説明

多列自動包装機のフィルムフォーミング機構用フォーマーリング、多列自動包装機のフィルムフォーミング機構及び多列自動包装機

【課題】 包装フィルムつぎ動作やセッティング動作を容易にし、これらの作業時間を短くすることができる多列自動包装機のフォーミング機構用フォーマーリングを提供する。
【解決手段】 本発明は、原反ロールFHから供給される帯状のフィルムF’を、内側部材(充填パイプ)4の外周に巻き付けつつ、内側部材4と外側のフォーマーリング20の開口部との隙間を通過させることにより、フィルムを略筒状に成形するフォーミング機構用フォーマーリングであって、フォーマーリング20は前記開口部の中心軸に対する円周方向において複数に分割されていると共に、分割されたフォーマーリング25,26が前記中心軸に向かう方向に弾性付勢されており、フィルムの厚さが所定以上である場合に、前記隙間を通過する際にフィルムの厚さ方向に生じる力によって、分割されたフォーマーリング25,26が半径方向外側に移動可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルム(包材)を用いて被包装材料(内容物)を自動的に充填包装する自動包装機の技術分野に属する。より詳細には、帯状の包装フィルムを略筒状にフォーミングして包装袋を形成する多列自動包装機のフィルムフォーミング機構用フォーマーリング、多列自動包装機のフィルムフォーミング機構及び多列自動包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、一度に複数本のスティックタイプの包装袋を連続的にシール成形できるように構成した縦型多列自動包装機が存在している。これは多列式に構成された各充填パイプの周囲に複数本に切断された帯状の包装フィルムの各々を巻装して略筒状にフォーミングした後、この巻装された包装フィルムの合わせ目に対して縦ヒートシーラによって縦シールを施して略筒状形態にし、次いで、略筒状になった包装フィルムの規定の位置に対して横ヒートシーラによって横シールを施している。
【0003】
そして、縦型多列自動包装機は、出来上がった袋状の包装フィルム内に充填パイプを通して被包装材料(内容物)を充填し、その後、この包装袋の充填口を横シールして封止し、この封止された横シール中央付近に対してカッター装置を用いて切り離し、最終的に個別包装形態のスティック状包装袋が多列式に、且つ連続的にシール成形される仕組みになっている。このような縦型多列自動包装機の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
上記のような従来の縦型多列自動包装機によって作られる個別包装袋を構成する包装フィルムは、原反ロール状に巻回されており、既に自動包装機にセット(装着)されて包装フィルムを供給している原反ロールが終了間近になると、自動包装機はこの包材不足を検知してアラーム表示を行うと共に、既にセットされている原反ロールの終端部分に新たな原反ロールの始端部分を接続するようになっている。
このような包装フィルム同士を接続する所謂包装フィルムつぎ装置としては、以下のようなものが存在している。
【0005】
(1)自動包装機が原反ロールの終了間近を検出すると、自動包装機は一旦動作を停止し、自動包装機操作者は原反ロールの終端部分を保持するために、手操作でこの原反ロールの終端部分を包装フィルムつぎ装置に固定して、使用済の原反ロールを除去する。次に、新たな原反ロールを装着し、この新たな原反ロールの始端部分と先程固定しておいた終端部分とを両面接着テープを用いて重ね合わせて接着する。そして、自動包装機操作者は手操作で機械を動かして、このフィルム接続部分を空送りさせた後、通常の製袋動作を継続する。
【0006】
(2)上記(1)のような手操作による包装フィルムつぎ作業の代わりに、全自動でフィルムつぎ動作を行うオートスプライサと呼ばれる機構を搭載するもので、自動包装機本体に既にセットされている原反ロールの他に、予備の原反ロールを別にセットしておき、自動包装機が原反ロールの終了間近を検出すると、自動包装機は製袋動作を継続しながら予めオートスプライサにセットしておいた予備の原反ロールの始端部分と、既に装着されている原反ロールの終端部分をヒートシール手段(インパルスシール等)で接着する。そして、自動包装機はこのフィルム接続部分を空送りさせた後、通常の製袋動作を継続する。
