説明

外部リード端子の製造方法、外部リード端子及びラミネート電池

【課題】外部リード端子の生産性を高めることができる外部リード端子の製造方法、該製造方法で製造した外部リード端子及び該外部リード端子を用いたラミネート電池を提供する。
【解決手段】所定の長さの金属板の長手方向に、所定の間隔にて略直線状に複数の空隙部を形成しておく。複数の空隙部の少なくとも一部を通過するシーラント層を金属板の長手方向に形成し、複数の空隙部の略中央にて、金属板の長手方向と略直交する方向に、金属板を切断して、外部リード端子ごとに個片化する。めっき処理時には、外部リード端子ごとに個片化する前の状態で一括してめっき処理した後に切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネートフィルムを外装体に用いるラミネート電池用の外部リード端子の製造方法、該製造方法で製造した外部リード端子及び該外部リード端子を用いたラミネート電池に関し、特にシーラント層が形成された外部リード端子を効率よく製造することができる外部リード端子の製造方法、該製造方法で製造した外部リード端子及び該外部リード端子を用いたラミネート電池に関する。
【背景技術】
【0002】
ラミネートフィルムを外装体として用いたリチウムイオン二次電池等のラミネート電池は、充放電させるための正極用の外部リード端子及び負極用の外部リード端子を取り付けてある。斯かる外部リード端子は、板状の金属材料で形成してあり、電池内部の電解液の漏れ等を防止するために、外装体に用いるラミネートフィルムにより密封される部分に、ポリプロピレン等からなるシーラント層を形成してある。
【0003】
ラミネート電池は高いシール性が要求されるので、シーラント層の長さは、外部リード端子の幅よりも大きいことが好ましい。すなわち、外部リード端子を形成する金属板の側面を確実にシーラント層で覆った状態でラミネートフィルムと熱融着させることにより、側面からの電解液の漏れ等を確実に防止することができる。
【0004】
また、シーラント層の密着度を高めるために、特許文献1では、外部リード端子に凹凸形状部又は穴形状部を設けてある。これにより、外部リード端子を形成する金属板を挟むシーラント層の接触面積が増大し、アンカー効果により外部リード端子を形成する金属板とシーラント層との密着度が高まって、シール性が向上する。
【0005】
図1は、従来の外部リード端子の一例を示す平面図である。図1に示すように、従来の外部リード端子は、正極用の外部リード端子としてアルミニウム、負極用の外部リード端子として銅からなる金属板1の表裏両面に、電池内側の集電箔との接合部分3を残して所定幅を有するシーラント層2を形成してある。シーラント層2の長さL1は、外部リード端子を形成する金属板1の幅L2より大きく、金属板1の側面をシーラント層2で確実に覆うことができるようになっている。
【0006】
図2は、従来の外部リード端子の製造方法を示す模式図である。金属リール4に所定の間隔でシーラント層2、2、・・・を形成しておき、外部リード端子として用いる長さにて金属板1を順次切断する。これにより、シーラント層2が形成されている金属板1を外部リード端子として個片化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−164752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の外部リード端子の製造方法では、金属リール4から所定の間隔で一枚一枚切断する必要があり、シーラント層2の形成を外部リード端子ごとに行う必要があるため、生産性が低いという問題点があった。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、外部リード端子の生産性を高めることができる外部リード端子の製造方法、該製造方法で製造した外部リード端子及び該外部リード端子を用いたラミネート電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために第1発明に係る外部リード端子の製造方法は、ラミネート電池に用いる外部リード端子の製造方法において、所定の長さの金属板の長手方向に、所定の間隔にて略直線状に複数の空隙部を形成する工程と、前記複数の空隙部の少なくとも一部を通過するシーラント層を前記金属板の長手方向に形成する工程と、前記複数の空隙部の略中央にて、前記金属板の長手方向と略直交する方向に、前記金属板を切断して個片化する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
