変倍照準望遠鏡
【課題】 限られた大きさの照準望遠鏡であっても高い高倍率にできる新規な変倍照準望遠鏡を提供するものである。
【解決手段】 鏡筒本体内1に正立内筒5を設け、この正立内筒5に形成した光軸に平行する直線長孔7に移動ビス8の案内によって直線的に前後移動する変倍正立レンズ系4を設け、正立内筒5の外側に正立内筒5に対して回動する変倍カム筒を設け9、この変倍カム筒9に上記直線長孔7に対して交叉する方向の斜めカム長孔10を設け、この斜めカム長孔10内に上記移動ビス8を挿入し、照準望遠鏡内に組み込んだ巻バネ14の弾力により上記変倍カム筒9を回動し、斜めカム長孔10の移動ビスに対する作用により変倍正立レンズ系4を低倍率の前位置から高倍率の後位置まで直線的に移動するようにしたことを特徴とするものである。
【解決手段】 鏡筒本体内1に正立内筒5を設け、この正立内筒5に形成した光軸に平行する直線長孔7に移動ビス8の案内によって直線的に前後移動する変倍正立レンズ系4を設け、正立内筒5の外側に正立内筒5に対して回動する変倍カム筒を設け9、この変倍カム筒9に上記直線長孔7に対して交叉する方向の斜めカム長孔10を設け、この斜めカム長孔10内に上記移動ビス8を挿入し、照準望遠鏡内に組み込んだ巻バネ14の弾力により上記変倍カム筒9を回動し、斜めカム長孔10の移動ビスに対する作用により変倍正立レンズ系4を低倍率の前位置から高倍率の後位置まで直線的に移動するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃に装着して使用する変倍照準望遠鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
照準望遠鏡において、高倍率の狭い視野にしてターゲットを見つけることは困難である。一方、低倍率の広い視野にしておけば、ターゲットを見つけるのは容易である。銃にてターゲットを射撃する場合、ズームレンズを高倍率にして射撃することが命中率を高める上で好ましい。しかし、ズームレンズを高倍率にしてターゲットを見つけることは困難である。そこで、ズームレンズをターゲットが見つけ易い低倍率にした状態でターゲットを見付け出し、ターゲットを見付け出した状態で瞬時に高倍率に変倍して射撃することができれば好都合である。
【0003】
このように低倍率の広い視野と高倍率の狭い視野とを間単に切替える変倍装置は公知である(例えば特許文献1)。
【0004】
しかしながら、特許文献1の従来技術は、対物レンズと結像レンズとの間に変倍レンズを設け、その変倍レンズをレンズホルダに保持し、そのレンズホルダをアームに取り付け、そのアームを駆動手段により旋回可能とし、駆動手段によりレンズホルダをガイドレール上で光軸に沿った方向に進退可能に移動させる構成としてある。
【0005】
即ち、レンズ系とは別に駆動手段を設けなければならないという課題がある。
【0006】
この課題に鑑み、出願人は、照準望遠鏡内部にズームレンズを内臓し、同じく照準望遠鏡内に巻バネを内臓し、この巻バネの弾力によりズームレンズを作動する変倍装置を開発し提案した(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−256782号公報
【特許文献2】特開2010−249895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1では、上記した通りレンズ系とは別に駆動手段を設けなければならないという課題がある。
【0009】
また、上記特許文献2では照準望遠鏡の限られた大きさの中にズームレンズを内臓させるため、高い高倍率にできる照準望遠鏡を得ることはなかなか困難であるという課題がある。
【0010】
