説明

多光軸光電センサ

【課題】検出面側に水がかかる状況下において、検出窓部への水滴の付着を抑制することができる多光軸光電センサを提供する。
【解決手段】複数の光電素子(投光素子12及び受光素子22)を収容するハウジング11,21を備え、該ハウジング11,21の検出面14a,24aに設けられた透光性を有する検出窓部16,25から光電素子の投光又は受光を行う多光軸光電センサであって、各ハウジング11,21の検出面14a,24aには、検出窓部16,25の鉛直方向上側からの水滴を検出窓部16,25を避けるようにガイドする凸状又は凹状からなるガイド部材31,32が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、有料道路の料金所等において車両を検出するための多光軸光電センサ(ゲートセンサ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、有料道路の料金所等には、車両を検出するための多光軸光電センサが設けられている(例えば特許文献1参照)。このような光電センサは、例えば、複数の投光素子を有する投光器と、複数の受光素子を有する受光器とを備え、各ユニットの一側面(検出面)には、投光素子から投光された光を透過させるための透光性を有する検出窓部が設けられている。投光及び受光器は、互いの検出面が対向するように配置され、そのユニット間に形成される検出領域内を通過する車両を検出するようになっている。このような投光及びユニットは、料金所の所定位置に立設される中空状の支柱内に固定されている。そして、その支柱には各ユニットの投光及び受光のための開口部が形成されており、各ユニットは、支柱の開口部を通じて光軸を形成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−215382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような多光軸光電センサでは、支柱内に雨水等が浸入して検出面側に水滴がかかってしまい、その水滴が投光器又は受光器の検出窓部に付着してしまうと、光が検出窓部を通過する際に水滴により拡散し、受光素子での受光量が低下してしまう。それによって、例えば、車両が検出領域を通過していないにも関わらず通過判定をしてしまうといった誤検出を招く虞があった。特に、支柱内に大量の雨水が浸入する状況下においては、検出面に水滴ではなくまとまった水が流れ、このような場合には受光素子での受光量の低下が顕著なものとなってしまう。支柱の開口部からの水の浸入を抑えるべく、該開口部をガラス板等で閉塞したとしても、そのガラス板に雨水等が付着してしまうと、その水滴によりガラス板を通過する光が拡散し、結局、受光素子での受光量が低下してしまうため、根本的な解決にはならない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、検出面側に水がかかる状況下において、検出窓部への水滴の付着を抑制することができる多光軸光電センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、投光又は受光を行う複数の光電素子を収容する長尺状のハウジングを備え、該ハウジングの一側面に光軸を形成するための透光性を有する検出窓部を設け、該検出窓部から前記光電素子の投光又は受光を行う多光軸光電センサであって、前記ハウジングの前記一側面には、前記検出窓部の鉛直方向上側からの水滴を前記検出窓部を避けるようにガイドする凸状又は凹状からなるガイド手段が設けられたことを特徴とする。
【0007】
この発明では、ハウジングの一側面(検出面)において検出窓部の鉛直方向上方に付着した水滴が検出窓部に向かって下方に流れたとき、その水滴はガイド手段によって検出窓部を避けるようにガイドされるため、検出窓部に対する水滴の付着を抑えることが可能となる。これにより、検出窓部に水滴が付着することによる光電素子の受光量の低下を小さく抑えることが可能となり、その結果、多光軸光電センサの誤検出を抑制することが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多光軸光電センサにおいて、前記ガイド手段は、前記ハウジングとは別体をなし前記ハウジングの前記一側面に取り付けられた凸状のガイド部材であることを特徴とする。
【0009】
この発明では、前記ハウジングとは別体をなす凸状のガイド部材をハウジングの一側面に取り付けるだけでガイド手段を構成できるため、ガイド手段の構成を簡素化することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の多光軸光電センサにおいて、複数の前記ガイド部材が透光性を有する透光シートに設けられてユニット化されたことを特徴とする。
