説明

変異AXMI−R1δ−エンドトキシン遺伝子及びその使用方法

細菌、植物、植物細胞、組織及び種子に殺虫活性を付与する組成物及び方法が提供される。殺虫ポリペプチドについてのコード配列を含む組成物が提供される。そのコード配列は、植物及び細菌におけるトランスフォーメーション及び発現のためのDNA構築物又は発現カセットに使用することができる。組成物は、また、トランスフォーメーションされた細菌、植物、植物細胞、組織、及び種子を含む。特に、変異Cry3配列をコードする核酸分子が提供される。追加的に、ポリヌクレオチドに対応するアミノ酸配列が包含される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、分子生物学の分野に関する。殺虫タンパク質をコードする新規な遺伝子が提供される。これらのタンパク質及びそれらをコードする核酸配列は、殺虫製剤の調製及びトランスジェニック害虫抵抗性植物の産生に有用である。
【0002】
発明の背景
Bacillus thuringiensis(Bt)は、ある目及び種の昆虫に特異的に毒性であるが、植物及び他のターゲティングされていない生物に無害な結晶状封入体を産生する能力を特徴とするグラム陽性芽胞形成土壌細菌である。この理由から、Bacillus thuringiensis株又はそれらの殺虫タンパク質を含む組成物は、多様なヒト又は動物疾患についての農業害虫又は媒介昆虫を防除する、環境的に許容されうる殺虫剤として使用することができる。
【0003】
Bacillus thuringiensis由来結晶性(Cry)タンパク質(δ−エンドトキシン)は、主にLepidoptera、Diptera、及びColeoptera幼虫に対して強力な殺虫活性を有する。これらのタンパク質は、また、Hymenoptera、Homoptera、Phthiraptera、Mallophaga、及びAcari目の害虫、ならびにNemathelminthes、Platyhelminthes、及びSarcomastigorphora目などの他の無脊椎動物に対して活性を示した(Feitelson (1993) The Bacillus Thuringiensis family tree. In Advanced Engineered Pesticides, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y.)。元々これらのタンパク質は、主にその殺虫活性に基づきCryI〜CryVと分類された。主な種類は、Lepidoptera特異的(I)、Lepidoptera及びDiptera特異的(II)、Coleoptera特異的(III)、Diptera特異的(IV)、ならびに線虫特異的(V)及び(VI)であった。タンパク質は、さらにサブファミリーに分類され、各ファミリー内のより高度に関連したタンパク質にCry1A、Cry1B、Cry1Cなどの部門別文字が割り当てられた。各部門内のさらに近縁のタンパク質は、Cry1C1、Cry1C2などの名称を与えられた。
【0004】
近年、昆虫ターゲット特異性よりもむしろアミノ酸配列相同性に基づいて、Cry遺伝子についての新しい命名が記載された(Crickmore et al. (1998) Microbiol. Mol. Biol. Rev. 62:807-813)。この新しい分類では、各毒素は、第一階級(アラビア数字)、第二階級(大文字)、第三階級(小文字)、及び第四階級(別のアラビア数字)を組み入れた独自の名称が割り当てられる。新しい分類では、第一階級のローマ数字がアラビア数字に交換された。45%未満の配列同一性を有するタンパク質は、異なる第一階級を有し、第二及び第三階級についての基準は、それぞれ78%及び95%である。
【0005】
結晶状タンパク質は、昆虫の中腸に摂取され可溶化されるまで殺虫活性を示さない。摂取されたプロ毒素は、昆虫の消化管の中でプロテアーゼによって活性毒素分子に加水分解される。(Hofte and Whiteley (1989) Microbiol. Rev. 53:242-255)。この毒素は、ターゲット幼虫の中腸内で管腔側刷子縁レセプターに結合し、頂端膜内に挿入され、イオンチャネル又は小孔を作り、幼虫の死滅をもたらす。
【0006】
δ−エンドトキシンは、一般に5個の保存された配列ドメイン及び3個の保存された構造ドメインを有する(例えば、de Maagd et al. (2001) Trends Genetics 17:193-199参照)。第1の保存された構造ドメインは、7個のαヘリックスから成り、膜内挿入及び孔形成に関与する。ドメインIIは、ギリシャキー立体配置にされた3個のβシートから成り、ドメインIIIは、「ゼリーロール」構成の2個の逆平行βシートから成る(de Maagd et al., 2001、上記)。ドメインII及びIIIは、レセプターの認識及び結合に関与し、それゆえに毒素の特異性の決定因子と見なされる。
【0007】
Cry3型δエンドトキシンは、1980年代初期に最初に同定された。Cry3Aa1 δエンドトキシン(以前はcryC及びcryIIIAとしても知られている)は、以前にBacillus thuringiensis var san diego(Herrnstadt et al. (1987) Gene. 57:37-46)、Bacillus thuringiensis tenebrionis(Hofte et al. (1987) Nucleic acids Res. 15: 7183; McPherson et al. (1988) Bio/Technology 6:61-66; Sekar et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 7036-7040)及びEG2158(Donovan et al. (1988) Mol Gen Genet. 214(3):365-72)株から単離された。
【0008】
Cry3Aaは、多くの場合にある種のネイティブなBacillus株における菱形結晶の主成分として観察され、72kDaタンパク質として産生され、そのタンパク質は続いて芽胞形成関連プロテアーゼによるタンパク質分解性プロセシングによって66kDa毒素にプロセシングされる。この66kDAタンパク質は、Coleopteraのコロラドハムシ(Colorado Potato Beetle)に活性を及ぼすことが知られている。
【0009】
昆虫が与えうる破壊、及び害虫を防除することによる収量改善の理由で、新しい形の殺虫毒素を発見する継続的な必要性がある。
【0010】
発明の概要
細菌、植物、植物細胞、組織及び種子に殺虫活性を付与するための組成物及び方法が提供される。組成物には、殺虫及び農薬ポリペプチドについての配列をコードする核酸分子、それらの核酸分子を含むベクター、ならびにそのベクターを含むホスト細胞が含まれる。組成物には、また、殺虫ポリペプチド配列及びそれらのポリペプチドに対する抗体が含まれる。ヌクレオチド配列は、微生物及び植物を含めた生物にトランスフォーメーション及び発現させるための、DNA構築物又は発現カセットに使用することができる。ヌクレオチド又はアミノ酸配列は、非限定的に微生物又は植物を含めた生物における発現のために設計された合成配列のこともある。組成物は、また、トランスフォーメーションされた細菌、植物、植物細胞、組織、及び種子を含む。
【0011】
特に、殺虫タンパク質をコードする単離された核酸分子が提供される。追加的に、殺虫タンパク質に対応するアミノ酸配列が包含される。特に本発明は、変異CRY3をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。本発明のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、又は本発明の配列にハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列もまた包含される。
【0012】
本発明のポリペプチドを産生させる方法、及びLepidoptera、Coleoptera、線虫、又はDiptera害虫を防除又は殺滅するためにそれらのポリペプチドを使用する方法が提供される。試料中の本発明の核酸及びポリペプチドを検出するための方法及びキットもまた含まれる。
【0013】
本発明の組成物及び方法は、害虫抵抗性又は寛容性が高められた生物の産生に有用である。これらの生物及びそれらの生物を含む組成物は、農業目的に望ましい。本発明の組成物は、また、殺虫活性を有する、変更若しくは改善されたタンパク質を生成させるために、又は産物若しくは生物中の殺虫タンパク質若しくは核酸の存在を検出するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】注釈付きAXMI−R1配列(配列番号2)を示す図である。下線の領域は、ループ領域(L1、L2及びL3)を表す。縦棒は、ドメインI(DI)、ドメインII(DII)、及びドメインIII(DIII)の間の境界を表す。矢印は、変異の生成のためにターゲティングされた領域のいくつかを示す。
【図2】Axmi164(配列番号13)、Axmi161(配列番号44)、Axmi152(配列番号45)、Axmi151(配列番号26)、Axmi146(配列番号27)、Axmi141(配列番号28)、Axmi129(配列番号29)、Axmi128(配列番号30)、Axmi127(配列番号31)、Axmi120(配列番号32)、Axmi116(配列番号33)、Axmi114(配列番号34)、Axmi101(配列番号35)、Axmi091(配列番号36)、Axmi087(配列番号37)、Axmi037(配列番号38)、Axmi029(配列番号39)、Axmi028(配列番号40)、Cry8Bb1(配列番号41)、Cry8Bc1(配列番号42)、Cry7Aa(配列番号43)、AxmiR1PermutP3c7(evo21)(配列番号13)、及びAxmi−R1(配列番号2)のアライメントを示す図である。
【0015】
詳細な説明
本発明は、生物における、特に植物又は植物細胞における害虫抵抗性又は寛容性を調節するための組成物及び方法を対象とする。「抵抗性」とは、本発明のポリペプチドを摂取したとき、又はそれと他の接触をしたときに、害虫(例えば昆虫)が死滅することが意図される。「寛容性」とは、害虫の運動、摂食、生殖、又は他の機能の障害又は減退が意図される。その方法は、本発明の殺虫タンパク質をコードするヌクレオチド配列を生物にトランスフォーメーションすることを伴う。特に、本発明のヌクレオチド配列は、殺虫活性を有する植物及び微生物を調製するために有用である。したがって、トランスフォーメーションされた細菌、植物、植物細胞、植物組織及び種子が提供される。
【0016】
本明細書に提供されるのは、変異Cry3アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む組成物であって、ここで、その変異体は殺虫活性、特にColeoptera害虫に対する殺虫活性を有する。「変異Cry3」アミノ酸配列とは、天然Cry3アミノ酸配列以外のCry3配列が意図され、ここで、そのアミノ酸配列は、表16に示される置換に対応する1個又は複数個のアミノ酸置換を有する。Cry3配列の一覧については、Crickmore et al. (1998), Microbiol. Mol. Biol. Rev. 62:807-813を、定期的な更新についてはwww.biols.susx.ac.uk/Home/Neil_Crickmore/Bt/indexのCrickmore et al. (2003) "Bacillus thuringiensis toxin nomenclature"を参照されたい。
【0017】
いくつかの態様では、天然又は「野生」Cry3配列は、配列番号1に示されるAxmi−R1ヌクレオチド配列であり、その配列は、配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする。AXMI−R1配列は、GENBANK(登録商標)アクセッション番号P0A379に記載されたcry3Aa配列に対応する。しかしながら、表16に記載された置換を、任意のCry3A、Cry3B、又はCry3Cタンパク質などの任意のCry3タンパク質の対応する位置に行うことができる。「対応する位置」は、配列番号2を有するターゲット配列をアライメントすることによって決定することができる。例えば図2に示すアライメントを参照されたい。
【0018】
cry3Aaタンパク質の結晶構造は、以前に決定された(Li et al, 1991, Nature 353:815-821)。この結晶構造は、様々なループ領域を明確化し、タンパク質の三次元構造に関してタンパク質分解性プロセシングの部位を示している。この構造は、その毒素が、他のδ−エンドトキシン配列の構造に一致する3個のドメイン(典型的にはドメインI、II、及びIIIと呼ばれる)に配置されることを示唆している。毒素の各ドメインは、結晶構造に基づいて定義されるループ領域を有する。この結晶構造の公表前に及び公表以来、Btエンドトキシン、特にcry3型エンドトキシンの毒性の構造及び機能、ならびにこの活性に果たすタンパク質分解の役割に関する広範で簡単な規則を説明するために多数の試みがなされてきた。
【0019】
例えば、Van Rieら、1997(米国特許第5,659,123号)は、毒性にマイナスの影響を与える位置を同定し、続いてこれらのループ内のある位置でアミノ酸をランダム置換することで、ドメインIIの改変を「ループ」と見なされる区域で行うことによる、毒性改善を導くアミノ酸の同定を示唆している。同様に、Wu及びDean(J.Mol. Biol., 1996, 255: 628-640)によるループII残基へのランダムなアラニン挿入は、タンパク質の機能を減退させた。Wuら(Febs Letters, 2000, 473:227-232)によるループIの残基のランダム変異誘発は、大部分の場合で不安定なタンパク質及び減退したタンパク質機能を招き、二つの場合で毒性増加及び結合性の変更を有するタンパク質を回収したことが報告された。cry3Bb毒素について(Englishら、米国特許第6,023,013号、RE39,580として再交付)、その毒素におけるある置換がコーンルートワーム(corn rootworm)に対する活性改善を導いたが、大部分の場合でこれらの変更が、Van Rieによって示唆された残基又はWu及びDeanによって研究された残基とは異なる残基で起こったことが報告された。
【0020】
加えて、Coleoptera、特にウエスタンコーンルートワーム(western corn rootworm)に及ぼすcry3Aの活性を改善しようと、トリプシン又はキモトリプシン様プロテアーゼによって普通は切断されるcry3A毒素の領域に改変が加えられた。Chenら(米国特許第7,030,295号)は、タンパク質の特異的位置での「カテプシンG切断部位」(又は「キモトリプシン/カテプシンG切断部位」; Walters et al, 2008, Applied and Environ. Micro. 74: 367-374)として記載された合成テトラペプチドAAPF(配列番号20)の挿入が、改善されたcry3A活性を導きうることを報告している。
【0021】
cry3Aのトリプシン切断は、当技術分野において周知であり、ネイティブなcry3AペプチドのおよそR158−N159の領域に自然に生じることが示されている(Carroll et al 1989 Biochem J. 261:99-105)。さらにキモトリプシンは、この領域のHis161−Ser162接合部で切断することが知られている(Carroll et al 1997 J Invert. Biol. 70: 41-49)。Waltersら(2008)は、改変Cry3A(キモトリプシン/カテプシンGプロテアーゼ認識部位を有する「mCry3A」)がこの領域のそのネイティブな位置(His161−Ser162接合部)でキモトリプシンによって切断されることを示した。Cry3Aのこの領域における天然アミノ酸配列の突然変異誘発がColeoptera害虫に改善された殺虫活性を招くという報告はない。
【0022】
したがって本発明は、対応する野生配列に比べて改善された殺虫活性を有する変異Cry3配列を提供する。様々な態様では、変異Cry3殺虫配列は、AXMI−R1の殺虫活性に比べて改善された殺虫活性を有する。「改善された活性」とは、死亡率の増加、摂食減退、又はターゲット害虫の成長減退が意図される。活性の改善は、野生配列、例えば、AXMI−R1の活性に比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、又はそれよりも大きな活性増加である。いくつかの態様では、ターゲット害虫は、Coleoptera害虫である。
【0023】
いくつかの態様では、本明細書に包含される殺虫配列は、配列番号1に示されるaxmi−R1配列の変異体を含む。「axmi−R1の変異体」とは、1個又は複数個の突然変異がAXMI−R1配列のある領域(すなわち「ターゲット突然変異領域」)内に導入された、AXMI−R1に対応するヌクレオチド又はアミノ酸配列が意図される。特に規定しない限り、ターゲット突然変異領域外のアミノ酸領域は、AXMI−R1配列と同一である。同一の領域は、同一のアミノ酸配列、又は同一のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列のいずれかである。ヌクレオチド配列が、野生ヌクレオチド配列と異なろうとも、それでも遺伝コードの縮重のせいでまだ野生アミノ酸配列をコードしうることが理解されよう。
【0024】
他の態様では、Cry3のターゲット突然変異領域は、Liら(1991, Nature 353:815-821、その全体で、特にcry3Aaタンパク質構造の記載に関して、参照により本明細書に組み入れられる)に記載された、提案されたプロセシング・孔形成領域に対応する。様々な態様では、ターゲット突然変異領域は、配列番号2の480〜490位及び510〜530位のアミノ酸に対応する。いくつかの態様では、変異Cry3配列は、最大で表16に記載された全位置での突然変異までの表16に挙げられた任意の突然変異の組み合わせを含めた、表16に記載された1個又は複数個の突然変異を有する。
【0025】
いくつかの態様では、本発明の変異Cry3配列は、配列番号2の158、482、483、及び519位に対応するアミノ酸位置より選択される1個又は複数個の置換を有する。別の態様では、変異Cry3配列は、次の置換を有さない:P154H、V155H、R315W、R315D、R315M、R315L、G316K、G316N、G316V、又はG316A。なお別の態様では、本発明の変異Cry3配列は、米国特許第6,023,013号の表2に挙げられた突然変異の組み合わせを全く有さない。
【0026】
別の態様では、変異Cry3配列は、配列番号6、8、10、13、15、17、19、及び21〜43から成る群より選択される。なお別の態様では、本明細書に包含される変異Cry3配列は、プロセシング・孔形成領域における1個又は複数個の突然変異ならびにレセプター結合領域における1個又は複数個の突然変異から成る。本明細書に包含される変異体は、野生Cry3の殺虫活性に比べて改善された殺虫活性を有する。いくつかの態様では、改善された殺虫活性は、Coleoptera害虫、例えばルートワーム(rootworm)害虫に対する。
【0027】
本発明の変異Cry3配列は、当技術分野において記載された1個又は複数個のCry3突然変異を導入するためにさらに改変することができる。例えば、本明細書に包含される変異AXMI−R1配列は、米国特許第5,659,123号及び第6,023,013号;Wu及びDean(J.Mol. Biol., 1996, 255: 628-640);若しくはWuら(Febs Letters, 2000, 473:227-232)に記載された1個若しくは複数個の突然変異、又はその任意の組み合わせ、及び表16に挙げられた1個又は複数個の置換を含みうる。また、変異AXMI−R1配列は、(例えばネイティブなキモトリプシン又はトリプシン切断部位又はその近くに)上述のような1個又は複数個のカテプシンG切断部位の挿入を含むことがある。
【0028】
本発明のなお別の態様では、表16に記載された突然変異を、AXMI−R1に相同性を有する任意のアミノ酸配列の対応する位置に導入して、関心が持たれる害虫、特にルートワーム害虫などのColeoptera害虫に対する毒性を導入又は改善することができる。例えば、図2においてAXMI−R1とアライメントされたアミノ酸配列、又は例えばGENBANK(登録商標)アクセッション番号P0A379.1、AAA22336.1、AAA22542.1、AAS79487.1、AAU29411.1、AAW82872.1、AAA73184.1、CAA51996.1、1DLC_A、Q45744.1、Q06117.1、AAA74198.1、P17969.1に示された相同アミノ酸配列を参照されたい。相同アミノ酸配列を、本明細書に記載されたアライメントプログラムの一つを使用してアライメントして、突然変異についての対応する位置を同定することができる。又は、相同アミノ酸配列の結晶構造又はそれの他の三次元表示をCry3Aの結晶構造に重ね合わせ(Li et al. 1991, Nature 353:815-821に記載)、対応する位置をアライメントすることができる。Cry3Bタンパク質の結晶構造は、米国特許第6,023,013号に記載されている。
【0029】
その配列は、関心が持たれる生物にその後トランスフォーメーションするための発現ベクターの構築に、他の相同(又は部分相同)遺伝子を単離するためのプローブとして、そしてドメインスワッピング又はDNAシャフリングなどの当技術分野で公知の方法による変更された殺虫タンパク質の生成のために、用途をもつ。タンパク質は、Lepidoptera、Coleoptera、Diptera、及び線虫害虫集団の防除又は殺滅に、そして殺虫活性を有する組成物の産生のために、用途をもつ。
【0030】
「殺虫毒素」又は「殺虫タンパク質」とは、非限定的にLepidoptera、Diptera、及びColeoptera目、若しくはNematoda門のメンバーを含めた1種類若しくは複数種類の害虫に対して毒性活性を有する毒素、又はそのようなタンパク質との相同性を有するタンパク質が意図される。殺虫タンパク質は、例えば、Bacillus sp.、Clostridium bifermentans及びPaenibacillus popilliaeを含めた生物から単離された。殺虫タンパク質には、本明細書に開示された完全長ヌクレオチド配列から推定されるアミノ酸配列、及び代替的な下流開始部位の使用又は殺虫活性を有するさらに短いタンパク質を産生するプロセッシングのいずれかが原因で完全長配列よりも短いアミノ酸配列が含まれる。プロセッシングは、そのタンパク質が発現される生物又はそのタンパク質を摂取後の害虫において起きることがある。
【0031】
単離された核酸分子、ならびにその変異体及びフラグメント
本発明の一局面は、殺虫タンパク質及びポリペプチド又はその生物学的に活性な部分をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子又はリコンビナント核酸分子、及び配列相同領域を有するタンパク質をコードする核酸分子を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用するために十分な核酸分子に関する。本明細書に使用されるような「核酸分子」という用語には、DNA分子(例えばリコンビナントDNA、cDNA又はゲノムDNA)及びRNA分子(例えばmRNA)ならびにヌクレオチドアナログを使用して生成したDNA又はRNAのアナログが含まれることが意図される。核酸分子は、1本鎖又は2本鎖でありうるが、好ましくは2本鎖DNAである。
【0032】
「単離された」又は「リコンビナント」核酸配列(又はDNA)は、本明細書において、もはやその自然環境にない、例えばインビトロ又はリコンビナントの細菌又は植物ホスト細胞中の、核酸配列(又はDNA)を表すために使用される。いくつかの態様では、単離された核酸又はリコンビナント核酸は、その核酸が得られた生物のゲノムDNA中の核酸に自然に隣接する配列(好ましくはタンパク質をコードする配列)(すなわちその核酸の5’及び3’末端に位置する配列)を有さない。本発明のために、核酸分子を表すために使用される場合の「単離された」は、単離された染色体を除外する。例えば様々な態様では、核酸分子をコードする単離されたδ−エンドトキシンは、その核酸が得られた細胞のゲノムDNA中の核酸分子に自然に隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、又は0.1kb未満のヌクレオチド配列を有しうる。様々な態様では、細胞性物質を実質的に有さないδ−エンドトキシンタンパク質には、約30%、20%、10%、又は5%(乾燥重量あたり)未満の非δ−エンドトキシンタンパク質(本明細書において「混入タンパク質」と呼ばれる)を有するタンパク質調製物が含まれる。
【0033】
本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列には、Cry3変異体をコードするヌクレオチド配列、及びそのフラグメント及び相補体が含まれる。「相補体」とは、所与のヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションできるように十分に所与のヌクレオチド配列に相補的なことによって安定な二重鎖を形成するヌクレオチド配列が意図される。
【0034】
