説明

外部電極蛍光ランプを作製する方法、それに用いる厚膜電極組成物、それから作製されたランプおよびLCDデバイス

本発明は、薄膜トランジスタ−液晶ディスプレイ(TFT−LCD)用途に用いる外部電極蛍光ランプ(EEFL)の電極を作製する方法に関する。TFT−LCDバックライトユニットに用いる外部電極蛍光ランプ用電極構造も開示されている。方法は、電気的機能性粒子と有機媒体とを含む導電性層厚膜組成物を準備する工程と;第1の端部、第2の端部および内側周壁を有する円筒形ガラス管(2)を準備する工程であって、前記内側周壁に沿って蛍光物質が提供され、放電ガスが前記ガラス管に注入され、前記ガラス管が前記第1の端部および前記第2の端部の両方で封止されている、工程と;前記導電性層厚膜組成物を、前記ガラス管(2)の前記第1の端部および前記第2の端部に適用する工程と;前記ガラス管および導電性層厚膜組成物を焼成して、前記第1の端部の電極と前記第2の端部の電極とを含む外部電極蛍光ランプを作製する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ−液晶ディスプレイ(TFT−LCD)用途に用いる外部電極蛍光ランプ(EEFL)の電極を作製する方法に関する。本発明はまた、TFT−LCDバックライトユニットに用いる外部電極蛍光ランプ用電極構造も提供する。
【背景技術】
【0002】
基本レベルの液晶ディスプレイデバイスは、偏光フィルム側とガラス側とを有する2片の偏光ガラスを含む。表面に微細な溝(偏光膜と同じ方向に配向された)を作成する特殊ポリマーが、ガラスの非偏光膜側で擦られる。ネマチック液晶のコーティングを、フィルタの一方に追加する。溝によって、液晶分子の第1の層が、フィルタの配向と並ぶ。ガラスの第2の片を、第1の片に対して直角に、偏光フィルムに追加する。最上層が、下部に対して90度の角度になって、第2の偏光ガラスフィルタの配向に適合するまで、液晶分子の各連続層が、徐々に捩れる。
【0003】
光が第1のフィルタに当たると偏光する。液晶分子の最後の層が、第2の偏光ガラスフィルタと適合すると、光は通過する。通過する光は、液晶分子に電荷を用いることにより制御される。
【0004】
アクティブ−マトリックスLCDは、薄膜トランジスタ(TFT)次第である。基本的に、TFTは、ガラス基板上に特定のマトリックスで配列された微小スイッチングトランジスタとキャパシタである。これらのTFTが電荷を受ける領域を制御して、画像が見られる。
【0005】
LCDデバイスへの光は、バックライトユニットを用いることにより供給される。2つの可能なバックライトユニットタイプとして、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)と、外部電極蛍光ランプ(EEFL)とがある。
【0006】
図4Aに、従来の外部電極を示す。金属カプセルが、ガラス管の端部に結合されていて、強誘電体が、金属カプセルの内側に適用されている。このタイプの電極は、グリーンリー(Greenlee)による米国特許公報(特許文献1)に開示されている。しかしながら、電極の結合された部分は損傷を受け易い。ガラス管の熱膨張係数が、金属カプセルとは異なるためである。
【0007】
図4Bに、他のタイプの電極が示されており、これは、チョら(Cho et al.)による米国特許公報(特許文献2)に開示されている。チョら(Cho et al.)の電極は、導電性接着剤16を用いて、封止されたガラス管に取り付けられた金属キャップである。同開示文献において、電極はまた、接着剤付きの導電性テープ14とすることもでき、テープ14は、図4Cに示すように、ガラス管2に取り付けられている。
【0008】
図4Dに、他のタイプの電極が示されており、これは、タケダら(Takeda et al.)による米国特許公報(特許文献3)に開示されている。タケダら(Takeda et al.)に開示された電極は、アルミニウムホイル15であり、導電性シリコーン接着層を用いて、封止されたガラス管2に取り付けられている。
【0009】
