外装材の取付構造
【課題】外装材を外壁の表面に正確かつ強固に取り付けできるとともに、外装材の良好な取付状態を長期的に維持できる外装材の取付構造を提供することを目的とする。
【解決手段】上下に隣り合う外装材2,3同士を接合する接合部材6,7が上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられ、上方および下方の接合部材6,7に形成された被挟持部60,70を受けて挟持する挟持部材8が外壁1の表面に固定され、被挟持部60,70は、上方および下方の外装材2,3の幅方向に沿って延在し、かつ所定の長さ寸法を有しており、挟持部材8に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっている。前記被挟持部を挟持部材で受けることで、外装材の左右方向の位置調整ができるとともに被挟持部を確実に挟持でき、さらに、従来とは異なり、釘打ちの必要が無くなる。
【解決手段】上下に隣り合う外装材2,3同士を接合する接合部材6,7が上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられ、上方および下方の接合部材6,7に形成された被挟持部60,70を受けて挟持する挟持部材8が外壁1の表面に固定され、被挟持部60,70は、上方および下方の外装材2,3の幅方向に沿って延在し、かつ所定の長さ寸法を有しており、挟持部材8に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっている。前記被挟持部を挟持部材で受けることで、外装材の左右方向の位置調整ができるとともに被挟持部を確実に挟持でき、さらに、従来とは異なり、釘打ちの必要が無くなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁の表面に外装材が取り付けられてなる外装材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅の構築についてはその工業化が進み、例えば壁や床、屋根といった構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てることにより住宅を構築するパネル工法が一部に採用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のようなパネル工法では、隣接する外装材の側端部が、下サネと上サネとを係合させるサネ構造をなしているので、専用の取付金具を用いることによって、これら隣接する外装材を、外壁となる壁パネルに対して確実に取り付けできるようになっている。
【特許文献1】特開2001−098736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、上述のような外装材として、例えば軽量気泡コンクリートや、その他のコンクリート成形品等の建築用資材を用いたいという要望があった。このような建築用資材からなる外装材は、例えばポルトランドセメントと、石英及び溶融シリカを含む珪砂と、水とを混練してスラリーを製造し、このスラリーを格子状に組まれた鉄筋が配置された型枠に流し込み、さらに高温、高圧下のオートクレーブ内で蒸気養生させることにより製造されており、断熱性や防水性、防腐性、耐候性、デザイン性等に優れる。
【0004】
ところが、このような軽量気泡コンクリートや、その他のコンクリート成形品等からなる外装材は砂状のものを固めたものであるため、その側端部に、特許文献1の外装材のようなサネ構造を形成すると、細長く形成した部分や角部などが崩れ易くなってしまい、元の形状を維持できない場合があった。
【0005】
そこで、この外装材を外壁に取り付けるための取付金具を外装材内部に埋め込むとともに、この取付金具を受ける受け金物を外壁表面に取り付けておき、これら取付金具と受け金物とを合致させて外装材を外壁の表面に取り付ける場合があった。
しかしながら、例えば外装材に埋め込まれる取付金具に位置ずれが生じた場合、外装材を最初から製造しなおさなければならなかったり、外壁表面に取り付けた受け金物の取付位置を調節したり等の手間がかかる。
【0006】
そこで、このような手間を省くために、例えば釘打ちによる外装材の取付方法が採用される場合がある。このように釘打ちの方法を採用すれば、取付金具および受け金物の位置を気にする必要がない。
ところが、釘打ちによる取付方法を採用した場合、釘打ち箇所の補修作業が必要になったり、釘打ちによる外装材の破損を防ぐための補強作業を行ったり等の手間がかかる。また、この外装材は砂状のものを固めたものであるため、釘を打ち込んだ孔が長い年月の間に大きくなってしまい、外装材の良好な取付状態を長期的に維持できない場合があった。
【0007】
本発明の課題は、外装材を外壁の表面に正確かつ強固に取り付けることができるとともに、外装材の良好な取付状態を長期的に維持できる外装材の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、外壁1の表面に外装材2,3が取り付けられてなる外装材2,3の取付構造において、
上下に隣り合う外装材2,3同士を接合するための接合部材4,5(6,7)が、上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられるとともに、これら上方および下方の接合部材4,5(6,7)に形成された被挟持部40,50(60,70)を受けて挟持する挟持部材8が、前記外壁1の表面に固定されており、
前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)は、前記上方および下方の外装材2,3の幅方向に沿って延在し、かつ所定の長さ寸法を有しており、前記挟持部材8に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっていることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)に形成された被挟持部40,50(60,70)は、これら上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を受けて挟持する挟持部材8に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっているので、これら上方および下方の被挟持部40,50(60,70)を、前記挟持部材8に対して左右方向にそれぞれスライドさせて位置調整することができる。これによって、前記上方および下方の外装材2,3を左右方向にスライドさせることで、これら外装材2,3の左右方向の位置調整を行うことができるので、前記上方および下方の外装材2,3を外壁1の表面に正確に取り付けることができる。
また、前記挟持部材8によって、前記上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられた接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)をそれぞれ挟持するので、上下に隣り合う外装材2,3同士を確実に接合することができる。
また、前記挟持部材8が、前記外壁1の表面に固定されているので、この挟持部材8を介して前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)を外壁1の表面に取り付けて固定でき、延いては、前記上方および下方の外装材2,3を外壁1の表面に取り付けて固定できる。しかも、前記挟持部材8によって、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を受けるだけでなく挟持することで、前記上方および下方の外装材2,3を、外壁1の表面に強固かつ確実に取り付けることができる。
さらに、前記上方および下方の外装材2,3は、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を挟持部材8で挟持し、これを介して外壁1の表面に取り付けられており、上方および下方の外装材2,3に対して釘打ちを行う必要が無くなるので、従来とは異なり、これら外装材2,3の良好な取付状態を長期的に維持することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、例えば図1および図2に示すように、請求項1に記載の外装材2,3の取付構造において、
前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)は、これら接合部材4,5(6,7)同士が水密に係合し合うための係合部41,51(61,71)をそれぞれ備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)は、これら接合部材4,5(6,7)同士が水密に係合し合うための係合部41,51(61,71)をそれぞれ備えているので、これら係合部41,51(61,71)同士を水密に係合させることによって、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)同士を確実に係合させることができるだけでなく、これら接合部材4,5(6,7)が取り付けられた上下に隣り合う外装材2,3同士をより確実に接合することができる。しかも、これら係合部41,51(61,71)同士を水密に係合させることで、継ぎ目部分の止水性・防水性を向上させることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、例えば図1および図2に示すように、請求項2に記載の外装材2,3の取付構造において、
前記上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aのうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の係合部41,51(61,71)が嵌まり合う嵌合凹部9,10が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aのうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の係合部41,51(61,71)が嵌まり合う嵌合凹部9,10が形成されているので、この嵌合凹部9,10に前記係合部41,51(61,71)を嵌め合わせることによって、前記接合部材4,5(6,7)と外装材2,3との一体化を図ることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図3に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の外装材2,3の取付構造において、
