説明

外装カバー付きスキャナ装置

【課題】外装カバー付きスキャナ装置において、デザインの自由度を高める。
【解決手段】スキャナ装置10は、周囲をハウジング12aによって取り囲まれているスキャナ本体12と、ハウジング12aの外側を覆う外装カバーとを備える。外装カバーが複数の外装部材17,18,36によって構成されており、ハウジング12aの辺部において隣合う外装部材17,18,36を互いに対して離間して配置することによって隣合う外装部材17,18,36の間に凹部を形成し、該凹部がスキャナ本体12の外装デザインの一部を構成するようにした。好ましくは、ハウジング12aの辺部において隣合う外装部材17,18,36の間からハウジング12aの辺部が露出するようになっており、隣合う外装部材17,18,36の間から露出するハウジング12aの辺部に、スキャナ装置10に関する情報を提供する情報提供装置48,50が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ本体の外側が外装カバーで覆われているスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ装置は、読取装置などの周囲をハウジングによって取り囲んだスキャナ本体を備えており、読取装置によって原稿を読み取ることができるようになっている。また、スキャナ本体には、ハウジングの上面にガラス台を備え、ハウジング内に設けられた読取装置を移動させてガラス台上に設置された原稿を読み取るフラットヘッドタイプと、自動原稿送り装置(ADF)を備え、自動原稿送り装置でハウジングに設けられた原稿挿入口から原稿をスキャナ本体内に送り込みながらハウジング内に設けられた読取装置で原稿を読み取り、読み取り済みの原稿を原稿排出口から排出するドキュメントスキャナタイプとに大別される。
【0003】
近年、オフィス等では、個人の机上で紙文書を電子化する用途に適した小型の卓上スキャナの需要が高まっている。このような卓上スキャナでは、デザイン性も重視されるようになってきており、デザイン性を高めるために、スキャナ本体のハウジングの表面に外装カバーをさらに取り付ける場合がある。また、フラットヘッドタイプにおいて、ガラス台を覆うカバーを外装カバーとして使用したり、ドキュメントスキャナタイプにおいて、特許文献1に記載のように、スキャナ本体の原稿挿入口に送り込む原稿を載置するための原稿台や、読み取り済みの原稿を受け取る原稿排出台をスキャナ本体上に折り畳んで外装カバーとして機能させるようにしたりすることもある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−343271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スキャナ装置のデザイン性を向上させるためには、スキャナ本体全体を外装カバーで覆うことが好ましい。一方、表示装置などの補助機能部をスキャナ装置に設ける場合、補助機能部とスキャナ本体とを電気的に結合させる必要があるだけでなく、少なくとも使用時に補助機能部が外装カバーによって覆われていないようにする必要がある。このため、外装カバーに窓部を設けて窓部を通してスキャナ本体に補助機能部を取り付ける必要があり、窓部の存在がスキャナ装置の外観デザインを損なっていた。また、窓部を設けることなく外観デザインを損なわないようにするためには、外装カバーとしても機能するようにスキャナ本体に折り畳み可能に取り付けられた原稿台や原稿排出台を開いたときに露出するスキャナ本体の部分に補助機能部を設けるしかなく、デザインに制約が生じていた。
【0006】
よって、本発明の目的は、外装カバー付きスキャナ装置において、デザインの自由度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するために、本発明によれば、周囲をハウジングによって取り囲まれているスキャナ本体と、ハウジングの外側を覆う外装カバーとを備え、前記スキャナ本体によって原稿の読み取りを行うことができる外装カバー付きスキャナ装置において、前記外装カバーが複数の外装部材によって構成されており、前記ハウジングの辺部において隣合う前記外装部材を互いに対して離間して配置することによって前記隣合う外装部材の間に凹部を形成し、該凹部が前記スキャナ本体の外装デザインの一部を構成するようにした外装カバー付きスキャナ装置が提供される。
