説明

多列リード型リードフレーム及びこれを用いた半導体パッケージの製造方法

【課題】本発明は、半導体パッケージ用多列リード型リードフレームに関するものである。
【解決手段】本発明は、リードフレーム材(110)にめっきパターン(140)を形成する1ステップ、前記めっきパターン上に保護パターン(160)を形成する2ステップ、前記保護パターンをマスクとして微細パターンを形成する3ステップを含むことを特徴とする。本発明によれば、めっき層をエッチングマスクとして用いる従来の問題を解決するために、めっきパターンの上部に保護パターンを形成して、リードフレームのパターンの形成時においてエッチング液によるめっき層の損傷を防止して製品の信頼性を高めることができるリードフレームを提供する効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ用多列型リードフレームの製造及びその方法に関するものであって、具体的には、めっきパターンの上部に保護パターンを形成して、リードフレームのパターン形成時においてエッチング液によるめっき層の損傷を防止して製品の信頼性を高めることができ、従来の製造工程におけるめっきバリ(plating burr)の除去工程をなくして製造工程の短縮及び材料費損失を減らすことができる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体パッケージは、半導体チップ自体だけでは、外部から電気供給を受けて電気信号を伝達したりまたは電気信号伝達を受けることができないため、半導体チップが各種電気的信号を外部と取り交わすために、チップをパッケージングすることが必要である。近頃、チップサイズの縮小、熱放出能力及び電気的遂行能力の向上、信頼性の向上、製造コストなどを考慮して、リードフレーム、印刷回路基板、回路フィルムなどの各種部材を用いて多様な構造に製造されている。
【0003】
最近は、半導体チップの高集積化の傾向にしたがって、半導体チップと外部回路基板との間の電気的連結線(Lead)である入出力端子の数を増加させる必要がある。このために、互いに別々にチップと外部回路とを連結する2列以上の配列を有するリードを備えた多列(multi−row)リードフレームの半導体パッケージが注目されている。図1は、従来の「半導体装置の製造方法」に関する韓国特許公開番号第10−2008−00387121号に開示された内容を参照したものである。
【0004】
従来の半導体パッケージ工程による手順を説明すると、Cu、Cu合金、または鉄ニッケル合金(例えば、42アロイ)材から構成されたリードフレーム材10の表面と裏面にレジスト膜11を全面塗布した後、そのレジスト膜11を所定のリードパターンで露光し、現像して、めっきマスクのエッチングパターン12を形成する。そして、リードフレーム材10を全面めっきし、レジスト膜11を除去すると、表面側と裏面側にめっきマスク13、14が形成される(図1の(a)〜(d)参照)。
【0005】
引き継いて、下面(すなわち、裏面側)の全面を別のレジスト膜15でコーティングした後、めっきマスク13をレジストマスクとして用いて上面側(すなわち、表面側)をハーフエッチング(half etching)する。この場合、リードフレーム材10の表面のめっきマスク13で覆われた部分はエッチングされないため、結局は、レジスト膜で予め形成された素子搭載部16とワイヤボンディング部17が突出することになる。注目すべき点は、この素子搭載部16とワイヤボンディング部17の表面は、めっきマスク13で覆われているということである(図1の(e)及び(f)参照)。
【0006】
また、下面側上にレジスト膜15を除去した後、素子搭載部16に半導体素子18を搭載し、半導体素子18の各電極パッド部とワイヤボンディング部17とをワイヤボンディングした後、半導体素子18、ボンディングワイヤ20及びワイヤボンディング部17を樹脂封止する。図面符号21は、封止樹脂を示す(図1の(g)及び(h)参照)。
【0007】
その後、裏面側をハーフエッチングする。この際、リードフレーム材10にめっきマスク14が形成された部分は、めっきマスク14がレジストマスクとして機能してエッチングされずに残ることになる。その結果、外部接続端子部22と素子搭載部16の裏面が突出する。外部接続端子部22とワイヤボンディング部17とは互いに連通するため、各々の外部接続端子部22(及び、これに連通するワイヤボンディング部17)が独立して半導体素子18の各電極パッド部に電気的に接続される。これら半導体装置23は、一般に格子状に配置されて同時に製造されるため、ダイシング及び分離(固片化)して、個々の半導体装置23が製造される(図1の(i)及び(j)参照)。
【0008】
