説明

外乱磁場の複合型磁気シールド方法及び構造

【課題】シールド対象位置とセンサ位置とが離れていてもシールド性能の劣化を防止できる外乱磁場の複合型磁気シールド方法及び構造を提供する。
【解決手段】シールド対象空間R内の所定対象位置P上に到来外乱磁場Boの到来方向と垂直な軸線Mを想定し、且つ、その軸線Mと交差する所定間隔dの平行な複数の平面Q上に空間Rの外縁に沿って環状磁性板4の群5を筒型に配置し、筒型磁性板群5の内側又は外側の対象位置Pの周囲に補償磁場発生用コイル12a、12bを設置する。対象位置Pに対して位相差δが許容範囲内の内部磁場Beを検出できる筒型磁性板群5内の離隔位置Sに磁気センサ14を設け、センサ14の出力に応じてコイル12a、12bの補償磁場を制御して対象位置Pの内部磁場Beを減衰させる。好ましくは、対象位置Pを筒型磁性板群5の軸線M方向の中心とし、筒型磁性板群5の軸線M方向の長さLを環状磁性板4の径Dの2倍以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外乱磁場の複合型磁気シールド方法及び構造に関し、とくにパッシブ型磁気シールドとアクティブ型磁気シールドとを組み合わせて外乱磁場を減衰させる複合型磁気シールド方法及び構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造施設で用いる電子顕微鏡、EB露光装置、EBステッパ等の電子ビーム応用装置は、例えば100nT(1mG)程度の微弱な磁気ノイズでも電子ビームの軌道が変化するので、製品の品質を維持するために外乱磁場(環境磁場)の影響を避けることが必要である。また、医療施設等で用いるMRI装置、NMR装置、脳磁計や心磁計等のSQUID(超電導量子干渉素子)応用装置も、超微弱な磁場変動への感度が高いために外乱磁場の影響を遮断することが求められる。このような磁場の影響を受けやすい装置(嫌磁気装置)を外乱磁場から保護して正常な動作を保証するため、半導体製造施設・医療施設等の内部に磁気シールド空間(磁気シールドルーム)を設けることがある。
【0003】
磁気シールド空間は、例えば比透磁率μの高いパーマロイ、電磁鋼板等の強磁性板で空間の周囲を覆い、空間外から到来する外乱磁場(以下、到来外乱磁場という)の磁力線を磁性板料中に迂回させて空間内への進入を防ぐパッシブ型(受動型)構造として構築することができる。ただし、高性能な磁気シールド空間を構築する場合、強磁性板を適当な空隙を設けて多層配置する必要が生じ、コストが膨大になる等の問題点がある。これに対し、空間の内側又は外側に補償磁場発生用のコイル(以下、補償コイルということがある)を配置し、到来外乱磁場の変動に応じて補償コイルに適切な補償磁場を発生させて到来外乱磁場の変動を減衰させ又は相殺するアクティブ型(能動型)の磁気シールド構造が開発されている(例えば特許文献1参照)。微弱な到来外乱磁場の変動に対応した磁気シールドの構築にはパッシブ型とアクティブ型とを組み合わせた複合型磁気シールドが性能的・経済的に有利であり、複合型磁気シールド構造の高性能化を図る研究開発が進められている(非特許文献1、2参照)。
【0004】
非特許文献2は、図8(A)のような複合型磁気シールド構造1を開示している。図示例の複合型構造1は、シールド対象空間Rの床、壁、天井の各内面に強磁性板(パーマロイ等)6a、6b、6c、6dを隙間なく配置したパッシブ型磁気シールド構造7(以下、密閉型シールド構造7ということがある)と、アクティブ型磁気シールド構造10とを組み合わせたものである。図示例のアクティブ型磁気シールド構造10は、空間Rの内側又は外側に配置した補償コイル12a、12bと、磁気センサ(磁気検出器)14と、磁気センサ14の計測磁場(磁束密度)を入力して補償コイル12a、12bを駆動する制御装置16とにより構成されている。例えば空間R内の所定位置PのX軸に補償コイル12a、12bの中心軸線を芯合わせして配置し、パッシブ型磁気シールド7だけでは対応できないX軸方向の到来外乱磁場Boによる空間R内の動的な磁場変動(後述する所定位置Pの内側磁場Be)を補償コイル12a、12bの発生する補償磁場Bcの重畳によって減衰させる。図示例はX軸方向の補償コイル12a、12bのみを示しているが、Y軸方向及びZ軸方向についても同様に補償コイル12を配置することにより、あらゆる方向の到来外乱磁場に対応することができる。
【0005】
