説明

外気処理装置

【課題】外気を浄化して室内へ取り入れるための外気浄化装置において、外気を浄化すると同時に冷却あるいは加湿して室内に供給することができる外気処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】外気を吸込む吸込口と室内へ処理した外気を吹出す吹出口を有する本体ケースと、本体ケース内の風路に設けた集塵手段および送風手段を備え、前記集塵手段は帯電部と集塵部とを有し、さらに水を利用して前記集塵部を洗浄するとともに水を気化させる洗浄気化手段を有するという構成にしたことにより、集塵部を水で洗浄して清浄な状態に保つことで高い集塵効率を維持するとともに、水を積極的に気化させて外気を冷却あるいは加湿することが可能となるので、外気を浄化すると同時に冷却あるいは加湿して室内に供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気を浄化して室内へ取り入れるための外気浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の外気処理装置は、主にコロナ放電により空気分子をイオン化し、外気に含まれる塵埃を帯電させる帯電部と、電極板を積層し、交互に異なる電圧を印加して電場を形成することにより、帯電部で帯電させた塵埃をクーロン力により捕集する集塵部とを備え、外気中の塵埃を電気的に集塵する外気処理装置が知られている。
【0003】
この種の外気処理装置では、塵埃が上記帯電部や集塵部の各電極に付着することで集塵性能が徐々に低下してしまう。集塵性能を維持するために、電極表面に付着した塵埃を洗い流すための噴霧部を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、その外気処理装置について図8を参照しながら説明する。
【0005】
図8に示すように、外気処理装置101はケーシング102と、空気風路103と、送風手段104とを備えている。そして空気風路103内に帯電部105と、集塵部106と、噴霧部107を備えている。外気処理装置101に空気が流入すると、空気中の塵埃が帯電部105を通過する際に帯電され、帯電された塵埃が集塵部106でクーロン力によって集塵側の電極に引き寄せられて捕捉、除去される。このとき、噴霧部107から空気に向かって水を噴霧することにより、集塵部106の電極表面に付着した塵埃が水によって洗い流される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−125653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の外気処理装置においては、噴霧部から噴霧された水は集塵部の洗浄にのみ利用されており、水の気化によって外気を積極的に冷却あるいは加湿することができないという課題を有していた。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、外気を浄化すると同時に冷却あるいは加湿して室内に供給することができる外気処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために、本発明は、外気を吸込む吸込口と室内へ処理した外気を吹出す吹出口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記吹出口を結ぶ風路に設けた集塵手段および送風手段を備え、前記集塵手段は、外気に含まれる塵埃を帯電させる帯電部と、帯電した塵埃を捕集する集塵部とを有し、さらに、水を利用して前記集塵部を洗浄するとともに水を気化させる洗浄気化手段を有することを特徴とする外気処理装置であり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外気を吸込む吸込口と室内へ処理した外気を吹出す吹出口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記吹出口を結ぶ風路に設けた集塵手段および送風手段を備え、前記集塵手段は、外気に含まれる塵埃を帯電させる帯電部と、帯電した塵埃を捕集する集塵部とを有し、さらに、水を利用して前記集塵部を洗浄するとともに水を気化させる洗浄気化手段を有するという構成にしたことにより、集塵部を水で洗浄して清浄な状態に保つことで高い集塵効率を維持するとともに、水を積極的に気化させて外気を冷却あるいは加湿することが可能となるので、外気を浄化すると同時に冷却あるいは加湿して室内に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1の外気処理装置の断面を示す構成図
