説明

外観検査方法及び外観検査システム

【課題】製造途中の外観検査とそれに続く致命性検査において、適正な基準で致命性の判定を行うことができるようにした外観検査方法及びそのシステムを提供することにある。
【解決手段】外観クラス分類器(404,406)を学習し、該学習された欠陥種である外観クラス別に、機能検査装置を用いて最終的な機能検査によって判定される機能の良否である機能クラスの対応を教示することにより機能クラス分類器(407,408)を学習して最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因を抽出し、該抽出された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて致命性判定条件を決定する学習過程を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDP、TFTなどの薄型ディスプレイ、半導体ウェハ、ハードディスク基板などの薄膜デバイスを対象とした、対象物の画像に基づいて欠陥を検出し、欠陥分類を行う欠陥分類方法および装置、およびこれを利用したデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、半導体ウェハ、ハードディスク磁気ヘッドなどの薄膜デバイスは多数の加工工程を経て製造される。このような薄膜デバイスの製造においては、歩留まり向上及び安定化を目的として、いくつかの一連の工程毎に外観検査が実施される。外観検査では対象のデバイス表面を、ランプ光、レーザ光または電子線などを用いて照射し、反射光、散乱光または二次電子などを検出して得られた画像を元に、パターン欠陥あるいは異物などの欠陥を検出する。このとき得られた欠陥部の画像、あるいは検出した欠陥位置をより高倍率で撮像して得られたレビュー画像から輝度、サイズなどの欠陥の特徴量を算出し、それらに基づいて欠陥を分類する。
【0003】
プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイなどの薄膜ディスプレイの欠陥分類では、欠陥種の分類と致命性の判定を行っている。欠陥種類の分類は、キズ、異物、パターン形成不良などを外観に応じて分類することであり、プロセスのモニタリングを目的として行われる。致命性判定は、その製品を次の工程に流すかどうかを判断する目的で行われる。
【0004】
特開2000−306964号公報(特許文献1)には、欠陥種の分類と致命性判定を行う検査データ処理方法が開示されている。なお、上記特許文献1に記載された致命性判定は、欠陥存在領域毎に定められた判別ルールに基づいて行われる。また該判別ルールは欠陥種毎に変化する場合も考慮されている。また、プローブ検査結果に基づいてルールを修正することが記載されている。
【0005】
(特許文献2)には、製造途中で得られた欠陥画像と最終的な電気テスト結果の突合せによって、致命欠陥と非致命欠陥とを分類し、教示型欠陥分類の教示データとする、欠陥解析方法が開示されている。この方法によれば、致命欠陥を正確に分類することが可能となる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−306964号公報
【特許文献2】特開2001−230289号公報
【非特許文献1】G.H.John and P.Langley:Estimating Continuous Distributions in Bayesian Classifiers, Proceedings of the 11th Conference on Uncertainty in Artificial Intelligence, pp338-345(1995)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
製造途中の検査における致命性判定は、不良となる製品を後の工程に流さないことを目的として行われる。致命性判定の基準が厳しすぎると不良とならない製品まで廃棄してしまうリスクがあり、ゆるすぎると不良となる製品に対して加工処理した分がムダになるリスクがあるため、適正な基準が必要である。
【0008】
上記特許文献1に開示された方法では、致命性判定は、欠陥存在領域や欠陥種毎に定められた判別ルールに基づいて行われる。しかしながら、該判別ルールは予め人手で設定する必要があるため、適切な基準を設定するのが難しいという課題を有していた。プローブ検査結果に基づいてルールを修正するという記載があるが、ルールの枠組みは予め決めておく必要があった。また、致命性に関しての知識がない場合はこの方法を適用できない。
【0009】
また上記特許文献2に開示された方法では、致命性判定は、最終的な電気テスト結果の突合せに基づいて分類された欠陥のデータの教示によって学習された分類器を用いて行われる。この方法によれば、致命欠陥を正確に分類することが可能となるが、分類器はブラックボックスであり、致命性を左右する外観的特徴についての知識を得ることが困難であるという課題を有していた。
【0010】
一方、プロセス状態の管理や設計へフィードバックするためには、致命性を左右する外観的特徴についての知識の抽出が要求される。
【0011】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、製造途中の外観検査とそれに続く致命性検査において、適正な基準で致命性の判定を行うことができるようにした外観検査方法及びそのシステムを提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、最終的な機能検査との突合せに基づいて、致命性を左右する欠陥の外観的特徴に関する知識を抽出することができるようにした外観検査方法及びそのシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、学習時において、学習対象物に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の学習ステップと、該第1の学習ステップで算出される各欠陥の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件として教示することにより外観クラス分類器を学習する第2の学習ステップと、該第2の学習ステップで学習された前記欠陥種の特徴量に基づいて分類される前記欠陥種である外観クラス別に、機能検査装置を用いて最終的な機能検査によって判定される機能の良否である機能クラスの対応を教示することにより機能クラス分類器を学習して最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因を抽出する第3の学習ステップと、該第3の学習ステップで抽出された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて致命性判定条件を決定する第4の学習ステップとを有する学習過程と、検査時において、製造途中の検査対象物に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の検査ステップと、該第1の検査ステップで算出される各欠陥の特徴量に基づいて前記第2の学習ステップで学習された分類条件での外観クラス分類器を用いて前記欠陥種である外観クラスの分類を行う第2の検査ステップと、該第2の検査ステップで分類が行われた外観クラス別に、前記第4の学習ステップで前記定量的な記述である致命性要因に基づいて決定された前記致命性判定条件に基づいて致命性を予測判定する第3の検査ステップとを有する検査過程とを有することを特徴とする外観検査方法である。
【0014】
また、本発明は、前記検査過程において、さらに、前記第3の検査ステップで得られる外観クラス別の致命性予測判定結果に基づいて前記製品を廃棄するか、修正して次の工程にながすか、そのまま次の工程に流すかを決める第4の検査ステップを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記学習過程において、さらに、前記第3の学習ステップで抽出された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて監視対象の欠陥種及び特徴を選出する第4の学習ステップを有し、前記検査過程において、さらに、前記第2の検査ステップで分類が行われた外観クラス毎に、前記第4の学習ステップで前記定量的な記述である致命性要因に基づいて選出された前記監視対象の欠陥種及び特徴の頻度分布を一定期間毎に算出して記録し、前記頻度分布の監視により致命性の高い側へのシフトを検出することにより致命不良発生の予兆を検知する第3の検査ステップを有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記学習過程において、さらに、前記第3の学習ステップで抽出された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて監視対象の欠陥種及び特徴を選出して該特徴毎にしきい値を設定する第4