殺虫タンパク質をコードするこれらのヌクレオチド配列のフラグメントである核酸分子もまた、本発明によって包含される。「フラグメント」とは、殺虫タンパク質をコードするヌクレオチド配列の部分が意図される。ヌクレオチド配列のフラグメントは、殺虫タンパク質の生物学的活性部分をコードしうるか、又は下記に開示される方法を用いてハイブリダイゼーションプローブ又はPCRプライマーとして使用することのできるフラグメントでありうる。殺虫タンパク質をコードするヌクレオチド配列のフラグメントである核酸分子は、意図された使用に応じて少なくとも約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1350、1400個の連続ヌクレオチドを含むか、又は最大で本明細書に開示された殺虫タンパク質をコードする完全長ヌクレオチド配列に存在する数のヌクレオチドを含む。「連続」ヌクレオチドとは、相互に直接隣接するヌクレオチド残基が意図される。本発明のヌクレオチド配列のフラグメントは、殺虫タンパク質の生物学的活性を保持するタンパク質フラグメントをコードするので、殺虫活性を保持する。「活性を保持する」とは、そのフラグメントが、参照殺虫タンパク質(すなわち、本明細書に開示された殺虫性変異Cry3配列)の少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、80%、90%、95%又はそれよりも高い殺虫活性を有することが意図される。一態様では、殺虫活性は、殺Coleoptera害虫活性である。殺虫活性を測定するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、全てがその全体で参照により本明細書に組み入れられるCzapla and Lang (1990) J. Econ. Entomol. 83:2480-2485; Andrews et al. (1988) Biochem. J. 252:199-206; Marrone et al. (1985) J. of Economic Entomology 78:290-293;及び米国特許第5,743,477号を参照されたい。
【0035】
本発明のタンパク質の生物学的活性部分をコードする殺虫タンパク質をコードするヌクレオチド配列のフラグメントは、少なくとも約15、25、30、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450個の連続アミノ酸をコードするか、又は最大で本発明の完全長殺虫タンパク質に存在する全アミノ酸数をコードする。いくつかの態様では、フラグメントは、タンパク質分解性切断のフラグメントである。例えば、タンパク質分解性切断のフラグメントは、配列番号2に比べてN末端の少なくとも約100個のアミノ酸、約120、約130、約140、約150、又は約160個のアミノ酸が短縮していることがある。様々な態様では、タンパク質分解性切断のフラグメントは、それぞれ配列番号2のそれぞれアミノ酸158−159位又は160−161位に対応するネイティブなトリプシン又はキモトリプシン切断部位に対応することがあるか、又はWalters et al, 2008, Applied and Environ. Micro. 74: 367-374に記載されたカテプシンG切断部位などの任意の人工的に挿入された切断部位に対応することがある。
【0036】
本発明の好ましい殺虫タンパク質は、本明細書に包含される変異Cry3配列に十分に同一なヌクレオチド配列によってコードされる。「十分に同一な」とは、標準的なパラメーターを用いて本明細書に記載されたアライメントプログラムの一つを使用して、参照配列(例えば、ネイティブな若しくは変異のCry3A、Cry3B、若しくはCry3C配列を含めた、ネイティブな若しくは変異のCry3配列、又は配列番号2、6、8、10、13、15、17、19、及び21〜43より選択される配列、又はこれらのネイティブな若しくは変異のCry3タンパク質配列のいずれかをコードするヌクレオチド配列)に比べて少なくとも約60%又は65%の配列同一性、約70%又は75%の配列同一性、約80%又は85%の配列同一性、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれよりも大きな配列同一性を有するアミノ酸又はヌクレオチド配列が意図される。当業者は、コドンの縮重、アミノ酸類似性、リーディングフレームの位置決めを考慮することによってこれらの値を適切に調整して、二つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性を決定することができることを認識している。
【0037】
二つのアミノ酸配列又は二つの核酸の同一率を決定するために、それらの配列は、最適比較の目的でアライメントされる。二つの配列の間の同一率は、配列によって共有される同一位置数の関数である(すなわち同一率=同一位置数/合計位置数(例えば重複する位置)×100)。一態様では、二つの配列は同じ長さである。別の態様では、同一率は、参照配列(すなわち、本明細書に包含される変異Cry3配列)全体にわたり計算される。二つの配列の間の同一率は、ギャップを許して又は許さずに、下記技法に類似の技法を使用して決定することができる。同一率の計算では、典型的には完全マッチが計数される。
【0038】
二つの配列の間の同一率の決定は、数学的アルゴリズムを使用して行うことができる。二つの配列を比較するために利用される数学的アルゴリズムの非限定的な例は、Karlin and Altschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264のアルゴリズムをKarlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877のように改変したものである。そのようなアルゴリズムは、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403のBLASTN及びBLASTXプログラムに組み入れられている。BLASTヌクレオチド検索を、BLASTNプログラム、スコア=100、ワード長=12で行い、本発明の殺虫様核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、BLASTXプログラム、スコア=50、ワード長=3で行って、本発明の殺虫タンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のギャップ付きアライメントを得るために、(BLAST2.0の)Gapped BLASTを、Altschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389に記載されたように利用することができる。又は、PSI−Blastを使用して分子間の距離関係を検出する反復検索を行うことができる。Altschul et al. (1997)、上記を参照されたい。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI−Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、BLASTX及びBLASTN)のデフォルトパラメーターを使用することができる。アライメントは、検査によって手作業で行うこともできる。
【0039】
配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、ClustalWアルゴリズムである(Higgins et al. (1994) Nucleic Acids Res. 22:4673-4680)。ClustalWは、配列を比較し、アミノ酸又はDNA配列の全体をアライメントし、したがってアミノ酸配列全体の配列保存性についてのデータを提供することができる。ClustalWアルゴリズムは、Vector NTI Program Suite(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)のALIGNXモジュールなどのいくつかの市販のDNA/アミノ酸解析ソフトウェアパッケージに使用されている。ClustalWを用いたアミノ酸配列のアライメント後に、アミノ酸同一率を評価することができる。ClustalWアライメントの解析に有用なソフトウェアプログラムの非限定的な例は、GENEDOC(商標)である。GENEDOC(商標)(Karl Nicholas)は、複数のタンパク質の間でのアミノ酸(又はDNA)の類似性及び同一性を評価することを可能にする。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、Myers and Miller (1988) CABIOS 4:11-17のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG Wisconsin Genetics Software Package、バージョン10(Accelrys, Inc., 9685 Scranton Rd., San Diego, CA, USAから入手可能)の一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み入れられている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重み残基表、ギャップ長ペナルティー12、及びギャップペナルティー4を使用することができる。
【0040】
特に述べない限り、Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48(3):443-453のアルゴリズムを使用するGAPバージョン10を使用して、以下のパラメーターを使用して配列同一性又は類似性を決定する:ヌクレオチド配列についての同一%及び類似%にはギャップ重み50及び長さ重み3及びnwsgapdna.cmpスコア付けマトリックスを使用;アミノ酸配列についての同一%及び類似%にはGAP重み8及び長さ重み2及びBLOSUM62スコア付けプログラムを使用。同等のプログラムも使用することができる。「同等のプログラム」とは、GAPバージョン10によって生成した対応するアライメントと比べたときに、問題となる任意の二つの配列について同一のヌクレオチド残基のマッチ及び同一の配列同一率を有するアライメントを生成する任意の配列比較プログラムが意図される。
【0041】
本発明は、また、変異核酸分子を包含する。変異Cry3殺虫タンパク質をコードするヌクレオチド配列の「変異体」には、本明細書に開示された変異殺虫タンパク質をコードするが、遺伝コードの縮重が原因で保存的に異なる配列及び前記と十分に同一の配列が含まれる。変異ヌクレオチド配列には、また、例えば部位特異的突然変異誘発を使用することによって生成されたヌクレオチド配列であるが、下記のように本発明に開示された殺虫タンパク質を依然としてコードする、合成的に誘導されたヌクレオチド配列が含まれる。本発明によって包含される変異タンパク質は、生物学的に活性であり、すなわちそれらは、参照タンパク質(すなわち、本明細書に包含される変異Cry3配列)の所望の生物学的活性、すなわち殺虫活性を有し続ける。「活性を保持する」とは、変異体が参照タンパク質の殺虫活性の少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%を有することが意図される。いくつかの態様では、本明細書に記載される変異殺虫タンパク質は、配列番号2に示されるAXMI−R1タンパク質に比べて改善された活性を示す。殺虫活性を測定するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、全てがその全体で参照により本明細書に組み入れられるCzapla and Lang (1990) J. Econ. Entomol. 83: 2480-2485; Andrews et al. (1988) Biochem. J. 252:199-206; Marrone et al. (1985) J. of Economic Entomology 78:290-293;及び米国特許第5,743,477号を参照されたい。
【0042】
当業者は、さらに、本発明のヌクレオチド配列の突然変異によって変化を導入することによって、コードされる殺虫タンパク質の生物学的活性を変更せずに、そのタンパク質のアミノ酸配列に変化を導くことができることを認識している。したがって、本明細書に開示された対応するヌクレオチド配列に1個又は複数個のヌクレオチド置換、付加、又は欠失を導入することにより、コードされるタンパク質のターゲット突然変異領域に1個又は複数個のアミノ酸置換、付加又は欠失が導入されることによって、単離された変異核酸分子を創出することができる。突然変異は、部位特異的突然変異誘発及びPCR介在性突然変異誘発などの標準的な技法によって突然変異を導入することができる。そのような変異ヌクレオチド配列もまた、本発明によって包含される。
【0043】
例えば、保存的アミノ酸置換を、1個又は複数の予測される非必須アミノ酸残基に加えることができる。「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を実質的に変更せずに殺虫タンパク質の参照配列から変更することのできる残基であり、一方「必須」アミノ酸残基は、生物学的活性に必要とされる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基と交換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。
【0044】
δ−エンドトキシンは、一般に5個の保存された配列ドメイン、及び3個の保存された構造ドメインを有する(例えばde Maagd et al. (2001) Trends Genetics 17:193-199参照)。第一の保存された構造ドメインは、7個のαヘリックスから成り、膜内挿入及び孔形成に関与する。ドメインIIは、ギリシャキー立体配置にされた3個のβシートから成り、ドメインIIIは、「ゼリーロール」構成の2個の逆平行βシートから成る(de Maagd et al., 2001、上記)。ドメインII及びIIIは、レセプターの認識及び結合に関与し、それゆえに毒素の特異性の決定因子と見なされる。
【0045】
アミノ酸置換は、機能を保持する非保存領域に行うことができる。一般に、そのような置換は、保存されたアミノ酸残基にも、保存されたモチーフ内にあるアミノ酸残基(そのような残基はタンパク質活性に必須である)にも行われないであろう。保存されている残基であって、タンパク質活性に必須でありうる残基の例には、例えば、本発明の配列に類似又は関係する毒素のアライメントの中に含まれる全てのタンパク質の間で同一の残基(例えば、相同タンパク質のアライメントにおいて同一の残基)が含まれる。保存されている残基であるが、保存的アミノ酸置換が可能であって、依然として活性を保持しうる残基の例には、例えば、本発明の配列に類似又は関係する毒素のアライメントの中に含まれる全てのタンパク質の間に保存的置換のみを有する残基(例えば、相同タンパク質のアライメントの中に含まれる全てのタンパク質の間で保存的置換のみを有する同一の残基)が含まれる。しかし、当業者は、機能的変異体が保存された残基にわずかに保存された変更又は非保存的な変更を有することがあることを理解しているであろう。
【0046】
又は、変異ヌクレオチド配列は、ターゲット突然変異領域の全て又は一部にわたり、並べ替え又は飽和突然変異誘発などによってランダムに突然変異を導入することによって製造することができ、結果として生じた突然変異体を、殺虫活性を付与する能力についてスクリーニングして、活性を保持するか、又は改善された活性を示す突然変異体を同定することができる。突然変異誘発後に、コードされるタンパク質をリコンビナント発現させることができ、標準的なアッセイ技法を使用してタンパク質の活性を決定することができる。
【0047】
PCR、ハイブリダイゼーションなどの方法を用いて、本発明の配列に実質的な同一性を有する、対応する殺虫配列を同定することができる。例えば、Sambrook and Russell (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual. (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)及びInnis, et al. (1990) PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Academic Press, NY)を参照されたい。
【0048】
ハイブリダイゼーション法において、殺虫ヌクレオチド配列の全て又は一部を使用して、cDNA又はゲノムライブラリーをスクリーニングすることができる。そのようなcDNA及びゲノムライブラリーを構築するための方法は、当技術分野において一般に公知であり、Sambrook and Russell, 2001、上記に開示されている。いわゆるハイブリダイゼーションプローブは、ゲノムDNAフラグメント、cDNAフラグメント、RNAフラグメント、又は他のオリゴヌクレオチドのことがあり、32Pなどの検出可能な基、又は他の放射性同位体、蛍光化合物、酵素、又は酵素補因子などの任意の他の検出可能なマーカーでラベルすることができる。ハイブリダイゼーション用プローブは、本明細書に開示された、公知の殺虫タンパク質をコードするヌクレオチド配列をベースに合成オリゴヌクレオチドをラベルすることによって製造することができる。ヌクレオチド配列又はコードされるアミノ酸配列中の保存されたヌクレオチド又はアミノ酸残基をベースに設計された縮重プライマーを、追加的に使用することができる。プローブは、本発明の殺虫タンパク質をコードするヌクレオチド配列又はそのフラグメント若しくは変異体の少なくとも約12、少なくとも約25、少なくとも約50、75、100、125、150、175、又は200個の連続ヌクレオチドに典型的にはストリンジェントな条件でハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列の領域を含む。ハイブリダイゼーション用プローブを調製するための方法は、当技術分野において一般に公知であり、参照により本明細書に組み入れられるSambrook and Russell, 2001、上記に開示されている。
【0049】
例えば、本明細書に開示される殺虫タンパク質配列全体又はその一つ若しくは複数の部分を、対応する殺虫タンパク質様配列及びメッセンジャーRNAに特異的にハイブリダイゼーションできるプローブとして使用することができる。様々な条件で特異的ハイブリダイゼーションを達成するために、そのようなプローブには、独特な配列であって、好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド長又は少なくとも約20ヌクレオチド長の配列が含まれる。そのようなプローブは、選択された生物からPCRによって対応する殺虫配列を増幅するために使用することができる。この技法を使用して、所望の生物から追加的なコード配列を単離することができ、又は診断アッセイとして生物におけるコード配列の存在を決定することができる。ハイブリダイゼーション技法には、プレーティングされたDNAライブラリーのハイブリダイゼーションスクリーニングが含まれる(プラーク又はコロニーのいずれか;例えばSambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)を参照されたい。
【0050】
そのような配列のハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件で実施することができる。「ストリンジェントな条件」又は「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、プローブがそのターゲット配列に他の配列よりも検出可能に大きな程度(例えばバックグラウンドに対して少なくとも2倍)でハイブリダイゼーションする条件が意図される。ストリンジェントな条件は、配列依存性であって、異なる状況では異なる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー及び/又は洗浄条件をコントロールすることによって、プローブに100%相補的なターゲット配列を同定することができる(相同プロービング)。又は、ストリンジェンシー条件は、配列にいくつかのミスマッチを許すことにより、低度の類似性が検出されるように調整することができる(非相同プロービング)。全般に、プローブは約1000ヌクレオチド長未満、好ましくは500ヌクレオチド長未満である。
【0051】
典型的にはストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3で塩濃度が約1.5M未満のNaイオン、典型的には約0.01〜1.0MのNaイオン濃度(又は他の塩)であって、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)について温度が少なくとも約30℃であって、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドよりも大きい)について少なくとも約60℃の条件である。ストリンジェントな条件は、また、ホルムアミドなどの不安定化剤を添加して達成することができる。例示的な低ストリンジェンシー条件には、30〜35%ホルムアミド、1M NaCl、1% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液を用いた37℃でのハイブリダイゼーション、及び1×〜2×SSC(20×SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)中で50〜55℃での洗浄が含まれる。例示的な中ストリンジェンシー条件には、40〜45%ホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDS中で37℃でのハイブリダイゼーション、及び0.5×〜1×SSC中で55〜60℃での洗浄が含まれる。例示的な高ストリンジェンシー条件には、50%ホルムアミド、1M NaCl、1% SDS中で37℃でのハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC中で60〜65℃での洗浄が含まれる。場合により、洗浄緩衝液は、約0.1%〜約1% SDSを含むことがある。ハイブリダイゼーションの時間は、全般に約24時間未満、通常は約4〜約12時間である。
【0052】
特異性は、典型的にはハイブリダイゼーション後の洗浄の関数であって、重大な要因は、最終洗浄溶液のイオン強度及び温度である。DNA−DNAハイブリッドについて、Tは、Meinkoth and Wahl (1984) Anal. Biochem. 138:267-284の式:T=81.5℃+16.6(log M)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/L[式中、Mは、一価陽イオンのモル濃度であり、%GCは、DNA中のグアノシン及びシトシンヌクレオチドのパーセンテージであり、%formは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、Lは、ハイブリッドの長さを塩基対の数で表したものである]から近似することができる。Tは、相補的ターゲット配列の50%が完全マッチのプローブと(所定のイオン強度及びpHで)ハイブリダイゼーションする温度である。Tは、1%のミスマッチ毎に約1℃低下し;したがって、T、ハイブリダイゼーション、及び/又は洗浄条件を調整して、所望の同一性の配列とハイブリダイゼーションさせることができる。例えば、≧90%の同一性を有する配列を探す場合、Tは、10℃減少させることができる。一般に、ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度及びpHで特定の配列及びその相補体についての熱融解温度(T)よりも約5℃低いように選択される。しかしながら、激しくストリンジェントな条件は、熱融解温度(T)よりも1、2、3、又は4℃低いハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができ;中程度ストリンジェントな条件は、熱融解温度(T)よりも6、7、8、9、又は10℃低いハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができ;低ストリンジェンシー条件は、熱融解温度(T)よりも11、12、13、14、15、又は20℃低いハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができる。この式、ハイブリダイゼーション及び洗浄組成物、ならびに所望のTを用いて、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄溶液のストリンジェンシーにおける変動が本質的に説明されることを、当業者は理解している。所望の程度のミスマッチが45℃(水溶液)又は32℃(ホルムアミド溶液)未満のTをもたらす場合、高温を使用することができるようにSSC濃度を増加させることが好ましい。核酸のハイブリダイゼーションへの幅広い解説は、Tijssen (1993) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2 (Elsevier, New York);及びAusubel et al., eds. (1995) Current Protocols in Molecular Biology, Chapter 2 (Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York)に見出される。Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)を参照されたい。
