多光軸光電センサ
【課題】連続する複数回の投光スキャン処理の結果に基づき光軸の入光及び遮光を判定する場合であっても、誤出力を防止することのできる多光軸光電センサを提供する。
【解決手段】この多光軸光電センサでは、順次投光する投光スキャン処理を周期的に行う投光素子T(1)〜T(n)と、投光素子T(1)〜T(n)からの光を受光して受光量に応じた受光信号を出力する受光素子J(1)〜J(n)とが対向して配置されている。そして、投光素子T(1)〜T(n)が順次投光した際に、対をなす受光素子との間で形成される光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を、投光の行われた投光素子に対応する受光素子の受光信号に基づき検出する。ここでは、光軸L(m)の遮光が検出されたとき、前回の投光スキャン処理の際に光軸L(m)及びこれに隣接する光軸L(m−1),L(m+1)の遮光が検出されていることを条件に、光軸L(m)は遮光状態であると判定する。
【解決手段】この多光軸光電センサでは、順次投光する投光スキャン処理を周期的に行う投光素子T(1)〜T(n)と、投光素子T(1)〜T(n)からの光を受光して受光量に応じた受光信号を出力する受光素子J(1)〜J(n)とが対向して配置されている。そして、投光素子T(1)〜T(n)が順次投光した際に、対をなす受光素子との間で形成される光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を、投光の行われた投光素子に対応する受光素子の受光信号に基づき検出する。ここでは、光軸L(m)の遮光が検出されたとき、前回の投光スキャン処理の際に光軸L(m)及びこれに隣接する光軸L(m−1),L(m+1)の遮光が検出されていることを条件に、光軸L(m)は遮光状態であると判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光器と受光器との間で形成される光軸の遮光に基づいて検出エリア内への物体の進入を検出する多光軸光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の多光軸光電センサとしては、例えば特許文献1に記載のセンサが知られている。図9に示すように、この特許文献1に記載の多光軸光電センサでは、複数の投光素子T(1)〜T(n)を有する投光器4と、複数の受光素子J(1)〜J(n)を有する受光器5とが互いに対向して配置されている(但し、nは2以上の整数)。投光器4は、投光素子T(1)〜T(n)を順次投光する投光スキャン処理を実行して光軸L(1)〜L(n)を順次形成する。また、受光素子J(1)〜J(n)は、対向する投光素子T(1)〜T(n)からの光をそれぞれ受光するとともに、その受光量に応じた電圧信号(受光信号)をそれぞれ出力する。そして、受光器5は、特定の受光素子から出力された受光信号の大きさと所定の閾値との比較に基づき、その受光素子に対応する光軸の入光及び遮光を検出する。受光器5は、このような検出を全ての光軸L(1)〜L(n)について行う。そして、光軸L(1)〜L(n)のいずれかの遮光を検出した場合には、検出エリア内に物体が進入していると判定して、その旨を示すオフ信号を出力する。また、全ての光軸L(1)〜L(n)について入光が検出された場合には、検出エリア内に物体が存在していないと判定して、その旨を示すオン信号を出力する。このような多光軸光電センサによれば、投光スキャン処理を所定の周期で繰り返し実行することで、受光器5の出力に基づいて検出エリア内への物体の進入を監視することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−129583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうした多光軸光電センサでは、国際規格(IEC64196−2)により、「検出エリア内を1.6[mm/ms]で動く最小検出物体が存在するときに、出力をオフし続けること。」といった条件を満足することが要求される。なお、最小検出物体とは、例えば図10に示すように投光素子T及び受光素子Jのレンズ径がrであって且つ、光軸ピッチがHである場合には、「r+H」の直径Rを有する図中の二点鎖線の物体Pである。
【0005】
一方、特定の光軸の入光状態及び遮光状態を判定する方法としては、例えば連続する2回の投光スキャン処理の結果に基づき判定する方法が考えられる。具体的には、前回及び今回のそれぞれの投光スキャン処理を通じて特定の光軸の入光が連続で検出された場合には、その検出結果が真であると判断して、特定の光軸が入光状態であると判定する。また、前回及び今回のそれぞれの投光スキャン処理を通じて特定の光軸の遮光が連続で検出された場合には、その検出結果が真であると判断して、特定の光軸が遮光状態であると判定する。これにより、図11に示すように、例えば前回の判定結果が入光状態であると判定された光軸については、前回及び今回のそれぞれの投光スキャン処理を通じて遮光が検出された場合に限って、その判定結果が遮光判定に切り替わる。このような判定方法を採用すれば、受光素子の受光状態を高い精度で判定することができるため、信頼性が向上するようになる。なお、本明細書では、図11に示す判定方法に基づいて受光素子の受光状態を判定することをダブルスキャンと定義する。次に、このダブルスキャンを用いて、検出エリア内を移動する最小検出物体が検出される様子について図12を参照して説明する。なお、図12(a)では、先の図9に例示した投光素子T(m−1),T(m),T(m+1)と受光素子J(m−1),J(m),J(m+1)との間で形成される光軸をL(m−1),L(m),L(m+1)で示している(但し、m=2〜n−1)。
【0006】
図12(a)に示すように、例えば第1〜第5投光スキャン処理が行われたときに、最小検出物体Pが図中に示すそれぞれの位置に位置していたとする。このとき、第1投光スキャン処理では、図12(a)に示すように光軸L(m−1)のみが遮光される。よって、受光器5は、図12(b)に示すように光軸L(m−1)の遮光、及び光軸L(m),L(m+1)の入光をそれぞれ検出する。このとき、受光器5は、この検出結果、及び前回の検出結果に基づいて光軸L(m−1),L(m),L(m+1)の入光及び遮光を判定することとなるが、ここでは、図12(c)に示すように判定したとしている。これにより、受光器5は、光軸L(m−1)の遮光判定に基づいてオフ信号を出力する。
【0007】
次に第2投光スキャン処理では、図12(a)に示すように光軸L(m−1)のみが再び遮光される。このため、受光器5は、図12(b)に示すように光軸L(m−1)の遮光、及び光軸L(m),L(m+1)の入光をそれぞれ検出する。よって、光軸L(m−1)の遮光を前回も検出していることに基づいて、図12(c)に示すように、光軸L(m−1)が遮光状態であると判定する。また、光軸L(m),L(m+1)の入光を前回も検出していることに基づき光軸L(m),L(m+1)が入光状態であると判定する。これにより、受光器5は、光軸L(m−1)の遮光判定に基づいてオフ信号を出力する。
【0008】
続く第3投光スキャン処理では、図12(a)に示すように光軸(m)のみが遮光される。このため、受光器5は、図12(b)に示すように光軸L(m)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m+1)の入光を検出する。よって、光軸L(m+1)の入光を前回も検出していることに基づいて、図12(c)に示すように、光軸L(m+1)が入光状態であると判定する。また、光軸L(m−1)の遮光判定、及び光軸L(m)の入光判定を維持する。これにより、受光器5は、光軸(m−1)の遮光判定に基づいてオフ信号を出力する。
【0009】
さらに、続く第4投光スキャン処理では、図12(a)に示すように、光軸(m)のみが再び遮光される。このため、受光器5は、図12(b)に示すように、光軸L(m)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m+1)の入光を検出する。よって、光軸L(m−1),L(m+1)の入光を前回も検出していることに基づいて、図12(c)に示すように、光軸L(m−1),L(m+1)が入光状態であると判定する。また、光軸L(m)の遮光を前回も検出していることに基づいて光軸L(m)が遮光状態であると判定する。これにより、受光器5は、光軸(m)の遮光判定に基づいてオフ信号を出力する。また、受光器5は、第5投光スキャン処理でもオフ信号を出力する。
【0010】
このように、最小検出物体Pが検出エリア内を移動している場合にダブルスキャンにより光軸の入光状態及び遮光状態を判定するようにした場合であっても、多光軸光電センサの出力をオフ信号に維持することは可能である。ただし、上述した国際規格を満たしつつダブルスキャンを行う場合には、多光軸光電センサの光軸の数が制限される。
【0011】
具体的には、例えば先の図10に示した投光素子T及び受光素子Jのレンズ径r、最小検出物体の直径Rが図13に示す値に設定されていたとする。また、受光器5において受光信号を認識するのに要する時間(受信信号の幅)taが図13に示す値に設定されていたとする。このとき、ダブルスキャンの実施を前提とすると、投光スキャン処理の周期Taは次式(1)により求められる。なお、速度Vは、国際規格により定められる最大移動速度(1.6[mm/ms])である。
【0012】
2×Ta≦(R−r)/V−ta・・・(1)
Ta≦3.115[ms]
ここで、投光スキャン処理の最長周期をTmax(=3.115[ms])とする。
【0013】
次に、受光器5における1光軸当たりの処理時間tb、及び1回の投光スキャン処理の際に自己診断処理に要する時間tcが図13に示す値に設定されていたとすると、光軸の数Nは次式(2)により求められる。なお、自己診断処理とは、受光器5の故障を検出するための処理である。
【0014】
tb×N+tc<Tmax・・・(2)
N<130.75
すなわち、以上のような条件の場合、光軸の数を130個以下に設定することで、上述した国際規格を満たしつつダブルスキャンが可能となる。一方、光軸の数が131個以上の場合には、例えば次のような問題が生じるおそれがある。
【0015】
まず、受光器5では、光軸の数が増加するほど1回の投光スキャン処理に要する時間が長くなる。このため、光軸の数が131個以上の場合には、例えば図14(a)に示すように、第1〜第3投光スキャン処理が行われる間に最小検出物体Pが移動する距離が、先の図14に例示した場合よりも長くなる。この場合、各投光スキャン処理は次のように行われる。
【0016】
まず、第2投光スキャン処理では、図14(a)に示すように光軸L(m)のみが遮光される。このため、受光器5は、図14(b)に示すように光軸L(m)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m+1)の入光を検出する。よって、光軸L(m+1)の入光を前回も検出していることに基づいて、図14(c)に示すように、光軸L(m+1)が入光状態であると判定する。また、光軸L(m−1)の遮光判定、及び光軸L(m)の入光判定を維持する。これにより、受光器5は、光軸L(m−1)の遮光判定に基づいてオフ信号を出力する。
【0017】
また、続く第3投光スキャン処理では、図14(a)に示すように光軸L(m+1)のみが遮光される。このため、受光器5は、図14(b)に示すように光軸L(m+1)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m)の入光を検出する。よって、光軸L(m−1)の入光を前回も検出していることに基づいて、図14(c)に示すように、光軸L(m−1)が入光状態であると判定する。また、光軸L(m),L(m+1)の入光判定を維持する。したがって、受光器5は、全ての光軸が入光判定であることに基づいてオン信号を出力する。
【0018】
このように、ダブルスキャンを行う多光軸光電センサでは、光軸数が増加すると、検出エリア内に物体が存在しているにもかかわらず、その出力がオン信号に切り替わってしまうといった誤出力が生じるおそれがある。
【0019】
なお、このような課題は、遮光を判定する方法として上記ダブルスキャンを用いる多光軸光電センサに限らず、前回までの複数回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が連続して検出されることを条件に特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定する多光軸光電センサにおいても共通する課題である。
