説明

外部勾配クロマトフォーカシング

本発明は、タンパク質等の荷電分子をそれらの等電点(pI)によって分離する新規な方法を提供し、該荷電分子を分離するために採用されるシステムおよびバッファー組成物を含む。本発明は、さらに、上記のクロマトグラフ方法に、実質的に同一のpIを示す複数荷電分子の分離を、バッファーのpKおよび溶離した荷電分子のpIの両方をそれらがイオン交換カラムを通過する間に変化させることによって可能にする改良法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
本出願は、両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれている米国仮出願第60/498287号(2003年8月28日出願)および米国仮出願第60/470889号(2003年5月16日出願)の利益を主張するものである。
【0002】
発明の背景
本明細書に参照として載せているすべての出版物および特許出願は、それぞれの個別の出版物または特許出願が、あたかも参照により組み込まれて具体的かつ個別に示されたものと同程度に参照により組み込まれる。
【0003】
1.発明の分野
本発明は、外部勾配クロマトクロマトグラフィーに関する。より詳しくは、本発明は、タンパク質等の荷電分子をそれらの等電点(pI)によって分離する新規な方法に関するものであり、該荷電分子を分離するために採用されるシステムおよびバッファー組成物を含む。
【0004】
2.関連技術の説明
クロマトフォーカシングは、最初にSluytermanと共同研究者によって発表された陰イオン交換クロマトグラフィーの一形態である(例えば、L. A. AE SluytermanおよびO. Elgersma、Journal of Chromatography A、150(1)、1978、17-30;L. A. AE SluytermanおよびJ. Wijdenes、Journal of Chromatography A、150(1)、1978、31-44;L.A. AE. SluytermanおよびJ. Wijdenes、Journal of Chromatography A、206 (3)、1981、429-440;L. A. AE. SluytermanおよびJ. Wijdenes、Journal of Chromatography A、206 (3)、1981、441-447;L. A. AE. SluytermanおよびC. Kooistra、Journal of Chromatography A、470 (2)、1989、317-326を参照)。クロマトフォーカシングにおいては、保持されたpH勾配が、溶離溶液中のPolybufferの種類またはその他のバッファーの種類が、弱陰イオン交換樹脂の表面の官能基を滴定するときクロマトグラフカラム中に自動的に生じる。
【0005】
クロマトフォーカシングに対する最初のSluytermanの最初のアプローチの多数の変形が公開されている。これらの技術のほとんどは、意図された内部pH勾配の一点において開始バッファーにより弱イオン交換樹脂カラムを予め平衡状態にする方法に基づいている。一般的にはタンパク質である荷電分子の試料は、カラムの入口から導入する。初期pHにおいて、分離すべき分子はすべて、そのイオン交換樹脂と反対の電荷をもち、したがってそれに直ちに結合する。以下の議論において、分離すべき分子は、タンパク質と呼ぶが、それは好ましい態様として解釈すべきである。次に、その樹脂を望ましい最終pHにおいて多成分バッファーからなる溶液に含浸させる。弱イオン交換樹脂に対するバッファーの種類による結合親和力の変動によって、保持pH勾配は、カラム内に自動的に生じる。弱陰イオン交換樹脂での勾配は、カラムの長さに沿ったpHの上昇勾配(弱陽イオン交換樹脂における下降勾配とは逆)であるが、経時的に単調に下降する(弱陽イオン交換樹脂については上昇する)pH勾配である。最終pHのバッファーがカラムに入るとき、そのpHは、結合したそのタンパク質の等電点(pI)より低いために、分離過程が始まり、タンパク質の即時の開放を引き起こす。そのタンパク質は、次いで、それが、タンパク質のpIより高い漸進的に変化する保持pH勾配のpHに達するまでカラムの中を移動し、そこでタンパク質はイオン交換樹脂に再結合する。タンパク質の溶離は、溶離液の最前部の単調に減少するpHが、タンパク質のpIに再び達したときに再開し、そのタンパク質は、イオン交換樹脂への結合を中止する。そのタンパク質は、それがそのpIより高いpHに遭遇し、再び再結合するまでもう一度カラムを下方に移動する。この過程は、タンパク質がそのpIにおけるカラムから出てくるまで連続して繰り返される。主帯域の後に停滞するタンパク質分子は、それが、イオン交換樹脂に結合しているバッファーの基と同じ符号の電荷を有するpHのところにあるであろう。この状態は、完全に同じように荷電したタンパク質と、イオン交換樹脂に結合しているバッファーの基との間の静電反発力により、タンパク質がその帯域それ自身より素早くカラムを下に移動する原因となる。同様に、主帯域の前に拡散しているタンパク質分子は、イオン交換樹脂に対する結合親和力が増大することになり、その結果、主帯域より遅れて移動するであろう。全体の結果は、最適条件下では、pIが0.02pH単位程のわずかに違うだけのタンパク質の分離を可能にする強力な集束作用である。
【0006】
最も広範に使用されるクロマトフォーカシング技術の有効なpH範囲は、市販の特別のPolybuffer(例えば、Pharmalyte 8−10.5、Polybuffer 96およびPolybuffer 74)および弱交換樹脂(例えば、Mono P、PBE94およびPBE118)を利用し、約3pH単位、一般的には、9から6または7から4である。Polybufferは、高価であり、タンパク質に十分に強く結合し、精製したタンパク質からそれらを除去することが重大な問題となる。その結果、この潜在的に並外れて価値のある高速の精製技術は、研究室の精製技術に限定されており、大量の工業的タンパク質精製においてはほとんど実際の用途が見出せない。
【0007】
いくつかのグループが、溶出液としての比較的単純なバッファー溶液によりこれらの制限を克服することを試みたが、依然として特別に設計したかまたは普通に得られる弱陰イオン交換樹脂を採用している。これらのシステムで最も成功しているもの(Loganら、Biotechnology and Bioengineering, 62 (2), 1999)は、9.5の高さの初期pHの弱陰イオンカラム中に発生する保持性勾配を生ずる下は5.0の低さのpHまで有用な容易に除去できるバッファー成分である通常の2成分溶出バッファーを利用している。このシステムは、十分に良く作動し、記載されているpH範囲を通して高容量のクロマトフォーカシングを可能にすることを示す。しかしながら、Loganの方法においては、発生する勾配の外部制御は存在しない。
【0008】
外部勾配および弱陰イオンカラムと組み合わせて少数の安価なバッファーを使用することを強く勧める数少ない出版物は、3.5単位の最大有効pH勾配範囲を報告しているが、それはLoganらにより報告されているものより20%少ない(例えば、Yansheng LiuおよびDavid J. Anderson、Journal of Chromatography A、762 (1-2)、1997、207-217;Yansheng LiuおよびDavid J. Anderson、Journal of Chromatography A、762 (1-2)、1997、47-54;Lian ShanおよびDavid J. Anderson、Journal of Chromatography A、909 (2)、2001、191-205;Ronald C. Batesら、Journal of Chromatography A、890(1)、2000、25-36; Xuezhen Kang ら、Journal of Chromatography A、890(1)、2000、37-43;Douglas D. Freyら、米国特許第5851400号;Jan Walther-RasmussenおよびNiels Hoiby、Journal of Chromatography B、746 (2)、2000、161-172を参照)。
【0009】
発明の概要
本発明の一態様は、タンパク質等の荷電分子をそれらの等電点によりクロマトグラフ分離する新規な方法を提供することである。本発明の第2の目的は、自動化されたフィードバック制御の外部pH勾配発生システムを備える低圧または高圧液体クロマトグラフィーと共に使用する新規なクロマトグラフィーシステムを提供することである。
【0010】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する方法が提供され、その方法は
陰イオン交換吸着剤が荷電分子と反対の電荷をもつ初期pHで、少なくとも3種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも3種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される初期pHとは前記少なくとも3種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、時間依存性のpHを形成する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが陰イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0011】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する方法が提供され、その方法は
陽イオン交換吸着剤が荷電分子と反対の電荷をもつ初期pHで、バッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出されるバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される初期pHとは異なるpHのバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される、時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を維持するために外部で定められた傾きで変動させるステップと、
それぞれが陽イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0012】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離するクロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は
陰イオン交換吸着剤が荷電分子と反対の電荷をもつ最高の初期pHで、少なくとも3種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される初期pHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも3種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される異なるpHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも3種のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される、時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を維持するために外部で定められた傾きで変動させるステップと、
それぞれが陽イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0013】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する逆クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は
陽イオン交換吸着剤が荷電分子と反対の電荷をもつ初期pHで、バッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される初期pHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される初期pHとは異なるpHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される、時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を維持するために外部で定められた傾きで変動させるステップと、
それぞれが陽イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0014】
本発明のさらに別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する方法が提供され、その方法は
イオン交換吸着剤に、前記荷電分子を温度Tで加えるステップと、
前記イオン交換吸着剤に、初期pHのバッファー成分を含む溶媒を含浸させるステップ(その場合イオン交換吸着剤は、荷電分子と反対の電荷をもつ)と、
イオン交換吸着剤の温度をTに変化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出されるバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される初期pHとは異なるpHの前記のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される、時間依存性のpHを有する溶離液を、前記イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を維持するために外部で定められた傾きで変動させるステップと、
それぞれがイオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップとを含み、
ここで、TとTの間の差が0℃と80℃の間である。
【0015】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する方法が提供され、その方法は
イオン交換吸着剤に、温度Tにおいて、初期pHのバッファー成分を含む溶媒を含浸させるステップ(その場合イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)と、
イオン交換吸着剤の温度をTに変化させるステップと、
分離すべき荷電分子をイオン交換吸着剤に加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出されるバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される初期pHとは異なるpHの前記のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される、時間依存性のpHを有する溶離液を、前記イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を維持するために外部で定められた傾きで変動させるステップと、
それぞれがイオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップとを含み、
ここで、TとTの間の差が0℃と80℃の間である。
【0016】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
陰イオン交換吸着剤が分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ最高の初期pHで、少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を陰イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、両方の交換体を最高の初期pHで平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、所定の最小pHに達するまでその実効等電点で陰イオン交換吸着剤から別々に溶離し、
荷電分子を含有する陰イオン交換吸着剤から得られた溶出液がさらに分離されるように陽イオン交換吸着剤中に導き、かつ
正帯電している荷電分子を陽イオン交換吸着剤に所定の最小pHに達するまで結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陽イオン交換吸着剤を所定の最小pHから所定の最大pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に所定の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0017】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
最低の初期pHの少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤(該陽イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を陽イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、両方の交換体を最低の初期pHで平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、所定の最大pHに達するまでその実効等電点で陽イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陽イオン交換吸着剤から得られた溶出液がさらに分離されるように陰イオン交換吸着剤中に導き、かつ
負帯電している荷電分子を陰イオン交換吸着剤に所定の最小pHに達するまで結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陰イオン交換吸着剤を所定の最大pHから所定の最小pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に所定の最大pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0018】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
分離すべき荷電分子を、後に陽イオン交換吸着剤が直列に接続されている陰イオン交換吸着剤に適用し、その結果、その2つの吸着剤が、少なくとも1つの初期pHのバッファー成分を含む溶媒により含浸され、そこでそれぞれの分離すべき荷電分子が、3つの荷電の種類、すなわち、初期pHより低い見掛けのpIを有する荷電分子は負に帯電したもの、初期pHで陰イオン交換吸着剤または陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子は中性のもの、初期pHより高い見掛けのpIを有する荷電分子は正に帯電したものの1つに分類されるステップと、
初期pHで負に帯電した荷電分子を陰イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで正に帯電した荷電分子を陽イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで陽イオン交換吸着剤または陰イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子のものを収集するステップと、
陰イオン交換吸着剤と陽イオン交換吸着剤との初期pHにおける接続を互いから切り離すステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、初期pHに始まる時間依存的に減少するpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが最終の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、初期pHに始まる時間依存的に増加するpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが最終の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0019】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
分離すべき荷電分子を、後に陰イオン交換吸着剤が直列に接続されている陽イオン交換吸着剤に適用し、その結果、その2つの吸着剤が、少なくとも1つの初期pHのバッファー成分を含む溶媒により含浸され、そこでそれぞれの分離すべき荷電分子が、3つの荷電の種類、すなわち、初期pHより低い見掛けのpIを有する荷電分子は負に帯電したもの、初期pHで陰イオン交換吸着剤または陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子は中性のもの、初期pHより高い見掛けのpIを有する荷電分子は正に帯電したものの1つに分類されるステップと、
初期pHで正に帯電した荷電分子を陽イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで負に帯電した荷電分子を陰イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで温度Tで陰イオン交換吸着剤または温度Tで陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子のものを収集するステップと、
陽イオン交換吸着剤と陰イオン交換吸着剤との初期pHにおける接続を互いから切り離すステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、初期pHに始まる時間依存的に増加するpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが最終の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、初期pHに始まる時間依存的に減少するpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが最終の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0020】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
最高の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤(該陰イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を陰イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、陽イオン交換吸着剤の温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tの溶媒中で測定した最高の初期pHで平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最小pHに達するまでその実効等電点で陰イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陰イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陽イオン交換吸着剤中に導くステップと、
正帯電している荷電分子を陽イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最小pHに達するまで結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陽イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最小pHから所定の最大pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0021】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
