外観検査支援装置および外観検査支援方法
【課題】外観検査を行う検査対象の表面形状によらず、高い精度で欠陥を検出する技術または欠陥の検出を支援する技術を提供する。
【解決手段】検査対象の表面を、所定の曲率の範囲に納まるまで分割し、分割後の領域毎に画像を取得する。すなわち、検査対象の表面が曲率が一定でない曲面であっても、略平面とみなせる単位で撮像を行う。また、取得した画像を画像処理し、欠陥を検出する。欠陥の検出には、従来同様、閾値による判別手法を用いる。
【解決手段】検査対象の表面を、所定の曲率の範囲に納まるまで分割し、分割後の領域毎に画像を取得する。すなわち、検査対象の表面が曲率が一定でない曲面であっても、略平面とみなせる単位で撮像を行う。また、取得した画像を画像処理し、欠陥を検出する。欠陥の検出には、従来同様、閾値による判別手法を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品表面の外観検査技術に関する。特に、曲率が一定でない自由曲面形状を有する表面の外観検査技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製品表面に照射した照明光の反射光を画像化し、製品表面の欠陥を検出する外観検査技術がある。外観検査技術では、例えば、得られた画像を二値化し、閾値により判別することにより、キズ等の欠陥を検出する(例えば、特許文献1参照。)。検査対象は、例えば、シート状物体、円筒状物体などである(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−244949号公報
【特許文献2】特開平10−197231号公報
【特許文献3】特開平11−183391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査対象の製品表面が平面である場合、あるいは、曲率が一定の曲面である場合、照明による反射が一定となる。しかし、自動車のヘッドライトの表面など、形状が複雑な物体の場合、その表面の曲率が一定でないため、照明による反射が複雑に変わる。このため、部位により明暗の差も複雑に変化し、キズの見え方にも影響をあたる。上述のように閾値による判別が困難となり、キズ等の検出精度が安定しない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、外観検査を行う検査対象の表面形状によらず、高い精度で欠陥を検出する技術または欠陥の検出を支援する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、検査対象の表面を、所定の曲率の範囲に納まるまで分割し、分割後の領域毎に画像を取得する。すなわち、検査対象の表面が、曲率が一定でない曲面であっても、略平面とみなせる単位で撮像を行う。また、取得した画像を画像処理し、欠陥を検出する。欠陥の検出には、従来同様、閾値による判別手法を用いる。
【0007】
具体的には、対象物の表面の状態を検査する外観検査を支援する外観検査支援装置であって、対象物の表面を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が撮影した画像を表示する表示手段と、前記撮影手段を移動させる駆動手段と、前記撮影手段および前記駆動手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記撮影手段が撮影を行う領域を、それぞれ撮影単位領域として決定する撮影単位決定手段と、前記撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段の配置位置を決定する配置位置決定手段と、を備え、前記撮影単位決定手段は、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とし、前記制御手段は、前記撮影単位領域を撮影する毎に、前記配置位置決定手段が決定した配置位置に前記撮影手段を移動させるよう前記駆動手段を制御することを特徴とする外観検査支援装置を提供する。
【0008】
また、対象物の表面の状態を検査する外観検査装置であって、対象物の表面を撮影する撮影手段と、前記撮影手段を移動させる駆動手段と、前記撮影手段および前記駆動手段を制御する制御手段と、前記撮影手段が撮影した画像に対し、画像処理を施して欠陥の有無を判別する欠陥判別手段と、前記欠陥判別手段による判別結果を出力する出力手段と、を備え、前記制御手段は、前記撮影手段が撮影を行う領域を、それぞれ撮影単位領域として決定する撮影単位決定手段と、前記撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段の配置位置を決定する配置位置決定手段と、を備え、前記撮影単位決定手段は、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とし、前記制御手段は、前記撮影単位領域を撮影する毎に、前記配置位置決定手段が決定した配置位置に前記撮影手段を移動させるよう前記駆動手段を制御することを特徴とする外観検査装置を提供する。
【0009】
さらに、撮影手段で対象物の表面を撮影した画像を用い、当該対象物の外観検査を支援する外観検査支援方法であって、対象物の表面を、分割後の領域の曲率が所定の値以下となるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とする撮影単位領域決定ステップと、撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段を移動させて撮影を行う撮影ステップと、前記撮影ステップで撮影した画像を表示手段に表示させる表示ステップと、を備え、前記撮影単位領域決定ステップでは、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とすることを特徴とする外観検査支援方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外観検査を行う検査対象の表面形状によらず、高い精度で欠陥を検出することができる。または、高い精度で欠陥を検出することを支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の外観検査装置の概略構成を説明するための説明図である。
【図2】本発明の実施形態のズームカメラの概略構成を説明するための説明図である。
【図3】(a)、(b)は、形状変化による照明反射方向の変化を説明するための説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の実施形態の概要を説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施形態の制御装置の機能ブロック図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明の撮影単位決定手法の概要を説明するための説明図である。