また非特許文献2は、図8(A)のような複合型構造において、アクティブ型(補償コイル12)とパッシブ型(強磁性板6)との配置関係によるシールド性能を比較検討し、強磁性板6の内側に補償コイル12を配置して複合型構造とする方が、強磁性板6の外側に補償コイル12を配置する構造に比して、高いシールド性能を効率よく得ることができると報告している。例えば、強磁性板6の内側の高さ1/2の位置に1.05〜1.1m間隔で一対の補償コイル12a、12bを配置すれば、比較的小さな電流でX軸方向の到来外乱磁場を減衰させることができ、対象空間Rの中心付近に比較的広い低磁場領域を形成することができる。また、パッシブ型の内側に補償コイル12を配置する複合型構造は、補償コイル12の発生する補償磁場が空間Rの周辺環境に磁気ノイズとなって拡散するおそれがなく、パッシブ型の強磁性板6の磁化過程に起因するような磁気ノイズにも対応できる点でも有利であると指摘している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−175067号公報
【特許文献2】国際公開2004/084603号パンフレット
【特許文献3】特開2006−351598号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】V.O.Kelha、et.al.”Design、 construction、 and performance of a large−volume magnetic shield”、 IEEE Transactions on Magnetics、 Vol.18、 No.1、 pp.260−270
【非特許文献2】古賀文隆ほか「内部アクティブ磁気シールドシステム開発のための磁界解析」、福岡県工業技術センター研究報告、No.15、2005年9月、pp130−132
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図8(A)の複合型磁気シールド構造は、シールド対象空間R内のシールド対象位置Pと磁気センサ14の設置位置S(センサ位置S)とが離れていると、シールド性能が劣化しうる問題点がある。アクティブ型磁気シールドでは、センサ位置Sの磁場(制御信号)に基づいて対象位置Pの磁場(出力信号)を制御するフィードバック系(図8(B)参照)を用いるために、センサ位置Sを対象位置Pにできるだけ近付けることが望ましいが、現実には対象位置Pにシールド対象の嫌磁気装置(例えばMRI装置等)が設置されるので、様々な物理的干渉を回避するためにセンサ位置Sと対象位置Pとを離さざるを得ないことも多い。例えば、強磁場を発生する嫌磁気装置(例えばMRI装置のデュワ部)の近傍では微弱な磁場の変動を計測すること自体が難しいため磁気センサ14を装置から隔てて設置しなければならず、また装置利用者のハンドリング等の観点から嫌磁気装置の近傍にセンサの設置スペースを確保できない場合もある。例えばMRI装置を設置する磁気シールド空間R(シールド室)では、磁気センサ14をMRI装置から十分に離れた天井面等に設置することも通常である。
【0009】
図8(A)において、センサ位置Sと対象位置Pとが離れているとシールド性能の劣化を招く原因の1つは、シールド対象空間Rの内部の各位置における磁場Be(以下、内部磁場Beということがある)に位相差δが生じることにある。すなわち、一般にパッシブ型磁気シールドでは到来外乱磁場Boの磁束密度φが変化すると強磁性板(導体)6中に起電力e(=−dφ/dt)の渦電流が誘導され、図示例のように対象空間Rの内面全体を強磁性板6で覆う密閉型シールド構造7では、到来外乱磁場Boの方向に応じて各内面の強磁性板6に向きの異なる渦電流が流れることにより内部磁場Beを減衰させる。例えば図6(A)及び図6(B)に示すようにX軸方向の到来外乱磁場Boの磁束密度φが変化すると、空間RのX軸方向と交差する前後YZ面の強磁性板6の外周部で電流密度が高くなり、その渦電流に起因して発生する誘導磁場と到来外乱磁場Boとが合成される結果、前後YZ面の内部磁場Beは外側の到来外乱磁場Boに対して位相がずれる。また、空間RのX軸方向と平行な上下XZ面の強磁性板6でも電流密度が高くなり、同様に上下XZ面の内部磁場Beに位相のずれを生じさせるが、上下XZ面の内側の渦電流に起因して発生する誘導磁場は前後YZ面の場合とは極性が異なる。このように、空間Rの各強磁性板6の渦電流に起因する様々な極性の誘導磁場と到来外乱磁場Boとが合成される結果、空間Rの内側の離れたセンサ位置Sと対象位置Pとでは内部磁場Beに位相差δ(位相の分布)が生じる。
【0010】