【図2】同外気処理装置に備えた帯電部の正面図
【図3】同外気処理装置に備えた帯電部の斜視図
【図4】同外気処理装置に備えた帯電部の縦断面図(図2のA−A断面図)
【図5】同外気処理装置に備えた集塵部の斜視図
【図6】本発明の実施の形態2の外気処理装置の断面を示す構成図
【図7】同外気処理装置に備えた集塵部の斜視図
【図8】従来の外気処理装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の請求項1に記載の発明は、外気を吸込む吸込口と室内へ処理した外気を吹出す吹出口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記吹出口を結ぶ風路に設けた集塵手段および送風手段を備え、前記集塵手段は、外気に含まれる塵埃を帯電させる帯電部と、帯電した塵埃を捕集する集塵部とを有し、さらに、水を利用して前記集塵部を洗浄するとともに水を気化させる洗浄気化手段を有することを特徴とする外気処理装置である。
【0013】
これにより、集塵部を水で洗浄して清浄な状態に保つことで高い集塵効率を維持するとともに、水を積極的に気化させて外気を冷却あるいは加湿することが可能となるので、外気を浄化すると同時に冷却あるいは加湿して室内に供給することができる。
【0014】
本発明の請求項2に記載の発明は、集塵部は電場を形成する複数の電極を有し、前記電極の表面に親水性を付与したことを特徴とする請求項1に記載の外気処理装置である。
【0015】
集塵部は対向する複数の電極を有しており、交互に異なる極性の電圧を印加することによって電極間に電場が形成される。帯電された塵埃が集塵部を通過する際に、電極間に発生する電場によってクーロン力を受け、帯電した塵埃とは逆の極性が印加された電極上に捕集される。
【0016】
集塵部の電極は、水を利用する洗浄気化手段によって洗浄されるが、このとき電極の表面に親水性を付与することにより、電極表面に均一な水膜が形成される。これにより、電極上に捕集された塵埃が洗い流されやすくなって電極を清浄な状態に保つとともに、電極上に形成された水膜の間を空気が流れることで、空気と水との気液接触面積を大きくすることが可能となる。
【0017】
これにより、高い集塵効率を維持して外気を浄化すると同時に、水の気化量を増加させて外気を冷却あるいは加湿して室内に供給することができる。
【0018】
本発明の請求項3に記載の発明は、本体ケースの上部に吹出口を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の外気処理装置である。
【0019】
これにより、本体ケースの奥行き寸法を小さくして薄型にすることができ、設置性の高い外気処理装置を提供することができる。
【0020】
本発明の請求項4に記載の発明は、洗浄気化手段は、集塵部に水を噴霧する噴霧部を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の外気処理装置である。
【0021】
噴霧部から水を噴霧することにより、集塵部の電極を洗浄するとともに、水噴霧による気化により、外気の積極的な冷却あるいは加湿を行うことが可能となる。
【0022】
本発明の請求項5に記載の発明は、洗浄気化手段は、本体ケース内に設けた水タンクと、集塵部に設けた複数の電極と、前記電極を回転させる駆動手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の外気処理装置である。
【0023】
水タンクに溜めた水に集塵部の電極の一部を浸漬し、電極を回転させるという動作により、集塵部の電極の水に浸漬された部分を洗浄することができる。またそれと同時に、水に浸漬された後に風路に露出する電極表面に水膜を形成し、その間に通風することで気液接触面積を確保し、積極的に外気を冷却または加湿することができる。
【0024】
