説明

多価オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子コンジュゲートによる細菌タンパク質産生の阻害

本発明は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子コンジュゲート、および細菌タンパク質産生を阻害する方法に関する。オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子およびキャリアーを含む抗生組成物であって、オリゴヌクレオチドが、原核生物遺伝子の標的非コード配列に対して、ハイブリダイゼーションを可能にする条件下でその標的配列にハイブリダイズするのに十分相補的である、抗生組成物が本明細書に記載されている。本明細書に記載された抗生組成物は、原核細胞に入り、原核生物遺伝子転写および/または翻訳を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)項の下、2009年1月8日に出願された米国仮特許出願第61/143,293号、および2009年4月15日に出願された米国仮特許出願第61/169,384号の利益を主張し、この米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(政府の利益についての陳述)
本発明は、国立衛生研究所により授与された助成金番号5DP1OD000285の下、政府支援により成された。合衆国政府は、本発明に特定の権利を有する。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子コンジュゲートおよび細菌タンパク質産生を阻害する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
細菌増殖を調節するための新しい作用物質の開発は、最も重要なことである。抗生物質剤への分子的アプローチは有益な結果を生んでいるが、現行の抗生物質処置は、細菌が抗生物質抵抗性を構築するにつれて、より限定的になりつつある。無数の細菌機能を標的にする複数のクラスの抗生物質が存在する。網羅的な列挙ではないが、いくつかの様式として、細菌タンパク質産生を標的にする(翻訳ブロック、例えば、抗リボソーム剤)こと、細菌の細胞壁の完全性を標的にすること、およびゲノム完全性を標的にする(例えば、DNAジャイレース)ことが挙げられる。それにもかかわらず、これらの作用物質の大多数は、接合を介しての、細菌進化および伝達可能な抵抗性の発生によって中和されており、その上、その残りは、同じ運命に会うと予想される。場合によっては、細菌の抵抗性は、1つの細菌種から別の細菌種へと飛び越している。加えて、現行の抗生物質の広範な使用が、たいていの医療行為に抵抗する「スーパー株」の出現をもたらしている。したがって、細菌を標的にする新しいクラスの薬物が研究の優先事項である。
【0005】
多価オリゴヌクレオチドナノ粒子コンジュゲートが、真核生物系において遺伝的制御および検出のストラテジーについての重要な能力を実証している。遺伝的制御について、タンパク質産生は、RNA干渉経路の活性化によるか、またはアンチセンスストラテジーにおけるmRNAの隔離および/もしくは分解によるかのいずれかによってブロックされている。検出の場合、オリゴヌクレオチドナノ粒子コンジュゲートへのmRNA結合を、蛍光シグナルへと変換することができる。哺乳類細胞培養系において、ナノ粒子コンジュゲートは、無毒で安定しており、相補的標的に対してより高い親和性を有し、トランスフェクション剤なしで細胞へ入ることができる。
【0006】
しかしながら、細菌における、特に殺菌剤としての、オリゴヌクレオチドの使用は、限られた価値しかない。限られた数の作用物質が開発されているが、それらの広範な使用は採用されたことがない。概念的に聞こえるかもしれないが、このストラテジーの未使用は、技術的難題(例えば、不十分な遺伝子ノックダウン能力、細菌内送達を達成することができないこと、および細菌内のオリゴヌクレオチド鎖の安定性(すなわち、ヌクレアーゼ抵抗性))によるものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子およびキャリアーを含む抗生組成物であって、オリゴヌクレオチドが、原核生物遺伝子の標的非コード配列に対して、ハイブリダイゼーションを可能にする条件下でその標的配列にハイブリダイズするのに十分相補的である、抗生組成物が本明細書に記載されている。本明細書に記載された抗生組成物は、原核細胞に入り、原核生物遺伝子転写および/または翻訳を制御する。
【0008】
いくつかの実施形態において、原核生物遺伝子へのハイブリダイゼーションが原核細胞の増殖を阻害する、抗生組成物が提供される。別の実施形態において、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが、原核生物遺伝子によってコードされる機能性原核生物タンパク質の発現を阻害する、抗生組成物が提供される。一態様において、抗生組成物は、機能性原核生物タンパク質の発現を、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない細胞と比較して、約75%阻害する。
【0009】
さらなる実施形態において、ハイブリダイゼーションが結果として、変化した活性を有する、原核生物遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を生じる、抗生組成物が提供される。一態様において、発現した遺伝子産物の活性が、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない細胞と比較して、約10%低下している、抗生組成物が提供される。代替の態様において、発現した遺伝子産物の活性が、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない細胞と比較して、約10%増加している、抗生組成物が提供される。
【0010】
別の実施形態において、オリゴヌクレオチドの標的配列へのハイブリダイゼーションが、原核生物遺伝子の転写を阻害する、抗生組成物が提供される。別の実施形態において、オリゴヌクレオチドの標的配列へのハイブリダイゼーションが、原核生物遺伝子によってコードされる機能性タンパク質の翻訳を阻害する、抗生組成物が提供される。
【0011】
本開示は、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが、原核細胞増殖に必須の機能性タンパク質の発現を阻害する、抗生組成物をさらに提供する。様々な態様において、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが、原核細胞増殖に必須の機能性タンパク質の発現を阻害する、抗生組成物が提供され、その機能性タンパク質が、原核細胞増殖に必須であり、かつグラム陰性遺伝子産物、グラム陽性遺伝子産物、細胞周期遺伝子産物、DNA複製に関与する遺伝子産物、細胞分裂遺伝子産物、タンパク質合成に関与する遺伝子産物、細菌ジャイレース、およびアシルキャリアー遺伝子産物からなる群から選択される。
【0012】
別の実施形態において、原核生物遺伝子が、抗生物質抵抗性を与えるタンパク質をコードする、抗生組成物が提供される。
【0013】
いくつかの実施形態において、抗生物質剤をさらに含む抗生組成物が提供される。様々な態様において、抗生物質剤が、ペニシリンG、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、ピペラシリン、イミペネム、アズトレオナム、セファロチン、セファクロール、セフォキシチン、セフロキシム、セフォニシド、セフメタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメット、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキシム、セフスロジン、フレロキサシン、ナリジキシン酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、シノキサシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エチルコハク酸エリスロマイシン、グルコヘプトン酸エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、バンコマイシン、テイコプラニン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ニトロフラントイン、リファンピン、ムピロシン、メトロニダゾール、セファレキシン、ロキシスロマイシン、コ−アモキシクラブアネート(Co−amoxiclavuanate)、ピペラシリンとタゾバクタムとの組合せ、ならびにそれらの様々な塩、酸、塩基、および他の誘導体からなる群から選択される、抗生組成物が提供される。
【0014】
さらに別の実施形態において、オリゴヌクレオチドが、原核生物遺伝子の非コード鎖内の配列に十分相補的である、抗生組成物が提供される。別の実施形態において、オリゴヌクレオチドが、原核生物遺伝子の非コード配列内の配列に対して、三本鎖構造を形成するのに十分相補的である、抗生組成物が提供される。いくつかの態様において、ハイブリダイゼーションが、オリゴヌクレオチドと、非コード配列と、非コード配列に相補的なコード配列との間で三本鎖構造を形成する、抗生組成物が提供される。さらなる態様において、オリゴヌクレオチドが、原核生物遺伝子の非コード配列内の配列に対して、オリゴヌクレオチドと非コード配列との間で二本鎖構造を形成するのに十分相補的である、抗生組成物が提供される。いくつかの態様において、非コード配列はプロモーター配列である。
【0015】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドが3’非コード配列にハイブリダイズする、抗生組成物が提供される。さらなる実施形態において、オリゴヌクレオチドが5’非コード配列にハイブリダイズする、抗生組成物が提供される。
【0016】
本開示はまた、インビトロで標的配列にハイブリダイズする抗生組成物を提供する。いくつかの実施形態において、インビボで標的配列にハイブリダイズする抗生組成物が提供される。
【0017】
ハイブリダイゼーションが結果として、標的遺伝子によってコードされる機能性タンパク質の産生の阻害を生じる条件下で、細胞を本開示の抗生組成物と接触させる工程を含む、細胞において機能性標的遺伝子産物の産生を阻害するための方法が本明細書に提供される。
【0018】
別の実施形態において、本開示のナノ粒子を含む治療的有効量の抗生組成物を細胞に投与する工程を含む、原核生物感染症を処置する方法が提供される。
【0019】
抗生物質および本開示のナノ粒子を含むキットが本明細書にさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、オリゴヌクレオチド金ナノ粒子コンジュゲートが、プロモーター複合体結合(A)および完全mRNA転写産物形成(B)をブロックすることの概略図を示す。
【図2】図2は、コンジュゲート処理後の大腸菌の電子顕微鏡画像を示す。
【図3】図3は、ナノ粒子を用いる細菌ルシフェラーゼ発現の阻害についての結果の概要を示す。ナンセンスは、大腸菌ゲノムまたはトランスフェクションしたプラスミド上の相補的領域を含まない配列を意味する。アンチセンスは、ルシフェラーゼを標的にする配列を意味する。相対的ルシフェラーゼ活性は、ウミシイタケ発現に対して標準化された、バー内のパーセンテージとして示されている。
【図4】図4は、二重鎖侵入スキームを示す。A)ナノ粒子による二重鎖(二重鎖の末端におけるフルオレセインおよび隣接したダブシル)への侵入、それにより蛍光シグナルを放出することの概略図。B)短い(20塩基対)二重鎖および長い(40塩基対)二重鎖の両方における、二重鎖侵入での蛍光の増加を示す結果(灰色ボックスはナンセンス配列を表し、黒色ボックスはアンチセンス配列を表す)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
抗生組成物およびその使用方法が本明細書に提供される。一態様において、抗生組成物は、オリゴヌクレオチドを含むように修飾されたナノ粒子を含み、オリゴヌクレオチドが、原核生物遺伝子の標的非コード配列に対して、ハイブリダイゼーションを可能にする条件下でオリゴヌクレオチドが標的配列にハイブリダイズするように十分相補的である。このハイブリダイゼーションを通して、抗生組成物は、標的原核細胞の増殖を阻害する。標的細胞において、ある特定の態様では、ハイブリダイゼーションは、標的にされた配列によってコードされる機能性タンパク質の発現を阻害する。様々な態様において、標的にされた配列によってコードされる原核生物タンパク質の転写、翻訳、または両方が阻害される。本開示は、細胞を抗生組成物と接触させる工程を含む、細胞において標的原核生物遺伝子産物の産生を阻害するための、本明細書に開示された抗生組成物を利用する方法であって、組成物のナノ粒子に会合したオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で細菌遺伝子の標的非コード配列に十分相補的であり、かつハイブリダイゼーションが結果として、標的遺伝子によってコードされる機能性原核生物遺伝子産物の阻害を生じる、方法をさらに提供する。標的原核生物配列の転写か翻訳のいずれか、または転写と翻訳の両方の阻害が、結果として、標的原核生物配列によってコードされる機能性タンパク質の産生の阻害を生じることは、当業者に理解されているであろう。
【0022】
オリゴヌクレオチド官能基化ナノ粒子と標的原核生物配列のハイブリダイゼーションは、本明細書に定義されているような「複合体」を形成する。本明細書に用いられる場合、「複合体」は、二本鎖(または二重鎖)複合体かまたは三本鎖(三重鎖)複合体のいずれかである。三重鎖複合体および二重鎖複合体は標的細菌原核生物の酸の翻訳または転写を阻害することが本明細書で意図される。
【0023】
本明細書に用いられる場合、「非コード配列」は、当技術分野で受け入れられている意味をもつ。一般的に、非コード配列は、遺伝子によってコードされるタンパク質の翻訳のためのコドンを含まないポリヌクレオチド配列をいう。いくつかの態様において、非コード配列は、染色体性である。いくつかの態様において、非コード配列は染色体外である。一態様において、非コード配列は、遺伝子のコード配列の全部または部分に相補的である。非コード配列には、発現のプロモーター、エンハンサー、およびサイレンサーなどの制御エレメントが挙げられる。非コード配列の例は、5’非コード配列および3’非コード配列である。「5’非コード配列」は、コード配列の5’側(上流)に位置するポリヌクレオチド配列を指す。5’非コード配列は、開始コドンの上流の完全にプロセシングされるmRNAに存在することができ、一次転写産物のmRNAへのプロセシング、mRNA安定性または翻訳効率に影響し得る。「3’非コード配列」は、コード配列の3’側(下流)に位置するヌクレオチド配列を指し、それには、ポリアデニル化シグナル配列、およびmRNAプロセシングまたは遺伝子発現に影響する能力があるシグナルをコードする他の配列が挙げられる。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸配列の付加に影響するその能力によって特徴づけられる。
【0024】
