに期待されている最終レオロジー性に依存するであろう。モノマーの反応混合物は、典型的には、モノマー混合物の全重量に対して、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%の一又は複数の半疎水性のビニル界面活性モノマー(類)を含有している。モノマー混合物は、モノマー混合物の全重量に対して、好ましくは最大25重量%、さらに好ましくは最大10重量%の半疎水性のビニル界面活性モノマー類を含有している。
【0053】
先に説明したように、本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマー(類)は、少なくとも一の非イオン性ヒドロキシル化ビニルモノマーを含有していてもよいモノマー混合物から調製される。
これらのモノマーは、一又は複数のヒドロキシル置換基(類)を有するエチレン性不飽和モノマーである。
【0054】
非イオン性ヒドロキシル化ビニルモノマーの適切な例には、ヒドロキシル化C-C(メタ)アクリル酸アルキル、好ましくはヒドロキシル化C-C(メタ)アクリル酸アルキル、例えば2-ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、2-ヒドロキシエチルアクリラート(2-HEA)、3-ヒドロキシプロピルアクリラート;ヒドロキシル化C-Cアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アクリルアミド;及びそれらの混合物が含まれる。また、アリルアルコール、グリセロールモノアリルエーテル、3-メチル-3-ブテン-1-オール、ビニルアルコールの前駆物質、及びそれらの等価物、例えば酢酸ビニルを挙げることもできる。
【0055】
非イオン性ヒドロキシル化ビニルモノマー(類)が存在する場合、それらは、モノマー混合物の全重量に対して、一般的には10重量%までである。好ましくは、非イオン性ヒドロキシル化ビニルモノマー(類)は、モノマー混合物の全重量に対して、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。
【0056】
先に説明したように、本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマー(類)は、そこに分枝状部を導入し、分子量を制御するために、一又は複数の架橋モノマー(類)を含有していてもよいモノマー混合物から調製される。
【0057】
適切に使用されるポリ不飽和の架橋剤は、従来技術でよく知られている。また、重合前、重合中又は重合後に形成されるコポリマーと架橋可能な反応性基を有する単不飽和化合物を使用してもよい。適切に使用される他の架橋モノマーは、複数の反応性基、例えばエポキシ又はイソシアナート基、及び加水分解性シラン基を有する多官能性モノマーであってよい。多くのポリ不飽和化合物が、部分的又は全体的に架橋した3次元格子を形成させるために使用され得る。
【0058】
適切に使用されるポリ不飽和架橋モノマーの例には、芳香族ポリ不飽和モノマー、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフチレン、及びトリビニルベンゼン;脂環式ポリ不飽和モノマー、例えば1,2,4-トリビニルシクロヘキサン;フタル酸二官能性エステル、例えばフタル酸ジアリル;脂肪族ポリ不飽和モノマー、例えばジエン類、トリエン類及びテトラエン類、特にイソプレン、ブタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,5,9-デカトリエン、1,9-デカジエン及び1,5-ヘプタジエンが含まれる。
【0059】
適切に使用される他のポリ不飽和架橋モノマーには、例えばポリアルセニルエーテル、例えばトリアルキルペンタエリトリトール、ジアリルペンタエリトリトール、ジアリルスクロース、オクタアリルスクロース、及びトリメチロールプロパンジアリルエーテル;ポリオール又はポリ酸のポリ不飽和エステル、例えば1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、トリ(メタ)アクリル酸テトラメチレン、アクリル酸アリル、イタコン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、ジ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、及びジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、アルキレンビスアクリルアミド類、例えばメチレンビスアクリルアミド、プロピレンビスアクリルアミド;メチレンビスアクリルアミドのヒドロキシル化及びカルボキシル化誘導体、例えばN,N'-ビスメチロールメチレンビスアクリルアミド;ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、例えばジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ポリ不飽和シラン類、例えばジメチルジビニルシラン、メチルトリビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン、ジアリルジメチルシラン、及びテトラビニルシラン、ポリ不飽和スタンナン類、例えばテトラアリルチン(allyltin)及びジアリルジメチルチンが含まれる。