対象位置Pとセンサ位置Sとで内部磁場Beに位相差δが生じると、図8(B)に示すアクティブ型磁気シールドの磁気シールド性能が低下しうる。複合型磁気シールドでは、上述したようにパッシブ型で減衰された内部磁場Beに対してアクティブ型の補償コイル12の生成する補償磁場Bcを重畳し、その重畳磁場Bs(=Be−Bc)がゼロに近付くようにフィードバック系でコイル電流を調整する。このアクティブ型磁気シールドの磁気シールド性能(相殺性能)SEsは、重畳磁場Bsに対する内部磁場Beの比率(=Be/Bs)として定義され、(1)〜(3)式のように一巡伝達関数G(ω)を用いて評価することができる。一般にアクティブ型磁気シールドの一巡伝達関数G(ω)は磁気センサ14、制御装置16、補償コイル12の特性によって定まり、それ自体に位相遅延が生じていることもあるが、(3)式から分かるように伝達関数G(ω)が大きいほど性能SEsが高くなる。対象位置Pとセンサ位置Sとの間に位相差δが生じると、伝達関数G(ω)の位相遅延が大きくなり、一般的にはそれに応じて伝達関数G(ω)が小さくなって性能SEsの低下を招く。図8(A)のように補償コイル12がパッシブ型(強磁性板6)の内側に配置されているときは、位相差δが更に大きくなると、補償コイル12の駆動によって対象位置Pの内部磁場Beが逆に大きくなり、アクティブ型磁気シールドが対象位置Pの外乱要因となることも起こり得る。

【0011】
図9は、一定のシステム構成及び到来外乱磁場の条件を仮定したうえで、アクティブ型磁気シールドの相殺性能(シールド性能)SEsと内部磁場Beの位相差δとの関係を計算したグラフの一例を示す。同グラフは、位相差δが10度未満であれば初期性能の80%以上の相殺性能を確保できるが、位相差δが20度以上になると初期性能の70%以下に相殺性能が低下することを示している。すなわち、シールド対象位置Pとセンサ位置Sとが離隔しているシールド対象空間Rでは、複合型磁気シールドによって高いシールド性能を効率的に確保するために、単にパッシブ型(強磁性板6)とアクティブ型(補償コイル12)との配置関係等を調整するだけは足りず、両位置P、Sの離隔により生じる性能の劣化(内部磁場Beの位相差δによる性能劣化)を防止することが重要となる。
【0012】
そこで本発明の目的は、シールド対象位置とセンサ位置とが離れていてもシールド性能の劣化を防止できる外乱磁場の複合型磁気シールド方法及び構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、図7に示すような簾状に並べた帯状磁性板の群(以下、シールド簾体という)を用いた磁気シールド構造に着目した(特許文献2及び3参照)。図示例のシールド構造は、図7(A)のように所定幅W(例えば30〜100mm程度)の複数の帯状磁性板2を長手方向中心軸Cが同一簾面F上にほぼ平行に並ぶように所定間隔dで積層してシールド簾体3とし、更に図7(B)に示すように複数のシールド簾体3a、3b、3c、3dを対応する帯状磁性板2の端縁の重ね合わせ(面接触、図中の符号9参照)によって磁気的に接合して列状構造としたものである。図7(B)のように、列状のシールド簾体3の一端側の未接合端縁を他端側の対応する未接合端縁と接合し、磁気的に閉じた環状磁性板4の群を形成することにより、所定間隔dで筒型に積層された環状磁性板4の群によりシールド対象空間Rを囲むパッシブ型磁気シールド構造5(以下、筒型磁性板群5ということがある)を形成することができる。
【0014】
図7(A)のシールド簾体3は、各磁性板2の相互間隔dにより開放性(透視性、透光性、放熱性)を有している。その間隔dは、磁性板2中の磁束の通りやすさ(磁性板のパーミアンス)が間隔d中の磁束の通りやすさ(間隔のパーミアンス)より大きくなるように、すなわち簾体3の長手方向中心線Cと直交する間隔dの断面積Saに対する磁性板2の断面積Smと比透磁率μとの積(Sm・μ)の割合(Sm・μ/Sa)が1より大きくなるように設計する。また図7(B)の開放性を有する筒型磁性板群5は、磁気的に閉じた環状磁性板4を磁束の通りやすい閉磁路(磁束の漏れにくい磁気回路)として磁束を集中させ、間隔dからの磁気の漏洩(シールド性能の劣化)を小さく抑えることにより、同じ量の磁性板料を用いた密閉型シールド構造7(図8(A)参照)と同等以上の性能を有している(特許文献2参照)。
【0015】
図6(C)及び図6(D)は、図7(B)の筒型磁性板群5の中心軸線(筒軸)をシールド対象空間RのZ軸に芯合わせして配置し、X軸方向の到来外乱磁場Boの磁束密度φの変化によって筒型磁性板群5の各環状磁性板4に誘導される渦電流を示したものである。筒型磁性板群5では、図6(A)及び(B)の密閉型シールド構造7の場合と同様に渦電流が誘導されるものの、環状磁性板4の相互間隔dによって電流経路が分断されているため、密閉型シールド構造7の前後YZ面のような大きな鎖交面積をもった渦電流は生じない。また、環状磁性板4の各部分が到来外乱磁場Boと平行になっており、各部分に流れる渦電流の極性向きが揃っているので、渦電流に起因する誘導磁場によってシールド構造の内部磁場Beに大きな位相差δ(位相の分布)が生じにくいと予想される。
【0016】