この発明では、複数のガイド部材が透光シートに設けられてユニットとして構成されるため、透光シートをハウジングの一側面に貼り付けるだけで容易にガイド手段を構成することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、前記ガイド手段は、光軸方向内側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する傾斜面を有することを特徴とする。
【0012】
この発明では、ガイド手段の傾斜面に水滴が流れ込みやすくなるため、水滴が検出窓部を避けるように好適にガイドさせることが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、前記ガイド手段は、前記検出窓部の鉛直方向上側から連続的に前記検出窓部の側方側まで延設されたことを特徴とする。
【0013】
この発明では、ハウジングの一側面(検出面)において検出窓部の鉛直方向上側からの水滴がガイド手段によって検出窓部の側方側にガイドされるため、検出窓部に対する水滴の付着をより抑えることができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、前記ガイド手段は、鉛直方向上側に凸となる頂部を有し、光軸方向から見て前記頂部から左右両側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する形状をなすことを特徴とする。
【0015】
この発明では、ハウジングの一側面(検出面)において検出窓部の鉛直方向上側からの水滴がガイド手段によって左右両側にガイドされるため、水滴が検出窓部を避けるように好適にガイドさせることが可能となる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、前記ガイド手段は、複数の前記検出窓部のそれぞれに対応して設けられたことを特徴とする。
【0017】
この発明では、多光軸光電センサの全ての検出窓部に対する水滴の付着を抑えることが可能となるため、多光軸光電センサの誤検出をより抑制することが可能となる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、前記検出窓部は、前記ハウジングの前記一側面から表面が突出するレンズからなることを特徴とする。
【0018】
この発明では、ガイド手段をかいくぐって検出窓部としてのレンズに向かって流れる水滴が、レンズ表面の凸形状によってレンズ中央部を避けてレンズの縁部分を流れるようにすることが可能となる。このため、光学素子からの光が主に通過するレンズ中央部への水滴の付着が抑えられるため、光電素子の受光量の低下をより小さく抑えることが可能となる。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、前記ハウジングの内部には、長手方向に沿って一列に前記複数の光電素子が配設され、該ハウジングは中空状の支柱内に収容されるものであって、前記光電素子及び前記検出窓部の長手方向の間隔が互いに異なる第1及び第2検出部を有し、前記第1検出部の前記光電素子及び前記検出窓部の長手方向の間隔が、前記第2検出部の前記光電素子及び前記検出窓部の長手方向の間隔よりも小さくなるように構成され、前記支柱には、前記第1検出部の前記検出窓部と対向し前記第1検出部の前記光電素子の投光又は受光を行うための第1開口部と、前記第2検出部の前記検出窓部と対向し前記第2検出部の前記光電素子の投光又は受光を行うための第2開口部とが形成され、前記第2開口部は、前記第2検出部の複数の前記検出窓部のそれぞれに対応して個別に複数設けられる一方、前記第1開口部は、前記第1検出部の複数の前記検出窓部からの投光又は受光が可能となるように前記第2開口部よりも長手方向に長く形成され、前記ガイド手段は、少なくとも前記第1検出部の前記各検出窓部の鉛直方向上側に設けられたことを特徴とする。
【0020】
この発明では、支柱の第1開口部は第2開口部よりも長手方向に長く形成されるため、第1開口部からの方が第2開口部からよりも雨水等が支柱内に浸入しやすい構成である。そして、ガイド手段は、雨水等が浸入しやすい第1開口部に対応する第1検出部の各検出窓部の鉛直方向上側に少なくとも設けられる。このため、ガイド手段が特に必要となる部位に設けられるため、水滴が検出窓部に付着することによる多光軸光電センサの誤検出を効果的に抑制することが可能となる。また、ガイド手段を第1検出部の各検出窓部の鉛直方向上側にのみ設けた構成の場合には、製造コストの増加を抑えつつ、誤検出を効果的に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
従って、上記記載の発明によれば、検出窓部に水が付着することによる受光量の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の多光軸光電センサを用いた車両検出システムを示す概略構成図。
【図2】(a)多光軸光電センサの投光器を示す平面図、(b)多光軸光電センサの受光器を示す平面図。
【図3】(a)多光軸光電センサの投光器の分解斜視図、(b)多光軸光電センサの受光器の分解斜視図。
【図4】(a)受光器の部分正面図、(b)同図(a)の側面図。