最低の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤(該陽イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を陽イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、陰イオン交換吸着剤の温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tの溶媒中で測定した最低の初期pHで平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最大pHに達するまでその実効等電点で陽イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陽イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陰イオン交換吸着剤中に導くステップと、
負帯電している荷電分子を陰イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最大pHに達するまで結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陰イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最大pHから所定の最小pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0022】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
最高の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤(該陰イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を陰イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tで変化させた最高の初期pHにおいて平衡化させるステップと、
温度Tの第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、温度Tの第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最小pHに達するまでその実効等電点で陰イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陰イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陽イオン交換吸着剤中に導き、かつ
正帯電している荷電分子を陽イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最小pHに達するまで結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陽イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最小pHから所定の最大pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0023】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
最低の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤(該陽イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を陽イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tで変化させた最高の初期pHにおいて平衡化させるステップと、
温度Tの第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、温度Tの第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最大pHに達するまでその実効等電点で陽イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陽イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陰イオン交換吸着剤中に導くステップと、
負帯電している荷電分子を陰イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最大pHに達するまで結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陰イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最大pHから所定の最小pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最小pHに達するまで陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0024】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
最高の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤(該陰イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を陰イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、陽イオン交換体の温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tで測定した最高の初期pHにおいて平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最小pHに達するまでその実効等電点で陰イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陰イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陽イオン交換吸着剤中に導くステップと、
正帯電している荷電分子を陽イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最小pHに達するまで結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陽イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最小pHから所定の最高の初期pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最高の初期pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
陽イオン交換樹脂の温度をTに変化させるステップと、
温度Tにおける所定の最高の初期pHから所定の2番目の最大pHまで時を合わせて増大するpH勾配を有する陽イオン交換吸着剤を含浸させ続けるステップと、
それぞれがその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から、温度Tにおいて前記所定の2番目の最大pHに達するまで別々に溶離する荷電分子を収集するステップと、
増大しつつあるpH勾配を使用する溶離が後に続く段階的な温度の変化を繰り返し、それぞれが最終温度Tに達するまで陽イオン交換吸着剤から時を合わせて別々に溶離する荷電分子を収集するステップと、
所定の最後から2番目の最大pHから所定の究極の最大pHまで時を合わせて増大するpH勾配を有する陽イオン交換吸着剤の含浸を継続するステップと、
それぞれが別々に最終温度Tで究極の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0025】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
最低の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤(該陽イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を陽イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、陰イオン交換体の温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tで測定した最高の初期pHにおいて平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最大pHに達するまでその実効等電点で陽イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陽イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陰イオン交換吸着剤中に導くステップと、
負帯電している荷電分子を陰イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最大pHに達するまで結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陰イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最大pHから所定の最低の初期pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最低の初期pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
陰イオン交換樹脂の温度をTに変化させるステップと、
温度Tにおける所定の最低の初期pHから所定の2番目の最小pHまで時を合わせて減少するpH勾配を有する陰イオン交換吸着剤を含浸させ続けるステップと、
それぞれがその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から、温度Tにおいて前記所定の2番目の最小pHに達するまで別々に溶離する荷電分子を収集するステップと、
増大しつつあるpH勾配を使用する溶離が後に続く段階的な温度の変化を繰り返し、それぞれが最終温度Tに達するまで陰イオン交換体から時を合わせて別々に溶離する荷電分子を収集するステップと、
所定の最後から2番目の最小pHから所定の究極の最小pHまで時を合わせて減少するpH勾配を有する陰イオン交換吸着剤の含浸を継続するステップと、
それぞれが別々に最終温度Tで究極の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0026】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
分離すべき荷電分子を、温度Tの陰イオン交換吸着剤に、続いて温度Tで直列に接続されている陽イオン交換吸着剤に適用し、その結果、その2つの吸着剤が、少なくとも1つの温度Tで測定される初期pHのバッファー成分を含む溶媒により含浸され、そこで分離すべき荷電分子が、3つの荷電の種類、すなわち、初期pHより低い見掛けのpIを有する荷電分子は負に帯電したもの、初期pHで陰イオン交換吸着剤または陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子は中性のもの、初期pHより高い見掛けのpIを有する荷電分子は正に帯電したものの少なくとも1つに分類されるステップと、
初期pHで負に帯電した荷電分子を温度Tで陰イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで正に帯電した荷電分子を温度Tで陽イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで温度Tで陰イオン交換吸着剤または温度Tで陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子のものを収集するステップと、
陽イオン交換吸着剤と陰イオン交換吸着剤との初期pHにおける接続を互いから切り離すステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、温度Tで測定して初期pHに始まる時間依存的に減少するpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで温度Tで維持するために変動させるステップと、
それぞれが温度Tで最終の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、温度Tで測定して初期pHに始まる時間依存的に増加するpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで温度Tで維持するために変動させるステップと、
それぞれが温度Tで最終の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0027】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
分離すべき荷電分子を、温度Tの陽イオン交換吸着剤に、続いて温度Tで直列に接続されている陰イオン交換吸着剤に適用し、その結果、その2つの吸着剤が、少なくとも1つの温度Tで測定される初期pHのバッファー成分を含む溶媒により含浸され、そこで分離すべき荷電分子が、3つの荷電の種類、すなわち、初期pHより低い見掛けのpIを有する荷電分子は負に帯電したもの、初期pHで陰イオン交換吸着剤または陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子は中性のもの、初期pHより高い見掛けのpIを有する荷電分子は正に帯電したものの1つに分類されるステップと、
初期pHで正に帯電した荷電分子を温度Tで陽イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで負に帯電した荷電分子を温度Tで陰イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで温度Tで陰イオン交換吸着剤または温度Tで陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子のものを収集するステップと、
陽イオン交換吸着剤と陰イオン交換吸着剤との初期pHにおける接続を互いから切り離すステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、温度Tで測定して初期pHに始まる時間依存的に増加するpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで温度Tで維持するために変動させるステップと、
それぞれが温度Tで最終の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、温度Tで測定して初期pHに始まる時間依存的に減少するpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで温度Tで維持するために変動させるステップと、
それぞれが温度Tで最終の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0028】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
温度Tで測定した最高の初期pHにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤(該陰イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるものであって、前記陰イオン交換吸着剤を、温度Tから温度Tまでの温度勾配の下(温度Tは、前記溶媒が吸着剤に入るときの温度であり、温度Tは、前記溶媒が吸着剤を出るときの温度である)におくステップと、
陰イオン交換吸着剤の後に温度Tから温度Tまでの温度勾配の下(温度Tは、陰イオン交換吸着剤からの溶出液が、陽イオン交換体に入るときの陽イオン交換吸着剤の温度であり、温度Tは、前記溶出液が、陽イオン交換体を出るときの温度である)におく陽イオン交換吸着剤を直列に接続し、温度Tで測定した最高の初期pHにおける両方のイオン交換体を平衡化させるステップと、
温度Tの第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、温度Tの第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、温度Tから温度Tの勾配にかけた前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで測定した所定の最小pHに達するまでその実効等電点で陰イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陰イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、さらに分離されるように、温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陽イオン交換吸着剤中に導くステップと、
正帯電している荷電分子を、温度Tで測定した所定の最小pHに達するまで温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陽イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陽イオン交換吸着剤を温度Tで測定した所定の最小pHから所定の最大pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に、温度Tで測定して所定の最大pHに達するまで、その実効等電点において温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陽イオン交換吸着剤から、溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0029】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
温度Tで測定した最低の初期pHにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤(該陽イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるものであって、前記陽イオン交換吸着剤を、温度Tから温度Tまでの温度勾配の下(温度Tは、前記溶媒が吸着剤に入るときの温度であり、温度Tは、前記溶媒が吸着剤を出るときの温度である)におくステップと、
陽イオン交換吸着剤の後に温度Tから温度Tまでの温度勾配の下(温度Tは、陽イオン交換吸着剤からの溶出液が、陰イオン交換体に入るときの陰イオン交換吸着剤の温度であり、温度Tは、前記溶出液が、陰イオン交換体を出るときの温度である)におく陰イオン交換吸着剤を直列に接続し、温度Tで測定した最低の初期pHにおける両方のイオン交換体を平衡化させるステップと、
温度Tの第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、温度Tの第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、温度Tから温度Tの勾配にかけた前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで測定した所定の最大pHに達するまでその実効等電点で陽イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陽イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、さらに分離されるように、温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陰イオン交換吸着剤中に導くステップと、
負帯電している荷電分子を、温度Tで測定した所定の最大pHに達するまで温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陰イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陰イオン交換吸着剤を温度Tで測定した所定の最大pHから所定の最小pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に、温度Tで測定して所定の最小pHに達するまで、その実効等電点において温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陰イオン交換吸着剤から、溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0030】
本発明のさらなる態様は、異なる等電点を有する荷電分子をイオン交換樹脂でクロマトグラフィーにより分離するためのバッファー組成物であって、その組成物は、予め定めたpHの前記組成物が別の予め定めたpHの前記組成物により滴定するとき、その2つの組成物の混合物のpHの変化が、その2つの組成物のそれぞれによって表される混合物の画分に直線的に正比例するような少なくとも3つのバッファー組成物の水溶液を含む。
【0031】
本発明の別の態様は、荷電分子を分離するためのクロマトグラフシステムであって、そのシステムは、
初期pHの少なくとも3種のバッファー成分を含む溶媒を含浸したイオン交換吸着剤を含有するカラム(前記イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)と、
初期pHの前記少なくとも3種のバッファー成分を含む第1の溶液を含有する第1の貯蔵器と、
初期pHとは異なるpHの前記少なくとも3種のバッファー成分を含む第2の溶液を含有する第2の貯蔵器と、
前記第1および第2の溶液の外部で作製した混合物を送り込んで外部で規定したpH勾配を吸着剤に形成させ、カラム内に保持されていないpH勾配を出現させる手段と
を備えている。
【0032】
本発明の別の態様は、荷電分子を分離するためのクロマトグラフシステムであって、そのシステムは、
初期pHの少なくとも3種のバッファー成分を含む溶媒を含浸したイオン交換吸着剤を含有するカラム(前記イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)と、
初期pHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記少なくとも3種のバッファー成分を含む第1の溶液を含有する第1の貯蔵器と、
初期pHとは異なるpHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記少なくとも3種のバッファー成分を含む第2の溶液を含有する第2の貯蔵器と、
前記第1および第2の溶液の外部で作製した混合物を送り込んで外部で規定した初期pHから最終pHまでのpH勾配を形成させ、カラム内に保持されていないpH勾配を出現させる手段とを備えている。
【0033】
本発明の別の態様は、クロマトグラフシステムによって発生する前もってプログラムされた時間依存性pH勾配におけるpH偏差を自動的に補正するためのフィードバック制御システムを含み、そのシステムは、
測定pHの既知関数である出力電圧を生ずるpH測定装置と、
フィードバック制御装置であって、
適切に短時間の間隔の入力として、クロマトグラフシステムによって発生する溶離液のpHを監視するpH測定装置から電圧を受け取り、その電圧を、前もってプログラムされた時間依存性pH勾配の予想されるpH値に対応するセットポイント電圧と比較し、
その絶対値が誤差と見なされる入力電圧(すなわち測定pH)とセットポイント電圧(すなわち予想pH)の間の差を計算し、かつ
クロマトグラフシステムの勾配を発生させるポンプのポンピング速度を、誤差の絶対値が最小となるように、適宜電流または電圧いずれかとしての訂正信号を計算するための任意の既知のフィードバックアルゴリズムを使用して調節する
制御装置とを備えている。
【0034】
本発明のさらに別の態様は、荷電分子を分離するためおよびカラム内に調節された保持されていないpH勾配を出現させるためのクロマトグラフシステムであって、そのシステムは、