【0060】
反応性基を担持しており、適切に使用される単不飽和架橋モノマーは、N-メチロールアクリルアミド類;N-アルコキシ(メタ)アクリルアミド類であってよく、ここでアルコキシ基は、C-C18基、及び不飽和の加水分解性シラン類、例えばトリエトキシビニルシラン、トリス-イソプロポキシビニルシラン、及び3-トリエトキシシリルプロピルメタクリラートを表す。
【0061】
いくつかの反応性基を担持しており、適切に使用される多官能性架橋モノマーは、例えば加水分解性シラン類、例えばエチルトリエトキシシラン及びエチルトリメトキシシラン;加水分解性エポキシシラン類、例えば2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルトリメチルオキシシラン;ポリイソシアナート類、例えば1,4-ジイソシアナートブタン、1,6-ジイソシアナートヘキサン、1,4-フェニレンジイソシアナート、及び4,4'-オキシビス(フェニルイソシアナート);不飽和エポキシ、例えばメタクリル酸グリシジル及びアリルグリシジルエーテル;ポリエポキシド類、例えばジグリシジルエーテル、1,2,5,6-ジエポキシヘキサン、及びエチレングリコールジグリシジルエーテルであってよい。
【0062】
特に適切に使用されるポリ不飽和架橋モノマーは、エトキシル化ポリオール、例えばヒドロキシル官能基モル当たり2〜100モルのエチレンオキシドでエトキシル化され、重合性不飽和基、例えばビニルエーテル、アリルエーテル、アクリラート型エステル、又はメタクリラート型エステルで終結しているジオール類、トリオール類及びビスフェノール類である。このような架橋モノマーは、例えばビスフェノールAのエトキシル化ジメタクリラート、ビスフェノールFのエトキシル化ジメタクリラート、及びエトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリラートであってよい。
【0063】
本発明での使用に適した他のエトキシル化架橋モノマーは、例えば米国特許第6140435号に開示されているような、エトキシル化ポリオールから誘導された架橋剤である。
【0064】
架橋モノマーの特に好ましい例には、少なくとも2つのアクリラート又はメタクリラートエステル基を有するポリオールのアクリラート及びメタクリラートエステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)、トリメチロールプロパンジメタクリラート、トリエチレングリコールジメタクリラート(TEGDMA)、及びエトキシル化(30)ビスフェノールAジメタクリラート(EOBDMA)が含まれる。
【0065】
架橋モノマー(類)が存在する場合、それらはモノマー混合物の重量に対して、好ましくは最大で5重量%である。好ましい実施態様において、架橋モノマーは、モノマー混合物の全重量に対して、0.001〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
【0066】
先に説明したように、モノマー混合物は、一又は複数の連鎖移動剤(類)を含有していてもよい。前記連鎖移動剤は、従来技術でよく知られている化合物である。
特にチオール化合物、ジスルフィド化合物、例えばC-C18メルカプタン類、メルカプトカルボン酸、メルカプトカルボン酸エステル、チオエステル、C-C18アルキルジスルフィド類、アリールジスルフィド類、多官能性チオール類;亜リン酸塩及び次亜リン酸塩;ハロアルキル化合物、例えば四塩化炭素、ブロモトリクロロメタン;及び不飽和連鎖移動剤、例えばアルファメチルスチレンを挙げることができる。
【0067】
多官能性チオール類は、例えば三官能性チオール類、特にトリメチロールプロパン-トリス-(3-メルカプトプロピオナート)、四官能性チオール類、例えばペンタエリトリトール-テトラ(3-メルカプトプロピオナート)、ペンタエリトリトール-テトラ(チオグリコラート)及びペンタエリトリトール-テトラ(チオラクタート);六官能性チオール類、例えばペンタエリトリトール-ヘキサ(チオグリコナート)である。
【0068】
また、連鎖移動剤(類)は、ビニルモノマーのフリーラジカル重合中、付加ポリマーの分子量を最小にする触媒連鎖移動剤であってよい。例えばコバルトベースの錯体、特にコバルト(II)キレートを挙げることができる。多くの場合、触媒連鎖移動剤は、チオール型の連鎖移動剤と比較して低濃度で使用され得る。
最も好ましくは、連鎖移動剤の適切な例には、オクチルメルカプタン、N-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン(ODM)、3-メルカプトプロピオン酸イソオクチル(IMP)、3-メルカプトプロピオン酸ブチル、3-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸イソオクチル、及びチオグリコール酸ドデシルが含まれる。
【0069】
連鎖移動剤(類)が存在する場合、それらは、モノマー混合物の全重量に対して、好ましくは10重量%までの量でモノマー混合物に添加される。好ましくは、連鎖移動剤(類)は、モノマーの全重量に対して、0.1重量%〜5重量%である。