前記挟持部材8は、前記外壁1の表面に固定される固定部80と、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)に形成された被挟持部40,50(60,70)を受けて挟持する挟持手段とからなり、
この挟持手段は、対向する挟持板部81,82と、これら挟持板部81,82を互いに接近する方向に締め付ける締付部材83と、前記対向する挟持板部81,82間に設けられ、前記上方および下方の被挟持部40,50(60,70)をそれぞれ受ける受け部84と、この受け部84と一体的に、かつ隣接する挟持板部81側に湾曲して形成されることによって弾性を有するフランジ部85とを備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、前記受け部84によって上方および下方の被挟持部40,50(60,70)をそれぞれ受けた状態で、前記締付部材83によって対向する挟持板部81,82を互いに接近する方向に締め付けることで、隣接する挟持板部81に押されたフランジ部85が弾性変形しながら前記上方および下方の被挟持部40,50(60,70)を挟持するので、前記上方および下方の被挟持部40,50(60,70)を前記挟持部材8によって強固に挟持することができる。
そして、前記フランジ部85には、弾性変形しようとする力に対して反力が発生して、前記挟持板部81を押し返す力が働くこととなり、前記締付部材83による締め付けが弛みにくくなるので、従来とは異なり、上方および下方の外装材2,3の良好な取付状態をより長期的に維持することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の外装材2,3の取付構造において、
前記外装材2,3の上端部近傍および下端部近傍には、この外装材2,3の幅方向に沿って長尺な鉄筋11と、この鉄筋11に沿って所定の間隔で巻装され、かつ端部が前記外装材2,3の裏面に突出する埋込金具12とが埋設されており、
前記接合部材4,5(6,7)は、この埋込金具12を介して上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前記埋込金具12は、前記外装材2,3の上端部近傍および下端部近傍に埋設された鉄筋11に巻装されているので、前記外装材2,3に対して強固に取り付けられれることとなる。したがって、前記接合部材4,5(6,7)は、前記外装材2,3に対して強固に取り付けられた埋込金具12を介して外装材2,3に取り付けられているので、前記外装材2,3への取付状態を強固かつ確実なものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上方および下方の接合部材に形成された被挟持部は、これら上方および下方の接合部材の被挟持部を受けて挟持する挟持部材に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっているので、これら上方および下方の被挟持部を、挟持部材に対して左右方向にそれぞれスライドさせて位置調整することができる。これによって、上方および下方の外装材を左右方向にスライドさせることで、これら外装材の左右方向の位置調整を行うことができるので、上方および下方の外装材を外壁の表面に正確に取り付けることができる。
また、挟持部材によって、上方の外装材の下端部裏面および下方の外装材の上端部裏面にそれぞれ取り付けられた接合部材の被挟持部をそれぞれ挟持するので、上下に隣り合う外装材同士を確実に接合することができる。
また、挟持部材が外壁の表面に固定されているので、この挟持部材を介して上方および下方の接合部材を外壁の表面に取り付けて固定でき、延いては、上方および下方の外装材を外壁の表面に取り付けて固定できる。しかも、挟持部材によって、上方および下方の接合部材の被挟持部を受けるだけでなく挟持することで、上方および下方の外装材を、外壁の表面に強固かつ確実に取り付けることができる。
そして、上方および下方の外装材は、上方および下方の接合部材の被挟持部を挟持部材で挟持し、これを介して外壁の表面に取り付けられており、上方および下方の外装材に対して釘打ちを行う必要が無くなる。さらには、挟持部材を構成するフランジ部は弾性を有していることで、このフランジ部を押して接合部材の被挟持部を挟持しようとする挟持板部を押し返す力が働くことになるので、対向する挟持板部を互いに接近する方向に締め付けるための締付部材の締め付けが弛みにくくなり、従来とは異なり、上方および下方の外装材の良好な取付状態を長期的に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態の外装材2,3が取り付けられる外壁1を備えた建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
【0020】
本実施の形態の外装材2,3の取付構造は、図1〜図4に示すように、外壁1の表面に外装材2,3が取り付けられてなるものであり、上下に隣り合う外装材2,3同士を接合するための接合部材4,5(6,7)が、上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられるとともに、これら上方および下方の接合部材4,5(6,7)に形成された被挟持部40,50(60,70)を受けて挟持する挟持部材8が、前記外壁1の表面に固定されており、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)は、前記上方および下方の外装材2,3の幅方向に沿って延在し、かつ所定の長さ寸法を有しており、前記挟持部材8に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっている。
【0021】
なお、本実施の形態における接合部材は、説明の便宜上、図2に示す接合部材6,7を主体とするが、図1に示す接合部材4,5を挙げた方が適当である場合は、その都度、図1に示す接合部材4,5を挙げて説明するものとする。
【0022】
ここで、本実施の形態における外装材2,3は、例えばポルトランドセメントと、石英及び溶融シリカを含む珪砂と、水とを混練してスラリーを製造し、このスラリーを上下方向および左右方向に配筋した鉄筋が配置された型枠に流し込み、さらに高温、高圧下のオートクレーブと呼ばれる耐熱耐圧密閉蒸気窯内で蒸気養生させることにより製造されたコンクリート成形品である。
【0023】
前記外装材2,3には、図4に示すように、外装材2,3の内部全体に補強金網11aが埋設されており、このような補強金網11aによって、外装材2,3自体の強度を向上させることができるようになっている。
また、外装材2,3の上端部近傍および下端部近傍には、この外装材2,3の幅方向に沿って長尺な鉄筋11と、この鉄筋11に沿って所定の間隔で巻装され、かつ端部が前記外装材2,3の裏面に突出する埋込金具12とが埋設されている。
【0024】
なお、前記埋込金具12を鉄筋11に対して巻装する際は、溶接等によって埋込金具12と鉄筋11とを接合する。
また、埋込金具12を鉄筋11に対して巻装する形態としては、図5(a)〜(d)に示すように様々な形態が挙げられる。図5(a)に示す埋込金具12Aは、Oリングを鉄筋11に挿通させるようにして巻装してものであり、図5(b)に示す埋込金具12Bは、略L字上に形成されたものであり、図5(c)に示す埋込金具12Cは、略U字状に形成されたものであり、図5(d)に示す埋込金具12Dは、略P字状に形成されたものである。そして、各埋込金具12A,12B,12C,12Dの先端はネジ状に形成されており、ナット12Aa,12Ba,12Ca,12Daをそれぞれ螺合させることが可能となっている。
【0025】
また、前記外壁1は壁パネルであり、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠1aの内部に補助棧材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面に面材1bが貼設されている。
【0026】
一方、前記上方および下方の接合部材6,7は、図6に示すように、上下に隣り合う外装材2,3同士を接合するためのものであり、後述する挟持部材8によって挟持可能な形状に形成された被挟持部60,70と、これら上方および下方の接合部材6,7同士が水密に係合し合うための係合部61,71と、これら接合部材6,7を前記上方および下方の外装材2,3に取り付けるための取付部62,72とを備えている。また、前記被挟持部60,70の近傍には、図2に示すように、後述する挟持部材8の一部が所在するスペースを確保するための隙間部63,73が設けられている。
なお、この他にも、図2に示す接合部材6,7の場合、これら接合部材6,7は、接合部材6,7と外壁1の表面との間に介在する突出部64,74を備えている。この突出部64,74は、接合部材6,7と外壁1の表面との距離を一定に保つ役割を有しており、これによって、上方および下方の外装材2,3の取付状態をより安定的なものとすることができるようになっている。
【0027】
なお、図1に示す接合部材4,5の場合も同様に、上方および下方の接合部材4,5ともに、被挟持部40,50と係合部41,51、取付部42,52(挿通孔42a,52a)とを備え、被挟持部40,50の近傍には隙間部43,53が設けられている。
【0028】
また、前記係合部61,71は、図6(a)に示すように、凹凸状に形成されており、これら係合部61,71同士を水密に係合させることによって、図6(b)に示すように、互いに嵌合するようになっている。すなわち、このように上方および下方の接合部材6,7同士が水密に係合し合うための係合部61,71をそれぞれ備えているので、これら係合部61,71同士を水密に係合させることによって、前記上方および下方の接合部材6,7同士を確実に係合させることができるだけでなく、これら接合部材6,7が取り付けられた上下に隣り合う外装材2,3同士をより確実に接合することができるようになっている。しかも、これら係合部41,51(61,71)同士を水密に係合させることで、継ぎ目部分の止水性・防水性を向上させることが可能となる。
【0029】
なお、図1に示す接合部材4,5の場合は、上方の接合部材4の方が上サネ形状となっており、下方の接合部材5の方が下サネ形状となっている。すなわち、図1および図2に示す接合部材4,5、6,7ともに、それぞれ係合部41,51、61,71同士が左右方向にスライド可能な形状となっている。
【0030】
さらに、図1および図2に示すように、前記上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aのうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の係合部41,51(61,71)が嵌まり合う嵌合凹部9,10が形成されている。