【0008】
上記スキャナ装置では、外装カバーを構成する複数の外装部材のうち隣合う外装部材の間に凹部を形成し、この凹部をスキャナ本体の外装デザインの一部として利用している。したがって、凹部の分だけ外装カバーを形成するために必要となる材料を減少させることができ、デザイン性を損なうことなく製造費用の低減を図ることが可能になる。
【0009】
一つの実施形態では、前記ハウジングの辺部において隣合う前記外装部材の間から前記ハウジングの辺部が露出するようになっており、前記隣合う外装部材の間から露出する前記ハウジングの辺部に、前記スキャナ装置に関する情報を提供する情報提供装置が設けられる。例えば、前記情報提供装置は、視覚的に情報を提供する視覚情報出力装置や、音響的に情報を提供する音響出力装置とすることができる。
【0010】
この場合、前記情報提供装置によって提供される情報は、前記スキャナ装置の運転状態、原稿の読み取り枚数、エラーの発生の有無、操作案内、日時のうちの何れかを含むことが好ましい。
【0011】
隣合う外装部材がスキャナ本体のハウジングの辺部において凹部を形成するようにすれば、スキャナ装置の輪郭部(面と面とが接続される辺部)が他の部分に比べて際立ち、デザイン性が向上する。また、スキャナ本体のハウジングの辺部において隣合う二つの外装部材の間からハウジングの辺部が露出されるようになっており、そこに情報提供装置を設けているので、外装カバーに窓部を設けなくても、隣合う外装部材の間から露出されるハウジングの辺部を通して情報提供装置とスキャナ本体とを電気的に接続したり、隣合う外装部材の間から露出されるハウジングの辺部を通してスキャナ本体の内部に設けた情報提供装置による機能を利用者に提供したりすることができる。したがって、スキャナ装置の外観デザインを損なうことなく情報提供装置を設けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外装カバーを構成する複数の外装部材のうち隣合う外装部材の間に凹部を形成し、この凹部をスキャナ本体の外装デザインの一部として利用する。したがって、凹部の分だけ外装カバーを形成するために必要となる材料を減少させることができ、デザイン性を損なうことなく製造費用の低減を図ることが可能になる。
また、隣合う二つの外装部材の間から露出されるスキャナ本体のハウジングの辺部に情報提供装置を設ければ、外装カバーに窓部を設けることなく、情報提供装置による機能を利用者に提供したりすることができ、スキャナ装置の外観デザインを損なうことなく、スキャナ装置に情報提供装置を設けることが可能になる。この結果、デザインの選択の幅を広げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明のスキャナ装置の好ましい実施形態を説明する。
図1は原稿台及び原稿排出台を閉じた状態の本発明のスキャナ装置の斜視図、図2は原稿台を開き且つ原稿排出台を閉じた状態の図1のスキャナ装置の斜視図、図3は原稿台及び原稿排出台を開いた状態の図1のスキャナ装置の斜視図、図4は図1に示される状態のスキャナ装置の側面図、図5は図3に示される状態のスキャナ装置の側面図である。
【0014】
図1に示されているスキャナ装置10は、オフィスの机の上などで使用することを意図した卓上タイプのものであり、五角形状の側面を有した概略五角柱形状のスキャナ本体12を備えている。スキャナ本体12は、原稿の読み取り(スキャン)を行う読み取り部(図示せず)などの周囲をハウジング12aによって取り囲んだものであり、ハウジング12aの後方上部には原稿挿入口14が設けられている一方、ハウジング12aの前面下部には原稿排出口16が設けられており、原稿挿入口14から取り込まれた原稿が読み込まれた後、原稿排出口16から排出されるようになっている。
【0015】
スキャナ本体12のハウジング12aの両側面には、デザイン性を向上させるために、滑らかな表面を有し外装カバーとして機能する側部外装部材17が取り付けられている。同様に、スキャナ本体12のハウジング12aの背面に同様の外装部材(図示せず)を取り付けてもよい。
【0016】
スキャナ装置10は、スキャナ本体12のハウジング12aの前面を覆う前面カバー18と、スキャナ本体12のハウジング12aの上面を覆う上面カバー20とをさらに備えている。
【0017】