【図7】本発明の実施形態の曲率とズーム倍率および面積との関係を説明するための説明図である。
【図8】本発明の実施形態の撮影処理のフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態の撮影単位決定処理のフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態の再分割処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<<第一の実施形態>>
以下、本発明を適用する第一の実施形態について説明する。以下、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る外観検査装置10の概略構成図である。本図に示すように、本実施形態の外観検査装置10は、対象製品(ワーク)の表面(ワーク表面)11を撮影するズームカメラ12と、ズームカメラ12を支持する支持部13と、支持部13を介してズームカメラ12を移動させる駆動部14と、外観検査装置10全体の動作を制御する制御装置15とを備える。また、制御装置15は、制御装置15とユーザとのインタフェースである表示装置16および入力装置17を備える。
【0014】
駆動部14は、モータおよびモータドライブ回路などから構成され、制御装置15からの指令により、ズームカメラ12を所定の位置に移動させる。本実施形態では、例えば、世界座標等の予め定められたXYZ座標系を用い、x、y、z各軸方向にズームカメラ12の位置を制御する。
【0015】
図2は、本実施形態のズームカメラ12の概略構成図である。本図に示すように、本実施形態のズームカメラ12は、撮影を行う撮影部21と、照明部22と、ズームレンズ部23とを備える。照明部22は、制御装置15からの制御信号に従って、ワーク表面11に所定の強度の光を照射する。照明部22には、例えば、リング照明などが用いられる。また、ズームレンズ部23は、制御装置15からの制御信号に従って、ズームカメラ12のレンズのズーム量(ズーム倍率)を変更する。
【0016】
本実施形態の各機能の詳細な説明に先立ち、図3を用いて形状変化による照明反射方向の変化について説明する。
【0017】
図3(a)のに示すように、ワーク表面11が平面の場合、照明による反射方向は、実線の矢印で示すように、一定となる。従って、反射光を画像化する場合、反射光の向きの違いによる強度差は発生しない。一方、ワーク表面11が、曲率が一定でない曲面の場合、図3(b)に実線の矢印で示すように、照明による反射方向は様々となる。従って、反射光を画像化する場合、反射光の向きによる強度差が発生する。
【0018】
本実施形態では、ワーク表面11を、曲率に応じて略平面とみなせるサイズの領域に分割し、分割後の各領域を、撮影を行う撮影単位とする。すなわち、ワーク表面11の変化の複雑さに応じて計測分解能を変化させ、それぞれの計測領域を平面に近い形状で検査を行う。図4(a)〜(c)に示すように、ワーク表面11を、所定以下の曲率、すなわち略平面とみなせる領域30に分割し、領域30単位で画像を取得する。これにより、反射光の方向が略一定の状態で撮像(画像化)できる。
【0019】
これを実現するため、本実施形態の制御装置15は、図5に示すように、駆動部14、撮影部21、照明部22およびズームレンズ部23を制御して撮影を行う撮影制御部50と、ワーク表面11を分割して撮影単位を決定する撮影単位決定部51と、各撮影単位の位置に応じてズームカメラ12の配置位置を決定する配置位置決定部52と、各撮影単位の面積に応じてズーム量(ズーム倍率)を決定するズーム量決定部53と、各撮影単位の面積に応じて照明強度とを決定する照明強度決定部54と、得られた画像を処理し、欠陥を検出する画像処理部55と、を備える。
【0020】
また、制御装置15は、撮影単位決定部51が決定した撮影単位毎に必要な情報を格納する撮影単位データベース(撮影単位DB)61を備える。
【0021】
撮影単位決定部51は、予め保持する撮影対象物(ワーク)のCADデータから、撮影単位を決定する。具体的には、図6(a)、(b)に示すように、撮影単位決定部51は、CADデータからワーク表面11の初期メッシュデータ31を生成する。そして、各メッシュの曲率を計算し、予め定めた曲率閾値と比較する。図6(c)に示すように、曲率閾値より大きいメッシュ311について、分割後のメッシュの曲率が曲率閾値以下になるまで分割を繰り返し、最終的に得られた各メッシュを撮影単位とする。
【0022】
撮影単位決定部51は、メッシュ(撮影単位)を特定する識別符号とともに、それぞれ、サイズ(面積)、位置(重心または中心の世界座標)、曲率等を記憶する撮影単位データベース(DB)61を生成する。
【0023】
なお、CADデータは、必ずしも予め制御装置15が保持していなくてもよい。例えば、撮影単位決定部51が撮影単位を決定する際、外部から取得するよう構成してもよい。また、撮影対象物のデータは、曲率さえ判断できるものであればよく、CADデータに限定されない。
【0024】
例えば、図7に示すように、生成した初期メッシュデータの各メッシュについて、曲率が大きい領域は、その撮影単位の面積は小さくなる。また、撮影単位の面積が小さい領域のズーム量(ズーム倍率)は大きくなる。
【0025】
なお、撮影単位は、ズームカメラ12で撮影する単位であるため、初期メッシュデータのメッシュ形状は、例えば、長辺と短辺との比がズームカメラ12の画面アスペクト比となる長方形とする。または、アスペクト比が白銀比の長方形とする。初期メッシュデータのサイズは、予め定められた初期値を用いる。
【0026】
配置位置決定部52は、撮影単位決定部51が生成した撮影単位DB61を参照し、撮影単位毎のズームカメラ12の配置位置を決定する。配置位置は、各撮影単位に同条件でズームカメラ12のレンズが向けられるよう、決定する。例えば、ズームカメラ12の光軸を撮影単位の重心(中心)の法線方向に合致させる。この場合、撮影単位となる曲面の重心位置を通る法線上の、曲面から所定の距離の位置とする。決定した位置は、本実施形態の外観検査装置10が採用する座標系で表し、撮影単位DB61に、撮影単位に対応付けて格納する。
【0027】
ズーム量決定部52は、上述のように、撮影単位毎に、そのサイズ(面積)に応じたズーム量を決定し、撮影単位と定めた領域がズームカメラ12の画像エリアの所定範囲に納まるよう制御する。これにより、本実施形態では、撮影単位決定部51が決定した撮影単位毎の撮影を実現する。本実施形態では、例えば、ズーム量は、撮影単位がズームカメラ12の視野(画像エリア)に納まる範囲の最大の値とする。図7に示すように、撮影単位の面積が小さい場合、ズーム量は拡大する。決定したズーム量は、撮影単位に対応づけて撮影単位DB61に格納する。