の学習ステップを有し、前記検査過程において、さらに、前記第2の検査ステップで分類が行われた外観クラス毎に、前記第4の学習ステップで前記定量的な記述である致命性要因に基づいて選出された前記監視対象の欠陥種及び特徴の前記しきい値以上又はしきい値未満の致命性の高い側の欠陥の個数を一定期間毎に記録し、前記欠陥の個数の変化に基づいて原因を推定し対策する第3の検査ステップを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記学習過程において、さらに、前記学習製品の品種毎及び前記第2の学習ステップで学習された前記欠陥種の特徴量に基づいて分類される前記欠陥種である外観クラス毎に、機能検査装置を用いて最終的な機能検査によって判定される機能の良否である機能クラスの対応を教示することにより機能クラス分類器を学習して最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因を抽出する第3の学習ステップを有し、前記検査過程において、さらに、前記第2の検査ステップで分類が行われた外観クラス毎に、前記第3の学習ステップで学習されて前記機能クラス分類器から出力された前記定量的な記述である致命性要因の前記製品の品種間の比較に基づいて得られる当該致命性要因に対する各品種の耐性の情報を設計へフィードバックする第3の検査ステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特徴量と最終的な機能検査の良否を関連付けて入力し、これらの情報をもとに致命性を左右する外観的特徴に関する定量的な記述を出力するため、着目すべき外観的特徴についての信頼性の高い知識を得られる。また、致命性要因に基づき致命性判定条件を設定するため、製造途中において適正な致命性判定基準を設定することができる。
【0019】
また、本発明によれば、製造途中の製品の外観検査を行って欠陥を検出し、検出した欠陥の画像に基づいて欠陥の致命性を適正に、且つ高い確率で予測判定し、致命性が高いと予測される欠陥は修正するか、そのデバイスを廃棄する。その結果、良品を廃棄してしまうリスク、不良品に加工処理してしまうリスクを削減でき、コスト低減の効果が得られる。
【0020】
また、本発明によれば、製造途中の製品の欠陥の画像に基づいて致命性要因を抽出しておき、この情報を利用してプロセス管理を行う。すなわち致命性に与える影響の大きい欠陥種および特徴を選出し、ヒストグラムを監視することにより、異常の予兆の検知や、変動のあった欠陥種および特徴に基づく対策が行えるようになる。
【0021】
また、本発明によれば、製造途中の製品の欠陥の画像に基づいて品種毎に致命性要因を抽出しておき、この情報を利用して設計へのフィードバックを行う。すなわち、品種間で致命性要因の比較を行うことにより、各種欠陥に対する耐性(不良になり難い)がわかるため、耐性の高い品種の設計情報を参考にして、耐性の低い品種の設計の修正を行うことにより、欠陥に強いデバイスの製造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る欠陥分類方法及び欠陥分類装置並びにデバイスの製造方法の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0024】
本第1の実施の形態の対象となるPDP(Plasma Display Panel)の単純な構成について図1を用いて説明する。背面ガラス101上にストライプ状のリブ障壁102を形成し、その内部にRGB3色の発光をそれぞれ生じる蛍光体層103を充填する。リブの上部には前面板ガラス105を配置し、背面板との間隙にガスを封入する。前面板の透明電極106とこれに直交する背面板内のアドレス電極104の間でプラズマ放電107を起こして紫外線を発生させる。この紫外線により各画素内の蛍光体を励起発光させて、発光画素108として、映像を作り出す構成となっている。
【0025】
次に、本第1の実施の形態のPDPの製造工程について図2(a)(b)(c)を用いて説明する。まず、図2(a)に示す前面板工程においては、ガラス基板を洗浄した(S100)後、透明ITO(Indium Tin Oxide)電極106をスパッタにより形成する(S101)。次にバス電極をホトリソグラフィ(ホトマスク成形⇒エッチング加工)などにより形成する(S102)。そして、誘電体膜を塗布・焼成した(S103〜S105)後、保護膜であるMgO膜を蒸着して成膜する(S106)。
【0026】
図2(b)に示す背面板工程も同様にして、ガラス基板洗浄から始まり(S200)、ホトリソグラフィなどによるアドレス電極104を形成後(S201〜S206)、誘電体膜を形成する(S207)。その後は前面板工程と異なり、リブ材を印刷し乾燥させリブ層を形成した後(S208)、サンドブラスト用のマスクを形成する(S209)。サンドブラスト加工(S210)により、リブを形成した後に焼成してリブ障壁102が完成する(S211)。リブ障壁内に蛍光体ペースト103を印刷などにより充填し、焼成して蛍光体をリブ障壁内に固着させる(S212)。
【0027】
前面板と背面板の製造工程では、図2には図示はしていないが製造途中において外観検査装置41及び検査装置(外観クラス分類器及び機能クラス分類器を含む)42を用いて外観検査を行う。製造工程管理装置(図示せず)は、製造途中において外観検査装置41及び検査装置42から得られる外観検査結果を利用して、致命性要因に基づいて致命性が高いと予測される欠陥を修正したり、修正不可能な場合はパネルの廃棄を行ったりして、不良品を作りこまないように製造工程を管理している。また、製造工程管理装置(図示せず)又は検査装置42は、欠陥発生の状況をモニタして製造装置やプロセスの状態監視を行う。外観検査装置41は、電極パターン形成後(ITO、バス、アドレス)、誘電体膜形成後、リブ形成・焼結後、蛍光体塗布後、MgO膜蒸着後に外観検査を行い、異物、キズ、ボイド、パターン形成不良などの欠陥の位置座標及びその欠陥画像等を検出する。その後、検査装置42において、外観検査において検出された欠陥の位置座標及びその欠陥画像等に基づいて欠陥のレビューを行うことによって各欠陥の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件として教示することにより外観クラス分類器404、406を学習し、該学習された分類条件4061での外観クラス分類器を用いて前記欠陥種である外観クラスの分類を行い、該分類が行われた外観クラス別に、機能クラス分類器407、408で前記定量的な記述である致命性要因4071に基づいて決定された前記致命性判定条件4081に基づいて欠陥種の致命性を適正に、且つ高い確率で予測判定し、該予測判定された欠陥種の致命性に基づいて問題なしか、修正か、廃棄かの確認を行い、その結果を製造工程管理装置(図示せず)にフィードバックする。
【0028】
以上説明したように、前面板および背面板が完成すると、図2(c)に示す組立工程において、両者を組立・封着した(S300)後、真空引き・放電ガス導入を行い、封止する(S301)。そして駆動回路をパネルに取り付け(S302)、TVセットとして組み立て(S303)、完成となる。
【0029】
完成後あるいは駆動回路のパネル取り付け後に、機能検査装置43において機能検査である点灯検査を行う。点灯検査では、テストパターンを表示し、点灯しない黒点、常時点灯してしまう輝点、表示ムラなどの機能不良(点灯不良)を検出する。
【0030】
ここで、本発明の特徴とする不良品を作りこまないように製造途中で行う外観検査方法について図3を用いて簡単に説明する。図3は、例えば蛍光体塗布後の外観検査装置の一実施例を示す概略構成図である。
【0031】
例えば蛍光体塗布後の外観検査装置41は、蛍光体形成が完成した背面板301に対して紫外光303を照射する紫外光照射光学系302と、該照射された紫外光により蛍光体が励起されて発光する発光光304を検出する検出カメラを有する検出光学系305と、該検出カメラで検出された検出信号を取得して画像処理により欠陥状態を検出する(欠陥座標データや欠陥を含む画像を取得する)信号処理系306とを備えて構成される。外観検査装置41は、例えば背面板301或いは紫外光照射光学系302と検出カメラを有する検出光学系305を連続的に走査することで背面板全面について外観検査を実行する。なお、検出カメラは基板301に対して垂直方向での検出する方式、45°以下の低角度から検出する方式も考えられる。
【0032】
次に、本発明に係る外観検査システムの第1の実施の形態について図4から図12を用いて説明する。
【0033】