一実施形態において、非コード配列はプロモーターを含む。「プロモーター」は、構造遺伝子の転写を命令するポリヌクレオチド配列である。典型的には、プロモーターは、構造遺伝子の転写開始部位に近位である遺伝子の5’非コード配列内に位置する。転写の開始において機能するプロモーター内の配列エレメントは、コンセンサスヌクレオチド配列によって特徴づけられる場合が多い。これらのプロモーターエレメントには、RNAポリメラーゼ結合部位、TATA配列、CAAT配列、分化特異的エレメント[DSE; McGeheeら、Mol.Endocrinol.7:551(1993)]、サイクリックAMP応答エレメント(CRE)、血清応答エレメント[SRE;Treisman、Seminars in Cancer Biol.1:47(1990)]、グルココルチコイド応答エレメント(GRE)、ならびに、CRE/ATF[O’Reillyら、J.Biol.Chem.267:19938(1992)]、AP2[Yeら、J.Biol.Chem.269:25728(1994)]、SP1、cAMP応答エレメント結合タンパク質[CREB;Loeken、Gene Expr.3:253(1993)]、およびオクタマー因子などの他の転写因子についての結合部位が挙げられる[一般的には、Watsonら編、Molecular Biology of the Gene、第4版(The Benjamin/Cummings Publishing Company, Inc.1987)、ならびにLemaigreおよびRousseau、Biochem.J.303:1(1994)参照]。プロモーターが誘導性プロモーターである場合には、転写速度は、誘導物質に応答して増加する。対照的に、プロモーターが恒常的プロモーターである場合には、転写速度は、誘導物質によって制御されない。抑制性プロモーターもまた公知である。「コアプロモーター」は、TATAボックスおよび転写開始を含む、プロモーター機能に必須のヌクレオチド配列を含む。この定義によれば、コアプロモーターは、活性を増強することができるか、または組織特異的活性を与えることができる特定の配列の非存在下で検出可能な活性を有する場合もあるし、有しない場合もある。
【0025】
別の実施形態において、非コード配列は、制御エレメントを含む。「制御エレメント」は、コアプロモーターの活性を調節するポリヌクレオチド配列である。例えば、制御エレメントは、特定の原核生物において排他的に、または優先的に転写を可能にする細胞因子と結合するポリヌクレオチド配列を含む場合がある。
【0026】
別の実施形態において、非コード配列はエンハンサーを含む。「エンハンサー」は、転写開始部位に対するエンハンサーの距離または配向に関わらず、転写効率を増加させることができる一種の制御エレメントである。
【0027】
本明細書および添付された特許請求の範囲に用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数の言及を含むことを本明細書では留意されたい。
【0028】
用語「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、本明細書では交換可能に用いられ、当技術分野において受け入れられている意味を有することは、留意されるべきである。
【0029】
用語「付着した」、「コンジュゲートした」、および「官能性付与する」もまた本明細書で交換可能に用いられ、オリゴヌクレオチドのナノ粒子との会合に言及していることはさらに留意されたい。
【0030】
「ハイブリダイゼーション」は、ワトソン・クリックDNA相補性、フーグスティーン(Hoogstein)結合、または当技術分野において公知の他の配列特異的結合の規則に従う水素結合による2つまたは3つの核酸鎖の間での相互作用を意味する。ハイブリダイゼーションは、当技術分野において公知の異なるストリンジェンシー条件下で実施することができる。
【0031】
抗生組成物
いくつかの実施形態において、本開示は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子およびキャリアーを含む抗生組成物であって、オリゴヌクレオチドが、原核生物遺伝子の標的非コード配列に対して、ハイブリダイゼーションを可能にする条件下でそれが標的配列にハイブリダイズするのに十分相補的である、抗生組成物を提供する。様々な実施形態において、抗生組成物は、原核細胞感染症処置のためのそれを必要する哺乳動物への治療的有効量での投与のために製剤化される。いくつかの態様において、哺乳動物はヒトである。
【0032】
様々な実施形態において、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子の原核生物遺伝子へのハイブリダイゼーションは原核細胞の増殖を阻害する(または阻止する)ことが意図される。したがって、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子の原核生物遺伝子へのハイブリダイゼーションは、原核生物が細菌である態様において、結果として静菌的または殺菌的効果を生じることが意図される。ハイブリダイゼーションがインビボで起こる態様において、原核細胞の増殖は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子との接触がない場合の原核細胞の増殖と比較して、約5%阻害される。様々な態様において、原核細胞の増殖は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子との接触がない場合の原核細胞の増殖と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上阻害される。
【0033】
ハイブリダイゼーションがインビトロで起こる態様において、原核細胞の増殖は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子との接触がない場合の原核細胞の増殖と比較して、約5%阻害される。様々な態様において、原核細胞の増殖は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子との接触がない場合の原核細胞の増殖と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上阻害される。
【0034】
阻害がインビボであろうとインビトロであろうと、当業者は、日常的技術を用いて原核細胞増殖の阻害のレベルを決定することができる。例えば、原核細胞の数の直接的定量化は、1組の試料(インビボ阻害の場合は体液、またはインビトロ阻害の場合には液体培養試料)を得る工程であって、試料がある期間にわたって収集される、工程、試料を増殖許容性固体培地で培養する工程、および結果として生じた、増殖することができる原核細胞の数を計数する工程によって実施される。早い方の時点における原核細胞の数に対する遅い方の時点における原核細胞の数が、原核細胞増殖のパーセント阻害を与える。
【0035】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子の原核生物遺伝子へのハイブリダイゼーションは、原核生物遺伝子によってコードされる機能性原核生物タンパク質の発現を阻害する。本明細書で用いられる場合、「機能性原核生物タンパク質」は、原核生物遺伝子によってコードされる完全長野生型タンパク質を指す。一態様において、機能性原核生物タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない細胞と比較して、約5%阻害される。様々な態様において、機能性原核生物タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない細胞と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上阻害される。
【0036】
関連した態様において、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子の原核生物遺伝子へのハイブリダイゼーションは、原核細胞増殖に必須の機能性タンパク質の発現を阻害する。一態様において、原核細胞増殖に必須の機能性原核生物タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない細胞と比較して、約5%阻害される。様々な態様において、原核細胞増殖に必須の機能性原核生物タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない細胞と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上阻害される。
【0037】
増殖に必須の原核生物タンパク質として、グラム陰性遺伝子産物、グラム陽性遺伝子産物、細胞周期遺伝子産物、DNA複製に関与する遺伝子産物、細胞分裂遺伝子産物、タンパク質合成に関与する遺伝子産物、細菌ジャイレース、およびアシルキャリアー遺伝子産物が挙げられるが、それらに限定されない。これらのクラスは、本明細書の下記で詳細に論じられている。
【0038】
本開示はまた、原核生物遺伝子の標的非コード配列へのハイブリダイゼーションが結果として、変化した活性を有する、原核生物遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を生じる、抗生組成物を意図する。一態様において、原核生物遺伝子によってコードされるタンパク質の活性が、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない原核細胞におけるタンパク質の活性と比較して、約5%低下している。様々な態様において、原核生物タンパク質の活性は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない原核細胞におけるタンパク質の活性と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%阻害される。別の態様において、原核生物遺伝子によってコードされるタンパク質の活性が、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない原核細胞におけるタンパク質の活性と比較して、約5%増加している。様々な態様において、原核生物タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない原核細胞におけるタンパク質の活性と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上増加している。
【0039】
原核細胞におけるタンパク質の活性は、いくつかのパラメーターの関数として増加または減少し、そのパラメーターには、ナノ粒子に付着したオリゴヌクレオチドの配列、標的にされる原核生物遺伝子(したがって、および遺伝子によってコードされるタンパク質)、およびナノ粒子のサイズが挙げられるが、それらの限定されない。
【0040】
様々な実施形態において、本開示の抗生組成物は、原核生物遺伝子の転写を阻害する。いくつかの実施形態において、本開示の抗生組成物は原核生物遺伝子の翻訳を阻害することが意図される。
【0041】
いくつかの実施形態において、抗生組成物は、抗生物質抵抗性を与える原核生物遺伝子の標的非コード配列にハイブリダイズする。これらの遺伝子は当業者に公知であり、例えば、Liuら、Nucleic Acids Research 37:D443−D447、2009(その全体が参照により本明細書に組み入れられている)に論じられている。いくつかの態様において、抗生物質抵抗性を与える原核生物遺伝子の標的非コード配列への抗生組成物のハイブリダイゼーションは、結果として、原核生物の抗生物質に対する感受性の増加をもたらす。一態様において、原核生物の抗生物質に対する感受性は、抗生組成物と接触しなかった原核生物の感受性と比較して、約5%増加している。様々な態様において、原核生物の抗生物質に対する感受性は、抗生組成物と接触しなかった原核生物の感受性と比較して、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、またはそれ以上増加している。抗生物質に対する相対的感受性は、本明細書に記載されているような日常的技術を用いて当業者によって決定することができる。
【0042】
抗生物質との併用治療
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子コンジュゲートを含む抗生組成物は、抗生物質剤と併用しての投与のために製剤化され、それぞれが治療的有効量である。
【0043】
本明細書に用いられる場合、用語「抗生物質剤」は、細菌および他の微生物体の増殖を阻害するか、またはそれらを殺す能力を有し、主に感染性疾患の処置に用いられる、化学物質群のいずれかを意味する。例えば、米国特許第7,638,557号(その全体が参照により本明細書に組み入れられている)を参照されたい。抗生物質剤の例として、ペニシリンG、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、ピペラシリン、イミペネム、アズトレオナム、セファロチン、セファクロール、セフォキシチン、セフロキシム、セフォニシド、セフメタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメット、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキシム、セフスロジン、フレロキサシン、ナリジキシン酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、シノキサシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エチルコハク酸エリスロマイシン、グルコヘプトン酸エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、バンコマイシン、テイコプラニン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ニトロフラントイン、リファンピン、ムピロシン、メトロニダゾール、セファレキシン、ロキシスロマイシン、コ−アモキシクラブラン酸、ピペラシリンとタゾバクタムとの組合せ、ならびにそれらの様々な塩、酸、塩基、および他の誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。抗細菌性抗生物質剤には、ペニシリン、セファロスポリン、カルバセフェム、セファマイシン、カルバペネム、モノバクタム、アミノグリコシド、グリコペプチド、キノロン、テトラサイクリン、マクロライド、およびフルオロキノロンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0044】
投薬および薬学的組成物
本明細書に用いられる場合、用語「治療的有効量」は、同定された疾患もしくは症状を処置するか、寛解させるか、もしくは予防するのに十分な、または検出可能な治療的、予防的、もしくは阻害的効果を示すのに十分な組成物の量を指す。効果は、例えば、臨床症状の改善、徴候の低下により、または本明細書に記載されたアッセイにより検出することができる。対象についての正確な有効量は、対象の体重、サイズ、および健康状態;症状の性質および程度;ならびに投与のために選択された抗生組成物または組成物の組合せに依存する。所定の状況についての治療的有効量は、臨床医の技能および判断の範囲内にある日常的実験によって決定することができる。
【0045】
本明細書に記載された抗生組成物は、薬学的に許容され得る賦形剤、キャリアー、または希釈剤を含む薬学的組成物中に製剤化してもよい。抗生組成物を含む化合物または組成物は、原核生物感染症または症状の処置を可能にする任意の経路によって投与することができる。好ましい投与経路は、経口投与である。さらに、抗生組成物を含む化合物または組成物は、静脈内に、腹腔内に、肺内に、皮下にまたは筋肉内に、くも膜下腔内に、経皮的に、直腸に、経口的に、経鼻的に、または吸入によるなど、非経口的を含む、任意の標準投与経路を用いて患者に送達してもよい。胃腸管内で体液と接触して活性物質の放出制御を達成するために、および血漿における活性物質の実質的な一定かつ有効なレベルを提供するために、徐放性製剤もまた本明細書に記載された作用物質から調製してもよい。結晶形を、この目的のために、生分解性ポリマー、水溶性ポリマー、または両方の混合物のポリマーマトリックス、および任意で適切な界面活性剤の中に包埋してもよい。包埋は、この文脈において、ポリマーのマトリックス内のマイクロ粒子の取り込みを意味し得る。放出制御製剤はまた、公知の分散液または乳濁液コーティングテクノロジーによる分散化マイクロ粒子または乳化マイクロ液滴の封入を通しても得られる。
【0046】
投与は、単一用量投与の形をとってもよいし、実施形態の化合物を、ある期間にわたって、分割量でか、または持続放出性製剤もしくは投与方法(例えば、ポンプ)でのいずれかで投与することができる。しかしながら、実施形態の化合物が対象に投与され、投与される化合物の量および選ばれる投与経路は、疾患症状の効果的な処置を可能にするように選択されるべきである。
【0047】