本発明者は、図4に示すように、複数の径Dの環状磁性板4(図示例ではロ字型の磁性板)を所定筒軸(図示例ではZ軸)に芯合わせして所定間隔dで筒型に積層することにより全長L(=D×2)の磁気シールド構造(筒型磁性板群)5を試作し、到来外乱磁場Boによって生じるシールド構造の内部磁場Beの位相分布を確認する実験を行った。本実験では、図4(B)に示すように、筒型磁性板群5の両端から等距離(=L/2)のZ軸上に原点Pを設けると共に、その原点Pを通る環状磁性板4と平行な平面上のY軸及びX軸上に計測点S1、S2(原点Pからの距離=環状磁性板4の径Dの1/3)を設け、X軸方向からの到来外乱磁場Boの周波数を変えながら、その到来外乱磁場Boの変動に対する原点P及び計測点S1、S2の各々の内部磁場Beの位相のずれ(位相の変位)を計測した。また、図4(C)に示すように、原点Pから隔てた軸線Z上に計測点S3(原点Pからの距離=筒型磁性板群5の長さLの1/6)を設け、同様にしてX軸方向の到来外乱磁場Boの変動に対する計測点S3の内部磁場Beの位相変位を計測した。
【0017】
図5のグラフは、図4の実験結果、すなわち原点P及び各計測点S1、S2、S3における内部磁場Beの到来外乱磁場Boに対する位相変位の計測結果を示す。同グラフから、到来外乱磁場Boの周波数が1〜200Hzの間で変化しても、筒型磁性板群5の内部の原点P及び計測点S1、S2では位相差δが1.5度以内に収まっており、筒軸(Z軸)と垂直な環状磁性板4と平行な平面上では位相差δがほとんど生じていないことが分かる。また、筒軸(Z軸)方向に隔てた原点Pと計測点S3との間でも位相差δは9.2度以内に収まっており、筒軸(Z軸)方向に生じる位相の分布も緩やかなものであることが分かる。図9を参照して上述したように、位相差δが10度以下であればアクティブ型磁気シールドの相殺性能(シールド性能)SEsが大幅に低下することはなく、初期性能の80%以上のシールド性能を確保できる。すなわち、図8のように密閉型シールド構造7に代えて、図7のような筒型磁性板群5(開放型シールド構造5)を用いて複合型磁気シールドを構築すれば、シールド対象位置Pとセンサ位置Sとが離れていても、両位置P、Sの位相差δに起因する性能の劣化を防止することが期待できる。本発明は、この着想に基づく研究開発によって完成に至ったものである。
【0018】
図1の実施例を参照するに、本発明による外乱磁場の複合型磁気シールド方法は、シールド対象空間R内の所定対象位置P上に到来外乱磁場Boの方向と垂直な軸線Mを想定し且つその軸線Mと交差する所定間隔dの平行な複数の平面Q上に空間Rの外縁に沿って環状磁性板4の群5(図7(B)参照)を筒型に配置し、筒型磁性板群5の内側又は外側の対象位置Pの周囲に補償磁場発生用コイル12a、12bを設置し、対象位置Pに対して位相差δが許容範囲内の内部磁場Beを検出できる筒型磁性板群5内の離隔位置Sに磁気センサ14を設け、センサ14の出力に応じてコイル12a、12bの補償磁場を制御して対象位置Pの内部磁場Beを減衰させてなるものである。
【0019】
また図1の実施例を参照するに、本発明による外乱磁場の複合型磁気シールド構造は、シールド対象空間R内の所定対象位置P上に到来外乱磁場Boの方向と垂直な軸線Mを想定し且つその軸線Mと交差する所定間隔dの平行な複数の平面Q上に空間Rの外縁に沿って筒型に配置した環状磁性板4の群5(図7(B)参照)、筒型磁性板群5の内側又は外側の対象位置Pの周囲に設置した補償磁場発生用コイル12a、12b、及び対象位置Pに対して位相差δが許容範囲内の内部磁場Beを検出できる筒型磁性板群5内の離隔位置Sに設けた磁気センサ14を備えてなり、センサ14の出力に応じてコイル12a、12bの補償磁場を制御して対象位置Pの内部磁場Beを減衰させるものである。
【0020】
好ましくは、磁気センサ14を、対象位置Pを通る環状磁性板4と平行な平面Q上に設ける。或いは、対象位置Pに対して位相差δが許容範囲内の内部磁場Beを検出できる筒型磁性板群5内の軸線M方向の離隔許容範囲を検出し、磁気センサ14を、対象位置Pから離隔許容範囲内の環状磁性4板と平行な平面Q上に設けてもよい。
【0021】
更に好ましくは、対象位置Pを筒型磁性板群5の軸線M方向の中心とし、筒型磁性板群5の軸線M方向の長さLを環状磁性板4の径Dの2倍以上とする。必要に応じて、図2に示すように、軸線Mと交差する筒型磁性板群5の両端面に磁気シールド面8を配置してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明による外乱磁場の複合型磁気シールド方法及び構造は、シールド対象空間R内の所定対象位置P上に到来外乱磁場Boの到来方向と垂直な軸線Mを想定し、その軸線Mと交差する所定間隔dの平行な複数の平面Q上に空間Rの外縁に沿って筒型に配置した環状磁性板4の群5によりパッシブ型磁気シールド(図7(B)参照)を構成し、その筒型磁性板群5の内側又は外側の対象位置Pの周囲に設置した補償磁場発生用コイル12a、12bと、対象位置Pに対して位相差δが許容範囲内の内部磁場Beを検出できる筒型磁性板群5内の離隔位置Sに設けた磁気センサ14とによりアクティブ型磁気シールド(図8(A)参照)を構成するので、次の効果を奏する。
