説明

多孔質ケイ素を含む化粧品製剤

多孔質ケイ素を含む化粧品組成物について記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、化粧品製剤における多孔質ケイ素の使用、前記製剤の製造方法および製剤の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
化粧品製剤は一般に、以下の機能:この外観の変更、臭気の改変、クレンジング、状態の操作/改善、賦香および保護の1つ以上を提供する目的で人体の外部に接触して配置することを意図した物質または調製物を指す。
【0003】
化粧品製剤によって提供されるさらに詳細な機能は、以下の態様:老化防止/抗しわ、抗座瘡/面皰/黒色面皰、セルライト低減、浮腫低減、保湿/潤滑、皮脂除去、毛孔の目詰まり防止、剥離/ピーリング、着色/日焼け、栄養による維持に関する。
【0004】
化粧品業界では、化粧品製剤中の各種の成分を安定させるために、ならびに前記成分のタイミングおよび放出を制御するために多くの方法が使用される。このような方法により各種の成分の保護が可能となり、芳香のマスキングまたは保存が促進され得る。好適な保護方法によって、光、紫外線放射、金属、湿度、温度および酸素に通常は感受性である、ビタミンまたはミネラルサプリメントの安定性も向上する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
体の特定の範囲に関連して有用である製剤は体の他の範囲での使用に必ずしも好適でないことがある。顔および頚部などの体のある範囲での使用に好適である化粧品製剤の開発および調整には、特別の課題がある。顔に使用される化粧品組成物は、人体の他の部分に使用される化粧品と比較したときに、著しい視覚上の変化を与えることが要求され得るという別の課題もある。よって多くの機能を提供することができる、ヒトの顔に関連して使用される、代替的な好ましくは改良された化粧品製剤に対する要求が引き続き存在する。
【0006】
本発明の一部は、多孔質ケイ素が、ヒトの顔への使用のために、ならびに場合により活性成分の有効なおよび制御された送達のために好適な化粧品組成物にて使用され得るという、驚くべき発見に部分的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明の第1の態様により、多孔質ケイ素を含む、ヒトの顔に使用するための化粧品組成物が提供される。
【0008】
本発明の第2の態様により、前記多孔質ケイ素および化粧品組成物の他の構成要素をブレンドすることを含む、本発明の第1の態様による前記化粧品組成物の製造プロセスが提供される。
【0009】
本発明の第3の態様により、活性成分をヒトの顔に送達するための多孔質ケイ素の使用が提供される。
【0010】
本発明のさらなる態様により、本発明の第1の態様による組成物をヒトの顔に塗布することを含む、ヒトの顔を治療および/またはクレンジングする方法が提供される。顔の座瘡、脂性肌、しわ、乾癬のいずれか1つを治療および/または予防する方法が提供される。方法は非医学的(即ち「化粧的」)または医学的治療方法であり得る。本発明は、座瘡、脂性肌、しわ、乾癬、皮膚の斑点、例えばあざ、瘢痕、母斑、黒色面皰、雀斑、面皰、目の下のたるみまたはくま、酒さ、脂漏性(sebhorrhoeic)皮膚炎、毛孔の開き、あばた、血管拡張、顔面の老人斑の1つ以上の予防および/または治療に使用するための組成物に拡張される。
【0011】
多孔質ケイ素は、顔への送達のための少なくとも1つの成分を含み得る。好適な成分は:酸化防止剤、老化防止活性成分、栄養素、皮膚美白剤、保湿剤、抗菌薬、香料、油、ビタミン、構造剤、天然活性成分の1つ以上を含む。多孔質ケイ素は、ケイ素の孔に捕捉され得る成分が装入され得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明による多孔質ケイ素含有化粧品製剤の使用は、以下の:成分の標的化送達;例えば洗浄中の香料のバースト放出を含む、成分の長時間放出;疎水性活性物質を含む、活性成分の生物学的利用能の改善;皮膚剥離;皮脂吸収/除去;オルトケイ酸などの有益な分解生成物;長期間にわたる顔面での有効なレベルでの活性成分の保持、優れた皮膚感触および外観の1つ以上を提供しようとしている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な記述)
多孔質ケイ素
本明細書で使用する場合、および別途指摘しない限り、「ケイ素」という用語は、固体元素のケイ素を指す。誤解を避けるために、および別途指摘しない限り、ケイ素はケイ素含有化学化合物、例えばシリカ、ケイ酸塩またはシリコーンを含まないが、ケイ素はこれらの物質と組合せて使用され得る。
【0014】
本発明での使用に好適である多孔質ケイ素の物理形態は、アモルファスケイ素、単結晶ケイ素および多結晶ケイ素(通例、結晶粒径が1から100nmと見なされるナノ結晶ケイ素を含む。)ならびにこの組合せから選択され得るか、またはこれらを含み得る。ケイ素は、例えばステインエッチング法を使用して表面多孔化され得るか、または例えば陽極酸化技法を使用してさらに実質的に多孔化され得る。多孔化の後、一部の非多孔化ケイ素、例えばバルクケイ素は、多孔質ケイ素と共に存在し得る。多孔質ケイ素は好都合には、微孔質および/またはメソ多孔質ケイ素から選択される。メソ多孔質ケイ素は2から50nmの範囲の直径を有する孔を含有する。微孔質ケイ素は2nm未満の直径を有する孔を含有する。
【0015】
平均孔径は公知の技法を使用して測定される。メソ多孔径は超高解像度電子顕微鏡によって測定される。ガス吸着脱離分析、小角X線散乱、NMR分光法またはサーモポロメトリーを含む本技法および他の好適な技法は、R.Herinoにより「Properties of Porous Silicon」,chapter 2.2,1997に記載されている。微孔径は、Xe129nmrシグナルが2nm以下の範囲の孔径に依存する、キセノンポロシメトリーによって測定される。
【0016】
多孔質ケイ素は、50m/gから800m/gの、例えば100m/gから500m/gのBET表面積を有し得る。BET表面積は、Brunauer et al.,J.Am.Chem.Soc.,60,p309,1938に記載されているようなBET窒素吸着法によって決定される。BET測定は、Micromeritics Instrument Corporation,Norcross,Georgia 30093から入手可能な高速表面積ポロシメトリー分析装置(ASAP 2400)を使用して行われる。試料は真空下、測定前に350℃にて最低2時間脱気される。
【0017】
多孔質ケイ素の純度は、純度約95から99.99999%、例えば純度約95から99.99%であり得る。化粧品組成物でも使用され得る、いわゆる金属ケイ素は、約98から99.5%の純度を有する。金属ケイ素グレードのケイ素は好ましくは、皮膚過敏症と関連する問題を引き起こすことが公知であるすべての金属(例えばニッケル)を非常に低い含有量で有する。
【0018】
本発明での使用に好適であるケイ素の各種形態を作製する方法を以下で説明する。記載される方法は当分野で周知である。
【0019】
