説明

壁面緑化構造

【課題】簡易な構造で、付着型の蔓性植物を付着させ易く、緑化効率の良好な壁面緑化構造を提供する。
【解決手段】壁面緑化構造10は、壁面14から離間して配設されるとともに、微小メッシュが形成され、第1緑化植物16を付着させる可塑性の繊維状ネット20と、繊維状ネット20の外方に配設され、第2緑化植物17を係合させる補助フェンス40と、を備えて構成される。第1緑化植物16は、付着型の蔓性植物からなり、第2緑化植物17は、巻きつき型の蔓性植物ないし下垂性植物からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁等における壁面を緑化するための壁面緑化構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面を緑化する手法として、蔓性植物を直接壁面に付着させ登はんさせる手法がある。この手法では、壁面がコンクリートや金属等の平滑面の場合に蔓性植物を付着させることが難しく、蔓性植物の吸盤や気根等によって壁面を傷める可能性もある。また、壁面にマット状の基盤材を貼り詰め、この基盤材に蔓性植物を付着させるものがあるが、壁面が汚れ易く、重厚で構造が煩雑となる。
【0003】
これに対して、格子金網等からなる補助資材を壁面から離間した位置に設け、この補助資材に蔓性植物を絡ませ登はんさせるようにした壁面緑化構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−144129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載される如くの壁面緑化構造を、ヘデラ等の付着型の蔓性植物に適用した場合には、気根等による付着力が比較的弱いこともあって、格子金網等からなる補助資材に蔓性植物を付着させ登はんさせることが難しかった。また、このような蔓性植物を繁茂させるためには一般に長期間を要し、緑化効率が悪かった。
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的とするところは、簡易な構造で、付着型の蔓性植物を付着させ易く、緑化効率の良好な壁面緑化構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の壁面緑化構造は、壁面から離間して配設されるとともに、微小メッシュが形成され、第1緑化植物を付着させる可塑性の繊維状ネットと、該繊維状ネットの外方に配設され、第2緑化植物を係合させる補助フェンスと、を備えて構成される。
【0008】
本発明の壁面緑化構造は好ましくは、該繊維状ネットが、合成繊維に耐候性樹脂を被覆してなる。
【0009】
本発明の壁面緑化構造はさらに好ましくは、該微小メッシュの目合いが、5mm〜30mmに形成される。
【0010】
本発明の壁面緑化構造はさらに好ましくは、該繊維状ネットが、高さ方向に15kN/m以上の引張強度を有する。
【0011】
本発明の壁面緑化構造はさらに好ましくは、該第1緑化植物が、付着型の蔓性植物からなり、該第2緑化植物が、巻きつき型の蔓性植物ないし下垂性植物からなる。
【0012】
本発明の壁面緑化構造はさらに好ましくは、該第1緑化植物、該第2緑化植物のうち一方が登はんし、他方が下垂することで、壁面を上下両方向から緑化するように構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の壁面緑化構造によれば、簡易な構造で、付着型の蔓性植物を付着させ易く、緑化効率を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る壁面緑化構造を示す平面図である。
【図2】実施形態に係る繊維状ネットを示す正面図である。
【図3】実施形態に係る補助フェンスを示す正面図である。
【図4】実施形態に係る壁面緑化構造による緑化状況を示す側面断面図である。
【図5】実施形態に係る繊維状ネットを示す拡大斜視図である。
【図6】他の実施形態に係る壁面緑化構造を示す平面図である。
【図7】他の実施形態に係る壁面緑化構造による緑化状況を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図5を参照して詳細に説明する。図1は実施形態に係る壁面緑化構造10を示す平面図、図2は実施形態に係る繊維状ネット20を示す正面図、図3は実施形態に係る補助フェンス40を示す正面図、図4は壁面緑化構造10による緑化状況を示す側面図である。図5は繊維状ネット20を示す拡大斜視図である。