【特許文献1】特開平9−272511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記に説明した両面接着テープを用いて包装フィルムの終端と始端を接着する方式やヒートシール手段を用いて包装フィルムの終端と始端を接着する方式においては、共に包装フィルムの終端部分と始端部分が重ね合わされて接続されているため、つぎ部分の包装フィルムの厚さが通常のフィルム部分と比べて二倍以上の厚さとなっており、このフィルムつぎを行った部分が、縦型多列自動包装機の各部を通過できなくなる若しくは通過困難となる惧れがある。
【0008】
特に、図6に示したような、被包装材料(内容物)を投入する充填パイプの周囲に包装フィルムを巻装して略筒状に成形するフィルムフォーミング機構(以下、単にフォーミング機構とも称する)においては、フィルムつぎを行った部分が充填パイプとこの充填パイプに対して僅かな間隔(例えば1mmから2mm程度)を設けて嵌め込まれたフォーマーリングとの隙間を通過できない惧れがある。
【0009】
また、新しい包装フィルムを縦型多列自動包装機に装着する場合においても類似の問題が発生する。即ち、上記フォーミング機構の充填パイプとフォーマーリングとの隙間に対して、円筒形状の癖が付いていない新しい包装フィルムを巻装しながら通過させようとした場合、作業スペースが確保できないこともあって著しく困難な作業となっていた。
【0010】
なお、このような従来の実情は、縦型多列自動包装機に限らず、帯状の包装フィルムを略筒状にフォーミングするものであれば、他の形式の自動包装機においても同様に生じ得る。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みなされたもので、簡単かつ安価な構成でありながら、多列自動包装機のフォーミング機構において、既にセットされている包装フィルムの終端部分と、新たな包装フィルムの始端部分と、を接続するフィルムつぎ動作若しくは新たな包装フィルムを多列自動包装機に装着するセッティング動作を容易にし、これらの作業時間を短くすることができる多列自動包装機のフィルムフォーミング機構用フォーマーリング、多列自動包装機のフィルムフォーミング機構及び多列自動包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため、本発明に係る多列自動包装機のフィルムフォーミング機構用フォーマーリングは、
原反ロールから供給される帯状のフィルムを複数条の帯状の包装フィルムにスリットし、当該複数条にスリットされた包装フィルムを内側部材の外周に巻き付けつつ、当該内側部材と、外側のフォーマーリングの開口部と、の隙間を通過させることにより、前記包装フィルムを略筒状に成形する多列自動包装機のフィルムフォーミング機構に用いられるフォーマーリングであって、
前記フォーマーリングは前記開口部の中心軸に対する円周方向において複数に分割されていると共に、分割されたフォーマーリングが前記中心軸に向かう方向に弾性付勢されており、
前記包装フィルムの厚さが所定以上である場合に、前記内側部材と前記フォーマーリングの開口部との隙間を通過する際に包装フィルムの厚さ方向に生じる力によって、前記弾性付勢に抗して前記分割されたフォーマーリングが前記中心軸に対する半径方向外側に移動可能に構成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記フォーマーリングは、前記開口部の中心軸を含む面であって、かつ、送られてくる包装フィルムの帯状の平面と略平行な面によって、2分割されていることを特徴とすることができる。
【0014】
本発明において、前記内側部材は、内容物を充填する充填パイプであることを特徴とすることができる。
【0015】
また、本発明に係る多列自動包装機のフィルムフォーミング機構は、上述した本発明に係る多列自動包装機のフィルムフォーミング機構用フォーマーリングを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る多列自動包装機は、本発明に係る多列自動包装機のフィルムフォーミング機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡単かつ安価な構成でありながら、包装フィルムつぎ動作若しく包装フィルムセッティング動作を容易にし、これらの作業時間を短くすることができる多列自動包装機のフィルムフォーミング機構用フォーマーリング、多列自動包装機のフィルムフォーミング機構及び多列自動包装機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明に係る多列自動包装機におけるフィルムフォーミング機構の一実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0019】
