説明

変換アダプタ、カメラシステム、撮像方法およびプログラム

【課題】レンズ交換可能なカメラシステムの本体部に、この本体部と制御方式が異なる交換レンズを装着した場合であっても、交換レンズに本体部が指示する全ての動作を適切に行わせることができる変換アダプタ、カメラシステム、撮像方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】撮像素子203の撮像面上での焦点状態を調整可能なウォブリングレンズ401bと、本体部2から送信されるレンズ部3およびウォブリングレンズ401bの動作を指示する動作命令を、レンズ部3で実行するレンズ命令とウォブリングレンズ401bで実行する光学系命令とに分割し、このレンズ命令をレンズ部3の制御方式に変換してレンズ部3に送信するとともに、光学系命令に応じた動作をウォブリングレンズ401bに実行させるアダプタ制御部408と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ交換式カメラシステムに関し、カメラ本体部に他のレンズ交換式カメラシステムの交換レンズ群を装着するための変換アダプタ、カメラシステム、撮像方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像機器の進歩は著しく、特に撮像装置の分野では画像を撮影する銀塩フィルムが撮像素子に置き換わってデジタル化されたことにより、新たなマウント規格の交換レンズ式のカメラシステムが提案され、商品化もされるようになってきている。
【0003】
ところで、新たなマウント規格の交換レンズ式のカメラシステムを使用する場合、新たなマウント用の交換レンズを購入しなければならず、従来のマウント規格の交換レンズが無駄になってしまうため、ユーザに不満を抱かせてしまう恐れがある。
【0004】
そこで、新たなマウントのカメラ本体部に、従来のマウント規格の交換レンズを装着するための交換アダプタが提案されている。この交換アダプタを介して交換レンズをカメラ本体部に装着可能であるものの、カメラシステム間での制御方式の差異等により、自動焦点動作(AF)、自動露出動作(AE)および画像処理等の機能に制約が生じてしまう問題がある。
【0005】
このような問題を解決する方法として、制御方式が異なるシステムの交換レンズをカメラ本体部に装着するため、カメラ本体部から送信される制御信号を、交換レンズが動作可能な形式の制御信号に変換して送信する変換アダプタが知られている(たとえば特許文献1を参照)。
【0006】
また、カメラ本体部から送信される制御信号に応じて動作する絞り機構を内蔵した変換アダプタが知られている(たとえば特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−215310号公報
【特許文献2】特開昭59−176732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した技術では、カメラ本体部から送信される制御信号を、交換レンズが動作可能な方式の制御信号に変換するのみであり、制御方式の差異によってAF動作等に制約が生じていた。このため、異なるカメラシステムの交換レンズがカメラ本体部に装着された場合、レンズ制御方式の差異によりカメラ本体部が指示する動作を適切に行うことができなかった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、レンズ交換可能なカメラシステムの本体部に、この本体部と制御方式が異なる交換レンズを装着した場合であっても、交換レンズに本体部が指示する全ての動作を適切に行わせることができる変換アダプタ、カメラシステム、撮像方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる変換アダプタは、光電変換を行うことによって画像データを生成する撮像素子を有するレンズ交換式カメラシステムの本体部に対して、固有の制御方式に従って動作するレンズ部を装着するための変換アダプタであって、前記撮像素子の撮像面上での焦点状態を調整可能な光学系と、前記本体部から送信される前記レンズ部および前記光学系の動作を指示する動作命令を、前記レンズ部で実行するレンズ命令と前記光学系で実行する光学系命令とに分割し、該レンズ命令を前記レンズ部の制御方式に変換して前記レンズ部に送信するとともに、前記光学系命令に応じた動作を前記光学系に実行させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる変換アダプタは、上記発明において、前記制御部は、前記本体部に装着される前記レンズ部から受信したレンズデータを前記本体部の制御方式に変換し、前記光学系の光学データと組み合わせることによってレンズ状態データを作成し、該レンズ状態データを前記本体部に送信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる変換アダプタが実行する光学系命令は、上記発明において、前記レンズ部の焦点を調節するフォーカスレンズの反転動作命令であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる変換アダプタが実行する光学系命令は、上記発明において、前記レンズ部の焦点を調節するフォーカスレンズの微小往復動作命令であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる変換アダプタは、上記発明において、前記制御部は、撮影動作中に所定の周波数で前記本体部と同期通信を行うとともに、前記レンズ部と非同期で通信を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるカメラシステムは、光電変換を行うことによって画像データを生成する撮像素子を有する本体部と、固有の制御方式に従って動作するレンズ部と、前記本体部に前記レンズ部を装着される変換アダプタと、を備えたカメラシステムであって、前記変換アダプタは、前記撮像素子の撮像面上での焦点状態を調整可能な光学系と、前記本体部から送信される前記レンズ部および前記光学系の動作を指示する動作命令を、前記レンズ部で実行するレンズ命令と前記光学系で実行する光学系命令とに分割し、該レンズ命令を前記レンズ部の制御方式に変換して前記レンズ部に送信するとともに、前記光学系命令に応じた動作を前記光学系に実行させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる撮像方法は、光電変換を行うことによって画像データを生成する撮像素子を有する本体部と、固有の制御方式に従って動作するレンズ部と、前記撮像素子の撮像面上での焦点状態を調節可能な光学系を有し、前記本体部に前記レンズ部を装着させる変換アダプタと、を備えたカメラシステムに実行させる撮像方法あって、前記本体部から送信される前記レンズ部および前記光学系の動作を指示する動作命令を、前記レンズ部で実行するレンズ命令と前記光学系で実行する光学系命令とに分割し、該レンズ命令を前記レンズ部の制御方式に変換して前記レンズ部に送信するとともに、前記光学系命令に応じた動作を前記光学系に実行させる制御ステップ、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかるプログラムは、光電変換を行うことによって画像データを生成する撮像素子を有するレンズ交換式カメラシステムの本体部に対して、固有の制御方式に従って動作するレンズ部と、前記撮像素子の撮像面上での焦点状態を調節可能な光学系を有し、前記本体部に前記レンズ部を装着させる変換アダプタと、を備えたカメラシステムに実行させるプログラムあって、前記本体部から送信される前記レンズ部および前記光学系の動作を指示する動作命令を、前記レンズ部で実行するレンズ命令と前記光学系で実行する光学系命令とに分割し、該レンズ命令を前記レンズ部の制御方式に変換して前記レンズ部に送信するとともに、前記光学系命令に応じた動作を前記光学系に実行させる制御ステップ、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、変換アダプタの制御部が、本体部から送信されるレンズ部および光学系の動作を指示する動作命令を、を、レンズ部で実行するレンズ命令と変換アダプタ内の光学系で実行する光学系命令とに分割し、レンズ命令をレンズ部の制御方式に変換してレンズ部に送信して動作を実行させるとともに、光学系命令に応じた動作を変換アダプタの光学系に実行させる。これにより、レンズ交換可能なカメラシステムの本体部に、この本体部と制御方式が異なる交換レンズを装着した場合であっても、交換レンズに本体部が指示する全ての動作を適切に行わせることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる変換アダプタが装着されるカメラシステムの模式的な構成図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1にかかる変換アダプタが装着されるカメラシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、変換アダプタの要部の構成を示す断面図である。
【図4】図4は、図3の矢視A方向の変換アダプタの正面図である。
【図5】図5は、図3のB−B線断面図である。
【図6】図6は、図5の矢視C方向のウォブリング駆動部の正面図である。
【図7】図7は、図5のD−D線断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1にかかるカメラシステムが行う処理の概要を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1にかかるカメラシステムにおける各CPU間での通信と処理とのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】図10は、図8の静止画AF処理の概要を示すフローチャートである。
【図11】図11は、カメラシステムの静止画AF動画時の各CPU間での通信と処理とのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図12】図12は、カメラシステムが行う静止画AF動作の一例を説明するための模式図である。
【図13】図13は、BCPUによる合焦位置の算出方法を説明する模式図である。
【図14】図14は、BCPUによる合焦位置の算出方法を説明する模式図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態2にかかるカメラシステムが行う処理の概要を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の実施の形態2にかかるカメラシステムにおける各CPU間での通信と処理とのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図17】図17は、図15の動画AF処理の概要を示すフローチャートである。