このような嵌合凹部9,10によれば、この嵌合凹部9,10に前記係合部41,51(61,71)を嵌め合わせることによって、前記接合部材4,5(6,7)と外装材2,3との一体化を図ることができるようになっている。
【0031】
なお、図2に示す接合部材6,7の係合部61,71のように、より形状が複雑化された係合部61,71を嵌合凹部10に嵌め合わせると、前記上方および下方の外装材2,3同士の継ぎ目部分の周囲を複雑化することができるので、上方および下方の外装材2,3同士の継ぎ目部分から浸入しようとする雨水の浸入経路をより複雑化することができるようになっている。
したがって、例えば上方および下方の外装材2,3同士の継ぎ目部分から雨水が染み込むように浸入した際であっても、これら上方および下方の外装材2,3の裏面まで雨水が到達することを防ぐことができる。
【0032】
なお、前記上方および下方の外装材2,3同士の継ぎ目部分に対して、前記係合部41,51(61,71)同士の継ぎ目部分の位置が若干ずれた状態となっている。これによって、前記上方および下方の外装材2,3同士の継ぎ目部分の周囲をより複雑化することができるので、防水性の向上を図ることが可能となる。
【0033】
次いで、前記取付部62,72は、前記外装材2,3の裏面に突出する埋込金具12の突出部分を挿通させるための挿通孔62a,72aを有している。そして、前記埋込金具12の突出部分をネジ状に形成しておけば、前記挿通孔62a,72aに埋込金具12の突出部分を挿通させた後にナット12aを螺合することによって、前記上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aに、前記上方および下方の接合部材6,7を強固に取り付けることができる。
【0034】
すなわち、前記上方および下方の接合部材6,7は、前記埋込金具12を介して上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられた状態となっている。
これによって、前記埋込金具12は、前記外装材2,3の上端部近傍および下端部近傍に埋設された鉄筋11に巻装されているので、前記外装材2,3に対して強固に取り付けられれることとなる。したがって、前記接合部材6,7は、前記外装材2,3に対して強固に取り付けられた埋込金具12を介して外装材2,3に取り付けられているので、前記外装材2,3への取付状態を強固かつ確実なものとすることができるようになっている。
【0035】
なお、前記外装材2,3の厚みを薄くしたいという要望に対しては、図1に示す接合部材4,5を例に挙げると、図7に示すように、前記取付部42,52の厚みを厚くして、その分、外装材2,3の厚みを薄くしている。これによって、外装材2,3の厚みを薄くした分、取付部42,52の厚みが厚くなるので、上方の外装材2の下端部裏面2aの近傍および下方の外装材3の上端部裏面3aの近傍を補強できるようになっている。
【0036】
また、前記上方および下方の接合部材6,7は、これら上方および下方の接合部材6,7が、上方および下方の外装材2,3に接触する接触面65,75をそれぞれ有しており、これら接触面65,75には接着剤が塗布されている。これによって、前記上方および下方の接合部材6,7と、上方および下方の外装材2,3との間から雨水等が染み込むことを確実に防ぐことが可能となる。なお、図1に示す接合部材4,5も同様に接触面45,55に接着剤が塗布される。
【0037】
続いて、前記挟持部材8は、図3(a)〜(c)に示すように、前記外壁1の表面に固定される固定部80と、前記上方および下方の接合部材6,7に形成された被挟持部60,70を受けて挟持する挟持手段とからなる。
【0038】
前記固定部80は、図3(a)〜(c)に示すように、長寸部80aと短寸部80bからなり、断面略L字状に形成されており、長寸部80aは前記外壁1の表面に当接しているとともに、短寸部80bは、その先端が前記挟持手段を構成する挟持板部82と一体化されている。
【0039】
そして、この短寸部80bは、前記長寸部80aと挟持板部82との間に介在することによって、接合部材6,7と外壁1の表面との距離を一定に保つ役割を有しており、これによって、図1および図2に示すように、前記上方および下方の外装材2,3と、外壁1の表面との間に通気層13,14を形成することが可能となる。
【0040】
なお、この通気層13,14は、前記係合部41,51(61,71)および嵌合凹部9,10の大きさに関係している。すなわち、例えば図1に示す接合部材4,5の係合部41,51のように比較的大きい場合は、嵌合凹部9も大きくなり、その分、挟持部材8を含んだ状態で接合部材4,5自体が外装材2,3側に深く入り込むような形状となるので、通気層13を確保しながら壁の厚みをより薄くすることが可能となる。
一方の図2に示す接合部材6,7の係合部61,71のように比較的小さい場合は、嵌合凹部10も小さくなり、その分、接合部材6,7自体が外装材2,3の裏面から比較的大きく突出するような形状となるので、通気層14を大きく確保することができる。
【0041】
また、前記挟持手段は、対向する挟持板部81,82と、これら挟持板部81,82を互いに接近する方向に締め付ける締付部材83と、前記対向する挟持板部81,82間に設けられ、前記上方および下方の被挟持部60,70をそれぞれ受ける受け部84と、この受け部84と一体的に、かつ隣接する挟持板部81側に湾曲して形成されることによって弾性を有するフランジ部85とを備えている。
【0042】
前記対向する挟持板部81,82は、一方が、前記固定部80の短寸部80bと一体化されており、他方が、前記被挟持部60,70の近傍に設けられた隙間部63,73に所在するようになっている。
そして、前記締付部材83は、ボルト83aおよびナット83bであり、前記対向する挟持板部81,82の中央部分に形成された挿通孔に挿通されている。すなわち、前記ナット83bを締めていくことによって、前記対向する挟持板部81,82が、互いに接近する方向に締め付けられていくようになっている。
【0043】
また、前記受け部84は、前記被挟持部60,70を受けるためのものであり、この受け部84の内周寸法は被挟持部60,70の外周寸法に併せて形成されており、上方に、前記上方の接合部材6の被挟持部60を受ける第1受け部84aが設けられ、下方に、前記下方の接合部材7の被挟持部70を受ける第2受け部84bが設けられている。
【0044】
また、前記フランジ部85は、上述したように前記受け部84と一体的に形成され、かつ隣接する挟持板部81側に湾曲して形成されている。すなわち、これらフランジ部85および受け部84は、図3に示すように、例えば金属板等を折り曲げ加工して弾性を有するように形成されている。これによって、前記フランジ部85が隣接する挟持板部81側に湾曲するのに伴って、前記第1受け部84aおよび第2受け部84bの一方の側壁が弾性を有するようにして傾斜している。その上、前記受け部84とフランジ部85との間には、折り曲げ加工によって生じる空隙部85aが形成されている。
【0045】
そして、前記受け部84によって上方および下方の被挟持部60,70をそれぞれ受けた状態で、図3(b),(c)に示すように、前記締付部材83によって対向する挟持板部81,82を互いに接近する方向に締め付けるようにすることで、この挟持板部81に押されたフランジ部85が弾性変形しながら前記上方および下方の被挟持部60,70を挟持するので、前記上方および下方の被挟持部60,70を前記挟持部材8によって強固に挟持することができるようになっている。
【0046】
しかも、前記フランジ部85には、弾性変形しようとする力に対して反力が発生して、前記挟持板部81を押し返す力が働くこととなり、前記ナット83bによる締め付けが弛みにくくなるので、従来とは異なり、上方および下方の外装材2,3の良好な取付状態をより長期的に維持することができる。
さらには、前記空隙部85aが形成された分、前記受け部84とフランジ部85との間により強い弾性力が生じることとなるので、前記挟持板部81を押し返そうとする力が強くなり、前記ナット83bによる締め付けが、より弛みにくくなる。これによって、従来とは異なり、上方および下方の外装材2,3の良好な取付状態をより一層長期的に維持することができる。
【0047】
なお、図3に示す形態の挟持部材8の他にも、図8に示すように、様々な形態の挟持部材15,16が挙げられる。
すなわち、図8(a)に示す挟持部材15は、固定部15aと受け部15b、フランジ部15cとが、例えば金属板等を折り曲げ加工することで一体的に形成されており、さらに、固定部15aと受け部15bとの間に第2空隙部15dが形成されている。このように第2空隙部15dが形成されることによって、ナット15eによる締め付けが、さらに弛みにくくなる。
図8(b)に示す挟持部材16は、固定部16aと受け部16b、フランジ部16eとが、例えば金属板等を折り曲げ加工することで一体的に形成されている。さらに、この固定部16aは、上方の接合部材6の被挟持部60を受ける第1受け部16cと一体化する第1固定部17と、下方の接合部材7の被挟持部70を受ける第2受け部16dと一体化する第2固定部18とを備えており、これら第1固定部17の長寸部17aと第2固定部18の長寸部18aとが重なるように形成されている。これによって、固定部16aの強度を高めることが可能となり、挟持部材16自体の取付状態を安定的なものとすることができるので、延いては、上方および下方の外装材2,3の取付状態をより安定的なものとすることができる。
【0048】
次に、以上のような外装材2,3の取付構造に基づく具体例について説明する。なお、この具体例において採用される各外装材30,31,32,30a,31a,32aは、上述の外装材2,3と同様のコンクリート成形品であり、上述の接合部材4,5,6,7や挟持部材8等を適用できるものであることは言うまでもない。
【0049】
本実施の形態で採用されたパネル工法においては、図9に示すように、基礎19上に下階の床パネル20が設置されるとともに、この下階の床パネル20上に下階用壁パネル21が立設され、さらに、その上に上階の床パネル22が設置されるとともに、この上階の床パネル22上に上階用壁パネル23が立設されるようになっている。
【0050】
そして、これら下階用壁パネル21の表面に、下階用第1外装材30と下階用第2外装材31とが取り付けられ、上階用壁パネル23の表面に、上階用第1外装材32と上階用第2外装材(図示せず)とが取り付けられることとなる。
また、これら各外装材30,31,32の下端部裏面2aおよび上端部裏面3aには、それぞれ接合部材6,7が取り付けられている。
【0051】