【図5】(a)別例の受光器の部分正面図、(b)同図(a)の側面図。
【図6】別例の受光器の部分正面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を有料道路等の料金所における車両の検出に用いられる多光軸光電センサに具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の多光軸光電センサ1は、投光器2と受光器3とを備えている。投光器2及び受光器3は、料金所の所定位置において長手方向が鉛直方向(図1中、上下方向)に沿うように立設される中空状の一対の支柱4内に固定されている。
【0024】
投光器2の投光側ハウジング11内には複数の投光素子12が収容されており、それと対応して、受光器3の受光側ハウジング21内には複数の受光素子22が収容されている。支柱4内において、投光器2及び受光器3の各ハウジング11,21は、その長手方向が鉛直方向に沿うように設けられており、投光素子12及び受光素子22はそれぞれ、長手方向に沿って一列に配設されている。また、投光素子12と受光素子22とは同数設けられており、対応する投光素子12と受光素子22とは水平方向に沿った同一直線上に位置するように設けられる。
【0025】
投光器2及び受光器3において、長手方向下端部から長手方向の所定位置までの範囲は第1検出部D1となっており、第1検出部D1よりも上方の範囲は第2検出部D2となっている。第1検出部D1では、各投光素子12及び各受光素子22の長手方向の間隔が狭く設定(例えば10mm)され、第2検出部D2ではその間隔が第1検出部D1のものよりも広く設定(例えば40mm)されている。尚、第1検出部D1と第2検出部D2とは、投光素子12及び受光素子22の間隔が異なる以外の構成は同一となっている。投光器2及び受光器3において下部に位置する第1検出部D1は、投光器2と受光器3との間の車両の通過を検知するために使用され、上部に位置する第2検出部D2は車両のサイズの検知するために使用される。
【0026】
各支柱4において互いに対向する対向面には、第1検出部D1の投光素子12から出射された光を通過させるための第1開口部4aと、第2検出部D2の投光素子12から出射された光を通過させるための第2開口部4bとが形成されている。第2開口部4bは、第2検出部D2の投光素子12及び受光素子22の間隔が広いため、該投光素子12及び受光素子22のそれぞれに対応して個別に設けることができる。従って、第2検出部D2の投光素子12の数と同数設けられており、各第2開口部4bは円形をなしている。一方、第1開口部4aは、第1検出部D1の投光素子12及び受光素子22の間隔が狭いため、第2開口部4bのように投光素子12及び受光素子22毎に個別に設けることが難しいため、第1開口部4aは、第2開口部4bよりも長手方向に長い1つの縦長の開口とされている。このため、第2開口部4bに比べて第1開口部4aの方が雨水等が浸入しやすい。
【0027】
このような多光軸光電センサ1では、投光素子12から出射された光が各支柱4の開口部4a,4bを通過し、受光素子22にて受光される。そして、受光素子22での受光量変化に基づき、第1検出部D1にて支柱4間における車両の通過を検知するとともに、第2検出部D2にて通過する車両のサイズを検知するようになっている。
【0028】
次に、多光軸光電センサ1の投光器2及び受光器3の構成を図2〜図4に従って説明する。
投光器2の投光側ハウジング11は、図2(a)及び図3(a)に示すように、アウタケース13と透光ケース14とを有する。アウタケース13は長尺の略筒状をなし、アウタケース13の正面(投光側の面)には長手方向に沿ったスリット13aを有している。アウタケース13の内部には、透光性を有する部材からなる透光ケース14が収容される。透光ケース14は、アウタケース13の長手方向に沿った長尺筒状をなしている。尚、透光ケース14の長手方向寸法は、アウタケース13の長手方向寸法と略同等となっている。透光ケース14の正面の一部は、アウタケース13のスリット13aから露出している。
【0029】
透光ケース14内には、複数の投光ユニット15が収容されている。投光ユニット15は透光ケース14の長手方向に沿った長尺状をなし、投光ユニット15の長手方向寸法は透光ケース14の長手方向寸法よりも小さくなっている。各投光ユニット15は、その長手方向が透光ケース14の長手方向に沿うように収容され、透光ケース14内において長手方向に一列に並んでいる。各投光ユニット15の内部には、複数の投光素子12が長手方向に沿って一列に配設されている。尚、投光素子12は、投光ユニット15内に収容される図示しない基板と電気的に接続されている。
【0030】
