説明

外用剤、外用シート剤および外用シート剤セット

【課題】水素をより低コストで効率的に、かつ持続して発生できる安定性の良好な外用剤、外用シート剤および外用シート剤セットを提供する。
【解決手段】水素吸蔵多孔質物質と、有機酸と、無水増粘剤とを含有し、無水増粘剤の粘度が20〜30mm/Sである外用剤である。片面側に粘着剤を有するシートに、外用剤を塗布してなる外用シート剤である。片面側に粘着剤を有するシートと、外用剤からなる外用シート剤セットである。無水増粘剤が、ポリエチレングリコールであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外用剤、外用シート剤および外用シート剤セットに関し、詳しくは水素をより低コストで効率的に、かつ持続して発生できる安定性の良好な外用剤、外用シート剤および外用シート剤セットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然並びに生活環境の多様化を含め、特に高年齢化、あるいは職場のオートメーション化によるストレスの増加などにより、リュウマチ関節痛、腰痛、花粉症、全身疲労感、感冒などで悩む人が、年齢を問わず増えている。
【0003】
そこで、医療機関をはじめとして、様々な対策がとられており、その1つとして、マイナスイオンを活用した方法がある。例えば、特許文献1には、フィルム状ないしシート状の支持体の片側面に水分を含有する親水性の粘着剤層を積層した外皮貼着型の貼付剤において、この粘着剤層にマイナスイオン発生体が含有されている外用貼付剤が、開示されている。また、特許文献2には、マイナスイオン発生体及び吸湿体を必須構成成分とするマイナスイオン発生剤が、開示されている。
【0004】
一方、水素吸蔵多孔質物質に吸蔵させた水素は、食べる水素として体内に直かに取り入れたとき、人体を構成する細胞内へ速やかに取り込まれ、ミトコンドリア内でのクエン酸回路を介してATP産生を促進するとともに、水素を放出し、ヒドロキシラジカルやスーパーオキシドラジカルなどの活性酸素を水として消去するものである。これによって細胞を活性化する生理学的な対応を起すことが知られており、特許文献3には、サンゴカルシウムの粉末を重量比で55%、小麦粉重量比で45%に水を加えて混練し板状に成形して乾燥し、該乾燥成形体を700℃で4時間酸化焼成した後、Nガス・Hガス雰囲気の還元炉で650℃で4時間還元焼成し、得られた焼成体を微粉末とした食べる水素の製造方法が、開示されている。また、特許文献4には、玄米粉と水素を吸着させた焼成サンゴカルシウムの粉末とを混合して得られた抗酸化組成物が、開示されている。
【特許文献1】特開2003−171265号公報
【特許文献2】特開2003−169852号公報
【特許文献3】特開2005−245265号公報
【特許文献4】特開2007−217351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の方法は、空気中の水分量の変化による影響を少なくすることはできるものの、水分を含有する粘着層中にマイナスイオン発生体を含有しているため、保存中からすでにマイナスイオンが発生して、使用時に十分なマイナスイオンを発生することができず、マイナスイオン等を効率的に、かつ持続して発生することが望まれていた。また、特許文献2記載の方法は、空気中の水分量の変化による影響を少なくすることはできるものの、吸湿体を必須要件としているため、コストや手間がかかり、マイナスイオン等をより低コストで効率的に、かつ持続して発生できる安定性の良好な外用剤および外用シート剤が望まれていた。
【0006】
また、特許文献3および4記載の方法は、主として食品に関するものであるため、外用剤として、皮膚に水素を効率的に、かつ持続して与えることに関しては、改良の余地があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、前記の従来技術の問題を解決し、水素をより低コストで効率的に、かつ持続して発生できる安定性の良好な外用剤、外用シート剤および外用シート剤セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、保存時に、粘着剤を有するシートと水素吸蔵多孔質物質を共存させず、特定の粘度の無水増粘剤を使用することによって、前記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の外用剤は、水素吸蔵多孔質物質と、有機酸と、無水増粘剤とを含有し、
前記無水増粘剤の粘度が20〜30mm/Sであることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の外用剤は、前記水素吸蔵多孔質物質が、水素吸蔵焼成サンゴカルシウム、水素吸蔵ゼオライト、水素吸蔵木炭、水素吸蔵活性炭、水素吸蔵麦飯石、水素吸蔵トルマリンおよび水素吸蔵レアアース鉱石からなる群より選ばれた1種以上であることが好ましく、前記無水増粘剤が、ポリエチレングリコールであることが好ましい。さらに、前記有機酸が、クエン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、希塩酸、酢酸、シュウ酸およびD−グルクロン酸からなる群より選ばれた1種以上であることが好ましく、撹拌球を含有することが好ましい。