【0016】
図1〜図4に示すように、本実施形態の壁面緑化構造10は、中層規模の建物12の外壁13に緑化を施すもので、繊維状ネット20と、補助フェンス40と、を主に備える。外壁13の壁面14に沿って、複数の繊維状ネット20、20…が幅方向Wに並べ設けられ、これに対向するように複数の補助フェンス40、40…が繊維状ネット20の外方に並べ設けられることで、壁面14の一定領域を面状に覆う壁面緑化構造10が構成される。図4に示すように、繊維状ネット20には、第1緑化植物16が登はんし、補助フェンス40には、第2緑化植物17が登はんする。
【0017】
繊維状ネット20は、図1および図4に示すように、壁面14から所定距離Aを隔てて略鉛直に配設される。この実施形態の繊維状ネット20は、図2および図4に示すように、壁面14の高さに略相当する高さを有する長尺矩形状に形成される。上記の距離Aは、第1緑化植物16の種類等によって異なるが、好ましくは30mm〜200mm程度に設定される。この距離Aが小さくなり過ぎると、第1緑化植物16が壁面14から輻射熱等の影響を受け易くなり、逆に大きくなり過ぎると、第1緑化植物16の壁面被覆による省エネ効果等が損減するおそれがある。
【0018】
繊維状ネット20は、第1緑化植物16を付着させ登はんさせるもので、図2に示すように、多数の微小メッシュ24を有する。この実施形態の繊維状ネット20は、幅方向Wに沿って延設される横紐部22と、高さ方向Hに沿って延設される縦紐部23と、を備え、これによりの四辺形状(目合い25mm程度)の微小メッシュ24が形成されている。
【0019】
繊維状ネット20は可塑性を有するとともに、表面にはざらつきがあり、無数の微細な凹凸が形成されている。繊維状ネット20は、耐候性に優れ、少なくとも高さ方向Hに高引張強度を有するものが好ましい。「高引張強度」とは、JIS L 1096に準じて測定された引張強度が15kN/m以上、より好ましくは20kN/m以上のものをいう。このような繊維状ネット20は、所定の高強度繊維からなる合成繊維を格子状に織編、融着、結束等したものを、耐候性樹脂で被覆処理することにより得ることができる。上記合成繊維としては、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド、ポリビニルアルコール、ビニロン等が用いられる。耐候性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂が好ましく用いられる。この実施形態の繊維状ネット20は、ポリエステルのマルチフィラメントにて太さ1〜3mm程度の横紐部22、縦紐部23を構成し、これを格子状に織編するとともに、アクリル系樹脂溶液に含浸させ、適宜の熱処理を施すことによって製造されており、幅方向Wに15kN/m以上、高さ方向Hに23kN/m以上の引張強度を有する。このような繊維状ネット20を用いることにより、第1緑化植物16の繁茂に伴って、繊維状ネット20が、第1緑化植物16の荷重や風の影響を受けて崩壊するのを確実に防止できるようになる。
【0020】
繊維状ネット20は、適宜の支持手段を介して壁面14に支持される。この実施形態では支持手段として、図1および図2に示すように、アイボルト31、ワイヤー35等が用いられる。アイボルト31は、繊維状ネット20の四隅位置において、ナット32、ワッシャー33および図示しないアンカーにより壁面14に固設され、各アイボルト31の突端に、ターンバックル36を介してワイヤー35が緊結される。そして、このワイヤー35と繊維状ネット20の四辺とを、クリップ37で適当な間隔をあけて挟着することで、繊維状ネット20が僅かに弛ませた所定状態(後述する)をなして張設されるようになっている。
【0021】
補助フェンス40は、図1および図4に示すように、繊維状ネット20からさらに所定距離Bを隔てて略鉛直に配設される。この実施形態の補助フェンス40は、図3に示すように、正方形状の格子金網によって構成される。補助フェンス40は、繊維状ネット20と略等しい幅を有しており、高さ方向Hに隣接して設けられる複数の補助フェンス40、40…が、一の繊維状ネット20にちょうど相対するようになっている。上記の距離Bは、第1緑化植物16と第2緑化植物17とが絡み合わないように比較的大きく確保されているのがよいが、第2緑化植物17の壁面被覆による省エネ効果等を考慮すると、150mm程度以内が好ましく、50mm前後がより好ましい。
【0022】
