説明

外科処置器具を備えている装置

【解決手段】本出願の1つの実施形態は、人工器官装置(30、31)を2つの棘突起(24)の間に植え込むため一側式外科処置を行うための方法とシステムに着眼している。この処置の間、棘突起の内の一方(24)の少なくとも一方の側は、軟組織に覆われたままである。器具(50)は、この軟組織の下を通るように経路決めされ、この様な経路決めの間は隠れて見えない状態にあるケーブリング(40)と磁気的に連結される。ケーブリング(40)は、更に、棘突起(24)の間に配置された人工器官装置(30、31)に係合させることができるように作られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工器官装置に関し、より具体的には、排他的にではないが、外科処置中は隠れて見えなくなる装置のケーブリングを巧みに操作するための器具と処置に関する。
【背景技術】
【0002】
整形外科的な傷害及び疾患に対して処置を施すために人工インプラント器官を使用することは普通になってきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
とはいえ、侵襲性を更に少なくした外科処置技法を可能にし、人工器官を外科的に植え込むのに要する時間を短縮し、及び/又は他の改良を提供するという課題は、なお存在している。而して、この技術分野には更なる貢献が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の1つの実施形態は、特有の人工器官である。他の実施形態は、植え込み可能な人工器官が関与している、特有の方法、システム、装置、器具、及び装置機構を含んでいる。
【0005】
本出願の別の実施形態は、組織を通してケーブルを配索する段階を含んでいる外科的植え込み処置である。この処置中、ケーブルの少なくとも端部分は、組織の下に隠れて見えない。フック型の構造を有する器具がケーブルの端部分に磁気的に連結され、組織を通してケーブルを案内する。ケーブルの端部分とフック型構造の一方又は両方は、磁石を含んでいる。ここで使用する「ケーブル」及び「ケーブリング」は、それぞれ、1つ又は複数のフィラメント、ワイヤ、コード、係留紐、ストランド、ストラップ、ファイバーなどを広義に含んでおり、中実、多孔質、管状、織り、撚り、編み、及び/又は当業者には想起されるその他の構造の装置である。更に、その様な「ケーブル」又は「ケーブリング」は、数例を挙げると、基本的に純粋な元素の金属、合金、有機ポリマー、有機金属化合物、無機物、及び/又は複合物材料を含め、どの様な組成を有していてもよい。
【0006】
本出願の別の実施形態は、2つの棘突起の間に人工器官を植え込むための外科処置を行う段階であって、棘突起の内の一方は、外科処置の間中、軟組織に覆われたままの状態である、処置を行う段階と;器具をケーブリングに磁気的に連結する段階と;連結されたケーブリングを、器具を使用して軟組織を通して一方の棘突起の周りに前進させる段階であって、前進の間はケーブリングの少なくとも一部が隠れて見えない状態にある、前進させる段階と;ケーブリングを人工器官に係合させる段階と、を含んでいる。
【0007】
更に別の実施形態は、棘間人工器官装置を植え込むのに一側式外科処置を行うための外科処置器具を含んでいる。この処置の間、下層の組織領域は、患者の脊椎を通る矢状面に対して一方の側方の外科的切開により露出されるが、反対の側方の少なくとも実質的な部分は無傷のまま残されている。器具は、長手方向中央部分とフック型の端部分を有している。中央部分は、器具の長手方向軸に沿って、フック型の端部分よりも長い距離を伸張している。フック型の端部分は、面に沿って長手方向軸から離れる方向に伸張している。この面は、中央部分に沿って長手方向軸に対する角度の境界を定めており、その角度は、この実施形態の好適な形態にとっては約45度から約135度の範囲にある。より好適な形態では、この範囲は、約75度から約105度である。更に好適な形態では、境界を定められた角度は約90度である。フック型の端部分は、処置の間を通して棘突起の側方に在る軟組織によって隠されて見えないケーブルの部分と磁気的に連結させるために、1つ又は複数の磁石又は磁気的に引き付けることのできる材料を含んでいる。
【0008】