しかしながら、上述した製造工程の(e)工程をみると、上面のめっき層13をエッチングマスクとして用いてリードフレーム材10に対するエッチングを行う場合、エッチング工程中にリードフレーム材の上面めっき層はアタック(attack)による損傷を受けることができ、このような損傷は、ワイヤボンディング(wire bonding)及び製品の信頼性低下に非常に大きな影響を及ぼす問題が発生する。
【0009】
また、上述した製造工程の(g)工程によるめっきパターン部分(A部分)の拡大図である図2を参照すると、図2の(A1)は、図1に示されためっき層17の一般構造を示したものである。すなわち、従来のめっきマスクに活用されるめっき層17は、示されたように、リードフレーム材10の上部にアンダーコート(Ni)層24、その上部に貴金属めっき25で形成されることが一般的である。しかしながら、このようなめっきパターンをめっきマスクとしてエッチングを行う場合には、Auなどの貴金属材質のめっき25はエッチング中に侵食されることはないが、銅または銅合金から形成されたリードフレーム材10及びNiアンダーコート24は、図2の(A2)及び(A3)に示すようにエッチング液によって腐食が進められる。よって、貴金属めっき25の周囲部は箔状となって、ワイヤボンディング部17、素子搭載部16、外部接続端子部22、各々の周囲に付着し、めっきバリ(めっき箔片)26を形成することになる。問題は、このようなめっきバリ26が存在すると、後に半導体パッケージを形成するためのワイヤボンディング工程、樹脂封止工程等でめっきバリが剥離され、ワイヤボンディング不良、端子間ショート等のような半導体装置自体の不良の原因となることである。
【0010】
したがって、従来の工程では、めっきバリが必然的に発生することになり、製品の信頼性を高めるためにはこれを除去する工程及び洗浄のための追加工程が必要となる。具体的には、ブラシや超音波振動子を有する水槽にこの中間製品を浸漬してめっきバリを剥離した後水洗する工程をさらに進めなければならないため、経済的でない。ひいては、このようなめっきバリによる材料費損失が増加する問題もまた発生する。
【0011】
同時に、上述した従来の製造工程の場合、貴金属を用いるめっき層がエッチングマスクとして用いられるため、ストリップの外郭部もめっきされなければならない。このような点は、不要なストリップの外郭部まで貴金属めっきを行うことによって、材料費の上昇を引き起こすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、めっきパターンの上部に保護パターンを形成して、リードフレームのパターン形成時においてエッチング液によるめっき層の損傷を防止して製品の信頼性を高めることができ、従来の製造工程で要求される、めっきバリを除去する工程をなくして製造工程の短縮及び材料費損失を減らすことができるリードフレーム及びこれを用いた半導体パッケージの製造工程とその結果物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述した課題を解決するために、リードフレーム材にめっきパターンを形成する1ステップ、前記めっきパターン上に保護パターンを形成する2ステップ、前記保護パターンをマスクとして微細パターン(nano pattern)を形成する3ステップを含むことを特徴とする、多列リード型リードフレームの製造方法を提供する。これにより、従来の多列リード型リードフレーム工程において求められていた、めっきバリを除去するための追加工程をなくして製造工程を簡素化し、生産コストを節減することができる。
【0014】
また、上述した製造工程における前記1ステップは、前記リードフレーム材の両面または片面に感光性物質を塗布し、露光/現像して、リードフレームパターンを形成する(a)ステップと、前記リードフレームパターンにめっきを行う(b)ステップとからなることを特徴とする。これにより、エッチング時においてリードフレーム材の上面のめっき層の損傷を予防することができ、これによって製品の信頼度を向上することができる。
【0015】
同時に、本発明における前記1ステップのめっきパターンを形成する工程に適用される材料として、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Co、Cuの中から選ばれた単一の金属または二元もしくは三元合金層を用い、前記めっきパターンを単層または多層とすることができる。
【0016】
もちろん、本発明の上記工程において、前記1ステップでは、前記めっきパターンを形成した後、前記感光性物質を剥離する(c)ステップをさらに含むことを特徴とする多列リード型リードフレームの製造方法を提供することがさらに好ましい。