参照によりこの内容全体が本明細書に組み入れられているPCT/GB96/01863には、バルク結晶ケイ素をフッ化水素酸ベース液中での部分的な電気化学的溶解によって多孔質にできる方法が記載されている。このエッチングプロセスは、結晶性および元のバルク材料の結晶学的配向を保持するケイ素構造を生成する。それゆえ形成された多孔質ケイ素は、結晶ケイ素の形態である。概して、方法はアルコール、例えばエタノール、メタノールまたはイソプロピルアルコール(IPA)によるフッ化水素酸の20%溶液を含む、電解質を含有する電気化学セルにおいて、例えば高濃度ボロンドープCZケイ素ウエハを陽極酸化処理することを含む。約50mAcm−2の密度を有する陽極酸化電流の通過後に、電流密度を短期間上昇させることによってウエハから分離され得る、多孔質ケイ素層が作製される。この効果は、多孔質領域とバルク結晶領域との間の界面にケイ素を溶解させることである。多孔質ケイ素は、多孔質ケイ素を作製する別の従来方法である、いわゆるステインエッチング技法を使用しても作製され得る。この方法は、強酸化剤を含有するフッ化水素酸溶液中へのケイ素試料の浸漬を含む。ケイ素との電気接点は作製されず、電位は印加されない。フッ化水素酸はケイ素表面をエッチングして、孔を生成する。
【0020】
メソ多孔質ケイ素は、K.KolasinskiによりCurrent Opinions in Solid State & Materials Science 9,73(2005)で総説されるように、いわゆる「無電解電気化学エッチング技法」によって多様な非多孔質ケイ素粉末から生成され得る。これらの技法は、「ステインエッチング」、「ガルバニックエッチング」、「ハイドロサーマルエッチング」および「化学気相エッチング」技法を含む。ステインエッチングはフッ化物および酸化体を含有する溶液から生じる。ガルバニックまたは金属補助エッチングでは、白金などの金属粒子も含まれる。ヒドロサーマルエッチングでは、密閉容器内のエッチング液の温度および圧力を上昇させる。化学気相エッチングでは、溶液自体よりもこのような溶液の蒸気がケイ素と接触する。メソ多孔質ケイ素は、フッ化水素酸を用いたエッチングを含まない技法によって作製することができる。このような技法の例は、Z.Bao et alによりNature vol.446 8th March 2007 p172−175におよびE.Richman et alによってNano Letters vol:8(9)p3075−3079(2008):に記載されたように、各種の多孔質シリカの化学的還元である。この還元プロセスが完了まで進行しない場合は、メソ多孔質ケイ素はこのとき様々な量の残留シリカを含有する。
【0021】
多孔質ケイ素は、この形成後に乾燥され得る。例えば多孔質ケイ素は、CanhamによりNature,vol.368,(1994),pp133−135に記載されているように、超臨界的に乾燥され得る。または多孔質ケイ素は、Bellet and CanhamによりAdv.Mater,10,pp487−490,1988に記載されているように、表面張力が水よりも低い液体、例えばエタノールまたはペンタンを使用して、凍結乾燥または空気乾燥され得る。
【0022】
水素化ケイ素表面は例えば、フッ化水素酸ベース液を使用してステインエッチングまたは陽極酸化によって生成され得る。例えば電気化学エッチングによってNFベース液中で調製されたケイ素が多孔質ケイ素を含むとき、多孔質ケイ素の表面は、例えばヘアケア組成物中の多孔質ケイ素の安定性を改善するために好適に修飾され得る、または修飾され得ない。特に多孔質ケイ素の表面は、アルカリ性条件下でケイ素をより安定にするために修飾され得る。多孔質ケイ素の表面は、多孔質ケイ素の孔によって形成された外面および/または内面を含み得る。
【0023】
ある状況において、ステインエッチング技法は多孔質ケイ素表面の部分酸化を生じさせ得る。従って多孔質ケイ素の表面は:水素化ケイ素表面;多孔質ケイ素が部分酸化されているとして通例説明され得る、酸化ケイ素表面;またはSi−O−C結合および/もしくはSi−C結合を有し得る誘導体化表面を提供するように修飾され得る。水素化ケイ素表面は、多孔質ケイ素をHFに暴露することによって産生され得る。
【0024】
酸化ケイ素表面は、例えばProperties of Porous Silicon(edited by L.T.Canham,IEE 1997)のChapter 5.3に記載されるように、ケイ素に化学酸化、光化学酸化または熱酸化を受けさせることによって産生され得る。参照によりこの内容全体が本明細書に組み入れられているPCT/GB02/103731は、多孔質ケイ素の試料が多少の多孔質ケイ素を未酸化状態で保持するような方式で、多孔質ケイ素が部分酸化され得る方法について記載している。例えばPCT/GB02/03731は、20%エタノール性HF中での陽極酸化後に、陽極酸化試料が空気中での500℃の熱処理によって部分酸化されて、部分酸化多孔質ケイ素試料を生じる方法について記載している。
【0025】
部分酸化の後に、ある量の元素ケイ素が残存する。ケイ素粒子は、ケイ素骨格全体を覆う、酸素のほぼ1つの単分子層と約4.5nm以下の総酸化物厚との間に相当する酸化物含有量を有し得る。多孔質ケイ素は、約0.04から2.0、好ましくは0.60から1.5の酸素対ケイ素原子比を有し得る。酸化はケイ素の孔内でおよび/または外面上で発生し得る。
【0026】
誘導体化多孔質ケイ素は、この表面の少なくとも一部に共有結合した単分子層を有する多孔質ケイ素である。単分子層は通例、ヒドロシリル化によって多孔質ケイ素の表面の少なくとも一部に結合されている1個以上の有機基を含む。誘導体化多孔質ケイ素は、参照によりこの内容全体が本明細書に組み入れられているPCT/GB00/01450に記載されている。PCT/GB00/01450は、ルイス酸の存在下でヒドロシリル化などの方法を使用する、ケイ素表面の誘導体化について記載している。この場合、誘導体化は表面のケイ素原子の酸化を遮断して、それによりケイ素を安定化するために行われる。誘導体化多孔質ケイ素を調製する方法は当業者に公知であり、例えばJ.H.Song and M.J.SailorによりInorg.Chem.1999,vol 21,No.1−3,pp 69−84(Chemical Modification of Crystalline Porous Silicon Surfaces)に記載されている。ケイ素の誘導体化は、ケイ素の疎水性を向上させて、この湿潤性を低下させることが要求されるときに所望であり得る。好ましい誘導体化表面は、1個以上のアルキン基によって修飾される。アルキン誘導体化ケイ素は、例えばJ.Salonen et alにより「Studies of thermally carbonized porous silicon surfaces」,Phys Stat.Solidi(a),182,pp123−126,(2000)およびS.T.Lakshmikumar et alにより「Stabilisation of porous silicon surface by low temperature photoassisted reaction with acetylene」,Curr.Appl.Phys.3,pp185−189(2003)に記載されているように、アセチレンガスを用いた処理から誘導され得る。メソ多孔質ケイ素は、G.Mattei and V.ValentiniによりJournal American Chemical Society vol.125,p9608(2003)に、およびValentini et alによりPhysica Status Solidi(c)4(6)p2044−2048(2007)に記載されている方法を使用して、HFベース電解質中でのこの形成の間に誘導体化され得る。
【0027】
多孔質ケイ素の表面の化学的性質は、特定の用途に応じて修正変更され得る。
【0028】