補助フェンス40は、第2緑化植物17を係合させ登はんさせるもので、金属等の堅強な素材によって構成される。この実施形態の補助フェンス40はステンレス製で、径6mm程度の丸鋼からなる枠材42と、この枠材42内に荒目の格子状をなして配置され、径3mm程度の丸鋼からなる横材43、縦材44と、を備える。第2緑化植物17の種類等によって異なるが、横材43、縦材44の各間隔は通常、100〜200mm程度以上が好ましい。この間隔が小さ過ぎると、第2緑化植物17を巻きつかせる等係合させることが難しくなるおそれがある。図示しないが、横材43、縦材44を適宜形状に屈曲し、第2緑化植物17の横材43、縦材44への係合を促進するようにしてもよい。
【0023】
補助フェンス40は、適宜の支持手段を介して壁面14に支持される。この実施形態では支持手段として、図1および図3に示すように、寸切ボルト51、取付金具55等が用いられる。寸切ボルト51は、補助フェンス40の外周よりも内側位置において、ナット52、ワッシャー53および図示しないアンカーにより壁面14に固設され、各寸切ボルト51の突端に、取付金具55が螺着される。そして、この取付金具55に補助フェンス40の横材43を適宜取付けることで、補助フェンス40が所定位置に支持されるようになっている。寸切ボルト51は、繊維状ネット20の微小メッシュ24を挿通して設けられる。
なお、上記した補助フェンス40の形態は一例であり、第2緑化植物17の種類等に応じて適宜のものを採用することができる。この実施形態のように、補助フェンス40を格子金網によって構成する場合には、第2緑化植物17が繁茂した際の耐風性能が向上し、繊維状ネット20に付着した第1緑化植物16の剥落も防止し易くなる。また、未緑化時における壁面緑化構造10の見栄えを良好にできる。
【0024】
第1緑化植物16、第2緑化植物17としては、蔓性植物が好ましい。とりわけ第1緑化植物16には、付着型の蔓性植物が好ましく用いられる。付着型の蔓性植物とは、気根(付着根)や吸盤(付着盤)を介して対象物に付着しながら登はんするもので、例えばオオイタビ、ノウゼンカズラ、イタビカズラ、テイカカズラ、キヅタ、ツルマサキ、ヘデラ・カナリエンシス、ヘデラ・ヘリックス、ヘデラ・ヘリックス・アイバレース、ヘデラ・ヘリックス・ゴールドハート、ハトスヘデラ、ヘデラ・コルシカ、イワガラミ、ツルアジサイ、ナツヅタ等が挙げられる。これら付着型の蔓性植物のうち複数種類を混植して第1緑化植物16を構成してもよい。
【0025】
一方、第2緑化植物17としては、巻きつき型の蔓性植物が好ましく用いられる。巻きつき型の蔓性植物とは、巻きひげ、茎、葉柄等を介して対象物に巻きつきながら登はんするもので、例えばビグノニア、トケイソウ、ヘチマ、カラスウリ、ブドウ類、フジ、ムベ、サネカズラ、アケビ、キウイ、カロライナジャスミン、スイカズラ、ツキヌキニンドウ、ツルウメモドキ、クズ、アサガオ、サルナシ、ヒョウタン、クレマチス類、テッセン、カザグルマ等が挙げられる。これら巻きつき型の蔓性植物のうち複数種類を混植して第2緑化植物17を構成してもよい。
【0026】
また、第1緑化植物16、第2緑化植物17を、それぞれ繊維状ネット20、補助フェンス40に登はんさせる他、下垂させるようにしてもよい。下垂させる第1緑化植物16としては、例えばオオイタビ、イタビカズラ等の対象物に付着しながら下垂するものが好ましい。下垂させる第2緑化植物17として、例えばハイビャクシン、コトネアスター類、ビンカ・マジョール等の下垂特性を有する下垂性植物を用いることもできる。
【0027】
上記の如く構成される壁面緑化構造10の設置に際しては、建物12における壁面14の所定位置にアイボルト31、寸切ボルト51を固設しておく。アイボルト31の突端には、ターンバックル36を介してワイヤー35を緊結し、このワイヤー35と繊維状ネット20の四辺とをクリップ37で挟着して、繊維状ネット20を張設する。繊維状ネット20の張設を終えた箇所では、微小メッシュ24を挿通する寸切ボルト51の突端に、取付金具55を螺着し、この取付金具55を介して補助フェンス40を順次取付ける。繊維状ネット20を張設したのちに、微小メッシュ24を挿通させた寸切ボルト51を壁面14に固設するようにしてもよい。
このようにして、壁面14に沿って、複数の繊維状ネット20、20…と、これに対向する複数の補助フェンス40、40…と、を簡単に配設してゆくことができる。
【0028】