【0023】
(イ)筒型磁性板群5をパッシブ型磁気シールドとして用いることにより、シールド対象空間R内の軸線Mと垂直な平面上で内部磁場Beの位相差δを小さく抑えて位相分布をほぼ一様化することができ、軸線M方向の内部磁場Beの位相分布も緩やかなものとすることができる。
(ロ)従来のパッシブ型磁気シールドに比して対象空間R内の対象位置P周辺に位相差δの小さい比較的広い領域を形成することができ、位相差δによる性能劣化を避けながらアクティブ磁気シールドのセンサ位置Sと対象位置Pとの離隔距離を大きくとることが可能になる。
(ハ)従って、アクティブ磁気シールドの対象位置P周辺の磁気センサ14の位置選択の自由度を高めることができ、対象空問R内部に対象位置Pの嫌磁気装置(例えばMRI装置等)と物理的干渉を起こさないようにアクティブ型磁気シールドを適用することが容易になる。
(ニ)また、シールド対象空間R内の磁場位相差δの急激な変化を生じにくいので、事前に現場で磁気センサ14の設置位置を探索・選定する作業を行う必要がなくなり、アクティブ型磁気シールドの施工作業の簡単化を図ることができる。
(ホ)到来外乱磁場Boの強さの分布に対しても筒型磁性板群5の磁性板相互間隔dの調整や補償コイル12の配置位置の調整により比較的容易に対応可能であり、筒型磁性板群5の両端面に磁気シールド面8を配置することで到来外乱磁場Boの両端部からの回り込みにも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態及び実施例を説明する。
【図1】は、本発明による複合型磁気シールド構造の一実施例の説明図である。
【図2】は、本発明による複合型磁気シールド構造の他の実施例の説明図である。
【図3】は、本発明による複合型磁気シールド構造の更に他の実施例の説明図である。
【図4】は、筒型磁性板群を用いたパッシブ型磁気シールド構造の内部磁場分布の計測実験の説明図である。
【図5】は、図4の実験による内部磁場分布の計測結果を示すグラフである。
【図6】は、密閉型磁気シールド構造および筒型磁性板群を用いた磁気シールド構造に生じる渦電流の説明図である。
【図7】は、筒型磁性板群を用いたパッシブ型磁気シールド構造の説明図である。
【図8】は、従来の複合型磁気シールド構造の一例の説明図である。
【図9】は、アクティブ磁気シールドの対象位置とセンサ位置との磁場位相差δによる相殺性能(シールド性能)の劣化の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の複合型磁気シールド構造の一実施例を示す。図示例の複合型構造は、図7(B)のように複数の環状磁性板4を所定間隔dで積層した筒型磁性板群5を用いた開放型のパッシブ型磁気シールドと、図8(A)と同様のアクティブ型磁気シールドとを組み合わせものである。図示例の筒型磁性板群5は、例えばシールド対象空間R内に嫌磁気装置(例えばMRI装置等)を設置すべきシールド対象位置Pを定め、その対象位置P上の軸線Mと交差する所定間隔dの平行な複数の平面Q上に空間Rの外縁に沿って環状磁性板4の群を配置したものである。環状磁性板4の一例は、図5(B)に示すように短冊形の帯状磁性板2を端縁の重ね合わせにより磁気的に連続させて環状に結合した磁性体フレームである。ただし、環状磁性板4の形状は図示例のような四角形(ロ字形)に限らず、三角形又は多角形とすることができ、楕円形等の曲線で囲まれた環状磁性板4とすることも可能である。軸線Mの周りに筒型磁性板群5を配置することにより、対象空間Sの4面を囲う閉磁路が形成できる。
【0026】
図示例において、筒型磁性板群5の各環状磁性板4の比透磁率μ、幅W、相互間隔d等は、例えば筒型磁性板群5の施工前に予めシールド対象空間Rの外乱到来磁場Boの変動を求め、その到来外乱磁場Boの定常値又は最小値において対象空間R内の対象位置Pで要求される磁場強度(例えば対象位置Pに設置する嫌磁気装置の許容磁場強度)が得られるように設計することができる。筒型磁性板群5のシールド性能は、上述したように環状磁性板4の間隔d(断面積Sa)に対する環状磁性板4の幅W(断面積Sm)の比率(Sm・μ/Sa)によって調整可能であるが、例えば幅Wに対する間隔dの比率を6未満(d/W<6)として十分な磁気シールド性能を確保することが望ましい。