前面カバー18は、図1に示されているようにスキャナ本体12のハウジング12aの前面のうち原稿排出口16よりも上方の部分のみを覆うように配置され、ハウジング12aの前面を覆う外装カバーの一部として機能する一方、上面カバー20は、図3に示されているようにスキャナ本体12のハウジング12aの上面の中央部に設けられた凹部22に収容されるように配置され、スキャナ本体12のハウジング12aの上面の凹部22の底面のほぼ全体を覆う内部カバーとして機能するようになっている。なお、前面カバー18は、磁石やラッチなどの一時保持機構(図示せず)を用いてスキャナ本体12のハウジング12aの前面を覆った状態に一時的に保持できるようになっている。
【0018】
前面カバー18の下端部の両側部からはアーム24が延びており、このアーム24がカバー支点部26を中心として旋回可能にスキャナ本体12のハウジング12aの原稿排出口16の近傍に取り付けられている。カバー支点部26は、例えば、スキャナ本体12のハウジング12aの原稿排出口16の近傍に設けられたカバー旋回軸と、前面カバー18のアーム24に設けられておりスキャナ本体12のハウジング12aのカバー旋回軸が挿入されるカバー旋回軸孔との組み合わせから構成されることもでき、前面カバー18の両側部のアーム24から側方に突出するカバー旋回軸と、スキャナ本体12のハウジング12aの原稿排出口16の近傍に設けられており前面カバー18のカバー旋回軸が挿入されるカバー旋回軸孔との組み合わせから構成することもできる。カバー支点部26は、前面カバー18の下端部とスキャナ本体12のハウジング12aの前方下部とを旋回可能に接続するものであればよく、他の任意の構造により構成することも可能である。
【0019】
前面カバー18のアーム24の長さは、スキャナ本体12のハウジング12aの前面を覆う状態からカバー支点部26を中心としてスキャナ本体12から離れる方向に前面カバー18を旋回させて前面カバー18を開いたときに、図3及び図5に示されているように、スキャナ本体12のハウジング12aの原稿排出口16から排出される原稿を前面カバー18の上に受けることができる位置まで前面カバー18が下がることができるように定められている。
【0020】
さらに、前面カバー18と上面カバー20とは、互いに隣接する部分、すなわち前面カバー18の上端部側と上面カバー20の前端部側とにおいて互いと旋回可能に接続されており、カバー支点部26を中心として前面カバー18を旋回させることにより、前面カバー18及び上面カバー20をそれぞれスキャナ本体12のハウジング12aの前面及び上面から引き離して、図1に示されているように原稿排出口16から排出される原稿を受けるための原稿排出台28を形成させるようになっている。
【0021】
また、図3に示されるように、上面カバー20の内側の原稿挿入口14側にさらに補助カバー30を旋回可能に取り付け、原稿排出台28を形成するように前面カバー18及び上面カバー20をスキャナ本体12から開いたときに上面カバー20に対して補助カバー30をさらに旋回させて原稿排出台28を延長できるようにしてもよい。
【0022】
スキャナ本体12のハウジング12aの上面の凹部22の底面には、読み込みを開始させるためのスキャンボタンのようなスキャナ装置10を操作するための操作ボタン32が設けられている。また、上面カバー20には、スキャナ本体12のハウジング12aの上面を覆うように上面カバー20を配置したときに操作ボタン32が設けられた部分を覆う位置に、操作ボタン窓34が設けられており、上面カバー20でスキャナ本体12のハウジング12aの上面を覆った状態でも、操作ボタン窓34を通して操作ボタン32を操作できるようになっている。操作ボタン窓34を透明な可撓性フィルムで覆って、操作ボタン32を視認でき且つ操作ボタン32を操作できるようにしてもよい。
【0023】
なお、図2と図3とを比較すると分かるように、原稿排出台16を閉じて上面カバー20をスキャナ本体12のハウジング12aの上面の凹部22内に収容したときに上側を向く上面カバー20の表面と、スキャナ本体12のハウジング12aの上面の凹部22の底面とは、同じデザインを有している。このように構成することにより、原稿排出台28を折り畳んだ状態でスキャナ装置10を使用するときと、原稿排出台28を開いた状態でスキャナ装置10を使用するときとで、同じ外観を持たせることができ、デザインの統一性を高めることが可能になる。
【0024】