【0017】
また、めっきパターンの上部面に保護パターンを形成する前記2ステップは、前記めっきパターンが形成されたリードフレーム材の両面または片面に感光性物質を塗布してフォトリソグラフィー法を用いるステップであることを特徴とする。
【0018】
具体的に、本発明において、好ましい実施例の構成として、上述した工程ステップでの前記2ステップは、リードフレーム材の両面に感光性物質を塗布し、前記リードフレーム材の上面にパターンの露光/現象を行って上部保護パターンを形成し、下面に全面露光を施して下部保護パターンを形成する。
【0019】
上述した本発明での保護パターンを形成するにおいては、前記リードフレーム材の上面に形成される上部保護パターンの幅T1は、めっきパターンの幅T2以上の長さであることを特徴とする多列リード型リードフレームの製造方法を提供し、従来の工程で発生できるめっきバリやアンダーカット現象を除去することができる。
【0020】
特に、このような保護パターンの好ましい形成例としては、前記保護パターンを前記めっきパターンの上面と側面とを覆う構造で形成することが好ましい。
【0021】
また、リードフレーム原素材に微細パターンを形成するために、前記3ステップは、前記上部保護パターン部分以外の露出した前記リードフレームの上面をエッチングするステップであることを特徴とする。
【0022】
同時に、本発明によるリードフレーム製造工程では、前記3ステップの後に、前記保護パターンを剥離するステップをさらに含んで形成することができる。
【0023】
上述した本発明による多列リード型リードフレームを用いて半導体パッケージを製造する工程は、リードフレーム材にめっきパターンを形成する1ステップ、前記めっきパターン上に保護パターンを形成する2ステップ、前記保護パターンをマスクとして微細パターンを形成する3ステップ、によってリードフレームを形成し、さらに、前記保護パターンを剥離し、半導体チップを実装し、ワイヤボンディング及びエポキシモールディングを行い、バックエッチングを通じて半導体パッケージを完成する4ステップ、を含んで構成される。
【0024】
勿論、上述した半導体パッケージの製造工程では、本発明によるリードフレーム形成工程で保護パターンを形成する際、前記2ステップにおいて、前記リードフレーム材の上面に形成される上部保護パターンの幅T1をめっきパターンの幅T2より大きいことが好ましい。
【0025】
特に、本発明では、上述したリードフレームの製造工程によるリードフレームとして、リードフレーム材の上面または下面に少なくとも1以上の微細パターンが形成され、前記微細パターンが形成されないいずれか一つ以上の部分にめっきパターンを含むリードフレームを構成し、前記めっきパターンの上部面に感光性保護パターンが形成されることを特徴とする多列リード型リードフレームの構造を提供することができる。特に、前記リードフレームの上部パターン面の幅T3がめっきパターンの幅T2以上に形成されることを特徴とする。もちろん、前記半導体パッケージを形成する場合には、前記保護パターンを剥離して用いることが好ましい。
【0026】
以上のような本発明によるリードフレームを製造する工程によると、前記リードフレームストリップの外郭部にはめっきパターンを形成せずに露出した構造のリードフレームを具現することができ、材料費の節減を具現することができる。
【0027】
また、本発明における前記めっきパターンは、Cu、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Coの中からいずれか一つ、またはこれらの二元もしくは三元合金を用い、単層または多層に形成することができることは上述した通りである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、めっき層をエッチングマスクとして用いる従来の問題を解決するために、めっきパターンの上部に保護パターンを形成して、リードフレームのパターン形成時においてエッチング液によるめっき層の損傷を防止して製品の信頼性を高めることができるリードフレームを提供する効果がある。
【0029】
特に、めっき層をエッチングマスクとして用いる場合、必然的に行われるめっきバリの除去工程をなくして製造工程の短縮及び材料費の損失を減らすことができる効果もある。
【0030】
また、従来のめっき層をエッチングマスクとして用いることによるリードフレーム製造用ストリップの外郭部までめっきが行われて、不要な材料費の上昇の原因を除去することができ、製造原価の節減を具現することができる長所もある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来技術による半導体パッケージの製造工程と問題点を説明するための工程図及び概念図である。