【0028】
照明強度決定部54は、撮影単位毎に、そのサイズ(面積)に応じた照明強度を決定する。照明強度は、各撮影単位の見え方を同じにする(照度の差をなくす)ため、ズームカメラ12の視野内の単位面積当たりの光量が取得画像毎に一定になるよう制御する。従って、撮影単位のサイズが小さいほど照射される光量は増加する。決定した照明強度は、撮影単位に対応づけて撮影単位DB61に格納する。
【0029】
撮影制御部50は、撮影単位決定部51が決定した撮影単位毎に、ワーク11の表面を撮影するよう制御信号を出力し、撮影部21、照明部22、ズームレンズ部23および駆動部14を制御する。
【0030】
すなわち、撮影制御部50は、撮影単位毎に、配置位置決定部54が決定した撮影位置にズームカメラ12のレンズが向けられるよう、制御信号を生成し、駆動部14に出力し、ズームカメラ12を移動させる。また、ズーム量決定部52が決定したズーム量を実現するよう制御信号を生成し、ズームレンズ部23に出力し、ズーム量を調整する。照明強度決定部54が決定した光量を発生するよう制御信号を生成し、照明部22に出力し、照射させる。そして、撮影単位DB61を参照し、これらの制御信号により各部を調整後、撮影部21に撮影を行わせる。
【0031】
画像処理部55は、撮影部21が撮影した画像を処理し、欠陥、例えば、キズを抽出する。抽出は、平面を対象とする公知の欠陥検出技術を用いる。例えば、得られた画像を二値化し、閾値を用いてキズの有無を判別する。
【0032】
制御装置15の各機能は、制御装置15が備えるCPUが、記憶装置に予め記憶されたプログラムをメモリにロードし、実行することにより実現される。また、撮影単位DB61は、制御装置15が備える記憶装置に格納される。
【0033】
本実施形態の撮影制御部50による撮影処理の流れを説明する。図8は、本実施形態の撮影処理の処理フローである。撮影処理は、ユーザからの指示に従って開始する。
【0034】
指示を受け付けると、撮影制御部50は、撮影単位決定部51に撮影単位決定処理を行わせ、撮影単位を決定させる(撮影単位決定処理;ステップS1001)。なお、撮影単位決定処理の詳細は後述する。撮影単位が決定すると、撮影制御部50は、決定した撮影単位毎に、配置位置決定部52に配置位置を、ズーム量決定部53にズーム量を、照明強度決定部位54に照明強度を、それぞれ算出させる(ステップS1002)。
【0035】
撮影制御部50は、撮影単位毎に撮影単位DB61に保持されるデータに従って撮影を行い、撮影単位毎の画像を得(ステップS1003)、表示装置16に表示する(ステップS1004)。画像処理部57は、画像生成部56が生成した画像を画像処理し、欠陥の有無を判別し、欠陥を検出し、結果を出力する(欠陥判別処理;ステップS1005)。なお、撮影単位毎に画像を撮影し、画像処理部57が欠陥の有無を判別しても良いし、全撮影単位の画像の撮影後、画像処理部57が欠陥の有無を判別してもよい。
【0036】
次に、本実施形態の撮影単位決定部51による撮影単位決定処理の流れについて説明する。図9は、本実施形態の撮影単位決定処理の処理フローである。撮影単位決定処理は、撮影制御部50からの指示に従って処理を開始する。
【0037】
開始の指示を受け付けると、撮影単位決定部51は、CADデータを読み込む(ステップS1101)。そして、CADデータから、ワーク表面11を予め定めたサイズのメッシュに分割した初期メッシュデータ31を生成する(ステップS1102)。
【0038】
次に、メッシュ毎に、所定の曲率になるまで、再分割を繰り返す再分割処理を行う。再分割処理の概略は以下のとおりである。まず、各メッシュの曲率χをCADデータから算出し(ステップS1103)、それぞれ、予め保持する曲率閾値Tと比較する(ステップS1104)。曲率閾値Tより大きい場合、再分割し(ステップS1105)、ステップS1103に戻り、再分割後の分割単位の曲率をCADデータから算出し、処理を繰り返す。一方、曲率閾値以下の場合、その分割単位を撮影単位とし、撮影単位データベース61に中心座標、面積を登録し(ステップS1106)、撮影単位決定処理を終了する。
【0039】
再分割処理は、例えば、以下の手法で行う。図10は、再分割処理の一例の処理の流れを説明するための図である。撮影単位決定部51は、初期メッシュデータ31を生成後、各メッシュについて、重心(中心)座標および曲率をそれぞれ算出し、作業用メッシュデータベース(メッシュDB)に登録する(ステップS1201)。重心(中心)座標および曲率は、CADデータから算出する。
【0040】
メッシュデータDBに登録されている各メッシュの中で、x座標の値が最も小さいものの中の、y座標の値が最も小さいものの中の、z座標の値が最も小さいもの(座標値が最小のもの)を抽出し(ステップS1202)、当該メッシュの曲率χを曲率閾値Tと比較する(ステップS1203)。
【0041】
曲率χが曲率閾値Tより大きい場合、当該メッシュを予め定めた手法で4等分割し(ステップS1204)、4等分割後の各メッシュについて、重心(中心)座標および曲率を算出し、4等分割後の各メッシュの重心(中心)座標および曲率をメッシュデータDBに登録するとともに分割前のメッシュのデータをメッシュデータDBから削除する(ステップS1205)。そして、ステップS1202へ戻る。
【0042】
なお、4等分割は、長方形の短辺および長辺を、それぞれ、長辺および短辺に平行な直線で2等分割することにより行う。なお、分割は、このような4分割に限られない。例えば、長方形の長辺のみを、短辺に平行な直線で2等分割してもよい。ただし、分割後の形状のアスペクト比が異なる場合、データ処理が煩雑になるため、上述の手法による4等分割のようにアスペクト比が維持できる分割手法が好ましい。
【0043】
一方、ステップS1203の比較において、曲率χが曲率閾値T以下の場合、当該メッシュの面積を算出し、中心座標および面積を撮影単位DBに登録するとともに当該メッシュのデータをメッシュデータDBから削除する(ステップS1206)。そして、メッシュDBに登録される全てのメッシュデータの処理を終えたか否かを判別する(ステップS12079)。全てのメッシュデータの処理を終えていない場合、ステップS1202へ戻る。一方、全てのメッシュデータの処理を終えた場合、処理を終了する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、外観検査の対象であるワーク表面を、曲率に応じて略平面とみなせるサイズの領域に分割し、分割後の領域単位で撮影を行う。このため、検査対象のワーク表面が、曲率が一定でない自由曲面であっても、曲率の違いにより生じる反射光の変化の影響を受けにくく、安定した画像を得ることができる。従って、検査対象の平面の形状によらず、平面の外観検査同様の手法で、同様の判定精度を得ることができ、安定した判定を行うことができる。