スキャナ本体12のハウジング12aの後方上部に設けられた原稿挿入口14の近傍には、原稿挿入口14に挿入する原稿を載置するための原稿台36が原稿台支点部38を中心として旋回可能に取り付けられており、スキャナ本体12に向かって折り畳むように閉じたときに、原稿台36がスキャナ本体12の外装カバーの一部として機能するようになっている。
【0025】
原稿台支点部38は、例えば、スキャナ本体12のハウジング12aの原稿挿入口14の近傍の両側部から側方内側に突出する原稿台旋回軸と、原稿台36の両側部に設けられておりスキャナ本体12のハウジング12aの原稿台旋回軸が挿入される原稿台旋回軸孔との組み合わせから構成さることもでき、原稿台36の両側部から側方外側に向けて突出する原稿台旋回軸と、スキャナ本体12のハウジング12aの原稿挿入口14の近傍の両側部に設けられており原稿台36の原稿台旋回軸が挿入される原稿台旋回軸孔との組み合わせから構成することもできる。原稿台支点部38は、スキャナ本体12のハウジング12aと原稿台36とを旋回可能に接続するものであればよく、他の任意の構造により構成することも可能である。
【0026】
スキャナ本体12に向かって折り畳むように原稿台36を閉じたとき、原稿台支点部38と反対側の原稿台36の縁辺部(前面カバー18と隣合って位置する前側縁辺部)は、スキャナ本体12の前面を覆う前面カバー18の上側縁辺部と離間して配置されると共に、原稿台36の両側縁辺部は、スキャナ本体12のハウジング12aの両側面の外側を覆う側部外装部材17の上側縁辺部と離間して配置されるようになっている。この結果、スキャナ本体12に向かって折り畳むように原稿台36を閉じたときでも、前面カバー18と隣合って位置する原稿台36の縁辺部と前面カバー18の上側縁辺部との間からスキャナ本体12のハウジング12aの前側辺部の一部及び上面カバー20の前側辺部とが露出すると共に、原稿台36の両側辺部と側部外装カバーの両側辺部との間からスキャナ本体12のハウジング12aの両側辺部が露出し、原稿台36の前側縁辺部と前面カバー18の上側縁辺部との間、並びに、原稿台36の両側縁辺部と側部外側部材17の上側縁辺部との間に、凹部を形成している。
【0027】
上述した凹部は、スキャナ本体12の外装デザインの一部を構成するようになっており、スキャナ本体12のデザイン性を損なうことなく、外装カバーに必要となる材料を低減させる効果を奏している。
【0028】
原稿台36の原稿台支点部38と反対側の端縁部には、原稿台延長プレート40が入れ子式に収納されており、原稿台36がスキャナ本体12から離れる方向に旋回されて開かれているときに原稿台36から原稿台延長プレート40を引き出すことにより原稿台36の原稿挿入方向長さを延長できるようになっている。
【0029】
さらに、原稿台36上には、図2及び図3中の横方向に摺動可能な二つの原稿ガイド42が設けられており、原稿ガイド42を横方向(原稿台36の幅方向)に摺動させることにより原稿ガイドを原稿の両側部に接触させるように配置して原稿の左右方向の移動を抑制し、原稿を原稿挿入口14に適切に誘導できるようになっている。
【0030】
なお、スキャナ本体12のハウジング12aの上面に設けられた凹部22は、上面カバー20がスキャナ本体12のハウジング12aの上面の凹部22内に収容して配置されているときでも、図2に示されているように、凹部22の少なくとも後側部分において、上面カバー20の上方に空間を確保できるように形成されている。これにより、上面カバー20をスキャナ本体12のハウジング12aの上面の凹部22内に収容している状態で原稿台36をスキャナ本体12に折り畳んだときに、上面カバー20の上方に原稿台36を収納し、図1に示されているように原稿台36の両側部をスキャナ本体12のハウジング12aの上面の両側部にできるだけ密着させることができるようにしている。
【0031】
また、原稿台36がスキャナ本体12に折り畳まれて閉じられているときには、原稿挿入口14が外部に開放された状態となる。そこで、非使用時に原稿挿入口14に埃などの異物が侵入することを防止するために、スキャナ本体12のハウジング12aの原稿挿入口14の近傍にスキャナ本体12に対して旋回可能な原稿挿入口カバー46を設け、原稿台36を閉じた状態のときに原稿挿入口14を閉鎖できるようにすると共に、外装カバーの一部として機能させることが好ましい。
【0032】