第1発明では、所定の長さの金属板を準備し、金属板の長手方向に、所定の間隔にて略直線状に複数の空隙部を形成する。次に、複数の空隙部の少なくとも一部を通過するシーラント層を金属板の長手方向に形成する。空隙部が全てシーラント層で覆われても覆われなくても構わない。そして、複数の空隙部の略中央にて、金属板の長手方向と略直交する方向に、金属板を切断して個片化することにより外部リード端子を製造する。これにより、外部リード端子ごとにシーラント層を形成する必要がなく、一括してシーラント層を形成することができるので、作業工数を大幅に削減することが可能となる。また、複数の空隙部の略中央にて、金属板の長手方向と略直交する方向に、金属板を切断して外部リード端子を切断することにより、外部リード端子のシーラント層を形成してある部分の両端には、金属板が存在しない領域が生じ、直接シーラント層同士を密着させることができる。したがって、ラミネート電池の電池要素と外部リード端子とを接続するために外部リード端子をラミネートフィルムで両面から熱融着する場合に、外部リード端子の両端部分においてはシーラント層同士も熱融着するために密着度が高く、ラミネート電池内部の電解液が外部へ漏れ出すことがないシール性を確保することが可能となる。
【0012】
また、第2発明に係る外部リード端子の製造方法は、第1発明において、前記複数の空隙部の略中央にて、前記金属板の長手方向と略直交する方向に、前記金属板を切断して個片化する工程の前に、前記金属板の少なくとも一部をめっき処理する工程を含むことを特徴とする。
【0013】
第2発明では、複数の空隙部の略中央にて、金属板の長手方向と略直交する方向に、金属板を切断する前に、金属板の少なくとも一部にめっき処理を施す。これにより、個片化した外部リード端子ごとにめっき処理を施す必要がなく、複数枚の外部リード端子を含む集合体について一括してめっき処理を施すことができるので、作業工数を大幅に削減することが可能となる。
【0014】
また、第3発明に係る外部リード端子の製造方法は、第1又は第2発明において、個片化された前記金属板は、前記シーラント層を形成してある部分の一部又は全部に、個片化するよう切断された間隔よりも長さが短い部分が存在するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
第3発明では、個片化された金属板には、シーラント層を形成してある部分の一部又は全部に、個片化するよう切断された間隔よりも長さが短い部分が存在するようにしてある。これにより、外部リード端子をラミネートフィルムで熱融着する部分の両端部分であってシーラント層を形成してある部分には金属板が存在しない部分が存在することになり、ラミネートフィルムで両面から熱融着する場合に、外部リード端子の両端部分における密着度をより高く維持することができ、ラミネート電池内部の電解液が外部へ漏れ出すことがないシール性を確保することが可能となる。
【0016】
また、第4発明に係る外部リード端子の製造方法は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記複数の空隙部を覆う幅を有するシーラント層を、前記金属板の長手方向に形成するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
第4発明では、複数の空隙部を覆う幅を有するシーラント層を、金属板の長手方向に形成することにより、外部リード端子の幅方向の両端部分であってシーラント層を形成してある部分を最大限確保することができるので、ラミネートフィルムで両面から熱融着する場合に、外部リード端子の両端部分における密着度をより高く維持することができ、ラミネート電池内部の電解液が外部へ漏れ出すことがないシール性をより確実に確保することが可能となる。
【0018】
また、第5発明に係る外部リード端子の製造方法は、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記複数の空隙部は、方形の孔であることを特徴とする。
【0019】
第5発明では、複数の空隙部を方形の孔とすることにより、金属板に所定の間隔にて略直線状に孔を開けることが容易であるとともに、シーラント層を複数の空隙部に沿って精度良く形成することが可能となる。
【0020】
また、第6発明に係る外部リード端子の製造方法は、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記空隙部に連通する切り欠き部を設けることを特徴とする。
【0021】
第6発明では、空隙部に連通する切り欠き部を設けることにより、外部リード端子のラミネートフィルム内部での接触面積を低減することができるので、外部リード端子とラミネートフィルムの内面層との接触による損傷を抑えることができるとともに、ラミネート電池の軽量化に寄与することができる。
【0022】
また、第7発明に係る外部リード端子は、第1乃至第6発明のいずれか1つの外部リード端子の製造方法を用いて製造したことを特徴とする。
【0023】
また、第8発明に係るラミネート電池は、第7発明の外部リード端子を用いていることを特徴とする。
【0024】
