壁ソケットを介して住居又は商業ビルの消費電力を測定するためのシステム及び方法
過電流保護装置に電気的に接続される複数の電気回路を有する住居内の使用電力を測定するシステム及び方法は、電力負荷がそこから電力を引き出している電気回路の一つに電気的に接続される電力測定装置により、電気回路の電気パラメータを測定するステップを含む。電気パラメータは、集中複素インピーダンスとしてモデル化される。あるいは、電気パラメータは、個々の電気器具の複素インピーダンスである。測定は、複素インピーダンスを計算するために使用される交流電圧の測定である。あるいは、測定は、複素インピーダンスを計算するための反射率測定技術を用いて行われる。測定された電気パラメータを用いている電気回路へ接続されている電力負荷により引き出されている電力を示すデータ値が計算される。電気回路上で引き出されている電力を示す計算されたデータ値を示す指標が表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁ソケットを介して住居又は商業ビルの消費電力を測定するためのシステム及び方法に関する。
【0002】
なお、本出願は、2009年9月21日に出願された米国仮特許出願番号第61/244,114号、2009年11月24日に出願された米国仮特許出願番号第61/264,162号、及び2010年6月22日に出願された米国仮特許出願番号第61/357,412号の優先権を主張するものであり、その出願の内容全体を参照により援用する。
【背景技術】
【0003】
家庭、オフィス、及び他の建造物(住居)において、電力は支払請求周期を通して使用されており、消費者すなわち顧客は、電力会社からの請求書が届くまで使用電力の請求額がいくらになるかわからないのが通常である。使用電力すなわち使用電気の請求額は、使用電力が予想より多かったことから、消費者に「高値による衝撃(stickers shock)」を与えることがよくある。最近では消費者及び企業がより多くの電子機器を有している(例えば、大型テレビ、コンピュータ、等)ために、使用電力の請求額は概して年々増加し、かつ予測がつきづらくなってきた。
【0004】
消費者にリアルタイム又は最新(例えば、毎日)の使用電力及び/又は使用電力の請求額の情報を提供することにより、消費者の使用電力の請求額は、月間で最終的に10%〜20%低下するといわれている。そのような情報を提供しようとする昨今の試みには、スマートメータ、電力センサ、電力計、及び電気器具(appliance)/プラグセンサを用いて、使用電力データを収集して消費者にリアルタイム又は最新の使用電力情報を提供することが含まれる。
【0005】
スマートメータは、住居内で使用される電力の使用電力データを収集し通信することができる、「知能」(すなわち、処理システム)を有する電力計である。スマートメータは、電力が消費されているときに回転する大きなディスクを含む電気機械的なダイアルを有する、従来の「非知能型」の電力計に取って代わりつつある。スマートメータは、電力会社が使用電力を遠隔で読みとることを可能にし、また消費者にリアルタイム又は最新の使用電力情報を提供するためにも使用される。スマートメータは、高価である上に電気工に設置してもらう必要があるため、さらに費用がかかる。
【0006】
電力センサは、通常は既存の従来型の電力計、回路ブレーカ、又はヒューズボックスに設置される電子装置である。電力センサは、電力計、回路ブレーカ、又はヒューズボックスに入出する高圧線に直接設置されているのが通常である。いくつかの電力センサは、電力線により生成される電磁場を感知する電磁センサを用いている。電力センサは、電力センサを製造するために用いられる電気部品により高額になり得るが、さらに、電気工が高電圧線に又は電力計のガラスカバー内へ設置を行う必要があるために、設置の費用も高くなる。
【0007】
メータリーダは、電力計が使用電力を感知するときに回転する電力計ディスク上のストリップ(縞)を感知することができる光学読取装置を使用するのが通常である。メータリーダは、ストリップの回転を数え、その回転数を用いて消費者により使用された電力量を計算する。メータリーダは、消費者により電力計のガラスの周囲に巻きつけて固定される。メータリーダは、100ドルを超える費用がかかり、消費者が設置するには基本的レベルの機械的技能が必要であることが通常である。
【0008】
電気器具/プラグセンサは、壁ソケットにプラグ接続されるように構成されている装置であり、電気器具/プラグセンサにプラグ接続される電気器具を有している。電気器具/プラグセンサは、それに接続されている電気器具によって消費された電力を測定し、測定された電力値を、電気器具/プラグセンサ(すなわち、住宅)に対して通常ローカルであるセントラルロケーションに通信することができる。電気器具/プラグセンサは、約100USドルであるのが通常である。電気器具/プラグセンサの設置には実質的には何も技能を必要としないが、住居で消費される全電力を測定するためには、数千ドル分もの電気器具/プラグセンサを購入する必要がある。なぜなら、各電気器具を個別に測定する必要があるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
住居において電力を測定するための上述の技術は、消費者が使用電力をモニタできるようにするために使用可能であり有益であるが、それぞれが、費用面や消費者による設置の必要性等の欠点を有している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
既存の電力感知システム及び装置の欠点を克服するために、本発明は、住居ネットワーク又は別のネットワークを通じて装置の抵抗及び/又は複素インピーダンスを測定し、全使用電力を決定することができる、ソケットメータを提供する。住居の電力線は、通常、ヒューズボックス又は回路ブレーカにおいてキャパシタンスにより分岐される、2つの回路又はフェーズ(相)を含むように構成される。ソケットメータは、壁ソケットに接続される電力線へ通信される高周波(HF)信号を生成し、HF信号は、両方の電力回路上の電気器具のインピーダンスを測定できる程度に充分に高い周波数である結果、ヒューズボックス又は回路ブレーカにおけるキャパシタンスを超えることができる。ソケットメータは、コヒーレント又は非コヒーレントの測定技術を用いる。あるいは、ソケットメータは、コヒーレント技術又は非コヒーレント技術を用いて、回路上の電気器具の複素インピーダンスを測定するために、反射率計技術を用いて構成することができる。一実施形態では、時間領域使用電力測定が行われ、そして、それらの測定は、電気器具のタイプ、製造元(make)、及び可能であればモデルを決定するために、さまざまな電気器具の使用電力「シグネチャ」と対比される。
【0011】
ユーザが簡単に使用電力を測定できることに加えて、本発明は、サービス提供者に対して、消費者によって使用されている電気器具のさまざまなパラメータをモニタすることを提供し、消費者に対しては、消費者の住居用に調整された情報を提供する。上述したように、複素インピーダンス測定は、消費者の住居の電気コンセントへ接続された電気器具について、反射率計技術を用いて行われる。電気器具の複素インピーダンスの実部(抵抗)が経時的にモニタされ、これにより、サービス提供者が電気器具を、効率が落ちていく様子を長期的に追跡することができるようにする。時間領域使用電力測定と同様に、サービス提供者は、測定されている電気器具のタイプ、及び可能であれば製造元及びモデルを、電気器具の複素インピーダンス特性に基づいて、決定することができる。さらに、電気器具の効率は、抵抗(複素インピーダンスの実部)の増加に示されるように悪化するので、サービス提供者は、消費者に対して、1又は複数の販売者による交換可能な電気器具を含めた広告を作成することができ、それにより、消費者の購買ニーズを予測することができる。一実施形態では、交換可能な電気器具の販売者は、地理的に消費者の地元にある。さらに、サービス提供者は、電力が電気器具に加えられるときの抵抗の増加率を追跡することができ、抵抗の率があまりに急激に増加する場合は、電気器具が危険なほど熱くなっている可能性を示しているので、サービス提供者は、火災原因になる可能性を消費者に通知することができる。さらにまた、本発明思想の原理は、消費者の住居の地図の生成及びリアルタイム、最新の、及び非リアルタイムの電気器具の使用電力を示すことを提供することができる。
【0012】
サービス提供者は、電気器具の集合データを収集し、データを電気器具の製造業者、業界関係者、及び消費者へ提供する。一実施形態では、本発明思想の原理は、行政団体及び非政府団体により提供される場所に関し、地熱条件、風力エネルギ及び太陽エネルギを追跡し、そして、消費者の住居から収集される使用電力データに基づいて、他の電力源(例えば、ソーラパネル又は風力タービン)が消費者に利益をもたらすかを決定する。消費者は、代替電力源のサービス提供者から、費用/利益の分析及び広告を提供される。
【0013】
過電流保護装置へ電気的に接続される複数の電気回路を有する住居内の使用電力を測定するための方法の一実施形態は、電力負荷がそこから電力を引き出している電気回路の一つに電気的に接続される電力測定装置により、電気回路の電気パラメータを測定するステップを含む。電気パラメータは、集中複素インピーダンスである。あるいは、電気パラメータは、個々の電気器具の複素インピーダンスである。測定は、複素インピーダンスを計算するために使用される交流電圧のものである。あるいは、測定は、複素インピーダンスを計算するために用いられる反射率計技術を用いて行われる。測定された電気パラメータを用いている電気回路へ接続される電力負荷により引き出されている電力を示すデータ値が計算される。データ値は、測定された電気パラメータに基づく瞬時使用電力である。電気回路で引き出されている電力を示す算出されたデータ値を示すインディシア(indicia)が表示される。インディシアの表示は、ウェブサイト上にあり、顧客はダウンロードしてコンピュータ又はインターネットアクセスを提供する別の装置で見ることができる。あるいは、表示は住居における複数の電力回路の一つへ接続する、住居のソケットへ接続されているソケットメータにあってもよい。方法は、位相にわたる示度(readings)を伝送して、低周波(例えば、1MHz以下)の測定を可能にするために、フェーズカプラ(phase coupler)又はワイヤレス通信装置を介して、電力ネットワークの位相にわたって測定するステップを含む。フェーズカプラは、高精度インピーダンスコンバータシステムを含み、これはアナログ・デバイシズ・インコーポレーテッドにより提供されているAD5934などのアナログ/デジタルコンバータつきの周波数発生器を有しており、AD5934は、12bitで250kSPSのアナログ/デジタルコンバータ(ADC)を備えていることが、AD5934データシートRev.Aで詳説されており、その内容全体をここに援用する。
【0014】
過電流保護装置に電気的に接続される複数の電気回路を有する住居又は商業ビル内の使用電力を測定するための装置の一実施形態は、交流電流(AC)測定信号を生成するように構成される第1の回路と、電気回路の一つにAC測定信号を印加するように構成される第2の回路と、第2の回路が交流測定信号を電気回路の一つに印加することに応答して、複数の交流電圧を測定するように構成される第3の回路とを含む。処理ユニットは、第3の回路と通信しており、電気回路へ接続される電気器具のインピーダンスを計算するように構成される。インピーダンスは、互いに並列して接続されているインピーダンスにより算出されるような集中(lumped)インピーダンスである。入力/出力ユニットは処理ユニットと通信しており、処理ユニットにより生成されるデータを、通信ネットワークを介して遠隔地へ通信するように構成される。ソケット装置は、埋込型のウェブサーバを備え、該サーバは、ローカルに測定されたデータを記憶し、かつ測定されたデータとともに分配される、該測定データから抽出されるインデックスの計算を実行するローカルウェブサイトを運営する。このウェブサイトは、さまざまな方法で遠隔アクセスが可能である。遠隔アクセス地には、生成されたデータを公のウェブサイト上で収集かつ処理するように構成されるサーバが配置される。
【0015】
潜在顧客に対して電化製品(electrical appliance)を広告する方法の一実施形態は、電化製品の電気抵抗を経時的にモニタするステップを含む。モニタされた電気抵抗に基づく予測期間にわたり電化製品を使用するための予測費用が、予測期間にわたり代替電化製品を使用するための予測費用を上回るという決定が行われ、かつ、電化製品のユーザは、電化製品を代替電化製品に交換することで予測期間にわたり金銭的節約になることを示す通知が生成される。通知はさらに、購入可能な代替電化製品のリストを含む。リストは、1又は複数の広告を含む。広告は、小売業者などの、電化製品を販売する地元の広告主からのものである。通知は、遠隔サイト(遠隔地側)で累積される集合データと対比してエネルギの非効率な使用を示している現在の電気器具と交換可能なよりエネルギ効率のよい電気器具の潜在顧客として、ユーザへ通信される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】住居内の例示的な複数相(multi-phase)電力回路ネットワークの図である。
【図2】住居内の電力回路ネットワークの電力回路へ電気的に接続される壁ソケットに接続されたソケットメータのブロック図である。
【図3】並列された多相電力線の機能としての例示的なバスインピーダンスの図である。
【図4】例示的な線形交流実効値電圧計回路の図である。
【図5】負荷インピーダンスの回路図である。
【図6】リアクタンスを算出するために用いられる、実及び虚の複素インピーダンス及び電圧ベクトルの図である。
【図7】住居の電力回路に接続されている電気器具により引き出される電力を表す例示的な電力信号のグラフである。
【図8】例示的なソケットメータのブロック図である。
【図9】住居のブレーカパネルへ接続する電力回路へ接続する例示的なソケットメータを含む、例示的なネットワークシステムの図である。
【図10】使用電力を決定するために電気回路の電気パラメータを測定かつ処理するための例示的なプロセスのフロー図である。
【図11A】住居で顧客にサービスを提供しているサービス提供者を示す例示的なネットワークのブロック図である。
【図11B】サービス提供者のサーバの図11Aの処理ユニットで実行される例示的な一連のソフトウェアモジュールのブロック図である。
【図12】住居における電気器具の抵抗を測定することにより使用電力をモニタし、通知を顧客に通信する、例示的なプロセスのフロー図である。
【図13】サービス提供者の顧客が、広告を顧客に提供するサービス提供者に対して自身の好みを提示することを可能にする、例示的なウェブサイトを示す、例示的なブラウザインターフェースのストリーンショットである。
【図14】顧客が閲覧するための使用電力情報、メッセージ/警告、及び広告を含む例示的なウェブページを含む例示的なブラウザインターフェースのスクリーンショットである。
【図15】顧客が閲覧するための使用電力情報、地熱利用可能性、メッセージ/警告、及び、広告を含む例示的なウェブページを含む例示的なブラウザインターフェースのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明技術思想の実施形態を詳細に述べ、その例を図面に示す。図面を通して、同じ番号は同じ要素を示す。本発明思想を説明するために、図を参照して実施形態を説明する。
【0018】
商業用及び住宅用の建物を含む住居の使用電力を決定することは、さまざまな理由から、さまざまな当事者により望まれている。たとえば、エネルギ使用の料金を払う消費者は、エネルギサービス提供者からの電力請求書を受け取るときの「高値による衝撃」を回避するために、請求書間の(次の請求書までの)エネルギ使用を追跡したいと希望している。追加的な防災サービスを求めている消費者には、本発明思想の原理は望ましいものであろう。電気器具が非効率的になってきているかを知りたいと希望する消費者も、関心を持つであろう。加えて、消費者とさらにコミュニケーションを取りたいと希望するサービス提供者も関心を持つであろう。また、エネルギ効率が悪くなった又は壊れたなどの理由から消費者が既存の電気器具を交換しなければならないことを見越して、消費者との接触を望む電気器具の広告主も、関心を持つであろう。このようにさまざまな当事者には、使用電力を決定したい理由があるが、住居における使用電力を測定することができる装置の費用及びコンシューマーフレンドリネス(消費者にとっての手軽さ)には問題がある。
【0019】
図1は、電気器具102a〜102n(集合的に102)へ電力を供給するために、住居(例えば、家)において用いられる例示的な電力回路ネットワーク100の図である。電気器具102は、衣類乾燥機102a、温水器102b、電気オーブン/コンロ102c、及びHVAC(冷暖房換気)ユニット102nを含む。照明104a、ヘアドライヤ104b、コンピュータ104c、玩具104d、テレビ104e、及び任意の別の電気装置(集合的に104)等の他の電気器具は、電力回路にプラグで接続され、本発明思想の原理に従い、これらも測定の対象とされる。
【0020】
図示のように、そして当該技術分野で知られているように、電力回路ネットワーク100は、2つのフェーズ(相)、すなわち回路ブレーカ106等の過電流保護装置から伸長する回路100a及び100b、を含む。さらに、当該技術分野で知られているように、住居の外部の柱上変圧器(service transformer)108は、2相240ボルト交流電力信号を住居(不図示)へ送出する。柱上変圧器108と回路ブレーカ106との間に、サービスメータ110が、柱上変圧器108からの2つの電力線112a及び112bへ接続されているのが示されている。サービスメータ110は、電気器具102から引き出される全電力を測定する。サービスメータ110は、通常は使用電力を測定するだけの「非知能型」サービスメータであり、通信又は知能型の能力は有していない。最近使用されてきたスマートサービスメータは、使用電力についての報告を返す通信能力を有するが、高価であり、本発明思想の原理と対比すると能力が制限されている。住居の電力回路ネットワークにおけるスマートメータは有用であっても、本明細書で述べられるソケットメータの使用又は本発明思想の原理の使用を排除するものではない。実際のところ、本発明思想の原理のいくつか態様は、スマートメータに組み込むことができる。
【0021】
回路ブレーカ106内は、それぞれの多相線及びコンダクタを有するバスバー(bus bars)により形成されるキャパシタンスCである。当該技術分野で理解されているように、キャパシタンスは、2つの相を分離し、直流及び低周波信号が2つの回路100a及び100b間を通過するのを妨げる。キャパシタンスCが原因となり、電流計を用いた電流測定などの従来の電力測定を行うことができない。
【0022】
従来の電力測定は行うことができないため、本発明思想の原理は、キャパシタンスCを通過して、2つの回路100a及び100b上の全ての電気器具の抵抗及び/又はそれと等価の複素インピーダンスを測定することができる、高周波信号又は調波(トーン)を用いる。等価の複素インピーダンスは、本明細書でさらに述べるように、瞬時使用電力を計算するために使用される。高周波信号は、電力線通信(PLC)のために使用可能な高周波(HF)チップを用いてソケットメータ114により生成される。HFチップは、1MHz〜30MHzの間で動作するのが通常であり、これは高周波信号に適するものである。しかし、およそ1MHz以上の周波数であれば、キャパシタンスCを通過することができると通常は考えられ、2つの相にわたって測定するために必要な追加的な装置を用いることなく、複素インピーダンスの測定を行うことができる。本発明においては、使用電力を算出するために、全インピーダンス及び線間電圧を測定する。両方の相にわたる全インピーダンスは、HFで測定するか、又は各相を別々に測定して中央コンピュータで組み合わされる。全インピーダンスは、定常状態の交流測定により遠隔で測定することができる。別の実施形態では、定常状態の交流測定によって等価の抵抗及び/又は複素インピーダンスを測定するのではなく、反射率測定技術が使用されて、電力線ネットワーク100上の各電気器具のインピーダンスの特性が個別に測定される。ソケットメータ114は、電力回路100a等の電力回路のひとつ上の信号ソケット116にプラグ接続されるように構成されて、使用されるパルスが1MHz以上の周波数に変調されている場合に、回路100a及び100b上の電気器具による使用電力を計算するために抵抗及び/又は複素インピーダンスを測定する。
【0023】
図2は、例示的な簡略化した電力回路200を示している。電力回路200は、ヒューズボックス202の異なる側にある2つの回路200a及び200bからなる。電気器具(APP)A及びBは、電力回路200aへ接続され、電気器具(APP)C及びDは、電力回路200bへ接続される。電力回路200a及び200bは、直流及び低周波(およそ1MHz未満)ではキャパシタンスCにより電気的に分離される。ソケットメータ204は、電力ソケット206へ接続されるよう示されている。電力ソケット206は、2つのコンセントを備える従来の電力ソケットである。ソケットメータ204は、電力回路200aに接続するために電力ソケット206に差し込まれるような、2極プラグ及び3極プラグのいずれかで構成される。
【0024】
ソケットメータ204は、電力ソケット206からの120V交流電力を低電圧の高周波信号208に変換するように構成される。低電圧とは、たとえば5Vである。代わりに他の電圧を用いてもよい。しかし、低生産コストを維持するために、標準的なチップセット(例えば、HFチップ)に対応する電圧が使用される。当然ながら、汎用の回路を代わりに使用することもできる。
【0025】
図3は、住居における電力回路上のインピーダンスの代表的なインピーダンス回路モデル300の図を示している。インピーダンス回路モデル300は、どのようにして集中インピーダンスZbusが、電力回路へ接続されており互いに並列して電気的に接続された各電気器具のインピーダンスの関数として決定されるかを示す。
【0026】
【数1】
【0027】
バスインピーダンスから、住居で使用されている全電力が計算される。全電力は、Zbusの実部すなわち抵抗Rbus、及びソケットにわたる実測電圧を用いて計算される。
【0028】
負荷及び他の影響により、実電圧は120Vではない可能性があるので、実電圧の測定を行う。全電力の計算は、2つの相又は電力回路を考慮に入れるために、測定された電圧を2倍にすることを含む。当該技術分野で理解されているように、電力は、P=V2/Rで計算されるので、住居における2つの電力回路にわたる全電力を決定する場合、電力は、