実施形態において、薬学的組成物は、特定の投与様式および剤形に依存して、キャリアー、溶媒、安定剤、補助剤、希釈剤などの薬学的に許容し得る賦形剤と共に製剤化してもよい。薬学的組成物は、一般的に、生理学的に適合し得るpHに達するように製剤化されるべきであり、処方および投与経路に依存して、約3のpH〜約11のpH、好ましくは約pH3〜約pH7の範囲であり得る。代替の実施形態において、pHが約pH5.0〜約pH8の範囲に調整されることが好ましい場合がある。より具体的には、薬学的組成物は、様々な態様において、本明細書に記載されているような治療的または予防的有効量の少なくとも1つの組成物を1つ以上の薬学的に許容し得る賦形剤と共に含む。本明細書に記載されているように、薬学的組成物は、任意で、本明細書に記載された化合物の組合せを含んでもよい。
【0048】
用語「薬学的に許容し得る賦形剤」は、本明細書に記載された化合物などの薬学的作用物質の投与のための賦形剤を指す。その用語は、過度の毒性なしに投与することができる任意の薬学的賦形剤を指す。
【0049】
薬学的に許容し得る賦形剤は、一つには、投与されることになっている特定の組成物によって、およびその組成物を投与するのに用いられる特定の方法によって、決定される。したがって、薬学的組成物の幅広い種類の適切な製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences参照)。
【0050】
適切な賦形剤は、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性ウイルス粒子などの大きく、ゆっくり代謝される巨大分子を含むキャリアー分子であり得る。他の例示的賦形剤には、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)、キレート化剤(例えば、EDTA)、糖質(例えば、デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、および/またはヒドロキシアルキルメチルセルロース)、ステアリン酸、液体(例えば、油、水、食塩水、グリセロール、および/またはエタノール)、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などが挙げられる。リポソームもまた、薬学的に許容し得る賦形剤の定義内に含まれる。
【0051】
加えて、薬学的組成物は、滅菌注射用水性乳濁液または油性懸濁液などの滅菌注射用調製物の形をとってもよい。この乳濁液または懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を用いて当業者によって製剤化することができる。滅菌注射用調製物もまた、1,2−プロパン−ジオール中の溶液などの無毒性の非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であり得る。
【0052】
滅菌注射用調製物はまた、凍結乾燥された粉末として調製されてもよい。許容し得る媒体および溶媒の中で用いることができるのは、水、リンゲル液、および等張食塩水である。加えて、滅菌固定油を溶媒または懸濁媒として用いてもよい。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無菌性固定油を用いてもよい。加えて、脂肪酸(例えば、オレイン酸)を同様に、注射剤の調製に用いてもよい。
【0053】
オリゴヌクレオチド配列および原核生物タンパク質の阻害
いくつかの態様において、本開示は、特定の核酸を標的にする方法を提供する。任意の型の原核生物核酸を標的にすることができ、その方法は、例えば、機能性原核生物遺伝子産物の産生の阻害のために用いることができる。本発明の方法によって標的にすることができる核酸の例には、遺伝子、および原核生物のRNAまたはDNAが挙げられるが、それらに限定されない。
【0054】
原核生物標的核酸について、様々な態様において、核酸はゲノムDNAから転写されたRNAである。
【0055】
提供される、細胞において標的原核生物タンパク質の産生を阻害するための方法には、標的遺伝子産物の発現が、オリゴヌクレオチド官能基化ナノ粒子の非存在下での遺伝子産物発現と比較して、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%阻害されるものが挙げられる。換言すれば、提供される方法は、標的遺伝子産物の発現の任意の阻害の程度を結果として生じるものを包含する。
【0056】
阻害の程度は、インビボで、例えば、標的原核生物が見出され、かつ原核生物タンパク質の阻害が望ましい個体の体液試料からか、または標的原核生物が見出され、かつ原核生物タンパク質の阻害が望ましい個体における、当技術分野において周知のイメージング技術によって、決定することができる。あるいは、阻害の程度は、インビボで、より早い時点での細胞培養物または生物体中にあった原核生物の量と比較して、細胞培養物または生物体中に残存する原核生物の量を定量化することによって決定される。
【0057】
三重鎖複合体が形成される実施形態において、突然変異が原核生物ゲノムに導入されることが意図される。これらの実施形態において、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子コンジュゲートは、突然変異を含み、三重鎖複合体の形成が、ナノ粒子に付着したオリゴヌクレオチドと原核生物ゲノムの鎖との間の組換え事象を惹起する。
【0058】
抗原核生物性オリゴヌクレオチド
本開示のオリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチド配列とハイブリダイズしたとき、少なくとも約45℃、典型的には、約50℃から60℃の間のTを有するが、Tはより高く、例えば、65℃であってもよい。原核生物標的ポリヌクレオチド配列および原核生物mRNA標的ポリヌクレオチド配列の選択を、本明細書の下記で考察する。
【0059】
一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、37℃よりかなり高いT、例えば、少なくとも45℃、好ましくは60℃〜80℃を有し、生理学的条件下で標的原核生物配列にハイブリダイズするように設計される。オリゴヌクレオチドは、核酸に対する高い結合親和性を有するように設計され、一態様において、標的原核生物配列に100%相補性であり、またはミスマッチを含んでもよい。オリゴヌクレオチドが、標的原核生物配列に対して95%より高い相補性、標的原核生物配列に対して95%より高い相補性、標的原核生物配列に対して90%より高い相補性、標的原核生物配列に対して80%より高い相補性、標的原核生物配列に対して75%より高い相補性、標的原核生物配列に対して70%より高い相補性、標的原核生物配列に対して65%より高い相補性、標的原核生物配列に対して60%より高い相補性、標的原核生物配列に対して55%より高い相補性、標的原核生物配列に対して50%より高い相補性である、方法が提供される。
【0060】
当業者が容易に、オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子コンジュゲートについての適切な標的を決定し、かつ当技術分野において公知の技術を用いてオリゴヌクレオチドを設計および合成し得ることは理解されているであろう。標的は、例えば、関心対象となる標的核酸の配列を(例えば、GenBankから)得て、例えば、MacVector 6.0プログラム、ClustalWアルゴリズム、BLOSUM 30マトリックス、ならびに核酸アラインメントについて10のオープンギャップペナルティおよび5.0の延長ギャップペナルティを含むデフォルトパラメーターを用いて、それを他の核酸配列とアラインメントすることによって同定することができる。
【0061】
任意の必須原核生物遺伝子は、本開示の方法を用いて標的遺伝子として意図される。上記のように、任意の原核生物種についての必須原核生物遺伝子は、大腸菌についてのGerdes[Gerdesら、J Bacteriol.185(19):5673−84、2003]によって記載されたものを含む様々な方法を用いて決定することができる。多くの必須遺伝子は、細菌界にわたって保存されており、それによって標的選択において追加のガイダンスを提供する。標的遺伝子配列は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)によって維持されているものなどの容易に利用可能なバイオインフォマティクス供給源を用いて同定することができる。多数の微生物種についての完全参照ゲノム配列を入手することができ、必須細菌遺伝子についての配列が同定されている。細菌株はまた、一態様において、American Type Culture Collection(ATCC)から入手される。オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子コンジュゲートの抗細菌活性を決定するために、任意の所定の種についての適切な培地および条件を用いる単純な細胞培養方法を確立することができる。
【0062】
その後、最適の活性を示すオリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子コンジュゲートは、ヒト感染の処置に用いる前に、動物モデル、または獣医学的動物において試験される。
【0063】
細胞分裂標的タンパク質および細胞周期標的タンパク質についての標的配列
本開示のオリゴヌクレオチドは、必須原核生物遺伝子をコードする原核生物核酸の配列にハイブリダイズするように設計される。例示的な遺伝子として、細胞分裂タンパク質、細胞周期タンパク質に必要とされるもの、または脂質生合成もしくは核酸複製に必要とされる遺伝子が挙げられるが、それらに限定されない。いったん遺伝子の必須性が決定されたならば、いかなる必須細菌遺伝子も標的である。生物体におけるどの遺伝子が必須であるかを決定するための一つのアプローチは、記載されているように[Gerdesら、J Bacteriol.185(19):5673−84、2003(その全体が参照により本明細書に組み入れられている)]、遺伝子フットプリンティング技術を用いることである。この報告において、健全な好気性増殖のための培養条件下での増殖にとって、620個の大腸菌遺伝子が必須として、3,126個の遺伝子が不要として、同定された。進化関連分析により、かなりの数の必須大腸菌遺伝子、特に、DNA複製、細胞分裂、およびタンパク質合成などの重要な細胞過程についての遺伝子のサブセットが細菌界を通じて保存されていることが示された。
【0064】
様々な態様において、本開示は、以下を含む必須細菌タンパク質をコードする標的配列に安定かつ特異的に結合するのに効果的な核酸配列であるオリゴヌクレオチドを提供する:(1)食中毒に関連した大腸菌の株、例えば、O157:H7などの所定の細菌種の特定の株に特異的な配列(米国特許出願第20080194463号(その全体が参照により本明細書に組み入れられている)の表1を参照);(2)2つ以上の細菌種に共通の配列;(3)2つの関連した細菌属(すなわち、類似した系統学的起源の細菌属)に共通の配列;(4)グラム陰性細菌の間でおおむね保存された配列;(5)グラム陽性細菌の間でおおむね保存された配列;または(6)一般的には、必須細菌タンパク質コード化核酸配列のコンセンサス配列。
【0065】
一般的に、本開示の方法を用いる遺伝子発現の調節のための標的は、細胞分裂および細胞壁合成(分裂細胞壁またはdcw)遺伝子クラスターの遺伝子から転写されるmRNA配列などの活動的な原核生物増殖または複製中に発現する原核生物核酸を含み、それには、zipA、sulA、secA、dicA、dicB、dicC、dicF、ftsA、ftsI、ftsN、ftsK、ftsL、ftsQ、ftsW、ftsZ、murC、murD、murE、murF、murg、minC、minD、minE、mraY、mraW、mraZ、seqA、およびddlBが挙げられるが、それらに限定されない。細菌の細胞分裂および大腸菌の細胞周期の一般的な概説について、それぞれ、[Bramhill、Annu Rev Cell Dev Biol.13:395−424、1997]および[Donachie、Annu Rev Microbiol.47:199−230、1993]を参照されたい(どちらも参照により本明細書に明確に組み入れられている)。追加の標的として、脂質生合成(例えば、acpP)および複製(例えば、gyrA)に関与する遺伝子が挙げられる。
【0066】
大腸菌における細胞分裂は、細胞エンベロープの全ての3層(原形質膜、強固なペプチドグリカン層、および外膜)の協調陥入を含む。中隔の収縮は、細胞を2つのコンパートメントへ分け、複製されたDNAを分離する。以下の少なくとも9つの必須遺伝子産物がこの過程に関与している:ftsZ、ftsA、ftsQ、ftsL、ftsI、ftsN、ftsK、ftsW、およびzipA[Haleら、J Bacteriol.181(1):167−76、1999]。意図されるタンパク質標的は、下記で論じられた3つ、特に、下記のGyrAおよびAcpP標的である。
【0067】
大腸菌における最も早期の必須細胞分裂遺伝子の1つである、FtsZは、細菌細胞の分裂部位において膜結合リングを形成する可溶性チューブリン様GTPアーゼである。リングは、細胞収縮を駆動させると考えられており、細胞壁陥入に影響を与えるように思われる。FtsZは、大腸菌において細胞分裂を媒介する中隔リング構造の必須成分である、zipAと呼ばれる大腸菌における新規の内在性膜タンパク質に直接、結合する[Lutkenhausら、Annu Rev Biochem.66:93−116、1997]。
【0068】
GyrAは、細菌ジャイレース酵素のサブユニットA、およびそれについての遺伝子を指す。細菌ジャイレースは、細胞においてDNAの超らせんのレベルを調節する細菌DNAトポイソメラーゼの1つであり、DNA複製に必要とされる。
【0069】
AcpPは、脂質生合成における必須補助因子である、アシルキャリアータンパク質をコードする。脂肪酸生合成経路は、熱安定性補助因子アシルキャリアータンパク質がその経路における中間体を結合することを必要とする。
【0070】
これらの3つのタンパク質のそれぞれについて、米国特許出願第20080194463号の表1は、いくつかの重要な病原性細菌のそれぞれについての標的配列を含む例示的な細菌配列を提供している。遺伝子配列は、各細菌株についてのGenBank Reference完全ゲノム配列に由来する。
【0071】
原核生物16SリボソームRNAについての標的配列
一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、37℃よりかなり高い、例えば、少なくとも45℃、好ましくは60℃〜80℃のTを有し、生理学的条件下で細菌16S rRNA核酸配列をコードする配列にハイブリダイズするように設計される。
【0072】
より具体的には、オリゴヌクレオチドは、以下の特徴の1つ以上を有する標的16S rRNA遺伝子(egne)配列に安定的かつ特異的に結合するのに効果的である配列を有する:(1)16s rRNAの二本鎖配列に見出される配列、例えば、16S rRNA配列のペプチジルトランスフェラーゼ中心、α−サルシンループ、およびmRNA結合配列;(2)細菌16s rRNAの一本鎖配列に見出される配列;(3)食中毒に関連した、所定の細菌種の特定の株、すなわち、大腸菌の株に特異的な配列;(4)特定の細菌種に特異的な配列;(5)2つ以上の細菌種に共通の配列;(6)2つの関連した細菌属(すなわち、類似した系統学的起源の細菌属)に共通の配列;(7)グラム陰性細菌16S rRNA配列の間でおおむね保存された配列;(6)グラム陽性細菌16S rRNA配列の間でおおむね保存された配列;または(7)一般的には、細菌16S rRNA配列についてのコンセンサス配列。
【0073】
16S rRNA配列についての例示的な細菌および関連したGenBankアクセッション番号は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許第6,677,153号の表1に提供されている。
【0074】