図4及び図12は、本発明に係る外観検査方法を実現するシステム構成の第1の実施の形態を示す図である。外観検査装置41は、前面板及び背面板の各々について、電極パターン形成後(ITO、バス、アドレス)、誘電体膜形成後、リブ形成・焼結後、蛍光体塗布後、MgO膜蒸着後に外観検査を行い、異物、キズ、ボイド、パターン形成不良などの欠陥を検出し、該検出された欠陥の座標データ411を検査装置42に送信する。検査装置(致命性判定装置:外観クラス分類器及び機能クラス分類器を含む)42は、プログラムに従って演算されるコンピュータによって構成され、機能的にはレビュー装置401、欠陥領域抽出部402、特徴算出部403、欠陥分類部404、致命性判定部405、分類条件設定部406、致命性要因抽出部407及び致命性判定条件設定部408を備えて構成される。従って、レビュー装置401は外観検査装置41で用いるステージ、照射光学系及び検出光学系を併用しても良い。
【0034】
学習時(条件設定時)には、検査装置42等は、学習対象物に生じた複数の欠陥について撮像して画像信号を検出する外観検査装置41又はレビュー装置401と、該検出される画像信号411に基づいて各欠陥の特徴量を算出する欠陥領域抽出部402及び特徴算出部403と、該各欠陥の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件4061として教示することにより外観クラス分類器(欠陥分類部)404を学習する分類条件設定部406と、該学習された前記欠陥種の特徴量に基づいて分類される前記欠陥種である外観クラス別に、機能検査装置43を用いて最終的な機能検査によって判定される機能の良否である機能クラスの対応431を教示することにより機能クラス分類器を学習して最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因4071を抽出する致命性要因抽出部407と、該抽出された前記定量的な記述である致命性要因4071に基づいて致命性判定条件(致命性判定基準)4081を決定する致命性判定条件設定部408とを有して構成される。即ち、レビュー装置401等で画像取得を行い、欠陥領域抽出部402で前記取得画像における欠陥領域の抽出を行い、特徴算出部403で前記抽出された欠陥領域での特徴算出を行う。そしてレビュー装置401のGUI等を用いて目視による欠陥分類を行い、前記抽出された各欠陥領域での画像に対して欠陥種の情報を付加する。欠陥分類条件設定部406は、レビュー装置401で付加された欠陥種の情報と特徴算出部403で算出される欠陥種(外観クラス)に対応する特徴量データを学習データとして、教示型分類器の学習を行うことにより、欠陥分類部(外観クラス分類器)404で行う欠陥種の分類条件4061の設定を行う。
【0035】
製造途中の検査時には、検査装置42等は、製造途中の検査対象物又は製品に生じた複数の欠陥について撮像して画像信号を検出する外観検査装置41又はレビュー装置401と、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する欠陥領域抽出部402及び特徴算出部403と、該算出される各欠陥の特徴量に基づいて前記学習された分類条件4061で前記欠陥種である外観クラスの分類を行う欠陥分類部(外観クラス分類器)404と、該分類が行われた外観クラス別に、前記定量的な記述である致命性要因4071に基づいて決定された前記致命性判定条件(致命性判定基準)4081に基づいて致命性を予測判定する致命性判定部405とを有して構成される。即ち、製造途中の検査時には、レビュー装置401は、外観検査装置41から異物、キズ、ボイド、パターン形成不良などの様々な欠陥の座標データ411を受け取り、その座標の位置にステージ(図示せず)を動かして様々な欠陥を含む様々な画像を取得する。欠陥領域抽出部402はレビュー装置401で取得した様々な画像から様々な欠陥が存在する欠陥領域を抽出し、特徴算出部403は欠陥領域抽出部402で抽出された様々な欠陥領域の画像から様々な欠陥領域の特徴量(詳しくは後述する)を算出する。欠陥分類部404は、特徴算出部403で算出されて入力された欠陥領域の特徴量を基に、分類条件設定部406で予め設定された分類条件4061に基づいて欠陥種の分類を行う。致命性判定部405は、欠陥分類部(外観クラス分類器)404で分類された欠陥種毎に、致命性判定条件設定部408で予め設定された致命性判定条件4081に従って特徴量に基づいて製造途中において致命性予測判定を行い、該欠陥種毎の致命性予測判定結果について製造工程にす速くフィードバックして不良品の作りこみ(製造)を防止する。
【0036】
本発明の特徴とする致命性要因抽出部407は、レビュー装置401等で付加された欠陥種と機能検査装置43から得られる最終的な機能検査の良否の情報431とそれに対応する分類条件設定部406から得られる特徴量データを入力し、それぞれの欠陥種について、特徴毎の演算によって、致命性を左右する外観的特徴に関する定量的な記述(例えば図10及び図11に示す特徴値に対する良品及び不良品の確率密度分布又は図12に示す致命率)を致命性要因4071として出力する。なお、該致命性要因4071の抽出は欠陥種毎に行う。致命性判定条件設定部408では、それらに基づき欠陥種毎に致命性判定部405で良否予測判定するための致命性判定条件(致命性判定基準)4081を設定する。機能検査装置43では、完成したPDPパネルの点灯検査を行う。致命性要因抽出部407においては、機能検査により得られる例えば点灯不良画素の位置座標431を、外観検査装置41で得られた欠陥の位置座標411と突合せることによって、最終的な機能検査の良否の情報431と分類条件設定部406から得られる特徴量データとが対応付けされることになる。
【0037】
なお、外観検査装置41には、欠陥検出と同時に欠陥部の画像を切り出して保存するものもある。外観検査装置41で取得した画像を利用する場合、レビュー装置401は、画像取得を行わず、外観検査装置41で取得した画像を入力して表示する。また、外観検査装置41には、欠陥検出と同時に欠陥部の画像を切り出し、特徴算出も行ってそれらを保存するものもある。外観検査装置41で取得した特徴量を利用する場合、検査装置42は、欠陥領域抽出部402での欠陥領域抽出と特徴算出部403での特徴算出を行わず、特徴量データは、直接外観検査装置41から入力される。
【0038】
次に、本発明に係る検査装置(致命性判定装置)42の各部の動作について説明する。即ち、レビュー装置401は、学習対象物(学習製品)及び被検査対象物(製品)を撮像、あるいは外観検査装置41から入力して、欠陥部の画像を取得する。
【0039】
次に、レビュー装置401等から画像を入力し、該入力された画像を対象として欠陥領域の抽出処理を行う欠陥領域抽出部402について説明する。なお、欠陥領域抽出部402は、入力された画像がカラー画像の場合には濃淡画像に変換する。
【0040】
即ち、欠陥領域抽出部402における欠陥領域の抽出処理の実施例について図5に示すフロー図を用いて説明する。欠陥領域抽出部402は、最初に、入力された処理対象画像(検出画像)に対してシェーディング補正を行い(S401)、次に参照画像を作成する(S402)。なお、良品画像を予め保存しておき、それを参照画像として用いるとよい。良品画像の保存ができない場合は、元の画像から参照画像を作成する。PDPはディスプレイの表示画素毎に同じパターンの繰り返しなので、設計情報と撮像倍率を元に画像上のピッチを算出し、元の画像を1ピッチ分ずらした画像を参照画像とする。撮像倍率が一定でない場合は、パターンの規則性を利用してピッチを算出する。次に、元の画像と参照画像の位置合せを行い、差を算出して差画像を作成する(S403)。一方、元の画像から、パターン領域画像作成する(S404)。明るさの情報を用いてもっともパターンらしい領域を決め、ピッチの情報を用いて順次パターン領域を決めていく。次に、元の画像や差画像の分散を利用してしきい値を作成(S405)する。これは、明るさが一様な部分はしきい値を低くし、明るさのばらつきが大きい部分や、パターンエッジの近くはしきい値を高くする作用をする。次に、差画像を2値化し、膨張収縮処理により細かいノイズを除去する(S406)。次に、ラベリングを行い(S407)、欠陥らしいラベルを選択することにより欠陥領域を抽出する(S408)。欠陥領域が複数に分かれてしまうことに対応するため、一定の距離にあるものをマージするなどの処理を入れてもよい。欠陥らしさは、大きさや明るさを考慮して決定する。また、参照画像を元の画像から作成した場合、参照画像上の欠陥のある領域にもラベリングによりラベルが抽出される。これを選択しないよう、参照画像を作成したときと逆に1ピッチ分ずらした場所にラベルがある場合は、参照画像上の欠陥であると判断して選択しない。以上の処理により、欠陥領域抽出部402は、検出画像の中の様々な欠陥領域を抽出する。
【0041】
また、上記欠陥領域抽出部402における欠陥領域の抽出処理方法の別の実施例としては、顕著性に基づく欠陥検出が考えられる。この方法は、多次元の画素特徴量を算出し、もっとも特徴空間上の距離の近い画素との距離を顕著性の定義とし、顕著性が所定のしきい値を超える場合欠陥の画素とする。画素特徴量にはガウシアン、微分などの各種フィルタ応答や回転・スケール変化・照明変化に不変なSIFT(Scale Invariant Feature Transform)特徴、局所領域の輝度勾配をヒストグラム化したHOG(Histograms of Oriented Gradient)特徴などがあり、1画素につき1個の値が算出される。
