説明

変化判定装置、変化判定方法および変化判定プログラム

【課題】 航空写真のみから、または、写真撮影時の照明条件の違いや撮影条件の違いに関わらず、さらに、画素単位の細かな距離間隔で、撮影対象の異動を判定することができる変化判定装置を提供する。
【解決手段】 変化判定装置は、新時点および旧時点の複数の航空画像データをそれぞれ入力し、入力した航空画像データをステレオマッチング処理して3次元データ(DSMデータ)を生成し、航空画像データおよび生成したDSMデータを正規化してオルソ画像データおよびオルソDSMデータを生成し、生成した新時点のオルソ画像と旧時点のオルソ画像を用いて色を比較し、生成した新時点のオルソDSMデータと旧時点のオルソDSMデータを用いて高さを比較して地物の異動を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地物(ちぶつ)などを含む対象の変化を検出して判定する変化判定装置に関し、特に、家屋、建築物、車両、道路、地面および森林などの地物を含む対象の変化を検出して判定する変化判定装置、変化判定方法および変化判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地物の変化(異動)の判定は、地形の変化状況や土地の利用状況を把握するために必要である。ここで、地物とは、例えば、地面、森林、家屋、建築物、道路、車両など、天然物または人工物にかかわらず、地上にある全ての物が含まれる。以下では、地物の変化の判定として特に、家屋、倉庫、工場、校舎などを含む建物の変化(異動)の判定について記述するが、地面や森林や車両の変化の判定についても同様にして行うことができ、地物の変化の判定として、建物の異動の判定に限定するものではない。
【0003】
ここで、建物の異動とは、建物の滅失、建物の増改築、建物の滅失後の新たな建物の新築(滅失後の新築)、更地への建物の移動や新築などを原因とする変化を指す。
【0004】
地物の異動の判定のうち、例えば、家屋、倉庫、工場、校舎などを含む建物等、固定資産の異動の判定は、課税の対象となるため、特に正確であることが要求される。
【0005】
また、固定資産の異動の判定は、作業の効率化および省力化のために、自動化されることが好ましい。
【0006】
従来の地物の変化を判定する方法の例が、例えば、特開平9−61164号公報(特許文献1)および特開2004−117245号公報(特許文献2)に記載されている。
【0007】
特許文献1には、デジタル画像データに変換された2枚の航空写真の一方を射影変換して相互標定を行い、射影変換後の画像データを対比して表示することによって、航空写真の比較による固定資産の異動の判別及び異動の種別の記入を確実且つ効率的に行う土地の利用状況及び家屋形状の変化判別支援システムが記載されている。

【0008】
また、例えば、特許文献2には、上空から所定領域について新旧二時期で取得した地上位置情報と標高情報を含むレーザデータの各々に対して、標高情報を地上位置情報に基づいて設定されたメッシュ上にサンプリングしてメッシュの各マス目に標高代表値を設定し、新旧二時期のメッシュ間の標高代表値差分が家屋の一階高さ程度に設定した閾値を越える判定対象マス目の数により新旧二時期間での家屋異動の有無を判定することによって、家屋の異動の判定を自動的に行う家屋異動判定方法が記載されている。
【特許文献1】特開平9−61164号公報
【特許文献2】特開2004−117245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の技術においては、いずれも以下に述べるような問題点があった。
【0010】
特許文献1を一例とする従来の技術においては、地物の高さの変化の種類を区別できないという問題がある。したがって、例えば、建物の高さが高くなる建物の増築や、建物の高さが低くなる建物の減築を区別できない
その理由は、変化の検出の対象となる画像データが高さ情報を有さないからである。
【0011】
また、地物の変化を高精度で自動検出することができないという問題がある。
【0012】
その理由は、変化の検出の対象となる画像データが色情報を有しているが、例えば、積雪や影の位置の違いによる色の変化を検出して、地物に変化がないにもかかわらず、変化が発生していると誤って判定してしまうため、オペレータが当該判定の確認をする必要があるからである。
【0013】
また、新旧各時点の航空写真を全く同じ位置から撮影することは不可能であり、同一の建物など、同一の地物について、縮尺、焦点距離、高度、撮影コースなどの撮影条件の違いに起因する見え方の違いにより、変化がないにもかかわらず、変化が発生したと誤って判定してしまうからである。
【0014】
さらに、特許文献2を一例とする従来の技術においては、地物の高さの変化の種類を区別できるが、地物の変化を精度の良い位置分解能で検出できないという問題がある。
【0015】
その理由は、レーザデータは、高さ変化を検出する際に、必要とする測定点の距離間隔が数メートル以上と広いため、また、放射状にレーザを放出することにより測定点の距離間隔が一定でないため、細かな距離間隔での精密な地物の変化の検出ができないからである。
【0016】
さらに、例えば、滅失後新築された建物のように高さに変化のない建物の変化を検出できないという問題がある。
【0017】
その理由は、高さ情報のみで地物の変化を検出するからである。
【0018】
さらに、航空写真のみに基づく地物の変化の検出に比べてコストがかかるという問題がある。
【0019】
その理由は、地物の変化の検出を高精度で行う場合には、高さ変化による判定に加えて色変化による判定も必須であり、そのためにはレーザデータに加えて、空撮による航空写真を必要とするからである。
【0020】
本発明の目的は、上記従来の技術の問題点を解決し、変化の検出にかかるコストを抑えて地物を含む対象の変化を判定できる、変化判定装置、変化判定方法および変化判定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成するため、本発明による変化判定装置は、所定領域を撮影した画像データから前記所定領域に含まれる対象の変化を判定する変化判定装置であって、第1の時点と当該第1の時点より後の第2の時点に複数の異なる地点から撮影された所定領域の複数の画像を入力としてステレオ処理を行うことで前記第1の時点と前記第2の時点における3次元データを抽出するステレオ処理手段と、前記ステレオ処理手段で抽出された第1の時点と前記第2の時点のそれぞれの3次元データを用いて、前記第1の時点と前記第2の時点それぞれにおける撮影された画像及び前記3次元データを正射変換することで、前記第1の時点と前記第2の時点におけるオルソ画像およびオルソ3次元データを抽出するオルソ化手段と、前記オルソ化手段で抽出された前記第1の時点と前記第2の時点のオルソ画像および前記オルソ3次元データから、前記対象の異動を判定する変化判定手段とを含むものである。
【0022】
このような構成によれば、画像のみから対象の変化を検出するため、低コストで対象の変化を検出することができ、本発明の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、以下の効果が達成される。
【0024】
第1に、画像データをステレオ処理およびオルソ化処理して取得した高さの変化を用いて対象の変化を判定するので、低コストで対象の変化を判定することができる。
【0025】
第2に、画像またはオルソ画像の色相および輝度が一定領域にある画素を、変化を判定する領域から除外して変形を判定するので、画像の撮影時の照明条件の違いや撮影条件の違いに関わらずに対象の変化を判定することができる。
【0026】
第3に、オルソ化処理された画像データの色又は階調を比較して変化を判定するので、高さに変化がない対象の変化を判定することができる。
【0027】
第4に、本発明は、ステレオ処理を用いて画像の画素単位で高さ変化を判定するので、画素単位の細かな距離間隔で対象の変化を判定することができる。
【0028】
第5に、本発明は、画像データをステレオ処理およびオルソ化処理して取得した高さの変化と、画像データをオルソ化処理して取得した色の変化とを用いて対象の変化を判定するので、対象の変化を低コスト、かつ、高精度で判定することができる。
【0029】
よって、本発明は、上記従来の技術の問題点を解決し、コストを抑えて対象の変化を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0031】
本発明では、所定の地域を異なる時点に上空から撮影した複数の画像データから地物の変化を検出する。
【0032】
なお、本発明では異なる時点のうち、相対的に時刻が未来の時点を新時点、また相対的に時刻が過去の時点を旧時点と記述する。
【0033】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態では、地物の1つである建物の変化の判定(建物の異動の判定)について説明する。
【0034】
ただし、道路、車両、地面や森林など他の地物の異動の判定についても同様の方法で行うことができる。
【0035】
(第1の実施の形態の構成)
図1は、本実施の形態による変化判定装置100の構成を示すブロック図である。
【0036】
図1を参照すると、本実施の形態による変化判定装置100は、新時点画像データ入力部10と、旧時点画像データ入力部20と、ステレオ処理部30と、オルソ化処理部40と、判定部50と、変化判定プログラム60とを備えている。
【0037】
新時点画像入力部10は、新時点の画像データを入力する機能を有し、新時点において撮影された複数の航空画像データを入力する。
【0038】
旧時点画像入力部20は、旧時点の画像データを入力する機能を有し、旧時点において撮影された複数の航空画像データを入力する。
【0039】
ステレオ処理部30は、3次元データを生成する機能を有し、同時点の複数の航空画像データに対してステレオマッチング処理を行い、3次元データ(DSM(Digital Surface Model)データ;デジタル表層モデルデータ)を生成する。
【0040】
オルソ化処理部40は、画像データおよびDSMデータの正規化をするために、画像データおよびDSMデータのオルソ化処理を行い、さらに、オルソ化処理した画像データおよびDSMデータについて対地標定を行う機能を有する。
【0041】
すなわち、オルソ化処理部40は、航空画像データとDSMデータとについて、DSMデータを用いて正射変換し、さらに、対地標定を行い、それぞれ対応するオルソ画像データとオルソDSMデータとを生成する。
【0042】
なお、後述するが、オルソ画像データには、色データと、対地標定による緯度及び経度のデータが含まれ、一方、オルソDSMデータには、地物の表層の高さを含む標高値を有する高さデータと、対地標定による緯度及び経度のデータが含まれる。
【0043】
なお、オルソ画像データおよびオルソDSMデータに含まれるデータとして、緯度および経度のデータを記述したが、これらのデータは、緯度および経度のデータに限定されるものではなく、他の座標系で表現される座標値のデータであってもよい。
【0044】
さらに、オルソDSMデータに含まれる高さデータが有するデータとして、標高値を記述したが、この高さデータが有するデータは、標高値に限定されるものではなく、他の基準からの相対的な高さを示す値であってもよい。
【0045】
また、図1でステレオ処理部30より出力されたDSMデータを2個に分岐してオルソ化処理部40に入力しているのは、2個に分岐した一方を正射変換に用いるDSMデータとし、他方を正射変換の対象のDSMデータとしているためである。
【0046】
ここで、標定とは、評価の対象について所定の値を求める処理をいう。
【0047】
また、対地標定とは、地表に対して画像データ等の実際の座標(正しい位置)を求める処理のことであり、本実施の形態においては、航空画像の経度、緯度を求める処理のことである。
【0048】
この処理を行うことにより、新時点及び旧時点の航空画像の緯度及び経度が求められるため、各航空画像における同一地点を相互に対応付けることが可能となる。
【0049】
取得した航空画像に基づいて、新時点および旧時点の同一地点を相互に対応付けることにより、後述する判定部50が、同一地点での色および高さの比較が可能となり、例えば、同一の建物での色および高さの変化を検出することができる。
【0050】
なお、本実施の形態における対地標定を行うための手法に制限はなく、一般的な手法を用いてよい。
【0051】
対地標定を行うための手法として、例えば、あらかじめ経度、緯度、標高値(画像座標)が検出されている航空画像上の複数の点の画像座標から、地上表面の地上座標(経度、緯度、標高値)への変換式を求めてもよい。
【0052】
さらに、対地標定を行うための手法として、例えば、対空標識を写しこんで航空写真を撮影することで経度、緯度、標高が測量されたデータである空中三角測量データを用いてもよい。これにより、画像上の任意の座標における地上座標を求めることが可能となる。
【0053】
ここで、対空標識とは、航空機から各種センサーにより画像を撮影した時、画像上で明瞭にその形が認識でき、その画像座標を測定できるものを言う。したがって、対空標識を置いた点は、正確な3次元座標(正しい位置)を有する。
【0054】
判定部50は、新時点のオルソ画像データと旧時点のオルソ画像データを用いて色を比較する機能と、新時点のオルソDSMデータと旧時点のオルソDSMデータを用いて高さを比較する機能と、上記機能に基づいて建物の異動を判定する機能とを有する。
【0055】
変化判定プログラム60は、変化判定装置100の上記各構成要素の各機能について、回路部品に実装されてハードウェア的に実現し、又は、コンピュータ処理装置上で実行されることにより、ソフトウェア的に実現することができる。