(2) Ptotal=(Vsocket)2/Rbus
により算出される。
【0029】
図4は、例示的な線形交流電圧計400を示している。交流実効値電圧計回路を用いて、交流電圧が実効値電圧値に変換される。交流電圧計回路は例示であり、代替的な交流電圧計回路を使用することもできる。
【0030】
交流電圧計400は、オペアンプ406の正端子406aへ入力されるソース信号404を生成する高周波電圧源402を備えている。整流器408は、4つのダイオード410a、410b、410c、及び410dを備えている。電流は、オペアンプ406の出力406cへ流入又はそこから流出し、上部のダイオード410a又は410bの1つを通り、メータ412を右から左へ通り、下部のダイオード410c又は410dを通り、そして抵抗R2を通り上方又は下方へ流れて、ソース信号404と整合するようにされる。メータ412及び抵抗R2は直列接続されているので、同一の電流が抵抗R2とメータ412に流れる。そして、当該技術分野で理解されているように、オペアンプ406は、出力端子406cにおける出力電圧により、入力端子406bにおける反転入力電圧が、非反転入力端子406aにおける入力電圧(ソース信号404)と同一となるようにする。メータ412は、正弦波の実効値を示すように較正される。さらに、抵抗R2の値によりメータ412の全レンジが設定される。1mAメータが使用される場合は、1ボルトのレンジが与えられる。100pFキャパシタは、オペアンプ406が高周波で振動するのを防ぐ。しかし、100pFキャパシタは、高周波で正確性を失わせるため、このキャパシタは、可能な限り小さいながらも振動を防ぐものでなければならない。本発明思想の原理に従って同一又は等価の機能性を提供するために、代替的な値及び構成を用いることもできる。
【0031】
電圧計400は、時間領域における交流実効値電圧の測定を提供する。電圧計400は、図5に示す交流電圧VA、VI、及びVZのそれぞれを測定するように構成される。コンセントの両端の毎秒60サイクルで120ボルト電圧が通常である電圧Vsocketも、RMS(実効値)により測定される。3つの電圧VA、VI、及びVZは、電圧計回路によりモニタされるだけでなく、これらの電圧は、複素インピーダンス、電力、及び複素電力(すなわち、実電力及びリアクタンス電力)を計算するためにも用いられる。
【0032】
図5は、概略的例示の負荷インピーダンス回路500を示している。負荷インピーダンス回路500は、電圧源における抵抗R及び未知の複素インピーダンスZxを含む。RF測定では、抵抗Rは50オームに設定されるのが通常である。未知の複素インピーダンスZxは、実部(抵抗Rx)及び虚部(リアクタンスjXx)からなり、図3で述べたような、電力回路上に通常存在する並列複素インピーダンスを表している。複素インピーダンスは、既知の抵抗及び3つの交流電圧測定値、この場合はVA(印加電圧)、VI(既知のレジスタにわたる電圧)、及びVZ(未知のインピーダンスにわたる電圧)を有することにより測定することができる。図6は、リアクタンス(すなわち、キャパシタンス及びインダクタンス)を算出するために用いられる、実及び虚の複素インピーダンスの図である。電圧の大きさのみが既知であるが、図6に示されているように、ベクトルも、未知の複素インピーダンス値の計算に使用するために示されている。コサインの法則を用いて角度θの値を算出する。
【0033】
(3) cos(θ)= (VA2+VI2-VZ2)/2*VA*VI
負荷インピーダンス回路500から、抵抗値Rを含む全インピーダンスの大きさは、
(4) Za = R*VA/VI
として計算される。ここでVAはソース電圧であり、VIは抵抗Rの両端の電圧である。R及びRxの合計は、
(5) R+Rx = Za*Cos(θ)
により得られ、θは図6に示されている。そしてRxの値は、
(6) Rx = Za*Cos(θ)-R
によって求められる。
【0034】
見込まれる測定誤差を考慮すると、Rxは、計算で負になる可能性があるが、これは実際には生じにくい。実際にそのような結果になれば、インピーダンスは完全にリアクティブなので、Rxはゼロに設定される。
【0035】
未知のインピーダンスの大きさは、
(7) Z = R*VZ/VI
により計算される。
【0036】
未知のリアクタンスの大きさは、
(8) Xx = √(Z2-Rx2)
により計算される。
【0037】
なお、見込まれる測定誤差を考慮すると、負の数の二乗が生じる可能性がある。そのような結果になれば、Xxはゼロに設定される。未知のリアクタンスは、電気器具のタイプ、製造元、モデル(オプションで)の認識のために用いられるが、使用電力を算出するために必ずしも用いる必要はない。
【0038】
未知の複素インピーダンスを計算するために、上記の式を使用する例を説明する。未知の複素インピーダンスは、60オームのリアクタンスと直列接続されている30オームの抵抗を含み、これらは結合して67オームの複素インピーダンスを形成する。測定抵抗Rが50オームで、印加電圧VAが1Vの実効値である場合、測定される電圧VIは0.5Vrmsであり、測定される電圧VZは0.67Vrmsである。cosθは0.8と計算される。未知のインピーダンスZxは、67オームと計算され、Rxは30オームと計算され、jXxは60オームと計算される。交流電圧計は、印加交流電圧VA、測定される交流電圧VI及びVZを測定するために使用される。あるいは、ピーク・ツ・ピーク値又は真の実効値を用いてもよい。電圧測定では、より複雑で費用のかかる、大きさ及び位相の測定を行う必要はない。
【0039】
全電力Ptotal(式(2))の計算に加えて、電力回路ネットワーク上の使用電力を計算するために使用される全ハブリアクタンスZhubも計算される。Zhubは、
(9) Zhub = Rhub+jXhub
により計算される。
【0040】
電力回路ネットワーク上の使用電力を計算するために、全電力Ptotal及び全リアクタンスZhubは、たとえば毎秒など定期的に計算される。
【0041】
高周波信号の使用により、複数の電力回路上の電気器具のインピーダンス(すなわち、抵抗及びリアクタンス)を測定することが可能になるが、高周波の使用により、測定プロセスをさらに複雑になる。ワイヤの抵抗は、「スキン(skin)」効果によって増大する。例えば、60Hzでワイヤの抵抗は1オーム近くである。しかし、1MHzでは、ワイヤの抵抗は、非常に高くなる。高周波数では追加的なワイヤ抵抗が見られる。測定されている電気器具の抵抗は数十オームになるので、ワイヤのスキン効果により測定が難しくなる。スキン効果は、当該技術分野で理解されているように、交流電流がワイヤの外側表面に流れる原因となる。ワイヤの内側に電流が流れないため、抵抗を計算する際には、ワイヤの中央部分を除く必要がある。70Cにおける銅線の場合、ミルで表されるスキン深さは、
(10) S=2837/√(f)
により計算される。fは、ヘルツで表される周波数である。
【0042】
電流が流れる領域が低減すると、ワイヤの直流抵抗の電流に対する抵抗Rhfが増大する。抵抗の関係は、周波数の平方根及び定数値に比例し、定数値は、二乗されたスキン効果が、ほとんどの住居で使用されている1〜30MHzの範囲で動作する配線で使用されるワイヤの半径よりもはるかに小さい場合には、敷地内で用いられるワイヤのタイプ及びタイプの組み合わせに依存する。関係は、以下のように表すことができる。
【0043】
(11) Rhfwire = Rdcwire x Kwire x √(f) = Khftotal x √(f)
スキン効果による抵抗の問題は、例えば、HF周波数レンジを超える2以上の異なる周波数の測定を実行することにより、ほぼ排除することができる。そのフォームのモデルを形成するために、2以上の測定が用いられる。
【0044】
(11a) Rhf1 = Rapp + Rwire x Kwire x √(f1)
(11b) Rhf2 = Rapp + Rwire x Kwire x √(f2)
(11c) Rhf3 = Rapp + Rwire x Kwire x √(f3)
・・・・・
(11n) Rhfn = Rapp + Rwire x Kwire x √(fn)
一実施形態では、最少二乗関数を使用してRapp及びKtotalが決定される。ワイヤにより消費される電力は無視できるので、電気器具の抵抗Rappの抵抗のみがさらなる検討の対象となる。スキン効果もワイヤのインダクタンスを低減するが、ほんの数パーセントのみであるので、実負荷と比べると無視できる程度である。しかし、この効果も場合によっては、抵抗用に用いられるのと同様の方法で、修正することができる。
【0045】
Rx = R0 + Rl * √(f)の最少二乗解は、Ri + Ri + 1 √(f)の抵抗対の並列組み合わせとしてモデル化される多くの負荷に一般化され得る。抵抗対は、抵抗の並列ルールを用いて組み合わせられて、レジスタ及び測定周波数の線形関数を形成する。一連の非線形方程式は、各電気器具の抵抗値及び電気器具間のワイヤそれぞれの長さの抵抗値を算出するために、非線形最少二乗などの周知の方法が用いられて解かれる。結果として得られる情報は、住居内の使用電力のマップをプロットするために用いることができる。
【0046】
Rxを求める計算は、周波数のそれぞれに対して線形代数を用いて行われる。それを以下に示す。
【0047】
【数2】
【0048】
ここで、R0は、負荷の直流抵抗である。複数の周波数にわたる複素インピーダンスを測定することにより、異なる周波数で変化するインピーダンスの一部が、電力回路を形成するワイヤに関連するものとして決定されて、使用電力の計算から除かれる。
【0049】
直流抵抗Rdcは、住居の全ての電気器具により使用される電力(パワー)を計算するために使用される。
【0050】
(15) パワー = P = (Vrms socket)2 /Rdc
式(15)は、住居内の電力回路ネットワークの相又は回路の一つから120V交流を分配する壁ソケットへプラグ接続されるソケットメータに用いられる。しかし、本発明の原理に従うソケットメータ又は別の測定装置が交流240Vのリセプタクル(コンセント)へプラグ接続される場合は、ソケット装置は、両方の相にまたがり低周波信号を用いることができ、かつ電圧は、通常は240ボルトrmsであり、単相の一般的な120ボルトrmsのソケット装置にみられる120ボルトrmsではない。
【0051】
ボルトアンペアリアクタンスは、
(16) Q = (Vrms socket)2/Xx
により計算される。
【0052】
複素インピーダンスは、
(17) Z = R0 + jXx
により計算される。
【0053】
Xxは、HFバンドにある周波数の数で測定され、表皮効果を分離するために用いられる方法と同様に最少二乗関数を用いて、Xxを周波数のポリノミナル関数(polynomial function)としてみなすことにより、60Hzまで補外(extrapolated)される。このポリノミナルモデルは、実有理関数(ポリノミナルの比)の等級展開に基づいて調整される。ボルトアンペアリアクティブ(VAR)は、住居におけるエネルギ使用には用いられないが、何らかの法人顧客のエネルギ費用を決定するために使用される。したがって、複素インピーダンス及びVAR電力を決定することは、法人顧客のために、本発明により提供される。
【0054】
上述の技術を用いて行われる測定及び計算の例として、以下の表1に、測定される電圧、並びに計算される抵抗及び複素インピーダンスの、一連の例示的な測定及び計算を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
図3〜6及びその説明は、住居における使用電力を計算するために、集中インピーダンス(すなわち、並列する電気器具のそれぞれ)を決定するための非コヒーレント技術を提供している。上述した非コヒーレント技術を用いる代わりとして、本発明の原理は、コヒーレント方法も提供する。コヒーレント方法は、高周波信号をベースバンド信号へダウンコンバートするためにミキサを用いる。このような高周波信号のコヒーレント処理技術は当該技術分野では既知である。コヒーレント処理は、より高価かつ追加的な回路のために、非コヒーレント技術よりも費用がかかることが通常である。当業者であれば、上述したようにインピーダンス及び抵抗を計算するためのコヒーレント測定を実行する回路を、容易に作成することができるであろう。本明細書で詳細に述べられている方法は、複素インピーダンスを測定するための当該技術分野で既知の方法の一つである。他にもいくつか既知の方法を、本発明思想においてこの目的のために用いることができ、それらは例えば、自動平衡ブリッジインピーダンス測定回路、レゾナント(共鳴)Qメータ、RF I−V(無線周波数電流-電圧)インピーダンス測定回路、ネットワークアナリシス(反射係数)又はTDR(時間領域反射率測定)回路などである。任意のこれらの技術を用いて、本発明思想で用いられるようなHF周波数レンジ1〜30Mhzにおける複素インピーダンスを測定することができる。
【0057】
そして、測定される複素インピーダンスは、互いから区別されるか又はネットワークの負荷である電気器具の個々のインピーダンスを表す別々の成分に「分解」される。次に、ネットワーク及び個々の複素インピーダンスは、建物全体(例えば、住居のネットワーク全体)及び個別的にそれぞれの電気器具に関する、ネットワーク及び個々の電気器具の複素電力値に変換される。例えば、単一のネットワークの1つの電気器具又は全ての電気器具を、本発明思想を用いてモニタすることができる。
【0058】
本発明は、時間領域反射率測定(TDR)の技術を用いて行われるインピーダンス測定を実行することを提供する。反射率測定パルスがブレーカ回路のキャパシタンスを通過するようにするために、反射率測定パルスは、1MHzを超える高周波キャリア信号(例えば、1MHz〜30MHzの間)により乗算すなわち変調される。電気器具からのリターンパルスすなわち反射パルス及び不連続性(discontinuities)は、複素インピーダンスを決定するために復調かつ測定される。あるいは、インピーダンスは、1MHzを下回る周波数を用いて各相で測定し、ワイヤレス通信又はフェーズカプラを用いて、プロセッサで結合することもできる。集中パラメータインピーダンス技術と同様に、反射率測定技術では非コヒーレント及びコヒーレントの測定技術が用いられる。当該技術分野で理解されているように、反射率測定技術は、反射率測定信号の反射を測定するものであるという点で、集中インピーダンス測定技術よりも有利である。このことは、電力回路ネットワークのワイヤのスキン効果が測定に影響を及ぼさないことを意味し、それにより、複数のHF周波数で測定及びスキン効果のワイヤ測定値を排除する後処理を排除することができるからである。スキン効果の悪影響は、インピーダンスを決定して使用電力を計算するために反射率測定技術を用いることにより回避できるが、光の約半分の速度で移動する反射信号を測定するためには、反射率測定技術は、電子機器(electronics)の立ち上がり時間が原因で、実施がより困難で費用も高くなる。しかし、大量生産されれば、ユニットあたりの費用は低減されるので、このより高くはあるが経済的な費用は、集中インピーダンス技術と比べた測定の正確さの向上に見合う価値はある。
【0059】
図7には、住居の電力回路に接続されている電気器具により使用される電力を表す例示的な電力信号700のグラフを示す。示されるように、3つの冷蔵庫サイクル702a〜702c(集合的に702)が、冷蔵庫がオン又はオフになることに応答して、電力信号700で「矩形状態」をなしている。さらに、6つのヒータサイクル704a〜704f(集合的に704)は、ヒータがオン又はオフになることに応答している。冷蔵庫サイクル702及びヒータサイクル704のそれぞれは、関連する電気器具の使用電力の指標(シグネチャ:signature)を提供する。冷蔵庫サイクル702及びヒータサイクル704は例示であり、電気器具、製造元、及びモデルによっては、代替的なサイクルが生成されてもよい。一実施形態では、電気器具の各タイプ、製造元、及びモデルのサイクルのシグネチャ信号又は曲線は、ソケットメータにローカルに記憶されるか又はサーバに遠隔に記憶される。記憶されたシグネチャ信号は、測定されたサイクルと対比され、それにより、電気器具の特定のタイプ、製造元、及びモデルの決定を可能にする。時間t3及びt7間に示されているように、冷蔵庫サイクル702bは、ヒータサイクル704a〜704cとともに発生している。ヒータサイクル704〜704cが発生するときに、電力回路により引き出される電力量は増大し、使用電力は、ヒータサイクル702bの最上レベルから伸びていく。どの電気器具がオン又はオフの状態で、どのくらいの電力をそれぞれから引き出しているかを決定するために、どのようなサイクルが発生しているかを決定する際に、整合アルゴリズムにより、電力信号700における特定のサイクルを分離及び識別することができる。
【0060】
図8には、例示的なソケットメータ800のブロック図が示されており、該ソケットメータ800には、ソフトウェアを実行する処理ユニット802が含まれる。処理ユニット802は、入力/出力(I/O)ユニット806、メモリ808、トーン生成器(tone generator)810、リアルタイムクロック生成器812、及びユーザインターフェース814と通信可能である。I/Oユニット806は、(i)住居内の電力線にわたる測定信号、及び(ii)例えば携帯電話ネットワーク、Wi−Fiネットワーク、インターネット、又は任意の別の通信ネットワーク等の、当該技術分野で理解されているような、通信ネットワークにわたるデータ通信信号と通信するように構成される。図示していないが、I/Oユニット806は、当該技術分野で理解されているように、アナログ/デジタル変換回路及びデジタル/アナログ変換回路の両方を備え、アナログ/デジタル変換及びデジタル/アナログ変換できるように構成される。メモリ808は、ソフトウェア及びソケットメータ800により収集かつ処理されているデータを記憶するように構成される。メモリ808はさらに、電気器具のシグネチャデータを記憶するよう構成され、それによりソケットメータ800が、ソケットメータ800が動作している住居の電力回路上で、どの特定の電気器具が動作しているかを決定できるようにする。あるいは、収集されサーバへ通信されるデータは、ソケットメータ800の遠隔にあるサーバが、住居の電力回路上で、どの特定の電気器具が動作しているかを決定する際に用いられる。
【0061】
トーン生成器810は、トーン(信号)が住居の電力線にわたり通信され、かつ回路ブレーカ又はヒューズボックスのキャパシタンスを通過できるようにするために、1又は複数の約1MHzを超えるトーンを生成するように構成される。一実施形態では、トーン生成器810を、2以上のトーン(例えば、2MHz、4MHz、6MHz、等)をHF周波数で生成できるように構成して、「スキン」効果により生じる住居における電力線のインピーダンスが計算できるようにされ、それにより、測定される電力回路上の電気器具の個々のインピーダンスの測定とともに、電気器具及び本発明思想により用いられるソケット間の距離の推定が可能になる。
【0062】
リアルタイクロック生成器812は、ソケットメータ800を作動するように構成され、それにより、処理ユニット802が測定日時を管理できるようにする。一実施形態では、リアルタイムクロック生成器812は、ある動作(例えば、収集されたデータを遠隔サーバに届ける)が一日の特定時間に発生するかを確かめるために、処理ユニット802により使用される。さらにまた、処理ユニット802は、リアルタイムクロック生成器812を使用して、例えば電気器具による負荷抵抗の変化であるスパイク状の特定のイベントが生じる日時をタイムスタンプする。一実施形態では、リアルタイムクロック生成器812は、インピーダンス測定を周期的に(例えば、毎秒)生じさせるために、処理ユニット802により使用される。
【0063】
ユーザインターフェース814は、押しボタン、ダイアル、タッチスクリーン、又は、ユーザが制御、プログラム、データアクセスすることを可能にし、又は別の方法でソケットメータ800とインターフェースすることを可能にする任意の別のユーザインターフェースエレメントを含む。ユーザインターフェース814は、例えば、ユーザが使用電力の閾値を設定することを可能にするので、住居における全使用電力が閾値レベルを超えた場合に、ソケットメータ800は、可聴、可視、又はメッセージの形態の通知を生成することができる。例えば、任意の時点で100KWを超えて使用された場合には、それを通知するために電子メール又は携帯電話のメール(テキストメッセージ)をユーザに通信するようにソケットメータ800を構成することができる。あるいは、ソケットメータ800は、可聴音(例えば、ビープ音)を生成して、過剰な電力が住居における電気器具から引き出されていることをユーザに通知することもできる。
【0064】
電力源816は、ソケットメータ800において他の部品に電力を供給するように構成される。電力源816は、ソケットメータ800が接続されている壁ソケットからの120ボルト交流電流を5ボルトの直流及び交流電力に変換することで、ソケットメータ800内の他の部品を作動させ、これには5ボルトの形式でHF周波信号(例えば、2MHz)の形式でトーン信号を生成するトーン生成器810に電力を供給することも含まれる。電力源816は、当該技術分野で理解されているように、再充電可能又は再充電不可能なバッテリであってもよい。
【0065】
図9は、例示的なネットワークシステム900の図であり、これには内部の回路図が示されているソケットメータ902が含まれており、ソケットメータ902は電力回路904へ接続され、電力回路904は住居のブレーカパネル905に接続されていることが示されている。一実施形態では、ソケットメータ902は、インターネット910又は任意の別のネットワークを介してサーバ908と通信するために、ホームルータ906と通信するように構成される。あるいは、ソケットメータ902は、サーバ908と通信するために携帯電話通信システムと通信する。パーソナルコンピュータ912は、ホームルータ906と通信しており、ウェブブラウザを介してグラフィカルユーザインターフェースを表示するように構成することもでき、当該技術分野で理解されているように、ソケットメータ902及び/又はサーバ908により決定される住居での使用電力を表すデータを受信かつ表示するように構成することができる。
【0066】