【0027】
また筒型磁性板群5は、到来外乱磁場Boに対して各環状磁性板4中の磁束密度が磁気飽和しないように、環状磁性板4の比透磁率μ、幅Wと聞隔dとの比率(d/W)を設計することが望ましい。環状磁性板4は、例えば薄い磁性板(パーマロイ、電磁鋼板等)を複数枚重ねたものとすることができ、その重ね枚数によって環状磁性板4の厚さ及び比透磁率μを調整することができる。筒型磁性板群5の全ての環状磁性板4の比透磁率μ、幅W、相互間隔d等の属性を揃えることで施工の容易化を図れるが、各環状磁性板4の属性は同じである必要はなく、例えば到来外乱磁場Boの強さの分布に応じて環状磁性板4毎に属性を相違させることも可能である。例えば、到来外乱磁場Boの強い部位では比透磁率μや幅Wを大きくするか又は間隔dを小さくし、到来外乱磁場Boの弱い部位では比透磁率μや幅Wを小さくするか又は間隔dを大きくすることができる。
【0028】
筒型磁性板群5は、予めシールド対象空間Rの外乱磁場Boの到来方向を求め、その到来外乱磁場Boの方向と垂直な対象位置P上の軸線(筒軸)Mと交差するように各環状磁性板4(平面Q)を配置する。筒型磁性板群5の筒軸Mを到来外乱磁場Boの方向と平行に設置すると、図6(A)の場合と同様に環状磁性板4の正面の環状方向に沿って大きな経路の渦電流が誘導され、環状磁性板4上の向きの異なる渦電流の誘導磁場により筒型磁性板群5の内部磁場Beの位相のずれ(位相の分布)が大きくなる。図示例のように筒型磁性板群5の筒軸Mを到来外乱磁場Boの方向に対して直交させ、各環状磁性板4の側面(厚さ方向断面)を到来外乱磁場Boと交差させることにより、環状磁性板4上に環状方向に沿った大きな経路の渦電流が誘導されることを抑制し、対象空間Rの内部磁場Beの位相のずれ(位相の分布)を小さく抑えることができる。
【0029】
好ましくは、図示例のように筒型磁性板群5の筒軸Mと各環状磁性板4(平面Q)とを直角に交差させ、環状磁性板4の環状方向に沿って誘導される渦電流を最小限に抑える。ただし、筒軸Mと各環状磁性板4とは厳密に直交させる必要はなく、環状磁性板4上に環状方向の渦電流が誘導されるのを防止できる角度で交差させれば足りる。また、各環状磁性板4の筒軸Mとの交差角度は全て同じである必要はなく、例えば到来外乱磁場Boの強さの分布に応じて環状磁性板4毎に交差角度を変えることも可能である。
【0030】
なお、図示例ではX軸、Y軸、又はZ軸と垂直な壁面に囲まれた立方体形状のシールド対象空間R(磁気シールドルーム等)を想定し、その壁面と垂直な方向(Z軸方向)からの到来外乱磁場Boを対象としているが、本発明の対象とする到来外乱磁場Boは対象空間Rの壁面と垂直方向に到来する磁場に限定されるものではない。例えば図3の実施例に示すように、到来外乱磁場Boの方向に拘らず、その到来外乱磁場Boと垂直な軸線(筒軸)Mと交差するように複数の環状磁性板4を適当な間隔dで配置すれば、その環状磁性板4(筒型磁性板群5)で囲まれた対象空間Rの内部磁場Beの位相のずれ(位相の分布)を小さく抑えることができる。図3の実施例では対象空間Rの端面と筒型磁性板群5の端面とが揃わなくなり、筒型磁性板群5の端面から到来外乱磁場Boが対象空間Rの内側に進入するおそれも生じるが、そのような端面の影響は後述するように筒型磁性板群5の端面に磁気シールド面8を配置することで対応可能である(図2参照)。
【0031】
また、図1及び図3の実施例では、筒軸Mと交差する平面Qと対象空間Rの外縁との交線に沿って環状磁性板4を配置し、環状磁性板4の径Dと対象空間R(磁気シールドルーム等)の断面径とを一致させているが、環状磁性板4の径Dと対象空間Rの断面径とは必ずしも一致させなくてもよく、例えば環状磁性板4の径Dを対象空間Rの断面径より小径としてもよい。また、対象空間Rの外側に筒型磁性板群5を配置することが可能であれば、環状磁性板4の径Dを対象空間Rの断面径より大径とし、対象空間Rの外側の筒型磁性板群5によって対象空間Rの内部磁場Beの位相のずれ(位相の分布)を小さく抑えることも可能である。
【0032】
図示例のアクティブ型磁気シールドは、筒型磁性板群5の内側又は外側の対象位置Pの周囲に設置した一対の補償コイル12a、12bと、筒型磁性板群5内の対象位置Pから離隔したセンサ位置Sに設けた磁気センサ14と、磁気センサ14の計測磁場(内部磁場)Beを入力して補償コイル12a、12bの補償磁場を制御する制御装置16とを有する。図示例の補償コイル12a、12bは、それぞれ対象空間Rの対象位置Pを通るX軸に芯合わせして筒型磁性板群5の内側に設置されており、図8(A)の場合と同様に比較的小さな電流でX軸方向の外乱磁場を減衰させ、対象位置P付近に比較的広い補償磁場を形成することができる。ただし、補償コイル12の配置位置及び形状は図示例に限定されず、必要な場合は筒型磁性板群5の外側に配置してもよい。また、対象空間Rの内面(図示例のYZ面)を複数に分割して各領域に補償コイル12を配置し、各領域の補償コイル12によって対象位置P付近に補償磁場を形成してもよい。