【0056】
次に、上記説明で用いた主要な用語について図を用いて説明する。
【0057】
ここで、航空画像とは、デジタル画像に変換された航空写真の画像である。
【0058】
図32および図33は、航空画像にデジタル変換される航空写真の一例を示す図である。
【0059】
図32および図33に示される航空写真は、飛行機を飛ばして上空から連続撮影された、A地域が撮影されている航空写真101Aと、B地域が撮影されている航空写真101Bとからなる。また、航空写真101Aと、航空写真101Bとは、飛行機の進行方向に60%オーバーラップして(C地域)撮影されたものである。
【0060】
なお、本実施の形態は、新旧両時点における航空写真の撮影範囲が一致する場合に適用される形態であることとする。
【0061】
また、新旧両時点における航空写真の撮影範囲が完全には一致しない場合に適用される形態は後述する。
【0062】
本実施の形態における航空画像は、航空写真101A、航空写真101Bを一例とする航空写真がデジタル変換されて生成された画像であるが、あくまでも本発明を適用する画像の一例である。したがって、本発明を適用する画像は、航空画像に限定されるものではなく、デジタル化された衛星写真による画像や、一般的なデジタルカメラで撮影したデジタル画像や、一般的なアナログカメラで撮影したアナログ写真をスキャニングでデジタル化したデジタル画像等であってもよい。
【0063】
また、航空画像は、一般的な撮影条件の一つである1200dpiのスキャン解像度かつ1/5000の縮尺で撮影された際には、航空画像の解像度は12.5cm/pixelとなり、レーザデータよりも高解像度である。
【0064】
ここで、ステレオマッチング処理とは、異なる視点から撮影した複数の画像について、同一の点を撮像している各画像中の対応点を求め、その視差を用いて三角測量の原理によって対象までの奥行きや形状を求める処理のことである。
【0065】
すなわち、一組の航空写真101A、航空写真101B間では、対応する地物の位置が、所定の位置ずれ(視差)を生じているので、ステレオマッチング処理は、この位置ずれを計測することにより、地物の表層の高さを含む標高値を有する高さデータを求めることができる。
【0066】
なお、ステレオマッチング処理を行うための手法には、一般的な特徴量を求めて対応付けるものや、左右画像の相関を求めるものなど、様々なものが存在するが、本実施の形態におけるステレオマッチング処理に使用される手法に制限はない。例えば、特公平8−16930に記載のステレオマッチング処理を使用してもよい。
【0067】
ここで、DSMデータは、ステレオマッチング処理で求めた上記標高値を有する高さデータを含む。したがって、DSMデータは、例えば、建物の最表層の高さデータを含む。
【0068】
なお、上記位置ずれの量は、通常2つの画像の中で、対応する付近の小領域の画像相関をとり、相関係数が最大となる位置から測定されるが、この画像相関を、取得された画像全体にわたって行うことにより、一定間隔の格子形状ごとに標高値を面的に計測することでDSMデータが生成される。
【0069】
ここで、オルソ化処理とは、正射変換による正規化処理のことであり、画像データからオルソ画像データを作成する処理や、DSMデータからオルソDSMデータを作成する処理のことである。一般にオルソ化処理には、地形のみ補正する簡易オルソ化と建物まで補正する精密オルソ化とがあり、本実施の形態では後者の精密オルソ化を指している。
【0070】
なお、本実施の形態におけるオルソ化処理には、オルソ化処理部40によりなされる対地標定の処理が含まれる。
【0071】
ここで、オルソ画像とは、正規化処理され対地標定により得られる画像のことである。
【0072】
図30、図31は、画像の正規化処理を説明するための図であり、図30は、中心投影を説明するための図、図31は、正射投影を説明するための図である。
【0073】
図30の上側の図は、カメラから被写体を撮影する様子であり、下側の図は撮影により得られる画像を示す図である。
【0074】
中心投影の場合、画像の中心では真上から見たような画像であるが、1点に像を集中させるため、画像の中心から外れると傾いて撮影される。
【0075】
さらに、中心投影の場合、丸みを帯びた地球の形状および地形の起伏によって、より一層傾いて撮影される場合がある。
【0076】
したがって、中心投影の場合、異なる条件で撮影された画像同士を正確に対応付けて比較することは困難である。
【0077】
すなわち、中心投影の場合、対地標定を行っても、例えば、建物の屋上の位置が正しい位置からずれていることにより、屋上の高さが正しい位置の高さからずれていることから、比較する画像間において、同じ位置での高さや色の差分を算出することが困難である。
【0078】
図31の上側の図は、正射投影の様子を示す図であり、下側の図は、正射投影により得られる画像を示す図である。
【0079】
正射投影の場合、下側の図に示すように、画像が正規化されて正しい位置に変換されるので、位置や距離の計測を精度よく行うことが可能となる。
【0080】
通常のカメラの場合、図30に示すように、画像100aは、中心投影および地形の起伏等のため、撮影される対象が傾いて撮影される。そこで、図31に示すように、地形の起伏等を考慮して、画像100aを所定の面に対して正射投影することによって正規化処理して画像100bを作成する。
【0081】
通常の航空画像では、新時点と旧時点で撮影位置が異なるために同じ位置での画像比較が困難であるが、正規化処理して作成した画像100bは、対地標定を行うことにより正しい位置を有するため、複数の画像100bを連結して広範囲の対象を把握し、図面などを作成することができる。
【0082】
すなわち、画像100bについて対地標定を行うことにより、画像100bに対応する正しい経度、緯度を持つオルソ画像を得ることができ、画像を相互に比較することができる。
【0083】
ここで、オルソDSMデータとは、オルソ画像と同様に、DSMデータが正規化処理され、対地標定により得られるデータのことである。
【0084】
すなわち、オルソDSMデータとは、通常のカメラの場合、図30に示すように、中心投影および地形の起伏等のために傾いて撮影される対象を、正規化処理および対地標定により得られた画像に対応して、図31に示すように、DSMデータについて所定の面に対して正射影して得られたデータを対地標定して生成したデータのことである。
【0085】
通常のDSMデータは、中心投影および地形の起伏等のために各地点で正しい位置からのずれが発生し、高さの正しいデータが得られないので高さの比較が困難であるが、オルソDSMデータは、正射変換し、さらに、対地標定を行うため、DSMデータに対応する経度、緯度、及び、高さからなる正しい位置を持つことから、各データにおける高さを相互に比較することができる。
【0086】
図2は、本実施の形態による判定部50の構成を示すブロック図である。
【0087】
図2を参照すると、本実施の形態による判定部50は、色差分計算部51と、高さ差分計算部52と、差分データ判定部53と、判定規則記憶部54とを備えている。
【0088】
色差分計算部51は、色差分計算を行う計算部であって、新時点のオルソ画像と旧時点のオルソ画像から、同じ場所について新時点と旧時点での色の差分を抽出する機能を有する。
【0089】
高さ差分計算部52は、高さ差分計算を行う計算部であって、新時点のオルソDSMデータと旧時点のオルソDSMデータから、同じ場所について新時点と旧時点での高さの差分を抽出する機能を有する。
【0090】
差分データ判定部53は、色差分計算部51及び高さ差分計算部52により抽出された建物の色の変化の情報である色差分データ及び建物の高さの変化の情報である高さ差分データを統合的に用いて、判定の対象とする建物の変化を判定する(異動の判定処理)機能を有する。
【0091】
また、差分データ判定部53は、異動の判定処理を行った後、異動の判定処理の結果を出力する。
【0092】
判定結果の出力形式としては、異動種別毎の差分画像、異動が発生した建物等の位置および種類を記述したリストファイルなどの形式がある。
【0093】
判定結果の表示方式としては、各種差分画像をオルソ画像上にオーバーレイ表示する、異動が発生した建物等の位置および種類をリスト表示する、などの方法がある。
【0094】
差分画像を使用する場合は、例えば、新築を示す差分画像を赤色で、滅失を示す差分画像を青色で、色変化を示す差分画像を緑色でオルソ画像上にオーバーレイ表示することで、異動が発生した建物等の位置、種類をオルソ画像上で確認することができる。
【0095】
リストを使用する場合は、例えば、異動を判定された建物のリストの一覧を表示し、ユーザがリスト中の建物を選択すると、選択された建物の位置に対応するオルソ画像を中心として表示し、異動を判定された建物の位置にマークを表示することで、異動を判定された建物をオルソ画像上で確認することができる。
【0096】
異動を判定された建物の位置は、差分画像の外接矩形枠の中心位置である。または、重心位置を異動を判定された建物の位置としてもよい。または、外接矩形枠の範囲(上端、下端、左端、右端等の位置)を異動を判定された建物の位置としてもよい。
【0097】
異動を判定された建物の位置の形式は、画像座標である。または、経緯度値としてもよい。
【0098】
異動を判定された建物の位置の形式を経緯度値とする場合は、異動を判定された建物を表示する際、あらかじめ与えられた入力点の画像座標値および経緯度値から異動を判定された建物の画像座標値を計算する。例えば、3点の画像座標値および経緯度値が与えられている場合には、3点から画像座標と経緯度値との関係を求めることで、任意の経緯度値に対応する画像座標値を求めることができる。
【0099】
判定規則記憶部54は、差分データ判定部53が建物等の変化(異動)を判定する際に用いる所定の規則を保持する機能を有する。
【0100】
ここで、本実施の形態による変化判定装置100のハードウェア構成の説明をする。
【0101】
図3は、本実施の形態による変化判定装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0102】
図3を参照すると、本発明による変化判定装置100は、一般的なコンピュータ装置と同様のハードウェア構成によって実現することができ、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)等のメインメモリであり、データの作業領域やデータの一時退避領域に用いられる主記憶部302、インターネット400を介してデータの送受信を行う通信制御部303、液晶ディスプレイ、プリンタやスピーカ等の提示部304、キーボードやマウス等の入力部305、周辺機器と接続してデータの送受信を行うインタフェース部306、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリから構成されるハードディスク装置である補助記憶部307、本情報処理装置の上記各構成要素を相互に接続するシステムバス308等を備えている。
【0103】
本発明による変化判定装置100は、その動作を変化判定装置100内部にそのような機能を実現する変化判定プログラム60を組み込んだ、LSI(Large Scale Integration)等のハードウェア部品からなる回路部品を実装してハードウェア的に実現することは勿論として、上記した各構成要素の各機能を提供する変化判定プログラム60を、コンピュータ処理装置上のCPU301で実行することにより、ソフトウェア的に実現することができる。
【0104】
すなわち、CPU301は、補助記憶部307に格納されている変化判定プログラム60を、主記憶部302にロードして実行し、変化判定装置100の動作を制御することにより、上述した各機能をソフトウェア的に実現する。
【0105】
(第1の実施の形態の動作)
次に、図4〜図8のフローチャートを参照して本実施の形態の動作を説明する。
【0106】
図4は、本発明による変化判定装置100における異動の判定処理の概略を示すフローチャートである。
【0107】
すなわち、判定部50が、オルソ化処理部40からオルソ化されたデータを取得し(ステップS401)、取得したオルソ化されたデータから差分データを抽出し(ステップS402)、抽出した差分データに基づいて異動判定の対象となる画素を抽出し(ステップS403)、抽出した画素について所定の規則にしたがって異動の判定を行う(ステップS404)。
【0108】
なお、判定部50は、ステップS404において、判定規則記憶部54にあらかじめ保持されている所定の規則に従って異動の判定を行う。
【0109】
また、ここで、画素は、画像データ、オルソ画像データ、DSMデータ、オルソDSMデータが有する色情報、経緯度および高さ情報、輝度値等を検出される際の領域の最小単位を便宜上含むとする。
【0110】
(オルソ化されたデータの取得処理)
図5は、図4のステップS401に示された、オルソ化されたデータの取得処理の一例を示すフローチャートである。
【0111】
まず、新時点画像データ入力部10が、新時点の複数の航空画像データを入力する(ステップS501)。
【0112】
この際、入力する複数の航空画像データは、新時点の異なる撮影地点から撮影された航空画像データである。
【0113】
例えば、新時点における図32および図33に示す航空写真101Aの画像データと、航空写真101Bの画像データとを入力してもよい。
【0114】
次いで、ステレオ処理部30が、新時点画像データ入力部10から新時点の複数の航空画像を入力し、ステレオマッチング処理を行い、新時点のDSMデータを抽出する(ステップS502)。
【0115】