【0011】
本発明の外用シート剤は、片面側に粘着剤を有するシートに、前記外用剤を塗布してなることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の外用シート剤は、前記外用剤をプッシュ式ボトルに充填し、前記外用剤を吐出して前記シートに塗布してなることが好ましい。
【0013】
本発明の外用シート剤セットは、片面側に粘着剤を有するシートと、前記外用剤からなることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の外用シート剤セットは、前記シートと、前記外用剤を充填したプッシュ式ボトルからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、水素をより低コストで効率的に、かつ持続して発生できる安定性の良好な外用剤、外用シート剤および外用シート剤セットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の外用剤は、水素吸蔵多孔質物質と、有機酸と、無水増粘剤とを含有し、無水増粘剤の粘度が20〜30mm/Sであることを特徴とするもので、具体的には、無水増粘剤中に、水素吸蔵多孔質物質および有機酸を加えて混合するものである。かかる構成とすることにより、皮膚に塗布する前は、水素吸蔵多孔質物質を含有する外用剤が水と接しないため、より低コストで、水添加後に即時に速やかに大量の水素を発生させ、かつ、水を添加するまでは水素の発生が極めて少ないため長時間水素を発生させることができる。また、予め水素吸蔵多孔質物質、有機酸および無水増粘剤を混合しているため、安定性が良好で簡便に使用できる。
【0017】
本発明に用いられる水素吸蔵多孔質物質としては、多孔質で水素を吸蔵でき、所期の効果が得られるものであれば限定されないが、例えば、水素吸蔵焼成サンゴカルシウム、水素吸蔵ゼオライト、水素吸蔵木炭、水素吸蔵活性炭、水素吸蔵麦飯石、水素吸蔵トルマリンおよび水素吸蔵レアアース鉱石からなる群より選ばれた1種以上であることが好ましく、水素吸蔵焼成サンゴカルシウムまたは水素吸蔵ゼオライトであることがより好ましい。
【0018】
かかる水素吸蔵多孔質物質の製造方法としては、例えば、特開2005−245265号公報記載の製造方法等があり、具体的には、多孔質物質を700℃の酸化焼成炉で4時間酸化焼成し、常温に戻した後に、Nガス:Hガス(90vol.%:10vol.%)の雰囲気中で650℃の温度で4時間還元焼成するなど、酸化焼成と還元焼成という2段階焼成をして製造することができる。
【0019】
また、多孔質物質として用いられるサンゴカルシウムは、海底に堆積した砂状の化石サンゴが含有するカルシウムであり、化石サンゴにはカルシウムのほか、マグネシウム、カリウムなどのミネラルが豊富に含まれており、しかも水溶性に富んだイオン化し易い性質であるため、人体への吸収効率性が高い自然素材である。かかるサンゴカルシウムとしては、本発明の所期の効果が得られれば、特に限定されない。
【0020】
さらに、多孔質物質として用いられるゼオライトは、結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩であり、温泉地帯の火山岩や溶岩中に形成された結晶洞から産出される天然品や、合成品を使用することができる。ゼオライトは、ケイ素とアルミニウムが酸素を媒介することによって結合構造を作り、孔中に分子吸着作用により、水素を吸蔵することができる。
【0021】
さらにまた、多孔質物質として用いられる木炭、活性炭、麦飯石、トルマリンおよびレアアース鉱石は、市場で入手可能な木炭、活性炭、麦飯石、トルマリンおよびレアアース鉱石を使用することができ、水素を吸蔵することによって、水素吸蔵多孔質物質を得ることができる。
【0022】
また、本発明において、水素吸蔵多孔質物質の剤形としては、外用剤中に添加できれば特に限定されず、液体、ゾルまたはゲル状の流動体(例えば、ペースト)、粉末、顆粒、錠剤などの形態を採ることができる。また、水素吸蔵多孔質物質には、本発明の効果を損なわない限り、他の成分を加えて上記剤形とすることもでき、例えば、玄米粉、豆乳、おから入り豆汁等を加えて錠剤、ペースト状等とすることもできる。ペースト状の水素吸蔵多孔質物質としては、例えば、サンテケア(フコイダンペースト、(株)サンテグローバル社製)を使用できる。
【0023】