第7発明及び第8発明では、上述の外部リード端子の製造方法により、生産性が高く安価な外部リード端子及びラミネート電池を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
上記構成により、外部リード端子ごとにシーラント層を形成する必要がなく、一括してシーラント層を形成することができるので、作業工数を大幅に削減することが可能となる。また、複数の空隙部の略中央にて、金属板の長手方向と略直交する方向に、金属板を切断して外部リード端子を切断することにより、外部リード端子のシーラント層を形成してある部分の両端には、金属板が存在しない領域が生じ、直接シーラント層同士を密着させることができる。したがって、ラミネート電池の外部リード端子をラミネートフィルムで両面から熱融着する場合に、外部リード端子の両端部分においてはシーラント層同士も熱融着するために密着度が高く、ラミネート電池内部の電解液が外部へ漏れ出すことがないシール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来の外部リード端子の一例を示す平面図である。
【図2】従来の外部リード端子の製造方法を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す平面図である。
【図4】図3のII−II線において、リチウムイオン二次電池の積層構造の一例を模式的に示す断面図である。
【図5】図3の III−III 線において、リチウムイオン二次電池の外部リード端子を、外装体であるラミネートフィルムの熱融着部(シール部)に挟む部分の熱融着(シール)前の状態を模式的に示す断面図である。
【図6】図3のIII−III 線において、リチウムイオン二次電池の外部リード端子が、外装体であるラミネートフィルムの熱融着部(シール部)に挟まれている部分の積層構造の一例を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る外部リード端子の材料となる金属板の一例を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る外部リード端子の材料となる金属板にシーラント層を形成した状態を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る外部リード端子の構成を模式的に示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る外部リード端子の他の構成を模式的に示す平面図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る外部リード端子の材料となる金属板の一例を示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る外部リード端子の材料となる金属板にシーラント層を形成した状態を示す平面図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る外部リード端子の構成を模式的に示す平面図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る外部リード端子の他の構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、ラミネート電池として積層型のリチウムイオン二次電池を用いて説明するが、電池要素についてはリチウム二次電池、ポリマー二次電池、有機ラジカル電池、全固体電池、電気二重層キャパシタ等でもよく、特にこれに限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態1)
図3は、本発明の実施の形態1に係るリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す平面図である。図4は、図3のII−II線において、リチウムイオン二次電池の積層構造の一例を模式的に示す断面図である。
【0029】
本発明の実施の形態1に係るリチウムイオン二次電池の電池要素9は、正極集電体211上に正極合剤212、212が形成されてなる正極板21、負極集電体221上に負極合剤222、222が形成されてなる負極板22及びこれらの間に介装されたセパレータ23を備えている。なお、図示していないが外装体19の内部には電解液が注液されており、正極板21、負極板22、及びセパレータ23が含浸している。
【0030】
また、電池要素9は、外装体19にて被覆されており、外装体19の内部から外部へ、電気を充放電する外部リード端子(タブ)11(正極用の外部リード端子11a、負極用の外部リード端子11b)を備えている。
【0031】