本発明は、上記特許文献1のように別に駆動手段を設けることなく、特許文献2のように照準望遠鏡内に巻バネを内蔵し、限られた大きさの照準望遠鏡であっても高い高倍率にできる新規な変倍照準望遠鏡を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明変倍照準望遠鏡は、鏡筒本体内に正立内筒を設け、この正立内筒に形成した光軸に平行する直線長孔に移動ビスの案内によって直線的に前後移動する変倍正立レンズ系を設け、正立内筒の外側に正立内筒に対して回動する変倍カム筒を設け、この変倍カム筒に上記直線長孔に対して交叉する方向の斜めカム長孔を設け、この斜めカム長孔内に上記移動ビスを挿入し、照準望遠鏡内に組み込んだ巻バネの弾力により上記変倍カム筒を回動し、斜めカム長孔の移動ビスに対する作用により変倍正立レンズ系を低倍率の前位置から高倍率の後位置まで直線的に移動するようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明変倍照準望遠鏡は、鏡筒本体に接眼ツナギ部材を固設し、この接眼ツナギ部材の外側に変倍リングを回動可能に設け、この変倍リングと接眼ツナギ部材との間に巻バネを設け、接眼ツナギ部材に変倍カム筒の回動範囲を決定する長孔を形成し、変倍リングに内向きの変倍ビスを設け、この変倍ビスを該長孔を貫通させて変倍ビスの先端を変倍カム筒に形成した係合孔に係合し、巻バネの弾力により変倍リングを上記変倍ビスが長孔内で移動する範囲内で回動することを特徴とするものである。
【0013】
さらに、本発明変倍照準望遠鏡は、上記接眼ツナギ部材にバネ弾力により突出性向を付与した変倍ピンを設ける一方、変倍リングに該変倍ピンを受け入れる係合受けを設け、変倍ボタンの押し作用により変倍ピンと係合受けとの係合を解除し、変倍リングの回動を起動するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明変倍照準望遠鏡は、上記低倍率が1.0倍であり、高倍率が10倍であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の変倍照準望遠鏡は、鏡筒本体内に正立内筒を設け、この正立内筒に形成した光軸に平行する直線長孔に移動ビスの案内によって直線的に前後移動する変倍正立レンズ系を設け、正立内筒の外側に正立内筒に対して回動する変倍カム筒を設け、この変倍カム筒に上記直線長孔に対して交叉する方向の斜めカム長孔を設け、この斜めカム長孔内に上記移動ビスを挿入し、照準望遠鏡内に組み込んだ巻バネの弾力により上記変倍カム筒を回動し、斜めカム長孔の移動ビスに対する作用により変倍正立レンズ系を低倍率の前位置から高倍率の後位置まで直線的に移動するようにしたことを特徴とするから、レンズ系の外に駆動手段を設けることなく、限られた大きさの照準望遠鏡であっても、低倍率から高い高倍率にまで変倍できる変倍照準望遠鏡を得ることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明変倍照準望遠鏡の全体図で、要部を断面で示してある。
【図2】本発明変倍照準望遠鏡の変倍部分の詳細を示す断面図である。
【図3】本発明変倍照準望遠鏡の変倍リング部分の拡大断面図で、低倍率の位置を示してある。
【図4】同じく変倍リング部分の拡大断面図で、高倍率に変倍するために変倍ボタンを押した状態を示してある。
【図5】同じく変倍リング部分の拡大断面図で、高倍率の位置を示してある。
【図6】正立内筒と変倍カム筒との関係を示す図で、低倍率位置を示してある。
【図7】同じく正立内筒と変倍カム筒との関係を示す図で、高倍率位置を示してある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に示した実施例により本発明の詳細を説明する。
【0018】
図中符号1が照準望遠鏡の鏡筒本体で、その前端に対物レンズ系2とその後端に接眼レンズ系3を設けてある。この鏡筒本体1の中間内部には、その中を変倍正立レンズ系4が前後に移動可能に設けた正立内筒5を固定して設けてある。この正立内筒5は鏡筒本体1の接眼レンズ系側で固設されている。変倍正立レンズ系4は変倍正立レンズ枠6内に組み込まれており、この変倍正立レンズ枠6が正立内筒5内で前後に移動可能にしてある。
【0019】