多孔質ケイ素は、ヒトの顔への塗布前の装入成分が塗布後にあまりに早く放出されるのを防止するために、キャッピング層を含み得る。特に多孔質ケイ素は、装入多孔質ケイ素の周囲に極薄のキャッピング層またはビーズを使用することによってキャッピングされ得る。キャッピング層は、液体媒質中での何カ月もの、例えば約1年から約5年までの貯蔵の間に、装入成分の保持を提供し得る。容器の開封後には、保持はより短期間であり得るが、開封後にもなお最長約1年であり得る。キャッピング層は、ヒトの顔に接触したときに、部位特異的分解によって装入成分の能動的放出を開始させるようにも設計され得る。好適なキャッピング物質は、炭水化物、ゴム、脂質、タンパク質、セルロース、合成ポリマー、合成エラストマー、無機物質の1つ以上を含む。キャッピング層は、化粧品組成物への分散を改善する役割も果たし得て、本発明は、本明細書に記載される組成物にキャップされた多孔質ケイ素を分散させる方法に拡張される。キャッピング層の厚さは、厚さ約0.1から50μm、例えば約1から10μm;例えば約1から5μmであり得る。
【0029】
キャッピング層の厚さは、幾つかのキャップされた粒子を機械的に破壊することと、この断面画像を化学組成のエネルギー分散x線分析(EDX分析)を装備した高分解能走査型電子顕微鏡で観察することとによって測定する。またはキャッピングの前後に粒径分布が正確に測定される場合、次にミクロン厚層の平均厚を概算することができる。粒径分布が比較的狭く、コーティングが均一な場合、キャッピング層の密度が正確に既知ならば、次にキャッピングに伴う重量増加の正確な重量測定によっても、平均キャップ厚を得ることができる。
【0030】
炭化水素の好適な例はデンプン、デキストラン、スクロース、コーン、シロップを含む。ゴムの好適な例はカラゲナン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、寒天を含む。脂質の好適な例は脂肪、硬化油、パラフィン、ステアリン酸、ロウ、ジグリセリド、モノグリセリドを含む。タンパク質の好適な例はアルブミン、カゼイン、グルテン、ゼラチンを含む。セルロースの好適な例はカルボメチルセルロース、アセチルセルロース、メチルセルロースを含む。ポリマーの好適な例は合成ポリマー、例えばポリアクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ尿素を含む。エラストマーの好適な例はアクリロニトリル、ポリブタジエンを含む。無機物質の好適な例は硫酸カルシウム、ケイ酸塩、粘土、ケイ素、2酸化ケイ素、リン酸カルシウムを含む。キャッピング層は、例えばアモルファスケイ素コーティングまたはケイ素ナノ粒子の不連続層の形態で元素ケイ素を含み得る、元素ケイ素から成り得る、または元素ケイ素から本質的に成り得る。装入成分およびキャッピング層は同じであり得る。
【0031】
多孔質ケイ素をキャッピングするための好適な方法は、スプレー乾燥、流動床コーティング、パンコーティング、修飾マイクロ乳剤技法、溶融押出し、スプレー冷蔵、複合コアセルベーション、蒸着、溶液沈殿、乳化、超臨界流体技法、物理スパッタリング、レーザアブレーション、および熱蒸発を含む。キャッピング層は例えば、温水によって与えられるような、突然の温度上昇によって分解され得る。キャッピング層は2つの重複する別個のキャッピング層を含み得て、各層は異なる特性を有する。
【0032】
スプレー乾燥技法は通常、水性供給配合物から行われ、この場合、キャッピング層は許容可能なレベルで水溶性であるべきである。代表的な物質はアラビアゴム、マルトデキストリン、疎水性修飾デンプンおよびこの混合物を含む。他の多糖類、例えばアルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、グアーガムおよびタンパク質、例えばホエータンパク質、ダイズタンパク質、カゼイン酸ナトリウムも好適である。ポリマー混合物の混合のエントロピーが低いために共通溶媒中の溶解性ポリマーの混合物の相分離から生じ得る水性2相系(ATP)を使用して、1回のスプレー乾燥ステップでの2重カプセル化成分を設計することができる。
【0033】
スプレー冷蔵または冷却は一般に、最も安価なカプセル化技術の1つと見なされる。この技法はマトリクスカプセル化とも呼ばれ得る。これは有機および無機物質ならびに組織構造成分、酵素、フレーバーおよび熱安定性を改善する他の成分をカプセル化するのに特に好適である。マトリクスカプセル化によって、装入成分の一部がキャッピング層に包含されるようになり得る。
【0034】
押出しは揮発性および不安定性フレーバーのカプセル化に好適である。このプロセスは、通常酸化を受けやすい化合物に長期の保存寿命を与えるのに好適である。
【0035】
コアセルベーションは、高レベルの装入成分の使用に関連して特に有用であり、栄養素、ビタミン、保存料、酵素をカプセル化するために通例使用される。コアセルベーションは、溶液からの1つまたは多くの親水コロイドの相分離と、続いての同じ反応媒体で懸濁または乳化された多孔質物質の周囲への新たに形成されたコアセルベート層の沈着を必要とする。次に親水コロイドシェルは必要な場合は、適切な化学または酵素架橋剤を使用して架橋され得る。
【0036】
キャッピング層が元素ケイ素を含むとき、アモルファスケイ素コーティングは、物理スパッタリングによって沈着され得て、500nmから5μmの厚さを有し得る。ケイ素ナノ粒子は好ましくは、溶液ベース技法によって多孔質ケイ素に結合される。
【0037】
装入成分の放出が開始され得る各種の技法がある。これらは:
(a)生分解
キャッピング層は、目的使用部位にて存在する酵素または細菌によって分解され得る(能動放出)。
(b)機械的
キャッピング層は、目的使用部位にて機械的な力、例えば化粧品製剤の利用時に印加される摩擦力によって分解され得る。
(c)熱的
キャッピング層は、突然の温度上昇、例えば体温(37℃)または温水(25から55℃)への暴露によって分解され得る。
(d)光照射
キャッピング層は、日光または市販の日焼け用機器からの紫外線への暴露により分解され得る。
(e)化学的環境
キャッピング層は、化学的環境の変化、例えば酸性からアルカリ性への、またはこの反対のpH変化によって分解され得る。
である。
【0038】
微粒子状ケイ素
ケイ素は通例、微粒子形態で存在する。ケイ素粉末、例えばケイ素微小粒子またはケイ素ナノ粒子を作製する方法は、当分野で周知である。ケイ素微小粒子は一般に、直径約1から1000μmの平均粒子と見なされ、ケイ素ナノ粒子は一般に、約100nm以下の直径を有する平均粒子と見なされる。従ってケイ素ナノ粒子は通例、約1nmから約100nm、例えば約5nmから約100nmの範囲の直径を有する。完全生分解性メソ多孔質ケイ素は通例、2から5nmの範囲の幅を有する相互連結ケイ素骨格を有する。本発明と関連して、50nmから1000nm、例えば100から500nmの直径を有するメソ多孔質ケイ素粒子が使用され得る。しかし好都合には、多孔質ケイ素粒子は5μmから250μmの、さらに詳細には10μmから150μm、例えば20μmから60μmの直径を有する。ケイ素粉末を作製する方法は「ボトムアップ法」と呼ばれることが多く、この方法は例えば化学合成または気相合成を含む。またはいわゆる「トップダウン」法は、電気化学エッチングまたは粉砕などの公知の方法を指す(例えばKerkar et al.J.Am.Ceram.Soc.,vol.73,pages 2879−2885,1990.に記載されているようなミリング)。参照によりこの内容全体が本明細書に組み入れられているPCT/GB02/03493およびPCT/GB01/03633は、ケイ素の粒子を作製する方法を記載しており、前記方法は本発明で使用するためのケイ素を作製するのに好適である。このような方法は、ケイ素に遠心分離法、または粉砕法を受けさせることを含む。多孔質ケイ素粉末は、結晶ケイ素のウエハまたはブロックの間で粉砕され得る。多孔質ケイ素はバルク結晶ケイ素よりも低い硬度を有し、結晶ケイ素ウエハはきわめて純度の高いきわめて平滑な表面を有するため、ケイ素ウエハ/多孔質ケイ素粉末/ケイ素ウエハサンドイッチは、例えば陽極酸化から得られたより大型の多孔質ケイ素粒子から例えば1から10μmの粒径を達成する好都合な手段である。