正極板21又は負極板22は、それぞれ正極集電体211又は負極集電体221を芯材としてその両面又は片面に正極活物質又は負極活物質を正極合剤212又は負極合剤222として積層したものである。正極板21に用いる正極集電体211には、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等の金属箔又はこれらの合金箔を使用することができ、アルミニウム又はアルミニウム合金が特に好ましい。また、負極板22に用いる負極集電体221には、銅、ステンレス、ニッケル等の金属箔又はこれらの合金箔を使用することができ、銅又は銅合金が特に好ましい。
【0032】
正極合剤212に用いる正極活物質としては、コバルト酸リチウム複合酸化物(LCO)、マンガン酸リチウム複合酸化物(LMO)、ニッケル酸リチウム複合酸化物(LNO)、リチウム−ニッケル−マンガン−コバルト複合酸化物(LNMCO)、リチウム−マンガン−ニッケル複合酸化物(LMNO)、リチウム−マンガン−コバルト複合酸化物(LMCO)、リチウム−ニッケル−コバルト複合酸化物(LNCO)等を用いることができる。また、正極活物質は上記の材料を混合したものであっても良い。正極活物質は、LiFePO4 といったオリビン系材料であっても良い。負極合剤222に用いる負極活物質としては、グラファイト、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料、チタン酸リチウムのようなセラミック、Si、Sn等の合金系材料を用いることができる。また、負極活物質は上記の材料を混合したものであっても良い。
【0033】
セパレータ23としては、ポリオレフィン系樹脂のような公知の材料であれば足り、特に限定されるものではない。なお、本発明においては、セパレータは、その名称によって限定されるべきものではなく、セパレータの代わりにセパレータとしての機能(役割)を有する固体電解質、ゲル状電解質等を用いても良い。また、アルミナ、ジルコニア等の無機材料を含有させたセパレータを用いても良い。
【0034】
なお、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)等の鎖状カーボネートを単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。さらに、ギ酸メチル、ギ酸エチル、メチルアセテート、エチルアセテート等の鎖状エステル系、γーブチロラクトン等の環状エステル系、スルホラン等の環状スルホン系が含まれていても良い。
【0035】
正極用の外部リード端子11a及び負極用の外部リード端子11bには、図示されていないモータ、電装品等の各種負荷の外部端子が接続され、正極用の外部リード端子11a及び負極用の外部リード端子11bには、非常に大きな充放電電流が流れる。そのため、正極用の外部リード端子11a及び負極用の外部リード端子11bの幅及び厚みは、主として充放電時の電流値により決定される。また、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電池要素9は外装体19に減圧封入されている。
【0036】
外装体19として用いるラミネートフィルムは、軽量化の観点から、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅等の中間層となる金属層19bの外側に外面層となる合成樹脂層19aを設けると共に、金属層19bの内側に内面層となる合成樹脂層19cを積層した三層構造体である。合成樹脂層19aは、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の電気絶縁性、機械的強度に優れた絶縁樹脂を用いることが望ましい。また、合成樹脂層19cは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、変性ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の耐薬品性及びヒートシール性に優れた熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。そして、外装体19の周辺部の一部又は全部を熱融着等にて接合することにより、電池要素9が外装体19内に減圧封入(密封)され、正極用の外部リード端子11a及び負極用の外部リード端子11bが外装体19の外部に取り出された構成となっている。
【0037】
図5は、図3の III−III 線において、リチウムイオン二次電池の外部リード端子11を、外装体19であるラミネートフィルムの熱融着部(シール部)に挟む部分の熱融着(シール)前の状態を模式的に示す断面図である。図6は、図3のIII−III 線において、リチウムイオン二次電池の外部リード端子11が、外装体19であるラミネートフィルムの熱融着部(シール部)に挟まれている部分の積層構造の一例を模式的に示す断面図である。
【0038】