初期pHの少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸したイオン交換吸着剤を含有するカラム(前記イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)と、
初期pHの前記少なくとも1種のバッファー成分を含む第1の溶液を含有する第1の貯蔵器と、
初期pHとは異なるpHの前記少なくとも1種のバッファー成分を含む第2の溶液を含有する第2の貯蔵器と、
第1および第2の溶液を混合するための第1の貯蔵器ポンプおよび第2の貯蔵器ポンプ(前記第1の貯蔵器ポンプおよび前記第2の貯蔵器ポンプのポンピング速度は、制御された流速で外部で定めた溶離液pH勾配を形成するべく調節される)と、
pH測定装置がpHフローセルである、制御された流速で外部で定めた溶離液pH勾配の形成を監視および補正するための上記のフィードバックコントロールシステムとを備えている。
【0035】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離するクロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
最高の初期pHで、少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤(該陰イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される初期pHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からミキサー中にポンプで送出される異なるpHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップと、
pHに依存する電圧信号が発生し、第1の貯蔵器および第2の貯蔵器からポンプで送出される溶液の比率が、上述のフィードバックコントロールシステムによって、外部から定めて調節する勾配により保持されていないpH勾配が維持されるように変動することを可能にするpHフローセルを通るミキサーからの溶離液を流すステップと、
それぞれが陰イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0036】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する逆クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
最低の初期pHの少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤(該陽イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される初期pHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からミキサー中にポンプで送出される異なるpHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップと、
pHに依存する電圧信号が発生し、第1の貯蔵器および第2の貯蔵器からポンプで送出される溶液の比率が、上で議論したフィードバックコントロールシステムによって、外部から定めて調節する勾配により保持されていないpH勾配が維持されるように変動することを可能にするpHフローセルを通るミキサーからの溶離液を流すステップと、
それぞれが陽イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0037】
本発明のさらに別の態様は、荷電分子を分離するためおよびカラム内に調節された保持されていないpH勾配を生じさせるためのクロマトグラフシステムであって、そのシステムは、
初期pHの少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸したイオン交換吸着剤を含有するカラム(前記イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)と、
初期pHの前記少なくとも1種のバッファー成分を含む第1の溶液を含有する第1の貯蔵器と、
初期pHとは異なるpHの前記少なくとも1種のバッファー成分を含む第2の溶液を含有する第2の貯蔵器と、
第1および第2の溶液を前記第1の溶液の所定の容量を含有する混合チャンバー中にポンピングするための第1の貯蔵器ポンプおよび第2の貯蔵器ポンプ(前記第1の貯蔵器ポンプおよび前記第2の貯蔵器ポンプのポンピング速度は、制御された流速で外部で定めた溶離液pH勾配を形成するべく調節される)と、
pH測定装置が混合チャンバー中に浸されたpH電極である制御された流速で外部で定めた溶離液pH勾配の形成を監視および補正する上述のフィードバックコントロールシステムと、
当該混合溶液を混合チャンバーから制御された流速でポンピングするための手段と
を備えている。
【0038】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離するクロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
最高の初期pHで、少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤(該陰イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器から混合チャンバー中にポンプで送出される異なるpHの前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップと、
pH依存性の電圧信号を発生する混合チャンバー中に浸したpH電極を用いて溶離液のpHを測定するステップと、
第1の貯蔵器から送られる溶液のポンピング速度および第2の貯蔵器から送られる溶液のポンピング速度を、外部から範囲を限定して調節する勾配により保持されていないpH勾配が維持されるように、pH電極からの電圧信号およびうえで議論したフィードバックコントロールシステムを利用することによって補正するステップと、
溶離液を混合チャンバーから陰イオン交換吸着剤を含有するカラムを通して供給するステップと、
それぞれが陰イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0039】
本発明の別の態様においては、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する逆クロマトフォーカシング方法が提供され、その方法は、
最低の初期pHの少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤(該陽イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器から混合チャンバー中にポンプで送出される異なるpHの前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップと、
pH依存性の電圧信号を発生する混合チャンバー中に浸したpH電極を用いて溶離液のpHを測定するステップと、
第1の貯蔵器から送られる溶液のポンピング速度および第2の貯蔵器から送られる溶液のポンピング速度を、外部から範囲を限定して調節する勾配により保持されていないpH勾配が維持されるように、pH電極からの電圧信号およびフィードバックコントロールシステムを利用することによって補正するステップと、
溶離液を、陽イオン交換吸着剤を含有するカラムを通して供給するステップと、
それぞれが陽イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0040】
本発明は、広義には上で明らかにした通りであるが、それがそれに限定されるのではなく以下で説明する態様をさらに含むことは、当業者であれば当然理解するであろう。
【0041】
本発明のさらなる目的および利点は以下に続く説明から明らかとなろう。
【0042】
発明の詳細な説明
他に明示しない限り、本明細書で使用されている技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の熟練者が一般に理解しているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似したまたは同等の任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法および材料が記載されている。
【0043】
本明細書で使用する用語「クロマトグラフカラム」または「カラム」とは、吸着剤粒子が充填されておりクロマトグラフィーを行うために使用するチューブを指す。
【0044】
本明細書で使用する用語「樹脂」または「吸着剤」または「交換体」とは、分離すべき1つまたは複数の荷電種を選択的に結合する(すなわち吸着する)クロマトグラフカラム内の固体材料を指す。その吸着剤は、陰イオン交換体または陽イオン交換体のいずれかである。
【0045】
本明細書で使用する用語「両性電解質」とは、酸性および塩基性pK値の両方を有する基を含有する分子を指す。2個以上の荷電基を有する両性電解質は、ポリ両性電解質と呼ぶ。
【0046】
本明細書で使用する用語「陰イオン交換吸着剤」とは、正に帯電しており、陰イオン(すなわち負に帯電している種)を結合する吸着剤を指す。
【0047】
本明細書で使用する用語「陽イオン交換吸着剤」とは、負に帯電しており、陽イオン(すなわち正に帯電している種)を結合する吸着剤を指す。
【0048】
本明細書で使用する用語「イオン交換吸着剤」は、陰イオン交換吸着剤および陽イオン交換吸着剤の両方を含む。
【0049】
本明細書で使用する用語「保持されていないpH勾配」とは、カラムが長さを有している事実のためにカラムの上端から下端までに存在するカラム内のpH勾配を指す。外部勾配クロマトフォーカシング(逆クロマトフォーカシング)においては、外部pH勾配は、時間内に初期pHから最終pHに向かって展開し、その結果、カラムの下端におけるpHがカラムの上端におけるpHより初期pHに近くなる。報告されている他のクロマトフォーカシング技術において、一般的には、保持pH勾配とは、Polybufferの種類またはその他のバッファーの種類のカラムの長さを経た弱陰イオンまたは陽イオン交換体への差別的な結合のために生ずるカラム内の勾配を指す。
【0050】
本明細書で使用する用語「外部で定めた傾き」とは、pH勾配の傾きが、それがコンピュータで制御される異なるpHの2つの外部のバッファーの混合によって生ずるために、外部から定められることを意味する。pHが変化する度合い(すなわちpH勾配の傾き)は、もっぱらオペレーターに依存し、それは、特に強イオン交換樹脂を使用するときはカラムの特性とは実質的に無関係である。これらの樹脂は、それらの全体の実用pH範囲にわたってそれらの(特性)電荷を変えることはない。対照的に、弱イオン交換樹脂を使用するときは、その傾きは、Sluytermanにより記述されている伝統的なクロマトフォーカシングの場合またはFreyおよびLoganにより記述されているクロマトフォーカシング手法におけるようにある程度カラムの特性に依存する。
【0051】
開発されたクロマトグラフシステムの外部勾配クロマトフォーカシング(「ExGC」)および逆外部勾配クロマトフォーカシング(「RevExGC」)は、いくつかの鍵となるやり方において既知のシステムとは根本的に異なる。1つには、pH2から12またはそれ以上(カラムのpH安定性による)の範囲にわたる強陰イオンまたは強陽イオンカラム上にほぼ直線状のpH勾配の前例のない幅を実現するために、各成分のモル比率が初期pHと最終のpHの間の変遷を通じて一定に留まるかまたは変動する、通常の安価な間隔が広くおかれているが重複しているpKを有する独特の組み合わせを採用する。この範囲は、公表されている最大pH範囲(4.5単位、Loganら、Biotechnology and Bioengineering, 62 (2), 1999)の2倍を超える。クロマトフォーカシングの確立されている変形と同じように、本発明は、また、非常に狭いpH範囲(例えば0.1pH単位)に対しても良く機能し、この性能をカラム温度の変化と組み合わせるときは、最初の温度でほとんど同じpIを示すタンパク質であっても、例えば、異なる温度における2番目のクロマトフォーカシング精製ステップにおいて分離することができる。
【0052】
既知の方法にまさる本発明の別の利点は、勾配の最初と最終pH値が、バッファー組成物のpH範囲によるか強交換体樹脂の推奨される安定した作用pH範囲によるかのいずれかによってのみ制限されることである。本発明は、強弱両方の陰イオンおよび陽イオンカラム上で確実に機能するが、強陰イオンおよび強陽イオンカラムが好ましい態様である。図1〜5は、pH2.5と10.5の間ならびに狭い範囲における本発明の汎用性を実証しているが、そればかりでなく、普通に入手できるバッファーにより、pH0から14までであり得る強陰イオンおよび強陽イオン樹脂の最大限の作用範囲にわたって、このシステムにおいてはほぼ直線の勾配の生成が可能となる。しかしながら、pH勾配のこのほぼ直線性は、唯一外部から生じさせる勾配を使用することなしに実現することは依然として非常に困難である。
【0053】
この勾配形成方法は、本発明のやり方と既知の保持性勾配技術の間の別の主要な違いを表している。外部勾配は、開始pHのバッファーの異なるpHにおける2番目のバッファーとの連続的混合によって発生し、同時に2番目のバッファーの比率が、その混合物が所望のpHに達するまで増加する。そのpH勾配を形成しているバッファー溶液のそれぞれは、同じバッファー組成物または異なるバッファー組成物のいずれかからなることができる。その勾配は、形状が直線状または非直線状(すなわち、凹状または凸状または階段状)であり得る。好ましい態様においては、カラムは、強陰イオンまたは強陽イオン交換カラムであり、それは、カラム吸着剤のイオン交換特性がカラムの作用pH範囲を通して変化しないことを意味する。
【0054】
カラム吸着剤の荷電基がpHプロフィールを制御しないという事実にもかかわらず、本発明の方法の集束機能は文献に記載されているシステムと同等またはそれよりも良好である。本発明において集束を生じる状態は、公開されているシステムにおけるものと類似しているが、いくつかの重要な相違がある。例えば、強陰イオン交換カラムが選択されたアルカリ性pHに前もって平衡化されており次いでタンパク質の混合物がカラムの上端で結合されたことを想像されたい。分離の過程で、溶離液バッファーのpHが特定のタンパク質のpIに達したとき、そのタンパク質は、カラムに強く結合するのを止め、最初ははっきりした帯となってカラムを通って降下を開始する。もし集束力が存在しなければ、この帯は、通常の拡散によって帯の動きの中心から離れて一層拡散されることになろう。しかしながら、弱陰イオンカラムに対する複合体バッファー種(すなわちポリバッファー)の差別的結合により形成される保持性勾配の場合に丁度そうであるように、溶離液の先端の下のカラム中のバッファーのpHは、その先端の下の間隔が増すに従って次第によりアルカリ性であり、一方上のバッファーは、その先端の上の間隔が増すに従って次第により酸性である。したがって、報告されているものとまさに同様に、溶離液最前部から遅れるタンパク質分子は、それらが遅れる距離が長いほどますます酸性になるバッファーのために、一層正帯電するようになり、その結果これらのタンパク質分子は、カラム吸着剤の同じ電荷からくる反発作用によりますます加速される。反対に、溶離液最前部の前方に拡散しているタンパク質分子は、それらが前方にあるほど(よりアルカリ性の前方のpHのため)より大きい負電荷を担持し、したがって、カラム吸着剤の反対の電荷に対して増加した結合によって速度を落とす。この過程の結果、タンパク質の帯は、連続的に再集束され、その鮮鋭さを保持し、細い帯としてカラムを出る。
【0055】
2つのシステムにおいて再集束力は類似しているが、本発明の外部勾配クロマトフォーカシングは、2つの重要な態様において異なる。第1に、カラムの長さに沿ったpH勾配は、Polybufferシステムのそれとは違って、流体が、カラムの非常に低いところに早い時期に、したがって初期pHに近いpHで、入ったという事実の結果である。したがって、カラムが長ければ長いほど上端と下端の間のpH差は大きい。この効果は、最前部の大部分の流体をその下のカラム流体と単純に混合することによって幾分か増大し、勾配を大きくする傾向がある。一般に、その時々のカラムの上端からカラムの下端までのpH勾配の範囲は、開始バッファーのpHと最終バッファーのpHとのpHの差、すなわち分離が行われるpH範囲、よりはるかに狭い。第2に、カラムのpH勾配は、そのときの勾配の範囲とは無関係であり、そのため、成し得る最高の分離のために最適化する空間的な勾配条件とこの分離を実現することができるpHの範囲との間にトレードオフが存在しない。対照的に、内部発生勾配システムにおいては、分離のために使用するpHの範囲が大きければ大きいほど、空間的カラム勾配が急となり、分離に障害が起こる。加えて、外部勾配クロマトフォーカシングシステムは、タンパク質がカラムから開放されるやいなやはっきりした溶離液の帯を生成するのに対して、内部勾配システムは、保持されたpH勾配の範囲内でタンパク質がそのpIに達したときにのみ溶離タンパク質の帯の集束を開始する。
【0056】
クロマトフォーカシングまたは逆クロマトフォーカシングのいずれかを用いて広いpH範囲にわたる外部直線状勾配を構築することができることにより、この技術に独特の準備能力が付与される。1つの例は、大量のオボアルブミンを含有する鳥類の卵白等の混合物からいくつかの低存在量タンパク質を精製することである。そのオボアルブミンタンパク質は、4.6のpIを有している。Mono S等の強陽イオンカラムによる本発明の方法を使用することにより、そのカラムを最初にpH4.6に平衡化し、試料を注入し、カラムを最初のバッファーで洗浄し、次いで最終の所要のpHに向けて溶離することができる。この逆クロマトフォーカシングの手法は、膨大な大部分のオボアルブミンが試料の注入および最初の定組成洗浄の間に結合しないでカラムを通過することを可能にし、かくしてpI>4.7のすべてのタンパク質の結合能力を増大させる。このpI>4.6のタンパク質からのオボアルブミンおよびpI<4.6のタンパク質の選択的および迅速な分離は、標準的なクロマトフォーカシング手順が使用された場合は不可能である。
【0057】
外部勾配クロマトフォーカシングおよび逆クロマトフォーカシングの両方の別の利点は、我々が変温外部勾配クロマトフォーカシング、変温逆外部勾配クロマトフォーカシング、等温シフト外部勾配クロマトフォーカシングおよび等温シフト逆外部勾配クロマトフォーカシングと呼ぶ変形である。基本技術の変温変形は、分離すべき荷電分子を充填する前または分離すべき荷電分子を充填した後のいずれかに、交換カラムの上端から下端まで著しい温度勾配を持たせることを含む。基本技術の等温シフト変形は、分離すべき荷電分子を充填する前または分離すべき荷電分子を充填した後のいずれかに、カラムの温度を、最初の温度から最終の温度まで、その長さに沿って均一にカラム温度を変化させることを含む。
【0058】
これら2つの熱技術により付与される利点は、バッファーのpKおよび溶離したタンパク質のpIがカラムを通り抜ける間に変動する事実と関係している。温度勾配または変動は、それ故、さまざまなタンパク質の全体の電荷が、一般にそれらの帯電したアミノ酸の異なる基により決定されるので、与えられた温度でほとんど同じpIを示すタンパク質種類の分離を、その与えられた温度から離れて温度が変動したときのpIの異なる変化によって可能にする。タンパク質のpIおよびバッファーのpKの変動は、Gibbs−Helmoltzの方程式:
【数1】


から直接得られる。解離のエンタルピー(ΔH)対気体定数Rの比は、カルボン酸基に対する約600からアミノ基に対する約5500まで変化する。
【0059】
例えば25℃から55℃までの温度勾配またはジャンプは、カルボキシラート基のpKにおいて0.2pH単位の変動を生むが、多くのアミノ基に対しては約1.6pH単位である。荷電目的分子のpIを変動させてそれらの差を広げることにより当該方法の分離能力が向上する。多くの例において、与えられた温度範囲において非常に近似したpIを有する種類を分離するために必要なあらゆる適応性が等温変動の使用により提供される。
【0060】
温度変動単独では十分にしっかりした分離を生じない場合は、温度勾配のアプローチが有利であることを立証することができる。多くのイオン交換樹脂の結合および分離特性は、温度変化に対して比較的鈍感である。この事実は、既知の溶離バッファーの組成とうまく組み合わせて使用し、温度の関数としてのpHを正確に予測することができる。与えられた温度でほぼ同等のpIを示す関係のないタンパク質またはタンパク質の変異体は、ほとんどいつも異なる一組のイオン化可能な残基を有しているので、温度勾配による溶離の間にそれらのpIは温度の関数として異なる速度で変化し、それらの異なる速度の移動を引き起こす。その結果室温のクロマトフォーカシング(逆クロマトフォーカシング)においては猛烈に重なっている溶離ピークを有するタンパク質が温度勾配の溶離中にうまく分離する。
【0061】
実施例2の実施例4との比較は、両方の実施例の中に存在するすべてのタンパク質について、タンパク質を陰イオン交換体により分離するとき、低いpHに向かう各タンパク質の見掛けの(実効)pIに、陽イオン交換体によるその見掛けのpIと比較した相対的変動が存在することを示している。反対に、タンパク質を陽イオン交換体により分離するとき、高いpHに向かう見掛けのpIに、陰イオン交換体によるその見掛けのpIと比較した相対的変動が存在する。例えば、βLG、コンアルブミン、ヒトトランスフェリンおよびダイズトリプシンインヒビターに対し、pIの変動は、単純な以下の一次方程式により十分に予測される:
Mono S陽イオン交換体による見掛けのpI=1.7019×[(Mono Q陰イオン交換体による見掛けのpI)−1.9034]または、別法では
Mono Q陰イオン交換体による見掛けのpI=0.5506×[(Mono S陽イオン交換体による見掛けのpI)+1.3516]
【0062】
この性質は、本発明の好ましい態様を引き起こして異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法を提供し、その方法は:
最高の初期pHで、少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤(該陰イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、所定の最小pHに達するまでその実効等電点で陰イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陰イオン交換吸着剤から得られた溶出液がさらに分離されるように陽イオン交換吸着剤中に導くステップと、
正帯電している荷電分子を陽イオン交換吸着剤に所定の最小pHに達するまで結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を所定の最小pHから所定の最大pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に所定の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0063】
この態様においては、陽イオン交換吸着剤は、陰イオン交換吸着剤の後に連続して接続され、負に帯電した分子が陰イオン交換体に結合した後でかつ減少するpH勾配が始まる前に開始時のpHで平衡化される。陰イオン交換吸着剤は、次にさらに分離すべき正帯電した分子が陽イオン交換吸着剤に結合した後で、かつpH勾配が時間に合わせて増大するものに逆転する前に陽イオン交換吸着剤から切り離される。
【0064】
上記の陰イオン−陽イオンの態様を補完する本発明の別の好ましい態様は、異なる等電点を有する荷電分子の分離を提供し、それは:
最低の初期pHの少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤(該陽イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ)に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、所定の最大pHに達するまでその実効等電点で陽イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陽イオン交換吸着剤から得られた溶出液がさらに分離されるように陰イオン交換吸着剤中に導くステップと、