【0020】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、連続する複数回の投光スキャン処理の結果に基づき光軸の入光及び遮光を判定する場合であっても、誤出力を防止することのできる多光軸光電センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、一列状に配置されて、一端側から他端側に向けて順次投光する投光スキャン処理を周期的に行う複数の投光手段と、該複数の投光手段にそれぞれ対向して配置されるとともに、前記投光手段からの光を受光してその受光量に応じた受光信号を出力する複数の受光手段と、前記複数の投光手段が順次投光した際に、それらと対をなす受光手段との間で形成される複数の光軸の入光及び遮光を、投光の行われた投光手段に対応する受光手段からの受光信号に基づいて検出する検出手段と、今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記複数の光軸のうち、特定の光軸の遮光が検出された際に、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に、前記特定の光軸が遮光状態であると判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に基づく検出信号を出力する出力手段と、を備えることを要旨とする。
【0022】
同構成によれば、投光スキャン処理の際に特定の光軸が遮光されたとき、前回までの各投光スキャン処理において特定の光軸又はこれに隣接する光軸が遮光されていれば、判定手段によって特定の光軸が遮光状態であると判定される。これにより、先の図14に例示したように光軸数の増加などに起因して特定の光軸が連続して遮光されない状況であっても、特定の光軸の遮光が適切に判定されて、出力手段により遮光状態に応じた出力が行われる。よって、誤出力を防止することができるようになる。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多光軸光電センサにおいて、前記判定手段は、前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出されたとき、同特定の光軸に隣接する光軸についても遮光が検出されたとみなすものであることを要旨とする。
【0024】
同構成によれば、特定の光軸の遮光が検出された際に同特定の光軸に隣接する光軸についても遮光が検出されたとみなされる。このため、今回の投光スキャン処理において特定の光軸の遮光が検出されたときに、前回までの各投光スキャン処理においても特定の光軸の遮光が検出されていたか否かを見るだけで、特定の光軸に隣接する光軸において遮光が検出されていたか否かを容易に判断することができるようになる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の多光軸光電センサにおいて、今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出されたときに、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光が検出されていることのみを条件に同特定の光軸が遮光状態であると判定する方法を第1判定方法と、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に前記特定の光軸が遮光状態であると判定する方法を第2判定方法とするとき、前記判定手段において前記第1判定方法及び前記第2判定方法のいずれを用いるかを切り替える切り替え手段を更に備えることを要旨とする。
【0026】
このような多光軸光電センサでは、上述のように、光軸の数が所定数よりも少ない場合には、上記第1判定方法、すなわち前回までの各投光スキャン処理において特定の光軸の遮光が検出されていることを条件に同特定の光軸が遮光状態であると判定する方法を用いればよい。これに対し、光軸の数が所定数以上である場合には、上記第2判定方法、すなわち前回までの各投光スキャン処理において特定の光軸の遮光又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されることを条件に特定の光軸が遮光状態であると判定する方法が有効となる。この点、上記構成によれば、第1判定方法及び第2判定方法のいずれを用いるかを光軸の数に応じて切り替えることができるため、汎用性が向上するようになる。
【0027】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多光軸光電センサにおいて、今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出された際に、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸に隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に前記特定の光軸が遮光状態であると判定したとき、その旨を報知する報知手段を更に備えることを要旨とする。
【0028】
上述のように、今回の投光スキャン処理において特定の光軸の遮光が検出されたとき、前回までの各投光スキャン処理において特定の光軸に隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に特定の光軸が遮光状態であると判定することが有効である。ただし、このような判定方法を採用した場合、特定の光軸の遮光が連続して検出されることを条件にその光軸が遮光状態であると判定する本来の方法と比較すると、過剰な遮光判定が行われるおそれがあり、ユーザにとって扱い難い多光軸光電センサとなってしまうおそれがある。この点、上記構成によれば、前回までの各投光スキャン処理において特定の光軸に隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に特定の光軸が遮光状態であると判定した場合には、その旨が報知手段によって報知される。よって、ユーザは、報知手段の報知によって過剰な遮光判定が行われているか否かを確認することができるため、ユーザにとって扱いやすい多光軸光電センサを実現することができるようになる。
【0029】
そしてこの場合、例えば請求項5に記載の発明によるように、前記判定手段が、今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出された際に、前回の投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に、前記特定の光軸が遮光状態であると判定する、といった構成を有する多光軸光電センサ、すなわちダブルスキャン処理を行う多光軸光電センサに請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明を適用することが有効となる。
【0030】
請求項6に記載の発明は、一列状に配置されて、一端側から他端側に向けて順次投光する投光スキャン処理を行うn(2以上の整数)個の投光手段と、該n個の投光手段に対向して配置されるとともに、前記投光手段からの光を受光してその受光量に応じた受光信号を出力するn個の受光手段と、前記n個の投光手段が順次投光した際に、それらと対をなす受光手段との間で前記一端側から前記他端側に向けて順次形成されるn個の光軸の入光及び遮光を、投光の行われた投光手段に対向する受光手段からの受光信号に基づいて検出する検出手段と、前記投光スキャン処理の実行を通じて前記検出手段により前記一端側からm番目の光軸の遮光が検出された際に、前記nの値に基づいて定められる整数をaとし、
m−a≦x≦m+a
1≦x≦n
なる関係を満たす全ての整数xのうち、いずれかの整数x番目の光軸について前回までの各投光スキャン処理において遮光が検出されていることを条件に、前記m番目の光軸が遮光状態であると判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に基づく検出信号を出力する出力手段と、を備えることを要旨とする。
【0031】
同構成によれば、投光スキャン処理の際にm番目の光軸が遮光されたとき、前回までの各投光スキャンにおいて(m−a)番目から(m+a)番目のいずれかの光軸が遮光されている場合には、判定手段によりm番目の光軸が遮光状態であると判定される。これにより、先の図14に例示したように光軸数の増加などに起因してm番目の光軸が連続して遮光されない状況であっても、m番目の光軸の遮光が適切に判定されて、出力手段によって遮光状態に応じた出力が行われる。よって、誤出力を防止することができるようになる。
【発明の効果】
【0032】
本発明にかかる多光軸光電センサによれば、連続する複数回の投光スキャン処理の結果に基づき光軸の入光及び遮光を判定する場合であっても、誤出力を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明にかかる多光軸光電センサの一実施形態についてその構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の多光軸光電センサによる投光スキャン処理の手順の一部を示すフローチャート。
【図3】同実施形態の多光軸光電センサによる投光スキャン処理の手順の一部を示すフローチャート。
【図4】同実施形態の多光軸光電センサによる受光状態判定処理の手順を示すフローチャート。
【図5】(a)〜(h)は、同実施形態の多光軸光電センサの動作例を示すタイミングチャート。
【図6】同実施形態の多光軸光電センサについて各光軸に対する判定フラグ及び検出フラグの設定態様を模式的に示す図。
【図7】同実施形態の多光軸光電センサについて検出フラグの補正態様を模式的に示す図。
【図8】(a)〜(d)は、同実施形態の多光軸光電センサの動作例を模式的に示す図。
【図9】従来の多光軸光電センサについてその斜視構造を示す斜視図。
【図10】最小検出物体の大きさを模式的に示す図。
【図11】ダブルスキャンの判定方法を模式的に示す図。
【図12】(a)〜(c)は、ダブルスキャンにより光軸の入光及び遮光が判定される様子を模式的に示す図。
【図13】レンズ径、最小検出物体の直径、受光信号の幅、1光軸当たりの処理時間、及び自己診断処理に要する時間のそれぞれの設定値を示す図。
【図14】(a)〜(c)は、ダブルスキャンにより光軸の入光及び遮光が判定される様子を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明にかかる多光軸光電センサの一実施形態について図1〜図8を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施形態にかかる多光軸光電センサの概要について説明する。
【0035】
図1に示すように、この多光軸光電センサでは、互いに対向する投光器1と受光器2との間でn個の光軸L(1)〜L(n)が形成されて、検出エリアが設定される(但し、nは2以上の整数)。なお、投光器1及び受光器2は信号線3を介して互いに接続されている。
【0036】
投光器1には、発光ダイオード(LED)により構成されて、投光により光軸L(1)〜L(n)をそれぞれ形成する投光素子(投光手段)T(1)〜T(n)が設けられている。投光素子T(1)〜T(n)の駆動は、投光回路10によって制御される。投光回路10は、受光器2から信号線3を介して同期信号が入力される度に投光素子T(1)〜T(n)を順次投光させる。
【0037】
受光器2には、投光素子T(1)〜T(n)に対向して一列状に受光素子(受光手段)J(1)〜J(n)が設けられている。受光素子J(1)〜J(n)は、フォトダイオード(PD)により構成されており、投光素子T(1)〜T(n)からの光を受光してその受光量に応じた電圧信号(受光信号)を出力する。受光素子J(1)〜J(n)の受光信号は、各対応するスイッチング素子SW(1)〜SW(n)及び共通の信号線20を介してコンパレータ21に入力される。また、受光器2には、スイッチング素子SW(1)〜SW(n)のうち、自身のカウンタの値に対応するスイッチング素子に選択信号を送信するシフトレジスタ22が設けられている。これにより、例えばシフトレジスタ22のカウンタの値が「1」に設定されているとすると、シフトレジスタ22からスイッチング素子SW(1)に選択信号が出力されてスイッチング素子SW(1)のみがオンされる。したがってこの場合には、受光素子J(1)の受光信号のみがコンパレータ21に入力される。そして、コンパレータ21に入力された受光信号は、所定の閾値との比較のもとに2値化される。なお、閾値は、光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を検出することのできる値に設定されている。よって、受光信号の大きさが閾値を超えている場合、すなわち受光素子の入射光のレベルが所定のレベルを超えている場合には、光軸の入光を示す論理ハイレベルの信号がコンパレータ21から出力される。一方、受光信号の大きさが閾値以下である場合には、すなわち受光素子の入射光のレベルが所定のレベル以下である場合には、光軸の遮光を示す論理ローレベルの信号がコンパレータ21から出力される。コンパレータ21の出力は、マイクロコンピュータを中心に構成された制御部23に取り込まれている。
【0038】