本発明の請求項6に記載の発明は、本体ケース内の風路に備えた帯電部と集塵部との間に、仕切り板を設けたことを特徴とする請求項3または4に記載の外気処理装置である。
【0025】
これにより、集塵部を洗浄するとともに水を気化させる洗浄気化手段から飛散した水が帯電部へ浸入するのを防止し、帯電部に水が付着することによる漏れ電流やスパークの発生を抑制することができる。
【0026】
また、仕切り板によって帯電部と集塵部との風路が区切られ、装置に導入された外気が集塵部を下から上に向かって確実に通過するため、外気中に含まれる帯電された塵埃の捕集効率を高めるとともに、気液接触面積を確保して外気の冷却または加湿を効率よく行うことができる。
【0027】
本発明の請求項7に記載の発明は、集塵部の下方に、前記集塵部に空気を導くように傾斜した複数の案内板を設けたことを特徴とする請求項6に記載の外気処理装置である。
【0028】
これにより、装置に導入された外気の集塵部への流入をスムーズにし、圧力損失を低減することができる。また、集塵部から流れ落ちた水を受けた案内板の間を空気が通過することにより、気液接触面積を増大させて外気の冷却または加湿を効率よく行うことができる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照しながら説明する。
【0031】
図1は本発明の実施の形態1の外気処理装置の断面を示す構成図、図2は同外気処理装置に備えた帯電部の正面図、図3は同帯電部の斜視図、図4は図2のA−A断面図、図5は同外気処理装置に備えた集塵部の斜視図である。
【0032】
実施の形態1の外気処理装置の構成を説明する。
【0033】
図1に示すように、外気処理装置1は、外気を吸込む吸込口3と室内へ処理した外気を吹出す吹出口4を有する本体ケース2と、この本体ケース2内の前記吸込口3と前記吹出口4を結ぶ風路5に設けた集塵手段6および送風手段9を備え、集塵手段6は、外気に含まれる塵埃を帯電させる帯電部7と、帯電した塵埃を捕集する集塵部8とを有している。
【0034】
吹出口4は、本体ケース2の上面に設けている。
【0035】
ここで、外気処理装置1は、吸込口3あるいは吹出口4を建物の壁面や窓等の開口部に設置、あるいは壁貫通型で設置される。
【0036】
さらに外気処理装置1は、水を利用して集塵部8を洗浄するとともに水を気化させる洗浄気化手段10を有しており、洗浄気化手段10は噴霧部11を備えている。また本体ケース2に、水を溜める水タンク12と、帯電部7と集塵部8との間を仕切る仕切り板13を備えている。風路5には、集塵部8の下方に、外気処理装置1に流入した外気を集塵部8に導くように傾斜させた複数の案内板14を備えている。
【0037】
図2および図3に示すように、帯電部7は、放電電極15と、放電電極15と所定の距離(本実施の形態では15mm)だけ離した位置に電極板である接地電極16とからなり、放電電極15を放電電極支持部材17に溶接やかしめ等で固定し、一定の間隔(本実施の形態では15mm)で配置する。接地電極16は枠体18に固定し、枠体18と放電電極15とは電気的に絶縁するために、放電電極15を碍子19で電気的に浮かせている。
【0038】
本実施の形態では、放電電極15はステンレス製の先端の尖った針状のものを使用している。放電電極15は従来から様々な形態があり、例えば直径φ0.05mm〜φ0.3mm程度のワイヤ状の金属線や、板金を鋸歯状に打ち抜いたものなどがあり、どれを使用しても良い。
【0039】
コロナ放電を発生させるために、放電電極15には−10kVの直流の高電圧を印加する。なお、印加電圧は一例であり、3〜30kVで極性はマイナス、プラスのどちらでもよい。印加電圧は必要とする捕集性能、電気集塵装置の大きさ、高電圧電源にかけられるコストなどから設計者が自由に選べるが、全てがバランスよくなるように本実施の形態では−10kVとした。
【0040】
枠体18はアースに接続し、枠体18と電気的につながった接地電極16と放電電極15との間には電位差が発生する。これにより、放電電極15の先端に電界が集中し、高電圧が印加された放電電極15先端付近の空気が絶縁破壊を起こし、コロナ放電が生じる。帯電部7に流入した外気がここを通過する際に、外気中に含まれる塵埃は放電電極15に印加した電圧と同じ極性(本実施の形態ではマイナス)に帯電される。
【0041】