負帯電している荷電分子を陰イオン交換吸着剤に所定の最大pHに達するまで結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を所定の最大pHから所定の最小pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に所定の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0065】
この実施形態においては、陰イオン交換吸着剤は、陽イオン交換吸着剤の後に連続して接続され、正に帯電した分子が陽イオン交換吸着剤に結合した後でかつ増大するpH勾配が始まる前に開始時のpHで平衡化される。陽イオン交換吸着剤は、次にさらに分離すべき負帯電した分子が陰イオン交換吸着剤に結合した後で、かつpH勾配が時間に合わせて減少するものに逆転する前に陰イオン交換吸着剤から切り離される。
【0066】
さらに別の好ましい態様は、異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法を提供し、その方法は:
分離すべき荷電分子を、後に陽イオン交換吸着剤が続く陰イオン交換吸着剤(または、補完の態様においては、後に陰イオン交換吸着剤が続く陽イオン交換吸着剤)に適用し、その結果、その2つの吸着剤が、少なくとも1つの初期pHのバッファー成分を含む溶媒により含浸され、そこで分離すべき荷電分子が、3つの荷電の種類、すなわち、初期pHより低い見掛けのpIを有する荷電分子は負に帯電したもの、初期pHで陰イオン交換吸着剤または陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子は中性のもの、初期pHより高い見掛けのpIを有する荷電分子は正に帯電したものの1つに分類されるステップと、
初期pHで負に帯電した荷電分子を陰イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで正に帯電した荷電分子を陽イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHでいずれの吸着剤にも結合できない荷電分子のものを収集するステップと、
陽イオン交換吸着剤と陰イオン交換吸着剤との初期pHにおける接続を互いから切り離すステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、初期pHに始まる時間依存的に減少するpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが最終の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、初期pHに始まる時間依存的に増加するpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが最終の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップとを含む。
【0067】
複合外部勾配クロマトフォーカシング方法は、いくつかの点でさらなる適応性を提供する。最初の説明として、実施例2に示す陰イオン交換吸着剤によるSTIおよびβ−ラクトグロブリンの分離は、決して理想的ではない。β−ラクトグロブリンは、STIから十分に分離されておらず、STIのピークの左側に肩として現れていることを見ることができる。その2つのタンパク質は、pH勾配を単に平坦化することによって、より良く分離することは可能である。しかしながら、これはいつもそうとは限らない。実施例2における理想的な分離達成の失敗は、2つ以上の分離すべき成分の見掛けのpIが理想的な分離を可能にするにはあまりにも似ているより一般的な場合を説明するのに使用することができる。EGCFによる分離(実施例2で示されている)とは対照的に、EGRCFによる2つのタンパク質の分離は、実施例4に示されているように卓越している。目標が高度に精製されたSTIを回収することである場合であれば、実施例2に示されているタンパク質の混合物は、pH4.5で陽イオン交換吸着剤単独に適用し、溶離をpH4.5からpH5.3までのpH勾配により実施したときに卓越した分別が達成可能である。対照的に、STIが非常に低濃度で存在するために十分な量の精製タンパク質を得るにはカラムに一連の試料を適用することが必要である場合、ならびにβ−ラクトグロブリンおよびその他のタンパク質が、はるかに高濃度で存在する不要の汚染物質である場合は、EGRCFを単独で使用し、4.84よりは上であるが5.72より下のpHで試料を適用することによって、STIの各アリコ−トが陽イオン交換吸着剤を結合しないで通過し、β−ラクトグロブリンを含むほとんどすべてのその他の成分が結合されて残ることがもたらされる。その結果、一連の試料適用により集められたSTIを含有する画分は、高度に精製されるが、著しく希釈されており、STIはただでさえ非常に低濃度で存在するために、このことは重大な欠点である。一連の試料が4.84より下のpHで適用される場合は、すべてのSTIは、すべての不要なタンパク質と一緒に付加して結合するであろう。試料の適用を繰り返せば、陽イオン交換吸着剤を飽和させる危険を冒すことになる。EGRCF技術を使用すると、STIは、今度ははるかに高濃度で溶離するが、それを含有する画分は、また、分画されていない試料の繰り返される適用によりカラムに結合された過剰量のタンパク質が生じるか、あるいは、STIのいくらかがカラムの飽和によって失われることになろう。
【0068】
陽イオン交換吸着剤に連続して接続され、陰イオン交換吸着剤が後に続く複合EGCFの態様においては、これらの制限は両方とも同時に処置される。試料を、例えば4.95など、約4.84よりわずかに上のpHで適用することにより、すべてのSTIが結合せずに陽イオン交換吸着剤を通過するようにし、一方β−ラクトグロブリンを含む実質的にすべての不要なタンパク質は陽イオン交換吸着剤に結合させることが可能となる。4.09におけるSTIの陰イオンpIより十分に上である4.95のpHにより、STIの陰イオン交換吸着剤への結合がもたらされる。最後に、試料の陽イオン交換吸着剤への適用完了後、陽イオン交換吸着剤を、除去し、陰イオン交換吸着剤は、pH4.09におけるpH段階の溶離または非常に狭い負の傾きのpH勾配(例えばpH4.2からpH3.9まで)のいずれかにより溶離し、高度に精製したSTIを生じる。その最終の溶離は、陰イオン交換吸着剤からのみ起こるので、集束の効果は最大となり背景にあるタンパク質による不慮の汚染は最小限となる。
【0069】
より複雑な状況を考える場合、複合EGCFの利点は、さらに明らかとなる。再度、実施例2および4で分離されたタンパク質を説明として使用する。STIおよびβ−ラクトグロブリンの両方が目的のタンパク質であるSTI、β−ラクトグロブリンおよびHTを含有する試料について考える。さらに、β−ラクトグロブリンは、非常に低濃度で存在し、HTは、大過剰で存在する。単一のカラムを使用するときは、先に記した制限を有する前の例に置けるようにEGRCFを利用することを強いられよう。複合クロマトフォーカシング方法では、丁度4.23より上のpHにおける陰イオン交換吸着剤単独に複数の試料を最初に充填する。この処置により、STIおよびβ−ラクトグロブリンを除いてすべてのHTが結合せずにカラムを通過し、かくして潜在的な汚染物質としてのHTを排除するステップがもたらされる。次のステップとして、陽イオン交換吸着剤を陰イオン交換吸着剤の下に取り付け、そのカラムのタンデムを4.09より下のpHを有する溶液で段階的に洗浄する。このpHにおいて、STIおよびβ−ラクトグロブリンの両方は陰イオン交換吸着剤から溶離するが、直ぐに、2番目の陽イオン交換吸着剤に結合する。最後のステップにおいて、陰イオン交換吸着剤を除去した後、pH勾配をpH4.2からpH6まで展開し、2つのきれいに分離したSTIとβ−ラクトグロブリンの分画の溶離を生じさせる。同様のやり方で、実施例2および4に示されているいずれのタンパク質も、第2のカラムにより分画し、非常に高純度で溶離することができる。複合EGCF技術の実施形態の実例による説明は実施例7で示す。
【0070】
複合クロマトフォーカシング技術の好ましい態様においては、pH勾配分離が、陰イオンおよび陽イオン吸着剤の両方に対して利用され、この技術の適応性を見せている。再度、実施例2と4を例として取り上げ、STI、HTおよびコンアルブミンが目的生成物であって、HTが非常に低い潤沢度で存在する試料を考える。HTの濃度を大幅に増大することが必要である。最初にタンパク質混合物を適用し、陰イオン吸着剤に6.8のpHで結合させる。そのタンパク質の結合に続いて、陽イオン吸着剤を陰イオン吸着剤の後に連続して取り付け、両方の交換体をpH6.8で平衡化させる。次に、低下するpH勾配をpH6.8からpH4.8まで展開する。そのpH勾配がpH6でコンアルブミンを溶離し始めたとき、その溶出液を陽イオン吸着剤から離れた方向に向け、そのタンパク質を最初の精製した生成物質として回収する。コンアルブミンを回収した後、その溶出液を陽イオン吸着剤中に再度向きを変えて戻す。5.3から4.8のpH範囲において、HTは、陰イオン吸着剤から溶離するが、それは正に帯電しており、その見掛けの陽イオンpIが6.37であるために陽イオン吸着剤に結合する。pH勾配が進行し、pHが4.8より下に落ちたとき、その溶出液を再び陽イオン吸着剤から離れた方向に向け、pH範囲4.3から4.0において、STIの画分を2番目の精製した生成物質として陰イオン吸着剤から溶離する。STIの回収が完了した後、陰イオン吸着剤を陽イオン吸着剤から切り離し、掃除をしてpH6.8で再度平衡化させ、分離すべき別のタンパク質試料を充填し、分画の同じ手順を繰り返す。次の分画に由来するpH勾配の溶出液は、再びpH5.3で開始して陽イオン交換体に入るので、6.8の初期pHの陽イオン吸着剤を再び平衡化させる必要はない。このpHは、HTの見掛けの陽イオンpIより十分に低く、それ故、陽イオン吸着剤に前から結合していたHTを取り除くことはない。陽イオン吸着剤上でのHTの十分な蓄積が達成されたとき、そのタンパク質は、pH6からpH6.6までの逆pH勾配によるかまたはpH6.37において溶離する段階pHによるかのいずれかにより溶離する。複合クロマトフォーカシングの説明した手順を使用することにより、3つのタンパク質すべてを十分に分離し、そのうちの1つを高度に濃縮した状態にすることが可能である。
【0071】
複合EGCF技術の別の態様においては、いずれかのカラムの温度を個々に、または両方のカラムの温度を同時に、吸着剤(1つまたは複数)およびバッファー溶液の作用温度範囲を通して変化させることができる。分離を促進する手段としての温度の使用は、陽イオンから陰イオンに行く結合環境または逆に陰イオンから陽イオンに行く結合環境において、室温において分離する間の特定の目的分子のpIの変動が小さいときに必要となる。
【0072】
タンパク質は、本発明の方法により分離する好ましい荷電分子であるが、その他の適当な荷電分子として、RNA、ポリ両性電解質、アミノ糖類、ウロン酸を含有する電荷を担う多糖類および植物中に天然に発生するタンニン(タンパク質に結合しているポリフェノール酸)などの荷電した芳香族化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本発明のクロマトグラフシステムで使用する適当な溶媒としては、水および当分野で知られている適当な有機溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。水が、好ましい溶媒である。
【0074】
本発明のクロマトグラフシステムで利用されるバッファー成分は、重複するpKを有する。荷電分子の混合物をクロマトグラフ分離する間、各バッファー成分のモル比率は、初期pHと最終のpHの間の変遷を通して一定したままであるかまたは変化するかのいずれかであり得る。本発明のバッファー組成物の各バッファー成分は、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基およびホスホン酸基からなる群から選択された少なくとも1つの官能基を含有しており、約0.001mMから約1000mMの濃度で存在する。適当なバッファー成分の例としては、1,2,3−トリアミノプロパン、1,2−ジ−(2−アミノエチルチオ)エタン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、1,3−ジアミノプロパン、2−(2−ヒドロキシプロピルアミノ)エチルアミン、2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)エチルアミン、2,2’−ジアミノジエチルスルフィド、2,2’−ジアミノジエチルアミン、2,2’−ジヒドロキシジエチルアミン、2,3−ジアミノ−2,3−ジメチルブタン、2,3−ジアミノブタン、2−アミノ−2’−ヒドロキシジエチルスルフィド、2−アミノエチルスルホン酸、2−カルボキシエチルイミノ二酢酸、2−メトキシエチルアミン、2−メトキシエチルイミノ二酢酸、2−メチル−4−ヒドロキシ−アミノベンズイミダゾール、2−メチルベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−メチルチオエチルアミン、2−メチルチオエチルイミノ二酢酸、2−ホスホノエチルイミノ二酢酸、2−チエニルメチルアミン(2−チオフェンメタンアミン)、3,3’−ジアミノジ−n−プロピルアミン、3−ヒドロキシプロピルイミノ二酢酸、4−(2−アミノエチル)モルホリン、4−ブロモイミダゾール、4−ヒドロキシ−6−アミノベンズイミダゾール、4−ヒドロキシベンズイミダゾール、4−ヒドロキシメチルイミダゾール、4−メトキシベンズイミダゾール、4−ニトロイミダゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、ACES(N−(カルバモイルメチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、酢酸、ADA(N−(2−アセトアミド)−2−イミノ二酢酸)、アジピン酸、AlaAlaAla(アラニルアラニルアラニン)、アラニン、アミノマロン酸(アミノプロパン二酸)、AMP(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)、AMPD(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール)、AMPSO(3−[(1,1−ジメチル−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、アルギニン、アスパラギン酸、アスパルチルヒスチジン、アゼライン酸(1,7−ヘプタンジカルボン酸)、安息香酸、ベンジルグルタミン酸、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、BICINE(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)、ビス−トリス(2−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール)、ビス−トリス プロパン(1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン)、ブタン酸、CABS(4−(シクロヘキシルアミノ)−1−ブタンスルホン酸)、CAPS(3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸)、CAPSO(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)、CHES(2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸)、クエン酸(2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸)、システイン、シスチン、シスチニルジグリシン、ジ−(2−ヒドロキシエチル)アミノ酢酸、ジ−(カルボキシメチル)−アミノメチルホスホン酸、ジエタノールアミン、ジエチルアミノ酢酸、ジエチルマロン酸、ジグリシルシスチン、ジメチルアミノ酢酸、ジメチルマロン酸、ジ−n−プロピルマロン酸、DIPSO(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、DL−1:2−ジクロロコハク酸、DL−1:2−ジメチルコハク酸、D−酒石酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EPPS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(3−プロパンスルホン酸))、エタノールアミン、エチレンジアミン、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、エチレンジアミン−N,N−二酢酸、エチルマロン酸、エチル−n−プロピルマロン酸、ギ酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルタチオン−γ−L−グルタミル−L−システイニルグリシン、GlyAla(グリシルアラニン)、GlyAlaAla(グリシルアラニルアラニン)、グリシン、グリシンアミド(2−アミノアセトアミド)、グリコール酸、GlyGly(グリシルグリシン)、G1yGlyGly(グリシルグリシルグリシン)、GlyPro(グリシルプロリン)、HEPBS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(4−ブタンスルホン酸))、HEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸))、HEPPSO(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸))、ヘキサメチレンテトラミン、ヒスチジン、ヒスタミン(1H−イミダゾール−4−エタンアミン)、ヒスチジルチロシン、ホモシスチン(4,4’−ジチオビス(2−アミノブタン酸))、ヒドロキシキノリン、イミダゾール、イミノ二酢酸、イミノジプロピオン酸、i−プロピルマロン酸、乳酸、ロイシン、リジン、マレイン酸、マロン酸、メルカプトエチルアミン、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、メソ−1:2−ジブロモコハク酸、メソ−1:2−ジクロロコハク酸、メソ−1:2−ジメチルコハク酸、メソ−酒石酸、メチル−[β−ジエチルアミノ−エチル]スルフィド、メチルエチルマロン酸、メチルイミノ二酢酸、メチルマロン酸、メチル−α−アミノ−β−メルカプトプロピオネート、MOBS(4−(N−モルホリノ)ブタンスルホン酸)、MOPS(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、MOPSO(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸)、N−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン、N−(カルバモイルメチル)−イミノ二酢酸、N,N’−ジ−(2−アミノエチル)エチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジグリシルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,N’−ジ−n−プロピルエチレンジアミン、N−2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、N−2−スルホエチルイミノ二酢酸、N−アセチルヒスチジン、N−アリルモルホリン、N−アリルピペリジン、N−ブチルアミノ酢酸、N−ジエチル−システアミン、N−ジメチル−システアミン、N−ジプロピル−システアミン、N−エチルアミノ酢酸、N−エチルエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、N−イソプロピルアミノ酢酸、N−イソプロピルエチレンジアミン、ニトリロ三酢酸、N−メチルアミノ酢酸、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペラジン(1−メチルピペラジン)、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルトリメチレンイミン、N−n−ブチルエチレンジアミン、N−n−プロピルアミノ酢酸、N−n−プロピルエチレンジアミン、n−プロピルマロン酸、N−β−メルカプトエチル−モルホリン、N−β−メルカプトエチル−ピペリジン、O,O’−ジエチルコハク酸、O−O’−ジメチルコハク酸、シュウ酸、フタル酸、ピメリン酸、ピペラジン、ピペリジン、PIPES(ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸))、PIPPS(ピペラジン−N,N’−ビス(3−プロパンスルホン酸)、POPSO(ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸))、プロリン、サリチル酸、サルコシン(N−メチルグリシン)、スベリン酸、セリン、コハク酸、スルファニル酸、TABS(N−トリス−(ヒドロキシメチル)メチル−4−アミノブタンスルホン酸)、TAPS([(2−ヒドロキシ−1,1−ビス[ヒドロキシメチル]エチル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸)、TAPSO(3−(N−トリス[ヒドロキシメチル]メチルアミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、タウリン(2−アミノエタンスルホン酸)、TES(2−[(2−ヒドロキシ−1,1−ビス[ヒドロキシメチル]エチル)アミノ]エタンスルホン酸)、テトラメチルコハク酸、トリアミノトリエチルアミン、トレオニン、トリシン N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−グリシン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、トリカルバリル酸(1,2,3−プロパントリカルボン酸)、トリプトファン、チロシン、トリス (トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン);α,α−ジアミノ酪酸、α,β−ジアミノプロピオン酸、α,β−ジメルカプトコハク酸、β−エチルグルタル酸;β−n−プロピルグルタル酸;β,β−ジエチルグルタル酸;β,β−ジメチルグルタル酸;β,β−ジ−n−プロピルグルタル酸;β,β−メチルエチルグルタル酸、β−カルボキシメチルアミノプロピオン酸、β−メチルグルタル酸およびバリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
好ましい態様において、バッファー成分は、ピペラジン、1−メチルピペラジン、トリエタノールアミン、ビス−トリスプロパンおよび場合によりギ酸を含んでいる。
【0076】
バッファー成分を含有するバッファー組成物は、所定のpHにおける組成物が別の所定のpHにおけるバッファー組成物を滴定するとき、2つのその組成物の混合物のpHの変化は、その2つの組成物の各々によって表される混合物の画分に直線的に正比例する性質を有している。一般的には、所定のpHと別の所定のpHの間の差は、1pH単位から10pH単位までのどこかである。そのpHは、一般に、イオン交換カラムの出口で測定する。
【0077】