【0045】
また、曲率に応じて分割サイズを決定しているため、全体を等分割して撮影単位の曲率を低減する処理に比べ、演算処理が少なくて済む。従って、処理量の増大を抑え、検査対象となる物体表面の傷等の欠陥検出を適正な分解能で行なうことができる。
【0046】
さらに、撮影単位のサイズに応じて、照明強度を変更している。従って、撮影単位毎に、ズームカメラ21の画像エリア(視野)内の単位面積当たりの光量が同程度の画像を得ることができ、全ての撮影単位毎に近似の条件で判別を行うことができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、撮影単位の面積毎に、配置位置、ズーム量および照明強度を算出しているが、これに限られない。例えば、予め、撮影単位の面積毎に配置位置、ズーム量および照明強度を特定したデータベースを保持し、配置位置、ズーム量および照明強度を、それに基づいて決定してもよい。
【0048】
また、撮影単位毎に照明強度は変更しなくてもよい。この場合、照明部22は、ズームカメラ21外に備えていてもよい。さらに、照明強度決定部54は、備えなくてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、生成された画像に画像処理を行い、自動で欠陥の有無を判別しているが、これに限られない。生成された画像を表示装置16に表示し、欠陥の有無はユーザが判別するよう構成してもよい。この場合、画像処理部56は備えなくてもよい。
【0050】
また、上記分割手法は一例であり、これに限られない。最終的に各分割単位の曲率が一定以下になるよう分割できれば、手法に制約はない。例えば、初期メッシュデータ31のメッシュ単位で分割を繰り返すよう構成してもよい。この場合、初期メッシュデータ31を生成後、各初期メッシュの曲率を計算し、曲率閾値より大きい初期メッシュについて、初期メッシュ単位で2分割、4分割、8分割、と分割を繰り返す。このとき、当該初期メッシュを構成する分割後の全メッシュの曲率が曲率閾値以下となるまで分割を繰り返す。
【0051】
さらに、上記実施形態では、ズームカメラ12の曲面からの距離を一定に保ち、ズーム量を変更することにより、異なる面積の撮影単位を同一の画像エリアに納めているが、この手法に限られない。ズームカメラ12の曲面からの距離を調整することにより、指定のズーム量を実現するよう構成してもよい。この場合は、ズームレンズ部23は備えなくてもよい。
【0052】
なお、本実施形態の外観検査技術は、例えば、自動車等のヘッドランプ、テールランプ等の表面、自動車のダッシュボードの表面、自動車のボディ表面の塗装、等の外観検査に用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
10:外観検査装置、11:ワーク表面、11:メッシュ、12:ズームカメラ、13:支持部、14:駆動部、15:制御装置、16:表示装置、17:入力装置、21:撮影部、22:照明部、23:ズームレンズ部、30:領域、31:初期メッシュデータ、50:撮影制御部、51:撮影単位決定部、52:配置位置決定部、53:ズーム量決定部、54:照明強度決定部、55:画像処理部、61:撮影単位DB
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品表面の外観検査技術に関する。特に、曲率が一定でない自由曲面形状を有する表面の外観検査技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製品表面に照射した照明光の反射光を画像化し、製品表面の欠陥を検出する外観検査技術がある。外観検査技術では、例えば、得られた画像を二値化し、閾値により判別することにより、キズ等の欠陥を検出する(例えば、特許文献1参照。)。検査対象は、例えば、シート状物体、円筒状物体などである(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−244949号公報
【特許文献2】特開平10−197231号公報
【特許文献3】特開平11−183391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査対象の製品表面が平面である場合、あるいは、曲率が一定の曲面である場合、照明による反射が一定となる。しかし、自動車のヘッドライトの表面など、形状が複雑な物体の場合、その表面の曲率が一定でないため、照明による反射が複雑に変わる。このため、部位により明暗の差も複雑に変化し、キズの見え方にも影響をあたる。上述のように閾値による判別が困難となり、キズ等の検出精度が安定しない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、外観検査を行う検査対象の表面形状によらず、高い精度で欠陥を検出する技術または欠陥の検出を支援する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、検査対象の表面を、所定の曲率の範囲に納まるまで分割し、分割後の領域毎に画像を取得する。すなわち、検査対象の表面が、曲率が一定でない曲面であっても、略平面とみなせる単位で撮像を行う。また、取得した画像を画像処理し、欠陥を検出する。欠陥の検出には、従来同様、閾値による判別手法を用いる。
【0007】
具体的には、対象物の表面の状態を検査する外観検査を支援する外観検査支援装置であって、対象物の表面を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が撮影した画像を表示する表示手段と、前記撮影手段を移動させる駆動手段と、前記撮影手段および前記駆動手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記撮影手段が撮影を行う領域を、それぞれ撮影単位領域として決定する撮影単位決定手段と、前記撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段の配置位置を決定する配置位置決定手段と、を備え、前記撮影単位決定手段は、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とし、前記制御手段は、前記撮影単位領域を撮影する毎に、前記配置位置決定手段が決定した配置位置に前記撮影手段を移動させるよう前記駆動手段を制御することを特徴とする外観検査支援装置を提供する。
【0008】