【0053】
単離されたタンパク質ならびにその変異体及びフラグメント
殺虫タンパク質もまた、本発明に包含される。「殺虫タンパク質」とは、本明細書に包含される殺虫変異Cry3配列が意図される。そのフラグメント、生物学的活性部分、及び変異体もまた提供され、本発明の方法の実施に使用することができる。「単離されたタンパク質」又は「リコンビナントタンパク質」は、もはやその自然環境中にないタンパク質、例えばインビトロ又はリコンビナントの細菌細胞又は植物ホスト細胞を表すために使用される。
【0054】
「フラグメント」又は「生物学的活性部分」には、本明細書に包含され、殺虫活性を示す変異Cry3配列のポリペプチドフラグメントが含まれる。殺虫タンパク質の生物学的活性部分は、例えば、10、25、50、100、150、200、250又はそれを超えるアミノ酸長のポリペプチドでありうる。そのような生物学的活性部分を、リコンビナント技法によって調製し、殺虫活性について評価することができる。殺虫活性を測定するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、その全てがその全体で参照により本明細書に組み入れられるCzapla and Lang (1990) J. Econ. Entomol. 83:2480-2485; Andrews et al. (1988) Biochem. J. 252:199-206; Marrone et al. (1985) J. of Economic Entomology 78:290-293;及び米国特許第5,743,477号を参照されたい。本明細書に使用するように、フラグメントは、参照タンパク質の少なくとも8個の連続するアミノ酸を含む。しかしながら本発明は、タンパク質中の約10、20、30、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、又はそれを超えるアミノ酸よりも大きな任意のフラグメントなどの他のフラグメントを包含する。
【0055】
「変異体」とは、配列番号2のアミノ酸配列に少なくとも約60%、65%、約70%、75%、約80%、85%、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を有するタンパク質又はポリペプチドが意図される。変異体は、また、本明細書に包含される変異Cry3配列をコードする核酸分子又はその相補体にストリンジェントな条件でハイブリダイゼーションする核酸分子によってコードされるポリペプチドが含まれる。変異体には、突然変異誘発が原因でアミノ酸配列が異なるポリペプチドが含まれる。本発明によって包含される変異タンパク質は生物学的に活性であって、すなわちそれらは、変異Cry3タンパク質の所望の生物学的活性を有し続け、すなわち殺虫活性を保持する。いくつかの態様では、変異体は、参照タンパク質に比べて(例えば、配列番号2に比べて、又は特異的変異Cry3タンパク質に比べて)改善された活性を有する。殺虫活性を測定するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、その全てがその全体で参照により本明細書に組み入れられるCzapla and Lang (1990) J. Econ. Entomol. 83:2480-2485; Andrews et al. (1988) Biochem. J. 252:199-206; Marrone et al. (1985) J. of Economic Entomology 78:290-293;及び米国特許第5,743,477号を参照されたい。
【0056】
本発明のaxmi遺伝子などの細菌遺伝子は、かなり多くの場合でオープンリーディングフレームの開始部近辺に複数のメチオニン開始コドンを有する。多くの場合に、1個又は複数個のこれらの開始コドンでの翻訳開始は、機能的タンパク質の生成を導く。これらの開始コドンには、ATGコドンが含まれうる。しかしながら、Bacillus sp.などの細菌は、また、開始コドンとしてコドンGTGを認識し、GTGコドンで翻訳を開始するタンパク質は、最初のアミノ酸にメチオニンを有する。まれな場合に、細菌システムにおける翻訳はTTGコドンで開始することができるが、もっともこの事象においてTTGはメチオニンをコードする。さらに、これらのコドンのどれが細菌において自然に使用されるかが先験的に決定されることは、あまり多くない。したがって、代替的メチオニンコドンの一つの使用もまた、殺虫タンパク質の生成を導きうることが理解されている。これらの殺虫タンパク質は、本発明に包含され、本発明の方法に使用することができる。植物に発現された場合に、適正な翻訳のために代替的な開始コドンをATGに変更することが必要なことが理解されている。
【0057】
本発明のポリペプチド又はその変異体若しくはフラグメントに対する抗体もまた包含される。抗体を産生させる方法は、当技術分野において周知である(例えばHarlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY;米国特許第4,196,265号参照)。
【0058】
変更又は改善された変異体
殺虫タンパク質のDNA配列を様々な方法によってさらに変更することができること、及びこれらの変更が本発明の殺虫タンパク質によってコードされるものと異なるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA配列をもたらしうることが認識されている。このタンパク質は、1個又は複数個のターゲット突然変異領域に最大で約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、又はそれを超えるアミノ酸の置換、欠失又は挿入を含む、本明細書に包含される変異Cry3配列1個又は複数個のアミノ酸のアミノ酸置換、欠失、短縮、及び挿入を含む様々な方法で変更することができる。そのような操作の方法は、当技術分野において一般に公知である。例えば、殺虫タンパク質のアミノ酸配列変異体は、DNAにおける突然変異によって調製することができる。これは、また、いくつかの形態の突然変異誘発の一つによって、かつ/又は定方向進化で達成することができる。いくつかの局面では、アミノ酸配列にコードされる変化は、タンパク質の機能に実質的に影響を与えない。そのような変異体は、所望の(又は改善された)殺虫活性を有する。しかし、殺虫タンパク質が殺虫活性を付与する能力を、本発明の組成物にそのような技法を使用することによって改善できることが理解されている。例えば、DNA複製の間に高率の塩基の誤取込みを示すXL-1 Red(Stratagene、La Jolla, CA)などのホスト細胞を用いて殺虫タンパク質を発現させることができる。そのような株で増殖後に、(例えばプラスミドDNAを調製することによって、又はPCRによって増幅し、結果として生じたPCRフラグメントをベクターにクローニングすることによって)DNAを単離し、非突然変異誘発株で殺虫タンパク質突然変異を培養し、そして例えば殺虫活性を試験するためにアッセイを行うことによって、殺虫活性を有する突然変異遺伝子を同定することができる。一般に、タンパク質を混合して摂食アッセイに使用する。例えばMarrone et al. (1985) J. of Economic Entomology 78:290-293を参照されたい。そのようなアッセイには、植物を1種類又は複数種類の害虫と接触させること、及びその植物が生存し、かつ/又は害虫の死滅を引き起こす能力を決定することが含まれうる。毒性増加を招く突然変異の例は、Schnepf et al. (1998) Microbiol. Mol. Biol. Rev. 62:775-806に見出される。
【0059】
又は、活性に実質的に影響せずに、アミノ又はカルボキシ末端で多数のタンパク質のタンパク質配列に変更を加えることができる。これには、PCR増幅で利用されるオリゴヌクレオチドにアミノ酸コード配列を包含させることによりタンパク質コード配列を変更又は伸長するPCR増幅を含めたPCRなどの、最新の分子的方法によって導入される挿入、欠失、又は変更が含まれうる。又は、付加されるタンパク質配列には、タンパク質融合体を生成させるために当技術分野において通常に使用される配列などの、タンパク質コード配列全体が含まれうる。そのような融合タンパク質は、多くの場合に、関心が持たれるタンパク質の発現を増加させるために、(2)当技術分野で公知のタンパク質精製、タンパク質検出、又は他の実験的使用のいずれかを促進する結合ドメイン、酵素活性、又はエピトープを導入するために、(3)グラム陰性細菌の細胞膜周辺腔又は真核細胞の小胞体(これらの後者は、多くの場合にタンパク質のグリコシル化を招く)などの細胞内オルガネラへのタンパク質の分泌又は翻訳をターゲティングするために、使用される。
【0060】
本発明の変異ヌクレオチド及びアミノ酸配列は、また、DNAシャフリングなどの突然変異誘発手順及びリコンビナント形成手順から得られた配列を包含する。そのような手順で、1種又は複数種の異なる殺虫タンパク質コード領域を使用して、所望の性質を有する新しい殺虫タンパク質を創出することができる。このようにして、実質的な配列同一性を有し、インビトロ又はインビボで相同リコンビネーションすることができる配列領域を含む関連配列ポリヌクレオチドの集団から、リコンビナントポリヌクレオチドのライブラリーを生成させる。例えば、このアプローチを使用して、関心が持たれるドメインをコードする配列モチーフを、本発明の殺虫遺伝子と他の公知の殺虫遺伝子との間でシャフリングして、増加した殺虫活性などの、関心が持たれる性質が改善されたタンパク質をコードする新しい遺伝子を得ることができる。そのようなDNAシャフリングの戦略は、当技術分野において公知である。例えば、Stemmer (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10747-10751; Stemmer (1994) Nature 370:389-391; Crameri et al. (1997) Nature Biotech. 15:436-438; Moore et al. (1997) J. Mol. Biol. 272:336-347; Zhang et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:4504-4509; Crameri et al. (1998) Nature 391:288-291;ならびに米国特許第5,605,793号及び同第5,837,458号を参照されたい。
【0061】
ドメインスワッピング又はシャフリングは、変更された殺虫タンパク質を生成させる別のメカニズムである。ドメインを殺虫タンパク質の間でスワップさせて、殺虫活性又はターゲットのスペクトルが改善されたハイブリッド又はキメラ毒素をもたらすことができる。リコンビナントタンパク質を生成させる方法及びそれらを殺虫活性について試験する方法は、当技術分野において周知である(例えば、Naimov et al. (2001) Appl. Environ. Microbiol. 67:5328-5330; de Maagd et al. (1996) Appl. Environ. Microbiol. 62:1537-1543; Ge et al. (1991) J. Biol. Chem. 266:17954-17958; Schnepf et al. (1990) J. Biol. Chem. 265:20923-20930; Rang et al. 91999) Appl. Environ. Microbiol. 65:2918-2925を参照されたい)。
【0062】
ベクター
本発明の殺虫配列は、関心が持たれる植物に発現させるための発現カセットの中に提供することができる。「植物発現カセット」とは、植物細胞におけるオープンリーディングフレームからタンパク質の発現をもたらすことができるDNA構築物が意図される。典型的には、これらはプロモーター及びコード配列を有する。多くの場合に、そのような構築物は、3’非翻訳領域も有する。そのような構築物は、クロロプラスト(又は他の色素体)、小胞体、又はゴルジ装置などのある種の細胞内構造へのペプチドの共翻訳又は翻訳後輸送を促進する「シグナル配列」又は「リーダー配列」を有することがある。
【0063】
「シグナル配列」とは、細胞膜を通過して共翻訳又は翻訳後ペプチド輸送を招くことが公知であるか又は疑われる配列が意図される。真核生物においてシグナル配列は、典型的にはゴルジ装置への分泌を伴い、結果として幾分グリコシル化される。細菌の殺虫毒素は、多くの場合に、ターゲット害虫の腸管内でタンパク質分解的に活性化されるプロ毒素として合成される(Chang (1987) Methods Enzymol. 153:507-516)。本発明のいくつかの態様では、シグナル配列は、ネイティブな配列に位置するか、又は本発明の配列に由来しうる。「リーダー配列」とは、翻訳された場合に細胞内オルガネラへのペプチド鎖の共翻訳輸送をトリガーするに足るアミノ酸配列をもたらす任意の配列が意図される。したがって、これには、小胞体への通過、液胞、クロロプラストを含む色素体、ミトコンドリアなどへの通過による輸送及び/又はグリコシル化をターゲティングするリーダー配列が含まれる。
【0064】
「植物トランスフォーメーションベクター」とは、植物細胞の効率的なトランスフォーメーションに必要なDNA分子が意図される。そのような分子は、1種又は複数種の植物発現カセットから成ることがあり、1種を超える「ベクター」DNA分子に編成することができる。例えば、バイナリーベクターは、植物細胞のトランスフォーメーションのために必要な全てのシス及びトランス作用機能をコードする2種類の非連続DNAベクターを利用する植物トランスフォーメーションベクターである(Hellens and Mullineaux (2000) Trends in Plant Science 5:446-451)。「ベクター」は、異なるホスト細胞の間で伝達するように設計された核酸構築物を表す。「発現ベクター」は、外来細胞に異種DNA配列又はフラグメントを組み入れ、組込み及び発現する能力を有するベクターを表す。カセットには、本発明の配列に作動可能に連結した5’及び3’調節配列が含まれる。「作動可能に連結した」とは、プロモーター配列が第二の配列に対応するDNA配列の転写を開始及び仲介するような、プロモーター配列と第二の配列との間の機能的連結が意図される。一般に、作動可能に連結したは、連結される核酸配列が隣接していること、及び二つのタンパク質のコード領域を隣接させて同じリーディングフレーム内に結合させることが必要な場所を意味する。カセットは、追加的に、生物に共トランスフォーメーションされる少なくとも1種の追加的な遺伝子を有することがある。又は、追加的な遺伝子は、複数の発現カセット上に提供することができる。
【0065】
「プロモーター」は、下流のコード配列の転写を指令するように機能する核酸配列を表す。プロモーターは、他の転写及び翻訳調節核酸配列(「制御配列」とも呼ばれる)と一緒に、関心が持たれるDNA配列の発現に必要である。
【0066】
そのような発現カセットには、殺虫配列の挿入が調節領域の転写調節下になるように、複数の制限部位が備えられる。
【0067】
発現カセットには、植物において機能する5’−3’方向の転写、転写及び翻訳開始領域(すなわちプロモーター)、本発明のDNA配列、ならびに翻訳及び転写終止領域(すなわち終止領域)が含まれる。プロモーターは、本発明の植物ホスト及び/又はDNA配列に、ネイティブ若しくは類似、又は外来若しくは異種でありうる。追加的に、プロモーターは、天然配列であるか、又はその代わりに合成配列のことがある。プロモーターが植物ホストに「ネイティブ」又は「同種」である場合、プロモーターが導入されたネイティブな植物からそのプロモーターが見出されることが意図される。プロモーターが本発明のDNA配列に「外来」又は「異種」である場合、プロモーターが本発明の作動可能に連結したDNA配列に関してネイティブなプロモーターでも天然プロモーターでもないことが意図される。
【0068】
終止領域は、転写開始領域と一緒にネイティブなことがあるか、関心が持たれる作動可能に連結したDNA配列と一緒にネイティブなことがあるか、植物ホストと一緒にネイティブなことがあるか、又は別の供給源由来(すなわち、プロモーター、関心が持たれるDNA配列、植物ホスト、又はその任意の組み合わせに対して外来又は異種)のことがある。好都合な終止領域は、オクトピンシンターゼ及びノパリンシンターゼ終止領域のようなA. tumefaciensのTiプラスミドから入手可能である。Guerineau et al. (1991) Mol. Gen. Genet. 262:141-144; Proudfoot (1991) Cell 64:671-674; Sanfacon et al. (1991) Genes Dev. 5:141-149; Mogen et al. (1990) Plant Cell 2:1261-1272; Munroe et al. (1990) Gene 91:151-158; Ballas et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:7891-7903;及びJoshi et al. (1987) Nucleic Acid Res. 15:9627-9639もまた参照されたい。
【0069】
適切であれば、トランスフォーメーションされたホスト細胞中の発現増加について遺伝子を最適化することができる。すなわち遺伝子は、改善された発現についてホスト細胞に好ましいコドンを使用して合成することができるか、又はホストに好ましいコドン利用頻度でコドンを利用して合成することができる。一般に、遺伝子のGC含量が増加される。ホストに好ましいコドン利用の論考については、例えば、Campbell and Gowri (1990) Plant Physiol. 92:1-11を参照されたい。植物に好ましい遺伝子を合成するための方法は、当技術分野において利用可能である。例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,380,831号、及び第5,436,391号、ならびにMurray et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:477-498を参照されたい。
【0070】
一態様では、殺虫タンパク質は、発現のためにクロロプラストにターゲティングされる。このようにして、殺虫タンパク質がクロロプラストに直接には挿入されない場合、発現カセットは、追加的に、殺虫タンパク質をクロロプラストに方向付ける輸送ペプチドをコードする核酸を有する。そのような輸送ペプチドは、当技術分野において公知である。例えば、Von Heijne et al. (1991) Plant Mol. Biol. Rep. 9:104-126; Clark et al. (1989) J. Biol. Chem. 264:17544-17550; Della-Cioppa et al. (1987) Plant Physiol. 84:965-968; Romer et al. (1993) Biochem. Biophys. Res. Commun. 196:1414-1421;及びShah et al. (1986) Science 233:478-481を参照されたい。
【0071】
クロロプラストにターゲティングされるべき殺虫遺伝子をクロロプラストにおける発現について最適化して、植物核とこのオルガネラとの間のコドン利用率の差を説明することができる。このようにしてクロロプラストに好ましいコドンを使用して、関心が持たれる核酸を合成することができる。例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,380,831号を参照されたい。
【0072】
植物のトランスフォーメーション
本発明の方法は、植物にヌクレオチド構築物を導入することを伴う。「導入する」とは、ヌクレオチド構築物が植物の細胞内部に到達するようにその構築物を植物に提示することが意図される。本発明の方法は、植物にヌクレオチド構築物を導入する特定の方法が使用されることを必要とせず、ヌクレオチド構築物が植物の少なくとも1個の細胞内部に到達することだけを必要とする。非限定的に安定トランスフォーメーション法、一過性トランスフォーメーション法、及びウイルス介在法を含めた、植物にヌクレオチド構築物を導入するための方法は、当技術分野において公知である。
【0073】
「植物」とは、植物全体、植物器官(例えば、葉、茎、根など)、種子、植物細胞、繁殖体、胚及びその子孫が意図される。植物細胞は、分化又は未分化のことがある(例えばカルス、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉細胞、根細胞、篩部細胞、花粉)。
【0074】
「トランスジェニック植物」又は「トランスフォーメーションされた植物」又は「安定にトランスフォーメーションされた」植物又は細胞又は組織は、植物細胞に外因性核酸配列又はDNAフラグメントが組み入れられた植物又は組み込まれた植物を表す。これらの核酸配列には、トランスフォーメーションされていない植物細胞に外因性の又は存在しない核酸配列、及びトランスフォーメーションされていない植物細胞に内因性の又は存在しうる核酸配列が含まれる。「異種」は、一般に核酸配列であって、その核酸配列が存在する細胞又はネイティブなゲノムの一部に内因性ではなく、感染、トランスフェクション、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、マイクロプロジェクションなどによって細胞に添加された核酸配列を表す。
【0075】
本発明のトランスジェニック植物は、本明細書に開示された一つ又は複数の変異Cry3配列を発現する。様々な態様では、トランスジェニック植物は、さらに昆虫抵抗性についての1種又は複数種の追加的な遺伝子、例えば、Coleoptera害虫を防除するための1種又は複数種の追加的な遺伝子(例えば、Cry1A、Cry1B、Cry1C、Cry1D、Cry1E、及びCry1FファミリーのメンバーなどのCry1;Cry2AファミリーのメンバーなどのCry2;Cry9A、Cry9B、Cry9C、Cry9D、Cry9E、及びCry9FファミリーのメンバーなどのCry9;Cry34/35;VIP3などのVIP;又はColeoptera害虫に毒性を有すると当技術分野において公知の任意の改変Cry3A又はCry3B配列を含む。トランスジェニック植物は、関心が持たれる作物学的形質を与える任意の遺伝子を含みうることが当業者によって理解されている。
【0076】
植物細胞のトランスフォーメーションは、当技術分野において公知のいくつかの技法のうちの一つによって達成することができる。本発明の殺虫遺伝子は、植物細胞における発現を得る又は高めるように改変することができる。典型的には、そのようなタンパク質を発現する構築物は、遺伝子の転写を推進するプロモーターに加えて、転写終止及びポリアデニル化を可能にする3’非翻訳領域を有するであろう。そのような構築物の編成は、当技術分野において周知である。場合によっては、結果として生じるペプチドが分泌されるか、又はさもなければ植物細胞内でターゲティングされるように遺伝子を操作することが有用なことがある。例えば、小胞体へのペプチドの移行を促進するシグナルペプチドを有するように遺伝子を操作することができる。発現のためにイントロンのmRNAプロセシングが必要とされるように、イントロンを有するように植物発現カセットを操作することが好ましいこともある。
【0077】
典型的には、この「植物発現カセット」は、「植物トランスフォーメーションベクター」に挿入される。この植物トランスフォーメーションベクターは、植物トランスフォーメーションを達成するために必要な1種又は複数種のDNAベクターから構成されることがある。例えば、一つよりも多い連続DNAセグメントから構成される植物トランスフォーメーションベクターを利用することが、当技術分野における慣行である。これらのベクターは、当技術分野においてしばしば「バイナリーベクター」と呼ばれる。効率的なトランスフォーメーションを達成するために必要なDNAセグメントのサイズ及び複雑さが非常に大きく、別々のDNA分子に機能を分離することが好都合なAgrobacterium介在性トランスフォーメーションに、バイナリーベクター及びヘルパープラスミドを有するベクターが最も頻繁に使用される。バイナリーベクターは、典型的にはT−DNA伝達に必要なシス作用配列(左境界及び右境界など)、植物細胞において発現可能なように操作された選択マーカー、及び「関心が持たれる遺伝子」(トランスジェニック植物の作製が望まれる植物細胞で発現可能なように操作された遺伝子)を有するプラスミドベクターを有する。同様にこのプラスミドベクターに存在するのは、細菌の複製に必要な配列である。シス作用配列は、植物細胞への効率的な伝達及びその中での発現を可能にする様式で配置される。例えば、選択マーカー遺伝子及び殺虫遺伝子は、左境界と右境界との間に位置する。多くの場合に第二のプラスミドベクターは、Agrobacteriumから植物細胞へのT−DNA伝達を仲介するトランス作用因子を有する。当技術分野において理解されるように、このプラスミドは、多くの場合にAgrobacteriumによる植物細胞感染、ならびに境界配列での切断によるDNA伝達及びvir介在性DNA伝達を可能にするビルレンス機能(Vir遺伝子)を有する(Hellens and Mullineaux (2000) Trends in Plant Science 5:446-451)。いくつかの種類のAgrobacterium株(例えばLBA4404、GV3101、EHA101、EHA105など)を植物トランスフォーメーションに使用することができる。マイクロプロジェクション、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、ポリエチレングリコールなどの他の方法によって植物をトランスフォーメーションするために、第二のプラスミドベクターは必要ない。
