説明

外壁防水構造

【課題】防水シートとモルタルとの間に水が滞留するのを回避できるようにすると共に、滞留した水が防水シートに形成された貫通孔から外壁下地材側に浸入しても、その量を僅かな量に留めることができようにする。
【解決手段】ラスモルタルによる外壁材20を施工してなる外壁17において、外壁骨組み部材11の外側に設置される壁下地パネル13を覆う防水シート14に形成された、タッカー18やステープル釘19を壁下地パネル13に打ち込んだ際の貫通孔を介して、壁下地パネル13側に水が浸入しないようにする外壁防水構造10であって、防水シート14は、合成樹脂製の基材シート21の外壁材20側の面に不織布層22がコーティングされていると共に、壁下地パネル13側の面に高分子吸収樹脂層23がコーティングされており、高分子吸収樹脂層23は、タッカー18やステープル釘19の打込み圧力によって、壁下地パネル13に強固に密着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁防水構造に関し、特に、ラスモルタルによる外壁材を施工してなる外壁の防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁として、ラスモルタルによる外壁材を施工してなるものが知られている。ラスモルタルによる外壁材は、一般に、例えば柱や間柱等の外壁骨組み部材に支持させて、これの外側(屋外側)に例えば合板等からなる外壁下地材を設置し、さらにこの外壁下地材の外側の面を覆って防水シートを配設した後に、例えばラス網本体とワイヤーラス力骨とからなるラス網を取り付けると共に、防水シートの外側にモルタルを敷設して形成されることになる。
【0003】
このようなラスモルタルによる外壁材を施工した外壁では、防水シートを外壁下地材に固定する際や、防水シートによって覆われた外壁下地材にラス網を固定する際に、例えば防水シート固定用のタッカーやラス網固定用のステープル釘等の釘部材を、防水シートを貫通させて外壁下地材に打ち込む必要があることから、打ち込みにより形成された貫通穴における釘部材の周囲との間の隙間を介して、雨水等の水がラスモルタルによる外壁材側から外壁下地材側に浸入するおそれがある。また漏水によって外壁材側から外壁下地材側に水が浸入すると、外壁下地材を痛めたり、外壁下地材にカビを生じさせたりして、外壁の耐久性を損うおそれがある。
【0004】
このようなことから、例えばステープル釘を外壁下地材に向けて打ち込んだ際に防水シートに形成される貫通孔を介して、雨水等の水が外壁下地材側に浸入しないようにするための技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−348660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、ラスモルタルによる外壁材を施工した外壁では、例えば防水シートの外側に敷設したモルタルが固化する際の物性の変化や収縮等によって、防水シートと固化したモルタルとの間には例えば0.5mm程度の僅かな隙間が生じ易い。モルタルが固化した後にこのような隙間が生じていると、例えばモルタルに発生したクラック等を介して防水シートとの間の隙間に浸入した雨水等の水が、当該隙間に滞留することで、相当の高さの水柱を形成し易くなる。
【0006】
また、モルタルと防水シートとの間の隙間に滞留する水の高さが高くなってその水頭差が増加すると、外壁下地材を覆って取り付けられる防水シートに形成された、当該防水シートやラス網を固定するための釘部材による貫通孔の周囲には相当の水圧が負荷されることになり、釘部材と貫通孔との間の隙間を介して、雨水等の水がラスモルタルによる外壁材側から外壁下地材側に漏水して浸入するおそれがある。したがって、防水シートとモルタルとの間に大きな水圧で水が滞留するのを回避できるようにしたり、滞留した水が防水シートに形成された貫通孔を介して外壁材側から外壁下地材側に浸入しても、その量を僅かな量に留めることのできる新たな技術の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、防水シートとモルタルとの間に大きな水圧で水が滞留するのを効果的に回避できると共に、滞留した水が防水シートに形成された貫通孔を介して外壁材側から外壁下地材側に浸入しても、その量を僅かな量に留めることのできる外壁防水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ラスモルタルによる外壁材を施工してなる外壁において、外壁骨組み部材の外側に設置した外壁下地材を覆って取り付けられる防水シートに形成された、当該防水シートを固定するための釘部材及びラス網を固定するための釘部材を前記外壁下地材に向けて打ち込んだ際の貫通孔を介して、前記外壁材側から前記外壁下地材側に水が浸入しないようにするための外壁防水構造であって、前記防水シートは、合成樹脂製の基材シートの前記外壁材側の面を不織布層によってコーティングすると共に、前記外壁下地材側の面を高分子吸収樹脂層によってコーティングした防水シート材料からなり、前記高分子吸収樹脂層を前記釘部材の打込み圧力によって前記外壁下地材に密着させた状態で、前記外壁下地材に取り付けられる外壁防水構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