【0070】
先に説明したように、本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマーを適切に調製するためのモノマー混合物は、一又は複数のポリマー安定剤(類)を含有していてもよい。好ましくは、ポリマーは水溶性である。合成ポリマーとしては、例えばポリビニルアルコール類、部分的に加水分解したポリビニルアセタート類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド類、ポリメタクリルアミド類、カルボキシル化付加ポリマー、ポリアルキルビニルエーテル;水溶性の天然ポリマー、例えばゼラチン、ペプチン、アルギナート類、カゼイン、デンプン;変性した天然ポリマー、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アリルヒドロキシエチルセルロースを挙げることができる。
【0071】
適切なポリマー安定剤は、エマルションの全重量に対して最大で2重量%までに相当する量、好ましくは0.0001〜1重量%の範囲の量、より好ましくは0.01〜0.5重量%の量で使用される。
【0072】
特に好ましい実施態様において、本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマーを適切に調製するためのモノマー混合物は、モノマー混合物の全重量に対して、
a)20〜50重量%の、
− 3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリラート、
− N'-(3-N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、
− 2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、
− 2-(N,N-ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、
− 2-(tert-ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、
− 2-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、及び
− 2-(N,N-ジメチルアミノ)ネオペンチルアクリラート、
から選択される、少なくとも一のアミン基で置換された少なくとも一のビニルモノマー、
b)50〜65重量%の、アクリル酸C-C30アルキルエステル、メタクリル酸C-C30アルキルエステル、及びそれらの混合物から選択される、少なくとも一の非イオン性疎水性ビニルモノマー、
c)0.1〜10重量%の、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸セチル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸セテアリール、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ステアリル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸アラキジル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ベヘニル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ラウリル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸セロチル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸モンタニル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸メリシル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ラセリル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸トリスチリルフェノール、硬化ヒマシ油のポリエトキシル化(メタ)アクリラート類、カノーラのポリエトキシル化(メタ)アクリラート類、コレステロールのポリエトキシル化(メタ)アクリラート類、及びそれらの混合物から選択される、少なくとも一の会合性ビニルモノマー、
d)0.1〜10重量%の、次の式:
CH=CH-O(CH)O(CO)(CO)H、又は
CH=CHCHO(CO)(CO)
[上式中、
aは2、3又は4であり;
bは1〜10の範囲の整数であり;
cは5〜50の範囲の整数であり;
dは1〜10の範囲の整数であり;及び
eは5〜50の範囲の整数である]
の一つを有する少なくとも一の半疎水性のビニル界面活性モノマー、
e)10重量%までの、少なくとも一の非イオン性ヒドロキシル化ビニルモノマー、
f)5重量%までの、少なくとも架橋モノマー、
g)10重量%までの、少なくとも一の連鎖移動剤、及び
h)2重量%までの、少なくとも一のポリマー安定剤、
を含有する。
【0073】