さらに、これら接合部材6,7の被挟持部60,70を受けて挟持する挟持部材8は、所定の箇所に予め固定されている。ここで、所定の箇所とは、前記各外装材30,31,32同士の接合が必要となる箇所であり、図9に示すように、下階用第1外装材30と下階用第2外装材31とが接合される下階用壁パネル21の高さ方向の中間位置や、下階用第2外装材31と上階用第1外装材32とが接合される上階の床パネル22の端面等が該当する。
なお、下階用第1外装材30の下端部のように最端部に位置する外装材の端部には、専用の取付構造が採用されるものとする。すなわち、例えば、下階用第1外装材30の下端部は、専用の取付金具30Aが下階の床パネル20の端面に固定されており、この取付金具30Aによって支持されている。
【0052】
そして、所定の箇所に固定された挟持部材8に対して、前記接合部材6,7の被挟持部60,70を合致させるようにして、各外装材30,31,32が取り付けられていくようになっている。
なお、各外装材30,31,32の取り付けは作業は、予め工場等で行っておくようにしても良く、現場で行うようにしても良い。また、予め工場等で外装材2,3を取り付けておく際は、図10に示すように、上階の床パネル22aの端面に、その他の外装材30a,31a,32aと同様の素材からなる幕板33を取り付けるようにしても良い。すなわち、このように幕板33を設けることで、各外装材30a,31a,32aの端部を、各壁パネル21a,23aの端部から極力はみ出ないようにすることができるので、例えば輸送中に各外装材30a,31a,32aの端部が破損してしまうこと等を極力防ぐことができるようになっている。
なお、幕板33を取り付ける際には、幕板33と、この幕板33に接する下階用第2外装材31aおよび上階用第1外装材32aとには、専用の取付構造を採用すると好ましい。すなわち、例えば、幕板33と下階用第2外装材31aとの接合には、専用の接合部材33Aを使用したり、幕板33と上階用第1外装材32aとの接合には、接合手段33Bを採用したりする。
【0053】
次に、このように各外装材30,31,32同士を接合していく際の接合手順について説明する。
【0054】
まず、下階用壁パネル21の表面に下階用第1外装材30を取り付けておく。この際、下階用第1外装材30の上端部には接合部材7が取り付けられているとともに、この接合部材7の被挟持部70は、下階用壁パネル21の表面に取り付けられた挟持部材8によって挟持された状態となっている。
【0055】
続いて、図11(a)に示すように、下階用第1外装材30と下階用第2外装材31とを接合する。この際、下階用壁パネル21の表面に取り付けられた挟持部材8の第1受け部84aで、下階用第2外装材31の下端部に取り付けられた接合部材6の被挟持部60を受けるようにする。
そして、前記挟持部材8によって、下階用第2外装材31側に取り付けられた接合部材6の被挟持部6を挟持して、下階用第1外装材30と下階用第2外装材31とを強固かつ確実に接合する。
【0056】
その後、図11(b),(c)に示すように、下階用第1外装材30と下階用第2外装材31とを接合した際と同様に、下階用第2外装材31と上階用第1外装材32とを接合する。以上のような手順で、各外装材30,31,32同士を接合する。
【0057】
本実施の形態によれば、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)に形成された被挟持部40,50(60,70)は、これら上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を受けて挟持する挟持部材8に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっているので、これら上方および下方の被挟持部40,50(60,70)を、前記挟持部材8に対して左右方向にそれぞれスライドさせて位置調整することができる。これによって、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)を左右方向にスライドさせることで、これら外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)の左右方向の位置調整を行うことができるので、前記上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)を外壁1の表面に正確に取り付けることができる。
また、前記挟持部材8によって、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)の下端部裏面2aおよび上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられた接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)をそれぞれ挟持するので、上下に隣り合う外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)同士を確実に接合することができる。
また、前記挟持部材8が外壁1の表面に固定されているので、この挟持部材8を介して上方および下方の接合部材4,5(6,7)を外壁1の表面に取り付けて固定でき、延いては、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)を外壁1の表面に取り付けて固定できる。しかも、前記挟持部材8によって、上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を受けるだけでなく挟持することで、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)を、外壁1の表面に強固かつ確実に取り付けることができる。
そして、前記上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)は、上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を挟持部材8で挟持し、これを介して外壁1の表面に取り付けられており、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)に対して釘打ちを行う必要が無くなる。さらには、前記挟持部材8を構成するフランジ部85は弾性を有していることで、このフランジ部85を押して接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を挟持しようとする挟持板部81を押し返す力が働くことになるので、対向する挟持板部81,82を互いに接近する方向に締め付けるための締付部材83の締め付けが弛みにくくなり、従来とは異なり、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)の良好な取付状態を長期的に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の外装材の取付構造の一例を示す側断面図である。
【図2】本発明の外装材の取付構造の一例を示す側断面図である。
【図3】挟持部材による挟持手段を示し、(a)は挟持板部の締め付け作業前の状態を示す側面図であり、(b)は締付部材による締め付け作業中の状態を示す側面図であり、(c)は締付部材によって空隙部が弾性変形した状態を示す側面図である。
【図4】上下に隣接する外装材の構成および裏面外観を示す斜視図である。
【図5】埋込金具を鉄筋に巻装する形態を示す側断面図であり、(a)はOリングを鉄筋に挿通させて巻装した埋込金具を示し、(b)は略L字上に形成された埋込金具を示し、(c)は略U字状に形成された埋込金具を示し、(d)は略P字状に形成された埋込金具を示している。
【図6】上方および下方の接合部材同士が係合し合う状態を示す斜視図であり、(a)は係合前を示し、(b)は係合後を示している。
【図7】外装材の厚みを薄くする際の接合部材の形態を示す側断面図である。
【図8】挟持部材の形態を示す側面図であり、(a)は第2空隙部を有する挟持部材であり、(b)は第1固定部および第2固定部を有する挟持部材である。
【図9】本発明の外装材の取付構造に基づく具体例を示す側断面図である。
【図10】本発明の外装材の取付構造に基づく他の具体例を示す側断面図である。
【図11】外装材の接合手順を示し、(a)は下階用第1外装材と下階用第2外装材との接合を示す側断面図であり、(b)は下階用第2外装材の上端部近傍を示す側断面図であり、(c)は下階用第2外装材と上階用第1外装材との接合を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 外壁
2 外装材
3 外装材
4 接合部材
5 接合部材
6 接合部材
7 接合部材
8 挟持部材
40 被挟持部
50 被挟持部
60 被挟持部
70 被挟持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁の表面に外装材が取り付けられてなる外装材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅の構築についてはその工業化が進み、例えば壁や床、屋根といった構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てることにより住宅を構築するパネル工法が一部に採用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のようなパネル工法では、隣接する外装材の側端部が、下サネと上サネとを係合させるサネ構造をなしているので、専用の取付金具を用いることによって、これら隣接する外装材を、外壁となる壁パネルに対して確実に取り付けできるようになっている。
【特許文献1】特開2001−098736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、上述のような外装材として、例えば軽量気泡コンクリートや、その他のコンクリート成形品等の建築用資材を用いたいという要望があった。このような建築用資材からなる外装材は、例えばポルトランドセメントと、石英及び溶融シリカを含む珪砂と、水とを混練してスラリーを製造し、このスラリーを格子状に組まれた鉄筋が配置された型枠に流し込み、さらに高温、高圧下のオートクレーブ内で蒸気養生させることにより製造されており、断熱性や防水性、防腐性、耐候性、デザイン性等に優れる。
【0004】
ところが、このような軽量気泡コンクリートや、その他のコンクリート成形品等からなる外装材は砂状のものを固めたものであるため、その側端部に、特許文献1の外装材のようなサネ構造を形成すると、細長く形成した部分や角部などが崩れ易くなってしまい、元の形状を維持できない場合があった。
【0005】