図1は本発明の一実施の形態に係る自動包装機(縦型多列自動包装機)の正面図であり、図2は同上実施の形態に係る縦型多列自動包装機の側面図である。これらの図面において各々符号1で全体的に示した縦型多列自動包装機は、一度に複数本のスティック包装袋を連続的にシール成形できるように構成されている。
【0020】
図1、図2において、符号1Fは本体フレーム、2は被包装材料(内容物)を収容したホッパーを示しており、符号3はホッパー2から供給される被包装材料を計量した後充填パイプ4に供給する計量供給盤、符号4はスリットされて幅が狭くなった複数条の包装フィルムF’を略筒状に巻き付けると共に被包装材料の投入通路となる充填パイプ、符号20は包装フィルムF’が巻き付けられた充填パイプ4に嵌め込まれたフォーマーリングを示している。
このフォーマーリング20は、充填パイプ4との僅かな隙間に包装フィルムF’を挟んで略筒状にフォーミングするように機能する。
【0021】
符号5は縦シール装置、符号6はその下に設けた横シール装置、符号7は出来上がった連続包装袋を支える袋ガイド、符号8は連続包装袋の横シール中央付近を切断して個別包装袋とするカッター装置、符号9は切り離された個別包装袋を受け取るすべり台、符号10は操作パネルボックスを示している。
【0022】
図2において、符号FHは幅の広い帯状の包装フィルム(包材)を円筒状の芯金(ドラム状部材)の外周に巻回した状態にした原反ロール、符号FはこのロールFHから引き出された幅の広い帯状の包装フィルム、符号30は使用中の原反ロールの終端部分と新たな原反ロールの始端部分を接続する包装フィルムつぎ装置、符号FXはこの幅の広いフィルムFを上記充填パイプ4の列数に合わせて幅の狭い複数条の包装フィルムF’にスリットするスリッター装置を示している。
【0023】
そして、上記横シール装置6の上下運動に従って順次下方に引き出された各包装フィルムF’はフォーマーリング20と充填パイプ4の隙間を通過することによって略筒状にフォーミングされる仕組みになっている。
【0024】
次に、縦型多列自動包装機1は、縦シール装置5の縦ヒートシーラによって略筒状にフォーミングされた各包装フィルムF’の両端同士を挟み込んでシール成形する。
【0025】
更に、この略筒状の包装フィルムF’に対して横シール装置6の横ヒートシーラによって挟み込んで包装袋形状とした後、上記充填パイプ4を通してこの包装袋の内部に被包装材料(内容物)を投入する。同時に、横シール装置6による挟持状態のまま1包装袋分下方に移動させて包装フィルムF’の引き出しを行う。
【0026】
その後、この横シール装置6を1包装袋分上方に復帰作動させて再度横シールを行うことによって被包装材料(内容物)が入った包装袋の充填口を封止して密封し、多列式にスティック包装袋をシール成形するものである。
【0027】
そして、上記の動作を連続して繰り返し行い、且つ各横シールの中央部分をカッター装置8で上下に切断することにより、一度に多数本のスティックタイプ個別包装袋を連続的に生産できるように構成されている。
【0028】
なお、図1と同様に、符号2はホッパー、符号3は計量供給盤、符号7は袋ガイド、符号9はすべり台であり、符号11は計量供給盤3を駆動するモータを示している。
【0029】
また、符号30の包装フィルムつぎ装置は、下記のような方式が存在しており、本実施の形態においては、これらの包装フィルムつぎ方式の何れかを採用することができる。
【0030】
(1)自動包装機が原反ロールの終了間近を検出すると、自動包装機は一旦動作を停止し、自動包装機操作者は原反ロールの終端部分を保持するために、手操作で、この原反ロールの終端部分を包装フィルムつぎ装置に固定して、既にセットされている原反ロールを除去する。
【0031】
次に、新たな原反ロールを装着し、この新たな原反ロールの始端部分と先程固定しておいた終端部分とを両面接着テープを用いて重ね合わせて接着する。そして、自動包装機操作者は、手操作で、機械を動かして、このフィルム接続部分を空送りさせた後、通常の製袋動作を継続する。
【0032】
(2)上記(1)のような手操作による包装フィルム接続作業の代わりに、全自動でフィルムつぎ動作を行うオートスプライサと呼ばれる機構を搭載するもので、自動包装機本体に既にセットされている原反ロールの他に、新たな予備の原反ロールを別にセットしておき、自動包装機が原反ロールの終了間近を検出すると、自動包装機は製袋動作を継続しながら予めオートスプライサにセットしておいた予備の原反ロールの始端部分と、既にセットされている原反ロールの終端部分と、をヒートシール手段(インパルスシール等)で接着する。そして、自動包装機はこのフィルム接続部分を空送りさせた後、通常の製袋動作を継続する。