次いで、オルソ化処理部40が、新時点画像データ入力部10から新時点の航空画像データを入力するとともに、ステレオ処理部30から新時点のDSMデータを入力し、新時点のDSMデータを用いて新時点の航空画像データを正射変換して、新時点のオルソ画像データを作成する。さらにオルソ化処理部40は、新時点の航空画像データと同様に、新時点のDSMデータを用いて新時点のDSMデータを正射変換して、新時点のオルソDSMデータを作成する(ステップS503)。
【0116】
一方、旧時点の複数の航空画像データについても、新時点の航空画像データと同様な処理を行う。
【0117】
すなわち、旧時点画像データ入力部20が、旧時点の複数の航空画像を入力し(ステップS504)、ステレオ処理部30が、旧時点画像データ入力部20から旧時点の複数の航空画像を入力し、ステレオマッチング処理を行い、旧時点のDSMデータを抽出し(ステップS505)、オルソ化処理部40が、旧時点画像データ入力部20から旧時点の航空画像を入力し、ステレオ処理部30から旧時点のDSMデータを入力し、旧時点のDSMデータを用いて旧時点の航空画像と旧時点のDSMデータを正射変換し、旧時点のオルソ画像および旧時点のオルソDSMデータを作成する(ステップS506)。
【0118】
この際、入力する旧時点の複数の航空画像データは、新時点の複数の航空画像データと同地域が撮影されている航空画像データである。
【0119】
また、ここでは一例として、新時点の航空画像データのステレオマッチング処理およびオルソ化処理の後に、旧時点の航空画像データのステレオマッチング処理およびオルソ化処理を行ったが、これらの処理の順番に制限はなく、旧時点の航空画像データのステレオマッチング処理およびオルソ化処理の後に新時点の航空画像データのステレオマッチング処理およびオルソ化処理を行ってもよい。
【0120】
また、新時点の航空画像データのステレオマッチング処理の後、新時点の航空画像データのオルソ化処理を行う前に、旧時点の航空画像データのステレオマッチング処理を行ってもよいし、旧時点の航空画像データのステレオマッチング処理の後、旧時点の航空画像データのオルソ化処理を行う前に、新時点の航空画像データのステレオマッチング処理を行ってもよい。また、ステレオマッチング処理やオルソ化処理を並行して行ってもよい。
【0121】
次いで、判定部50が、新時点のオルソ画像データおよびオルソDSMデータと、旧時点のオルソ画像データおよびオルソDSMデータとをオルソ化処理部40から取得することによって(ステップS507)、オルソ化されたデータの取得処理が行われる。
【0122】
(差分データの抽出処理)
図6は、図4のステップS402に示された、差分データの抽出処理の一例を示すフローチャートである。
【0123】
まず、色差分計算部51が、オルソ化処理部40から新時点のオルソ画像データと旧時点のオルソ画像データを入力し、色差分計算を行い、色差分データを出力する(ステップS601)。
【0124】
一方、高さ差分計算部52が、オルソ化処理部40から新時点のオルソDSMデータと旧時点のオルソDSMデータを入力し、高さ差分計算を行い、高さ差分データを出力する(ステップS602)。
【0125】
ここで、色差分計算(ステップS601)と高さ差分計算(ステップS602)の処理の順番に制限はなく、高さ差分計算の後に色差分計算を行ってもよいし、処理を並行して行ってもよい。
【0126】
以上により、差分データ判定部53が、色差分計算部51から色差分データを抽出するとともに、高さ差分計算部52から高さ差分データを抽出することによって(ステップS603)、判定部50において、差分データの抽出処理が行われる。
【0127】
ここで、図7に示すフローチャートを参照して、図6のステップS601に示された、色差分計算の方法を具体的に記述する。
【0128】
なお、色差分計算の処理には、カラーの画像データを計算対象とする場合とモノクロの画像データを計算対象とする場合があるが、最初に、カラーの画像データを計算対象とする場合について説明する。
【0129】
まず、色差分計算部51が、対応する各画素について、新時点のオルソ画像データが示す画素の色と旧時点のオルソ画像データが示す画素の色との色空間中の距離を求め(ステップS701)、色空間中の距離があらかじめ設定された閾値以上であるかを判断し(ステップS702)、閾値以上である場合には(ステップS703)、その画素を色変化がある画素と判定し(ステップS704)、閾値未満である場合には(ステップS703)、その画素を色変化がない画素と判定する(ステップS705)。
【0130】
次いで、色差分計算部51は、全ての画素について色差分計算が終了したか否かを判定し(ステップS706)、全ての画素について色差分計算が終了していない場合(ステップS707)、次の画素での色差分計算に移行し(ステップS708)、全ての画素について色差分計算が終了した場合(ステップS707)、この処理を終了し、計算結果である色差分データを抽出する。
【0131】
色差分データの形態は、各画素に対応する判定結果を示す画像である。
【0132】
この場合、色変化ありと判定された画素の画素値を1とし、色変化なしと判定された画素の画素値を0とする。
【0133】
また、画像データとともに各画素の色空間中の距離値を色差分データに含めてもよいし、各画素について新時点および旧時点の色の値を色差分データに含めてもよいし、各画素について新時点および旧時点の色の平均値を色差分データに含めてもよい。
【0134】
以上はカラー画像データを計算対象とする場合であるが、モノクロ画像データを計算対象とする場合には、色空間中の距離を、モノクロの階調差に置き換えることにより、全く同様に色差分の計算処理を行うことができる。
【0135】
また、図8に示すフローチャートを参照して、図6のステップS602に示された、高さ差分計算の方法を詳細に説明する。
【0136】
まず、高さ差分計算部52が、対応する各画素について、新時点のオルソDSMデータの高さと旧時点のオルソDSMデータの高さとの差分を求め(ステップS801)、差分の絶対値があらかじめ与えられた閾値以上であるかを判定する(ステップS802)。
【0137】
次いで、高さ差分計算部52は、閾値以上である場合について(ステップS803)、新時点の高さが旧時点の高さより高いか否か判定し(ステップS804)、新時点の高さが旧時点の高さより高い場合には(ステップS805)、その画素を高さ増加の変化がある画素と判定し(ステップS806)、新時点の高さが旧時点の高さより低い場合には(ステップS805)、その画素を高さ減少の変化がある画素と判定する(ステップS807)。
【0138】
また、ステップS803での判定の結果において、差分の絶対値があらかじめ与えられた閾値未満である場合には、その画素を高さ変化がない画素と判定する(ステップS808)。
【0139】
次いで、高さ差分計算部52は、全ての画素について高さ差分計算が終了したか否かを判定し(ステップS809)、全ての画素について高さ差分計算が終了していない場合(ステップS810)、次の画素での高さ差分計算に移行し(ステップS811)、全ての画素について高さ差分計算が終了した場合(ステップS810)、判定結果である高さ差分データを抽出する。
【0140】
ここで、高さ差分データの形態は、各画素に対応する判定結果を示す画像である。
【0141】
この場合、高さ増加の変化ありと判定された画素の画素値を1とし、高さ減少の変化ありと判定された画素の画素値を2とし、変化なしと判定された画素の画素値を0とする。また、画像とともに各画素の差分値を高さ差分データに含めてもよい。
【0142】
(補正処理)
(色補正処理)
また、色差分計算部51において、色差分を計算する際に、新時点のオルソ画像データと旧時点のオルソ画像データの全体的な色の差分を計算し、画像データの色補正処理を行ってもよい。
【0143】
画像データの色補正処理を行うと、撮影時の照明条件の違いや航空写真のスキャニング方法に起因する新時点と旧時点のオルソ画像データの全体的な色の違いを補正することが可能となるので、判定部50において、全体的な色の違いを異動と誤って判定することを防ぎ、異動判定の精度を向上することができる。
【0144】
図9のフローチャートを参照して、色補正処理について詳細に説明する。
【0145】
まず、色差分計算部51が、各色成分について、新時点のオルソ画像データの色成分の平均値を求めるとともに(ステップS901)、旧時点のオルソ画像データの色成分の平均値を求める(ステップS902)。
【0146】
ここで色成分とは、RGB色空間における各色のことであり、Rの平均値、Gの平均値、Bの平均値をそれぞれ求める。
【0147】
また、RGB色空間の代わりに例えばLuv表色系を用いてもよいし、Lab表色系を用いてもよいし、XYZ表色系を用いてもよいし、YCCカラーベースを用いてもよいし、YUVカラーベースを用いてもよく、使用する色成分を限定するものではない。
【0148】
次いで、色差分計算部51は、各色成分について、新時点のオルソ画像データから求められた色成分の平均値と、旧時点のオルソ画像データから求められた色成分の平均値との差分を計算する(ステップS903)。
【0149】
次いで、色差分計算部51は、新時点のオルソ画像データの全ての画素について、計算された各色成分の差分値を、各色成分から減算することで、新時点のオルソ画像データの色を修正する(ステップS904)。
【0150】
ここでは一例として、新時点のオルソ画像データの色を修正処理したが、旧時点のオルソ画像データの色を修正処理してもよい。
【0151】
また、ここでは一例として、オルソ画像データを用いて各色成分の平均値を求めたが、色差分計算部51が、新時点画像データ入力部10から新時点の航空画像データを入力するとともに、旧時点画像データ入力部20から新時点の航空画像データを入力し、入力した航空画像データを用いて航空画像データの各色成分の平均値を求めてもよい。
【0152】
(高さ補正処理)
また、高さ差分計算部52において、高さ差分を計算する際に、新時点のオルソDSMデータと旧時点のオルソDSMデータの全体的な高さの差分を計算し、オルソDSMデータの高さ補正処理を行ってもよい。
【0153】
これにより、有効桁数以下の高さの微調整を行うことできる。
【0154】
図10のフローチャートを参照して、高さ補正処理について詳細に説明する。
【0155】
まず、高さ差分計算部52が、新時点のオルソDSMデータの高さの平均値を求めるとともに(ステップS1001)、旧時点のオルソDSMデータの高さの平均値を求める(ステップS1002)。
【0156】
次いで、高さ差分計算部52は、新時点の高さの平均値と旧時点の高さの平均値との差分を計算する(ステップS1003)。
【0157】
次いで、高さ差分計算部52は、新時点のオルソDSMデータの全ての画素について、計算された高さ差分値を減算することで、新時点のオルソDSMデータの高さを修正する(ステップS1004)。
【0158】
ここでは一例として、新時点のオルソDSMデータの高さを修正したが、旧時点のオルソDSMデータの高さを修正してもよい。
【0159】
また、ここでは一例として、オルソDSMデータを用いて高さの平均値を求めたが、高さ差分計算部52が、ステレオ処理部30から新時点のDSMデータおよび旧時点のDSMデータを入力し、DSMデータを用いてDSMデータの高さの平均値を求めてもよい。
【0160】
(第1の実施の形態の効果)
以上説明した実施例1によれば、以下の効果を達成する。
【0161】
第1に、地物の高さの変化から地物の異動を判定することができる。
【0162】
その理由は、地物の画像データに対してステレオマッチング処理及びオルソ化処理を行い、所定の規則に従って判断することによって、新時点と旧時点とにおいて、地物の高さの変化の情報と、地物の高さが変化した領域とを高精度で対応付けることができるからである。
【0163】
第2に、画像の撮影時の照明条件の違いや撮影条件の違いに関わらずに地物の異動を判定することができる。
【0164】
その理由は、上記第1の効果で示したように、地物の高さの変化から地物の異動を判定するからである。
【0165】
第3に、画素の単位という細かな距離間隔で地物の異動を判定することができる。
【0166】
その理由は、ステレオマッチング処理を用いて画像の画素の単位で高さ変化を判定するからである。
【0167】
第4に、地物の色の変化から地物の異動を判定することができる。
【0168】
その理由は、地物の画像データに対してオルソ化処理を行い、所定の規則に従って判断することによって、地物の色の変化の情報と、地物の色が変化した領域とを高精度で対応付けることができるからである。
【0169】
第5に、高さに大きな変化がない地物の異動を判定することができる。
【0170】
その理由は、上記第4の効果で示したように、地物の色の変化から地物の異動を判定するからである。
【0171】
第6に、地物の異動を高精度で判定することができる。
【0172】
その理由は、地物の色の変化と高さの変化とを組み合わせて異動の判定処理を行っているからである。
【0173】
第7に、低コストで地物の異動を判定することができる。
【0174】
その理由は、航空写真による画像データのみに基づいて、地物の色の変化と高さの変化を算出することができるからである。
【実施例1】
【0175】
実施例1は、上記において第1の実施の形態として示した変化判定装置に対して本発明を適用した一例である。
【0176】
実施例1は、第1の実施の形態と同様の基本構成および基本動作を採用するため、以下、第1の実施の形態との相違点について主に説明し、第1の実施の形態と共通する構成および動作については説明を適宜省略する。
【0177】