【図2】従来技術による半導体パッケージの製造工程と問題点を説明するための工程図及び概念図である。
【図3】本発明による多列リード型リードフレームの製造工程の工程手順を示した図である。
【図4】本発明による多列リード型リードフレームの製造工程の工程手順を示した図である。
【図5】本発明による多列リード型リードフレームの製造工程を説明するための概念図である。
【図6】本発明による多列リード型リードフレームの製造工程を説明するための概念図である。
【図7】従来技術との比較を通じて本発明による製造工程上の長所を説明するための比較図である。
【図8】従来技術との比較を通じて本発明による製造工程上の長所を説明するための比較図である。
【図9】本発明による多列リード型リードフレームを用いて半導体パッケージを製造する工程手順図及び概念図である。
【図10】本発明による多列リード型リードフレームを用いて半導体パッケージを製造する工程手順図及び概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の要旨は、多列リード型リードフレームの製造工程において、リードフレームパターンを形成するためのレジスト塗布の際に上面と下面を同時に塗布し、フォトレジストをめっきパターンの保護パターンとして用いることで、エッチング時の上面のめっき層の損傷を予防することができ、これによって、製品信頼も高める工程を提供することである。
【0033】
以下では添付した図面を参照しながら、本発明の具体的な構成及び作用について説明する。
〔実施例〕
図3及び図4は、本発明による多列リード型リードフレームの製造工程を説明するための工程手順図である。
【0034】
本発明による多列リード型リードフレームの製造は、図3に示すように、大きく、リードフレーム材にめっきパターンを形成する1ステップ(S1)、めっきパターン上に保護パターンを形成する2ステップ(S2)、及び保護パターンをマスクとして微細パターン(ナノパターン:nano pattern)を形成する3ステップ(S3)を含んで構成されることを基本とする。もちろん、この後の半導体パッケージングのためには、保護パターンを剥離する工程(S4)を行うこともできる。
【0035】
図4に示すように、リードフレーム材にめっきパターンを形成するS1工程は、まず、リードフレーム材を用意し(S11)、リードフレーム材にフォトレジスト塗布(S12)、露光/現象工程(S13)を経って、めっきパターンは残し、フォトレジストを除去して完成する(S14)。
【0036】
保護パターンの形成工程(S2)は、めっきパターンが形成されたリードフレーム材の上面に2次フォトレジストを塗布し(S21)、リードフレームの上面と下面に、それぞれ、パターン形成のための露光と全面露光を施して(S22)、完成する。この後、リードフレームの上部面を、保護パターンをマスクとしてハーフエッチングを行って、多列リード型リードフレームを完成する。上述した保護パターンは、その後除去することが好ましい。
【0037】
図5を参照しながら、上述した工程についてより具体的に説明する。
まず、めっきパターンを形成するためのリードフレーム原素材110を用意する(R1)。リードフレーム材の一例としては、CuまたはCuアロイ合金、または鉄/ニッケル合金材で構成されたものを用いることができる。
【0038】
次に、リードフレーム材110の上面及び下面に感光性物質120を塗布する(R2)。感光性物質は、フォトレジスト(PR)またはドライフィルムレジスト(DFR)あるいはフォトソルダーレジスト(PSR)などを用いることができる。PR、DFR、PSRなどの感光性物質をコーティングする際に、リードフレーム110の両面または片面をコーティングすることができる。ここでは、リードフレーム材110の両面をコーティングした場合を実施例として説明する。
【0039】
この後、コーティングされた感光性物質に対して所定のリードパターンでマスク130を用いて露光し、現像する(R3、R4)。この場合、R4に示すように、めっきマスクパターン120はリードフレーム材110の上面に形成される。
【0040】
次に、めっきマスクパターン120をマスクとして多列リード型リードフレームを形成するための単層または多層のめっき工程を行う(R5)。めっきした後、めっきマスクパターン120を除去すると、めっきパターン140が形成される(R6)。このようなめっきに用いられる材料としては、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Co、Cuの中から選ばれる一元または二元もしくは三元合金層を用いることができ、積層構造としては、単層または多層に形成することが可能である。