制御部23は、信号線3を介して投光器1に同期信号を送信する処理を実行するとともに、これに同期してシフトレジスタ22のカウンタの値を「1」〜「n」に順次設定する処理を実行する。これにより、同期信号に基づき投光器1が光軸L(1)〜L(n)を順次形成すると、各光軸に対応する受光素子J(1)〜J(n)の受光信号がコンパレータ21に順次入力されて、コンパレータ21の出力が制御部23に入力される。制御部23は、コンパレータ21の出力信号に基づいて各光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を検出するとともに、先の図11に例示したダブルスキャンに基づいて各光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を判定し、その判定結果を出力回路(出力手段)24から外部機器に出力する。このように、制御部23は、各光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を検出する検出手段、及び各光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を判定する判定手段として機能する。さらに、制御部23は、出力回路24から判定結果を出力した後、受光器2を構成する各要素の故障を検出する自己診断処理を実行する。制御部23は、この一連の処理を1サイクルの投光スキャン処理として、この処理を繰り返し実行する。
【0039】
次に、図2を参照して、制御部23を通じて実行される投光スキャン処理の手順について詳述する。
同図2に示すように、この処理では、まず、内蔵するカウンタの値Cが「1」に設定されるとともに(ステップS1)、シフトレジスタ22のカウンタの値Sが「1」に設定される(ステップS2)。そして、続くステップS3の処理として、受光タイミングに至ったか否かが判断される。この処理では、具体的には、シフトレジスタ22のカウンタの値Sを設定した時点からの経過時間が内部タイマにより計測されるとともに、計測された時間が一定時間tdに達することをもって受光タイミングに至ったと判断される。そして、受光タイミングに至った場合には(ステップS3:YES)、遮光検出処理が実行される(ステップS4)。この遮光検出処理では、まず、投光器1に同期信号が送信される。これにより、図5(a)に示すように、例えば時刻t1でシフトレジスタ22のカウンタの値Sが「1」に設定されてスイッチング素子SW(1)がオンされたとすると、図5(e)に示すように、その時点から一定時間tdが経過した時刻t2の時点で投光素子T(1)が投光して光軸L(1)が形成される。このとき、受光素子J(1)の受光信号がコンパレータ21に入力されて、その出力信号が制御部23に入力される。また、遮光検出処理では、コンパレータ21の出力に基づいて光軸L(C)の入光及び遮光が検出される。具体的には、コンパレータ21の出力が論理ハイレベルである場合には、光軸L(C)の入光が検出される。また、コンパレータ21の出力が論理ローレベルである場合には、光軸L(C)の遮光が検出される。そして、図2に示すように、続くステップS5の処理として、受光状態判定処理が実行される。この受光状態判定処理では、ステップS4の処理により検出された光軸L(C)の受光状態と、前回の投光スキャン処理時に検出された光軸L(C)の受光状態とに基づいて光軸L(C)の入光状態及び遮光状態が判定される。なお、前回の光軸L(C)の受光状態は、検出フラグFb(C)のオン/オフに基づいて判断される。検出フラグFb(C)は、前回の投光スキャン処理の際に光軸L(C)の入光が検出されている場合にはオンに設定されている。また、前回の投光スキャン処理の際に光軸L(C)の遮光が検出されている場合にはオフに設定されている。この検出フラグFb(C)の設定は、ステップS5の受光状態判定処理を通じて行われる。次に図4を参照して受光状態判定処理の手順について詳述する。
【0040】
同図4に示すように、この処理では、はじめに、光軸L(C)の入光が検出されているか否かが判断される(ステップS50)。ここで、光軸L(C)の入光が検出されている場合には(ステップS50:YES)、前回の投光スキャン処理の際にも入光が検出されているか否かが判断される(ステップS51)。この処理では、検出フラグFb(C)がオンに設定されている場合には、前回も入光が検出されていると判断される。ここで、前回も入光が検出されている場合(ステップS51:YES)、すなわちダブルスキャンを通じて入光が判定される場合には、判定フラグFs(C)がオンに設定される(ステップS52)。また、続くステップS53の処理として、光軸L(C)の入光の検出を記憶すべく、検出フラグFb(C)がオンに設定される。一方、前回に遮光が検出されている場合には(ステップS51:NO)、検出フラグFb(C)をオンに設定する処理のみが実行される(ステップS53)。
【0041】
また一方、ステップS50の判定処理において、光軸L(C)の遮光が検出されている場合には(ステップS50:NO)、前回の投光スキャン処理の際にも遮光が検出されているか否かが判断される(ステップS54)。この処理では、具体的には、検出フラグFb(C)がオンに設定されている場合には、前回も遮光が検出されていると判断される。ここで、前回も遮光が検出されている場合(ステップS54:YES)、すなわちダブルスキャンを通じて遮光が判定される場合には、判定フラグFs(C)がオフに設定される(ステップS55)。また、続くステップS56の処理として、光軸L(C)の遮光の検出を記憶すべく、検出フラグFb(C)がオフに設定される。一方、前回に入光が検出されている場合には(ステップS54:NO)、検出フラグFb(c)をオフに設定する処理のみが実行される(ステップS56)。そして、ステップS53及びS56の処理が実行された後、先の図2に示した処理に戻る。
【0042】
これにより、図2に示すように、ステップS5の処理に続いて、カウンタの値Cに「1」が加算されるとともに(ステップS6)、シフトレジスタ22のカウンタの値Sに「1」が加算される(ステップS7)。そして、ステップS3〜S7の処理は、カウンタの値Cが「n」の値を超えるまで(ステップS8:YES)、繰り返し実行される。これにより、図5(b)〜(d)に示すようにスイッチング素子SW(2)〜SW(n)が順次オンされるとともに、図5(f)〜(h)に示すように投光素子T(2)〜T(n)が順次投光して光軸L(2)〜L(n)が順次形成される。そして、図6に示すように、各光軸L(1)〜L(n)に対応する全ての判定フラグFs(1)〜Fs(n)、及び検出フラグFb(1)〜(n)のオン/オフの設定が行われる。なお、本実施形態では、図5に示すように、1光軸当たりの処理時間tbが各スイッチング素子SW(1)〜SW(n)のオン時間と略同じ時間となっている。
【0043】
一方、図2に示すように、カウンタの値Cが「n」を超えた場合には(ステップS8:YES)、図3に示すように、続くステップS9の処理として、検出フラグFb(1)〜Fb(n)のいずれかがオフに設定されているか否かが判断される。すなわち、光軸L(1)〜L(n)のいずれかが遮光されているか否かが判断される。ここで、検出フラグFb(1)〜Fb(n)のいずれかがオフに設定されている場合には(ステップS9:YES)、オフに設定されている検出フラグに隣接するフラグがオフに補正される(ステップS10)。具体的には、図7に示すように、例えば検出フラグFb(m)がオフに設定されていたとすると、検出フラグFb(m−1),Fb(m+1)がオフに設定される(但し、m=2〜n−1)。なお、検出フラグFb(1)がオフの場合には、検出フラグFb(2)のみがオフに設定される。また、検出フラグFb(n)がオフの場合には、検出フラグFb(n−1)のみがオフに設定される。本実施形態では、ステップS9,S10の処理を通じて、遮光が検出された光軸に隣接する光軸も遮光と補正される。
【0044】
そして、ステップS10の処理を実行した場合、あるいは全ての検出フラグFb(1)〜Fb(n)がオンに設定されている場合には(ステップS9:NO)、全ての判定フラグFs(1)〜(n)がオンに設定されているか否かが判断される(ステップS11)。すなわち、全ての光軸L(1)〜L(n)が入光判定であるか否かが判断される。ここで、全ての判定フラグFs(1)〜Fs(n)がオンに設定されている場合には(ステップS11:YES)、検出エリア内に物体が存在していないことを示すオン信号が出力回路24から外部機器に出力される(ステップS12)。一方、判定フラグFs(1)〜Fs(n)のいずれかがオフに設定されている場合(ステップS11:NO)、すなわち光軸L(1)〜L(n)のいずれかが遮光判定である場合には、検出エリア内に物体が進入していることを示すオフ信号が出力回路24から外部機器に出力される(ステップS13)。そして、ステップS12及びS13の処理に続いて、自己診断処理が実行される(ステップS14)。この自己診断処理では、受光器2を構成する各要素の故障が検出される。これにより、図5に示すように、スイッチング素子SW(n)がオフされる時刻t3の時点で、出力回路24からオン信号あるいはオフ信号が出力されるとともに、時刻t3から時間tcが経過する時刻t4までの期間、自己診断処理が実行される。そして、自己診断処理が完了する時刻t4の時点から図2に示す投光スキャン処理が再度実行される。
【0045】
次に、図8を参照して、本実施形態にかかる多光軸光電センサの動作(作用)について説明する。なおここでは、先の図13に示すように各パラメータが設定されているとする。また、光軸の数nが「130<n≦261」の範囲に設定されているとする。さらに、図8(a)では、先の図1に例示した投光素子T(m−1),T(m),T(m+1)と受光素子J(m−1),J(m),J(m+1)との間で形成される光軸をL(m−1),L(m),L(m+1)で示している(但し、m=2〜n−1)。
【0046】
図8(a)に示すように、例えば第1〜第3の投光スキャン処理が行われたときに、最小検出物体Pが図中に示す位置にそれぞれ位置していたとする。このとき、第1投光スキャン処理では光軸L(m−1)のみが遮光される。このため、制御部23は、図8(b)に示すように、光軸L(m−1)の遮光、及び光軸L(m),L(m+1)の入光を検出する。このとき、制御部23は、この検出結果、及び検出フラグFb(m−1),Fb(m),Fb(m+1)のオン/オフに基づいて判定フラグFs(m−1),Fs(m),Fs(m+1)のオン/オフを設定するが、ここでは、各受光状態判定フラグを図8(d)に示すように設定したとしている。また、制御部23は、図8(c)に示すように、今回の検出結果に基づき検出フラグFb(m−1)をオフに設定するとともに、それ以外をオンに設定する。さらに、補正後の欄に示すように、オフに設定されている検出フラグFb(m−1)に隣接するフラグFb(m)をオフの設定に補正する。これにより、第1投光スキャン処理では、光軸L(m−1),L(m)の遮光、及び光軸L(m+1)の入光が検出されたと補正される。その後、制御部23は、判定フラグFs(m−1)がオフに設定されていることに基づいて、出力回路24からオフ信号を出力する。
【0047】
次に、第2投光スキャン処理では、図8(a)に示すように、光軸L(m)のみが遮光される。このため、制御部23は、図8(b)に示すように、光軸L(m)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m+1)の入光を検出する。このとき、制御部23は、光軸L(m)の遮光を検出した際に、図中に矢印で示すように検出フラグFb(m)がオフに設定されていること、すなわち前回も光軸L(m)の遮光が検出されていることに基づいて、判定フラグFs(m)をオフに設定する。また、光軸L(m+1)の入光を検出した際に、図中に矢印で示すように検出フラグFb(m+1)のオンに設定されていること、すなわち前回も光軸L(m+1)の入光が検出されていることに基づいて、判定フラグFs(m+1)をオンに設定する。さらに、制御部23は、図8(c)に示すように、今回の検出結果に基づいて検出フラグFb(m)をオフに設定するとともに、それ以外をオンに設定する。その後、オフに設定されている検出フラグFb(m)に隣接するフラグFb(m−1),Fb(m+1)をオフの設定に補正する。これにより、第2投光スキャン処理では、各光軸L(m−1),L(m),L(m+1)の遮光が検出されたと補正される。そして、制御部23は、判定フラグFs(m−1),Fs(m)がオフに設定されていることに基づいて、出力回路24からオフ信号を出力する。
【0048】
また、続く第3投光スキャン処理では、図8(a)に示すように、光軸L(m+1)のみが遮光される。このため、制御部23は、図8(b)に示すように、光軸L(m+1)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m)の入光を検出する。このとき、制御部23は、光軸L(m+1)の遮光を検出した際に、図中に矢印で示すように検出フラグFb(m+1)がオフに設定されていること、すなわち前回も光軸L(m+1)の遮光が検出されていることに基づいて判定フラグFs(m+1)をオフに設定する。また、制御部23は、図8(c)に示すように、今回の検出結果に基づいて検出フラグFb(m+1)をオフに設定するとともに、それ以外をオンに設定する。その後、オフに設定されている検出フラグFb(m+1)に隣接するフラグをオフに設定する(図示略)。そして、制御部23は、判定フラグFs(m−1),Fs(m),Fs(m+1)がオフに設定されていることに基づいて、出力回路24からオフ信号を出力する。
【0049】