そこで、この外装材を外壁に取り付けるための取付金具を外装材内部に埋め込むとともに、この取付金具を受ける受け金物を外壁表面に取り付けておき、これら取付金具と受け金物とを合致させて外装材を外壁の表面に取り付ける場合があった。
しかしながら、例えば外装材に埋め込まれる取付金具に位置ずれが生じた場合、外装材を最初から製造しなおさなければならなかったり、外壁表面に取り付けた受け金物の取付位置を調節したり等の手間がかかる。
【0006】
そこで、このような手間を省くために、例えば釘打ちによる外装材の取付方法が採用される場合がある。このように釘打ちの方法を採用すれば、取付金具および受け金物の位置を気にする必要がない。
ところが、釘打ちによる取付方法を採用した場合、釘打ち箇所の補修作業が必要になったり、釘打ちによる外装材の破損を防ぐための補強作業を行ったり等の手間がかかる。また、この外装材は砂状のものを固めたものであるため、釘を打ち込んだ孔が長い年月の間に大きくなってしまい、外装材の良好な取付状態を長期的に維持できない場合があった。
【0007】
本発明の課題は、外装材を外壁の表面に正確かつ強固に取り付けることができるとともに、外装材の良好な取付状態を長期的に維持できる外装材の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、外壁1の表面に外装材2,3が取り付けられてなる外装材2,3の取付構造において、
上下に隣り合う外装材2,3同士を接合するための接合部材4,5(6,7)が、上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられるとともに、これら上方および下方の接合部材4,5(6,7)に形成された被挟持部40,50(60,70)を受けて挟持する挟持部材8が、前記外壁1の表面に固定されており、
前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)は、前記上方および下方の外装材2,3の幅方向に沿って延在し、かつ所定の長さ寸法を有しており、前記挟持部材8に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっていることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)に形成された被挟持部40,50(60,70)は、これら上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を受けて挟持する挟持部材8に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっているので、これら上方および下方の被挟持部40,50(60,70)を、前記挟持部材8に対して左右方向にそれぞれスライドさせて位置調整することができる。これによって、前記上方および下方の外装材2,3を左右方向にスライドさせることで、これら外装材2,3の左右方向の位置調整を行うことができるので、前記上方および下方の外装材2,3を外壁1の表面に正確に取り付けることができる。
また、前記挟持部材8によって、前記上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられた接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)をそれぞれ挟持するので、上下に隣り合う外装材2,3同士を確実に接合することができる。
また、前記挟持部材8が、前記外壁1の表面に固定されているので、この挟持部材8を介して前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)を外壁1の表面に取り付けて固定でき、延いては、前記上方および下方の外装材2,3を外壁1の表面に取り付けて固定できる。しかも、前記挟持部材8によって、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を受けるだけでなく挟持することで、前記上方および下方の外装材2,3を、外壁1の表面に強固かつ確実に取り付けることができる。
さらに、前記上方および下方の外装材2,3は、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を挟持部材8で挟持し、これを介して外壁1の表面に取り付けられており、上方および下方の外装材2,3に対して釘打ちを行う必要が無くなるので、従来とは異なり、これら外装材2,3の良好な取付状態を長期的に維持することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、例えば図1および図2に示すように、請求項1に記載の外装材2,3の取付構造において、
前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)は、これら接合部材4,5(6,7)同士が水密に係合し合うための係合部41,51(61,71)をそれぞれ備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)は、これら接合部材4,5(6,7)同士が水密に係合し合うための係合部41,51(61,71)をそれぞれ備えているので、これら係合部41,51(61,71)同士を水密に係合させることによって、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)同士を確実に係合させることができるだけでなく、これら接合部材4,5(6,7)が取り付けられた上下に隣り合う外装材2,3同士をより確実に接合することができる。しかも、これら係合部41,51(61,71)同士を水密に係合させることで、継ぎ目部分の止水性・防水性を向上させることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、例えば図1および図2に示すように、請求項2に記載の外装材2,3の取付構造において、
前記上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aのうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の係合部41,51(61,71)が嵌まり合う嵌合凹部9,10が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aのうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の係合部41,51(61,71)が嵌まり合う嵌合凹部9,10が形成されているので、この嵌合凹部9,10に前記係合部41,51(61,71)を嵌め合わせることによって、前記接合部材4,5(6,7)と外装材2,3との一体化を図ることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図3に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の外装材2,3の取付構造において、
前記挟持部材8は、前記外壁1の表面に固定される固定部80と、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)に形成された被挟持部40,50(60,70)を受けて挟持する挟持手段とからなり、
この挟持手段は、対向する挟持板部81,82と、これら挟持板部81,82を互いに接近する方向に締め付ける締付部材83と、前記対向する挟持板部81,82間に設けられ、前記上方および下方の被挟持部40,50(60,70)をそれぞれ受ける受け部84と、この受け部84と一体的に、かつ隣接する挟持板部81側に湾曲して形成されることによって弾性を有するフランジ部85とを備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、前記受け部84によって上方および下方の被挟持部40,50(60,70)をそれぞれ受けた状態で、前記締付部材83によって対向する挟持板部81,82を互いに接近する方向に締め付けることで、隣接する挟持板部81に押されたフランジ部85が弾性変形しながら前記上方および下方の被挟持部40,50(60,70)を挟持するので、前記上方および下方の被挟持部40,50(60,70)を前記挟持部材8によって強固に挟持することができる。
そして、前記フランジ部85には、弾性変形しようとする力に対して反力が発生して、前記挟持板部81を押し返す力が働くこととなり、前記締付部材83による締め付けが弛みにくくなるので、従来とは異なり、上方および下方の外装材2,3の良好な取付状態をより長期的に維持することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の外装材2,3の取付構造において、
前記外装材2,3の上端部近傍および下端部近傍には、この外装材2,3の幅方向に沿って長尺な鉄筋11と、この鉄筋11に沿って所定の間隔で巻装され、かつ端部が前記外装材2,3の裏面に突出する埋込金具12とが埋設されており、
前記接合部材4,5(6,7)は、この埋込金具12を介して上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前記埋込金具12は、前記外装材2,3の上端部近傍および下端部近傍に埋設された鉄筋11に巻装されているので、前記外装材2,3に対して強固に取り付けられれることとなる。したがって、前記接合部材4,5(6,7)は、前記外装材2,3に対して強固に取り付けられた埋込金具12を介して外装材2,3に取り付けられているので、前記外装材2,3への取付状態を強固かつ確実なものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上方および下方の接合部材に形成された被挟持部は、これら上方および下方の接合部材の被挟持部を受けて挟持する挟持部材に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっているので、これら上方および下方の被挟持部を、挟持部材に対して左右方向にそれぞれスライドさせて位置調整することができる。これによって、上方および下方の外装材を左右方向にスライドさせることで、これら外装材の左右方向の位置調整を行うことができるので、上方および下方の外装材を外壁の表面に正確に取り付けることができる。
また、挟持部材によって、上方の外装材の下端部裏面および下方の外装材の上端部裏面にそれぞれ取り付けられた接合部材の被挟持部をそれぞれ挟持するので、上下に隣り合う外装材同士を確実に接合することができる。
また、挟持部材が外壁の表面に固定されているので、この挟持部材を介して上方および下方の接合部材を外壁の表面に取り付けて固定でき、延いては、上方および下方の外装材を外壁の表面に取り付けて固定できる。しかも、挟持部材によって、上方および下方の接合部材の被挟持部を受けるだけでなく挟持することで、上方および下方の外装材を、外壁の表面に強固かつ確実に取り付けることができる。