【0041】
この後、R7ステップでは、リードパターンを形成するための微細パターン形成工程のために、上述したR6ステップを行った後、リードフレームの上部面及び下部面に感光性物質を塗布する。
【0042】
そして、リードフレームの上部面にはエッチングマスク形成のための保護パターンを形成するために露光/現象を行い、下部面には全面露光を施す。本工程ステップの最大の要旨は、後のエッチング工程でのめっき層のアタックを防止して、めっきパターンを保護するための保護パターンを形成することにある。
【0043】
R8ステップの図面をみると、リードフレーム材110の上部面のめっきパターン140上に保護パターン160が形成され、下部面は全面露光によって全体的に保護することができる。
【0044】
その後、R9ステップで、保護パターンをマスクとして、微細パターン(P1)を形成するエッチングを行う。
【0045】
それから、保護パターンを除去し、本発明による多列リード型リードフレームを完成する(R10)。
【0046】
図6を参照しながら、本発明において従来の発明に比べて改善された工程及びそれによる効果について詳細に説明する。
【0047】
基本的に、リードフレーム材にめっきパターンを形成する工程は、本発明の図5及び図6に示されたR1〜R6までの工程と共通する。
【0048】
この後、比較工程をみると、示された(A)工程は、従来の‘パターンを形成する工程であり、(B)工程は、本発明による微細パターンを形成する工程である。
【0049】
(A)工程では、リードフレーム材110の下部に感光物質160を塗布し(R7’)、上部に形成されためっきパターンをエッチングマスクとして微細パターンを形成する(R8’)。この後、下部の感光物質を剥離すると、示されたR9’工程のようにリードフレームを形成することになる。しかし、従来の工程において、めっきパターンをエッチングマスクとして微細パターンを形成する場合には、めっきバリが発生して、めっきパターンの幅がめっきパターンが形成されたリードフレーム面の幅よりも広くなる問題が発生する。
【0050】
これに比べて、本発明による(B)工程をみると、めっきパターンが形成されたリードフレーム材の上下部面に感光性物質を塗布し(R7)、露光、現象工程を通じて保護パターン160を形成する(R8)。図6の工程図のR8工程に示された上部保護パターンの形状は、図7のR8に示された保護パターン160(リードフレームの上部保護パターン)とは少し相違する構造を示している。すなわち、保護パターンを形成するにおいて、めっきパターンの上部面に形成できることはもちろん、図7のR8の場合のように、めっきパターン140の上部面と側面とを覆う構造で形成可能なことを一例として示しているのである。
【0051】
(A)及び(B)工程の下図は、めっきパターンの一部を拡大した要部拡大図である。これを参照すると、保護パターン160の幅T1は、めっきパターンの幅T2よりも広く形成することができる。その後、エッチングを行う場合、保護パターンの下部までエッチングによって蝕刻が行われても、全体的には、めっきパターンの幅T2よりもめっきパターンが形成されたリードフレームパターン面の幅T3が広いかまたは同一の長さでエッチングが行われ、めっきバリ現象やアンダーカットが発生できない長所がある(すなわち、T3≧T2)。
【0052】
なお、図8を参照しながら本発明の他の長所について説明する。図8は、本発明によるリードフレームを形成する工程において、ストリップ単位で形成する工程を示したものである。(基本的に、リードフレーム材にめっきパターンを形成する工程は、本発明の図5及び図6に示したR1〜R6工程と共通する。)示された図面において、(C)は従来の工程図であり、その下段は要部拡大図(Q’)である。(D)は本発明による工程図であり、その下段はQ部分の要部拡大図である。
【0053】
従来の工程(C)で、めっきパターンが形成されたリードフレーム材の下面に感光性物質を塗布し(R7’)、めっきパターンをエッチングマスクとして微細パターンを形成し(R8’)、その後、下部感光物質を剥離すると、リードフレームが完成される(R9’)。しかし、このような工程では、必然的にストリップの外郭部(Q)にもめっきを行わなければならない。具体的に、示したリードフレームの上面のめっき層をエッチングマスクとして用いる従来の工程の場合、エッチング工程中に上面のめっき層の損傷の危険がある。このような損傷は、ワイヤボンディング(wire bonding)及び製品の信頼性低下をもたらす可能性がある。また、貴金属を用いるめっき層がエッチングマスクとして用いられる既存の製造工程では、リードとダイパッド部分のみめっきされる場合、微細パターン形成のためのハーフエッチングの際にストリップの外郭部が全部エッチングされて、ストリップ形状を維持することができなくなるため、ストリップの外郭部のめっきは必ず含まれなければならない領域(Q’)であり、このような不要な部分の貴金属めっきは、材料費の上昇を引き起こすことになる。