【0033】
図3は、本実施の形態に係る縦型多列自動包装機において採用されているフォーミング機構100の上面図であり、充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間が狭くなっている状態を表している。なお、図5は、図3の側面図である。

【0034】
図3、図5に示したように、本実施の形態に係るフォーミング機構100は、多数列の充填パイプ4に対応して多数列に配設される各フォーマーリング20が、各充填パイプ4に対応してそれぞれ挿入されている。なお、前記充填パイプ4が、本発明に係る内側部材の一例に相当する。
【0035】
このフォーマーリング20は、第1半円部25と第2半円部26とにより構成され、第1半円部25と第2半円部26とを当接させたときに、充填パイプ4との僅かな隙間に包装フィルムF’を挟んで略筒状にフォーミングすることができるように、充填パイプ4の外径より若干大きな径を有する円筒状開口部が形成されるようになっている。
【0036】
ところで、前記充填パイプ4の外周及び前記フォーマーリング20の開口部は円筒状として例示しているが、包装フィルムF’を略筒状にフォーミングすることができるものであれば、例えば前記充填パイプ4の外周面及び/或いは前記フォーマーリング20の開口部の内周面の軸方向断面形状を、楕円形状、花弁形状としたりその他の凹凸のある形状とすることも可能である。
【0037】
第1半円部25と第2半円部26との当接面Aは、前記円筒状開口部の円筒中心軸を含む面であって、かつ、フォーミング機構100に送られてくる包装フィルムF’の帯状の平面と略平行な面によって、フォーマーリング20を二分割することにより形成される面とすることができる。
【0038】
なお、当接面Aは、平面に限定されるものではなく、相互に嵌り合う波状部や凹凸部を有する面とすることもできる。
【0039】
ここで、第1半円部25は、縦型多列自動包装機1側に第1半円部係合機構110を介して取り付けられており、第2半円部26は、第2半円部連結機構120を介して、前記第1半円部25に取り付けられている。
【0040】
前記第1半円部係合機構110は、第1半円部25から延びるU字状の第1係合部材111と、当該第1係合部材111のU字状の溝と所定の遊動を許容しつつ係合するピン要素112Aを備える第2係合部材112と、当該第2係合部材112に形成されているU字状の溝部分を介して、図3中左右方向に位置調整可能に締結する締結要素113と、当該締結要素113に対応するメスネジ部を有すると共に各フォーマーリング20を載置して支持する支持台114と、を含んで構成されている。なお、支持台114には、充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間を通過し略筒状に巻装された包装フィルムF’の通過を許容する図3中下側が開口された凹状の逃げ部114Aが設けられている。
【0041】
従って、第1半円部25延いてはフォーマーリング20は、図3平面において充填パイプ4に対して所定の遊動を許容されつつ、縦型多列自動包装機1に支持されるようになっている。
【0042】
また、前記第2半円部連結機構120は、フォーマーリング20の円筒状開口部を挟んで両側に配設され、前記当接面Aと略直交する方向において第2半円部26のボルト穴122を貫通して延在される一対のボルト121を含んで構成されている。
【0043】
そして、前記一対のボルト121の先端部のネジ部は、前記第1半円部25に設けられる一対のメスネジ穴123に締結固定されている。
【0044】
また、前記一対のボルト121の各ヘッド部121Aと、第2半円部26と、の間には、所定の弾性力を有するスプリング要素121Bがそれぞれ配設され、各スプリング要素121Bは、第2半円部26に作用して当該第2半円部26を前記第1半円部25に対して所定の押圧力で押し付ける(弾性付勢する)ようになっている。
【0045】
なお、スプリング要素121Bは、図示したようなコイルスプリング要素に限定されるものではなく、所定の弾性力を有するものであれば、円筒状のゴム要素、板バネ要素等とすることができる。
【0046】
このように、スプリング要素121Bにより、第2半円部26が第1半円部25に所定の押圧力で押し付けられ、第1半円部25と第2半円部26とは当接面Aにて当接された状態となり、フォーマーリング閉鎖状態を形成する。