【0033】
図示例のように到来外乱磁場Boの方向に対して筒軸Mが垂直な筒型磁性板群5を設置すれば、図5を参照して上述したように、対象位置Pを通る環状磁性板4と平行な平面Q(XY平面)上で筒型磁性板群5の内部磁場Beの位相のずれ(位相分布)をほぼ一様化することができる。従って、その平面Q上であれば、対象位置Pから離れた位置S(例えば対象位置Pの直上の天井に近い位置)に磁場センサ14を設けても、内部磁場Beの位相差δによるアクティブ磁気シールドの性能劣化を避けることができる。また、対象位置Pを通る平面Q上であればセンサ位置Sを任意に選択することが可能であり、センサ位置Sの選択の自由度を高めると共に、現場で事前にセンサ位置Sを探索・選定する作業を省略して施工作業の簡単化を図ることができる。
【0034】
好ましくは、筒型磁性板群5の軸線M方向の長さLを環状磁性板4の径Dの2倍以上とし、対象位置Pを筒型磁性板群5の軸線方向の中心付近に設ける。筒型磁性板群5の筒軸M方向の長さLが環状磁性板4の径Dに比して同程度又は短いと、筒型磁性板群5の両端面から到来外乱磁場Boが対象空間Rの内側に回り込み、端部の影響によって内部磁場Beの位相分布が影響を受けるおそれがある。本発明者は、筒型磁性板群5の軸線方向中心でほぼ一様な位相分布が得られる軸線方向長さLを検討する実験を繰り返し、筒型磁性板群5の軸線方向長さLを環状磁性板4の径Dの2倍以上の比率(L/D>2)とすれば、筒型磁性板群5の軸線方向中心で端面の影響が避けられることを見出した。ただし、例えば大きさの限られた対象空間R(磁気シールドルーム等)のように比率(L/D)を大きくすることが難しい場合でも、後述するように筒型磁性板群5の両端面に磁気シールド面8を配置する等の別の手段によって端部の影響を小さく抑えることができ、本発明を適用することができる。
【0035】
また、筒型磁性板群5の軸線M方向の長さLを環状磁性板4の径Dの2倍以上とすれば、図4(B)に示したように、筒型磁性板群5の中心付近の軸線方向の位相分布を緩やかなものとすることができる。従って、対象位置Pに対して位相差δが許容範囲内(例えば10度以下)の内部磁場Beを検出できる筒型磁性板群5内の軸線M方向の離隔許容範囲(例えば図4(B)に示す軸線方向長さLの1/6)を検出し、対象位置Pからその離隔許容(L/6)の範囲内の環状磁性4板と平行な平面Q上に磁場センサ14を設けても、内部磁場Beの位相差δによるアクティブ磁気シールドの大きな性能劣化を避けることができる。そのような軸線M方向の離隔許容範囲は、現場で事前に探索・選定することも可能であるが、図4(B)のような筒型磁性板群5の模型を試作して予め実験的に又は数値解析により選定することが可能である。
【0036】
更に好ましくは、筒型磁性板群5の軸線M方向の長さLの環状磁性板4の径Dに対する比率(L/D)を十分に大きし、ほぼ一様な位相分布が得られる領域を軸線方向(図示例ではZ軸方向)に拡大する。筒型磁性板群5のような開放型シールド構造では、従来から比率(L/D)を十分に大きく(例えばL/D>10)とすると、磁気シールド性能がほぼ一定の軸線中央付近の領域が軸線方向に拡大する(端部を除き無限長の筒状体と見なせる)ことが知られている。本発明者は、そのような磁気シールド性能がほぼ一定の領域では、位相分布もほぼ一定となっていることを実験的に見出した。一様な位相分布が得られる領域を拡大することにより、アクティブ磁気シールドのセンサ位置Sの選択の自由度を更に高めることができる。
【0037】
こうして本発明の目的である「シールド対象位置とセンサ位置とが離れていてもシールド性能の劣化を防止できる外乱磁場の複合型磁気シールド方法及び構造」の提供を達成することができる。
【実施例1】
【0038】
図2は、軸線Mと交差する筒型磁性板群5の両端面に磁気シールド面8を配置した本発明の他の実施例を示す。上述したように、筒型磁性板群5の軸線M方向の長さLが環状磁性板4の径Dの2倍未満であると、筒型磁性板群5の端面からの到来外乱磁場Boの影響によって内部磁場Beの位相分布が影響を受けるおそれがある。図示例のように、型磁性板群5の両端面にヨーク状の磁気シールド面8を配置し、いわば筒型磁性板群5の両端面に磁気シールド面8の蓋を設けることで、端面の到来外乱磁場Boの影響を防止することができる。磁気シールド面8を配置する場合は、図6(A)のように大きな経路の渦電流が誘導されないように、到来外乱磁場Boの垂直に入射する磁気シールド面8の面積をできるだけ小さくすることが望ましい。例えば、筒型磁性板群5の両端面をパーマロイ、電磁鋼板等の磁性薄板6(図8(A)参照)で覆うことにより密閉型の磁気シールド面8とし、又は両端面と平行にシールド簾体(図7(A)参照)を配置して開放型の磁気シールド面8とすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1…複合型磁気シールド構造 2…帯状磁性板