このように、本実施形態では、図8(b)に示すように、例えば第2投光スキャン処理の際に光軸L(m)が遮光されたとき、第1投光スキャン処理の際に光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1)が遮光されていれば、光軸L(m)が遮光状態であると判定される。これにより、光軸数の増加などに起因して光軸L(m)が連続して遮光されない状況であっても、光軸L(m)の遮光が適切に判定されるため、受光器2がオフ信号の出力を維持するようになる。よって、誤出力を防止することができるようになる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態にかかる多光軸光電センサによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)複数の光軸L(1)〜L(n)のうちの特定の光軸の遮光が検出されたとき、前回の投光スキャン処理の際に特定の光軸及びこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に、特定の光軸は遮光状態であると判定することとした。これにより、光軸数の増加などに起因して特定の光軸が連続して遮光されないような状況であっても、特定の光軸の遮光が適切に判定されるようになるため、誤出力を防止することができるようになる。
【0051】
(2)特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、検出フラグFb(m−1),Fb(m+1)をオフに補正することで、光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)も遮光であるとみなすこととした。これにより、今回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、検出フラグFb(m)がオフに設定されているか否かをみるだけで、特定の光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)において遮光が検出されていたか否かを容易に判断することができるようになる。
【0052】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、先の図3に例示したステップS9及びS10の処理を実行して検出フラグFb(m−1),Fb(m+1)をオフに補正することにより、光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)も遮光であるとみなすこととしたが、ステップS9,S10を省略することも可能である。この場合、先の図4に例示したステップS51の処理において、検出フラグFb(C−1),Fb(C),Fb(C+1)のいずれかがオフに設定されていることをもって肯定判定すればよい。また、ステップS54の処理において、検出フラグFb(C−1),Fb(C),Fb(C+1)のいずれかがオンに設定されていることをもって肯定判定すればよい。
【0053】
・上述のように、多光軸光電センサの各パラメータが先の図13のように設定されていて且つ、光軸の数nが「130<n≦261」の範囲に設定されている場合には、上記実施形態に例示した判定方法を用いることが有効となる。すなわち、特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、特定の光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)の遮光が検出されていることを条件に特定の光軸が遮光状態であると判定することが有効となる。これに対し、光軸の数が130個以下の場合には、前回の投稿スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されていることを条件に同特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定する方法が有効となる。そこで、投光スキャン処理において先の図3に例示したステップS9及びS10の処理を実行するか否かを切り替えるためのディップスイッチなどの切り替え手段を設けてもよい。これにより、以下の(a1)及び(a2)のいずれの判定方法を用いるかを切り替えることが可能となる。
【0054】
(a1)今回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されたときに、前回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されていることのみを条件として、特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定する第1判定方法。
【0055】
(a2)今回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されたときに、前回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光又はこれに隣接する光軸L(m−1),L(m+1)の遮光が検出されていることを条件として、特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定する第2判定方法。
【0056】
このような構成によれば、例えば光軸の数nが130個以下の場合には第1判定方法を用いる一方、光軸の数nが「130<n≦261」の範囲の場合には第2判定方法を用いるといったように、光軸の数に応じて判定方法を切り替えることができるため、汎用性が向上するようになる。
【0057】
・上述のように、今回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、前回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)に隣接する光軸L(m+1),L(m−1)の遮光が検出されていることを条件に、特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定することが有効である。ただし、このような判定方法を採用した場合、特定の光軸L(m)の遮光が連続して検出されることを条件にその光軸が遮光状態であると判定する本来の方法と比較すると、過剰な遮光判定が行われるおそれがあり、ユーザにとって扱い難い多光軸光電センサとなってしまうおそれがある。そこで、特定の光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)の遮光が検出されていることを条件に特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定したとき、その旨を外部に報知する報知手段を設けてもよい。なお、報知手段としては、例えば点灯により報知を行うランプなどを採用することができる。これにより、ユーザは、ランプの点灯などを通じて過剰な遮光判定が行われているか否かを確認することができるため、ユーザによって扱い易い多光軸光電センサを実現することができるようになる。
【0058】
・上記実施形態では、特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、検出フラグFb(m−1),Fb(m+1)をオフに補正することで、光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)も遮光であると補正することとしたが、遮光に補正する光軸の範囲を光軸数nに応じて適宜変更してもよい。具体的には、例えば光軸の数nが「261<n≦392」の範囲に設定されている場合、特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、光軸L(m−2),L(m−1),L(m+1),L(m+2)も遮光であるとみなせばよい。すなわち、先の図3に例示したステップS10の処理において、検出フラグFb(m−2),Fb(m−1),Fb(m+1),Fb(m+2)をオフに補正する処理を実行すればよい。これにより、光軸の数nが「261<n≦392」の範囲に設定されている場合であっても、上記実施形態による(1)の効果と同等の効果を得ることができる。なお、特定の光軸L(m)の遮光が検出された際に、遮光に補正する光軸の範囲は次のように定めることができる。まず、上記(1),(2)の式を満たすNの最大値をNmax、光軸の数をnとするとき、次式(3)〜(5)を満たす全ての整数xを求める。
【0059】
a=n/Nmax・・・(3)
m−a≦x≦m+a・・(4)
1≦x≦n・・・(5)
そして、式(3)〜(5)を満たす全ての整数xについて光軸L(x)を遮光に補正すればよい。すなわち、先の図3に例示したステップS10の処理において検出フラグFb(x)をオフに設定すればよい。これにより、式(3)〜(5)を満たす全ての整数xのうち、いずれかの整数x番目の光軸L(x)について前回の投光スキャン処理において遮光が検出されることを条件に、光軸L(m)が遮光状態であると判定されるようになる。なお、この方法を利用すれば、先の図10に例示した各設定値を適宜変更した場合であっても、遮光に補正する光軸の範囲を設定することができる。
【0060】
・上記実施形態では、本発明にかかる多光軸光電センサを、遮光の判定方法として上記ダブルスキャンを用いる多光軸光電センサに採用することとした。これに代えて、前回までの複数回の投光スキャン処理において特定の光軸の遮光が連続して検出されることを条件に特定の光軸が遮光状態であると判定する多光軸光電センサに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
J(1)〜J(n),J…受光素子、L(1)〜L(n)…光軸、P…最小検出物体、r…レンズ径、R…直径、T(1)〜T(n),T…投光素子、SW(1)〜SW(n)…スイッチング素子、1,4…投光器、2,5…受光器、3…信号線、10…投光回路、20…信号線、21…コンパレータ、22…シフトレジスタ、23…制御部、24…出力回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光器と受光器との間で形成される光軸の遮光に基づいて検出エリア内への物体の進入を検出する多光軸光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の多光軸光電センサとしては、例えば特許文献1に記載のセンサが知られている。図9に示すように、この特許文献1に記載の多光軸光電センサでは、複数の投光素子T(1)〜T(n)を有する投光器4と、複数の受光素子J(1)〜J(n)を有する受光器5とが互いに対向して配置されている(但し、nは2以上の整数)。投光器4は、投光素子T(1)〜T(n)を順次投光する投光スキャン処理を実行して光軸L(1)〜L(n)を順次形成する。また、受光素子J(1)〜J(n)は、対向する投光素子T(1)〜T(n)からの光をそれぞれ受光するとともに、その受光量に応じた電圧信号(受光信号)をそれぞれ出力する。そして、受光器5は、特定の受光素子から出力された受光信号の大きさと所定の閾値との比較に基づき、その受光素子に対応する光軸の入光及び遮光を検出する。受光器5は、このような検出を全ての光軸L(1)〜L(n)について行う。そして、光軸L(1)〜L(n)のいずれかの遮光を検出した場合には、検出エリア内に物体が進入していると判定して、その旨を示すオフ信号を出力する。また、全ての光軸L(1)〜L(n)について入光が検出された場合には、検出エリア内に物体が存在していないと判定して、その旨を示すオン信号を出力する。このような多光軸光電センサによれば、投光スキャン処理を所定の周期で繰り返し実行することで、受光器5の出力に基づいて検出エリア内への物体の進入を監視することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−129583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうした多光軸光電センサでは、国際規格(IEC64196−2)により、「検出エリア内を1.6[mm/ms]で動く最小検出物体が存在するときに、出力をオフし続けること。」といった条件を満足することが要求される。なお、最小検出物体とは、例えば図10に示すように投光素子T及び受光素子Jのレンズ径がrであって且つ、光軸ピッチがHである場合には、「r+H」の直径Rを有する図中の二点鎖線の物体Pである。
【0005】
一方、特定の光軸の入光状態及び遮光状態を判定する方法としては、例えば連続する2回の投光スキャン処理の結果に基づき判定する方法が考えられる。具体的には、前回及び今回のそれぞれの投光スキャン処理を通じて特定の光軸の入光が連続で検出された場合には、その検出結果が真であると判断して、特定の光軸が入光状態であると判定する。また、前回及び今回のそれぞれの投光スキャン処理を通じて特定の光軸の遮光が連続で検出された場合には、その検出結果が真であると判断して、特定の光軸が遮光状態であると判定する。これにより、図11に示すように、例えば前回の判定結果が入光状態であると判定された光軸については、前回及び今回のそれぞれの投光スキャン処理を通じて遮光が検出された場合に限って、その判定結果が遮光判定に切り替わる。このような判定方法を採用すれば、受光素子の受光状態を高い精度で判定することができるため、信頼性が向上するようになる。なお、本明細書では、図11に示す判定方法に基づいて受光素子の受光状態を判定することをダブルスキャンと定義する。次に、このダブルスキャンを用いて、検出エリア内を移動する最小検出物体が検出される様子について図12を参照して説明する。なお、図12(a)では、先の図9に例示した投光素子T(m−1),T(m),T(m+1)と受光素子J(m−1),J(m),J(m+1)との間で形成される光軸をL(m−1),L(m),L(m+1)で示している(但し、m=2〜n−1)。