また、本発明の外壁防水構造は、前記高分子吸収樹脂層が、防カビ剤を含んでいることが好ましい。
【0010】
また、本発明の外壁防水構造は、前記外壁下地材が、間隔をおいて平行に配置された複数の表側帯状小幅板と、間隔をおいて平行に配置された複数の裏側帯状小幅板とを互いに交差させた状態で接合一体化してなる壁下地パネルからなることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の外壁防水構造は、前記基材シートが、ポリオレフィン系樹脂からなることが好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明の外壁防水構造は、前記防水シートの全光線透過率が30%以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の外壁防水構造によれば、防水シートとモルタルとの間に大きな水圧で水が滞留するのを効果的に回避できると共に、滞留した水が防水シートに形成された貫通孔を介して外壁材側から外壁下地材側に浸入しても、その量を僅かな量に留めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好ましい一実施形態に係る外壁防水構造10は、例えば図1及び図2に示すように、柱11a、間柱(図示せず。)、土台11c、梁11d等による外壁骨組み部材11に支持させて、これらの外側に例えば公知の透湿防水シートからなる防風シート12を配設すると共に、これの外側(屋外側)に例えば壁下地パネル13からなる外壁下地材を設置し、さらにこの壁下地パネル13の外側の面を覆って防水シート14を配設した後に、ラス網15を取り付けると共に防水シート14の外側にモルタル16を敷設して形成される建物の外壁17において、防水シート14を壁下地パネル13に固定するためのタッカー18等の釘部材や、ラス網15を壁下地パネル13に固定するためのステープル釘19等の釘部材を壁下地パネル13に向けて打ち込んだ際に防水シート14に形成される貫通孔を介して、ラス網15及びモルタル16(ラスモルタル)による外壁材20側から壁下地パネル13側に水を浸入させないようにするための構造として採用されたものである。
【0015】
すなわち、本実施形態の外壁防水構造10は、防水シート14とモルタル16とを強固に密着させて、防水シート14の外側に敷設したモルタル16が固化する際に防水シート14とモルタル16との間に隙間が生じるのをできるだけ回避できるようにすると共に、防水シート14とモルタル16との間に隙間が生じて水が滞留し、滞留した水が外壁材20側から壁下地パネル13側に浸入した場合でも、その量を僅かな量に留めて、壁下地パネル13が痛んだり、壁下地パネル13にカビを生じたりするのを効果的に回避できるようにする機能を備えている。
【0016】
そして、本実施形態の外壁防水構造10は、ラスモルタル(ラス網15及びモルタル16)による外壁材20を施工してなる外壁17において、外壁骨組み部材11の外側に設置した外壁下地材としての壁下地パネル13を覆って取り付けられる防水シート14に形成された、当該防水シート14を固定するためのタッカー18等の釘部材及びラス網15を固定するためのステープル釘19等の釘部材を壁下地パネル13に向けて打ち込んだ際の貫通孔を介して、外壁材20側から壁下地パネル13側に水が浸入しないようにするための防水構造であって、防水シート14は、合成樹脂製の基材シート21の外壁材20側の面を不織布層22によってコーティングすると共に、壁下地パネル13側の面を高分子吸収樹脂層23によってコーティングした防水シート材料24からなり、高分子吸収樹脂層23をタッカー18やステープル釘19の打込み圧力によって壁下地パネル13に密着させた状態で、壁下地パネル13に取り付けられている。
【0017】