【0078】
一般に、植物トランスフォーメーション法は、ターゲット植物細胞(例えば未熟又は成熟胚、懸濁培養物、未分化のカルス、プロトプラストなど)に異種DNAを導入すること、続いて適切な選択(選択マーカー遺伝子に依存する)の最大閾値レベルを適用して、トランスフォーメーションされていない細胞塊の群からトランスフォーメーションされた植物細胞を回収することを伴う。外植片を、典型的には新鮮供給された同培地に移植し、慣例的に培養する。続いて、トランスフォーメーションされた細胞を、最大閾値レベルの選択薬を補充した再生培地上に供した後で芽に分化させる。次に、発根した芽又は小植物体を回収するために芽を発根選択培地に移植する。次に、トランスジェニック小植物体は成熟植物に成長し、稔性種子を産生する(例えば Hiei et al. (1994) The Plant Journal 6:271-282; Ishida et al. (1996) Nature Biotechnology 14:745-750)。典型的には新鮮供給された同培地に外植片を移植し、慣例的に培養する。トランスジェニック植物を作出するための技法及び方法の一般的な説明は、Ayres and Park (1994) Critical Reviews in Plant Science 13:219-239及びBommineni and Jauhar (1997) Maydica 42:107-120に見出される。トランスフォーメーションされた材料は多数の細胞を含むので、トランスフォーメーションされた細胞とトランスフォーメーションされていない細胞との両方が、対象とされたターゲットカルス又は組織又は細胞群の任意の小片に存在する。トランスフォーメーションされていない細胞を死滅させトランスフォーメーションされた細胞を増殖させる能力により、トランスフォーメーションされた植物培養物が生じる。多くの場合に、トランスフォーメーションされていない細胞を除去する能力は、トランスフォーメーションされた植物細胞の急速回復及びトランスジェニック植物の作出成功への制約である。
【0079】
トランスフォーメーションプロトコール及び植物にヌクレオチド配列を導入するためのプロトコールは、トランスフォーメーションのためにターゲティングされた植物又は植物細胞の種類、すなわち単子葉であるか双子葉かに応じて変動することがある。トランスジェニック植物の作出は、非限定的にマイクロインジェクション、エレクトロポレーション、直接遺伝子導入、Agrobacteriumによる植物細胞への異種DNA導入(Agrobacterium介在性トランスフォーメーション)、パーティクルに接着した異種外来DNAを用いた植物細胞のボンバードメント、弾道パーティクル加速、エアロゾルビームトランスフォーメーション(米国特許出願公開第20010026941号;米国特許第4,945,050号;国際公開公報第91/00915号;米国特許出願公開第2002015066号)、Lec1トランスフォーメーション、及びDNAを伝達するための様々な他の非パーティクル性直接/介在法を含めたいくつかの方法の一つによって行うことができる。
【0080】
クロロプラストをトランスフォーメーションするための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Svab et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8526-8530; Svab and Maliga (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:913-917; Svab and Maliga (1993) EMBO J. 12:601-606を参照されたい。この方法は、選択マーカーを有するDNAのパーティクルガン送達及び相同組換えによる色素体ゲノムへのDNAのターゲティングに依存する。追加的に、色素体トランスフォーメーションは、核にコードされる色素体指向性RNAポリメラーゼの組織優先発現によってサイレントな色素体担持導入遺伝子をトランス活性化することによって達成することができる。そのようなシステムは、McBride et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:7301-7305に報告された。
【0081】
異種外来DNAを植物細胞に組み込んだ後に、次に培地中での最大閾値レベルの適切な選択を適用してトランスフォーメーションされていない細胞を死滅させ、新鮮培地に定期的に移植することによって、この選択処理から生存する推定的にトランスフォーメーションされた細胞を分離及び増殖させる。連続継代及び適切な選択を用いた誘発によって、プラスミドベクターでトランスフォーメーションされた細胞を同定及び増殖させる。次に、分子及び生化学的方法を使用して、トランスジェニック植物のゲノムに組み込まれた、関心が持たれる異種遺伝子の存在を確認することができる。
【0082】
トランスフォーメーションされた細胞は、従来法により植物に成長させることができる。例えば、McCormick et al. (1986) Plant Cell Reports 5:81-84を参照されたい。次に、これらの植物を成長させ、同じトランスフォーメーションされた株又は異なる株のいずれかと受粉させ、結果として生じた、所望の表現型特性を構成的発現する雑種を同定することができる。所望の表現型特性の発現が安定的に維持され遺伝することを確かめるために2世代以上成長させ、次に所望の表現型特性の発現が達成されたことを確かめるために種子を収穫することができる。このようにして本発明は、本発明のヌクレオチド構築物、例えば本発明の発現カセットがゲノムに安定的に組み入れられた、トランスフォーメーションされた種子(「トランスジェニック種子」とも呼ばれる)を提供する。
【0083】
植物トランスフォーメーションの評価
植物細胞に異種外来DNAを導入後、組み込まれた遺伝子に関連する核酸、タンパク質及び代謝物の分析などの様々な方法によって、植物ゲノムにおける異種遺伝子のトランスフォーメーション又は組み込みを確認する。
【0084】
PCR分析は、土壌に移植する前の初期段階で、組み入れられた遺伝子の存在についてトランスフォーメーションされた細胞、組織又は芽をスクリーニングする迅速法である(Sambrook and Russell (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)。PCRは、関心が持たれる遺伝子又はAgrobacteriumベクターのバックグランドなどに特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して実施される。
【0085】
植物トランスフォーメーションは、ゲノムDNAのサザンブロット分析(Sambrook and Russell, 2001、上記)によって確認することができる。一般に、トランスフォーマントから総DNAを抽出し、適切な制限酵素で消化し、アガロースゲルで分画し、ニトロセルロース又はナイロンメンブランに移行させる。次に、メンブラン又は「ブロット」を、例えば放射性32PターゲットDNAフラグメントで探索して、植物ゲノムに導入された遺伝子の組み込みを標準技法によって確認する(Sambrook and Russell, 2001、上記)。
【0086】
ノーザンブロット分析では、トランスフォーマントの特定組織からRNAを単離し、ホルムアルデヒドアガロースゲルで分画し、当技術分野で慣用されている標準的な手順にしたがってナイロンフィルターに転写させる(Sambrook and Russell, 2001、上記)。当技術分野で公知の方法によりそのフィルターを殺虫遺伝子由来の放射性プローブとハイブリダイゼーションすることによって、殺虫遺伝子によってコードされるRNAの発現を試験する(Sambrook and Russell, 2001、上記)。
【0087】
ウエスタンブロット及び生化学アッセイなどをトランスジェニック植物に対して実施して、殺虫タンパク質上に存在する一つ又は複数のエピトープに結合する抗体を使用した標準的な手順(Sambrook and Russell, 2001、上記)により、殺虫遺伝子によりコードされるタンパク質の存在を確認することができる。
【0088】
植物における殺虫活性
本発明の別の局面では、殺虫活性を有する殺虫タンパク質を発現しているトランスジェニック植物を作出することができる。一例としてトランスジェニック植物を作出するために上記方法を利用することができるが、トランスジェニック植物細胞が作出される方式は、本発明に重要ではない。Agrobacterium介在性トランスフォーメーション、バイオリスティックトランスフォーメーション、及び非パーティクル介在法などの、当技術分野において公知又は記載の方法を実験者の自由裁量で使用することができる。殺虫タンパク質を発現している植物は、当技術分野で記載されている通常法によって、例えばカルスのトランスフォーメーション、トランスフォーメーションされたカルスの選択、及びそのようなトランスジェニックカルスからの稔性植物の再生によって、単離することができる。そのようなプロセスでは、植物細胞におけるその遺伝子の発現がトランスフォーメーションされた細胞を同定又は選択する能力を付与する限り、選択マーカーとして任意の遺伝子を使用することができる。
【0089】
クロラムフェニコール、アミノグリコシドG418、又はハイグロマイシン抵抗性などのいくつかのマーカーが、植物細胞と一緒に使用するために開発された。クロロプラスト代謝に関与する産物をコードする他の遺伝子もまた、選択マーカーとして使用することができる。例えばグリフォセート、ブロモキシニル、又はイミダゾリノンなどの植物除草剤に対する抵抗性を与える遺伝子が、特定の用途をもつことがある。そのような遺伝子が報告されている(Stalker et al. (1985) J. Biol. Chem. 263:6310-6314(ブロモキシニル抵抗性ニトリラーゼ遺伝子);及びSathasivan et al. (1990) Nucl. Acids Res. 18:2188(AHASイミダゾリノン抵抗性遺伝子)。追加的に、本明細書に開示された遺伝子は、細菌又は植物細胞のトランスフォーメーションを評価するマーカーとして有用である。植物、植物器官(例えば、葉、茎、根など)、種子、植物細胞、繁殖体、胚及びその子孫における導入遺伝子の存在を検出するための方法は、当技術分野において周知である。一態様では、導入遺伝子の存在は、殺虫活性を試験することによって検出される。
【0090】
殺虫タンパク質を発現している稔性植物を殺虫活性について検査し、最適な活性を示す植物をさらなる育種のために選択することができる。害虫活性についてアッセイする方法は、当技術分野において利用可能である。一般に、タンパク質を混合し、摂食アッセイに使用する。例えばMarrone et al. (1985) J. of Economic Entomology 78:290-293を参照されたい。
【0091】
本発明は、非限定的に単子葉植物及び双子葉植物を含めた任意の植物種をトランスフォーメーションするために使用することができる。関心が持たれる植物の例には、非限定的に、コーン(トウモロコシ)、ソルガム、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ科植物、コショウ、ジャガイモ、ワタ、イネ、ダイズ、テンサイ、サトウキビ、タバコ、オオムギ、及びアブラナ、Brassica sp.、アルファルファ、ライムギ、雑穀類(millet)、ベニバナ、ラッカセイ、サツマイモ、キャッサバ、コーヒー、ココナッツ、パイナップル、柑橘類、カカオ、チャノキ、バナナ、アボカド、イチジク、グアバ、マンゴー、オリーブ、パパイヤ、カシューナッツ、マカダミア、アーモンド、エンバク、野菜、観賞植物、及び針葉樹が挙げられる。
【0092】
野菜には、非限定的にトマト、レタス、サヤインゲン、ライマメ、エンドウ、ならびにキュウリ、カンタループ、及びマスクメロンなどのCurcumis属のメンバーが挙げられる。観賞植物には、非限定的にツツジ、アジサイ、ハイビスカス、バラ、チューリップ、スイセン、ペチュニア、カーネーション、ポインセチア、及びキクが挙げられる。好ましくは本発明の植物は、作物植物(例えばトウモロコシ、ソルガム、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ科植物、コショウ、ジャガイモ、ワタ、イネ、ダイズ、テンサイ、サトウキビ、タバコ、オオムギ、アブラナなど)である。
【0093】
殺虫性防除における使用
殺虫剤防除に、又は殺虫因子として他の生物を操作することに、本発明のヌクレオチド配列又はその変異体を含む株を採用する一般法は、当技術分野において公知である。例えば米国特許第5,039,523号及びEP0480762A2を採用されたい。
【0094】
農作物及び農産物を害虫から保護するために、本発明のヌクレオチド配列若しくはその変異体を有するBacillus株、又は殺虫遺伝子及び殺虫タンパク質を有するように遺伝的に変更された微生物を使用することができる。本発明の一局面では、毒素(殺虫剤)産生生物の全細胞、すなわち未溶解細胞を、その細胞がターゲット害虫の環境に適用された場合に細胞中に産生される毒素の活性を延長する試薬で処理する。
【0095】
又は、細胞性ホストに殺虫遺伝子を導入することによって殺虫剤を産生させる。殺虫遺伝子の発現の結果として、直接又は間接的に殺虫剤の細胞内産生及び維持が生じる。次に本発明の一局面では、これらの細胞がターゲット害虫の環境に適用された場合、細胞中に産生される毒素の活性を延長する条件で細胞が処理される。結果として生じた産物は、その毒素の毒性を保持する。次に、ターゲット害虫のホストとなる環境、例えば土壌、水、及び植物の普通葉に施用するために、従来技法に従ってこれらの自然封入された殺虫剤を製剤化することができる。例えばEPA0192319及びそこに引用された参考文献を参照されたい。又は、結果として生じた物質が殺虫剤として施用可能なように、本発明の遺伝子を発現している細胞を製剤化することができる。
【0096】
本発明の活性成分は、普通は組成物の形で施用され、処置されるべき作物区域又は植物に他の化合物と同時に又は連続的に施用することができる。これらの化合物は、肥料、除草剤、凍害防御物質、界面活性剤、洗剤、殺虫用せっけん、ドーマントオイル(dormant oil)、ポリマー、及び/又は製剤の単回施用後にターゲット区域の長期薬物供給を可能にする持続放出性製剤又は生分解性担体製剤でありうる。それらは、また、所望によりさらなる製剤の技術分野で習慣的に採用される農業的に許容されうる担体、界面活性剤又は施用促進佐剤と一緒に、選択的除草剤、化学殺虫剤、殺ウイルス剤、殺菌剤、殺アメーバ剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺細菌剤、殺線虫剤、軟体動物駆除剤、又はこれらの調製物のいくつかの混合物でありうる。適切な担体及び佐剤は、固体又は液体のことがあり、製剤技法において通常採用される物質、例えば天然又は再生無機物、溶媒、分散剤、湿潤剤、粘着付与剤、結合剤又は肥料に対応する。同様に製剤は、可食の「ベイト剤」に調製するか、又はターゲット害虫による殺虫製剤の摂食又は摂取を可能にする害虫「トラップ」の形に作ることができる。
【0097】
本発明の細菌株によって産生される少なくとも1種の殺虫タンパク質を含有する本発明の活性成分又は本発明の農芸化学的組成物を施用する方法には、葉面施用、種子コーティング及び土壌施用が含まれる。施用回数及び施用量(rate of application)は、対応する害虫による侵襲強度に依存する。
【0098】
組成物は、粉末、細粉(dust)、ペレット、顆粒、スプレー、エマルション、コロイド、溶液などとして製剤化することができ、ポリペプチドを含む細胞培養物の乾燥、凍結乾燥、均質化、抽出、濾過、遠心分離、沈降、又は濃縮などの従来手段によって調製することができる。少なくとも1種の殺虫ポリペプチドを含有するような全ての組成物において、ポリペプチドは、約1重量%〜約99重量%の濃度で存在しうる。
【0099】
Lepidoptera、Diptera、又はColeoptera害虫は、本発明の方法によっていくつかの所与の区域で死滅又は減少させることができるか、又は感受性の害虫による侵襲を防止するために環境区域に予防的に施用することができる。好ましくは害虫は、殺虫有効量のポリペプチドを摂取するか、又はそれと接触する。「殺虫有効量」は、少なくとも1種類の害虫の死滅をもたらすか、又は害虫の成長、摂食、若しくは通常の生理学的発生を顕著に減退することのできる殺虫剤の量が意図される。この量は、例えば防除されるべき特定のターゲット害虫、特定の環境、所在、植物、作物、又は処理されるべき農業部位、環境条件、ならびに殺虫的に有効なポリペプチド組成物の方法、割合、濃度、安定性、及び分量などの要因に応じて変動する。製剤は、また、天候条件、環境要件、及び/又は施用頻度及び/又は害虫侵襲の激しさに関して変動しうる。
【0100】
記載された殺虫組成物は、細菌細胞、結晶及び/若しくは芽胞懸濁物、又は単離されたタンパク質成分のいずれかを所望の農業的に許容されうる担体と共に製剤化することによって製造することができる。その組成物は、施用の前に凍結乾燥、フリーズドライ、乾燥などの適切な手段で、又は食塩水若しくは他の緩衝液などの水性担体、媒質若しくは適切な希釈剤に入れて製剤化することができる。製剤化された組成物は、粉剤若しくは粒状物質、又は(植物又は鉱物)油への懸濁剤、又は水性若しくは水中油型乳剤の形、又は水和剤として、又は農業的施用に適した任意の他の担体物質と組み合わせでありうる。適切な農業用担体は、固体又は液体のことがあり、当技術分野において周知である。「農業的に許容されうる担体」という用語は、殺虫製剤技法に通常使用される全ての佐剤、不活性成分、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、結合剤などに及び、これらは、殺虫製剤の専門家に周知である。それらの製剤を、一つ又は複数の固体又は液体佐剤と混合し、様々な手段によって、例えば従来の製剤化技法を用いて殺虫組成物を適切な佐剤と均一に混合、ブレンド及び/又は粉砕することによって調製することができる。適切な製剤化及び施用方法は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,468,523号に記載されている。
【0101】
「害虫」には、非限定的に、昆虫、真菌、細菌、線虫、ダニ、マダニなどが含まれる。害虫には、Coleoptera、Diptera、Hymenoptera、Lepidoptera、Mallophaga、Homoptera、Hemiptera、Orthroptera、Thysanoptera、Dermaptera、Isoptera、Anoplura、Siphonaptera、Trichopteraなどの目より、特にColeoptera、Lepidoptera、及びDipteraより選択される昆虫が含まれる。
【0102】
Coleoptera目にはAdephaga及びPolyphaga亜目が含まれる。Adephaga亜目には、Caraboidea及びGyrinoidea上科が含まれ、一方でPolyphaga亜目には、Hydrophiloidea、Staphylinoidea、Cantharoidea、Cleroidea、Elateroidea、Dascilloidea、Dryopoidea、Byrrhoidea、Cucujoidea、Meloidea、Mordelloidea、Tenebrionoidea、Bostrichoidea、Scarabaeoidea、Cerambycoidea、Chrysomeloidea、及びCurculionoidea上科が含まれる。Caraboidea上科には、Cicindelidae、Carabidae、及びDytiscidae科が含まれる。Gyrinoidea上科にはGyrinidae科が含まれる。Hydrophiloidea上科にはHydrophilidae科が含まれる。Staphylinoidea上科には、Silphidae及びStaphylinidae科が含まれる。Cantharoidea上科には、Cantharidae及びLampyridae科が含まれる。Cleroidea上科には、Cleridae及びDermestidae科が含まれる。Elateroidea上科には、Elateridae及びBuprestidae科が含まれる。Cucujoidea上科にはCoccinellidae科が含まれる。Meloidea上科にはMeloidae科が含まれる。Tenebrionoidea上科にはTenebrionidae科が含まれる。Scarabaeoidea上科には、Passalidae及びScarabaeidae科が含まれる。Cerambycoidea上科にはCerambycidae科が含まれる。Chrysomeloidea上科にはChrysomelidae科が含まれる。Curculionoidea上科には、Curculionidae及びScolytidae科が含まれる。
【0103】
Diptera目には、Nematocera、Brachycera、及びCyclorrhapha亜目が含まれる。Nematocera亜目には、Tipulidae、Psychodidae、Culicidae、Ceratopogonidae、Chironomidae、Simuliidae、Bibionidae、及びCecidomyiidae科が含まれる。Brachycera亜目には、Stratiomyidae、Tabanidae、Therevidae、Asilidae、Mydidae、Bombyliidae、及びDolichopodidae科が含まれる。Cyclorrhapha亜目には、Aschiza及びAschiza群が含まれる。Aschiza群には、Phoridae、Syrphidae、及びConopidae科が含まれる。Aschiza群には、Acalyptratae及びCalyptratae類が含まれる。Acalyptratae類には、Otitidae、Tephritidae、Agromyzidae、及びDrosophilidae科が含まれる。Calyptratae類には、Hippoboscidae、Oestridae、Tachinidae、Anthomyiidae、Muscidae、Calliphoridae、及びSarcophagidae科が含まれる。
【0104】
Lepidoptera目には、Papilionidae、Pieridae、Lycaenidae、Nymphalidae、Danaidae、Satyridae、Hesperiidae、Sphingidae、Saturniidae、Geometridae、Arctiidae、Noctuidae、Lymantriidae、Sesiidae、及びTineidae科が含まれる。
【0105】
主要な作物についての本発明の害虫には:トウモロコシ:Ostrinia nubilalis、ヨーロピアンコーンボーラー(European corn borer);Agrotis ipsilon、タマナヤガ(black cutworm);Helicoverpa zea、アメリカタバコガ(corn earworm);Spodoptera frugiperda、ツマジロクサヨトウ(fall armyworm);Diatraea grandiosella、サウスウエスタンコーンボーラー(southwestern corn borer);Elasmopalpus lignosellus、モロコシマダラメイガ(lesser cornstalk borer);Diatraea saccharalis、シュガーケーンボーラー(surgarcane borer);Diabrotica virgifera、ウエスタンコーンルートワーム;Diabrotica longicornis barberi、ノーザンコーンルートワーム(northern corn rootworm);Diabrotica undecimpunctata howardi、サザンコーンルートワーム(southern corn rootworm);Melanotus spp.、ワイヤーアーム(wireworm);Cyclocephala borealis、ノーザンマスクトシェーファー(northern masked chafer)(ホワイトグラブ(white grub));Cyclocephala immaculata、サザンマスクトシェーファー(southern masked chafer)(ホワイトグラブ);Popillia japonica、マメコガネ(Japanese beetle);Chaetocnema pulicaria、コーンフリービートル(corn flea beetle);Sphenophorus maidis、メイズビルバグ(maize billbug);Rhopalosiphum maidis、トウモロコシアブラムシ(corn leaf aphid);Anuraphis maidiradicis、コーンルートアフィド(corn root aphid);Blissus leucopterus leucopterus、チンチナガカメムシ(chinch bug);Melanoplus femurrubrum、レッドレッグドグラスホッパー(redlegged grasshopper);Melanoplus sanguinipes、ミグラトリーグラスホッパー(migratory grasshopper);Hylemya platura、シードコーンマゴット(seedcorn maggot);Agromyza parvicornis、コーンブロットリーフマイナー(corn blot leafminer);Anaphothrips obscrurus、クサキイロアザミウマ(grass thrips);Solenopsis milesta、シーフアント(thief ant);Tetranychus urticae、ツースポッテドスパイダーマイト(twospotted spider mite);ソルガム:Chilo partellus、ソルガムボーラー(sorghum borer);Spodoptera frugiperda、ツマジロクサヨトウ;Helicoverpa zea、アメリカタバコガ;Elasmopalpus lignosellus、モロコシマダラメイガ(lesser cornstalk borer);Feltia subterranea、グラニュレートカットワーム(granulate cutworm);Phyllophaga crinita、ホワイトグラブ;Eleodes、Conoderus、及びAeolus spp.、ワイヤーアーム;Oulema melanopus、シリアルリーフビートル(cereal leaf beetle);Chaetocnema pulicaria、コーンフリービートル;Sphenophorus maidis、メイズビルバグ;Rhopalosiphum maidis;トウモロコシアブラムシ;Sipha flava、イエローシュガーケーンアフィッド(yellow sugaracane aphid);Blissus leucopterus leucopterus、チンチナガカメムシ;Contarinia sorghicola、ソルガムミッジ(sorghum midge);Tetranychus cinnabarinus、カーマインスパイダーマイト(carmine spider mite);Tetranychus urticae、ツースポッテドスパイダーマイト;