【0039】
多孔質ケイ素粒子の形状は、特定の用途のために調整され得る。例えばケイ素粒子は、いわゆる絹のような感触を提供するために球状化され得る。球状化は、プラズマプロセスと続いてのステインエッチングを使用して達成され得る。好適なシステムは反応容器に取付けられたプラズマトーチを含む。ケイ素粉末供給物質をプラズマ中に通過させて粉末を気化させる;等価温度(約10,000K)は供給物質サイズ、流速および物質特性に依存する。高温ケイ素蒸気を反応装置のガス急冷領域で急速に冷却してから、サイクロンに通過させて粗い粉末を分離する。残りの固化粉末を収集フィルタに通過させて、生成物として回収する。物質は必要に応じてフィルタまたはサイクロンのどちらかで回収され得るが、通例、サイクロン物質は球状化ミクロンサイズ粒子である傾向があり、フィルタ物質は微細なナノ物質(5から100nm公称粒径)である傾向がある。球状化微小粒子は、溶融液滴から作製され、反応装置内で固化して、サイクロンで遠心分離され得る。好適な供給速度は、アルゴン1次ガスを利用して、2次ガスを利用しない非移行型プラズマ源を用いて、通例約200g/時、22から30kWである。系は通例十分に不活性化されており、酸素の侵入を最小限に抑えるために陽圧で運転される。アルゴンは例えば800Slpm(標準リットル/分)にて急冷ガスとして使用され得る。
【0040】
「トップダウン」または「ボトムアップ」法で調製されたケイ素粒子の表面は、水素化物表面、部分酸化表面、完全酸化表面または誘導体化表面でもあり得る。水などの酸化媒体または空気中でのミリングによって酸化ケイ素表面が生じる。有機媒体中でのミリングは、表面の少なくとも部分的な酸化を生じ得る。例えばシランの分解からの気相合成は水素化物表面を生じる。表面は、例えば化粧品組成物中での微粒子ケイ素の安定性を改善するために好適に修飾され得る、または修飾され得ない。
【0041】
ケイ素ナノ粒子を作製するのに好適な方法の他の例は、大気圧より低い不活性ガス環境での蒸発および凝縮を含む。産生収率を改善するための、ナノ粒子の各種のエアゾール処理技法が報告されている。これらは以下の技法:燃焼炎;プラズマ;レーザアブレーション;化学気相凝縮;スプレー熱分解;エレクトロスプレーおよびプラズマスプレーによる合成を含む。これらの技法のスループットは現在低い傾向にあるため、好ましいナノ粒子合成技法は:高エネルギー・ボールミリング;気相合成;プラズマ合成;化学合成;音響化学合成を含む。
【0042】
ケイ素ナノ粒子を産生する幾つかの方法は、以下でさらに詳細に説明する。
【0043】
高エネルギー・ボールミリング
ナノ粒子合成のための一般的なトップダウン手法である高エネルギー・ボールミリングは、磁気、触媒、および構造ナノ粒子の生成に使用されている、Huang,「Deformation−induced amorphization in ball−milled silicon」,Phil.Mag.Lett.,1999,79,pp305−314を参照。商業技術であるこの技法は従来より、ボールミリングプロセスによる汚染問題のために問題があると考えられてきた。しかしタングステンカーバイド成分の利用可能性ならびに不活性雰囲気および/または高真空プロセスの使用により、不純物が許容可能なレベルに低下した。ボールミリング技法によって約0.1から1μmの範囲の粒径が最も一般的に産生されるが、約0.01マイクロメートルの粒径を産生することが公知である。
【0044】
ボールミリングは「乾燥」条件、または液体の存在下で、即ち「湿潤」条件で行うことができる。湿潤条件では、代表的な溶媒は水およびアルコールベース溶媒を含む。
【0045】
気相合成
シラン分解によって、多結晶ケイ素顆粒を産生するための非常に高いスループットの商業プロセスが提供される。電子グレードの供給物質は高価であるが(現在約30ドル/kg)、いわゆる「微粉」(微小粒子およびナノ粒子)は、本発明で使用するのに好適な廃棄物である。微細ケイ素粉末は市販されている。例えばNanoSi(商標)Polysiliconは、Advanced Silicon Materials LLCから市販されており、水素雰囲気中でのシランの分解によって調製された微細ケイ素粉末である。粒径は5から500nmであり、BET表面積は約25m/gである。この種のケイ素は、伝えられるところによると水素結合およびファン・デル・ワールス力のために凝集する傾向を有する。
【0046】
プラズマ合成
プラズマ合成はTanakaにより「Production of ultrafine silicon powder by the arc plasma method」,J.Mat.Sci.,1987,22,pp2192−2198に記載されている。良好なスループットを有する、一連の金属ナノ粒子の高温合成は、この方法を使用して達成され得る。ケイ素ナノ粒子(通例直径10から100nm)は、アルゴン−水素またはアルゴン−水素気体環境において、この方法を使用して生成されている。
【0047】
化学合成
超小型(<10nm)ケイ素ナノ粒子の溶液成長はUS20050000409に記載されており、参照によりこの内容全体が本明細書に組み入れられている。この技法は、ナトリウムナフタレニド(napthalenide)などの還元剤を有機溶媒中で還元することによる、ケイ素テトラクロリドとしてのケイ素テトラハライドの還元を含む。反応は室温での高い収率につながる。
【0048】
音響化学合成
音響化学において、音響キャビテーションは、きわめて高い温度勾配および圧力を有する一時的局在化高温ゾーンを生成できる。温度および圧力のこのような突然の変化によって、音響化学前駆体(例えば有機金属溶液)の破壊およびナノ粒子の形成が補助される。この技法は、工業用途で大量の物質を産生するのに好適である。ケイ素ナノ粒子を調製するための音響化学方法は、Dhasにより「Preparation of luminescent silicon nanoparticles:a novel sonochemical approach」,Chem.Mater.,10,1998,pp 3278−3281に記載されている。
【0049】
機械的合成
Lam et alは、グラファイト粉末およびシリカ粉末をボールミリングすることによってケイ素ナノ粒子を製造し、このプロセスは参照によりこの内容全体が本明細書に組み入れられている、J.Crystal Growth 220(4),p466−470(2000)に記載されている。Arujo−Andrade et alは、シリカ粉末およびアルミニウム粉末の機械的ミリングによってケイ素ナノ粒子を製造し、このプロセスはScripta Materialia 49(8),p773−778(2003)に記載されている。
【0050】
ナノ粒子から多孔質ケイ素を作製する別の方法は、元素ケイ素のナノ粒子をパルス化高エネルギービームに暴露することを含む。高エネルギービームは、レーザビームまたは電子ビームまたはイオンビームであり得る。好ましくは高エネルギービームは、元素ケイ素が急速に溶融、発泡および凝縮される条件を生成する。好ましくは高エネルギービームはパルス化レーザビームである。
【0051】
