説明

多品種対応万能水耕設備

【課題】本発明は従来の水耕栽培設備より設備費が安価で、生産量も倍以上であり、生産スピードを上げ良質の園芸植物を市場に出し、高い利益を生むことを目的とする。
【解決手段】水耕栽培の機能を高め、生産効率を上げるため、上段水耕槽1、下段貯水槽6を一体に設けて多機能の水耕方式を合わせて、植物の品種や性質をコントロールして多品種の園芸植物を一つの温室ハウスで四季を通じて生産できる構成になっている。

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は園芸植物の温室ハウスなどで上段水耕槽と下段貯水槽を設けて、多機能の水耕設備を複合させ、植物の成育工程に合わせて流水、散水、潅水、水位調整を自動、手動で行い、植物に適合した栽培法を確立させたもので、園芸植物全般多品種を一つの生産ハウスで水耕栽培することを可能にしたものである。上段、下段で水耕栽培ができ、2倍以上の生産効果がある。また春夏秋冬の季節の気象状況の変化に合わせて流水、散水、潅水、水位調整が瞬時にでき、作物を順調に水耕栽培することができる。農業生産分野の多品種対応万能水耕設備である。
【従来の技術及びその課題】
【0002】
室内園芸植物の水耕栽培は世界的に、普及してきている。一般の土壌栽培の植物を室内に持ち込むと土壌鉢内には、コップ一杯の土に数十億の細菌が生息しており、太陽光線が当たらない、室温が20℃〜25℃と鉢内の土が適度の湿りを持っていることから、細菌が最も繁殖し活動して人体に大きな害を及ぼすことから、室内に土壌栽培の植物を持ち込むことは禁止の傾向にある。これに変わるものは水耕栽培しかないので、ヨーロッパをはじめ水耕植物の普及が定着しつつある。世界的に普及しているのがハイドロカルチャーで礫耕栽培のものですが、生産できる品種が少なく、消費者には満足できない状態です。ハイドロカルチャーは礫耕栽培ですから、根の伸長に大きな負担をあたえるので成育が悪く、花物は無理で栽焙できない。丈夫なドラセナ類かサトイモ科、フィロデンドロン類の少品種に限られる。栽培効率も悪く、生産コストも、30%高い。また、貯水槽内で1つの栽培養液しか使えないので多品種を水耕栽培することはできない。したがって、市場性にかけているから普及がすすまない。本発明は、これらの問題点を解消することができる多品種万能水耕設備を提供することを目的としている。
【本発明が解決しようとする課題】
【0003】
室内園芸植物全般を同じ温室またはハウスで水耕栽培し、園芸市場に参入し普及をはかる為に、今まで困難とされていた多品種の園芸植物を、複数の役割を果たす多機能水耕設備を備え、流水、流速、散水、潅水、落水、送水、養液、薬散を自動または手動で、植物の成育工程にあわせて瞬時に対応して、多品種の植物を1つの設備で水耕栽培して市場に出荷する。生産効率も、上段下段のスペースを利用することで2倍になる。人件費も作業範囲が少ないので安価になり、冬場の暖房費も2分の1になり、経費を安価にする。季節の管理も夏場の水温上昇による溶存酸素の補給は、流水、落水によって水温が下げられ、根圏の環境を保ち、水養分の吸収をはかる。乾燥害は散水シリンジで防ぎ、温室ハウス内の成育環境を保つ。冬場の水温をあげて発根を促進するには、流水を止めて水位を上げる。病害虫対策は薬液槽に備え付けの水中ポンプを稼動させ、散水バルブを開くだけで、従来よりも簡単な作業で済む。本発明は多機能を備えた水耕設備を設けて多品種の園芸植物を栽培し、生産コストを半減して利益を上げると共に、室内園芸で清潔で健康に役立つことの課題を解決するものである。
【問題点を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するためには、図1に示すように、1は上段水耕槽で11の落水口で養液の水位を調整して下段貯水槽に落水して、養液を循環させる。2は散水ノズルで栽培植物に上部から散水育成できる。またダニやその他害虫を除去できる。3は送水口で下段から6の水中ポンプで吸い上げて、4−4送水口バルブで養液量と流速を調整して育成する。4−1は水道水や井戸水の原水を出し止めするバルブで、養液でなく水だけを散水する時は4−1と4−2のバルブを開ければ2の散水ノズルから散水できる。流水口から水を送水する時には4−1、4−3、4−4のバルブを開き、4−2をとめれば、水道水や井戸水を送水でき、栽培工程で多様に切り替えて、栽培環境を季節に合わせて育成する。7は水中ポンプの制御ボックスで、自動タイマーによって養液の出し止めができる。図2の3からの送水口から上に泡状に送水する瞬間に酸素と結合して溶存酸素を増す。2からの養液を散水するのと12落水管からの落水も水泡で共に溶存酸素の確保となり、養液の環境を良好にする。また水音は雨音をだすので植物の根が音に反応して吸収力を高める効果がある。下段貯水槽の13の養液を6の水中ポンプで3と2に送水するのと、6の水中ポンプを17の薬液槽に移動させ、14の薬液を2の散水ノズルで送水して、病害虫の防除やホルモン剤散布、肥料散布と多様に利用できる。