上記正立内筒5には光軸に平行する直線長孔7を設けてあり、この直線長孔7内に変倍正立レンズ枠6に突設した移動ビス8を挿入させてある。即ちこの移動ビス8が直線長孔7内に直線的に案内されて変倍正立レンズ系4を正立内筒5内で前後に直線的に移動するようにしてある。
【0020】
正立内筒5の外側に固定された正立内筒5に対して回動する変倍カム筒9を被せて設けてあり、この変倍カム筒9に正立内筒5の直線長孔7に対して交叉する方向の斜めカム長孔10を設けてあり、この斜めカム長孔10に上記移動ビス8を挿入させてある。即ち、変倍カム筒9が正立内筒9に対して回動することにより移動ビス8のカム作用によりこの移動ビス8を正立内筒5の直線長孔7に沿って後方に直線移動し変倍正立レンズ系4を後方に直線移動する。変倍カム筒9の後端にはカム補強環11が被せて設けてある。
【0021】
鏡筒本体1の後端には接眼ツナギ部材12が固設してあり、この接眼ツナギ部材12の外側に変倍リング13を接眼ツナギ部材12に対して回動可能に被せて設けてある。この変倍リング13と接眼ツナギ部材12との間に、変倍カム筒9に対する回動力を付与する巻バネ14を掛け渡して設けてある。即ち、巻バネ14は照準望遠鏡内に組み込まれており、その一端を変倍リング13に連結固定し、その他端を接眼ツナギ部材12に連結固定してある。
【0022】
図2乃至図5に図示される通り、接眼ツナギ部材12には上部を開放した円筒状のピン座15がネジ込み固定してあり、このピン座15内にスプリング16の弾力によって突出性向を付与された変倍ピン17が設けてあり、この変倍ピン17が接眼ツナギ部材12の表面より僅かに突出するようにしてある。
【0023】
一方、変倍リング13には、上記変倍ピン17に対応して変倍ボタン18を設けてあるが、この変倍ボタン18は、変倍リング13にネジ込み固定したボタン座19内に上下動可能にしてあり、この変倍ボタン18を押し込むことにより変倍ピン17を押し込むようにしてある。
【0024】
即ち、変倍ピン17はその突出状態でボタン座19内に入り込み係合状態を保つようにしてある。
【0025】
変倍リング13には図4上矢印方向に回動する方向の弾性力が巻バネ14により付与されており、この回動力により変倍カム筒9を回動するようにしてある。しかし、変倍ピン17とボタン座19との係合により変倍リング13及び変倍カム筒9の回動を阻止し、変倍正立レンズ系3をその前端の位置に保持している。
【0026】
変倍リング13の変倍ボタン18と反対側の位置に変倍ビス20を内向きにネジ込み固定してあり、接眼ツナギ部材12に変倍カム筒9の回動範囲を決定する長孔21を設けてあり、上記変倍ビス20をこの長孔21に貫通させ、さらに変倍ビス20の先端をカム補強環11及び変倍カム筒9に形成した係止孔に係止させてあり、変倍リング13の回動力を変倍ビス20を介して変倍カム筒9に伝達するようにしてある。
【0027】
図1乃至図4及び図6の状態は変倍正立レンズ系4が正立内筒5の前端位置にあり、低倍率の広い視野にある。図示した実施例ではその低倍率を1.25倍にしてある。
【0028】
この状態から変倍ボタン18を押すと変倍ピン17がスプリング16の弾力に抗して押し下げられ、ボタン座19との係合が解かれる。そこで巻バネ14の弾力を受けている変倍リング13が図4の矢印方向に回動される。この変倍リング13の回動に伴い変倍リング13にネジ込まれた変倍ビス20が接眼ツナギ部材12の長孔21に沿って移動し、変倍ビス20の先端と係止孔22で係合している変倍カム筒9が同方向に回動する。
【0029】
この変倍カム筒9の回動によって、この変倍カム筒9に設けた斜めカム筒10のカム作用が移動ビス8に働き、この移動ビス8を正立内筒5の直線長孔7に沿って後方に直線移動する。この移動ビス8の移動に伴って変倍正立レンズ系4が正立内筒5内を後方に移動し図5及び図7の状態となる。即ち、変倍正立レンズ系が図1及び図2の点線で示した後方位置に達し、高い高倍率の視野になる。本発明の実施例では、この高倍率を10倍にしたが、変倍正立レンズ系の設計では、例えば8倍、6倍にすることもできる。
【0030】