【図18】図18は、カメラシステムの動画AF動作時の各CPU間での通信と処理とのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図19】図19は、動画撮影時のウォブリング駆動の一例を説明するタイミングチャートである。
【図20】図20は、BCPUが動画撮影時において被写体の動作状況を判断する判断方法の一例を説明するためのウォブリングの中心位置とAF評価値との関係を示す模式図である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態3にかかる変換アダプタが装着されるカメラシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付して説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる変換アダプタが装着されるカメラシステムの模式的な構成図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる変換アダプタが装着されるカメラシステムの構成を示すブロック図である。図1および図2に示すカメラシステム1は、本体部2と、本体部2に装着する装着部の形状および制御方式が異なる着脱自在なレンズ部3と、本体部2およびレンズ部3それぞれに着脱自在な変換アダプタ4と、を備える。なお、図1および図2においては、被写体側を前方側とし、撮影者(背面)側を後方側として説明する。また、以下においては、レンズ部3を、本体部2の制御方式および規格が異なるレンズ交換式カメラシステムにおける交換レンズ群の一例として説明する。
【0022】
図1に示すように、変換アダプタ4は、変換アダプタ4の後方側に設けられた後方側レンズマウントリング41を、本体部2の前方側に設けられた本体側マウントリング21に結合することにより、本体部2に装着される。レンズ部3は、レンズ部3の後方側に設けられた後方側レンズマウントリング31を、変換アダプタ4の前方側に設けられた前方側レンズマウントリング42に結合することにより、変換アダプタ4に装着される。これにより、本体部2、レンズ部3および変換アダプタ4は、一体的に接続される。なお、上述したマウントリングは、たとえばバヨネットタイプであればよい。
【0023】
本体部2は、シャッタ201と、シャッタ駆動部202と、撮像素子203と、撮像素子駆動部204と、信号処理部205と、A/D変換部206と、ストロボ207、ストロボ駆動部208と、画像処理部209と、入力部210と、表示部211と、表示駆動部212と、FROM213と、SDRAM214と、記録媒体215と、電源部216と、本体通信部217と、制御部218と、を有する。
【0024】
シャッタ201は、開閉動作を行うことにより、撮像素子203の状態を露光状態または遮光状態に設定する露光動作を行う。シャッタ駆動部202は、ステッピングモータ等を用いて構成され、制御部218から入力される指示信号に応じてシャッタ201を駆動する。
【0025】
撮像素子203は、変換アダプタ4を介してレンズ部3が集光した光を受光して光電変換するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いて構成される。撮像素子駆動部204は、所定の撮像タイミングで撮像素子203から画像データ(アナログ信号)を信号処理部205に出力させる。
【0026】
信号処理部205は、撮像素子203から入力される画像データに対して、アナログ処理を施してA/D変換部206に出力する。具体的には、信号処理部205は、画像データに対して、ノイズ低減処理およびゲインアップ処理等を行う。
【0027】
A/D変換部206は、信号処理部205から入力される画像データに対してA/D変換を行うことによってデジタルの画像データ(RAWデータ)を生成し、制御部218に出力する。
【0028】
ストロボ207は、キセノンランプまたはLED等によって構成される。ストロボ207は、シャッタ201の露光動作と同期して所定の視野領域に向けて発光する。ストロボ駆動部208は、制御部218の制御のもと、ストロボ207を発光させる。
【0029】
画像処理部209は、画像データに対して各種の画像処理を施す。具体的には、画像処理部209は、画像データに対して、オプティカルブラック減算処理、ホワイトバランス調整処理、画像データの同時化処理、カラーマトリクス演算処理、γ補正処理、色再現処理およびエッジ強調処理等を含む画像処理を行う。画像処理部209は、焦点検出領域内の画像データから高周波成分(コントラスト)をハイパスフィルタ処理により抽出してAF評価値を算出する算出処理を行う。なお、画像処理部209は、画像データを所定の方式、たとえばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式、MotionJPEG方式およびMP4(H.264)方式等に従って圧縮し、圧縮した画像データを記録媒体215に記録させてもよい。
【0030】
入力部210は、カメラシステム1の電源状態をオン状態またはオフ状態に切換える電源スイッチ(図示せず)と、静止画撮影の指示を与える静止画レリーズ信号の入力を受け付けるレリーズスイッチ210aと、カメラシステム1に設定された各種撮影モードを切換える撮影モード切換スイッチ(図示せず)と、動画撮影の指示を与える動画レリーズ信号の入力を受け付ける動画スイッチ210bと、を有する。レリーズスイッチ210aは、外部からの押圧により進退可能であり、半押しされた場合に撮影準備動作を指示するファーストレリーズ信号の入力を受け付ける一方、全押しされた場合に静止画撮影を指示するセカンドレリーズ信号の入力を受け付ける。
【0031】
表示部211は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等からなる表示パネルを用いて構成される。表示駆動部212は、撮影した画像データや各種撮影情報を表示部211に表示させる。
【0032】
FROM213は、不揮発性メモリを用いて構成される。FROM213は、カメラシステム1を動作させるための各種プログラム、プログラムの実行中に使用される各種データおよび画像処理部209による画像処理の動作に必要な各種パラメータ等を記憶する。
【0033】
SDRAM214は、揮発性メモリを用いて構成される。SDRAM214は、制御部218の処理中の情報を一時的に記憶する。
【0034】
記録媒体215は、本体部2の外部から装着されるメモリカード等を用いて構成される。記録媒体215は、メモリI/F(図示せず)を介して本体部2に着脱自在に装着される。記録媒体215は、画像データが記録される一方、記録した画像データが読み出される。
【0035】
電源部216は、本体部2、レンズ部3および変換アダプタ4を構成する各部に電源を供給する。電源部216は、本体部2に装着されたバッテリの電圧の平滑化および昇圧等を行って各構成部に電源を供給する。
【0036】
本体通信部217は、本体部2に装着されるレンズ部3および変換アダプタ4との通信を行うための通信インターフェースである。
【0037】
制御部218は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成される。制御部(以下、「BCPU」という)218は、入力部210からの指示信号に応じて、カメラシステム1を構成する各部に対応する指示やデータの転送等と行ってカメラシステム1の動作を統括的に制御する。
【0038】
以上の構成を有する本体部2に対して、音声入出部、着脱自在な電子ビューファンダ(EVF)、およびインターネットを介してパーソナルコンピュータ等の外部処理装置(図示せず)と双方向に通信可能な通信部等を具備させてもよい。
【0039】
レンズ部3は、光学系301と、レンズ駆動部302と、絞り303と、絞り駆動部304と、フォーカスリング305と、ズームリング306と、レンズ位置検出部307と、ズーム位置検出部308と、レンズFROM309と、レンズSDRAM310と、レンズ通信部311と、レンズ制御部312と、を有する。
【0040】
光学系301は、撮像素子102上の撮像面に像を形成する2群構成のズームレンズで構成される。具体的には、光学系301は、前方側から後方側の順に、第1群レンズである前群レンズ301aと、フォーカスレンズ301bを含む第2群レンズである後群レンズ301cとを用いて構成される。前群レンズ301aは、負屈折力を有する。後群レンズ301cは、正屈折力を有する。
【0041】
前群レンズ301aは、たとえば2枚のレンズを用いて構成され、負屈折力を有する。後群レンズ301cは、たとえば4枚のレンズを用いて構成され、正屈折力を有する。この4枚のレンズは、フォーカシング時(AF時)に光軸O方向に沿って駆動される前方側副レンズと、3枚の後方側副レンズとで構成される。前方側副レンズは、正屈折力の単レンズである。前群レンズ301aおよび後群レンズ301cは、ズーミング時に光軸O方向に沿って駆動される。フォーカスレンズ301bは、レンズ枠301dによって支持される。
【0042】
レンズ駆動部302は、ステッピングモータやモータドライバ等を用いて構成される。レンズ駆動部302は、フォーカシング時にレンズ枠301dを光軸O方向に沿って駆動することにより、フォーカスレンズ301bを光軸O方向のフォーカシング位置に向けて駆動させる。
【0043】
絞り303は、光学系301が集光する光の入射量を制限することにより露出の調整を行う。絞り駆動部304は、ステッピングモータやモータドライバ等を用いて構成され、絞り303を駆動する。
【0044】
フォーカスリング305は、レンズ部3のレンズ鏡筒の周囲に設けられる回転可能なリングを用いて構成される。フォーカスリング305は、カメラシステム1がマニュアルフォーカスモード(以下、「MFモード」という)に設定されている状態で、撮影者によって操作された場合、フォーカスレンズ301bの位置を光軸O方向に沿って移動させてレンズ部3の焦点状態を調節する。
【0045】
ズームリング306は、レンズ部3のレンズ鏡筒の周囲に設けられる回転可能なリングを用いて構成される。ズームリング306は、撮影者によって操作された場合、後群レンズ301cの位置を光軸O方向に沿って移動させてレンズ部3の焦点距離を変更する。
【0046】
レンズ位置検出部307は、フォトインタラプタを用いて構成される。レンズ位置検出部307は、レンズ駆動部302によって駆動されたフォーカスレンズ301bの位置を検出する。
【0047】
ズーム位置検出部308は、リニアエンコーダやA/D変換回路等を用いて構成される。ズーム位置検出部308は、リニアエンコーダ値のA/D変換結果に基づいて、ズームリング306によって駆動される後群レンズ301cのズーム位置を検出する。
【0048】
レンズFROM309は、不揮発性メモリを用いて構成される。レンズFROM309は、光学系301の位置および動きを決定するための制御用プログラム、光学系301のレンズ特性および各種パラメータを含むレンズデータを記憶している。