外部リード端子11の周囲には、熱可塑性樹脂層であるシーラント層12が形成されてある。シーラント層12を外部リード端子11と外装体19との間に形成することにより、外部リード端子11と金属層19bのアルミ箔との間の絶縁距離を、シーラント層12の厚さ分だけ広げることができ、外部リード端子11と金属層19bとの間の絶縁性をより高めることができる。なお、シーラント層12としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は変性PP等の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。シーラント層は一層だけでなく二層又は三層以上にしても良い。異なる熱可塑性樹脂でも良いし、同じ熱可塑性樹脂の変性樹脂との組み合わせであっても良い。多層構造にする場合は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との組み合わせであっても良い。
【0039】
周囲にシーラント層12が形成してある外部リード端子11を挟み込むように、外装体19を密着させて加熱することにより、シーラント層12と合成樹脂層19cとが熱融着にて接合される。外部リード端子11が存在しない部分においては、シーラント層12、12同士、及び合成樹脂層19c、19c同士が、それぞれ熱融着にて接合して、図6に示すように両端にて一体となる。したがって、外部リード端子11を接続している部分から電解液の漏れ等が生じるのを確実に防止することができる。
【0040】
図7は、本発明の実施の形態1に係る外部リード端子11の材料となる金属板の一例を示す平面図である。図7に示すように、長さ1m、幅W1が50mmの金属板14を準備する。金属板14の材質は、製造する外部リード端子11が正極用の外部リード端子11aである場合にはアルミニウム又はアルミニウム合金、若しくはニッケルめっきされたアルミニウム又はアルミニウム合金が、負極用の外部リード端子11bである場合には銅又は銅合金、若しくはニッケル又はニッケル合金が好ましい。金属板14の材質は、これらに限定されるものではなく、電池の種類、用途に応じて適切な材質を用いることができる。また、正極用の外部リード端子11a用と負極用の外部リード端子11bとで異なる材質を用いても、同じ材質を用いても良い。本実施の形態1では、製造する外部リード端子11が正極用の外部リード端子11aである場合にはアルミニウムを、負極用の外部リード端子11bである場合には銅を、それぞれ金属板14として採用した。
【0041】
金属板14の長手方向に、一定間隔にて略直線上に空隙部15、15、・・・を設けてある。本実施の形態1では、金属板14の長手方向における長さB1が20mm、金属板14の幅方向における長さW2が10mmである方形の空隙部15を、間隔L3を50mmとして間欠的に形成してある。空隙部15、15、・・・の、金属板14の幅方向における位置は、用途に応じて所定の位置に形成すればよく、本実施の形態1では、図4に示す正極集電体211の端部、負極集電体221の端部と接続する側の幅W3を5mmとしている。なお、空隙部15の形状は上記の方形に限らず、円形、楕円形、多角形等であっても良い。
【0042】
また、金属板14の端部では、可能な限り多くの外部リード端子11を個片化することができるように、空隙部15の金属板14の長手方向における長さB1の半分の10mmの方形の切り込みを入れてある。これにより、金属板14の端部から順次、間隔L3ごとに切断することで、金属板14を余らせることなく複数の外部リード端子11、11、・・・に個片化することができる。なお、必要に応じて個片化した外部リード端子11の切断面にバリ取りや面取りを施す。
【0043】
図8は、本発明の実施の形態1に係る外部リード端子11の材料となる金属板14にシーラント層12を形成した状態を示す平面図である。図8に示すように、金属板14に形成してある空隙部15、15、・・・を完全に覆うことができる幅を有する長尺状のシーラント層12を、空隙部15、15、・・・の長手方向に沿って略直線状に、金属板14の表裏両面に形成してある。すなわち、シーラント層12の幅W4は、空隙部15の金属板14の幅方向における長さW2よりも大きい12mmとしてあり、シーラント層12を形成することにより、図4に示す正極集電体211の端部、負極集電体221の端部と接続する側へ金属板14の一部が露出している幅W5が4mmとなる。
【0044】
図8の状態で、金属板14の端部から順に空隙部15の長手方向の略中央線16、すなわち間隔L3ごとに切断することで、20個の外部リード端子11、11、・・・に個片化することができる。図9は、本発明の実施の形態1に係る外部リード端子11の構成を模式的に示す平面図である。なお、切断する位置は必ずしも空隙部15の略中央に限定されるものではなく、長手方向の非対称な位置で切断しても良い。
【0045】