ソケットメータ902は、ソケットメータ902の動作を制御するように構成されるマイクロコントローラ回路914を含む。マイクロコントローラ回路914は、約1MHz〜約30MHzの間のトーンを生成するトーン生成器916と通信するように構成される。マイクロコントローラ回路914は、トーン生成器が生成する周波数を制御又は選択し、それにより、マイクロコントローラ回路914が、電力回路904上で動作する電気器具のインピーダンスを測定するために測定信号の周波数を選択的に設定できる。電力回路904(例えば、家の中の電力線)は、個々の回路の間にキャパシタンスCを有する複数の回路又は相を含む。高周波フィルタ回路918は、電力回路904と並列に構成されて、高周波(例えば、1MHz以上)をソケットメータ902から電力回路904を通じて通信し、なおかつ周波数信号を高周波より下に低減することを可能にする。抵抗器920は、トーン生成器916及び電力回路904と直列に接続される。
【0067】
動作においては、ソケットメータ902は、トーン生成器916により生成される印加電圧(VA)、抵抗器920の両端の電圧(VI)、及び電力回路904上の未知のインピーダンスの両端の電圧(VZ)を含む、3つの交流電圧レベルを測定するように構成される。図5及び図6に関して上述したように、これらの3つの電圧の大きさは、電力ネットワーク904上で並列に接続される電気器具の未知のインピーダンスの、抵抗及びリアクタンスの両方を決定するために使用される。ライン922、924、及び926は、電圧測定値928、930、932をマイクロコントローラ回路914に供給するために使用される。マイクロコントローラ回路914は、電圧測定(例えば、VA、VI、及びVZの測定)を処理し、さらなる処理のために、電圧測定値を、IEEE 802.3/802.11 I/Oコントローラである入力/出力ユニット934を介し、ホームルータ906を介して、サーバ908へ通信するように構成される。収集かつ通信される電圧値に加えて、ソケットメータ902はさらに、例えばタイムスタンプ、インピーダンス、使用電力、又はソケットメータ902が生成又は測定する任意の別の情報等の他のデータも通信するように構成される。メモリ936は、ソケットメータ902により使用するため、又はサーバ908へ通信してそこで処理するために、収集、生成、及び/又は処理されるデータを記憶するように構成される。一実施形態では、パーソナルコンピュータ912は、例えば通知信号、電力レベルアラート、又は任意の別のコンフィギュレーション(環境設定)パラメータ等の、特定のパラメータをプログラミング又は設定するために、ソケットメータ902と直接通信するように構成される。あるいは、顧客が、サーバ908により提供されるウェブサイトと情報のやりとりを行ってコンフィギュレーションパラメータを設定し、サーバ908が、コンフィギュレーションパラメータをソケットメータ902に通信するために、ソケットメータ902の設定を行う。
【0068】
図10には、使用電力を決定するために電気回路の電気パラメータを測定かつ処理するための例示的なプロセス1000のフロー図が示されている。プロセス1000は、ステップ1002から始まり、電力負荷により電力が引き出される住居内の複数の電気回路の1つの電気回路へ電気的に接続される壁ソケットへ接続される電力測定装置を使用して、電気回路の電気パラメータを測定する。一実施形態では、電気回路は、電気器具が接続される電線(electrical wire)を含んでいる。電気パラメータは、複素インピーダンスを含んでいる。複素インピーダンスは、電気回路(例えば、電気回路に接続された電気器具)により引き出される電力を計算するために使用される。本明細書で述べるように、複数の電気回路が回路ブレーカへ接続されて、回路ブレーカでキャパシタンスにより電気的に分離される。電力測定装置は、そのうちの1つの回路上の単一の電力コンセントへ接続されて、複数の電力回路に提供される電気パラメータ(例えば、2つの120V交流回路上の電気器具の並列インピーダンス)を測定する。
【0069】
ステップ1004では、測定された電気パラメータを用いている電気回路へ接続された電力負荷によって引き出されている電力を示すデータ値が計算される。データ値の計算では、測定された交流電圧を使用して、電気回路上の個々の電気器具と関連する複素インピーダンスの全複素インピーダンスが計算される。データ値は、全ての抵抗及び/又は複素インピーダンスである。あるいは、抵抗及び/又は複素インピーダンスの大部分(bulk)又は全てを計算するのではなく、個々の電気器具において反射率計測定を行うことにより求めることもできる。コヒーレント及び非コヒーレント測定技術のいずれかが使用される。
【0070】
ステップ1006では、電気回路上で利用されている電力を示すコンピュータデータの値を示す指標(インディシア)が表示される。一実施形態では、指標は82KW等の数字である。あるいは、指標は、グラフ、チャート、又は電気回路上の電気器具により引き出されている電力量を示すことができる、任意の別の指標である。ソケットが通信しているソケットメータ又はサーバにより収集及び/又は計算される複数のデータを示す複数の指標を表示することもできる。一実施形態では、指標の表示は、コンピューティング装置を介してユーザがアクセス可能なウェブサイト、ユーザのモバイル装置に通信されるテキストメッセージ、指標(インディシア)を含む電子メールメッセージ、又は当該技術分野で理解されているような、任意の別の表示形式で行われる。
【0071】
図11Aは、例示的なネットワーク1100のブロック図を示しており、該ネットワークは、住居1104a〜1104n(集合的に1104)の顧客にサービスを提供しているサービス提供者1102を備えている。住居1104のそれぞれは、各住居内の電力回路に接続されるソケットメータ1106a〜1106n(集合的に1106)を備えている。ソケットメータ1106は、住居の電力回路により給電されている電気器具の抵抗及び/又は複素インピーダンスを測定するように構成される。本明細書に記載のように、ソケットメータ1106は、インピーダンス測定技術又は反射率測定インピーダンス測定技術を用いて、複数の電力回路上の複素インピーダンスを測定するために、HF周波数を使用するように構成される。
【0072】
サービス提供者1104は、電力会社、第三者、又は、住居における消費電力を決定するサービスを提供し、ソケットメータ1106により測定される電気器具の消費電力及びパフォーマンスに基づく広告を顧客へ配信する、任意の別のサービス提供者である。サービス提供者1102は、サーバ1108を運転する。サーバ1108は、処理ユニット1110を有し、これにはソケットメータ1106により受信されるデータを処理するように構成されるソフトウェア(不図示)を実行する1又は複数のコンピュータプロセッサが含まれる。処理ユニット1110は、メモリ1112と通信しており、これは処理ユニット1100により収集及び/又は処理されるソフトウェア命令及びデータを記憶する。
【0073】
処理ユニット1110はさらに、入力/出力ユニット1114及び記憶ユニット1116と通信する。I/Oユニット1114は、インターネット等の通信ネットワーク1118を介してソケットメータ1106と通信するように構成される。記憶ユニット1116は、電気器具の特定のタイプ、製造元、及びモデルによる使用電力の指標(シグネチャ)データ、顧客情報、広告情報、地熱情報、及び本発明思想の原理に従う任意の別の情報を記憶するように構成される、1又は複数のデータレポジトリ1117a〜1117(集合的に1117)を記憶するように構成される。例えば、顧客情報は、データの履歴、顧客による使用電力、及び、サービス提供者1102がそれぞれの顧客の個々の電気器具のパフォーマンスを追跡することにより、電気器具の効率を追跡することを可能にする、電気器具のパフォーマンス履歴データを含んでいる。例えば、洗濯機の抵抗は経時的に追跡されて、非効率性を示す洗濯機の抵抗が洗濯機を取り換えなければならない程度まで増大するのはいつかを、サービス提供者1102が決定できるようにする。さらに、抵抗があまりにも増大する、すなわち初期段階での抵抗をはるかに上回って増大する場合は、洗濯機は火災原因になる可能性があるという決定がなされ、サービス提供者1102は、顧客にこの状況を知らせる通知又は警報を生成するとともに、地元又は地元以外の広告主から顧客にあてた、交換可能な洗濯機の1又は複数の広告を提供する。
【0074】
動作においては、ソケットメータ1106nは、住居1104nにおける電力回路で動作する電気器具のインピーダンスデータ1120を測定して、測定されたインピーダンスデータ1120を、ネットワーク1118を介してサービス提供者サーバ1108に通信する。ソケットメータ1106nがインピーダンスデータ1120に基づいて使用電力を計算する場合は、使用電力データは、測定されたインピーダンスデータ1120を伴って又は伴わずにサーバ1108に通信される。サービス提供者サーバ1108は、測定されたインピーダンスデータ1120を受信して、そのデータを処理することにより、処理された消費電力データ(例えば、瞬時使用電力、平均使用電力、全使用電力、等)うぃ生成し、また、通知(例えば、又は複数の電気器具が非効率的になりつつあること、又は新しい電気器具と比べて非効率性の閾値レベルを超えたという知らせ)、及び広告(例えば、ソケットメータ1106nにより行われた測定の結果に基づく特定の電気器具の広告)を生成する。データ1122は、ソケットメータ1106n、住居1104n内の表示装置、顧客のモバイル装置、又はサーバ1108により提供される顧客のウェブページに、再び通信される。データ1122は、顧客へ自動的に通信すなわち送り出されるか、又は顧客によりサーバ1108から取り出される。
【0075】
広告主1124a〜1124n(集合的に1124)は、サービス提供者1102と相互にやりとりして、非効率的又は壊れた電気器具を有する顧客が購入できる電気器具についての通知の配信に使用される広告情報を、サービス提供者へ提供する。広告主1124は、アドレス情報(不図示)及び広告内容1126a〜1126n(集合的に1126)をサービス提供者1102へ提供する。一実施形態では、処理ユニット1110は、地理的住所又は位置を含む顧客情報を用いて、新しい電気器具を必要としている顧客の地元の広告主を決定する。サーバ1108は、顧客の地元の広告主の情報を含む1又は複数の広告を生成するか又は含むことができ、これは電力価格、電気器具の使用電力、新しい電気器具の費用、又は任意の別の要因に基づいて行われる、顧客の電気器具が非効率的になってきている、又は、顧客が現在の非効率的な電気器具を取り換えると、顧客は一定期間に一定の金額を節約することができるという決定に応答して行われる。
【0076】
本発明はさらに、地熱データ1130をサービス提供者のサーバ1108へ提供するために、例えば、地域単位で太陽及び風のデータ等の地熱データ1130を収集するアメリカ政府等の地熱源1128を提供している。サーバ1108は、電気器具の広告主と同一又は異なる広告主1124から広告内容1126を受け取り、ソーラパネル又は風力タービン等の地熱電力源を設置することにより顧客はいくら節約になるかを決定するように構成される。決定は、顧客及び地元の地熱電力源供給元の地理的位置に基づいてカスタマイズされる。
【0077】
住居1104aの個々の顧客のためにデータを収集及び処理するサービス提供者1102に加えて、本発明は、データを集合として追跡するサービス提供者1102を提供している。サービス提供者1102は、電気器具の特定のタイプ、製造元、及びモデルのデータを受信するので、サービス提供者1102は、データを処理して、電気器具の製造元及びモデルが非効率的になる(例えば、新品時と対比して25%以上非効率的)までの平均期間、特定の電気器具の実平均使用電力(actual average power usage )、等を含むさまざまなパラメータを示す集合データを生成することができる。その結果得られる集合データは、商業的な目的にも消費者のためにも用いることができる。例えば、製造業者は、自分たちの電気器具が、長期的に「現場」でどのように動作するかを突き止めることを望むであろう。製造業界団体は、業界動向を求めて又はその他の目的のために、構成員である製造業者の統計にアクセスすることを望むであろう。消費者は、特定のブランドの製品やモデルが長期的にはどのようなパフォーマンスを有しているかを識別するために、この情報にアクセスすることを望むであろう。保険業者又は保証会社は、保証を適切な価格で一定期間にわたり設定するために、この集合的な情報を求めるであろう。集合データは、購入可能か又は自由に利用可能である。
【0078】
図11Bは、サービス提供者のサーバ1108の処理ユニット1110(図11A)で実行される例示的な一連のソフトウェアモジュール1150のブロック図である。ソフトウェアモジュール1150は、サーバ1108が、ソケットメータにより収集される電気器具のインピーダンスデータ等の使用電力データを管理かつ処理できるようにするよう構成される。ソフトウェアモジュール1150はさらに、顧客及び電気器具の広告主間の地理的距離等のさまざまな要因に基づいて、メッセージを生成して顧客へ通信するように構成される。例えば、ソフトウェアモジュール1150は、消費者への近接度に基づいて広告を選択的に整理して消費者へ表示し、消費者が地理的に地元の販売者をひいきにできるようにする。このようにして、地理的に消費者の地元の販売者の広告を、地理的に消費者の地元ではない販売者よりも前に記載する。
【0079】
ソケットメータデータ管理モジュール1152は、顧客の住居のソケットメータにより収集及び/又は生成されるデータを管理するように構成される。モジュール1152は、データを受信かつ記憶するように構成され、他のモジュールがデータを処理すること、及び、サービス提供者が後の時点で履歴を得るため及び他の目的のために「生の」データにアクセスすることを可能にする。
【0080】
使用電力データ生成モジュール1154は、ソケットメータから受信するデータに基づいて使用電力データを生成するように構成される。モジュール1154は、例えば、瞬時使用電力、平均使用電力、1つの支払請求周期の間の累積的な使用電力、又は任意の別の使用電力であって、その計測値に、顧客、サービス提供者、広告主、製造業者、産業界、又は任意の別の関係者が関心を示すであろうものを計算する。
【0081】
顧客情報管理モジュール1156は、顧客情報を記憶するように構成される。顧客情報は、名前、住所、地理的座標、人口統計学的情報、又は顧客に関する任意の別の情報を含んでいる。地理的座標は、広告主の地理的位置から顧客までの距離を決定するために用いられて、交換のための又は別の電気器具の関連広告を顧客に送付できるようにする。
【0082】
広告主情報管理モジュール1158は、広告主に関する情報を管理するように構成される。情報は、物理的住所情報、連絡先情報、ウェブサイト情報、地理的座標、情報、及び任意の別の情報を含んでいる。さらに、モジュール1158は、広告主に関連する電気器具の広告を管理するように構成される。一実施形態では、広告は、電気器具情報、電気器具の現在の価格、電気器具の電気的性能、電気器具の物理的構成等を含んでいる。価格等の電気器具に関する情報は、非効率的な電気器具をその電気器具に交換すると顧客は金銭的に節約できるか、を決定するために用いられる。一実施形態では、広告主は、電気器具を広告するものではなく、太陽等の再生可能エネルギ源を用いる地熱装置の広告主である。
【0083】
電気器具シグネチャ管理モジュール1160は、電気器具のタイプ、製造元、及びモデルの使用電力シグネチャ(指標)を管理するように構成される。使用電力指標の管理において、モジュール1160は、データベース等のデータレポジトリの指標を、組織的に記憶するように構成される。例えば、データレポジトリは、電気器具のタイプ、電気器具の製造元(製造業者)、電気器具のモデル、又は任意の別のコンフィギュレーションに基づいて、指標を記憶するように構成される。指標は、電力を引き出している電気器具のタイプを識別するために使用される。指標は、波形であってもよく、あるいは、複素インピーダンスを示すデータであってもよい。
【0084】
電気器具決定モジュール1162は、特に電気器具のタイプ、製造元、及び/又はモデルを識別するように構成される。住居で測定されている特定の電気器具の識別には、さまざまなパターンマッチング又は比較技術を用いる。例えば、同一、類似、又は修正された比較技術を用いて、音声認識に用いられている電気器具を決定する。一実施形態では、使用電力指標とのパターンマッチングが使用される。あるいは、及び/又は追加的に、複素インピーダンスのマッチングが実行される。本発明思想の原理に従い、さまざまな識別技術を用いることができる。使用電力指標のマッチングを使用して、電気器具を自動的に識別する代わりに、顧客が自身の住居における電気器具のリストを提供し、電気器具決定モジュール1162が単に指標を検索してもよい。
【0085】
電気器具問題決定モジュール1164は、当該技術分野で理解されているように、指標(シグネチャ)又は他の仕様により定義されている、仕様オペレーティングパラメータ(specification operating parameters)を対比することにより、顧客の住居における電力回路ネットワーク上の電気器具に関する電気器具問題を決定するように構成される。モジュール1164は、作動性能、非効率性、火災原因になる可能性、及び他の問題を含む、いくつものパラメータを決定するように構成される。問題が存在するという決定に応答して、モジュール1164は、データレポジトリを更新するか、又は他のモジュールに直接知らせて、顧客に通知するために通知、アラート、又はアラームを生成させる。
【0086】
地熱による節約分決定モジュール1166は、顧客が居住している地理的地域の地熱情報を提供するサーバ1108によりアクセス可能な地熱情報に、アクセスするように構成される。モジュール1166は、顧客の住居を暖房又は冷房するために用いられるエネルギの量に基づいて、ソーラパネル等の地熱エネルギ生産装置を設置することにより、顧客がどの程度の金額を節約することができるかを決定する。費用節約分は、地熱エネルギ生産装置の費用、設置費用、及び費用節約分を含んでいる。さらに、顧客が支払う電気代金も計算に入れられる。
【0087】
地理関係計算モジュール1168は、顧客と電気器具の広告主との間の距離を計算するように構成される。顧客が地元の広告主から広告を受け取ることを希望する場合は、顧客の住居から広告主の店舗までの距離を計算し、地元の広告主であるかを決定する。モジュール1168は、それ自体が距離計算を実行するか、又はモジュール1168は、サーバ1108の遠隔に位置する距離計算システム(例えば、マップクエスト(MapQuest)(登録商標)の地図作成システム)を呼び出す。
【0088】
費用節約分計算モジュール1170は、電気器具の使用電力情報を用いて、顧客は電気器具をエネルギ効率の良い電気器具と交換することにより、長期にわたり(例えば、1年)金銭的に節約ができるかを決定するように構成される。費用節約分を決定するにあたり、モジュール1170は、現在のエネルギ価格(例えば、0.12ドル/kWh)を用いて、実使用電力を新しい電気器具の仕様と比較する。
【0089】
広告選択モジュール1172は、既存のエネルギ効率の悪い電気器具を取り換えることにより、顧客が一定期間(例えば、3年)にわたり金銭的節約ができるかに依存して、顧客に提示する特定の広告を選択するように構成される。さらに、既存の電気器具が火災原因になりそうな場合は、広告主からの広告が選択されて顧客に送られる。一実施形態では、広告は、顧客の地元のものである。広告は、エネルギ効率の悪い電気器具と同一又は同等の製造元及びモデルの電気器具のものである。顧客のプロフィールの使用を含め、さまざまな要因を用いて、どの程度の量のどの広告を送るべきかが選択される。例えば洗濯機等の電気器具は、修理又は調整することでエネルギの非効率性を修正することができると判断されれば、モジュール1172は、修理の広告を選択することもできる。
【0090】
メッセージ生成/通信モジュール1174は、メッセージを生成かつ通信するために使用される。一実施形態では、メッセージは、広告を含んでいる。メッセージは、リアルタイムの、最新の、又は今月の全使用電力を提供する。メッセージはさらに、例えば、「冷蔵庫の現在のエネルギ使用効率は、はじめより30%下回っています。」等、特定の電気器具情報を含んでいる。メッセージは、「エアコンが火災原因になる可能性があります。」等のアラートも含んでいる。メッセージは、ウェブサイト顧客用のウィジェット(widget)に掲載する、通信ネットワーク(例えば、電子メール、テキストメッセージ)を介して通信する、郵送する、電話回線を介して、又は顧客へ情報を通信する任意の別の手段により送出される。別の実施形態では、モバイル装置アプリケーションを用いて、本発明思想の原理に従い、顧客が最新の使用電力又は別の情報を受信又は要求することができるようにする。
【0091】
モジュール1150は例示であって、本発明思想の原理に従い、代替的な及び/又は追加的なモジュールを用いてもよい。さらに、モジュール1150は、本明細書に記載されている機能を提供するために、組み合わせること又は別個のモジュールに分割することもできる。
【0092】
図12は、住居において電気器具の抵抗を測定することにより使用電力をモニタし、通知を顧客に通信する、例示的なプロセス1200のフロー図を示している。プロセス1200は、ステップ1202から開始し、電化製品の電気抵抗が経時的にモニタされる。電気抵抗は、電気器具の測定される複素インピーダンスの実部である。一実施形態では、測定は、当該技術分野で理解されているように、電力回路ネットワーク上の個々の電気器具を測定するために、コヒーレント及び非コヒーレントのいずれかのバルクのインピーダンス測定か、又は、コヒーレント及び非コヒーレントのいずれかの反射率測定技術を用いて実行される。測定は、本明細書ですでに述べたように、HF周波を使用して行うこともできる。ステップ1204で、現在すなわち既存の電気器具及び代替的な電気器具の予測費用が決定される。予測費用は、電気器具の抵抗に基づくそれぞれの電気器具による現在の使用電力に基づく。予測費用の決定は、1又は複数年を見通して、既存の非効率的な電気器具は新しい電気器具と比べてどの程度多くのエネルギを使用するかを決定する。一実施形態では、新しい電気器具は、同一の製造元及びモデルであり得る。ただし、本発明思想の原理は、顧客により使用されている既存の電気器具と新しい効率的な電気器具とを対比して長期的なエネルギ使用の差異を決定することを提供するものである。
【0093】