さらに、本発明の外用剤は、有機酸を含有するものである。皮膚に貼り付ける直前に水を添加することで、有機酸が水素吸蔵多孔質物質を溶解するため、即時に速やかに大量の水素を発生させ、かつ、水を添加するまでは水素の発生が極めて少ないため長時間水素を発生させることができる。かかる有機酸としては、上記水素吸蔵多孔質物質と反応して、水素を発生するものでれば限定されないが、好ましくは、クエン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、希塩酸(例えば、塩酸ソモナーデ)、酢酸(例えば、穀物酢)、シュウ酸およびD−グルクロン酸からなる群より選ばれた1種以上であり、さらに好ましくは、入手し易いクエン酸である。また、かかる有機酸は、水を含まないことが好ましく、液状の場合は水を蒸発等して除去することが好ましい。
【0024】
本発明の外用剤は、無水増粘剤を含有するものである。水を含まない増粘剤中に、水素吸蔵多孔質物質および有機酸を分散することで、水素の発生を防止して安定に剤形を維持できる。また、無水増粘剤の粘度が20〜30mm/Sであるものである。無水増粘剤の粘度が20mm/S未満であると粘度が低すぎるため水素吸蔵多孔質物質および有機酸が沈殿し、好ましくない。一方、無水増粘剤の粘度が30mm/Sを超えると水を含まないため固形状に近くなるため塗布できず、好ましくない。なお、無水増粘剤の「無水」とは、水を完全に含まない場合だけでなく、水素の発生を防止できる下限量の水を含む場合も含む概念であり、例えば、0.001%以下の水を含むことができる。
【0025】
本発明において使用できる無水増粘剤としては、水素吸蔵多孔質物質および有機酸と反応せず、良好に分散できるものであれば限定されないが、好ましくは、ポリエチレングリコールである。かかるポリエチレングリコールは、日本薬局方マクロゴールとして知られているものであり、市販品である、PEG♯400、PEG♯600、PEG♯2000、PEG♯4000(日油株式会社製)等を使用できる。
【0026】
また、ポリエチレングリコールとしては、単独で粘度が20〜30mm/Sであるものを使用してもよく、異なる粘度のポリエチレングリコールを2種以上組み合せて粘度を20〜30mm/Sにして使用してもよい。例えば、PEG♯400とPEG♯4000を10:3〜5:2の割合で混合して使用することができる。
【0027】
さらに、本発明の外用剤において、撹拌球を含有することが好ましい。撹拌球により撹拌することで、水素吸蔵多孔質物質および有機酸の分散状態をより良好にできる。また、水素吸蔵多孔質物質および有機酸が沈殿している場合でも、無水増粘剤の粘度が20〜30mm/Sであることから、再分散が可能となる。
【0028】
かかる撹拌球としては、水素吸蔵多孔質物質、有機酸、無水増粘剤等と反応せず、本発明の効果が得られるものであれば限定されないが、例えば、ステンレス製、セラミック製、テフロン(登録商標)製等の撹拌球を使用できる。また、表面だけがステンレス製、セラミック製、テフロン(登録商標)製であってもよい。さらに、撹拌球は、その大きさは限定されないが、例えば、直径1〜50mm、特に5〜25mmのものが十分な撹拌ができ、好ましい。
【0029】
また、本発明において、水素吸蔵多孔質物質および有機酸の配合割合は、5:1〜5:3であることが好ましく、5:1〜5:2であることがさらに好ましい。水素吸蔵多孔質物質および有機酸の配合割合が、5:1〜5:3であると、より適量の水素を長期間発生させることができ、好ましい。
【0030】
さらに、本発明の外用剤には、本発明の効果を損なわない限り、他の成分を含むこともできる。
【0031】
本発明の外用シート剤は、片面側に粘着剤を有するシートに、本発明の外用剤を塗布してなることを特徴とするものである。皮膚に貼り付ける直前に、シート上に本発明の外用剤を塗布し、水を添加しているため、より安定性が良好になる。
【0032】
本発明において、「塗布」とは、シート上に本発明の外用剤を有する形態とすることであり、本発明の所期の効果が得られれば、塗布の仕方は特に限定されず、例えば、本発明の外用剤をプッシュ式ボトルに充填し、プッシュ式ボトルから外用剤を吐出してシートに塗布することもできる。
【0033】
本発明において用いることのできるシートとしては、本発明の所期の効果が得られるものであれば特に限定されず、好ましくは、柔軟で外用シート剤としての使用感を損ねないものであり、公知の天然繊維及び/又は人造繊維で形成されたシート、または、高分子材料で形成されたシートを適宜選択して用いることができる。さらに、これらの材料を単独で用いてもよく、または、これらの材料から選ばれた少なくとも2種以上を積層したシート状の積層体として用いてもよい。
【0034】
上記天然繊維及び/又は人造繊維から成るシートとしては、例えば、紙、布、タオル、毛布、編み物、キルト、不織布又は織布等を挙げることができる。
【0035】
上記天然繊維としては、例えば、綿花、カポック、亜麻、ラミー、大麻、黄麻、しゅろ、マニラ麻、サイザル麻、コイヤー・ファイバー等の植物繊維、家蚕絹、柞蚕絹、羊毛(緬羊)、カシミア毛、ラクダ毛、アルパカ毛、モヘヤー、兎毛等の動物繊維が挙げられる。