【0042】
次に、上記抽出された様々な欠陥領域の情報を用いて様々な欠陥の特徴量を算出する特徴算出部403について説明する。該様々な欠陥の特徴量を算出する実施例について図6乃至図9を用いて説明する。
【0043】
図6は、欠陥の大きさと形状に関する特徴を説明する図である。正方形が画素に対応し、ハッチングした画素は抽出された欠陥領域を表す。サイズに関する特徴には、欠陥領域の画素数つまり面積、図に示すX方向およびY方向のサイズ、長さ、幅、周囲長などがある。長さとしては、輪郭点の間の距離で最も長い部分を測る。幅は、輪郭点を通り長さを測った線分と平行な2直線(点線で示す)で距離最大となる部分を測る。周囲長は、隣接する輪郭点を結んだ線分の長さの合計を測る。
【0044】
図7は、欠陥領域に対応するもとの濃淡画像を表す。濃淡画像から、欠陥の明るさに関する特徴を算出する。図に示す最大輝度および最小輝度のほか欠陥領域に対応する画素の平均輝度を算出する。また、欠陥領域内の参照画像との差の最大値、輝度ばらつき、最大輝度傾斜を算出する。また、図示はしていないが、背景の明るさに関する特徴として、欠陥領域に対応する参照画像の最大輝度、最小輝度、平均輝度、輝度ばらつきを算出する。
【0045】
図8は、欠陥および背景のテクスチャに関する特徴を算出するために用いるフィルタを示す。これらのフィルタを用いて方向別エッジ強度およびエッジ方向頻度最大値を算出する。方向別エッジ強度は、図8に示すいずれかのフィルタを用いての各画素の応答を演算し、欠陥領域に対応する画素について合計することにより算出する。なお、フィルタの応答とは、着目画素にフィルタの中心を重ね、フィルタの数値と重なった位置の画素の値の積の和によって算出される数値である。元の画像と参照画像について4方向のフィルタを用いて算出するので8個の特徴が算出される。エッジ方向頻度最大値は、欠陥領域に対応する各画素について4方向のフィルタのうち応答最大の方向をエッジ方向とし、エッジ方向のヒストグラムを算出し、頻度の最大値を算出する。
【0046】
図9は、欠陥とパターンの位置関係を表す特徴を説明する図である。図9の901はパターン、902a〜902gは欠陥を表す。図9に示すように、パターンのエッジから内側距離と外側距離を定義する。図9に示すようにパターンの右側のエッジを基準に考えるとき、エッジから欠陥の左端までの距離を内側距離、欠陥の右端までの距離を外側距離とし、内側距離は左向きを正、外側距離は右向きを正とする。各欠陥の右側に内側距離と外側距離を、図中の記号a〜kおよびパターン幅wを用いて示した。欠陥とパターンの位置関係は欠陥902a〜902gのいずれか、あるいはこれらを左右反転させたもの、あるいは90度回転させたものになる。内側距離と外側距離の定義も同様に、左右反転あるいは90度回転させて考えればよい。
【0047】
また、特徴算出部403は、入力画像がカラー画像の場合には、入力画像を色成分に分解し、抽出された欠陥領域に対応する画素のカラーヒストグラムを算出して欠陥の色を表す特徴とする。
【0048】
また、特徴算出部403における処理方法の別の実施例としては、バグオブフューチャと呼ばれる方法が考えられる。この方法は、上記と同様、多数の画素特徴量を算出し、学習データから大量の画素を集めてクラスタリングによりクラスタを定義し、各欠陥画像の画素がどのクラスタかを調べてクラスタ毎のヒストグラムを算出して特徴とする。
【0049】
次に、キズ、異物、パターン欠け、突起など外観で分類可能な欠陥種の分類を行う欠陥分類部404について説明する。各欠陥の発生過程は異なるので、欠陥種毎に発生個数を管理することにより、もっとも問題となる欠陥発生原因と対策を決定することができる。欠陥分類部(外観クラス分類器)404は、教示型の分類器を用いるが、予め分類条件設定部406で学習して得られた特徴算出部403で算出される様々な欠陥領域毎の特徴量に対応する分類基準(分類条件)4061に従って欠陥種の分類を行う。
【0050】
次に、欠陥種の情報とそれに対応する特徴量データを教示データとして、教示型の分類器の学習を行う分類条件設定部406について説明する。欠陥種の情報は、レビュー装置401で、欠陥画像を目視で確認することにより付加される。その欠陥画像から算出された特徴量データとの関連付けは、欠陥IDを各種情報につけておくことにより可能である。教示データ数としては、1クラスあたり10個以上であることがのぞましい。
【0051】
教示型の分類器には、k近傍法、最小距離法、部分空間法、局所部分空間法、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシンなどさまざまな方法があるのでどれを用いても良い。また、それらを組み合わせてもよいし、バギング、ブースティングなどのアンサンブル学習を行ってもよい。
【0052】
次に、本発明の特徴とする致命性要因抽出部407及び致命性判定条件設定部408について説明する。致命性要因抽出部407は、過去データを基に、レビュー装置401等で付加された欠陥種と機能検査装置43から得られる最終的な機能検査の良否の情報431とそれに対応する分類条件設定部406から得られる特徴量データを入力として、欠陥種別に致命性要因(最終的な機能の良否を左右する製造途中の外観的特徴に関する定量的な記述:例えば図10及び図11に示す特徴値に対する良品及び不良品の確率密度分布又は図12に示す特徴値に対する致命率)4071の抽出を行う。具体的には、学習データを欠陥種別に分け、それぞれの欠陥種について、致命性要因4071である外観特徴毎に良品の確率密度分布と不良品の確率密度分布を算出し、GUI(Graphic User Interface)部(図示せず)に例えばグラフとして表示する。特徴値は、最大と最小で正規化したものを用いる。簡単に計算するには、適当に等分された区間を決めて、良品と不良品のヒストグラムを算出し、それぞれ良品の個数、不良品の個数で割っておけばよい。図10に、グラフ表示の実施例を示す。横軸は特徴値、縦軸は確率密度を表す。X〜X10は区間を表す。棒グラフの黒が良品の確率密度分布を表し、網掛けが不良品の確率密度分布を表している。
【0053】
また、良品の確率密度分布及び不良品の確率密度分布は、G.H.John and P.Langley:Estimating Continuous Distributions in Bayesian Classifiers, Proceedings of the 11th Conference on Uncertainty in Artificial Intelligence, pp338-345(1995)(非特許文献1)にならい、次の(1)式を用いて計算してもよい。
【0054】
【数1】

つまり、特徴値の確率密度分布とは、あるデータがクラスk(良品または不良品)に属する場合に特徴値がxとなる条件付確率であるととらえる。ここで、ωはクラスk(良品または不良品)に属するデータの集合であり、nはクラスk(良品または不良品)のデータの個数である。xはクラスk(良品または不良品)に属するj番目の学習データを表す。図11には、GUI部(図示せず)に表示したグラフ表示の実施例を示す。横軸は特徴値、縦軸は確率密度分布を表す。良品を黒のラインで表し、不良品を網掛けのラインで表す。確率密度分布は、上記(1)式より、学習データ1個1個を中心とするガウス分布の和として計算されるため、ヒストグラムを利用するよりも、計算時間は多いが滑らかな分布が算出されるという特徴がある。
【0055】
特徴同士の比較を行うため、確率密度分布をもとにエラー率を計算する。エラー率は、図11にハッチングで示す良品と不良品の分布の重なった部分の面積の全面積に対する割合とする。つまり、未知データの特徴値を与えられたとき確率密度の大きい方のクラスに分類するという基準の下で、分類を誤る確率を表す。エラー率が低いほど致命性を左右する外観的特徴と言える。
【0056】
致命性判定条件設定部408は、致命性要因抽出部407で算出した致命性要因(最終的な機能の良否を左右する製造途中の外観的特徴に関する定量的な記述:例えば(1)式に基づいて得られる確率密度分布)4071に基づいて、致命性判定条件(致命性判定基準)4081を決定する。上記の情報に基づく致命性判定条件4081の決定方法としては、上記非特許文献1に記載されたフレキシブルナイブベイズ法が考えられる。フレキシブルナイブベイズ法では、致命性が未知の欠陥の特徴x(ベクトル)が与えられたとき、確率P(ω|x)が最大となるクラスk(良品または不良品)をその欠陥が属するクラスと判定するが、次の(2)式で表されるベイズの定理より、学習データから推定されるP(x|ω)が最大となるクラスk(良品または不良品)をその欠陥が属するクラスと判定する。
【0057】
【数2】

なお、特徴ベクトルxのクラスk(良品または不良品)の確率密度分布P(x|ω)は、特徴毎のクラスkの確率密度の積として、次の(3)式により求められる。
【0058】
【数3】