本実施形態では、外壁骨組み部材11に支持させて壁下地パネル13を取り付けるのに先立って、外壁骨組み部材11の外側に、防風シート12を配設する。防風シート12としては、例えばポリオレフィン系樹脂からなる公知の各種の建築用の透湿防水シートを用いることができる。なお、本実施形形態においては、防風シート12を敷設する必要は必ずしもなく、外壁骨組み部材11に壁下地パネル13を直接取り付けても良い。
【0018】
また、本実施形態では、壁下地パネル13として、好ましくは図3に示すような、例えば特開2000−160732号公報に記載のパネル部材と同様の構成を備える、間隔をおいて平行に配置された複数の表側帯状小幅板13aと、間隔をおいて平行に配置された複数の裏側帯状小幅板13bとを互いに交差させた状態で接合一体化してなるものが用いられる。このような壁下地パネル13は、各帯状小幅板13a,13b間の間隔部分を経て空気を上昇させることにより、防風シート12と防水シート14との間に十分な通気を確保することが可能な通気層を形成することができ、また相反する方向に傾斜させた各帯状小幅板13a,13bを筋交いのように機能させて、構造用耐力部材としての所望の強度が得られるようになっている。
【0019】
本実施形態では、壁下地パネル13を覆って取り付けられる防水シート14として、図2に示すように、基材シート21の外壁材20側の面を不織布層22によってコーティングすると共に、壁下地パネル13側の面を高分子吸収樹脂層23によってコーティングした防水シート材料24が用いられる。
【0020】
ここで、基材シート21としては、例えばポリオレフィン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂や、通常ポリエチレンとして知られている低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンの他、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレンと重合性二重結合を有するモノマーとの共重合体等を好ましく用いることができる。これらの樹脂を単独、或いは複数混合して得られる単層フィルムや積層フィルムを用いることができる。
【0021】
また、不織布層22を構成する不織布としては、例えばケミカルボンド、サ−マルボンド、ニ−ドルパンチ、ステッチボンド、スパンレ−ス、スパンボンド、メルトブロ−、湿式法等の公知の製造法で製造された、ポリエステル系又はポリオレフィン系不織布からなるものを好ましく用いることができる。また、引裂強度及び耐候性に優れると共に、透湿性及び防水性をも兼ね備える不織布を用いることが好ましい。
【0022】
さらに、高分子吸収樹脂層23を構成する高吸水性樹脂(高吸水性ポリマー)としては、例えば、セルロース・アクリルニトリル重合体、デンプン・アクリルニトリル重合体等の天然系のものや、アクリル酸・ビニルアルコール共重合体、アクリル酸ソーダ重合体、アクリル酸・アクリルアミド共重合体、ポリエチレンオキサイド変成物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体等の合成系のものを好ましく使用することができる。またアクリル酸ナトリウム系のものを用いることが特に好ましい。
【0023】
本実施形態では、より具体的には、例えばポリプロピレンを80重量%、ポリエチレンを20重量%混合した樹脂からなる、厚さが140μmのシート材料を基材シート21として、これの壁下地パネル13側の面となる裏面に、アクリル酸ナトリウム系の高吸水性ポリマーを8g/m2の塗布量で一面均一コーティングして高分子吸収樹脂層23を形成すると共に、これの外壁材20側の面となる裏面に、ポリオレフィン系の不織布を12g/m2の目付量(単位面積あたりの重量)で一面貼付けして不織布層22を形成した防水シート材料24を、防水シート14として使用している。
【0024】
また、本実施形態では、高分子吸収樹脂層23が、防カビ剤を含んでいることが好ましい。防カビ剤としては、例えば有機ヨード系、界面活性剤系、ビグアナイド系、アルコール系、フェノール系、アニリド系、ヨウ素系、イミダゾール系、チアゾール系、イソチアゾール系、トリアジン系、ニトリル系、フッ素系、糖質系、トロポロン系等の有機系の防カビ剤や、ゼオライト、シリカ、アルミナ、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、シリカゲル、ガラス、酸化亜鉛等の無機質粉末に銀、銅、亜鉛等の抗菌性を有する金属を担持させてなる有機系の防カビ剤等、防カビ剤として知られる種々のものを用いることができる。高分子吸収樹脂層23が防カビ剤を含んでいることにより、高分子吸収樹脂層23が、タッカー18やステープル釘19等の釘部材を打ち込んだ際に防水シート14に形成された貫通孔を介して外壁材20側から壁下地パネル13側に浸入した水を吸収して膨潤することにより、防水シート14の壁下地パネル13側において吸収した水を長期間保持した場合でも、保持された水の影響で壁下地パネル13にカビが生じるのを、効果的に回避することが可能になる。