更に別の実施形態は、患者の脊椎の2つの棘突起の間に植え込むように整えられた人工器官装置と、この装置と患者の組織を係合するためのケーブリングと、外科処置器具と、を含んでいる、システムに着眼している。この器具は、長手方向中央部分と器具の端部分を含んでいる。中央部分は、器具の長手方向軸に沿って、器具の端部分よりも長い距離を伸張している。端部分は、長手方向軸に交わる面に沿って伸張しているフック型の構造を含んでいる。この面と、中央部分に沿う長手方向軸との間に定められる角度は、この実施形態の好適な形態では約45度から約135度までの範囲にある。より好適な形態では、この範囲は、約75度から約105度である。更に好適な形態では、定められた角度は約90度である。フック型の構造は、軟組織によって隠されて見えないケーブルの部分と磁気的に連結させるために、1つ又は複数の磁石又は磁気的に引き付けることのできる材料を含んでいる。
【0009】
本出願の1つの目的は、特有の人工器官を提供することである。
代わりに又は追加して、本出願の別の目的は、特有の人工器官方法、システム、装置、器具、キット、及び/又は装置機構を提供することである。
【0010】
本出願のこの他の実施形態、形態、特性、態様、有益性、目的、及び利点は、ここに提示している詳細な説明並びに図面から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の原理の理解を促すために、これより図に示している各実施形態を参照してゆくが、説明に際して特定の言語を使用する。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定する意図はないものと理解頂きたい。説明している実施形態に対する変更や更なる修正、及びここに説明する本発明の原理のこの他の応用は、本発明が関連する分野の当業者であれば普通に想起されるものと考えている。
【0012】
本出願の1つの実施形態は、人工器官装置機構を植え込むために外科処置を行うための技法を含んでいる。人工器官装置機構は、ケーブルを含んでいる。この処置の間、ケーブルの端部分に磁気的に連結させるためにフック型の構造を有している器具が使用される。器具がケーブルの端部分に連結されている間、器具は、ケーブルの端部分が組織の少なくとも一部の下に隠れて見えない状態で、組織を通してケーブルを前進させるために動かされる。
【0013】
別の実施形態として、図1及び図2は、患者Pの脊椎Sに植え込み中の脊椎人工器官システム20を示している。図1は、患者Pの人工脊椎器官領域22の上面図であり、図2は、図1の視線2−2に対応する側面図である。正中軸M−Mは、患者Pの身体の正中矢状面に一致しており、ここで、正中矢状面は、図1の図の面に対して垂直であり、図2の図の面に対して平行である。システム20は、後方進入法を介して脊椎Sに植え込むように作られた人工器官装置機構21を含んでいる。従って、患者Pの後部脊椎領域22が、図1と図2の図に示されている。図1及び図2に示している植え込み処置の段階では、切開は既に施され、切開部位26が画定されている。部位26では、幾つかの棘突起24が、領域22の他の皮下組織と共に部分的に露出されている。より具体的には、部位26は、軸M−Mの概ね一方の側方にある、脊椎Sの棘突起24の一部を露出させる一側式外科処置を行った結果である。軸M−Mの反対の側方は概ね無傷で残されるので、領域22の組織27は、処置時の切開により押しのけられることはない。各棘突起24は、軟組織27で少なくとも部分的には覆われて隠れて見えない側24bとは反対側の部位26に、露出されている側24aを有している。組織27は、比較的手を付けられていない、各棘突起24の側面24b付近に、皮膚28とその皮膚28の下層の大量の皮下組織とを含んでいるものと理解頂きたい。この様にして、図示の一側式外科処置では、棘突起24をもっと完全に露出させることになる外科処置に比較して、組織の切開及び押しのけの程度がそれほどまでにならないように制限される。
【0014】