本発明において、多孔質ケイ素粒子の平均粒径(d50/μm)を含む粒径分布測定値は、Malvern InstrumentsによるMalvern Particle Size Analyzer,Model Mastersizerを使用して測定される。ヘリウム−ネオンガスのレーザビームは、水溶液に懸濁されたケイ素粒子を含有する透明セルに投射される。粒子に衝突する光線は、粒径に反比例する角度で散乱される。光検出アレイは、複数の所定の角度にて光の量を測定する。測定した光束値に比例する電気信号は次に、試料および水性分散剤の屈折率によって定義されるような理論的粒子から予測された散乱パターンに対して、マイクロコンピュータシステムによって処理され、ケイ素の粒径分布が決定される。
【0052】
成分
多孔質ケイ素は1つ以上の活性成分と共に装入され得る。これらの成分は以下の酸化防止剤、老化防止活性成分、皮膚美白剤、栄養素、保湿剤、抗菌剤、サンスクリーン、香料、油、ビタミン、構造剤、天然活性成分の1つ以上を含む。
【0053】
好適な酸化防止剤は、ピクノジェノール、植物および果実抽出物、海洋抽出物、アスコルビン酸、グルコシド、ビタミンE、ハーブ抽出物ならびにこの相乗効果的な組合せを含む。好適な老化防止活性成分は、セラミド、ペプチド、植物抽出物、海洋抽出物、コラーゲン、カルシウム アミノ酸 ビタミンA、ビタミンCおよびCoQ10を含む。好適な皮膚美白剤はカンゾウ、アルブチン、ビタミンC、コウジ酸を含む。好適な保湿剤はパンテノール、アミノ酸、ヒアルロン酸、セラミド、ナトリウムPCS、グリセロールおよび植物抽出物を含む。ビタミンAはこの各種の形の1つ以上で存在し得る。例えばビタミンAはレチノールとして存在し得る。
【0054】
多孔質ケイ素と共に装入される成分は好適な溶媒に溶解または懸濁され得て、多孔質ケイ素粒子は得られた溶液中で好適な期間にわたってインキュベートされ得る。水性および非水性の両方のスリップが粉砕ケイ素粉末から産生され得て、ケイ素懸濁液の処理および特性はSacksによるCeram.Eng.Sci.Proc.,6,1985,pp1109−1123およびKerkarによるJ.Am.Chem.Soc.73,1990,pp2879−85に研究および報告されている。溶媒による濡れによって、毛細管作用によるケイ素の孔への成分の浸透が生じ、溶媒除去の後に、成分は孔に存在する。好ましい溶媒は水、エタノール、ならびにイソプロピルアルコール、GRAS溶媒および凍結乾燥に適した揮発性液体である。
【0055】
一般に、装入される成分が低い融点およびこの融点よりも著しく高い分解温度を有する場合、ここで成分を装入する効率的な方法は成分を溶融することである。
【0056】
より高レベルの装入、例えばケイ素の装入重量に基づいて少なくとも約15重量%の装入成分は、高温での含浸を行うことによって達成され得る。例えば装入は、装入される成分の融点以上の温度にて行われ得る。総装入量の定量は、重量測定、EDX(x線によるエネルギー分散分析)、フーリエ変換赤外(FTIR)、ラマン分光法、UV分光光度法、滴定分析、HPLCまたは質量分析法を含む、幾つかの公知の分析方法によって好都合に達成され得る。必要ならば、装入の均質性の定量が断面EDX、オージェ深さ方向分析、マイクロラマンおよびマイクロFTIRなどの空間分解が可能である技法によって達成され得る。
【0057】
装入レベルは、装入の間に取込まれた成分の体積(成分の密度で割った取込まれた成分の質量に等しい。)を装入前の多孔質ケイ素の空隙容量で割り、100を掛けることによって決定できる。
【0058】
化粧品組成物
本発明による顔に使用するのに好適な化粧品組成物は、クリーム、ペースト、セラム、ゲル、ローション、オイル、ミルク、スティック、軟膏、粉剤(乾燥粉剤を含む。)、液剤、懸濁剤、分散剤および乳剤の形であり得る。
【0059】
多孔質ケイ素は、化粧品組成物の総重量に基づいて0.01重量%から40重量%の、例えば0.1から10重量%の量で存在し得る。
【0060】
好適な化粧品組成物は:ファンデーション、マスカラ、口紅、リップバーム、リップグロス、着色化粧品、フェイスクリーム、アイクリーム、アフターシェーブ、トナー、クレンザー、アフターサン、保湿剤、フェイスマスク、リップライナーおよびアイライナー、シェービングクリーム、フェイスパウダー(ルースおよびプレスト)、アイシャドウ、ブロンザー、頬紅、コンシーラー、フェイススクラブおよびメイク落としを含む。これらの組成物に含まれる構成要素は当業者に周知であり、これらの構成要素は本発明での使用に好適である。これらの構成要素は、担体または分散剤として作用するビヒクル、皮膚軟化剤、増粘剤、乳白剤、香料、着色顔料、皮膚感触構成要素、他の皮脂吸収物質、保存料、無機充填剤および増量剤、着色顔料を含み得る。
【0061】
一般に化粧品組成物は、組成物が皮膚に塗布されるときに多孔質ケイ素の分散を促進するために、多孔質ケイ素の担体または分散剤として作用するビヒクルを含有し得る。水以外の、または水に加えるビヒクルは、化粧品用アストリンゼント、液体または固体皮膚軟化剤、乳化剤、膜形成剤、保水剤、皮膚保護剤、溶媒、噴射剤、皮膚調節剤、可溶化剤、懸濁化剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防水剤、増粘剤、ワックス、湿潤剤を含むことができる。担体または分散剤は組成物の約50から90重量%を構成し得る。油中水型または水中油型乳剤を提供するために、油または油性物質が存在し得る。組成物は着色料、薬品物質、例えば抗炎症剤、消毒剤、抗真菌剤、ステロイドまたは抗生剤を含む、少なくとも1つの活性成分を含有し得る。
【0062】
皮膚軟化剤のレベルは0.5重量%から50重量%、例えば5から30重量%であり得る。皮膚軟化剤の一般的なクラスは、エステル、脂肪酸、アルコール、ポリオール、炭化水素を含む。エステルの例はジブチルアジペート、ジエチルセバケート、ラウリルパルミテートを含む。好適なアルコールおよび酸は、10から20個の炭素原子を有するアルコールおよび酸、例えばセチル、ミリスチル、パルミチンおよびステアリルのアルコールおよび酸を含む。ポリオールの例はプロピレングリコール、ソルビトール、グリセリンを含む。好適な炭化水素は、12から30個の炭素原子を有する炭化水素、例えば鉱油、ワセリン、スクアレンを含む。
【0063】
増粘剤は0.1から20重量%、例えば約0.5から10重量%のレベルで存在し得る。好適な増粘剤の例は、ゴム、例えばキサンタン、カラゲナン、ゼラチンを含む。または増粘機能は、存在する任意の皮膚軟化剤によって提供され得る。
【0064】
好適な無機充填剤または増量剤は、チョーク、タルク、カオリン、雲母を含む。
【0065】
皮膚感触構成要素などの他の微量構成要素が化粧品組成物中に包含され得る。皮膚感触構成要素は着色剤、乳白剤および香料も含み得る。これらの微量の構成要素は0.001重量%から10重量%に及ぶ。
【0066】
他の好適な成分は、皮脂吸収物質(多孔質ケイ素以外)、例えばデンプン、着色顔料、例えば酸化鉄、保存料、例えば3ナトリウムEDTAを含み得る。他の微量構成要素は、0.01から10重量%に及び得る着色剤、香料、乳白剤を含む。
【0067】
口紅は通例、顔料、油、ロウ、および皮膚軟化剤を含有し、色およびテクスチャを唇に塗布する。リップバームは、唇のひび割れまたは乾燥を緩和するために唇に局所的に塗布される物質である。リップグロスは、唇に局所的に塗布されるが、一般に化粧品特性のみを有する。リップバームは、ミツロウ、ワセリン、メントール、カンファー、香油、および各種の他の成分から製造され得る。他の成分、例えばビタミン、ミョウバン、サリチル酸またはアスピリンも存在し得る。リップバームの主な目的は、唇の表面に閉鎖層を与え、唇に水分を閉じ込めて、外部露出から保護することである。閉鎖物質、例えばミツロウおよびワセリンは水分の損失を防止して、唇の快適さを維持する一方、着香料、着色料、サンスクリーンおよび各種の薬剤は、さらなる特異的な利点を提供することができる。リップバームは通常、指で塗布するための容器または唇に直接塗布されるスティックとして提供される。