コムギ:Pseudaletia unipunctata、アーミーワーム(army worm);Spodoptera frugiperda、ツマジロクサヨトウ;Elasmopalpus lignosellus、モロコシマダラメイガ;Agrotis orthogonia、ウエスタンカットワーム(western cutworm);Elasmopalpus lignosellus、モロコシマダラメイガ;Oulema melanopus、シリアルリーフビートル;Hypera punctata、クローバーリーフウィービル(clover leaf weevil);Diabrotica undecimpunctata howardi、サザンコーンルートワーム;ラッシャンウィートアフィド(Russian wheat aphid);Schizaphis graminum、グリーンバグ(greenbug);Macrosiphum avenae、イングリッシュグレインアフィド(English grain aphid);Melanoplus femurrubrum、レッドレッグドグラスホッパー;Melanoplus differentialis、ディファレンシャルグラスホッパー(differential grasshopper);Melanoplus sanguinipes、ミグラトリーグラスホッパー;Mayetiola destructor、ヘシアンフライ(Hessian fly);Sitodiplosis mosellana、ムギアカタマバエ(wheat midge);Meromyza americana、ウィートステムマゴット(wheat stem maggot);Hylemya coarctata、ウィートバルブフライ(wheat bulb fly);Frankliniella fusca、タバコスリップス(tobacco thrips);Cephus cinctus、ウィートステムソーフライ(wheat stem sawfly);Aceria tulipae、ウィートカールマイト(wheat curl mite);ヒマワリ:Suleima helianthana、サンフラワーバッドモス(sunflower bud moth);Homoeosoma electellum、サンフラワーモス(sunflower moth);zygogramma exclamationis、サンフラワービートル(sunflower beetle);Bothyrus gibbosus、キャロットビートル(carrot beetle);Neolasioptera murtfeldtiana、サンフラワーシードミッジ(sunflower seed midge);ワタ:Heliothis virescens、コットンバッドワーム(cotton budworm);Helicoverpa zea、アメリカタバコガ(cotton bollworm);Spodoptera exigua、シロイチモジヨトウ(beet armyworm);Pectinophora gossypiella、ワタアカミムシ(pink bollworm);Anthonomus grandis、ワタミハナゾウムシ(boll weevil);Aphis gossypii、ワタアブラムシ(cotton aphid);Pseudatomoscelis seriatus、コーンフリーホッパー(cotton fleahopper);Trialeurodes abutilonea、バンデドウイングドホワイトフライ(bandedwinged whitefly);Lygus lineolaris、サビイロカスミカメムシ(tarnished plant bug);Melanoplus femurrubrum、レッドレッグドグラスホッパー;Melanoplus differentialis、ディファレンシャルグラスホッパー;Thrips tabaci、ネギアザミウマ(onion thrips);Franklinkiella fusca、タバコスリップス;Tetranychus cinnabarinus、カーマインスパイダーマイト;Tetranychus urticae、ツースポッテドスパイダーマイト;
イネ:Diatraea saccharalis、シュガーケーンボーラー(sugarcane borer);Spodoptera frugiperda、ツマジロクサヨトウ;Helicoverpa zea、アメリカタバコガ;Colaspis brunnea、グレープコラプシス(grape colaspis);Lissorhoptrus oryzophilus、イネミズゾウムシ(rice water weevil);Sitophilus oryzae、ココクゾウムシ(rice weevil);Nephotettix nigropictus、クロスジツマグロヨコバイ(rice leafhopper);Blissus leucopterus leucopterus、チンチナガカメムシ;Acrosternum hilare、グリーンスティンクバグ(green stink bug);ダイズ:Pseudoplusia includens、ソイビーンルーパ(soybean looper);Anticarsia gemmatalis、ベルベットビーンキャタピラー(velvetbean caterpillar);Plathypena scabra、グリーンクローバーワーム(green cloverworm);Ostrinia nubilalis、ヨーロピアンコーンボーラー(European corn borer);Agrotis ipsilon、タマナヤガ;Spodoptera exigua、シロイチモジヨトウ;Heliothis virescens、コットンバッドワーム;Helicoverpa zea、アメリカタバコガ;Epilachna varivestis、インゲンテントウ(Mexican bean beetle);Myzus persicae、モモアカアブラムシ(green peach aphid);Empoasca fabae、ジャガイモヒメヨコバイ(potato leafhopper);Acrosternum hilare、グリーンスティンクバグ;Melanoplus femurrubrum、レッドレッグドグラスホッパー;Melanoplus differentialis、ディファレンシャルグラスホッパー;Hylemya platura、シードコーンマゴット;Sericothrips variabilis、ソイビーンスリップス(soybean thrips);Thrips tabaci、ネギアザミウマ;Tetranychus turkestani、ストロベリースパイダーマイト(strawberry spider mite);Tetranychus urticae、ツースポッテドスパイダーマイト;オオムギ:Ostrinia nubilalis、ヨーロピアンコーンボーラー;Agrotis ipsilon、タマナヤガ;Schizaphis graminum、グリーンバグ;Blissus leucopterus leucopterus、チンチナガカメムシ;Acrosternum hilare、グリーンスティンクバグ;Euschistus servus、ブラウンスティンクバグ(brown stink bug);Delia platura、タネバエ;Mayetiola destructor、ヘシアンフライ;Petrobia latens、ブラウンウィートマイト(brown wheat mite);アブラナ:Brevicoryne brassicae、ダイコンアブラムシ(cabbage aphid);Phyllotreta cruciferae、フリービートル(Flea beetle);Mamestra configurata、バーサアーミーワーム(Bertha armyworm);Plutella xylostella、コナガ(Diamond-back moth);Delia ssp.、ルートマゴット(Root maggot)が含まれる。
【0106】
線虫には、Heterodera spp.、Meloidogyne spp.、及びGlobodera spp.を含めたネコブセンチュウ、シストセンチュウ、及びネグサレセンチュウなどの寄生線虫;特に非限定的にHeterodera glycines(ダイズシストセンチュウ);Heterodera schachtii(テンサイシストセンチュウ;Heterodera avenae(ムギシストセンチュウ);ならびにGlobodera rostochiensis及びGlobodera pailida(ジャガイモのシストセンチュウ)を含めたシストセンチュウのメンバーが含まれる。ネグサレセンチュウにはPratylenchus spp.が含まれる。
【0107】
植物は、また、1種又は複数種の除草剤、殺虫剤、又は殺真菌剤を含めた1種又は複数種の化学組成物で処置することができる。例示的な化学組成物には:果物/野菜用除草剤:アトラジン、ブロマシル、ジウロン、グリフォセート、リニュロン、メトリブジン、シマジン、トリフルラリン、フルアジホップ、グルフォシネート、ハロスルフロンゴワン(Halosulfuron Gowan)、パラコート、プロピザミド、セトキシジム、ブタフェナシル、ハロスルフロン、インダジフラム(Indaziflam);果物/野菜用殺虫剤:アルジカルブ、Bacillus thuriengiensis、カルバリル、カルボフラン、クロルピリホス、シペルメトリン、デルタメトリン、ダイアジノン、マラチオン、アバメクチン、シフルトリン/β-シフルトリン、エスフェンバレレート、λ−シハロトリン、アセキノシル、ビフェナゼート、メトキシフェノジド、ノバルロン、クロマフェノジド、チアクロプリド、ジノテフラン、フルアクリピリム、トルフェンピラド、クロチアニジン、スピロジクロフェン、γ-シハロトリン、スピロメシフェン、スピノサド、リナキシピル、Cyazypyr、スピノテラム(Spinoteram)、トリフルムロン、スピロテトラマト、イミダクロプリド、フルベンジアミド、チオジカルブ、メタフルミゾン、スルホキサフロール、シフルメトフェン、シアノピラフェン(Cyanopyrafen)、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、スピノトラム(Spinotoram)、チオジカルブ、フロニカミド、メチオカルブ、エマメクチンベンゾエート、インドキサカルブ、ホズチアゼート(Fozthiazate)、フェナミホス、カズサホス(Cadusaphos)、ピリプロキシフェン(Pyriproxifen)、酸化フェンブタスズ、ヘキシチアゾクス(Hexthiazox)、メトミル、4−[[(6−クロルピリジン−3−イル)メチル](2,2−ジフルオルエチル)アミノ]フラン−2(5H)−オン;果物/野菜用殺真菌剤:カルベンダジム、クロロタロニル、EBDC、硫黄、チオファネートメチル、アゾキシストロビン、シモキサニル、フルアジナム、ホセチル、イプロジオン、クレソキシムメチル、メタラキシル/メフェノキサム、トリフロキシストロビン、エタボキサム、イプロバリカルブ(Iprovalicarb)、トリフロキシストロビン、フェンヘキサミド、オキスポコナゾールフマラート、シアゾファミド、フェナミドン、ゾキサミド、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、シフルフェナミド(Cyflufenamid)、ボスカリド;
穀物用除草剤:イソプロツロン、ブロモキシニル、イオキシニル、フェノキシ類(Phenoxies)、クロルスルフロン、クロジナホップ、ジクロホップ、ジフルフェニカン、フェノキサプロップ、フロラスラム、フルロキシピル、メトスルフロン、トリアスルフロン、フルカルバゾン、ヨードスルフロン、プロポキシカルバゾン、ピコリナフェン、メソスルフロン、ベフルブタミド、ピノキサデン、アミドスルフロン、チフェンスルフロン、トリベヌロン、フルピルスルフロン、スルホスルフロン、ピラスルホトール(Pyrasulfotole)、ピロックススラム、フルフェナセット、トラルコキシジム、ピロキサスルホン;穀物用殺真菌剤:カルベンダジム、クロロタロニル、アゾキシストロビン、シプロコナゾール、シプロジニル、フェンプロピモルフ、エポキシコナゾール、クレソキシムメチル、キノキシフェン、テブコナゾール、トリフロキシストロビン、シメコナゾール、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ジモキシストロビン、プロチオコナゾール、フルオキサストロビン(Fluoxastrobin);穀物用殺虫剤:ジメトエート、λ−シハルトリン(cyhalthrin)、デルタメトリン、α−シペルメトリン、β−シフルトリン、ビフェントリン、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、チアクロプリド、アセタミプリド、ジネトフラン(Dinetofuran)、クロルピリホス(Clorphyriphos)、メタミドホス、オキシデメトン(Oxidemethon)メチル、ピリミカーブ、メチオカルブ;トウモロコシ用除草剤:アトラジン、アラクロール、ブロモキシニル、アセトクロル、ジカンバ、クロピラリド、(S−)ジメテナミド、グルフォシネート、グリフォセート、イソキサフルトール、(S−)メトラクロル、メソトリオン、ニコスルフロン、プリミスルフロン、リムスルフロン、スルコトリオン、ホラムスルフロン、トプラメゾン、テンボトリオン、サフルフェナシル、チエンカルバゾン(Thiencarbazone)、フルフェナセット、ピロキサスルホン;トウモロコシ殺虫剤:カルボフラン、クロルピリホス、ビフェントリン、フィプロニル、イミダクロプリド、λ−シハロトリン、テフルトリン、テルブホス(Terbufos)、チアメトキサム、クロチアニジン、スピロメシフェン、フルベンジアミド、トリフルムロン、リナキシピル、デルタメトリン、チオジカルブ、β−シフルトリン、シペルメトリン、ビフェントリン、ルフェヌロン、トリフルモロン(Triflumoron)、テフルトリン、テブピリンホス、エチプロール、Cyazypyr、チアクロプリド、アセタミプリド、ジネトフラン、アベルメクチン、メチオカルブ、スピロジクロフェン、スピロテトラマト;トウモロコシ用殺真菌剤:フェニトロパン、チラム、プロチオコナゾール、テブコナゾール、トリフロキシストロビン;
イネ用除草剤:ブタクロールプロパニル、アジムスルフロン、ベンスルフロン、シハロホップ、ダイムロン、フェントラザミド、イマズスルフロン、メフェナセット、オキサジクロメフォン、ピラゾスルフロン、ピリブチカルブ、キンクロラック、チオベンカルブ、インダノファン、フルフェナセット、フェントラザミド、ハロスルフロン、オキサジクロメフォン、ベンゾビシクロン、プリフタリド、ペノクスラム、ビスピリバック、オキサジアルギル、エトキシスルフロン、プレチラクロール、メソトリオン、テフリルトリオン、オキサジアゾン、フェノキサプロップ、ピリミスルファン;イネ用殺虫剤:ダイアジノン、フェニトロチオン、フェノブカルブ、モノクロトホス、ベンフラカルブ、ブプロフェジン、ジノテフラン、フィプロニル、イミダクロプリド、イソプロカルブ、チアクロプリド、クロマフェノジド、チアクロプリド、ジノテフラン、クロチアニジン、エチプロール、フルベンジアミド、リナキシピル、デルタメトリン、アセタミプリド、チアメトキサム、Cyazypyr、スピノサド、スピノトラム、エマメクチン安息香酸塩、シペルメトリン、クロルピリホス、カルタップ、メタミドホス、エトフェンプロクス、イサゾホス、4−[[(6−クロルピリジン−3−イル)メチル](2,2−ジフルオルエチル)アミノ]フラン−2(5H)−オン、カルボフラン、ベンフラカルブ;イネ用殺真菌剤:チオファネートメチル、アゾキシストロビン、カルプロパミド、エジフェンホス、フェリムゾン、イプロベンホス、イソプロチオラン、ペンシクロン、プロベナゾール、ピロキロン、トリシクラゾール、トリフロキシストロビン、ジクロシメット、フェノキサニル、シメコナゾール、チアジニル(Tiadinil);ワタ用除草剤:ジウロン、フルオメツロン、MSMA、オキシフルオルフェン、プロメトリン、トリフルラリン、カルフェントラゾン、クレトジム、フルアジホップブチル、グリフォセート、ノルフルラゾン、ペンディメタリン、ピリチオバックナトリウム、トリフロキシスルフロン、テプラロキシジム、グルフォシネート、フルミオキサジン、チジアズロン;ワタ用殺虫剤:アセフェート、アルジカルブ、クロルピリホス、シペルメトリン、デルタメトリン、マラチオン、モノクロトホス、アバメクチン、アセタミプリド、エマメクチン安息香酸塩、イミダクロプリド、インドキサカルブ、λ−シハロトリン、スピノサド、チオジカルブ、γ−シハロトリン、スピロメシフェン、ピリダリル、フロニカミド、フルベンジアミド、トリフルムロン、リナキシピル、β−シフルトリン、スピロテトラマト、クロチアニジン、チアメトキサム、チアクロプリド、ジネトフラン、フルベンジアミド、Cyazypyr、スピノサド、スピノトラム、γシハロトリン、4−[[(6−クロルピリジン−3−イル)メチル](2,2−ジフルオルエチル)アミノ]フラン−2(5H)−オン、チオジカルブ、アベルメクチン、フロニカミド、ピリダリル、スピロメシフェン、スルホキサフロール、プロフェノホス(Profenophos)、トリアゾホス(Thriazophos)、エンドスルファン;ワタ用殺真菌剤:エトリジアゾール(Etridiazole)、メタラキシル、キントゼン;
ダイズ用除草剤:アラクロール、ベンタゾン、トリフルラリン、クロリムロンエチル、クロランスラムメチル、フェノキサプロップ、ホメサフェン、フルアジホップ、グリフォセート、イマザモックス、イマザキン、イマゼタピル、(S−)メトラクロル、メトリブジン、ペンディメタリン、テプラロキシジム、グルフォシネート;ダイズ用殺虫剤:λ−シハロトリン、メトミル、パラチオン、チオカルブ(Thiocarb)、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、チアクロプリド、アセタミプリド、ジネトフラン、フルベンジアミド、リナキシピル、Cyazypyr、スピノサド、スピノトラム、エマメクチン安息香酸塩、フィプロニル、エチプロール、デルタメトリン、β−シフルトリン、γ及びλシハロトリン、4−[[(6−クロルピリジン−3−イル)メチル](2,2−ジフルオルエチル)アミノ]フラン−2(5H)−オン、スピロテトラマト、スピノジクロフェン(Spinodiclofen)、トリフルムロン、フロニカミド、チオジカルブ、β−シフルトリン;ダイズ用殺真菌剤:アゾキシストロビン、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルトリアホール、ピラクロストロビン、テブコナゾール、トリフロキシストロビン、プロチオコナゾール、テトラコナゾール;テンサイ用除草剤:クロリダゾン、デスメジファム、エトフメサート、フェンメディファム、トリアレート、クロピラリド、フルアジホップ、レナシル、メタミトロン、キンメラック、シクロキシジム、トリフルスルフロン、テプラロキシジム、キザロホップ;テンサイ用殺虫剤:イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、チアクロプリド、アセタミプリド、ジネトフラン、デルタメトリン、β−シフルトリン、γ/λシハロトリン、4−[[(6−クロルピリジン−3−イル)メチル](2,2−ジフルオルエチル)アミノ]フラン−2(5H)−オン、テフルトリン、リナキシピル、Cyaxypyr、フィプロニル、カルボフラン;カノーラ用除草剤:クロピラリド、ジクロホップ、フルアジホップ、グルフォシネート、グリフォセート、メタザクロル、トリフルラリン、エタメトスルフロン、キンメラック、キザロホップ、クレトジム、テプラロキシジム;カノーラ用殺真菌剤:アゾキシストロビン、カルベンダジム、フルジオキソニル、イプロジオン、プロクロラズ、ビンクロゾリン;カノーラ用殺虫剤:カルボフラン、有機リン酸エステル、ピレスロイド、チアクロプリド、デルタメトリン、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、アセタミプリド、ジネトフラン、β−シフルトリン、γ−及びλ−シハロトリン、τ−フルバレリエート(Fluvaleriate)、エチプロール、スピノサド、スピノトラム、フルベンジアミド、リナキシピル、Cyazypyr、4−[[(6−クロルピリジン−3−イル)メチル](2,2−ジフルオルエチル)アミノ]フラン−2(5H)−オンが含まれる。
【0108】
植物の収量を増加させる方法
植物の収量を増加させる方法が提供される。その方法は、本明細書に開示された殺虫配列を含むポリヌクレオチドを植物又は植物細胞に導入することを含む。本明細書に定義されるように、植物の「収量」は、植物によって産生されるバイオマスの質及び/又は量を表す。「バイオマス」とは、任意の測定された植物産物が意図される。バイオマス産生の増加は、測定された植物産物の収量における任意の改善である。植物の収量増加は、いくつもの商業的な用途がある。例えば、植物葉バイオマスを増加させることで、ヒト又は動物が消費するための葉物野菜の収量を増加させることができる。追加的に、葉バイオマスの増加は、植物由来医薬品又は工業製品の生産を増加させるために用いることができる。収量の増加は、殺虫配列を発現していない植物に比べて、非限定的に収率の少なくとも1%の増加、少なくとも3%の増加、少なくとも5%の増加、少なくとも10%の増加、少なくとも20%の増加、少なくとも30%の増加、少なくとも50%の増加、少なくとも70%の増加、少なくとも100%の増加又はそれよりも大きな増加を含めた任意の統計的に有意な増加を含みうる。
【0109】
限定としてではなく、例証として以下の実施例を提供する。
【0110】
実験の部
実施例1. 発現構築物
pAX5510は、pRSF1b1ベクターシステム(Invitrogen)ベースの発現ベクターである。このベクターは、E. coli細胞におけるT7プロモーター(例えば、BL21:DE3株における)の転写誘導が、N末端にHisタグを有するcry−R1タンパク質(配列番号2、GENBANK(登録商標)アクセッション番号POA379に記載された配列に対応)の蓄積を招くように、T7プロモーター下流にオープンリーディングフレーム 配列番号1(本明細書においてaxmi−R1と呼ばれ、GENBANK(登録商標)アクセッション番号POA379に記載された配列をコードする)を有する。
【0111】
実施例2. ウエスタンコーンルートワーム(WCRW)及びサザンコーンルートワーム(SCRW)のバイオアッセイ
ウエスタンコーンルートワーム及びサザンコーンルートワームの卵(それぞれDiabrotica virgifera及びDiabrotica undecimpunctata)(Crop Characteristics, MN)を洗浄し、孵化近くまで25℃でインキュベーションした。以前に記載されたように、溶かした人工飼料を調製し(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,351,881号)、24ウェル組織培養プレート(Corning 3527)中に1ml分量ずつ入れ、1時間放冷した。いったん固化したならば、40μlの試料を各ウェルに入れ、試料に拡散させた。試料が吸収された後で、7.5μlの卵:0.15%の寒天スラリー(ウェル1個あたりルートワームの卵約25個)を各ウェルの端に加え、乾燥させた。いったん乾燥したならば、プレートをBREATHE-EASY(登録商標)気体透過性メンブラン(Research Products International)で密封し、暗グロースチャンバー(25℃、90%の相対湿度(RH))の中に置いた。
【0112】
24時間後に、各プレートからそのメンブランを、次に孵化していない卵を除去し、気体透過性メンブランで再度密封し、さらに4日間、暗グロースチャンバー(25℃、90%RH)に戻した。合計5日後に、試料ウェル中の昆虫をプレート内対照と比較し、成長阻害及び死亡率について評価した(スコア付けシステムについては表1参照)。
【0113】
【表1】