ステップ1206では、代替的な電気器具に関する費用節約分の通知が生成される。費用節約分の通知は、長期間(例えば、3年)の節約分を含んでおり、ここで費用節約分は、通知送付前の通知の受信を求める顧客の希望に基づく一定の閾値レベルに至る又はそれを超えるものである。ステップ1208では、通知がユーザへ通信される。通知は、ウェブページ上に掲載する形式又は電子メッセージを顧客に送信する形式である。さらに、通知は、顧客に合成音声又は実際の人間の声を伝える電話の形式により、非効率的な電気器具を効率的な電気器具に交換した場合に見込まれる費用節約分を顧客に知らせることもできる。
【0094】
図13は、電気器具が非効率的になってきたこと、又は最近の電気器具がより効率的でより少ない電力を用いるために顧客が長期的には金銭的に節約できることに基づいて、電気器具を修理する必要があるという決定が行われることに応答して、サービス提供者の顧客が、広告を顧客に提供するサービス提供者に対して自身の好みを提示することを可能にする、例示的なウェブサイト1302を示す、例示的なブラウザインターフェース1300のストリーンショットである。ウェブサイト1302は、希望の製造業者価格レンジセクション1304を含み、ここで顧客は、特定の電気器具(例えば、洗濯/乾燥機、冷蔵庫、等)の希望の製造業者及び価格レンジを選択する。製造業者はブランドメーカーの製造業者(brand name manufacturers)であり、価格レンジは、各電気器具のタイプの範囲内で低価格の電気器具から高価な電気器具まである。好みの台所用品スタイルセクション1306は、顧客が、色及び仕上げを含む台所用品のスタイルを選択することを可能にしている。好みの小売店セクション1308は、サービス提供者が、顧客の電気器具が非効率的である、又は別の電気器具が使用電力の節約により顧客の金銭的節約を可能にするという決定を行う場合に、顧客がそこから広告を受け取ることを希望する好みの小売店を選択できるようにしている。
【0095】
好みの広告セクション1310は、顧客が広告オプションを選択できるようにしており、広告オプションには、地元の小売店、国内の小売店、インターネット小売店、顧客の住居から10マイル以内、25マイル以内、50マイル以内にある小売店、最低価格の電気器具、交換用の電気器具のオプションは3つのみ、顧客が選択した好みに一致する広告のみが含まれる。好みの通知セクション1312は、顧客が通知オプションを選択できるようにしており、通知オプションすなわち好みには、非効率性や費用節約分のオプションが含まれる。一実施形態では、費用節約分は年単位のものである。あるいは、費用節約分は、複数年単位である。さらに、費用節約分は、電気器具交換費に新しい電気器具を使用するための使用電力費を加えたものに基づいて計算される。例えば、既存の電気器具が今後3年間の使用電力で1200ドルかかり、新しい電気器具の価格が500ドルで、新しい電気器具はよりエネルギ効率がよいので顧客は500ドル分のエネルギしか使用しないですむのであれば、費用節約分は、今後3年間で200ドルである。好みの通知はさらに、顧客への通知及び/又はアラートが通信される通知装置が含まれる。
【0096】
ウェブサイト1302は例示であり、セクション及びセクション内の選択可能なオプションのそれぞれは、本明細書に記載したものと異なるものでもよい。顧客への通知方法、通知で顧客に届けられる内容、計算かつ報告される使用電力データ、又は任意の別の本発明思想の原理に従う情報を顧客が選択するための代替的なオプションや好みが顧客に提供されてもよい。
【0097】
図14は、例示的なブラウザインターフェース1400のスクリーンショットを示しており、顧客が閲覧するための、使用電力情報、メッセージ/警告、及び広告を含む例示的なウェブページが含まれている。ウェブページ1402は、現在の月間使用電力、現在の月間電力請求額、及び平均日間使用電力を表示する、使用電力セクション1404を含んでいる。別の使用電力データを顧客に提供することもできる。上位3つの電力消費器具セクション1406は、顧客の住居にある上位3つの電力消費器具を示している。例えば、示されているように、冷蔵庫は、現在のところ、月間327kWhを消費し、エアコンは月間272kWhを消費し、かつ、オーブンは月間89kWhを消費している。上位3つの電力消費器具を提供することにより、顧客は、これらの電気器具の効率又は任意の電気器具(例えば、ヘアドライヤ)の使用に敏感になる。メッセージ/警告セクション1408は、非効率性や又はその逆のメッセージを顧客に提供する。例えば、エアコンが非効率的になってきた場合には、エアコンがはじめの仕様と比べて効率が一定のパーセント分落ちているというメッセージが表示される。
【0098】
広告セクション1410は、非効率的になってきている電気器具、又は一定期間にわたり顧客に費用の節約を提供できる電気器具を販売する広告主からの広告を表示するように構成される。示されているように、3つの広告が、地元の、国内の、及び/又はインターネットのエアコン販売者から提供されている。さらに、広告には、顧客が現在所有しているものと同一の製造元及びモデル、又は異なる製造元及びモデルの、新しいエアコンの価格、及び一定期間(例えば、3年間)の推定費用節約分が記載されている。広告は、ユーザが自動的に広告主のウェブサイトにリンクされるようにすることが選択的に可能であり、ユーザは、販売中の特定のエアコンを閲覧して、そのウェブサイトを介して広告主からエアコンを購入することが可能であり、かつ/又は、広告は、広告主の連絡先情報を提供して、顧客が広告主の小売店を訪れるために広告主の所在地を確認できるようになっている。
【0099】
図15は、例示的なブラウザインターフェース1500を示しており、顧客が閲覧するための使用電力情報、地熱利用可能性、メッセージ/警告、及び、広告を含む例示的なウェブページが含まれている。ウェブページ1502は、現在の月間使用電力、現在の月間電力請求額、及び平均日間使用電力を表示する、使用電力セクション1504を含んでいる。別の使用電力データを顧客に提供することもできる。地熱利用可能性セクション1506は、地熱装置が顧客の住居に設置される場合の、電力及び費用節約分を顧客に示している。例えば、太陽光収集が設置されるとすると、574kWを収集することができ、費用節約分は45.34ドル発生すると推定される。メッセージ/警告セクション1508は、非効率性又はその逆のメッセージを顧客へ提供する。
【0100】
広告セクション1510は、非効率的になってきている電気器具、又は一定期間にわたり顧客に費用の節約を提供できる電気器具を販売する広告主からの広告を表示するように構成される。ここには地元の広告主からの3つの広告が示されている。顧客の好みに応じて、国内及び/又はインターネット販売者からのソーラパネルの広告を提供することもできる。さらに、広告には、新しいソーラパネルの価格が記載されてもよい。さらに、ソーラパネルによる推定費用節約分も示される。顧客が金銭的に節約するのに役立つ代替的な地熱装置も顧客への広告提示に利用することができる。広告は、ユーザが自動的に広告主のウェブサイトにリンクされるようにすることが選択的に可能であり、ユーザは、販売中の特定のソーラパネルを閲覧して、そのウェブサイトを介して広告主からソーラパネルを購入することができ、又は、顧客が広告主の小売店を訪れるために広告主の所在地を確認できるようになっている。本発明思想のさまざまな実施形態は、コンピュータ可読記録媒体上のコンピュータ可読コードとして実現することができる。コンピュータ可読記録媒体は、コンピュータシステムにより読み出し可能なデータを記憶するのに適した任意のデータ記憶装置を含んでいる。考え得るコンピュータ可読記録媒体例の非網羅的なリストには、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD−ROM、磁気テープ、フロッピディスク、光学記憶装置、及び、インターネットを介するデータ伝送等のキャリア波が含まれる。コンピュータ可読記録媒体はさらに、ネットワークへ結合されているコンピュータシステムにわたり分散されて、コンピュータ可読コードが分散形式(distribution fashion)で記憶かつ実行されるようにすることもできる。本発明思想のさまざまな実施形態はさらに、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現することができる。例えば、処理ユニット802、メモリ808、ユーザインターフェース814、及びブラウザインターフェース1300、1400、1500及び/又はそれらの機能は、ソフトウェア、ハードウェア、又はその組み合わせに記憶される。さまざまな実施形態において、処理ユニット802、メモリ808、ユーザインターフェース814、及びブラウザインターフェース1300、1400、1500、及び/又はそれらのファンクションは、図8〜12に示されているような、ファイル及び/又はデータの送信及び/又は受信の動作等のタスクを実行するコンピュータ可読記録媒体上のコンピュータ可読コードとして実現することもできる。さらに、処理ユニット802、メモリ808、ユーザインターフェース814、及びブラウザインターフェース1300、1400、1500及び/又はそれらのファンクションは、図13〜15に示されているようなデータ表示及び印刷動作等の、表示及び/又は印刷動作等のタスクを実行するコンピュータ可読記録媒体上のコンピュータ可読コードとして実現することもできる。
【0101】
上述の発明の詳細な説明は、本発明を実施するための実施形態のほんのいくつかに関しており、本発明の範囲を制限するものではない。当業者であれば、詳細に説明したもの以外にも本発明を実施するための方法及び変形をすぐに予想できるであろう。
【0102】
本発明思想の特徴、発見及び原理、本発明思想が構成かつ使用される方法、構成の特性、並びに、有益な新しい有用な得られた結果を詳細に述べたので、新しい有用な構造、装置、エレメント、構成、部分、及び組み合わせを添付の特許請求の範囲に記載する。
【0103】
この特許請求の範囲は、本明細書で述べた本発明思想の包括的及び特定の特徴の全て、並びに本発明思想の範囲を述べているもの、すなわち表現上その範囲に入ると言えるもの全てを網羅することが意図されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁ソケットを介して住居又は商業ビルの消費電力を測定するためのシステム及び方法に関する。
【0002】
なお、本出願は、2009年9月21日に出願された米国仮特許出願番号第61/244,114号、2009年11月24日に出願された米国仮特許出願番号第61/264,162号、及び2010年6月22日に出願された米国仮特許出願番号第61/357,412号の優先権を主張するものであり、その出願の内容全体を参照により援用する。
【背景技術】
【0003】
家庭、オフィス、及び他の建造物(住居)において、電力は支払請求周期を通して使用されており、消費者すなわち顧客は、電力会社からの請求書が届くまで使用電力の請求額がいくらになるかわからないのが通常である。使用電力すなわち使用電気の請求額は、使用電力が予想より多かったことから、消費者に「高値による衝撃(stickers shock)」を与えることがよくある。最近では消費者及び企業がより多くの電子機器を有している(例えば、大型テレビ、コンピュータ、等)ために、使用電力の請求額は概して年々増加し、かつ予測がつきづらくなってきた。
【0004】
消費者にリアルタイム又は最新(例えば、毎日)の使用電力及び/又は使用電力の請求額の情報を提供することにより、消費者の使用電力の請求額は、月間で最終的に10%〜20%低下するといわれている。そのような情報を提供しようとする昨今の試みには、スマートメータ、電力センサ、電力計、及び電気器具(appliance)/プラグセンサを用いて、使用電力データを収集して消費者にリアルタイム又は最新の使用電力情報を提供することが含まれる。
【0005】
スマートメータは、住居内で使用される電力の使用電力データを収集し通信することができる、「知能」(すなわち、処理システム)を有する電力計である。スマートメータは、電力が消費されているときに回転する大きなディスクを含む電気機械的なダイアルを有する、従来の「非知能型」の電力計に取って代わりつつある。スマートメータは、電力会社が使用電力を遠隔で読みとることを可能にし、また消費者にリアルタイム又は最新の使用電力情報を提供するためにも使用される。スマートメータは、高価である上に電気工に設置してもらう必要があるため、さらに費用がかかる。
【0006】
電力センサは、通常は既存の従来型の電力計、回路ブレーカ、又はヒューズボックスに設置される電子装置である。電力センサは、電力計、回路ブレーカ、又はヒューズボックスに入出する高圧線に直接設置されているのが通常である。いくつかの電力センサは、電力線により生成される電磁場を感知する電磁センサを用いている。電力センサは、電力センサを製造するために用いられる電気部品により高額になり得るが、さらに、電気工が高電圧線に又は電力計のガラスカバー内へ設置を行う必要があるために、設置の費用も高くなる。
【0007】
メータリーダは、電力計が使用電力を感知するときに回転する電力計ディスク上のストリップ(縞)を感知することができる光学読取装置を使用するのが通常である。メータリーダは、ストリップの回転を数え、その回転数を用いて消費者により使用された電力量を計算する。メータリーダは、消費者により電力計のガラスの周囲に巻きつけて固定される。メータリーダは、100ドルを超える費用がかかり、消費者が設置するには基本的レベルの機械的技能が必要であることが通常である。
【0008】
電気器具/プラグセンサは、壁ソケットにプラグ接続されるように構成されている装置であり、電気器具/プラグセンサにプラグ接続される電気器具を有している。電気器具/プラグセンサは、それに接続されている電気器具によって消費された電力を測定し、測定された電力値を、電気器具/プラグセンサ(すなわち、住宅)に対して通常ローカルであるセントラルロケーションに通信することができる。電気器具/プラグセンサは、約100USドルであるのが通常である。電気器具/プラグセンサの設置には実質的には何も技能を必要としないが、住居で消費される全電力を測定するためには、数千ドル分もの電気器具/プラグセンサを購入する必要がある。なぜなら、各電気器具を個別に測定する必要があるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
住居において電力を測定するための上述の技術は、消費者が使用電力をモニタできるようにするために使用可能であり有益であるが、それぞれが、費用面や消費者による設置の必要性等の欠点を有している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
既存の電力感知システム及び装置の欠点を克服するために、本発明は、住居ネットワーク又は別のネットワークを通じて装置の抵抗及び/又は複素インピーダンスを測定し、全使用電力を決定することができる、ソケットメータを提供する。住居の電力線は、通常、ヒューズボックス又は回路ブレーカにおいてキャパシタンスにより分岐される、2つの回路又はフェーズ(相)を含むように構成される。ソケットメータは、壁ソケットに接続される電力線へ通信される高周波(HF)信号を生成し、HF信号は、両方の電力回路上の電気器具のインピーダンスを測定できる程度に充分に高い周波数である結果、ヒューズボックス又は回路ブレーカにおけるキャパシタンスを超えることができる。ソケットメータは、コヒーレント又は非コヒーレントの測定技術を用いる。あるいは、ソケットメータは、コヒーレント技術又は非コヒーレント技術を用いて、回路上の電気器具の複素インピーダンスを測定するために、反射率計技術を用いて構成することができる。一実施形態では、時間領域使用電力測定が行われ、そして、それらの測定は、電気器具のタイプ、製造元(make)、及び可能であればモデルを決定するために、さまざまな電気器具の使用電力「シグネチャ」と対比される。
【0011】
ユーザが簡単に使用電力を測定できることに加えて、本発明は、サービス提供者に対して、消費者によって使用されている電気器具のさまざまなパラメータをモニタすることを提供し、消費者に対しては、消費者の住居用に調整された情報を提供する。上述したように、複素インピーダンス測定は、消費者の住居の電気コンセントへ接続された電気器具について、反射率計技術を用いて行われる。電気器具の複素インピーダンスの実部(抵抗)が経時的にモニタされ、これにより、サービス提供者が電気器具を、効率が落ちていく様子を長期的に追跡することができるようにする。時間領域使用電力測定と同様に、サービス提供者は、測定されている電気器具のタイプ、及び可能であれば製造元及びモデルを、電気器具の複素インピーダンス特性に基づいて、決定することができる。さらに、電気器具の効率は、抵抗(複素インピーダンスの実部)の増加に示されるように悪化するので、サービス提供者は、消費者に対して、1又は複数の販売者による交換可能な電気器具を含めた広告を作成することができ、それにより、消費者の購買ニーズを予測することができる。一実施形態では、交換可能な電気器具の販売者は、地理的に消費者の地元にある。さらに、サービス提供者は、電力が電気器具に加えられるときの抵抗の増加率を追跡することができ、抵抗の率があまりに急激に増加する場合は、電気器具が危険なほど熱くなっている可能性を示しているので、サービス提供者は、火災原因になる可能性を消費者に通知することができる。さらにまた、本発明思想の原理は、消費者の住居の地図の生成及びリアルタイム、最新の、及び非リアルタイムの電気器具の使用電力を示すことを提供することができる。
【0012】
サービス提供者は、電気器具の集合データを収集し、データを電気器具の製造業者、業界関係者、及び消費者へ提供する。一実施形態では、本発明思想の原理は、行政団体及び非政府団体により提供される場所に関し、地熱条件、風力エネルギ及び太陽エネルギを追跡し、そして、消費者の住居から収集される使用電力データに基づいて、他の電力源(例えば、ソーラパネル又は風力タービン)が消費者に利益をもたらすかを決定する。消費者は、代替電力源のサービス提供者から、費用/利益の分析及び広告を提供される。
【0013】
過電流保護装置へ電気的に接続される複数の電気回路を有する住居内の使用電力を測定するための方法の一実施形態は、電力負荷がそこから電力を引き出している電気回路の一つに電気的に接続される電力測定装置により、電気回路の電気パラメータを測定するステップを含む。電気パラメータは、集中複素インピーダンスである。あるいは、電気パラメータは、個々の電気器具の複素インピーダンスである。測定は、複素インピーダンスを計算するために使用される交流電圧のものである。あるいは、測定は、複素インピーダンスを計算するために用いられる反射率計技術を用いて行われる。測定された電気パラメータを用いている電気回路へ接続される電力負荷により引き出されている電力を示すデータ値が計算される。データ値は、測定された電気パラメータに基づく瞬時使用電力である。電気回路で引き出されている電力を示す算出されたデータ値を示すインディシア(indicia)が表示される。インディシアの表示は、ウェブサイト上にあり、顧客はダウンロードしてコンピュータ又はインターネットアクセスを提供する別の装置で見ることができる。あるいは、表示は住居における複数の電力回路の一つへ接続する、住居のソケットへ接続されているソケットメータにあってもよい。方法は、位相にわたる示度(readings)を伝送して、低周波(例えば、1MHz以下)の測定を可能にするために、フェーズカプラ(phase coupler)又はワイヤレス通信装置を介して、電力ネットワークの位相にわたって測定するステップを含む。フェーズカプラは、高精度インピーダンスコンバータシステムを含み、これはアナログ・デバイシズ・インコーポレーテッドにより提供されているAD5934などのアナログ/デジタルコンバータつきの周波数発生器を有しており、AD5934は、12bitで250kSPSのアナログ/デジタルコンバータ(ADC)を備えていることが、AD5934データシートRev.Aで詳説されており、その内容全体をここに援用する。
【0014】
過電流保護装置に電気的に接続される複数の電気回路を有する住居又は商業ビル内の使用電力を測定するための装置の一実施形態は、交流電流(AC)測定信号を生成するように構成される第1の回路と、電気回路の一つにAC測定信号を印加するように構成される第2の回路と、第2の回路が交流測定信号を電気回路の一つに印加することに応答して、複数の交流電圧を測定するように構成される第3の回路とを含む。処理ユニットは、第3の回路と通信しており、電気回路へ接続される電気器具のインピーダンスを計算するように構成される。インピーダンスは、互いに並列して接続されているインピーダンスにより算出されるような集中(lumped)インピーダンスである。入力/出力ユニットは処理ユニットと通信しており、処理ユニットにより生成されるデータを、通信ネットワークを介して遠隔地へ通信するように構成される。ソケット装置は、埋込型のウェブサーバを備え、該サーバは、ローカルに測定されたデータを記憶し、かつ測定されたデータとともに分配される、該測定データから抽出されるインデックスの計算を実行するローカルウェブサイトを運営する。このウェブサイトは、さまざまな方法で遠隔アクセスが可能である。遠隔アクセス地には、生成されたデータを公のウェブサイト上で収集かつ処理するように構成されるサーバが配置される。
【0015】
潜在顧客に対して電化製品(electrical appliance)を広告する方法の一実施形態は、電化製品の電気抵抗を経時的にモニタするステップを含む。モニタされた電気抵抗に基づく予測期間にわたり電化製品を使用するための予測費用が、予測期間にわたり代替電化製品を使用するための予測費用を上回るという決定が行われ、かつ、電化製品のユーザは、電化製品を代替電化製品に交換することで予測期間にわたり金銭的節約になることを示す通知が生成される。通知はさらに、購入可能な代替電化製品のリストを含む。リストは、1又は複数の広告を含む。広告は、小売業者などの、電化製品を販売する地元の広告主からのものである。通知は、遠隔サイト(遠隔地側)で累積される集合データと対比してエネルギの非効率な使用を示している現在の電気器具と交換可能なよりエネルギ効率のよい電気器具の潜在顧客として、ユーザへ通信される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】住居内の例示的な複数相(multi-phase)電力回路ネットワークの図である。
【図2】住居内の電力回路ネットワークの電力回路へ電気的に接続される壁ソケットに接続されたソケットメータのブロック図である。
