説明

変位計測装置

【課題】低コストで、かつ高精度を実現することができる変位計測装置を得る。
【解決手段】変位計測点に設置された発信機1と、位置が既知である固定点に設置され、前記発信機1からの電波を受信する複数の受信アンテナ2と、前記複数の受信アンテナ2を切り替えるスイッチ3と、前記スイッチ3で選択された信号が入力される信号処理装置14とを設け、前記信号処理装置14は、前記スイッチ3で選択された、所定の組み合わせの受信アンテナ2で受信した信号間の位相差を計算して記憶し、次に前記スイッチ3を切り替えて別の組み合わせの受信アンテナ2で受信した信号間の位相差を計算して記憶し、これを繰り返すことにより得られた多数の受信アンテナの組み合せでの位相差を用いて、前記発信機1の位置を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の受信アンテナを切り替えることにより、受信アンテナの数よりも少ない周波数変換器やA/D変換器で高い計測精度を得る変位計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地滑り斜面の変位計測や建物などの変形計測を目的として、電波の位相を用いて変位を計測する方法として、従来、変位計測点に発信機を設置し、複数の固定点に設けた受信アンテナで発信機からの電波を受信し、その位相差から発信機の位置の変位を計測する方法があった(例えば、特許文献1及び2参照)。この電波位相差を用いた変位計測法は、マルチパス波による位相差の計測誤差が誤差の主要因であり、原理的には受信アンテナ数を増やすほど、誤差の平均効果により計測精度が向上する。
【0003】
【特許文献1】特開2001−272448号公報
【特許文献2】特開2005−223915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の変位計測法では、受信アンテナを増やすには、周波数変換器やA/D変換器も受信アンテナの数と同じだけ必要になり、特に高精度が要求される場合、例えば数十、数百といった多数の受信アンテナを用いると、大変高価で大規模なシステムになってしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、低コストで、かつ高精度を実現することができる変位計測装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る変位計測装置は、変位計測点に設置された発信機と、位置が既知である固定点に設置され、前記発信機からの電波を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナを切り替えるスイッチと、前記スイッチで選択された信号が入力される信号処理装置とを設け、前記信号処理装置は、前記スイッチで選択された、所定の組み合わせの受信アンテナで受信した信号間の位相差を計算して記憶し、次に前記スイッチを切り替えて別の組み合わせの受信アンテナで受信した信号間の位相差を計算して記憶し、これを繰り返すことにより得られた多数の受信アンテナの組み合せでの位相差を用いて、前記発信機の位置を計算するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る変位計測装置は、低コストで、かつ高精度を実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る変位計測装置について図1を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る変位計測装置の構成を示す図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0009】
図1において、この実施の形態1に係る変位計測装置は、変位計測点に設置した複数の発信機1と、発信機1からの電波を受信する複数の受信アンテナ2と、複数の受信アンテナ2を切り替えるRFスイッチ3と、RFスイッチ3により選択された受信信号を増幅する低雑音増幅器(LNA)4と、RF受信信号をIF受信信号に変換する周波数変換器(D/C)5と、アナログのIF受信信号をディジタル変換するA/D変換器(A/D)6と、複数の発信機1を識別し弁別する発信機弁別部8と、受信信号間の位相差を計算する位相差計算部9と、位相差を記憶する記憶部10と、記憶部10に蓄えられた複数回計測の位相差から発信機位置を計算する測位計算部11と、RFスイッチ3やシステム全体を制御する制御部12とが設けられている。
【0010】
なお、RF受信系7は、周波数変換器5とA/D変換器6から構成される。また、計算機13は、発信機弁別部8と、位相差計算部9と、記憶部10と、測位計算部11と、制御部12などをソフトウェアで実現する。さらに、信号処理装置14は、複数のRF受信系7と計算機13から構成される。
【0011】
つぎに、この実施の形態1に係る変位計測装置の動作について図面を参照しながら説明する。
【0012】