図4に示すように、放電電極15を支持する放電電極支持部材17とは反対側の、接地電極16の端部を導電性部材20として金属板で挟んでいる。この金属板を枠体18と電気的に接続することで、接地電極16の表面で発生したコロナ放電の電流を流すことが可能となる。本実施の形態では、金属板としてアルミ板を使用したが、導電性を有する材質であればよく、ステンレス等の金属や、導電性を有する樹脂等でも構わない。
【0042】
なお、本実施の形態では放電電極15が高電圧、枠体18がアースとなっているが、逆にしても同様の効果が得られる。
【0043】
帯電部7の下流側には、集塵部8を配置する。図5に示すように、集塵部8は高電圧を印加する荷電電極21と、それと対向してアースに接続された集塵電極22とが交互に一定の間隔で配置されている。本実施の形態では荷電電極21に−8kVを印加し、荷電電極21と集塵電極22との間隔は6mmである。これにより、荷電電極21と集塵電極22との間に電界が発生し、ここを帯電した塵埃が通過する際に、電界によるクーロン力が働き、帯電した塵埃が主に集塵電極22上に捕集される。
【0044】
本実施の形態では、荷電電極21を、アルミ板をフィルムでラミネートした電極板とした。荷電電極21の表面を絶縁化あるいは半導電化し、電圧供給部材23および荷電電極21と電圧供給部材23の接点に水がかからない構造とすることにより、荷電電極21と集塵電極22との間に水が溜まってもスパークを防止することができる。集塵電極22には、表面に親水性塗料を塗装したアルミ製の電極板を使用している。
【0045】
なお、本実施の形態では荷電電極21に印加する電圧を−8kV、集塵電極22に印加する電圧を0kV(すなわちアース)、荷電電極21と集塵電極22との間隔を6mmとしたが、これに限定されるものではなく、所望の集塵性能を達成できる値であればよい。
【0046】
集塵部の荷電電極21は高電圧を印加できるように接続し、集塵電極22は電気的にアースに接続する必要がある。その方法として前述したように、帯電部の接地電極16と同様の方法で行っても良いが、本実施の形態では、より簡単な構造になるように、各荷電電極21または集塵電極22の一部を、電圧供給部材23または接地部材24に接触させることで導通している。
【0047】
なお、本実施の形態では荷電電極21に高電圧を、集塵電極22に0kV(すなわちアース)を印加するための構造として、電圧供給部材23および接地部材24を用いたが、これに限定されるものではなく、要件を満たす構造であればどのような構造でも構わない。
【0048】
なお、本実施の形態では荷電電極21を、アルミ板をフィルムでラミネートした電極板としたが、これに限定されるものではなく、本実施の形態と同等の効果が得られる構成の電極板であればよい。例えば表面抵抗率を10の7〜12乗Ω/□オーダーとなるよう半導電化したセラミックスや樹脂等を用いて電極板を作製することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では集塵電極22を、表面に親水性塗料を塗装したアルミ製の電極板としたが、これに限定されるものではなく、親水性と導電性を兼ね備える電極板であればよい。例えばステンレス等の金属板の表面に親水性を付与した電極板や、導電性を有する樹脂板の表面に親水性を付与した電極板などを用いることができる。
【0050】
洗浄気化手段10は噴霧部11を備えており、噴霧部11は金属製の筒状のパイプにノズルが取り付けられている。噴霧部11は水道直結になっており、水道圧によってノズルから水が噴霧されることで、集塵電極22上に水膜を形成させる。ノズルにはフラット型ノズルやフルコーン型ノズルなど様々な種類があるが、本実施の形態ではフルコーン型ノズルを使用した。フルコーン型ノズルの噴霧領域は円錐状であり、その円錐領域の中央部にも水滴が分布するため均一な噴霧が可能となり、フラット型ノズルと比較してより少ない水量で同等の効果を得ることができる。
【0051】
なお本実施の形態では噴霧部11を金属製の筒状のパイプにフルコーン型ノズルを取り付けた構成としたが、これに限定されるものではなく、所望の領域に水を噴霧できる構成であればよい。
【0052】