投光ユニット15の正面側(投光面側)には、各投光素子12と対応する位置において光が通過可能な透光部15a(例えば開口)が形成されており、投光素子12から出射された光は、透光部15a、透光ケース14及びアウタケース13のスリット13aを通過するようになっている。即ち、透光ケース14におけるアウタケース13のスリット13aから一部露出する側の面が投光器2の検出面14aであり、その検出面14aには、投光素子12からの光が通過する投光側検出窓部16が各透光部15aに対応して複数形成される。投光側検出窓部16の範囲は、透光ケース14の検出面14aにおける投光ユニット15の透光部15aに対応する範囲である。
【0031】
また、前述のように、第1検出部D1の投光素子12の長手方向の間隔は狭く、第2検出部D2の投光素子12の長手方向の間隔は広く設定されており、それに対応して透光部15a及び投光側検出窓部16の長手方向の間隔も第1検出部D1と第2検出部D2とでは異なるように構成されている。
【0032】
一方、受光器3の受光側ハウジング21は、図2(b)及び図3(b)に示すように、略矩形筒状のケース23と、ケース23の正面側(受光面側)に設けられる平板状のカバー24とを有する。ケース23の内部には、複数の受光素子22が長手方向に沿って一列に配設されている。尚、受光素子22は、ケース23内に収容される図示しない基板と電気的に接続されている。
【0033】
ケース23の正面側には、各受光素子22と対応する位置において光が通過可能な開口部23aが形成されており、各開口部4a,4bはケース23の正面側に取り付けられた前記カバー24にて覆われている。カバー24は透過性を有する部材からなるため、投光素子12からの光はカバー24を通過してケース23の開口部23aに入射するようになっている。このように、カバー24が設けられる側の面が投光器2の検出面24aであり、その検出面24aには、投光器2の各投光側検出窓部16からの光が通過する受光側検出窓部25がケース23の各開口部23aに対応して複数形成される。受光側検出窓部25の範囲は、カバー24におけるケース23の開口部23aに対応する範囲である。
【0034】
また、投光器2の構成と同様に、第1検出部D1の受光素子22の長手方向の間隔は狭く、第2検出部D2の受光素子22の長手方向の間隔は広く設定されており、それに対応してケース23の開口部23a及び受光側検出窓部25の長手方向の間隔も第1検出部D1と第2検出部D2とでは異なるように構成されている。そして、投光器2の各投光側検出窓部16から水平に出射された光は、対応する各受光側検出窓部25に入射し、受光素子22で受光されるようになっている。
【0035】
このような多光軸光電センサ1の第1検出部D1において、各受光側検出窓部25及び各投光側検出窓部16の鉛直方向上側には、検出面14a,24aに凸設されたガイド部材31,32(ガイド手段)がそれぞれ設けられている。投光器2においては、透光ケース14の露出面に該透光ケース14とは別体のガイド部材31が取り付けられている。一方、受光器3においては、カバー24の受光面に該カバー24とは別体のガイド部材32が取り付けられている。また、このガイド部材31,32は、第1検出部D1の各受光側検出窓部25及び各投光側検出窓部16の鉛直方向上側には設けられているが、第2検出部D2の各受光側検出窓部25及び各投光側検出窓部16の鉛直方向上側には設けられていない(図2(a)(b)参照)。尚、受光器3側のガイド部材32と投光器2側のガイド部材31は同様の構成であるため、以下には受光器3側のガイド部材32について説明し、投光器2側のガイド部材31については、受光器3側のガイド部材32と同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0036】
受光器3側の各ガイド部材32は、図4(a)(b)に示すように、正面視で上下が逆さまの逆V字状をなしており、ガイド部材32の幅方向(正面視で左右方向)の中央部において上方に凸となる頂部33を有している。また、ガイド部材32は、その頂部33から左右斜め下方向にそれぞれ延びる延出部34を有している。左右の延出部34は検出窓部25の左右両側までそれぞれ延びるとともに、検出窓部25の下端と同等の高さとなる位置まで延びている。即ち、ガイド部材32は、検出窓部25の鉛直方向上側から連続的に検出窓部25の側方側まで延設されている。また、図4(b)に示すように、ガイド部材32の上端面には、検出面24aに近づくにつれて鉛直方向下方に傾斜する傾斜面35が、該ガイド部材32の上端面の全長に亘って形成されている。即ち、傾斜面35は、光軸方向内側(図4(b)中、右方向)に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜している。これにより、このガイド部材32の傾斜面35とカバー24の検出面24aとでなす角度が90度よりも小さくなっている。
【0037】