【図3】並列された多相電力線の機能としての例示的なバスインピーダンスの図である。
【図4】例示的な線形交流実効値電圧計回路の図である。
【図5】負荷インピーダンスの回路図である。
【図6】リアクタンスを算出するために用いられる、実及び虚の複素インピーダンス及び電圧ベクトルの図である。
【図7】住居の電力回路に接続されている電気器具により引き出される電力を表す例示的な電力信号のグラフである。
【図8】例示的なソケットメータのブロック図である。
【図9】住居のブレーカパネルへ接続する電力回路へ接続する例示的なソケットメータを含む、例示的なネットワークシステムの図である。
【図10】使用電力を決定するために電気回路の電気パラメータを測定かつ処理するための例示的なプロセスのフロー図である。
【図11A】住居で顧客にサービスを提供しているサービス提供者を示す例示的なネットワークのブロック図である。
【図11B】サービス提供者のサーバの図11Aの処理ユニットで実行される例示的な一連のソフトウェアモジュールのブロック図である。
【図12】住居における電気器具の抵抗を測定することにより使用電力をモニタし、通知を顧客に通信する、例示的なプロセスのフロー図である。
【図13】サービス提供者の顧客が、広告を顧客に提供するサービス提供者に対して自身の好みを提示することを可能にする、例示的なウェブサイトを示す、例示的なブラウザインターフェースのストリーンショットである。
【図14】顧客が閲覧するための使用電力情報、メッセージ/警告、及び広告を含む例示的なウェブページを含む例示的なブラウザインターフェースのスクリーンショットである。
【図15】顧客が閲覧するための使用電力情報、地熱利用可能性、メッセージ/警告、及び、広告を含む例示的なウェブページを含む例示的なブラウザインターフェースのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明技術思想の実施形態を詳細に述べ、その例を図面に示す。図面を通して、同じ番号は同じ要素を示す。本発明思想を説明するために、図を参照して実施形態を説明する。
【0018】
商業用及び住宅用の建物を含む住居の使用電力を決定することは、さまざまな理由から、さまざまな当事者により望まれている。たとえば、エネルギ使用の料金を払う消費者は、エネルギサービス提供者からの電力請求書を受け取るときの「高値による衝撃」を回避するために、請求書間の(次の請求書までの)エネルギ使用を追跡したいと希望している。追加的な防災サービスを求めている消費者には、本発明思想の原理は望ましいものであろう。電気器具が非効率的になってきているかを知りたいと希望する消費者も、関心を持つであろう。加えて、消費者とさらにコミュニケーションを取りたいと希望するサービス提供者も関心を持つであろう。また、エネルギ効率が悪くなった又は壊れたなどの理由から消費者が既存の電気器具を交換しなければならないことを見越して、消費者との接触を望む電気器具の広告主も、関心を持つであろう。このようにさまざまな当事者には、使用電力を決定したい理由があるが、住居における使用電力を測定することができる装置の費用及びコンシューマーフレンドリネス(消費者にとっての手軽さ)には問題がある。
【0019】
図1は、電気器具102a〜102n(集合的に102)へ電力を供給するために、住居(例えば、家)において用いられる例示的な電力回路ネットワーク100の図である。電気器具102は、衣類乾燥機102a、温水器102b、電気オーブン/コンロ102c、及びHVAC(冷暖房換気)ユニット102nを含む。照明104a、ヘアドライヤ104b、コンピュータ104c、玩具104d、テレビ104e、及び任意の別の電気装置(集合的に104)等の他の電気器具は、電力回路にプラグで接続され、本発明思想の原理に従い、これらも測定の対象とされる。
【0020】
図示のように、そして当該技術分野で知られているように、電力回路ネットワーク100は、2つのフェーズ(相)、すなわち回路ブレーカ106等の過電流保護装置から伸長する回路100a及び100b、を含む。さらに、当該技術分野で知られているように、住居の外部の柱上変圧器(service transformer)108は、2相240ボルト交流電力信号を住居(不図示)へ送出する。柱上変圧器108と回路ブレーカ106との間に、サービスメータ110が、柱上変圧器108からの2つの電力線112a及び112bへ接続されているのが示されている。サービスメータ110は、電気器具102から引き出される全電力を測定する。サービスメータ110は、通常は使用電力を測定するだけの「非知能型」サービスメータであり、通信又は知能型の能力は有していない。最近使用されてきたスマートサービスメータは、使用電力についての報告を返す通信能力を有するが、高価であり、本発明思想の原理と対比すると能力が制限されている。住居の電力回路ネットワークにおけるスマートメータは有用であっても、本明細書で述べられるソケットメータの使用又は本発明思想の原理の使用を排除するものではない。実際のところ、本発明思想の原理のいくつか態様は、スマートメータに組み込むことができる。
【0021】
回路ブレーカ106内は、それぞれの多相線及びコンダクタを有するバスバー(bus bars)により形成されるキャパシタンスCである。当該技術分野で理解されているように、キャパシタンスは、2つの相を分離し、直流及び低周波信号が2つの回路100a及び100b間を通過するのを妨げる。キャパシタンスCが原因となり、電流計を用いた電流測定などの従来の電力測定を行うことができない。
【0022】
従来の電力測定は行うことができないため、本発明思想の原理は、キャパシタンスCを通過して、2つの回路100a及び100b上の全ての電気器具の抵抗及び/又はそれと等価の複素インピーダンスを測定することができる、高周波信号又は調波(トーン)を用いる。等価の複素インピーダンスは、本明細書でさらに述べるように、瞬時使用電力を計算するために使用される。高周波信号は、電力線通信(PLC)のために使用可能な高周波(HF)チップを用いてソケットメータ114により生成される。HFチップは、1MHz〜30MHzの間で動作するのが通常であり、これは高周波信号に適するものである。しかし、およそ1MHz以上の周波数であれば、キャパシタンスCを通過することができると通常は考えられ、2つの相にわたって測定するために必要な追加的な装置を用いることなく、複素インピーダンスの測定を行うことができる。本発明においては、使用電力を算出するために、全インピーダンス及び線間電圧を測定する。両方の相にわたる全インピーダンスは、HFで測定するか、又は各相を別々に測定して中央コンピュータで組み合わされる。全インピーダンスは、定常状態の交流測定により遠隔で測定することができる。別の実施形態では、定常状態の交流測定によって等価の抵抗及び/又は複素インピーダンスを測定するのではなく、反射率測定技術が使用されて、電力線ネットワーク100上の各電気器具のインピーダンスの特性が個別に測定される。ソケットメータ114は、電力回路100a等の電力回路のひとつ上の信号ソケット116にプラグ接続されるように構成されて、使用されるパルスが1MHz以上の周波数に変調されている場合に、回路100a及び100b上の電気器具による使用電力を計算するために抵抗及び/又は複素インピーダンスを測定する。
【0023】
図2は、例示的な簡略化した電力回路200を示している。電力回路200は、ヒューズボックス202の異なる側にある2つの回路200a及び200bからなる。電気器具(APP)A及びBは、電力回路200aへ接続され、電気器具(APP)C及びDは、電力回路200bへ接続される。電力回路200a及び200bは、直流及び低周波(およそ1MHz未満)ではキャパシタンスCにより電気的に分離される。ソケットメータ204は、電力ソケット206へ接続されるよう示されている。電力ソケット206は、2つのコンセントを備える従来の電力ソケットである。ソケットメータ204は、電力回路200aに接続するために電力ソケット206に差し込まれるような、2極プラグ及び3極プラグのいずれかで構成される。
【0024】
ソケットメータ204は、電力ソケット206からの120V交流電力を低電圧の高周波信号208に変換するように構成される。低電圧とは、たとえば5Vである。代わりに他の電圧を用いてもよい。しかし、低生産コストを維持するために、標準的なチップセット(例えば、HFチップ)に対応する電圧が使用される。当然ながら、汎用の回路を代わりに使用することもできる。
【0025】
図3は、住居における電力回路上のインピーダンスの代表的なインピーダンス回路モデル300の図を示している。インピーダンス回路モデル300は、どのようにして集中インピーダンスZbusが、電力回路へ接続されており互いに並列して電気的に接続された各電気器具のインピーダンスの関数として決定されるかを示す。
【0026】
【数1】
【0027】
バスインピーダンスから、住居で使用されている全電力が計算される。全電力は、Zbusの実部すなわち抵抗Rbus、及びソケットにわたる実測電圧を用いて計算される。
【0028】
負荷及び他の影響により、実電圧は120Vではない可能性があるので、実電圧の測定を行う。全電力の計算は、2つの相又は電力回路を考慮に入れるために、測定された電圧を2倍にすることを含む。当該技術分野で理解されているように、電力は、P=V2/Rで計算されるので、住居における2つの電力回路にわたる全電力を決定する場合、電力は、
(2) Ptotal=(Vsocket)2/Rbus
により算出される。
【0029】
図4は、例示的な線形交流電圧計400を示している。交流実効値電圧計回路を用いて、交流電圧が実効値電圧値に変換される。交流電圧計回路は例示であり、代替的な交流電圧計回路を使用することもできる。
【0030】
交流電圧計400は、オペアンプ406の正端子406aへ入力されるソース信号404を生成する高周波電圧源402を備えている。整流器408は、4つのダイオード410a、410b、410c、及び410dを備えている。電流は、オペアンプ406の出力406cへ流入又はそこから流出し、上部のダイオード410a又は410bの1つを通り、メータ412を右から左へ通り、下部のダイオード410c又は410dを通り、そして抵抗R2を通り上方又は下方へ流れて、ソース信号404と整合するようにされる。メータ412及び抵抗R2は直列接続されているので、同一の電流が抵抗R2とメータ412に流れる。そして、当該技術分野で理解されているように、オペアンプ406は、出力端子406cにおける出力電圧により、入力端子406bにおける反転入力電圧が、非反転入力端子406aにおける入力電圧(ソース信号404)と同一となるようにする。メータ412は、正弦波の実効値を示すように較正される。さらに、抵抗R2の値によりメータ412の全レンジが設定される。1mAメータが使用される場合は、1ボルトのレンジが与えられる。100pFキャパシタは、オペアンプ406が高周波で振動するのを防ぐ。しかし、100pFキャパシタは、高周波で正確性を失わせるため、このキャパシタは、可能な限り小さいながらも振動を防ぐものでなければならない。本発明思想の原理に従って同一又は等価の機能性を提供するために、代替的な値及び構成を用いることもできる。
【0031】
電圧計400は、時間領域における交流実効値電圧の測定を提供する。電圧計400は、図5に示す交流電圧VA、VI、及びVZのそれぞれを測定するように構成される。コンセントの両端の毎秒60サイクルで120ボルト電圧が通常である電圧Vsocketも、RMS(実効値)により測定される。3つの電圧VA、VI、及びVZは、電圧計回路によりモニタされるだけでなく、これらの電圧は、複素インピーダンス、電力、及び複素電力(すなわち、実電力及びリアクタンス電力)を計算するためにも用いられる。
【0032】
図5は、概略的例示の負荷インピーダンス回路500を示している。負荷インピーダンス回路500は、電圧源における抵抗R及び未知の複素インピーダンスZxを含む。RF測定では、抵抗Rは50オームに設定されるのが通常である。未知の複素インピーダンスZxは、実部(抵抗Rx)及び虚部(リアクタンスjXx)からなり、図3で述べたような、電力回路上に通常存在する並列複素インピーダンスを表している。複素インピーダンスは、既知の抵抗及び3つの交流電圧測定値、この場合はVA(印加電圧)、VI(既知のレジスタにわたる電圧)、及びVZ(未知のインピーダンスにわたる電圧)を有することにより測定することができる。図6は、リアクタンス(すなわち、キャパシタンス及びインダクタンス)を算出するために用いられる、実及び虚の複素インピーダンスの図である。電圧の大きさのみが既知であるが、図6に示されているように、ベクトルも、未知の複素インピーダンス値の計算に使用するために示されている。コサインの法則を用いて角度θの値を算出する。
【0033】
(3) cos(θ)= (VA2+VI2-VZ2)/2*VA*VI
負荷インピーダンス回路500から、抵抗値Rを含む全インピーダンスの大きさは、
(4) Za = R*VA/VI
として計算される。ここでVAはソース電圧であり、VIは抵抗Rの両端の電圧である。R及びRxの合計は、
(5) R+Rx = Za*Cos(θ)
により得られ、θは図6に示されている。そしてRxの値は、
(6) Rx = Za*Cos(θ)-R
によって求められる。
【0034】
見込まれる測定誤差を考慮すると、Rxは、計算で負になる可能性があるが、これは実際には生じにくい。実際にそのような結果になれば、インピーダンスは完全にリアクティブなので、Rxはゼロに設定される。
【0035】
未知のインピーダンスの大きさは、
(7) Z = R*VZ/VI
により計算される。
【0036】
未知のリアクタンスの大きさは、
(8) Xx = √(Z2-Rx2)
により計算される。
【0037】
なお、見込まれる測定誤差を考慮すると、負の数の二乗が生じる可能性がある。そのような結果になれば、Xxはゼロに設定される。未知のリアクタンスは、電気器具のタイプ、製造元、モデル(オプションで)の認識のために用いられるが、使用電力を算出するために必ずしも用いる必要はない。
【0038】
未知の複素インピーダンスを計算するために、上記の式を使用する例を説明する。未知の複素インピーダンスは、60オームのリアクタンスと直列接続されている30オームの抵抗を含み、これらは結合して67オームの複素インピーダンスを形成する。測定抵抗Rが50オームで、印加電圧VAが1Vの実効値である場合、測定される電圧VIは0.5Vrmsであり、測定される電圧VZは0.67Vrmsである。cosθは0.8と計算される。未知のインピーダンスZxは、67オームと計算され、Rxは30オームと計算され、jXxは60オームと計算される。交流電圧計は、印加交流電圧VA、測定される交流電圧VI及びVZを測定するために使用される。あるいは、ピーク・ツ・ピーク値又は真の実効値を用いてもよい。電圧測定では、より複雑で費用のかかる、大きさ及び位相の測定を行う必要はない。
【0039】
全電力Ptotal(式(2))の計算に加えて、電力回路ネットワーク上の使用電力を計算するために使用される全ハブリアクタンスZhubも計算される。Zhubは、
(9) Zhub = Rhub+jXhub
により計算される。
【0040】
電力回路ネットワーク上の使用電力を計算するために、全電力Ptotal及び全リアクタンスZhubは、たとえば毎秒など定期的に計算される。
【0041】
高周波信号の使用により、複数の電力回路上の電気器具のインピーダンス(すなわち、抵抗及びリアクタンス)を測定することが可能になるが、高周波の使用により、測定プロセスをさらに複雑になる。ワイヤの抵抗は、「スキン(skin)」効果によって増大する。例えば、60Hzでワイヤの抵抗は1オーム近くである。しかし、1MHzでは、ワイヤの抵抗は、非常に高くなる。高周波数では追加的なワイヤ抵抗が見られる。測定されている電気器具の抵抗は数十オームになるので、ワイヤのスキン効果により測定が難しくなる。スキン効果は、当該技術分野で理解されているように、交流電流がワイヤの外側表面に流れる原因となる。ワイヤの内側に電流が流れないため、抵抗を計算する際には、ワイヤの中央部分を除く必要がある。70Cにおける銅線の場合、ミルで表されるスキン深さは、
(10) S=2837/√(f)
により計算される。fは、ヘルツで表される周波数である。
【0042】
電流が流れる領域が低減すると、ワイヤの直流抵抗の電流に対する抵抗Rhfが増大する。抵抗の関係は、周波数の平方根及び定数値に比例し、定数値は、二乗されたスキン効果が、ほとんどの住居で使用されている1〜30MHzの範囲で動作する配線で使用されるワイヤの半径よりもはるかに小さい場合には、敷地内で用いられるワイヤのタイプ及びタイプの組み合わせに依存する。関係は、以下のように表すことができる。
【0043】
(11) Rhfwire = Rdcwire x Kwire x √(f) = Khftotal x √(f)
スキン効果による抵抗の問題は、例えば、HF周波数レンジを超える2以上の異なる周波数の測定を実行することにより、ほぼ排除することができる。そのフォームのモデルを形成するために、2以上の測定が用いられる。
【0044】
(11a) Rhf1 = Rapp + Rwire x Kwire x √(f1)
(11b) Rhf2 = Rapp + Rwire x Kwire x √(f2)
(11c) Rhf3 = Rapp + Rwire x Kwire x √(f3)
・・・・・
(11n) Rhfn = Rapp + Rwire x Kwire x √(fn)
一実施形態では、最少二乗関数を使用してRapp及びKtotalが決定される。ワイヤにより消費される電力は無視できるので、電気器具の抵抗Rappの抵抗のみがさらなる検討の対象となる。スキン効果もワイヤのインダクタンスを低減するが、ほんの数パーセントのみであるので、実負荷と比べると無視できる程度である。しかし、この効果も場合によっては、抵抗用に用いられるのと同様の方法で、修正することができる。
【0045】
Rx = R0 + Rl * √(f)の最少二乗解は、Ri + Ri + 1 √(f)の抵抗対の並列組み合わせとしてモデル化される多くの負荷に一般化され得る。抵抗対は、抵抗の並列ルールを用いて組み合わせられて、レジスタ及び測定周波数の線形関数を形成する。一連の非線形方程式は、各電気器具の抵抗値及び電気器具間のワイヤそれぞれの長さの抵抗値を算出するために、非線形最少二乗などの周知の方法が用いられて解かれる。結果として得られる情報は、住居内の使用電力のマップをプロットするために用いることができる。
【0046】
Rxを求める計算は、周波数のそれぞれに対して線形代数を用いて行われる。それを以下に示す。
【0047】
【数2】
【0048】
ここで、R0は、負荷の直流抵抗である。複数の周波数にわたる複素インピーダンスを測定することにより、異なる周波数で変化するインピーダンスの一部が、電力回路を形成するワイヤに関連するものとして決定されて、使用電力の計算から除かれる。
【0049】
直流抵抗Rdcは、住居の全ての電気器具により使用される電力(パワー)を計算するために使用される。
【0050】
(15) パワー = P = (Vrms socket)2 /Rdc
式(15)は、住居内の電力回路ネットワークの相又は回路の一つから120V交流を分配する壁ソケットへプラグ接続されるソケットメータに用いられる。しかし、本発明の原理に従うソケットメータ又は別の測定装置が交流240Vのリセプタクル(コンセント)へプラグ接続される場合は、ソケット装置は、両方の相にまたがり低周波信号を用いることができ、かつ電圧は、通常は240ボルトrmsであり、単相の一般的な120ボルトrmsのソケット装置にみられる120ボルトrmsではない。
【0051】
ボルトアンペアリアクタンスは、
(16) Q = (Vrms socket)2/Xx
により計算される。
【0052】
複素インピーダンスは、
(17) Z = R0 + jXx
により計算される。
【0053】
Xxは、HFバンドにある周波数の数で測定され、表皮効果を分離するために用いられる方法と同様に最少二乗関数を用いて、Xxを周波数のポリノミナル関数(polynomial function)としてみなすことにより、60Hzまで補外(extrapolated)される。このポリノミナルモデルは、実有理関数(ポリノミナルの比)の等級展開に基づいて調整される。ボルトアンペアリアクティブ(VAR)は、住居におけるエネルギ使用には用いられないが、何らかの法人顧客のエネルギ費用を決定するために使用される。したがって、複素インピーダンス及びVAR電力を決定することは、法人顧客のために、本発明により提供される。
【0054】
上述の技術を用いて行われる測定及び計算の例として、以下の表1に、測定される電圧、並びに計算される抵抗及び複素インピーダンスの、一連の例示的な測定及び計算を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
図3〜6及びその説明は、住居における使用電力を計算するために、集中インピーダンス(すなわち、並列する電気器具のそれぞれ)を決定するための非コヒーレント技術を提供している。上述した非コヒーレント技術を用いる代わりとして、本発明の原理は、コヒーレント方法も提供する。コヒーレント方法は、高周波信号をベースバンド信号へダウンコンバートするためにミキサを用いる。このような高周波信号のコヒーレント処理技術は当該技術分野では既知である。コヒーレント処理は、より高価かつ追加的な回路のために、非コヒーレント技術よりも費用がかかることが通常である。当業者であれば、上述したようにインピーダンス及び抵抗を計算するためのコヒーレント測定を実行する回路を、容易に作成することができるであろう。本明細書で詳細に述べられている方法は、複素インピーダンスを測定するための当該技術分野で既知の方法の一つである。他にもいくつか既知の方法を、本発明思想においてこの目的のために用いることができ、それらは例えば、自動平衡ブリッジインピーダンス測定回路、レゾナント(共鳴)Qメータ、RF I−V(無線周波数電流-電圧)インピーダンス測定回路、ネットワークアナリシス(反射係数)又はTDR(時間領域反射率測定)回路などである。任意のこれらの技術を用いて、本発明思想で用いられるようなHF周波数レンジ1〜30Mhzにおける複素インピーダンスを測定することができる。
【0057】
そして、測定される複素インピーダンスは、互いから区別されるか又はネットワークの負荷である電気器具の個々のインピーダンスを表す別々の成分に「分解」される。次に、ネットワーク及び個々の複素インピーダンスは、建物全体(例えば、住居のネットワーク全体)及び個別的にそれぞれの電気器具に関する、ネットワーク及び個々の電気器具の複素電力値に変換される。例えば、単一のネットワークの1つの電気器具又は全ての電気器具を、本発明思想を用いてモニタすることができる。