【0054】
しかし(D)工程をみると、リードフレーム材に保護パターンを形成するための感光性物質を塗布(R7、R8)して保護パターンを形成した後、微細パターンを形成するためのエッチングを行うと、ストリップの外郭部(Q)にはめっきを行う必要がなくなる。それによって、示したリードフレームストリップの外郭部(Q)には、めっきパターンが形成されずに露出した構造を有する。
【0055】
つまり、本発明では、従来の工程を用いる際に発生したストリップの外郭部のエッチングを防止するために、リードとダイパッド以外のストリップの外郭部まで貴金属めっきを行わなければならなかった問題点を除去することで、材料費の節減効果を得ることができる。
【0056】
同時に、本発明において、2次レジスト塗布時に上面及び下面を同時に塗布することによって、エッチング時の上面のめっき層の損傷を予防することができ、これにより、製品信頼も向上させることができる。
【0057】
また、従来の多列リード型リードフレーム工程におけるめっきバリを除去するための追加工程を除去することで、工程単価を低める効果を得られる。
【0058】
図9及び図10を参照しながら、上述した本発明による多列リード型リードフレームを用いて半導体パッケージを製造する工程を説明すると、次の通りである。図9に示すように、半導体パッケージング工程は、リードフレームにチップ実装(S5)、ワイヤボンディング(S6)、エポキシモールディング(S7)、下部面エッチング(S8)の順に行われる。
【0059】
図10を参照しながらより具体的に説明すると、リードフレームのダイパッド領域に半導体チップ170が実装され(R11)、半導体チップ170とめっき部分140とをワイヤ180で連結するワイヤボンディングが行われ(R12)、この後、エポキシなどの材料を用いてモールディングして、半導体パッケージを形成する(R13)。
【0060】
また、半導体パッケージの下部に対してバックエッチングを行って下部を所定のパターン(P2)でエッチングすることによって、独立する入出力端子を形成するための下部エッチング工程を行って半導体パッケージを完成することができる(R14)。
【0061】
上述したような本発明の詳細な説明では、具体的な実施例について説明した。しかし、本発明の範疇から脱しない限り、様々な変形が可能である。本発明の技術的思想は、本発明において記述した実施例に限って定められてはならず、特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレーム材にめっきパターンを形成する1ステップ、
前記めっきパターン上に保護パターンを形成する2ステップ、
前記保護パターンをマスクとして微細パターンを形成する3ステップ、
を含むことを特徴とする多列リード型リードフレームの製造方法。
【請求項2】
前記リードフレーム素材にめっきパターンを形成する前記1ステップは、
前記リードフレーム材の両面または片面に感光性物質を塗布し、露光/現像して、リードフレームパターンを形成する(a)ステップ、
前記リードフレームパターンにめっきを行う(b)ステップ、からなることを特徴とする請求項1に記載の多列リード型リードフレームの製造方法。
【請求項3】
前記1ステップで前記めっきパターンを形成する工程に適用される材料として、
Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Co、Cuの中から選ばれた単一金属または二元もしくは三元合金層を用い、単層または多層であることを特徴とする請求項1に記載の多列リード型リードフレームの製造方法。
【請求項4】
前記1ステップは、
前記めっきパターンを形成した後、前記感光性物質を剥離する(c)ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多列リード型リードフレームの製造方法。
【請求項5】
前記2ステップは、
前記めっきパターンが形成された前記リードフレーム材の両面または片面に前記感光性物質を塗布してフォトリソグラフィ法を用いることを特徴とする請求項1に記載の多列リード型リードフレームの製造方法。
【請求項6】
前記2ステップは、
前記リードフレーム材の両面に前記感光性物質を塗布し、
前記リードフレーム材の上面に、パターンの露光/現象を行って上部保護パターンを形成し、
下面に、全面露光を施して下部保護パターンを形成することを特徴とする請求項5に記載の多列リード型リードフレームの製造方法。