なお、後述する各実施の形態および各実施例も、実施例1と同様に、第1の実施の形態と同様の基本構成および基本動作を採用するため、第1の実施の形態との相違点について主に説明し、第1の実施の形態と共通する構成および動作については説明を適宜省略する。
【0178】
(実施例1の異動の判定処理の内容)
図11〜図14のフローチャートを参照して、図4のステップS403に適用される実施例1における画素の抽出処理、および、ステップS404に適用される実施例1における異動の判定処理について詳細に説明する。
【0179】
実施例1で判定する異動として、「新築」、「滅失」、「不明」、「改築」、の4種類について説明する。
【0180】
ここで、「新築」とは、更地に新たな建物が追加された状態をいう。
【0181】
ここで、「滅失」とは、建物がなくなり、更地になった状態をいう。
【0182】
ここで、「不明」とは、建物の陰に隠れて見えない状態をいう。
【0183】
ここで、「改築」とは、例えば家屋の異動の判定の場合、増改築や屋根の塗替えや滅失後新築である。
【0184】
(新築の判定処理)
まず、図11のフローチャートを参照して、新築の判定処理について詳細に説明する。
【0185】
新築の判定処理は、高さ増加の変化が発生している領域を、所定の場合に、建物の新築が発生した領域と判定する。
【0186】
ここで、図11のステップS1101は、図4のステップS403に対応し、図11のステップS1102〜ステップS1105は、図4のステップS404に対応する。
【0187】
まず、高さ差分データから、高さ差分データ中で高さ増加の変化があると判定された画素を抽出する(ステップS1101)。
【0188】
次いで、抽出された画素についてラベリング処理を行う(ステップS1102)。
【0189】
ここでラベリング処理とは、隣接している2つの画素が上記抽出された画素である際に両画素に同一のラベルを与える処理であり、近隣の抽出画素を一まとまりの領域として抽出する処理である。
【0190】
ステップS1102でラベリング処理を行い同一ラベルを持つ画素を1つのラベル領域とした後、各ラベル領域について建物検出条件を判定する(ステップS1103)。
【0191】
ここで、建物検出条件とは、建物であるかどうかを判定するための条件であり、例えば、航空画像データのノイズの影響による誤検出を防ぐために、建物一件分に満たない小さい領域は建物とは見なさないとする条件である。
【0192】
具体的には、
1.領域の縦方向の画素数(または実際の距離)および横方向の画素数(または実際の距離)が、所定の閾値以上かつ所定の閾値未満であること
2.領域の面積(画素数または実際の面積)が、所定の閾値以上かつ所定の閾値未満であること
により、建物検出条件を設定する。
【0193】
なお、ここで示した建物検出条件は一例であり、これに限定されるものではない。
【0194】
最後に、建物検出条件を全て満たすラベル領域を(ステップS1104)、新築の領域であると判定する(ステップS1105)。
【0195】
なお、建物検出条件を全て満たすラベル領域がない場合には(ステップS1104)、処理を終了する。
【0196】
(滅失の判定処理)
次に、図12のフローチャートを参照して、滅失の判定処理について詳細に説明する。
【0197】
滅失の判定処理は、高さの減少の変化が発生している領域を、所定の場合に、建物の滅失が発生した領域と判定する。
【0198】
ここで、図12のステップS1201は、図4のステップS403に対応し、図12のステップS1202〜ステップS1205は、図4のステップS404に対応する。
【0199】
まず、高さ差分データから、高さ差分データ中で高さ減少の変化があると判定された画素を抽出する(ステップS1201)。
【0200】
以降は、上記新築の判定処理と同様な処理を行い、建物検出条件を満たした場合に、滅失の領域であると判定する(ステップS1202〜ステップS1205)。
【0201】
(異動が不明の判定処理)
一方、建物の陰に隠れて見えないために高さが取得できていない領域を、異動が不明な領域と判定してもよい。
【0202】
なお、高さが取得できていない地域は、ステレオマッチング処理の過程において検出が可能である。
【0203】
具体的には、ステレオマッチング処理時に、対応する画像データにおいて一方の画像データのある地域に対応する地域が他方の画像データにない場合にその地域は高さが取得できないと判断することによって検出する。
【0204】
図13のフローチャートを参照して、不明の判定処理について詳細に説明する。
【0205】
異動が不明の判定処理は、高さが得られていない領域を、所定の場合に、建物の異動が不明な領域であると判定する。
【0206】
ここで、図13のステップS1301は、図4のステップS403に対応し、図13のステップS1302〜ステップS1305は、図4のステップS404に対応する。
【0207】
まず、高さ差分データから、高さ差分データ中で高さが得られていない画素を抽出する(ステップS1301)。
【0208】
以降は、上記新築の判定処理と同様な処理を行い、建物検出条件を満たした場合に、建物の異動が不明な領域であると判定する(ステップS1302〜ステップS1305)。
【0209】
(改築の判定処理)
次に、図14のフローチャートを参照して、改築の判定処理について詳細に説明する。
【0210】
改築の判定処理は、色の変化が発生している領域を、所定の場合に、建物の改築が発生した領域と判定する。
【0211】
ここで、図14のステップS1401は、図4のステップS403に対応し、図14のステップS1402〜ステップS1405は、図4のステップS404に対応する。
【0212】
まず、色差分データから、色差分データ中で色変化があると判定された画素を抽出する(ステップS1401)。
【0213】
以降は、上記新築の判定処理と同様な処理を行い、建物検出条件を満たした場合に、改築の領域であると判定する(ステップS1402〜ステップS1405)。
【0214】
(実施例1の効果)
以上説明した実施例1によれば、建物の高さの変化から建物の新築および滅失を判定することができる。
【0215】
その理由は、建物の画像データに対してステレオマッチング処理及びオルソ化処理を行って建物検出条件を判断することによって、新時点と旧時点とにおいて、建物の高さの変化の情報と、高さが変化した領域とを高精度で対応付けることができるからである。
【0216】
また、実施例1によれば、建物の高さから建物が隠れている可能性のある領域を提示することができる。
【0217】
その理由は、建物の陰に隠れる領域には、建物の陰に他の建物が隠れている可能性があるので、建物の陰に隠れて見えないために高さを取得できていない領域を、異動が不明な領域と判定することによって検出できるからである。
【0218】
さらに、実施例1によれば、建物の色の変化から建物の改築を判定することができる。
【0219】
その理由は、建物の画像データに対してオルソ化処理を行って建物検出条件を判断することによって、新時点と旧時点とにおいて、建物の色の変化の情報と、色が変化した領域とを高精度で対応付けることができるからである。
【実施例2】
【0220】
実施例2は、色差分と高さ差分とを組み合わせて異動の判定処理を行うものである。
(実施例2の異動の判定処理の内容)
図15〜図18のフローチャートを参照して、図4のステップS403に適用される実施例2における画素の抽出処理、および、ステップS404に適用される実施例2における異動の判定処理について詳細に説明する。
【0221】
実施例2で判定する異動として、「新築」、「滅失」、についてそれぞれ2種類ずつ説明する。
【0222】
(新築の判定処理)
図15のフローチャートを参照して、新築の判定処理について詳細に説明する。
【0223】
図15に示す新築の判定処理は、色の変化および高さの増加の変化が発生している領域を、所定の場合に、建物の新築が発生した領域であると判定し、かつ、その判定がどの程度正確であるかを示す異動の確度が高い領域と判定する。
【0224】
ここで、図15のステップS1501は、図4のステップS403に対応し、図15のステップS1502〜ステップS1505は、図4のステップS404に対応する。
【0225】
まず、色差分データと高さ差分データから、色差分データ中で色変化があると判定され、かつ、高さ差分データ中で高さ増加の変化があると判定された画素を抽出する(ステップS1501)。
【0226】
以降は、上記新築の判定処理と同様な処理を行い、建物検出条件を満たした場合に、新築の領域であり、かつ、新築の確度が高い領域であると判定する(ステップS1502〜ステップS1505)。
【0227】
次に、図16のフローチャートを参照して、他の新築の判定処理について詳細に説明する。
【0228】
図16に示す新築の判定処理は、色変化が発生せず、高さの増加変化のみが発生している領域を、所定の場合に、建物の新築が発生した領域であると判定し、かつ、その判定した異動の確度が低い領域と判定する。
【0229】
ここで、図16のステップS1601は、図4のステップS403に対応し、図16のステップS1602〜ステップS1605は、図4のステップS404に対応する。
【0230】
まず、色差分データと高さ差分データから、色差分データ中で色変化がないと判定され、かつ、高さ差分データ中で高さ増加の変化があると判定された画素を抽出する(ステップS1601)。
【0231】
以降は、上記新築の判定処理と同様な処理を行い、建物検出条件を満たした場合に、新築の領域であり、かつ、新築の確度が低い領域であると判定する(ステップS1602〜ステップS1605)。
【0232】
(滅失の判定処理)
次に、図17のフローチャートを参照して、滅失の判定処理について詳細に説明する。
【0233】
図17に示す滅失の判定処理は、色の変化および高さの減少の変化が発生している領域を、所定の場合に、建物の滅失が発生した領域であると判定し、かつ、その判定した異動の確度が高い領域と判定する。
【0234】
ここで、図17のステップS1701は、図4のステップS403に対応し、図17のステップS1702〜ステップS1705は、図4のステップS404に対応する。
【0235】
まず、色差分データと高さ差分データから、色差分データ中で色変化があると判定され、かつ、高さ差分データ中で高さ減少の変化があると判定された画素を抽出する(ステップS1701)。
【0236】
以降は、上記新築の判定処理と同様な処理を行い、建物検出条件を満たした場合に、滅失の領域であり、かつ、滅失の確度が高い領域であると判定する(ステップS1702〜ステップS1705)。
【0237】
(滅失の判定処理)
次に、図18のフローチャートを参照して、他の滅失の判定処理について詳細に説明する。
【0238】
滅失の判定処理は、色変化が発生せず、高さの減少変化のみが発生している領域を、所定の場合に、建物の滅失が発生した領域であると判定し、かつ、その判定した異動の確度が低い領域と判定する。
【0239】
ここで、図18のステップS1801は、図4のステップS403に対応し、図18のステップS1802〜ステップS1805は、図4のステップS404に対応する。
【0240】
色差分データと高さ差分データから、色差分データ中で色変化がないと判定され、かつ、高さ差分データ中で高さ減少の変化があると判定された画素を抽出する(ステップS1801)。
【0241】
以降は、上記新築の判定処理と同様な処理を行い、滅失の領域であり、かつ、滅失の確度が低い領域であると判定する(ステップS1802〜ステップS1805)。
【0242】
(実施例2の効果)
以上説明した実施例2によれば、新築および滅失の判定処理を実施例1より高精度で行うことができる。
【0243】
その理由は、色差分と高さ差分とを組み合わせて新築および滅失を検出した領域を判定し、かつ、その判定した確度がどの程度正確であるかを判定するからである。
【実施例3】
【0244】
実施例3は、新時点のオルソ画像と旧時点のオルソ画像の各画素の色の値を使用することで、雪や影などの環境による色の変化の影響を除去して異動の判定処理を行うものである。
【0245】
雪や影の存在は、画像に影響を与え、異動判定処理を行う際の誤差原因となる。しかし、新時点のオルソ画像及び旧時点のオルソ画像それぞれでの各画素の色の値を使用することにより、雪や影などによる輝度の影響を除去した状態で、建物の異動を判定することができるようになる。
【0246】
例えば、新時点または旧時点の色の値が所定の輝度より高い画素(白っぽい画素)および所定の輝度より低い画素(黒っぽい画素)を、異動の判定の対象領域から除外することで、雪や影の存在のために色変化を誤って検出して異動の判定をすることを防ぐことができる。
【0247】
(実施例3の異動の判定処理の内容)
図19および図20のフローチャートを参照して、図4のステップS403に適用される実施例3における画素の抽出処理、および、ステップS404に適用される実施例3における異動の判定処理について詳細に説明する。
【0248】
実施例3で判定する異動として、「雪領域が異動の判定の対象から除外された異動」、「影領域が異動の判定の対象から除外された異動」、2種類について説明する。
【0249】
(雪領域を除外して行う異動の判定処理)
雪の存在による環境変化の影響を除去して行う異動の判定処理(雪領域を除外して行う異動の判定処理)について、図19のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0250】
雪領域を除外して行う異動の判定処理は、所定の輝度より高い領域を雪の存在する領域として異動の判定処理の対象から除外する。
【0251】
ここで、図19のステップS1901およびステップS1904は、図4のステップS403に対応し、図19のステップS1902〜ステップS1903およびステップS1905〜ステップS1909は、図4のステップS404に対応する。