ここで、xは致命性が未知の欠陥の特徴xのi番目の要素を表す。また、xijはクラスkに属するj番目の学習データのi番目の要素を表す。なお、全ての特徴を用いてもよいが、エラー率の低い特徴(図11にハッチングで示す良品と不良品の分布の重なった部分の面積の全面積に対する割合が小さい特徴)を上位何個か選んでおけば、致命性に無関係の特徴を用いないことにより、判定精度が向上する可能性がある。
【0059】
致命性要因抽出部407における、致命性を左右する外観特徴の定量的記述、すなわち致命性要因の算出方法の別の実施例について説明する。この方法では、外観特徴毎にしきい値対致命率を算出して例えばグラフに表示する。最初に良品、不良品の全個数を求めておく。それぞれNok、Nngとする。特徴値を最大と最小で正規化しておく。正規化した特徴値の大きい順にデータをソートする。順次1個ずつチェックしてそれまでの良品数、不良品数をカウントし、Nok+、Nng+とする。プラス記号はしきい値以上という意味でつけた。Nng+/(Nok++Nng+)を算出することによりしきい値以上の致命率とする。Nok−Nok+をNok-、Nng−Nng+をNng-とする。マイナス記号はしきい値未満という意味でつけた。Nng-/(Nok-+Nng-)を算出することによりしきい値未満の致命率とする。図12に示すようにそのときの特徴値を横軸にそれぞれ算出した致命率を縦軸にプロットする。そして、図12に1201で示すように、致命率の立ち上がりまたは立ち下がりが急激なほど致命性を左右する外観的特徴と言える。
【0060】
致命性判定条件設定部408における、上記致命性要因4071に基づく致命性判定条件(致命性判定基準)4081の決定方法としては、各特徴に対するしきい値処理が考えられる。各特徴の大きいほうからあるいは小さいほうから調べて致命率が100%になる範囲を求め、この特徴についてのしきい値と、しきい値以上としきい値未満とのどちらを致命と判定すべきかを決定する。致命率が100%になるところが存在しない場合は、その特徴は致命性判定に用いない。残りの特徴を全て用いて1個でも致命と判定される特徴があればその欠陥を致命と判定する。また、全ての特徴について致命率が100%になる範囲がない場合、致命率が100%未満の適切な数値、例えば90%以上になる範囲を求め、上記と同様、この特徴についての致命性判定条件(致命性判定基準)4081を決める。この場合、1個の特徴を用いて判定すると非致命欠陥を致命と判定する誤りが発生する。つまり、致命と判定したうちの10%が誤りである。誤りの割合を減らすためには、例えば2個以上の特徴を用いて致命と判定されたとき、致命と判定することにすればよい。
【0061】
以上、致命性判定条件設定部408は、教示データのみに基づいて致命性判定条件4081を設定する方法を述べたが、人の知識も利用して、判定のしきい値を調整したり、判定に用いる特徴を追加したり、削除したりできるようにしておくとよい。
【0062】
以上説明したように、致命性判定条件設定部408により致命性要因4071に基づいて致命性判定条件(致命性判定基準)4081が設定されるので、致命性判定部405は、製造工程中において外観検査装置41で外観検査が行われて欠陥分類部(外観クラス分類器)404から得られる欠陥種毎の特徴量を基に上記致命性判定条件4081に従って欠陥種毎の致命性を適正に予測判定(良否判定)が行われ、該予測判定された欠陥種毎の致命性に基づいて問題なしか、修正か、廃棄かの確認を行い、その結果を製造工程管理装置(図示せず)にフィードバックすることにより製造途中の検査において最終的に機能不良となる欠陥を取り除くことが可能となる。
【0063】
また、製造工程中において適正な基準で欠陥の致命性を判定可能な外観検査方法および外観検査装置を実現することができる。これにより、良品を誤って廃棄してしまう無駄や、不良品を後の工程に流してしまう無駄を抑制することが可能なデバイス製造ラインを実現でき、コスト削減の効果が得られる。
【0064】
また、欠陥種に応じて致命性要因に関する知識を得られる外観検査方法および外観検査装置を実現することができる。致命性要因抽出部407で抽出した致命性要因4071を利用した、デバイス製造ラインの実施例について説明する。
【0065】
まず、致命性要因抽出部407で抽出した致命性要因4071をデバイス製造ラインにおいて定量的なプロセス管理に利用する実施例について説明する。学習過程では、致命性判定条件設定部408は、致命性要因抽出部407で抽出した致命性要因の情報4071を基に致命性判定条件4081として致命性に与える影響の大きい外観的特徴を選出する。致命性判定条件設定部408は、致命性判定条件4081として、さらに、前記選出された個々の特徴について、特徴を単独に用いて致命性を判定する場合に誤判定の少ないしきい値を算出しておく。また、致命性判定条件設定部408は、致命性判定条件4081として、さらに、しきい値を致命性の低い側に所定の割合だけずらした第2のしきい値を算出しておく。
【0066】
プロセス管理実行の検査過程では、製造途中の同じ工程で、外観検査装置41および検査装置42により、欠陥位置の検出し、欠陥領域抽出部402において欠陥画像を取得し、特徴算出部403において欠陥の特徴を算出する。そして致命性判定部405等は、致命性判定条件4081として選出した特徴について、一定期間毎、例えば一日に一度ヒストグラムを算出して記録する。致命性判定部405等は、この情報の推移を監視し、致命性の高い側への頻度分布のシフトを検出することにより、致命不良発生の予兆を検知する。また、致命性判定部405等は、上記の第2のしきい値以上あるいはしきい値未満の致命性が高い方の欠陥をカウントして記録する。その数は致命欠陥の予備軍の数と言ってよい。これを監視し、特定の特徴および欠陥種で増加した場合に、その情報を手がかりに原因を検討し対策する。なお、その情報を手がかりに原因を検討し対策するのは、検査装置42ではなく、製造ライン管理装置(図示せず)で実行しても良い。
【0067】
次に、致命性要因抽出部407で抽出した致命性要因4071を設計へフィードバックに利用する実施例について説明する。欠陥の特徴の致命性に与える影響は、欠陥種によっても異なるが、製品のパターンの大きさや形状によっても異なる。したがって、本発明に係る検査装置42における処理は、製品の品種毎に行われることが望ましく、ここでは品種毎に処理されることを前提とする。そこで、検査時において、致命性判定部405等は、欠陥分類部(外観クラス分類器)404で分類が行われた欠陥種(外観クラス)毎に、学習されて致命性要因抽出部(機能クラス分類器)407から出力された前記定量的な記述である致命性要因4071の前記製品の品種間の比較を行い、該比較に基づいて得られる当該致命性要因に対する各品種の耐性(不良になり難い)の情報を設計へフィードバックする。即ち、致命性判定部405等は、ある欠陥種、外観的特徴を取り出し、上記と同様の方法で算出したしきい値を比較することにより、その欠陥種および特徴に対する各品種の耐性を比較することができる。耐性の高い品種の設計情報を参考にして、耐性の低い品種の設計の修正を行うことにより、欠陥に強いデバイスの製造が可能となる。
【0068】
以上、PDPの製造を実施例にして説明を行ってきたが、ここで説明された発明の骨子は、液晶パネルや有機ELなど他のフラットパネルディスプレイにも適用可能である。
【0069】
[第2の実施の形態]
本発明に係る第2の実施の形態は、半導体の製造を対象とする。
【0070】
本第2の実施の形態の半導体製造工程について、図13を用いて説明する。半導体製造工程は、大別して、図13(a)に示すトランジスタ形成の工程と図13(b)に示す配線形成の工程とからなる。トランジスタ形成工程は、アイソレーション(S501)に始まり、イオン打ち込みによるウェル形成(S502)、ゲート絶縁膜およびゲート電極形成(S503)、ソースおよびドレイン形成(S504)の順に処理される。配線形成工程は、ホトリソグラフィにより配線パターン形成し(S601)、その上に絶縁膜を形成し(S602)、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化する(S603)。ホトリソグラフィによりコンタクトホールと呼ばれる層間接続用の穴を形成し(S604)、金属を埋め込み(S605)、CMPにより平坦化する(S606)。この工程を繰り返して多層配線を形成する。これらの工程の途中では、様々な欠陥が発生する。主な欠陥は、異物、スクラッチ、ショートやオープンのパターン欠陥、層間接続不良などである。半導体製造工程においては、歩留りの維持、向上のため、これらの欠陥をインラインウェハ検査により早期に発見し、対策を実施している。
【0071】
インラインウェハ検査は、外観検査による欠陥判定とレビュー装置による欠陥分類からなる。製造途中のウェハを抜き取り、光学式あるいは電子線式の検査装置を用いてウェハの外観検査を行い、欠陥の位置を検出する。検出された欠陥を高解像度の走査電子顕微鏡でレビューし、欠陥分類を行って発生している欠陥の種類を把握する。
【0072】