【0025】
さらに、本実施形態では、防水シート14の全光線透過率が30%以上となっていることが好ましい。防水シート14の全光線透過率が30%以上となっていることにより、防水シート14の表側(外壁材20側の面)から裏側の壁下地パネル13を容易に視認することが可能になり、壁下地パネル13が間隔をおいて平行に配置された複数の表側帯状小幅板13aと複数の裏側帯状小幅板13bとを互いに交差させた状態で接合一体化してなる、各帯状小幅板13a,13b間に間隔部分を有するものであっても、このような間隔部分を避けつつ表側の帯状小幅板13aに向けて確実にタッカー18やステープル釘19を打ち込むことが可能になる。
【0026】
さらにまた、本実施形態では、壁下地パネル13を覆って防水シート14を固定する際に、公知の専用の打込み装置を用いてタッカー18を壁下地パネル13に向けて打ち込むことが好ましい。タッカー18を専用の打込み装置を用いて打ち込むことにより、その打込み圧力によって、防水シート14の高分子吸収樹脂層23を強固且つ安定した状態で壁下地パネル13に密着させることが可能になる。なお、タッカー18が打ち込まれた部分において、防水シート14の高分子吸収樹脂層23と壁下地パネル13との密着性が不十分であると、高分子吸収樹脂層23が防水シート14に形成された貫通孔を介して壁下地パネル13側に浸入した水を吸収することにより膨潤しても、当該膨潤した高分子吸収樹脂層23による貫通孔の止水機能を、十分に発揮させることができなくなるおそれがある。
【0027】
本実施形態では、さらに、防水シート14を取り付けた壁下地パネル13の外側に、ラス網15及びモルタル16(ラスモルタル)からなる外壁材20を施工することにより、建物の外壁17が形成される。ラス網15としては、例えばラス網本体15bとワイヤーラス力骨15aとからなる公知の各種の外壁用のラス網を用いることができる。ラス網15は、例えば100mm程度のピッチでステープル釘19を壁下地パネル13に向けて打ち込んでワイヤーラス力骨15aを固定することにより、ラス網本体15bをモルタル16の厚さ方向略中央部分に配置した状態で壁下地パネル13に取り付けられる。
【0028】
ここで、ステープル釘19は、公知の専用の打込み装置を用いて壁下地パネル13に向けて打ち込むことが好ましい。ステープル釘19を専用の打込み装置を用いて打ち込むことにより、その打込み圧力によって、防水シート14の高分子吸収樹脂層23を強固且つ安定した状態で壁下地パネル13に密着させることが可能になる。これによって、ステープル釘19が打ち込まれた部分において、高分子吸収樹脂層23が防水シート14に形成された貫通孔を介して壁下地パネル13側に浸入した水を吸収して膨潤した際に、貫通孔を強固に止水することが可能になる。
【0029】
また、本実施形態では、防水シート14の外側に敷設されるモルタル16として、外壁用に配合された公知の各種のモルタルを用いることができ、従来と同様の方法によって、ラス網15が取り付けられた防水シート14の外側に例えば15〜30mm程度の厚さで塗着される。塗着したモルタル16が固化することにより、本実施形態の外壁防水構造10が形成される。
【0030】
そして、上述の構成を備える本実施形態の外壁防水構造10によれば、防水シート14とモルタル16との間に大きな水圧で水が滞留するのを効果的に回避できると共に、滞留した水がタッカー18やステープル釘19を打ち込んだ際に防水シート14に形成された貫通孔を介して外壁材20側から壁下地パネル13側に浸入しても、その量を僅かな量に留めることが可能になる。
【0031】
すなわち、本実施形態の外壁防水構造10によれば、壁下地パネル13を覆って取り付けられる防水シート14が、合成樹脂製の基材シート21の外壁材20側の面を不織布層22によってコーティングすると共に、壁下地パネル13側の面を高分子吸収樹脂層23によってコーティングした防水シート材料24からなるので、基材シート21とモルタル16との間に不織布層22が介在することになって防水シート14とモルタル16とが強固に密着するので、防水シート14とモルタル16との間に隙間が生じないようにしたり、隙間が生じても極僅かな隙間に留めることが可能になる。また、、防水シート14とモルタル16との間に隙間が生じて雨水等の水が滞留しても、不織布層22に浸漬された状態で滞留するので、不織布層22の毛細管張力等の作用によって、滞留した水によって大きな水圧が生じるのを効果的に緩和することが可能になる。