【0006】
図12(a)に示すように、例えば第1〜第5投光スキャン処理が行われたときに、最小検出物体Pが図中に示すそれぞれの位置に位置していたとする。このとき、第1投光スキャン処理では、図12(a)に示すように光軸L(m−1)のみが遮光される。よって、受光器5は、図12(b)に示すように光軸L(m−1)の遮光、及び光軸L(m),L(m+1)の入光をそれぞれ検出する。このとき、受光器5は、この検出結果、及び前回の検出結果に基づいて光軸L(m−1),L(m),L(m+1)の入光及び遮光を判定することとなるが、ここでは、図12(c)に示すように判定したとしている。これにより、受光器5は、光軸L(m−1)の遮光判定に基づいてオフ信号を出力する。
【0007】
次に第2投光スキャン処理では、図12(a)に示すように光軸L(m−1)のみが再び遮光される。このため、受光器5は、図12(b)に示すように光軸L(m−1)の遮光、及び光軸L(m),L(m+1)の入光をそれぞれ検出する。よって、光軸L(m−1)の遮光を前回も検出していることに基づいて、図12(c)に示すように、光軸L(m−1)が遮光状態であると判定する。また、光軸L(m),L(m+1)の入光を前回も検出していることに基づき光軸L(m),L(m+1)が入光状態であると判定する。これにより、受光器5は、光軸L(m−1)の遮光判定に基づいてオフ信号を出力する。
【0008】
続く第3投光スキャン処理では、図12(a)に示すように光軸(m)のみが遮光される。このため、受光器5は、図12(b)に示すように光軸L(m)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m+1)の入光を検出する。よって、光軸L(m+1)の入光を前回も検出していることに基づいて、図12(c)に示すように、光軸L(m+1)が入光状態であると判定する。また、光軸L(m−1)の遮光判定、及び光軸L(m)の入光判定を維持する。これにより、受光器5は、光軸(m−1)の遮光判定に基づいてオフ信号を出力する。
【0009】
さらに、続く第4投光スキャン処理では、図12(a)に示すように、光軸(m)のみが再び遮光される。このため、受光器5は、図12(b)に示すように、光軸L(m)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m+1)の入光を検出する。よって、光軸L(m−1),L(m+1)の入光を前回も検出していることに基づいて、図12(c)に示すように、光軸L(m−1),L(m+1)が入光状態であると判定する。また、光軸L(m)の遮光を前回も検出していることに基づいて光軸L(m)が遮光状態であると判定する。これにより、受光器5は、光軸(m)の遮光判定に基づいてオフ信号を出力する。また、受光器5は、第5投光スキャン処理でもオフ信号を出力する。
【0010】
このように、最小検出物体Pが検出エリア内を移動している場合にダブルスキャンにより光軸の入光状態及び遮光状態を判定するようにした場合であっても、多光軸光電センサの出力をオフ信号に維持することは可能である。ただし、上述した国際規格を満たしつつダブルスキャンを行う場合には、多光軸光電センサの光軸の数が制限される。
【0011】
具体的には、例えば先の図10に示した投光素子T及び受光素子Jのレンズ径r、最小検出物体の直径Rが図13に示す値に設定されていたとする。また、受光器5において受光信号を認識するのに要する時間(受信信号の幅)taが図13に示す値に設定されていたとする。このとき、ダブルスキャンの実施を前提とすると、投光スキャン処理の周期Taは次式(1)により求められる。なお、速度Vは、国際規格により定められる最大移動速度(1.6[mm/ms])である。
【0012】
2×Ta≦(R−r)/V−ta・・・(1)
Ta≦3.115[ms]
ここで、投光スキャン処理の最長周期をTmax(=3.115[ms])とする。
【0013】
次に、受光器5における1光軸当たりの処理時間tb、及び1回の投光スキャン処理の際に自己診断処理に要する時間tcが図13に示す値に設定されていたとすると、光軸の数Nは次式(2)により求められる。なお、自己診断処理とは、受光器5の故障を検出するための処理である。
【0014】
tb×N+tc<Tmax・・・(2)
N<130.75
すなわち、以上のような条件の場合、光軸の数を130個以下に設定することで、上述した国際規格を満たしつつダブルスキャンが可能となる。一方、光軸の数が131個以上の場合には、例えば次のような問題が生じるおそれがある。
【0015】
まず、受光器5では、光軸の数が増加するほど1回の投光スキャン処理に要する時間が長くなる。このため、光軸の数が131個以上の場合には、例えば図14(a)に示すように、第1〜第3投光スキャン処理が行われる間に最小検出物体Pが移動する距離が、先の図14に例示した場合よりも長くなる。この場合、各投光スキャン処理は次のように行われる。
【0016】
まず、第2投光スキャン処理では、図14(a)に示すように光軸L(m)のみが遮光される。このため、受光器5は、図14(b)に示すように光軸L(m)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m+1)の入光を検出する。よって、光軸L(m+1)の入光を前回も検出していることに基づいて、図14(c)に示すように、光軸L(m+1)が入光状態であると判定する。また、光軸L(m−1)の遮光判定、及び光軸L(m)の入光判定を維持する。これにより、受光器5は、光軸L(m−1)の遮光判定に基づいてオフ信号を出力する。
【0017】
また、続く第3投光スキャン処理では、図14(a)に示すように光軸L(m+1)のみが遮光される。このため、受光器5は、図14(b)に示すように光軸L(m+1)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m)の入光を検出する。よって、光軸L(m−1)の入光を前回も検出していることに基づいて、図14(c)に示すように、光軸L(m−1)が入光状態であると判定する。また、光軸L(m),L(m+1)の入光判定を維持する。したがって、受光器5は、全ての光軸が入光判定であることに基づいてオン信号を出力する。
【0018】
このように、ダブルスキャンを行う多光軸光電センサでは、光軸数が増加すると、検出エリア内に物体が存在しているにもかかわらず、その出力がオン信号に切り替わってしまうといった誤出力が生じるおそれがある。
【0019】
なお、このような課題は、遮光を判定する方法として上記ダブルスキャンを用いる多光軸光電センサに限らず、前回までの複数回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が連続して検出されることを条件に特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定する多光軸光電センサにおいても共通する課題である。
【0020】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、連続する複数回の投光スキャン処理の結果に基づき光軸の入光及び遮光を判定する場合であっても、誤出力を防止することのできる多光軸光電センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、一列状に配置されて、一端側から他端側に向けて順次投光する投光スキャン処理を周期的に行う複数の投光手段と、該複数の投光手段にそれぞれ対向して配置されるとともに、前記投光手段からの光を受光してその受光量に応じた受光信号を出力する複数の受光手段と、前記複数の投光手段が順次投光した際に、それらと対をなす受光手段との間で形成される複数の光軸の入光及び遮光を、投光の行われた投光手段に対応する受光手段からの受光信号に基づいて検出する検出手段と、今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記複数の光軸のうち、特定の光軸の遮光が検出された際に、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に、前記特定の光軸が遮光状態であると判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に基づく検出信号を出力する出力手段と、を備えることを要旨とする。
【0022】
同構成によれば、投光スキャン処理の際に特定の光軸が遮光されたとき、前回までの各投光スキャン処理において特定の光軸又はこれに隣接する光軸が遮光されていれば、判定手段によって特定の光軸が遮光状態であると判定される。これにより、先の図14に例示したように光軸数の増加などに起因して特定の光軸が連続して遮光されない状況であっても、特定の光軸の遮光が適切に判定されて、出力手段により遮光状態に応じた出力が行われる。よって、誤出力を防止することができるようになる。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多光軸光電センサにおいて、前記判定手段は、前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出されたとき、同特定の光軸に隣接する光軸についても遮光が検出されたとみなすものであることを要旨とする。
【0024】
同構成によれば、特定の光軸の遮光が検出された際に同特定の光軸に隣接する光軸についても遮光が検出されたとみなされる。このため、今回の投光スキャン処理において特定の光軸の遮光が検出されたときに、前回までの各投光スキャン処理においても特定の光軸の遮光が検出されていたか否かを見るだけで、特定の光軸に隣接する光軸において遮光が検出されていたか否かを容易に判断することができるようになる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の多光軸光電センサにおいて、今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出されたときに、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光が検出されていることのみを条件に同特定の光軸が遮光状態であると判定する方法を第1判定方法と、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に前記特定の光軸が遮光状態であると判定する方法を第2判定方法とするとき、前記判定手段において前記第1判定方法及び前記第2判定方法のいずれを用いるかを切り替える切り替え手段を更に備えることを要旨とする。
【0026】
このような多光軸光電センサでは、上述のように、光軸の数が所定数よりも少ない場合には、上記第1判定方法、すなわち前回までの各投光スキャン処理において特定の光軸の遮光が検出されていることを条件に同特定の光軸が遮光状態であると判定する方法を用いればよい。これに対し、光軸の数が所定数以上である場合には、上記第2判定方法、すなわち前回までの各投光スキャン処理において特定の光軸の遮光又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されることを条件に特定の光軸が遮光状態であると判定する方法が有効となる。この点、上記構成によれば、第1判定方法及び第2判定方法のいずれを用いるかを光軸の数に応じて切り替えることができるため、汎用性が向上するようになる。
【0027】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多光軸光電センサにおいて、今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出された際に、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸に隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に前記特定の光軸が遮光状態であると判定したとき、その旨を報知する報知手段を更に備えることを要旨とする。
【0028】
上述のように、今回の投光スキャン処理において特定の光軸の遮光が検出されたとき、前回までの各投光スキャン処理において特定の光軸に隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に特定の光軸が遮光状態であると判定することが有効である。ただし、このような判定方法を採用した場合、特定の光軸の遮光が連続して検出されることを条件にその光軸が遮光状態であると判定する本来の方法と比較すると、過剰な遮光判定が行われるおそれがあり、ユーザにとって扱い難い多光軸光電センサとなってしまうおそれがある。この点、上記構成によれば、前回までの各投光スキャン処理において特定の光軸に隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に特定の光軸が遮光状態であると判定した場合には、その旨が報知手段によって報知される。よって、ユーザは、報知手段の報知によって過剰な遮光判定が行われているか否かを確認することができるため、ユーザにとって扱いやすい多光軸光電センサを実現することができるようになる。