接着剤を用いると、上述した従来技術のEEFLのように、EEFLデバイスの電極とガラス管との間の結合が脆弱となるという欠点がある。接着剤は、機械的な結合を提供するに過ぎず、電極の脆弱な結合によって、信頼性が乏しくなってしまう。例えば、熱サイクル中、電極とガラス管との間のギャップが生じる。これは、金属キャップ(電極)とガラス管との間の熱膨張係数の不適合によるものである。過酷な環境において接着剤が劣化してもギャップが生じる。電極とガラス管との間のギャップによって、EEFL欠陥につながる。これは、恐らく、EEFLの高操作電圧が、ガラス管に均一に適用されないためである。ギャップ周囲の高い電気抵抗によって、ガラス管の破壊的損傷につながる。ギャップ周囲の高い応力もまた、分離を強め、信頼性試験中、デバイスの損傷を加速する可能性がある。
【0010】
本発明は、EEFLの電極を作製し、LCDデバイスを作製する新規な方法である。本発明は、外部電極を備えた蛍光ランプ、およびかかるランプと電極を作製する方法に関し、かかる方法および電極は、厚膜ペーストを利用するものであり、特に、LCD用途に用いられる本明細書に記載された方法から作製されたバックライトユニットに関する。
【0011】
【特許文献1】米国特許第2,624,858号明細書
【特許文献2】米国特許第6,674,250号明細書
【特許文献3】米国特許第6,914,391号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、外部電極蛍光ランプを作製する方法であって、電気的機能性粒子と有機媒体とを含む導電性層厚膜組成物を準備する工程と、第1の端部、第2の端部および内側周壁を有する円筒形ガラス管を準備する工程であって、該内側周壁に沿って蛍光物質が提供され、放電ガスが該ガラス管に注入され、該ガラス管が該第1の端部および該第2の端部の両方で封止されている工程と、導電性層厚膜組成物を、該ガラス管の該第1の端部および該第2の端部に適用する工程と、該ガラス管および導電性層厚膜組成物を焼成して、該第1の端部の電極と該第2の端部の電極とを含む外部電極蛍光ランプを作製する工程とを含む方法を提供する。
【0013】
一実施形態において、本発明の方法、上記の適用工程は、ディップコーティング、スクリーン印刷、ロールコーティングおよびスプレーコーティングから選択される。さらなる実施形態において、本方法は、該焼成工程の前に、該導電性層厚膜組成物を乾燥する工程をさらに含む。さらなる実施形態において、本方法は、保護層組成物を準備する工程と、該焼成工程後に、該保護層組成物を、該導電性層厚膜組成物を部分的または完全に覆うように、該第1の端部および該第2の端部に適用する工程とをさらに含む。さらに他の実施形態において、本発明の導電性層厚膜組成物は、ガラスフリットをさらに含む。
【0014】
さらなる実施形態において、外部電極蛍光ランプは、上述および後述の本発明の方法により作製される。他の実施形態において、液晶ディスプレイデバイスは、上記から作製された外部電極蛍光ランプを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
開示されているのは、外部電極蛍光ランプを作製する方法である。図面を参照すると、本発明の利点は、蛍光ランプ1のガラス管2への外部電極5の取り付けの優れた結合強度である。この構成によって、外部電極の信頼性が改善される。焼成プロセス中、電極ペースト8のガラスフリットが、導電性層6(図3(B)参照)を、ガラス管へ強固に化学および機械結合する。業界の様々な例に比べ、電極の強固で均一なしっかりと結合された構造によって、信頼性および電気的特性において優れた性能を与える。
【0016】
電極の良好な結合から得られる他の利点は、電気的性能である。電極の強固で均一な結合によって、電極がランプのガラス管と密着することにより、電気抵抗が低く、ランプに印加された電力の電力への変換効率が高くなって、ガラス管内側の蛍光物質が励起される。EEFLを操作するためのAC電力は、通常、40kHz〜100kHzの範囲であり、電極とガラス管の界面での結合が、EEFLにおけるような高電気周波数の状況においてより顕著に、デバイス照明効率に影響する。本発明のさらなる利点は、大量生産し易いことである。本発明において、ローリング、スプレー、ディップ等の適用プロセスは、業界においては、一般的に、容易なプロセスである。必要とされる設備投資は低コストであり、高性能の再現性でEEFLデバイスを作製することができる。電極の物理および性能均一性は、導電性材料が、従来技術で述べたように、テープ、金属キャップまたはホイルの形態よりも、本発明において既述したように、ペーストの形態にあるときの方が達成され易い。このように、容易に取り入れて、高品質EEFLデバイスを、大量生産することができる。
【0017】