複数の各変位計測点に設置した発信機1は、電波を発信し、その電波は固定点に設置された複数の受信アンテナ2によって受信される。受信アンテナ2からのRF受信信号は、近隣の複数の受信アンテナ2に対して1個ずつ設置されるRFスイッチ3に集められ、このRFスイッチ3は、集められた信号の内から1つの受信信号を選択する。RFスイッチ3は、計算機13内の制御部12により制御されている。RFスイッチ3により選択された各受信信号は、低雑音増幅器4で増幅された後、RFケーブルなどを通して信号処理装置14に集められる。
【0013】
信号処理装置14内では、各RF受信信号は周波数変換器5でIF受信信号に変換された後、A/D変換器6でディジタル受信信号に変換されて計算機13に入力される。計算機13の内部では、発信機弁別部8により、複数の発信機1からの信号を識別し、各々の発信機ごとの信号に弁別する。この弁別方法は、例えば、時分割多元接続(TDMA)や周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)などを用いることができる。以後の計算は、各々の発信機ごとに独立に行われる。
【0014】
次に、各々の発信機ごとに弁別された受信信号は位相差計算部9に入力され、位相差計算部9は、受信信号間の位相差を計算し、これを記憶部10に記憶する。次に、制御部12は、RFスイッチ3に指令を送り、RFスイッチ3を切り替えて別の受信アンテナ2の組み合わせにする。この新たな受信アンテナ2の組み合わせで、同様に受信信号間の位相差を計算し、この結果を記憶部10に記憶する。これを繰り返し、複数の受信アンテナ2の組み合わせにおける位相差を記憶部10に蓄積する。最後に、測位計算部11は、記憶部10に蓄積された複数の受信アンテナ2の組み合わせによる位相差から発信機1の位置を計算し測位結果として出力する。
【0015】
測位計算は、観測位相を表わす次の方程式(1)を、複数の受信アンテナ2の組み合せについて連立させて解くことによって行う。
【0016】
【数1】

【0017】
上記の方程式(1)において、左辺のφl,mは、位相差計算部9により計算された受信アンテナAlと受信アンテナAmの受信信号の観測位相差で、左辺のnは、位相整数値バイアス、(X,Y,Z)と(X,Y,Z)はそれぞれ受信アンテナAlと受信アンテナAmの位置、(x,y,z)は算出すべき発信機位置である。
【0018】
このうち、受信アンテナ位置(X,Y,Z)、(X,Y,Z)は既知であり、位相差φl,mは観測値、位相整数値バイアスnは発信機1の位置を別な手段で予め計測するか、前回の計測結果を利用することにより定めることができる。
【0019】
残る未知変数の数が(x,y,z)の3個であるので、方程式(1)が連立方程式として解けるためには最低3個の独立な方程式が必要である。3個の独立な方程式を同時に得るのに必要な受信アンテナ数は4個となるが、受信アンテナ2の切り替えによって4個よりも多数の受信アンテナ間の位相差が得られるため、未知変数よりも多くの方程式が得られることから、測位計算は最小二乗法等を用いて行う。
【0020】
受信アンテナ2の切り替え組み合わせは、例えば、図1に示すように、4系統のRFスイッチ3とRF受信系7が有り、各RFスイッチ3にa、b、c、dの4個ずつ接点があり計16個の受信アンテナ(A1〜A16)2が接続されている場合、表(1)のような組み合わせでRFスイッチ3を切り替えるとよい。
【0021】
この切り替え方法は、次のような考え方の下に決められている。4チャネルの受信系統に各4個ずつ、計16個の受信アンテナ2が接続されている場合、RFスイッチ3の切り替え方の組み合わせは4=256通りある。一方、総数16個の受信アンテナ2を用いて、式(1)の位相差φl,mを算出可能なアンテナ対の組み合わせは16×4=96通りしかない。従って、256通り全ての切り替え方の組み合わせについて測位計算を行うのは無駄な冗長を含み、必要となる計算能力や計算時間の点で好ましくないと考えられる。そこで、なるべく少ない切り替え回数で、全ての受信アンテナ対の位相差を計算できるように工夫した切り替え方のセットが表(1)である。
【0022】
例えば、組み合わせ#1では、位相差を算出できるアンテナ対はアンテナA1とA5、A1とA9、A1とA13、A5とA9、A5とA13、A9とA13の6通りである。また、次の組み合わせ#2でも同様に、新たな6通りのアンテナ対の位相差を計算することができる。しかし、組み合わせ#9からは、一部のアンテナ対で、それまでに得たアンテナ対と冗長な対(組み合わせ#9ではA1とA6のアンテナ対がそれまでと冗長)が含まれ、さらには組み合わせ#25〜組み合わせ#32で得られるアンテナ対は、それ以前の組み合わせ#1〜組み合わせ#24で得られたアンテナ対と完全に冗長である。
【0023】