システム20は、更に、一群の棘間人工器官インプラント装置30を含んでいる。各装置30は、2つの相対する突起24の間に正中軸M−Mに沿って挿入され、係合相手の棘突起24の部分と相補的な湾曲を有する形状に作られた、互いに反対側の両端部分36を含んでいる。この係合状態では、各端部分36は、対応する棘突起24の周りを部分的に包んでいる。各装置30は、更に、側面30aから反対の側面30bへ貫通して伸張する複数の通路32を含んでいる。各側面30aと30bは、対応する通路32の一方に対応する対を成す互いに反対側に配置された開口部34を含んでいる。通路32は、図1及び図2に配置されている様に、軸M−Mを概ね横方向に横断して伸張している。各装置30で、側面30aは、図1及び図2に示している一側式外科処置の場合には概ね露出しており、一方、側面30bは概ね覆い隠されている。1つの非限定的な実施形態では、装置30は、それぞれ、脊椎植え込みに適した非金属有機ポリマーを主材とする材料で構成されているが、他の実施形態では、他の金属及び/又は非金属組成物が使用されている。
【0015】
図3は、一側式処置の異なる状態における、人工器官装置機構21の一部分の上面図を提示しており、同様の機構には同様の符号を付して示している。図3では、装置機構21は、ケーブル40を含んでおり、装置30の内の1つは、ケーブル40に関する以下の説明をより分かり易くするために、より具体的に設計された装置31である。同じく、装置31の通路32の内の1つは、ケーブル係合通路32aとしてより具体的に設計されている。ケーブル40も、代わりに、ケーブリング41の少なくとも一部であるように設計されている。
【0016】
ケーブル40は、終端42aを有するケーブルの端部分42を含んでいる。図示の実施形態では、終端43は、軟組織27を貫くのに適した先の尖った針状先端43を備えた構造に作られているが、他の実施形態のケーブル40は、異なる形状の構造で終端している。ケーブルの端部分42は、装置31の通路32aを側面30aから側面30bまで貫通して伸張しており、つまり、対応する開口34に進入し通り抜けて出ている。通路32aについては、装置31の側面30aの開口34は、反対側の開口部34よりも、切開部位26の一側式露出領域からアクセスし易いと理解頂きたい。通路32aを通り抜けた後、ケーブルの端部分42は、側面30bから離れる方向に伸張し、隣接する棘突起24の骨25近傍の軟組織27を通して経路決めされる。骨25は、更に、装置31と係合した端部分25aと、端部分25aの反対側の端部分25bを有するように示されている。先端43とケーブルの端部分42は、軟組織27を切り裂いて貫き、端部分25aから端部分25bに向けて中を通り抜けて前進し、骨25の周りに巻きつくように作られている。通常、このケーブル構成は、更に装置31を固定するように所望されているが、ケーブルの端部分42の少なくとも一部及び/又は先端43は、処置中は、組織27の下に隠れて見えない。処置のこの盲目段階の間にケーブル40を前進させるのを支援するために、ケーブル40の端部分42を、軟組織Tを貫いて骨25の周りに方向決めするための技法が発見された――これは、たとえ、端部分42と先端43が、皮膚28を含む場合も含んでいない場合もあるが、上層の後部組織で隠れて見えなくても、使える技法である。
【0017】
終端42と磁気的に連結し易くするために、少なくとも1つの磁石及び/又は磁気的に引きつけることのできる材料44が、ケーブル40に含まれている。磁石を使用する場合は、1つ又はそれ以上の異なる種類が、脊椎Sへの植え込みに適した構成で提供される。磁気的に引きつけることのできる材料を使用する場合は、植え込みに適するように作られていれば、非限定的な一例として、鉄(Fe)を含め常磁性合金の様などの様な型式のものでもよい。
【0018】
更に図3には、先端43に磁気的に連結されている外科処置器具50の遠位部分を示している。更に図4には、外科処置器具50に関する更なる詳細を示している。外科処置器具50は、図4に示している器具50の長手方向軸L−Lと一致する中心軸を有する中央の長手方向部分52を含んでいる。長手方向部分52は、その長さに沿ってローレットが切られた部分54を更に含んでおり、外科医が更にしっかりと把持できるようになっている。器具50の互いに反対側の両端には、端部分56aと56bがある。端部分56aは、軸L−Lに沿う長手方向部分52の距離D2よりも短い距離D1だけ軸L−Lに沿って伸張している。端部分56bは、やはり長手方向部分52の距離D2よりも短い距離D3だけ軸L−Lに沿って伸張している。また、距離D1とD3の合計もD2より小さい(D1+D3<D2)。器具50は、当業者には既知の、適した剛性とヒトの組織に対する適合性とを備えた材料で形成され、器具50の少なくとも一部は、以下に詳しく説明する1つ又は複数の選択された磁気特性を有するものと考えている。
【0019】