図3に、本発明の一実施形態による蛍光ランプ1を示す。図3を参照すると、蛍光ランプ1は、円筒形ガラス管2を含む。蛍光物質3が、ガラス管2の内側周壁に沿って提供される。蛍光物質がガラス管2内側に適用された後、互いに混合した不活性ガス、水銀(Hg)等からなる放電ガス4を用い、ガラス管2に注入してから、ガラス管2の両端を封止する。
【0018】
図3を参照すると、蛍光ランプ1の外部電極5は、封止されたガラス管2の対向端部にそれぞれ形成されている。電極5の構造は、導電性層6と、導電性層6を覆う保護層7とを含む。導電性層6は、Al、Ag、Cu等の金属とバインダー材料とを含む厚膜ペーストである。本発明に用いるために選択される金属は、導電性層6に非常に低い電気抵抗を与え、バインダー組成物は、導電性層6のガラス管2に対する強い接着力を与える。典型的に、厚膜ペーストの適用方法は、スクリーン印刷またはディップコートである。しかしながら、当業者に周知の他の方法も可能である。本発明に有用な適用可能な厚膜ペースト組成物について後述する。
【0019】
(I.電極の厚膜ペースト導電性層)
(A.電気的機能性粒子)
導体用途においては、機能性相は、電気的機能性導体粉末を含む。ある厚膜組成物中の電気的機能性粉末は、単一種の粉末、粉末の混合物、数種類の元素の合金または化合物を含んでいてよい。本発明で用いられる電気的機能性導電性粉末は、これらに限られるものではないが、金、銀、ニッケル、アルミニウム、パラジウム、モリブデン、タングステン、タンタル、錫、インジウム、ルテニウム、コバルト、タンタル、ガリウム、亜鉛、マグネシウム、鉛、アンチモン、導電性カーボン、白金、銅またはこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
金属粒子は、有機材料でコートしても、しなくてもよい。特に、金属粒子は、界面活性剤でコートされていてよい。一実施形態において、界面活性剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアレートの塩、パルミテートの塩およびこれらの混合物から選択される。対イオンは、これらに限られるものではないが、水素、アンモニウム、ナトリウム、カリウムおよびこれらの混合物とすることができる。
【0021】
球状粒子やフレーク(ロッド、コーンおよびプレート)をはじめとする実質的に任意の形状の金属粉末を、本発明を実施するのに用いることができる。一実施形態において、金属粉末は、金、銀、パラジウム、白金、銅およびこれらの組み合わせである。さらなる実施形態において、粒子は球である。
【0022】
さらなる実施形態において、本発明は、有機媒体中の分散液に関する。金属粉末は、ナノサイズの粉末であってもよい。さらに、導電性機能性粒子は、界面活性剤でコートされていてもよい。界面活性剤は、所望の分散液特性を形成するのに役立つ。電気的機能性粒子の典型的な粒径は、約10ミクロン未満である。粒径は、適用方法および厚膜組成物の所望の特性に応じて異なるものと考えられる。一実施形態において、2.0〜3.5ミクロンの平均粒径を用いる。さらなる実施形態において、D90は、約9ミクロンである。さらに、一実施形態において、表面積対重量比は、0.7〜1.4m2/gの範囲である。
【0023】
(B.有機媒体)
記載した無機成分は、典型的に、機械的混合により、有機媒体と混合されて、「ペースト」と呼ばれる粘性組成物を形成する。これに限られるものではないが、スクリーン印刷やディップコーティング等、適用可能なコーティング方法に好適なコンシステンシーとレオロジーを粘性組成物は有している。様々な不活性粘性材料を、有機媒体として用いることができる。有機媒体は、無機成分が、適切な程度の安定性で分散可能なものでなければならない。媒体のレオロジー特性は、組成物への良好な適用特性を与えるようなものでなければならない。固体の安定分散、スクリーン印刷にとって適切な粘度およびチキソトロピー、基板とペースト固体の適切な湿潤性、良好な乾燥速度および良好な焼成特性が挙げられる。本発明の厚膜組成物に用いる有機ビヒクルは、好ましくは、非水性不活性液体である。増粘剤、安定剤および/またはその他一般的な添加剤を含有していても、していなくてもよい様々な有機ビヒクルを用いることができる。有機媒体は、典型的に、溶剤中のポリマー溶液である。さらに、界面活性剤等の少量の添加剤を有機媒体の一部としてもよい。この目的で最もよく用いられるポリマーは、エチルセルロースである。