Escherichia coli(大腸菌)は、胃腸管の正常な菌叢の一部であるグラム陰性細菌である。数百個の大腸菌株があり、そのうちの大部分は、無害であり、健康なヒトおよび動物の胃腸管に生存している。現在、ヒトにおいて胃腸炎を引き起こす腸管毒性大腸菌の4つの認められたクラス(「EEC群」)がある。これらの中には、腸管病原性(EPEC)株、および毒性機構が典型的な大腸菌エンテロトキシンの排出に関連しているものがある。そのような大腸菌株は、胃腸管および尿路の感染に関連したもの、敗血症、肺炎、ならびに髄膜炎を含む様々な疾患を引き起こし得る。抗生物質は、いくつかの株に対して効果がなく、必ずしも感染の再発を防ぐわけではない。
【0075】
例えば、大腸菌株O157:H7は、毎年、米国において10,000〜20,000症例の感染を引き起こすと見積もられる(連邦疾病管理予防センター)。出血性大腸炎は、大腸菌O157:H7によって引き起こされる急性疾患の名前である。未就学児および高齢者は、重篤な合併症のリスクが最も高い。大腸菌株O157:H7は、最近、太平洋岸北西部においてファーストフードレストランからの加熱が不十分なハンバーガーを食べた4人の子どもの死因として報告された。[例えば、Jacksonら、Epidemiol.Infect.120(1):17−20、1998参照]。
【0076】
腸管毒性大腸菌株についての例示的な配列として、GenBankアクセッション番号X97542、AF074613、Y11275、およびAJ007716が挙げられる。
【0077】
Salmonella typhimuriumは、臨床的に、限局性胃腸管感染症、胃腸炎(下痢、腹部のけいれん、および発熱)から重篤な全身病である腸炎熱(腸チフスを含む)までおよぶ様々な症状を引き起こすグラム陰性細菌である。Salmonella感染症はまた、家畜のかなりの損失をもたらす。
【0078】
グラム陰性細菌特有の、Salmonella spp.の細胞壁は、細胞の溶解の際に遊離される複雑なリポ多糖(LPS)構造を含み、生物体の毒性に寄与するエンドトキシンとして機能し得る。
【0079】
Salmonellaが十分には加熱されていない肉および動物性食品に生存するという事実により、汚染された食品は、非チフス性サルモネラ感染症についての主要な伝染様式である。最も一般的な動物源は、ニワトリ、七面鳥、ブタ、およびウシ、加えて、多数の他の家畜および野生動物である。Salmonella spp.によって引き起こされる腸チフスおよび他の腸炎熱の疫学は、ヒト糞便で汚染された水と関連している。
【0080】
ワクチンが腸チフスに利用でき、部分的には効果がある;しかしながら、非チフス性Salmonella感染症に利用できるワクチンはない。非チフス性サルモネラ中毒は、衛生的食肉処理の実施により、ならびに食品の徹底的な加熱および冷凍により制御される。抗生物質は全身性疾患に適応しており、アンピシリンは、いくらか成功して用いられている。しかしながら、胃の手術後の、過剰量の抗生物質での処置中の患者、免疫抑制薬での処置中の患者において、および溶血性貧血、白血病、リンパ腫、またはAIDSを有する患者において、Salmonella感染症は医学的問題のままである。
【0081】
Pseudomonas spp.は、それらがたいていの抗生物質に対して抵抗性であり、病院で罹る(院内)感染の主要な原因であるため、臨床的に重要である、運動性グラム陰性桿菌である。免疫不全個体、火傷被害者、人工呼吸器を用いている個体、留置カテーテルを有する個体、静脈内麻薬ユーザー、および慢性肺疾患(例えば、嚢胞性線維症)を有する個体において感染が最もよく見られる。感染は健康な個体においてはまれであるが、多くの部位で起こり得、尿路感染症、敗血症、肺炎、咽頭炎、および多数の他の問題を引き起こし、処置が効かないことが多く、より著しく高い死亡率を生じている。
【0082】
Pseudomonas aeruginosaは、単極運動性を有するグラム陰性、好気性、桿状細菌である。日和見性ヒト病原菌のP.aeruginosaはまた、植物の日和見性病原菌でもある。他のPseudomonadのように、P.aeruginosaは、様々な色素を分泌する。P.aeruginosaの決定的な臨床同定は、ピオシアニンおよびフルオレセインの両方の産生、加えて、42℃で増殖する生物体の能力を同定することを含み得る。P.aeruginosaはまた、ディーゼル燃料およびジェット燃料中で増殖する能力があり、それについて、炭化水素利用微生物体(または「HUMバグ」)として知られており、微生物腐食の原因となっている。
【0083】
Vibrio choleraは、ヒトに感染するグラム陰性桿菌であり、汚染水の供給をもたらす結果となる粗末な下水設備によって広がる疾患である、コレラを引き起こす。Vibrio choleraは、ヒト小腸にコロニー形成し、そこで、それは、粘膜を横断してのイオン輸送を乱す毒素を産生し、下痢および水分損失を引き起こす。Vibrio choleraに感染した個体は、電解質を含む溶液での静脈内かまたは経口のいずれかによる再水和を必要とする。その病気は一般的に自己限定性である;しかしながら、脱水および必須電解質の損失から死に至り得る。テトラサイクリンなどの抗生物質は、その病気の経過を短縮することが実証されており、経口ワクチンが現在、開発中である。
【0084】
Neisseria gonorrhoeaは、一般的な性行為感染症である淋病の原因物質である、グラム陰性球菌である。Neisseria gonorrhoeaは、その表面抗原を変化させることができ、再感染に対する免疫の発生を妨げている。ほぼ750,000症例の淋病が毎年、米国において報告されており、ほとんど十代の若者および若年成人の間である、毎年、追加の報告されていない、推定750,000症例がある。アンピシリン、アモキシシリン、またはいくつかの型のペニシリンが以前は、淋病の処置に推奨されていた。しかしながら、ペニシリン抵抗性淋病の発生率が増加しつつあり、注射によって与えられる新しい抗生物質、例えば、セフトリアキソンまたはスペクチノマイシンが今、ほとんどの淋菌による感染を処置するのに用いられている。
【0085】
Staphylococcus aureusは、通常、ヒト鼻にコロニー形成するグラム陽性球菌であり、皮膚に見出されることもある。Staphylococcusは、血流感染、肺炎、および院内感染を引き起こし得る。Staph.aureusは、重篤な食中毒を引き起こし得、多くの株が食物中で成長し、エクソトキシンを産生する。一般的な抗生物質、例えば、バンコマイシンに対するStaphylococcusの抵抗性が、米国および海外で、地域社会環境および病院環境の両方における公衆衛生上の大きな難問として持ち上がっている。最近、バンコマイシン抵抗性Staph.aureus単離物がまた日本でも同定されている。
【0086】
Mycobacterium tuberculosisは、時には大打撃で致命的な疾患である、結核の原因物質であるグラム陽性細菌である。結核は、増加傾向にあり、かつ全世界的であり、単独感染性疾患からの死因の第1位である(1年あたり3百万人の現在の死亡率)。それは、脳、腎臓、および骨を含むヒト身体のいくつかの器官を侵し得るが、結核は、最も一般的には肺を侵す。
【0087】
米国において、陽性皮膚試験によって示される場合、約1千万人の個体が、Mycobacterium tuberculosisに感染しており、毎年、活動性疾患の約26,000の新しい症例がある。結核(TB)症例の増加は、HIV/AIDS、ホームレス、薬物乱用、および活動性感染症を有する人の入国に関連している。薬物感受性TBについての現在の処置プログラムは、6ヶ月〜9ヶ月の期間、2つまたは4つの薬物(例えば、イソニアジド、リファンピン、ピラジナミド、エタンブトール、またはストレプトマイシン)を服用することを含み、これは、TB病原菌の全部が、単一の薬物によって破壊することができないためである。加えて、Mycobacterium tuberculosisの薬剤抵抗性株および多剤抵抗性株が観察されることが増えつつある。
【0088】
Helicobacter pylori(H.pylori)は、胃の内膜に感染する、らせん状またはS形の形態をもつ、微好気性、グラム陰性、成長の遅い、有鞭毛生物体である。H.pyloriは、慢性表在性胃炎、消化性潰瘍疾患、および胃腺癌に至る慢性萎縮性胃炎と関連したヒト胃病原菌である。H.pyloriは、ヒトにおいて最も一般的な慢性細菌感染の1つであり、活動性胃炎を有する患者の90%より多くに見出される。現在の処置は、ビスマス、メトロニダゾール、およびたいていの症例においてH.pyloriを撲滅するテトラサイクリンかまたはアモキシシリンのいずれかでの3薬物治療を含む。3薬物治療に関する問題には、患者コンプライアンス、副作用、およびメトロニダゾール抵抗性が挙げられる。有望である2薬物治療の代替療法は、アモキシシリン+メトロニダゾール、またはオメプラゾール+アモキシシリンである。
【0089】
Streptococcus pneumoniaeは、グラム陽性球菌であり、細菌性肺炎、加えて中耳感染症(中耳炎)および髄膜炎の最も一般的な原因の1つである。毎年、米国において、肺炎球菌性疾患は、菌血症の約50,000症例、髄膜炎の約3,000症例、約100,000〜135,000件の入院、および中耳炎の7百万症例を占める。肺炎球菌感染は、毎年、米国において、推定40,000人の死亡を引き起こしている。2歳未満の子ども、65歳より上の成人、および、例えば、うっ血性心疾患、糖尿病、肺気腫、肝疾患、鎌状細胞、HIVを含む基礎疾患を有する任意の年齢の人々、ならびに、特殊な環境、例えば、老人ホームおよび長期ケア施設に住む人々は、感染のリスクが最も高い。
【0090】
薬物抵抗性S.pneumoniae株は、米国においてよく見られるようになってきており、多くのペニシリン抵抗性肺炎球菌もまた、エリスロマイシンまたはトリメトプリム−スルファメトキサゾールなどの他の抗菌薬に対して抵抗性である。
【0091】
Treponema pallidumは、梅毒を引き起こすスピロヘータである。T.pallidumは、単独に、梅毒、いちご腫、および非性病性地方病性梅毒またはピンタを引き起こす病原菌である。Treponema pallidumは、インビトロで成長することができず、哺乳類細胞の非存在下で複製しない。初感染は、感染部位に潰瘍を引き起こす;しかしながら、その細菌は、身体中を動き、長い期間をかけて多くの器官を損傷する。その後期において、未処置の梅毒は、伝染性ではないが、重篤な心臓異常、精神障害、失明、他の神経学的問題、および死を引き起こし得る。
【0092】
梅毒は、通常、注射によって投与される、ペニシリンで処置される。他の抗生物質は、ペニシリンに対してアレルギー性の患者、または常用量のペニシリンに応答しない患者に利用可能である。梅毒の全ての段階において、適切な処置がその疾患を治癒させるだろうが、後期梅毒において、身体器官にすでにもたらされた損傷は、元に戻すことはできない。
【0093】
Chlamydia trachomatisは、米国において、最も一般的な細菌性性行為感染症であり、毎年、4百万の新しい症例が生じていると推定される。最も高い感染率は、15〜19歳においてである。クラミジアは、非淋菌性尿道炎(NGU)、子宮頚管炎、細菌性腟炎、および骨盤内炎症性疾患(PID)の主要な原因である。クラミジア感染症は、非常に軽度の徴候を示す場合があり、または全く徴候を示さない場合もある;しかしながら、処置しないでおくと、クラミジア感染症は、生殖器に、特に女性において、重篤な損傷をもたらし得る。典型的には、アジスロマイシン、エリスロマイシン、オフロキサシン、アモキシシリン、またはドキシサイクリンなどの抗生物質が、クラミジア感染症を処置するために処方される。
【0094】
Bartonella henselaeネコ引っかき熱(CSF)またはネコ引っかき病(CSD)は、Rochalimaea henselaeと最初名づけられ、現在、Bartonella henselaeとして公知のグラム陰性桿菌によって引き起こされる、ネコへの曝露を通して獲得されるヒトの疾患である。徴候として、発熱およびリンパ節の腫大が挙げられ、CSFは、一般的に、比較的良性で、人々の中では自己限定性疾患であるが、Bartonella henselaeの感染は、免疫不全者において独特な臨床徴候を生じ得、それらには、菌血症を伴う急性熱病、細菌性血管腫症、肝臓性紫斑病、桿菌性脾炎、およびAIDS脳症などの他の慢性疾患顕在化が挙げられる。その疾患は、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、リファンピン、ペニシリン、ゲンタマイシン、セフトリアキソン、シプロフロキサシン、およびアジスロマイシンなどの抗生物質で処置される。
【0095】
Haemophilus influenzae(H.influenza)は、グラム陰性細菌のファミリーである;そのうちの6つの型が公知であり、たいていのH.influenza関連疾患はB型、または「HIB」によって引き起こされる。HIBについてのワクチンが開発されるまで、HIBは、中耳炎、副鼻腔感染症、気管支炎の一般的原因であり、髄膜炎の最も一般的な原因であり、肺炎、敗血症性関節炎(関節感染症)、蜂巣炎(軟部組織の感染症)、および心膜炎(心臓を取り囲む膜の感染症)の症例におけるよくある原因であった。H.influenza B型細菌は、ヒトに蔓延しており、通常、病気を引き起こすことなしに喉および鼻に生存する。5歳未満のワクチン接種をしていない子どもがHIB疾患のリスクがある。H.influenza感染によって引き起こされる髄膜炎および他の重篤な感染症は、脳損傷または死をもたらし得る。
【0096】
Shigella dysenteriae(Shigella dys.)は、赤痢(dysentary)を引き起こすグラム陰性桿菌である。結腸において、その細菌は、粘膜細胞に侵入し、粘膜細胞内で分裂し、結果として広範な炎症応答を生じる。シゲラ感染症は、脱水につながる可能性がある重篤な下痢を引き起こし得、非常に若い者、非常に高齢の者、または慢性的に病気の者にとって危険であり得る。Shigella dys.は、強力な毒素(志賀毒素)を形成し、それは、細胞毒性、腸管毒素性、神経毒性であり、タンパク質合成のインヒビターとして働く。アンピシリンおよびTMP−SMXなどの抗生物質に対する抵抗性が発生しているが、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、およびエノキサシンなどのより新しく、より高価な抗生物質が依然として有効である。
【0097】
Listeriaは、ヒトおよび動物の糞便に見出されるグラム陽性の運動性細菌の属である。Listeria monocytogenesは、リステリア症、髄膜脳炎、および髄膜炎などの疾患を引き起こす。この生物体は、特に、妊婦、新生児、高齢者、および免疫不全の個体における、食品媒介病原体からの死亡の主な原因の1つである。それは、腐敗性植物質、下水、水、および土壌などの環境に見出され、極度の温度および極度の塩濃度の両方の中を生き延びることができ、それにより、特に再加熱されていない食品における、極めて危険な食品媒介病原菌となっている。その細菌は、腸における感染部位から中枢神経系および胎児胎盤系まで広がり得る。髄膜炎、胃腸炎、および敗血症は、感染に起因し得る。ウシおよびヒツジにおいて、リステリア感染症は、脳炎および自然流産を引き起こす。
【0098】
Proteus mirabilisは、大腸菌と遠縁の腸内グラム陰性共生生物体である。それは通常、ヒト尿道にコロニー形成するが、カテーテルを挿入している個体における尿路感染症の主な原因である日和見病原菌である。P.mirabilisは、以下の2つの例外的特徴を有する:1)それは、培養プレート上のスウォーミング現象として現れる、非常に迅速な運動性を有する;および2)それはウレアーゼを産生し、そのことが、尿素を分解して、泌尿生殖器内で生存する能力を与えている。
【0099】
Yersinia pestisは、世界中で何百万人も殺した壊滅的疾患である、ペスト(腺および肺)の原因物質である。この生物体は、ラットからヒトへ、感染したノミの咬み傷を通して伝染することができ、または感染の広がっている間、空気を通してヒトからヒトへ伝染することができる。Yersinia pestisは、疾患を引き起こすためにほんの少数だけを必要とする極めて病原性の高い生物体であり、処置しないでおくと死を招くことが多い。この生物体は、腸管侵入性であり、宿主中全身に広がる前にマクロファージ内で生存し、増殖することができる。
【0100】