そして、繊維状ネット20、補助フェンス40には、図4に示すようにして、それぞれ第1緑化植物16、第2緑化植物17を登はんさせる。繊維状ネット20、補助フェンス40の下方には、自然土ないし人工土からなる栽培土壌19が設けられ、第1緑化植物16、第2緑化植物17が植栽される。本実施形態では、壁面緑化構造10を設置時の第1緑化植物16、第2緑化植物17として、あらかじめ或る程度まで生育伸長させたものを用いているが、これらの苗や種子等を栽培土壌19に植栽することもできる。第1緑化植物16、第2緑化植物17の登はん開始期には、図示しない結束バンドやテープ等を用いて、それぞれ繊維状ネット20、補助フェンス40における登はんを誘引するのが好ましい。第1緑化植物16や第2緑化植物17に灌水をおこなうための自動灌水設備(図示せず)等を適宜付設することもできる。
【0029】
第1緑化植物16は、繊維状ネット20の各微小メッシュ24の周辺(横紐部22や縦紐部23)に付着しながら登はんする。この実施形態の繊維状ネット20は、ポリエステル繊維にアクリル系樹脂を被覆してなり、横紐部22、縦紐部23の表面に適度のざらつきがあるとともに、無数の微細な凹凸が形成されているため、第1緑化植物16の気根や吸盤が付着し易いものとなっている。また、高さ方向Hに沿って延設される縦紐部23を備えることから、第1緑化植物16の上方に向けた登はんが促進される。
【0030】
繊維状ネット20の横紐部22、縦紐部23は、比較的硬質に形成されるが、可塑性を備えており、所定状態をなして張設される。より詳細には繊維状ネット20は、図5に示すように、横紐部22、縦紐部23が、微小メッシュ24の介在とも相俟ってそれぞれ幅方向W、高さ方向Hに略沿った波状をなして張設されるようになっている。これにより繊維状ネット20の外方側に、山(高地)と谷(低地)とが不規則に連続する自然物に近い擬似的な起伏面が形成されることから、第1緑化植物16の付着および登はんが活発化されるようになる。上記のような起伏面が形成されるためには、微小メッシュ24の目合い(目合い寸法)は、5〜30mm程度が好ましく、10〜25mm程度がより好ましい。微小メッシュ24の目合いが大きくなり過ぎると、第1緑化植物16が横紐部22、縦紐部23に気根や吸盤を付着させることも難しくなる。逆に微小メッシュ24の目合いが小さくなり過ぎると、繊維状ネット20の軽量化等を図れなくなるおそれもある。
【0031】
これに対して第2緑化植物17は、補助フェンス40に係合しながら登はんする。この実施形態では、第2緑化植物17が、補助フェンス40の横材43や縦材44に茎等を巻きつかせながら登はんしている。第1緑化植物16、第2緑化植物17の生育伸長に伴い、壁面14の一定領域が、第1緑化植物16および第2緑化植物17によって下方から順次被覆される。
【0032】
このような壁面緑化構造10によれば、所定の繊維状ネット20および補助フェンス40を備えた構成により、第1緑化植物16を付着させ易く、登はん途中で第1緑化植物16が剥落するのを防ぐこともできる。
また、壁面緑化構造10によれば、第1緑化植物16および第2緑化植物17により、短期間で壁面14を繁茂被覆し易く、緑化効率を良好にできる。第1緑化植物16、第2緑化植物17として、落葉性と常緑性のものを組み合わせて用いるようにすれば、冬季等で一方が落葉する間にも、葉の残る他方によって壁面14を被覆した状態を保つことも可能となる。
さらに、壁面緑化構造10は、上記したとおりの簡易な構造であるため、建物12における壁面緑化の導入から維持管理等に至るコストを低く抑えることができる。壁面緑化構造10であれば、壁面14にかかる負荷(荷重)が非常に小さく、壁面14が第1緑化植物16や繊維状ネット20で汚れる等のおそれも低い。
【0033】
他の実施形態について、図6〜図7を参照して説明する。図6は他の実施形態に係る壁面緑化構造110を示す平面図、図7は壁面緑化構造110による緑化状況を示す側面断面図である。上記実施形態と共通する構成には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0034】
図6〜図7に示すように、この実施形態の壁面緑化構造110は、繊維状ネット20および補助フェンス40と、補助フェンス40のさらに外方に配設される保護部材147と、を主に備える。保護部材147は、補助フェンス40と同様の格子金網からなり、補助フェンス40と略同サイズの正方形状に形成される。保護部材147は、取付金具55に連結される連結具148および取付金具155により、補助フェンス40に対向して配設される。補助フェンス40と保護部材147との間には、隙間部149が形成されている。保護部材147は、必ずしも全ての補助フェンス40に亘って設けられる必要はなく、補助フェンス40を部分的にカバーするものであってもよい(図7参照)。