【0252】
まず、差分データ判定部53が、オルソ化処理部40から新時点のオルソ画像および旧時点のオルソ画像を入力し、入力した新時点のオルソ画像から、輝度値があらかじめ設定した閾値以上である画素を抽出する(ステップS1901)。
【0253】
次いで、差分データ判定部53は、抽出された画素についてラベリング処理を行って領域を抽出し(ステップS1902)、抽出された領域を雪が存在する領域である雪領域と判定する(ステップS1903)。
【0254】
差分データ判定部53は、入力した旧時点のオルソ画像についても同様に、輝度値があらかじめ設定した閾値以上である画素をステップS1901〜ステップS1903と並列して抽出し(ステップS1904)、抽出された画素についてラベリング処理を行って領域を抽出し(ステップS1905)、抽出された領域を雪領域と判定する(ステップS1906)。
【0255】
抽出された新時点の雪領域と旧時点の雪領域について、論理和演算により、いずれかの時点で雪が存在している領域を抽出する(ステップS1907)。
【0256】
抽出された雪領域を、異動の判定処理の対象領域から除外する領域とし(ステップS1908)、異動の判定処理を行う(ステップS1909)。
【0257】
すなわち、本実施例の異動の判定処理時には、雪領域を異動の判定処理の対象から除外して判定する。
【0258】
また、ここでは輝度値を用いて説明したが、他の任意の色空間を用いて、色空間中のある範囲内にある画素を雪領域と判定してもよい。
【0259】
(影領域を除外して行う異動の判定処理)
次に、影の存在による環境変化の影響を除去して行う異動の判定処理(影領域を除外して行う異動の判定処理)について、図20のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0260】
影領域を除外して行う異動の判定処理は、所定の輝度より低い領域を影の存在する領域として異動の判定処理の対象から除外する。
【0261】
ここで、図20のステップS2001およびステップS2004は、図4のステップS403に対応し、図20のステップS2002〜ステップS2003およびステップS2005〜ステップS2009は、図4のステップS404に対応する。
【0262】
まず、差分データ判定部53が、オルソ化処理部40から新時点のオルソ画像および旧時点のオルソ画像を入力し、入力した新時点のオルソ画像から、輝度値があらかじめ設定した閾値以下である画素を抽出する(ステップS2001)。
【0263】
次いで、差分データ判定部53は、抽出された画素についてラベリング処理を行って領域を抽出し(ステップS2002)、抽出された領域を雪の存在する領域である影領域と判定する(ステップS2003)。
【0264】
差分データ判定部53は、旧時点のオルソ画像についても同様に、輝度値があらかじめ設定した閾値以下である画素をステップS2001〜ステップS2003と並列して抽出し(ステップS2004)、抽出された画素についてラベリング処理を行って領域を抽出し(ステップS2005)、抽出された領域を影領域と判定する(ステップS2006)。
【0265】
抽出された新時点の影領域と旧時点の影領域について、論理和演算により、いずれかの時点で影が存在している領域を抽出する(ステップS2007)。
【0266】
抽出された影領域を、異動を判定する対象領域から除外する領域とし(ステップS2008)、異動の判定を行う(ステップS2009)。
【0267】
すなわち、本実施例の異動の判定処理時には、影領域を異動の判定処理の対象から除外して判定する。
【0268】
また、ここでは輝度値を用いて説明したが、他の任意の色空間を用いて、色空間中のある範囲内にある画素を影領域と判定してもよい。
【0269】
(実施例3の効果)
以上説明した実施例3によれば、雪や影などの影響によって画像の色に変化がある場合でも、建物の異動を判定することができる。
【0270】
また、実施例3によれば、雪や影の存在のために色変化を誤って検出して異動の判定をすることを防ぐことができる。
【0271】
その理由は、画像データの輝度値に基づいて、画像内の雪や影が存在する領域を抽出し、当該領域を建物の異動を判定する対象領域から除外して、異動を判定するためである。
【実施例4】
【0272】
実施例4は、差分データ判定部53が色の変化の情報及び地物の高さの変化の情報に加え、地表面の標高値を有する標高データを利用することによって、「新築」、「増築」、「滅失」、「減築」の判定処理を行うものである。
【0273】
ここで、「増築」とは、既に存在する建物の上に新たな建物を追加したり、一旦建物を取り壊した後さらに高い建物を建てたことを示し、「減築」とは、建物の2階部分のみを取り壊したり、一旦建物を取り壊した後さらに低い建物を建てたことを示す。
【0274】
(実施例4の異動の判定処理の内容)
図21および図22のフローチャートを参照して、図4のステップS403に適用される実施例4における画素の抽出処理、および、ステップS404に適用される実施例4における異動の判定処理について詳細に説明する。
【0275】
実施例4で判定する異動として、「増築」および「減築」の2種類について説明する。
【0276】
(増築の判定処理)
図21のフローチャートを参照して、増築の判定処理について詳細に説明する。
【0277】
ここで、図21のステップS2101およびステップS2102は、図4のステップS403に対応し、図21のステップS2103〜ステップS2106は、図4のステップS404に対応する。
【0278】
まず、差分データ判定部53が、地表面の標高値を有する標高データを入力し、高さ差分データの各画素に対応する標高値を取得する(ステップS2101)。
【0279】
次いで、差分データ判定部53は、高さ差分データと標高値とから、高さ増加の変化がありかつ旧時点の高さが地表面の標高値と一致しない画素を抽出する(ステップS2102)。
【0280】
以降は、実施例1における新築の判定処理と同様な処理を行い、建物検出条件を満たした場合に、増築の領域であると判定する(ステップS2103〜ステップS2106)。
【0281】
なお、ステップS2102において抽出した画素が、高さ増加の変化がありかつ旧時点の高さが地表面の標高値と一致する画素の場合、上記ステップS2103〜ステップS2106により、新築の領域であると判定してもよい。
【0282】
(減築の判定処理)
次に、図22のフローチャートを参照して、減築の判定処理について詳細に説明する。
【0283】
ここで、図22のステップS2201およびステップS2202は、図4のステップS403に対応し、図22のステップS2203〜ステップS2206は、図4のステップS404に対応する。
【0284】
まず、差分データ判定部53が、地表面の標高値を有する標高データを入力し、高さ差分データの各画素に対応する標高値を取得する(ステップS2201)。
【0285】
次いで、差分データ判定部53は、高さ差分データと標高値とから、高さ減少の変化がありかつ新時点の高さが地表面の標高値と一致しない画素を抽出する(ステップS2202)。
【0286】
以降は、上記新築の判定処理と同様な処理を行い、建物検出条件を満たした場合に、減築の領域であると判定する(ステップS2203〜ステップS2206)。
【0287】
なお、ステップS2202において抽出した画素が、高さ減少の変化がありかつ新時点の高さが地表面の標高値と一致する画素の場合、上記ステップS2203〜ステップS2206により、滅失の領域であると判定してもよい。
【0288】
(実施例4の効果)
以上説明した実施例4によれば、新築と増築、滅失と減築とをそれぞれ区別して建物の異動を詳細に判定することができる。
【0289】
その理由は、色の変化の情報及び地物の高さの変化の情報に加え、地表面の標高値を有する標高データを用いて、建物の異動を判定するからである。
【実施例5】
【0290】
実施例5は、色差分データと高さ差分データを組み合わせることで、定量的な異動の判定処理を行うものである。
(実施例5の異動の判定処理の内容)
図23および図24のフローチャートを参照して、図4のステップS403に適用される実施例5における画素の抽出処理、および、ステップS404に適用される実施例5における異動の判定処理について詳細に説明する。
【0291】
(高さ変化をベースとした定量的な異動の判定処理)
図23のフローチャートを参照して、高さ変化をベースとした定量的な異動の判定処理について詳細に説明する。
【0292】
ここで、図23のステップS2301は、図4のステップS403に対応し、図23のステップS2302〜ステップS2305は、図4のステップS404に対応する。
【0293】
まず、高さ差分データから、高さ差分データ中で高さ変化があると判定された画素を抽出する(ステップS2301)。
【0294】
次いで、実施例1における新築の判定処理と同様に、抽出された画素についてラベリング処理を行って同一ラベルを持つ画素を一つのラベル領域とし(ステップS2302)、各ラベル領域について建物検出条件を判定する(ステップS2303)。
【0295】
建物検出条件を全て満たす各ラベル領域について(ステップS2304)、建物の異動の判定を行い(ステップS2305)、ラベル領域内の画素のうち色変化があると判定されている画素の占める割合を算出し(ステップS2306)、算出された割合を各ラベル領域の異動の確度とし、異動の確度を判定結果に含めて出力する(ステップS2307)。
【0296】
(色変化をベースとした定量的な異動の判定処理)
次に、図24のフローチャートを参照して、色変化をベースとした定量的な異動の判定処理について詳細に説明する。
【0297】
ここで、図24のステップS2401は、図4のステップS403に対応し、図24のステップS2402〜ステップS2405は、図4のステップS404に対応する。
【0298】
まず、色差分データから、色差分データ中で色変化があると判定された画素を抽出する(ステップS2401)。
【0299】
次いで、実施例1における新築の判定処理と同様に、抽出された画素についてラベリング処理を行って同一ラベルを持つ画素を一つのラベル領域とし(ステップS2402)、各ラベル領域について建物検出条件を判定する(ステップS2403)。
【0300】
建物検出条件を全て満たす各ラベル領域について(ステップS2404)、建物の異動判定を行い(ステップS2405)、ラベル領域内の画素のうち高さ変化ありと判定されている画素の占める割合を算出し(ステップS2406)、算出された割合を各ラベル領域の異動の確度とし、異動の確度を判定結果に含めて出力する(ステップS2407)。
【0301】
(実施例5の効果)
以上説明した実施例5によれば、判定した異動がどの程度正確であるか(異動の確度)を把握することができる。
【0302】
その理由は、色差分データと高さ差分データを組み合わせ、色や高さが変化した画素の割合を算出し、算出したこの割合を、異動を評価する指標として用いることによって、定量的な異動の判定処理を行うからである。
【実施例6】
【0303】
実施例6は、建物の形状を利用して判定処理を行うものである。
【0304】
実施例6で利用される建物の形状には、地図データに含まれる建物の二次元的な形状データを用いてもよいし、オルソ画像データを用いて色により領域分割処理を行って抽出した建物の二次元的な形状を用いてもよいし、オルソDSM画像データを用いて高さにより領域分割処理を行って抽出した建物の二次元的な形状を用いてもよい。
【0305】
ここで、領域分割処理とは、画像データを、類似する特徴を持つ画素を一まとまりとして複数の小領域に分割する処理のことである。
【0306】
例えば色を用いた領域分割処理では、類似する色を持つ画素を一まとまりとして複数の領域に分割し、高さを用いた領域分割処理では、類似する高さを持つ画素を一まとまりとして複数の領域に分割する。
【0307】
領域分割処理を行うための手法は、従来から多くの手法が提案されており、様々なものが存在するが、本実施例における領域分割処理に使用される手法に制限はない。
【0308】
例えば、中谷広正、大崎賢治、阿部圭一:“複数の領域分割結果に基づく対象境界線検出”、電子情報通信学会論文誌(D−II)J76-D-II, 4, pp.914-916 (1993-04)に記載のK平均アルゴリズムや、M. Kass, A. Witkin, and D. Terzopoulos ; “SNAKES: Active Contour Models”, International Journal of Computer Vision, 1, pp.321-331, 1988.に記載のSNAKESを使用して領域分割処理を行ってもよい。
【0309】
(実施例6の判定処理の内容)
図25〜図27のフローチャートを参照して、図4のステップS402に適用される実施例6における差分データの抽出処理、図4のステップS403に適用される実施例6における画素の抽出処理、および、ステップS404に適用される実施例6における異動の判定処理について詳細に説明する。
【0310】
(建物の形状を利用した新築の判定処理)
図25のフローチャートを参照して、建物の形状を利用した新築の判定処理について、詳細に説明する。
【0311】
ここで、図25のステップS2502は、図4のステップS402に対応し、図25のステップS2503は、図4のステップS403に対応し、図25のステップS2504〜ステップS2508は、図4のステップS404に対応する。
【0312】
まず、新時点の各建物の領域を抽出する(ステップS2501)。
【0313】
ここで、建物の領域は、建物の形状データから得られる建物外形で囲まれる閉領域としてもよいし、領域分割により得られた領域としてもよい。
【0314】