水タンク12は噴霧部11から噴霧された水を受け、直接排水できる構成とした。噴霧部11を水道直結とし、水タンク12から直接排水することで、水道を流せば外気処理装置1に水が供給、排水されるため、ユーザーが給水する手間を省くことができる。
【0053】
なお本実施の形態では噴霧部11を水道直結とし、水タンク12から直接排水する構成としたが、これに限定されるものではなく、噴霧部11から水を噴霧し、水タンク12で噴霧された水を受ける構成であればよい。例えば、噴霧部11と水タンク12との間をホース等で接続しポンプで循環させることによって、水循環方式としてもよい。水循環方式の場合、集塵部8に噴霧された水は塵埃を含んでいるため、これらをろ過する等して除去した状態で循環させることが好ましい。
【0054】
実施の形態1の外気浄化装置の作用を説明する。
【0055】
帯電部7に備えた放電電極15には−10kVの直流高電圧を印加し、接地電極16および枠体18はアースに接続する。これにより、放電電極15と接地電極16との間に電位差が発生するため、放電電極15の先端に電界が集中し、高電圧が印加された放電電極15先端付近の空気が絶縁破壊を起こし、コロナ放電が生じる。集塵部8に備えた荷電電極21には−8kVの直流高電圧を印加し、集塵電極22はアースに接続する。これにより、荷電電極21と集塵電極22との間に電界が発生する。
【0056】
洗浄気化手段10に備えた噴霧部11からは水が噴霧されており、集塵部8に備えた荷電電極21および集塵電極22の表面を伝って流れ落ち、案内板14上を流れて水タンク12に落ちて回収され、排水される。集塵電極22の表面は親水性を有しているため、集塵電極22の表面には均一な水膜が形成される。噴霧された水の一部は気化し、空気の冷却あるいは加湿に寄与する。
【0057】
送風手段9が駆動し、外気が吸込口3から流入すると、帯電部7を通過する際に外気に含まれる塵埃が帯電される。帯電された塵埃を含む空気は案内板14に導かれて集塵部8に流入する。集塵部8を通過する際に、電界によるクーロン力が働き、帯電した塵埃が集塵電極22上に捕集される。捕集された塵埃は、集塵電極22上に形成された水膜によって洗い流され、最終的に水タンク12に移動して水とともに排出される。
【0058】
また、空気が案内板14上および集塵部8を通過する際に、案内板14上を流れる水、および集塵部8に備えた集塵電極22上に形成された水膜との気液接触により水の気化が起こり、流入した空気を冷却あるいは加湿する。
【0059】
集塵部8を通過して浄化され、さらに冷却あるいは加湿された空気は、送風手段9を通じて吹出口4から室内へ供給される。
【0060】
実施の形態1の外気浄化装置の効果を説明する。
【0061】
上記構成とすることにより、集塵部8を水で洗浄して清浄な状態に保つことで高い集塵効率を維持するとともに、水を積極的に気化させて外気を冷却あるいは加湿することが可能となるので、外気を浄化すると同時に冷却あるいは加湿して室内に供給することができる。
【0062】
また本実施の形態では、集塵部8に備えた集塵電極22の表面が親水性を有しているため、電極表面に均一な水膜が形成される。これにより、電極上に捕集された塵埃が洗い流されやすくなって電極を清浄な状態に保つとともに、電極上に形成された水膜の間を空気が流れることで、空気と水との気液接触面積を大きくすることが可能となる。
【0063】
これにより、高い集塵効率を維持して外気を浄化すると同時に、水の気化量を増加させて外気を冷却あるいは加湿して室内に供給することができる。
【0064】
また本実施の形態では、本体ケース2の上面に吹出口4を設けた。これにより、本体ケース2の奥行き寸法を小さくして薄型にすることができ、設置性の高い外気処理装置1を提供することができる。
【0065】
また本実施の形態では、洗浄気化手段10に噴霧部11を備えた構成とした。噴霧部11から水を噴霧することにより、集塵部8の電極を洗浄するとともに、水噴霧による気化により、外気の積極的な冷却あるいは加湿を行うことが可能となる。
【0066】
また本実施の形態では、本体ケース2内の風路5に備えた帯電部7と集塵部8との間に、仕切り板13を設けた。これにより、集塵部8を洗浄するとともに水を気化させる洗浄気化手段10から飛散した水が帯電部7へ浸入するのを防止し、帯電部7に水が付着することによる漏れ電流やスパークの発生を抑制することができる。
【0067】