【0035】
壁面緑化構造110では、図7に示すように、第1緑化植物16は、上記実施形態と同様の要領で、繊維状ネット20を登はんするが、第2緑化植物117は、補助フェンス40に適宜係合しながら上記隙間部149内を下垂する。建物12の屋上には植栽容器117aが設置され、植栽容器117aに栽培土壌117bが充填されるとともに第2緑化植物117が植栽されている。
【0036】
このような壁面緑化構造110によれば、第1緑化植物16が高さ方向Hの上方へ登はんする一方で、第2緑化植物117が高さ方向Hの下方へ下垂して、壁面14が上下両方向から被覆されるため、壁面14の一定領域を全体的に被覆するための期間が短縮され、壁面14の早期被覆が可能となる。第1緑化植物16として下垂させるものを混植したり、第2緑化植物117として登はんさせるものを混植するようにしてもよい。
また、壁面緑化構造110によれば、所定の保護部材147を備えた構成により、第2緑化植物117が風によって吹き上げられる等して、下方への生育伸長を妨害されるおそれを低下させることができる。第2緑化植物117として用いられる巻きつき型の蔓性植物や下垂性植物の中には、下垂時の巻きつき力が弱いか巻きつき力を持たないものがあるため、このような保護部材147を設けることが効果的となり得る。
【0037】
以上の実施形態の記述は、本発明をこれに限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正や設計変更等が可能である。
例えば、繊維状ネット20、補助フェンス40、これらを壁面14にそれぞれ支持する支持手段等の具体的な形態は、壁面14の状況や第1緑化植物16ないし第2緑化植物17の種類等に応じて適宜変更してよい。
また、繊維状ネット20と補助フェンス40とをあらかじめ適当な大きさのユニットとして一体に構成しておき、これを壁面14に沿って配設することもできる。
上記では、壁面緑化構造10(110)を建物12に設置する場合を例に挙げて説明したが、本発明の壁面緑化構造はこれに限らず、様々な規模・形状・用途の建物、工作物、構築物等に適用できる。壁面は、傾斜面や法面、湾曲面等であってもよい。また、本発明の壁面緑化構造は、既設の壁面に設置する以外に、壁面の新設と併せて設置することもできる。
【符号の説明】
【0038】
10 壁面緑化構造
12 建物
14 壁面
16 第1緑化植物
17 第2緑化植物
20 繊維状ネット
22 横紐部
23 縦紐部
24 微小メッシュ
40 補助フェンス
W 幅方向
H 高さ方向



【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面から離間して配設されるとともに、微小メッシュが形成され、第1緑化植物を付着させる可塑性の繊維状ネットと、
該繊維状ネットの外方に配設され、第2緑化植物を係合させる補助フェンスと、
を備えた壁面緑化構造。
【請求項2】
該繊維状ネットが、合成繊維に耐候性樹脂を被覆してなる請求項1に記載の壁面緑化構造。
【請求項3】
該微小メッシュの目合いが、5mm〜30mmに形成される請求項2に記載の壁面緑化構造。
【請求項4】
該繊維状ネットが、高さ方向に15kN/m以上の引張強度を有する請求項3に記載の壁面緑化構造。
【請求項5】
該第1緑化植物が、付着型の蔓性植物からなり、
該第2緑化植物が、巻きつき型の蔓性植物ないし下垂性植物からなる請求項4に記載の壁面緑化構造。
【請求項6】
該第1緑化植物、該第2緑化植物のうち一方が登はんし、他方が下垂することで、壁面を上下両方向から緑化するようになされた請求項5に記載の壁面緑化構造。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−244755(P2011−244755A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122222(P2010−122222)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(505329819)ブルー・ジー・プロ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】