【0114】
実施例3. 突然変異誘発の戦略、及び第一の突然変異誘発ライブラリーの創出
第一世代の点突然変異ライブラリー(PMライブラリー1、PM1)は、28個の位置を含む配列番号2の4領域をターゲティングした。テンプレートとしてpAX5510を使用して、いくつかの個別の位置をQUIKCHANGE(登録商標)部位特異的突然変異誘発キットを使用して無作為化し、多数の変異体のDNA配列を決定した。DNA配列の分析によって、所望の変異をプールし、一方で望まれないクローン(野生クローン、重複する突然変異体及びフレームシフト突然変異体など)を除去した。294種類の独特な変異体をPMライブラリー1から同定し、さらなる試験に供した。
【0115】
一次スクリーニング。プールされたライブラリー変異体及びpAX5510を、BL21*DE3細胞にトランスフォーメーションし、LB+カナマイシン(100μg/ml)上に蒔いた。新鮮なコロニーを釣り上げて8.5mlのLB+カナマイシン(100ug/ml)液体培地に入れ、OD600nmが0.3〜0.4に達するまで深型24ウェルブロック中で37℃及び250rpmで成長させた。IPTGを終濃度0.5mMまで添加し、培養液を20℃で追加的に18時間インキュベーションした。OD600nmを決定し、遠心分離によって細胞を収集した(4500rpm、4℃で10分間)。細胞ペレットを50mM炭酸ナトリウム(pH10.5)、1mM DTT中に10 OD600/mlの密度で再懸濁した。ビーズ撹拌によって細胞を破壊し、4000rpm、4℃で15分間遠心分離後に可溶性抽出物を得た。
【0116】
各変異体についてそれぞれ4回の繰り返しで、WCRW及びSCRWに対する活性について抽出物をアッセイした。5日後に、4回の繰り返しからのスコアを平均することによってルートワーム毒性スコアを決定した。この一次選別で変異体(合計436種類)をスクリーニングし、ライブラリーのカバー度1.5×を与えた。
【0117】
再アッセイ及びスケールアップ。一次選別において≧3のスコアとなった43種類の変異体を、一次選別と同じ実験条件を用いて再アッセイした。一次選別及び再アッセイから得られたスコアを、過剰サンプリングによる繰り返し単離株からのスコアを含めて平均し、20種類の変異体を優先的にさらに広範なスケールアップに供した。
【0118】
スケールアップのために、新鮮トランスフォーメーションされた5個のコロニーを釣り上げて135ml LB+カナマイシン(100μg/ml)に入れ、1リットル振盪フラスコ中で0.3〜0.4のOD600nmに達するまで37℃及び250rpmで成長させた。IPTGを0.5mMの終濃度まで添加し、培養物を20℃で追加的に18時間インキュベーションした。OD600nmを決定し、細胞を遠心分離(5000rpm、4℃で10分間)によって収集した。細胞ペレットを50mM炭酸ナトリウム(pH10.5)、1mM DTTに10 OD600/mlの密度で再懸濁した。ビーズ撹拌によって細胞を破壊し、4000rpm、4℃で15分間遠心分離後に可溶性抽出物を得た。クマシーで染色したSDS−PAGE上で、抽出液の系列希釈を公知の濃度のBSA標準と比較することによって、それらの抽出液中のAXMI−R1変異体を定量した。検討したAXMI−R1変異体の濃度は、0.13〜0.22μg/ulの範囲で近接していた。
【0119】
アッセイのために、pRSF1bでトランスフォーメーションされたBL21*DE3からの対照抽出物でAXMI−R1変異体を含有する抽出物の系列希釈物を調製した。希釈は、AXMI−R1変異体を含有する抽出物の40〜1.25μlの範囲であった。したがって、AXMI−R1変異体の濃度を変化させ、BL21#DE3タンパク質の量を一定に保った。WCRWは変異体及び希釈物毎に40回の繰り返しでアッセイした。各希釈についての平均スコア及びEC50を決定した。
【0120】
40μlの抽出物で平均バイオアッセイスコア(n=40)によりAXMI−R1変異体をランク付けした(表2)。比較のために、AXMI−R1野生(wt)の6個の生物学的繰り返しを調製したが、そのデータ及び標準偏差を提供する。
【0121】
変異体D4F11、H9、G5、H4、D5D8、及びD4A2は、WCRWに対して有意に改善された活性を示した。D5D8をコードするヌクレオチド配列を配列番号5に示し、アミノ酸配列を配列番号6に示す。
【0122】
【表2】