【0029】
そしてこの場合、例えば請求項5に記載の発明によるように、前記判定手段が、今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出された際に、前回の投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に、前記特定の光軸が遮光状態であると判定する、といった構成を有する多光軸光電センサ、すなわちダブルスキャン処理を行う多光軸光電センサに請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明を適用することが有効となる。
【0030】
請求項6に記載の発明は、一列状に配置されて、一端側から他端側に向けて順次投光する投光スキャン処理を行うn(2以上の整数)個の投光手段と、該n個の投光手段に対向して配置されるとともに、前記投光手段からの光を受光してその受光量に応じた受光信号を出力するn個の受光手段と、前記n個の投光手段が順次投光した際に、それらと対をなす受光手段との間で前記一端側から前記他端側に向けて順次形成されるn個の光軸の入光及び遮光を、投光の行われた投光手段に対向する受光手段からの受光信号に基づいて検出する検出手段と、前記投光スキャン処理の実行を通じて前記検出手段により前記一端側からm番目の光軸の遮光が検出された際に、前記nの値に基づいて定められる整数をaとし、
m−a≦x≦m+a
1≦x≦n
なる関係を満たす全ての整数xのうち、いずれかの整数x番目の光軸について前回までの各投光スキャン処理において遮光が検出されていることを条件に、前記m番目の光軸が遮光状態であると判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に基づく検出信号を出力する出力手段と、を備えることを要旨とする。
【0031】
同構成によれば、投光スキャン処理の際にm番目の光軸が遮光されたとき、前回までの各投光スキャンにおいて(m−a)番目から(m+a)番目のいずれかの光軸が遮光されている場合には、判定手段によりm番目の光軸が遮光状態であると判定される。これにより、先の図14に例示したように光軸数の増加などに起因してm番目の光軸が連続して遮光されない状況であっても、m番目の光軸の遮光が適切に判定されて、出力手段によって遮光状態に応じた出力が行われる。よって、誤出力を防止することができるようになる。
【発明の効果】
【0032】
本発明にかかる多光軸光電センサによれば、連続する複数回の投光スキャン処理の結果に基づき光軸の入光及び遮光を判定する場合であっても、誤出力を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明にかかる多光軸光電センサの一実施形態についてその構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の多光軸光電センサによる投光スキャン処理の手順の一部を示すフローチャート。
【図3】同実施形態の多光軸光電センサによる投光スキャン処理の手順の一部を示すフローチャート。
【図4】同実施形態の多光軸光電センサによる受光状態判定処理の手順を示すフローチャート。
【図5】(a)〜(h)は、同実施形態の多光軸光電センサの動作例を示すタイミングチャート。
【図6】同実施形態の多光軸光電センサについて各光軸に対する判定フラグ及び検出フラグの設定態様を模式的に示す図。
【図7】同実施形態の多光軸光電センサについて検出フラグの補正態様を模式的に示す図。
【図8】(a)〜(d)は、同実施形態の多光軸光電センサの動作例を模式的に示す図。
【図9】従来の多光軸光電センサについてその斜視構造を示す斜視図。
【図10】最小検出物体の大きさを模式的に示す図。
【図11】ダブルスキャンの判定方法を模式的に示す図。
【図12】(a)〜(c)は、ダブルスキャンにより光軸の入光及び遮光が判定される様子を模式的に示す図。
【図13】レンズ径、最小検出物体の直径、受光信号の幅、1光軸当たりの処理時間、及び自己診断処理に要する時間のそれぞれの設定値を示す図。
【図14】(a)〜(c)は、ダブルスキャンにより光軸の入光及び遮光が判定される様子を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明にかかる多光軸光電センサの一実施形態について図1〜図8を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施形態にかかる多光軸光電センサの概要について説明する。
【0035】
図1に示すように、この多光軸光電センサでは、互いに対向する投光器1と受光器2との間でn個の光軸L(1)〜L(n)が形成されて、検出エリアが設定される(但し、nは2以上の整数)。なお、投光器1及び受光器2は信号線3を介して互いに接続されている。
【0036】
投光器1には、発光ダイオード(LED)により構成されて、投光により光軸L(1)〜L(n)をそれぞれ形成する投光素子(投光手段)T(1)〜T(n)が設けられている。投光素子T(1)〜T(n)の駆動は、投光回路10によって制御される。投光回路10は、受光器2から信号線3を介して同期信号が入力される度に投光素子T(1)〜T(n)を順次投光させる。
【0037】
受光器2には、投光素子T(1)〜T(n)に対向して一列状に受光素子(受光手段)J(1)〜J(n)が設けられている。受光素子J(1)〜J(n)は、フォトダイオード(PD)により構成されており、投光素子T(1)〜T(n)からの光を受光してその受光量に応じた電圧信号(受光信号)を出力する。受光素子J(1)〜J(n)の受光信号は、各対応するスイッチング素子SW(1)〜SW(n)及び共通の信号線20を介してコンパレータ21に入力される。また、受光器2には、スイッチング素子SW(1)〜SW(n)のうち、自身のカウンタの値に対応するスイッチング素子に選択信号を送信するシフトレジスタ22が設けられている。これにより、例えばシフトレジスタ22のカウンタの値が「1」に設定されているとすると、シフトレジスタ22からスイッチング素子SW(1)に選択信号が出力されてスイッチング素子SW(1)のみがオンされる。したがってこの場合には、受光素子J(1)の受光信号のみがコンパレータ21に入力される。そして、コンパレータ21に入力された受光信号は、所定の閾値との比較のもとに2値化される。なお、閾値は、光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を検出することのできる値に設定されている。よって、受光信号の大きさが閾値を超えている場合、すなわち受光素子の入射光のレベルが所定のレベルを超えている場合には、光軸の入光を示す論理ハイレベルの信号がコンパレータ21から出力される。一方、受光信号の大きさが閾値以下である場合には、すなわち受光素子の入射光のレベルが所定のレベル以下である場合には、光軸の遮光を示す論理ローレベルの信号がコンパレータ21から出力される。コンパレータ21の出力は、マイクロコンピュータを中心に構成された制御部23に取り込まれている。
【0038】
制御部23は、信号線3を介して投光器1に同期信号を送信する処理を実行するとともに、これに同期してシフトレジスタ22のカウンタの値を「1」〜「n」に順次設定する処理を実行する。これにより、同期信号に基づき投光器1が光軸L(1)〜L(n)を順次形成すると、各光軸に対応する受光素子J(1)〜J(n)の受光信号がコンパレータ21に順次入力されて、コンパレータ21の出力が制御部23に入力される。制御部23は、コンパレータ21の出力信号に基づいて各光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を検出するとともに、先の図11に例示したダブルスキャンに基づいて各光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を判定し、その判定結果を出力回路(出力手段)24から外部機器に出力する。このように、制御部23は、各光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を検出する検出手段、及び各光軸L(1)〜L(n)の入光及び遮光を判定する判定手段として機能する。さらに、制御部23は、出力回路24から判定結果を出力した後、受光器2を構成する各要素の故障を検出する自己診断処理を実行する。制御部23は、この一連の処理を1サイクルの投光スキャン処理として、この処理を繰り返し実行する。
【0039】
次に、図2を参照して、制御部23を通じて実行される投光スキャン処理の手順について詳述する。
同図2に示すように、この処理では、まず、内蔵するカウンタの値Cが「1」に設定されるとともに(ステップS1)、シフトレジスタ22のカウンタの値Sが「1」に設定される(ステップS2)。そして、続くステップS3の処理として、受光タイミングに至ったか否かが判断される。この処理では、具体的には、シフトレジスタ22のカウンタの値Sを設定した時点からの経過時間が内部タイマにより計測されるとともに、計測された時間が一定時間tdに達することをもって受光タイミングに至ったと判断される。そして、受光タイミングに至った場合には(ステップS3:YES)、遮光検出処理が実行される(ステップS4)。この遮光検出処理では、まず、投光器1に同期信号が送信される。これにより、図5(a)に示すように、例えば時刻t1でシフトレジスタ22のカウンタの値Sが「1」に設定されてスイッチング素子SW(1)がオンされたとすると、図5(e)に示すように、その時点から一定時間tdが経過した時刻t2の時点で投光素子T(1)が投光して光軸L(1)が形成される。このとき、受光素子J(1)の受光信号がコンパレータ21に入力されて、その出力信号が制御部23に入力される。また、遮光検出処理では、コンパレータ21の出力に基づいて光軸L(C)の入光及び遮光が検出される。具体的には、コンパレータ21の出力が論理ハイレベルである場合には、光軸L(C)の入光が検出される。また、コンパレータ21の出力が論理ローレベルである場合には、光軸L(C)の遮光が検出される。そして、図2に示すように、続くステップS5の処理として、受光状態判定処理が実行される。この受光状態判定処理では、ステップS4の処理により検出された光軸L(C)の受光状態と、前回の投光スキャン処理時に検出された光軸L(C)の受光状態とに基づいて光軸L(C)の入光状態及び遮光状態が判定される。なお、前回の光軸L(C)の受光状態は、検出フラグFb(C)のオン/オフに基づいて判断される。検出フラグFb(C)は、前回の投光スキャン処理の際に光軸L(C)の入光が検出されている場合にはオンに設定されている。また、前回の投光スキャン処理の際に光軸L(C)の遮光が検出されている場合にはオフに設定されている。この検出フラグFb(C)の設定は、ステップS5の受光状態判定処理を通じて行われる。次に図4を参照して受光状態判定処理の手順について詳述する。
【0040】
同図4に示すように、この処理では、はじめに、光軸L(C)の入光が検出されているか否かが判断される(ステップS50)。ここで、光軸L(C)の入光が検出されている場合には(ステップS50:YES)、前回の投光スキャン処理の際にも入光が検出されているか否かが判断される(ステップS51)。この処理では、検出フラグFb(C)がオンに設定されている場合には、前回も入光が検出されていると判断される。ここで、前回も入光が検出されている場合(ステップS51:YES)、すなわちダブルスキャンを通じて入光が判定される場合には、判定フラグFs(C)がオンに設定される(ステップS52)。また、続くステップS53の処理として、光軸L(C)の入光の検出を記憶すべく、検出フラグFb(C)がオンに設定される。一方、前回に遮光が検出されている場合には(ステップS51:NO)、検出フラグFb(C)をオンに設定する処理のみが実行される(ステップS53)。
【0041】
また一方、ステップS50の判定処理において、光軸L(C)の遮光が検出されている場合には(ステップS50:NO)、前回の投光スキャン処理の際にも遮光が検出されているか否かが判断される(ステップS54)。この処理では、具体的には、検出フラグFb(C)がオンに設定されている場合には、前回も遮光が検出されていると判断される。ここで、前回も遮光が検出されている場合(ステップS54:YES)、すなわちダブルスキャンを通じて遮光が判定される場合には、判定フラグFs(C)がオフに設定される(ステップS55)。また、続くステップS56の処理として、光軸L(C)の遮光の検出を記憶すべく、検出フラグFb(C)がオフに設定される。一方、前回に入光が検出されている場合には(ステップS54:NO)、検出フラグFb(c)をオフに設定する処理のみが実行される(ステップS56)。そして、ステップS53及びS56の処理が実行された後、先の図2に示した処理に戻る。
【0042】