計算量や計算時間の点ではこれらの冗長な組み合わせは無い方がよいが、組み合わせ#1〜組み合わせ#24の組み合わせで得られるアンテナ対は1回しか得られなかったものと2回得られたものとが混在し、単純に測位結果を平均すると、一部の2回観測されたアンテナ対による結果に重みがかかってしまい好ましくない。そこで、組み合わせ#25〜組み合わせ#32を余計に計算し、96通り全てのアンテナ対の位相差を2回ずつ計算するようにしている。しかし、言うまでも無く、計算量や計算時間縮小のため、これらの冗長な計算を省略することもできる。
【0024】
なお、RF受信系7の数が4よりも多数で、かつ受信アンテナ数も16よりも多数の場合においても、同様の考え方の下に受信アンテナ2の切り替え組み合わせを定めることができる。
【0025】
受信アンテナ2が非常に多い場合には、受信アンテナ2の設置コストそのものがコスト要因となる可能性もあるが、受信アンテナ2を切り替えることにより得られる位相ダイバーシティ効果は、用いる電波の波長程度の距離を離せば得られるので、1個のRFスイッチ3に接続される受信アンテナ間は波長程度離すだけでもよい。従って、デシメートル波など波長が比較的短い電波を用いる場合、RFスイッチ3の近傍に複数の受信アンテナ2を数十センチメートル程度離して設置すればよく、設置コストはあまりかからずに済む。さらに波長が短い場合には、RFスイッチ3と一体化した集積アンテナなどを用いれば、より低コストで多数の受信アンテナを設置できる。
【0026】
本実施の形態1によれば、RFスイッチ3により受信アンテナ2を切り替え、RF受信系(周波数変換器5+A/D変換器6)7の数よりも多数の受信アンテナ対による位相差を用いて発信機位置を計算するので、RF受信系7の数が少なくて済み、低コストでありながら、高い計測精度が得られるという利点がある。
【0027】
特に、従来の受信アンテナと受信系を一対一で結ぶ方式においては、受信アンテナの数を64個や128個といった多数にするのはほとんど非現実とも思われたが、本実施の形態1によると8個の受信系×各8個のアンテナ、あるいは8個の受信系×各16個のアンテナといった形で、現実的なコストの範囲内で実現でき、これまで実現できなかった高精度な計測システムを実現することができる。
【0028】
【表1】

【0029】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る変位計測装置について図2を参照しながら説明する。図2は、この発明の実施の形態2に係る変位計測装置の構成を示す図である。
【0030】
上記の実施の形態1では、RFスイッチ3を切り替えて計測した複数の受信アンテナ間の位相差を記憶部10に蓄積しておき、最後に測位計算を行っていたが、本実施の形態2では、1回の切り替え毎に測位計算を行い、測位結果を記憶部22に記憶し、最後に全ての測位結果を平均する点が異なる。
【0031】
図2において、上記の実施の形態1とほぼ同じ構成であるが、位相差計算部9以降の構成及び動作が異なる。
【0032】
本実施の形態2においては、位相差計算部9が出力する位相差は測位計算部21に入力され、その測位結果が記憶部22に記憶される。上記の実施の形態1と同様に、次々と受信アンテナ2を切り替えて測位計算を行い、測位結果を記憶部22に蓄える。最後に、平均計算部23により、このようにして蓄積された複数の測位結果を平均して最終的な測位結果とすることにより、上記実施形態1と同様の効果を得る。
【0033】
なお、測位結果を平均する際に、仮の平均値を計算し、この仮平均値より大きく外れた測位結果を除いて最終的な平均値を計算するなどすれば、一部の受信アンテナ2が異常な場合等においても、その影響を軽減することができる。
【0034】
本実施の形態2によれば、RFスイッチ3により受信アンテナ2を切り替え、RF受信系(周波数変換器5+A/D変換器6)7の数よりも多数の受信アンテナ対による位相差を用いて発信機の位置を計算するので、上記実施の形態1と同様に、RF受信系7の数が少なくて済み低コストでありながら、高い計測精度が得られるという利点がある。
【0035】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る変位計測装置について図3を参照しながら説明する。図3は、この発明の実施の形態3に係る変位計測装置の構成を示す図である。
【0036】
上記の実施の形態1及び2では、信号処理装置14内に周波数変換器5を配置したが、本実施の形態3は、周波数変換器5をRFスイッチ3の近傍に配置する点が異なる。
【0037】
図3において、RFスイッチ3、低雑音増幅器4、及び周波数変換器5を収容する受信系筐体31と、分散配置された周波数変換器5を同期させるための基準信号発振器32とが設けられている。
【0038】
次に、全体としての動作は、上記の実施の形態1または実施の形態2に準ずる。但し、RFスイッチ3と同一筐体内に周波数変換器5を配置し、受信信号をIF信号に変換して信号処理装置14に伝送する点が異なる。
【0039】
周波数変換器5は、全受信系で同期したローカル信号を用いる必要があるため、共通の基準信号発振器32からの信号を、各周波数変換器5に分配伝送する必要がある。但し、その伝送は、基準信号の周波数をIF信号と異なる周波数にしておき、各受信系筐体31から信号処理装置14にIF受信信号を伝送するケーブルに重畳することもできる。周波数変換器5では、その基準信号を、PLL(Phase Looked Loop)等を用いて適切な周波数に逓倍し、周波数変換のためのローカル信号として用いる。