また、対象物の表面の状態を検査する外観検査装置であって、対象物の表面を撮影する撮影手段と、前記撮影手段を移動させる駆動手段と、前記撮影手段および前記駆動手段を制御する制御手段と、前記撮影手段が撮影した画像に対し、画像処理を施して欠陥の有無を判別する欠陥判別手段と、前記欠陥判別手段による判別結果を出力する出力手段と、を備え、前記制御手段は、前記撮影手段が撮影を行う領域を、それぞれ撮影単位領域として決定する撮影単位決定手段と、前記撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段の配置位置を決定する配置位置決定手段と、を備え、前記撮影単位決定手段は、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とし、前記制御手段は、前記撮影単位領域を撮影する毎に、前記配置位置決定手段が決定した配置位置に前記撮影手段を移動させるよう前記駆動手段を制御することを特徴とする外観検査装置を提供する。
【0009】
さらに、撮影手段で対象物の表面を撮影した画像を用い、当該対象物の外観検査を支援する外観検査支援方法であって、対象物の表面を、分割後の領域の曲率が所定の値以下となるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とする撮影単位領域決定ステップと、撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段を移動させて撮影を行う撮影ステップと、前記撮影ステップで撮影した画像を表示手段に表示させる表示ステップと、を備え、前記撮影単位領域決定ステップでは、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とすることを特徴とする外観検査支援方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外観検査を行う検査対象の表面形状によらず、高い精度で欠陥を検出することができる。または、高い精度で欠陥を検出することを支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の外観検査装置の概略構成を説明するための説明図である。
【図2】本発明の実施形態のズームカメラの概略構成を説明するための説明図である。
【図3】(a)、(b)は、形状変化による照明反射方向の変化を説明するための説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の実施形態の概要を説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施形態の制御装置の機能ブロック図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明の撮影単位決定手法の概要を説明するための説明図である。
【図7】本発明の実施形態の曲率とズーム倍率および面積との関係を説明するための説明図である。
【図8】本発明の実施形態の撮影処理のフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態の撮影単位決定処理のフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態の再分割処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<<第一の実施形態>>
以下、本発明を適用する第一の実施形態について説明する。以下、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る外観検査装置10の概略構成図である。本図に示すように、本実施形態の外観検査装置10は、対象製品(ワーク)の表面(ワーク表面)11を撮影するズームカメラ12と、ズームカメラ12を支持する支持部13と、支持部13を介してズームカメラ12を移動させる駆動部14と、外観検査装置10全体の動作を制御する制御装置15とを備える。また、制御装置15は、制御装置15とユーザとのインタフェースである表示装置16および入力装置17を備える。
【0014】
駆動部14は、モータおよびモータドライブ回路などから構成され、制御装置15からの指令により、ズームカメラ12を所定の位置に移動させる。本実施形態では、例えば、世界座標等の予め定められたXYZ座標系を用い、x、y、z各軸方向にズームカメラ12の位置を制御する。
【0015】
図2は、本実施形態のズームカメラ12の概略構成図である。本図に示すように、本実施形態のズームカメラ12は、撮影を行う撮影部21と、照明部22と、ズームレンズ部23とを備える。照明部22は、制御装置15からの制御信号に従って、ワーク表面11に所定の強度の光を照射する。照明部22には、例えば、リング照明などが用いられる。また、ズームレンズ部23は、制御装置15からの制御信号に従って、ズームカメラ12のレンズのズーム量(ズーム倍率)を変更する。
【0016】
本実施形態の各機能の詳細な説明に先立ち、図3を用いて形状変化による照明反射方向の変化について説明する。
【0017】
図3(a)のに示すように、ワーク表面11が平面の場合、照明による反射方向は、実線の矢印で示すように、一定となる。従って、反射光を画像化する場合、反射光の向きの違いによる強度差は発生しない。一方、ワーク表面11が、曲率が一定でない曲面の場合、図3(b)に実線の矢印で示すように、照明による反射方向は様々となる。従って、反射光を画像化する場合、反射光の向きによる強度差が発生する。
【0018】
本実施形態では、ワーク表面11を、曲率に応じて略平面とみなせるサイズの領域に分割し、分割後の各領域を、撮影を行う撮影単位とする。すなわち、ワーク表面11の変化の複雑さに応じて計測分解能を変化させ、それぞれの計測領域を平面に近い形状で検査を行う。図4(a)〜(c)に示すように、ワーク表面11を、所定以下の曲率、すなわち略平面とみなせる領域30に分割し、領域30単位で画像を取得する。これにより、反射光の方向が略一定の状態で撮像(画像化)できる。
【0019】
これを実現するため、本実施形態の制御装置15は、図5に示すように、駆動部14、撮影部21、照明部22およびズームレンズ部23を制御して撮影を行う撮影制御部50と、ワーク表面11を分割して撮影単位を決定する撮影単位決定部51と、各撮影単位の位置に応じてズームカメラ12の配置位置を決定する配置位置決定部52と、各撮影単位の面積に応じてズーム量(ズーム倍率)を決定するズーム量決定部53と、各撮影単位の面積に応じて照明強度とを決定する照明強度決定部54と、得られた画像を処理し、欠陥を検出する画像処理部55と、を備える。
【0020】
また、制御装置15は、撮影単位決定部51が決定した撮影単位毎に必要な情報を格納する撮影単位データベース(撮影単位DB)61を備える。
【0021】