【0049】
レンズRAM310は、揮発メモリを用いて構成される。レンズRAM310は、レンズ制御部312の処理中の情報を一時的に記憶している。
【0050】
レンズ通信部311は、レンズ部3が変換アダプタ4を介して本体部2に装着されたときに、本体部2の本体通信部217と通信を行うための通信インターフェースである。
【0051】
レンズ制御部312は、CPU等を用いて構成される。レンズ制御部(以下、「LCPU」という)312は、レンズ部3の動作を制御する。具体的には、LCPU312は、レンズ駆動部302を駆動させてレンズ部3のフォーカシングやズーミングを行うとともに、絞り駆動部304を駆動させて絞り値の変更を行う。LCPU312は、レンズ部3が変換アダプタ4を介して本体部2に装着されることで電気的にBCPU218に接続され、BCPU218からの指示信号に従って制御される。
【0052】
変換アダプタ4は、アダプタ光学系401と、ウォブリング駆動部402と、レンズ位置検出部403と、アダプタFROM404と、アダプタRAM405と、第1アダプタ通信部406と、第2アダプタ通信部407と、アダプタ制御部408と、を有する。
【0053】
アダプタ光学系401は、前方側レンズ群401aと、ウォブリングレンズ401bと、後方側レンズ群401cとを用いて構成される。なお、アダプタ光学系401の詳細な構成については後述する。
【0054】
ウォブリング駆動部402は、ステッピングモータやモータドライバ等を用いて構成される。ウォブリング駆動部402は、ウォブリングレンズ401bを光軸O方向に沿って微小往復駆動(以下、「ウォブリング駆動」という)または反復駆動する。
【0055】
ここで、ウォブリング駆動とは、カメラシステム1が静止画撮影または動画撮影を行う場合において、レンズ部3のフォーカスレンズ301bがフォーカシングを行っているとき、ウォブリングレンズ401bを、カメラシステム1の合焦位置を中心に微小往復駆動するものである。
【0056】
また、反復駆動とは、カメラシステム1が静止画撮影を行う場合において、レンズ部3のフォーカスレンズ301bがフォーカシングを行っているとき、フォーカスレンズ301bの移動する方向と反対方向の合焦位置に向けてウォブリングレンズ401bを駆動することである。
【0057】
このように、ウォブリング駆動部402は、ウォブリングレンズ401bに対して、ウォブリング駆動および反復駆動することで、合焦位置の変化に対する追従動作や素早いフォーカシング動作を可能にする。
【0058】
レンズ位置検出部403は、フォトインタラプタを用いて構成される。レンズ位置検出部403は、ウォブリング駆動部402によって駆動されるウォブリングレンズ401bの位置を検出する。
【0059】
アダプタFROM404は、不揮発性メモリを用いて構成される。アダプタFROM404は、アダプタ光学系401の位置および動きを決定するための制御用プログラム、アダプタ光学系401のレンズ特性および各種パラメータを記憶する。
【0060】
アダプタRAM405は、揮発メモリを用いて構成される。アダプタRAM405は、アダプタ制御部408の処理中の情報を一時的に記憶する。
【0061】
第1アダプタ通信部406は、レンズ部3が変換アダプタ4に装着されたとき、レンズ部3のレンズ通信部311と通信を行うための通信インターフェースである。
【0062】
第2アダプタ通信部407は、変換アダプタ4が本体部2に装着されたとき、本体部2の本体通信部217と通信を行うための通信インターフェースである。
【0063】
アダプタ制御部408は、CPU等を用いて構成される。アダプタ制御部(以下、「ACPU」という)408は、変換アダプタ4の動作を制御する。ACPU408は、BCPU218から送信されるレンズ部3および変換アダプタ4の動作を指示する動作命令を、レンズ部3で実行するレンズ命令とアダプタ光学系401で実行する光学系命令とに分割する。ACPU408は、分割したレンズ命令をレンズ部3の固有の制御方式に変換してレンズ部3に送信する。ACPU408は、分割した光学系命令に応じた動作をアダプタ光学系401に実行させる。この光学系命令に応じた動作は、ウォブリング動作(ウォブリング駆動)と反復動作(反復駆動)である。ACPU408は、本体部2に装着されるレンズ部3から受信したレンズデータを本体部2の制御方式に変換し、アダプタ光学系401の光学データと組み合わせることによってレンズ状態データを作成し、作成したレンズ状態データを本体部2に送信する。
【0064】
ここで、変換アダプタ4の構造について説明する。図3は、変換アダプタ4の要部の構成を示す断面図である。図4は、図3の矢視A方向の変換アダプタ4の正面図である。図5は、図3のB−B線断面図である。図6は、図5の矢視C方向のウォブリング駆動部の正面図である。図7は、図5のD−D線断面図である。なお、図3においては、左側が前方側であり、右側が後方側である。
【0065】
図3〜図7に示すように、変換アダプタ4は、前方側レンズマウントリング41と、後方側レンズマウントリング42と、前方側レンズ群401aを保持する前方側固定枠43と、ウォブリングレンズ401bを保持する可動枠44と、後方側レンズ群401cを保持する後方側固定枠45と、可動枠44を進退可能に支持するガイド軸46と、ウォブリング駆動部402をカバーするカバー部47と、可動枠44を光軸O方向に沿って駆動するウォブリング駆動部402と、ウォブリング駆動時に可動枠44の位置を検出することによりウォブリングレンズ401bの位置を検出するレンズ位置検出部403と、を備える。
【0066】
前方側固定枠43は、断面が略C字状に形成され、中心部に前方側レンズ群401aを保持する開口領域を有する。後方側固定枠45は、断面が略C字状に形成され、中心部に後方側レンズ群401cを保持する開口領域を有する。前方側固定枠43の外周側側面および後方側固定枠45の内周側側面には、嵌合部43a,45aがそれぞれ形成される。前方側固定枠43および後方側固定枠45は、嵌合部43aおよび嵌合部45aが嵌合することによって固着している。前方側固定枠43と後方側固定枠45とに囲まれた空間K1には、アダプタ光学系401、可動枠44およびウォブリング駆動部402が組み込まれている。前方側固定枠43および後方側固定枠45は、前方側固定枠43と後方側固定枠45は、可動枠44を支持するガイド軸46を貫通した状態で支持する(図7を参照)。
【0067】
前方側レンズ群401aは、前方側から順に、両凸正レンズの第1レンズLと、両凹負レンズの第2レンズLとを接合した接合レンズであり、負屈折力を有する。ウォブリングレンズ401bは、両凸正レンズからなる。後方側レンズ群401cは、前方側から順に、後方側に凸面を向けた正メニスカスレンズLと、両凹負レンズLとを接合した接合レンズからなり、負屈折力を有する。
【0068】
可動枠44は、前方側固定枠43と後方側固定枠45との嵌合によって形成される空間K1内に収容される。可動枠44は、ガイド軸46により光軸O方向に沿って進退可能に支持されている。可動枠44と前方側固定枠43との間には、弾性部材44aが設けられる(図7を参照)。また、可動枠44と後方側固定枠45との間には、弾性部材44bが設けられる(図7を参照)。弾性部材44aおよび弾性部材44bは、シリコンゴム等を用いて構成される。弾性部材44aおよび弾性部材44bは、可動枠44を互いに押圧している。可動枠44は、空間K1の中で光軸O方向に沿って揺動可能に保持される。
【0069】
ウォブリング駆動部402は、ボイスコイルモータ等を用いて構成される。具体的には、ウォブリング駆動部402は、光軸Oに直交するラジアル方向に対向して設けられる一対の永久磁石402a、ヨーク402bおよび駆動コイル402cを有する(図6を参照)。
【0070】
永久磁石402aは、前方側固定枠43の内周部に沿って湾曲する形状を有する(図5を参照)。一対の永久磁石402aは、光軸O方向に異極同士が対向するように配置される。永久磁石402aの光軸O方向の長さは、少なくとも可動枠44の幅にウォブリング駆動による移動量分を加えた長さを有する。
【0071】
ヨーク402bは、永久磁石402aの外周部に設けられる(図6を参照)。ヨーク402bの外周側には、ウォブリング駆動部402に塵や埃が付着するのを防止するカバー部47が設けられる。
【0072】
駆動コイル402cは、可動枠44の外周部に沿って湾曲した状態で光軸Oに対するラジアル方向の軸心まわりに巻回された一対の扁平な小判状をなすコイルを用いて構成される。駆動コイル402cの一方には、少なくとも内周部に可動枠44のガタ取り用の磁性体402eと、電源オン時の初期位置検出用のホール素子402dとが設けられている。ウォブリングレンズ401bと永久磁石402aとが対向する方向に沿って見たときに光軸Oと垂直な方向の駆動コイル402cの幅は、永久磁石402aの幅より長く形成される。駆動コイル402c外側の断面を弧とするときの円周角θは、永久磁石402a外側の断面を弧とするときの円周角φより大きく形成される。
【0073】
レンズ位置検出部403は、反射部材403aと、フォトリフレクタ403bとを有する。反射部材403aおよびフォトリフレクタ403bは、可動枠44の外周側および前方側固定枠43の内周側に対向した状態でそれぞれ設けられる。フォトリフレクタ403bからの光は、反射部材403aで反射され、再度、フォトリフレクタ403bに入射する。これにより、レンズ位置検出部403は、可動枠44の位置を検出することにより、ウォブリングレンズ401bの位置を検出する。
【0074】
つぎに、本実施の形態1にかかるカメラシステム1が行う動作について説明する。図8は、カメラシステム1が行う処理の概要を示すフローチャートである。図9は、本実施の形態1にかかるカメラシステム1における各CPUでの通信と処理とのタイミングを示すタイミングチャートである。なお、図9においては、各CPU間が双方向で通信を行う状態を太い矢印で記載し、送信のみを行う状態を細い矢印で記載する。
【0075】
図8に示すように、まず、本体部2の電源がオンされ、本体部2に変換アダプタ4が本体部2に装着されると、BCPU218は、ACPU408とレンズ装着状態通信(BA101)を行い、レンズ部3が装着されているか否かを判断する(ステップS101)。
【0076】
具体的には、BCPU218は、ACPU408にレンズ部3の装着状態データ要求命令を送信し、ACPU408から送信された装着状態データに基づいて、レンズ部3の装着状態を確認する(B101)。ACPU408は、BCPU218からの要求に応じて、レンズ部3の装着状態を確認し、この確認結果を装着状態データとしてBCPU218に送信する(A101)。
【0077】
ステップS101において、レンズ部3が装着されていないとBCPU218が判断した場合(ステップS101:No)、BCPU218は、レンズ部3が装着されるまで定期的に装着検出を行う等の待機動作を行う。なお、BCPU218は、待機中に撮影者により撮影パラメータの変更操作や過去に撮影した画像データを再生する再生操作等が行われた場合、各操作に応じた動作を実行する。