本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマー(類)は、伝統的な重合法、例えばポリマーの分野でよく知られているエマルション重合を使用して調製されてよい。重合は、単純なバッチ処理、制御された添加法により実施されてよく、又は反応を小さな反応器中で開始し、ついで、モノマー塊を制御された方式で、反応器に添加してもよい(シーディングプロセス)。典型的には、重合は20〜80℃の範囲の反応温度で実施されるが、より高い又は低い温度が使用されてもよい。モノマー混合物の乳化を高めるために、エマルション重合を、エマルションの全重量に対して1〜10重量%、好ましくは3〜8重量%、さらに好ましくは5〜7重量%の範囲の量で存在する界面活性剤の存在下で、実施してもよい。またエマルション重合用の反応媒体は、好ましくはモノマー混合物の全重量に対して0.01〜3重量%の範囲の量で、一又は複数のフリーラジカル開始剤(類)をさらに含有している。重合は、中性又はわずかにアルカリ性のpH値の条件にある、水性アルコール媒体又は水性媒体中で実施されてよい。
【0074】
典型的な重合において、攪拌下、乳化界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤、好ましくは直鎖状又は分枝状のアルコールエトキシラート、又は非イオン性とアニオン性界面活性剤、例えば脂肪アルコールスルファート又は脂肪アルコールアルキルスルホナートの組合せが適切な容器において適量の水に入った溶液に、モノマー混合物が添加され、モノマーのエマルションが調製される。前記エマルションは、任意の公知の方法の手段で酸素除去され、ついで、重合触媒(開始剤)、例えば過硫酸ナトリウム、又はポリマーの分野でよく知られている任意の他の適合した重付加触媒を添加することにより、重合反応が開始する。重合が完了するまで、一般的には4時間から16時間の範囲の時間、反応混合物を攪拌する。必要であるならば、開始剤を添加する前に、モノマーのエマルションを20〜80℃の範囲の温度まで加熱してよい。未反応のモノマーの量を、付加的な量の触媒を添加することにより除去してもよい。得られたポリマーエマルションを反応器から取り出し、調整し、使用又は保存用としてよい。場合によっては、エマルションのpH値又は他の物理的又は化学的特徴を、反応器からエマルションを取り出す前に調節してもよい。典型的には、生成されたエマルションは、全量が10〜40重量%で変化する固形物を含有している。典型的には、得られたエマルションにおけるポリマーの全量は、15〜35重量%で変化し、一般的には最大で25重量%である。
【0075】
エマルション重合を容易にする適切な界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、両性又はカチオン性の界面活性剤、又はそれらの混合物であってよい。最も頻繁には、非イオン性又はアニオン性の界面活性剤、又はそれらの混合物が使用される。
エマルション重合法に伝統的に使用される任意のタイプの非イオン性、アニオン性、両性又はカチオン性の界面活性剤を使用してよい。
【0076】
先に説明したように、前記重合は、一又は複数のフリーラジカル開始剤(類)の存在下で実施されてよい。それらは、無機で不溶性の過硫酸化合物、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム;過酸化物、例えば過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル及び過酸化ラウリル;有機ヒドロペルオキシド、例えばクメンヒドロペルオキシド及びt-ブチルヒドロペルオキシド;有機過酸、例えば過酢酸;及び脂溶性のフリーラジカル発生物、例えば2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、及びそれらの混合物から選択されてよい。過酸化物及び過酸は、場合によっては、還元剤、例えば亜硫酸水素ナトリウム又はアスコルビン酸、遷移金属、ヒドラジンで活性化されてもよい。特に適したフリーラジカル開始剤には、水溶性のアゾタイプの重合開始剤、例えばアルキル基に水溶性の置換基を有する2,2'-アゾビス(tert-アルキル)化合物が含まれる。好ましいアゾタイプの重合触媒には、デュポン社から販売されているフリーラジカル開始剤VAZO(登録商標)、例えばVAZO(登録商標)44(2,2'-アゾビス(2-4,5-ジヒドロイミダゾリル)プロパン)、VAZO(登録商標)56(2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド)、及びVAZO(登録商標)68(4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸))が含まれる。
【0077】
本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマーとしては、INCI名でポリアクリラート-1架橋ポリマーに相当し、アクア(AQUA)CCの名称でノベオン社(NOVEON)から市販されている化合物を特に挙げることができる。
前記ポリアクリラート-1架橋ポリマーは;
− ジ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキルメタクリラート、
− 一又は複数の(メタ)アクリル酸C-C30単純エステル(類)、