【0058】
本発明は、時間領域反射率測定(TDR)の技術を用いて行われるインピーダンス測定を実行することを提供する。反射率測定パルスがブレーカ回路のキャパシタンスを通過するようにするために、反射率測定パルスは、1MHzを超える高周波キャリア信号(例えば、1MHz〜30MHzの間)により乗算すなわち変調される。電気器具からのリターンパルスすなわち反射パルス及び不連続性(discontinuities)は、複素インピーダンスを決定するために復調かつ測定される。あるいは、インピーダンスは、1MHzを下回る周波数を用いて各相で測定し、ワイヤレス通信又はフェーズカプラを用いて、プロセッサで結合することもできる。集中パラメータインピーダンス技術と同様に、反射率測定技術では非コヒーレント及びコヒーレントの測定技術が用いられる。当該技術分野で理解されているように、反射率測定技術は、反射率測定信号の反射を測定するものであるという点で、集中インピーダンス測定技術よりも有利である。このことは、電力回路ネットワークのワイヤのスキン効果が測定に影響を及ぼさないことを意味し、それにより、複数のHF周波数で測定及びスキン効果のワイヤ測定値を排除する後処理を排除することができるからである。スキン効果の悪影響は、インピーダンスを決定して使用電力を計算するために反射率測定技術を用いることにより回避できるが、光の約半分の速度で移動する反射信号を測定するためには、反射率測定技術は、電子機器(electronics)の立ち上がり時間が原因で、実施がより困難で費用も高くなる。しかし、大量生産されれば、ユニットあたりの費用は低減されるので、このより高くはあるが経済的な費用は、集中インピーダンス技術と比べた測定の正確さの向上に見合う価値はある。
【0059】
図7には、住居の電力回路に接続されている電気器具により使用される電力を表す例示的な電力信号700のグラフを示す。示されるように、3つの冷蔵庫サイクル702a〜702c(集合的に702)が、冷蔵庫がオン又はオフになることに応答して、電力信号700で「矩形状態」をなしている。さらに、6つのヒータサイクル704a〜704f(集合的に704)は、ヒータがオン又はオフになることに応答している。冷蔵庫サイクル702及びヒータサイクル704のそれぞれは、関連する電気器具の使用電力の指標(シグネチャ:signature)を提供する。冷蔵庫サイクル702及びヒータサイクル704は例示であり、電気器具、製造元、及びモデルによっては、代替的なサイクルが生成されてもよい。一実施形態では、電気器具の各タイプ、製造元、及びモデルのサイクルのシグネチャ信号又は曲線は、ソケットメータにローカルに記憶されるか又はサーバに遠隔に記憶される。記憶されたシグネチャ信号は、測定されたサイクルと対比され、それにより、電気器具の特定のタイプ、製造元、及びモデルの決定を可能にする。時間t3及びt7間に示されているように、冷蔵庫サイクル702bは、ヒータサイクル704a〜704cとともに発生している。ヒータサイクル704〜704cが発生するときに、電力回路により引き出される電力量は増大し、使用電力は、ヒータサイクル702bの最上レベルから伸びていく。どの電気器具がオン又はオフの状態で、どのくらいの電力をそれぞれから引き出しているかを決定するために、どのようなサイクルが発生しているかを決定する際に、整合アルゴリズムにより、電力信号700における特定のサイクルを分離及び識別することができる。
【0060】
図8には、例示的なソケットメータ800のブロック図が示されており、該ソケットメータ800には、ソフトウェアを実行する処理ユニット802が含まれる。処理ユニット802は、入力/出力(I/O)ユニット806、メモリ808、トーン生成器(tone generator)810、リアルタイムクロック生成器812、及びユーザインターフェース814と通信可能である。I/Oユニット806は、(i)住居内の電力線にわたる測定信号、及び(ii)例えば携帯電話ネットワーク、Wi−Fiネットワーク、インターネット、又は任意の別の通信ネットワーク等の、当該技術分野で理解されているような、通信ネットワークにわたるデータ通信信号と通信するように構成される。図示していないが、I/Oユニット806は、当該技術分野で理解されているように、アナログ/デジタル変換回路及びデジタル/アナログ変換回路の両方を備え、アナログ/デジタル変換及びデジタル/アナログ変換できるように構成される。メモリ808は、ソフトウェア及びソケットメータ800により収集かつ処理されているデータを記憶するように構成される。メモリ808はさらに、電気器具のシグネチャデータを記憶するよう構成され、それによりソケットメータ800が、ソケットメータ800が動作している住居の電力回路上で、どの特定の電気器具が動作しているかを決定できるようにする。あるいは、収集されサーバへ通信されるデータは、ソケットメータ800の遠隔にあるサーバが、住居の電力回路上で、どの特定の電気器具が動作しているかを決定する際に用いられる。
【0061】
トーン生成器810は、トーン(信号)が住居の電力線にわたり通信され、かつ回路ブレーカ又はヒューズボックスのキャパシタンスを通過できるようにするために、1又は複数の約1MHzを超えるトーンを生成するように構成される。一実施形態では、トーン生成器810を、2以上のトーン(例えば、2MHz、4MHz、6MHz、等)をHF周波数で生成できるように構成して、「スキン」効果により生じる住居における電力線のインピーダンスが計算できるようにされ、それにより、測定される電力回路上の電気器具の個々のインピーダンスの測定とともに、電気器具及び本発明思想により用いられるソケット間の距離の推定が可能になる。
【0062】
リアルタイクロック生成器812は、ソケットメータ800を作動するように構成され、それにより、処理ユニット802が測定日時を管理できるようにする。一実施形態では、リアルタイムクロック生成器812は、ある動作(例えば、収集されたデータを遠隔サーバに届ける)が一日の特定時間に発生するかを確かめるために、処理ユニット802により使用される。さらにまた、処理ユニット802は、リアルタイムクロック生成器812を使用して、例えば電気器具による負荷抵抗の変化であるスパイク状の特定のイベントが生じる日時をタイムスタンプする。一実施形態では、リアルタイムクロック生成器812は、インピーダンス測定を周期的に(例えば、毎秒)生じさせるために、処理ユニット802により使用される。
【0063】
ユーザインターフェース814は、押しボタン、ダイアル、タッチスクリーン、又は、ユーザが制御、プログラム、データアクセスすることを可能にし、又は別の方法でソケットメータ800とインターフェースすることを可能にする任意の別のユーザインターフェースエレメントを含む。ユーザインターフェース814は、例えば、ユーザが使用電力の閾値を設定することを可能にするので、住居における全使用電力が閾値レベルを超えた場合に、ソケットメータ800は、可聴、可視、又はメッセージの形態の通知を生成することができる。例えば、任意の時点で100KWを超えて使用された場合には、それを通知するために電子メール又は携帯電話のメール(テキストメッセージ)をユーザに通信するようにソケットメータ800を構成することができる。あるいは、ソケットメータ800は、可聴音(例えば、ビープ音)を生成して、過剰な電力が住居における電気器具から引き出されていることをユーザに通知することもできる。
【0064】
電力源816は、ソケットメータ800において他の部品に電力を供給するように構成される。電力源816は、ソケットメータ800が接続されている壁ソケットからの120ボルト交流電流を5ボルトの直流及び交流電力に変換することで、ソケットメータ800内の他の部品を作動させ、これには5ボルトの形式でHF周波信号(例えば、2MHz)の形式でトーン信号を生成するトーン生成器810に電力を供給することも含まれる。電力源816は、当該技術分野で理解されているように、再充電可能又は再充電不可能なバッテリであってもよい。
【0065】
図9は、例示的なネットワークシステム900の図であり、これには内部の回路図が示されているソケットメータ902が含まれており、ソケットメータ902は電力回路904へ接続され、電力回路904は住居のブレーカパネル905に接続されていることが示されている。一実施形態では、ソケットメータ902は、インターネット910又は任意の別のネットワークを介してサーバ908と通信するために、ホームルータ906と通信するように構成される。あるいは、ソケットメータ902は、サーバ908と通信するために携帯電話通信システムと通信する。パーソナルコンピュータ912は、ホームルータ906と通信しており、ウェブブラウザを介してグラフィカルユーザインターフェースを表示するように構成することもでき、当該技術分野で理解されているように、ソケットメータ902及び/又はサーバ908により決定される住居での使用電力を表すデータを受信かつ表示するように構成することができる。
【0066】
ソケットメータ902は、ソケットメータ902の動作を制御するように構成されるマイクロコントローラ回路914を含む。マイクロコントローラ回路914は、約1MHz〜約30MHzの間のトーンを生成するトーン生成器916と通信するように構成される。マイクロコントローラ回路914は、トーン生成器が生成する周波数を制御又は選択し、それにより、マイクロコントローラ回路914が、電力回路904上で動作する電気器具のインピーダンスを測定するために測定信号の周波数を選択的に設定できる。電力回路904(例えば、家の中の電力線)は、個々の回路の間にキャパシタンスCを有する複数の回路又は相を含む。高周波フィルタ回路918は、電力回路904と並列に構成されて、高周波(例えば、1MHz以上)をソケットメータ902から電力回路904を通じて通信し、なおかつ周波数信号を高周波より下に低減することを可能にする。抵抗器920は、トーン生成器916及び電力回路904と直列に接続される。
【0067】
動作においては、ソケットメータ902は、トーン生成器916により生成される印加電圧(VA)、抵抗器920の両端の電圧(VI)、及び電力回路904上の未知のインピーダンスの両端の電圧(VZ)を含む、3つの交流電圧レベルを測定するように構成される。図5及び図6に関して上述したように、これらの3つの電圧の大きさは、電力ネットワーク904上で並列に接続される電気器具の未知のインピーダンスの、抵抗及びリアクタンスの両方を決定するために使用される。ライン922、924、及び926は、電圧測定値928、930、932をマイクロコントローラ回路914に供給するために使用される。マイクロコントローラ回路914は、電圧測定(例えば、VA、VI、及びVZの測定)を処理し、さらなる処理のために、電圧測定値を、IEEE 802.3/802.11 I/Oコントローラである入力/出力ユニット934を介し、ホームルータ906を介して、サーバ908へ通信するように構成される。収集かつ通信される電圧値に加えて、ソケットメータ902はさらに、例えばタイムスタンプ、インピーダンス、使用電力、又はソケットメータ902が生成又は測定する任意の別の情報等の他のデータも通信するように構成される。メモリ936は、ソケットメータ902により使用するため、又はサーバ908へ通信してそこで処理するために、収集、生成、及び/又は処理されるデータを記憶するように構成される。一実施形態では、パーソナルコンピュータ912は、例えば通知信号、電力レベルアラート、又は任意の別のコンフィギュレーション(環境設定)パラメータ等の、特定のパラメータをプログラミング又は設定するために、ソケットメータ902と直接通信するように構成される。あるいは、顧客が、サーバ908により提供されるウェブサイトと情報のやりとりを行ってコンフィギュレーションパラメータを設定し、サーバ908が、コンフィギュレーションパラメータをソケットメータ902に通信するために、ソケットメータ902の設定を行う。
【0068】
図10には、使用電力を決定するために電気回路の電気パラメータを測定かつ処理するための例示的なプロセス1000のフロー図が示されている。プロセス1000は、ステップ1002から始まり、電力負荷により電力が引き出される住居内の複数の電気回路の1つの電気回路へ電気的に接続される壁ソケットへ接続される電力測定装置を使用して、電気回路の電気パラメータを測定する。一実施形態では、電気回路は、電気器具が接続される電線(electrical wire)を含んでいる。電気パラメータは、複素インピーダンスを含んでいる。複素インピーダンスは、電気回路(例えば、電気回路に接続された電気器具)により引き出される電力を計算するために使用される。本明細書で述べるように、複数の電気回路が回路ブレーカへ接続されて、回路ブレーカでキャパシタンスにより電気的に分離される。電力測定装置は、そのうちの1つの回路上の単一の電力コンセントへ接続されて、複数の電力回路に提供される電気パラメータ(例えば、2つの120V交流回路上の電気器具の並列インピーダンス)を測定する。
【0069】
ステップ1004では、測定された電気パラメータを用いている電気回路へ接続された電力負荷によって引き出されている電力を示すデータ値が計算される。データ値の計算では、測定された交流電圧を使用して、電気回路上の個々の電気器具と関連する複素インピーダンスの全複素インピーダンスが計算される。データ値は、全ての抵抗及び/又は複素インピーダンスである。あるいは、抵抗及び/又は複素インピーダンスの大部分(bulk)又は全てを計算するのではなく、個々の電気器具において反射率計測定を行うことにより求めることもできる。コヒーレント及び非コヒーレント測定技術のいずれかが使用される。
【0070】
ステップ1006では、電気回路上で利用されている電力を示すコンピュータデータの値を示す指標(インディシア)が表示される。一実施形態では、指標は82KW等の数字である。あるいは、指標は、グラフ、チャート、又は電気回路上の電気器具により引き出されている電力量を示すことができる、任意の別の指標である。ソケットが通信しているソケットメータ又はサーバにより収集及び/又は計算される複数のデータを示す複数の指標を表示することもできる。一実施形態では、指標の表示は、コンピューティング装置を介してユーザがアクセス可能なウェブサイト、ユーザのモバイル装置に通信されるテキストメッセージ、指標(インディシア)を含む電子メールメッセージ、又は当該技術分野で理解されているような、任意の別の表示形式で行われる。
【0071】
図11Aは、例示的なネットワーク1100のブロック図を示しており、該ネットワークは、住居1104a〜1104n(集合的に1104)の顧客にサービスを提供しているサービス提供者1102を備えている。住居1104のそれぞれは、各住居内の電力回路に接続されるソケットメータ1106a〜1106n(集合的に1106)を備えている。ソケットメータ1106は、住居の電力回路により給電されている電気器具の抵抗及び/又は複素インピーダンスを測定するように構成される。本明細書に記載のように、ソケットメータ1106は、インピーダンス測定技術又は反射率測定インピーダンス測定技術を用いて、複数の電力回路上の複素インピーダンスを測定するために、HF周波数を使用するように構成される。
【0072】
サービス提供者1104は、電力会社、第三者、又は、住居における消費電力を決定するサービスを提供し、ソケットメータ1106により測定される電気器具の消費電力及びパフォーマンスに基づく広告を顧客へ配信する、任意の別のサービス提供者である。サービス提供者1102は、サーバ1108を運転する。サーバ1108は、処理ユニット1110を有し、これにはソケットメータ1106により受信されるデータを処理するように構成されるソフトウェア(不図示)を実行する1又は複数のコンピュータプロセッサが含まれる。処理ユニット1110は、メモリ1112と通信しており、これは処理ユニット1100により収集及び/又は処理されるソフトウェア命令及びデータを記憶する。
【0073】
処理ユニット1110はさらに、入力/出力ユニット1114及び記憶ユニット1116と通信する。I/Oユニット1114は、インターネット等の通信ネットワーク1118を介してソケットメータ1106と通信するように構成される。記憶ユニット1116は、電気器具の特定のタイプ、製造元、及びモデルによる使用電力の指標(シグネチャ)データ、顧客情報、広告情報、地熱情報、及び本発明思想の原理に従う任意の別の情報を記憶するように構成される、1又は複数のデータレポジトリ1117a〜1117(集合的に1117)を記憶するように構成される。例えば、顧客情報は、データの履歴、顧客による使用電力、及び、サービス提供者1102がそれぞれの顧客の個々の電気器具のパフォーマンスを追跡することにより、電気器具の効率を追跡することを可能にする、電気器具のパフォーマンス履歴データを含んでいる。例えば、洗濯機の抵抗は経時的に追跡されて、非効率性を示す洗濯機の抵抗が洗濯機を取り換えなければならない程度まで増大するのはいつかを、サービス提供者1102が決定できるようにする。さらに、抵抗があまりにも増大する、すなわち初期段階での抵抗をはるかに上回って増大する場合は、洗濯機は火災原因になる可能性があるという決定がなされ、サービス提供者1102は、顧客にこの状況を知らせる通知又は警報を生成するとともに、地元又は地元以外の広告主から顧客にあてた、交換可能な洗濯機の1又は複数の広告を提供する。
【0074】
動作においては、ソケットメータ1106nは、住居1104nにおける電力回路で動作する電気器具のインピーダンスデータ1120を測定して、測定されたインピーダンスデータ1120を、ネットワーク1118を介してサービス提供者サーバ1108に通信する。ソケットメータ1106nがインピーダンスデータ1120に基づいて使用電力を計算する場合は、使用電力データは、測定されたインピーダンスデータ1120を伴って又は伴わずにサーバ1108に通信される。サービス提供者サーバ1108は、測定されたインピーダンスデータ1120を受信して、そのデータを処理することにより、処理された消費電力データ(例えば、瞬時使用電力、平均使用電力、全使用電力、等)うぃ生成し、また、通知(例えば、又は複数の電気器具が非効率的になりつつあること、又は新しい電気器具と比べて非効率性の閾値レベルを超えたという知らせ)、及び広告(例えば、ソケットメータ1106nにより行われた測定の結果に基づく特定の電気器具の広告)を生成する。データ1122は、ソケットメータ1106n、住居1104n内の表示装置、顧客のモバイル装置、又はサーバ1108により提供される顧客のウェブページに、再び通信される。データ1122は、顧客へ自動的に通信すなわち送り出されるか、又は顧客によりサーバ1108から取り出される。
【0075】
広告主1124a〜1124n(集合的に1124)は、サービス提供者1102と相互にやりとりして、非効率的又は壊れた電気器具を有する顧客が購入できる電気器具についての通知の配信に使用される広告情報を、サービス提供者へ提供する。広告主1124は、アドレス情報(不図示)及び広告内容1126a〜1126n(集合的に1126)をサービス提供者1102へ提供する。一実施形態では、処理ユニット1110は、地理的住所又は位置を含む顧客情報を用いて、新しい電気器具を必要としている顧客の地元の広告主を決定する。サーバ1108は、顧客の地元の広告主の情報を含む1又は複数の広告を生成するか又は含むことができ、これは電力価格、電気器具の使用電力、新しい電気器具の費用、又は任意の別の要因に基づいて行われる、顧客の電気器具が非効率的になってきている、又は、顧客が現在の非効率的な電気器具を取り換えると、顧客は一定期間に一定の金額を節約することができるという決定に応答して行われる。
【0076】
本発明はさらに、地熱データ1130をサービス提供者のサーバ1108へ提供するために、例えば、地域単位で太陽及び風のデータ等の地熱データ1130を収集するアメリカ政府等の地熱源1128を提供している。サーバ1108は、電気器具の広告主と同一又は異なる広告主1124から広告内容1126を受け取り、ソーラパネル又は風力タービン等の地熱電力源を設置することにより顧客はいくら節約になるかを決定するように構成される。決定は、顧客及び地元の地熱電力源供給元の地理的位置に基づいてカスタマイズされる。
【0077】
住居1104aの個々の顧客のためにデータを収集及び処理するサービス提供者1102に加えて、本発明は、データを集合として追跡するサービス提供者1102を提供している。サービス提供者1102は、電気器具の特定のタイプ、製造元、及びモデルのデータを受信するので、サービス提供者1102は、データを処理して、電気器具の製造元及びモデルが非効率的になる(例えば、新品時と対比して25%以上非効率的)までの平均期間、特定の電気器具の実平均使用電力(actual average power usage )、等を含むさまざまなパラメータを示す集合データを生成することができる。その結果得られる集合データは、商業的な目的にも消費者のためにも用いることができる。例えば、製造業者は、自分たちの電気器具が、長期的に「現場」でどのように動作するかを突き止めることを望むであろう。製造業界団体は、業界動向を求めて又はその他の目的のために、構成員である製造業者の統計にアクセスすることを望むであろう。消費者は、特定のブランドの製品やモデルが長期的にはどのようなパフォーマンスを有しているかを識別するために、この情報にアクセスすることを望むであろう。保険業者又は保証会社は、保証を適切な価格で一定期間にわたり設定するために、この集合的な情報を求めるであろう。集合データは、購入可能か又は自由に利用可能である。
【0078】
図11Bは、サービス提供者のサーバ1108の処理ユニット1110(図11A)で実行される例示的な一連のソフトウェアモジュール1150のブロック図である。ソフトウェアモジュール1150は、サーバ1108が、ソケットメータにより収集される電気器具のインピーダンスデータ等の使用電力データを管理かつ処理できるようにするよう構成される。ソフトウェアモジュール1150はさらに、顧客及び電気器具の広告主間の地理的距離等のさまざまな要因に基づいて、メッセージを生成して顧客へ通信するように構成される。例えば、ソフトウェアモジュール1150は、消費者への近接度に基づいて広告を選択的に整理して消費者へ表示し、消費者が地理的に地元の販売者をひいきにできるようにする。このようにして、地理的に消費者の地元の販売者の広告を、地理的に消費者の地元ではない販売者よりも前に記載する。
【0079】