【0068】
マスカラは、大きく2つの群:耐水性マスカラ(ウォータープルーフとラベル表示されることが多い。)および非耐水性マスカラに分けることができる。耐水性マスカラは、揮発性溶媒(例えばイソドデカン)、動物由来ロウ(例えばミツロウ)、植物ベースロウ(例えばカルナウバロウ、コメヌカロウ、キャンデリラロウ)、鉱物由来ロウ(オゾケライト、パラフィン)、顔料(例えば酸化鉄、ウルトラマリン)および膜形成ポリマーに基づく組成を有する。これらのマスカラは、感水性部分を含有せず、涙液、汗または雨への耐性を与える。非耐水性マスカラは、水、弱界面活性剤(例えばトリエタノールアミンステアレート)、動物由来ロウ(例えばミツロウ)、植物ベースロウ(例えばコメヌカロウ、キャンデリラロウ)、鉱物由来ロウ(オゾケライト、パラフィン)、顔料(酸化鉄、ウルトラマリン)、増粘性ポリマー(アラビアゴム、疎水性修飾セルロース)および保存料に基づいている。これらのマスカラは、涙液の影響の下で作用できるが、石鹸および水で容易に除去される。水中分散形態のポリマー(ラテックス)によって、通常は非耐水性のマスカラにあるレベルの耐水性をもたらすことができる。ウォータープルーフマスカラは、油性塗料または溶媒ベース塗料に似ている。非耐水性マスカラは、水性塗料のように挙動する。中程度の水感受性のために、マスカラはポリマー分散物を含有する。
【0069】
フェイスパウダーは通例、ファンデーションを塗布後に定着させるために顔に塗布される。フェイスパウダーは吸収性であり、皮膚に調色をもたらす。油性の皮膚によって生じるてかりを最小限に抑えるために、1日を通じて再塗布することもできる。半透明薄付きパウダーがあり、着色パウダーがある。ある種の着色フェイシャルパウダーは、ベースファンデーションなしで単独で使用されることを意図している。パウダーは顔に色調を与え、むらのない外観とする。顔に色調を与える以外に、一部のSPFベースパウダーは、日光および環境ストレスによる皮膚の損傷を低減することもできる。パウダーはコンパクトまたはルースパウダーのどちらかとして包装されて提供される。パウダーはスポンジ、ブラシまたはパウダー用パフで塗布できる。ヒトの皮膚の色調は幅広い変化があるため、それに応じて多様な色のフェイスパウダーがある。幾つかの種類のパウダーもある。美容用製品で使用される一般的なパウダーはタルクである。幾つかの市販のブランドは天然鉱物成分を含有し得る。このような製品は、安全であり、酒さを鎮めるとして、ならびにしわおよび日光に当りすぎて色素が過剰な皮膚を改善するとして宣伝される。パウダーの塗布は非常に普及している化粧技法であり、多くの人々に使用される。
【0070】
実施例
本発明はここで、以下の実施例を参照して、例示のためだけに説明される。
【実施例1】
【0071】
高温プラズマプロセスを使用して、ケイ素微小粒子を球状化する。球状化微小粒子は、溶融液滴から作製され、反応装置内で固化して、サイクロンで遠心分離される。供給速度は、アルゴン1次ガスを利用して、2次ガスを利用しない非移行型プラズマ源を用いて、約200g/時、22から30kWである。系は十分に不活性化されており、酸素の侵入を最小限に抑えるために陽圧で運転される。アルゴンは800Slpmにて急冷ガスとして使用される。次に粒子は、10μmのd50および25μmのd90を有するように分級される。分級された粒子は次に、ステインエッチングを使用して多孔質化される。メソ多孔質ケイ素粉末を75から100℃の範囲の活性成分浴に最高1時間浸漬することによって、化粧品製剤の一般的な保湿剤である活性D−パンテノールが装入される。70%多孔質粒子では、過剰な活性成分が存在すると、最大40重量%のD−パンテノールの装入レベルが達成される。メソ多孔質ケイ素を過剰に添加することにより、表面D−パンテノールは最小化される。次に部分装入微小粒子を、この溶融点のすぐ上に、通例は50から70℃に維持されたロウ溶融物への最高15分間の浸漬によってキャッピングする。
【実施例2】
【0072】
この実施例は、レチノールを捕捉して光誘発分解から保護するための、メソ多孔質ケイ素の使用について説明する。レチノールを(i)陽極酸化および(ii)部分酸化(500℃から700℃)した多孔質ケイ素膜に捕捉した。光誘発分解に対するレチノールの長期安定性の改善に多孔質ケイ素を使用することの安定性を判定するために、多孔質ケイ素中のレチノールの安定性を時間の関数として評価した。さらに詳細には、使用した物質は:(i)62.9体積%の多孔率を有する陽極酸化メソ多孔質ケイ素膜、(ii)酸化(500℃)メソ多孔質ケイ素膜、(iii)酸化(700℃)メソ多孔質ケイ素膜、(iv)比較のための多孔質シリカ粉末(Syloid 74FPグレード、WR Grace Davison GmbH)であった。レチノールはFlukaから入手した。測定を行うために使用した装置は、紫外可視分光光度計(Thermo Fisher UV10)および紫外線灯(Ultraviolet Products lnc.BLAK−RAY B−100A)であった。
【0073】
レチノール原液(1mg/ml)をエタノールにより微光条件下で調製して、吸光度スキャンを紫外可視分光光度計で200から500nmにて行った。さらに1μg/mlから10μg/mlに及ぶ濃度でエタノールにより調製したレチノールの各種の溶液を段階希釈法によって調製した。溶液を新たに調整して、325nmにおける紫外線吸光度を収をThermo Fisher分光光度計(UV10)を使用して記録した。吸光度値を濃度に対してプロットして、線形フィットを計算した。吸光度の濃度に対するプロットにより、線形フィットを線形回帰(R)値0.99963および感度1μg/mlで得た。
【0074】
陽極酸化多孔質ケイ素膜へのレチノールの装入
陽極酸化多孔質ケイ素膜(多孔率62.9体積%、厚さ159μm)を、公知の技法を使用して調製した。適切な量のレチノール(40重量%の理論装入量に相当)をエタノール0.1m1に溶解させた。レチノール溶液を微光条件下で膜に滴加した。次に孔にレチノールのみを残してすべてのエタノールが蒸発するまで、膜を乾燥させた。膜の重量を15分ごとに記録した。エタノールが蒸発した後、膜表面を麺棒で拭いて、なお存在し得るレチノールをすべて除去した。次に膜をエタノール5ml中に入れて、孔からレチノールを浸出させた。試料を紫外可視分光光度法を用いて分析して、存在するレチノールの量を定量した。
【0075】
多孔質ケイ素膜に装入されたレチノールの重量は約45分後に一定のままであり、最終重量を記録した(表1)。レチノール装入多孔質ケイ素膜をエタノールに入れ、磁気スターラーの上に1時間放置してレチノールが浸出するのを補助して、325nmにて吸光度を測定した。これにより存在する活性レチノールの平均の量が、当初装入したレチノールの量の12.24%に相当する1.8mgであることが示された。
【0076】
【表1】

【0077】
酸化多孔質ケイ素膜へのレチノールの装入
500℃および700℃で酸化した多孔質ケイ素膜を調製して、エタノールによるレチノール溶液(80mg/ml)0.1mlを装入した。レチノール溶液を膜に滴加して、レチノール溶液を孔に浸透させた。乾燥したレチノール装入酸化膜の最終重量を記録した。膜をエタノール10mlに入れ、磁気スターラー上に30分間放置することによって、酸化多孔質ケイ素膜の孔に装入されたレチノールを浸出させた。得られた溶液の吸光度を紫外可視分光光度計を使用して325nmにて記録した。700℃の酸化膜の、レチノール装入前後の重量を表2に示す。多孔質ケイ素膜の初期重量の、溶媒除去後の最終重量からの差によって、膜に存在するレチノールの重量が得られる。
【0078】
【表2】

【0079】
700℃にて酸化した多孔質ケイ素膜におけるレチノールの装入および放出