ポリマーとしては他に、エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、エチルセルロースとフェノール樹脂の混合物、ワニス樹脂および低級アルコールのポリメタクリレートが挙げられ、用いることができる。厚膜組成物で最もよく用いられている溶剤は、エステルアルコールおよびテルペン、例えば、アルファ−またはベータ−テルピネオールまたは松根油{しょうこんゆ}等のその他の溶剤との混合物、ケロセン、ジブチルフタレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ヘキシレングリコール、ならびに高沸点アルコールおよびアルコールエステルである。さらに、基板への適用後、即時の硬化を促進するための揮発性液体を、ビヒクルに含めることができる。これらおよびその他の溶剤の様々な組み合わせを処方して、所望の粘度および揮発性要件が得られる。
【0024】
有機媒体中に存在するポリマーは、合計組成物の0.2重量%〜8.0重量%の範囲である。本発明の厚膜銀組成物を調整して、有機媒体により所定のスクリーン印刷可能な粘度としてもよい。
【0025】
厚膜組成物中の有機媒体と、分散液中の無機成分の比率は、ペーストの適用方法および用いる有機媒体の種類に依存しており、変えることができる。通常、分散液は、良好な湿潤性を得るために、40重量%〜90重量%の無機成分と、10重量%〜60重量%の有機媒体(ビヒクル)を含有する。
【0026】
(C.任意のガラスフリット)
本発明の典型的なガラスフリット組成(ガラス組成)を以下の表1に挙げる。本発明のガラスフリットは任意である。表1に挙げた組成は、限定されるものではないことに留意すべきである。ガラス化学の当業者であれば、本発明のガラス組成物の所望の特性を大きく変えずに、追加の成分で少量置き換えることが考えられるからである。例えば、有用なガラスフリット組成を修正して、耐摩耗性、はんだぬれ性およびその他特性を最適化してもよい。
【0027】
重量パーセント合計ガラス組成物におけるガラス組成を表1に示す。実施例の好ましいガラス組成は、以下の酸化物構成成分を、重量パーセント合計ガラス組成物において、SiO4〜8、Al2〜3、B8〜25、CaO0〜1、ZnO10〜40、Bi30〜70、SnO0〜3の組成範囲で含む。ガラスのより好ましい組成は、重量パーセント合計ガラス組成物において、SiO7、Al2、B8、CaO1、ZnO12、Bi70である。本発明のいくつかの実施形態は、Pbを含まないガラス組成物を含む。ガラスを本発明の厚膜組成物に用いると、処理の際に、基板と組成物との間の熱膨張係数(TCE)がより適合するようになる。特に有利な実施形態は、厚膜組成物がPbを含まないガラスを含むものである。
【0028】
【表1】

【0029】
本発明に有用なガラスフリットとしては、旭硝子(Asahi Glass Company)より市販されているASF1100およびASF1100Bが挙げられる。
【0030】
本発明のガラスフリット(ガラス組成物)の平均粒径は、実際的な用途について0.5μm〜5.0μmである。2.5μm〜3.5μmの範囲の平均粒径が好ましい。ガラスフリットの軟化点(Ts:DTAの第2の転移点)は、300〜600℃の範囲でなければならない。合計組成物中のガラスフリットの量は、合計組成物の0.5〜10重量%の範囲である。一実施形態において、ガラス組成物は、合計組成物の1〜3重量%の量で存在する。さらなる実施形態において、ガラス組成物は、合計組成物の4〜5重量%の範囲で存在する。
【0031】
本明細書に記載したガラスは、従来のガラス製造技術により製造される。ガラスは500〜1000グラムの量で作製される。典型的に、成分は、秤量されて、所望の比率で混合され、床昇降式炉で加熱され、白金合金るつぼ中で溶融物を形成する。加熱は、ピーク温度(1000〜1200℃)まで、溶融物が完全に液体かつ均質になる時間にわたって実施される。溶融ガラスを、対向する回転ステンレス鋼ローラ間で冷却して、10〜20ミルの厚さの板のガラスを形成する。得られたガラス板をミリングして、その50%の体積分布が1〜3ミクロンに設定された粉末を形成する。
【0032】
(II.電極の任意の保護層)
電極7の保護層は、Sn等の低反応性の金属でできている。これは、導電性層6の、環境中の成分、例えば、水分や反応性ガスとの反応から保護するためである。保護層は、全く任意である。
【0033】