ソケットメータデータ管理モジュール1152は、顧客の住居のソケットメータにより収集及び/又は生成されるデータを管理するように構成される。モジュール1152は、データを受信かつ記憶するように構成され、他のモジュールがデータを処理すること、及び、サービス提供者が後の時点で履歴を得るため及び他の目的のために「生の」データにアクセスすることを可能にする。
【0080】
使用電力データ生成モジュール1154は、ソケットメータから受信するデータに基づいて使用電力データを生成するように構成される。モジュール1154は、例えば、瞬時使用電力、平均使用電力、1つの支払請求周期の間の累積的な使用電力、又は任意の別の使用電力であって、その計測値に、顧客、サービス提供者、広告主、製造業者、産業界、又は任意の別の関係者が関心を示すであろうものを計算する。
【0081】
顧客情報管理モジュール1156は、顧客情報を記憶するように構成される。顧客情報は、名前、住所、地理的座標、人口統計学的情報、又は顧客に関する任意の別の情報を含んでいる。地理的座標は、広告主の地理的位置から顧客までの距離を決定するために用いられて、交換のための又は別の電気器具の関連広告を顧客に送付できるようにする。
【0082】
広告主情報管理モジュール1158は、広告主に関する情報を管理するように構成される。情報は、物理的住所情報、連絡先情報、ウェブサイト情報、地理的座標、情報、及び任意の別の情報を含んでいる。さらに、モジュール1158は、広告主に関連する電気器具の広告を管理するように構成される。一実施形態では、広告は、電気器具情報、電気器具の現在の価格、電気器具の電気的性能、電気器具の物理的構成等を含んでいる。価格等の電気器具に関する情報は、非効率的な電気器具をその電気器具に交換すると顧客は金銭的に節約できるか、を決定するために用いられる。一実施形態では、広告主は、電気器具を広告するものではなく、太陽等の再生可能エネルギ源を用いる地熱装置の広告主である。
【0083】
電気器具シグネチャ管理モジュール1160は、電気器具のタイプ、製造元、及びモデルの使用電力シグネチャ(指標)を管理するように構成される。使用電力指標の管理において、モジュール1160は、データベース等のデータレポジトリの指標を、組織的に記憶するように構成される。例えば、データレポジトリは、電気器具のタイプ、電気器具の製造元(製造業者)、電気器具のモデル、又は任意の別のコンフィギュレーションに基づいて、指標を記憶するように構成される。指標は、電力を引き出している電気器具のタイプを識別するために使用される。指標は、波形であってもよく、あるいは、複素インピーダンスを示すデータであってもよい。
【0084】
電気器具決定モジュール1162は、特に電気器具のタイプ、製造元、及び/又はモデルを識別するように構成される。住居で測定されている特定の電気器具の識別には、さまざまなパターンマッチング又は比較技術を用いる。例えば、同一、類似、又は修正された比較技術を用いて、音声認識に用いられている電気器具を決定する。一実施形態では、使用電力指標とのパターンマッチングが使用される。あるいは、及び/又は追加的に、複素インピーダンスのマッチングが実行される。本発明思想の原理に従い、さまざまな識別技術を用いることができる。使用電力指標のマッチングを使用して、電気器具を自動的に識別する代わりに、顧客が自身の住居における電気器具のリストを提供し、電気器具決定モジュール1162が単に指標を検索してもよい。
【0085】
電気器具問題決定モジュール1164は、当該技術分野で理解されているように、指標(シグネチャ)又は他の仕様により定義されている、仕様オペレーティングパラメータ(specification operating parameters)を対比することにより、顧客の住居における電力回路ネットワーク上の電気器具に関する電気器具問題を決定するように構成される。モジュール1164は、作動性能、非効率性、火災原因になる可能性、及び他の問題を含む、いくつものパラメータを決定するように構成される。問題が存在するという決定に応答して、モジュール1164は、データレポジトリを更新するか、又は他のモジュールに直接知らせて、顧客に通知するために通知、アラート、又はアラームを生成させる。
【0086】
地熱による節約分決定モジュール1166は、顧客が居住している地理的地域の地熱情報を提供するサーバ1108によりアクセス可能な地熱情報に、アクセスするように構成される。モジュール1166は、顧客の住居を暖房又は冷房するために用いられるエネルギの量に基づいて、ソーラパネル等の地熱エネルギ生産装置を設置することにより、顧客がどの程度の金額を節約することができるかを決定する。費用節約分は、地熱エネルギ生産装置の費用、設置費用、及び費用節約分を含んでいる。さらに、顧客が支払う電気代金も計算に入れられる。
【0087】
地理関係計算モジュール1168は、顧客と電気器具の広告主との間の距離を計算するように構成される。顧客が地元の広告主から広告を受け取ることを希望する場合は、顧客の住居から広告主の店舗までの距離を計算し、地元の広告主であるかを決定する。モジュール1168は、それ自体が距離計算を実行するか、又はモジュール1168は、サーバ1108の遠隔に位置する距離計算システム(例えば、マップクエスト(MapQuest)(登録商標)の地図作成システム)を呼び出す。
【0088】
費用節約分計算モジュール1170は、電気器具の使用電力情報を用いて、顧客は電気器具をエネルギ効率の良い電気器具と交換することにより、長期にわたり(例えば、1年)金銭的に節約ができるかを決定するように構成される。費用節約分を決定するにあたり、モジュール1170は、現在のエネルギ価格(例えば、0.12ドル/kWh)を用いて、実使用電力を新しい電気器具の仕様と比較する。
【0089】
広告選択モジュール1172は、既存のエネルギ効率の悪い電気器具を取り換えることにより、顧客が一定期間(例えば、3年)にわたり金銭的節約ができるかに依存して、顧客に提示する特定の広告を選択するように構成される。さらに、既存の電気器具が火災原因になりそうな場合は、広告主からの広告が選択されて顧客に送られる。一実施形態では、広告は、顧客の地元のものである。広告は、エネルギ効率の悪い電気器具と同一又は同等の製造元及びモデルの電気器具のものである。顧客のプロフィールの使用を含め、さまざまな要因を用いて、どの程度の量のどの広告を送るべきかが選択される。例えば洗濯機等の電気器具は、修理又は調整することでエネルギの非効率性を修正することができると判断されれば、モジュール1172は、修理の広告を選択することもできる。
【0090】
メッセージ生成/通信モジュール1174は、メッセージを生成かつ通信するために使用される。一実施形態では、メッセージは、広告を含んでいる。メッセージは、リアルタイムの、最新の、又は今月の全使用電力を提供する。メッセージはさらに、例えば、「冷蔵庫の現在のエネルギ使用効率は、はじめより30%下回っています。」等、特定の電気器具情報を含んでいる。メッセージは、「エアコンが火災原因になる可能性があります。」等のアラートも含んでいる。メッセージは、ウェブサイト顧客用のウィジェット(widget)に掲載する、通信ネットワーク(例えば、電子メール、テキストメッセージ)を介して通信する、郵送する、電話回線を介して、又は顧客へ情報を通信する任意の別の手段により送出される。別の実施形態では、モバイル装置アプリケーションを用いて、本発明思想の原理に従い、顧客が最新の使用電力又は別の情報を受信又は要求することができるようにする。
【0091】
モジュール1150は例示であって、本発明思想の原理に従い、代替的な及び/又は追加的なモジュールを用いてもよい。さらに、モジュール1150は、本明細書に記載されている機能を提供するために、組み合わせること又は別個のモジュールに分割することもできる。
【0092】
図12は、住居において電気器具の抵抗を測定することにより使用電力をモニタし、通知を顧客に通信する、例示的なプロセス1200のフロー図を示している。プロセス1200は、ステップ1202から開始し、電化製品の電気抵抗が経時的にモニタされる。電気抵抗は、電気器具の測定される複素インピーダンスの実部である。一実施形態では、測定は、当該技術分野で理解されているように、電力回路ネットワーク上の個々の電気器具を測定するために、コヒーレント及び非コヒーレントのいずれかのバルクのインピーダンス測定か、又は、コヒーレント及び非コヒーレントのいずれかの反射率測定技術を用いて実行される。測定は、本明細書ですでに述べたように、HF周波を使用して行うこともできる。ステップ1204で、現在すなわち既存の電気器具及び代替的な電気器具の予測費用が決定される。予測費用は、電気器具の抵抗に基づくそれぞれの電気器具による現在の使用電力に基づく。予測費用の決定は、1又は複数年を見通して、既存の非効率的な電気器具は新しい電気器具と比べてどの程度多くのエネルギを使用するかを決定する。一実施形態では、新しい電気器具は、同一の製造元及びモデルであり得る。ただし、本発明思想の原理は、顧客により使用されている既存の電気器具と新しい効率的な電気器具とを対比して長期的なエネルギ使用の差異を決定することを提供するものである。
【0093】
ステップ1206では、代替的な電気器具に関する費用節約分の通知が生成される。費用節約分の通知は、長期間(例えば、3年)の節約分を含んでおり、ここで費用節約分は、通知送付前の通知の受信を求める顧客の希望に基づく一定の閾値レベルに至る又はそれを超えるものである。ステップ1208では、通知がユーザへ通信される。通知は、ウェブページ上に掲載する形式又は電子メッセージを顧客に送信する形式である。さらに、通知は、顧客に合成音声又は実際の人間の声を伝える電話の形式により、非効率的な電気器具を効率的な電気器具に交換した場合に見込まれる費用節約分を顧客に知らせることもできる。
【0094】
図13は、電気器具が非効率的になってきたこと、又は最近の電気器具がより効率的でより少ない電力を用いるために顧客が長期的には金銭的に節約できることに基づいて、電気器具を修理する必要があるという決定が行われることに応答して、サービス提供者の顧客が、広告を顧客に提供するサービス提供者に対して自身の好みを提示することを可能にする、例示的なウェブサイト1302を示す、例示的なブラウザインターフェース1300のストリーンショットである。ウェブサイト1302は、希望の製造業者価格レンジセクション1304を含み、ここで顧客は、特定の電気器具(例えば、洗濯/乾燥機、冷蔵庫、等)の希望の製造業者及び価格レンジを選択する。製造業者はブランドメーカーの製造業者(brand name manufacturers)であり、価格レンジは、各電気器具のタイプの範囲内で低価格の電気器具から高価な電気器具まである。好みの台所用品スタイルセクション1306は、顧客が、色及び仕上げを含む台所用品のスタイルを選択することを可能にしている。好みの小売店セクション1308は、サービス提供者が、顧客の電気器具が非効率的である、又は別の電気器具が使用電力の節約により顧客の金銭的節約を可能にするという決定を行う場合に、顧客がそこから広告を受け取ることを希望する好みの小売店を選択できるようにしている。
【0095】
好みの広告セクション1310は、顧客が広告オプションを選択できるようにしており、広告オプションには、地元の小売店、国内の小売店、インターネット小売店、顧客の住居から10マイル以内、25マイル以内、50マイル以内にある小売店、最低価格の電気器具、交換用の電気器具のオプションは3つのみ、顧客が選択した好みに一致する広告のみが含まれる。好みの通知セクション1312は、顧客が通知オプションを選択できるようにしており、通知オプションすなわち好みには、非効率性や費用節約分のオプションが含まれる。一実施形態では、費用節約分は年単位のものである。あるいは、費用節約分は、複数年単位である。さらに、費用節約分は、電気器具交換費に新しい電気器具を使用するための使用電力費を加えたものに基づいて計算される。例えば、既存の電気器具が今後3年間の使用電力で1200ドルかかり、新しい電気器具の価格が500ドルで、新しい電気器具はよりエネルギ効率がよいので顧客は500ドル分のエネルギしか使用しないですむのであれば、費用節約分は、今後3年間で200ドルである。好みの通知はさらに、顧客への通知及び/又はアラートが通信される通知装置が含まれる。
【0096】
ウェブサイト1302は例示であり、セクション及びセクション内の選択可能なオプションのそれぞれは、本明細書に記載したものと異なるものでもよい。顧客への通知方法、通知で顧客に届けられる内容、計算かつ報告される使用電力データ、又は任意の別の本発明思想の原理に従う情報を顧客が選択するための代替的なオプションや好みが顧客に提供されてもよい。
【0097】
図14は、例示的なブラウザインターフェース1400のスクリーンショットを示しており、顧客が閲覧するための、使用電力情報、メッセージ/警告、及び広告を含む例示的なウェブページが含まれている。ウェブページ1402は、現在の月間使用電力、現在の月間電力請求額、及び平均日間使用電力を表示する、使用電力セクション1404を含んでいる。別の使用電力データを顧客に提供することもできる。上位3つの電力消費器具セクション1406は、顧客の住居にある上位3つの電力消費器具を示している。例えば、示されているように、冷蔵庫は、現在のところ、月間327kWhを消費し、エアコンは月間272kWhを消費し、かつ、オーブンは月間89kWhを消費している。上位3つの電力消費器具を提供することにより、顧客は、これらの電気器具の効率又は任意の電気器具(例えば、ヘアドライヤ)の使用に敏感になる。メッセージ/警告セクション1408は、非効率性や又はその逆のメッセージを顧客に提供する。例えば、エアコンが非効率的になってきた場合には、エアコンがはじめの仕様と比べて効率が一定のパーセント分落ちているというメッセージが表示される。
【0098】
広告セクション1410は、非効率的になってきている電気器具、又は一定期間にわたり顧客に費用の節約を提供できる電気器具を販売する広告主からの広告を表示するように構成される。示されているように、3つの広告が、地元の、国内の、及び/又はインターネットのエアコン販売者から提供されている。さらに、広告には、顧客が現在所有しているものと同一の製造元及びモデル、又は異なる製造元及びモデルの、新しいエアコンの価格、及び一定期間(例えば、3年間)の推定費用節約分が記載されている。広告は、ユーザが自動的に広告主のウェブサイトにリンクされるようにすることが選択的に可能であり、ユーザは、販売中の特定のエアコンを閲覧して、そのウェブサイトを介して広告主からエアコンを購入することが可能であり、かつ/又は、広告は、広告主の連絡先情報を提供して、顧客が広告主の小売店を訪れるために広告主の所在地を確認できるようになっている。
【0099】
図15は、例示的なブラウザインターフェース1500を示しており、顧客が閲覧するための使用電力情報、地熱利用可能性、メッセージ/警告、及び、広告を含む例示的なウェブページが含まれている。ウェブページ1502は、現在の月間使用電力、現在の月間電力請求額、及び平均日間使用電力を表示する、使用電力セクション1504を含んでいる。別の使用電力データを顧客に提供することもできる。地熱利用可能性セクション1506は、地熱装置が顧客の住居に設置される場合の、電力及び費用節約分を顧客に示している。例えば、太陽光収集が設置されるとすると、574kWを収集することができ、費用節約分は45.34ドル発生すると推定される。メッセージ/警告セクション1508は、非効率性又はその逆のメッセージを顧客へ提供する。
【0100】
広告セクション1510は、非効率的になってきている電気器具、又は一定期間にわたり顧客に費用の節約を提供できる電気器具を販売する広告主からの広告を表示するように構成される。ここには地元の広告主からの3つの広告が示されている。顧客の好みに応じて、国内及び/又はインターネット販売者からのソーラパネルの広告を提供することもできる。さらに、広告には、新しいソーラパネルの価格が記載されてもよい。さらに、ソーラパネルによる推定費用節約分も示される。顧客が金銭的に節約するのに役立つ代替的な地熱装置も顧客への広告提示に利用することができる。広告は、ユーザが自動的に広告主のウェブサイトにリンクされるようにすることが選択的に可能であり、ユーザは、販売中の特定のソーラパネルを閲覧して、そのウェブサイトを介して広告主からソーラパネルを購入することができ、又は、顧客が広告主の小売店を訪れるために広告主の所在地を確認できるようになっている。本発明思想のさまざまな実施形態は、コンピュータ可読記録媒体上のコンピュータ可読コードとして実現することができる。コンピュータ可読記録媒体は、コンピュータシステムにより読み出し可能なデータを記憶するのに適した任意のデータ記憶装置を含んでいる。考え得るコンピュータ可読記録媒体例の非網羅的なリストには、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD−ROM、磁気テープ、フロッピディスク、光学記憶装置、及び、インターネットを介するデータ伝送等のキャリア波が含まれる。コンピュータ可読記録媒体はさらに、ネットワークへ結合されているコンピュータシステムにわたり分散されて、コンピュータ可読コードが分散形式(distribution fashion)で記憶かつ実行されるようにすることもできる。本発明思想のさまざまな実施形態はさらに、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現することができる。例えば、処理ユニット802、メモリ808、ユーザインターフェース814、及びブラウザインターフェース1300、1400、1500及び/又はそれらの機能は、ソフトウェア、ハードウェア、又はその組み合わせに記憶される。さまざまな実施形態において、処理ユニット802、メモリ808、ユーザインターフェース814、及びブラウザインターフェース1300、1400、1500、及び/又はそれらのファンクションは、図8〜12に示されているような、ファイル及び/又はデータの送信及び/又は受信の動作等のタスクを実行するコンピュータ可読記録媒体上のコンピュータ可読コードとして実現することもできる。さらに、処理ユニット802、メモリ808、ユーザインターフェース814、及びブラウザインターフェース1300、1400、1500及び/又はそれらのファンクションは、図13〜15に示されているようなデータ表示及び印刷動作等の、表示及び/又は印刷動作等のタスクを実行するコンピュータ可読記録媒体上のコンピュータ可読コードとして実現することもできる。
【0101】
上述の発明の詳細な説明は、本発明を実施するための実施形態のほんのいくつかに関しており、本発明の範囲を制限するものではない。当業者であれば、詳細に説明したもの以外にも本発明を実施するための方法及び変形をすぐに予想できるであろう。
【0102】
本発明思想の特徴、発見及び原理、本発明思想が構成かつ使用される方法、構成の特性、並びに、有益な新しい有用な得られた結果を詳細に述べたので、新しい有用な構造、装置、エレメント、構成、部分、及び組み合わせを添付の特許請求の範囲に記載する。
【0103】
この特許請求の範囲は、本明細書で述べた本発明思想の包括的及び特定の特徴の全て、並びに本発明思想の範囲を述べているもの、すなわち表現上その範囲に入ると言えるもの全てを網羅することが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過電流保護装置に電気的に接続された複数の電気回路を有するネットワーク内の使用電力を測定する方法であって、該方法は、
電力負荷に電力を供給する1又は複数の電気回路へ電気的に接続された電力測定装置により、電気回路の電気パラメータを測定するステップと、
測定された電気パラメータを用いて、電気回路へ接続された電力負荷により消費されている電力を示すデータ値を計算するステップと、
電気回路上で引き出されている電力を示す計算されたデータ値を示すインディシア(指標)を表示するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、
スレショルド周波数を超える周波数の測定信号を生成するステップであって、該周波数は、測定信号が電気回路に供給されるときに、2つの電気回路の間に電気的に位置している過電流保護装置における電気部品を通過して、電気回路へ至る周波数に設定されている、ステップと、
測定信号を電気回路に伝えるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、測定信号を生成するステップは、約1MHz〜約30MHzの間の測定信号を生成するステップであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、
引き出されている電力を示す計算されたデータ値を、電力測定装置から遠隔地へ通信するステップと、
該計算されたデータ値を遠隔地で記憶するステップと、
計算されたデータ値を処理して少なくとも1つの統計を生成するステップと、
計算されたデータ値及び生成された少なくとも1つの統計にユーザがアクセスできるようにするステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、電気回路の複素インピーダンスを測定するステップを含み、複素インピーダンスは、実部及び虚部の両方を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、非コヒーレント測定技術を用いて実行されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、コヒーレント測定技術を用いて実行されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、
第1の周波数を有する第1のパルスを電気回路上に供給するステップと、
各負荷又は終端部(discontinuity)からの第1のパルスの第1の反射率信号を測定するステップと、
第2の周波数を有する第2のパルスを電気回路上に供給するステップと、
各負荷又は終端部からの第2のパルスの第2の反射率信号を測定するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、
ネットワーク上で負荷の抵抗を決定するステップと、
負荷の抵抗がスレショルド抵抗値以上であることを決定するステップと、
負荷の抵抗がスレショルド抵抗値を超えたことをユーザに通知するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、該方法はさらに、少なくとも1つの負荷交換オプションをユーザへ通信するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、