そして、上方および下方の外装材は、上方および下方の接合部材の被挟持部を挟持部材で挟持し、これを介して外壁の表面に取り付けられており、上方および下方の外装材に対して釘打ちを行う必要が無くなる。さらには、挟持部材を構成するフランジ部は弾性を有していることで、このフランジ部を押して接合部材の被挟持部を挟持しようとする挟持板部を押し返す力が働くことになるので、対向する挟持板部を互いに接近する方向に締め付けるための締付部材の締め付けが弛みにくくなり、従来とは異なり、上方および下方の外装材の良好な取付状態を長期的に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態の外装材2,3が取り付けられる外壁1を備えた建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
【0020】
本実施の形態の外装材2,3の取付構造は、図1〜図4に示すように、外壁1の表面に外装材2,3が取り付けられてなるものであり、上下に隣り合う外装材2,3同士を接合するための接合部材4,5(6,7)が、上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられるとともに、これら上方および下方の接合部材4,5(6,7)に形成された被挟持部40,50(60,70)を受けて挟持する挟持部材8が、前記外壁1の表面に固定されており、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)は、前記上方および下方の外装材2,3の幅方向に沿って延在し、かつ所定の長さ寸法を有しており、前記挟持部材8に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっている。
【0021】
なお、本実施の形態における接合部材は、説明の便宜上、図2に示す接合部材6,7を主体とするが、図1に示す接合部材4,5を挙げた方が適当である場合は、その都度、図1に示す接合部材4,5を挙げて説明するものとする。
【0022】
ここで、本実施の形態における外装材2,3は、例えばポルトランドセメントと、石英及び溶融シリカを含む珪砂と、水とを混練してスラリーを製造し、このスラリーを上下方向および左右方向に配筋した鉄筋が配置された型枠に流し込み、さらに高温、高圧下のオートクレーブと呼ばれる耐熱耐圧密閉蒸気窯内で蒸気養生させることにより製造されたコンクリート成形品である。
【0023】
前記外装材2,3には、図4に示すように、外装材2,3の内部全体に補強金網11aが埋設されており、このような補強金網11aによって、外装材2,3自体の強度を向上させることができるようになっている。
また、外装材2,3の上端部近傍および下端部近傍には、この外装材2,3の幅方向に沿って長尺な鉄筋11と、この鉄筋11に沿って所定の間隔で巻装され、かつ端部が前記外装材2,3の裏面に突出する埋込金具12とが埋設されている。
【0024】
なお、前記埋込金具12を鉄筋11に対して巻装する際は、溶接等によって埋込金具12と鉄筋11とを接合する。
また、埋込金具12を鉄筋11に対して巻装する形態としては、図5(a)〜(d)に示すように様々な形態が挙げられる。図5(a)に示す埋込金具12Aは、Oリングを鉄筋11に挿通させるようにして巻装してものであり、図5(b)に示す埋込金具12Bは、略L字上に形成されたものであり、図5(c)に示す埋込金具12Cは、略U字状に形成されたものであり、図5(d)に示す埋込金具12Dは、略P字状に形成されたものである。そして、各埋込金具12A,12B,12C,12Dの先端はネジ状に形成されており、ナット12Aa,12Ba,12Ca,12Daをそれぞれ螺合させることが可能となっている。
【0025】
また、前記外壁1は壁パネルであり、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠1aの内部に補助棧材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面に面材1bが貼設されている。
【0026】
一方、前記上方および下方の接合部材6,7は、図6に示すように、上下に隣り合う外装材2,3同士を接合するためのものであり、後述する挟持部材8によって挟持可能な形状に形成された被挟持部60,70と、これら上方および下方の接合部材6,7同士が水密に係合し合うための係合部61,71と、これら接合部材6,7を前記上方および下方の外装材2,3に取り付けるための取付部62,72とを備えている。また、前記被挟持部60,70の近傍には、図2に示すように、後述する挟持部材8の一部が所在するスペースを確保するための隙間部63,73が設けられている。
なお、この他にも、図2に示す接合部材6,7の場合、これら接合部材6,7は、接合部材6,7と外壁1の表面との間に介在する突出部64,74を備えている。この突出部64,74は、接合部材6,7と外壁1の表面との距離を一定に保つ役割を有しており、これによって、上方および下方の外装材2,3の取付状態をより安定的なものとすることができるようになっている。
【0027】
なお、図1に示す接合部材4,5の場合も同様に、上方および下方の接合部材4,5ともに、被挟持部40,50と係合部41,51、取付部42,52(挿通孔42a,52a)とを備え、被挟持部40,50の近傍には隙間部43,53が設けられている。
【0028】
また、前記係合部61,71は、図6(a)に示すように、凹凸状に形成されており、これら係合部61,71同士を水密に係合させることによって、図6(b)に示すように、互いに嵌合するようになっている。すなわち、このように上方および下方の接合部材6,7同士が水密に係合し合うための係合部61,71をそれぞれ備えているので、これら係合部61,71同士を水密に係合させることによって、前記上方および下方の接合部材6,7同士を確実に係合させることができるだけでなく、これら接合部材6,7が取り付けられた上下に隣り合う外装材2,3同士をより確実に接合することができるようになっている。しかも、これら係合部41,51(61,71)同士を水密に係合させることで、継ぎ目部分の止水性・防水性を向上させることが可能となる。
【0029】
なお、図1に示す接合部材4,5の場合は、上方の接合部材4の方が上サネ形状となっており、下方の接合部材5の方が下サネ形状となっている。すなわち、図1および図2に示す接合部材4,5、6,7ともに、それぞれ係合部41,51、61,71同士が左右方向にスライド可能な形状となっている。
【0030】
さらに、図1および図2に示すように、前記上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aのうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)の係合部41,51(61,71)が嵌まり合う嵌合凹部9,10が形成されている。
このような嵌合凹部9,10によれば、この嵌合凹部9,10に前記係合部41,51(61,71)を嵌め合わせることによって、前記接合部材4,5(6,7)と外装材2,3との一体化を図ることができるようになっている。
【0031】
なお、図2に示す接合部材6,7の係合部61,71のように、より形状が複雑化された係合部61,71を嵌合凹部10に嵌め合わせると、前記上方および下方の外装材2,3同士の継ぎ目部分の周囲を複雑化することができるので、上方および下方の外装材2,3同士の継ぎ目部分から浸入しようとする雨水の浸入経路をより複雑化することができるようになっている。
したがって、例えば上方および下方の外装材2,3同士の継ぎ目部分から雨水が染み込むように浸入した際であっても、これら上方および下方の外装材2,3の裏面まで雨水が到達することを防ぐことができる。
【0032】
なお、前記上方および下方の外装材2,3同士の継ぎ目部分に対して、前記係合部41,51(61,71)同士の継ぎ目部分の位置が若干ずれた状態となっている。これによって、前記上方および下方の外装材2,3同士の継ぎ目部分の周囲をより複雑化することができるので、防水性の向上を図ることが可能となる。
【0033】
次いで、前記取付部62,72は、前記外装材2,3の裏面に突出する埋込金具12の突出部分を挿通させるための挿通孔62a,72aを有している。そして、前記埋込金具12の突出部分をネジ状に形成しておけば、前記挿通孔62a,72aに埋込金具12の突出部分を挿通させた後にナット12aを螺合することによって、前記上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aに、前記上方および下方の接合部材6,7を強固に取り付けることができる。
【0034】
すなわち、前記上方および下方の接合部材6,7は、前記埋込金具12を介して上方の外装材2の下端部裏面2aおよび下方の外装材3の上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられた状態となっている。
これによって、前記埋込金具12は、前記外装材2,3の上端部近傍および下端部近傍に埋設された鉄筋11に巻装されているので、前記外装材2,3に対して強固に取り付けられれることとなる。したがって、前記接合部材6,7は、前記外装材2,3に対して強固に取り付けられた埋込金具12を介して外装材2,3に取り付けられているので、前記外装材2,3への取付状態を強固かつ確実なものとすることができるようになっている。
【0035】
なお、前記外装材2,3の厚みを薄くしたいという要望に対しては、図1に示す接合部材4,5を例に挙げると、図7に示すように、前記取付部42,52の厚みを厚くして、その分、外装材2,3の厚みを薄くしている。これによって、外装材2,3の厚みを薄くした分、取付部42,52の厚みが厚くなるので、上方の外装材2の下端部裏面2aの近傍および下方の外装材3の上端部裏面3aの近傍を補強できるようになっている。
【0036】
また、前記上方および下方の接合部材6,7は、これら上方および下方の接合部材6,7が、上方および下方の外装材2,3に接触する接触面65,75をそれぞれ有しており、これら接触面65,75には接着剤が塗布されている。これによって、前記上方および下方の接合部材6,7と、上方および下方の外装材2,3との間から雨水等が染み込むことを確実に防ぐことが可能となる。なお、図1に示す接合部材4,5も同様に接触面45,55に接着剤が塗布される。
【0037】
続いて、前記挟持部材8は、図3(a)〜(c)に示すように、前記外壁1の表面に固定される固定部80と、前記上方および下方の接合部材6,7に形成された被挟持部60,70を受けて挟持する挟持手段とからなる。
【0038】