図1に、ガラス管2に、電極の導電性層6を適用する異なる方法を示す。金属粉末およびバインダー(上述)をはじめとする電極材料を併せてよく混合して、電極ペースト8を形成する。外部電極5の図3Bおよび3Cに示す導電性層の細部6は、電極ペースト8でできている。異なる粘度の電極ペースト8を、異なるコーティングプロセス、例えば、ローリング、スプレー、ディッププロセス等により、ガラス管2に適用することができる。
【0034】
図1Aを参照すると、ガラス管2のローリングプロセスの例を、3つの工程で行うことができる。ガラス管2の一端を、電極ペースト8に近づけ、移動し、離すものである。ローリングプロセス中、ガラス管2は、両端を通る軸により回され、ガラス管2は、タンクの電極ペースト8の表面に対して小さな角度で並んでいる。
【0035】
図1Bを参照すると、スプレープロセスの一例が行われており、ノズルを通して、電極ペースト8を空気中へ排出し、液滴を形成し、電極ペースト8の液滴は、ガラス管2の端部に堆積する。良好なコーティング均一性のためには、プロセス中、ガラス管2を回すのが好ましい。
【0036】
図1Cを参照すると、ディッププロセスの一例が実施されており、ガラス管2を電極ペースト8にディップし、タンク中の電極ペースト8の表面から引っ張るものであった。ガラス管2の並び方は、電極ペースト8の表面に垂直なものに限定されず、ガラス管2の回転を、ディッププロセス中に採用することができる。
【0037】
図2に、ガラス管2が電極ペースト8でコートされた後の製造プロセスを示す。後のプロセスには、ガラス管2の乾燥、焼成および冷却が含まれる。乾燥、焼成および冷却のプロセスは、バッチまたは連続プロセスで行うことができる。
【0038】
図2を参照すると、乾燥プロセスが定義されており、ガラス管2および導電性層6を、50〜180℃まで、ある時間にわたって加熱することにより実施される。ガラス管2の加熱は、乾燥オーブン中、放射線、加熱雰囲気の循環、または両者の組み合わせで行うことができる。ガラス管2の電極ペースト8中の低沸点有機溶媒は、乾燥プロセス中に引かれ、ガラス管2を焼成プロセスにかける準備が整う。導電性層6は、乾燥後、物理変化を受け難いからである。
【0039】
図2を参照すると、焼成プロセスが定義されており、ガラス管2および導電性層6を、300〜600℃まで加熱することにより実施される。ガラス管は、放射線、加熱雰囲気の循環、または両者の組み合わせで、焼成炉にて、加熱することができる。焼成工程中、耐熱性キャリア9、例えば、石英管を、ガラス管2の均一な加熱および機械的サポートに用いる。加熱雰囲気の組成は、電極ペーストの異なる種類および電極ペースト8の異なる目標性能のために、修正および制御することができる。連続焼成プロセスにおいて、ガラス管2を均一に加熱するために、ガラス管2を、キャリア9の動く方向に垂直に並べることができる。焼成プロセスの目的は、導電性層6の低電気抵抗および導電性層6のガラス管2への高い結合強度を達成することである。焼成プロセス中、電極ペースト8中の全ての有機材料が燃え尽きる。典型的に、焼成工程は、300〜600℃の温度範囲で実施される。焼成後、金属およびガラスフリットのみが、電極の導電性層6に残る。
【0040】
焼成プロセス後、ガラス管2は、空気中で徐冷される。図2を参照すると、冷却プロセスは、ガラス管2に焼き戻し減少温度勾配を与える。冷却プロセス中、ガラス管と導電性層6との間の界面の熱応力を徐々に放出するためには、中程度の冷却速度が必要である。
【0041】
本発明の一実施形態では、ガラスフリットは、厚膜ペースト導電性層に含まれていない。この変形実施形態における電極ペーストは、上述した機能性金属、例えば、Al、Cu、Ag、Auおよび有機媒体、例えば、溶媒と樹脂を含む。このガラスを含まない実施液体の一実施形態において、焼成温度は、80〜300℃の範囲である。さらなるガラスを含まない実施形態において、焼成温度は、300〜600℃の範囲である。一実施形態において、電気的機能性粒子は、ナノサイズ粒子である。ある実施形態において、厚膜組成物は、ポリマーを含むため、ポリマー厚膜組成物である。
【0042】
この変形のガラスを含まない実施形態の利点としては、機械類のコストが低くなること、材料コストが低くなること、そしてプロセスの処理量が多くなることである。変形実施形態の欠点は、結合強度が低くなること、そして、電気的性能は若干悪くなることである。ガラス含有とガラス非含有の実施形態の両方共、大量生産し易いという利点を共有している。