Bacillus anthracisはまた炭疽菌として公知である。ヒトは、汚染された動物と接触したとき、感染する。炭疽菌は人対人の接触によっては伝染しない。疾患の3つの型は、皮膚性(皮膚)、肺性(肺)、および腸性を含む感染の部位を反映する。肺感染症および腸感染症は、処置しないでおくと、致命的になることが多い。胞子がマクロファージによって取り込まれ、ファゴリソソーム(膜性コンパートメント)へ内部移行し、そこで発芽を開始する。感染したマクロファージがいったん溶解すると、細菌は血流へ放出され、そこでそれらは急速に繁殖し、循環系およびリンパ系中を広がる。これは、結果として、敗血症性ショック、呼吸促迫、および臓器不全を生じる過程である。この病原菌の胞子は、テロの兵器として用いられている。
【0101】
Burkholderia malleiは、主にウマ、ラバ、およびロバにおいて起こる感染性疾患である鼻疽を引き起こす、グラム陰性好気性細菌である。それはヒト感染にはめったに関連しておらず、より一般的には、家畜に見られる。この生物体は、B.pseudomalleiに類似しており、非運動性であることによって区別される。その病原菌は、宿主適応しており、その宿主の外側の環境においては見出されない。鼻疽は、抗生物質で処置しないでおくと、致命的になることが多く、伝染は、空気を通して、またはより一般的には、感染した動物と接触したときに起こり得る。急激に発症する肺炎、菌血症(血液を通してのその生物体の伝播)、膿疱、および死は、感染中のよくある結果である。毒性機構はよくわかっていないが、Salmonella typhimurium由来のものと類似したIII型分泌系が必要である。生物兵器テロ物質として可能性を有すると考えられるこの潜在的に危険な生物体についてのワクチンは存在していない。この生物体のゲノムは、関連したBukholderia pseudomallei(下記)と比較して、多数の挿入配列を有し、細胞表面タンパク質の抗原変異において機能し得る多数の単純配列反復を有する。
【0102】
Burkholderia pseudomalleiは、ヒトおよび動物において類鼻疽を引き起こすグラム陰性細菌である。類鼻疽は、アジアのある特定の地域、タイ、およびオーストラリアで見出される疾患である。B.pseudomalleiは、典型的には、土壌生物体であり、水田および湿性熱帯土壌から回収されているが、日和見病原菌として、糖尿病を患っている者など感染しやすい個体において疾患を引き起こし得る。生物体は、細胞内に存在し得、肺炎および菌血症(血流を通しての細菌の伝播)を引き起こす。潜伏期は極めて長く、感染は疾患を数十年先行しており、処置では抗生物質の使用が何ヶ月もかかり得、よく見られる現象を再発する。細胞間伝播は、細胞の1極でのアクチン重合の誘導を介して起こり得、細胞質を通っての細胞から細胞への移動を可能にする。この生物体は、B. malleiゲノムに関して見出されたものと類似した、抗原変異を促進し得る、いくつかの小さな配列反復を有する。
【0103】
Burkholderia cepaciaは、Burkholderia multivorans、Burkholderia vietnamiensis、Burkholderia stabilis、Burkholderia cenocepacia、およびBurkholderia ambifariaを含む少なくとも7つの異なる亜種で構成されるグラム陰性細菌である。B.cepaciaは、基礎肺疾患(嚢胞性線維症または免疫問題(慢性肉芽腫症など)など)を有する人々において肺炎を引き起こすことが多い重要なヒト病原菌である。B.cepaciaは、典型的には、水および土壌に見出され、湿潤環境において長期間、生存することができる。人から人への伝播は、立証されている;結果として、多数の病院、診療所、および嚢胞性線維症を有する患者のための施設は、B.cepaciaの厳格な隔離予防措置を制定している。細菌を有する個体は、伝播を制限するためにそれを有しない者から分離された領域で処置されることが多い。これは、B.cepaciaの感染が、肺機能の急速な低下を引き起こして、死をもたらし得るためである。B.cepaciaの診断は、喀痰培養からの細菌の単離を含む。B.cepaciaは、アミノグリコシド(トブラマイシンなど)およびポリミキシンBを含む多くの一般的な抗生物質に対して生来、抵抗性であるため、処置は困難である。処置としては、典型的には、複数の抗生物質が挙げられ、それには、セフタジジム、ドキシサイクリン、ピペラシリン、クロラムフェニコール、およびコトリモキサゾールを挙げることができる。
【0104】
Francisella tularensisは、Edward Francisによって20世紀初期、カリフォルニア州のトゥーレア郡でリスを侵したペスト様病気の原因物質として最初に認められた。その生物体は、今、彼の名前をもらっている。その疾患は、ツラレミアと呼ばれ、有史時代を通して注目されている。その生物体は、感染したダニまたはメクラアブからヒトへ、感染した肉を通して、またはエアロゾルを介して、伝染することができ、したがって、潜在的バイオテロリズム物質である。それは、水生生物体であり、レジオネラに関して観察されることに類似して、原生動物の内部で生きていることを見出すことができる。それは、高い感染率を有し、食細胞および非食細胞に侵入し、急速に繁殖することができる。ひとたびマクロファージ内に侵入したならば、その生物体はファゴソームを回避して、サイトゾルで生きることができる。
【0105】
獣医学的適用
家畜の胃腸管における健康な細菌叢は、健康、および対応する関連食品の生産にとって極めて重要である。ヒトと同様に、健康な動物の胃腸管は、多数の型の細菌(すなわち、大腸菌、Pseudomonas aeruginosa、およびSalmonella spp.)を含み、それらの細菌は、お互いに生態学的バランスの中で生きている。このバランスは、食事、ストレスの変化によって、または抗生物質もしくは他の治療的処置に応答して、乱される場合があり、その結果として、一般的にSalmonella、Campylobacter、Enterococci、Tularemia、および大腸菌などの細菌によって引き起こされる、動物における細菌性疾患を生じ得る。これらの動物における細菌感染は、治療的介入を必要とすることが多く、それは処置費用がかかり、加えて、生産性の減少を伴うことが多い。
【0106】
結果として、家畜は、胃腸管における菌叢のバランスを維持するために日常的に抗生物質で処置される。このアプローチの不都合な点は、抗生物質抵抗性細菌の発生、およびそのような抗生物質および抵抗性細菌の、ヒト消費のための生じた食品への持ち越し汚染である。
【0107】
ナノ粒子
ポリヌクレオチドが付着しているように官能基化されているナノ粒子が提供される。ナノ粒子のサイズ、形、および化学組成は、結果として生じるポリヌクレオチド官能基化ナノ粒子の性質に寄与する。これらの性質には、例えば、光学的性質、光電子工学的性質、電気化学的性質、電子工学的性質、様々な溶液における安定性、磁気的性質、ならびにポアおよびチャネルのサイズ変化が挙げられる。均一なサイズ、形、および/または化学組成を有するナノ粒子の使用に加えて、異なるサイズ、形、および/または化学組成を有するナノ粒子の混合物、ならびに、それにしたがって、性質の混合物が意図される。適切な粒子の例として、非限定的に、米国特許第7,238,472号および国際公開第2003/08539号(それらの特許の開示は、その全体が参照により組み入れられている)に記載されたものなどの、凝集粒子、等方性粒子(球状粒子など)、異方性粒子(非球状円柱、4面体、および/または角柱など)、およびコアシェル粒子が挙げられる。
【0108】
一実施形態において、ナノ粒子は金属性であり、様々な態様において、ナノ粒子はコロイド金属である。したがって、様々な実施形態において、本発明のナノ粒子は、金属(例えば、非限定的に、銀、金、白金、アルミニウム、パラジウム、銅、コバルト、インジウム、ニッケル、またはナノ粒子形成が可能な任意の他の金属が挙げられる)、半導体(例えば、非限定的に、CdSe、CdS、およびZnSでコーティングされたCdSまたはCdSeが挙げられる)、および磁性(例えば、フェロマグネタイト(ferromagnetite))コロイド物質が挙げられる。
【0109】
また、米国特許公開第2003/0147966号に記載されているように、本発明のナノ粒子には、市販されているもの、および合成されたもの、例えば、溶液中の累進的核形成(例えば、コロイド反応による)から、またはスパッタ堆積などの様々な物理化学的蒸着プロセスによって生じたものが挙げられる。例えば、HaVashi、Vac.Sci.Technol.A5(4):1375−84(1987);Hayashi、Physics Today、44−60(1987);MRS Bulletin、1990年1月、16−47を参照されたい。米国特許公開第2003/0147966号にさらに記載されているように、意図されるナノ粒子は、代替として、HAuClおよびクエン酸塩還元剤を用いて、当技術分野で公知の方法を使って、作製される。例えば、Marinakosら、Adv.Mater.11:34−37(1999);Marinakosら、Chem.Mater.10:1214−19(1998);EnustunおよびTurkevich、J.Am.Chem.Soc.85:3317(1963)を参照されたい。
【0110】
ナノ粒子は、平均直径が約1nm〜約250nm、平均直径が約1nm〜約240nm、平均直径が約1nm〜約230nm、平均直径が約1nm〜約220nm、平均直径が約1nm〜約210nm、平均直径が約1nm〜約200nm、平均直径が約1nm〜約190nm、平均直径が約1nm〜約180nm、平均直径が約1nm〜約170nm、平均直径が約1nm〜約160nm、平均直径が約1nm〜約150nm、平均直径が約1nm〜約140nm、平均直径が約1nm〜約130nm、平均直径が約1nm〜約120nm、平均直径が約1nm〜約110nm、平均直径が約1nm〜約100nm、平均直径が約1nm〜約90nm、平均直径が約1nm〜約80nm、平均直径が約1nm〜約70nm、平均直径が約1nm〜約60nm、平均直径が約1nm〜約50nm、平均直径が約1nm〜約40nm、平均直径が約1nm〜約30nm、または平均直径が約1nm〜約20nm、平均直径が約1nm〜約10nmのサイズの範囲であり得る。他の態様において、ナノ粒子のサイズは、約5nm〜約150nm(平均直径)、約5nm〜約50nm、約10nm〜約30nm、約10nm〜約150nm、約10nm〜約100nm、または約10nm〜約50nmである。ナノ粒子のサイズは、約5nm〜約150nm(平均直径)、約30nm〜約100nm、約40nm〜約80nmである。一方法に用いられるナノ粒子のサイズは、それらの特定の使用または適用によって必要とされるように変化する。サイズの変化は、有利には、ナノ粒子のある特定の物理的特徴、例えば、光学的性質、または本明細書に記載されているように官能基化され得る表面積の量を最適化するために用いられる。
【0111】
オリゴヌクレオチド
本明細書に用いられる場合、用語「ヌクレオチド」またはその複数形は、本明細書に論じられているような、および当技術分野において他の形で公知のような修飾型と交換可能である。ある特定の場合、当技術分野は、天然のヌクレオチド、および修飾ヌクレオチドを含む非天然のヌクレオチドを包含する用語「核酸塩基」を用いる。したがって、ヌクレオチドまたは核酸塩基は、天然の核酸塩基のアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、およびウラシル(U)を意味する。非天然の核酸塩基には、例えば、非限定的に、キサンチン、ジアミノプリン、8−オキソ−N6−メチルアデニン、7−デアザキサンチン、7−デアザグアニン、N4,N4−エタノシトシン、N’,N’−エタノ−2,6−ジアミノプリン、5−メチルシトシン(mC)、5−(C−C)−アルキニル−シトシン、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、プソイドイソシトシン、2−ヒドロキシ−5−メチル−4−トリアゾロピリジン、イソシトシン、イソグアニン、イノシン、ならびにBennerら、米国特許第5,432,272号、Susan M.FreierおよびKarl−Heinz Altmann、1997、Nucleic Acids Research、25巻:4429−4443ページに記載された「非天然の」核酸塩基が挙げられる。用語「核酸塩基」はまた、公知のプリンおよびピリミジン複素環だけでなく、複素環類似体およびその互変異性体も含む。さらに天然および非天然の核酸塩基として、米国特許第3,687,808号(Meriganら)、Antisense Research and Application、S.T.CrookeおよびB.Lebleu編、CRC Press、1993のSanghviによる15章、Englischら、1991、Angewandte Chemie、International Edition、30:613−722(特に622ページおよび623ページ参照)、ならびにConcise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、J.I.Kroschwitz編、John Wiley & Sons、1990、858−859ページ、Cook、Anti−Cancer Drug Design 1991、6、585−607(それぞれは、その全体が参照により本明細書に組み入れられている)に開示されたものが挙げられる。様々な態様において、ポリヌクレオチドはまた、核酸塩基のように働くことができる複素環化合物などの化合物を含む非天然のヌクレオチドのカテゴリーである、1つ以上の「ヌクレオシド塩基」または「塩基単位」を含み、それらには、最も古典的な意味においてはヌクレオシド塩基ではないが、ヌクレオシド塩基として働く特定の「ユニバーサル塩基」が挙げられる。ユニバーサル塩基には、3−ニトロピロール、任意に置換されたインドール(例えば、5−ニトロインドール)、および任意に置換されたヒポキサンチンが挙げられる。他の望ましいユニバーサル塩基として、当技術分野において公知のユニバーサル塩基を含む、ピロール、ジアゾールまたはトリアゾール誘導体が挙げられる。
【0112】
修飾ヌクレオチドは、欧州特許第1072679号および国際特許公開第97/12896号に記載されており、その特許の開示は参照により本明細書に組み入れられている。修飾核酸塩基には、非限定的に、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよび5−ハロシトシン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、6−アゾシトシン、および6−アゾチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル、および他の8−置換型のアデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に、5−ブロモ、5−トリフルオロメチル、および他の5−置換型のウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニン、ならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが挙げられる。さらなる修飾塩基として、フェノキサジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾキサジン−2(3H)−オン)、フェノチアジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾチアジン−2(3H)−オン)などの三環系ピリミジン、置換型フェノキサジンシチジン(例えば、9−(2−アミノエトキシ)−H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾックス−アジン−2(3H)−オン)、カルバゾールシチジン(2H−ピリミド[4,5−b]インドール−2−オン)、ピリドインドールシチジン(H−ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−オン)などのG−クランプが挙げられる。修飾塩基にはまた、プリン塩基またはピリミジン塩基が他の複素環で置き換えられているもの、例えば、7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジン、および2−ピリドンを挙げることができる。追加の核酸塩基として、米国特許第3,687,808号に開示されたもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering、858−859ページ、Kroschwitz,J.I.編、John Wiley & Sons、1990に開示されたもの、Englischら、1991、Angewandte Chemie、International Edition、30:613により開示されたもの、およびSanghvi,Y.S.、15章、Antisense Research and Applications、289−302ページ、Crooke,S.T.およびLebleu,B.編、CRC Press、1993によって開示されたものが挙げられる。ある特定のこれらの塩基は、結合親和性を増加させるのに有用であり、それらには、5−置換型ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびに2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、および5−プロピニルシトシンを含むN−2、N−6、およびO−6置換型プリンが挙げられる。5−メチルシトシン置換型は、核酸二重鎖安定性を0.6〜1.2℃、増加させることが示されており、ある特定の態様において、2’−O−メトキシエチル糖修飾型と組み合わされる。米国特許第3,687,808号、米国特許第4,845,205号、第5,130,302号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121号、第5,596,091号、第5,614,617号、第5,645,985号、第5,830,653号、第5,763,588号、第6,005,096号、第5,750,692号、および第5,681,941号(それらの開示は、参照により本明細書に組み入れられている)を参照されたい。