また、仕切り板13によって帯電部7と集塵部8とが区切られ、装置に導入された外気が集塵部8を下から上に向かって確実に通過するため、外気中に含まれる帯電された塵埃の捕集効率を高めるとともに、気液接触面積を確保して外気の冷却または加湿を効率よく行うことができる。
【0068】
また本実施の形態では、集塵部8の下方に、集塵部8に空気を導くように傾斜した複数の案内板14を設けた。
【0069】
これにより、装置に導入された外気の集塵部8への流入をスムーズにし、圧力損失を低減することができる。また、集塵部8から流れ落ちた水を受けた案内板14の間を空気が通過することにより、気液接触面積を増大させて外気の冷却または加湿を効率よく行うことができる。
【0070】
また、案内板14の表面に親水性を付与してもよい。これにより、集塵部8を伝って流れ落ちた水が案内板14上を流れる際に、案内板14の表面に均一な水膜が形成される。
【0071】
これにより、流れ落ちてきた水に含まれる塵埃が案内板14上に堆積することを防ぐとともに、案内板14の間を空気が通過する際の気液接触面積を増大させ、外気の冷却または加湿を効率よく行うことができる。
【0072】
また、水タンク12を本体ケース2から取り外し可能に設置してもよい。これにより、水タンク12からの自然排水のみで排出できなかった塵埃が水タンク12に堆積した場合でも、ユーザーが水タンク12を容易に取り外して清掃することができる。
【0073】
また、洗浄気化手段10に洗剤を供給できるように、洗剤供給部材を備えてもよい。これにより、洗浄気化手段10に備えた噴霧部11から噴霧される水に洗剤を混入し、集塵部8を洗浄する能力を高めることができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、吹出口4を本体ケース2の上面に設けたが、送風手段9の室内側の本体ケース2の側面に設けてもよく、特に外気処理装置1を屋外に設置する場合、吹出口4を壁あるいは窓等の貫通孔に合わせて設置すればよく、好ましい。
【0075】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について図面を参照しながら説明する。
【0076】
図6および図7において、実施の形態1と同一の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0077】
図6は本発明の実施の形態2の外気処理装置の断面を示す構成図、図7は同外気処理装置に備えた集塵部の斜視図である。
【0078】
実施の形態2の外気処理装置の構成を説明する。
【0079】
図6および図7に示すように、外気処理装置1は水を利用して集塵部8を洗浄するとともに水を気化させる洗浄気化手段10を有しており、洗浄気化手段10は、本体ケース2内に設けた水タンク12と、集塵部8に設けた複数の荷電電極21および集塵電極22と、集塵電極22を回転させる駆動手段25を有している。
【0080】
集塵部8に設けた荷電電極21と集塵電極22とは交互に一定の間隔で配置されている。荷電電極21には高電圧を印加できるように接続し、集塵電極22は電気的にアースに接続する必要があるため、本実施の形態では各荷電電極21または集塵電極22の一部を、電圧供給部材23または接地部材24に接触させることで導通させている。
【0081】
本実施の形態では、集塵電極22を円盤形状とし、各集塵電極22の中心を接地部材24で接合して一体化し、接地部材24を駆動手段25で回転させることで、集塵電極22を回転させる構成とした。
【0082】
本実施の形態では、荷電電極21は半円盤形状とし、荷電電極21と接地部材24とが接触しないように、半円盤の半径中心付近を円形にくり抜いた形状とした。また電圧供給部材23と集塵電極22とが接触しないように、集塵電極22の端から所定の距離だけ離して電圧供給部材23を設置した。その他の基本的な構成は、図1から図5に示した実施の形態1と同様である。
【0083】
なお本実施の形態では集塵電極22を円盤形状とし、荷電電極21を半円盤形状としたが、これに限定されるものではなく、駆動手段25によって集塵電極22を回転可能な構成であれば、どのような形状でも構わない。
【0084】
実施の形態2の基本的な作用、効果は実施の形態1と同様である。
【0085】