雨水等が主に第1開口部4aから支柱4内に浸入し、受光器3の検出面24a側に水がかかる状況下において、図4(a)に示すように、検出面24aにおける検出窓部25の鉛直方向上方に付着した水滴が検出窓部25に向かって下方に流れると、その水滴は検出面24aとガイド部材32の傾斜面35との間に入り込む。そして、左右の延出部34の傾斜に倣って左右斜め下方に流れ、延出部34の下端に到達し、最終的にそこから下方に流れる。つまり、ガイド部材32は、検出窓部25の鉛直方向上側からの水滴を検出窓部25を避けるようにガイドするようになっている。これにより、検出窓部25に対する水滴の付着を抑えることが可能となり、検出窓部25に水滴が付着することによる受光素子22の受光量の低下を小さく抑えることが可能となっている。そして、その結果、多光軸光電センサ1の誤検出を抑制することが可能となっている。また、受光器3側のガイド部材32と投光器2側のガイド部材31とは同様の構成であるため、投光器2側においても受光器3側と同様の作用効果が得られるようになっている。
【0038】
また、本実施形態の多光軸光電センサ1を支持する支柱4においては、前述のように、第2開口部4bからよりも第1開口部4aからの方が雨水等が支柱4内に浸入しやすい構成となっている。そして、ガイド部材31,32は、雨水等が浸入しやすい第1開口部4aと光軸方向に対向する第1検出部D1の各受光側検出窓部25及び各投光側検出窓部16の鉛直方向上側のみに設けられている。即ち、本実施形態の多光軸光電センサ1では、ガイド部材31,32が特に必要となる部位のみに設けられているため、製造コストの増加が抑えつつも、第1検出部D1の各受光側検出窓部25及び各投光側検出窓部16への水滴の付着を抑制して、誤検出を抑えることが可能となっている。
【0039】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)複数の光電素子(投光素子12又は受光素子22)を収容するハウジング11,21を備え、該ハウジング11,21(透光ケース14及びカバー24)の検出面14a,24aに設けられた透光性を有する検出窓部16,25から光電素子の投光又は受光を行う。そして、各ハウジング11,21の一側面(検出面14a,24a)には、検出窓部16,25の鉛直方向上側からの水滴を検出窓部16,25を避けるようにガイドする凸状又は凹状からなるガイド部材31,32が設けられる。これにより、検出面14a,24aにおいて検出窓部16,25の鉛直方向上方に付着した水滴が検出窓部16,25に向かって下方に流れたとき、その水滴はガイド手段によって検出窓部16,25を避けるようにガイドされるため、検出窓部16,25に対する水滴の付着を抑えることが可能となる。これにより、検出窓部16,25に水滴が付着することによる受光素子22の受光量の低下を小さく抑えることが可能となり、その結果、多光軸光電センサ1の誤検出を抑制することが可能となる。
【0040】
(2)ガイド手段は、ハウジング11,21とは別体をなしハウジング11,21の検出面14a,24aに取り付けられた凸状のガイド部材31,32である。これにより、別体のガイド部材31,32をハウジング11,21の検出面14a,24aに取り付けるだけでガイド手段を構成できるため、ガイド部材31,32の構成を簡素化することができる。
【0041】
(3)ガイド部材31,32は、検出面14a,24aから突出する凸状をなし、光軸方向内側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する傾斜面35を有する。これにより、ガイド部材31,32の傾斜面35と検出面14a,24aとの間に水滴が流れ込みやすくなるため、水滴が検出窓部16,25を避けるように好適にガイドさせることが可能となる。
【0042】
(4)ガイド部材31,32は、検出窓部16,25の鉛直方向上側から連続的に検出窓部16,25の側方側まで延設される。これにより、検出面14a,24aにおいて検出窓部16,25の鉛直方向上側からの水滴がガイド部材31,32によって検出窓部16,25の側方側にガイドされるため、検出窓部16,25に対する水滴の付着をより抑えることができる。
【0043】
(5)ガイド部材31,32は、鉛直方向上側に凸となる頂部33を有し、光軸方向から見て頂部33から左右両側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する形状をなす。これにより、検出面14a,24aにおいて検出窓部16,25の鉛直方向上側からの水滴がガイド部材31,32によって左右両側にガイドされるため、水滴が検出窓部16,25を避けるように好適にガイドさせることが可能となる。
【0044】