上の装入実験を700℃にて部分酸化した多孔質ケイ素膜を用いて繰り返した。乾燥したレチノール装入膜をエタノール10mlに浸漬して、磁気スターラーの上に置いた。試料の一定分量を各時点で取出して、吸光度を325nmにて紫外可視吸光光度計を使用して測定した。濃度が既知のレチノール溶液を対照として調製して、膜と同じ光(昼光)条件下で保持し、UV吸光度を膜と同じ時点に記録した。膜の重量をレチノール装入の前後に記録した(表3)。装入された膜をエタノール20mlに浸漬して、磁気スターラー上に置いた。レチノールを孔からエタノール中に浸出させた。エタノールの一定分量を取り、吸光度325nmにて読取った。装入レベルは両方の膜で同様であった。
【0080】
【表3】

【0081】
膜をエタノール中で保持して、吸光度を1、2、3、4、5、21、27および48時間後に読取った(表4)。30分後にレチノールの量は第1の膜でわずかに多く、このことはMで多孔質ケイ素の量が多いことに、それゆえMでレチノールの安定性がより高いことに起因し得る。
【0082】
【表4】

【0083】
膜に装入するのに使用したレチノール原液から、既知の濃度(多孔質ケイ素膜に存在する濃度と同じであった)の溶液を調製して、膜と同様の条件(20℃±5℃にて周囲空気中、昼光)下に放置した。吸光度を325nmにて同じ時点で読取った(表4)。各時点の標準レチノール溶液と比較して、より多くの量の未分解レチノールが膜試料から回収された。レチノールがエタノール中に存在するときと比較して、多孔質ケイ素膜の孔内に存在するときには、多孔質ケイ素は光誘発分解からレチノールをより良好に保護する。
【0084】
上の実験から(表1および2)から、活性レチノールの平均の割合は陽極酸化多孔質ケイ素膜(微光条件下で装入)で12.2%であり、700℃にて酸化した多孔質ケイ素膜では42.2%の平均値まで上昇した(昼光条件下で行ったレチノール装入)。経時的に分析したレチノール装入酸化多孔質ケイ素試料は、48時間後にレチノールの存在を示した。酸化膜は陽極酸化多孔質ケイ素膜よりも、レチノールに対してより良好な保護を与えた。酸化多孔質ケイ素膜(700℃)へのレチノール装入の反復により、著しい上昇が示された。この上昇は、反復実験で単一の多孔質ケイ素膜のみを使用したという事実に起因し得るが、早期の実験における装入は、より多くの膜試料を用いて実施され、装入にかかった長時間の間にレチノールが損失した。
【0085】
レチノールの多孔質シリカへの装入
比較の目的で、レチノールによるエタノール溶液(80mg/ml)0.1mlを滴加することによって、レチノールを多孔質シリカへ装入した。混合物を乾燥させて、最終重量を記録した。自由流動粉末をベンチトップに保持して、昼光に暴露させた。同様に、700℃にて酸化した多孔質ケイ素膜にレチノール(80mg/ml原液の0.1ml)を装入して、乾燥させた。エタノールが蒸発した後に、最終重量を記録して、膜をベンチトップ上に保持して、昼光に暴露させた。レチノール装入シリカ粉末および多孔質ケイ素膜の両方を24時間放置して、次に活性レチノール含有率について分析した。
【0086】
レチノール装入シリカ粉末試料は乾燥までにより長時間を必要とし、色が暗黄色(レチノール溶液添加の直後)から薄黄色(24時間)まで変化した。既知の体積のエタノール中に入れることによってレチノールを浴試料から浸出させて、磁気スターラー上に30分間置いた。エタノールの一定分量を取出し、この吸光度を325nmにて読取った(表5)。
【0087】
【表5】

【0088】
両方の試料に同様の装入およびベンチトップ貯蔵条件を受けさせたが、レチノールは、シリカ粉末よりも多孔質ケイ素膜に存在するときにより良好に保護された。このことはシリカ粉末における4.39%と比較して、多孔質ケイ素膜における32.37%のより高い活性レチノールの割合によって証明される。多孔質ケイ素膜の値は、表4に示す結果に十分に匹敵している。
【0089】
長波紫外光に暴露させた多孔質ケイ素に捕捉されたレチノールの安定性
レチノールを酸化(700℃)多孔質ケイ素膜に、本実施例で上述したように装入した。装入済みの膜を乾燥させて、最終重量を記録した。レチノール装入ケイ素膜を長波紫外線灯(7μWcm−2、40±5℃にて空気中15cmにて365nm光)の下に1時間置いた。アルミニウム箔で覆ったレチノール装入ケイ素膜を対照として使用して、紫外線灯の下に置いた。次にケイ素膜をエタノール10mlに浸漬して、磁気スターラーの上に置いた。一定分量の試料を取出し、吸光度を325nmにて測定した。レチノール装入ケイ素膜を周囲空気中で長波紫外線灯に1時間暴露した。試料の温度は約40℃であった。(アルミニウム箔で覆った)対照試料は、膜を紫外光から保護する役割を果たし、限定された範囲で熱を反射した。吸光度スキャンによって、紫外光への暴露にもかかわらず、レチノールの激しい劣化はなかったことが示された。紫外光に1時間暴露したレチノール溶液は著しい分解および紫外可視スペクトルにおけるピーク高の低下を示した。しかしレチノール装入多孔質ケイ素膜を紫外光に暴露したときには、吸光度曲線の形状に激しい変化はなく、計算した活性レチノールの量は、レチノール溶液と比較するとかなり多かった。
【0090】
要約すれば、多孔質ケイ素へのレチノールの装入は、陽極酸化多孔質ケイ素膜と比較して、酸化多孔質ケイ素膜で多かったことは明らかである;装入されたレチノールは、メソ多孔質ケイ素によってメソ多孔質シリカ粉末への装入時および単独のレチノール溶液よりも紫外線から著しく強力に保護される。
【実施例3】
【0091】
多孔率が80体積%のメソ多孔質ケイ素粉末を、皮脂を吸収するこの能力に関連して調べた。メソ多孔質ケイ素を陽極酸化によって調製した。最大油吸収容量は、乾燥した凝集塊から流動性の滑らかなペーストになるまでの、粉末のテクスチャおよび軟度の変化に必要な油の体積として測定した。この点は湿潤点として公知であり、この点を超えると油はもはや孔を充填することができず(孔は充填されているため)、粒子間を流動する。この点が化粧品用途で重要なのは、顔面皮脂のてかりのある外観を避けるためには、この点を超えてより多くの粉末を塗布する必要があるためである。さらなる粉末を塗布しないと、顔面の粉末−油相で接着力の低下が始まり、テクスチャが不均一になり得る。皮脂のモデルとして、アマニ油の吸収をメソ多孔質ケイ素で試験して、シリカおよび2酸化チタンを含有する市販粉末と比較した。さらに詳細には、使用した物質は:陽極酸化多孔質ケイ素(多孔率80体積%);Sunjin SH219多孔質ケイ素および2酸化チタン粉末、Bartoline,Ltdから市販されている未加工アマニ油;International Specialty Products製のCeraphyl 140A;Sigma Aldrich製のスクアレン;Sigma Aldrich製のトウモロコシ油;Sigma Aldrich製のオレイン酸;Sigma Aldrich製のコレステロール;Sigma Aldrich製のコレステロールパルミテート;Sigma Aldrich製のジオレイルグリセロールであった。
【0092】
アマニ油の吸収を決定するために、各物質の湿潤点を、参照によりこの内容全体が本明細書に組み入れられている、US 6730309のE節、実施例2による手順に従って判定した。多孔質ケイ素をガラス瓶内に秤量した。プラスチック製ピペットを使用してアマニ油を0.2gずつ増分させて添加して、増分させる間にスパチュラを使用してケイ素に混入した。物質の湿潤点を、粉末の軟度が乾燥した凝集塊から滑らかなペーストに移行したときに添加された油の体積として決定した。この手順をシリカおよび2酸化チタン粉末を用いて繰り返した。
【0093】