【0043】
外部電極5の任意の保護層7は、冷却プロセス後に導電性層6に適用される。反応性の低い金属層、例えば、Sn、NiおよびZnの導電性層をコーティングすると、外部電極5の保護層7となる。異なるコーティングプロセス、例えば、はんだ付け、電気めっき、化学めっき等を保護層7に採用することができる。
【0044】
外部電極5の長さは、最適化する必要がある。EEFL1の電極5の長さは、ランプの電気的性能に大きく影響する。長い電極を有するランプは、ガラス管2との接触面積が大きくなるため、電気抵抗が低い。例えば、長さを減じた10mmのランプにおいて4mAの典型的な管電流を得るには、長さ20mmの電極のランプに必要とされる電圧の1.7倍という高い電圧を印加しなければならない。短い電極5のランプ1の操作電圧が高いと、電極5周囲にオゾンが生成されたり、バックライトモジュールに絶縁材料を特別に設ける必要があったり、インバータ出力電圧制限に達する等の問題につながる。ランプの高い輝度には、高い操作電流が必要とされる。高操作電圧で高電流のランプを操作するには、電極の長さを長くするという解決策が広く採用されている。この解決策の欠点は、ランプの実際の照明領域が、長い電極より小さくなることである。従って、電極の長さとランプ輝度の最適化を考慮しなければならない。
【実施例】
【0045】
(実施例)
(試験のための導電性電極の形成)
以下の厚膜ペースト組成物を用いて、信頼性試験のための導電性電極を形成した。
【0046】
【表2】

【0047】
上記の組成成分についての詳細な情報を以下に示す。
【0048】
(材料1)
松根油−60.8重量%
ダマールワニス−37.6重量%
エチルセルロース−1.3重量%
ピロガロール酸−0.3重量%
(材料2)
酢酸ブチルカルビトール−75.4重量%
ジブチルフタレート−7.3重量%
エチルセルロース−17.3重量%
(材料3)
MPA−60チキソトロープ−30重量%
ミネラルスピリッツ−35重量%
ジブチルカルビトール−35重量%
(ガラスフリット組成物)
酸化ビスマス−69.8重量%
酸化亜鉛−12.0重量%
酸化ホウ素−8.4重量%
二酸化ケイ素−7.1重量%
酸化アルミニウム−2.1重量%
酸化カルシウム−0.6重量%
【0049】
上記の厚膜ペースト組成物成分の合計は、合計組成物の100重量%である。
【0050】
上記の成分を秤量し、混合した(1.7重量%の材料1とキシレンは除く)。組成物を0psiの圧力で2回通過によりロールミリングし、100、150、200psiの圧力でそれぞれ2回通過させた。粒度(FOG)12um/6um未満。1.7重量%の材料1およびキシレンを添加して処方を完成し、混合して、以下の仕様の組成物を得た。
【0051】
粘度−4−6パスカル秒、PVT(RVTは、粘度計の標準モデル)、1分当たり10回転でSC4−14/6r(粘度計と共に用いるカップとスピンドルを含むSC4−14/6rは試験セットアップである)。
【0052】
外部電極蛍光ランプを、上記の厚膜組成物から作製した。まず、円筒形ガラス管(ランプ)をWellypowerにより提供した。ランプ仕様は次のとおりであった。(1)ランプ長さ179mm(32インチTFT−LCD BLU用)、(2)ランプ直径2.4mm(内)および3mm(外)および(3)外部電極長さ25mm。上記のようにして作製した導電性層厚膜を、ガラス管の端部に適用した。ガラス管を500℃で65分間焼成した。Pbを含まないはんだを260℃で実施した。
【0053】
実施例を作製して(上記の組成物を用いて)、本発明の新規な組成物を用いて、ランプの信頼性を求めた。信頼性試験には、(A)高温(85℃)、高湿(85%相対湿度)寿命試験と(B)バーンイン寿命試験が含まれていた。以下の特性を4つの異なる間隔(0、150、377および792時間)で試験した。(1)開始電圧(65kHzで測定されたV)、(2)輝度(操作電流+7mA.rms)、(3)色度(X)(7mA.rms)および(4)色度(Y)(7mA.rms)。
【0054】
以下の表2および3に、上記の高温/高湿寿命試験(A)と上記のバーンイン寿命試験(B)についての信頼性試験の結果をそれぞれ記してある。
【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】電極ペーストのコーティング方法を示す図である。
【図1B】電極ペーストのコーティング方法を示す図である。