この高倍率から低倍率に戻すには、変倍リング13を図3に示す矢印方向に回動すれば変倍カム筒9の斜めカム長孔10と正立内筒5の直線長孔7と移動ビス8とのカム作用により、変倍正立レンズ系4を前端の低倍率に戻すことになる。
【符号の説明】
【0031】
1 鏡筒本体
2 対物レンズ系
3 接眼レンズ系
4 変倍正立レンズ系
5 正立内筒
6 変倍正立レンズ枠
7 直線長孔
8 移動ビス
9 変倍カム筒
10 斜めカム長孔
11 カム補強環
12 接眼ツナギ部材
13 変倍リング
14 巻バネ
15 ピン座
16 スプリング
17 変倍ピン
18 変倍ボタン
19 ボタン座
20 変倍ビス
21 長孔
22 係止孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃に装着して使用する変倍照準望遠鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
照準望遠鏡において、高倍率の狭い視野にしてターゲットを見つけることは困難である。一方、低倍率の広い視野にしておけば、ターゲットを見つけるのは容易である。銃にてターゲットを射撃する場合、ズームレンズを高倍率にして射撃することが命中率を高める上で好ましい。しかし、ズームレンズを高倍率にしてターゲットを見つけることは困難である。そこで、ズームレンズをターゲットが見つけ易い低倍率にした状態でターゲットを見付け出し、ターゲットを見付け出した状態で瞬時に高倍率に変倍して射撃することができれば好都合である。
【0003】
このように低倍率の広い視野と高倍率の狭い視野とを間単に切替える変倍装置は公知である(例えば特許文献1)。
【0004】
しかしながら、特許文献1の従来技術は、対物レンズと結像レンズとの間に変倍レンズを設け、その変倍レンズをレンズホルダに保持し、そのレンズホルダをアームに取り付け、そのアームを駆動手段により旋回可能とし、駆動手段によりレンズホルダをガイドレール上で光軸に沿った方向に進退可能に移動させる構成としてある。
【0005】
即ち、レンズ系とは別に駆動手段を設けなければならないという課題がある。
【0006】
この課題に鑑み、出願人は、照準望遠鏡内部にズームレンズを内臓し、同じく照準望遠鏡内に巻バネを内臓し、この巻バネの弾力によりズームレンズを作動する変倍装置を開発し提案した(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−256782号公報
【特許文献2】特開2010−249895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1では、上記した通りレンズ系とは別に駆動手段を設けなければならないという課題がある。
【0009】
また、上記特許文献2では照準望遠鏡の限られた大きさの中にズームレンズを内臓させるため、高い高倍率にできる照準望遠鏡を得ることはなかなか困難であるという課題がある。
【0010】
本発明は、上記特許文献1のように別に駆動手段を設けることなく、特許文献2のように照準望遠鏡内に巻バネを内蔵し、限られた大きさの照準望遠鏡であっても高い高倍率にできる新規な変倍照準望遠鏡を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明変倍照準望遠鏡は、鏡筒本体内に正立内筒を設け、この正立内筒に形成した光軸に平行する直線長孔に移動ビスの案内によって直線的に前後移動する変倍正立レンズ系を設け、正立内筒の外側に正立内筒に対して回動する変倍カム筒を設け、この変倍カム筒に上記直線長孔に対して交叉する方向の斜めカム長孔を設け、この斜めカム長孔内に上記移動ビスを挿入し、照準望遠鏡内に組み込んだ巻バネの弾力により上記変倍カム筒を回動し、斜めカム長孔の移動ビスに対する作用により変倍正立レンズ系を低倍率の前位置から高倍率の後位置まで直線的に移動するようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明変倍照準望遠鏡は、鏡筒本体に接眼ツナギ部材を固設し、この接眼ツナギ部材の外側に変倍リングを回動可能に設け、この変倍リングと接眼ツナギ部材との間に巻バネを設け、接眼ツナギ部材に変倍カム筒の回動範囲を決定する長孔を形成し、変倍リングに内向きの変倍ビスを設け、この変倍ビスを該長孔を貫通させて変倍ビスの先端を変倍カム筒に形成した係合孔に係合し、巻バネの弾力により変倍リングを上記変倍ビスが長孔内で移動する範囲内で回動することを特徴とするものである。