− ポリエチレングリコール(20-25)C10-C30アルキルエーテルメタクリラート、
− ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール-30/5アリルエーテル、
− ヒドロキシ(C-C)アルキルメタクリラート、
− エチレングリコールジメタクリラート、
を含有するモノマー混合物の重合による反応生成物である。
【0078】
本発明の方法に使用される増粘カチオン性ポリマー(類)は、酸化組成物の重量に対して、典型的には0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%である。
【0079】
上述した増粘カチオン性ポリマー(類)に加えて、本発明の毛髪をパーマネント再成形させる方法に使用される酸化組成物は、少なくとも一の酸化剤を含有する。これは、好ましくは過酸化水素、アルカリ臭素酸塩、ポリチオナート類、過酸塩、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩、及び過硫酸塩から選択される。
好ましくは、酸化剤は過酸化水素である。
【0080】
酸化剤(類)は、酸化組成物の全重量に対して、一般的には0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜20重量%である。
好ましくは、酸化剤が過酸化水素である場合、本発明の方法に使用される酸化組成物は、少なくとも一の過酸化水素安定剤を含有する。
特に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のピロリン酸塩、例えばピロリン酸四ナトリウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスズ酸塩、フェナセチン又は酸及びオキシキノリン塩、例えば硫酸オキシキノリンを挙げることができる。より有利には、少なくとも一のピロリン酸塩と共に、又はそうではなく、少なくとも一のスズ酸塩が使用されるであろう。
【0081】
過酸化水素安定剤(類)は、酸化組成物の全重量に対して、典型的には0.0001重量%〜5重量%、好ましくは0.01〜2重量%である。
【0082】
毛髪の繊維の美容特性を改善する、又は毛髪のダメージを低減又は防止するために、本発明の方法に使用される酸化組成物は、一又は複数の化粧品用活性剤(類)をさらに含有してよい。
これ又はこれらの活性剤(類)は、一般的にシリコーン類、本発明で使用され、先に記載した増粘カチオン性ポリマーとは異なるカチオン性ポリマー、アニオン性、非イオン性又は両性のポリマー、ペプチド類及びそれらの誘導体、タンパク質加水分解物、ロウ、膨張剤及び浸透剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン性の界面活性剤、抜毛防止剤、抗フケ剤、本発明で使用され、先に記載した増粘カチオン性ポリマーとは異なる天然又は合成の増粘剤、懸濁剤、金属イオン封鎖剤、不透明化剤、サンスクリーン剤、ビタミン類又はプロビタミン類、鉱物性、植物性又は合成油、並びに香料、防腐剤、及びそれらの混合物から選択される。
本発明の方法に使用される酸化組成物は、好ましくは一又は複数のシリコーン(類)をさらに含有する。
【0083】
先に説明したように、本発明の方法に使用される酸化組成物は、一又は複数の金属イオン封鎖剤(類)を含有していてよい。
金属イオン封鎖剤(類)は、特にEDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びその塩、例えばジナトリウムEDTA及びジカリウムEDTA、リン酸型化合物、例えばメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ホスホン酸及びその塩、例えばエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸塩、及びエチドロン酸四ナトリウムから選択されてよい。
【0084】
先に説明したように、本発明の方法に使用される酸化組成物は、一又は複数の防腐剤(類)を含有していてよい。化粧品用組成物に伝統的に使用されている任意のタイプの防腐剤が使用されてよい。特にサリチル酸ナトリウムが使用され得る。
【0085】
典型的には、酸化又は還元組成物のpH値は、1〜13、好ましくは1.5〜12で変化する。
酸化剤が過酸化水素(過酸化水素水)である場合、酸化組成物のpHは、好ましくは1.5〜7、より好ましくは1.5〜5で変化する。
還元組成物のpH値は、好ましくは6〜12、より好ましくは7〜11、最も好ましくは8〜10で変化する。
本発明の水性酸化又は還元組成物のpH値は、伝統的には、アルカリ性化剤、例えばアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、プロパンジアミン-1,3、アルカリ性又はアンモニウムのカルボナート又はビカルボナート、有機炭酸塩、例えば炭酸グアニジン、又はアルカリ性の水酸化物で、もちろん、これら全ての化合物が単独で又は組合物としてみなされ得るもの、もしくは酸性化剤、例えば塩酸、酢酸、乳酸又はホウ酸を添加することにより、得る及び/又は調節することができる。
【0086】