【0113】
あらかじめ決められた配列のポリヌクレオチドを作製する方法は周知である。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989)、およびF.Eckstein(編)、Oligonucleotides and Analogues、第1版(Oxford University Press、New York、1991)を参照。固相合成方法は、ポリリボヌクレオチドおよびポリデオキシリボヌクレオチドの両方について好ましい(DNAを合成する周知の方法はまた、RNAを合成するのにも有用である)。ポリリボヌクレオチドはまた、酵素的に調製することもできる。非天然の核酸塩基は、同様に、ポリヌクレオチドに組み入れることができる。例えば、米国特許第7,223,833号、Katz,J.Am.Chem.Soc.、74:2238(1951)、Yamaneら、J.Am.Chem.Soc.、83:2599(1961)、Kosturkoら、Biochemistry、13:3949(1974)、Thomas、J.Am.Chem.Soc.、76:6032(1954)、Zhangら、J.Am.Chem.Soc.、127:74−75(2005)、およびZimmermannら、J.Am.Chem.Soc.、124:13684−13685(2002)を参照されたい。
【0114】
ポリヌクレオチドまたはその修飾型、および本明細書で定義されているようなドメインで官能基化されている、提供されるナノ粒子は、一般的に、約5ヌクレオチド長〜約100ヌクレオチド長のポリヌクレオチドを含む。より具体的には、ナノ粒子は、約5〜約90ヌクレオチド長、約5〜約80ヌクレオチド長、約5〜約70ヌクレオチド長、約5〜約60ヌクレオチド長、約5〜約50ヌクレオチド長、約5〜約45ヌクレオチド長、約5〜約40ヌクレオチド長、約5〜約35ヌクレオチド長、約5〜約30ヌクレオチド長、約5〜約25ヌクレオチド長、約5〜約20ヌクレオチド長、約5〜約15ヌクレオチド長、約5〜約10ヌクレオチド長であるポリヌクレオチド、およびポリヌクレオチドが所望の結果を達成することができる程度までの具体的に開示されたサイズの中間の長さの全てのポリヌクレオチドで官能基化されている。したがって、5ヌクレオチド長、6ヌクレオチド長、7ヌクレオチド長、8ヌクレオチド長、9ヌクレオチド長、10ヌクレオチド長、11ヌクレオチド長、12ヌクレオチド長、13ヌクレオチド長、14ヌクレオチド長、15ヌクレオチド長、16ヌクレオチド長、17ヌクレオチド長、18ヌクレオチド長、19ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、21ヌクレオチド長、22ヌクレオチド長、23ヌクレオチド長、24ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、26ヌクレオチド長、27ヌクレオチド長、28ヌクレオチド長、29ヌクレオチド長、30ヌクレオチド長、31ヌクレオチド長、32ヌクレオチド長、33ヌクレオチド長、34ヌクレオチド長、35ヌクレオチド長、36ヌクレオチド長、37ヌクレオチド長、38ヌクレオチド長、39ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、41ヌクレオチド長、42ヌクレオチド長、43ヌクレオチド長、44ヌクレオチド長、45ヌクレオチド長、46ヌクレオチド長、47ヌクレオチド長、48ヌクレオチド長、49ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長、51ヌクレオチド長、52ヌクレオチド長、53ヌクレオチド長、54ヌクレオチド長、55ヌクレオチド長、56ヌクレオチド長、57ヌクレオチド長、58ヌクレオチド長、59ヌクレオチド長、60ヌクレオチド長、61ヌクレオチド長、62ヌクレオチド長、63ヌクレオチド長、64ヌクレオチド長、65ヌクレオチド長、66ヌクレオチド長、67ヌクレオチド長、68ヌクレオチド長、69ヌクレオチド長、70ヌクレオチド長、71ヌクレオチド長、72ヌクレオチド長、73ヌクレオチド長、74ヌクレオチド長、75ヌクレオチド長、76ヌクレオチド長、77ヌクレオチド長、78ヌクレオチド長、79ヌクレオチド長、80ヌクレオチド長、81ヌクレオチド長、82ヌクレオチド長、83ヌクレオチド長、84ヌクレオチド長、85ヌクレオチド長、86ヌクレオチド長、87ヌクレオチド長、88ヌクレオチド長、89ヌクレオチド長、90ヌクレオチド長、91ヌクレオチド長、92ヌクレオチド長、93ヌクレオチド長、94ヌクレオチド長、95ヌクレオチド長、96ヌクレオチド長、97ヌクレオチド長、98ヌクレオチド長、99ヌクレオチド長、100ヌクレオチド長、またはそれ以上のポリヌクレオチドが意図される。
【0115】
ナノ粒子への付着のために意図されるポリヌクレオチドには、標的ポリヌクレオチドから発現した遺伝子産物の発現を調節するものが挙げられる。本開示によって意図されるポリヌクレオチドには、DNA、RNA、および本明細書の下記で定義されているようなその修飾型が挙げられる。したがって、様々な態様において、非限定的に、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズして、標的ポリヌクレオチドの転写または翻訳の減少を惹起するポリヌクレオチド、二本鎖ポリヌクレオチドにハイブリダイズして、転写を阻害する三重らせん形成性ポリヌクレオチド、および標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズして、翻訳を阻害するリボザイムが意図される。
【0116】
様々な態様において、特定のポリヌクレオチドが標的にされる場合には、単一の官能基化オリゴヌクレオチド−ナノ粒子組成物が、その転写産物の複数コピーに結合する能力を有する。一態様において、同一のポリヌクレオチド、すなわち、各ポリヌクレオチドが同じ長さおよび同じ配列を有する、ポリヌクレオチドで官能基化されているナノ粒子が提供される。他の態様において、同一ではない2つ以上のポリヌクレオチド、すなわち、付着したポリヌクレオチドの少なくとも1つが、異なる長さおよび/または異なる配列を有する点で、少なくとも1つの他の付着したポリヌクレオチドと異なる、2つ以上のポリヌクレオチドでナノ粒子が官能基化されている。異なるポリヌクレオチドがナノ粒子に付着している態様において、これらの異なるポリヌクレオチドは、同じ単一の標的ポリヌクレオチドに結合するが、異なる位置で結合し、または異なる遺伝子産物をコードする異なる標的ポリヌクレオチドに結合する。
【0117】
修飾オリゴヌクレオチド
上記で論じられているように、ナノ粒子を官能基化するための修飾オリゴヌクレオチドが意図される。様々な態様において、ナノ粒子上に官能性付与するオリゴヌクレオチドは、完全に修飾されるか、または部分的に修飾されている。したがって、様々な態様において、ポリヌクレオチドにおけるヌクレオチド単位の1つもしくは複数、もしくは全部の糖、および/または1つもしくは複数もしくは全部のヌクレオチド間連結が、「非天然の」群で置き換えられている。
【0118】
一態様において、この実施形態は、ペプチド核酸(PNA)を意図する。PNA化合物において、ポリヌクレオチドの糖バックボーンは、アミド含有バックボーンで置き換えられている。例えば、米国特許第5,539,082号、第5,714,331号、および第5,719,262号、ならびにNielsenら、Science、1991、254、1497−1500(それらの開示は参照により本明細書に組み入れられている)を参照されたい。
【0119】
開示されたポリヌクレオチドについて意図されるヌクレオチドと非天然ヌクレオチドとの間の他の連結には、米国特許第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号、第5,792,747号、および第5,700,920号、米国特許公開第20040219565号、国際特許公開第98/39352号および国際特許公開第99/14226号、Mesmaekerら、Current Opinion in Structural Biology 5:343−355(1995)、ならびにSusan M.FreierおよびKarl−Heinz Altmann、Nucleic Acids Research、25:4429−4443(1997)(それらの開示は参照により本明細書に組み入れられている)に記載されたものが挙げられる。
【0120】
オリゴヌクレオチドの具体的な例には、修飾バックボーンまたは非天然ヌクレオシド間連結を含むものが挙げられる。修飾バックボーンを有するオリゴヌクレオチドには、バックボーンにリン原子を保持するもの、およびバックボーンにリン原子を有しないものが挙げられる。ヌクレオシド間バックボーンにリン原子を有しない修飾オリゴヌクレオチドは、「オリゴヌクレオチド」の意味の範囲内であるとみなされる。
【0121】
リン原子を含む修飾オリゴヌクレオチドバックボーンには、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’−アルキレンホスホネート、5’−アルキレンホスホネート、およびキラルホスホネートを含むメチルおよび他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホラミデートおよびアミノアルキルホスホラミデートを含むホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、通常の3’−5’連結を有するセレノホスフェートおよびボラノホスフェート、これらの2’−5’連結型類似体、ならび1つ以上のヌクレオチド間連結が3’から3’へ、5’から5’へ、または2’から2’への連結である逆極性を有するものが挙げられる。最も3’側のヌクレオチド間連結に単一の3’から3’への連結を含む、すなわち、塩基脱落している場合がある(ヌクレオチドが、その所定の位置にヒドロキシル基を欠いているか、または有する)単一の逆ヌクレオシド残基を含む、逆極性を有するポリヌクレオチドも意図される。塩、混合塩、および遊離酸型もまた意図される。
【0122】
上記のリン含有連結の調製を教示する代表的な米国特許には、米国特許第3,687,808号、第4,469,863号、第4,476,301号、第5,023,243号、第5,177,196号、第5,188,897号、第5,264,423号、第5,276,019号、第5,278,302号、第5,286,717号、第5,321,131号、第5,399,676号、第5,405,939号、第5,453,496号、第5,455,233号、第5,466,677号、第5,476,925号、第5,519,126号、第5,536,821号、第5,541,306号、第5,550,111号、第5,563,253号、第5,571,799号、第5,587,361号、第5,194,599号、第5,565,555号、第5,527,899号、第5,721,218号、第5,672,697号、および第5,625,050号が挙げられ、それらの開示は参照により本明細書に組み入れられている。
【0123】
リン原子を含まない修飾ポリヌクレオチドバックボーンは、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルのヌクレオシド間連結、ヘテロ原子とアルキルもしくはシクロアルキルの混合型ヌクレオシド間連結、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環のヌクレオシド連結によって形成されるバックボーンを有する。これらには、モルホリノ連結;シロキサンバックボーン;スルフィドバックボーン、スルホキシドバックボーン、およびスルホンバックボーン;ホルムアセチルバックボーンおよびチオホルムアセチルバックボーン;メチレンホルムアセチルバックボーンおよびチオホルムアセチルバックボーン;リボアセチルバックボーン;アルケン含有バックボーン;スルファメートバックボーン;メチレンイミノバックボーンおよびメチレンヒドラジノバックボーン;スルホネートバックボーンおよびスルホンアミドバックボーン;アミドバックボーンを有するもの、ならびにN、O、S、およびCH成分の混合を有する他のものが挙げられる。さらに他の実施形態において、ホスホロチオエートバックボーン、およびヘテロ原子バックボーンを有するオリゴヌクレオシドを含む、ポリヌクレオチドが提供され、それらには、米国特許第5,489,677号および第5,602,240号に記載された、-CH-NH-O-CH-、-CH-N(CH)-O-CH-、-CH-O-N(CH)-CH-、-CH-N(CH)-N(CH)-CH-、および-O-N(CH)-CH-CH-が挙げられる。例えば、米国特許第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,264,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,610,289号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、第5,792,608号、第5,646,269号、および第5,677,439号(それらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている)を参照されたい。
【0124】