これにより、図2に示すように、ステップS5の処理に続いて、カウンタの値Cに「1」が加算されるとともに(ステップS6)、シフトレジスタ22のカウンタの値Sに「1」が加算される(ステップS7)。そして、ステップS3〜S7の処理は、カウンタの値Cが「n」の値を超えるまで(ステップS8:YES)、繰り返し実行される。これにより、図5(b)〜(d)に示すようにスイッチング素子SW(2)〜SW(n)が順次オンされるとともに、図5(f)〜(h)に示すように投光素子T(2)〜T(n)が順次投光して光軸L(2)〜L(n)が順次形成される。そして、図6に示すように、各光軸L(1)〜L(n)に対応する全ての判定フラグFs(1)〜Fs(n)、及び検出フラグFb(1)〜(n)のオン/オフの設定が行われる。なお、本実施形態では、図5に示すように、1光軸当たりの処理時間tbが各スイッチング素子SW(1)〜SW(n)のオン時間と略同じ時間となっている。
【0043】
一方、図2に示すように、カウンタの値Cが「n」を超えた場合には(ステップS8:YES)、図3に示すように、続くステップS9の処理として、検出フラグFb(1)〜Fb(n)のいずれかがオフに設定されているか否かが判断される。すなわち、光軸L(1)〜L(n)のいずれかが遮光されているか否かが判断される。ここで、検出フラグFb(1)〜Fb(n)のいずれかがオフに設定されている場合には(ステップS9:YES)、オフに設定されている検出フラグに隣接するフラグがオフに補正される(ステップS10)。具体的には、図7に示すように、例えば検出フラグFb(m)がオフに設定されていたとすると、検出フラグFb(m−1),Fb(m+1)がオフに設定される(但し、m=2〜n−1)。なお、検出フラグFb(1)がオフの場合には、検出フラグFb(2)のみがオフに設定される。また、検出フラグFb(n)がオフの場合には、検出フラグFb(n−1)のみがオフに設定される。本実施形態では、ステップS9,S10の処理を通じて、遮光が検出された光軸に隣接する光軸も遮光と補正される。
【0044】
そして、ステップS10の処理を実行した場合、あるいは全ての検出フラグFb(1)〜Fb(n)がオンに設定されている場合には(ステップS9:NO)、全ての判定フラグFs(1)〜(n)がオンに設定されているか否かが判断される(ステップS11)。すなわち、全ての光軸L(1)〜L(n)が入光判定であるか否かが判断される。ここで、全ての判定フラグFs(1)〜Fs(n)がオンに設定されている場合には(ステップS11:YES)、検出エリア内に物体が存在していないことを示すオン信号が出力回路24から外部機器に出力される(ステップS12)。一方、判定フラグFs(1)〜Fs(n)のいずれかがオフに設定されている場合(ステップS11:NO)、すなわち光軸L(1)〜L(n)のいずれかが遮光判定である場合には、検出エリア内に物体が進入していることを示すオフ信号が出力回路24から外部機器に出力される(ステップS13)。そして、ステップS12及びS13の処理に続いて、自己診断処理が実行される(ステップS14)。この自己診断処理では、受光器2を構成する各要素の故障が検出される。これにより、図5に示すように、スイッチング素子SW(n)がオフされる時刻t3の時点で、出力回路24からオン信号あるいはオフ信号が出力されるとともに、時刻t3から時間tcが経過する時刻t4までの期間、自己診断処理が実行される。そして、自己診断処理が完了する時刻t4の時点から図2に示す投光スキャン処理が再度実行される。
【0045】
次に、図8を参照して、本実施形態にかかる多光軸光電センサの動作(作用)について説明する。なおここでは、先の図13に示すように各パラメータが設定されているとする。また、光軸の数nが「130<n≦261」の範囲に設定されているとする。さらに、図8(a)では、先の図1に例示した投光素子T(m−1),T(m),T(m+1)と受光素子J(m−1),J(m),J(m+1)との間で形成される光軸をL(m−1),L(m),L(m+1)で示している(但し、m=2〜n−1)。
【0046】
図8(a)に示すように、例えば第1〜第3の投光スキャン処理が行われたときに、最小検出物体Pが図中に示す位置にそれぞれ位置していたとする。このとき、第1投光スキャン処理では光軸L(m−1)のみが遮光される。このため、制御部23は、図8(b)に示すように、光軸L(m−1)の遮光、及び光軸L(m),L(m+1)の入光を検出する。このとき、制御部23は、この検出結果、及び検出フラグFb(m−1),Fb(m),Fb(m+1)のオン/オフに基づいて判定フラグFs(m−1),Fs(m),Fs(m+1)のオン/オフを設定するが、ここでは、各受光状態判定フラグを図8(d)に示すように設定したとしている。また、制御部23は、図8(c)に示すように、今回の検出結果に基づき検出フラグFb(m−1)をオフに設定するとともに、それ以外をオンに設定する。さらに、補正後の欄に示すように、オフに設定されている検出フラグFb(m−1)に隣接するフラグFb(m)をオフの設定に補正する。これにより、第1投光スキャン処理では、光軸L(m−1),L(m)の遮光、及び光軸L(m+1)の入光が検出されたと補正される。その後、制御部23は、判定フラグFs(m−1)がオフに設定されていることに基づいて、出力回路24からオフ信号を出力する。
【0047】
次に、第2投光スキャン処理では、図8(a)に示すように、光軸L(m)のみが遮光される。このため、制御部23は、図8(b)に示すように、光軸L(m)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m+1)の入光を検出する。このとき、制御部23は、光軸L(m)の遮光を検出した際に、図中に矢印で示すように検出フラグFb(m)がオフに設定されていること、すなわち前回も光軸L(m)の遮光が検出されていることに基づいて、判定フラグFs(m)をオフに設定する。また、光軸L(m+1)の入光を検出した際に、図中に矢印で示すように検出フラグFb(m+1)のオンに設定されていること、すなわち前回も光軸L(m+1)の入光が検出されていることに基づいて、判定フラグFs(m+1)をオンに設定する。さらに、制御部23は、図8(c)に示すように、今回の検出結果に基づいて検出フラグFb(m)をオフに設定するとともに、それ以外をオンに設定する。その後、オフに設定されている検出フラグFb(m)に隣接するフラグFb(m−1),Fb(m+1)をオフの設定に補正する。これにより、第2投光スキャン処理では、各光軸L(m−1),L(m),L(m+1)の遮光が検出されたと補正される。そして、制御部23は、判定フラグFs(m−1),Fs(m)がオフに設定されていることに基づいて、出力回路24からオフ信号を出力する。
【0048】
また、続く第3投光スキャン処理では、図8(a)に示すように、光軸L(m+1)のみが遮光される。このため、制御部23は、図8(b)に示すように、光軸L(m+1)の遮光、及び光軸L(m−1),L(m)の入光を検出する。このとき、制御部23は、光軸L(m+1)の遮光を検出した際に、図中に矢印で示すように検出フラグFb(m+1)がオフに設定されていること、すなわち前回も光軸L(m+1)の遮光が検出されていることに基づいて判定フラグFs(m+1)をオフに設定する。また、制御部23は、図8(c)に示すように、今回の検出結果に基づいて検出フラグFb(m+1)をオフに設定するとともに、それ以外をオンに設定する。その後、オフに設定されている検出フラグFb(m+1)に隣接するフラグをオフに設定する(図示略)。そして、制御部23は、判定フラグFs(m−1),Fs(m),Fs(m+1)がオフに設定されていることに基づいて、出力回路24からオフ信号を出力する。
【0049】
このように、本実施形態では、図8(b)に示すように、例えば第2投光スキャン処理の際に光軸L(m)が遮光されたとき、第1投光スキャン処理の際に光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1)が遮光されていれば、光軸L(m)が遮光状態であると判定される。これにより、光軸数の増加などに起因して光軸L(m)が連続して遮光されない状況であっても、光軸L(m)の遮光が適切に判定されるため、受光器2がオフ信号の出力を維持するようになる。よって、誤出力を防止することができるようになる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態にかかる多光軸光電センサによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)複数の光軸L(1)〜L(n)のうちの特定の光軸の遮光が検出されたとき、前回の投光スキャン処理の際に特定の光軸及びこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に、特定の光軸は遮光状態であると判定することとした。これにより、光軸数の増加などに起因して特定の光軸が連続して遮光されないような状況であっても、特定の光軸の遮光が適切に判定されるようになるため、誤出力を防止することができるようになる。
【0051】
(2)特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、検出フラグFb(m−1),Fb(m+1)をオフに補正することで、光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)も遮光であるとみなすこととした。これにより、今回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、検出フラグFb(m)がオフに設定されているか否かをみるだけで、特定の光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)において遮光が検出されていたか否かを容易に判断することができるようになる。
【0052】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、先の図3に例示したステップS9及びS10の処理を実行して検出フラグFb(m−1),Fb(m+1)をオフに補正することにより、光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)も遮光であるとみなすこととしたが、ステップS9,S10を省略することも可能である。この場合、先の図4に例示したステップS51の処理において、検出フラグFb(C−1),Fb(C),Fb(C+1)のいずれかがオフに設定されていることをもって肯定判定すればよい。また、ステップS54の処理において、検出フラグFb(C−1),Fb(C),Fb(C+1)のいずれかがオンに設定されていることをもって肯定判定すればよい。
【0053】
・上述のように、多光軸光電センサの各パラメータが先の図13のように設定されていて且つ、光軸の数nが「130<n≦261」の範囲に設定されている場合には、上記実施形態に例示した判定方法を用いることが有効となる。すなわち、特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、特定の光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)の遮光が検出されていることを条件に特定の光軸が遮光状態であると判定することが有効となる。これに対し、光軸の数が130個以下の場合には、前回の投稿スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されていることを条件に同特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定する方法が有効となる。そこで、投光スキャン処理において先の図3に例示したステップS9及びS10の処理を実行するか否かを切り替えるためのディップスイッチなどの切り替え手段を設けてもよい。これにより、以下の(a1)及び(a2)のいずれの判定方法を用いるかを切り替えることが可能となる。
【0054】
(a1)今回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されたときに、前回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されていることのみを条件として、特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定する第1判定方法。
【0055】
(a2)今回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されたときに、前回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光又はこれに隣接する光軸L(m−1),L(m+1)の遮光が検出されていることを条件として、特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定する第2判定方法。
【0056】
このような構成によれば、例えば光軸の数nが130個以下の場合には第1判定方法を用いる一方、光軸の数nが「130<n≦261」の範囲の場合には第2判定方法を用いるといったように、光軸の数に応じて判定方法を切り替えることができるため、汎用性が向上するようになる。
【0057】