【0040】
また、基準信号は有線による伝送だけではなく、全受信アンテナ2が受信可能な位置に基準信号送信用のアンテナを設置し、無線伝送とすることも考えられる。この場合、基準信号にローカル信号を直接同期させずとも、基準信号の周波数を計測用発信機1の周波数の近傍としておき、計測用発信機1の受信信号と基準信号を同じ受信系を通して同時に受信してA/D変換し、基準信号を元にソフトウェアで計測用受信信号を同期補正することもできる。
【0041】
本実施の形態3によると、受信系筐体31から信号処理装置14まで、周波数の低いIF信号で受信信号を伝送するため、伝送損失が少なく、信号処理装置14と受信系筐体31間の距離を延伸することができる。従って、受信アンテナ2をより広範囲に配置することができ、計測用発信機1をより広範囲に配置できるため、同一面積を計測するのに必要な装置の数が少なくてすみ低コスト化できるという利点がある。また、計測精度は受信点が広範囲に散らばっているほど高精度が得られるため、高精度化にも寄与できるという利点がある。
【0042】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る変位計測装置について図4を参照しながら説明する。図4は、この発明の実施の形態4に係る変位計測装置の構成を示す図である。
【0043】
上記の実施形の態1及び2では、信号処理装置14内に周波数変換器5とA/D変換器6を配置したが、本実施の形態4は、周波数変換器5とA/D変換器6をRFスイッチ3の近傍に配置する点が異なる。
【0044】
図4において、RFスイッチ3、低雑音増幅器4、周波数変換器5、及びA/D変換器6を収容する受信系筐体41と、分散配置された周波数変換器5とA/D変換器6を同期させるための基準信号発振器42とが設けられている。
【0045】
次に、全体としての動作は、上記の実施の形態1または実施の形態2に準ずる。但し、RFスイッチ3と同一筐体内に周波数変換器5とA/D変換器6を配置し、受信信号をディジタル信号に変換して信号処理装置14に伝送する点が異なる。
【0046】
周波数変換器5は、全受信系で同期したローカル信号を用いる必要があるとともに、A/D変換器6のサンプリングも同期している必要があるため、共通の基準信号発振器42からの信号を、各周波数変換器5とA/D変換器6に分配伝送する必要がある。周波数変換器5では、その基準信号を、PLL(Phase Looked Loop)等を用いて適切な周波数に逓倍し、周波数変換のためのローカル信号として用いる。また、A/D変換器6も、適切な周波数に逓倍してサンプリングクロックとして用いる。
【0047】
また、基準信号は有線による伝送だけではなく、全受信アンテナ2が受信可能な位置に基準信号送信用のアンテナを設置し、無線伝送とすることも考えられる。この場合、基準信号にローカル信号やA/D変換器6を直接同期させずとも、基準信号の周波数を計測用発信機1の周波数の近傍としておき、計測用発信機1の受信信号と基準信号を同じ受信系を通して同時に受信してA/D変換し、基準信号を元にソフトウェアで計測用受信信号を同期補正することもできる。
【0048】
本実施の形態4によると、受信系筐体41から信号処理装置14まで、ディジタル信号で受信信号を伝送するため、信号の劣化が無くなり、信号処理装置14と受信系筐体41間の距離を延伸することができる。従って、受信アンテナ2をより広範囲に配置することができ、計測用発信機1をより広範囲に配置できるため、同一面積を計測するのに必要な装置の数が少なくてすみ低コスト化できるという利点がある。また、計測精度は受信点が広範囲に散らばっているほど高精度が得られるため、高精度化にも寄与できるという利点がある。
【0049】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る変位計測装置について図5を参照しながら説明する。図5は、この発明の実施の形態5に係る変位計測装置の構成を示す図である。
【0050】
上記の実施の形態1及び2では、RFスイッチ3で選択した受信信号をそのまま同軸ケーブル等で信号処理装置14に伝送したが、本実施の形態5は、RFスイッチ3で選択され、低雑音増幅器4で増幅された受信信号を、光信号に変換して信号処理装置14に伝送する点が異なる。
【0051】
図5において、RFスイッチ3により選択された受信信号を光信号に変換するE/O変換器51と、光信号として伝送された受信信号を電気信号に変換するO/E変換器52と、RFスイッチ3、低雑音増幅器4、及びE/O変換器51を収めた受信系筐体53とが設けられている。
【0052】