【請求項7】
前記リードフレーム材の上面に形成される前記上部保護パターンの幅T1は、前記めっきパターンの幅T2以上であることを特徴とする請求項1または6に記載の多列リード型リードフレームの製造方法。
【請求項8】
前記保護パターンを、前記めっきパターンの上面と側面とを覆う構造に形成することを特徴とする請求項7に記載の多列リード型リードフレームの製造方法。
【請求項9】
前記3ステップは、
前記上部保護パターン部分以外の露出した前記リードフレームの上面をエッチングするステップであることを特徴とする請求項1または6に記載の多列リード型リードフレームの製造方法。
【請求項10】
前記3ステップの後に、前記保護パターンを剥離するステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の多列リード型リードフレームの製造方法。
【請求項11】
リードフレーム材にめっきパターンを形成する1ステップ、
前記めっきパターン上に保護パターンを形成する2ステップ、
前記保護パターンをマスクとして微細パターンを形成する3ステップ、
前記保護パターンを剥離し、半導体チップの実装、ワイヤボンディング及びエポキシモールディングを行い、バックエッチングを通じて半導体パッケージを完成する、
ことを特徴とする多列リード型半導体パッケージの製造方法。
【請求項12】
前記2ステップは、前記リードフレーム材の上面に形成される上部保護パターンの幅T1を前記めっきパターンの幅T2より大きいことを特徴とする請求項11に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項13】
リードフレーム材の上面または下面に少なくとも1以上の微細パターンが形成され、前記微細パターンが形成されないいずれか一つ以上の部分にめっきパターンを含むリードフレームを構成し、
前記リードフレームの上部パターン面の幅T3が、めっきパターンの幅T2より大きいことを特徴とするリードフレーム製造方法用多列リード型リードフレーム。
【請求項14】
前記リードフレームストリップの外郭部は、露出した構造を有することを特徴とする請求項13に記載の多列リード型リードフレーム。
【請求項15】
リードフレーム材の上面または下面に少なくとも1以上の微細パターンが形成され、前記微細パターンが形成されないいずれか一つ以上の部分にめっきパターンを含むリードフレームを構成し、
前記リードフレームの外郭部は露出したことを特徴とするリードフレーム製造方法用多列リード型リードフレーム。
【請求項16】
前記めっきパターンは、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Co、Cuのいずれか一つ、またはこれらの二元もしくは三元合金を用い、単層または多層であることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか一項に記載の多列リード型リードフレーム。
【請求項17】
リードフレーム材の上面または下面に少なくとも1以上の微細パターンが形成され、前記微細パターンが形成されないいずれか一つ以上の部分にめっきパターンを含むリードフレームを構成し、
前記リードフレームの上部パターン面の幅T3がめっきパターンの幅T2より大きい多列リード型リードフレームに、半導体チップ、ワイヤボンディング及びエポキシモールディングを含むことを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項18】
リードフレーム材の上面または下面に少なくとも1以上の微細パターンが形成され、前記微細パターンが形成されないいずれか一つ以上の部分にめっきパターンを含んでリードフレームを構成し、
前記リードフレームの外郭部は、露出した、多列リード型リードフレームに、半導体チップ、ワイヤボンディング及びエポキシモールディングを含むことを特徴とする半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−514326(P2012−514326A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543424(P2011−543424)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007724
【国際公開番号】WO2010/074510
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(510039426)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】