本発明の方法で用いるのに適した吸着剤は、弱陰イオン交換樹脂、弱陽イオン交換樹脂、強陰イオン交換樹脂および強陽イオン交換樹脂である。典型的な樹脂としては、Mono Q(Amersham Pharmacia)、300VHP(Vydac)、SynChropak SAX(Agilent Technologies)およびCOSMOGEL QA(Nacalai Tesque,Inc.)等の第四級アンモニウム強陰イオン交換体;Mono S(Amersham Pharmacia)等のスルホン酸メチル強陽イオン交換体;SP Sepharose(Amersham Pharmacia)、400VHP(Vydac)、TSK SP−5PW(Agilent Technologies)およびCOSMOGEL SP(Nacalai Tesque,Inc.)等のスルホプロピル強陽イオン交換体;Mono P(Amersham Pharmacia)等の第四級および第三級混合アミン弱陰イオン交換体;DEAE Sepharose(Amersham Pharmacia)、Protein Pack DEAE 5PW(Waters)、TSK DEAE−5PW(Agilent Technologies)および301VHP第三級アミン(中程度DEAE型)陰イオン交換体(Vydac)等のジエチルアミノエチルDEAE弱陰イオン交換体;ANX Sepharose 4FF(Amersham Pharmacia)等のジエチルアミノプロピル弱陰イオン交換体;CM Sepharose FF(Amersham Pharmacia)、SynChropak WCX(Agilent Technologies)、IEC CM−825(Shodex)、STYROS(商標)CM(OraChrom,Inc.)およびCOSMOGEL CM(Nacalai Tesque,Inc.)等のカルボキシメチル弱陽イオン交換体;PL 1000 SAX、SynChropak WAX(Agilent Technologies)等のポリエチレンイミンイオン交換カラムならびに弱陰イオン交換体架橋ポリエチレンイミン相MICRA−Gold AX100、AX1000およびMICRA−Silver AX300(Eichrom Technologies,Inc.)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
代表的なクロマトグラフ分離で採用される初期pHと最終のpHの間の差は、大きく変動し、肝要なpH範囲にわたって安定した直線状外部pH勾配を形成することを可能にするバッファー溶液中に含まれるバッファーの種類、分離すべき化合物のpI、分離すべき化合物のpIの密接度および実験者が勾配の形状を制御することができるpH範囲の幅等の要因に依存する。一般にその差は、約1pH単位から約12pH単位までのどこかである。吸着剤が陰イオン交換吸着剤であるときは、初期pHは、最終のpHより高く(すなわちよりアルカリ性)、一方吸着剤が陽イオン交換吸着剤であるときは、初期pHは、最終のpHより低い(すなわちより酸性)。
【0079】
変温外部勾配クロマトフォーカシング(変温ExGC)および変温逆外部勾配クロマトフォーカシング(変温RevExGC)を提供する本発明の態様の1つにおいて、荷電分子を加えるところから分離した荷電分子を収集するところまで吸着剤に沿って上昇する温度勾配が存在するように、吸着剤を加熱することができる。別の態様においては、荷電分子を加えるところから分離した荷電分子を収集するところまで吸着剤に沿って下降する温度勾配が存在するように、吸着剤を冷却することができる。両方の実施形態において、温度勾配の範囲は、0℃と80℃の間である。
【0080】
本発明の他の態様は、自動化され制御された溶離外部pH勾配の形成を可能にするフィードバックシステムを備えたExGCおよびRevExGCにより荷電分子を分離するための低圧または高圧液体クロマトグラフィー用のクロマトグラフシステムを提供する。このクロマトグラフシステムは、例えば、デュアルポンプブロック、ミキサー、インジェクションバルブ、分子の分離を監視する光検出器またはその他の型の検出器、圧変換器、フラクションコレクターおよびコンピュータ等の液体クロマトグラフに一般的に存在する要素を含有している。Amersham Biosciencesは、吸光度、伝導度およびpH(pHフローセルによる)を監視する高度な複合検出器を有しており、現在、保持性勾配クロマトフォーカシングにより荷電分子の分離に使用することができる、AKTAexplorer、AKTApurifler、AKTAFPLC(FPLC−高速タンパク質液体クロマトグラフィー)およびAKTApilot等の液体クロマトグラフシステムを提供している。荷電分子のExGC(またはRevExGC)に対するpH勾配形成を自動的に制御するために、本発明に記載されているフィードバックpH制御システムを付加することにより、市販の低圧液体クロマトグラフィーまたはHPLCシステムを、容易に適応させることができる。
【0081】
ExGC(またはRevExGC)に対するクロマトグラフシステムの態様においては、比較的小さいpHフローセル(図6パネルAに例示されている)または混合チャンバー中に浸されたpH電極(図6パネルBに例示されている)のいずれかをpH測定装置およびフィードバック信号発生装置として使用する。上で論じたように、ExGC(またはRevExGC)においては、pH勾配の形成は、カラムに充填されている強イオン交換樹脂の特性とは実質的に無関係である。それは、pHフィードバック装置が一般的に分離カラムより上流に置かれる理由である。小さいpHフローセルフィードバックシステムを備えたこのクロマトグラフシステムの実施形態(図6パネルAに例示されている)は、それに限られないが、好ましくは、ポンプAおよびBからポンプ輸送される溶液の比率の小さな変化の結果大きなpHの変化を起こすことができないように複数のバッファー成分を含有するpH勾配形成溶液で使用する。
【0082】
好ましい態様において、混合チャンバーを備えたクロマトグラフシステム(図6パネルBに例示されている)に対するpH制御・補正方法は、次の通り説明される。カラムを最初にpH溶液Aで平衡化し、混合チャンバーを満たす。さらに、ポンプAおよびBを、最初の速度にセットし、pH溶液Bを混合チャンバーに加えることにより溶離液の流れのpHが最終pHの方向に変化を始めるようにする。ポンプCを一定のまたは変動するポンピング速度のいずれかでポンピングするようにセットする。pH電極は、電圧の変化としてのpHの実際の変化を連続的に測定し、それが、事実上フィードバック制御電子黒板またはプログラム可能もしくはコンピュータ制御されるフィードバックコントローラを備えたコンピュータであるフィードバック制御装置に送られる。そのフィードバック制御装置は、pHが前もってプログラムされた勾配によって仮に正確に変化する場合は予想される電圧を決定するアルゴリズムまたはルックアップテーブルを有している。これを理想電圧と呼ぶ。その装置は、そのとき、実際の電圧と理想電圧の間の差(−ΔV)を計算する。この差は、次に、例えば、DET(動的当量点滴定)−LabX滴定ソフトウェア付きのMettler Toledo DL58等の自動滴定装置に使用される−パンフレット、Automatic and flexible DL5x and DL7x titration systems, 2003;Metrohm Titrino 716−Metrohm Ltd. 716 DMS Titrino、Metrohm AG、ヘリーザウ、スイス、1992);PID(比例積分微分)、例えばYokogawa Corporation of America製のYS−170pHコントローラ、アプリケーションノート);ニューラルネットワーク(W. L. M. N. Karim, A. J. Morris, and E. B. Martin, Comput. Chem.Eng., 20:S1017-S1022, 1996), Neural Network Applications in Control, Edited byG. W. Irwin, K. Warwick and K. J. Hunt 1995);ファジー理論(S. Menzl, M.Stuhler, and R. Benz,Wat. Res., 30 (4): 981-991, 1996)、R. Babuska, J. Oosterhoff, A.Oudshoorn, P.M. Bruijn, EngineeringApplications of Artificial Intelligence 15 (1) (2002) pp. 3-15)その他等、いくつかの利用できるフィードバック制御アルゴリズムの1つにより、ポンプAおよびBに送るべき補正電圧を発生させて、次に測定されるΔVの絶対値ができるだけ小さく、前もってプログラムされた範囲内にΔpHを維持するように変換される。ポンプCは、pH勾配形成の初めと終わりで混合チャンバー中の溶液の容積が等しくなるように一定の速度にポンプをセットすることができる。別法では、そのポンピング速度は、混合チャンバー中の溶液の体積の純変化がpH勾配形成の制御を危うくしないような任意の速度であり得る。ポンプAおよびBの個々のポンピング速度に対する段階的な補正が全体のポンピング速度と比較して小さい限り、外部pH勾配の制御は、フィードバックシステムによって維持することができる。このことは、貯蔵器B中で1つだけの弱酸(酢酸)および1つだけの強塩基、水酸化カリウム(KOH)、を用いて広いpH範囲にわたってpH勾配を形成するRevExGCの挑戦的例によって明らかにすることができる。最初にポンプAを用いて混合チャンバー中に溶液の一定容量を注入して維持し、一方ポンプCは、酢酸を汲み出して含浸させて強陽イオン交換カラムを平衡化させる。pH勾配形成が開始したら、ポンプAのスイッチを切る。フィードバックシステムの性能を、開始時のpHにおいてと、Bからのポンピング速度が最高である最大バッファー能力(pK)のpHにおいてと、開始時のpHがその下であるずっと上のpKのpHにおいてと、ほとんどバッファー能力が無く、ポンピング速度が最低である最終のpHにおいて試験する。酢酸の濃度は、10mMであり、したがって開始時のpHは、3に非常に近い。貯蔵器Bは、pH13の300mMのKOHを含有している。実験者は、1ml/分の一定の溶離速度でpH3からpH9まで0.1pH単位/分の一定のΔpHでpHに傾きをつけることを決める。混合チャンバーは、最大容量を3.5リットルに設定し、3リットルの10mMの酢酸を注ぐ。pH3において酢酸は、98.2%が会合しているのに対してpH3.1でそれは97.8%が会合している(すなわち、会合した酸の濃度の40μMの減少)。したがって、3リットルの溶液が存在するため、pHを0.1単位変化させるためには、最初の1分で120μmolのKOHを加えなければならない。KOHの各1mlは、300μmolのKOHを含有しており、そこで0.4ml/分でKOHの添加を開始しなければならない。酢酸の最大バッファー能力は、それが50%解離しているpH=pK=4.75において起こる。pH4.75において、チャンバー中には15mmolの解離していない酸が存在する。pH4.85では13.27mmolの解離していない酸が存在する(すなわち、0.1pH単位の変化を誘発するには1.73mmolのKOHを添加する必要がある)。したがって、ポンプBの最大ポンピング速度は、5.77mmol/分に近づき、それは、十分に利用できるポンプの能力の範囲内である。系がpH6.5に到達する時までに、pH6.6まで滴下するのに必要なKOHの量は、0.3〜0.4ml/分の範囲のポンピング速度に対して、約100μmolである。最後に、pHが、制御して8.9に到達したと仮定した場合、1分間でpH9.0を達成するための塩基の添加は、残存している会合した酢酸が非常に少ないために、その時はごくわずかのはずである。そのシステムの制限は、その時、ポンプBの計算されたポンピング速度(すなわち、KOHの添加)が、そのポンプが可能である最低のポンピング速度より下まで落ちないことである。pH8.9において、混合チャンバー中には解離する2.1μmolの会合した酸が残存していよう。pH9.0においては、1.7μmolの会合した酸が残っている。したがって、0.1pH単位/分の増加を誘発するためには1分当たり0.4μmolのKOHを送らなければならない(すなわち、ポンピング速度は1.3μl/分でなければならない)。入手できる実験室用ポンプ(例えば、Jasco HPLCシリーズ)は、1μl/分から10μl/分のポンピング速度の有効範囲を有している。KOHが非操作のポンプAにより連続的に加えられたために酢酸濃度が低下していることに注意を払わなければならない。優れた最初の概算に向けて、酢酸濃度の減少を、最初の酢酸を全体容積中に希釈することによって計算する。pH勾配形成の時間は60分であり、そのため、その時間内にポンプCにより60mlを除去する。KOHの平均ポンピング速度は、始めの40分間はほぼ3ml/分であるが、最後の20分間は約0.2ml/分に過ぎない。これにより計算すると、pH勾配形成の終点では、混合チャンバー中で、約3,064mlの正味の全体積になる。したがって、酢酸濃度の減少の存在は、わずか約2%に過ぎない。濃KOHを添加するために、溶液のモル濃度の同時的変化は、十分に許容できる低レベルのイオン強度の範囲内である10mMから約22mMまでである。この実施例は、極めて単純で安価なバッファーの化学的性質により、非常に強力な結果を達成することができることを特に説明するために使用した。実際、pH勾配の範囲を通して単一の弱酸または弱塩基に強塩基または強酸を加えることに対応する混合チャンバー中のpHの変化を計算することの相対的な平易さにより、バックアップ補正を提供するフィードバック制御システムによりポンプを運転する簡単な計算アルゴリズムを備えたコンピュータプログラムが可能となる。しかしながら、バッファーの化学的性質が複雑になればなるほど、計算のアルゴリズムがより厄介になり、予想されるのは、最も好ましい態様においては、2つ以上の弱酸または弱塩基を混合チャンバー中に最初に存在させることである。複数のバッファー化合物の溶液をフィードバック制御システムと組み合わせて使用することにより、必要なpH範囲を通して適度の速度で、その間、滴下溶液の化学的性質のあらゆる変化に対応する新しい複雑なアルゴリズムに変化させることを必要とせずに正確なpH勾配を維持して、ポンピングすることが可能となる。
【0083】
実施例
実施例で登場するすべてのクロマトグラフ分離は、コンピュータ制御のACTAFPLC高速タンパク質液体クロマトグラフィーシステム(Amersham Pharmacia Biothech、ウプサラ、スウェーデン)により行い、それは、P−920ポンプ装置、ミキサーM−925、UPC900監視装置、Hg光学素子、5mmフローセル、伝導度セルおよびフラクションコレクターFrac−900を装備している。タンパク質のカラムからの溶離は、280nmまたは254nmにおける溶出液UV吸光度により監視した。各分離の間に1または0.5mlの画分を回収し、それらのpHを、実験の完了直後にPHM82標準pHメーター(Radiometer、コペンハーゲン、デンマーク)により測定した。カラム、Mono Q HR 5/5強陰イオン交換体、Mono S HR 5/5強陽イオン交換体およびMono P HR 5/20弱陰イオン交換体は、Amersham Pharmacia Biotechから購入した。トリエタノールアミンは、Sigma(セントルイス、ミズーリ州、米国)から、イミノ二酢酸、ピペラジン、メチルピペラジンおよびギ酸は、Aldrich(ミルウォーキー、ウィスコンシン州、米国)から、ビス−トリスプロパンは、ICN Biomedicals Inc.(アーヴィン、カリフォルニア州、米国)から、Polybuffer96、Polybuffer74は、Amersham Pharmacia Biotechからである。タンパク質は、Sigma(セントルイス、ミズーリ州、米国)およびCalbiochem(サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)から入手し、さらなる精製はしないで使用した。pH勾配形成溶液は、バッファーの種類を必要な濃度で水に溶解し、それらのそれぞれのpHまで塩酸で滴定し、最終容積まで希釈し、0.45μmのフィルターを通して真空ろ過することにより各実験前に新たに用意した。特に別の指示がない限り、すべて分離は、以下の手順を使用して行った。分離すべきタンパク質の1ないし2mgを、開始時pHのバッファーに溶解し、0.45μmの低タンパク質結合性フィルターを通してろ過した。各分離の前に、カラムを少なくとも10カラム体積分の開始バッファーで平衡化させた(溶出液のpHが開始バッファーのpHと同じになるまで)。タンパク質試料を次にカラムの入口に注入し、結合していない物質を除去するために、カラムを3ないし5カラム体積の開始バッファーにより洗浄した(溶出液中に検出される吸光度の変化がなくなるまで)。その後ポンプを停止することなく、コンピュータ制御の外部勾配クロマトフォーカシング(逆クロマトフォーカシング)分離を、ACTAFPLCシステムのソフトウェア(Unicorn V.3)による前もってプログラムされたクロマトグラフ方法を実行することにより実施した。その方法に包含されていた情報は、溶離液の流速、カラムに適用される前もって形成された外部pH勾配の長さおよび形状、カラムの特性、ならびに前段の溶離および後段の溶離時間に関するものである。
【0084】
最終バッファーのpHにおける勾配形成および2〜7カラム体積の最終バッファーによるカラムの洗浄が完了すると同時にデータの収集は終了した。提示した実施例は、比較的小規模の分析的分離を明らかにしているが、分析用のカラム、例えばMono QおよびMono S HR 5/5で展開した外部pH勾配クロマトフォーカシングおよび逆クロマトフォーカシングは、容易に拡大可能であり、より大きなカラム例えばMono Q、Mono S HR 10/10、HR 16/10またはそれ以上のものによる大規模な精製に使用することができる。
【0085】
実施例1
強陰イオン交換体Mono Q HR5/5による室温における複雑なタンパク質の混合物の外部勾配クロマトフォーカシング分離。開始バッファーA−5mMのメチルピペラジン、5mMのピペラジン、5mMのTE pH9.5、最終バッファーB−5mMのメチルピペラジン、5mMのピペラジン、5mMのTE pH3.5。流速1ml/分、0%Bから100%Bまでの直線状勾配形成の長さ40カラム体積。この実施例における外部勾配を形成するために使用された3成分のバッファーシステムは、極端ではない非直線性のpHプロフィールを示している(図1、パネルB,点線)。試料の複雑性、いくつもの種類のpIが接近していることおよびすべての化合物を分離するために必要な広いpH範囲にもかかわらず、すばらしい分離が達成されている(図1、パネルAおよびB)。
【0086】
実施例2
本発明の4成分バッファーシステムを用いる強陰イオン交換体Mono Q HR 5/5による室温における外部勾配クロマトフォーカシングにより分離した実施例1におけるのと同じ組成のタンパク質混合物。開始バッファーA−4mMのトリス−ビスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジン、4mMのTE pH9.5、最終バッファーB−4mMのトリス−ビスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジン、4mMのTE pH3.5。流速1ml/分、0%Bから100%Bまでの直線状勾配形成の長さ40カラム体積。分離における改良は顕著ではないが、勾配形成溶液(AおよびB)にビス−トリスプロパンを加えることによりpHプロフィールがより一層直線になっている(図2、パネルB,点線)。図2、パネルAは、分離されたタンパク質種類のUV吸光度対pHを示している。
【0087】
実施例3
酵母ホスホグリセリン酸キナーゼ0.2mgの2つの変異体の弱および強陰イオン交換体による内部保持pH勾配クロマトフォーカシングと外部pH勾配クロマトフォーカシングの分離の比較。パネルA Pharmacia Amersham Biotechにより提供されたPolybuffersおよびMono P HR5/20カラムによるクロマトフォーカシング。平衡化バッファーA−25mMのTE イミノ二酢酸によるpH8.3 溶離バッファーB−6mlのPolybuffer96+14mlのPolybuffer74、イミノ二酢酸によるpH5 200mlに希釈。内部保持pH勾配を発生させ、タンパク質を1ml/分の流速の12カラム体積のPolybufferにより溶離した。図3パネルB。
【0088】
Polybuffersを使用しない弱陰イオン交換体Mono P HR 5/20および単純な2成分のバッファーシステムに基づくハイブリッド(外部プラス保持性内部勾配)クロマトフォーカシングにより達成されたPGKの分離。直線状の外部溶離勾配を、流速1ml/分の開始バッファーA−5mMのピペラジン、5mMのTE pH8.2、および最終バッファーB−5mMのピペラジン、5mMのTE pH5、を使用し、18カラム体積で生じた。溶出液pHプロフィールの直線性が大幅に解決されている(点線)ことを見ることができる。図3、パネルC。強陰イオン交換体Mono Q HR 5/5に基づく以外は例3パネルBにおけるものと同様の2成分バッファーシステムを利用した外部勾配クロマトフォーカシングにより分離したPGK。
【0089】
本実施例は、より良好な直線状の溶出液pHプロフィール(点線)およびより良好な分離を示している。流速1ml/分、pH8.3からpH5までの直線状外部勾配の長さ35カラム体積。図3、パネルD。本発明の4成分バッファーを採用し、Mono Q HR 5/5に基づく外部pH勾配クロマトフォーカシング(実施例2参照)により分離したPGK。流速1ml/分、外部pH勾配による溶離の長さ20カラム体積。著しく直線的な溶出液のpH勾配(点線)および得られたタンパク質種の最良の分離に注目されたい。
【0090】
実施例4
pH4からpH9.5までの広範な直線状pH勾配(図4B、点線)および本発明の4成分バッファーシステムを用いる強陽イオンカラムMono S HR 5/5によるタンパク質混合物の外部pH勾配逆クロマトフォーカシング。STIおよびβ−ラクトグロブリンが、この実施例では非常に良く分離されるが、実施例2で示したように、同じバッファーシステムを使用する同じpH範囲にわたる陰イオンカラムでは分離が困難であることに注意することが重要である。これは、利用できる2つの機能、クロマトフォーカシングおよび逆クロマトフォーカシング、を有することの1つの重要な理由を明示している。
【0091】
実施例5
この実施例は、非常に広いpH範囲にわたって、外部勾配クロマトフォーカシングおよび逆クロマトフォーカシングにより荷電分子を分離するために使用される強力なバッファーシステムを示している。その外部勾配は、溶離液1ミリリットル当たり0.10pH単位の直線状pH勾配を維持するように前もってプログラムされている(パネルB、曲線1、3)。両方の技術において観察される平均のpH変化は、溶離液1ミリリットル当たり0.10pH単位(パネルA、曲線1、3)である。その外部勾配は、次のようにして前もってプログラムして形成した:1.クロマトフォーカシングにおいて−58カラム体積で0%のBから90%のBと、15カラム体積で90から100%までのBと,その後100%のBの7カラム体積が続く(パネルB曲線1);2.逆クロマトフォーカシングにおいて−15カラム体積で100%のBから90%のBと、66カラム体積で90から0%までのBと,その後0%のBの7カラム体積が続く(パネルB曲線3)。溶出液の吸光度は、バッファー種の低い吸収性を示し、したがって、両方の技術によって分離した際のバッファーシステムが荷電分子の分光学的検出に対して有する影響が無視できる254nmで監視した(パネルA曲線2、4)。溶出液伝導度の直線状の変化(パネルB曲線2、4)および直線状pHプロフィール(パネルA曲線1、3)は、両方とも、前もって形成された外部pH勾配の形状に対するMono QおよびMono Sカラム樹脂の妨害が低いことを反映している。流速1ml/分。
【0092】
実施例6
この実施例は、外部pH勾配クロマトフォーカシングおよび逆クロマトフォーカシングにより荷電分子を分離するための典型的なクロマトグラフシステムのブロックダイヤグラムを示し、イオン交換カラムに送るpH勾配の形成を監視および調整する自動フィードバックシステムを含む(図6に例示)。このクロマトグラフシステムは、フィードバック源として、pHフローセル(図6、パネルA)またはミキサーチャンバーに組み込まれているpH電極(図6、パネルB)のいずれかを利用することができる。どちらの場合も、そのpH測定装置は、実際のpH勾配の前もってプログラムされたpH勾配からの偏差を補正するために勾配形成溶液のポンピング速度を調節するフィードバックコントローラにpHに依存する電圧信号を送る。これらのシステムの間の違いは、ミキサーチャンバーシステムにおいては、時間依存のpHにより生じた溶離液が、追加のポンプによってミキサーチャンバーからイオン交換カラムに送られることである。そのミキサーチャンバーシステムは、異なる容量のチャンバーを使用することができるために、実際のpH勾配の前もってプログラムされたpH勾配からの大きなpHの偏差を防ぐことができる。ミキサーチャンバー中で滴定される溶液の容積が大きいほどpHを変えるのはより困難である。この技術の実際の応用では、強酸溶液と弱塩基溶液との、または、強塩基溶液と弱酸溶液との任意の組み合わせを使用してpH勾配を形成することが可能である。
【0093】
実施例7