・上述のように、今回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、前回の投光スキャン処理において特定の光軸L(m)に隣接する光軸L(m+1),L(m−1)の遮光が検出されていることを条件に、特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定することが有効である。ただし、このような判定方法を採用した場合、特定の光軸L(m)の遮光が連続して検出されることを条件にその光軸が遮光状態であると判定する本来の方法と比較すると、過剰な遮光判定が行われるおそれがあり、ユーザにとって扱い難い多光軸光電センサとなってしまうおそれがある。そこで、特定の光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)の遮光が検出されていることを条件に特定の光軸L(m)が遮光状態であると判定したとき、その旨を外部に報知する報知手段を設けてもよい。なお、報知手段としては、例えば点灯により報知を行うランプなどを採用することができる。これにより、ユーザは、ランプの点灯などを通じて過剰な遮光判定が行われているか否かを確認することができるため、ユーザによって扱い易い多光軸光電センサを実現することができるようになる。
【0058】
・上記実施形態では、特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、検出フラグFb(m−1),Fb(m+1)をオフに補正することで、光軸L(m)に隣接する光軸L(m−1),L(m+1)も遮光であると補正することとしたが、遮光に補正する光軸の範囲を光軸数nに応じて適宜変更してもよい。具体的には、例えば光軸の数nが「261<n≦392」の範囲に設定されている場合、特定の光軸L(m)の遮光が検出されたとき、光軸L(m−2),L(m−1),L(m+1),L(m+2)も遮光であるとみなせばよい。すなわち、先の図3に例示したステップS10の処理において、検出フラグFb(m−2),Fb(m−1),Fb(m+1),Fb(m+2)をオフに補正する処理を実行すればよい。これにより、光軸の数nが「261<n≦392」の範囲に設定されている場合であっても、上記実施形態による(1)の効果と同等の効果を得ることができる。なお、特定の光軸L(m)の遮光が検出された際に、遮光に補正する光軸の範囲は次のように定めることができる。まず、上記(1),(2)の式を満たすNの最大値をNmax、光軸の数をnとするとき、次式(3)〜(5)を満たす全ての整数xを求める。
【0059】
a=n/Nmax・・・(3)
m−a≦x≦m+a・・(4)
1≦x≦n・・・(5)
そして、式(3)〜(5)を満たす全ての整数xについて光軸L(x)を遮光に補正すればよい。すなわち、先の図3に例示したステップS10の処理において検出フラグFb(x)をオフに設定すればよい。これにより、式(3)〜(5)を満たす全ての整数xのうち、いずれかの整数x番目の光軸L(x)について前回の投光スキャン処理において遮光が検出されることを条件に、光軸L(m)が遮光状態であると判定されるようになる。なお、この方法を利用すれば、先の図10に例示した各設定値を適宜変更した場合であっても、遮光に補正する光軸の範囲を設定することができる。
【0060】
・上記実施形態では、本発明にかかる多光軸光電センサを、遮光の判定方法として上記ダブルスキャンを用いる多光軸光電センサに採用することとした。これに代えて、前回までの複数回の投光スキャン処理において特定の光軸の遮光が連続して検出されることを条件に特定の光軸が遮光状態であると判定する多光軸光電センサに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
J(1)〜J(n),J…受光素子、L(1)〜L(n)…光軸、P…最小検出物体、r…レンズ径、R…直径、T(1)〜T(n),T…投光素子、SW(1)〜SW(n)…スイッチング素子、1,4…投光器、2,5…受光器、3…信号線、10…投光回路、20…信号線、21…コンパレータ、22…シフトレジスタ、23…制御部、24…出力回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列状に配置されて、一端側から他端側に向けて順次投光する投光スキャン処理を周期的に行う複数の投光手段と、
該複数の投光手段にそれぞれ対向して配置されるとともに、前記投光手段からの光を受光してその受光量に応じた受光信号を出力する複数の受光手段と、
前記複数の投光手段が順次投光した際に、それらと対をなす受光手段との間で形成される複数の光軸の入光及び遮光を、投光の行われた投光手段に対応する受光手段からの受光信号に基づいて検出する検出手段と、
今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記複数の光軸のうち、特定の光軸の遮光が検出された際に、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に、前記特定の光軸が遮光状態であると判定する判定手段と、 該判定手段の判定結果に基づく検出信号を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
前記判定手段は、前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出されたとき、同特定の光軸に隣接する光軸についても遮光が検出されたとみなすものである
請求項1に記載の多光軸光電センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多光軸光電センサにおいて、
今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出されたときに、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光が検出されていることのみを条件に同特定の光軸が遮光状態であると判定する方法を第1判定方法と、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に前記特定の光軸が遮光状態であると判定する方法を第2判定方法とするとき、前記判定手段において前記第1判定方法及び前記第2判定方法のいずれを用いるかを切り替える切り替え手段を更に備える
ことを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の多光軸光電センサにおいて、
今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出された際に、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸に隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に前記特定の光軸が遮光状態であると判定したとき、その旨を報知する報知手段を更に備える
ことを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項5】
前記判定手段は、今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出された際に、前回の投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に、前記特定の光軸が遮光状態であると判定するものである
請求項1〜4のいずれか一項に記載の多光軸光電センサ。
【請求項6】
一列状に配置されて、一端側から他端側に向けて順次投光する投光スキャン処理を行うn(2以上の整数)個の投光手段と、
該n個の投光手段に対向して配置されるとともに、前記投光手段からの光を受光してその受光量に応じた受光信号を出力するn個の受光手段と、
前記n個の投光手段が順次投光した際に、それらと対をなす受光手段との間で前記一端側から前記他端側に向けて順次形成されるn個の光軸の入光及び遮光を、投光の行われた投光手段に対向する受光手段からの受光信号に基づいて検出する検出手段と、
前記投光スキャン処理の実行を通じて前記検出手段により前記一端側からm番目の光軸の遮光が検出された際に、前記nの値に基づいて定められる整数をaとし、
m−a≦x≦m+a
1≦x≦n
なる関係を満たす全ての整数xのうち、いずれかの整数x番目の光軸について前回までの各投光スキャン処理において遮光が検出されていることを条件に、前記m番目の光軸が遮光状態であると判定する判定手段と、
該判定手段の判定結果に基づく検出信号を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項1】
一列状に配置されて、一端側から他端側に向けて順次投光する投光スキャン処理を周期的に行う複数の投光手段と、
該複数の投光手段にそれぞれ対向して配置されるとともに、前記投光手段からの光を受光してその受光量に応じた受光信号を出力する複数の受光手段と、
前記複数の投光手段が順次投光した際に、それらと対をなす受光手段との間で形成される複数の光軸の入光及び遮光を、投光の行われた投光手段に対応する受光手段からの受光信号に基づいて検出する検出手段と、
今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記複数の光軸のうち、特定の光軸の遮光が検出された際に、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に、前記特定の光軸が遮光状態であると判定する判定手段と、 該判定手段の判定結果に基づく検出信号を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
前記判定手段は、前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出されたとき、同特定の光軸に隣接する光軸についても遮光が検出されたとみなすものである
請求項1に記載の多光軸光電センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多光軸光電センサにおいて、
今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出されたときに、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光が検出されていることのみを条件に同特定の光軸が遮光状態であると判定する方法を第1判定方法と、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に前記特定の光軸が遮光状態であると判定する方法を第2判定方法とするとき、前記判定手段において前記第1判定方法及び前記第2判定方法のいずれを用いるかを切り替える切り替え手段を更に備える
ことを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の多光軸光電センサにおいて、
今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出された際に、前回までの各投光スキャン処理において前記特定の光軸に隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に前記特定の光軸が遮光状態であると判定したとき、その旨を報知する報知手段を更に備える
ことを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項5】
前記判定手段は、今回の投光スキャン処理において前記検出手段により前記特定の光軸の遮光が検出された際に、前回の投光スキャン処理において前記特定の光軸の遮光又はこれに隣接する光軸の遮光が検出されていることを条件に、前記特定の光軸が遮光状態であると判定するものである
請求項1〜4のいずれか一項に記載の多光軸光電センサ。
【請求項6】
一列状に配置されて、一端側から他端側に向けて順次投光する投光スキャン処理を行うn(2以上の整数)個の投光手段と、
該n個の投光手段に対向して配置されるとともに、前記投光手段からの光を受光してその受光量に応じた受光信号を出力するn個の受光手段と、
前記n個の投光手段が順次投光した際に、それらと対をなす受光手段との間で前記一端側から前記他端側に向けて順次形成されるn個の光軸の入光及び遮光を、投光の行われた投光手段に対向する受光手段からの受光信号に基づいて検出する検出手段と、
前記投光スキャン処理の実行を通じて前記検出手段により前記一端側からm番目の光軸の遮光が検出された際に、前記nの値に基づいて定められる整数をaとし、
m−a≦x≦m+a
1≦x≦n
なる関係を満たす全ての整数xのうち、いずれかの整数x番目の光軸について前回までの各投光スキャン処理において遮光が検出されていることを条件に、前記m番目の光軸が遮光状態であると判定する判定手段と、
該判定手段の判定結果に基づく検出信号を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする多光軸光電センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−199823(P2012−199823A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63214(P2011−63214)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
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