本発明の方法に使用される還元及び酸化組成物用のビヒクルは、好ましくは水から作製される水性媒体であり、有利には化粧品的に許容可能な有機溶媒、特にアルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール、又はポリオール類又はポリオールエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコール又はそのエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール及びジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル又はモノブチルエーテルを含んでいてよい。溶媒は、組成物の全重量に対して約0.5〜20重量%、好ましくは約2〜10重量%の範囲の量で存在していてよい。
【0087】
好ましくは、本発明の方法の酸化組成物は、25℃、1s−1の剪断速度で、50センチポアズ〜1000ポアズ、好ましくは75センチポアズ〜100ポアズの範囲の動的粘度を有する。
【0088】
先に説明したように、本発明の方法は、ケラチン繊維、特に毛髪に還元組成物を塗布する工程、ついで、酸化組成物を塗布する工程を含む。
毛髪は、当業者によく知られている機械的手段を使用し、所定の形状にセットされる。
【0089】
パーマ操作を実施する(パーマ法)場合、好ましくはカーラーが使用され、毛髪を再成形する手段の前、中又は後に還元組成物が塗布され、すすぐための任意の中間又は後続工程、又は任意の中間組成物を塗布する、又はすることなく、還元組成物の後に、固定、酸化組成物が塗布される。
【0090】
好ましくは、還元組成物は、直径2〜30mmのカーラーの周囲に予め巻かれた湿った毛髪に塗布される。また組成物は、毛髪の巻き上げがなされた時に塗布されてもよい。典型的には、還元組成物は、5〜60分、好ましくは10〜45分の範囲の期間反応させ、ついで、毛髪を十分にすすぐ。その後、酸化組成物を湿った毛髪に塗布し、一般的に2〜20分の範囲の反応時間、ケラチンジスルフィド結合を再成形させる。カーラーを取り除いた後、毛髪を十分にすすぐ。
【0091】
還元組成物を塗布し、反応時間の全て又は一部の間、30〜220℃の範囲の温度で加熱することにより、毛髪に熱処理をかけてもよい。実際、このような工程は、フード型ヘアドライラー、ヘアドライヤー、IR発光装置、及び他の通常の加熱装置を使用して実施されてよい。
加熱手段及び毛髪の成形手段の双方として、60〜220℃、好ましくは120〜220℃の範囲の温度で加熱用アイロンを使用してもよく、加熱用アイロンは、還元組成物を塗布する工程と固定工程の間で使用される。
【0092】
毛髪の縮れをとる又はストレート化する(ストレート化法)ために、還元組成物を毛髪に塗布し、ついで、例えば大きな歯の櫛、櫛の背、手の甲を用いて、毛髪にストレート化施術をすることにより、毛髪を新規の形状に固定する機械的変形にかける。一般的には5〜60分、好ましくは15〜45分の範囲の反応時間後、再度、他のストレート化を実施してよく、ついで、毛髪を十分にすすぎ、上述したような酸化組成物を塗布し、典型的には約2〜20分放置し、その後、毛髪を十分にすすぐ。
また毛髪のストレート化は、全プロセス又はその一部において、60〜220℃、好ましくは120〜200℃の範囲の温度の加熱用アイロンを使用して実施されてよい。
【0093】
さらに本発明は、過酸化水素を放出し得る酸化化合物、又は過酸化水素を含有する酸化組成物における、保存安定性のある組成物を得るための、増粘カチオン性ポリマーの使用に関する。
本発明を以下の実施例により例証する。
【実施例】
【0094】
実施例1
本発明の毛髪をパーマネントに変形させる方法を実施するための、還元組成物及び酸化組成物を調製した。
還元組成物は、6重量%のチオグリコール酸を含有する水性組成物である。
酸化組成物の調製は以下の通りである、
過酸化水素 4.8g
エチドロン酸四ナトリウム 0.2g
ピロリン酸四ナトリウム 0.04g
サリチル酸ナトリウム 0.035g
ノベオン社のアクアCC 1%AM(重量による)
(ポリアクリラート-1架橋ポリマー)
ホスホン酸 pH3にする量
脱塩水 計100g
還元組成物を、予めカーラーの周囲に巻かれた湿った毛髪に塗布した。還元組成物を、毛髪において15分放置し、ついで毛髪を十分にすすいだ。
ついで、酸化組成物を毛髪に塗布し、しばらくの間、反応させた。
【0095】
実施例2
本発明の毛髪をパーマネントに変形させる方法を実施するための、還元組成物及び酸化組成物を調製した。
還元組成物は、5.1重量%のチオグリコール酸と、2.5重量%のジアンモニウムジチオグリコラートを含有する水性組成物である。
酸化組成物の調製は以下の通りである、
過酸化水素 4.8g
エチドロン酸四ナトリウム 0.2g
ピロリン酸四ナトリウム 0.04g
サリチル酸ナトリウム 0.035g
ノベオン社のアクアCC 2%AM(重量による)
(ポリアクリラート-1架橋ポリマー)
サルケアSC96 1%AM(重量による)
ホスホン酸 pH3にする量
脱塩水 計100g
還元組成物を、予めカーラーの周囲に巻かれた湿った毛髪に塗布した。還元組成物を、毛髪において15分放置し、ついで毛髪を十分にすすいだ。