この実施例は、複合外部勾配クロマトフォーカシング技術の汎用性を説明する。2つのカラム、Mono Q強陰イオン交換カラムおよびMono S強陽イオン交換カラムを連続して接続し、開始pH7で平衡化させる。最初のステップでヒトトランスフェリンおよびβlgを注入し、陰イオン交換体に結合させる。2番目のEGCFステップで、pH7からpH4までのpH勾配を展開させ、タンパク質を分離して陰イオン交換体から溶離させ、直ちに陽イオン交換体に結合させる。EGCFの完了と同時に、2つのカラムを互いから切り離し、Mono Qカラムを流路から除去する。最終のEGRCFステップにおいて、pH4からpH7.5まで展開されたpH勾配によって、タンパク質を陽イオン交換体から溶離する。パネルAは、後にEGRCFステップ(破線)が続く最初のEGCFステップ(実線)に基づく吸光度およびpHの変化を図示している。パネルBは、後に2番目のEGRCFステップ(破線)が続く最初のEGCFステップ(実線)の間のpHの関数としての吸光度および伝導度の変化を示している。CEGCF法は、EGRCFにより開始し、同様にEGCFにより終了する逆の順序で実施することができる。
【0094】
これまでの詳細な説明は、単にはっきりと理解することのために提供したものであって、当業者にとって修正は自明のことであるのでそこからは不必要な限定が無いことを理解すべきである。
【0095】
本発明をその特定の実施形態と関連付けて説明してきたが、当然のことながら、それはさらなる修正が可能であり、この出願は、一般に、本発明の原理を受け、本発明が関係する技術分野内の既知の習慣または慣行に入り、上文で説明した本質的な特徴に適用することができ、添付の特許請求の範囲に従うものであるような本開示に由来する新機軸を含む本発明のどのような変形、使用、または適応も対象とすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0096】
添付の図面は、上に列挙した本発明の特徴、利点および目的を詳細に理解することができるように本明細書に包含されている。これらの図面は、特許明細書の一部を形成している。しかしながら、添付した図面は、本発明の好ましい態様を図解するものであって、本明細書に記載されている発明の範囲を限定するものと考えるべきではないことに留意しなければならない。
【0097】
【図1】3成分バッファーシステムを用いる強陰イオン交換カラムに基づく外部勾配クロマトフォーカシングによるタンパク質の複雑な混合物の分離を描く図である。パネルAは、ミオグロビン、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、コンアルブミン、コンアルブミン鉄錯体、ヒトトランスフェリン(HT)、β−ラクトグロブリン(βlg)およびダイズトリプシンインヒビター(STI)の混合物を5mMのメチルピペラジン、5mMのピペラジン、5mMのトリエタノールアミン(TE)バッファーpH9.5に溶解し、Mono Q HR 5/5カラムにpH9.5で結合し、外部勾配クロマトフォーカシングにより分離した図である。パネルBは、5mMのメチルピペラジン、5mMのピペラジン、5mMのTEバッファーpH9.5の、5mMのメチルピペラジン、5mMのピペラジン、5mMのTEバッファーpH3.5との混合により生じた外部pH勾配によるMono Q HR 5/5の溶離の間に観察された溶出液pHのプロフィール(点線)を示す図である。Mono Q HR 5/5は、5mMのメチルピペラジン、5mMのピペラジン、5mMのTEバッファーpH9.5により平衡化させた。流速1ml/分、pH9.5からpH3.5までのpH勾配形成の長さ40カラム体積。
【図2】4成分バッファーシステムを用いる強陰イオン交換カラムに基づくクロマトフォーカシングによるタンパク質の複雑な混合物の分離を描く図である。パネルAは、ミオグロビン、PGK、コンアルブミン、コンアルブミン鉄錯体、ヒトトランスフェリン、βlgおよびダイズトリプシンインヒビターの混合物を4mMのビス−トリスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジン、4mMのTEバッファーpH9.5に溶解し、Mono Q HR 5/5カラムにpH9.5で結合し、外部勾配クロマトフォーカシングにより分離した図である。パネルBは、4mMのビス−トリスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジン、4mMのTEバッファーpH9.5の4mMのビス−トリスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジン、4mMのTEバッファーpH3.5との混合に基づいて生じた外部pH勾配によるMono Q HR 5/5の溶離の間に観察された溶出液pHのプロフィール(点線)を示す図である。Mono Q HR 5/5は、4mMのビス−トリスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジン、4mMのTEバッファーpH9.5により平衡化させた。流速1ml/分、pH9.5からpH3.5までの勾配形成(溶離)の長さ40カラム体積。
【図3】さまざまなクロマトフォーカシング技術を採用した酵母ホスホグリセリン酸キナーゼの2つの変異体の分離の比較を描く図である。パネルAは、Pharmaciaにより市販されているクロマトフォーカシングシステム−弱陰イオン交換カラム、Mono P HR 5/20およびPolybuffers−を採用したPGKの保持pH勾配クロマトフォーカシング分離の図であり、開始バッファーが25mMのTEのイミノ二酢酸によるpH8.3、溶離バッファーが6mlのPolybuffer96+14mlのPolybuffer74のイミノ二酢酸によるpH5で200mlに希釈したものである。流速1ml/分、Polybufferによる溶離の長さ12カラム体積。ピーク間の分離が小さいことに注意。パネルBは、単純な2成分のバッファーシステム、5mMのピペラジン、5mMのTEおよびMono P HR 5/20を用いて分離したPGKの図であり、分離がPolybuffersを使用しない弱陰イオン交換体に基づくハイブリッド(外部プラス保持性内部勾配)クロマトフォーカシングにより達成可能であることを示している。流速1ml/分、外部pH勾配による溶離の長さ18カラム体積。パネルCは、強陰イオン交換体Mono Q HR 5/5に基づく以外は実施例3パネルBにおけるものと同様の2成分バッファーシステムを用いた外部勾配クロマトフォーカシングにより分離したPGKの図であり、より良好な直線状pHのプロフィール(点線)を示している。流速1ml/分、外部直線状pH勾配による溶離の長さ35カラム体積。パネルDは、実施例2で示した本発明の4成分バッファーを用いたMono Q HR 5/5に基づいて分離したPGKの外部pH勾配クロマトフォーカシングの図である。流速1ml/分、勾配形成の長さ20カラム体積。溶出液の著しく直線的なpH勾配(点線)および得られたタンパク質種類の最良の分離に注目されたい。
【図4】4成分バッファーシステムを用いる強陽イオン交換カラムに基づく外部勾配逆クロマトフォーカシングによるタンパク質の混合物の分離を描く図である。パネルAは、ダイズトリプシンインヒビター、βlg、ヒトトランスフェリンおよびコンアルブミンの混合物を、4mMのビス−トリスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジン、4mMのTEバッファーpH4に溶解し、Mono S HR 5/5カラムにpH4で結合し、外部勾配逆クロマトフォーカシングにより分離した図である。パネルBは、4mMのビス−トリスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジン、4mMのTEバッファーpH4の、4mMのビス−トリスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジン、4mMのTEバッファーpH9.5との混合に基づいて生じた外部pH勾配によるMono Q HR 5/5の溶離の間に観察された溶出液pHのプロフィール(点線)を示す図である。Mono S HR 5/5は、4mMのビス−トリスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジン、4mMのTEバッファーpH4により平衡化させた。流速1ml/分、pH4からpH9.5までの外部直線状pH勾配による溶離の長さ37カラム体積。
【図5】溶出液のpH、吸光度および伝導度ならびに予めプログラムされた外部勾配の線を示す図であり、クロマトフォーカシングおよび逆クロマトフォーカシング技術における広いpH範囲のバッファーシステム(開始バッファー:4mMのビス−トリスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジンおよび4mMのトリエタノールアミンで、Mono Q HR 5/5にはpH9.7またはMono S HR 5/5にはpH10.5。最終バッファー:4mMのビス−トリスプロパン、4mMのメチルピペラジン、4mMのピペラジン、4mMのトリエタノールアミンおよび2mMのギ酸によるpH2.5)の適用性を立証している。流速1ml/分、外部勾配形成(溶離)の長さは、クロマトフォーカシングには73カラム体積、逆クロマトフォーカシングの間は81カラム体積。パネルAは、広いpH範囲のバッファーシステムを利用したMono Q HR 5/5に基づくクロマトフォーカシング(曲線1、2)およびMono S HR 5/5に基づく逆クロマトフォーカシング(曲線3、4)の間の溶出液pHおよび吸光度のプロフィールの図である。パネルBは、広いpH範囲のバッファーシステムを利用したMono Q HR 5/5に基づくクロマトフォーカシング(曲線1、2)およびMono S HR5/5に基づく逆クロマトフォーカシング(曲線3、4)による溶出液伝導度により反映される前もってプログラムされた外部勾配の形成および実際の勾配の進展の濃度線の図である。
【図6】イオン交換カラムに与えるpH勾配の形成を監視および調整する自動フィードバックシステムを備えた外部pH勾配クロマトフォーカシングおよび逆クロマトフォーカシングにより荷電分子を分離するためのクロマトグラフシステムを示す図である。パネルAは、必要なときにpH勾配の形成を補正するフィードバックコントローラにpH依存性の電圧信号を送るフィードバック源としてのpHフローセルを利用するクロマトグラフシステムの図である。パネルBは、必要なときにpH勾配の形成を補正するフィードバックコントローラにpH依存性の電圧信号を送るフィードバック源としての混合チャンバー中のpH電極を利用するクロマトグラフシステムの図である。時間依存性pHを有する溶離液は、混合チャンバーからポンプで送出されてさらなるポンプによってイオン交換カラムに送られる。
【図7】クロマトフォーカシングの後に逆クロマトフォーカシングが続く組み合わせられた外部勾配クロマトフォーカシング(CEGCF)を示す図である。陰イオン交換カラム(例えば、Mono Q)および陽イオン交換カラム(例えばMono S)は、連続して接続する。タンパク質は、最初に開始pHで加えて陰イオン交換体に結合させる。pH7からpH4までのpH勾配が展開されるとタンパク質は分離され、陰イオン交換体から溶離し、陽イオン交換体に結合する。クロマトフォーカシングのステップが完了すると同時に、2つのカラムを切り離し、タンパク質をpH4からpH7.5のpH勾配を有する逆クロマトフォーカシングにより陽イオン交換体から溶離させる。パネルAは、後に逆クロマトフォーカシングのステップ(破線)が続く最初のクロマトフォーカシングのステップ(実線)に基づく吸光度およびpHの変化を図示している。パネルBは、後に2番目の逆クロマトフォーカシングのステップ(破線)が続く最初のクロマトフォーカシングのステップ(実線)の間のpHの関数としての吸光度および伝導度の変化を示している。CEGCF法は、EGRCFにより開始し、同様にEGCFにより終了する逆の順序で実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離するクロマトフォーカシング方法であって、
陰イオン交換吸着剤が荷電分子と反対の電荷をもつ最高の初期pHで、少なくとも3種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも3種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも3種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが陰イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項2】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する逆クロマトフォーカシング方法であって、
陽イオン交換吸着剤が荷電分子と反対の電荷をもつ初期pHで、バッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出されるバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される初期pHとは異なるpHの前記のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される、時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが陽イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項3】
荷電分子がタンパク質である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒が水である請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
バッファー成分が、重複するpKを有しており、各成分のモル比率が初期pHと最終pHの間の変遷を通して一定に維持される請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
各バッファー成分が、アミノ、アミド、イミノ、イミド、カルボキシル、スルホン、リン酸およびホスホン酸からなる群から選択された少なくとも1つの官能基を含有している請求項5に記載の方法。
【請求項7】
バッファー成分が、ピペラジン、1−メチルピペラジン、トリエタノールアミンおよびビス−トリスプロパンを含んでいる請求項5に記載の方法。
【請求項8】
陰イオン交換吸着剤が、強陰イオン交換樹脂および弱陰イオン交換樹脂からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
陰イオン交換吸着剤が、強陰イオン交換樹脂である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
陽イオン交換吸着剤が、強陽イオン交換樹脂および弱陽イオン交換樹脂からなる群から選択される請求項2に記載の方法。
【請求項11】
陽イオン交換吸着剤が、強陽イオン交換樹脂である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
初期pHと初期pHとは異なるpHの間の差が、約1単位から約12単位までである請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項13】
外部で定めた傾きが、ほぼ直線勾配または非直線勾配である請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項14】
初期pHが、初期pHとは異なるpHより高い請求項1に記載の方法。
【請求項15】
初期pHが、初期pHとは異なるpHより低い請求項2に記載の方法。
【請求項16】
荷電分子を加えるところから分離した荷電分子を収集するところまで吸着剤に沿って上昇する温度勾配が存在するように吸着剤を加熱することをさらに含む請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項17】
温度勾配の範囲が、0℃と80℃の間である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
荷電分子を加えるところから分離した荷電分子を収集するところまで吸着剤に沿って下降する温度勾配が存在するように吸着剤を冷却することをさらに含む請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項19】
温度勾配の範囲が、0℃と80℃の間である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する方法であって、
イオン交換吸着剤に、前記荷電分子を温度Tで加えるステップと、
前記イオン交換吸着剤に、初期pHのバッファー成分を含む溶媒を含浸させるステップであって、ここでイオン交換吸着剤は荷電分子と反対の電荷をもつ、ステップと、
イオン交換吸着剤の温度をTに変化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出されるバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される初期pHとは異なるpHの前記のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される、時間依存性のpHを有する溶離液を、前記イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれがイオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップであって、TとTの間の差が0℃と80℃の間であるステップと
を含む方法。
【請求項21】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する方法であって、
イオン交換吸着剤に、温度Tにおいて、初期pHのバッファー成分を含む溶媒を含浸させるステップであって、ここでイオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ、ステップと、
イオン交換吸着剤の温度をTに変化させるステップと、
分離すべき荷電分子をイオン交換吸着剤に加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出されるバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される初期pHとは異なるpHの前記のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される、時間依存性のpHを有する溶離液を、前記イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれがイオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップであって、TとTの間の差が0℃と80℃の間であるステップと
を含む方法。
【請求項22】
異なる等電点を有する荷電分子をイオン交換樹脂でクロマトグラフィーにより分離するためのバッファー組成物であって、予め定めたpHの前記組成物が別の予め定めたpHの前記組成物により滴定するとき、その2つの組成物の混合物のpHの変化が、その2つの組成物のそれぞれによって表される混合物の画分に直線的に正比例するような少なくとも3つのバッファー組成物の水溶液を含む組成物。
【請求項23】
予め定めたpHと別の予め定めたpHの間の差が、1から10のpH単位である請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
pHをイオン交換カラムの出口で測定する請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
各バッファー成分が、アミノ、アミド、イミノ、イミド、カルボキシル、スルホン、リン酸およびホスホン酸からなる群から選択された少なくとも1つの官能基を含有している請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
各バッファー成分が0.001mMから1000mMの濃度で存在する請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
バッファー成分が、ピペラジン、1−メチルピペラジン、トリエタノールアミンおよびビス−トリスプロパンを含んでいる請求項22に記載の組成物。
【請求項28】
荷電分子を分離するためのクロマトグラフシステムであって、
初期pHの少なくとも3種のバッファー成分を含む溶媒を含浸したイオン交換吸着剤を含有するカラムであって、ここで前記イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ、カラムと、
初期pHの前記少なくとも3種のバッファー成分を含む第1の溶液を含有する第1の貯蔵器と、
初期pHとは異なるpHの前記少なくとも3種のバッファー成分を含む第2の溶液を含有する第2の貯蔵器と、
前記第1および第2の溶液の外部で作製した混合物を送り込んで外部で定めたpH勾配を吸着剤に形成させ、カラム内に保持されていないpH勾配を出現させる手段と
を備えたシステム。
【請求項29】
カラム内の保持されていないpH勾配が、直線状である請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
カラム内の保持されていないpH勾配が、非直線状である請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
カラム内の非直線状のpH勾配が、凹形、凸形または階段状である請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離するクロマトフォーカシング方法であって、
陰イオン交換吸着剤が荷電分子と反対の電荷をもつ最高の初期pHで、少なくとも3種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される初期pHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも3種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される異なるpHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも3種のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される、時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが陽イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項33】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する逆クロマトフォーカシング方法であって、
陽イオン交換吸着剤が荷電分子と反対の電荷をもつ初期pHで、バッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される初期pHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される初期pHとは異なるpHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される、時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合割合を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが陽イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項34】
バッファー成分が、重複するpKを有しており、各成分のモル比率が初期pHと最終pHの間の変遷を通して一定に維持されるかまたは変動する請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
バッファー成分が、ピペラジン、1−メチルピペラジン、トリエタノールアミン、ビス−トリスプロパンおよびギ酸を含んでいる請求項33に記載の方法。
【請求項36】
荷電分子を分離するためのクロマトグラフシステムであって、