図9の例では、端子長さ(=金属板14の幅)W1が50mm、端子幅(=切断された間隔)L3が50mmである金属板14にシーラント層12が表裏に形成されている外部リード端子11が形成されている。シーラント層12の幅W4が、空隙部15の金属板14の幅方向における長さW2よりも大きい12mmであることから、空隙部15はシーラント層12により完全に覆われている。
【0046】
本発明の実施の形態1に係る外部リード端子11を、シーラント層12が形成してある位置で外装体19の熱溶着部と合わせることにより、図6に示す断面図と同様の構成にて外部リード端子11を熱融着することができる。外部リード端子11が存在しない部分においては、シーラント層12、12同士、及び合成樹脂層19c、19c同士が、それぞれ熱融着にて接合するので、外部リード端子11を接続している部分から電解液の漏れ等が生じるのを確実に防止することができる。
【0047】
なお、シーラント層12の幅W4は、空隙部15の金属板14の幅方向における長さW2より小さくても良い。外部リード端子11をシーラント層12が形成してある位置で外装体19の熱融着部と合わせることができれば同様の効果が期待できるからである。図10は、本発明の実施の形態1に係る外部リード端子11の他の構成を模式的に示す平面図である。
【0048】
図10に示すように、端子長さ(=金属板14の幅)W1が50mm、端子幅(=切断された間隔)L3が50mmである金属板14にシーラント層12が表裏に形成されている外部リード端子11が形成されているが、シーラント層12の幅W4が、空隙部15の金属板14の幅方向における長さW2よりも小さい8mmであることから、空隙部15はシーラント層12により一部だけが覆われている。
【0049】
図10に示す外部リード端子11であっても、シーラント層12が形成してある位置で外装体19の熱融着部と合わせることにより、図6に示す断面図と同様の構成にて外部リード端子11を熱融着することができる。したがって、外部リード端子11を接続している部分から電解液の漏れ等が生じるのを確実に防止することができる。
【0050】
以上のように本実施の形態1によれば、外部リード端子11ごとにシーラント層12を形成する必要がなく、一括してシーラント層12を形成することができるので、作業工数を大幅に削減することが可能となる。また、複数の空隙部15、15、・・・の略中央にて、金属板14の長手方向と略直交する方向に、金属板14を切断して外部リード端子11を個片化することにより、外部リード端子11のシーラント層12を形成してある部分の両端には、金属板14が存在しない領域が生じ、直接シーラント層12、12同士を密着させることができる。したがって、外部リード端子11をラミネートフィルムで両面から熱融着する場合に、外部リード端子11の両端部分においてはシーラント層12、12同士も熱融着するために密着度が高く、リチウムイオン二次電池内部の電解液が外部へ漏れ出すことがないシール性を確保することができる。
【0051】
なお、図4に示す外部リード端子11のラミネートフィルムから突出している部分の外部負荷の外部端子と接触する部分にニッケルめっき処理等を施すことにより、各種負荷の外部端子との電気的接続を確実にすることもできる。この場合であっても、図10に示すように外部リード端子11ごとに個片化した後ではなく、図8に示す外部リード端子11の切断前の状態で必要な領域をマスキング処理する。例えば所定のマスク部材にてシーラント層12を形成してある部分を覆うようにマスキング処理する。それから金属板14のラミネートフィルムから突出させる部分を所定時間めっき浴に浸漬させることにより、個片化する対象となる外部リード端子11、11、・・・に対して一括してめっき処理を施すことができ、めっき処理に要する工数も大幅に削減することが可能となる。なお、外部リード端子11をめっき浴に浸漬させる量(深さ)は任意であり、半分程度浸漬させても良いし、全面浸漬させても良い。ただ、外部リード端子11全体に対してめっき処理を施した場合、外部リード端子11の正極集電体211と負極集電体221とを接続する部分までめっき処理されることにより、めっき処理された部分と正極集電体211との間、又は負極集電体221との間に電位差が生じる。したがって、外部リード端子11全体に対しては、めっき処理を施さないようにすることが好ましい。また、めっき処理はアルミニウムを用いる正極用の外部リード端子11aに施すことが好ましいが、負極用の外部リード端子11bに施しても良い。特に負極の外部リード端子11bにもアルミニウムを用いる場合は正極、負極ともにめっき処理を施すことがより好ましい。また、めっき処理はニッケルめっきだけでなく、銅めっき、錫めっき、又は半田めっきを施してもよい。ニッケルめっき上に錫めっきを施すといった多層構造にしても良い。
【0052】
また、金属板14に形成されるシーラント層12は、テープ状の形態にて張り付けて形成しても良いし、液状にて塗布、印刷して形成しても良いし、スプレー状に吹き付けても良い。シーラント層12を、塗布して形成する場合、印刷して形成する場合、又はスプレー状に吹き付けて形成する場合、シーラント層12を空隙部15の余分な箇所(中央部)に形成しないように間欠的に形成することもできる。