撮影単位決定部51は、予め保持する撮影対象物(ワーク)のCADデータから、撮影単位を決定する。具体的には、図6(a)、(b)に示すように、撮影単位決定部51は、CADデータからワーク表面11の初期メッシュデータ31を生成する。そして、各メッシュの曲率を計算し、予め定めた曲率閾値と比較する。図6(c)に示すように、曲率閾値より大きいメッシュ311について、分割後のメッシュの曲率が曲率閾値以下になるまで分割を繰り返し、最終的に得られた各メッシュを撮影単位とする。
【0022】
撮影単位決定部51は、メッシュ(撮影単位)を特定する識別符号とともに、それぞれ、サイズ(面積)、位置(重心または中心の世界座標)、曲率等を記憶する撮影単位データベース(DB)61を生成する。
【0023】
なお、CADデータは、必ずしも予め制御装置15が保持していなくてもよい。例えば、撮影単位決定部51が撮影単位を決定する際、外部から取得するよう構成してもよい。また、撮影対象物のデータは、曲率さえ判断できるものであればよく、CADデータに限定されない。
【0024】
例えば、図7に示すように、生成した初期メッシュデータの各メッシュについて、曲率が大きい領域は、その撮影単位の面積は小さくなる。また、撮影単位の面積が小さい領域のズーム量(ズーム倍率)は大きくなる。
【0025】
なお、撮影単位は、ズームカメラ12で撮影する単位であるため、初期メッシュデータのメッシュ形状は、例えば、長辺と短辺との比がズームカメラ12の画面アスペクト比となる長方形とする。または、アスペクト比が白銀比の長方形とする。初期メッシュデータのサイズは、予め定められた初期値を用いる。
【0026】
配置位置決定部52は、撮影単位決定部51が生成した撮影単位DB61を参照し、撮影単位毎のズームカメラ12の配置位置を決定する。配置位置は、各撮影単位に同条件でズームカメラ12のレンズが向けられるよう、決定する。例えば、ズームカメラ12の光軸を撮影単位の重心(中心)の法線方向に合致させる。この場合、撮影単位となる曲面の重心位置を通る法線上の、曲面から所定の距離の位置とする。決定した位置は、本実施形態の外観検査装置10が採用する座標系で表し、撮影単位DB61に、撮影単位に対応付けて格納する。
【0027】
ズーム量決定部52は、上述のように、撮影単位毎に、そのサイズ(面積)に応じたズーム量を決定し、撮影単位と定めた領域がズームカメラ12の画像エリアの所定範囲に納まるよう制御する。これにより、本実施形態では、撮影単位決定部51が決定した撮影単位毎の撮影を実現する。本実施形態では、例えば、ズーム量は、撮影単位がズームカメラ12の視野(画像エリア)に納まる範囲の最大の値とする。図7に示すように、撮影単位の面積が小さい場合、ズーム量は拡大する。決定したズーム量は、撮影単位に対応づけて撮影単位DB61に格納する。
【0028】
照明強度決定部54は、撮影単位毎に、そのサイズ(面積)に応じた照明強度を決定する。照明強度は、各撮影単位の見え方を同じにする(照度の差をなくす)ため、ズームカメラ12の視野内の単位面積当たりの光量が取得画像毎に一定になるよう制御する。従って、撮影単位のサイズが小さいほど照射される光量は増加する。決定した照明強度は、撮影単位に対応づけて撮影単位DB61に格納する。
【0029】
撮影制御部50は、撮影単位決定部51が決定した撮影単位毎に、ワーク11の表面を撮影するよう制御信号を出力し、撮影部21、照明部22、ズームレンズ部23および駆動部14を制御する。
【0030】
すなわち、撮影制御部50は、撮影単位毎に、配置位置決定部54が決定した撮影位置にズームカメラ12のレンズが向けられるよう、制御信号を生成し、駆動部14に出力し、ズームカメラ12を移動させる。また、ズーム量決定部52が決定したズーム量を実現するよう制御信号を生成し、ズームレンズ部23に出力し、ズーム量を調整する。照明強度決定部54が決定した光量を発生するよう制御信号を生成し、照明部22に出力し、照射させる。そして、撮影単位DB61を参照し、これらの制御信号により各部を調整後、撮影部21に撮影を行わせる。
【0031】
画像処理部55は、撮影部21が撮影した画像を処理し、欠陥、例えば、キズを抽出する。抽出は、平面を対象とする公知の欠陥検出技術を用いる。例えば、得られた画像を二値化し、閾値を用いてキズの有無を判別する。
【0032】
制御装置15の各機能は、制御装置15が備えるCPUが、記憶装置に予め記憶されたプログラムをメモリにロードし、実行することにより実現される。また、撮影単位DB61は、制御装置15が備える記憶装置に格納される。
【0033】
本実施形態の撮影制御部50による撮影処理の流れを説明する。図8は、本実施形態の撮影処理の処理フローである。撮影処理は、ユーザからの指示に従って開始する。
【0034】
指示を受け付けると、撮影制御部50は、撮影単位決定部51に撮影単位決定処理を行わせ、撮影単位を決定させる(撮影単位決定処理;ステップS1001)。なお、撮影単位決定処理の詳細は後述する。撮影単位が決定すると、撮影制御部50は、決定した撮影単位毎に、配置位置決定部52に配置位置を、ズーム量決定部53にズーム量を、照明強度決定部位54に照明強度を、それぞれ算出させる(ステップS1002)。
【0035】
撮影制御部50は、撮影単位毎に撮影単位DB61に保持されるデータに従って撮影を行い、撮影単位毎の画像を得(ステップS1003)、表示装置16に表示する(ステップS1004)。画像処理部57は、画像生成部56が生成した画像を画像処理し、欠陥の有無を判別し、欠陥を検出し、結果を出力する(欠陥判別処理;ステップS1005)。なお、撮影単位毎に画像を撮影し、画像処理部57が欠陥の有無を判別しても良いし、全撮影単位の画像の撮影後、画像処理部57が欠陥の有無を判別してもよい。
【0036】
次に、本実施形態の撮影単位決定部51による撮影単位決定処理の流れについて説明する。図9は、本実施形態の撮影単位決定処理の処理フローである。撮影単位決定処理は、撮影制御部50からの指示に従って処理を開始する。
【0037】
開始の指示を受け付けると、撮影単位決定部51は、CADデータを読み込む(ステップS1101)。そして、CADデータから、ワーク表面11を予め定めたサイズのメッシュに分割した初期メッシュデータ31を生成する(ステップS1102)。
【0038】
次に、メッシュ毎に、所定の曲率になるまで、再分割を繰り返す再分割処理を行う。再分割処理の概略は以下のとおりである。まず、各メッシュの曲率χをCADデータから算出し(ステップS1103)、それぞれ、予め保持する曲率閾値Tと比較する(ステップS1104)。曲率閾値Tより大きい場合、再分割し(ステップS1105)、ステップS1103に戻り、再分割後の分割単位の曲率をCADデータから算出し、処理を繰り返す。一方、曲率閾値以下の場合、その分割単位を撮影単位とし、撮影単位データベース61に中心座標、面積を登録し(ステップS1106)、撮影単位決定処理を終了する。