すなわち、図3に示すフォーミング機構100は、充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間が狭くなっているフォーミング動作状態を表している。
【0047】
図4は、本実施の形態に係る縦型多列自動包装機1におけるフォーミング機構100の上面図であり、図3に対して、充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間が広くなっている状態を表している。
【0048】
ここにおいて、充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間には帯状の包装フィルムF’が略筒状にされて挿通され、帯状の包装フィルムF’の送り方向に略直交する方向の両端を充填パイプ4の外周を包囲するように巻き付け、その両端付近の充填パイプ4側の面同士を重ね合わせ、この重ね合わせた部分を、図3、図5等に示したようにフォーマーリング20近傍に設けられているスリット要素130に刻設されているスリット131内を通過させつつ、次工程(例えば縦シール工程)へ送り出すように動作される。なお、スリット要素130は、例えばアクリルその他の樹脂製とすることができる。
【0049】
符号26Aは、帯状の包装フィルムF’の両端を重ね合わせた部分を、スリット131内を通過させる際に、当該重ね合わせた部分が、第2半円部26と干渉しないようにするために、第2半円部26に刻設された逃げである。
【0050】
通常であれば、上述した動作は、図3に示したフォーミング動作状態において良好に達成されるものであるが、自動包装機1に既にセットされている原反ロールFHの残量が少なくなったときに、両面接着テープを用いて包装フィルムの終端と別の包装フィルムFの始端とを接着したり、ヒートシール手段を用いて包装フィルムの終端と始端を接着したりすることになるが、その際には包装フィルムF’の終端部分と始端部分が重ね合わされて接続されているため、つぎ部分の包装フィルムF’の厚さが通常のフィルム部分と比べて二倍以上の厚さとなり、このフィルムつぎを行った部分が、充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間を通過できなくなる若しくは通過困難となる惧れがある。
【0051】
また、新しい包装フィルムを縦型多列自動包装機1に装着する場合においても類似の問題が発生する。即ち、充填パイプ4とフォーマーリング20との隙間に対して、円筒形状の癖が付いていない新しい包装フィルムF’を巻装しながら通過させようとした場合、作業スペースが確保できないこともあって著しく困難な作業となる。
【0052】
しかしながら、本実施の形態に係るフォーミング機構100によれば、つぎ部分において包装フィルムF’の厚さが通常のフィルム部分と比べて二倍以上の厚さとなっている場合に、当該つぎ部分が、充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間を通過する際に、当該つぎ部分は、第1半円部25と第2半円部26に対して相互に離間させる方向に負荷を与えることになるが、当該負荷が、スプリング要素121Bを介して第1半円部25と第2半円部26とを当接させている所定の押圧力を超えるようになると、スプリング要素121Bの弾性力に抗して、図4に示したように、第1半円部25と第2半円部26とは離間されて、充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間が自動的に広げられ、つぎ部分があっても良好に包装フィルムF’を略筒状にフォーミングしつつ通過させることができる。
【0053】
また、新しい包装フィルムを縦型多列自動包装機1に装着する場合における、充填パイプ4とフォーマーリング20との隙間に対して、円筒形状の癖が付いていない新しい包装フィルムF’を巻装しながら通過させようとした場合、作業スペースが確保できないこともあって著しく困難な作業となっていたが、本実施の形態に係るフォーミング機構100によれば、充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間を、作業者は容易かつ小さな力で広げることができるため、このような問題も解決することができる。
【0054】
すなわち、図4に示したフォーミング機構100は、充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間が広くなっているフィルムつぎ通過状態若しくはフィルムセッティング状態を示している。