ついで、酸化組成物を毛髪に塗布し、しばらくの間、反応させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− ケラチンのジスルフィド結合を還元するために、ケラチン繊維に還元組成物を塗布し、ここでケラチン繊維は該塗布の前、塗布中又は後に、所望の形態にセットされる工程、ついで、
− a)少なくとも一のアミン基で置換された少なくとも一のビニルモノマー、
b)少なくとも一の非イオン性疎水性ビニルモノマー、
c)少なくとも一の会合性ビニルモノマー、及び
d)少なくとも一の半疎水性のビニル界面活性モノマー、
を含むモノマー混合物の重合生成物である、少なくとも一の増粘カチオン性ポリマーと、少なくとも一の酸化剤を含有する酸化組成物をケラチン繊維に塗布することによる、該結合を再形成させるための酸化固定工程;
を含む、毛髪のケラチン繊維等のケラチン繊維のパーマネント再成形方法。
【請求項2】
モノマー混合物が、モノマー混合物の全重量に対して、
a)10〜70重量%の、少なくとも一のアミン基で置換されたビニルモノマー、
b)20〜80重量%の、非イオン性疎水性ビニルモノマー、
c)0.001〜25重量%の、会合性ビニルモノマー、
d)0.01〜25重量%の、半疎水性のビニル界面活性モノマー、
e)0〜10重量%の、少なくとも一の非イオン性ヒドロキシル化ビニルモノマー、
f)0〜5重量%の、少なくとも架橋モノマー、
g)0〜10重量%の、少なくとも一の連鎖移動剤、及び
h)0〜2重量%の、少なくとも一のポリマー安定剤、
を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一のアミン基で置換されたビニルモノマーが、
− モノ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリラート類、
− ジ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリラート類、好ましくはジ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリラート類、
− モノ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリルアミド類、
− ジ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル(メタ)アクリルアミド類、
− 窒素原子を有する複素環(メタ)アクリルアミド類、
− 窒素原子を有する複素環(メタ)アクリラート類、
及びそれらの組合せ、
から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
非イオン性疎水性ビニルモノマーが、次の式(I)又は(II)
(I) CH=C(X)Z、
(II) CH=CH-OC(O)R;
[式(I)及び(II)の双方において;
Xは、H又はメチル基を表し;
Zは、-C(O)OR、-C(O)NH、-C(O)NHR、-C(O)N(R)、-C、-COR、-CCl、-CN、-NHC(O)CH、-NHC(O)H、N-(2-ピロリドニル)、N-カプロラクタミル、-C(O)NHC(CH)、-C(O)NHCHCH-N-エチレン尿素、-SiR、-C(O)O(CH)SiR、-C(O)NH(CH)SiR、又は-(CH)SiR基を表し;
xは1〜6の範囲の整数であり;
各Rは独立して、C-C30アルキル基を表し;
各Rは独立して、C-C30アルキル基、ヒドロキシル化C-C30アルキル基、又はハロゲン化C-C30アルキル基を表す]
のいずれかを有する化合物から選択される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
会合性ビニルモノマーが、次の式(III):
【化1】

[上式中、
各Rは独立して、H、メチル基、-C(O)OH基、又は-C(O)OR基を表し;
は、C-C30アルキル基を表し;
Aは、-CHC(O)O-、-C(O)O-、-O-、CHO、-NHC(O)NH-、-C(O)NH-、-Ar-(CE)-NHC(O)O-、-Ar-(CE)-NHC(O)NH-、又は-CHCH-NHC(O)-基を表し;
Arは、2価のアリール基を表し;
Eは、H又はメチル基であり;
zは、0又は1であり;
kは、0〜30の範囲の整数であり;
mは0又は1であり、但し、k=0の場合はm=0であり、kが1〜30の範囲である場合はmは1であり;
(R-O)は、C-Cオキシアルキレン単位を有するブロックコポリマー、ランダムコポリマー、ホモポリマーである、ポリオキシアルキレン基を表し;
は、C、C、C、又はそれらの混合物を表し;
nは5〜250の範囲の整数であり;
Yは、-RO-、RNH-、-C(O)-、-C(O)NH-、RNHC(O)NH-、又は-C(O)NHC(O)-を表し;
は、直鎖状のC-C40アルキル基、分枝状のC-C40アルキル基、炭素環式のC-C40アルキル基から選択される、置換された又は未置換のアルキル基、C-C40アルキル基で置換されたフェニル基、アリール基で置換されたC-C40アルキル基、C-C80複合エステルであり;
アルキル基Rは、ヒドロキシル、アルコキシル及びハロゲン基から選択される一又は複数の置換基を有していてもよい]
の化合物から選択される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