【0013】
さらに、本発明変倍照準望遠鏡は、上記接眼ツナギ部材にバネ弾力により突出性向を付与した変倍ピンを設ける一方、変倍リングに該変倍ピンを受け入れる係合受けを設け、変倍ボタンの押し作用により変倍ピンと係合受けとの係合を解除し、変倍リングの回動を起動するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明変倍照準望遠鏡は、上記低倍率が1.0倍であり、高倍率が10倍であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の変倍照準望遠鏡は、鏡筒本体内に正立内筒を設け、この正立内筒に形成した光軸に平行する直線長孔に移動ビスの案内によって直線的に前後移動する変倍正立レンズ系を設け、正立内筒の外側に正立内筒に対して回動する変倍カム筒を設け、この変倍カム筒に上記直線長孔に対して交叉する方向の斜めカム長孔を設け、この斜めカム長孔内に上記移動ビスを挿入し、照準望遠鏡内に組み込んだ巻バネの弾力により上記変倍カム筒を回動し、斜めカム長孔の移動ビスに対する作用により変倍正立レンズ系を低倍率の前位置から高倍率の後位置まで直線的に移動するようにしたことを特徴とするから、レンズ系の外に駆動手段を設けることなく、限られた大きさの照準望遠鏡であっても、低倍率から高い高倍率にまで変倍できる変倍照準望遠鏡を得ることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明変倍照準望遠鏡の全体図で、要部を断面で示してある。
【図2】本発明変倍照準望遠鏡の変倍部分の詳細を示す断面図である。
【図3】本発明変倍照準望遠鏡の変倍リング部分の拡大断面図で、低倍率の位置を示してある。
【図4】同じく変倍リング部分の拡大断面図で、高倍率に変倍するために変倍ボタンを押した状態を示してある。
【図5】同じく変倍リング部分の拡大断面図で、高倍率の位置を示してある。
【図6】正立内筒と変倍カム筒との関係を示す図で、低倍率位置を示してある。
【図7】同じく正立内筒と変倍カム筒との関係を示す図で、高倍率位置を示してある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に示した実施例により本発明の詳細を説明する。
【0018】
図中符号1が照準望遠鏡の鏡筒本体で、その前端に対物レンズ系2とその後端に接眼レンズ系3を設けてある。この鏡筒本体1の中間内部には、その中を変倍正立レンズ系4が前後に移動可能に設けた正立内筒5を固定して設けてある。この正立内筒5は鏡筒本体1の接眼レンズ系側で固設されている。変倍正立レンズ系4は変倍正立レンズ枠6内に組み込まれており、この変倍正立レンズ枠6が正立内筒5内で前後に移動可能にしてある。
【0019】
上記正立内筒5には光軸に平行する直線長孔7を設けてあり、この直線長孔7内に変倍正立レンズ枠6に突設した移動ビス8を挿入させてある。即ちこの移動ビス8が直線長孔7内に直線的に案内されて変倍正立レンズ系4を正立内筒5内で前後に直線的に移動するようにしてある。
【0020】
正立内筒5の外側に固定された正立内筒5に対して回動する変倍カム筒9を被せて設けてあり、この変倍カム筒9に正立内筒5の直線長孔7に対して交叉する方向の斜めカム長孔10を設けてあり、この斜めカム長孔10に上記移動ビス8を挿入させてある。即ち、変倍カム筒9が正立内筒9に対して回動することにより移動ビス8のカム作用によりこの移動ビス8を正立内筒5の直線長孔7に沿って後方に直線移動し変倍正立レンズ系4を後方に直線移動する。変倍カム筒9の後端にはカム補強環11が被せて設けてある。
【0021】