【0036】
上記人造繊維としては、例えば、人絹糸、スフ、ビスコース、ベンベルグ等の再生繊維、又はポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリビニール・アルコール系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリクラール等の合成繊維、或いは酢酸人造繊維などの半合成繊維等が挙げられる。
【0037】
また、上記高分子材料で形成されたシートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、セロファン、ポリクロロプレン、ポリアミノ酸、ニトリルゴム、ブチルゴム又はシリコーンゴムなどの合成樹脂や合成ゴム等を薄く形成したシートを用いることができ、所望により、これらを発泡処理した通気性(透湿性)あるいは非通気性(非透湿性)の発泡体も用いることができる。この場合、非通気性(非透湿性)のシートあるいは発泡体においては、発生した水素を外部に発散させることがない範囲で、穿孔処理或いは延伸処理を施すことによって通気性(透湿性)を付与することもできる。
【0038】
また、上記シートの大きさおよび形状は、本発明の所期の効果が得られれば限定されず、使用する部位にあわせて適宜決定することができ、例えば、6.5cm×4.2cm、9.0cm×6.0cm、13.0cm×7.2cmの長方形、あるいは、直径22mmの円形状等とすることができる。また、かかるシートの厚みとしては、好ましくは、15〜250μmであり、さらに好ましくは、30〜100μmである。
【0039】
本発明において用いることのできる粘着剤は、本発明の外用剤と反応せずに、本発明の所期の効果を得られれば特に限定されず、人体の適宜箇所に貼着できるものである。また、かかる粘着剤は、シートの片面側に有していればよく、シートの一部あるいは全面にわたって有していてもよく、一般に粘着層として形成されている。さらに、かかる粘着剤としては、使用中に自然に剥離しない程度の粘着力を有し、しかも発汗等による水分に接触しても容易に粘着性を喪失しないものであることが好ましく、一般的には、公知の親油性粘着剤等が挙げられる。
【0040】
上記粘着剤としては、具体的には、例えば、酢酸ビニル系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着剤、塩化ビニル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエチレン系粘着剤又はセルロース系粘着剤等の熱可塑性粘着剤、あるいはニトリルゴム系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤またはクロロプレン系粘着剤等のゴム系粘着剤が好適に用いられるのであり、その粘着剤の積層厚としては、特に限定されるものではないが、10〜70μm程度が好ましい。
【0041】
本発明の外用シート剤には、本発明の効果を損なわない範囲内で、一般に粘着剤に添加されている、粘着付与剤、無機充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料等を添加することができる。
【0042】
本発明において、プッシュ式ボトルとしては、水素吸蔵多孔質物質、有機酸、無水増粘剤等と反応せず、本発明の外用剤を吐出できれば限定されず、通常、化粧品・医薬品業界で使用されているものを用いることができる。
【0043】
本発明の外用シート剤セットは、片面側に粘着剤を有するシートと、本発明の外用剤からなることを特徴とするものである。また、シートと、本発明の外用剤を充填したプッシュ式ボトルからなることが好ましい。これらのような外用シート剤セットとすることにより、より簡単に本発明の外用シート剤を得ることができる。
【0044】
図1は、本発明の外用剤の一実施形態を示す図である。プッシュ式ボトル(エアレスポンプ)3中に、外用剤1および撹拌球2を含有している。また、外用剤1は、水素吸蔵多孔質物質と、有機酸と、無水増粘剤とを含有し、無水増粘剤の粘度が20〜30mm/Sであるものである。撹拌球2により外用剤1を均一に分散した後、プッシュ式ボトル3から外用剤1を矢印4の方向に吐出して使用する。プッシュ式ボトル3から吐出した外用剤1を直接皮膚に塗布し、水を加えて水素を発生させて使用することができる。
【0045】
図2は、本発明の外用剤シートの一実施形態を示す図である。片面側に粘着剤6を有するシート5上に、プッシュ式ボトル3から外用剤1を吐出して塗布し、その後、水を添加して、外用シート剤7を皮膚に粘着する(図3)。このような外用剤1および外用シート剤7を使用することにより、水素吸蔵多孔質物質および有機酸による本発明の効果を実感でき、疼痛、炎症部位等に貼り付けることで、活性酸素により酸化された細胞内に、水素を経時的に浸透させ、その還元力により炎症を抑えることができ、従来にない即効性の消炎・鎮痛作用が期待できる。
【実施例】