【0123】
したがって、任意の特定の理論又はメカニズムに縛られるわけではないが、改善されたWCRW活性は、AXMI−R1の三つの位置で突然変異と結びついている可能性がある(表2)。AXMI−R1の154及び160位は、提案されたプロセシング及び孔形成領域にあるが、316位は、提案されたレセプター結合領域にある(Li et al, 1991, Nature 353:815-821)。
【0124】
実施例4. 組み合わせ変異体:
316位の有利な突然変異を154及び160位の有利な突然変異と組み合わせた変異体を生成させ、プロセシング及びレセプター認識に累積的な改善を提供する突然変異の組み合わせを同定した。表3は、そのような試験の結果を一覧したものであり;バイオアッセイのデータは、組み合わせ突然変異体P160I;G316T(H9+D5D8)及びP160F;G316T(H4+D5D8)が活性に累積的な改善を提供することを示している。H9+D5D8をコードするヌクレオチド配列を配列番号7に示し、アミノ酸配列を配列番号8に示す。H4+D5D8についてのアミノ酸配列を配列番号26に示す。
【0125】
【表3】

【0126】
【表4】

【0127】
実施例5. 点突然変異体ライブラリー2: 316位に隣接する残基
残基316における突然変異からPMライブラリー1(PM1)において改善された殺虫活性が生成したと仮定して、配列番号2に関する313、314、315、317、及び318位について第二の点突然変異ライブラリー(PMライブラリー2、PM2)を生成させた。このライブラリーは、計算上61種の変異体という多様性を有する。92種の変異体をアッセイし、316位に隣接する5種の変異体(R315F、R315M、R315W、Y317E、Y317N)は、一次選別で幾分改善を示した。変異体R315M及びR315Wをスケールアップし、125〜250μg/mlの範囲のタンパク質濃度でアッセイした。データは、315位の変更がCRWに対して改善された活性を生成できることを示している。
【0128】
【表5】

【0129】
【表6】

【0130】
実施例6. 並べ替えライブラリー1
154、155、158及び160位をターゲティングする並べ替え突然変異誘発ライブラリーを生成させた。このライブラリー(ライブラリーP1;P1)を、当技術分野で公知のオリゴ特異的突然変異誘発法を用いて生成させ、768種の変異体という理論的複雑性を有するライブラリーが生じた。ライブラリーに組み入れられた多様性は、以下の通りである:
【0131】
【表7】

【0132】
24ウェル形式で573個のクローンを分析し(それぞれ4回の繰り返し)、さらなる試験のために155個のクローンを同定した。73個のクローンを再試験し、最終的にスケールアップ後に8個のクローンを試験した(本明細書に記載)。
【0133】
実施例7. WCRW及びSCRWに及ぼす変異体の死亡率
本明細書記載のスケールアップ実験のために、所望の活性を示すP1由来のいくつかの変異体を選択した。結果として生じたタンパク質を、125〜250μg/mlの範囲のタンパク質濃度で試験した。いくつかの変異体は、これらのアッセイにおいてWCRW及びSCRWを死滅させる能力を示したが、対照タンパク質AXMI−R1wtは、これらのアッセイにおいてWCRWにもSCRWにも致死性を示さなかった。
【0134】
最初のセットの実験では、CRWの卵をウェルに入れ、試料を添加し、5日後にCRWに対する損傷及びCRWの死亡率%(適用可能な場合)をスコア付けした(表6)。平均スコア及び平均死亡率は、WCRWについては40回の繰り返しを、SCRWについては20回の繰り返しをベースとした。データは、変異体PermutP3c6及びPermutP3c7がWCRWに対して8〜9%の死亡率及びSCRWに対して60〜80%の死亡率を与えるが、AXMI−R1wtは致死性を示さなかったことを示した(表7)。3c7変異体をコードするヌクレオチド配列を配列番号12に示し、アミノ酸配列を配列番号13に示す。
【0135】
SDS−PAGEによるタンパク質の分析から、AXMI−R1wt、3c6、及び3c7の発現レベルが識別不能であり、おそらく同一であることが示される。
【0136】
【表8】

【0137】
【表9】

【0138】
以下の実験では、CRWの卵をウェルに入れ、試料を添加し、1日後に孵化していない卵を除いた。この方法は、試料の適用から1〜2日以内に試料に遭遇する、より同調した早期孵化CRW幼虫集団を与える。これらの条件で、変異体3c7は、WCRWに対して44%の死亡率及びSCRWに対して86%の死亡率を達成した(表8)。
【0139】
【表10】

【0140】
AXMI−R1対照に比べて第3の変異体3a11(V155K;R158G;P160T)もまた、WCRWに対して死亡を誘導した。この実験では、CRWの卵をウェルに入れ、試料を添加し、1日後に孵化していない卵を除いた。このアッセイにおいて、3a11に曝露されたルートワームで36%の死亡率が観察された(表9)。
【0141】
【表11】

【0142】
【表12】

【0143】
実施例8. 組み合わせ変異体
3c7(P154A、V155K、P160V)と、ライブラリーPM1からの変異体D5D8(G316T)とを組み合わせた変異体を生成させ、CRW活性について試験したが、この変異体は、125〜250μg/mlの範囲のタンパク質濃度でWCRW及びSCRWに対して致死性を示した。3c7+D5D8変異体をコードするヌクレオチド配列を配列番号9に、アミノ酸配列を配列番号10に示す。
【0144】
実施例9. ライブラリーPM2
第二世代の点突然変異ライブラリー(PM2)を生成させ、482及び483位における変更を315及び316位における変更と組み合わせた。このライブラリーは、756個の変異体を有する。1100個を超えるクローンを釣り上げ、活性について試験した。変異体「1g8」(G316E、Q482L、G483K)及び「2b11」(G316A、Q482L、G483K)は、AXMI−R1に比べてルートワーム害虫に対して改善された活性を示すことが見出された。変異体1g8は、大部分の場合で3c7よりも優れた活性を示した。1g8変異体をコードするヌクレオチド配列を配列番号14に、アミノ酸配列を配列番号15に示す。
【0145】
【表13】

【0146】
実施例10. ライブラリーP3
AXMI−R1の481〜486位(本明細書において「ループ3」と呼ぶ)に対応する位置における変異体のライブラリー(ライブラリーP3)を生成させた。殺虫活性への各残基の寄与を評価するために個別のクローンを試験した。残基482及び483における変異体がコーンルートワームに対して改善された活性を示したので、これらの残基は活性に寄与することが見出された(表12)。
【0147】
【表14】