【0053】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る外部リード端子(タブ)11を有するリチウムイオン二次電池の構成は、実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明は省略する。本実施の形態2では、金属板14の空隙部15の形状が実施の形態1と相違する。
【0054】
図11は、本発明の実施の形態2に係る外部リード端子11の材料となる金属板14の一例を示す平面図である。図11に示すように、実施の形態1と同様、長さ1m、幅W1が50mmの金属板14を準備する。
【0055】
金属板14の長手方向に、一定間隔にて略直線状に空隙部15、15、・・・及び切り欠き部17、17、・・・を設けてある。本実施の形態2では、金属板14の長手方向における長さB1が20mm、幅方向における長さW2が10mmである方形の空隙部15に連通する、切り欠き部17の長さB2が長さB1よりも短い、例えば長さB2が16mmである方形の切り欠き部17を、空隙部15と同様、間隔L3を50mmとして間欠的に形成している。空隙部15、15、・・・及び切り欠き部17、17、・・・の、金属板14の幅方向での位置は、用途に応じて所定の位置に形成すればよく、本実施の形態2では、図4に示す正極集電体211の端部、負極集電体221の端部と接続する側の幅W3を5mmとしている。なお、切り欠き部17は必ずしも空隙部15に連通する必要はなく、空隙部15とは別の位置に設けられてもよい。
【0056】
また、金属板14の端部では、可能な限り多くの外部リード端子11を個片化することができるように、空隙部15の金属板14の長手方向における長さB1の半分の10mmの方形の切り込み及び切り欠き部17の長さB2の半分の8mmの方形の切り込みを入れてある。これにより、金属板14の端部から順次、間隔L3ごとに切断することで、金属板14を余らせることなく複数の外部リード端子11、11、・・・に個片化することができる。なお、必要に応じて個片化した外部リード端子11の切断面にバリ取りや面取りを施す。
【0057】
図12は、本発明の実施の形態2に係る外部リード端子11の材料となる金属板14にシーラント層12を形成した状態を示す平面図である。図12に示すように、金属板14に形成してある空隙部15、15、・・・を完全に覆うことができる幅を有する長尺状のシーラント層12を、空隙部15、15、・・・の長手方向に沿って略直線状に、金属板14の表裏両面に形成してある。すなわち、シーラント層12の幅W4は、空隙部15の金属板14の幅方向における長さW2よりも大きい12mmとしてあり、シーラント層12を形成することにより、図4に示す正極集電体211の端部、負極集電体221の端部と接続する側へ金属板14の一部が露出している部分の幅W5が4mmとなる。
【0058】
図12の状態で、金属板14の端部から順に空隙部15及び切り欠き部17の長手方向の略中央線16、すなわち間隔L3ごとに切断することで、20個の外部リード端子11、11、・・・に個片化することができる。図13は、本発明の実施の形態2に係る外部リード端子11の構成を模式的に示す平面図である。
【0059】
図13の例では、端子長さ(=金属板14の幅)W1が50mm、端子幅(=切断された間隔)L3が50mmである金属板14にシーラント層12が表裏に形成されている外部リード端子11が形成されている。シーラント層12の幅W4が、空隙部15の金属板14の幅方向における長さW2よりも大きい12mmであることから、空隙部15はシーラント層12により完全に覆われている。ただし、切り欠き部17は、シーラント層12により一部が覆われているにすぎない。
【0060】
なお、図4に示す正極集電体211の端部、負極集電体221の端部と接続する側の長さL5が外部リード端子11の長さL3よりも短いが、このように空隙部15に連通する切り欠き部17を設けることにより、外部リード端子11のラミネートフィルム内部での接触面積を低減できるので、外部リード端子とラミネートフィルムの内面層との接触による損傷を抑えることができるとともに、リチウムイオン二次電池の軽量化に寄与することができる。また、正極集電体211の端部、負極集電体221の端部と接続する側の長さL5が空隙部15、15により形成された切り込み間の長さL4よりも長くしてあるが、これに限定されるものではなく、長さL5の方が長さL4より短くても良い。
【0061】
また、シーラント層12の幅W4は、空隙部15の金属板14の幅方向における長さW2より小さくても良い。外部リード端子11をシーラント層12が形成してある位置で外装体19の熱溶着部と合わせることができれば同様の効果が期待できるからである。図14は、本発明の実施の形態2に係る外部リード端子11の他の構成を模式的に示す平面図である。