様々な型において、オリゴにおける2つの連続するモノマーの間の連結は、-CH-、-O-、-S-、-NRH-、>C=O、>C=NRH、>C=S、-Si(R’’)-、-SO-、-S(O)-、-P(O)-、-PO(BH)-、-P(O,S)-、-P(S)-、-PO(R’’)-、-PO(OCH)-、および-PO(NHRH)-(式中、RHが水素およびC1〜4アルキルから選択され、R’’がC1〜6アルキルおよびフェニルから選択される)から選択される2〜4個、望ましくは3個の基/原子からなる。そのような連結の実例的例は、-CH-CH-CH-、-CH-CO-CH-、-CH-CHOH-CH-、-O-CH2-O-、-O-CH2-CH2-、-O-CH2-CH=(次のモノマーへの連結として用いられる場合、R5を含む)、-CH-CH-O-、-NRH-CH-CH-、-CH-CH-NRH-、-CH-NRH-CH-、-O-CH-CH-NRH-、-NRH-CO-O-、-NRH-CO-NRH-、-NRH-CS-NRH-、-NRH-C(=NRH)-NRH-、-NRH-CO-CH-NRH-O-CO-O-、-O-CO-CH-O-、-O-CH-CO-O-、-CH-CO-NRH-、-O-CO-NRH-、-NRH-CO-CH-、-O-CH-CO-NRH-、-O-CH-CH-NRH-、-CH=N-O-、-CH-NRH-O-、-CH-O-N=(次のモノマーへの連結として用いられる場合、R5を含む)、-CH-O-NRH-、-CO-NRH-CH-、-CH-NRH-O-、-CH-NRH-CO-、-O-NRH-CH-、-O-NRH、-O-CH-S-、-S-CH-O-、-CH-CH-S-、-O-CH-CH-S-、-S-CH-CH=(次のモノマーへの連結として用いられる場合、R5を含む)、-S-CH-CH-、-S-CH-CH-O-、-S-CH-CH-S-、-CH-S-CH-、-CH-SO-CH-、-CH-SO-CH-、-O-SO-O-、-O-S(O)-O-、-O-S(O)-CH-、-O-S(O)-NRH-、-NRH-S(O)-CH-、-O-S(O)-CH-、-O-P(O)-O-、-O-P(O,S)-O-、-O-P(S)-O-、-S-P(O)-O-、-S-P(O,S)-O-、-S-P(S)-O-、-O-P(O)-S-、-O-P(O,S)-S-、-O-P(S)-S-、-S-P(O)-S-、-S-P(O,S)-S-、-S-P(S)-S-、-O-PO(R’’)-O-、-O-PO(OCH)-O-、-O-PO(OCHCH)-O-、-O-PO(OCHCHS-R)-O-、-O-PO(BH)-O-、-O-PO(NHRN)-O-、-O-P(O)-NRHH-、-NRH-P(O)-O-、-O-P(O,NRH)-O-、-CH-P(O)-O-、-O-P(O)-CH-、および-O-Si(R’’)-O-;とりわけ、-CH-CO-NRH-、-CH-NRH-O-、-S-CH-O-、-O-P(O)-O-O-P(−O,S)-O-、-O-P(S)-O-、-NRHP(O)-O-、-O-P(O,NRH)-O-、-O-PO(R’’)-O-、-O-PO(CH)-O-、および-O-PO(NHRN)-O-(式中、RHが水素およびC1〜4アルキルから選択され、R’’がC1〜6アルキルおよびフェニルから選択される)が意図される。さらなる実例的例は、Mesmaekerら、1995、Current Opinion in Structural Biology、5:343−355、ならびにSusan M.FreierおよびKarl−Heinz Altmann、1997、Nucleic Acids Research、25巻:4429−4443ページに示されている。
【0125】
さらに他の修飾型のポリヌクレオチドは、米国特許出願第20040219565号に詳細に記載されており、その特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0126】
修飾ポリヌクレオチドはまた、1つ以上の置換型糖部分を含んでもよい。ある特定の態様において、ポリヌクレオチドは、2’位に以下のうちの1つを含む:OH;F;O−、S−、もしくはN−アルキル;O−、S−、もしくはN−アルケニル;O−、S−、もしくはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキル(式中、アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換型または非置換型のC〜C10アルキル、またはC〜C10アルケニルおよびアルキニルであってもよい)。他の実施形態として、O[(CHO]CH、O(CH2)OCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、およびO(CHON[(CHCH(式中、nおよびmは1〜約10である)が挙げられる。他のポリヌクレオチドは、2’位に以下のうちの1つを含む:C1〜C10低級アルキル、置換型低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルまたはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換型シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、ポリヌクレオチドの薬物動態学的性質を向上させるための基またはポリヌクレオチドの薬力学的性質を向上させるための基、および類似した性質を有する他の置換基。一態様において、修飾には、2’−メトキシエトキシ(2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても公知の、2’−O−CHCHOCH)(Martinら、1995、Helv.Chim.Acta、78:486−504)、すなわち、アルコキシアルコキシ基が挙げられる。他の修飾として、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、2’−DMAOEとしても公知のO(CHON(CH、および2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(2’−O−ジメチル−アミノ−エトキシ−エチルまたは2’DMAEOEとしても当技術分野において公知)、すなわち、2’−O-CH-O-CH-N(CHが挙げられる。
【0127】
さらに他の修飾には、2’−メトキシ(2’−O−CH)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCHNH)、2’−アリル(2’−CH-CH=CH)、2’−O−アリル(2’−O−CH-CH=CH)、および2’−フルオロ(2’−F)が挙げられる。2’−修飾は、アラビノ(上)位置またはリボ(下)位置であり得る。一態様において、2’−アラビノ修飾は2’−Fである。類似した修飾はまた、ポリヌクレオチド上の他の位置、例えば、3’末端ヌクレオチド上または2’−5’連結ポリヌクレオチド内の糖の3’位、および5’末端ヌクレオチドの5’位になされてもよい。ポリヌクレオチドはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有してもよい。例えば、米国特許第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号、第5,792,747号、および第5,700,920号(それらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている)を参照されたい。
【0128】
一態様において、糖の修飾には、2’−ヒドロキシル基が糖環の3’または4’炭素原子に連結して、それにより二環式糖部分を形成している、ロックド核酸(LNA)が挙げられる。連結は、ある特定の態様において、2’酸素原子と4’炭素原子を架橋するメチレン(−CH−)n基(式中、nは1または2である)である。LNAおよびその調製は、国際公開第98/39352号および国際公開第99/14226号(それらの開示は参照により本明細書に組み入れられている)に記載されている。
【0129】
ナノ粒子へのオリゴヌクレオチドの付着
本方法に用いるために意図されるオリゴヌクレオチドには、任意の手段を通してナノ粒子に結合したものが挙げられる。どんな手段によってオリゴヌクレオチドがナノ粒子に付着していようと、様々な態様における付着は、5’連結、3’連結、いくつかの型の内部連結、またはこれらの付着の任意の組合せを通してもたらされる。
【0130】
付着の方法は、当業者に公知であり、全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許公開第2009/0209629号に記載されている。RNAをナノ粒子に付着させる方法は、一般的に、全体が参照により本明細書に組み入れられているPCT/US2009/65822に記載されている。したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、ナノ粒子に付着したポリヌクレオチドがRNAであることを意図する。
【0131】
いくつかの態様において、ドメインをさらに含むオリゴヌクレオチドがナノ粒子に会合している、オリゴヌクレオチドが付着したナノ粒子が提供される。いくつかの態様において、ドメインはポリチミジン配列である。他の態様において、ドメインは、リン酸ポリマー(C3残基)である。
【0132】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子に付着したオリゴヌクレオチドはDNAである。DNAがナノ粒子に付着している場合、DNAは、ナノ粒子に付着したDNAオリゴヌクレオチドと標的ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションが起こり、それにより標的ポリヌクレオチドがナノ粒子に会合するように、ポリヌクレオチドの標的配列に十分相補的である配列で構成される。様々な態様におけるDNAは、一本鎖または二本鎖であり、ただし、二本鎖分子もまた、標的ポリヌクレオチドの一本鎖配列にハイブリダイズする一本鎖配列を含む場合に限る。いくつかの態様において、ナノ粒子上に官能性付与するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、二本鎖標的ポリヌクレオチドを含む三重鎖構造を形成することができる。別の態様において、三重鎖構造は、ナノ粒子上に官能性付与する二本鎖オリゴヌクレオチドの一本鎖標的ポリヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって形成することができる。
【0133】
スペーサー
ある特定の態様において、オリゴヌクレオチドおよびドメインがスペーサーを通してナノ粒子に付着しているものを含む官能基化ナノ粒子が意図される。本明細書に用いられる場合、「スペーサー」は、それ自体、遺伝子発現を調節するのに関与しないが、ナノ粒子と官能基オリゴヌクレオチドとの間の距離を増加させるか、または複数コピーでナノ粒子に付着している場合、個々のオリゴヌクレオチド間の距離を増加させる働きをする部分を意味する。したがって、オリゴヌクレオチドが同じ配列を有しようと異なる配列を有しようと、スペーサーは、直列型での個々のオリゴヌクレオチドの間に位置することが意図される。ドメインがナノ粒子に直接付着している本発明の態様において、ドメインは、任意で、スペーサーを通してナノ粒子に官能性付与してもよい。直列型でのドメインがナノ粒子に官能性付与している態様において、スペーサーは、任意で、直列型構造におけるドメイン単位の一部または全部の間にあってもよい。一態様において、スペーサーは、存在する場合、有機質部分である。別の態様において、スペーサーはポリマーであり、それには、水溶性ポリマー、核酸、ポリペプチド、オリゴ糖、糖質、脂質、エチルグリコール、またはそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
【0134】
ある特定の態様において、ポリヌクレオチドは、スペーサーを有し、それを通して、ナノ粒子に共有結合している。これらのポリヌクレオチドは、上記と同じポリヌクレオチドである。スペーサーのナノ粒子への結合の結果として、ポリヌクレオチドは、ナノ粒子の表面から離れるように間隔がとられ、その標的とのハイブリダイゼーションについてより近づきやすい。スペーサーがポリヌクレオチドである場合、様々な実施形態におけるスペーサーの長さは、少なくとも約10ヌクレオチド、10〜30ヌクレオチド、またはさらに30ヌクレオチドより長い。スペーサーは、ポリヌクレオチドがナノ粒子に、または標的ポリヌクレオチドに結合するようになる能力に干渉しない任意の配列を有し得る。スペーサーは、お互いに相補的な配列、またはオリゴヌクレオチドの配列に相補的な配列を有するべきではないが、標的ポリヌクレオチドに全部または一部、相補的であってもよい。ある特定の態様において、ポリヌクレオチドスペーサーの塩基は、全てアデニン、全てチミン、全てシチジン、全てグアニン、全てウラシル、または全ていくつかの他の修飾塩基である。
【0135】
表面密度
本明細書に提供されるナノ粒子は、様々な態様において、ナノ粒子間および単一のナノ粒子上のポリヌクレオチド鎖間で結果的に協調行動を生じるのに十分であるナノ粒子の表面上でのポリヌクレオチドのパッキング密度を有する。別の態様において、ナノ粒子間の協調行動は、ポリヌクレオチドのヌクレアーゼ分解に対する抵抗性を増加させる。さらに別の態様において、ナノ粒子の細胞による取り込みは、ナノ粒子に会合したポリヌクレオチドの密度によって影響される。全体が参照により本明細書に組み入れられているPCT/US2008/65366に記載されているように、ナノ粒子表面上のポリヌクレオチドのより高い密度は、ナノ粒子の細胞による取り込みの増加と関連している。
【0136】
ナノ粒子を安定させるのに十分な表面密度、およびそれを得るために必要な、ナノ粒子とポリヌクレオチドとの望ましい組合せについての条件は、実験的に決定することができる。一般的に、少なくとも2ピコモル/cmの表面密度が、安定なナノ粒子−オリゴヌクレオチド組成物を提供するのに十分である。いくつかの態様において、表面密度は、少なくとも15ピコモル/cmである。ポリヌクレオチドが、少なくとも2ピコモル/cm、少なくとも3ピコモル/cm、少なくとも4ピコモル/cm、少なくとも5ピコモル/cm、少なくとも6ピコモル/cm、少なくとも7ピコモル/cm、少なくとも8ピコモル/cm、少なくとも9ピコモル/cm、少なくとも10ピコモル/cm、少なくとも約15ピコモル/cm、少なくとも約20ピコモル/cm、少なくとも約25ピコモル/cm、少なくとも約30ピコモル/cm、少なくとも約35ピコモル/cm、少なくとも約40ピコモル/cm、少なくとも約45ピコモル/cm、少なくとも約50ピコモル/cm、少なくとも約55ピコモル/cm、少なくとも約60ピコモル/cm、少なくとも約65ピコモル/cm、少なくとも約70ピコモル/cm、少なくとも約75ピコモル/cm、少なくとも約80ピコモル/cm、少なくとも約85ピコモル/cm、少なくとも約90ピコモル/cm、少なくとも約95ピコモル/cm、少なくとも約100ピコモル/cm、少なくとも約125ピコモル/cm、少なくとも約150ピコモル/cm、少なくとも約175ピコモル/cm、少なくとも約200ピコモル/cm、少なくとも約250ピコモル/cm、少なくとも約300ピコモル/cm、少なくとも約350ピコモル/cm、少なくとも約400ピコモル/cm、少なくとも約450ピコモル/cm、少なくとも約500ピコモル/cm、少なくとも約550ピコモル/cm、少なくとも約600ピコモル/cm、少なくとも約650ピコモル/cm、少なくとも約700ピコモル/cm、少なくとも約750ピコモル/cm、少なくとも約800ピコモル/cm、少なくとも約850ピコモル/cm、少なくとも約900ピコモル/cm、少なくとも約950ピコモル/cm、少なくとも約1000ピコモル/cm、またはそれ以上の表面密度でナノ粒子に結合している方法もまた提供される。
【実施例】
【0137】
実施例1
ナノ粒子の調製
クエン酸塩安定化金ナノ粒子(1〜250nm)を、公開された手順を用いて調製する[G.Frens、Nature Physical Science.1973、241、20]。この実施例において13nmおよび5nmのサイズを用いるが、他の実施例は、1nm〜500nmのサイズのナノ粒子を含む。簡単に述べると、テトラクロロ金酸を還流水中のクエン酸塩での処理によって還元する。粒子サイズおよび分散度は、透過型電子顕微鏡およびuv/vis分光光度法を用いて確認することができる。チオール化オリゴヌクレオチドを、標準固相ホスホラミダイト方法を用いて合成する[Pon,R.T.、Solid−phase supports for oligonucleotide synthesis.、Methods in Molecular Biology(Totowa、NJ、United States)(1993)、20(Protocols for Oligonucleotides and Analogs)、465−496]。チオール修飾オリゴヌクレオチドを次に、10nMコロイドの1mLあたり3nmolのオリゴヌクレオチドの濃度で13±1nmおよび5nmの金コロイドに加え、一晩、振盪する。12時間後、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液(10%)をその混合物に、0.1%SDS濃度に達するように加え、リン酸緩衝液(0.1M;pH=7.4)をその混合物に、0.01リン酸濃度に達するように加え、塩化ナトリウム溶液(2.0M)をその混合物に、0.1M塩化ナトリウム濃度に達するように加える。その後、6つの塩化ナトリウム溶液(2.0M)のアリコートをその混合物に、0.3Mの最終塩化ナトリウム濃度に達するように8時間かけて加え、一晩、振盪して、官能基化過程を完了する。その溶液を遠心分離し(13,000rpm、20分)、滅菌リン酸緩衝食塩水中に3回、再懸濁して、精製されたコンジュゲートを作製する。