【0046】
次に、本発明を実施例に基づき説明する。
実施例1
(水による影響の確認)
水による影響を確認するため、酸化還元電位計を使用して、酸化還元電位(ORP)を測定した。測定サンプルとして下記材料AおよびBを使用した。結果を表1に示す。
材料A:PEG♯400 4.0mLに水素吸蔵多孔質物質0.7gを加えて、計5.0mLとした。
材料B:PEG♯400 4.0mLに水素吸蔵多孔質物質0.7gを加え、さらに水1mLを加えて、計6.0mLとした。
なお、実施例1〜4中の水素吸蔵多孔質物質としては、毎日水素(商品名:(株)サンテ・コーポレーション社製)を使用した。
【0047】
【表1】

【0048】
材料AのORPは100mV以上であったのに対し、材料BのORPは5分後で−75mVを示した。この結果から、水を添加することにより、水素が発生し、安定性が悪くなることを示した。
【0049】
実施例2
無水増粘剤としてポリエチレングリコールを使用し、下記表2の配合割合で水素吸蔵多孔質物質7.0gおよび有機酸(クエン酸)2.0gと混合して、外観を観察し、さらに安定性を2段階(○、×)で評価した。なお、表2中、♯400はPEG♯400、♯4000はPEG♯4000を示す。
【0050】
【表2】

【0051】
無水増粘剤の粘度が20〜30mm/Sの範囲である♯400と♯4000の混合比率が10:3および5:2の場合は、ゲル状であり、良好な安定性を示し、簡便に使用できる外用剤であった。これに対し、混合比率が10:1、5:1および2:1の場合は、いずれも分散安定性が悪かった。
【0052】
実施例3
(外用剤の作製)
PEG♯400とPEG♯4000を混合比率10:3で混合し、これに、水素吸蔵多孔質物質7.0gおよび有機酸(クエン酸)2.0gを加えて、外用剤を作製した。かかる外用剤をリュウマチ関節痛の部位に塗布し、水を加えた。その結果、鎮痛効果が確認できた。
【0053】
実施例4
(外用シート剤の作製)
実施例3で作製した外用剤を直径22mmの市販の絆創膏テープの粘着面に塗布して、外用シート剤を作製した。かかる外用シート剤に水を加え、腰痛の部位に貼付けた。その結果、鎮痛効果が確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の外用剤の一実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明の外用剤シートの一実施形態を示す斜視図である。
【図3】外用シート剤の使用方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 外用剤
2 撹拌球
3 プッシュ式ボトル(エアレスポンプ)
4 矢印
5 シート
6 粘着剤
7 外用シート剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素吸蔵多孔質物質と、有機酸と、無水増粘剤とを含有し、
前記無水増粘剤の粘度が20〜30mm/Sであることを特徴とする外用剤。
【請求項2】
前記水素吸蔵多孔質物質が、水素吸蔵焼成サンゴカルシウム、水素吸蔵ゼオライト、水素吸蔵木炭、水素吸蔵活性炭、水素吸蔵麦飯石、水素吸蔵トルマリンおよび水素吸蔵レアアース鉱石からなる群より選ばれた1種以上である請求項1記載の外用剤。
【請求項3】
前記無水増粘剤が、ポリエチレングリコールである請求項1または2記載の外用剤。
【請求項4】
前記有機酸が、クエン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、希塩酸、酢酸、シュウ酸およびD−グルクロン酸からなる群より選ばれた1種以上である請求項1〜3のうちいずれか一項記載の外用剤。
【請求項5】
撹拌球を含有する請求項1〜4のうちいずれか一項記載の外用剤。
【請求項6】
片面側に粘着剤を有するシートに、請求項1〜5のうちいずれか一項記載の外用剤を塗布してなることを特徴とする外用シート剤。
【請求項7】
前記外用剤をプッシュ式ボトルに充填し、前記外用剤を吐出して前記シートに塗布してなる請求項7記載の外用シート剤。
【請求項8】
片面側に粘着剤を有するシートと、請求項1〜5のうちいずれか一項記載の外用剤からなることを特徴とする外用シート剤セット。
【請求項9】
前記シートと、前記外用剤を充填したプッシュ式ボトルからなる請求項8記載の外用シート剤セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−132618(P2010−132618A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311613(P2008−311613)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(505135405)株式会社サンテ・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】