【0148】
実施例11 組み合わせ変異体
【0149】
変異体1g8及び2b11に見られた変更を3c7における変更と組み合わせたクローンを生成させた。結果として生じたクローンAXMI−R1(3c7+1g8)及びAXMI−R1(3c7+2b11)を試験し、これらのクローンがコーンルートワームに活性を保持することを見出した。特に、AXMI−R1(3c7+1g8)は、コーンルートワームに対して3c7単独よりも高い死亡率を示すように見られた。AXMI−R1(3c7+2b11)もまた、一部の試験で3c7単独よりも大きな活性を示すように見られた。
【0150】
実施例12. AXMI−R1(EVO23)の生成
プロセシング領域についての第二世代の置換ライブラリーをAXMI−R1(1g8)(配列番号15)にクローニングすることによって、レセプター結合領域に突然変異を有する変異体AXMI−R1(1g8)に関連してプロセシング領域における多様性を選別することを可能にした。そのライブラリーの多様性は573である。変異体(n=813)をスクリーニングし、163個のクローンを再アッセイし、40個の変異体をスケールアップした。AXMI−R1(EVO23)(配列番号17)は、そのライブラリーの中で最高の活性を有した。AXMI−R1(EVO23)をコードするヌクレオチド配列を配列番号16に示す。WCRWに対するEVO23の活性を表13に示す。
【0151】
【表15】

【0152】
実施例13. ドメインII/IIIの界面変異体の生成
axmi−R1のモデル化は、ドメイン2とドメイン3との界面に寄与する三つの領域を同定した。これらの領域は、配列番号2の331〜335位、368〜373位、及び518〜524位に対応する。これらの領域をターゲティングする変異体ライブラリーを生成させた。518〜524位に対応するライブラリーの多様性は8であった(表14)。12個の変異体をスクリーニングし、L61E11を再アッセイ及びスケールアップした。
【0153】
【表16】

【0154】
WCRWに対するL61R11変異体の活性を表15に示す。
【0155】
【表17】

【0156】
本発明は、本明細書に記載された残基の変更が害虫に対して改善された活性を有する変異体をもたらすことを実証している。本発明において変更された残基の概要を表16に提供する。
【0157】
【表18】



【0158】
実施例14. 他のCryタンパク質における進化したAXMI−R1配列の使用:
プロセシング、レセプター結合及び活性を改善するために、有利な突然変異を有するAXMI−R1配列セグメントを他の相同Cryタンパク質に挿入することができよう。例えば、プロセシング領域にわたる、進化したAXMI−R1変異体からの配列セグメントを使用して、axmi008、axmi028、及び他のCryタンパク質における相同領域を交換することができよう。Cryタンパク質の3Dフォールディングは保存されているので、雑種タンパク質のプロセシング及び効力の改善を達成することができる。これらのAXMI−R1変異体配列のさらなる突然変異誘発により、ホストタンパク質に関連したAXMI−R1変異体配列を適合及び改善することを助けることができる。
【0159】
実施例15. 殺虫活性についての追加的なアッセイ
殺虫タンパク質を産生する能力について本発明のヌクレオチド配列を試験することができる。殺虫タンパク質が害虫に対して殺虫剤として作用する能力は、多くの場合にいくつかの方法で評価される。当技術分野において周知の一方法は、摂食アッセイを行うことである。そのような摂食アッセイでは、被験化合物又は対照試料のいずれかを含有する試料に害虫を曝露する。多くの場合に、これは被験物質又はそのような物質を適切に希釈したものを、害虫が摂取する人工飼料などの物質の上に置くことによって行われる。被験物質は、液体、固体、又はスラリーから構成されることがある。被験物質を、表面上に置き、次に乾燥させることができる。又は、被験物質を溶けた人工飼料と混合し、次にアッセイチャンバーに分注することができる。アッセイチャンバーは、例えば、カップ、ディッシュ、又はマイクロタイタープレートのウェルのことがある。
【0160】
吸汁性の害虫(例えばアブラムシ)についてのアッセイは、仕切りで昆虫から被験物質を、理想的には吸汁性昆虫の吸汁口部分で突き刺すことのできる部分を分離して、被験物質を摂取させることを伴うことがある。多くの場合に被験物質をスクロースなどの摂食刺激剤と混合し、被験化合物の摂取を促進する。
【0161】
他の種類のアッセイには、害虫の口又は腸管への被験物質のマイクロインジェクション、さらにはトランスジェニック植物の開発に続き、その害虫がそのトランスジェニック植物を摂食する能力の試験が含まれうる。植物試験は、通常は消費される植物部分の隔離、例えば葉に小さなケージを取り付けること、又は昆虫の入ったケージに植物全体を隔離することを伴うことがある。
【0162】
害虫をアッセイするための他の方法及びアプローチは、当技術分野において公知であり、例えばRobertson and Preisler、eds. (1992) Pesticide bioassays with arthropods、CRC、Boca Raton、FLに見出すことができる。又は、アッセイは、雑誌Arthropod Management Tests及びJournal of Economic Entomologyに、又はEntomological Society of America(ESA)の会員との議論によって通例説明される。
【0163】
実施例16. 植物発現用遺伝子のベクター化
本発明のコード領域を、植物において発現させるために適切なプロモーター及びターミネーター配列と接続する。そのような配列は当技術分野において周知であり、それらには、単子葉植物における発現用のイネアクチンプロモーター又はトウモロコシユビキチンプロモーター、双子葉植物における発現用のArabidopsis UBQ3プロモーター又はCaMV 35Sプロモーター、及びnos又はPinIIターミネーターが含まれる。プロモーター−遺伝子−ターミネーター構築物を産生及び確認するための技法もまた、当技術分野において周知である。
【0164】
本発明の一局面では、合成DNA配列が設計及び生成される。これらの合成配列は、親配列に比べて変更されたヌクレオチド配列を有するが、親配列と本質的に同一なタンパク質をコードする。
【0165】
本発明の別の態様では、結果として生じるペプチドが小胞体又はアポプラストなどの植物オルガネラにターゲティングされるように、改変版の合成遺伝子が設計される。植物オルガネラへの融合タンパク質のターゲティングを招くことが知られているペプチド配列は、当技術分野において公知である。例えば、シロバナルーピンLupinus albus(GENBANK(登録商標)ID GI:14276838、Miller et al. (2001) Plant Physiology 127: 594-606)由来の酸性ホスファターゼ遺伝子のN末端領域は、異種タンパク質の小胞体ターゲティングを招くことが当技術分野において公知である。結果として生じた融合タンパク質が、また、C末端にペプチドN末端−リシン−アスパラギン酸−グルタミン酸−ロイシン(すなわち、「KDEL」モチーフ、配列番号11)を含む小胞体保留配列を有する場合、その融合タンパク質は、小胞体にターゲティングされる。融合タンパク質がC末端に小胞体ターゲティング配列を欠如する場合、タンパク質は小胞体にターゲティングされるが、最終的にアポプラストに隔離される。
【0166】
したがって、この遺伝子は、本発明のアミノ酸配列のN末端に融合したシロバナルーピンLupinus albus(GENBANK(登録商標)ID GI:14276838、Miller et al., 2001、上記)由来の酸性ホスファターゼ遺伝子の31個のN末端アミノ酸及びC末端のKDEL配列を有する融合タンパク質をコードする。したがって、結果として生じたタンパク質は、植物細胞に発現した場合、植物小胞体にターゲティングされると予測される。
【0167】
上記植物発現カセットは、トランスフォーメーションされた細胞及び組織の選択を助けるために適切な植物選択マーカーと組み合わされ、植物トランスフォーメーションベクターにライゲーションされる。これらには、Agrobacterium介在性トランスフォーメーションからのバイナリーベクター又はエアロゾル若しくはバイオリスティックトランスフォーメーション用の単純なプラスミドベクターが含まれうる。
【0168】
実施例17. 本明細書記載の殺虫タンパク質遺伝子を有するトウモロコシ細胞のトランスフォーメーション
トウモロコシ穂を最良には受粉の8〜12日後に収集する。穂から胚を単離し、大きさが0.8〜1.5mmの胚がトランスフォーメーションに使用するために好ましい。DN62A5S培地(3.98g/L N6塩類;1mL/L(1000×原液使用)N6ビタミン類;800mg/L L−アスパラギン;100mg/Lミオイノシトール;1.4 g/L L−プロリン;100mg/Lカザミノ酸;50g/Lスクロース;1mL/L(1mg/mL原液使用)2,4−D)などの適切なインキュベーション培地上にその胚を胚盤側を上にして蒔く。しかしながら、DN62A5S以外の培地及び塩類は、当技術分野において適切かつ公知である。胚を25℃の暗条件で一晩インキュベーションする。しかしながら、胚を一晩インキュベーションすること自体は必要ない。
【0169】
結果として生じた外植片を正方形のメッシュに移植し(プレート1枚あたり30〜40個)、浸透圧培地上に約30〜45分間移植し、次にビーミングプレート(beaming plate)に移植する(例えば、PCT公報WO/0138514及び米国特許第5,240,842号を参照されたい)。
【0170】
植物細胞における本発明の遺伝子に設計されたDNA構築物を、エアロゾルビームアクセレレーターを使用して、PCT公報WO/0138514に本質的に記載されたような条件を用いて植物組織中に加速する。ビーム処理の後で、胚を浸透圧培地上で約30分間インキュベーションし、25℃の暗条件でインキュベーション培地上に一晩蒔く。ビーム処理された外植片を過度に損傷することを避けるために、回復培地に移植する前にそれらを少なくとも24時間インキュベーションする。次に、胚を25℃の暗条件で約5日間回復期培地上に広げ、次に選択培地に移植する。利用される特定の選択の性質及び特徴に応じて外植片を最大8週間選択培地中でインキュベーションする。選択期間の後に、結果として生じたカルスを成熟体細胞胚の形成が観察されるまで胚成熟培地に移植する。次に、結果として生じた成熟体細胞胚を低光量下に置き、当技術分野において公知の方法によって再生過程を開始させる。結果として生じたシュートを発根培地上で発根させ、結果として生じた植物を育苗ポットに移植し、トランスジェニック植物として繁殖させる。
【0171】
材料
【0172】
【表19】

【0173】
溶液のpHを1N KOH/1N KClでpH5.8に調整し、Gelrite(Sigma)を最大3g/Lの濃度で添加し、培地をオートクレーブにかける。50℃に冷却後に、硝酸銀(Phytotechnology Labs)の5mg/ml原液を2ml/Lとなるように添加する。
【0174】
実施例18. Agrobacterium介在性トランスフォーメーションによる植物細胞における本発明の遺伝子のトランスフォーメーション
穂を最良には受粉の8〜12日後に収集する。穂から胚を単離し、大きさが0.8〜1.5mmの胚がトランスフォーメーションに使用するために好ましい。適切なインキュベーション培地上にその胚を胚盤側を上にして蒔き、25℃の暗条件で一晩インキュベーションする。しかしながら、胚を一晩インキュベーションすること自体は必要ない。胚を、Tiプラスミド介在性伝達のために適切なベクターを有するAgrobacterium株と約5〜10分間接触させ、次に共培養培地上に約3日間(25℃の暗条件)蒔く。共培養後に、外植片を回復期培地に約5日間(25℃の暗条件)移植する。利用する特定の選択の性質及び特徴に依存して、外植片を選択培地中で最大8週間インキュベーションする。選択期間の後に、結果として生じたカルスを成熟体細胞胚の形成が観察されるまで胚成熟培地に移植する。次に、結果として生じた成熟体細胞胚を低光量下に置き、当技術分野で公知のような再生過程を開始させる。
【0175】
本明細書において言及された全ての刊行物及び特許出願は、本発明が属する技術分野の技術者の技術レベルを示している。全ての刊行物及び特許出願は、各個別の刊行物又は特許出願が具体的かつ個別に参照により組み入れられると示された場合と同程度に参照により本明細書に組み入れられる。
【0176】
理解を明瞭にするために、前述の発明を例証及び実例として幾分詳細に説明したものの、添付の特許請求の範囲内である変化又は改変を実施できることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変異Cry3アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むリコンビナント核酸分子であって、該変異体が、表16に挙げられるアミノ酸置換に対応する1個又は複数個のアミノ酸置換を含み、かつ殺虫活性を有する、リコンビナント核酸分子。
【請求項2】
変異体の殺虫活性が、配列番号2の殺虫活性に比べて改善されている、請求項1記載のリコンビナント核酸分子。
【請求項3】
殺虫活性が、Coleoptera害虫に対する、請求項1又は2記載のリコンビナント核酸分子。
【請求項4】
殺虫活性が、ルートワーム害虫に対する、請求項1〜3のいずれか記載のリコンビナント核酸分子。
【請求項5】
ルートワームが、ウエスタンコーンルートワーム又はサザンコーンルートワームである、請求項1〜4のいずれか記載のリコンビナント核酸分子。
【請求項6】
ヌクレオチド配列が、植物における発現のために設計された合成配列である、請求項1〜5のいずれか記載のリコンビナント核酸分子。
【請求項7】
ヌクレオチド配列が、植物細胞における該ヌクレオチド配列の発現を指令可能なプロモーターに作動可能に連結している、請求項1〜6のいずれか記載のリコンビナント核酸分子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項9】
異種ポリペプチドをコードする核酸分子をさらに含む、請求項8記載のベクター。
【請求項10】
請求項8又は9記載のベクターを含むホスト細胞。
【請求項11】
細菌ホスト細胞である、請求項10記載のホスト細胞。
【請求項12】
植物ホスト細胞である、請求項10記載のホスト細胞。
【請求項13】
請求項12記載のホスト細胞を含むトランスジェニック植物。
【請求項14】
トウモロコシ、ソルガム、コムギ、キャベツ、ヒマワリ、トマト、アブラナ科植物、コショウ、ジャガイモ、ワタ、イネ、ダイズ、テンサイ、サトウキビ、タバコ、オオムギ、及びアブラナから成る群より選択される、請求項13記載のトランスジェニック植物。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか記載の核酸分子を含む種子。
【請求項16】
変異Cry3アミノ酸配列を含むリコンビナントポリペプチドであって、該変異体が、表16に挙げられるアミノ酸置換に対応する1個又は複数個のアミノ酸置換を含み、かつ殺虫活性を有する、リコンビナントポリペプチド。
【請求項17】
変異体の殺虫活性が、配列番号2の殺虫活性に比べて改善されている、請求項16記載のリコンビナントポリペプチド。
【請求項18】
殺虫活性が、Coleoptera害虫に対する、請求項16又は17記載のリコンビナントポリペプチド。
【請求項19】
殺虫活性が、ルートワーム害虫に対する、請求項18記載のリコンビナントポリペプチド。
【請求項20】
ルートワームが、ウエスタンコーンルートワーム又はサザンコーンルートワームである、請求項19記載のリコンビナントポリペプチド。
【請求項21】
異種アミノ酸配列をさらに含む、請求項16〜20のいずれか記載のポリペプチド。
【請求項22】
請求項16記載のポリペプチドを含む組成物。
【請求項23】
粉末、細粉、ペレット、顆粒、スプレー、エマルション、コロイド、及び溶液から成る群より選択される、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
Bacillus thuringiensis細胞培養物の乾燥、凍結乾燥、均質化、抽出、濾過、遠心分離、沈降、又は濃縮によって調製される、請求項22又は23記載の組成物。
【請求項25】
約1重量%〜約99重量%のポリペプチドを含む、請求項22〜24のいずれか記載の組成物。
【請求項26】
Coleoptera害虫集団を請求項16記載の殺虫有効量のポリペプチドと接触させることを含む、該集団を防除する方法。
【請求項27】
Coleoptera害虫を請求項16記載の殺虫有効量のポリペプチドと接触させること、又は該害虫に殺虫有効量の該ポリペプチドを摂食させることを含む、該害虫を死滅させる方法。
【請求項28】
請求項8記載のベクターを含むホスト細胞を培養することを含む、Coleoptera害虫に対して殺虫活性を有するポリペプチドを産生させる方法。
【請求項29】
変異Cry3アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含むDNA構築物がゲノムに安定的に組み入れられた植物であって、該変異体が、表16に挙げられるアミノ酸置換に対応する1個又は複数個のアミノ酸置換を含み、かつ殺虫活性を有する、植物。
【請求項30】
変異体の殺虫活性が、配列番号2の殺虫活性に比べて改善されている、請求項29記載の植物。
【請求項31】
殺虫活性が、Coleoptera活性である、請求項29又は30記載の植物。
【請求項32】
活性が、ルートワーム害虫に対する、請求項31記載の植物。
【請求項33】
ルートワームが、ウエスタンコーンルートワーム又はサザンコーンルートワームである、請求項32記載の植物。
【請求項34】
植物が、植物細胞である、請求項29〜33のいずれか記載の植物。
【請求項35】
変異Cry3アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を植物又はその細胞において発現させることを含む、植物を害虫から保護する方法であって、該変異体が、表16に挙げられるアミノ酸置換に対応する1個又は複数個のアミノ酸置換を含み、かつ殺虫活性を有する、方法。
【請求項36】
変異体の殺虫活性が、配列番号2の殺虫活性に比べて改善されている、請求項35記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−516700(P2012−516700A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549274(P2011−549274)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/023291
【国際公開番号】WO2010/091230
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(510330389)アテニックス・コーポレーション (4)
【氏名又は名称原語表記】ATHENIX CORPORATON
【Fターム(参考)】