端部分56aは、図3に示す遠位部分と同じであり、図示の断面では、器具50の残りの部分から切り離されている。この断面は、図4の3−3断面線に対応し、円筒形の断面形状を示しているが、断面形状及び相対的な寸法取りは他の実施形態では異なる。端部分56aは、曲がり部60aにより横方向に軸L−Lから離れるように伸張して、フック型の構造62aで終端している。曲がり部60aは、フック型の構造62aを、軸L−Lに概ね直交している仮想面58aに沿って位置付けているが、他の実施形態では、異なる向き/幾何学形状が採用される。
【0020】
フック型の構造62aは、湾曲部64aに対応する別の曲がり部を含んでいる。湾曲部64aは、フック65aを形成している。湾曲部64aは、図3に示す半直線68aにより表される曲げ半径に対応している。図示の実施形態では、湾曲部64aは、半直線68aをその起点を中心に器具先端70aから曲がり部60aまで回転させることにより表示されるように、骨25の周りに角度Rの境界を定めているものと理解頂きたい。更に好適な実施形態では、角度Rは少なくとも90度である。もっと更に好適な配設では、角度Rは少なくとも135度である。最も好適な配置では、角度Rは約180度である。なお、湾曲64aは第2の曲がり部に対応しており、端部分56aは、フック65aを含めて、集合的に複数の曲がり部又は曲げ66aと規定されている、異なる方向の複数の曲がり部を含むようになっていると理解頂きたい。更に、どの曲がり部も、滑らかで連続する湾曲の型式であってもよいし、及び/又は直線区間を非連続的に継ぎ合わせることにより提供されていてもよいものと理解頂きたい。図4に示すように、軸C−Cは、器具50の軸L−Lに沿った長さの中間点で軸L−Lと垂直に交わる。軸C−Cと一致する、図4の面に対して直交する面は、端部分56aと56bが互いの鏡像となるように、装置50の対称面の役目を果たす。従って、端部分56bも、曲がり部60bに対応して、長手方向部分52から離れるように横方向に伸張している。端部分56bは、湾曲部64bを含むフック型の構造62bを含んでいる。湾曲部64bは、半直線68bで表される曲げ半径を有するフック65bを形成している。半直線68bも、その起点を中心に回転され、先に説明したように、角度Rの境界を定めている。端部分56aと56bは、それぞれ、器具先端70aと70bを含んでいる。器具70aと70bは、それぞれ少なくとも1つの対応する磁石72を含んでいる。各磁石72は、ケーブル40の少なくとも一部を磁気的に引き付けて連結することのできる構造に作られた永久磁石でもよいし、外科処置器具に使用するの適したどの様な種類の磁石でもよい。1つの非限定的な例では、磁石72は、ネオジム(Nd)を含んでおり、適切な構造体に磁気的に連結されたときには少なくとも5ポンドの牽引力を提供する。
【0021】
手術時、外科医は、組織27を通してケーブル40を選択的に方向決めするのに器具50を使用する。図3に示す後方進入法においては、端部分56aを骨25の露出部分(24a側)に近接して設置し、図3の状態から反時計回りに回転させて、フック65aを骨25の周りに回して、器具先端70aを組織27の下に向かわせる。対応して、器具先端70aは、骨25の端部分25bから骨25の端部分25aに向かって進む。器具50のこの操作の前か後の何れかで、先に説明したように、ケーブル40の端部分42が、通路32aを通して組織27に挿入される。ケーブル40が組織27を通って前進するのを支援するために、器具50を反時計回りに回転させて、器具先端70と磁石72を、磁石及び/又は磁気的に引き付けることのできる材料44で磁気引力が生じるように配置する。磁石72は、極性を有しており、磁石及び/又は磁気的に引き付けることのできる材料44に対して、その様な引力が生じる向きに配置されている。
【0022】
この磁気引力に基づき、器具先端70aと先端43は磁気的に連結され、磁気継手80を形成する。この磁気継手80を形成した状態で、器具50を、時計回りに回転させて組織27から引き出すと、ケーブル40が骨25の周りを端部分25bに向けて引っ張られ、先端43が切開部位26に導かれる。先端43が、端部分25b付近で組織27から現れると、外科医は、磁気継手80の磁気引力に打ち勝つ機械的な力を掛けて、器具50とケーブル40を分離させる。一旦分離させたら、外科医は、実施中の特定の処置に望ましいように、ケーブル40の経路決め及び/又は固定を続行する。随意的に、この処置は、骨25周りでの経路決め終了後に、先端43をケーブル40の残り部分及び/又はケーブル40の他の区間から分離させ取り除くことを含んでいてもよい。代わりに又は追加的に、追加のケーブリングを、先端43が付いているか又は取り除かれたケーブル40に接合させてもよい。なお、器具50の端部分56bは、棘突起24の反対側の端部分25aの様な端部分の周りで同様の操作を行うことができる構造に作られており、但し、その場合は、軟組織の中へ送り込む回転は時計回りであり、軟組織から取り出す回転は反時計回りであることに留意されたい。