鏡筒本体1の後端には接眼ツナギ部材12が固設してあり、この接眼ツナギ部材12の外側に変倍リング13を接眼ツナギ部材12に対して回動可能に被せて設けてある。この変倍リング13と接眼ツナギ部材12との間に、変倍カム筒9に対する回動力を付与する巻バネ14を掛け渡して設けてある。即ち、巻バネ14は照準望遠鏡内に組み込まれており、その一端を変倍リング13に連結固定し、その他端を接眼ツナギ部材12に連結固定してある。
【0022】
図2乃至図5に図示される通り、接眼ツナギ部材12には上部を開放した円筒状のピン座15がネジ込み固定してあり、このピン座15内にスプリング16の弾力によって突出性向を付与された変倍ピン17が設けてあり、この変倍ピン17が接眼ツナギ部材12の表面より僅かに突出するようにしてある。
【0023】
一方、変倍リング13には、上記変倍ピン17に対応して変倍ボタン18を設けてあるが、この変倍ボタン18は、変倍リング13にネジ込み固定したボタン座19内に上下動可能にしてあり、この変倍ボタン18を押し込むことにより変倍ピン17を押し込むようにしてある。
【0024】
即ち、変倍ピン17はその突出状態でボタン座19内に入り込み係合状態を保つようにしてある。
【0025】
変倍リング13には図4上矢印方向に回動する方向の弾性力が巻バネ14により付与されており、この回動力により変倍カム筒9を回動するようにしてある。しかし、変倍ピン17とボタン座19との係合により変倍リング13及び変倍カム筒9の回動を阻止し、変倍正立レンズ系3をその前端の位置に保持している。
【0026】
変倍リング13の変倍ボタン18と反対側の位置に変倍ビス20を内向きにネジ込み固定してあり、接眼ツナギ部材12に変倍カム筒9の回動範囲を決定する長孔21を設けてあり、上記変倍ビス20をこの長孔21に貫通させ、さらに変倍ビス20の先端をカム補強環11及び変倍カム筒9に形成した係止孔に係止させてあり、変倍リング13の回動力を変倍ビス20を介して変倍カム筒9に伝達するようにしてある。
【0027】
図1乃至図4及び図6の状態は変倍正立レンズ系4が正立内筒5の前端位置にあり、低倍率の広い視野にある。図示した実施例ではその低倍率を1.25倍にしてある。
【0028】
この状態から変倍ボタン18を押すと変倍ピン17がスプリング16の弾力に抗して押し下げられ、ボタン座19との係合が解かれる。そこで巻バネ14の弾力を受けている変倍リング13が図4の矢印方向に回動される。この変倍リング13の回動に伴い変倍リング13にネジ込まれた変倍ビス20が接眼ツナギ部材12の長孔21に沿って移動し、変倍ビス20の先端と係止孔22で係合している変倍カム筒9が同方向に回動する。
【0029】
この変倍カム筒9の回動によって、この変倍カム筒9に設けた斜めカム筒10のカム作用が移動ビス8に働き、この移動ビス8を正立内筒5の直線長孔7に沿って後方に直線移動する。この移動ビス8の移動に伴って変倍正立レンズ系4が正立内筒5内を後方に移動し図5及び図7の状態となる。即ち、変倍正立レンズ系が図1及び図2の点線で示した後方位置に達し、高い高倍率の視野になる。本発明の実施例では、この高倍率を10倍にしたが、変倍正立レンズ系の設計では、例えば8倍、6倍にすることもできる。
【0030】
この高倍率から低倍率に戻すには、変倍リング13を図3に示す矢印方向に回動すれば変倍カム筒9の斜めカム長孔10と正立内筒5の直線長孔7と移動ビス8とのカム作用により、変倍正立レンズ系4を前端の低倍率に戻すことになる。
【符号の説明】
【0031】
1 鏡筒本体
2 対物レンズ系
3 接眼レンズ系
4 変倍正立レンズ系
5 正立内筒
6 変倍正立レンズ枠
7 直線長孔
8 移動ビス
9 変倍カム筒
10 斜めカム長孔
11 カム補強環
12 接眼ツナギ部材
13 変倍リング
14 巻バネ
15 ピン座
16 スプリング
17 変倍ピン
18 変倍ボタン
19 ボタン座
20 変倍ビス
21 長孔