【0078】
ステップS101において、レンズ部3が装着されているとBCPU218が判断した場合(ステップS101:Yes)、BCPU218は、本体通信部217および第2アダプタ通信部407を介してACPU408とレンズデータ取得通信(BA102)を行う(ステップS102)。
【0079】
具体的には、ステップS102において、BCPU218は、ACPU408に仮想レンズデータ要求命令を送信し、ACPU321から送信された仮想レンズデータを取得する(B102)。仮想レンズデータは、フォーカスレンズ301bの最高動作速度情報および対応可能なウォブリング駆動情報等の動作パラメータと、分光透過率情報、歪補正情報および色収差情報等の光学データとである。なお、本実施の形態1では、仮想レンズデータがレンズ状態データの一部である。
【0080】
ステップS102において、ACPU408は、BCPU218からの要求に応じて、まず、LCPU312とレンズデータ取得通信を行う(AL101)。LCPU312は、ACPU408からの要求に応じて、レンズ部3のレンズデータをACPU408に送信する(L101)。ACPU408は、LCPU312にレンズデータ要求命令を送信し、LCPU312から送信されたレンズ部3のレンズデータを取得し、取得したレンズデータの分解能の変換および変換アダプタ4のレンズデータと組み合わせ、本体部2から見てレンズ部3と変換アダプタ4とが仮想の単体交換レンズとして扱えるように本体部2に対応した形式の仮想レンズデータを生成してBCPU218に送信する(A102)。
【0081】
たとえば、ACPU408は、フォーカスレンズ301bの最高動作速度情報の駆動パルス分解能を、変換アダプタ4の駆動パルス分解能に変換したデータをBCPU218に送信する。また、ACPU408は、フォーカスレンズ301bの駆動速度情報とウォブリング周期とに基づいて、ウォブリング駆動の1周期中に移動可能な駆動パルス数を求めて分解能に変換したデータをBCPU218に送信する。さらに、ACPU408は、ウォブリング駆動の最大振幅を変換アダプタ4の動作が可能な振幅を加味したデータをBCPU218に送信する。さらにまた、ACPU408は、レンズ部3の光学情報に対して所定の係数(たとえば1.2倍)を乗じる等の方法で変換アダプタ4の光学情報を重複させたデータを生成し、この生成したデータをBCPU218に送信する。これにより、ステップS102では、BCPU218は、ACPU408から全ての情報を得たことを認識することができる。
【0082】
続いて、BCPU218は、ACPU408とレンズ状態を確認する同期通信(BA103)を開始する(ステップS103)。
【0083】
具体的には、ステップS103において、BCPU218は、ACPU408に同期周期毎に仮想レンズ状態データ要求命令を送信し、ACPU321から送信された仮想レンズ状態データを取得する(B103)。
【0084】
ステップS103において、ACPU408は、BCPU218からの要求に応じて、まず、LCPU312とレンズ状態通信(AL102)を行う。LCPU312は、ACPU408からの要求に応じて、レンズ部3のレンズ状態データをACPU408に送信する(L102)。ACPU408は、LCPU312にレンズ部3のレンズ状態データ要求命令を送信し、LCPU312から送信されたレンズ状態データを取得する(A103)。ACPU408は、BCPU218からの要求に応じて、同期周期毎にLCPU312から取得したレンズ状態データを用いて仮想レンズ状態データを生成し、生成した仮想レンズ状態データをBCPU218に送信する(A103)。
【0085】
たとえば、撮像素子203の撮像面上の焦点状態は、フォーカスレンズ301bの位置とウォブリングレンズ401bの位置とに応じて変化する。このため、ACPU408は、レンズ状態データに含まれるフォーカスレンズ301bの位置データを、フォーカスレンズ301bおよびウォブリングレンズ401bの2つの位置データから一つの仮想焦点調節レンズとしたときの換算レンズ位置を算出してBCPU218へ送信する。
【0086】
換算レンズ位置の算出方法としては、たとえば以下の方法がある。二つのレンズの撮像面での焦点状態に対するレンズ移動量の感度が同じとした場合、ACPU408は、フォーカスレンズ301bの位置をウォブリングレンズ401bの位置分解能でのデータに変換したデータに、ウォブリングレンズ401bの可動範囲における中央を基準位置とした際の現在の位置とのずれ量(差)をずれ方向に応じて加減算する。
【0087】
また、レンズ部3単体の焦点距離と変換アダプタ4とを組み合わせた場合において、ウォブリングレンズ401bの位置によって焦点距離が異なるとき、ACPU408は、LCPU312から取得した焦点距離データに、ウォブリングレンズ401bの位置と焦点距離とに応じた係数を乗じる方法で、レンズ部3とウォブリングレンズ401bとの合成焦点距離に変換したデータをBCPU218に送信する。
【0088】
ステップS103の後、BCPU218は、撮像素子駆動部204を駆動することにより、撮像素子203を同期周期毎に動作させて画像データを取得し、取得した画像データに対して画像処理部209でライブビュー画像表示用の画像処理を施して表示部211にライブビュー画像を表示させる(ステップS104)。
【0089】
続いて、BCPU218は、レンズ部3または変換アダプタ4が本体部2に装着されているか否かを判断する(ステップS105)。レンズ部3または変換アダプタ4が本体部2に装着されていないとBCPU218が判断した場合(ステップS105:No)、カメラシステム1は、ステップS101へ戻る。一方、レンズ部3または変換アダプタ4が本体部2に装着されているとBCPU218が判断した場合(ステップS105:Yes)、カメラシステム1は、ステップS106へ移行する。
【0090】
ステップS106において、BCPU218は、本体部2の電源がオフされているか否かを判断する。本体部2の電源がオフされているとBCPU218が判断した場合(ステップS106:Yes)、カメラシステム1は、後述するステップS115へ移行する。一方、本体部2の電源がオフされていないとBCPU218が判断した場合(ステップS106:No)、カメラシステム1は、ステップS107へ移行する。
【0091】
ステップS107において、レリーズスイッチ210aが半押し操作されることにより、ファーストレリーズ信号が入力された場合(ステップS107:Yes)、BCPU218は、ピントを自動的に合わせる静止画AF処理を実行する(ステップS108)。なお、静止画AF処理の詳細について後述する。また、静止画AF処理と並行して測光および露出値の算出処理等の撮影に必要な他の動作も実行される。
【0092】
続いて、BCPU218は、表示駆動部212を駆動することにより、表示部211が表示するライブビュー画像上に合焦マークを点灯する合焦表示を表示部211に表示させる(ステップS109)。なお、BCPU218は、静止画AF処理で合焦位置を検出できなかった場合、合焦マークを点滅させることにより警告表示を行ってもよい。
【0093】
その後、ファーストレリーズ信号が入力中であり(ステップS110:Yes)、レリーズスイッチ210aが全押し操作されることにより、セカンドレリーズ信号が入力された場合(ステップS111:Yes)、カメラシステム1は、BCPU218の制御のもと、撮影を行う(ステップS112)。
【0094】
具体的には、ステップS112において、BCPU218は、ACPU408と絞り駆動通信(BA109)を行い、絞り303の絞り動作命令と目標絞り値とをACPU408へ送信する(B107)。この場合、BCPU218より絞り動作命令と目標絞り値とを受けたACPU408は、LCPU312と絞り駆動通信(AL106)を行い、絞り動作命令と目標絞り値をLCPU312に送信する(A107)。LCPU312は、ACPU408から送信された絞り動作命令と目標絞り値とに基づいて、絞り駆動部304を駆動制御する。
【0095】
続いて、BCPU218は、取得した画像データをSDRAM214または記録媒体215に記録する(ステップS113)。この際、BCPU218は、表示駆動部212を駆動することにより、取得した画像データに対応する静止画像(撮影画像)を所定時間(たとえば2秒)だけ表示部211にレックビュー表示させる。
【0096】
その後、BCPU218は、表示部211が表示している静止画像の削除や合焦マークを初期化し、ライブビュー画像を表示部211に表示させる表示の初期化を実行する(ステップS114)、ステップS114の後、カメラシステム1は、ステップS105へ戻る。
【0097】
ステップS107において、レリーズスイッチ210aを介してファーストレリーズ信号が入力されていない場合(ステップS107:No)、カメラシステム1は、ステップS105へ戻る。
【0098】
ステップS110において、ファーストレリーズ信号が入力中でない場合(ステップS110:No)、カメラシステム1は、ステップS114へ移行する。
【0099】
ステップS111において、レリーズスイッチ210aを介してセカンドレリーズ信号が入力されていない場合(ステップS111:No)、カメラシステム1は、ステップS110へ戻る。
【0100】
ステップS106において、本体部2の電源がオフされた場合(ステップS106:Yes)について説明する。この場合、BCUP218は、各種データの退避、リセット動作および電源系統の切断処理等の所定の終了処理を実行し(ステップS115)、本処理を終了する。
【0101】
つぎに、図8のステップS108の静止画AF処理について説明する。図10は、静止画AF処理の概要を示すフローチャートである。図11は、カメラシステム1の静止画AF動作時の各CPU間での通信と処理とのタイミングを示すタイミングチャートである。なお、図11のレンズ位置は、各レンズ駆動タイミングでのレンズ位置の変化を模式的に示したものであり、破線を方向判断で判断時の駆動方向と逆方向に合焦位置があると判断した場合のレンズ位置の変化を示している。また、図11においては、各CPU間が双方向で通信を行う状態を太い矢印で記載し、送信のみを行う状態を細い矢印で記載する。
【0102】
図10に示すように、ACPU408は、BCPU218との通信で、最初のレンズ駆動指示信号を受信した場合、AF動作中のウォブリングレンズ401bの光軸O方向における駆動範囲を確保するため、ウォブリングレンズ401bのレンズ位置を所定の基準位置、たとえばウォブリングレンズ401bの可動範囲における中央の位置に移動させる初期化を行う(ステップS201)。なお、この初期化は、このタイミングで行う必要はなく、本体部2に電源が投入された直後または撮影した直後等で行うようにしてもよい。
【0103】
続いて、BCPU218は、ACPU408と合焦方向判断用のレンズ駆動開始通信(BA104)を行い、仮想焦点調節レンズを駆動して合焦させる合焦位置の方向を判断する(ステップS202)。
【0104】