【作用】
【0005】
複数の機能を水耕槽に設け、多種類の園芸植物を1つの温室ハウス内で順調に水耕栽培ができる。多品種が生産できるから、季節商品を続けて出荷することができ、生産回転率を上げてスペースのロスがない。また販売取引においてもメリットが多い。園芸植物全般が水耕栽培できることで、販売店舗が同規格の商品で統一できるので、販売のアプローチが容易でき、売り上げにつながる。また植物の管理も解り易く失敗がない。農場ハウスの管理は多機能を備えているので、様々なケースに対応できるので、栽培に失敗が少なく、ロスも少ない。同一規格の水耕栽培の商品が完成するので、取引価格にばらつきが生じる事もなく、品質などの優位性から、信用度も高まる。
【実施例】
【0006】
以下、図面を参照して本発明の多品種対応万能水耕設備を利用した実施例を説明すると、図1の1は上段水耕槽で補償点の高い植物から低いものまで完成品になるまで水耕栽培することができる。16は下段貯水槽で養液を貯水し、上段1に養液を6の水中ポンプで3の送水口から送水できることと、下段16でも補償点の低い植物を水耕栽培できる。図2は本発明の断面図で上段水耕槽に植物を設置して養液を満たして流水循環水耕栽培です。2の散水のずるから養液13を散水し、植物の上部から葉面散布で葉から栄養を吸収させる。6の水中ポンプを17の薬液槽の中に移動させ14の薬液を2の散水ノズルから散水し、病害虫の防除やホルモン剤で成育調整や開花調整ができる。7は水中ポンプの制御ボックスで養液の循環を自動的に行える。下段の養液をとなりの水槽に移動することも簡単でとなりの水槽の水中ポンプを移動させ3からホースで水養液が移動できる。また不要になった養液も同じ方法で配水管に3からホースを入れて完全に配水できる。図3は上段水耕槽の3連で温室ハウスのスペースに合わせて4連、5連と連続できる。18はフロートカルチャーで発泡スチロール浮力を利用して植物を設置して下段貯水槽に浮かべて水耕栽培ができる。本発明は従来の水耕法に比べ、2倍以上の生産量ができ、設備費も維持費も安価になる理想的な方法です。なお、本発明に使用される素材は、プラスチック、木材、金属、ガラス、ウレタン、布、セラミック、竹、木、スチロール不織布、紙等である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように、多品種にわたり園芸植物全般をひとつの温室ハウスで、順調に水耕栽培をすることができる。また上下段を利用することで生産量が倍になる。水耕栽培設備を多機能化することで、季節ごとに栽培環境をコントロールし、あらゆる園芸植物を水耕栽培して市場に出荷できる。室内園芸植物の基準が変わりつつあり、従来の土栽培植物を太陽光の無い室内に置くことは、人体に悪影響を及ぼすことは、ドイツの医師、NASAの宇宙局などの研究から指摘されている。ヨーロッパをはじめアメリカやシンガポールなどの先進国では、土鉢を室内に持ち込むことは禁止される傾向にある。本発明はこれらの健康面からも重要視され、普及が急速に進み、経済効果につながる画期的なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1連斜視図
【図2】本発明で植物水耕栽培断面図
【図3】本発明の3連斜視図
【図4】本発明下段貯水槽平面図
【図5】本発明上段水耕槽3連平面図
【図6】本発明水耕フロート斜視図
【図7】本発明上段下段の断面図
【符号の説明】
1. 上段水耕槽
2. 散水ノズル
3. 送水口
4−1 水道バルブ
4−2 散水バルブ
4−3 送水管バルブ
4−4 送水口バルブ
5. 送水管
6. 水中ポンプ
7. 制御ボックス
8. 電気コード
9. 送電線
10. 送水ホース
11. 落水口
12. 落水管
13. 散水
14. 薬液
15. 植物
16. 下段貯水槽
17. 薬液槽