半疎水性のビニル界面活性モノマーが、末端基に共有結合するポリオキシアルキレン基と重合性の不飽和末端基を有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記モノマー混合物が、モノマー混合物の全重量に対して、
a)20〜50重量%の、
− 3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリラート、
− N'-(3-N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、
− 2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、
− 2-(N,N-ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、
− 2-(tert-ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、
− 2-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、及び
− 2-(N,N-ジメチルアミノ)ネオペンチルアクリラート、
から選択される、少なくとも一のアミン基で置換された少なくとも一のビニルモノマー、
b)50〜65重量%の、アクリル酸C-C30アルキルエステル、メタクリル酸C-C30アルキルエステル、及びそれらの混合物から選択される、少なくとも一の非イオン性疎水性ビニルモノマー、
c)0.1〜10重量%の、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸セチル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸セテアリール、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ステアリル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸アラキジル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ベヘニル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ラウリル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸セロチル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸モンタニル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸メリシル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸ラセリル、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸トリスチリルフェノール、硬化ヒマシ油のポリエトキシル化(メタ)アクリラート類、カノーラのポリエトキシル化(メタ)アクリラート類、コレステロールのポリエトキシル化(メタ)アクリラート類、及びそれらの混合物から選択される、少なくとも一の会合性ビニルモノマー、
d)0.1〜10重量%の、次の式:
CH=CH-O(CH)O(CO)(CO)H、又は
CH=CHCHO(CO)(CO)
[上式中、
aは2、3又は4であり;
bは1〜10の範囲の整数であり;
cは5〜50の範囲の整数であり;
dは1〜10の範囲の整数であり;及び
eは5〜50の範囲の整数である]
の一つを有する少なくとも一の半疎水性のビニル界面活性モノマー、
e)10重量%までの、少なくとも一の非イオン性ヒドロキシル化ビニルモノマー、
f)5重量%までの、少なくとも架橋モノマー、
g)10重量%までの、少なくとも一の連鎖移動剤、及び
h)2重量%までの、少なくとも一のポリマー安定剤、
を含有する、請求項2ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化剤が、過酸化水素、アルカリ臭素酸塩、ポリチオナート類、過ホウ酸塩、過炭酸塩及び過硫酸塩等の過酸塩から選択される、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
25℃、1s−1の剪断速度で測定される酸化組成物の動的粘度が、50センチポアズ〜1000ポアズ、好ましくは75センチポアズ〜100ポアズで変化する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
過酸化水素を放出する任意の酸化化合物、又は過酸化水素を含有する酸化組成物における、保存安定性のある組成物を製造するための、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の増粘カチオン性ポリマーの使用。

【公開番号】特開2009−1542(P2009−1542A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−31441(P2008−31441)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】