具体的には、ステップS202において、BCPU218は、ACPU408に仮想焦点調節レンズを現在位置から所定方向、たとえば至近方向に駆動させる駆動命令を同期タイミングで送信し、同期周期毎に算出したAF評価値とACPU408から送信された換算レンズ位置とに基づいて合焦位置方向を判断する(B104)。
【0105】
ステップS202において、ACPU408は、LCPU312と合焦方向判断用のレンズ駆動開始通信(AL103)を行う。ACPU408は、BCPU218から送信された駆動命令に基づいて、LCPU312にレンズ駆動部302の駆動命令を送信するとともに、レンズ駆動部302の駆動中にLCPU312からでフォーカスレンズ301bのレンズ位置を取得する(A104)。ACPU408は、BCPU218からの要求に応じて、同期周期毎にLCPU312から取得したレンズ状態データを用いて仮想レンズ状態データを生成し、生成した仮想レンズ状態データをBCPU218に送信する(A104)。
【0106】
ステップS202において、LCPU312は、ACPU408から送信されたレンズ駆動部302の駆動命令に基づいて、レンズ駆動部302の駆動制御を行うとともに、ACPU408からの要求に応じてレンズ状態データをACPU408に送信する(L103)。
【0107】
図12は、カメラシステム1が行う静止画AF動作の一例を説明するための模式図である。なお、図12においては、縦軸がAF評価値を示し、横軸が仮想焦点調節レンズのレンズ位置を示す。また、図12においては、左側が無限方向を示し、右側が至近方向を示す。また、CD1〜CD14は、フォーカスレンズ301bおよびウォブリングレンズ401bの位置に応じて順次取得されるAF評価値を示す。また、LP1〜L14は、BCPU218が撮像素子203での撮像動作実行毎にACPU408から取得する換算レンズのレンズ位置を示す。
【0108】
図12に示すように、BCPU218は、フォーカスレンズ301bの至近方向への駆動開始から同期周期4周期分(LD1)の方向判断用のレンズ駆動LD1の範囲でAF評価値CD1〜CD4と換算レンズ位置LP1〜LP4とを取得し、最小二乗法等でAF評価値が増加傾向であるか否かを判断する。BCPU218は、AF評価値が増加傾向であれば至近方向を合焦方向であると判断する一方、AF評価値が減少傾向であれば無限方向を合焦方向であると判断する。この場合、ACPU408は、BCPU218から受信した仮想焦点調節レンズの駆動信号を、レンズ部3に対応した方式の駆動信号に変換し、第1アダプタ通信部406およびレンズ通信部311を介してLCPU312へ送信してレンズ駆動部302を駆動することによりフォーカスレンズ301bの駆動を開始させるとともに、LCPU312がレンズ位置検出部307により検出させたフォーカスレンズ301bの位置を非同期で取得し、ステップS103で説明した方法で換算レンズ位置を算出してBCPU218へ送信する。
【0109】
その後、BCPU218は、ACPU408とスキャン駆動用レンズ駆動開始通信(BA105)を行い、仮想焦点調節レンズを合焦方向と判断した方向へ向け合焦位置のスキャン駆動を開始させる(ステップS203)。
【0110】
具体的には、ステップS203において、BCPU218は、ACPU408に合焦方向へフォーカスレンズ301bの駆動命令を同期タイミングで送信し、同期周期毎にAF評価値を算出してAF評価値のピーク(極大値)を検出する(B105)。
【0111】
ステップS203において、ACPU408は、LCPU312とスキャン駆動用レンズ駆動開始通信(AL104)を行う。ACPU408は、BCPU218から送信された駆動命令に基づいて、LCPU312にレンズ駆動部302の駆動命令を送信するとともに、レンズ駆動部302の駆動中にLCPU312からでフォーカスレンズ301bのレンズ位置を取得する(A105)。LCPU312は、ACPU408から送信されたレンズ駆動部302の駆動命令に基づいて、レンズ駆動部302の駆動制御を行う(L104)。
【0112】
続いて、BCPU218は、撮像素子駆動部204を駆動することにより、撮像素子203に撮像動作を同期周期毎に実行させ、画像処理部209によりAF評価値を算出させて時系列的にSDRAM214に記録させる(ステップS204)。
【0113】
その後、BCPU218は、ACPU408とレンズ状態通信(BA103)を行い、撮像素子203の撮像動作ごとに換算レンズの位置を取得し、画像処理部209に算出させたAF評価位置に対応付けてSDRAM214に記録させる(ステップS205)。
【0114】
具体的には、ステップS205において、BCPU218は、ACPU408に同期周期毎に仮想レンズ状態データ要求命令を送信し、ACPU321から送信された仮想レンズ状態データを取得する(B105)。
【0115】
ステップS205において、ACPU408は、BCPU218からの要求に応じて、まず、同期周期毎にLCPU312から取得したレンズ状態データを用いて仮想レンズ状態データを生成し、生成した仮想レンズ状態データをBCPU218に送信する(A105)。LCPU312は、ACPU408の要求に応じて、レンズ状態データを要求毎にACPU408に送信する(L104)。
【0116】
続いて、BCPU218は、SDRAM214に記録されたAF評価値に基づいてAF評価値のピーク越え判断を行う(ステップS206)。
【0117】
具体的には、図12に示すように、BCPU218は、ステップS202の方向判断後のレンズ位置LP4を基準に、フォーカスレンズ301bの至近方向へ向けてAF評価値のピークを検出するレンズ駆動LD2の駆動開始から同期周期毎に取得したAF評価値が増加から減少に転じるAF評価値CD14が検出された時点をAF評価値のピーク越えと判断する。この際、BCPU218は、AF評価値のピーク越えと判断した時点でAF評価値の最大(極大)値(CD13)と、その前後の値(CD12,CD14)と、これらのAF評価値それぞれを取得した時点でのレンズ位置(LP12、LP13およびLP14)を対応付けて合焦位置算出用のデータとしてSDRAM214に記録する。
【0118】
その後、ステップS206のAF評価値のピーク越え判定でBCPU218がAF評価値のピーク越えがあると判断した場合(ステップS207:Yes)、カメラシステム1は、後述するステップS208へ移行する。一方、ステップS206のAF評価値のピーク越え判定でBCPU218がAF評価値のピーク越えがないと判定した場合(ステップS207:No)、カメラシステム1は、ステップS204へ戻る。
【0119】
ステップS208において、BCPU218は、AF評価値のピークを検出するフォーカスレンズ301bのスキャン駆動を停止する(ステップS208)。
【0120】
具体的には、ステップS208において、BCPU218は、ACPU408にAF評価値のピークを検出した時点で、仮想焦点調節レンズの駆動停止命令を同期タイミングで送信する(B105)。
【0121】
ステップS208において、ACPU408は、BCPU218から送信された駆動停止命令に基づいて、LCPU312にレンズ駆動部302の駆動停止命令を送信するとともに、LCPU312からレンズ駆動部302の駆動停止信号を取得し、仮想焦点調節レンズの駆動停止信号をBCPU218に同期タイミングで送信する(A105)。
【0122】
ステップS208において、LCPU312は、ACPU408から送信されたレンズ駆動部302の駆動命令に基づいて、レンズ駆動部302の駆動停止制御を行い、レンズ駆動部302の駆動停止後にACPU408に駆動停止信号を送信する(L104)。
【0123】
続いて、BCPU218は、SDRAM214に記録された合焦位置算出用のデータに基づいて、合焦位置を算出する(ステップS209)。
【0124】
図13および図14は、BCPU218による合焦位置の算出方法を説明する模式図である。なお、図13および図14においては、縦軸がAF評価値を示し、横軸がレンズ位置を示す。また、図13および図14においては、CDnがAF評価値のピーク越え判断時に取得したAF評価値の最大値(図10のCD13)であり、LPnがAF評価値のピーク越え判断時にAF評価値の最大値を取得した時点の仮想焦点調節レンズの換算レンズ位置(図10のLP13)に対応する。また、CDn-1がAF評価値のピーク越え判断時にAF最大値の1周期前に取得したAF評価値(図10のCD12)であり、LPn-1がAF評価値のピーク越え判断時にAF最大値の1周期前にAF評価値を取得した時点の仮想焦点調節レンズの換算レンズ位置(図10のLP12)に対応する。また、CDn+1がAF評価値のピーク越え判断時にAF評価値の1周期後にAF評価値(図10のCD14)であり、LPn+1がAF評価値のピーク越え判断時にAF最大値の1周期後にAF評価値を取得した時点の仮想焦点調節レンズの換算レンズ位置(図10のLP14)に対応する。また、CDmaxがAF評価値の最大値であり、LPmaxが合焦位置に対応する。
【0125】
図14に示すように、AF評価値がCDn-1>CDn+1を満たす場合、BCPU218は、以下の式(1)によって合焦位置LPmaxを算出する。
【数1】

たとえば、式(1)に図12の合焦位置算出データを用いて、CDn-1=CD12、Dn=CD13、CDn+1=CD14それぞれを代入すると、
【数2】

となる。
これに対して、図15に示すように、AF評価値がCDn-1≦CDn+1を満たす場合、BCPU218は、以下の式(3)によって合焦位置LPmaxを算出する。
【数3】

このように、BCPU218は、3点補間演算で仮想焦点調節レンズの合焦位置を算出する。なお、合焦位置の算出方法は、上記した3点補間演算に限定されるものでなく、たとえば2次関数近似等の他の方法で求めてもよい。
【0126】
ステップS209の後、BCPU218は、ACPU408と合焦位置へのレンズ駆動通信を行い(BA107)、仮想焦点調節レンズを合焦位置へ駆動させる(ステップS210)。その後、カメラシステム1は、図8のメインルーチンへ戻る。
【0127】
具体的には、ステップS210において、BCPU218は、ACPU408にステップS209で算出した合焦位置へ仮想焦点調節レンズを駆動させる駆動信号と合焦駆動用の駆動パラメータを送信する(B106)。
【0128】
ステップS210において、ACPU408は、BCPU218から受信した駆動信号に応じてウォブリング駆動部402を駆動することにより、ウォブリングレンズ401bを合焦位置に移動させる(A106)。その後、ACPU408は、BCPU218とレンズ駆動停止完了通信を行い(BA108)、仮想焦点調節レンズの駆動完了信号をBCPU218に同期タイミングで送信する(A106)。
【0129】
ここで、合焦位置への移動をウォブリングレンズ401bで行うのは、レンズ部3が位相差AFに対応した交換レンズである場合、山登りAF対応(コントラストAF)の交換レンズと比較して小刻みな反転動作が考慮されておらず、機械的なガタによるバックラッシュ駆動分が停止位置の誤差となり、正しい合焦位置にレンズ駆動できないためである。