このように、側部外装部材17、前面カバー18、原稿台36及び原稿挿入口カバー46は、スキャナ本体12のハウジング12aの外側を覆いスキャナ装置10のデザイン性を高めるための外装カバーを構成する外装部材として機能する。また、スキャナ本体12のハウジング12aの辺部において隣合って位置する外装部材は互いに対して離間して配置されることにより、隣合う外装部材の間に凹部を形成し、形成された凹部をスキャナ本体12の外装デザインの一部として利用している。
【0033】
また、本発明のスキャナ装置10では、隣合って位置する外装部材の間に形成される凹部において、スキャナ本体12のハウジング12aの辺部の少なくとも一部が露出されており、露出するスキャナ本体12のハウジング12aの辺部に、スキャナ装置10に関する情報を提供する情報提供手段が設けられる。スキャナ装置10に関する情報には、運転中又は待機中のようなスキャナ装置10の運転状態、読み取り枚数、エラーの種類、操作の案内、日時などが含まれる。また、情報提供手段としては、ランプやLEDなどの発光体、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置を含む視覚的情報を提供する視覚情報出力装置48、ブザーやスピーカーを含む音響的に情報を提供する音響出力装置50が含まれる。例えば、発光体の色を変化させることにより、運転状態やエラーの種類を色によって視覚的に示すことができ、表示装置上に文字を表示することにより、読み取り枚数、日時、エラーの種類などを視覚的に示すことができる。また、ブザーから警報音を発することにより、エラーの発生を音響的に知らせることができ、スピーカーから音声を出力することにより、エラーの種類や操作手順を音響的に知らせることができる。
【0034】
図示される実施形態では、スキャナ本体12のハウジング12aの上面の両側辺部において側部外装部材17と原稿台36との間から露出する部分に、視覚情報出力装置48として、発光体が設けられており、発光体の色によってスキャナ装置10の運転状態を示すようになっている。また、スキャナ本体12のハウジング12aの前面の両側辺部において側部外装部材17と前面カバー18との間から露出する部分には、音響出力装置50として、小型スピーカーが設けられており、警報音や音声により、エラーの発生や操作手順の案内を出力できるようになっている。視覚情報出力装置48として、発光体に代えて液晶ディスプレイなどの表示装置を設ければ、読み取り枚数やエラーの種類などの情報を文字によって表示できる。
【0035】
次に、図1〜図5に示されているスキャナ装置10の動作について説明する。
非使用時には、原稿台36、原稿排出台28及び原稿挿入口カバー46は何れも折り畳まれて図1に示されているようにコンパクトな形態になっている。この状態から原稿挿入口カバー46を開き、さらにスキャナ本体12から離れる方向に原稿台36を旋回させて開くと、図2に示されているように、上面カバー20が露出した状態となる。必要であれば、原稿台36の原稿台支点部38と反対側の端縁(上端縁)から原稿台延長プレート40を引き出して原稿台36を延長して、より長い原稿を原稿台36に置くことができるようにしてもよい。
【0036】
原稿排出口16は前面カバー18によって覆われていないので、この状態でも、上面カバー20の操作ボタン窓34を通して操作ボタン32のスキャンボタンを押せば、読み込み動作を開始し、原稿台36に載置した原稿を原稿挿入口14からスキャナ本体12内に取り込み、読み込み済みの原稿を原稿排出口16から排出することができる。なお、この状態では、原稿排出台28がないので、原稿排出口16の外に原稿が排出されるスペースを確保しておくことが必要である。
【0037】
また、スキャナ装置10のハウジング12aの前面において側部外装部材17と前面カバー18との間で露出する部分に音響出力装置50が設けられているので、上記のように前面カバー18を開いていない状態でも、音響出力装置50から警報音や音声を出力して、エラーの発生や操作手順を知らせることができる。
【0038】
図2に示されている状態から、スキャナ本体12の前面から離れる方向に前面カバー18を開くと、上面カバー20も前面カバー18と共にスキャナ本体12から離されて、図3に示されているように原稿排出台28を形成する。前面カバー18はアーム24を介してスキャナ本体12の前方下部に接続されているので、カバー支点部26を中心として前面カバー18を旋回させると、図3に示されているように、前面カバー18が原稿排出口16から排出される原稿を受けることができる位置まで下方へ移動し、原稿排出口16から排出された原稿を原稿排出台28上で受け取ることができるようになる。必要に応じて、上面カバー20の内側に収納されている補助カバー30を上面カバー20に対して旋回させて開くことにより、原稿排出台28を延長させて、より長い原稿を受け取ることができるようにしもよい。