電気回路の複素インピーダンスを測定するステップであり、
複素インピーダンスは、自動平衡ブリッジ回路、リゾナント(Qアダプタ/Qメータ)、RF I−V(電流-電圧)測定技術、ネットワーク分析(反射係数)、又はTDR(時間領域反射率測定)複素インピーダンスメータ回路を用いて、測定されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、
電気回路の複素インピーダンスを測定するステップであり、
測定された複素インピーダンスは、ネットワークワーク内負荷である電気器具の個々のインピーダンスを示す成分に分解され、該分解は、スキン効果により与えられる周波数依存性を有するワイヤにより接続された並列及び直列接続の抵抗、キャパシタ、及びインダクタを有するネットワーク回路モデルを介して得られ、
該ネットワーク回路モデルは、最適な回路値を決定するために、異なる周波数におけるネットワークの測定された複素インピーダンスを用いて数値最適化により定められるパラメータを有しており、
ネットワーク内の使用電力は、ネットワーク及び個々のインピーダンスをP=V2/R(ただし、Vは公称電圧120ボルト)を用いて変換することにより決定される
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、フェーズカプラを用いて、1MHz未満の周波数を用いて電力ネットワークの1又は複数の相を測定することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、フェーズカプラは、アナログ/デジタル変換器及びワイヤレス通信I/Oインターフェースを備えている周波数発生器を有する高精度インピーダンス変換システムを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
過電流保護装置に電気的に接続された複数の電気回路を有する住居内の使用電力を測定するための装置であって、
交流(AC)測定信号を生成するように構成された第1の回路と、
該AC測定信号を電気回路の1つに印加するように構成された第2の回路と、
第2の回路がAC測定信号を電気回路の一つに印加することに応答して、複数の交流電圧を測定するように構成された第3の回路と
第3の回路と通信し、電気回路へ接続された電気器具のインピーダンスを計算するように構成された処理ユニットと、
処理ユニットと通信し、処理ユニットにより生成されたデータを、通信ネットワークを介して遠隔地へ通信するよう構成された入力/出力ユニットと
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、処理ユニットはさらに、電気回路へ接続された電気器具の、計算されたインピーダンスに基づいて、使用電力を計算するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項15記載の装置において、AC電流測定信号は、約1MHzを超えていることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項15記載の装置において、第2の回路は、高周波フィルタを備えていることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項15記載の装置において、第3の回路は、第1の回路と直列接続された抵抗を備えていることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項15記載の装置において、AC測定信号は、約5ボルト以下の振幅を有することを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項15記載の装置において、第3の回路は、印加電圧(VA)と、既知の値の抵抗の両端の電圧(VI)と、未知のインピーダンスの両端の電圧(VZ)とを測定するように構成され、電圧はAC電圧であることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項21記載の装置において、処理ユニットは、測定された交流電圧VA、VI、及びVZに基づいて、電気回路へ接続されている電気器具のインピーダンスを計算するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項15記載の装置において、第1の回路、第2の回路、第3の回路、及び処理ユニットは、非コヒーレント測定技術を用いて構成されることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項15記載の装置において、第1の回路、第2の回路、第3の回路、及び処理ユニットは、電気回路から電力が供給されている個々の電気器具のインピーダンスを測定するために、反射率測定技術を用いるように構成されることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項15記載の装置において、処理ユニットはさらに、使用されている電力量が電圧スレショルドレベルを超えているという決定が行われると、通知を生成するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項15記載の装置において、該装置はさらに、処理ユニットと通信している電子表示を備えており、処理ユニットは、電力回路上の電気器具の使用電力を示すインディシア(指標)を表示するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項27】
潜在顧客に対して電化製品を広告する方法であって、
電化製品の電気抵抗値を経時的にモニタするステップと、
モニタされた電気抵抗値に基づいて予測された、所定の予測期間にわたり電化製品を使用するための予測費用が、予測期間にわたり代替電化製品を使用するための予測費用を上回ることを決定するステップと、
電化製品のユーザが電化製品を代替電化製品に交換することで予測期間にわたり金銭的節約になることを示す通知を生成するステップであって、購入可能な代替電化製品のリストを含む通知を生成するステップと、
通知をユーザへ通信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、通知をユーザへ通信するステップは、ユーザがアクセスするウェブサイトに通知を掲載するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27記載の方法において、該方法はさらに、予測費用が所定のスレショルド金額を超えるかどうかを予測決定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項27記載の方法において、該方法はさらに、
電化製品の電気抵抗値が電気抵抗スレショルドレベルを超えたことを決定するステップと、
電化製品が電気スレショルドレベルを超えたことを示す第2の通知を生成するステップと、
第2の通知をユーザへ通信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項27記載の方法において、該方法はさらに、
電化製品の電気抵抗値の増加率が、スレショルド率よりも速く増加することを決定するステップと、
電化製品が危険であることを示す第2の通知を生成するステップと、
第2の通知をユーザへ通信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項27記載の方法において、該方法はさらに、
電化製品の電気的特性を測定するステップと、
電気的特性の測定又はユーザ入力に基づいて、電化製品のブランド及びモデルを決定するステップと、
該電化製品の理想的な代替電化製品である別の電化製品を、決定された電化製品のブランド及びモデルに基づいて決定するステップと、
通知に含めるために理想的な代替電化製品の少なくとも1つを選択するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32記載の方法において、
該方法はさらに、電化製品の地理的場所を決定するステップを含み、
電化製品の理想的な代替電化製品であると考えられる別の電化製品を決定するステップは、前記電化製品の地理的位置の地元にある、別の電化製品の少なくとも1つを扱っている地元の小売店を決定するステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項27記載の方法において、通知を生成するステップは、代替電化製品のリストを含む広告を生成するステップを含み、広告は、代替電化製品を扱っている小売店の名称を含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項27記載の方法において、通知を生成するステップは、ユーザが予想期間である3年にわたり金銭的に節約になるという予測決定がなされたとき、通知を生成するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
過電流保護装置に電気的に接続された複数の電気回路を有するネットワーク内の使用電力を測定する方法であって、該方法は、
電力負荷に電力を供給する1又は複数の電気回路へ電気的に接続された電力測定装置により、電気回路の電気パラメータを測定するステップと、
測定された電気パラメータを用いて、電気回路へ接続された電力負荷により消費されている電力を示すデータ値を計算するステップと、
電気回路上で引き出されている電力を示す計算されたデータ値を示すインディシア(指標)を表示するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、
スレショルド周波数を超える周波数の測定信号を生成するステップであって、該周波数は、測定信号が電気回路に供給されるときに、2つの電気回路の間に電気的に位置している過電流保護装置における電気部品を通過して、電気回路へ至る周波数に設定されている、ステップと、
測定信号を電気回路に伝えるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、測定信号を生成するステップは、約1MHz〜約30MHzの間の測定信号を生成するステップであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、
引き出されている電力を示す計算されたデータ値を、電力測定装置から遠隔地へ通信するステップと、
該計算されたデータ値を遠隔地で記憶するステップと、
計算されたデータ値を処理して少なくとも1つの統計を生成するステップと、
計算されたデータ値及び生成された少なくとも1つの統計にユーザがアクセスできるようにするステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、電気回路の複素インピーダンスを測定するステップを含み、複素インピーダンスは、実部及び虚部の両方を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、非コヒーレント測定技術を用いて実行されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、コヒーレント測定技術を用いて実行されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、
第1の周波数を有する第1のパルスを電気回路上に供給するステップと、
各負荷又は終端部(discontinuity)からの第1のパルスの第1の反射率信号を測定するステップと、
第2の周波数を有する第2のパルスを電気回路上に供給するステップと、
各負荷又は終端部からの第2のパルスの第2の反射率信号を測定するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、
ネットワーク上で負荷の抵抗を決定するステップと、
負荷の抵抗がスレショルド抵抗値以上であることを決定するステップと、
負荷の抵抗がスレショルド抵抗値を超えたことをユーザに通知するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、該方法はさらに、少なくとも1つの負荷交換オプションをユーザへ通信するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、
電気回路の複素インピーダンスを測定するステップであり、
複素インピーダンスは、自動平衡ブリッジ回路、リゾナント(Qアダプタ/Qメータ)、RF I−V(電流-電圧)測定技術、ネットワーク分析(反射係数)、又はTDR(時間領域反射率測定)複素インピーダンスメータ回路を用いて、測定されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、測定するステップは、
電気回路の複素インピーダンスを測定するステップであり、
測定された複素インピーダンスは、ネットワークワーク内負荷である電気器具の個々のインピーダンスを示す成分に分解され、該分解は、スキン効果により与えられる周波数依存性を有するワイヤにより接続された並列及び直列接続の抵抗、キャパシタ、及びインダクタを有するネットワーク回路モデルを介して得られ、
該ネットワーク回路モデルは、最適な回路値を決定するために、異なる周波数におけるネットワークの測定された複素インピーダンスを用いて数値最適化により定められるパラメータを有しており、
ネットワーク内の使用電力は、ネットワーク及び個々のインピーダンスをP=V2/R(ただし、Vは公称電圧120ボルト)を用いて変換することにより決定される
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、フェーズカプラを用いて、1MHz未満の周波数を用いて電力ネットワークの1又は複数の相を測定することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、フェーズカプラは、アナログ/デジタル変換器及びワイヤレス通信I/Oインターフェースを備えている周波数発生器を有する高精度インピーダンス変換システムを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
過電流保護装置に電気的に接続された複数の電気回路を有する住居内の使用電力を測定するための装置であって、
交流(AC)測定信号を生成するように構成された第1の回路と、
該AC測定信号を電気回路の1つに印加するように構成された第2の回路と、
第2の回路がAC測定信号を電気回路の一つに印加することに応答して、複数の交流電圧を測定するように構成された第3の回路と
第3の回路と通信し、電気回路へ接続された電気器具のインピーダンスを計算するように構成された処理ユニットと、
処理ユニットと通信し、処理ユニットにより生成されたデータを、通信ネットワークを介して遠隔地へ通信するよう構成された入力/出力ユニットと
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、処理ユニットはさらに、電気回路へ接続された電気器具の、計算されたインピーダンスに基づいて、使用電力を計算するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項15記載の装置において、AC電流測定信号は、約1MHzを超えていることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項15記載の装置において、第2の回路は、高周波フィルタを備えていることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項15記載の装置において、第3の回路は、第1の回路と直列接続された抵抗を備えていることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項15記載の装置において、AC測定信号は、約5ボルト以下の振幅を有することを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項15記載の装置において、第3の回路は、印加電圧(VA)と、既知の値の抵抗の両端の電圧(VI)と、未知のインピーダンスの両端の電圧(VZ)とを測定するように構成され、電圧はAC電圧であることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項21記載の装置において、処理ユニットは、測定された交流電圧VA、VI、及びVZに基づいて、電気回路へ接続されている電気器具のインピーダンスを計算するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項15記載の装置において、第1の回路、第2の回路、第3の回路、及び処理ユニットは、非コヒーレント測定技術を用いて構成されることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項15記載の装置において、第1の回路、第2の回路、第3の回路、及び処理ユニットは、電気回路から電力が供給されている個々の電気器具のインピーダンスを測定するために、反射率測定技術を用いるように構成されることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項15記載の装置において、処理ユニットはさらに、使用されている電力量が電圧スレショルドレベルを超えているという決定が行われると、通知を生成するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項15記載の装置において、該装置はさらに、処理ユニットと通信している電子表示を備えており、処理ユニットは、電力回路上の電気器具の使用電力を示すインディシア(指標)を表示するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項27】
潜在顧客に対して電化製品を広告する方法であって、
電化製品の電気抵抗値を経時的にモニタするステップと、
モニタされた電気抵抗値に基づいて予測された、所定の予測期間にわたり電化製品を使用するための予測費用が、予測期間にわたり代替電化製品を使用するための予測費用を上回ることを決定するステップと、
電化製品のユーザが電化製品を代替電化製品に交換することで予測期間にわたり金銭的節約になることを示す通知を生成するステップであって、購入可能な代替電化製品のリストを含む通知を生成するステップと、
通知をユーザへ通信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、通知をユーザへ通信するステップは、ユーザがアクセスするウェブサイトに通知を掲載するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27記載の方法において、該方法はさらに、予測費用が所定のスレショルド金額を超えるかどうかを予測決定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項27記載の方法において、該方法はさらに、
電化製品の電気抵抗値が電気抵抗スレショルドレベルを超えたことを決定するステップと、
電化製品が電気スレショルドレベルを超えたことを示す第2の通知を生成するステップと、
第2の通知をユーザへ通信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項27記載の方法において、該方法はさらに、
電化製品の電気抵抗値の増加率が、スレショルド率よりも速く増加することを決定するステップと、
電化製品が危険であることを示す第2の通知を生成するステップと、
第2の通知をユーザへ通信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項27記載の方法において、該方法はさらに、
電化製品の電気的特性を測定するステップと、
電気的特性の測定又はユーザ入力に基づいて、電化製品のブランド及びモデルを決定するステップと、
該電化製品の理想的な代替電化製品である別の電化製品を、決定された電化製品のブランド及びモデルに基づいて決定するステップと、
通知に含めるために理想的な代替電化製品の少なくとも1つを選択するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32記載の方法において、
該方法はさらに、電化製品の地理的場所を決定するステップを含み、
電化製品の理想的な代替電化製品であると考えられる別の電化製品を決定するステップは、前記電化製品の地理的位置の地元にある、別の電化製品の少なくとも1つを扱っている地元の小売店を決定するステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項27記載の方法において、通知を生成するステップは、代替電化製品のリストを含む広告を生成するステップを含み、広告は、代替電化製品を扱っている小売店の名称を含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項27記載の方法において、通知を生成するステップは、ユーザが予想期間である3年にわたり金銭的に節約になるという予測決定がなされたとき、通知を生成するステップを含むことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2013−505466(P2013−505466A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530974(P2012−530974)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/049652
【国際公開番号】WO2011/035301
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(506365359)ラトガーズ,ザ ステイト ユニバーシティー オブ ニュー ジャージー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/049652
【国際公開番号】WO2011/035301
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(506365359)ラトガーズ,ザ ステイト ユニバーシティー オブ ニュー ジャージー (2)
【Fターム(参考)】
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