本発明に係る外観検査システムの第2の実施の形態について図14を用いて説明する。図14は半導体ウェハを対象とした光学式外観検査システム構成の第2の実施の形態を示したものである。61は被検査物である半導体ウェハ、62は半導体ウェハ61を搭載し、移動させるステージ、63は検出部で、半導体ウェハ61を照射するための光源601、光源601から出射した光を集光する照明光学系602、照明光学系602で集光された照明光で半導体ウェハ61を照明し、反射して得られる光学像を結像させる対物レンズ603、結像された光学像を明るさに応じて画像信号に変換するイメージセンサ604により構成される。ここで、光源601は、例えばランプ光源やレーザ光源であり、イメージセンサ604は、例えばCCDリニアセンサやTDIセンサ、あるいはフォトマルなどである。64は画像処理部で、検出部63で検出された画像により試料であるウェハ上の欠陥候補を検出する。
【0073】
画像処理部64は、検出部63のイメージセンサ604からの入力信号をデジタル信号に変換するAD変換部605、AD変換されたデジタル信号に対してシェーディング補正、暗レベル補正等の画像補正を行う前処理部606、隣接するダイの対応する位置から検出された参照画像と検出画像の比較を行い、差の値が別途設定されたしきい値より大きい部分を欠陥として出力する欠陥判定部607から構成される。
【0074】
65は全体制御部で、検出された欠陥の座標、特徴量、画像などを記憶する記憶装置608、ユーザからの検査パラメータの変更を受け付けたり、検出された欠陥情報を表示したりするユーザインターフェース部609、各種制御を行うCPUで構成される。610は全体制御部65からの制御指令に基づいてステージ62を駆動するメカニカルコントローラである。なお、画像処理部64、検出部63も全体制御部65からの指令により駆動される。
【0075】
66は本発明に係るレビュー装置(外観検査システム)であり、検査装置にはふくまれないが、データの授受が可能なようになっている。本発明に係る外観検査方法を実現するレビュー装置(外観検査システム)66について、図15を用いて説明する。レビュー装置(外観検査システム)66は、半導体ウェハを搭載して移動させるステージ71、欠陥の高解像度の走査電子線画像を撮像する検出系72、全体制御部73、プログラムに従って演算されるコンピュータによって構成され、機能的には欠陥領域抽出部402、特徴算出部403、欠陥分類部404、致命性判定部405及び分類条件設定部406を備えて構成される。
【0076】
以下、第1の実施の形態と異なる機能検査装置74および欠陥情報集計部708、致命性要因抽出部706、致命性判定条件設定部707における処理について説明する。
【0077】
機能検査装置74では、プローブ検査により1チップずつ半導体回路の電気的機能試験を行い、合格、不合格の判定を行う。欠陥集計部708では同じウェハの複数の工程の欠陥検査情報を集め、各欠陥の位置情報に基づいて、チップ番号との対応付けを行う。機能検査装置74から、チップの合否判定情報を入力し、欠陥とチップ番号との対応付けに基づいて、各欠陥に良否情報を付加する。ここでは、1チップに複数の欠陥が対応付けられていることに留意する。合格チップに対応付けられた欠陥は、それが複数であっても全てに「良品」のラベルづけがなされる。また、不合格チップに対応付けられた欠陥は、それが1欠陥のみならば、「不良品」のラベルづけがなされる。複数の場合は、良否は不明となる。
【0078】
致命性要因抽出部706では、不明の欠陥を除くことにより、第1の実施の形態における致命性要因抽出部407と同様の処理を行って、各特徴の良品と不良品の確率密度分布を算出するか、しきい値対致命率を算出することが可能である。しかし、不明でない欠陥、特に「良品」は非常に少ない可能性があり、その場合は致命性要因の抽出がうまくできない。そこで、不明の欠陥に「不良品」のラベルをつけておき、処理を行う方法を説明する。
【0079】
第一の方法では、各特徴の良品と不良品の確率密度分布を算出する。不良品の分布には良品が混ざっている可能性があるため、良品の分布を信用し、良品の確率密度が0に近いしきい値を超える場合は、不良品の確率密度を強制的に0にする。不良品の確率密度が0とならない部分の積分値が大きいほど、致命性を左右する特徴であると言える。これに基づく致命性判定の条件は、上記により修正した各特徴の確率密度分布を用いて上記(3)式により定義する。
【0080】
第二の方法では、外観特徴毎にしきい値対致命率を算出し、それに基づき各特徴についてのしきい値を決定する。各特徴の大きいほうからあるいは小さいほうから調べて非致命率が100%になる範囲を求め、この特徴についてのしきい値としきい値以上としきい値未満のどちらを非致命と判定すべきかを決定する。非致命率が100%になるところが存在しない場合は、その特徴は判定に用いない。残りの特徴を全て用いて1個でも非致命と判定される特徴があればその欠陥を非致命と判定する。
【0081】
このように抽出した致命性要因4071は第1の実施の形態と同様、プロセス管理や設計へのフィードバックに利用することが可能である。
【0082】
[第3の実施の形態]
本発明に係る第3の実施の形態について図16を用いて説明する。
【0083】
図16は、本発明に係る外観検査方法の第3の実施の形態を実現するシステム構成を示す図である。第3の実施の形態は、図4に示す第1の実施の形態から、欠陥分類部404および分類条件設定部406を除いた構成となっている。また、レビュー装置401の代わりに画像取得装置409を含んでいる。画像が取得できればよいので、レビュー装置を画像取得装置409として用いてもよい。外観検査装置41は欠陥を検出し、欠陥座標データを検査装置(致命性判定装置)42に送る。学習時及び検査時において、検査装置42の中の画像取得装置409は、欠陥座標データに基づいて欠陥部の画像を取得する。この画像から欠陥領域抽出部402で欠陥領域を抽出し、特徴算出部403で画像から特徴量を算出する。
【0084】
検査時において、致命性判定部405は、特徴算出部403で算出される特徴量を基に、学習によって致命性判定条件設定部408で予め設定された致命性判定条件4081に従って致命性判定を行う。
【0085】
学習時(条件設定時)は、機能クラス分類器を構成する致命性要因抽出部407において、欠陥種と最終的な機能検査の良否の情報とそれに対応する特徴量データを入力し、特徴毎の演算によって、致命性を左右する外観的特徴に関する定量的な記述を致命性要因4071として出力する。さらに、機能クラス分類器を構成する致命性判定条件設定部408は、それらに基づき致命性判定条件4081を設定する。最終的な機能検査の良否の情報と特徴量データが対応付けは、機能検査装置43により得られる不良部の位置座標と、外観検査装置41で得られた欠陥の位置座標との突合せによって得る。
【0086】
以上説明したように、本第3の実施の形態によれば、致命性判定を欠陥種毎ではなく全体に対して行うため致命性判定の精度が低下する可能性はあるものの、レビューによる欠陥種の確認が不要となるため、致命性要因抽出および致命性判定条件設定を短時間で行えるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、PDP、TFTなどの薄型ディスプレイ、半導体ウェハ、ハードディスク基板などの薄膜デバイス、ホトマスク、フィルムなどの製造に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係るPDPの構造の説明図である。
【図2】本発明に係るPDPの製造工程を説明するためのフロー図である。
【図3】本発明に係るPDPの外観検査装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図4】本発明に係る外観検査システムの第1の実施の形態を示す構成図である。
【図5】本発明に係る検査装置の欠陥領域抽出部における処理方法の一実施例を説明するフロー図である。
【図6】本発明に係る欠陥の大きさに関する特徴の説明図である。
【図7】本発明に係る欠陥の明るさに関する特徴の説明図である。
【図8】本発明に係る欠陥および背景のテクスチャに関する特徴を抽出するためのフィルタを示す図である。
【図9】本発明に係る欠陥とパターンの位置関係を表す特徴の説明図である。
【図10】本発明に係る各欠陥種について、致命性を左右する外観的特徴に関する定量的な記述である特徴値に対する良品と不良品の確率密度分布の実施例を示すグラフ表示である。
【図11】本発明に係る各欠陥種について、致命性を左右する外観的特徴に関する定量的な記述である特徴値に対する良品と不良品の確率密度分布の他の実施例を示すグラフ表示である。
【図12】本発明に係る外観検査システムの第1の実施の形態及び各欠陥種について、致命性を左右する外観的特徴に関する定量的な記述である特徴値に対する致命率を示す図である。
【図13】本発明に係る半導体ウェハの製造工程を説明するためのフロー図である。
【図14】本発明に係る半導体ウェハの外観検査装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図15】本発明に係る外観検査システム(レビュー装置)の第2の実施の形態を示す構成図である。
