説明

外装材の躯体取付装置

【課題】 外装材(パネル)を躯体に取付るのに、強固で且つ容易に取付られ、しかも、取り外しも容易である外装材の躯体取付装置を提供するものである。
【解決手段】 外装材1と、上方に躯体取付部10と下方に外装材取付部11と、それらの間に形成の被挿入孔13とより成る上部取付金具2と、上方に外装材取付部17と、下方に挿入部18より成る下部取付金具3とを備えている。そして、前記外装材1の上部に前記上部取付金具2を、下部に前記下部取付金具3をそれぞれ取付け、この外装材1に取付られた下部取付金具3の挿入部18を、既設の外装材の上部取付金具2の被挿入孔13に挿入する。そして上部取付金具2の躯体取付部10をビス26により躯体22に取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乾式工法で石材等の外装材を建物などの躯体に取付ける外装材の躯体取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の躯体壁面に石材などの外装材を乾式工法により取付ける技術は多数存在する。例えば特許文献1に示すごとく、外壁パネル1の上端に立上片12aを、下端に溝13を設けている。そして、それを取付ける取付金具2も、前記壁面パネル1に対応した形状をなしている。この例では、取付金具2と外装パネル1とは、縦方向に係合しているが、横方向には係合状態に無く、その結果として、ずれやすい欠点を有していた。
【特許文献1】特開平2−47460号公報
【0003】
このため、特許文献2に示す発明が開発されている。即ち、外装材1として、表面に石材4が裏面にアルミハニカムパネル7が接着されて構成され、取付金具2a,2bとして、躯体壁面に取付ける取付部10と、該躯体壁面との隙間を持たせる隙間形成部13と、前記外装材のアルミハニカムパネル7へ挿入する差し込み部14を有しており、この取付用金具2a,2bの取付部10を躯体壁面に固定し、その固定の前又は後に取付用金具2a,2bの隙間形成部13を外装材1の裏面に当接させながら差し込み部14を前記アルミハニカムパネル7に挿入して躯体壁面に外装材1を取付けている。
【特許文献2】特開平10−61143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献2にあっては、外装材1が躯体壁面への取付時に、取付金具2a,2bの差し込み部14が、外装材1の裏面にあるアルミハニカムパネル7に挿入される。このアルミハニカムパネルは薄いアルミフィルムより作られているので、破りながら挿入される。この挿入により差し込み部と、アルミハニカムは確実に係合される。
【0005】
しかしながら、取付金具2a,2bがアルミハニカムパネルへの破りながらの挿入のため強度的に弱い欠点を有していた。即ち、外装材1に強い力が加わると、アルミハニカムパネルのアルミニウムフィルの裂部が拡大し、結合が緩くなり、外装材が動などして規則的な配置が不揃となるなどの問題が発生していた。
【0006】
そこで、この発明は、外装材(パネル)の躯体への取付が強固であると共に、その取付が簡単で且つ取付も上部取付金具を躯体に取付るだけで良い取付手数の少ない外装材の躯体取付装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る外装材の躯体取付装置は、外装材と、上方に躯体取付部と、下方に外装材取付部と、それらの間に形成の被挿入孔とより成る上部取付金具と、上方に外装材取付部と、下方に挿入部とより成る下部取付金具とを備え、前記外装材の上部に前記上部取付金具を、下部に前記下部取付金具をそれぞれ取付け、そして、この外装材に取付られた下部取付金具の挿入部を、既設の外装材の上部取付金具の被挿入孔に挿入すると共に、上部取付金具の躯体取付部を躯体に取付けたことにある(請求項1)。
【0008】
これにより、外装材は躯体に上部取付金具と下部取付金具とにより取付られるが、下部取付金具は既設の上部取付金具に係止して固定され、また上部取付金具は躯体にねじ止めされ固定されて、取付作業は、上部取付金具の固定だけで済み、取付作業の簡素化が図れる。また上下の取付金具は外装材にリベットや接着剤で強固に固着されていることから(請求項2)、(請求項3)、結合が緩むことがない。
【0009】
前述の被挿入孔は横方向に伸びる長孔であるし(請求項4)、上部及び下部取付金具の躯体取付部と外装材取付部との間に段部が形成され(請求項5,6)、これにより、下部取付金具の挿入部が上部取付金具の被挿入孔に挿入を容易とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施例を図面にもとづいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1において、外装材(パネル)1に上部及び下部取付金具2,3を取付けた斜視図が図示されている。外装材1は、表面に天然又は人工の石材4が配され、その裏面に、アルミニウムの薄いフィルムを六角形状にして構成のアルミハニカム5を、これを挟持した2枚のアルミニウム又は樹脂板6,6とより成るハニカムパネル7が接着剤にて接着されている。このように、表面に石材4が裏面にハニカムパネル7を有しているため、同サイズの石材に比して軽くすることができる。