【0055】
なお、つぎ部分が充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間を通過した後には、前記負荷が消滅するため、通常の厚さの包装フィルムF’を略筒状にフォーミングするのに適した充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間に自動的に復帰されることになる。
【0056】
すなわち、つぎ部分があっても、図3に示したフォーミング動作状態から、自動的に図4に示したフィルムつぎ通過状態若しくはフィルムセッティング状態へ移行し、つぎ部分が通過した後には、図3に示したフォーミング動作状態へ復帰するため、自動包装機1の包装作業を停止などすることなく、円滑に包装フィルムF’を略筒状に良好にフォーミングすることができる。
【0057】
ここで、図3、図4において、符号124は第1半円部25に対してボルト122と同軸的に固定される位置決め用の突起であり、符号125は、当該位置決め用突起124に対応して設けられる位置決め用の窪みであり、これらが前記復帰の際に自動的に係合することにより、第1半円部25と第2半円部26との間で良好な位置決めがなされるようになっている。
【0058】
また、図3に示した復帰後のフォーミング動作状態においては、位置決め用突起124と、位置決め用窪み125と、が係合して相互に位置決めされることにより、当接面A内における位置決め用突起124と位置決め用窪み125との間の相対移動が規制されて、良好な当接状態が維持されることになる。
【0059】
なお、突起124は、図3、図4に示したように、半径の小さい上底側が第2半円部26側を向く円錐台形状で、半径の大きい下底側の外周が前記窪み125の内径より僅かに小さく形成された円筒形状となっており、第2半円部26が第1半円部25に対してつぎ部の通過のために離間しているときには多少の横方向への遊動が許容される一方で、離間した状態からつぎ部が通過して包装フィルムF’が通常の厚さに戻ると、第2半円部26が第1半円部25に対して着座(当接)するが、その際には、突起124が円錐台形状であることから、横方向への遊動が許容されていた状態からでも、前記下底側の外周の円筒形状が、前記窪み125の内径部へ円滑に導かれて係合されるため、第1半円部25と第2半円部26が当接している間において正確な位置決めがなされることになる。
【0060】
すなわち、上述したような本実施の形態に係る位置決め方法によれば、比較的高価な直動案内装置等を設けなくても、本発明の目的を達成するのに十分な位置決めを、簡単かつ低コストで実現することができる。
【0061】
このように、本実施の形態によれば、包装フィルムのつぎ部分が発生した際においては、充填パイプとフォーマーリングとの隙間が自動的に広げられ、その後の製袋動作においては、充填パイプとフォーマーリングとの隙間は自動的に元に戻して狭められるため、フィルムつぎ動作を容易にし、これらの作業時間を短くすることができ、以って作業能率の高い自動包装機を提供することができる。
【0062】
また、新たな包装フィルムをセットする際においても、充填パイプとフォーマーリングとの隙間を簡単な操作で広げることができ、その後の製袋動作においては、充填パイプとフォーマーリングとの隙間を自動的に元に戻して狭めることができるため、包装フィルムセッティング動作を容易にし、これらの作業時間を短くすることができ、以って作業能率の高い自動包装機を提供することができる。
【0063】
ところで、本実施の形態では、充填パイプ4とフォーマーリング20の間の隙間には帯状の包装フィルムF’が略筒状にされて挿通され、帯状の包装フィルムF’の送り方向に略直交する方向の両端を充填パイプ4の外周を包囲するように巻き付け、その両端付近の充填パイプ4側の面同士を重ね合わせ、この重ね合わせた部分をフォーマーリング20近傍に設けられているスリット要素130に刻設されているスリット131内を通過させる構成例について説明したが、これに限定されるものではなく、両端を重ね合わせる際に充填パイプ4側の面とフォーマーリング20側の面とを重ね合わせる場合にも、本発明は適用され、かかる場合には、スリット要素130や、逃げ26Aは省略することができる。
【0064】
また、前記フォーマーリング20は二分割される場合に限らず、前記フォーマーリング20の開口部の中心軸に対する円周方向において複数に分割される構成とすることができ、分割されたフォーマーリング20は、前記中心軸に向かう方向に弾性付勢されて、つぎ部などのように帯状のフィルムF’の厚さが所定以上となる場合において、前記充填パイプ4とフォーマーリング20の開口部との隙間を通過する際に生じる負荷によって、弾性付勢に抗して、分割されたフォーマーリング20が前記中心軸に対する半径方向外側に移動可能に構成されるものであれば、本発明の範囲に含まれるものである。