【0023】
一側式棘間植え込みに代わるやり方として、本出願の技法は、他の処置へも応用できることが分かっている。非限定的な例として、1つの代わりの実施形態は、(a)ケーブルを含んでいる人工器官装置機構を植え込むための外科処置を行う段階と、(b)この処置の間に、フック型の構造を含んでいる器具を使用する段階と、(c)器具のフック型の構造をケーブルの端部分に磁気的に連結する段階と、(d)ケーブルに連結させた状態で器具を動かし、ケーブルの少なくとも一部が隠れて見えない状態で、組織を通してケーブルを方向決めする段階と、(e)前進後にケーブルを固定する段階、を含んでいる。
【0024】
この他にも多くの本出願の実施形態が考えられる。例えば、ケーブル先端43が磁石を担持している場合は、器具先端70a又は70bは磁石72を担持している必要はなく、代わりに、磁石に引き付けられて継手80を形成する常磁性合金の様な材料で形成することができる。また、ケーブル40と器具50の両方は、互いに反対の極が磁気継手80を形成するような向きに配置された磁石をそれぞれが担持した状態で、一体に連結させてもよいものと理解頂きたい。別の実施例では、器具の端部分56aの磁石72と器具の端部分56bの磁石72には、同じ磁石の互いに反対の極を設けてもよいし、及び/又はケーブル40は、異なる端部に反対の極性を有する単一の磁石の形態で提供してもよい。代わりに又は追加的に、器具50及び/又はケーブル40に含まれている磁石は、電磁式としてもよい。
【0025】
更に別の実施形態は、ケーブリングと、異なる大きさの一群の棘突起間人工器官装置と、選択的磁気継手によりケーブルの方向決めを支援する器具50と、を含んでいるキットである。別の実施形態では、器具50は、面対称ではないこと、及び/又はフック型の構造は一つしか設けていないことを考えている。更に別の実施形態では、器具50は、角度が付いた、湾曲した、又は、1つ又はそれ以上の端部にフックを含んでいない及び/又は異なる方向又は面に複数の曲がり部、曲げ、湾曲又は角度を欠いている略直線状の、端部分を含んでいる。更に別の実施形態では、器具50の回転操作は、使用されない、及び/又は異なっている。
【0026】
以上、本発明を図面に示し上記説明で詳細に説明してきたが、それらは説明を目的としており何ら限定を課すものではなく、選択された実施形態を図示し説明したに過ぎず、ここに説明し又は特許請求の範囲により定義した本発明の範囲に包含される全ての変更、等価物、及び修正は、保護されることを要求する旨理解頂きたい。ここに提供している何れの実験、実験例、又は実験結果も、本発明を説明することを目的としたものであり、本発明の範囲を制限又は限定するものと捉えられるべきではない。また、ここで述べた何れの理論、作動機構、立証、又は知見も、本発明の理解を深めることを意図したものであり、本発明を、その様な理論、作動機構、立証、又は知見に、何ら限定するものではない。特許請求の範囲を解釈するに当たり、「或る」「1つの」、「少なくとも1つ」、及び「少なくとも一部」の様な語は、別段指定のない限り、特許請求の範囲を唯一つの品目に限定するものではない。また、「少なくとも一部」及び/又は「一部」という言葉を使用している場合、特許請求の範囲は、別段指定のない限り、一部及び/又は品目全体を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一側式外科処置により植え込み中の人工器官装置の部分概略上面図である。
【図2】図1に示す線2−2に対応する部分概略側面図である。
【図3】図1の装置の部分概略破断上面図であり、図1及び図2で示す一側式外科処置の異なる段階を示している。