3…磁気シールド簾体 4…環状磁性板
5…筒型磁性板群(開放型磁気シールド)
6…磁性板 7…密閉型磁気シールド
9…重ね合わせ部
10…アクティブ型磁気シールド 12…補償コイル
14…磁気センサ 16…制御装置(コンピュータ)
20…シールド対象機器(嫌磁気装置)
Bo…到来外乱磁場 Be…内部磁場
C…長手方向中心軸 D…環状磁性板の径
d…環状磁性板の相互間隔 e…渦電流の起電力
F…シールド簾面 G…伝達関数
L…筒型磁性板群の軸線方向長さ M…到来外乱磁場の方向と垂直な軸線
P…シールド対象位置 Q…環状磁性板の配置平面
R…シールド対象空間
S…センサ位置 W…環状磁性板の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド対象空間内の所定対象位置上に到来外乱磁場の方向と垂直な軸線を想定し且つその軸線と交差する所定間隔の平行な複数の平面上に空間外縁に沿って環状磁性板の群を筒型に配置し、前記筒型磁性板群内又は外の対象位置周囲に補償磁場発生用コイルを設置し、前記対象位置に対して位相差が許容範囲内の内部磁場を検出できる筒型磁性板群内の離隔位置に磁気センサを設け、前記センサの出力に応じてコイルの補償磁場を制御して対象位置の内部磁場を減衰させてなる外乱磁場の複合型磁気シールド方法。
【請求項2】
請求項1のシールド方法において、前記磁気センサを、前記対象位置を通る環状磁性板と平行な平面上に設けてなる外乱磁場の複合型磁気シールド方法。
【請求項3】
請求項1のシールド方法において、前記対象位置に対して位相差が許容範囲内の内部磁場を検出できる筒型磁性板群内の軸線方向の離隔許容範囲を検出し、前記磁気センサを、前記対象位置から離隔許容範囲内の環状磁性板と平行な平面上に設けてなる外乱磁場の複合型磁気シールド方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れかのシールド方法において、前記対象位置を筒型磁性板群の軸線方向中心とし、前記筒型磁性板群の軸線方向長さを環状磁性板の径の2倍以上としてなる外乱磁場の複合型磁気シールド方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れかのシールド方法において、前記軸線と交差する筒型磁性板群の両端面に磁気シールド面を配置してなる外乱磁場の複合型磁気シールド方法。
【請求項6】
シールド対象空間内の所定対象位置上に到来外乱磁場の方向と垂直な軸線を想定し且つその軸線と交差する所定間隔の平行な複数の平面上に空間外縁に沿って筒型に配置した環状磁性板の群、前記筒型磁性板群内又は外の対象位置周囲に設置した補償磁場発生用コイル、及び前記対象位置に対して位相差が許容範囲内の内部磁場を検出できる筒型磁性板群内の離隔位置に設けた磁気センサを備えてなり、前記センサの出力に応じてコイルの補償磁場を制御して対象位置の内部磁場を減衰させる外乱磁場の複合型磁気シールド構造。
【請求項7】
請求項6のシールド構造法において、前記磁気センサを、前記対象位置を通る環状磁性板と平行な平面上に設けてなる外乱磁場の複合型磁気シールド構造。
【請求項8】
請求項6のシールド構造において、前記対象位置に対して位相差が許容範囲内の内部磁場を検出できる筒型磁性板群内の軸線方向の離隔許容範囲を検出し、前記磁気センサを、前記対象位置から離隔許容範囲内の環状磁性板と平行な平面上に設けてなる外乱磁場の複合型磁気シールド構造。
【請求項9】
請求項6から8の何れかのシールド構造において、前記対象位置を筒型磁性板群の軸線方向中心とし、前記筒型磁性板群の軸線方向長さを環状磁性板の径の2倍以上としてなる外乱磁場の複合型磁気シールド構造。
【請求項10】
請求項6から9の何れかのシールド構造において、前記軸線と交差する筒型磁性板群の両端面に磁気シールド面を配置してなる外乱磁場の複合型磁気シールド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−43998(P2012−43998A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184215(P2010−184215)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】