【0039】
再分割処理は、例えば、以下の手法で行う。図10は、再分割処理の一例の処理の流れを説明するための図である。撮影単位決定部51は、初期メッシュデータ31を生成後、各メッシュについて、重心(中心)座標および曲率をそれぞれ算出し、作業用メッシュデータベース(メッシュDB)に登録する(ステップS1201)。重心(中心)座標および曲率は、CADデータから算出する。
【0040】
メッシュデータDBに登録されている各メッシュの中で、x座標の値が最も小さいものの中の、y座標の値が最も小さいものの中の、z座標の値が最も小さいもの(座標値が最小のもの)を抽出し(ステップS1202)、当該メッシュの曲率χを曲率閾値Tと比較する(ステップS1203)。
【0041】
曲率χが曲率閾値Tより大きい場合、当該メッシュを予め定めた手法で4等分割し(ステップS1204)、4等分割後の各メッシュについて、重心(中心)座標および曲率を算出し、4等分割後の各メッシュの重心(中心)座標および曲率をメッシュデータDBに登録するとともに分割前のメッシュのデータをメッシュデータDBから削除する(ステップS1205)。そして、ステップS1202へ戻る。
【0042】
なお、4等分割は、長方形の短辺および長辺を、それぞれ、長辺および短辺に平行な直線で2等分割することにより行う。なお、分割は、このような4分割に限られない。例えば、長方形の長辺のみを、短辺に平行な直線で2等分割してもよい。ただし、分割後の形状のアスペクト比が異なる場合、データ処理が煩雑になるため、上述の手法による4等分割のようにアスペクト比が維持できる分割手法が好ましい。
【0043】
一方、ステップS1203の比較において、曲率χが曲率閾値T以下の場合、当該メッシュの面積を算出し、中心座標および面積を撮影単位DBに登録するとともに当該メッシュのデータをメッシュデータDBから削除する(ステップS1206)。そして、メッシュDBに登録される全てのメッシュデータの処理を終えたか否かを判別する(ステップS12079)。全てのメッシュデータの処理を終えていない場合、ステップS1202へ戻る。一方、全てのメッシュデータの処理を終えた場合、処理を終了する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、外観検査の対象であるワーク表面を、曲率に応じて略平面とみなせるサイズの領域に分割し、分割後の領域単位で撮影を行う。このため、検査対象のワーク表面が、曲率が一定でない自由曲面であっても、曲率の違いにより生じる反射光の変化の影響を受けにくく、安定した画像を得ることができる。従って、検査対象の平面の形状によらず、平面の外観検査同様の手法で、同様の判定精度を得ることができ、安定した判定を行うことができる。
【0045】
また、曲率に応じて分割サイズを決定しているため、全体を等分割して撮影単位の曲率を低減する処理に比べ、演算処理が少なくて済む。従って、処理量の増大を抑え、検査対象となる物体表面の傷等の欠陥検出を適正な分解能で行なうことができる。
【0046】
さらに、撮影単位のサイズに応じて、照明強度を変更している。従って、撮影単位毎に、ズームカメラ21の画像エリア(視野)内の単位面積当たりの光量が同程度の画像を得ることができ、全ての撮影単位毎に近似の条件で判別を行うことができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、撮影単位の面積毎に、配置位置、ズーム量および照明強度を算出しているが、これに限られない。例えば、予め、撮影単位の面積毎に配置位置、ズーム量および照明強度を特定したデータベースを保持し、配置位置、ズーム量および照明強度を、それに基づいて決定してもよい。
【0048】
また、撮影単位毎に照明強度は変更しなくてもよい。この場合、照明部22は、ズームカメラ21外に備えていてもよい。さらに、照明強度決定部54は、備えなくてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、生成された画像に画像処理を行い、自動で欠陥の有無を判別しているが、これに限られない。生成された画像を表示装置16に表示し、欠陥の有無はユーザが判別するよう構成してもよい。この場合、画像処理部56は備えなくてもよい。
【0050】
また、上記分割手法は一例であり、これに限られない。最終的に各分割単位の曲率が一定以下になるよう分割できれば、手法に制約はない。例えば、初期メッシュデータ31のメッシュ単位で分割を繰り返すよう構成してもよい。この場合、初期メッシュデータ31を生成後、各初期メッシュの曲率を計算し、曲率閾値より大きい初期メッシュについて、初期メッシュ単位で2分割、4分割、8分割、と分割を繰り返す。このとき、当該初期メッシュを構成する分割後の全メッシュの曲率が曲率閾値以下となるまで分割を繰り返す。
【0051】
さらに、上記実施形態では、ズームカメラ12の曲面からの距離を一定に保ち、ズーム量を変更することにより、異なる面積の撮影単位を同一の画像エリアに納めているが、この手法に限られない。ズームカメラ12の曲面からの距離を調整することにより、指定のズーム量を実現するよう構成してもよい。この場合は、ズームレンズ部23は備えなくてもよい。
【0052】
なお、本実施形態の外観検査技術は、例えば、自動車等のヘッドランプ、テールランプ等の表面、自動車のダッシュボードの表面、自動車のボディ表面の塗装、等の外観検査に用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
10:外観検査装置、11:ワーク表面、11:メッシュ、12:ズームカメラ、13:支持部、14:駆動部、15:制御装置、16:表示装置、17:入力装置、21:撮影部、22:照明部、23:ズームレンズ部、30:領域、31:初期メッシュデータ、50:撮影制御部、51:撮影単位決定部、52:配置位置決定部、53:ズーム量決定部、54:照明強度決定部、55:画像処理部、61:撮影単位DB
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の表面の状態を検査する外観検査を支援する外観検査支援装置であって、
対象物の表面を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した画像を表示する表示手段と、
前記撮影手段を移動させる駆動手段と、
前記撮影手段および前記駆動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記撮影手段が撮影を行う領域を、それぞれ撮影単位領域として決定する撮影単位決定手段と、
前記撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段の配置位置を決定する配置位置決定手段と、を備え、