【0032】
さらに、滞留した水が貫通孔を介して下地パネル13側に浸入したとしても、基材シート21の壁下地パネル13側の面にコーティングされて壁下地パネル13に密着している高分子吸収樹脂層23が浸入した水を吸収して膨潤することにより、貫通孔を閉塞して引続いて浸入しようとする水を遮断する止水性を発揮するので、壁下地パネル13側に浸入する水を極を僅かな量に留めることが可能になる。
【0033】
また、本実施形態によれば、壁下地パネル13は、間隔をおいて平行に配置された複数の表側帯状小幅板13aと複数の裏側帯状小幅板13bとを互いに交差させた状態で接合一体化してなるものであり、各帯状小幅板13a,13b間の間隔部分を経て空気を上昇させる通気層を形成することができるので、高分子吸収樹脂層23が浸入した水を吸収して膨潤することにより、防水シート14の壁下地パネル13側において吸収した水を保持した場合でも、保持された水を通気層を通過する空気によって乾燥させることが可能になり、高分子吸収樹脂層23に吸収した水が長期間保持されないようにして、下地パネル13にカビが発生するのをさらに効果的に回避することが可能になる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、外壁下地材は、間隔をおいて平行に配置された複数の表側帯状小幅板と複数の裏側帯状小幅板とを互いに交差させた状態で接合一体化してなる壁下地パネルである必要は必ずしも無く、合板等のその他の種々の外壁下地材であっても良い。通気層を形成可能な縦胴縁等であっても良い。また、外壁下地材の裏側の外壁骨組み部材によって囲まれる部分に断熱材を配置して、外壁が形成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る外壁防水構造が設けられる外壁の構成を説明する略示斜視図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る外壁防水構造の構成を説明する要部断面図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る外壁防水構造において用いる壁下地パネル(外壁下地材)の正面図である。
【0036】
10 外壁防水構造
11 外壁骨組み部材
12 防風シート
13 壁下地パネル(外壁下地材)
13a,13b 帯状小幅板
14 防水シート
15 ラス網
15a ワイヤーラス力骨
15b ラス網本体
16 モルタル
17 外壁
18 タッカー(釘部材)
19 ステープル釘(釘部材)
20 外壁材
21 基材シート
22 不織布層
23 高分子吸収樹脂層
24 防水シート材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラスモルタルによる外壁材を施工してなる外壁において、外壁骨組み部材の外側に設置した外壁下地材を覆って取り付けられる防水シートに形成された、当該防水シートを固定するための釘部材及びラス網を固定するための釘部材を前記外壁下地材に向けて打ち込んだ際の貫通孔を介して、前記外壁材側から前記外壁下地材側に水が浸入しないようにするための外壁防水構造であって、
前記防水シートは、合成樹脂製の基材シートの前記外壁材側の面を不織布層によってコーティングすると共に、前記外壁下地材側の面を高分子吸収樹脂層によってコーティングした防水シート材料からなり、前記高分子吸収樹脂層を前記釘部材の打込み圧力によって前記外壁下地材に密着させた状態で、前記外壁下地材に取り付けられる外壁防水構造。
【請求項2】
前記高分子吸収樹脂層が、防カビ剤を含む請求項1に記載の外壁防水構造。
【請求項3】
前記外壁下地材が、間隔をおいて平行に配置された複数の表側帯状小幅板と、間隔をおいて平行に配置された複数の裏側帯状小幅板とを互いに交差させた状態で接合一体化してなる壁下地パネルからなる請求項1又は2に記載の外壁防水構造。
【請求項4】
前記基材シートが、ポリオレフィン系樹脂からなる請求項1〜3のいずれかに記載の外壁防水構造。
【請求項5】
前記防水シートの全光線透過率が30%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の外壁防水構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−180032(P2009−180032A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21348(P2008−21348)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】