【0039】
スキャナ装置10の操作時には、スキャナ本体12のハウジング12aの上面の両側辺部に設けられた視覚情報出力装置48の色を変化させることによって、スキャナ装置10の運転状態などの情報を視覚的に提供することができ、また、スキャナ本体12のハウジング12aの前面の両側辺部に設けられた音響出力装置50から警報音や音声を出力することによって、エラーの発生や操作手順を知らせることができる。
【0040】
このように、スキャナ本体12のハウジング12aの外側を覆う外装カバーのうち隣合う外装部材を離間して配置し隣合う外装部材の間に凹部を形成し、形成された凹部をスキャナ本体12の外観デザインの一部として利用することにより、外観デザインを損なうことなく、外装カバーの形成に必要な材料の量を減らすことが可能になる。また、スキャナ本体12の外観デザインの一部を構成する隣合う外装部材の隙間によって形成される凹部に情報提供装置を設けることによって、情報提供装置をスキャナ本体12に電気的に接続するための窓部を外装カバーに設ける必要がなくなり、窓部の存在によって外観デザインを損なうことがなくなる。したがって、スキャナ本体12の外観デザインを損なうことなく、使用者の操作性を向上させるためのユーザインタフェイスの一部として情報提供装置をスキャナ装置10に付加させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】原稿台及び原稿排出台を閉じた状態の本発明の第1の実施形態によるスキャナ装置の斜視図である。
【図2】原稿台を開き且つ原稿排出台を閉じた状態の図1のスキャナ装置の斜視図である。
【図3】原稿台及び原稿排出台を開いた状態の図1のスキャナ装置の斜視図である。
【図4】図1に示される状態のスキャナ装置の側面図である。
【図5】図3に示される状態のスキャナ装置の側面図である。
【符号の説明】
【0042】
10 スキャナ装置
12 スキャナ本体
12a ハウジング
17 側部外装部材
18 前面カバー
36 原稿台
46 原稿挿入口カバー
48 視覚情報出力装置
50 音響出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲をハウジングによって取り囲まれているスキャナ本体と、ハウジングの外側を覆う外装カバーとを備え、前記スキャナ本体によって原稿の読み取りを行うことができる外装カバー付きスキャナ装置において、
前記外装カバーが複数の外装部材によって構成されており、前記ハウジングの辺部において隣合う前記外装部材を互いに対して離間して配置することによって前記隣合う外装部材の間に凹部を形成し、該凹部が前記スキャナ本体の外装デザインの一部を構成するようにしたことを特徴とする外装カバー付きスキャナ装置。
【請求項2】
前記ハウジングの辺部において隣合う前記外装部材の間から前記ハウジングの辺部が露出するようになっており、前記隣合う外装部材の間から露出する前記ハウジングの辺部に、前記スキャナ装置に関する情報を提供する情報提供装置が設けられている、請求項1に記載の外装カバー付きスキャナ装置。
【請求項3】
前記情報提供装置は視覚的に情報を提供する視覚情報出力装置である、請求項2に記載の外装カバー付きスキャナ装置。
【請求項4】
前記情報提供装置は音響的に情報を提供する音響出力装置である、請求項2に記載の外装カバー付きスキャナ装置。
【請求項5】
前記情報提供装置によって提供される情報は、前記スキャナ装置の運転状態、原稿の読み取り枚数、エラーの発生の有無、操作案内、日時のうちの何れかを含む、請求項2から請求項4の何れか一項に記載の外装カバー付きスキャナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−68336(P2010−68336A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233680(P2008−233680)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】