水タンク12に溜めた水に、集塵部8に備えた集塵電極22の一部を浸漬し、駆動手段25により集塵電極22を回転させることにより、集塵電極22の水に浸漬された部分を洗浄することができる。またそれと同時に、水に浸漬された後に風路5に露出する集塵電極22の表面に水膜を形成し、その間に通風することで気液接触面積を確保し、積極的に外気を冷却または加湿することができる。本実施の形態では、水タンク12に水を溜めて使用するため、水を外部から供給して噴霧し、排水する方式と比較して、使用する水量が少なくて済み、ランニングコストを低減することができる。
【0086】
また、水タンク12に抗菌処理を施してもよい。水タンク12に長期間水を溜めておくと、集塵電極22上に捕集されて洗い流された塵埃に細菌等が含まれていた場合、水タンク12の中でそれらの菌が繁殖して不衛生な状態になる恐れがある。水タンク12に抗菌処理を施すことによって、菌等の繁殖を防止し、不衛生な状態になることを防ぐことができる。抗菌処理としては、銀‐ゼオライトや銀‐リン酸ジルコニウムなどの無機系抗菌剤や、カチオン界面活性剤などの有機系抗菌剤を水タンク12の表面に塗布する、クロムメッキやニッケルメッキなどの抗菌メッキを施す、などの手法を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明にかかる外気処理装置は、高い集塵効率を維持して外気を浄化すると同時に、水を積極的に気化させて外気を冷却あるいは加湿して室内に供給することが可能であるので、冷風機能や加湿機能付の給気浄化装置など、住宅向け換気送風機器等として有用である。
【符号の説明】
【0088】
1 外気処理装置
2 本体ケース
3 吸込口
4 吹出口
5 風路
6 集塵手段
7 帯電部
8 集塵部
9 送風手段
10 洗浄気化手段
11 噴霧部
12 水タンク
13 仕切り板
14 案内板
15 放電電極
16 接地電極
17 放電電極支持部材
18 枠体
19 碍子
20 導電性部材
21 荷電電極
22 集塵電極
23 電圧供給部材
24 接地部材
25 駆動手段
101 外気処理装置
102 ケーシング
103 空気風路
104 送風手段
105 帯電部
106 集塵部
107 噴霧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を吸込む吸込口と室内へ処理した外気を吹出す吹出口を有する本体ケースと、
この本体ケース内の前記吸込口と前記吹出口を結ぶ風路に設けた集塵手段および送風手段を備え、前記集塵手段は、外気に含まれる塵埃を帯電させる帯電部と、帯電した塵埃を捕集する集塵部とを有し、さらに、水を利用して前記集塵部を洗浄するとともに水を気化させる洗浄気化手段を有することを特徴とする外気処理装置。
【請求項2】
集塵部は電場を形成する複数の電極を有し、前記電極の表面に親水性を付与したことを特徴とする請求項1に記載の外気処理装置。
【請求項3】
本体ケースの上部に吹出口を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の外気処理装置。
【請求項4】
洗浄気化手段は、集塵部に水を噴霧する噴霧部を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の外気処理装置。
【請求項5】
洗浄気化手段は、本体ケース内に設けた水タンクと、集塵部に設けた複数の電極と、前記電極を回転させる駆動手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の外気処理装置。
【請求項6】
本体ケース内の風路に備えた帯電部と集塵部との間に、仕切り板を設けたことを特徴とする請求項3または4に記載の外気処理装置。
【請求項7】
集塵部の下方に、前記集塵部に空気を導くように傾斜した複数の案内板を設けたことを特徴とする請求項6に記載の外気処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−125734(P2012−125734A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281602(P2010−281602)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】