次いで、建物の領域内の各画素について、高さ差分の計算をする(ステップS2502)。
【0315】
次いで、建物の領域内の各画素について、高さ増加の変化がある画素を抽出する(ステップS2503)。
【0316】
次いで、各建物の領域について、建物の領域に対する高さ増加の変化がある画素の割合を計算する(ステップS2504)。
【0317】
計算された割合が、あらかじめ設定された閾値以上であるかを判定し(ステップS2505)、閾値以上の場合には(ステップS2506)、その建物の領域が新築であると判定し(ステップS2507)、閾値未満である場合には(ステップS2506)、その建物の領域が新築でないと判定する(ステップS2508)。
【0318】
(建物の形状を利用した滅失の判定処理)
次に、図26のフローチャートを参照して、建物の形状を利用した滅失の判定処理について、詳細に説明する。
【0319】
ここで、図26のステップS2602は、図4のステップS402に対応し、図26のステップS2603は、図4のステップS403に対応し、図26のステップS2604〜ステップS2608は、図4のステップS404に対応する。
【0320】
まず、旧時点の各建物の領域を抽出する(ステップS2601)。
【0321】
ここで、建物の領域の抽出処理は、上記図25に示す新築の判定処理の場合と同様の方法を用いてもよい。
【0322】
次いで、建物の領域内の各画素について、高さ差分の計算をする(ステップS2602)。
【0323】
次いで、建物の領域内の各画素について、高さ減少の変化がある画素を抽出する(ステップS2603)。
【0324】
次いで、各建物の領域について、建物の領域に対する高さ減少の変化がある画素の割合を計算する(ステップS2604)。
【0325】
次いで、計算された割合が、あらかじめ設定された閾値以上であるかを判定し(ステップS2605)、閾値以上の場合には(ステップS2606)、その建物の領域が滅失であると判定し(ステップS2607)、閾値未満である場合には(ステップS2606)、その建物の領域が滅失でないと判定する(ステップS2608)。
【0326】
(建物の形状を利用した改築の判定処理)
次に、図27のフローチャートを参照して、建物の形状を利用した改築の判定処理について、詳細に説明する。
【0327】
ここで、図27のステップS2703は、図4のステップS402に対応し、図27のステップS2704は、図4のステップS403に対応し、図27のステップS2705〜ステップS2709は、図4のステップS404に対応する。
【0328】
まず、旧時点および新時点の各建物の領域を抽出する(ステップS2701〜ステップ2702)。
【0329】
ここで、建物の領域の抽出処理は、上記図25に示す新築の判定処理の場合と同様の方法を用いてもよい。
【0330】
次いで、建物の領域内の各画素について、色差分を計算する(ステップS2703)。
【0331】
次いで、建物の領域内の各画素について、色変化がある画素を抽出する(ステップS2704)。
【0332】
次いで、各建物の領域について、建物の領域に対する色変化がある画素の割合を計算する(ステップS2705)。
【0333】
次いで、計算された割合が、あらかじめ設定された閾値以上であるかを判定し(ステップS2706)、閾値以上で場合には(ステップS2707)、その建物の領域が改築であると判定し(ステップS2708)、閾値未満である場合には(ステップS2707)、その建物の領域が改築でないと判定する(ステップS2709)。
【0334】
(実施例6の効果)
以上説明した実施例6によれば、建物の形状の単位で異動を判定することができる。
【0335】
その理由は、地図データに示される建物の領域又は領域分割を行って抽出した類似する色や高さを持つ画素を一まとまりとした建物の形状を利用することにより、異動を判定するからである。
【0336】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、新旧両時点における航空写真の解像度を一致させて判定処理を行うものである。
【0337】
第2の実施の形態は、新旧両時点における航空写真の解像度が異なる場合に適用される点で、新旧両時点における航空写真の解像度が等しい場合に適用される上記第1の実施の形態と相違する。
【0338】
(第2の実施の形態の構成)
第2の実施の形態による変化判定装置100は、第1の実施の形態による変化判定装置100と比較して、基本構成は同じであるが、新時点画像データ入力部10および旧時点画像データ入力部20が、拡大・縮小処理を用いて新旧両時点における航空画像データの解像度を一致させる機能を有する点で相違する。
【0339】
具体的には、本実施の形態による新時点画像データ入力部10は、新時点の複数の航空画像データを入力する際、新時点の複数の航空画像データの解像度が所定の解像度になるように拡大・縮小処理を用いて画像変換を行う。
【0340】
同様に、本実施の形態による旧時点画像データ入力部20は、旧時点の複数の航空画像データを入力する際、旧時点の複数の航空画像データの解像度が所定の解像度になるように拡大・縮小処理を用いて画像変換を行う。
【0341】
なお、拡大・縮小処理は、解像度を一致させるための処理の一例であって、他の方法による処理でもよい。
【0342】
ここで、所定の解像度とは、別途設けられた、各航空画像データに共通する解像度のことであるが、別途設けられた、各航空画像データに共通の解像度ではなく、新時点の複数の航空画像データまたは旧時点の複数の航空画像データのいずれか一つの解像度であってもよい。
【0343】
また、第2の実施の形態の一例として新時点画像データ入力部10および旧時点画像データ入力部20で画像変換を行ったが、判定部50で画像変換を行ってもよい。
【0344】
図28は、本実施の形態による判定部50の構成を示すブロック図である。
【0345】
本実施の形態による判定部50は、第1の実施の形態による判定部50と比較して、基本構成は同じであるが、解像度調整部55を備える点で相違する。
【0346】
解像度調整部55は、新時点のオルソ画像データと旧時点のオルソ画像データと新時点のオルソDSMデータと旧時点のオルソDSMデータを入力し、各画像データおよびDSMデータの解像度が所定の解像度になるように拡大・縮小処理を用いて画像変換を行って解像度の調整を行い、解像度を調整された各オルソ画像データを色差分計算部51に出力し、画像変換された各オルソDSMデータを高さ差分計算部52に出力する。
【0347】
ここで、所定の解像度とは、別途設けられた、各データに共通の解像度のことであるが、または、各データに共通の解像度を別途設けるのではなく、新時点のオルソ画像データと旧時点のオルソ画像データと新時点のオルソDSMデータと旧時点のオルソDSMデータのいずれか一つの解像度であってもよい。
【0348】
(第2の実施の形態の動作)
本実施の形態の動作は、新時点画像データ入力部10および旧時点画像データ入力部20が拡大・縮小処理を用いて新旧両時点における航空写真の解像度を一致させる場合、図4に示す第1の実施の形態のステップS401の前において、拡大・縮小処理を用いて新旧両時点の航空写真の解像度を一致させる点で第1の実施の形態の動作と相違し、また、この画像変換された航空画像データを用いて処理を行い、以降の処理において、第1の実施の形態の動作と同様となる。
【0349】
また、本実施の形態の動作は、解像度調整部55を備える場合、図4に示す第1の実施の形態のステップS401とステップS402との間において、拡大・縮小処理を用いて新旧両時点のオルソ画像データおよびオルソDSMデータの解像度を一致させる点で第1の実施の形態の動作と相違し、また、この画像変換されたデータを用いて処理を行い、以降の処理において、第1の実施の形態の動作と同様となる。
【0350】
(第2の実施の形態の効果)
以上説明した第2の実施の形態によれば、新旧両時点における航空写真の解像度が異なる場合でも、第1の実施の形態と同様の方法で地物の異動を判定することができる。
【0351】
その理由は、新時点画像データ入力部10および旧時点画像データ入力部20において、または、解像度調整部55において、拡大・縮小処理を用いて、新旧両時点の航空画像データまたは新旧両時点の航空画像データをオルソ化処理したデータの解像度を一致させるからである。
【0352】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、新旧両時点における航空写真に共通の撮影範囲を求めて判定処理を行うものである。
【0353】
第3の実施の形態は、新旧両時点における航空写真の撮影範囲が完全には一致しない場合に適用される点で、新旧両時点における航空写真の撮影範囲が一致する場合に適用される上記第1の実施の形態と相違する。
【0354】
(第3の実施の形態の構成)
図29は、本実施の形態による判定部50の構成を示すブロック図である。
【0355】
第3の実施の形態による変化判定装置100の判定部50は、第1の実施の形態による変化判定装置100の判定部50と比較して、基本構成は同じであるが、撮影範囲調整部56を備える点で相違する。
【0356】
具体的には、撮影範囲調整部56は、新時点のオルソ画像データと旧時点のオルソ画像データと新時点のオルソDSMデータと旧時点のオルソDSMデータを入力し、入力された全データに共通している実際の座標(正しい位置)の範囲を計算し、この実際の座標(正しい位置)の範囲に対応する各データ上の座標の範囲を求め、座標の範囲が求められた各オルソ画像データを色差分計算部51に出力し、座標の範囲が求められた各オルソDSMデータを高さ差分計算部52に出力する。
【0357】
対地標定により、各オルソ画像データおよび各オルソDSMデータについて実際の座標(正しい位置)と画像上の座標との関係が求まっているので、各データに共通している実際の座標(正しい位置)の範囲を求めることができ、この実際の座標(正しい位置)の範囲に相当する各データ上の座標の範囲を求めることができる。
【0358】
また、第3の実施の形態の一例として新旧両時点における航空写真の撮影範囲の共通部分を抽出する方法を述べたが、複数のオルソ画像データおよびオルソDSMデータを入力して、所定の実際の座標(正しい位置)の範囲に対応するオルソ画像データをオルソDSMデータから抽出し、つなぎ合わせて、異動の判定処理に使用するオルソ画像データおよびオルソDSMデータを作成してもよい。
【0359】
この場合は、例えば、オルソ化処理を行うことによって、図34に示すように、D地域、E地域、F地域、G地域から部分的にデータを抽出し、抽出したデータをつなぎ合わせ、H地域のデータを得ることができる。
【0360】
なお、オルソ化処理が行われていない航空画像データを単純につなぎ合わせる場合では、中心投影による航空画像データの傾きにより、航空画像データのつなぎ目において不連続な画像となる。
【0361】
この場合は、例えば、建物の傾きがつなぎ目の左右で異なる画像が作成され、不自然な画像となるので、精度の高い異動の判定処理が行うことができない。
【0362】
一方、本実施の形態のように航空画像データをオルソ化処理を行うことによってつなぎ合わせる場合には、画像の傾きの問題が解消されているため、航空画像データのつなぎ目において連続な画像となることから、自然な画像の作成が可能となる。
【0363】
この場合、具体的には、撮影範囲調整部56は、複数の新時点のオルソ画像データと複数の旧時点のオルソ画像データと複数の新時点のオルソDSMデータと複数の旧時点のオルソDSMデータを入力し、入力した各データのうち、所定の実際の座標(正しい位置)の範囲内にあるデータを抽出し、抽出されたデータを複数つなぎ合わせることで、所定の実際の座標(正しい位置)の範囲に対応するデータを抽出し、抽出した各オルソ画像データを色差分計算部51に出力し、抽出した各オルソDSMデータを高さ差分計算部52に出力する。
【0364】
ここで、所定の実際の座標(正しい位置)の範囲とは、別途設けられた、各データに共通の実際の座標(正しい位置)の範囲のことであるが、別途設けられた、共通の実際の座標(正しい位置)の範囲ではなく、新時点のオルソ画像データと旧時点のオルソ画像データと新時点のオルソDSMデータと旧時点のオルソDSMデータのいずれか一つの実際の座標(正しい位置)の範囲に他方を合わせることによって求められる範囲でもよい。
【0365】
(第3の実施の形態の動作)
本実施の形態の動作は、撮影範囲調整部56が、入力した各データに共通している実際の座標(正しい位置)の範囲を求める場合、図4に示す第1の実施の形態のステップS401とステップS402との間において、新時点のオルソ画像データと旧時点のオルソ画像データと新時点のオルソDSMデータと旧時点のオルソDSMデータを入力し、入力した全データに共通している実際の座標(正しい位置)の範囲を求める点で第1の実施の形態の動作と相違し、また、この求められた範囲を用いて処理を行い、以降の処理において、第1の実施の形態の動作と同様となる。
【0366】
また、本実施の形態の動作は、撮影範囲調整部56が、入力した各データのうち、所定の実際の座標(正しい位置)の範囲内にあるデータを抽出し、抽出されたデータを複数つなぎ合わせる場合、図4に示す第1の実施の形態のステップS401とステップS402との間において、複数の新時点のオルソ画像データと複数の旧時点のオルソ画像データと複数の新時点のオルソDSMデータと複数の旧時点のオルソDSMデータを入力し、所定の実際の座標(正しい位置)の範囲内にあるオルソ画像データおよびオルソDSMデータを複数つなぎ合わせる点で第1の実施の形態の動作と相違し、また、このつなぎ合わされたデータを用いて処理を行い、以降の処理において、第1の実施の形態の動作と同様となる。
【0367】
(第3の実施の形態の効果)