【0130】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、ACPU408が、本体部2から送信されるレンズ部3および変換アダプタ4の動作を指示する動作命令を、レンズ部3で実行するレンズ命令と変換アダプタ4のウォブリングレンズ401bで実行する光学系命令とに分割し、レンズ部3で実行するレンズ命令をレンズ部3の制御方式に変換してレンズ部3に送信するとともに、ウォブリングレンズ401bで実行する光学系命令に応じた動作をウォブリング駆動部402に実行させる。これにより、レンズ交換可能なカメラシステム1の本体部2に、この本体部2と制御方式が異なるレンズ部3を、変換アダプタ4を介して装着した場合であっても、レンズ部3に本体部2が指示する全ての動作を適切に行わせることができる。
【0131】
また、本発明の実施の形態1によれば、本体部2から見てレンズ部3と変換アダプタ4とを着脱自在な単体の交換レンズとして扱うことができる一方、レンズ部3から見て変換アダプタ4と本体部2とを一体的なカメラ本体部として扱うことができる。
【0132】
また、本発明の実施の形態1によれば、ACPU408が、装着されるレンズ部3から取得したレンズデータを本体部2の制御方式に変換し、アダプタ光学系401の光学データと組み合わせることによってレンズ状態データを作成し、この作成したレンズ状態データを本体部2に送信する。これにより、本体部2で光学データの変化や特性に応じた画像処理を行うことができる。
【0133】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、カメラシステムが行う静止画撮影時の動作について説明したが、本発明の実施の形態2では、カメラシステムが行う動画撮影時の動作について説明する。なお、本発明の実施の形態2にかかるカメラシステムは、上述した実施の形態1にかかるカメラシステムと同様の構成を有する。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0134】
図15は、本発明の実施の形態2にかかるカメラシステム1が行う処理の概要を示すフローチャートである。図16は、本発明の実施の形態2にかかるカメラシステム1における各CPU間での通信と処理とのタイミングを示すタイミングチャートである。
【0135】
図15に示すように、カメラシステム1は、ステップS301〜ステップS306を実行する。なお、ステップS301〜ステップS306は、図8で説明したステップS101〜ステップS106それぞれに対応するため説明を省略する。また、同様に図16に示す各CPUのタイミングB201〜B203、BA201〜BA203、A201〜A203、AL201〜AL202およびL201〜L202は、図9および図11で説明した各CPUのタイミングB101〜B103、BA101〜BA103、A101〜A103、AL101〜AL102およびL101〜L102それぞれに対応するため説明を省略する。
【0136】
ステップS307において、BCPU218は、レリーズスイッチ210aが操作されることにより、ファーストレリーズ信号が入力されたか否かを判断する。ファーストレリーズ信号が入力されたとBCPU218が判断した場合(ステップS307:Yes)、カメラシステム1は、後述するステップS313へ移行する。一方、ファーストレリーズ信号が入力されていないとBCPU218が判断した場合(ステップS307:No)、カメラシステム1は、後述するステップS308へ移行する。
【0137】
ステップS308において、BCPU218は、動画スイッチ210bが操作されることにより、動画スイッチ210bがオン状態であるか否かを判断する。動画スイッチがオン状態であるとBCPU218が判断した場合(ステップS308:Yes)、カメラシステム1は、ステップS309へ移行する。一方、動画スイッチがオン状態でないとBCPU218が判断した場合(ステップS308:No)、カメラシステム1は、ステップS305へ戻る。
【0138】
ステップS309おいて、BCPU218は、動作撮影を開始する。具体的には、BCPU218は、撮像素子駆動部204を駆動することにより、撮像素子203を同期周期毎に動作させて、撮像素子203から連続的に出力される画像データを画像処理部209で画像処理を順次施してSDRAM214または記録媒体215への記録を開始する。
【0139】
続いて、BCPU218は、動画撮影中にピントを自動的に合わせる動画AF処理を実行する(ステップS310)。なお、動画AF処理の詳細については後述する。また、BCPU218は、動画AF処理と並行して測光および露出値の算出処理等の撮影に必要な他の動作も実行する。
【0140】
その後、BCPU218は、撮像素子駆動部204により撮像素子203の動作を停止させて動画撮影を終了する(ステップS311)。
【0141】
続いて、BCPU218は、表示駆動部212を駆動することにより、表示部211が表示している動画撮影用の画像を削除し、ライブビュー画像を表示部211に表示させる表示の初期化を実行し(ステップS312)、カメラシステム1は、ステップS305へ戻る。
【0142】
ステップS307において、ファーストレリーズ信号が入力されたとBCPU218が判断した場合(ステップS307:Yes)について説明する。この場合、カメラシステム1は、実施の形態1で上述した静止画撮影処理を実行する(ステップS313)。その後、カメラシステム1は、ステップS305へ戻る。
【0143】
ステップS306において、本体部2の電源がオフされた場合(ステップS106:Yes)について説明する。この場合、BCUP218は、各種データの退避、リセット動作および電源系統の切断処理等の所定の終了処理を実行する(ステップS314)。その後、カメラシステム1は、本処理を終了する。
【0144】
つぎに、図15のステップS310の動画AF処理について説明する。図17は、動画AF処理の概要を示すフローチャートである。図18は、カメラシステム1の動画AF動作時の各CPU間での通信と処理とのタイミングを示すタイミングチャートである。なお、図18のレンズ位置は、各レンズ駆動タイミングでのレンズ位置の変化を模式的に示したものであり、破線を方向判断で判断時の駆動方向と逆方向に合焦位置があると判断した場合のレンズ位置の変化を示している。
【0145】
図17に示すように、カメラシステム1は、ステップS401〜ステップS408を実行する。なお、ステップS401〜ステップS408は、図11で説明したステップS201〜ステップS208それぞれに対応する山登りAF処理と同様の動作を実行してピント合わせを行うため説明を省略する。なお、動画撮影時では、レンズ部3の駆動に伴う騒音の低減や動画の見え方を考慮してレンズ駆動速度を静止画撮影時よりも低速で行うようにしてもよい。また、同様に、図18に示す各CPUの処理および通信のタイミングB204〜B205、BA204、A204〜A205、AL203〜AL205およびL203〜L204は、図12で説明した各CPUの処理および通信のタイミングB104〜B105、BA104、A104〜A105、AL103〜AL105およびL103〜L104それぞれに対応するため説明を省略する。
【0146】
ステップS409において、BCPU218は、ACPU408とウォブリング駆動開始通信(BA207)を行い、ウォブリング駆動を開始する。
【0147】
具体的には、ステップS409において、BCPU218は、ACPU408に仮想焦点調節レンズのウォブリング駆動命令を同期タイミングで送信し、動画スイッチ210bがオフ状態になった場合、ウォブリング駆動停止命令をACPU408に送信する(B206)。
【0148】
また、BCPU218は、合焦位置の前後にウォブリングレンズ401bを微小往復駆動させてAF評価値をモニタしながら合焦状態を維持しつつ、ウォブリング駆動のためのウォブリング初期設定を行う(B206)。ウォブリング初期設定とは、ウォブリング駆動を行うためのウォブパラメータ(Wobパラメータ)、たとえばウォブリングの周期、振幅および振幅中心からの移動量等の既定の初期値に設定することである。
【0149】
続いて、BCPU218は、動画スイッチ210bがオフ状態であるか否かを判断する(ステップS410)。動画スイッチ210bがオフ状態であるとBCPU218が判断した場合(ステップS410:Yes)、カメラシステム1は、後述するステップS427へ移行する。一方、動画スイッチ210bがオフ状態でないとBCPU218が判断した場合(ステップS410:No)、カメラシステム1は、後述するステップS411へ移行する。
【0150】
ステップS411において、BCPU218は、後述するステップS415での被写体状況判断結果に応じて、ウォブリング駆動のパラメータの設定が変更された場合、ACPU408とウォブリング駆動パラメータ変更通信(BA208)を行い、新たなウォブリング駆動のパラメータを更新する。
【0151】
具体的には、ステップS411において、BCPU218は、ACPU408に仮想焦点調節レンズのウォブリング駆動命令を送信するとともに、ウォブリング駆動動作変更用の駆動パラメータを送信する(B206)。
【0152】
また、ACPU408は、BCPU218から送信された仮想焦点調節レンズのウォブリング駆動命令に基づいて、ウォブリング駆動部402の駆動制御を行う(A206)。ACPU408は、LCPU312と追従駆動開始通信(AL206)またはレンズ駆動停止通信(AL207)を行う。さらに、ACPU408は、BCPU218からの仮想焦点調節レンズのウォブリング駆動命令の中に被写体を追従する追従動作命令が含まれているか否かに応じてLCPU312にレンズ駆動部302の駆動命令、またはレンズ駆動部302の駆動停止命令を送信する(A206)。
【0153】
また、LCPU312は、ACPU408から送信されるレンズ駆動部302の駆動命令、またはレンズ駆動部302の駆動停止命令に基づいて、レンズ駆動部302の駆動制御を行うとともに、ACPU408からの要求に応じて、レンズ状態データを要求毎にACPU408に送信する。
【0154】
続いて、ACPU408は、BCPU218から送信されたウォブリング駆動のウォブパラメータに基づいて、ウォブリングレンズ401bを駆動する(ステップS412)。
【0155】
図19は、動画撮影時のウォブリング駆動の一例を説明するタイミングチャートである。図19において、LPがフォーカスレンズ301bとウォブリングレンズ401bとを仮想的に合成し、位置情報をウォブリングレンズ401bの位置分解能に換算した仮想焦点調節レンズの換算レンズ位置を示す。DT1がウォブリングレンズ401bの駆動タイミングを示し、DT2がフォーカスレンズ301bの駆動タイミングを示す。LD11が設定されたウォブリング振幅(片側)によるウォブリングレンズ401bの駆動量を示し、LD12が設定されたウォブリング中心移動量によるフォーカスレンズ301bの駆動量を示す。
【0156】