前記固定部80は、図3(a)〜(c)に示すように、長寸部80aと短寸部80bからなり、断面略L字状に形成されており、長寸部80aは前記外壁1の表面に当接しているとともに、短寸部80bは、その先端が前記挟持手段を構成する挟持板部82と一体化されている。
【0039】
そして、この短寸部80bは、前記長寸部80aと挟持板部82との間に介在することによって、接合部材6,7と外壁1の表面との距離を一定に保つ役割を有しており、これによって、図1および図2に示すように、前記上方および下方の外装材2,3と、外壁1の表面との間に通気層13,14を形成することが可能となる。
【0040】
なお、この通気層13,14は、前記係合部41,51(61,71)および嵌合凹部9,10の大きさに関係している。すなわち、例えば図1に示す接合部材4,5の係合部41,51のように比較的大きい場合は、嵌合凹部9も大きくなり、その分、挟持部材8を含んだ状態で接合部材4,5自体が外装材2,3側に深く入り込むような形状となるので、通気層13を確保しながら壁の厚みをより薄くすることが可能となる。
一方の図2に示す接合部材6,7の係合部61,71のように比較的小さい場合は、嵌合凹部10も小さくなり、その分、接合部材6,7自体が外装材2,3の裏面から比較的大きく突出するような形状となるので、通気層14を大きく確保することができる。
【0041】
また、前記挟持手段は、対向する挟持板部81,82と、これら挟持板部81,82を互いに接近する方向に締め付ける締付部材83と、前記対向する挟持板部81,82間に設けられ、前記上方および下方の被挟持部60,70をそれぞれ受ける受け部84と、この受け部84と一体的に、かつ隣接する挟持板部81側に湾曲して形成されることによって弾性を有するフランジ部85とを備えている。
【0042】
前記対向する挟持板部81,82は、一方が、前記固定部80の短寸部80bと一体化されており、他方が、前記被挟持部60,70の近傍に設けられた隙間部63,73に所在するようになっている。
そして、前記締付部材83は、ボルト83aおよびナット83bであり、前記対向する挟持板部81,82の中央部分に形成された挿通孔に挿通されている。すなわち、前記ナット83bを締めていくことによって、前記対向する挟持板部81,82が、互いに接近する方向に締め付けられていくようになっている。
【0043】
また、前記受け部84は、前記被挟持部60,70を受けるためのものであり、この受け部84の内周寸法は被挟持部60,70の外周寸法に併せて形成されており、上方に、前記上方の接合部材6の被挟持部60を受ける第1受け部84aが設けられ、下方に、前記下方の接合部材7の被挟持部70を受ける第2受け部84bが設けられている。
【0044】
また、前記フランジ部85は、上述したように前記受け部84と一体的に形成され、かつ隣接する挟持板部81側に湾曲して形成されている。すなわち、これらフランジ部85および受け部84は、図3に示すように、例えば金属板等を折り曲げ加工して弾性を有するように形成されている。これによって、前記フランジ部85が隣接する挟持板部81側に湾曲するのに伴って、前記第1受け部84aおよび第2受け部84bの一方の側壁が弾性を有するようにして傾斜している。その上、前記受け部84とフランジ部85との間には、折り曲げ加工によって生じる空隙部85aが形成されている。
【0045】
そして、前記受け部84によって上方および下方の被挟持部60,70をそれぞれ受けた状態で、図3(b),(c)に示すように、前記締付部材83によって対向する挟持板部81,82を互いに接近する方向に締め付けるようにすることで、この挟持板部81に押されたフランジ部85が弾性変形しながら前記上方および下方の被挟持部60,70を挟持するので、前記上方および下方の被挟持部60,70を前記挟持部材8によって強固に挟持することができるようになっている。
【0046】
しかも、前記フランジ部85には、弾性変形しようとする力に対して反力が発生して、前記挟持板部81を押し返す力が働くこととなり、前記ナット83bによる締め付けが弛みにくくなるので、従来とは異なり、上方および下方の外装材2,3の良好な取付状態をより長期的に維持することができる。
さらには、前記空隙部85aが形成された分、前記受け部84とフランジ部85との間により強い弾性力が生じることとなるので、前記挟持板部81を押し返そうとする力が強くなり、前記ナット83bによる締め付けが、より弛みにくくなる。これによって、従来とは異なり、上方および下方の外装材2,3の良好な取付状態をより一層長期的に維持することができる。
【0047】
なお、図3に示す形態の挟持部材8の他にも、図8に示すように、様々な形態の挟持部材15,16が挙げられる。
すなわち、図8(a)に示す挟持部材15は、固定部15aと受け部15b、フランジ部15cとが、例えば金属板等を折り曲げ加工することで一体的に形成されており、さらに、固定部15aと受け部15bとの間に第2空隙部15dが形成されている。このように第2空隙部15dが形成されることによって、ナット15eによる締め付けが、さらに弛みにくくなる。
図8(b)に示す挟持部材16は、固定部16aと受け部16b、フランジ部16eとが、例えば金属板等を折り曲げ加工することで一体的に形成されている。さらに、この固定部16aは、上方の接合部材6の被挟持部60を受ける第1受け部16cと一体化する第1固定部17と、下方の接合部材7の被挟持部70を受ける第2受け部16dと一体化する第2固定部18とを備えており、これら第1固定部17の長寸部17aと第2固定部18の長寸部18aとが重なるように形成されている。これによって、固定部16aの強度を高めることが可能となり、挟持部材16自体の取付状態を安定的なものとすることができるので、延いては、上方および下方の外装材2,3の取付状態をより安定的なものとすることができる。
【0048】
次に、以上のような外装材2,3の取付構造に基づく具体例について説明する。なお、この具体例において採用される各外装材30,31,32,30a,31a,32aは、上述の外装材2,3と同様のコンクリート成形品であり、上述の接合部材4,5,6,7や挟持部材8等を適用できるものであることは言うまでもない。
【0049】
本実施の形態で採用されたパネル工法においては、図9に示すように、基礎19上に下階の床パネル20が設置されるとともに、この下階の床パネル20上に下階用壁パネル21が立設され、さらに、その上に上階の床パネル22が設置されるとともに、この上階の床パネル22上に上階用壁パネル23が立設されるようになっている。
【0050】
そして、これら下階用壁パネル21の表面に、下階用第1外装材30と下階用第2外装材31とが取り付けられ、上階用壁パネル23の表面に、上階用第1外装材32と上階用第2外装材(図示せず)とが取り付けられることとなる。
また、これら各外装材30,31,32の下端部裏面2aおよび上端部裏面3aには、それぞれ接合部材6,7が取り付けられている。
【0051】
さらに、これら接合部材6,7の被挟持部60,70を受けて挟持する挟持部材8は、所定の箇所に予め固定されている。ここで、所定の箇所とは、前記各外装材30,31,32同士の接合が必要となる箇所であり、図9に示すように、下階用第1外装材30と下階用第2外装材31とが接合される下階用壁パネル21の高さ方向の中間位置や、下階用第2外装材31と上階用第1外装材32とが接合される上階の床パネル22の端面等が該当する。
なお、下階用第1外装材30の下端部のように最端部に位置する外装材の端部には、専用の取付構造が採用されるものとする。すなわち、例えば、下階用第1外装材30の下端部は、専用の取付金具30Aが下階の床パネル20の端面に固定されており、この取付金具30Aによって支持されている。
【0052】
そして、所定の箇所に固定された挟持部材8に対して、前記接合部材6,7の被挟持部60,70を合致させるようにして、各外装材30,31,32が取り付けられていくようになっている。
なお、各外装材30,31,32の取り付けは作業は、予め工場等で行っておくようにしても良く、現場で行うようにしても良い。また、予め工場等で外装材2,3を取り付けておく際は、図10に示すように、上階の床パネル22aの端面に、その他の外装材30a,31a,32aと同様の素材からなる幕板33を取り付けるようにしても良い。すなわち、このように幕板33を設けることで、各外装材30a,31a,32aの端部を、各壁パネル21a,23aの端部から極力はみ出ないようにすることができるので、例えば輸送中に各外装材30a,31a,32aの端部が破損してしまうこと等を極力防ぐことができるようになっている。
なお、幕板33を取り付ける際には、幕板33と、この幕板33に接する下階用第2外装材31aおよび上階用第1外装材32aとには、専用の取付構造を採用すると好ましい。すなわち、例えば、幕板33と下階用第2外装材31aとの接合には、専用の接合部材33Aを使用したり、幕板33と上階用第1外装材32aとの接合には、接合手段33Bを採用したりする。
【0053】
次に、このように各外装材30,31,32同士を接合していく際の接合手順について説明する。
【0054】
まず、下階用壁パネル21の表面に下階用第1外装材30を取り付けておく。この際、下階用第1外装材30の上端部には接合部材7が取り付けられているとともに、この接合部材7の被挟持部70は、下階用壁パネル21の表面に取り付けられた挟持部材8によって挟持された状態となっている。
【0055】
続いて、図11(a)に示すように、下階用第1外装材30と下階用第2外装材31とを接合する。この際、下階用壁パネル21の表面に取り付けられた挟持部材8の第1受け部84aで、下階用第2外装材31の下端部に取り付けられた接合部材6の被挟持部60を受けるようにする。
そして、前記挟持部材8によって、下階用第2外装材31側に取り付けられた接合部材6の被挟持部6を挟持して、下階用第1外装材30と下階用第2外装材31とを強固かつ確実に接合する。
【0056】
その後、図11(b),(c)に示すように、下階用第1外装材30と下階用第2外装材31とを接合した際と同様に、下階用第2外装材31と上階用第1外装材32とを接合する。以上のような手順で、各外装材30,31,32同士を接合する。
【0057】
本実施の形態によれば、前記上方および下方の接合部材4,5(6,7)に形成された被挟持部40,50(60,70)は、これら上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を受けて挟持する挟持部材8に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっているので、これら上方および下方の被挟持部40,50(60,70)を、前記挟持部材8に対して左右方向にそれぞれスライドさせて位置調整することができる。これによって、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)を左右方向にスライドさせることで、これら外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)の左右方向の位置調整を行うことができるので、前記上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)を外壁1の表面に正確に取り付けることができる。