【0138】
実施例2
オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子コンジュゲート方法
この実施例におけるオリゴヌクレオチド設計は、2つの可能な作用機構を含む。第1に、アンピシリン抵抗性(AmpR)遺伝子β−ラクタマーゼについてのプロモーター部位のセンス鎖に優先的にハイブリダイズする公開されたプラスミド配列を用いて、配列を設計した。これは、細菌ゲノムにおけるAmpRのプロモーター配列への(粒子のより好ましい結合定数および/または細胞内濃度を与えられた)コンジュゲートの優先的ハイブリダイゼーションを利用することによって、細菌のアンピシリンに対する感受性を増加させるであろう。これは、プロモーター複合体がその標的部位に結合するのを阻止して、mRNA転写産物(Amp抵抗性遺伝子)の転写を阻止し、それにしたがって、細菌のアンピシリンに対する感受性を増加させるであろう。用いられる配列は、5’−AT TGT CTC ATG AGC GGA TAC ATA TTT GAA AAA AAA AAA A−SH−3’(配列番号1)および5’−AT TGT CTC ATG AGC GGA TAC AAA AAA AAA A−SH−3’(配列番号2)であった。
【0139】
第2のストラテジーは、AmpR遺伝子の内部領域にハイブリダイズするように設計された配列を利用する。そのように行うことで、これは、完全mRNA転写産物の完成を阻止するであろう。これの下流効果は、機能性mRNA転写産物(Amp抵抗性遺伝子)の完全転写を阻止し、したがって、細菌のアンピシリンに対する感受性を増加させることである。このストラテジーについて、標的二重鎖DNAにハイブリダイズするようにセンス鎖を選んだ。これについての配列は、5’−ACT TTT AAA GTT CTG CTA TAA AAA AAA AA−SH−3’(配列番号3)であった。両方のストラテジーについてのスキームは、図1に示されている。あるいは、mRNAを結合して、タンパク質産生を阻止し、したがって、細菌の抗生物質に対する感受性を増加させる伝統的なアンチセンスストラテジーを用いることができた。
【0140】
JM109大腸菌コンピテント細胞を、公開された手順(PromegaおよびInvitrogen)にしたがってアンピシリン含有プラスミド(psiCHECK 2、Promegaか、またはpScreen−iT、Invitrogenかのいずれか)を用いて形質転換し、抗生物質含有(Amp)プレート上で増殖させた。単一のコロニーを選択し、アンピシリンを含む液体培養中で12時間、増殖させた。この培養物を用いて、後の実験に用いるために凍結(10%グリセロール)ストックを形成した。
【0141】
大腸菌のストックの解凍後、下記に詳述されているように、少容量をアンピシリンを含むかまたは含まないかのいずれかの液体ブロス中で増殖させ、対応するLBプレート上にプレーティングした。一例において、5μLの凍結細菌ブロスを、30nM粒子を含む1mLのLBブロス中で5.5時間、増殖させた。この1mLから、100μLをプレーティングし、一晩増殖させた。細菌移入を、透過型電子顕微鏡を用いて確認した(図2)。
【0142】
ナノ粒子での数時間の処理後、少容量の細菌を、アンピシリン陽性プレートかまたはアンピシリン陰性プレートかのいずれかにプレーティングする。細菌をこれらのプレート上でさらに12時間増殖させ、各条件下で増殖したコロニーの数を評価する。結果を下記の表1にまとめる。細菌増殖の66%阻害がこのストラテジーを用いて得られた。条件の日常的最適化によって、100%成功の細菌の感受性増加をもたらすことが予想される。
【0143】
【表1−1】

プロトコール:30nM粒子を含む1mLのブロス中で5μLの細菌ブロスを3.5時間、増殖させる。100μLをプレーティングし、一晩、増殖させる。
【0144】
【表1−2】

プロトコール:30nM粒子を含む1mLのブロス中で5μLの細菌ブロスを5.5時間、増殖させる。100μLをプレーティングし、一晩、増殖させる。
【0145】
実施例3
オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子コンジュゲートは転写ノックダウンを達成する
追加のストラテジーを用いて、プラスミド由来ルシフェラーゼ遺伝子における転写ノックダウンを調べた。このモデルを用いて、ルシフェラーゼノックダウンを、ウミシイタケ(Renilla)発現をコードするプラスミド上の別途の領域と区別することによって部位選択的遺伝子ノックダウンを実証した。この効果をアッセイするために、二重ルシフェラーゼレポーターアッセイ系(Dual−Luciferase Reporter Assay System)(Promega)を用いた。このモデルについて用いられるストラテジーは、ルシフェラーゼ遺伝子の完全mRNA転写産物の形成をブロックすることであった。これは、結果としてウミシイタケに関連したルシフェラーゼシグナルの減少を生じる。これに用いられる配列は、5’−CCC GAG CAA CGC AAA CGC AAA AAA AAA AA−SH−3’(配列番号4)であった。あるいは、プロモーター複合体がその標的部位に結合するのをブロックするために、上記で用いられたものと類似したストラテジーを用いることができた。この実施例において、5nm粒子を用いた。12時間後の生じたノックダウンは、300nM濃度の粒子を用いて、59%であった(p値=0.0004)。これらの結果は、転写レベルで遺伝子制御を達成する別の方法を実証している。データの要約は図3に示されている。
【0146】
実施例4
オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子コンジュゲートの転写のブロック
二本鎖ゲノムDNAとハイブリダイズすることによって転写およびその後のタンパク質産生をブロックするこれらのコンジュゲートの能力の実証として、インビトロ転写アッセイを行った。ルシフェラーゼ遺伝子をコードする二本鎖プラスミドDNAを含むインビトロ転写反応(Promega)にオリゴヌクレオチド官能基化金ナノ粒子を加えた。オリゴヌクレオチド配列は、ルシフェラーゼ遺伝子のセンス鎖を標的にし、それにしたがって、転写だけでなく、翻訳もブロックすることができた。対照として、非相補的配列で官能基化されたナノ粒子コンジュゲートもまた、同一の様式で用いた。転写反応を進行させ、ルシフェラーゼ活性を市販のキット(Promega)を用いて測定した。ルシフェラーゼ遺伝子を標的にするナノ粒子コンジュゲートを含む試料において、非相補的配列でのナノ粒子コンジュゲートを含む対照反応物と比較して、ルシフェラーゼ活性の有意な低下(>75%)が観察された。
【0147】
さらに、ノックダウンの根底にある原理を解明するために、あらかじめ形成された二重鎖のオリゴヌクレオチド金ナノ粒子コンジュゲート侵入を調べる実験を緩衝液中で行った。概略図および生じたデータを図4(AおよびB)に示す。粒子は、あらかじめ形成された二重鎖を結合する可能性がある(三重鎖形成)。あるいは、粒子は、標的配列についてのより高い結合定数によりあらかじめ形成された二重鎖を置き換える可能性がある。その後、粒子を13,000RPMで遠心分離し、PBS中で3回洗浄し、KCNで酸化する。結合した鎖の蛍光を測定する。理論に縛られるわけではないが、これは、結果としてフルオレセインキャッピング化オリゴヌクレオチド(アンチセンス鎖)の放出、および蛍光シグナルの増加を生じると仮説を立てられる。ナノ粒子添加前に、クエンチャー(ダブシル、センス鎖)およびフルオロフォア(フルオロセイン、アンチセンス鎖)を有する二重鎖が形成されている。一連の濃度にわたって、このストラテジーについての配列特異性を見ることができる。
【0148】
本発明は、様々な実施形態および実施例によって記載されているが、バリエーションおよび改良が当業者に思い浮かぶであろうことは理解される。したがって、特許請求の範囲に見られるような限定のみが本発明にかけられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子を含む抗生組成物であって、該オリゴヌクレオチドが、原核生物遺伝子の標的非コード配列に対して、ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で該標的非コード配列にハイブリダイズするのに十分相補的である、抗生組成物。
【請求項2】
原核生物遺伝子へのハイブリダイゼーションが原核細胞の増殖を阻害する、請求項1に記載の抗生組成物。
【請求項3】
オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが、原核生物遺伝子によってコードされる機能性原核生物タンパク質の発現を阻害する、請求項1または請求項2に記載の抗生組成物。
【請求項4】
前記機能性原核生物タンパク質の発現が、前記オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない細胞と比較して、約75%阻害される、請求項3に記載の抗生組成物。
【請求項5】
ハイブリダイゼーションが、変化した活性を有する、原核生物遺伝子によってコードされるタンパク質の発現をもたらす、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項6】
前記活性が、前記オリゴヌクレオチド修飾ナノ粒子と接触されない細胞と比較して、約10%低下している、請求項5に記載の抗生組成物。
【請求項7】
ハイブリダイゼーションが、前記原核生物遺伝子の転写を阻害する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項8】
ハイブリダイゼーションが、前記原核生物遺伝子によってコードされる機能性タンパク質の翻訳を阻害する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが、前記原核細胞増殖に必須の機能性タンパク質の発現を阻害する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが、原核細胞増殖に必須の機能性タンパク質の発現を阻害し、該原核細胞増殖に必須の機能性タンパク質が、グラム陰性遺伝子産物、グラム陽性遺伝子産物、細胞周期遺伝子産物、DNA複製に関与する遺伝子産物、細胞分裂遺伝子産物、タンパク質合成に関与する遺伝子産物、細菌ジャイレース、およびアシルキャリアー遺伝子産物からなる群から選択される、請求項9に記載の抗生組成物。
【請求項11】
前記原核生物遺伝子が、抗生物質抵抗性を与えるタンパク質をコードする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項12】
抗生物質剤をさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項13】
前記抗生物質剤が、ペニシリンG、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、ピペラシリン、イミペネム、アズトレオナム、セファロチン、セファクロール、セフォキシチン、セフロキシム、セフォニシド、セフメタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメット、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキシム、セフスロジン、フレロキサシン、ナリジキシン酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、シノキサシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エチルコハク酸エリスロマイシン、グルコヘプトン酸エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、バンコマイシン、テイコプラニン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ニトロフラントイン、リファンピン、ムピロシン、メトロニダゾール、セファレキシン、ロキシスロマイシン、コ−アモキシクラブアネート(Co−amoxiclavuanate)、ピペラシリンとタゾバクタムとの組合せ、ならびにそれらの様々な塩、酸、塩基、および他の誘導体からなる群から選択される、請求項12に記載の抗生組成物。
【請求項14】
前記オリゴヌクレオチドが、前記原核生物遺伝子の非コード鎖内の配列に十分相補的である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項15】
前記オリゴヌクレオチドが、前記原核生物遺伝子の非コード配列内の配列に対して、三重鎖構造を形成するのに十分相補的である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項16】
ハイブリダイゼーションが、前記オリゴヌクレオチドと、前記非コード配列と、該非コード配列に対して相補的なコード配列との間で三本鎖構造を形成する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項17】
前記オリゴヌクレオチドが、前記原核生物遺伝子の非コード配列内の配列に対して、該オリゴヌクレオチドと該非コード配列との間で二本鎖構造を形成するのに十分相補的である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項18】
前記非コード配列がプロモーター配列である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項19】
前記オリゴヌクレオチドが3’非コード配列にハイブリダイズする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項20】
前記オリゴヌクレオチドが5’非コード配列にハイブリダイズする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項21】
インビトロで標的配列にハイブリダイズする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項22】
インビボで標的配列にハイブリダイズする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の抗生組成物。
【請求項23】
細胞において標的遺伝子産物の産生を阻害する方法であって、
ハイブリダイゼーションが結果として、標的遺伝子によってコードされる機能性タンパク質の産生の阻害を生じる条件下で、該細胞を請求項1〜22のいずれか一項に記載の抗生組成物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項24】
原核生物感染症を処置する方法であって、請求項1〜22のいずれか一項に記載のナノ粒子を含む治療的有効量の組成物を細胞に投与する工程を含む、方法。
【請求項25】
抗生物質および請求項1〜22のいずれか一項に記載のナノ粒子を含むキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−514656(P2012−514656A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545476(P2011−545476)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/020558
【国際公開番号】WO2010/081049
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511124183)ノースウェスタン ユニバーシティ (9)
【Fターム(参考)】