以上説明した第3の実施の形態によれば、新時点と旧時点の航空写真の撮影範囲が一部しか一致しない場合でも、第1の実施の形態と同様の方法で地物の異動を判定することができる。
【0368】
その理由は、撮影範囲調整部56が、新時点のオルソ画像データと旧時点のオルソ画像データと新時点のオルソDSMデータと旧時点のオルソDSMデータを入力し、対地標定により、入力された全データに共通している実際の座標(正しい位置)の範囲を対地標定により求めるので、新時点と旧時点の航空写真の撮影範囲の共通部分のみを抽出できることから、当該共通部分において新時点と旧時点の地物の比較が可能となるからである。
【0369】
また、第3の実施の形態によれば、新時点と旧時点の複数の航空写真の撮影範囲が完全には一致しない場合でも、第1の実施の形態と同様の方法で地物の異動を判定することができる。
【0370】
その理由は、撮影範囲調整部56が、新旧両時点のそれぞれにおいて、複数のオルソ画像データおよび複数のオルソDSMデータから、あらかじめ設定された実際の座標(正しい位置)の範囲内のオルソ画像データおよびオルソDSMデータを対地標定により抽出してそれぞれつなぎ合わせるので、任意の実際の座標(正しい位置)の範囲のオルソ画像データおよびオルソDSMデータを用いた、新時点と旧時点の地物の比較が可能となるからである。
【0371】
(その他の実施の形態)
以上好ましい複数の実施の形態および実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも、上記実施の形態および実施例に限定されるものでなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0372】
すなわち、差分データ判定部53で判定する上記異動判定処理は、色差分データと高さ差分データを組み合わせて判定する異動の一例であり、上記組み合わせによる上記異動判定処理に限定するものではない。
【0373】
また、各種異動判定処理の一例を記述したが、差分データ判定部53は、これらの異動判定処理をどのような組み合わせで判定してもよい。例えば、新築と滅失のみ異動判定処理してもよいし、新築、滅失、増築、減築、不明など全ての判定に加えて雪や影の影響の除去して異動判定処理をしてもよい。
【0374】
さらに、本実施の形態では、新旧2時点の航空画像を用いて異動判定を行ったが、2時点に限定するものではなく、3つ以上の時点の航空画像を用いて異動判定を行ってもよい。
【0375】
また、画像の対象の1例として、地物について説明したが、所定領域を撮影した画像データに含まれる対象であれば、対象は地物に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0376】
【図1】本発明の第1の実施の形態による変化判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態による変化判定装置の判定部の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態による変化判定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態による変化判定装置における異動の判定処理の概略を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態による変化判定装置の処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態による判定部において、異動判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態による色差分計算部の処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態による高さ差分計算部の処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態による差分データ判定部において、画像の色を補正する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態による差分データ判定部において、DSMデータの高さを補正する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図11】実施例1の差分データ判定部において、新築を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図12】実施例1の差分データ判定部において、滅失を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図13】実施例1の差分データ判定部において、不明を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図14】実施例1の差分データ判定部において、改築を判定する判定処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図15】実施例2の差分データ判定部において、新築の可能性の高い新築を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図16】実施例2の差分データ判定部において、新築の可能性の低い新築を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図17】実施例2の差分データ判定部において、滅失の可能性の高い滅失を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図18】実施例2の差分データ判定部において、滅失の可能性の低い滅失を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図19】実施例3の差分データ判定部において、雪の領域を判定から除外する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図20】実施例3の差分データ判定部において、影の領域を判定から除外する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図21】実施例4の差分データ判定部において、増築を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図22】実施例4の差分データ判定部において、減築を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図23】実施例5の差分データ判定部において、高さ変化をベースとして定量的に判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図24】実施例5の差分データ判定部において、色変化をベースとして定量的に判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図25】実施例6の差分データ判定部において、建物の形状を用いて新築を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図26】実施例6の差分データ判定部において、建物の形状を用いて滅失を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図27】実施例6の差分データ判定部において、建物の形状を用いて改築を判定する処理経過の一例を示すフローチャートである。
【図28】第2の実施の形態による変化判定装置の判定部の構成の一例を示すブロック図である。
【図29】第3の実施の形態による変化判定装置の判定部の構成の一例を示すブロック図である。
【図30】中心投影画像示す模式図である。
【図31】正射画像を示す模式図である。
【図32】複数の航空画像の撮影範囲の関係を示す模式図である。
【図33】複数の航空画像の撮影範囲の関係を示す模式図である。
【図34】複数の航空画像の撮影範囲の関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0377】
10 新時点画像データ入力部
20 旧時点画像データ入力部
30 ステレオ処理部
40 オルソ化処理部
50 判定部
51 色差分計算部
52 高さ差分計算部
53 差分データ判定部
54 判定規則記憶部
55 解像度調整部
56 撮影範囲調整部
60 変化判定プログラム
100 変化判定装置
100a,100b: 画像
101A,101B: 航空写真
301: CPU
302: 主記憶部
303:通信制御部
304: 提示部
305: 入力部
306: インタフェース部
307: 補助記憶部
308: システムバス
400: インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域を撮影した画像データから前記所定領域に含まれる対象の変化を判定する変化判定装置であって、
第1の時点と当該第1の時点より後の第2の時点に複数の異なる地点から撮影された所定領域の複数の画像を入力としてステレオ処理を行うことで前記第1の時点と前記第2の時点における3次元データを抽出するステレオ処理手段と、
前記ステレオ処理手段で抽出された第1の時点と前記第2の時点のそれぞれの3次元データを用いて、前記第1の時点と前記第2の時点それぞれにおける撮影された画像及び前記3次元データを正射変換することで、前記第1の時点と前記第2の時点におけるオルソ画像およびオルソ3次元データを抽出するオルソ化手段と、
前記オルソ化手段で抽出された前記第1の時点と前記第2の時点のオルソ画像および前記オルソ3次元データから、前記対象の変化を判定する変化判定手段と
を有することを特徴とする変化判定装置。
【請求項2】
前記変化判定手段は、
前記第1の時点のオルソ画像と前記第2の時点のオルソ画像との色又は階調を比較して、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項1に記載の変化判定装置。
【請求項3】
前記変化判定手段は、
前記第1の時点のオルソ3次元データと前記第2の時点のオルソ3次元データとの高さを比較して、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項1に記載の変化判定装置。
【請求項4】
前記変化判定手段は、
前記第1の時点のオルソ3次元データと前記第2の時点のオルソ3次元データとの高さを比較し、かつ、地表面の標高と前記高さとを比較して、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項1に記載の変化判定装置。
【請求項5】
前記変化判定手段は、
前記第1の時点のオルソ画像と前記第2の時点のオルソ画像との色又は階調を比較して、色比較データを抽出し、
前記第1の時点のオルソ3次元データと前記第2の時点のオルソ3次元データとの高さを比較して、高さ比較データを抽出し、
前記色比較データと前記高さ比較データとを統合して、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項1または請求項4に記載の変化判定装置。
【請求項6】
前記変化判定手段が判定する前記変化が、
第1の時点で対象が存在せず、第2の時点で対象が存在する状態、
第1の時点で対象が存在し、第2の時点で対象が存在しない状態、
第1の時点と第2の時点の対象の増加と改修改築や屋根の塗替えや滅失後新築を含む状態である改築状態、
第1の時点で対象が存在し、第2の時点で第1の時点より高い対象が存在する状態、
第1の時点で対象が存在し、第2の時点で第1の時点より低い対象が存在する状態、
変化の可能性はあるが変化が判断できない状態、
第1の時点で対象が存在せず、第2の時点で対象が存在する状態である可能性の高い状態、
第1の時点で対象が存在し、第2の時点で対象が存在しない可能性の高い状態、
第1の時点で対象が存在せず、第2の時点で対象が存在する可能性が低い状態、
第1の時点で対象が存在し、第2の時点で対象が存在しない可能性の低い状態、
のいずれか一つまたはそれらの組み合わせであること
を特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の変化判定装置。
【請求項7】
前記変化判定手段は、
前記画像または前記オルソ画像の色相および輝度が一定領域にある画素を雪の存在する領域と判定し、変化を判定する領域から除外すること
を特徴とする請求項1または請求項2または請求項6に記載の変化判定装置。
【請求項8】
前記変化判定手段は、
前記画像または前記オルソ画像の色相および輝度が一定領域にある画素を影の存在する領域と判定し、変化を判定する領域から除外すること
を特徴とする請求項1または請求項2または請求項6または請求項7に記載の変化判定装置。
【請求項9】
前記変化判定手段は、
前記色比較データと前記高さ比較データを用いて、判定した変化を定量的に評価する指標を算出すること
を特徴とする請求項5から請求項8の何れか1項に記載の変化判定装置。
【請求項10】
前記変化判定手段は、
判定した変化を定量的に評価する前記指標として、前記色比較データと前記高さ比較データを用いて変化を判定した前記対象のうち前記変化がある領域の占める割合に基づき変化の確度を算出すること
を特徴とする請求項9に記載の変化判定装置。
【請求項11】
前記変化判定手段は、
地図データまたは前記オルソ画像または前記オルソ3次元データに基づいて、類似する特徴を持つ領域を一まとまりとして判定の対象とし、前記領域毎に変化を判定すること
を特徴とする請求項1から請求項10の何れか1項に記載の変化判定装置。
【請求項12】
前記変化判定手段は、