【0062】
図14に示すように、端子長さ(=金属板14の幅)W1が50mm、端子幅(=切断された間隔)L3が50mmである金属板14にシーラント層12が表裏に形成されている外部リード端子11が形成されているが、シーラント層12の幅W4が、空隙部15の金属板14の幅方向における長さW2よりも小さい8mmであることから、空隙部15はシーラント層12により一部だけが覆われている。
【0063】
図14に示す外部リード端子11であっても、シーラント層12が形成してある位置で外装体19の熱融着部と合わせることにより、図6に示す断面図と同様の構成にて外部リード端子11を熱融着することができる。したがって、外部リード端子11を接続している部分から電解液の漏れ等が生じるのを確実に防止することができる。
【0064】
以上のように本実施の形態2によれば、外部リード端子11ごとにシーラント層12を形成する必要がなく、一括してシーラント層12を形成することができるので、作業工数を大幅に削減することが可能となる。また、複数の空隙部15、15、・・・の略中央にて、金属板14の長手方向と略直交する方向に、金属板14を切断して外部リード端子11を切断することにより、外部リード端子11のシーラント層12を形成してある部分の両端には、金属板14が存在しない領域が生じ、直接シーラント層12、12同士を密着させることができる。したがって、外部リード端子11をラミネートフィルムで両面から熱融着する場合に、外部リード端子11の両端部分においてはシーラント層12、12同士も熱融着するために密着度が高く、リチウムイオン二次電池内部の電解液が外部へ漏れ出すことがないシール性を確保することができる。
【0065】
なお、外部リード端子11のめっき処理についても実施の形態1と同様である。
【0066】
その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0067】
11 外部リード端子
11a 正極用の外部リード端子
11b 負極用の外部リード端子
12 シーラント層
14 金属板
15 空隙部
17 切り欠き部
19 外装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネート電池に用いる外部リード端子の製造方法において、
所定の長さの金属板の長手方向に、所定の間隔にて略直線状に複数の空隙部を形成する工程と、
前記複数の空隙部の少なくとも一部を通過するシーラント層を前記金属板の長手方向に形成する工程と、
前記複数の空隙部の略中央にて、前記金属板の長手方向と略直交する方向に、前記金属板を切断して個片化する工程と
を含むことを特徴とする外部リード端子の製造方法。
【請求項2】
前記複数の空隙部の略中央にて、前記金属板の長手方向と略直交する方向に、前記金属板を切断して個片化する工程の前に、前記金属板の少なくとも一部をめっき処理する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の外部リード端子の製造方法。
【請求項3】
個片化された前記金属板は、前記シーラント層を形成してある部分の一部又は全部に、個片化するよう切断された間隔よりも長さが短い部分が存在するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の外部リード端子の製造方法。
【請求項4】
前記複数の空隙部を覆う幅を有するシーラント層を、前記金属板の長手方向に形成するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の外部リード端子の製造方法。
【請求項5】
前記複数の空隙部は、方形の孔であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の外部リード端子の製造方法。
【請求項6】
前記空隙部に連通する切り欠き部を設けることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の外部リード端子の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の外部リード端子の製造方法を用いて製造したことを特徴とする外部リード端子。
【請求項8】
請求項7に記載の外部リード端子を用いていることを特徴とするラミネート電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−76953(P2011−76953A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228991(P2009−228991)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】