初期pHの少なくとも3種のバッファー成分を含む溶媒を含浸したイオン交換吸着剤を含有するカラムであって、ここで前記イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ、カラムと、
初期pHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記少なくとも3種のバッファー成分を含む第1の溶液を含有する第1の貯蔵器と、
初期pHとは異なるpHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記少なくとも3種のバッファー成分を含む第2の溶液を含有する第2の貯蔵器と、
前記第1および第2の溶液の外部で作製した混合物を送り込んで外部で定めた初期pHから最終pHまでのpH勾配を形成させ、カラム内に保持されていないpH勾配を出現させる手段と
を備えたシステム。
【請求項37】
クロマトグラフシステムによって発生する前もってプログラムされた時間依存性pH勾配におけるpH偏差を自動的に補正するためのフィードバック制御システムであって、
測定pHの既知関数である出力電圧を生ずるpH測定装置と、
フィードバック制御装置であって、
適切に短時間の間隔の入力として、クロマトグラフシステムによって発生する溶離液のpHを監視するpH測定装置から電圧を受け取り、その電圧を、前もってプログラムされた時間依存性pH勾配の予想されるpH値に対応するセットポイント電圧と比較し、
その絶対値が誤差と見なされる入力電圧(すなわち測定pH)とセットポイント電圧(すなわち予想pH)の間の差を計算し、かつ
クロマトグラフシステムの勾配を発生させるポンプのポンピング速度を、誤差の絶対値が最小となるように、適宜電流または電圧いずれかとしての訂正信号を計算するための任意の既知のフィードバックアルゴリズムを使用して調節する
制御装置と
を備えたシステム。
【請求項38】
荷電分子を分離するためおよびカラム内に調節された保持されていないpH勾配を出現させるためのクロマトグラフシステムであって、
初期pHの少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸したイオン交換吸着剤を含有するカラムであって、ここで前記イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ、カラムと、
初期pHの前記少なくとも1種のバッファー成分を含む第1の溶液を含有する第1の貯蔵器と、
初期pHとは異なるpHの前記少なくとも1種のバッファー成分を含む第2の溶液を含有する第2の貯蔵器と、
第1および第2の溶液を混合するための第1の貯蔵器ポンプおよび第2の貯蔵器ポンプであって、前記第1の貯蔵器ポンプおよび前記第2の貯蔵器ポンプのポンピング速度は、制御された流速で外部で定めた溶離液pH勾配を形成するべく調節される、ポンプと、
pH測定装置がpHフローセルである、制御された流速で外部で定めた溶離液pH勾配の形成を監視および補正する請求項37に記載のフィードバックコントロールシステムと
を備えたシステム。
【請求項39】
カラム内の調節された保持されていないpH勾配が、直線状である請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
カラム内の調節された保持されていないpH勾配が、非直線状である請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
カラム内の調節された非直線状のpH勾配が、凹形、凸形または階段状である請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
pHフローセルが、第1および第2溶液が混合される場所から下流に位置する請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離するクロマトフォーカシング方法であって、
最高の初期pHで、少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される初期pHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からミキサー中にポンプで送出される異なるpHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップと、
pHに依存する電圧信号が発生し、第1の貯蔵器および第2の貯蔵器からポンプで送出される溶液の比率が、請求項37に記載のフィードバックコントロールシステムによって、外部から定め調節する勾配により保持されていないpH勾配が維持されるように変動することを可能にするpHフローセルを通ってミキサーから溶離液を流すステップと、
それぞれが陰イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項44】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する逆クロマトフォーカシング方法であって、
最低の初期pHで、少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陽イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される初期pHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からミキサー中にポンプで送出される異なるpHのさらなるバッファー成分があるかまたはない前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップと、
pHに依存する電圧信号が発生し、第1の貯蔵器および第2の貯蔵器からポンプで送出される溶液の比率が、請求項37に記載のフィードバックコントロールシステムによって、外部から定め調節する勾配により保持されていないpH勾配が維持されるように変動することを可能にするpHフローセルを通ってミキサーから溶離液を流すステップと、
それぞれが陽イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項45】
少なくとも1種のバッファー成分が、少なくとも2つの成分であるとき、該複数成分が、重複するpKを有しており、各成分のモル比率が初期pHと最終pHの間の変遷を通して一定に維持されるかまたは変動する請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
少なくとも1種のバッファー成分が、少なくとも2つの成分であるとき、成分の1つが強酸であるかまたは強塩基であり、各成分のモル比率が初期pHと最終pHの間の変遷を通して一定に維持されるかまたは変動する請求項43または44に記載の方法。
【請求項47】
荷電分子を分離するためおよびカラム内に調節された保持されていないpH勾配を生じさせるためのクロマトグラフシステムであって、
初期pHの少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸したイオン交換吸着剤を含有するカラムであって、ここで前記イオン交換吸着剤は、分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ、カラムと、
初期pHの前記少なくとも1種のバッファー成分を含む第1の溶液を含有する第1の貯蔵器と、
初期pHとは異なるpHの前記少なくとも1種のバッファー成分を含む第2の溶液を含有する第2の貯蔵器と、
第1および第2の溶液を前記第1の溶液の所定の容量を含有する混合チャンバー中にポンピングするための第1の貯蔵器ポンプおよび第2の貯蔵器ポンプであって、前記第1の貯蔵器ポンプおよび前記第2の貯蔵器ポンプのポンピング速度は、制御された流速で外部で定めた溶離液pH勾配を形成するべく調節される、ポンプと、
pH測定装置が混合チャンバー中に浸されたpH電極である、制御された流速で外部で定めた溶離液pH勾配の形成を監視および補正する請求項37に記載のフィードバックコントロールシステムと、
当該混合溶液を混合チャンバーから制御された流速でポンピングするための手段と
を備えたシステム。
【請求項48】
カラム内の調節された保持されていないpH勾配が、直線状である請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
カラム内の調節された保持されていないpH勾配が、非直線状である請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
カラム内の調節された非直線状のpH勾配が、凹形、凸形または階段状である請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離するクロマトフォーカシング方法であって、
最高の初期pHで、少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器から混合チャンバー中にポンプで送出される異なるpHの前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップと、
pH依存性の電圧信号を発生する混合チャンバー中に浸したpH電極を用いて溶離液のpHを測定するステップと、
第1の貯蔵器から送られる溶液のポンピング速度および第2の貯蔵器から送られる溶液のポンピング速度を、外部から定め調節する勾配により保持されていないpH勾配が維持されるように、pH電極からの電圧信号および請求項37に記載のフィードバックコントロールシステムを利用することによって補正するステップと、
溶離液を混合チャンバーから陰イオン交換吸着剤を含有するカラムを通して供給するステップと、
それぞれが陰イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項52】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する逆クロマトフォーカシング方法であって、
最低の初期pHの少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陽イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を加えるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器から混合チャンバー中にポンプで送出される異なるpHの前記の少なくとも1種のバッファー成分を含有する溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップと、
pH依存性の電圧信号を発生する混合チャンバー中に浸したpH電極を用いて溶離液のpHを測定するステップと、
第1の貯蔵器から送られる溶液のポンピング速度および第2の貯蔵器から送られる溶液のポンピング速度を、外部から定め調節する勾配により保持されていないpH勾配が維持されるように、pH電極からの電圧信号および請求項37に記載のフィードバックコントロールシステムを利用することによって補正するステップと、
溶離液を陽イオン交換吸着剤を含有するカラムを通して供給するステップと、
それぞれが陽イオン交換吸着剤からその実効等電点において別々に溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項53】
少なくとも1種のバッファー成分が、少なくとも2つの成分であるとき、該複数成分が、重複するpKを有しており、各成分のモル比率が初期pHと最終pHの間の変遷を通して一定に維持されるかまたは変動する請求項43、44、51または52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
少なくとも1種のバッファー成分が、少なくとも2つの成分であるとき、成分の1つが強酸であるかまたは強塩基であり、各成分のモル比率が初期pHと最終pHの間の変遷を通して一定に維持されるかまたは変動する請求項43、44、51または52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
最高の初期pHで、少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を陰イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、両方の交換体を最高の初期pHで平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、所定の最小pHに達するまでその実効等電点で陰イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陰イオン交換吸着剤から得られた溶出液がさらに分離されるように陽イオン交換吸着剤中に導き、かつ
正帯電している荷電分子を陽イオン交換吸着剤に所定の最小pHに達するまで結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陽イオン交換吸着剤を所定の最小pHから所定の最大pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に所定の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項56】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
最低の初期pHの少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陽イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を陽イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、両方の交換体を最低の初期pHで平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、所定の最大pHに達するまでその実効等電点で陽イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陽イオン交換吸着剤から得られた溶出液がさらに分離されるように陰イオン交換吸着剤中に導き、かつ
負帯電している荷電分子を陰イオン交換吸着剤に所定の最大pHに達するまで結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陰イオン交換吸着剤を所定の最大pHから所定の最小pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に所定の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項57】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
分離すべき荷電分子を、後に陽イオン交換吸着剤が直列に接続されている陰イオン交換吸着剤に適用し、その結果、その2つの吸着剤が、少なくとも1つの初期pHのバッファー成分を含む溶媒により含浸され、そこでそれぞれの分離すべき荷電分子が、3つの荷電の種類、すなわち、初期pHより低い見掛けのpIを有する荷電分子は負に帯電したもの、初期pHで陰イオン交換吸着剤または陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子は中性のもの、初期pHより高い見掛けのpIを有する荷電分子は正に帯電したものの1つに分類されるステップと、
初期pHで負に帯電した荷電分子を陰イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで正に帯電した荷電分子を陽イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで陽イオン交換吸着剤または陰イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子のものを収集するステップと、
陰イオン交換吸着剤と陽イオン交換吸着剤との初期pHにおける接続を互いから切り離すステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、初期pHに始まる時間依存的に減少するpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが最終の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、初期pHに始まる時間依存的に増加するpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが最終の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項58】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
分離すべき荷電分子を、後に陰イオン交換吸着剤が直列に接続されている陽イオン交換吸着剤に適用し、その結果、その2つの吸着剤が、少なくとも1つの初期pHのバッファー成分を含む溶媒により含浸され、そこでそれぞれの分離すべき荷電分子が、3つの荷電の種類、すなわち、初期pHより低い見掛けのpIを有する荷電分子は負に帯電したもの、初期pHで陰イオン交換吸着剤または陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子は中性のもの、初期pHより高い見掛けのpIを有する荷電分子は正に帯電したものの1つに分類されるステップと、
初期pHで正に帯電した荷電分子を陽イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで負に帯電した荷電分子を陰イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで陰イオン交換吸着剤または陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子のものを収集するステップと、
陽イオン交換吸着剤と陰イオン交換吸着剤との初期pHにおける接続を互いから切り離すステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、初期pHに始まる時間依存的に増加するpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが最終の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、初期pHに始まる時間依存的に減少するpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
それぞれが最終の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項59】
カラム内の保持されていないpH勾配が直線状である請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
カラム内の保持されていないpH勾配が非直線状である請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
カラム内の非直線状のpH勾配が、凹形、凸形または階段状である請求項60に記載の方法。
【請求項62】
荷電分子がタンパク質である請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
溶媒が水である請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
バッファー成分が、重複するpKを有しており、各成分のモル比率が初期pHと最終pHの間の変遷を通して一定に維持されるかまたは変動する請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
各バッファー成分が、アミノ、アミド、イミノ、イミド、カルボキシル、スルホン、リン酸およびホスホン酸からなる群から選択された少なくとも1つの官能基を含有している請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
各バッファー成分が0.001mMから1000mMの濃度で存在する請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
バッファー成分が、ピペラジン、1−メチルピペラジン、トリエタノールアミン、ビス−トリスプロパンおよびギ酸を含んでいる請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
陰イオン交換吸着剤を、強陰イオン交換樹脂および弱陰イオン交換樹脂からなる群から選択する請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
陰イオン交換吸着剤が、強陰イオン交換樹脂である請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
陽イオン交換吸着剤を、強陽イオン交換樹脂および弱陽イオン交換樹脂からなる群から選択する請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
陽イオン交換吸着剤が、強陽イオン交換樹脂である請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
初期pHと初期pHとは異なるpHの間の差が、>0単位から約12単位までである請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
分離すべき分子を加えるところから分離した分子を収集するところまで1または複数の吸着剤に沿って上昇する温度勾配が存在するように第1の吸着剤または第2の吸着剤または両方の吸着剤を加熱することをさらに含む請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
温度勾配の範囲が、0℃と80℃の間である請求項73に記載の方法。
【請求項75】
分離すべき分子を加えるところから分離した分子を収集するところまで1または複数の吸着剤に沿って降下する温度勾配が存在するように第1の吸着剤または第2の吸着剤または両方の吸着剤を冷却するステップをさらに含む請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
温度勾配の範囲が、0℃と80℃の間である請求項75に記載の方法。
【請求項77】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
最高の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を陰イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、陽イオン交換吸着剤の温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tの溶媒中で測定した最高の初期pHで平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最小pHに達するまでその実効等電点で陰イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陰イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陽イオン交換吸着剤中に導き、かつ
正帯電している荷電分子を陽イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最小pHに達するまで結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陽イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最小pHから所定の最大pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項78】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