図19に示すように、静止した被写体を撮影する場合において、ウォブリング振幅の中心位置を固定したままその前後の微小往復駆動のみを行う非追従駆動を行うとき、ACPU408は、ウォブリング駆動部402を駆動することによりウォブリングレンズ401bのみ駆動させる。具体的には、BCPU218から送信されたウォブリング振幅(片側)の設定値が5パルスである場合、ACPU408は、ウォブリングレンズ401bの駆動タイミングDT1の一つのH期間分の駆動を10パルス分の駆動を行う(5×2=10)。その後、ACPU408は、次回のステップS412のタイミングでは、逆方向にウォブリングレンズ401bの駆動を10パルス分の駆動を行う。
【0157】
このような動作をACPU408が繰り返し行うことにより、ウォブリング駆動の非追従駆動が実行される。
【0158】
これに対して、移動する被写体を撮影する場合において、被写体の動きに合わせてウォブリング振幅の中心位置を移動させながらその前後の微小往復駆動のみを行う追従駆動を行うとき、ACPU408は、ウォブリング駆動部402を駆動することによりウォブリングレンズ401bを駆動させる。
【0159】
さらに、ACPU408は、ウォブリングレンズ401bの駆動と合わせて、LCPU312と通信を非同期で行ってBCPU218から指定されたウォブリング中心移動量をレンズ部3のレンズ駆動量の分解能に変換して駆動方向情報と合わせて送信し、レンズ駆動部302を駆動することによりフォーカスレンズ301bを駆動させる。
【0160】
具体的には、BCPU218から送信されたウォブリング振幅(片側)の設定値が5パルスである場合において、ウォブリング中心の移動量が至近方向に6パルスであるとき、ACPU408は、ウォブリングレンズ401bの駆動量LD11を10パルス(2×5)の駆動を行い、LCPU312は、フォーカスレンズ301bの駆動量LD12を換算レンズ位置の移動量が6パルスとなるように制御する。その後、ACPU408は、次回のステップS412のタイミングで無限方向にレンズ駆動を行う場合、ACPU408は、ウォブリングレンズ401bの駆動を10パルス分のみ駆動を行う。
【0161】
このような動作をACPU408が繰り返し行うことにより、ウォブリング駆動の追従駆動が実行される。なお、図19においては、ACPU408が至近方向へのレンズ駆動をウォブリングレンズ401bおよびフォーカスレンズ301bそれぞれの駆動を交互にしているが、たとえばレンズ駆動期間中にウォブリングレンズ401bおよびフォーカスレンズ301bそれぞれを並行駆動されるように制御してもよい。また、図19においては、至近方向へのウォブリングの追従駆動動作の例を説明したが、これとは逆に無限方向への追従駆動動作を行う場合、ACPU409は、ウォブリングレンズ401bが無限方向に駆動されるタイミングでフォーカスレンズ301bも無限方向に駆動する。
【0162】
図17に戻り、ステップS413以降の説明を続ける。ステップS413において、BCPU218は、撮像素子駆動部204を駆動することにより、撮像素子203に撮像動作を実行させ、画像処理部209にAF評価値を算出させて順次SDRAM214に記録する。このAF評価値の算出動作は、図19の場合、仮想焦点調節レンズの換算レンズ位置LPの平坦部(レンズ駆動が停止している部分)で実行される。
【0163】
続いて、BCPU218は、ACPU408と通信を行い、撮像タイミングでの換算レンズ位置を取得し、ステップS413で算出したAF評価値に対応付けて順次SDRAM214に記録する(ステップS414)。この場合、ACPU408は、LCPU312と通信を行い、撮像動作ごとにフォーカスレンズ301bの位置情報を取得して換算レンズ位置に変換してBCPU218へ送信する。
【0164】
その後、BCPU218は、SDRAM214に記録したAF評価値と換算レンズ位置とに基づいて、被写体の動作状況を判断する(ステップS415)。
【0165】
図20は、BCPU218が動画撮影時において被写体の動作状況を判断する判断方法の一例を説明するためのウォブリングの中心位置とAF評価値との関係を示す模式図である。図20において、WCPがウォブリング振幅の中心位置を示し、CDNがウォブリング駆動でウォブリングレンズ401bの位置が至近側にあるときに取得されるAF評価値を示し、CDFがウォブリング駆動でウォブリングレンズ401bの位置が無限側にあるときに取得されるAF評価値を示す。また、図20(a)は、被写体が無限側に移動してウォブリングの中心位置が合焦位置よりも至近側にずれた場合を示す。図20(b)は、被写体が静止状態で合焦位置とウォブリングの中心位置がほぼ一致している場合を示す。図20(c)は、被写体が至近側に移動してウォブリングの中心位置が合焦位置よりも無限側にずれた場合を示す。
【0166】
図20(b)に示すように、ウォブリング駆動の至近側と無限側とで取得したAF評価値がほぼ同じである状態がウォブリング駆動の所定周期、たとえば10周期連続で続いている場合、BCPU218は、被写体が静止していると判断する。
【0167】
これに対して、図20(a)に示すように、至近側と無限側とで取得したAF評価値が所定以上の差があり、無限側のAF評価値が大きい場合、BCPU218は、被写体が無限側に移動していると判断する。
【0168】
また、図20(c)に示すように、至近側と無限側とで取得したAF評価値が所定以上の差があり、至近側のAF評価値が大きい場合、BCPU218は、被写体が至近側に移動していると判断する。
【0169】
図20(a)および図20(c)に示すように、被写体を移動しているとBCPU218が判断した場合、BCPU218は、追従動作を行うためにウォブリングの中心位置の移動量の設定を変更する。具体的には、BCPU218は、非追従動作から追従動作に移行する場合、既定の移動量を設定するか、または至近側および無限側それぞれのAF評価値で大きい方の値と二つのAF評価値の差分の比率に応じて移動量を設定する。さらに、BCPU218は、至近側および無限側それぞれのAF評価値で大きい方の値と二つのAF評価値の差分の比率が大きいほど大きい移動量を設定してもよい。
【0170】
なお、上記した方法で設定した移動量がレンズ部3を変換アダプタ4に装着した直後のレンズ通信で取得した対応可能なウォブリングの中心位置の移動量を超えている場合、BCPU218は、ウォブリングでの追従動作が追従不能である(可能でない)と判断する。さらに、上記した方法で設定された移動量が極端に大きい値である場合、BCPU218は、ウォブリングでの追従動作が追従不能、または撮影者により撮影の構図が変更されたと判断する。
【0171】
また、既にウォブリングの追従動作を行っている場合、BCPU218は、時系列データのウォブリング駆動の至近側と無限側との換算レンズ位置を平均して算出し、過去のウォブリングの中心位置のデータを用いて一次関数または二次関数の近似式を求め、求めた近似式から次のウォブリング周期での中心位置を算出し、最新の至近側と無限側とのAF評価値の大小関係に応じてAF評価値の差分が大きいほど値が大きくなるような係数を算出した中心位置に乗じて中心位置を補正することにより、予測した合焦位置への移動量を設定してもよい。
【0172】
図17に戻り、ステップS416以降の説明を続ける。ステップS416において、被写体が静止しているとBCPU218が判断した場合(ステップS416:Yes)、カメラシステム1は、後述するステップS428へ移行する。一方、被写体が静止していないとBCPU218が判断した場合(ステップS416:No)、カメラシステム1は、後述するステップS417へ移行する。
【0173】
ステップS417において、被写体をウォブリング駆動で追従可能であるとBCPU218が判断した場合(S417:Yes)、カメラシステム1はステップS410へ戻る。一方、被写体をウォブリング駆動で追従可能(追従不能)でないとBCPU218が判断した場合(ステップS417:No)、カメラシステム1はステップS418へ移行する。
【0174】
続いて、BCPU218は、ACPU408とウォブリング駆動停止通信(BA209)を行い、ウォブリングレンズ401bのウォブリング駆動を停止する(ステップS418)。
【0175】
具体的には、BCPU218は、ACPU408に仮想焦点調節レンズのウォブリング駆動停止命令を送信する(B206)。ACPU408は、BCPU218から送信された仮想焦点調節レンズのウォブリング駆動停止命令に基づいて、ウォブリング駆動部402の駆動を停止する(A206)。
【0176】
ステップS418の後、カメラシステム1は、上述したステップS402〜ステップS408と同様の山登りAF動作を実行する(ステップS419〜ステップS426)。なお、ステップS419の方向判断は、ステップS415または後述するステップS431で構図変更が行われるとBCPU218が判断している場合、ステップS402と同様の方向判断を行う。また、被写体を追従可能でないとBCPU218が判断している場合、それまでの追従動作方向を合焦位置方向とする。また、山登りAF動画中に、ステップS410で動画スイッチ210bが操作されることにより、動画スイッチ210bがオフ状態であるとBCPU218が判断した場合(ステップS410:Yes)、カメラシステム1は、山登りAF動作を停止して、図15に示したメインルーチンへ戻る。
【0177】
ステップS410において、動画スイッチ210bがオフ状態であるとBCPU218が判断した場合(ステップS410:Yes)について説明する。この場合、BCPU218は、ACPU408と通信を行い、ウォブリングレンズ401bのウォブリング駆動を停止させる(ステップS427)。その後、カメラシステム1は、図15に示したメインルーチンへ戻る。
【0178】
ステップS416において、被写体が静止しているとBCPU218が判断した場合(ステップS416:Yes)について説明する。この場合、この場合、BCPU218は、ACPU408とウォブリング駆動停止通信(BA209)を行い、ウォブリングレンズ401bのウォブリング駆動を停止させる(ステップS428)。
【0179】
具体的には、BCPU218は、ACPU408に仮想焦点調節レンズのウォブリング駆動停止命令を送信する(B206)。ACPU408は、BCPU218から送信された仮想焦点調節レンズのウォブリング駆動停止命令に基づいて、ウォブリング駆動部402の駆動を停止する(A206)。
【0180】
続いて、BCPU218は、動画スイッチ210bがオフ状態であるか否かを判断する(ステップS429)。動画スイッチ210bがオフ状態であるとBCPU218が判断した場合(ステップS429:Yes)、カメラシステム1は、図15に示したメインルーチンへ戻る。
【0181】
これに対して、動画スイッチ210bがオフ状態でないとBCPU218が判断した場合(ステップS429:No)、カメラシステム1はステップS430へ移行する。
【0182】
続いて、BCPU218は、撮像素子駆動部204を駆動することにより、撮像素子203に撮像動作を実行させ、画像処理部209にAF評価値を順次算出させて算出順にSDRAM214に記録する(ステップS430)。