22 係止孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡筒本体内に正立内筒を設け、この正立内筒に形成した光軸に平行する直線長孔に移動ビスの案内によって直線的に前後移動する変倍正立レンズ系を設け、正立内筒の外側に正立内筒に対して回動する変倍カム筒を設け、この変倍カム筒に上記直線長孔に対して交叉する方向の斜めカム長孔を設け、この斜めカム長孔内に上記移動ビスを挿入し、照準望遠鏡内に組み込んだ巻バネの弾力により上記変倍カム筒を回動し、斜めカム長孔の移動ビスに対する作用により変倍正立レンズ系を低倍率の前位置から高倍率の後位置まで直線的に移動するようにしたことを特徴とする変倍照準望遠鏡。
【請求項2】
鏡筒本体に接眼ツナキ部材を固設し、この接眼ツナギ部材の外側に変倍リングを回動可能に設け、この変倍リングと接眼ツナギ部材との間に巻バネを設け、接眼ツナギ部材に変倍カム筒の回動範囲を決定する長孔を形成し、変倍リングに内向きの変倍ビスを設け、この変倍ビスを該長孔を貫通させて変倍ビスの先端を変倍カム筒に形成した係合孔に係合し、巻バネの弾力により変倍リングを上記変倍ビスが長孔内で移動する範囲内で回動することを特徴とする上記請求項1に記載の変倍照準望遠鏡。
【請求項3】
上記接眼ツナギ部材にバネ弾力により突出性向を付与した変倍ピンを設ける一方、変倍リングに該変倍ピンを受け入れる係合受けを設け、変倍ボタンの押し作用により変倍ピンと係合受けとの係合を解除し、変倍リングの回動を起動するようにしたことを特徴とする上記請求項1又は2に記載の変倍照準望遠鏡。
【請求項4】
上記低倍率が1.25倍であり、高倍率が10倍である上記請求項1乃至3の何れかに記載の変倍照準望遠鏡。
【請求項1】
鏡筒本体内に正立内筒を設け、この正立内筒に形成した光軸に平行する直線長孔に移動ビスの案内によって直線的に前後移動する変倍正立レンズ系を設け、正立内筒の外側に正立内筒に対して回動する変倍カム筒を設け、この変倍カム筒に上記直線長孔に対して交叉する方向の斜めカム長孔を設け、この斜めカム長孔内に上記移動ビスを挿入し、照準望遠鏡内に組み込んだ巻バネの弾力により上記変倍カム筒を回動し、斜めカム長孔の移動ビスに対する作用により変倍正立レンズ系を低倍率の前位置から高倍率の後位置まで直線的に移動するようにしたことを特徴とする変倍照準望遠鏡。
【請求項2】
鏡筒本体に接眼ツナキ部材を固設し、この接眼ツナギ部材の外側に変倍リングを回動可能に設け、この変倍リングと接眼ツナギ部材との間に巻バネを設け、接眼ツナギ部材に変倍カム筒の回動範囲を決定する長孔を形成し、変倍リングに内向きの変倍ビスを設け、この変倍ビスを該長孔を貫通させて変倍ビスの先端を変倍カム筒に形成した係合孔に係合し、巻バネの弾力により変倍リングを上記変倍ビスが長孔内で移動する範囲内で回動することを特徴とする上記請求項1に記載の変倍照準望遠鏡。
【請求項3】
上記接眼ツナギ部材にバネ弾力により突出性向を付与した変倍ピンを設ける一方、変倍リングに該変倍ピンを受け入れる係合受けを設け、変倍ボタンの押し作用により変倍ピンと係合受けとの係合を解除し、変倍リングの回動を起動するようにしたことを特徴とする上記請求項1又は2に記載の変倍照準望遠鏡。
【請求項4】
上記低倍率が1.25倍であり、高倍率が10倍である上記請求項1乃至3の何れかに記載の変倍照準望遠鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−203155(P2012−203155A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66972(P2011−66972)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(593043392)株式会社東京スコープ (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(593043392)株式会社東京スコープ (5)
【Fターム(参考)】
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