【0065】
なお、本発明の多列自動包装機における列数は、6列構成の例で説明してきたが、この列数に限定されたものではなく、原反ロール幅と包装袋幅の値に応じた任意の列数を採用することができるし、単列の自動包装機とすることもでき、更には縦型に限定されるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施の形態に係る縦型多列自動包装機の正面図である。
【図2】同上実施の形態に係る縦型多列自動包装機の側面図である。
【図3】同上実施の形態に係る縦型多列自動包装機のフィルムフォーミング機構の上面図であり、充填パイプとフォーマーリングの間の隙間が狭くなっているフォーミング動作状態を表している。
【図4】同上実施の形態に係る縦型多列自動包装機のフィルムフォーミング機構の上面図であり、充填パイプとフォーマーリングの間の隙間が広くなっているフィルムつぎ通過状態若しくはフィルムセッティング状態を表している。
【図5】同上実施の形態に係る縦型多列自動包装機のフィルムフォーミング機構の側面図である。
【図6】従来の縦型多列自動包装機におけるフィルムフォーミング機構の上面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 縦型多列自動包装機
1F 本体フレーム
2 ホッパー
3 計量供給盤
4 充填パイプ
5 縦シール装置
6 横シール装置
7 袋ガイド
8 カッター装置
9 すべり台
10 操作パネルボックス
11 モータ
F 包装フィルム
F’ 幅方向にスプリットされた包装フィルム
FH 包装フィルムを巻いたロール
FX スリッター装置
20 フォーマーリング
25 第1半円部
26 第2半円部
30 包装フィルムつぎ装置
100 フィルムフォーミング機構
121 ボルト
121B スプリング要素(弾性体)
123 メスネジ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反ロールから供給される帯状のフィルムを複数条の帯状の包装フィルムにスリットし、当該複数条にスリットされた包装フィルムを内側部材の外周に巻き付けつつ、当該内側部材と、外側のフォーマーリングの開口部と、の隙間を通過させることにより、前記包装フィルムを略筒状に成形する多列自動包装機のフィルムフォーミング機構に用いられるフォーマーリングであって、
前記フォーマーリングは前記開口部の中心軸に対する円周方向において複数に分割されていると共に、分割されたフォーマーリングが前記中心軸に向かう方向に弾性付勢されており、
前記包装フィルムの厚さが所定以上である場合に、前記内側部材と前記フォーマーリングの開口部との隙間を通過する際に包装フィルムの厚さ方向に生じる力によって、前記弾性付勢に抗して前記分割されたフォーマーリングが前記中心軸に対する半径方向外側に移動可能に構成されたことを特徴とする多列自動包装機のフィルムフォーミング機構用フォーマーリング。
【請求項2】
前記フォーマーリングは、前記開口部の中心軸を含む面であって、かつ、送られてくる包装フィルムの帯状の平面と略平行な面によって、2分割されていることを特徴とする請求項1に記載の多列自動包装機のフィルムフォーミング機構用フォーマーリング。
【請求項3】
前記内側部材は、内容物を充填する充填パイプであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多列自動包装機のフィルムフォーミング機構用フォーマーリング。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の自動包装機のフィルムフォーミング機構用フォーマーリングを備えた多列自動包装機のフィルムフォーミング機構。
【請求項5】
請求項4に記載の多列自動包装機のフィルムフォーミング機構を備えた多列自動包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−111425(P2010−111425A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286776(P2008−286776)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】