【図16】本発明に係る外観検査システムの第3の実施の形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0089】
101…背面ガラス、102…リブ障壁、103…蛍光体層、104…アドレス電極、105…前面板ガラス、106…透明電極、107…プラズマ放電、108…発光画素、301…背面板、302…紫外光源、303…照射紫外光、304…蛍光体励起発光光、305…カメラ、306…信号処理系、41…外観検査装置、42…検査装置(致命性判定装置)、43…機能検査装置、401…レビュー装置、402…欠陥領域抽出部、403…特徴算出部、404…欠陥分類部(外観クラス分類器)、405…致命性判定部、406…分類条件設定部(外観クラス分類器)、4061…分類条件、407…致命性要因抽出部(機能クラス分類器)、4071…致命性要因、408…致命性判定条件設定部(機能クラス分類器)、4081…致命性判定条件(致命性判定基準)、409…画像取得装置、901…パターン、902a〜g…欠陥、501…シリコン基板、502…アイソレーション、503…ウェル、504…ゲート絶縁膜、505…ゲート電極、506…ソース・ドレイン電極、507…配線パターン、508…絶縁膜、509…コンタクトホール、61…被検査物(半導体ウェハ)、62…ステージ、63…検出部、64…画像処理部、65…制御部、66…レビュー装置、601…光源、602…照明光学系、603…対物レンズ、604…イメージセンサ、605…AD変換部、606…前処理部、607…欠陥判定部、608…記憶装置、609…ユーザインターフェース部、610…メカニカルコントローラ、71…ステージ、72…検出部、73…制御部、74…機能検査装置、706…致命性要因抽出部、707…致命性判定条件設定部、708…欠陥情報集計部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習時において、学習対象物に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の学習ステップと、該第1の学習ステップで算出される各欠陥の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件として教示することにより外観クラス分類器を学習する第2の学習ステップと、該第2の学習ステップで学習された前記欠陥種の特徴量に基づいて分類される前記欠陥種である外観クラス別に、機能検査装置を用いて最終的な機能検査によって判定される機能の良否である機能クラスの対応を教示することにより機能クラス分類器を学習して最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因を抽出する第3の学習ステップと、該第3の学習ステップで抽出された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて致命性判定条件を決定する第4の学習ステップとを有する学習過程と、
検査時において、製造途中の検査対象物に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の検査ステップと、該第1の検査ステップで算出される各欠陥の特徴量に基づいて前記第2の学習ステップで学習された分類条件での外観クラス分類器を用いて前記欠陥種である外観クラスの分類を行う第2の検査ステップと、該第2の検査ステップで分類が行われた外観クラス別に、前記第4の学習ステップで前記定量的な記述である致命性要因に基づいて決定された前記致命性判定条件に基づいて致命性を予測判定する第3の検査ステップとを有する検査過程とを有することを特徴とする外観検査方法。
【請求項2】
前記学習対象物及び前記検査対象物は薄型ディスプレイであって、前記機能検査は点灯検査であることを特徴とする請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項3】
前記学習対象物及び前記検査対象物は半導体ウェハであって、前記機能検査はプローブ検査であることを特徴とする請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項4】
前記第1の学習ステップ及び前記第1の検査ステップにおいて算出する前記各欠陥の特徴量は、各欠陥領域の抽出に基づいて算出され、各欠陥の大きさと形状を表す特徴量、各欠陥及び背景の明るさを表す特徴量、各欠陥及び背景のテクスチャを表す特徴値、各欠陥とパターンの位置関係を表す特徴値並びに各欠陥の色を表す特徴値の少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項5】
前記各欠陥領域の抽出は、前記各欠陥を撮像して得られる各欠陥画像と、前記各欠陥を含まない同一のパターン領域から撮像して得られる参照画像との比較に基づいてなされることを特徴とする請求項4に記載の外観検査方法。
【請求項6】
前記各欠陥領域の抽出は、前記各欠陥を撮像して得られる各欠陥画像の、画素単位あるいはブロック単位に算出される特徴ベクトルの、画素間またはブロック間の類似性に基づいてなされることを特徴とする請求項4に記載の外観検査方法。
【請求項7】
前記第3の学習ステップにおいて、前記致命性要因の抽出は、欠陥種と最終的な機能検査の良否の情報とそれに対応する特徴量データを入力し、前記特徴量データを欠陥種別に分け、各欠陥種について特徴毎に良品と不良品の確率密度分布を算出することによって行い、前記致命性判定条件は、前記確率密度分布の演算に基づいて決定すること特徴とする請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項8】
前記第3の学習ステップにおいて、前記致命性要因の抽出は、欠陥種と最終的な機能検査の良否の情報とそれに対応する特徴量データを入力し、前記特徴量データを欠陥種別に分け、各欠陥種について特徴毎にしきい値に対する致命率カーブを算出することによって行い、前記致命性判定条件は、前記致命率カーブに基づいて特徴毎にしきい値を設定し、該設定される特徴毎のしきい値処理の組合せによって決定すること特徴とする請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項9】
前記第3の学習ステップにおいて、前記決定する致命性判定条件は、調整可能であることを特徴とする請求項7または8に記載の外観検査方法。
【請求項10】
学習時において、学習製品に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の学習ステップと、該第1の学習ステップで算出される各欠陥の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件として教示することにより外観クラス分類器を学習する第2の学習ステップと、該第2の学習ステップで学習された前記欠陥種の特徴量に基づいて分類される前記欠陥種である外観クラス別に、機能検査装置を用いて最終的な機能検査によって判定される機能の良否である機能クラスの対応を教示することにより機能クラス分類器を学習して最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因を抽出する第3の学習ステップと、該第3の学習ステップで抽出された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて致命性判定条件を決定する第4の学習ステップとを有する学習過程と、
検査時において、製造途中の製品に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の検査ステップと、該第1の検査ステップで算出された前記各欠陥の特徴量に基づいて前記第1の学習過程で学習された分類条件での外観クラス分類器を用いて前記欠陥種である外観クラスの分類を行う第2の検査ステップと、該第2の検査ステップで分類が行われた外観クラス別に、前記第4の学習ステップで前記定量的な記述である致命性要因に基づいて決定された前記致命性判定条件に基づいて致命性を予測判定する第3の検査ステップと、該第3の検査ステップで得られる外観クラス別の致命性予測判定結果に基づいて前記製品を廃棄するか、修正して次の工程にながすか、そのまま次の工程に流すかを決める第4の検査ステップとを有する検査過程とを有することを特徴とする外観検査方法。
【請求項11】
学習時において、学習製品に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の学習ステップと、該第1の学習ステップで算出される各欠陥の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件として教示することにより外観クラス分類器を学習する第2の学習ステップと、該第2の学習ステップで学習された前記欠陥種の特徴量に基づいて分類される前記欠陥種である外観クラス毎に、機能検査装置を用いて最終的な機能検査によって判定される機能の良否である機能クラスの対応を教示することにより機能クラス分類器を学習して最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因を抽出する第3の学習ステップと、該第3の学習ステップで抽出された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて監視対象の欠陥種及び特徴を選出する第4の学習ステップとを有する学習過程と、