前記撮影単位決定手段は、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とし、
前記制御手段は、前記撮影単位領域を撮影する毎に、前記配置位置決定手段が決定した配置位置に前記撮影手段を移動させるよう前記駆動手段を制御すること
を特徴とする外観検査支援装置。
【請求項2】
請求項1記載の外観検査支援装置であって、
前記撮影単位決定手段は、前記対象物のデータを所定の同一サイズに区切った領域毎に曲率を求め、前記所定の値よりも大きい領域のみを4等分割を繰り返すことにより、前記撮影単位領域を決定すること
を特徴とする外観検査支援装置。
【請求項3】
対象物の表面の状態を検査する外観検査装置であって、
対象物の表面を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段を移動させる駆動手段と、
前記撮影手段および前記駆動手段を制御する制御手段と、
前記撮影手段が撮影した画像に対し、画像処理を施して欠陥の有無を判別する欠陥判別手段と、
前記欠陥判別手段による判別結果を出力する出力手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記撮影手段が撮影を行う領域を、それぞれ撮影単位領域として決定する撮影単位決定手段と、
前記撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段の配置位置を決定する配置位置決定手段と、を備え、
前記撮影単位決定手段は、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とし、
前記制御手段は、前記撮影単位領域を撮影する毎に、前記配置位置決定手段が決定した配置位置に前記撮影手段を移動させるよう前記駆動手段を制御すること
を特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
撮影手段で対象物の表面を撮影した画像を用い、当該対象物の外観検査を支援する外観検査支援方法であって、
対象物の表面を、分割後の領域の曲率が所定の値以下となるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とする撮影単位領域決定ステップと、
撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段を移動させて撮影を行う撮影ステップと、
前記撮影ステップで撮影した画像を表示手段に表示させる表示ステップと、を備え、
前記撮影単位領域決定ステップでは、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とすること
を特徴とする外観検査支援方法。
【請求項1】
対象物の表面の状態を検査する外観検査を支援する外観検査支援装置であって、
対象物の表面を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した画像を表示する表示手段と、
前記撮影手段を移動させる駆動手段と、
前記撮影手段および前記駆動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記撮影手段が撮影を行う領域を、それぞれ撮影単位領域として決定する撮影単位決定手段と、
前記撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段の配置位置を決定する配置位置決定手段と、を備え、
前記撮影単位決定手段は、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とし、
前記制御手段は、前記撮影単位領域を撮影する毎に、前記配置位置決定手段が決定した配置位置に前記撮影手段を移動させるよう前記駆動手段を制御すること
を特徴とする外観検査支援装置。
【請求項2】
請求項1記載の外観検査支援装置であって、
前記撮影単位決定手段は、前記対象物のデータを所定の同一サイズに区切った領域毎に曲率を求め、前記所定の値よりも大きい領域のみを4等分割を繰り返すことにより、前記撮影単位領域を決定すること
を特徴とする外観検査支援装置。
【請求項3】
対象物の表面の状態を検査する外観検査装置であって、
対象物の表面を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段を移動させる駆動手段と、
前記撮影手段および前記駆動手段を制御する制御手段と、
前記撮影手段が撮影した画像に対し、画像処理を施して欠陥の有無を判別する欠陥判別手段と、
前記欠陥判別手段による判別結果を出力する出力手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記撮影手段が撮影を行う領域を、それぞれ撮影単位領域として決定する撮影単位決定手段と、
前記撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段の配置位置を決定する配置位置決定手段と、を備え、
前記撮影単位決定手段は、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とし、
前記制御手段は、前記撮影単位領域を撮影する毎に、前記配置位置決定手段が決定した配置位置に前記撮影手段を移動させるよう前記駆動手段を制御すること
を特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
撮影手段で対象物の表面を撮影した画像を用い、当該対象物の外観検査を支援する外観検査支援方法であって、
対象物の表面を、分割後の領域の曲率が所定の値以下となるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とする撮影単位領域決定ステップと、
撮影単位領域毎に、当該撮影単位領域の位置に応じて前記撮影手段を移動させて撮影を行う撮影ステップと、
前記撮影ステップで撮影した画像を表示手段に表示させる表示ステップと、を備え、
前記撮影単位領域決定ステップでは、前記対象物のデータを用い、当該対象物の表面を、分割後の領域の曲率が前記所定の値以下になるまで分割し、分割後の各領域を撮影単位領域とすること
を特徴とする外観検査支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−180059(P2011−180059A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46343(P2010−46343)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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