【図4】図3に示す器具の側面図であり、上記図3の器具の図は、この図4に示す断面線3−3に対応している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの棘突起の間に人工器官を植え込む外科処置を行う段階であって、前記棘突起の内の一方は、前記外科処置の間中、軟組織に覆われたままの状態である、処置を行う段階と、
器具をケーブルに磁気的に連結する段階と;
前記器具が前記ケーブルに連結されている間に、前記ケーブルを、軟組織の下を前記棘突起の内の一方の周りに前進させる段階であって、前記前進の間は前記ケーブルの端部が隠れて見えない状態にある、ケーブルを前進させる段階と;
前記ケーブルを前記人工器官に係合させる段階と、を有する方法。
【請求項2】
前記係合させる段階は、前記前進させる段階の前に、前記ケーブルを、前記人工器官によって画定されている通路を通して経路決めする段階を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外科処置は一側式であり、前記2つの棘突起それぞれの一方の側の皮下組織を露出させ、前記2つの棘突起それぞれのもう一方の側は少なくとも部分的には皮膚で覆われたまま残される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1つ又は複数の前記ケーブル又は異なるケーブリングを、皮膚に覆われて隠れて見えないままの他方の軟組織を通して、前記棘突起のもう一方の周りに経路決めする段階と、
前記経路決めする段階の少なくとも一部を、前記1つ又は複数のケーブル又は異なるケーブリングに磁気的に連結される器具を用いて行う段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ケーブルは、1つ又は複数の磁石又は磁気的に引き付けることのできる材料で終端している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ケーブルは先端を有しており、前記方法は、前記前進させる段階の後に、前記先端を分離させる段階を更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記器具は、第1フック型端部分と、反対側の第2フック型端部分とを含んでおり、長手方向中間点を通る面を中心に概ね対称である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
人工器官装置を2つの棘突起の間に植え込むため一側式外科処置を行うための外科処置器具を備えている装置において、
前記器具は、長手方向軸に沿って伸張する長手方向部分と第1端部分とを含んでおり、前記長手方向部分は、前記長手方向軸に沿って、前記第1端部分よりも長い距離を伸張しており、前記第1端部分は、異なる方向の複数の曲がり部を含んでおり、前記長手方向軸から離れるように横方向に伸張して、先端を有するフック型の構造を提供しており、前記フック型の構造は、1つ又は複数の第1磁石と磁気的に引き付けることのできる材料を含んでおり、且つ、前記棘突起の内の一方の一方の側を覆っている軟組織により隠れて見えないケーブルの一部と磁気的に連結させるために、前記棘突起の内の一方の周りを少なくとも90度回ることができる形状寸法に作られている、装置。
【請求項9】
前記先端は、第1磁石を含んでいおり、前記器具は、異なる方向の少なくとも2つの曲がり部と、第2磁石を含んでいるもう一方の先端とを有する第2端部分を含んでいる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記工具は、第1端部分と第2端部分がそれぞれ互いの鏡像となるように、前記器具の中間点と一致し且つ前記長手方向軸に対して概ね垂直である面を中心に対称である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記フック型の構造は、前記長手方向軸と概ね直交する面に沿って伸張している、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記器具は、棘突起骨の第1部分の周りと前記第1部分とは反対側の第2部分の周りを、隠れたケーブル先端を牽引するための手段を含んでいる、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
患者の2つの棘突起の間に埋め込まれる構造に作られた棘間人工器官装置と、
前記人工器官装置と患者の組織を係合するためのケーブリングと、