(6)ハウジング11,21は長尺状をなし、その内部には長手方向に沿って一列に複数の光電素子(投光素子12又は受光素子22)が配設され、該ハウジング11,21は中空状の支柱4内に収容される。多光軸光電センサ1は、光電素子及び検出窓部16,25の長手方向の間隔が互いに異なる第1及び第2検出部D1,D2を有し、第1検出部D1の光電素子及び検出窓部16,25の長手方向の間隔が、第2検出部D2の光電素子及び検出窓部16,25の長手方向の間隔よりも小さくなるように構成される。支柱4には、第1検出部D1の検出窓部16,25と対向し第1検出部D1の光電素子の投光又は受光を行うための第1開口部4aと、第2検出部D2の検出窓部16,25と対向し第2検出部D2の光電素子の投光又は受光を行うための第2検出部D2とが形成される。第2検出部D2は、第2検出部D2の複数の検出窓部16,25のそれぞれに対応して個別に複数設けられる一方、第1開口部4aは、第1検出部D1の複数の検出窓部16,25からの投光又は受光が可能となるように第2検出部D2よりも長手方向に長く形成される。そして、ガイド部材31,32は第1検出部D1の各検出窓部16,25の鉛直方向上側に少なくとも設けられる。このように、支柱4の第1開口部4aは第2検出部D2よりも長手方向に長く形成されるため、第1開口部4aからの方が第2検出部D2からよりも雨水等が支柱4内に浸入しやすい構成である。そして、ガイド部材31,32は、雨水等が浸入しやすい第1開口部4aに対応する第1検出部D1の各検出窓部16,25の鉛直方向上側に設けられる。これにより、ガイド部材31,32が特に必要となる部位に設けられるため、水滴が検出窓部16,25に付着することによる多光軸光電センサ1の誤検出を効果的に抑制することが可能となる。また、本実施形態のように、第1検出部D1のみにガイド部材31,32を設ければ、製造コストの増加を抑えつつ誤検出を効果的に抑制することが可能となる。
【0045】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ガイド手段(ガイド部材31,32)は検出面14a,24aに凸設されたが、特にこれに限定されるものではなく、図5(a)(b)に示すように、ガイド手段としてのガイド凹部41を検出面14a,24aに凹設してもよい。このような構成によっても、検出面14a,24aにおいて検出窓部16,25の鉛直方向上方に付着した水滴が検出窓部16,25に向かって下方に流れたとき、その水滴をガイド凹部41によって検出窓部16,25を避けるようにガイドすることが可能となり、上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
・上記実施形態のガイド部材31,32の形状は、構成に応じて適宜変更してもよい。例えば、上記実施形態のガイド部材31,32は頂部33を有し、延出部34が検出窓部16,25の左右両側まで延出される構成であったが、例えば図6のように頂部33がなく、また、延出部34が検出窓部16,25の左右両側まで延出されない構成としてもよい。また、上記実施形態のガイド部材31,32は、左右斜め下方に延びる延出部34を備えたが、これを有しない正面視で左右方向に直線状のガイド部材としてもよい。
【0047】
・上記実施形態において、透光性を有する透光シート(例えばシール状)に複数のガイド部材31,32を設けてユニットとして構成してもよい。この構成によれば、透光シートをハウジングの一側面に貼り付けるだけで容易にガイド手段を構成することができる。
【0048】
・上記実施形態では、ガイド部材31,32は、ハウジング11,21(透光ケース14及びカバー24)とは別体をなしたが、透光ケース14及びカバー24とそれぞれ一体としてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、第1検出部D1の検出窓部16,25のそれぞれに対応してガイド部材31,32が設けられたが、これ以外に例えば、1つおきや2つおき等で設けてもよい。また、上記実施形態では、第1検出部D1のみにガイド部材31,32を備えたが、第2検出部D2のみ又は第1及び第2検出部D1,D2の両方に備えてもよい。即ち、ガイド部材31,32を複数の検出窓部16,25のそれぞれに対応して設けてもよい。このような構成によれば、多光軸光電センサ1の全ての検出窓部16,25に対する水滴の付着を抑えることが可能となるため、誤検出をより効果的に抑制することが可能となる。
【0050】
・上記実施形態において、ハウジング11,21の一側面(検出面14a,24a)から表面が突出するレンズで検出窓部16,25を構成してもよい。このような構成によれば、ガイド部材31,32をかいくぐってレンズ(検出窓部)に向かって流れる水滴が、レンズ表面の凸形状によってレンズ中央部を避けてレンズの縁部分を流れるようにすることが可能となる。このため、投光素子12からの光が主に通過するレンズ中央部への水滴の付着が抑えられるため、受光素子22での受光量の低下をより小さく抑えることが可能となる。
【0051】
・上記実施形態では、投光素子12を有する投光器2と受光素子22を有する受光器3とを個別に備える構成の多光軸光電センサ1に適用したが、特にこれに限定されるものではなく、投光素子12と受光素子22を両方有する投受光器を備えるミラー反射型の多光軸光電センサ1に適用してもよい。
【0052】
・上記実施形態において、支柱4の第1開口部4a及び第2開口部4bの構成を適宜変更してもよい。例えば、上記実施形態とは反対に、第1開口部4aを検出窓部16,25のそれぞれに対応して個別に設け、第2開口部4bを1つの縦長の開口としてもよい。また、縦長の1つの開口が第1検出部D1と第2検出部D2に跨って形成されるような構成としてもよい。このように、支柱4の開口の構成は適宜変更してもよく、その構成に応じて支柱4内に雨水等が浸入しやすい箇所が変化する。