次に、全体としての動作は、上記の実施の形態1または実の施形態2に準ずる。但し、RFスイッチ3と同一筐体内にE/O変換器51を配置し、受信信号を光信号に変換して信号処理装置14に伝送する点が異なる。光信号として伝送された受信信号は信号処理装置14内で電気信号に変換され、後の処理が行われる。電気信号に変換された後の処理は上記の実施の形態1または実施の形態2と同様である。
【0053】
本実施の形態5によると、受信系筐体53から信号処理装置14まで、光信号で受信信号を伝送するため、伝送損失や信号の劣化が少なくなり、信号処理装置14と受信系筐体53間の距離を延伸することができる。従って、受信アンテナ2をより広範囲に配置することができ、計測用発信機1をより広範囲に配置できるため、同一面積を計測するのに必要な装置の数が少なくてすみ低コスト化できるという利点がある。また、計測精度は受信点が広範囲に散らばっているほど高精度が得られるため、高精度化にも寄与できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の実施の形態1に係る変位計測装置の構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係る変位計測装置の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態3に係る変位計測装置の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態4に係る変位計測装置の構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態5に係る変位計測装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 発信機、2 受信アンテナ、3 RFスイッチ、4 低雑音増幅器、5 周波数変換器、6 A/D変換器、7 RF受信系、8 発信機弁別部、9 位相差計算部、10 記憶部、11 測位計算部、12 制御部、13 計算機、14 信号処理装置、21 測位計算部、22 記憶部、23 平均計算部、31 受信系筐体、32 基準信号発振器、41 受信系筐体、42 基準信号発振器、51 E/O変換器、52 O/E変換器、53 受信系筐体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位計測点に設置された発信機と、
位置が既知である固定点に設置され、前記発信機からの電波を受信する複数の受信アンテナと、
前記複数の受信アンテナを切り替えるスイッチと、
前記スイッチで選択された信号が入力される信号処理装置とを備え、
前記信号処理装置は、前記スイッチで選択された、所定の組み合わせの受信アンテナで受信した信号間の位相差を計算して記憶し、次に前記スイッチを切り替えて別の組み合わせの受信アンテナで受信した信号間の位相差を計算して記憶し、これを繰り返すことにより得られた多数の受信アンテナの組み合せでの位相差を用いて、前記発信機の位置を計算する
ことを特徴とする変位計測装置。
【請求項2】
変位計測点に設置された発信機と、
位置が既知である固定点に設置され、前記発信機からの電波を受信する複数の受信アンテナと、
前記複数の受信アンテナを切り替えるスイッチと、
前記スイッチで選択された信号が入力される信号処理装置とを備え、
前記信号処理装置は、前記スイッチで選択された、所定の組み合わせの受信アンテナで受信した信号間の位相差から前記発信機位置を計算して記憶し、次に前記スイッチを切り替えて別の組み合わせの受信アンテナで受信した信号間の位相差から前記発信機位置を計算して記憶し、これを繰り返すことにより得られた多数の受信アンテナの組み合せでの発信機の位置の計算結果を平均して最終的な前記発信機の位置を計算する
ことを特徴とする変位計測装置。
【請求項3】
前記信号処理装置は、基準信号を出力する基準信号発振器を含み、
前記スイッチの直後に配置され、同期させるための前記基準信号に基づいて、選択された受信アンテナからの信号をIF信号に変換して前記信号処理装置に伝送する周波数変換器を備えた
ことを特徴とする請求項1又は2記載の変位計測装置。
【請求項4】
前記信号処理装置は、基準信号を出力する基準信号発振器を含み、
前記スイッチの直後に配置され、同期させるための前記基準信号に基づいて、選択された受信アンテナからの信号をIF信号に変換する周波数変換器と、
前記周波数変換器の次段に配置され、同期させるための前記基準信号に基づいて、前記IF信号をディジタル信号に変換して前記信号処理装置に伝送するA/D変換器とを備えた
ことを特徴とする請求項1又は2記載の変位計測装置。
【請求項5】
前記スイッチの直後に配置され、選択された受信アンテナからの信号を光信号に変換して信号処理装置に伝送するE/O変換器を備え、
前記信号処理装置は、前記光信号として伝送された受信信号を電気信号に変換するO/E変換器を含む
ことを特徴とする請求項1又は2記載の変位計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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