18. 水耕フロート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの水耕栽培槽で園芸植物全般を水耕システムで完全に育成できる方法である。水耕槽を上下に設け、下段は貯水槽にする。上段の栽培養液は、上段水耕槽の中央部外側に排水口を設け、水量を調節するバルブを付けて、流速を栽培する植物によって変える。送水管は下段のポンプとつながり、養液を上段水耕槽に送り、放水口から流しだす。養液は上段水耕槽の反対側に流れて落水口から下段に落水させて養液を循環させる。落水口には養液の水位を調整する調節栓があり、水位の上下を栽培マニュアルによって調節する。送水管にはバルブがあり、切替によって水道水や井戸水を送水できる。また上段水耕槽の中央上部には、散水ノズルが設けてあり、バルブの切りかえで養液の散布、水道水、井戸水の散水が自在にでき、種蒔き、挿し芽、挿し木、接木、プラグ苗、メリクロン苗、コミュニティー苗を良い環境で順調に育てられる。植物は幼苗時期が最も重要な管理が必要ですから、養液の流水や水だけのシリンジ、水槽内の水位調節をコントロールして一級品の苗ができる。挿芽、挿木の初期に水のシリンジ、散水を繰り返し行い、同時に送水口から流水をすれば100%活着します。また、下段貯水槽で植物の成長に合わせて肥料を調合し、循環させて成育スピードをあげ、出荷の効率を良くする。害虫や病気の発生があれば、下段に薬液槽を設けて農薬をいれ、その中に備え付けの水中ポンプを移動させ、散水バルブを切りかえてやれば簡単に殺虫、殺菌ができ、上質の植物が作れる。薬液槽ではホルモン処理が簡単に行える。この水耕設備では、貯水槽が単独になっているので同じハウスで室内環境が合えば、一度に植物全般が水耕栽培できる画期的な方法です。ハウス内の温度、太陽光のルックス、通気を調節すれば、洋ラン、サボテン、多肉類、観葉植物、ハーブ、花鉢、草花、野菜類、キノコ類、コニファー類、花木類、薬草類、その他植物全般を一つのハウスで水耕栽培ができます。水耕栽培の難敵、養液に広がるピシチューム菌等で被害を受けることもまったく無い。本発明は送水口から養液が出る瞬間に酸素を取り込み外気や光と結合する時に殺菌がなされる。また養液が上段水耕槽の落水口から下段貯水槽に落ちる時に水音をたてるから、植物は水音を雨音に感じて養液の吸収が高まり、成育によい影響を与える。本発明は、様々な植物生理に必要な設備を複数組み合わせて、幼苗から完成品になるまでの成育環境を作り、園芸植物全般を一つのハウス内で完全に水耕栽培できる、これまで世界中にない方法を安価な設備で完成することができる、多品種対応万能水耕設備。
【請求項2】
上段水耕槽と下段貯水槽にわかれて上段は成育を中心に完成にまで仕上げて出荷まで置いておく。下段は主に養液を貯水し、上段に送水循環をはかっている。下段貯水槽はスペースが上段と同じであり、植物の成育状況と合わせて利用できる。下段は棚下で光の量が少なく、補償店の低い植物を育てることができる。また、挿芽、挿木、接木の初期には強い光を嫌うので、下段の明るさが活着までの成育環境に適している。活着まで下段貯水槽でフロート栽培をすると、スペースの効率利用となる。種子蒔きも発芽までは、下段の環境が良く、発芽率を高める。下段で発芽が始まってから上段に移動させ、完成品まで育てスペース効率を上げる。また、上段水耕槽に強光線を好む植物を育成し、下段貯水槽で弱い光で育つ植物を同時に栽培すれば、2倍の生産量になる。同じハウス、スペースで2倍の量が生産できれば設備費も2分の1ですむ。また、冬場の暖房費も2分の1ですむから、経費削減になる。人件費も移動作業の距離が少なくなるから安価になる。今日まで園芸植物の生産はハウス栽培で長年行われてきましたが、上段だけでしか栽培できなかった。土の場合、鉢の底穴から酸素流通や鉢穴からの配水等があるため上段の棚は網状で、散水すると土が流れ落ちるから下段での栽培はできない。本発明は水槽の上段から下段に汚れた水等が落ちない。また水耕栽培で清潔だから取り扱いで汚すこともない。本発明での水耕栽培は軽量ウレタンを使用して土の10分の1の軽さですから、下段の作業も楽で効率が上がる。下段は上段よりも水位が高いので、フロートカルチャー浮水栽培で水面に培地が浮く状態でフロートが水面を自由に移動でき、作業性をあげる。本発明は上段下段を植物生産工程に合わせて適性に対応して良質で多品種の園芸植物を生産できる。多品種対応万能水耕設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−42765(P2006−42765A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247573(P2004−247573)
【出願日】平成16年7月31日(2004.7.31)
【出願人】(596115078)
【出願人】(503133298)
【Fターム(参考)】