【0053】
・上記実施形態では、有料道路の料金所に用いられる多光軸光電センサ1に適用したが、これ以外に例えば、自動洗浄機における車両検出のための多光軸光電センサに適用してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…多光軸光電センサ、2…投光器、3…受光器、4…支柱、4a…第1開口部、4b…第2開口部、11,21…ハウジング、12…光電素子としての投光素子、13…投光側ハウジングを構成するアウタケース、14…投光側ハウジングを構成する透光ケース、14a,24a…検出面、16,25…検出窓部、23…受光側ハウジングを構成するケース、24…受光側ハウジングを構成するカバー、22…光電素子としての受光素子、31,32…ガイド手段としてのガイド部材、33…頂部、35…傾斜面、41…ガイド手段としてのガイド凹部、D1…第1検出部、D2…第2検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光又は受光を行う複数の光電素子を収容する長尺状のハウジングを備え、該ハウジングの一側面に光軸を形成するための透光性を有する検出窓部を設け、該検出窓部から前記光電素子の投光又は受光を行う多光軸光電センサであって、
前記ハウジングの前記一側面には、前記検出窓部の鉛直方向上側からの水滴を前記検出窓部を避けるようにガイドする凸状又は凹状からなるガイド手段が設けられたことを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記ガイド手段は、前記ハウジングとは別体をなし前記ハウジングの前記一側面に取り付けられた凸状のガイド部材であることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の多光軸光電センサにおいて、
複数の前記ガイド部材が透光性を有する透光シートに設けられてユニット化されたことを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記ガイド手段は、光軸方向内側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する傾斜面を有することを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記ガイド手段は、前記検出窓部の鉛直方向上側から連続的に前記検出窓部の側方側まで延設されたことを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記ガイド手段は、鉛直方向上側に凸となる頂部を有し、光軸方向から見て前記頂部から左右両側に向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する形状をなすことを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記ガイド手段は、複数の前記検出窓部のそれぞれに対応して設けられたことを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記検出窓部は、前記ハウジングの前記一側面から表面が突出するレンズからなることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記ハウジングの内部には、長手方向に沿って一列に前記複数の光電素子が配設され、該ハウジングは中空状の支柱内に収容されるものであって、
前記光電素子及び前記検出窓部の長手方向の間隔が互いに異なる第1及び第2検出部を有し、前記第1検出部の前記光電素子及び前記検出窓部の長手方向の間隔が、前記第2検出部の前記光電素子及び前記検出窓部の長手方向の間隔よりも小さくなるように構成され、
前記支柱には、前記第1検出部の前記検出窓部と対向し前記第1検出部の前記光電素子の投光又は受光を行うための第1開口部と、前記第2検出部の前記検出窓部と対向し前記第2検出部の前記光電素子の投光又は受光を行うための第2開口部とが形成され、
前記第2開口部は、前記第2検出部の複数の前記検出窓部のそれぞれに対応して個別に複数設けられる一方、前記第1開口部は、前記第1検出部の複数の前記検出窓部からの投光又は受光が可能となるように前記第2開口部よりも長手方向に長く形成され、
前記ガイド手段は、少なくとも前記第1検出部の前記各検出窓部の鉛直方向上側に設けられたことを特徴とする多光軸光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−233472(P2011−233472A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105290(P2010−105290)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】