検査時において、製造途中の製品に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の検査ステップと、該第1の検査ステップで算出する前記各欠陥の特徴量に基づいて前記第2の学習ステップで学習された分類条件での外観クラス分類器を用いて前記欠陥種である外観クラスの分類を行う第2の検査ステップと、該第2の検査ステップで分類が行われた外観クラス毎に、前記第4の学習ステップで前記定量的な記述である致命性要因に基づいて選出された前記監視対象の欠陥種及び特徴の頻度分布を一定期間毎に算出して記録し、前記頻度分布の監視により致命性の高い側へのシフトを検出することにより致命不良発生の予兆を検知する第3の検査ステップとを有する検査過程とを有することを特徴とする外観検査方法。
【請求項12】
学習時において、学習製品に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の学習ステップと、該第1の学習ステップで算出される各欠陥の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件として教示することにより外観クラス分類器を学習する第2の学習ステップと、該第2の学習ステップで学習された前記欠陥種の特徴量に基づいて分類される前記欠陥種である外観クラス毎に、機能検査装置を用いて最終的な機能検査によって判定される機能の良否である機能クラスの対応を教示することにより機能クラス分類器を学習して最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因を抽出する第3の学習ステップと、該第3の学習ステップで抽出された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて監視対象の欠陥種及び特徴を選出して該特徴毎にしきい値を設定する第4の学習ステップとを有する学習過程と、
検査時において、製造途中の製品に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の検査ステップと、該第1の検査ステップで算出された前記各欠陥の特徴量に基づいて前記第2の学習ステップで学習された分類条件での外観クラス分類器を用いて前記欠陥種である外観クラスの分類を行う第2の検査ステップと、該第2の検査ステップで分類が行われた外観クラス毎に、前記第4の学習ステップで前記定量的な記述である致命性要因に基づいて選出された前記監視対象の欠陥種及び特徴の前記しきい値以上又はしきい値未満の致命性の高い側の欠陥の個数を一定期間毎に記録し、前記欠陥の個数の変化に基づいて原因を推定し対策する第3の検査ステップとを有する検査過程とを有することを特徴とする外観検査方法。
【請求項13】
学習時において、学習製品に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の学習ステップと、該第1の学習ステップで算出される各欠陥の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件として教示することにより外観クラス分類器を学習する第2の学習ステップと、前記学習製品の品種毎及び前記第2の学習ステップで学習された前記欠陥種の特徴量に基づいて分類される前記欠陥種である外観クラス毎に、機能検査装置を用いて最終的な機能検査によって判定される機能の良否である機能クラスの対応を教示することにより機能クラス分類器を学習して最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因を抽出する第3の学習ステップとを有する学習過程と、
検査時において、製造途中の製品に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する第1の検査ステップと、該第1の検査ステップで算出された前記各欠陥の特徴量に基づいて前記第2の学習ステップで学習された分類条件での外観クラス分類器を用いて前記欠陥種である外観クラスの分類を行う第2の検査ステップと、該第2の検査ステップで分類が行われた外観クラス毎に、前記第3の学習ステップで学習されて前記機能クラス分類器から出力された前記定量的な記述である致命性要因の前記製品の品種間の比較に基づいて得られる当該致命性要因に対する各品種の耐性の情報を設計へフィードバックする第3の検査ステップとを有する検査過程とを有することを特徴とする外観検査方法。
【請求項14】
学習時及び検査時の各々において、学習対象物及び製造途中の検査対象物の各々に生じた複数の欠陥について撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する検査装置と、
学習時において、前記検査装置で算出される各欠陥の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件として教示することにより学習する外観クラス分類器と、
学習時において、前記外観クラス分類器で学習された前記欠陥種の特徴量に基づいて分類される前記欠陥種である外観クラス別に、機能検査装置を用いて最終的な機能検査によって判定される機能の良否である機能クラスの対応を教示することにより学習して最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因を抽出し、該抽出された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて致命性判定条件を決定する機能クラス分類器とを備え、
前記検査装置は、さらに、検査時において、前記検査装置で算出される前記製造途中の検査対象物に生じた各欠陥に対して該各欠陥の特徴量に基づいて前記学習された分類条件での外観クラス分類器を用いて前記欠陥種である外観クラスの分類を行い、該分類が行われた外観クラス別に、前記学習されて前記機能クラス分類器から出力された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて決定された前記致命性判定条件に基づいて致命性を予測判定することを特徴とする外観検査システム。
【請求項15】
前記外観クラス分類器は、学習時において、前記検査装置で算出される各欠陥の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件として教示する分類条件設定部と、検査時において、前記各欠陥の特徴量に基づいて前記学習された分類条件での外観クラス分類器を用いて前記欠陥種である外観クラスの分類を行う欠陥分類部とを備えて構成されることを特徴とする請求項14に記載の外観検査システム。
【請求項16】
前記外観クラス分類器は、学習時において、欠陥画像を表示して欠陥種を教示するレビュー装置及び前記検査装置で算出される各欠陥の特徴量及び前記レビュー装置による前記欠陥種の教示に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件として教示する分類条件設定部と、検査時において、前記各欠陥の特徴量に基づいて前記学習された分類条件での外観クラス分類器を用いて前記欠陥種である外観クラスの分類を行う欠陥分類部とを備えて構成されることを特徴とする請求項14に記載の外観検査システム。
【請求項17】
前記機能クラス分類器は、学習時において、前記欠陥種である外観クラス別に、前記最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因を抽出する致命性要因抽出部と、該致命性要因抽出部で抽出された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて致命性判定条件を決定する致命性判定条件設定部とを備えて構成されることを特徴とする請求項14に記載の外観検査システム。
【請求項18】
前記検査装置は、検査時において、前記外観クラス別に、前記機能クラス分類器から出力された前記定量的な記述である致命性要因に基づいて決定された前記致命性判定条件に基づいて致命性を予測判定する致命性判定部を備えて構成されることを特徴する請求項14に記載の外観検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−159979(P2010−159979A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−639(P2009−639)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(599132708)日立プラズマディスプレイ株式会社 (328)
【Fターム(参考)】