少なくとも、前記第1の時点のオルソ3次元データと前記第2の時点のオルソ3次元データとの解像度を一致させるか、または、前記第1の時点のオルソ画像と前記第2の時点のオルソ画像との解像度を一致させて、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項1から請求項11の何れか1項に記載の変化判定装置。
【請求項13】
前記第1の時点と前記第2の時点それぞれにおける撮影された画像について、前記第1の時点の画像と前記第2の時点の画像との解像度を一致させ、
前記ステレオ処理手段が、解像度が一致した前記第1の時点の画像と前記第2の時点の画像から前記3次元データを抽出し、
前記オルソ化手段が、解像度が一致した前記画像および前記ステレオ処理手段で抽出した前記3次元データから前記オルソ画像および前記オルソ3次元データを抽出し、
前記変化判定手段が、前記オルソ化手段で抽出された前記オルソ画像および前記オルソ3次元データから、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項1から請求項12の何れか1項に記載の変化判定装置。
【請求項14】
前記変化判定手段は、
少なくとも、前記第1の時点のオルソ3次元データと前記第2の時点のオルソ3次元データとにおける共通の撮影範囲を取得するか、または、前記第1の時点のオルソ画像と前記第2の時点のオルソ画像とにおける共通の撮影範囲を取得して、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項1から請求項13の何れか1項に記載の変化判定装置。
【請求項15】
前記変化判定手段は、
少なくとも、前記第1の時点の複数のオルソ3次元データにおける所定の範囲を繋ぎ合わせ、かつ、前記第2の時点の複数のオルソ3次元データにおける所定の範囲を繋ぎ合わせ、繋ぎ合わせた前記範囲同士を比較することによって前記対象の変化を判定するか、または、前記第1の時点のオルソ画像における所定の範囲を繋ぎ合わせ、かつ、前記第2の時点のオルソ画像における所定の範囲を繋ぎ合わせ、繋ぎ合わせた前記範囲同士を比較することによって前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項1から請求項14の何れか1項に記載の変化判定装置。
【請求項16】
前記対象が前記領域に含まれる地物であることを特徴とする請求項1から請求項15の何れか1項に記載の変化判定装置。
【請求項17】
前記変化判定手段が判定する前記変化が、
第1の時点で対象が存在せず、第2の時点で対象が存在する状態である新築状態、
第1の時点で地物が存在し、第2の時点で地物が存在しない状態である滅失状態、
第1の時点と第2の時点の地物の増改築や屋根の塗替えや滅失後新築を含む状態である改築状態、
第1の時点で地物が存在し、第2の時点で第1の時点より高い地物が存在する状態である増築状態、
第1の時点で地物が存在し、第2の時点で第1の時点より低い地物が存在する状態である減築状態、
異動の可能性はあるが他の対象の影響により地物の異動が判断できない状態である不明状態、
第1の時点で地物が存在せず、第2の時点で地物が存在する状態である可能性の高い新築状態、
第1の時点で地物が存在し、第2の時点で地物が存在しない状態である可能性の高い滅失状態、
第1の時点で地物が存在せず、第2の時点で地物が存在する状態である新築である可能性が低い新築状態、
第1の時点で地物が存在し、第2の時点で地物が存在しない状態である可能性の低い滅失状態、
のいずれか一つまたはそれらの組み合わせであること
を特徴とする請求項16に記載の変化判定装置。
【請求項18】
所定領域を撮影した画像データから前記所定領域に含まれる対象の変化を判定する変化判定方法であって、
第1の時点と当該第1の時点より後の第2の時点に複数の異なる地点から撮影された所定領域の複数の画像を入力としてステレオ処理を行うことで前記第1の時点と前記第2の時点における3次元データを抽出するステレオ処理ステップと、
前記ステレオ処理ステップで抽出された第1の時点と前記第2の時点のそれぞれの3次元データを用いて、前記第1の時点と前記第2の時点それぞれにおける撮影された画像及び前記3次元データを正射変換することで、前記第1の時点と前記第2の時点におけるオルソ画像およびオルソ3次元データを抽出するオルソ化ステップと、
前記オルソ化ステップで抽出された前記第1の時点と前記第2の時点のオルソ画像および前記オルソ3次元データから、前記対象の変化を判定する変化判定ステップと
を有することを特徴とする変化判定方法。
【請求項19】
前記変化判定ステップにおいて、
前記第1の時点のオルソ画像と前記第2の時点のオルソ画像との色又は階調を比較して、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項18に記載の変化判定方法。
【請求項20】
前記変化判定ステップにおいて、
前記第1の時点のオルソ3次元データと前記第2の時点のオルソ3次元データとの高さを比較して、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項18に記載の変化判定方法。
【請求項21】
前記変化判定ステップにおいて、
前記第1の時点のオルソ3次元データと前記第2の時点のオルソ3次元データとの高さを比較し、かつ、地表面の標高と前記高さとを比較して、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項18に記載の変化判定方法。
【請求項22】
前記変化判定ステップにおいて、
前記第1の時点のオルソ画像と前記第2の時点のオルソ画像との色又は階調を比較して、色比較データを抽出し、
前記第1の時点のオルソ3次元データと前記第2の時点のオルソ3次元データとの高さを比較して、高さ比較データを抽出し、
前記色比較データと前記高さ比較データとを統合して、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項18または請求項21に記載の変化判定方法。
【請求項23】
前記変化判定ステップにおいて判定する前記変化が、
第1の時点で対象が存在せず、第2の時点で対象が存在する状態、
第1の時点で対象が存在し、第2の時点で対象が存在しない状態、
第1の時点と第2の時点の対象の増加と改修改築や屋根の塗替えや滅失後新築を含む状態である改築状態、
第1の時点で対象が存在し、第2の時点で第1の時点より高い対象が存在する状態、
第1の時点で対象が存在し、第2の時点で第1の時点より低い対象が存在する状態、
変化の可能性はあるが変化が判断できない状態、
第1の時点で対象が存在せず、第2の時点で対象が存在する状態である可能性の高い状態、
第1の時点で対象が存在し、第2の時点で対象が存在しない可能性の高い状態、
第1の時点で対象が存在せず、第2の時点で対象が存在する可能性が低い状態、
第1の時点で対象が存在し、第2の時点で対象が存在しない可能性の低い状態、
のいずれか一つまたはそれらの組み合わせであること
を特徴とする請求項18から請求項22の何れか1項に記載の変化判定方法。
【請求項24】
前記変化判定ステップにおいて、
前記画像または前記オルソ画像の色相および輝度が一定領域にある画素を雪の存在する領域と判定し、変化を判定する領域から除外すること
を特徴とする請求項18または請求項19または請求項23に記載の変化判定方法。
【請求項25】
前記変化判定ステップにおいて、
前記画像または前記オルソ画像の色相および輝度が一定領域にある画素を影の存在する領域と判定し、変化を判定する領域から除外すること
を特徴とする請求項18または請求項19または請求項23または請求項20に記載の変化判定方法。
【請求項26】
前記変化判定ステップにおいて、
前記色比較データと前記高さ比較データを用いて、判定した変化を定量的に評価する指標を算出すること
を特徴とする請求項22から請求項25の何れか1項に記載の変化判定方法。
【請求項27】
前記変化判定ステップにおいて、
判定した変化を定量的に評価する前記指標として、前記色比較データと前記高さ比較データを用いて変化を判定した前記対象のうち前記変化がある領域の占める割合に基づき変化の確度を算出すること
を特徴とする請求項26に記載の変化判定方法。
【請求項28】
前記変化判定ステップにおいて、
地図データまたは前記オルソ画像または前記オルソ3次元データに基づいて、類似する特徴を持つ領域を一まとまりとして判定の対象とし、前記領域毎に変化を判定すること
を特徴とする請求項18から請求項27の何れか1項に記載の変化判定方法。
【請求項29】
前記変化判定ステップにおいて、
少なくとも、前記第1の時点のオルソ3次元データと前記第2の時点のオルソ3次元データとの解像度を一致させるか、または、前記第1の時点のオルソ画像と前記第2の時点のオルソ画像との解像度を一致させて、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項18から請求項28の何れか1項に記載の変化判定方法。
【請求項30】
前記第1の時点と前記第2の時点それぞれにおける撮影された画像について、前記第1の時点の画像と前記第2の時点の画像との解像度を一致させ、
前記ステレオ処理ステップにおいて、解像度が一致した前記第1の時点の画像と前記第2の時点の画像から前記3次元データを抽出し、
前記オルソ化ステップにおいて、解像度が一致した前記画像および前記ステレオ処理ステップにおいて抽出した前記3次元データから前記オルソ画像および前記オルソ3次元データを抽出し、
前記変化判定ステップにおいて、前記オルソ化ステップにおいて抽出された前記オルソ画像および前記オルソ3次元データから、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項18から請求項29の何れか1項に記載の変化判定方法。
【請求項31】
前記変化判定ステップにおいて、
少なくとも、前記第1の時点のオルソ3次元データと前記第2の時点のオルソ3次元データとにおける共通の撮影範囲を取得するか、または、前記第1の時点のオルソ画像と前記第2の時点のオルソ画像とにおける共通の撮影範囲を取得して、前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項18から請求項30の何れか1項に記載の変化判定装置。
【請求項32】
前記変化判定ステップにおいて、
少なくとも、前記第1の時点の複数のオルソ3次元データにおける所定の範囲を繋ぎ合わせ、かつ、前記第2の時点の複数のオルソ3次元データにおける所定の範囲を繋ぎ合わせ、繋ぎ合わせた前記範囲同士を比較することによって前記対象の変化を判定するか、または、前記第1の時点のオルソ画像における所定の範囲を繋ぎ合わせ、かつ、前記第2の時点のオルソ画像における所定の範囲を繋ぎ合わせ、繋ぎ合わせた前記範囲同士を比較することによって前記対象の変化を判定すること
を特徴とする請求項18から請求項31の何れか1項に記載の変化判定装置。
【請求項33】
前記対象が前記領域に含まれる地物であることを特徴とする請求項18から請求項32の何れか1項に記載の変化判定方法。
【請求項34】
前記変化判定手段が判定する前記変化が、
第1の時点で対象が存在せず、第2の時点で対象が存在する状態である新築状態、
第1の時点で地物が存在し、第2の時点で地物が存在しない状態である滅失状態、
第1の時点と第2の時点の地物の増改築や屋根の塗替えや滅失後新築を含む状態である改築状態、
第1の時点で地物が存在し、第2の時点で第1の時点より高い地物が存在する状態である増築状態、
第1の時点で地物が存在し、第2の時点で第1の時点より低い地物が存在する状態である減築状態、
異動の可能性はあるが他の対象の影響により地物の異動が判断できない状態である不明状態、
第1の時点で地物が存在せず、第2の時点で地物が存在する状態である可能性の高い新築状態、
第1の時点で地物が存在し、第2の時点で地物が存在しない状態である可能性の高い滅失状態、
第1の時点で地物が存在せず、第2の時点で地物が存在する状態である新築である可能性が低い新築状態、
第1の時点で地物が存在し、第2の時点で地物が存在しない状態である可能性の低い滅失状態、
のいずれか一つまたはそれらの組み合わせであること
を特徴とする請求項33に記載の変化判定方法。
【請求項35】
コンピュータ装置上で動作し、所定領域を撮影した画像データから前記所定領域に含まれる対象の変化を判定する変化判定プログラムであって、
前記コンピュータ装置に、
第1の時点と当該第1の時点より後の第2の時点に複数の異なる地点から撮影された所定領域の複数の画像を入力としてステレオ処理を行うことで前記第1の時点と前記第2の時点における3次元データを抽出する処理と、
前記ステレオ処理手段で抽出された第1の時点と前記第2の時点のそれぞれの3次元データを用いて、前記第1の時点と前記第2の時点それぞれにおける撮影された画像及び前記3次元データを正射変換することで、前記第1の時点と前記第2の時点におけるオルソ画像およびオルソ3次元データを抽出する処理と、
前記オルソ化手段で抽出された前記第1の時点と前記第2の時点のオルソ画像および前記オルソ3次元データから、前記対象の変化を判定する処理と
を実行させることを特徴とする変化判定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2007−34808(P2007−34808A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218921(P2005−218921)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(390001395)エヌイーシーシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】