【0012】
上部取付金具2は、図2にも示すように、上方に躯体取付部10が、下方に外装材取付部11とより成り、それらの間に折り曲げられて横方向に段部12が形成され、該段部12に横方向に伸びる長い孔の被挿入孔13が形成されている。この被挿入孔13には、下記する下部取付金具3の挿入部18が挿入される。なお、躯体取付部10は躯体にねじ止めするための穴14が形成されており、また外装材取付部11には外装材1のハニカムパネル7を取付けるリベット穴15が2つ形成されている。
【0013】
下部取付金具3は、図3に示すように、上方に外装材取付部17が、下方に挿入部18とより成り、それらの間に折り曲げられて横方向に段部19が形成されている。そして、前記外装材取付部17には外装材1のハニカムパネル7を取付けるリベット穴20が2つ形成されている。
【0014】
図4,図5において、外装材1を躯体22に取付るには、工場において、図1に示すように、上部及び下部取付金具2,3が外装材1のハニカムパネル7にリベット23,24及び接着剤により固定され、図1に示す状態にて施工現場に運ばれる。
【0015】
運ばれた外装材1は、まず取付られる躯体22の最も下部に取付られる。即ち、上部取付金具2のビス穴14にビス26を挿入し、躯体22にねじ込む。これにより、外装材1は取付られる。なお、下部取付金具3は躯体22に適宜固定される。そして、この最も下部の外装材1が横方向に順次取付られる。
【0016】
それから、その上に2段目の外装材1を取付るには、まず、下部取付金具3の挿入部18が既設の上部取付金具2の被挿入孔13内に挿入し、そして、外装材1をすき間なく適切に積み上げ、上部取付金具2のビス穴14にビス26を入れ躯体22にねじ込む。即ち、外装材1は、上部取付金具2においてはビス26により、下部取付金具3においては挿入部18の既設の上部取付金具2との係止により行われる。さらに3段目、4段目等の複数段目の施工は上述したように積み上げて取付られる。
【0017】
既設の外装材1の取り外しは、ビス26を外せば上部取付金具2を躯体22より外せるため、外装材1を手に持って、下部取付金具3の挿入部18を他の上部取付金具2の被挿入部13から抜けば、外装材1は簡単に取り外すことができる。
【0018】
前述した実施例では、外装材1に1個の上部取付金具2と下部取付金具3を取付けているが、外装材1の大きさによりそれぞれ複数個設けるようにしても良い。また、上部取付金具2の躯体取付部10に形成のビス穴14を複数に設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に用いられる外装材1の斜視図である。
【図2】上部取付金具の斜視図である。
【図3】下部取付金具の斜視図である。
【図4】外装材の取付状態を示す斜視図である。
【図5】同上の側面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 外装材
2 上部取付金具
3 下部取付金具
4 石材
6 アルミニウム又は樹脂板
7 ハニカムパネル
10 躯体取付部
11 外装材取付部
12 段部
13 被挿入孔
14 ビス穴
15 リベット穴
17 外装材取付部
18 挿入部
19 段部
20 リベット穴
22 躯体
23 リベット
24 リベット
26 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装材と、
上方に躯体取付部と、下方に外装材取付部と、それらの間に形成の被挿入孔とより成る上部取付金具と、
上方に外装材取付部と、下方に挿入部とより成る下部取付金具とを備え、
前記外装材の上部に前記上部取付金具を、下部に前記下部取付金具をそれぞれ取付け、そして、この外装材に取付られた下部取付金具の挿入部を、既設の外装材の上部取付金具の被挿入孔に挿入すると共に、上部取付金具の躯体取付部を躯体に取付けたことを特徴とする外装材の躯体取付装置。
【請求項2】
前記外装材の上部に前記上部取付金具を、そして下部に前記下部取付金具の取付は、接着剤と、リベット止によることを特徴とする請求項1記載の外装材の躯体取付装置。
【請求項3】
前記上部取付金具の躯体取付部の躯体への取付は、ビスによることを特徴とする請求項1記載の外装材の躯体取付装置。
【請求項4】
前記被挿入孔は、横方向に伸びる長孔であることを特徴とする請求項1記載の外装材の躯体取付装置。
【請求項5】
前記上部取付金具の躯体取付部と、外装材取付部との間に段部が形成されたことを特徴とする請求項1記載の外装材の躯体取付装置。
【請求項6】
前記下部取付金具の外装材取付部と、挿入部との間に段部が形成されたことを特徴とする請求項1記載の外装材の躯体取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−39964(P2007−39964A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224988(P2005−224988)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(596133935)株式会社テクノシステム (3)
【Fターム(参考)】