人工皮脂は、参照によりこの内容全体が本明細書に組み入れられている、US 4515784に従って調製した。組成は以下の通りである:スクアラン18重量%、トウモロコシ油7重量%、オレイン酸27重量%;Ceraphyl 140A(デシルオレアート)43.5重量%;コレステロール2.5重量%、コレステロールパルミテート1重量%、グリセロールジオレアート:オレイン酸(1:1)1重量%。成分をガラス瓶内で合せ、室温のやや上まで加熱して混合を促進した。
【0094】
アマニ油の吸収については、人工皮脂による粉末の湿潤点をUS Patent 6730309のE節、実施例2による手順に従って測定した。
【0095】
多孔質ケイ素および多孔質シリカ/チタン粉末におけるアマニ油の湿潤点の値を表6に示す。
【0096】
【表6】

【0097】
どちらのサイズの多孔質ケイ素も、Sunjinシリカチタン粉末より著しく高い油吸収能力を示した。同社によって製造された同様の粉末(Sunsil 130)の油吸収の文献値は、0.9から1.3ml/gであった。多孔質ケイ素では、アマニ油添加後に著しい体積変化は見られなかった。対照的に、Sunjin粉末の体積は、アマニ油と合せた後に視覚的に減少した。
【0098】
人工皮脂の湿潤点は、アマニ油湿潤点と同様の傾向を示している。多孔質ケイ素試料はどちらも、Sunjinケイ素2酸化チタン粉末の2倍の油吸収能力を有している(表7)。
【0099】
【表7】

【0100】
人工皮脂吸収およびアマニ油吸収の結果を表8にまとめる。
【0101】
【表8】

【0102】
この実施例によって、アマニ油および人工皮脂の吸収能力のどちらも、市販の多孔質シリカ2酸化チタン粉末よりも、多孔質ケイ素で著しく高いことが示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質ケイ素を含む、ヒトの顔に使用するための化粧品組成物。
【請求項2】
多孔質ケイ素が顔への送達のための少なくとも1つの成分を含み得る、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
少なくとも1つの成分が:酸化防止剤、老化防止活性成分、皮膚美白剤、栄養素、保湿剤、抗菌薬、香料、油、ビタミン、構造剤、天然活性成分の1つ以上から選択される、請求項2に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの成分が装入多孔質ケイ素に関連して0.01から60重量%の範囲で存在する、請求項2または3に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
多孔質ケイ素がメソ多孔質ケイ素を含む、メソ多孔質ケイ素から成る、またはメソ多孔質ケイ素から本質的に成る、請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
多孔質ケイ素が微孔質ケイ素を含む、微孔質ケイ素から成る、または微孔質ケイ素から本質的に成る、請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
多孔質ケイ素が修飾表面を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
修飾表面が水素化ケイ素表面、酸化ケイ素表面、誘導体化表面の1つ以上から選択される、請求項7に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
多孔質ケイ素がキャッピング層によってキャッピングされる、請求項1から8のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
キャッピング層が炭水化物、ゴム、脂質、タンパク質、セルロース、合成ポリマー、合成エラストマー、無機物質の1つ以上から選択される、請求項9に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
キャッピング層が厚さ300nmから500nmである、請求項9または10に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
組成物が:ファンデーション、マスカラ、口紅、リップバーム、リップグロス、着色化粧品、フェイスクリーム、アイクリーム、トナー、シェービングクリーム、アフターシェーブ、クレンザー、アフターサン、保湿剤、フェイスマスク、リップライナーおよびアイライナー、フェイスパウダー、アイシャドウ、ブロンザー、頬紅、コンシーラー、フェイススクラブ、メイク落としから選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物が:クリーム、ペースト、セラム、ゲル、ローション、オイル、ミルク、スティック、軟膏、粉剤、液剤、懸濁剤、分散剤、乳剤の1つの形態である、請求項1から12のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項14】
多孔質ケイ素の粒径が5μmから250μmである、請求項1から13のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項15】
多孔質ケイ素が化粧品組成物の総重量に基づいて0.01重量%から40重量%の量で存在する、請求項1から14のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項16】
前記多孔質ケイ素および化粧品組成物の他の構成要素をブレンドすることを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の化粧品組成物を形成するための製造プロセス。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物をヒトの顔に塗布することを含む、ヒトの顔を治療および/またはクレンジングする方法。
【請求項18】
治療が座瘡、脂性肌、しわ、乾癬、あざ、瘢痕、母斑、黒色面皰、雀斑、面皰、目の下のたるみまたはくま、酒さ、脂漏性(sebhorrhoeic)皮膚炎、毛孔の開き、あばた、血管拡張、顔面の老人斑の1つ以上の治療または予防のためである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
方法がヒトの顔を治療するためであり、ならびに多孔質ケイ素が皮脂を吸収する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
組成物が座瘡、脂性肌、しわ、乾癬のいずれか1つの治療または予防で使用される、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの活性成分をヒトの顔に送達するための多孔質ケイ素の使用。
【請求項22】
レチノールを顔に送達するための、請求項21に記載の多孔質ケイ素の使用。
【請求項23】
多孔質ケイ素が酸化表面を有する、請求項22に記載の多孔質ケイ素の使用。
【請求項24】
多孔質ケイ素がメソ多孔質ケイ素である、請求項21から23に記載の多孔質ケイ素の使用。

【公表番号】特表2012−504159(P2012−504159A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529629(P2011−529629)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051282
【国際公開番号】WO2010/038068
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511081613)イントリンシツク・マテリアルズ・グローバル・リミテツド (2)
【Fターム(参考)】