【0183】
その後、BCPU218は、SDRAM214に記録したAF評価値に基づいて、被写体の動作状況を判断する(ステップS431)。具体的には、BCPU218は、AF評価値の時系列の平均値と最新のAF評価値との差分が時系列のAF評価値のばらつきの第1の係数倍、たとえば、標準偏差の3倍以上となった場合、被写体の状態が変化したと判断する一方、差分が標準偏差の3倍未満の場合、被写体の状態が変化していないと判断する。さらに差分が時系列データのばらつきの第2の係数倍、たとえば標準偏差の6倍以上となった場合、被写体の状態が大きく変化し、かつ撮影者により構図の変更が行われたと判断する。
【0184】
続いて、被写体の状態が変化していないとBCPU218が判断した場合(ステップS432:No)、カメラシステム1は、ステップS429へ戻る。一方、被写体の状態が変化しているとBCPU218が判断した場合(ステップS432:Yes)、カメラシステム1は、ステップS433へ移行する。
【0185】
その後、被写体の状態が変化大であるとBCPU218が判断した場合(ステップS433:Yes)、カメラシステム1は、ステップS419へ移行する。一方、被写体の状態が変化大でないとBCPU218が判断した場合(ステップS433:No)、カメラシステム1は、ステップS409へ戻る。
【0186】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、ACPU408が、動画撮影であっても、本体部2から送信されるレンズ部3および変換アダプタ4の動作を指示する動作命令を、レンズ部3で実行するレンズ命令と変換アダプタ4のウォブリングレンズ401bで実行する光学系命令とに分割し、レンズ部3で実行するレンズ命令をレンズ部3の制御方式に変換してレンズ部3に送信するとともに、ウォブリングレンズ401bで実行する光学系命令に応じた動作をウォブリング駆動部402に実行させる。これにより、レンズ交換可能なカメラシステム1の本体部2に、この本体部2と制御方式が異なるレンズ部3を、変換アダプタ4を介して装着した場合であっても、レンズ部3に本体部2が指示する全ての動作を適切に行わせることができる。
【0187】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3にかかるカメラシステムは、変換アダプタの構成が上述した変換アダプタと異なる。このため、以下において、上述した実施の形態と異なる構成について説明する。なお、図面の記載において、同一の部分には、同一の符号を付している。
【0188】
図21は、カメラシステム100は、本体部2と、レンズ部3と、変換アダプタ5と、を備える。
【0189】
変換アダプタ5は、アダプタ光学系401と、ウォブリング駆動部402と、レンズ位置検出部403と、アダプタFROM404と、アダプタRAM405と、第1アダプタ通信部406と、第2アダプタ通信部407と、アダプタ制御部408と、絞り501と、絞り駆動部502と、を有する。
【0190】
絞り501は、光学系301が集光する光の入射量を制限することにより露出の調整を行う。絞り駆動部502は、ステッピングモータやモータドライバ等を用いて構成され、絞り501を駆動する。勿論、絞り501の駆動制御は、絞り303よりも細かいステップにすることも可能である。例えば、絞り303の駆動ステップが1/3EV単位であるとすると。1/6EVや1/12EV単位の駆動可能になっており、動画撮影時に滑らかな光量調整が行えるようになっている。
【0191】
以上で構成されたカメラシステム100において、ACPU408が、動画撮影中に、BCPU218から露出を調整する絞り駆動信号を受信した場合、ACPU408は、絞り駆動信号をレンズ部3の絞り303で実行する駆動信号と変換アダプタ5の絞り501で実行する駆動信号とに分割し、レンズ部3で実行する駆動信号をレンズ部3の制御方式に変換してレンズ部3に送信するとともに、絞り501で実行する駆動信号に応じて絞り駆動部502を駆動することにより絞り動作を実行する。その後、ACPU408は、LCPU312から絞り303の駆動完了信号を受信し、この絞り303の駆動完了信号に絞り501の駆動完了信号を反映させてBCPU218に送信する。
【0192】
このように、ACPU408は、静止画撮影や動画撮影に応じて、絞り303および絞り501を使い分けることができる。具体的には、ACPU408は、動画撮影中では、絞り501を駆動して動画の露出を調整している場合において、レリーズスイッチ210aが操作されることにより、セカンドレリーズ信号が入力された場合、絞り303を駆動させることで、瞬時に静止画撮影を行うことができる。
【0193】
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、本体部2から見てレンズ部3と変換アダプタ5とを着脱自在な単体の交換レンズとして扱うことができる一方、レンズ部3から見て変換アダプタ5と本体部2とを一体的なカメラ本体部として扱うことができる。
【0194】
また、本発明の実施の形態3では、変換アダプタ5が絞り501と、絞り駆動部502とを有していたが、たとえば画像のぶれを防止するブレ防止機構を設けてもよい。このブレ機構としては、ウォブリングレンズ401bを光軸O方向に対して水平および垂直に駆動させる駆動機構である。この場合、ACPU408は、BCPU218の駆動信号に応じて、ブレ防止機構を駆動することにより、レンズ部3にブレ防止機構がなくとも、手ブレによるブレを防止することができる。
【符号の説明】
【0195】
1,100 カメラシステム
2 本体部
3 レンズ部
4,5 変換アダプタ
201 シャッタ
202 シャッタ駆動部
203 撮像素子
204 撮像素子駆動部
205 信号処理部
206 A/D変換部
207 ストロボ
208 ストロボ駆動部
209 画像処理部
210 入力部
210a レリーズスイッチ
210b 動画スイッチ
211 表示部
212 表示駆動部
213 FROM
214 SDRAM
215 記録媒体
216 電源部
217 本体通信部
218 制御部
301 光学系
301a 前群レンズ
301b フォーカスレンズ
301c 後群レンズ
302 レンズ駆動部
303,501 絞り
304,502 絞り駆動部
307,403 レンズ位置検出部
308 ズーム位置検出部
311 レンズ通信部
312 レンズ制御部
401 アダプタ光学系
401a 前方側レンズ群
401b ウォブリングレンズ
401c 後方側レンズ群
402 ウォブリング駆動部
406 第1アダプタ通信部
407 第2アダプタ通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換を行うことによって画像データを生成する撮像素子を有するレンズ交換式カメラシステムの本体部に対して、固有の制御方式に従って動作するレンズ部を装着するための変換アダプタであって、
前記撮像素子の撮像面上での焦点状態を調整可能な光学系と、
前記本体部から送信される前記レンズ部および前記光学系の動作を指示する動作命令を、前記レンズ部で実行するレンズ命令と前記光学系で実行する光学系命令とに分割し、該レンズ命令を前記レンズ部の制御方式に変換して前記レンズ部に送信するとともに、前記光学系命令に応じた動作を前記光学系に実行させる制御部と、
を備えることを特徴とする変換アダプタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記本体部に装着される前記レンズ部から受信したレンズデータを前記本体部の制御方式に変換し、前記光学系の光学データと組み合わせることによってレンズ状態データを作成し、該レンズ状態データを前記本体部に送信することを特徴とする請求項1に記載の変換アダプタ。
【請求項3】
前記光学系命令は、前記レンズ部の焦点を調節するフォーカスレンズの反転動作命令であることを特徴とする請求項1または2に記載の変換アダプタ。
【請求項4】
前記光学系命令は、前記レンズ部の焦点を調節するフォーカスレンズの微小往復動作命令であることを特徴とする請求項1または2に記載の変換アダプタ。
【請求項5】
前記制御部は、撮影動作中に所定の周波数で前記本体部と同期通信を行うとともに、前記レンズ部と非同期で通信を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の変換アダプタ。
【請求項6】
光電変換を行うことによって画像データを生成する撮像素子を有する本体部と、固有の制御方式に従って動作するレンズ部と、前記本体部に前記レンズ部を装着される変換アダプタと、を備えたカメラシステムであって、
前記変換アダプタは、
前記撮像素子の撮像面上での焦点状態を調整可能な光学系と、
前記本体部から送信される前記レンズ部および前記光学系の動作を指示する動作命令を、前記レンズ部で実行するレンズ命令と前記光学系で実行する光学系命令とに分割し、該レンズ命令を前記レンズ部の制御方式に変換して前記レンズ部に送信するとともに、前記光学系命令に応じた動作を前記光学系に実行させる制御部と、
を備えたことを特徴とするカメラシステム。
【請求項7】
光電変換を行うことによって画像データを生成する撮像素子を有する本体部と、固有の制御方式に従って動作するレンズ部と、前記撮像素子の撮像面上での焦点状態を調節可能な光学系を有し、前記本体部に前記レンズ部を装着させる変換アダプタと、を備えたカメラシステムに実行させる撮像方法あって、
前記本体部から送信される前記レンズ部および前記光学系の動作を指示する動作命令を、前記レンズ部で実行するレンズ命令と前記光学系で実行する光学系命令とに分割し、該レンズ命令を前記レンズ部の制御方式に変換して前記レンズ部に送信するとともに、前記光学系命令に応じた動作を前記光学系に実行させる制御ステップ、
を含むことを特徴とする撮像方法。
【請求項8】
光電変換を行うことによって画像データを生成する撮像素子を有するレンズ交換式カメラシステムの本体部に対して、固有の制御方式に従って動作するレンズ部と、前記撮像素子の撮像面上での焦点状態を調節可能な光学系を有し、前記本体部に前記レンズ部を装着させる変換アダプタと、を備えたカメラシステムに実行させるプログラムあって、
前記本体部から送信される前記レンズ部および前記光学系の動作を指示する動作命令を、前記レンズ部で実行するレンズ命令と前記光学系で実行する光学系命令とに分割し、該レンズ命令を前記レンズ部の制御方式に変換して前記レンズ部に送信するとともに、前記光学系命令に応じた動作を前記光学系に実行させる制御ステップ、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−247578(P2012−247578A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118499(P2011−118499)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】