最低の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陽イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を陽イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、陰イオン交換吸着剤の温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tの溶媒中で測定した最低の初期pHで平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最大pHに達するまでその実効等電点で陽イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陽イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陰イオン交換吸着剤中に導くステップと、
負帯電している荷電分子を陰イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最大pHに達するまで結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陰イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最大pHから所定の最小pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項79】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
最高の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を陰イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tで変化させた最高の初期pHにおいて平衡化させるステップと、
温度Tの第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、温度Tの第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最小pHに達するまでその実効等電点で陰イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陰イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陽イオン交換吸着剤中に導き、かつ
正帯電している荷電分子を陽イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最小pHに達するまで結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陽イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最小pHから所定の最大pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項80】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
最低の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陽イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を陽イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tで変化させた最高の初期pHにおいて平衡化させるステップと、
温度Tの第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、温度Tの第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最大pHに達するまでその実効等電点で陽イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陽イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陰イオン交換吸着剤中に導くステップと、
負帯電している荷電分子を陰イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最大pHに達するまで結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陰イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最大pHから所定の最小pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最小pHに達するまで陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項81】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
最高の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を陰イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、陽イオン交換体の温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tで測定した最高の初期pHにおいて平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最小pHに達するまでその実効等電点で陰イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陰イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陽イオン交換吸着剤中に導くステップと、
正帯電している荷電分子を陽イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最小pHに達するまで結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陽イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最小pHから所定の最高の初期pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最高の初期pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
陽イオン交換樹脂の温度をTに変化させるステップと、
温度Tにおける所定の最高の初期pHから所定の2番目の最大pHまで時を合わせて増大するpH勾配を有する陽イオン交換吸着剤を含浸させ続けるステップと、
それぞれがその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から、温度Tにおいて前記所定の2番目の最大pHに達するまで別々に溶離する荷電分子を収集するステップと、
増大しつつあるpH勾配を使用する溶離が後に続く段階的な温度の変化を繰り返し、それぞれが最終温度Tに達するまで陽イオン交換吸着剤から時を合わせて別々に溶離する荷電分子を収集するステップと、
所定の最後から2番目の最大pHから所定の究極の最大pHまで時を合わせて増大するpH勾配を有する陽イオン交換吸着剤の含浸を継続するステップと、
それぞれが別々に最終温度Tで究極の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項82】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
最低の初期pHおよび温度Tにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陽イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を陽イオン交換吸着剤の後に直列に接続し、陰イオン交換体の温度をTに変化させ、両方の交換体を温度Tで測定した最低の初期pHにおいて平衡化させるステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に温度Tで供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで所定の最大pHに達するまでその実効等電点で陽イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陽イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、温度Tでさらに分離されるように陰イオン交換吸着剤中に導くステップと、
負帯電している荷電分子を陰イオン交換吸着剤に温度Tで所定の最大pHに達するまで結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
陰イオン交換吸着剤を温度Tにおける所定の最大pHから所定の最低の初期pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に温度Tで所定の最低の初期pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
陰イオン交換樹脂の温度をTに変化させるステップと、
温度Tにおける所定の最低の初期pHから所定の2番目の最小pHまで時を合わせて減少するpH勾配を有する陰イオン交換吸着剤を含浸させ続けるステップと、
それぞれがその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から、温度Tにおいて前記所定の2番目の最小pHに達するまで別々に溶離する荷電分子を収集するステップと、
増大しつつあるpH勾配を使用する溶離が後に続く段階的な温度の変化を繰り返し、それぞれが最終温度Tに達するまで陰イオン交換体から時を合わせて別々に溶離する荷電分子を収集するステップと、
所定の最後から2番目の最小pHから所定の究極の最小pHまで時を合わせて減少するpH勾配を有する陰イオン交換吸着剤の含浸を継続するステップと、
それぞれが別々に最終温度Tで究極の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項83】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
分離すべき荷電分子を、温度Tの陰イオン交換吸着剤に、続いて温度Tで直列に接続されている陽イオン交換吸着剤に適用し、その結果、その2つの吸着剤が、少なくとも1つの温度Tで測定される初期pHのバッファー成分を含む溶媒により含浸され、そこで分離すべき荷電分子が、3つの荷電の種類、すなわち、初期pHより低い見掛けのpIを有する荷電分子は負に帯電したもの、初期pHで陰イオン交換吸着剤または陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子は中性のもの、初期pHより高い見掛けのpIを有する荷電分子は正に帯電したものの少なくとも1つに分類されるステップと、
初期pHで負に帯電した荷電分子を温度Tで陰イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで正に帯電した荷電分子を温度Tで陽イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで温度Tで陰イオン交換吸着剤または温度Tで陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子のものを収集するステップと、
陽イオン交換吸着剤と陰イオン交換吸着剤との初期pHにおける接続を互いから切り離すステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、温度Tで測定して初期pHに始まる時間依存的に減少するpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで温度Tで維持するために変動させるステップと、
それぞれが温度Tで最終の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、温度Tで測定して初期pHに始まる時間依存的に増加するpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで温度Tで維持するために変動させるステップと、
それぞれが温度Tで最終の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項84】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
分離すべき荷電分子を、温度Tの陽イオン交換吸着剤に、続いて温度Tで直列に接続されている陰イオン交換吸着剤に適用し、その結果、その2つの吸着剤が、少なくとも1つの温度Tで測定される初期pHのバッファー成分を含む溶媒により含浸され、そこで分離すべき荷電分子が、3つの荷電の種類、すなわち、初期pHより低い見掛けのpIを有する荷電分子は負に帯電したもの、初期pHで陰イオン交換吸着剤または陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子は中性のもの、初期pHより高い見掛けのpIを有する荷電分子は正に帯電したものの1つに分類されるステップと、
初期pHで正に帯電した荷電分子を温度Tで陽イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで負に帯電した荷電分子を温度Tで陰イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
初期pHで温度Tで陰イオン交換吸着剤または温度Tで陽イオン交換吸着剤のいずれにも結合できない荷電分子のものを収集するステップと、
陽イオン交換吸着剤と陰イオン交換吸着剤との初期pHにおける接続を互いから切り離すステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、温度Tで測定して初期pHに始まる時間依存的に増加するpHを有する溶離液を、前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで温度Tで維持するために変動させるステップと、
それぞれが温度Tで最終の最大pHに達するまでその実効等電点において陽イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと、
第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される、温度Tで測定して初期pHに始まる時間依存的に減少するpHを有する溶離液を、前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで温度Tで維持するために変動させるステップと、
それぞれが温度Tで最終の最小pHに達するまでその実効等電点において陰イオン交換吸着剤から溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項85】
カラム内の保持されていないpH勾配が直線状である請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
カラム内の保持されていないpH勾配が非直線状である請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
カラム内の非直線状のpH勾配が、凹形、凸形または階段状である請求項86に記載の方法。
【請求項88】
荷電分子がタンパク質である請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
溶媒が水である請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
バッファー成分が、重複するpKを有しており、各成分のモル比率が初期pHと最終pHの間の変遷を通して一定に維持されるかまたは変動する請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
各バッファー成分が、アミノ、アミド、イミノ、イミド、カルボキシル、スルホン、リン酸およびホスホン酸からなる群から選択された少なくとも1つの官能基を含有している請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
各バッファー成分が0.001mMから1000mMの濃度で存在する請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
バッファー成分が、ピペラジン、1−メチルピペラジン、トリエタノールアミン、ビス−トリスプロパンおよびギ酸を含んでいる請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
陰イオン交換吸着剤を、強陰イオン交換樹脂および弱陰イオン交換樹脂からなる群から選択する請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
陰イオン交換吸着剤が、強陰イオン交換樹脂である請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
陽イオン交換吸着剤を、強陽イオン交換樹脂および弱陽イオン交換樹脂からなる群から選択する請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
陽イオン交換吸着剤が、強陽イオン交換樹脂である請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
初期pHと初期pHとは異なるpHの間の差が、>0単位から約12単位までである請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
温度勾配の範囲が、0℃と80℃の間である請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
温度Tで測定した最高の初期pHにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陰イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陰イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるものであって、前記陰イオン交換吸着剤を、前記溶媒が吸着剤に入るときの温度である温度Tから前記溶媒が吸着剤を出るときの温度である温度Tまでの温度勾配の下におくステップと、
陰イオン交換吸着剤の後に、陰イオン交換吸着剤からの溶出液が陽イオン交換体に入るときの陽イオン交換吸着剤の温度である温度Tから前記溶出液が陽イオン交換体を出るときの温度である温度Tまでの温度勾配の下におく陽イオン交換吸着剤を直列に接続し、温度Tで測定した最高の初期pHにおける両方のイオン交換体を平衡化させるステップと、
温度Tの第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、温度Tの第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、温度Tから温度Tの勾配にかけた前記陰イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで測定した所定の最小pHに達するまでその実効等電点で陰イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陰イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、さらに分離されるように、温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陽イオン交換吸着剤中に導くステップと、
正帯電している荷電分子を、温度Tで測定した所定の最小pHに達するまで温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陽イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
陰イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陽イオン交換吸着剤を温度Tで測定した所定の最小pHから所定の最大pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に、温度Tで測定して所定の最大pHに達するまで、その実効等電点において温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陽イオン交換吸着剤から、溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項101】
異なる等電点を有する荷電分子をクロマトグラフィーにより分離する複合外部勾配クロマトフォーカシング方法であって、
温度Tで測定した最低の初期pHにおける少なくとも1種のバッファー成分を含む溶媒を含浸した陽イオン交換吸着剤であって分離すべき荷電分子と反対の電荷をもつ陽イオン交換吸着剤に、分離すべき荷電分子を適用して結合させるものであって、前記陽イオン交換吸着剤を、前記溶媒が吸着剤に入るときの温度である温度Tから前記溶媒が吸着剤を出るときの温度である温度Tまでの温度勾配の下におくステップと、
陽イオン交換吸着剤の後に、陽イオン交換吸着剤からの溶出液が、陰イオン交換体に入るときの陰イオン交換吸着剤の温度である温度Tから前記溶出液が陰イオン交換体を出るときの温度である温度Tまでの温度勾配の下におく陰イオン交換吸着剤を直列に接続し、温度Tで測定した最低の初期pHにおける両方のイオン交換体を平衡化させるステップと、
温度Tの第1の貯蔵器からポンプで送出される少なくとも1種のバッファー成分を含有する初期pHの溶液を、温度Tの第2の貯蔵器からポンプで送出される前記少なくとも1種のバッファー成分を含有するpHの異なる溶液との連続混合で形成される時間依存性のpHを有する溶離液を、温度Tから温度Tの勾配にかけた前記陽イオン交換吸着剤に供給するステップであって、その混合比率を、保持されていないpH勾配を外部で定めた傾きで維持するために変動させるステップと、
荷電分子の溶離であって、それぞれが、温度Tで測定した所定の最大pHに達するまでその実効等電点で陽イオン交換吸着剤から別々に溶離するステップと、
荷電分子を含有する陽イオン交換吸着剤から得られた溶出液が、さらに分離されるように、温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陰イオン交換吸着剤中に導くステップと、
負帯電している荷電分子を、温度Tで測定した所定の最大pHに達するまで温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陰イオン交換吸着剤に結合させるステップと、
陽イオン交換吸着剤を取り除くステップと、
温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陰イオン交換吸着剤を温度Tで測定した所定の最大pHから所定の最小pHまで展開するように含浸させてpH勾配を逆転させるステップと、
それぞれが別々に、温度Tで測定して所定の最小pHに達するまで、その実効等電点において温度Tから温度Tまでの温度勾配の下においた陰イオン交換吸着剤から、溶離する荷電分子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項102】
n∈{0,1,2,3,4}およびm∈{0,1,2,3,4}の場合に、任意の一組の温度についての温度差の絶対値|Tn〜Tm|が0℃から80℃の範囲である、請求項100または請求項101に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−500852(P2007−500852A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533089(P2006−533089)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/015216
【国際公開番号】WO2004/103519
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505426037)クリオバイオフィジカ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】