また、前記挟持部材8によって、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)の下端部裏面2aおよび上端部裏面3aにそれぞれ取り付けられた接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)をそれぞれ挟持するので、上下に隣り合う外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)同士を確実に接合することができる。
また、前記挟持部材8が外壁1の表面に固定されているので、この挟持部材8を介して上方および下方の接合部材4,5(6,7)を外壁1の表面に取り付けて固定でき、延いては、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)を外壁1の表面に取り付けて固定できる。しかも、前記挟持部材8によって、上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を受けるだけでなく挟持することで、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)を、外壁1の表面に強固かつ確実に取り付けることができる。
そして、前記上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)は、上方および下方の接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を挟持部材8で挟持し、これを介して外壁1の表面に取り付けられており、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)に対して釘打ちを行う必要が無くなる。さらには、前記挟持部材8を構成するフランジ部85は弾性を有していることで、このフランジ部85を押して接合部材4,5(6,7)の被挟持部40,50(60,70)を挟持しようとする挟持板部81を押し返す力が働くことになるので、対向する挟持板部81,82を互いに接近する方向に締め付けるための締付部材83の締め付けが弛みにくくなり、従来とは異なり、上方および下方の外装材2,3(30,31,32,30a,31a,32a)の良好な取付状態を長期的に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の外装材の取付構造の一例を示す側断面図である。
【図2】本発明の外装材の取付構造の一例を示す側断面図である。
【図3】挟持部材による挟持手段を示し、(a)は挟持板部の締め付け作業前の状態を示す側面図であり、(b)は締付部材による締め付け作業中の状態を示す側面図であり、(c)は締付部材によって空隙部が弾性変形した状態を示す側面図である。
【図4】上下に隣接する外装材の構成および裏面外観を示す斜視図である。
【図5】埋込金具を鉄筋に巻装する形態を示す側断面図であり、(a)はOリングを鉄筋に挿通させて巻装した埋込金具を示し、(b)は略L字上に形成された埋込金具を示し、(c)は略U字状に形成された埋込金具を示し、(d)は略P字状に形成された埋込金具を示している。
【図6】上方および下方の接合部材同士が係合し合う状態を示す斜視図であり、(a)は係合前を示し、(b)は係合後を示している。
【図7】外装材の厚みを薄くする際の接合部材の形態を示す側断面図である。
【図8】挟持部材の形態を示す側面図であり、(a)は第2空隙部を有する挟持部材であり、(b)は第1固定部および第2固定部を有する挟持部材である。
【図9】本発明の外装材の取付構造に基づく具体例を示す側断面図である。
【図10】本発明の外装材の取付構造に基づく他の具体例を示す側断面図である。
【図11】外装材の接合手順を示し、(a)は下階用第1外装材と下階用第2外装材との接合を示す側断面図であり、(b)は下階用第2外装材の上端部近傍を示す側断面図であり、(c)は下階用第2外装材と上階用第1外装材との接合を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 外壁
2 外装材
3 外装材
4 接合部材
5 接合部材
6 接合部材
7 接合部材
8 挟持部材
40 被挟持部
50 被挟持部
60 被挟持部
70 被挟持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁の表面に外装材が取り付けられてなる外装材の取付構造において、
上下に隣り合う外装材同士を接合するための接合部材が、上方の外装材の下端部裏面および下方の外装材の上端部裏面にそれぞれ取り付けられるとともに、これら上方および下方の接合部材に形成された被挟持部を受けて挟持する挟持部材が、前記外壁の表面に固定されており、
前記上方および下方の接合部材の被挟持部は、前記上方および下方の外装材の幅方向に沿って延在し、かつ所定の長さ寸法を有しており、前記挟持部材に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっていることを特徴とする外装材の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の外装材の取付構造において、
前記上方および下方の接合部材は、これら接合部材同士が水密に係合し合うための係合部をそれぞれ備えていることを特徴とする外装材の取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載の外装材の取付構造において、
前記上方の外装材の下端部裏面および下方の外装材の上端部裏面のうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材の係合部が嵌まり合う嵌合凹部が形成されていることを特徴とする外装材の取付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の外装材の取付構造において、
前記挟持部材は、前記外壁の表面に固定される固定部と、前記上方および下方の接合部材に形成された被挟持部を受けて挟持する挟持手段とからなり、
この挟持手段は、対向する挟持板部と、これら挟持板部を互いに接近する方向に締め付ける締付部材と、前記対向する挟持板部間に設けられ、前記上方および下方の被挟持部をそれぞれ受ける受け部と、この受け部と一体的に、かつ隣接する挟持板部側に湾曲して形成されることによって弾性を有するフランジ部とを備えていることを特徴とする外装材の取付構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の外装材の取付構造において、
前記外装材の上端部近傍および下端部近傍には、この外装材の幅方向に沿って長尺な鉄筋と、この鉄筋に沿って所定の間隔で巻装され、かつ端部が前記外装材の裏面に突出する埋込金具とが埋設されており、
前記接合部材は、この埋込金具を介して上方の外装材の下端部裏面および下方の外装材の上端部裏面にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする外装材の取付構造。
【請求項1】
外壁の表面に外装材が取り付けられてなる外装材の取付構造において、
上下に隣り合う外装材同士を接合するための接合部材が、上方の外装材の下端部裏面および下方の外装材の上端部裏面にそれぞれ取り付けられるとともに、これら上方および下方の接合部材に形成された被挟持部を受けて挟持する挟持部材が、前記外壁の表面に固定されており、
前記上方および下方の接合部材の被挟持部は、前記上方および下方の外装材の幅方向に沿って延在し、かつ所定の長さ寸法を有しており、前記挟持部材に対して、それぞれ左右方向にスライド可能となっていることを特徴とする外装材の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の外装材の取付構造において、
前記上方および下方の接合部材は、これら接合部材同士が水密に係合し合うための係合部をそれぞれ備えていることを特徴とする外装材の取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載の外装材の取付構造において、
前記上方の外装材の下端部裏面および下方の外装材の上端部裏面のうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材の係合部が嵌まり合う嵌合凹部が形成されていることを特徴とする外装材の取付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の外装材の取付構造において、
前記挟持部材は、前記外壁の表面に固定される固定部と、前記上方および下方の接合部材に形成された被挟持部を受けて挟持する挟持手段とからなり、
この挟持手段は、対向する挟持板部と、これら挟持板部を互いに接近する方向に締め付ける締付部材と、前記対向する挟持板部間に設けられ、前記上方および下方の被挟持部をそれぞれ受ける受け部と、この受け部と一体的に、かつ隣接する挟持板部側に湾曲して形成されることによって弾性を有するフランジ部とを備えていることを特徴とする外装材の取付構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の外装材の取付構造において、
前記外装材の上端部近傍および下端部近傍には、この外装材の幅方向に沿って長尺な鉄筋と、この鉄筋に沿って所定の間隔で巻装され、かつ端部が前記外装材の裏面に突出する埋込金具とが埋設されており、
前記接合部材は、この埋込金具を介して上方の外装材の下端部裏面および下方の外装材の上端部裏面にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする外装材の取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−133589(P2008−133589A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318286(P2006−318286)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】
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