【図1C】電極ペーストのコーティング方法を示す図である。
【図2】電極ペーストが、外部電極蛍光ランプの電極としてガラス管に適用された後の製造プロセスの図である。
【図3A】外部電極蛍光ランプの電極構造の斜視図である。
【図3B】外部電極蛍光ランプの電極構造の図である。
【図3C】外部電極蛍光ランプの電極構造の図である。
【図4A】従来の外部電極蛍光ランプの図である。
【図4B】従来の外部電極蛍光ランプの図である。
【図4C】従来の外部電極蛍光ランプの図である。
【図4D】従来の外部電極蛍光ランプの図である。
【符号の説明】
【0058】
1 蛍光ランプ
2 ガラス管
3 蛍光物質
4 放電ガス
5 外部電極
6 導電性層
7 保護層
8 電極ペースト
8A ペースト
8B ペースト液滴
9 焼成プロセス中のガラス管のキャリア
10 タンク
11 スプレーノズル
12 電気ペースト用供給固定具
13 金属カプセル
14 導電性テープ
15 導電性ホイル
16 導電性接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電極蛍光ランプを作製する方法であって、
電気的機能性粒子と有機媒体とを含む導電性層厚膜組成物を準備する工程と、
第1の端部、第2の端部および内側周壁を有する円筒形ガラス管を準備する工程であって、前記内側周壁に沿って蛍光物質が提供され、放電ガスが前記ガラス管に注入され、前記ガラス管が前記第1の端部および前記第2の端部の両方で封止されている、工程と、
前記導電性層厚膜組成物を、前記ガラス管の前記第1の端部および前記第2の端部に適用する工程と、
前記ガラス管および導電性層厚膜組成物を焼成して、前記第1の端部の電極と前記第2の端部の電極とを含む外部電極蛍光ランプを作製する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記適用する工程が、ディップコーティング、スクリーン印刷、ロールコーティングおよびスプレーコーティングからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記焼成工程の前に、前記導電性層厚膜組成物を乾燥する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
保護層組成物を準備する工程と、前記焼成工程後に、前記保護層組成物を、前記導電性層厚膜組成物を部分的または完全に覆うように、前記第1の端部および前記第2の端部に適用する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記導電性層厚膜組成物がガラスフリットをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記焼成工程が、300〜600℃の温度範囲で実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記焼成工程が、80〜300℃の温度範囲で実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ガラスフリット組成物が、鉛を含まないガラスフリット組成物であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ガラスフリット組成物が、重量パーセント合計ガラスフリット組成物において、SiO4〜8、Al2〜3、B8〜25、CaO0〜1、ZnO10〜40、Bi30〜70、SnO0〜3を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法により作製されることを特徴とする外部電極蛍光ランプ。
【請求項11】
請求項10に記載の外部電極蛍光ランプを含むことを特徴とする液晶ディスプレイデバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【公表番号】特表2009−538510(P2009−538510A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512166(P2009−512166)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/012504
【国際公開番号】WO2007/142883
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】