外科処置器具であって、長手方向軸を確定する中央長手方向部分と第1端部分とを含んでおり、前記長手方向部分は、前記器具の長手方向軸に沿って、前記第1端部分よりも長い距離を伸張しており、前記第1端部分は、前記長手方向軸から離れるように曲がるフック型の構造を含んでおり、前記フック型の終端部は、前記ケーブルの一部が前記棘突起の内の一方の少なくとも一部を覆っている軟組織により隠れて見えないときに、前記ケーブルの一部と磁気的に連結させるために、1つ又は複数の磁石又は磁気的に引き付けることのできる材料を担持している、外科処置器具と、を備えているシステム。
【請求項14】
前記システムは、前記棘間人工器官、前記ケーブリング、及び前記器具を含んでおり、更に、1つ又は複数の異なる寸法に作られた棘間人工器官を備えている、部品のキットである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記器具は、別のフック型の構造を有する第2端部分を含んでおり、前記第1端部分と前記第2端部分それぞれは、前記長手方向軸に対して垂直で且つ前記第1端部分と前記第2端部分の間に位置する面を中心とする互いの鏡像である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記人工器官装置は、前記ケーブリングを係合するための手段を含んでおり、
前記ケーブリングの前記部分は、前記器具の前記第1端部分に磁気的に連結させるための手段を含んでいる、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
ケーブルを用いた外科処置を行う段階と、
前記処置中に、フック型の構造を含んでいる器具を使用する段階と、
前記器具の前記フック型の構造を前記ケーブルに磁気的に連結させる段階と、
前記器具が前記ケーブルに連結されている間に、前記ケーブルの一部が組織の少なくとも一部の下に隠れて見えない状態で、前記器具を動かして前記ケーブルを前進させる段階と、
前進させた後で前記ケーブルを固定する段階と、を有する方法。
【請求項18】
前記外科処置は一側式であり、患者の脊椎の棘突起の一方の側方側を露出させるが、前記棘突起の反対側の側方側は、処置の間中、少なくとも部分的には皮膚が覆っている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記フック型の構造は、1つ又は複数の磁石又は磁気的に引き付けることのできる材料を含んでおり、前記棘突起の周りを曲がって前記ケーブルの前記端部分と連結させるのに効果的な湾曲を画定している、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記器具は、長手方向軸に沿って伸張する長手方向部分と端部分とを含んでおり、前記長手方向部分は、前記長手方向軸に沿って前記端部分よりも長い距離を伸張しており、前記端部分は、異なる方向の複数の曲がり部を含んでおり、フック型の構造で終端している、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
人工器官装置の通路を通して前記ケーブルを経路決めする段階を含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記動かす段階は、前記ケーブルを棘突起の周りに経路決めし、前記人工器官装置は棘間人工器官装置である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ケーブルは、組織を貫くことができる構造に作られた針状の先端で終端している、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記針状の先端を前記ケーブルから分離する段階を含んでいる、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−536575(P2008−536575A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506724(P2008−506724)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/014018
【国際公開番号】WO2006/113406
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】